2008年11月1日〜2008年12月31日
福祉行政の最新情報(2006.4.1〜)−9
日付 関係省庁等 項 目 ポイント
2008年
12/31
厚生労働省 「2007年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」 「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告制度」による報告である。
2007年度家庭用品等による健康被害報告の上位10品目

皮膚障害 小児の誤飲事故 吸入事故
装飾品 タバコ 殺虫剤
時計バンド 医薬品・医薬部外品 洗浄剤(住宅用・家具用)
時計 玩具 芳香・消臭・脱臭剤
ベルト 金属製品 漂白剤
下着 プラスチック製品 消火剤
めがね 食品類 園芸用殺虫・殺菌剤
革靴 硬貨 洗剤(洗濯用・台所用)
洗剤 洗剤・洗浄剤 防虫剤
スポーツ用品 化粧品 防水スプレー
くつした/ゴム手袋 文房具/電池 灯油
総計:85件 総計:777件 総計:842件
・女性が71.0%
・「刺激性皮膚炎」46.3%,「アレルギー性接触皮膚炎」44.7%
・タバコ33.6%,医薬品・医薬部外品17.6%
・誤飲事故の発生は,夕刻以降に増加する傾向が見られ,全体の約55.0 %が午後4時から午後10時の間に発生

・男女の差はほとんどない
・9歳以下の小児が42.5%

→「家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告制度」は,1979年に発足し,モニター病院の医師が家庭用品等による健康被害と考えられる事例(皮膚障害,小児の誤飲事故)および(財)日本中毒情報センターが収集した家庭用品等による吸入事故等と考えられる事例について,それぞれ厚生労働省に報告する方法により行われている。(筆者)


12/23高齢者・障害者に関連する事故等の最新情報の記事を参照

明確な根拠をもつ「健康・医療」)
12/29 内閣府 「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」 ・政府は12月24日に,「2009年度予算政府案」および「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」を閣議決定し,同日総理大臣が記者会見した。
@
「2009年度予算政府案」
・一般会計の総額は88兆5,480億円(2008年度当初予算比6.6%増)である。雇用対策,医師確保対策,出産支援などの「生活防衛」対策と,成長力の強化などを最優先課題として重点配分している。
・厚生労働省所管のうち「雇用状況の改善のための緊急対策の推進」では,「住居喪失者・不安定就労者への住居・就労支援」255億円,「年長フリーターの雇用機会の確保」に220億円,「派遣労働者の雇入れ支援」に89億円,「内定取消し問題への対応」に7.6億円などを計上している。また,
医療・福祉においては,「医師不足対策としてへき地医療や産科医の手当て増額など」272億円,「専門医の育成などがん対策の強化」237億円,難病治療の研究費」100億円(増額),「認知症の支援対策」48億円(増額),「勤務医の負担軽減のため,短時間勤務制度を導入する病院への軽費支援」15億円(新規),「大学病院での周産期医療対策整備」17億円(新規)などを計上している。
A
「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」
・消費税については「今年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提に,
消費税を含む税制抜本改革を2011年度より実施できるよう,必要な法制上の措置をあらかじめ講じ,10年代半ばまでに段階的に行って持続可能な財政構造を確立する」としている。

→「政府予算案」では,財政再建から財政出動に大転換し,歳出においては旧来のばらまき型歳出が復活した。
税収 ■-13.9%(約46.1兆円)
赤字国債 ■+27.7%(約27.5兆円)
建設国債 ■+40.0%(約7.5兆円)
社会保障 ■+14%(約28.8兆円)
公共事業 ■+5.0%(約7.7兆円)
教育・科学振興費 ■-0.0%(約5.3兆円)
・税制改正の「中期プログラム」では,安心強化の3原則として「原則1.中福祉・中負担の社会を目指す」といつの間にか,民意を問わずに確定した表現になっている。また,増税路線を強調している。
→ばらまいておいて増税する。これがキャッチフレーズであった「経済の麻生」の具体化だった。単純でわかりやすい。しかし,「2006年骨太の方針」では,社会保障費も聖域とすることなく歳出抑制することで,将来の増税幅を圧縮することが大きな目的だったはずである。確かなビジョンを示さないまま突き進めば,出たとこ勝負のようになり,結局,将来には大幅増税によって国民が尻拭いすることになる。
→3福祉士国家試験にも関連のある「200年度からの基礎年金の国庫負担割合1/3から1/2への引き上げ」は,いわゆる埋蔵金(特別会計積立金)と赤字国債で2.3兆円/年を賄うことになった。「安定財源を確保した上で引き上げる」という方針は反故にされた。(筆者)


「2009年度予算政府案」
「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」
「2009年度厚生労働省所管予算案関係」
「2009年度厚生労働省税制改正」

10/12008年度厚生労働省補正予算案の概要の,9/1(「2009年度 厚生労働省予算の概算要求」)記事を参照
12/28 厚生労働省 「日・オランダ社会保障協定」の発効 ・2008年12月19日に,「日・オランダ社会保障協定」の公文の交換が行われた。これにより,本協定は2009年3月1日に発効する。
・現在,社会保障協定の発効は,
ドイツ,イギリス,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリアであり,オランダが発効すれば9か国目である。

「今日の一問」の問題74(「社会保障協定について述べよ。」)を参照のことトップページに掲載)
12/27 厚生労働省 「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の今後の在り方について」
〜社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書」〜


<新カリキュラムでの新国家試験の開始>
介護福祉士 2011年度(第24回)〜
社会福祉士 2009年度(第22回)〜
・「高齢化の進展等により,国民の福祉・介護ニーズの多様化・高度化する中,これに的確に対応できる社会福祉士・介護福祉士を養成する観点から行われた教育カリキュラム等の見直しと併せて,今後の国家試験の在り方について検討を行うため,平成20年7月より標記検討会を開催し,5回に渡り議論を行ってきたところであるが,今般,報告書を取りまとめた。」とされている。

→新カリキュラムに基づく新国家試験の方向性が明らかになった。結果は,おおむね,3福祉士の国家試験を注視してきた筆者の想定していた内容であった。精神保健福祉士についてもいずれ公表される。この報告書のまとめやコメントは,このタイミングでなく,改めて第21回・第11回国家試験終了後に掲載したいと思う。そのときには,社会福祉士および精神保健福祉士に関する資格制度見直しについても触れたいと思っている。
→なお,次回国家試験で新しい国家試験に向けた試みがなされることも想定しているので,現在行っている「直前対策」には反映させたい。
→次回国家試験で「不合格」になれば,その後は白紙で受験対策をしなければならなくなり,何かと面倒になる。次回受験者には,ラストチャンスを何としてもものにしてほしい。(筆者)


12/26「3福祉士の現況把握調査結果」の記事を参照

→■「福祉専門職の現状」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
12/26 厚生労働省 「2007年 国民健康・栄養調査結果」

第20回・第11回3福祉士国家試験での出題
【1】「メタボリックシンドローム」に関する次の文章は正しいか。(医学一般)
@2008年度から,高齢者の医療に関する法律に基づき,医療保険者は,原則として,40〜74歳の「加入者」に対して,特定健康診査および特定保健指導を行わなければならない。
A近年における厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば,40〜74歳では,男性女性とも5人に1人が,メタボリックシンドロームが強く疑われる者または予備軍と考えられる。
Bメタボリックシンドロームの診断基準では,内臓肥満に加え,高血糖,血中脂質異常,高血圧のうち2つ以上を合併した状態とされる。
C内臓肥満の診断には,BMI(体格指数)を用いる。
D動脈硬化性疾患のリスクファクターが存在している状態である。
E治療ではまず薬物療法が用いられる。
F「2005年 国民健康・栄養調査」によると,20歳以上の男性において,メタボリックシンドロームが強く疑われる者の割合は,20%を超えている。
G糖尿病を有する者は,メタボリックシンドロームの診断から除外される。

答え
自分の答えに自信のない人は「ちょっとまずい」状況にある

【2】「糖尿病」に関する出題(項目のみ)
(1)介護福祉士
@糖尿病の予防と食事(家政学概論)
A糖尿病に合併しやすい病態(医学一般)
B糖尿病などの疾患と爪きり(介護技術)
Cアセスメントと糖尿病(形態別)

【3】「生活習慣病」に関する出題
(1)介護福祉士
@生活習慣病等の予防と食生活(家政学概論)
(2)社会福祉士・精神保健福祉士
@認知症と生活習慣病(医学一般)
(1)調査時期:毎年11月
(2)調査項目:@身体状況調査,A栄養摂取状況調査,B生活習慣調査
(3)
2007年の重点調査項目
@糖尿病 @糖尿病が強く疑われる人は約890万人(2002年:約740万人),糖尿病の可能性が否定できない人は約1,320万人(2002年:約1,620万人)で,合計は約2,210万人と推定されている。
A糖尿病が強く疑われる人の治療状況は,「現在治療を受けている」と回答した者の割合は増加しているが,「ほとんど治療を受けたことがない」と回答した者は依然として約4割にのぼる。
B糖尿病の検査後に「異常あり」と言われた者のうち,保健指導等を受けた者は約8割であった。さらに,「生活習慣を改めた」と回答した者は約9割であった。
C糖尿病に関する知識については,「正しい食生活と運動習慣は,糖尿病の予防に効果がある」は約9割,「糖尿病は失明の原因になる」は約8割と高い正答率であった。「糖尿病は腎臓障害の原因となる」の正答率は中程度,「糖尿病の人には,血圧の高い人が多い」,「軽い糖尿病の人でも,心臓病や脳卒中になりやすい」の正答率は低かった。
A睡眠・休養 @「睡眠による休養が充分にとれていない」と回答した者は,15歳〜19歳で最も高く,男性で34.2%、女性で40.8%であった。また,20歳代〜40歳代でも約3割であった。
A眠るために薬や酒を使うことがある者の割合は約2割で増加しており,「健康日本21」の目標値である13%以下に達していない。
Bストレスの状況は,「大いにある」,「多少ある」と回答した者は,男女ともに20〜40歳代で7割を超えていた。

→2008年4月から,それまで老人保健法に基づいて行われてきた基本健診が廃止となり,40歳〜74歳を対象に,メタボリックシンドロームの概念に着目した特定健診・特定保健指導(「メタボ健診」)が医療保険者に義務づけられた。2015年までに糖尿病などの生活習慣病の有病者・予備軍を25%減少させることをめざす。なお,今回の調査において,メタボリックシンドロームについては,40〜74歳では男性の2人に1人,女性の5人に1人が強く疑われる者または予備群と考えられるとしている。
→国家試験受験者は,「生活習慣病」「2型糖尿病」「糖尿病予備軍」「インスリン抵抗性」「メタボリックシンドローム」のキーワードの各関係が正しく理解されていなければならない。次回国家試験に必ず出題されると予想している。いい加減に扱わずに,この際「完璧」にしておくことを勧める。これからの自信につながると思う。(筆者)


明確な根拠をもつ「健康・医療」)
12/26 厚生労働省 「3福祉士の現況把握調査結果(2008年7月1日現在)」 調査結果のやまだ塾のまとめ(未完成)
項目 CCW CSW PSW
@調査回答者 152,564人
82%
26,624人
14%
7,191人
4%
A最多年齢層 50〜60歳 30〜40歳 30〜40歳
B福祉・介護分野の就労
・高齢者福祉
・障害児者福祉
79%
88%
5%
72%
56%
20%
53%
13%
58%
C就労の種別
・社会福祉法人(除社協)

・市区町村

33%

3%

42%
13%

21%

16%
D就労の職種
・相談員・指導員
・介護職員

7%
54%

52%
8%

63%
2%
E雇用形態
・正規従業員

66%

85%

83%
F最多現従事年数(福祉・介護分野) 5〜10年
36%
1〜3年
29%
1〜3年
30%
G資格取得の動機
・専門職としての知識・技術を得るため
77% 83% 80%

→上記のように調査結果をまとめ始めたが,本調査に関して回答時点よりもさらに多くの疑問を感じて,途中から続ける気力をなくしてしまった。未完成のままで掲載する。本調査結果の分析や今後の展開などについて,厚生労働省や職能団体の公式な見解が出されてからコメントしたいと思う。(筆者)

→■「福祉専門職の現状」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
12/25 OECD OECDが「日本は若年層が安定的な職に就けるよう更なる対策が必要」と提言

<OECDとは>(経済産業省の説明)
「OECDは「Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構」の略で,本部はフランスのパリに置かれています。第二次大戦後、米国のマーシャル国務長官は経済的に混乱状態にあった欧州各国を救済すべきとの提案を行い、「マーシャルプラン」を発表しましたが,これを契機として,1948年4月,欧州16か国でOEEC(欧州経済協力機構)が発足しました。これがOECDの前身にあたります。その後,欧州経済の復興に伴い1961年9月,OEEC加盟国に米国及びカナダが加わり新たにOECD(経済協力開発機構)が発足しました。我が国は1964年にOECD加盟国となりました。現在,OECDの加盟国は30か国となっています。OECDは,先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて,@経済成長,A貿易自由化,B途上国支援(これを「OECDの三大目的」といいます)に貢献することを目的としています。」

・OECD(経済協力開発機構)の報告書(『Job for Youth-Japan』)では,派遣やパートタイムで就業している若年層への支援のために,日本政府は一連の改革(ジョブカフェ,ジョブカード制度など)を実施しているが,更なる改革に向けての提言がされている。

→海外の物まねや形作りだけの施策は,情報不足のわれわれ国民には通用しても,先進国にはその不十分さを鋭く見抜かれている。厚生労働行政の事柄において,世論を形成するには日本人の特性,すなわち海外からどのように見られているということに敏感なところに訴えかけるのが効果的ではないかと思える。例示として本記事を掲載した。今回の報告書にも,規模が小さすぎ,失業中や不安定な雇用にある多くの若者のニーズに応えられていない,というような指摘もされている。このような海外からの指摘や意見・提言をいち早く,適切に国民に知らせ続けることが,これからは大切になるのではないかと思う。特に,介護・福祉の分野の改善に向けては。(筆者)

12/15WHO本部およびWHO総会のホームページの記事を参照
12/23 国民生活センター 高齢者・障害者に関連する事故等の最新情報 (「事例と助言」が紹介されている)
乾燥する季節,衣類への火の燃え移り事故
→「水がない時は地面に寝転がるとよいとされています。あわてて走り出すと風にあおられて危険です
。」
・振り込め詐欺にだまされないこと→「振り込め詐欺の手口は,次々に新しくなっています。心配な時は,最寄りの警察署(全国共通「#9110」)やお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください。」

→高齢者,障害者に関連する消費者被害や日常生活上の事故が増加しているといわれる。どんな手口で勧誘が行われ,どんな製品事故が発生したのかなどの消費者トラブルおよび日常生活上の不都合な出来事・事故など,雑多であるが福祉専門職に役立つ最新情報である。啓発用資料として,リーフレットも掲載されている。(筆者)

明確な根拠をもつ「消費者トラブル」)
12/22 首相官邸 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間報告」

<8月11日記事の再掲>
「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」構成員(敬称略)(順不同) 専門(やまだ塾記載)
岩男寿美子 慶應義塾大学名誉教授 社会心理
大熊由紀子 国際医療福祉大学教授 ソーシャルサービス
高山憲之 一橋大学教授 公共経済,経済政策
土居丈朗 慶應義塾大学准教授 公共経済
薬師寺泰蔵 慶應義塾大学客員教授 政治学
奥田碩(座長),浅野史郎,朝倉敏夫,
テリー伊藤,松浦稔明

<「厚生労働行政の在り方懇談会」の根拠>
「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」のうち,Dがその根拠である。
@高齢者が活力を持って,安心して暮らせる社会
A健康に心配があれば,誰もが医療を受けられる社会
B未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
C派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
D厚生労働行政に対する信頼の回復

<「第1回厚生労働行政の在り方懇談会」において明示された「厚生労働省が2008年を改革元年として現在取り組んでいるとしている事項」>
【1】組織体制の見直し
@改革推進室の設置
A人事政策検討会の設置
B広報委員会の設置
【2】政策ビジョンの検討
@人生85年ビジョン懇談会の設置
A安心と希望の医療確保ビジョン会議の設置
B安心と希望の介護ビジョン会議の設置
【3】個別施策の検討
@年金記録作業委員会の設置
A薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会の設置
2008年8月7日から5回の開催による「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の中間報告である。年金記録問題,薬害肝炎問題,後期高齢者医療制度をめぐる混乱などで国民の不信を招いた厚生労働省の改革に関する中間報告と位置づけられている
最終報告は2009年3月に提出される予定である。
(1)運営の見直し(早急に実施)
@政策立案決定過程の透明化
・当事者として国民が決定過程に参加、意見に耳を傾ける機会を必ず確保
・徹底した情報公開・開示と記録の全面保存による透明性と公正の確保
・国民に分かる説明、国民と双方向で情報をやりとりする体制の構築
・データ公開による政策効果検証可能性の確保 など
A政策効果を点検する仕組みの導入
・行政全般へのPDCAサイクルの組み込み、人事面での活用、外部評価の導入、評
価結果に基づく速やかな事業改善 など
Bサービス精神にのっとった職員の意識改革
・迅速・分かり易さ・正確を基本とする職員の意識改革
・窓口・現場の対応を重視、第一線に有能な職員を配置
・政策課題に応じたホットラインの開設など感度を高め迅速・適切に対応する仕組みの
構築 など
C不祥事の再発防止
・法令遵守など不祥事再発防止の徹底と一人一人の職務・責任の明確化
・業績評価手法の確立など職員のインセンティブを高め、活性化する人事運用
・本省のすべての職員に若いうちに一度は現場業務を経験させ、現場感覚を政策立案
に活かすようにすべき
・行政に都合の悪い事実であっても、永久に隠し通すことはできないことを肝に銘じ、実
態を常に正確に把握できる体制を整備 など
(2)組織・体制の見直し(年度末までに検討) D諸課題に対応するための組織改編
・現下の行政課題に的確に対応し推進するための組織編成を検討
・地方に委ねるべきは委ね、補助金のさらなる交付金化・一般財源化、責任関係の明確
化を検討、これにより必要な分野に人材を重点投入
・例えば、少子化対策の強力な推進、年金実務体制の見直し、医療・介護の連携、非
正規雇用対策の推進、医薬品安全や健康危機管理など課題推進型に組織・人員体
制を再編成 など
E社会保障の財政運営を分かりやすく提示
・政府における社会保障給付とその他の予算との厳密な区分経理に基づき社会保障
費用の適切な管理を行える仕組みの構築と体制の検討 など

<2008年8月11日記事の再掲>
→「厚生労働行政の在り方懇談会」の事務局を,厚生労働省単独ではなく,官邸と厚生労働省の共同管轄に変更したことは民意に即していると思う。現行の年金は社会保険方式で運営されており,2008年6月の「社会保障国民会議 中間報告」では触れられなかった「基礎年金の国庫負担割合の1/3から1/2への引き上げ」にも関連するが,年金制度の第一人者であり「公的年金財源に目的消費税導入を提唱している人物」(この人物は,2008年7月25日付日本経済新聞「経済教室」において,「年金記録管理は日本の社保庁だけでなく,外国にも,また民間の年金等にも共通する難題である」と述べ話題になった)やテレビタレント的な人などで構成された有識者10名(うち4名は急遽追加された)によって,日本の活動力の根幹をなす「雇用」「年金」「医療」などが話し合われる。何度も申し上げるが,鵜呑み・丸呑みをせず,属性だけで人を判断せず,誰によってどのようなことがどのように話し合われたかに常に関心を持つことは,ソーシャルワーカーに必要とされる技術である。2008年度末には結論が出される予定である。(筆者)

→いつもながら,無礼を承知で,日頃から厚生労働行政を注視している筆者の意見を率直に述べる。この不安定な政局の中で,社会問題化している厚生労働省の運営・組織・体制の「改革」が遂行できるとは考えづらい。また,この中間報告および2008年度末に予定されている最終報告による「改革」が完遂される可能性は低いと考えている。もっとも抽象的な表現の事柄に完遂という言葉は当たらないのかも知れない。本会議は福田前首相の指示で設置されたものであることもそう考える根拠になっている。上記の@〜Eの項目の抽出において,左記の多様で急しつらえの会議メンバーで,しかも会議開催がわずか5回(1時間30分〜2時間程度/回)であったことを考慮すれば,議論が不足していたことは明白である。当然に,実現するための手順は示されておらず,内容や表現も抽象的である。ということで,この中間報告の曖昧さは,改革に対する政府および所管省庁の考え方の反映と推測した。(筆者)

9/1「2009年度 厚生労働省予算の概算要求」,8/22「厚生労働省が改革元年として現在取り組んでいる事項」「第1回厚生労働行政の在り方懇談会」資料〜),8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された〜「社会保障の機能強化のための緊急対策−5つの安心プラン−」を受けて〜)の記事を参照
12/19 内閣府 多重債務相談窓口 ・2008年10月現在の日本の消費者金融利用者は1,100万人以上で,半数以上は複数の消費者金融を利用し,5件以上の消費者金融の利用者は約100万人,返済が3か月以上滞っている利用者は約210万人とされている。
・2006年に「貸金業法」が改正(〜2年半以内の施行,上限金利を利息制限法と同水準の20%に引き下げてグレーゾーン金利を撤廃,貸付残高の総量規制導入など)され,2007年には「多重債務問題改善プログラム」が策定(借り手への対策)されているが,
近時の金融危機や雇用不安の影響で,多重債務者の激増が懸念されている
2008年12月31日まで,「多重債務者相談強化キャンペーン」が実施されている

→多重債務は,ストレスによる病気,家庭崩壊,夜逃げ,自殺という深刻な問題を生起する。貸付金利については,出資法(改正前までは年29.2%まで)と利息制限法(年15〜20%まで)という2つの法律があり,貸金業者(サラ金,消費者金融)や信販会社の金利の多くは,最近まで「出資法」に基づく高金利により取引していた。利息制限法は,元本が@10万円未満:年20%,A10万円以上100万円未満:年18%,B100万円以上:年15%で,これを超える部分については無効であると定めている。問題は,利息制限法には罰則の定めがなく,出資法には罰則の定めがあることである。貸金業者等が利息制限法を守らない理由がここにあった。改正出資法で上限金利を利息制限法と同水準としたが,金利引き下げの施行は2006年12月19日から2年半以内とされている。適切な手続きをとれば,多重債務は必ず解決できるといわれているので,専門家にできるだけ早く相談することが第一選択肢である。福祉専門職には必須の知識である。(筆者)
12/18 厚生労働省 「社会保障審議会障害者部会報告書」
〜「障害者自立支援法」の見直し〜
「障害者自立支援法」の施行後3年の見直しによるものである。
最大の焦点であった現行の「応益負担」を「応能負担」に見直すことについては,報告書は「所得に応じてきめ細やかな軽減措置が講じられてきていることにより,既に実質的に障害者の負担能力に応じて負担する仕組みとなっており」(p.32)とし,「負担軽減措置」で実質的に「応能負担」になっていることを強調して,「応益負担」の方針を堅持することを改めて示した
・政府は,報告書をふまえ,
障害者自立支援法の改正案を第171回通常国会に提出する予定である。

<11月28日記事の再掲>
(「障害者週間」の記事に関連して)
→3福祉士国家試験の受験者は,2007年版厚生労働白書(障害者の自立支援の項目p.253〜p.260)は必読である。
→障害者自立支援法は,2005年10月31日に,自民,公明の賛成多数(野党3党は反対,付帯決議は全会一致)で,衆議院本会議において成立し,2006年4月(10月)に見切発車した。筆者は,特に,障害者の自立支援を担保すべき障害者の就労支援に多くを期待できないことが分かっている日本の労働環境において,障害年金(1級:月額約82,000円,2級:約66,000円)が唯一の収入源ともいえる人たちに対して,障害が重いほど利用するサービスが増え,それに応じて負担も重くなる「応益負担」が「公平性を保つ」とする見解に正義を見出せない。「自立支援」という崇高な理念とかけ離れて,生存にもかかわる深刻な障害者の実態(応益負担,施設基準,障害程度区分,障害児,地域格差など)が存在し続けている。先日,法成立日に合わせた10月31日に,障害者自立支援法の「応益負担」は,法の下の平等などを定めた憲法(憲法25条,13条,14条など)に反するとして,30人(障害者29人とその親1人)が,全国8地裁に提訴した,との報道があった。2009年は障害者自立支援法の見直し年に当たるが,与党が根本的な見直しする状況にはない。ソーシャルワーカーは,自身の見解をもっていなければならない。(筆者)

→厚生労働省は,障害者関係団体(25団体)のヒアリングおよび国民からの意見も公募(2008年9月10日〜11月10日,797件)を実施し,議論した後の結論だとするが,「最初に結論ありき」ではなかったかと思う。確認のために振り返れば,2004年10月12日の厚生労働省の試案(今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」)の問題点を見抜けず,2005年10月31日に障害者自立支援法を容易に成立させてしまったことに最大の原因がある。一度成立した法律を白紙に戻すことの困難さは計り知れない。非常に残念であるが,今後は,現状を絶え間なくアピールし,制度の不備の改善とこれまでの努力の成果である特例としての「軽減措置」をできる限り拡大・延長されることを要求し続けていくことが大切になる。報告書の詳細は,別途法案を含めてまとめを掲載する予定である。(筆者)

12/2(世界人権宣言60周年と人権週間(12/4〜12/10),11/28「障害者週間」(12/3〜12/9)の行事予定,8/5「障害児支援の見直しに関する検討会 報告書」の記事を参照
12/17 ■拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場


過去問(第20回社会福祉士・精神保健福祉士社会福祉原論問題10):世界の貧困克服への取組みに関する次の文章は正しいか。

2006年のノーベル平和賞が,バングラデシュのグラミン銀行とその創設者ユヌスに与えられた。ユヌスは貧困層の主体的努力を促すために,小規模融資(マイクロファイナンス)を取り入れ,グラミン銀行を設立した。日本政府も,同銀行に「農村開発信用事業」としておよそ30億円の資金を供与した。また,1998年にノーベル経済学賞を受賞したセンも,ユヌスと同じベンガル人である。ともに故郷の大飢饉を体験したことが活動の出発点になっている。

答え
「シルバーサービス振興ビジョン」
(社団法人シルバーサービス振興会にリンクしています)

<拡大・創出が期待される新市場
(介護サービス以外)
@自分自身の生活を豊かにする「自分のためのマーケット」
A人と関わりたいというニーズを満たす「関係づくりマーケット」
B高齢者の感性や技術を伝承する「伝承マーケット」
C少し働きたいというニーズに応える「働こうマーケット」
D健康増進や長生き関連の「ヘルスサポート・マーケット」
Eいつまでも若々しくいたい「アンチエイジング・マーケット」
F高齢期の生活に欠かせない「ITマーケット」
G好奇心に富んだ高齢者を対象とした「団塊支援マーケット」
H家族と生きる、家族を支える「ファミリー・マーケット」

→2008年9月に公表された「シルバーサービス振興ビジョン」によれば,団塊の世代が65歳以上になりきる2015年には高齢者人口が3,300万人で,高齢者層の消費額は全世帯消費額の約4割強(約70兆円)を占める規模になる可能性があるとされている。また,「市場の成長は,民間にとって魅力あるものとなり,さらに多様な業界からその特性を活かした積極的な参入が期待されます」とされているが,他の業界からわざわざ来てもらわなくとも,「良質の福祉センス」を持つ福祉専門職の起業があってもいいと思う。ただし,超高齢社会を現在の延長線上のステレオタイプの弱者としての高齢者の集まりとしか想定できない人,あるいは「金儲けだけ」を考えている人は,この起業には向かないし,おそらく失敗すると思う。団塊の世代を念頭に置けば,キーボードを叩き,知的好奇心が高く,経済的に自立しているであろう高齢者が多く存在することも想定すべきである。シルバーサービス(介護サービスを除く)における起業とは,新しい価値(価値観)を創出することかもしれないと思う。筆者は,そのキーワードは「孤(孤立)を避ける」ではないかと考えている。
→関連する事柄として,「ソーシャルビジネス(SB)」に触れておく。SBは,利益を追求しながら社会改良・変革を図るという新しい社会福祉・ビジネスのあり方であり,一般のベンチャーやボランティアとは異なる。海外においては,イギリスでは1990 年代からSB に着目し,社会企業局を新設して戦略的に支援策を展開するなど,官民ともにSB に対する意識は相当程度高まっている状況にある。しかし,日本のSB活動はまだ萌芽段階で,一部に草分け的なSB が事業活動を行っているものの,社会的な認知度は低く,体系的な支援もされていない状況にある。今年は,「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告が数多く提出されている。
→ちなみに,近年のSBの快挙としては,バングラデシュで「貧者の銀行」である
グラミン銀行を設立したムハマド・ユヌスが2006年にノーベル平和賞を受賞したことが挙げられる。
→福祉専門職は,社会改良の担い手である。そういう意識の醸成に寄与せず,視野を狭くさせ,福祉の仕事を閉塞感のあるつまらない仕事と受け止めさせてしまったことは,「福祉専門職を養成する側の資質・水準」と深くかかわる。(筆者)


<このカテゴリーで取り上げた「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告群>
「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書」(2008年2月)/「ソーシャルビジネス研究会報告書」(2008年4月)/「人生85年ビジョン懇談会報告書」(2008年5月)/「安心と希望の医療確保ビジョン」(2008年6月)/「シルバーサービス振興ビジョン」(2008年9月)/「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月)/「安心と希望の介護ビジョン」(2008年11月)
12/16 内閣府 「新しい青少年育成施策大綱」(2008年12月12日推進本部決定)

<11月9日記事の再掲>
3福祉士国家試験受験者は,子ども・青少年に関する以下の数値を記憶されたい。

@「ニート」・・・約62 万人
(2007年)
A「フリーター」・・・約181 万人
(2007年)
B「不登校児童生徒」・・・年間約13 万人
(2007年度不登校児童生徒数(小・中学校)=129,254人)
C「高校中退者」・・・年間約8万人
(2006年度国・公・私立高校の中途退学者数=77,027 人,中途退学率=2.2%)
D「刑法犯少年,触法少年(刑法)の検挙・補導人員」・・・年間約12 万人
(2007年度刑法犯少年=103,224 人,触法少年(刑法)=17,904 人,計121,128 人)
E「児童虐待相談対応件数」・・・年間約4万件
(2007 年児童相談所相談対応件数=40,639 件)

模擬問題:法令等の年齢区分に関して,以下の空欄を埋めよ。
法令等 呼称 年齢区分
@少年法 少年 20歳】に満たない者
A児童福祉法 児童 満18歳】に満たない者
B児童福祉法 乳児 満1歳】に満たない者
C児童福祉法 幼児 満1歳から,小学校の始期に達する】までの者
D児童福祉法 少年 小学校の始期から,満18歳に達する】までの者
E母子及び寡婦福祉法 児童 20歳】に満たない者
F民法 未成年者 20歳】未満の者
G民法 結婚適齢 男は,満18歳に,女は,満16歳】にならなければ,婚姻することができない
H労働基準法 年少者 満18歳】に満たない者
I道路交通法 児童 6歳以上13歳】未満の者
J児童買春,児童ポルノ禁止法 児童 18歳】に満たない者
K児童の権利に関する条約 児童 18歳】未満のすべての者
L風営法 年少者 18歳未満】未満の者
M風営法 少年 20歳】未満の者
N刑法 刑事未成年 14歳】に満たない者

答え:【 】内をドラッグ(2008年12月18日追記)

「青少年育成施策大綱」(2003年12月9日)が廃止され,新しい「青少年育成施策大綱」(2008年12月12日)が決定された。5年後の見直しが決められていたことによる改正である。
(新しい大綱の特徴)
政策の対象を,これまでの30歳までにとどまらず,30歳以降の「ポスト青年期」に広げている。また,「困難を抱える青少年等に対する施策」として,@障害ある青少年の支援,A少年非行対策,B不登校・ひきこもり対策,C労働市場で不利な条件下にある青少年の自立支援,D青少年の被害防止・支援,E外国人青少年の支援にE分類し,それぞれに取り組むべき施策を列挙している。
(新しい大綱の報道されたポイント)
@ニート,フリーターなど若者の就労環境が不安定化し,所得格差が拡大し家庭の養育力は低下している,A青年期を過ぎた世代のフリーターの常用雇用化し,ジョブカード制度を充実させる,B外国人青少年への相談活動などの支援を強化する,C家庭への訪問支援による保護者に対する助言など家庭,学校,地域の関を再構築する,Dインターネット,出会い系喫茶など有害環境に対応する,E青少年の個々の状況に応じ,社会総がかりで支援する

→政府は,大綱を踏まえた関係法案を,来年1月の第171回通常国会に提出するとしている。
→新しい大綱の基本理念は,@青少年の立場を第一に考える,A社会的な自立と他者との共生を目指して、青少年の健やかな成長を支援,B青少年一人一人の状況に応じた支援を社会総がかりで実施,とされている。Bの「社会総がかり」という言葉の初めは,安倍元首相肝いりの「教育再生会議第一次報告」での「第2章 社会総がかによる教育再生を」からだと思う。筆者は,以前からこの言葉に気色悪さを感じている。「総がかり」には「寄ってたかってやっつける」という第一義的なイメージを持っており,基準からはずれ,基準に達していない者を叩き直してやるという傲慢で前時代的なメッセージ性を感じるからかも知れない。大綱は,青少年の「再生」ではなく「育成」なのだから,品の悪い言葉をまねしないでほしかった。「国民的な課題として」や「国民全体の問題として」という言葉で十分理解できる。
→また,「本大綱においては,0歳からおおむね30歳未満までの年齢層にある者を「青少年」と総称」(p.3)するとしながら,青年期を過ぎた30歳以上の「ポスト青年期」世代で,雇用環境の悪化などから社会的自立が困難になっている者が多数存在するために「ポスト青年期」を含めた(p.16)施策にするということである。筆者は,従来から30歳までを対象としてきたことに対しては,世間(日本国民,国際社会)の感覚とずれていないか,また,今回の30歳以上も対象としたことに対しては,本旨(本質,根本)から外れていないか,という疑念を持っている。この点の詳細は,別の機会にする。(筆者)


11/24「2008年版青少年白書」,11/911月は「全国青少年健全育成強調月間」),9/19「2007年中における少年の補導及び保護の概況」,9/18(「民法の成年年齢に関する世論調査」)の記事を参照

明確な根拠をもつ「子ども,青少年」)
12/15 厚生労働省 WHO本部およびWHO総会のホームページ

<WHOの健康の定義>(WHO憲章序文)
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

「完全な肉体的,精神的及び社会的福祉の状態であり,単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」(厚生労働省)
・この健康の定義は,1948年以来改正されていない。


模擬問題:世界保健機(WHO)に関する次の文章は正しいか。

@2001年の国際生活機能分類(ICF)において,生活機能とは心身機能・身体構造,活動,参加のすべてを包括した用語である。
AICFでは,対象範囲を障害者とし,その健康状態に関係した身体・個人および社会レベルでの生活状態を包括的に扱っている。
B1986年のオタワ憲章では,ヘルスプロモーションが提唱され,健康は生きることの目的ではなく,生活の資源であると考えられ,「QOLの向上」が最終目標に掲げられた。
CWHO憲章の序文には,「健康とは,身体的,精神的に完全に良好な状態である。」と述べられている。
D1980年の国際障害分類(ICD)では,機能障害,活動,参加の3つのレベルに体系化された。
E2007年のWHOへの分担率の上位5か国は,日本,アメリカ,ドイツ,イギリス,フランスの順である。

答え
【○×○×○×の順

・世界保健機関(WHO;World Health Assembly)は,1946年ニューヨークで開かれた国際保健会議が採択した世界保健憲章によって,194847日に55か国のメンバーで国際連合の専門機関(国連機関)として設立された。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」(憲章第1条)を目的に掲げている。
・2008年は60周年に当たり,現在193か国および2地域が加盟している。年1回,最高意思決定機関である世界保健会議(WHA)が開催され,グローバルヘルスの課題および解決策が協議される。

WHOの予算は2年制で,活動の財源は,加盟国の義務的分担金(各国の分担率は国民所得等に基づいて算定される国連分担率に準拠)により賄われる通常予算(Regular Budget)と加盟国およびUNDP,世界銀行等の他の国際機関からの任意拠出に基づく予算外拠出(External-Budgetary Contribution)からなっている。WHOは総会で選出された34か国が推薦する執行理事により構成される「執行理事会」が,総会の決定・政策の実施,総会に対しての助言または提案を行い,総会の執行機関として行動するという仕組みになっている。このカテゴリーでも再三繰り返しているが,テキストや解説書での理解だけで終わらせず,根拠・原典を確かめる努力は常に必要である。例えば,ICFオタワ憲章なども原文を目にすることでさらに理解が深まる。これは,実践においても福祉専門職に求められる姿勢である。あえて国家試験を目前にした段階で伝えておきたいと思った。(筆者)
12/13 厚生労働省 「第3回中高年者縦断調査」 団塊世代を含む全国の中高年者世代の男女約3万人(2005年10月末現在で,50〜59歳の男女)の健康等の意識変化を追跡調査する「中高年者縦断調査」の第3回調査結果である。
家族の状況 配偶者及び同居者の状況の変化 ・家族構成は,2005年の第1回調査と比べて,夫婦のみの世帯が20.4%から25.9%に増加しているが,子と暮らしている世帯,三世代世帯は減少している。
・健康状態の良さでは,夫婦のみの世帯の方がそれらよりわずかながら上回っている。
介護をしている者の状況

・「介護している」と答えた男性は8.1%で,女性は13.3%であった。
・介護の相手は,男性は「自分の母」が4.9%と最多であり,女性は「自分の母」(5.8%),「配偶者の母」(4.6%)の割合が高かった。
・1週間当たりの介護時間は,男性は「1−2時間」」(29.3%),女性は「5−9時間」(19.5%)が最多であった。

健康の状況 健康状態

・健康診断は,男性75.2%,女性67.1%が受診していた。

就業の状況 就業状況の変化 ・60歳を超えても「ずっと仕事あり」と答えたのは,男性76.5%,女性47.6%であったが,2005年から2008年にかけて「退職」した60歳以上の男性は11.2%,女性は11.9%となっている。
仕事をやめた者の状況 ・離職後に仕事ありとなる割合は,年齢階級が低い者や,仕事のための資格取得や能力開発をしている者で高くなっている。
・退職した者の51.6%が「仕事をしたい」と考えており,「仕事をしたい」のうち59.1%が仕事探しや開業準備をしている。
                                  (やまだ塾まとめ)

→日本では「社会調査」が数多く実施され,その多くが「横断的調査」である。特定の調査対象を一定期間捕捉し,継続的に調査を行う「縦断調査」(繰り返し調査とパネル調査の2 つに分類される)は多くない。現在,厚生労働省は,「21世紀出生児縦断調査」,「21世紀成年者縦断調査」,「中高年者縦断調査」という大規模なパネル調査を実施している。縦断調査によって,「コーホート分析」すなわち年齢,時代の効果と世代効果を分ける分析を行うことができる。日本の縦断調査の本格的な実施は近年であるが,アメリカでは1966年以来40年以上の蓄積がある。これは単に調査・研究が40年近く遅れをとっているだけではなく,調査からもたらされる情報を持たないため,政策の立案や政策の効果を評価・測定する科学的根拠を持たずに「政治」「行政」を進めてきたことを意味する。日本の福祉行政の後進性の根拠となる事柄の一つとも言える。しかし,日本でパネル調査が本格的に実施されてこなかった重大な理由として,アメリカ人と異なり,日本人はその国民性から「誠実に回答しない」「本当のことを言わない」ことが従来から指摘されている。国民意識の問題とも関連する事柄であり,根は深い。(筆者)


明確な根拠をもつ(「基本となる調査・統計」-縦断調査)
12/12 厚生労働省 「国立国際医療センター肝炎情報センターHP」の開設
〜ウイルス肝炎は,国内最大の感染症である〜

肝炎に関する用語>
インターフェロンとは,抗ウイルス効果を有する生理活性物質であり,体内で生成されるものである。これが肝炎ウイルスの増殖抑制に大きな効果があることが判明し,同様の作用を有する薬剤が開発された。
1b型とは,C型肝炎遺伝子型の一種で,日本人の感染者患者の約70%がこの型のウイルスに感染しているという最多の遺伝子型である。
非代償性肝硬変とは,自覚症状がないとされる代償性肝硬変と比較し,病状が進行し,横断・腹水出現や食道静脈瘤の破裂等,有症状化する時期の肝硬変のことである。
                     (肝炎研究7カ年戦略より)
<肝炎情報センターHPの内容>
@肝炎診療ネットワーク
(各都道府県の肝疾患診療連携拠点病院の情報)
A患者・一般向け
(肝炎等の症状,検査,治療等の情報)
B肝臓専門医向け
(肝炎等の治療成績や治療ガイドラインの情報)
C肝臓専門医以外の医療従事者向け
(肝炎等の症状,検査,治療等の情報)

現在,日本の肝炎(ウイルス性肝炎)の持続感染者は,B型が110万人〜140万人,C型が200万人〜240万人存在すると推定されている。感染時期の不明確さや自覚症状のなさのため,本人が気づかないうちに肝硬変や肝がんへ移行する感染者が多く存在することが問題とされている。そこで,2008年度から,従来の総合的な肝炎対策にインターフェロン治療に対する医療費助成を加えた新たな肝炎総合対策「肝炎治療7か年計画」が実施されている。また,2008年6月には,肝疾患の研究の充実・強化のため「肝炎研究7カ年戦略」が策定された。戦略の目標として,@B型肝炎の臨床的治癒率を現状の約30%から約40%まで改善,AC型肝炎(1b高ウイルス型)の根治率を現状の約50%から約70%まで改善,B非代償性肝硬変(Child-PughC)における5年生存率を現状の約25%から,B型肝炎由来では約50%まで,C型肝炎由来では約35%まで改善,C進行肝がんの5年生存率を現状の約25%から約40%まで改善,をめざすとしている。(筆者)
12/11 厚生労働省 新規学卒者の採用内定取消しへの対応について
→○全国の特別相談窓口一覧
→○「新規学卒者の採用に関する指針」


<「採用内定取消し」に関する最高裁判決>
大日本印刷事件(1979年7月20日最高裁第二小法廷判決)によれば,採用内定の取消が認められるのは,内定当時知ることができず,また,知ることが期待できないような事実であって,これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ,社会通念上相当として是認することができるものに限られる。

<行政解釈>
旧労働省の行政解釈(1952年5月27日基監発第15号)
によれば,会社の採用通知が労働契約そのものを完成させる使用者の意思表示であるか,または労働契約締結の予約であるかは,「具体的個々の事情,特に採用通知の文言,当該会社の労働契約,就業規則等の採用手続に関する定め,および従来の取扱慣例による採用通知の意味等について総合的に判断して決定すべきものである」としながらも,次のように解されるとしている。
@採用通知に赴任の日が指定されている場合には,一般にはその採用通知が発せられた日に労働契約は成立したと認められる要素が強い(ただし,従来の慣例その他を勘案して決定されるべき)。
A雇用契約締結の日を明示して採用通知がなされた場合は,一般には労働契約はその日に有効に成立しているものと解されるから,その日以降における採用取消通知は本人の赴任前(現実に就労するまでの期間)であっても解雇の意思表示であると解され,したがって労働基準法第20条(解雇予告)の適用がある。

・「採用内定を取り消された学生の皆様へ」,「特別相談窓口においては,@採用内定取り消しの通知を受けた場合の対応についてのアドバイス,A全国の学卒求人情報の提供,職業紹介など,ハローワークにおける支援内容の紹介,等を実施しています。」とするのが厚生労働省の対応である。

→この段階での採用内定取消しに対して,弱い立場の者への許されない背信行為であるのに拘らず,行政の腰が引けているように思える。世間の風潮に便乗した企業には,厳しく対応して,乱用を抑止していただきたいと思う。
→頭を整理してみる。
採用内定取消しの法的な解釈に関しては,左記の最高裁判例および行政解釈によって,一応の結論が出ている。そのポイントは,@採用内定により,原則として労働契約は成立している,A口頭でも契約は有効に成立する,B採用内定取消しには,客観的に見て合理的な理由が必要である,である。例えば,「会社の業績が悪くなった」などという理由は,多くの場合,採用内定取消しの合理性が認められるのは困難といわれている。
企業が採用内定取消しを撤回しない場合には,従業員たる地位の保全(時期によっては「賃金の仮払い」も)を求める仮処分を地方裁判所に申請することができ,さらに,違法な採用内定取消しの場合には,損害賠償として慰謝料・弁護士費用等も請求できる,とされている。(筆者)


12/1(「採用内定取消し」の現状および推移)の記事を参照

「採用内定取消し」関係法規(職業安定法第54条,職業安定法施行規則第35条)
12/10 厚生労働省 ■隔靴掻痒(中央福祉人材センターの採用手引書厚労省の介護未経験者確保等助成金制度 全国社会福祉協議会・中央福祉人材センターは,「介護施設・事業所の採用活動と初期の教育訓練のあり方にかかわる調査研究委員会(委員長:田島誠一氏・日本社会事業大学大学院教授)」を設置し検討を行い,『介護施設・事業所のための戦略的な採用と初期の定着促進の手引き』をHPで公開した。確定版は,2008年12月17日とのことである。 
厚生労働省は,2008年10月24日のシンポジウムで,フリーターなど介護未経験者の雇用助成金制度を,2009年4月から実施することをリークした。その後,先出しするとして2008年12月1日からスタートさせた。介護未経験者1人につき,雇用日から1年間で50万円(6か月ごとに25万円)が事業所に支給される「介護未経験者確保等助成金制度」は,2009年度予算に42億円を計上し,5,600か所の事業所で1万6,800人の雇用が見込まれている

→隔靴掻痒とは,「核心にふれないで,はがゆいこと」である。上記2つの施策が,この深刻な介護人材不足の現状にどう「具体的に役立つ」のか疑問である。手引書においては,「よりダイナミックで戦略的な採用活動への転換を提案します」という言葉に違和感をもったが,案の定「カタカナ」がやたらと多く,115ページ(本文は66ページまで)にわたる大作であった。また,助成金制度については,低賃金など労働環境の劣悪さや介護の質の低下など大変な問題を抱えている業界に,仕事のない人の足元を見て連れてくるということであり,働こうとする側と介護を受ける側の双方に対して「失礼」であると思う。品位を重んじた施策を望みたい。情熱と強い使命感で介護の分野を懸命に支えてくれている現状の有能で経験豊かな介護従事者が,これ以上辞めていかないようにする施策が最優先されるべきであることを誰が伝える?(筆者)
12/9 「倫理綱領を暗唱する」ことの意味 →トップページ(トピックス)に3福祉士倫理綱領の暗唱用資料を掲載した。「『「倫理綱領」を暗唱すること』は,『自らの専門性に誇りを持つこと』を意味する」という見出しをつけたが,さらに,倫理綱領に従うということは,自らの専門性に忠実であることであり,専門職としてのアイデンティティである。また,倫理基準が社会的地位の基盤となる。すでに福祉士である方にも,この機会に再度「倫理綱領」に注目していただきたい。(筆者)

「倫理綱領・行動規範」
12/8 内閣府 「2009年度予算編成の基本方針」 ・政府は,12月3日に経済財政諮問会議を開催し,その後「2009年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。
・日本経済は景気後退局面に入っているとの認識を示した上で,「概算要求基準」(シーリング)を維持しつつ,歳出については「状況に応じた対応を機動的・弾力的に行う」(特別枠)との考え方を打ち出している。
・雇用対策関連では,雇用保険のセーフティネット機能の強化,非正規労働者の雇用維持支援,年長フリーターを積極的に雇用する事業主への特別奨励金の創設などを盛り込んでいる。

<「福祉行政の最新情報」9/1記事の再掲>
→2008年6月27日に閣議決定された「骨太の方針2008」以降,2009年度政府予算案作成までの流れは次の通りである。財務省が7 月末〜8 月初旬にかけて「概算要求基準」(各省庁の予算要求する際の基準で「シーリング」といわれる)を示し,各省庁が8 月末に「2009年度予算の概算要求」を財務省に提出する。その後,財務省(主計局)が各省庁と折衝のうえ予算としての査定をし,12月末に財務省の原案をまとめて,閣議決定を経て政府案が作成される。その後,2009年1月の通常国会に税制改革案とともに提出され,2009年4月までに2009年度の予算が成立する。全体や流れを踏まえることによって,個々の事象を「つながり」として理解することや,「多面的」に捉えることにつながるように思う。
→2009年度の福祉行政において,従来の方向性を大きく転換する政策は含まれないと理解した。2200億円/年の社会保障費削減を堅持しながら,急場しのぎで作られ,総花的と評価されている「安心プラン」で挙げたすべての政策に予算をつけている。一方,@,基礎年金の国庫負担割合の引き上げ(1/3→1/2)経費,A少子化対策で国が負担する経費,B年金記録管理体制の確立のための経費,C後期高齢者(長寿)医療制度の運用改善に係る経費などの必要財源は概算要求とは別枠であり,「厄介な事柄」の結論は先送りされている。国民目線からは,これで「安心」に結びつくのかどうか,分かりづらい内容である。(筆者)

→シーリング(社会保障費の2,200億円/年の抑制,公共事業費の3%削減など歳出の上限を定めた大枠)の維持とは「財政再建」を指向するということである。また,シーリングとは別の特別枠(詳細不明であるが10兆円程度/3年間)とは,「歳出拡大」を意味する。さらに,これとは別の歳出である2008年度二次補正予算案(生活対策の国費5兆円を含むは,国会に提出されていないため成立の見込みは立っていない)が予定されている。「歳出拡大」は,2011年のプライマリー・バランス黒字化の目標を危うくする。浮き足立つとはこういう状態なんだと思う。(筆者)

9/1(「2009年度 厚生労働省予算の概算要求」)の記事を参照
「骨太の方針2008」とは何か?

(2008年度予算関係)
10/1(2008年度厚生労働省補正予算案の概要))の記事を参照
「2008年度厚生労働省予算」
12/7 - ■一時的な生活資金に困ったとき,「生活福祉資金貸付制度」が利用できる 「生活福祉資金貸付制度」は,以下の世帯に対して,世帯の生活の安定や自立を図ることを目的に,必要な生活資金を低利子(無利子)で貸し付ける制度である。
低所得者世帯 所得が低く,金融機関などからの資金の借り入れが困難な世帯
障害者世帯 身体障害者手帳,療育手帳,精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人がいる世帯
高齢者世帯 日常生活で療養や介護を要する65歳以上の高齢者がいる世帯
失業者世帯 家計を支える人の失業により,生計の維持が困難となった世帯
現在,10種類の貸付資金がある。
@「更生資金」,A「福祉資金」,B「修学資金」,C「療養・介護等資金」,D「緊急小口資金」,E「災害援護資金」,F「離職者支援資金」,G「長期生活支援資金」,H「要保護世帯向け長期生活支援資金」,I「自立支援対応資金」という10種類の貸付資金
実施主体は,都道府県社会福祉協議会である。

→福祉専門職として必須の知識である。次回の3福祉士国家試験では,出題の可能性が高いと予想している。制度の実務的な詳細については,後日「今日の一問:問題78」を改訂する予定である。(筆者)

→■「都道府県・指定都市社会福祉協議会」
12/6 厚生労働省 「現行精神保健福祉施策の見直し対象とされている項目」(2008年12月3日現在)

(参考)
■「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」構成員名簿 (2008年10月1日現在 敬称略)
石川到覚 大正大学人間学部 教授
大塚淳子 社団法人日本精神保健福祉士協会 常務理事
鹿島晴雄 慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 教授
京極宣 座長,国立社会保障・人口問題研究所 所長
新保祐元 東京成徳大学応用心理学部 教授
谷野亮爾 社団法人日本精神科病院協会 副会長
寺谷隆子 山梨県立大学人間福祉学部 教授
古川孝順 東洋大学ライフデザイン学部 学部長
2008年12月3日の社会保障審議会障害者部会の資料を基に「やまだ塾」がまとめた一覧表である。
見直し対象の項目 対応の方向
@精神障害者の地域生活への移行・地域生活の支援 制度上で精神障害者の地域生活への移行・地域生活の支援を位置づけ
制度上で精神保健医療福祉従事者の責務の明確化
A精神科救急医療 制度上で精神科救急医療体制および一般救急体制との連携を位置づけ
B精神保健指定医 制度上で措置診察等に係る精神保健指定医の責務を明確化
C相談体制における行政機関の役割 市町村,保健所,精神保健福祉センターの連携体制の具体化
D精神障害者社会適応訓練事業 2003年度以降事業の縮小傾向にあるため,都道府県等への支援
E精神保健福祉士の養成のあり方 ・制度上で役割・資質向上の責務の明確化
・質の高いPSW養成のカリキュラム

→行政側が,現行施策で早急に手直ししなければならない制度上の不備と認識している項目である。
→先日,精神保健福祉士をめざす者から単刀直入な質問を受けた。「欧米からもはるかに遅れているのが分かっているのに,一向に進まない地域への移行など日本の精神保健福祉の本質的な問題・欠陥は何か」ということだった。ドキッとしたが,筆者は,「人権の視座が定まっていないことである」と答えた。続けて次のように言った。法的根拠や科学的根拠もなく退院させないことが正当化される現実がある(帰ってきても手に負えず困るという家族,何かが起こってからでは遅いと“not in my back yard”を言う地域社会,精神障害者は危険だと煽るマスコミの論調とそれを受け入れている社会,説明と支援が十分にできないレベルの医療・精神保健の専門職)。病気が回復したら退院するのは当たり前で,それを根拠なく阻害するのは「人権侵害」である。「人権侵害」は,精神保健福祉の分野に限らず,福祉全般(児童・高齢者・障害者福祉,生活保護など社会保障制度)に共通することである。2008年10月30日(ジュネーブ時間)に「国連の自由権規約委員会(Human Rights Committee)」によって日本の人権保障状況に関して,問題の改善勧告を含む「最終見解」が公表されたことに通じる(12月2日の
世界人権宣言60周年と人権週間の記事を参照のこと)。「人権の問題」として,ぶれずに福祉の制度や出来事を考えていくと今までの見方が変わるかも知れない。精神障害者の支援に直接タッチしてきた筆者のおよそ25年間の経験(何ほどのこともできなかった)に基づいて,後悔の話をした。最後に,「世代交代がなく,いつまでも同じ人が第一線におっては状況は好転しないばかりか悪くなる。」と言ったら,「あると思います。」とその学生は言った。(筆者)


(精神保健福祉士に関して)
12/5(12月3日に新しい「薬物乱用防止啓発読本」を公表),11/23「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(中間まとめ)」7/23「精神保健福祉士法の改正」の検討が始まった,4/22(■「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が発足した),2007年12/15(■「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催されるの記事を参照の記事を参照
「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会 中間報告書」(2008年10月21日)

(人権相談に関して)
9/12■「急いで相談したい」ときの相談窓口〜福祉専門職の必須の知識である〜,5/216月1日に全国各地で「特設人権相談所」が開設される〜6月1日は「人権擁護委員の日」〜の記事を参照

(「日本の人権意識」への国際社会の評価に関して)
12/2世界人権宣言60周年と人権週間9/17■人身取引(人身売買)に関して,日本は国際社会から批判を受けているのを知っていますか。〜「Trafficking in Persons Report 2008」(アメリカ国務省)」では,「先進国」の大半はランク1で,日本はランク2〜,4/15(■日本の「障害者権利条約」の批准はいつ?の記事を参照
「Human Rights Committee 94th Session (13-31 October 2008), Geneva」
「人権擁護に関する世論調査」(2007年6月調査)
明確な根拠をもつ(「人権宣言と主要人権条約」)
12/5 厚生労働省 ■12月3日に新しい「薬物乱用防止啓発読本」を公表
@「MDMA・大麻・違法ドラッグ乱用防止啓発読本(中学1年生向け)」
A「薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」健康に生きようパート22」
B「薬物乱用は「ダメ。ゼッタイ。」子どもたちを薬物乱用から守るために(小学6年生保護者向け)」
C「不正大麻・けしの見分け方」

→薬物乱用における「精神保健福祉士」の活用について私見を述べる。上記から近時の薬物乱用の低年齢化とハードルの低下が感じ取れると思う。筆者は,社会問題となっている「薬物乱用」には,「おどし教育」と「アウトリーチによる普及啓発ができる専門職」(現行の地方行政の相談窓口担当スタッフとは異なる)の導入が必要だと考えている。「おどし教育」とは,福祉専門職には,現実の末期患者と接する機会・ケアの研修を設け,非人間的な実態を肌身で感じ取らせることであり,一般の人には末期患者の現実の悲惨な姿を可視化(実写化)して広く公開(人権には配慮のうえ)し,嫌悪感を生起させることである。作り物の映像,啓発文書,体験談などはもちろん重要であるが,一度低くなったハードルを高く設定し直す困難さを考慮すれば,荒療治が必要だと思う。「アウトリーチによる普及啓発ができる専門職」としては,精神保健福祉士が,薬物や精神障害の知識にも通じ,薬物乱用防止にも直接タッチできる最もふさわしい専門職(国家資格)だと考えている。現在,「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」においても,2008年10月21日に中間報告書が提出され,精神保健福祉士の役割を「現行法の精神障害者の社会復帰の支援を担う者」から拡大が指向され,「行政機関等と協力して,国民の精神保健の向上に資する予防及び普及啓発活動に関する取組を行うことへの期待もある」と言及されている。職能団体等でも積極的に取り上げ,独自に研修・養成のシステムを作って研鑽し,国・行政に精神保健福祉士の活用や事業化を積極的に働きかけることは可能ではないだろうか。(筆者)

(精神保健福祉士関連)
→●11/23「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(中間まとめ)」7/23「精神保健福祉士法の改正」の検討が始まった,4/22(「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が発足した),2007年12/15「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催されるの記事を参照

「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会 中間報告書」(2008年10月21日)

(薬物乱用関連)

11/3「Q:最近,大麻や麻薬・覚せい剤の乱用事件が目立つ。政府の取り組みは?」,9/4■大麻などの依存性薬物と刑罰4/28「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30),2007年12/6■大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧,10/30塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ),9/26麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施,9/22リタリンの記事を参照

「第三次薬物乱用防止5か年戦略」
→■「薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
→■「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)
→■麻薬取締りホームページ
明確な根拠をもつ「心の健康-薬物乱用」)
12/4 厚生労働省 2009年1月から「産科医療補償制度」が始まり,出産一時金が38万円に増額される
・「産科医療補償制度」は,出産時の事故で「脳性まひ」の赤ちゃんが生まれた場合,医師に過失がなくても妊産婦に3000万円の補償金を給付する無過失保障制度である。産科医の不足の原因の一つに,医療事故による訴訟問題であることから,そのリスクを軽減させることも目的で,2009年1月からスタートする。
・産科医院や助産所が民間保険に加入し,1回の出産につき3万円の掛け金を支払うこととなる。その分が分娩費用に反映されるため,出産した母親に健康保険から支払われる「出産育児一時金」(35万円)が,2009年1月から38万円に増額されることとなった。
・運営主体は(財)日本医療機能評価機構である。

→「補償対象がなぜ脳性まひだけなんだ」という疑問がすでに出されていたが,結局見切発車になった。当面は原因の特定が難しいとされる脳性まひを対象とし,制度を機能させることに全力を挙げ,産科から小児科へと,一つ一つ対象を広げる視点を持ってやっていくという見解もあるが,対象拡大には財源が必要であり,見通しは示されていない。スウェーデン(1997年法制化)やフランス(2002年法制化)では,補償対象は「医療事故全般」であり,高額ではないが幅広く保障がされているといわれている。また,今回の制度には,過失のある医師への処分の仕組みがない。さらに,金銭の問題だけが焦点化されており,原因究明や再発防止の具体的な対策が講じられていない(「発症原因が分析され,再発防止に役立てられる」という文言にとどまっている)。医療の安全・安心につながるこれらの対策についても,スウェーデンやフランスの制度には存在するといわれている。やはり急場しのぎの制度のように思える。(筆者)
12/3 厚生労働省 「改正児童福祉法」および「改正次世代育成支援対策推進法」が成立 2008年11月26日参議院本会議で全会一致で可決,成立した。
(改正児童福祉法)
・「家庭的保育事業」(「保育ママ」事業)を保育所保育の補完として位置づけ,「乳幼児家庭全戸訪問事業」「養育支援訪問事業」「地域子育て支援拠点事業」「一時預かり事業」を法定化し,市町村に努力義務を課した。
・社会的養護関連では,「里親制度」を拡充した(養育里親に研修を義務化,里親手当の増額,里親支援機関事業の創設,小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)の創設)。
・児童養護施設関連では,「児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)」の入所対象を20歳未満(従来18歳未満)に拡大し,「被措置児童等虐待」の児童相談所への通告義務と都道府県の適切な措置,が規定された。
・2009年4月施行(「保育ママ」事業は2010年4月施行)

(改正次世代育成支援対策推進法)
・企業の行動計画策定義務の対象を従業員101人(従来301人)まで拡大した。
・市町村行動計画の事業量の参酌標準を国が定めることが規定された。

・2009年4月施行(次世代育成法の対象企業規模の変更は2011年4月施行)

→参議院厚生労働委員会において,現行の児童福祉法の障害児の定義が身体と知的だけで発達障害の位置づけがなされていないことへの質問に対して,「障害者自立支援法の見直しの中で障害児支援を検討しており,児童福祉法上の発達障害の位置づけも検討したい」と障害保健福祉部長が答弁されているので,記憶にとどめておきたい。(筆者)

11/20(ようやく「改正労働基準法案」が成立)の記事を参照
12/2 内閣府 世界人権宣言60周年と人権週間(12/4〜12/10)

世界人権宣言とは>
第1条
:「すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利とについて平等である。人間は,理性と良心とを授けられており,互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と宣言している。
第2条:「すべて人は,人種,皮膚の色,性,言語,宗教,政治上その他の意見,国民的若しくは社会的出身,財産,門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく,この宣言に掲げるすべての権利と自由とを共有することができる。さらに,個人の属する国又は地域が独立国であると,信託統治地域であると,非自治地域であると,又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず,その国又は地域の政治上,管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない」としている。
第3条〜第21:「市民的,政治的基本権」をうたっている。
第22条〜第30条:「経済的,社会的及び文化的権利」などをうたっている。
「人権」とは,「すべての人々が生命と自由を確保し,それぞれの幸福を追求する権利」「人間が人間らしく生きる権利で,生まれながらに持つ権利」である。この人権を守るため,1948年12月10日,国連において「世界人権宣言」が採択された。同じ年,日本では「人権擁護委員制度」も創設された。
・「人権擁護委員制度」は,法務大臣が委嘱した民間の人たちに,人権擁護委員として,地域の住民に人権について関心を持ってもらえるような啓発活動や,法務局・地方法務局の人権相談所や市役所などの公共施設,デパート等での人権相談,また,人権侵害による被害者救済のため,法務局職員と協力して,人権侵犯事件の調査救済を行うものである。
・国連は,1948年12月10日の世界人権宣言の採択を記念し,1950年12月4日の第5回総会において,この12月10日を人権デー(Human Rights Day)と定め,加盟国などに人権思想の啓発のための行事を実施するよう呼びかけている。日本では,1949年から,毎年12月10日を最終日とする一週間(12月4日から10日まで)を「人権週間」と定めている。

→人権に関する一般的な事柄は,「社会福祉の理念」として3福祉士の国家試験(社会福祉概論や社会福祉原論など)で出題される可能性が高いので,確実に記憶されたい。
→「福祉専門職」として,知っておいてほしいと思うことを,筆者の独断で以下に述べる。今年は,国内的には,「人権週間(12/4〜12/10)」において「60周年記念の集い(12/6)」を前面に出して,行事として終始すると思う。しかし,国際的には,10年ぶり,60周年の記念すべき年の2008年10月30日(ジュネーブ時間)に「国連の自由権規約委員会(Human Rights Committee)」によって日本の人権保障状況に関して,問題の改善勧告を含む「最終見解」が公表され,日本は国際社会から厳しい評価を受けた。この件に関し,政府,マスコミは大きく取り上げないため,国民は全貌を知らされていない。世界人権宣言は法的拘束力をもつものではない。そこで,日本は自由権規約を1979年6月に批准し,その内容は日本国内では憲法とともに高位の人権規範として法的拘束力をもつ。しかし,今回のような「自由権規約委員会の勧告」には法的拘束力はないとされている。筆者には,広範囲な問題・課題(34項目のうち29項目の具体的な改善勧告)であるため,手に負えず,逐一のコメントはできないが,間違いなく日本は国際社会から厳しく非難されている状況にある。
→日本の人権に対する国際社会からの批判が厳しさを増す状況にあるにもかかわらず,おそらく,国民の多くは,「日本の人権保障」は国際的には高いレベルにあり,国際社会には好意的に受け入れられていると思っている,ことが想定される。2007年6月に内閣府は「人権擁護に関する世論調査」を行っているが,国民に意見を聞く前に,日本の現状を正確に伝えていれば,調査結果は変わっていたかも知れない。
→今回の勧告には,「死刑廃止」も含まれており,来年5月からの裁判員制度にも影響を及ぼすと言われている。(筆者)


(人権相談に関して)
9/12■「急いで相談したい」ときの相談窓口
〜福祉専門職の必須の知識である〜
,5/216月1日に全国各地で「特設人権相談所」が開設される〜6月1日は「人権擁護委員の日」〜の記事を参照

(「日本の人権意識」への国際社会の評価に関して)
9/17■人身取引(人身売買)に関して,日本は国際社会から批判を受けているのを知っていますか。〜「Trafficking in Persons Report 2008」(アメリカ国務省)」では,「先進国」の大半はランク1で,日本はランク2〜,4/15(■日本の「障害者権利条約」の批准はいつ?の記事を参照

「Human Rights Committee 94th Session (13-31 October 2008), Geneva」

「人権擁護に関する世論調査」(2007年6月調査)

明確な根拠をもつ(「人権宣言と主要人権条約」)
12/1 厚生労働省 「採用内定取消し」の現状および推移
・雇用失業情勢が下降局面となる中で,2009年3月学校卒業予定者の採用内定取消しについて,厚生労働省が各ハローワークを通じて確認した現状(11/25現在)が公表された。
・「採用内定取消し」に関して「厚生労働省職業安定局若年者雇用対策室」から発表された今後の取組みは,以下の通りである。
@全国の学生職業センターおよび学生等職業相談窓口に特別相談窓口を設置する。
A「新規学校卒業者の採用に関する指針」を事業主に周知する。
Bハローワークや学生職業センター等と大学等との連携を強化する。

→上記Aの「指針」では,(1)事業主は採用内定取消しを防止するため最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講ずること,(2)採用内定の時点で労働契約が成立したと見られる場合には,合理的理由がない限り取消しは無効とされること等が盛り込まれている。また,職業安定法施行規則第35条においては,採用内定取消しを行おうとする事業主は,あらかじめハローワークまたは学校の長に通知するものとされている。(筆者)

「採用内定取消し」関係法規(職業安定法第54条,職業安定法施行規則第35条)
11/30 厚生労働省 「安心と希望の介護ビジョン」が取りまとめられた

■「安心と希望の介護ビジョン」構成員名簿 (2008年10月1日現在 敬称略)
石川誠 医療法人社団輝生会初台リハビリテーション病院理事長
石川良一 稲城市長
太田差惠子 NPO法人パオッコ理事長
駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授
前田雅英 座長,首都大学東京都市教養学部長
袖井孝子 御茶の水女子大学名誉教授
鳥羽研二 杏林大学医学部教授
中村邦夫 松下電器産業(株)代表取締役会長(社団法人シルバ ーサービス振興会会長)
古川静子 日本化薬メディカルケア(株)デイサービス部部長
堀田聰子 東京大学社会科学研究所特任准教授
村上勝彦 社会福祉法人慧誠会帯広けいせい苑施設長
村田幸子 福祉ジャーナリスト

<参考資料>(やまだ塾まとめ)
【介護保険の現状】

@要介護・要支援認定者数
約256万人(2001年3月末)→ 1.8倍の約451万人(2007年11月末)
A介護給付費
約3兆2000億円(2000年度実績額)→ 1.8倍の約5兆8000億円(2006年度実績額)
左記の「ビジョン」を読んでみて,「将来を見据えた改革が必要であるため,あるべき介護の姿を示す」という目的が達成されているかどうかを読者自身で確かめていただきたい

→このビジョンは,前首相時の「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」のうちの「厚生労働行政に対する信頼の回復」を根拠とした「厚生労働行政の在り方懇談会」において,「厚生労働省が2008年を改革元年として現在取り組んでいるとしている事項」として挙げた「政策ビジョンの検討」のうちの「安心と希望の介護ビジョン会議の設置」という項目を根拠にする会議の報告書である。回りくどい話である。
→会議の検討が始まった2008年7月24日時点から
「安心と希望の介護ビジョン」というネーミングにしたことに対して,介護の深刻な実態を知りながらよくこのような言葉を探し出すなあと感心した。同時に,この混沌とした状況において,短期間に,かつ,発表された有識者で「あるべき姿」をどう描くのか楽しみだと思った。結果,率直に申し上げれば,「ビジョン」とは程遠いものだと感じた。筆者は,ビジョンとは,「展望」「将来の構想」であり,文章にも格調が求められるものと考えている。
→また,2008年11月4日には「社会保障のあるべき姿」を検討してきた国の「社会保障国民会議」の最終報告書が提出されている。同国民会議の「医療・介護」の分科会において「医療・介護・福祉サービスの改革」が議論され,最終報告書にも触れられている。筆者は,今回の「安心と希望のビジョン」は,社会保障国民会議の議論や最終報告書を横目で見ながら,齟齬がないようにまとめられたのではないかと思っている。そして,厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン」策定の本当の目的は,「介護報酬抑制策の策定」にあったと考え,国の「社会保障国民会議」と厚生労働省の「安心と希望の介護ビジョン」の存在意義が異なり,重複ではなく並立していたことになると勝手に理解している。
→さらに,2008年11月14日の「社会保障審議会介護給付費分科会」で厚労省から示された介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」および「介護従事者の処遇改善と人材確保対策」には委員からも批判が続出したと報道されている。「有識者」が怒ったのは当然だと思う。この件に関しての筆者の言い分は,11月11の記事(
「生活対策」における政府の言い分に異論はないのか)を参照していただければと思う。
→最後に,2008年9月5日に厚労省は,介護に関して,総理府から改善の勧告を受けている(「介護職員不足の解消に向けた介護報酬の引き上げなどの対策を取ること」「無届け有料老人ホーム370施設の放置を是正すること」など4項目)。まずは,やれていないことを着実にクリアすることが大切である。国民は,屋上屋を重ねた夢物語やできたらいいなという話ではなく,「本当の話」を聞きたいと思っている。福祉行政については,地に足をつけ,何が問題かを明確にし,その解決のための手順を示し,適正な順位付けをし,「今なすべきことをなしてほしい」と願っているだけである。(筆者)


11/11「生活対策」における政府の言い分(「介護従事者の月給2万円増を狙い」として,「介護報酬3%引き上げ」,それに伴う「介護保険料の上昇を1200億円程度の国費投入で抑える」)に異論はないのか。11/1厚生労働省の「11月11日は「介護の日」です」全国老人福祉施設協議会の「平成21年度介護報酬改定に関する要望書(10/22)」から浮かび上がる行政と現場のギャップ,10/23「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」,9/9「また,厚生労働省が総務省から勧告を受けた」(勧告概要 / 勧告本文 / 結果報告書)),9/6「5つの安心プラン」に対する連合の意見,9/1「2009年度 厚生労働省予算の概算要求」,8/22「厚生労働省が改革元年として現在取り組んでいる事項」,7/21「2007年度 介護労働実態調査結果」
の記事を参照

(社会保障国民会議関連)
11/6「社会保障国民会議 最終報告」10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?,10/25「2025年の医療・介護費用シミュレーション」,9/6「5つの安心プラン」に対する連合の意見,9/5「社会保障制度に関する特別世論調査」,8/20「国民生活に関する世論調査」8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」,6/23(■「社会保障国民会議 中間報告」,5/21(■「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」,1/31(■「社会保障国民会議」が設置・開催された)の記事を参照

「福祉専門職の現状」
11/28 内閣府 「障害者週間」(12/3〜12/9)の行事予定
〜12/3は「国際障害者デー」〜

<障害者基本法第7条>
@国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに,障害者が社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため,障害者週間を設ける。(第1項)
A障害者週間は,12月3日から12月9日までの1週間とする。(第2項)
B国及び地方公共団体は,障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。(第3項)
2004年の「改正障害者基本法」により,それまで12月9日を「障害者の日」と定めていた規定から,12月3日から12月9日までを「障害者週間」と定める規定へと改められた
・1975年
12月9日に「障害者の権利宣言」が国連総会で採択され,国際障害者年を記念して,1981年に国際障害者年推進本部が12月9日を「障害者の日」とすることに決定した。その後,1993年に心身障害者対策基本法が障害者基本法に改められ,12月9日を「障害者の日」とすること法定された。
・1982年
12月3日に「障害者に関する世界行動計画」が国連総会で採択され,これを記念して1992年国連総会で,12月3日を「国際障害者デー」とすることが宣言された。

→3福祉士国家試験の受験者は,2007年版厚生労働白書(障害者の自立支援の項目p.253〜p.260)は必読である。
→障害者自立支援法は,2005年10月31日に,自民,公明の賛成多数(野党3党は反対,付帯決議は全会一致)で,衆議院本会議において成立し,2006年4月(10月)に見切発車した。筆者は,特に,障害者の自立支援を担保すべき障害者の就労支援に多くを期待できないことが分かっている日本の労働環境において,障害年金(1級:月額約82,000円,2級:約66,000円)が唯一の収入源ともいえる人たちに対して,障害が重いほど利用するサービスが増え,それに応じて負担も重くなる「応益負担」が「公平性を保つ」とする見解に正義を見出せない。「自立支援」という崇高な理念とかけ離れて,生存にもかかわる深刻な障害者の実態(応益負担,施設基準,障害程度区分,障害児,地域格差など)が存在し続けている。先日,法成立日に合わせた10月31日に,障害者自立支援法の「応益負担」は,法の下の平等などを定めた憲法(憲法25条,13条,14条など)に反するとして,30人(障害者29人とその親1人)が,全国8地裁に提訴した,との報道があった。2009年は障害者自立支援法の見直し年に当たるが,与党が根本的な見直しする状況にはない。ソーシャルワーカーは,自身の見解をもっていなければならない。(筆者)

11/27(「2008年 障害福祉サービス等経営実態調査結果」,11/25公的機関の「法定雇用率」達成は国の品位,11/23「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(中間まとめ)」の記事を参照
11/27 厚生労働省 「2008年 障害福祉サービス等経営実態調査結果」(2008年4月実施) ・2006年施行の「障害者自立支援法」に基づき,従来33種類に分かれていたサービスを大きく6種類に再編し,新たな報酬体系に移行することとなり,各事業所は2012年3月までに移行することが求められている。
2006年10月に障害者自立支援法の全面施行をして以降,初めての全国調査である。
@新しいサービス体系に移行した事業所の収支は平均+5.4%で,移行していない事業所の+7.0%を下回わっている。また,サービス種類間の収支格差も大きく,障害児デイサービスは平均−32.1%,訪問系サービスも−4.0%の赤字であった。
A常勤職員1人当たりの年収は約225万〜415万円で,大半は400万円未満,ホームヘルパーは平均約258万円,障害者支援施設の生活支援員は平均約339万円,相談支援専門員は平均約415万円,と業種別で開きがあった。

→2009年度の報酬改定の基礎資料にするとされている。「移行すると経営が厳しくなる」という声には対応していただきたい。(筆者)

「福祉専門職の現状」
11/26 法務省 「2008年版 犯罪白書 −高齢犯罪者の実態と処遇−」 一般刑法犯の認知件数は,2002年のピークを過ぎた後,5年連続で減少しているが,依然として相当高い水準にある
今年の白書は,1991年以来,17年ぶりに65歳以上の高齢者による犯罪を特集している
(高齢者犯罪の増加)
・2007年の一般刑法犯の高齢者検挙人員は48,605人(前年比4%増,男子33,255人,女子15,350人)で,1988年以降最多であり,
高齢者人口の増加を上回るペースで高齢者の犯罪が増えている
・増加の主な原因は65%を占める窃盗の増加であり,万引と遺失物等横領も含めた比較的軽微な財産犯が高齢者の主な犯罪である。

(高齢犯罪者が増加している理由)
「高齢犯罪者の犯罪性が進むにつれ,住居が不安定になるとともに,配偶者がなく,単身生活の者が増えている。これらの者は,親族との関係も希薄である。このように,
犯罪性の進んだ高齢犯罪者は,孤独な生活状況に陥っており,周囲から隔絶されている状況がうかがわれる。犯罪性が進んだ高齢犯罪者には,犯罪に結び付きやすい物質依存関連疾患にり患した経歴を有する者の比率が高いが,このような問題について福祉的なサポートを受けないままでいる者が少なくないこともうかがわれる。就労状況,収入源等の経済状況についても,犯罪性が進むにつれ,就労の安定しない者,低収入の者の比率が上昇しており,また,生活保護などの福祉的支援を受けないまま無収入でいる者の比率も大幅に上昇している。経済的に不安定な状態に置かれて,生活に困窮していることから,更に犯罪の危険性が高まっているといえる。このように,犯罪性が進んだ高齢犯罪者ほど,社会的な孤立や経済的不安といった深刻な問題を抱えており,このことが高齢犯罪者全般の主な増加原因であると言えよう。」とされている。

→白書において,高齢者犯罪への対策には,保健・医療・福祉的な取り組みや地域社会での見守りの必要性も述べられている。対策の困難さを認識した。(筆者)
11/25 厚生労働省 公的機関の「法定雇用率」達成は国の品位 ・「障害者の雇用状況」(2008年6月1日現在)が発表された。
民間企業(56 人以上規模)の法定雇用率1.8%のところ実雇用率は1.59%(前年比で0.04%増)であった。
・未達成の公的機関は以下の通りである。(やまだ塾まとめ)
法定雇用率 未達成の公的機関
都道府県
(2.1%)
・7.1%の機関知事部局以外
都道府県
(2.0%)
・91.5%の都道府県教育委員会(43/47機関)
市町村
(2.1%)
16.1%の機関
独立行政法人等(2.1%) ・27.0%の法人(67/248法人)

→「公的機関,民間企業の障害者雇用は着実に進展」との見出しがつけられていた。「法定」であり,かつ最低基準の義務づけが守られていない事柄に対して,「着実に進展」という言い方はふさわしくない。また,公的機関と民間企業を同列に扱うべきではない。「先ず隗より始めよ」という故事成語がある。未達成の公的機関に対して,「労働局長等から機関のトップに対して呼び出し等による指導を徹底する」としている。「労働局長等の呼び出し」の効果に期待したい。1960年に「身体障害者雇用促進法」が制定され,1976年 に身体障害者の雇用義務化がされ,2003年の障害者基本計画」(2012年までの10年間)に「雇用・就業施策の推進」が挙げられ,2007年に「障害者権利条約」を署名し,現在批准のための検討を進めている。長い歴史を持つが一度も法定雇用率が達成されたことはない。(筆者)

明確な根拠をもつ(「障害者の就労支援」)
11/24 内閣府 「2008年版 青少年白書」
項目 2007年度の内容(2007年10月現在)
@青少年(0〜29歳)人口 ・全人口の30.2%(3,860万7千人/1億2,777万1千人)
・1975年以降ほぼ一貫して減少している。
A出生・婚姻 ・出生数は,1991年から増減を繰り返し,2007年は,108万9,818人であった。
・合計特殊出生率は,昭和50年代後半を除き低下傾向が続いたが,2007年は1.34となり2年連続で上昇した。
・平均初婚年齢は,2007年では,夫30.1歳,妻28.3歳であり,夫婦とも上昇傾向で,晩婚化が進んでいる。
B進学率 ・大学・短期大学への進学率は,2005年度に50%を超え,2007年度は53.7%となった。男女別では,2000年度以降,男子の進学率の方が高くなっている。
C特別支援教育 ・2007年度,特別支援教育を受けている児童数は26万7千人であった。義務教育段階の児童生徒数は21万7千人で,同じ年齢段階にある児童生徒全体の2.0%に当たる。
Dいじめ ・認知件数は124,898件であった。いじめを認知した学校数は22,159校であり,小学校で48.0%,中学校で71.1%,高等学校で59.1%,特殊教育諸学校で15.0%が認知していた。
※「いじめ」の定義:「当該児童生徒が,一定の人間関係のある者から,心理的,物理的な攻撃を受けたことにより,精神的な苦痛を感じているもの。なお,起こった場所は学校の内外を問わない。
E不登校 ・小学校,中学校ともに近年は横ばいが続いているが,中学校については,2007年度に2.91%と,1995年度以降では最も高くなっている。
※「不登校」の定義:年間30日以上学校を欠席する。
Fニート,フリーター ・フリーターは,2003年の217万人まで増加した後,2007年は181万人と4年連続で減少している。
・ 「ニート」に近い概念である若年無業者(15 〜 34歳の非労働人口のうち,家事も通学もしていない者)の数は,2007 年には62万人となり,前年と同水準であった。
G児童虐待 ・児童虐待は,「社会全体で早急に解決すべき重要な課題」と指摘されている。
・児童虐待相談件数:4万639件(前年度比3,316件増,初めて4万件を突破)であった。
・相談された虐待の内訳:@身体的虐待,Aネグレクト,B心理的虐待,C性的虐待の順であった。
・検挙件数:300件(前年度比3件増,過去最高)であった。被害児童は315人であり,そのうち37人(11.7%)は死亡していた。年次推移をみると,最近5年間で検挙件数は約2倍となっている。
H要保護児童 ・2007年度の乳児院・児童養護施設の入所児童数は,乳児院3,190人,児童養護施設30,846人であった。
・入所率は乳児院85.6%,児童養護施設90.9%で,児童養護施設では,2004年度以降9割を
超えている
I自殺 ・2007年に警察が把握した青少年の自殺者は,3,857人であった。これを学職別にみると,学生・生徒のうちでは大学生が最も多いが,青少年全体でみると無職者が最も多くなっている。男女別にみると,男子が女子を上回っている。

→11月21日に,小渕優子少子化担当大臣は,「2008年度「青少年の現状と施策」(青少年白書)」を報告された。
→本日は,少子化担当大臣を話題にする。少子化担当大臣の経緯をたどれば,@小野清子(第1次小泉第2次改造内閣),A小野清子(第2次小泉内閣),B南野千恵子(第2次小泉改造内閣),C南野千恵子(第3次小泉内閣),D猪口邦子(第3次小泉内閣),E高市早苗(安倍内閣),F上川陽子(安倍改造内閣),G上川陽子(福田内閣),H中川恭子(福田改造内閣),I小渕優子(麻生内閣),となっている。「小渕内閣府特命担当大臣(少子化対策,男女共同参画)」の英語表記は,“Minister of State for Social Affairs and Gender Equality”となっているが,「少子化」に対応する「英語」はどこにも存在しない。筆者は,従来から「国内向の看板にいつわりあり」との疑念をもち,現在も「少子化対策」の中身は怪しげではないかと思っている。日本の「少子化」をきちんと定義し,政策(「少子化対策」)の方向性を国民に分かりやすく説明し,理解を求めることが,政府(特に,少子化担当大臣)の重要な仕事であると思っている。子どもの数をカウントするだけの仕事なら「子ども」でもできる,はもちろん言い過ぎです。(筆者)


11/911月は「全国青少年健全育成強調月間」の記事を参照

「内閣府男女共同参画局」
「白書(社会福祉関連)」
11/23 厚生労働省 「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(中間まとめ)」 「国民意識の変革」,「精神医療体系の再編」,「地域生活支援体系の再編」,「精神保健医療福祉施策の基盤強化」の柱を掲げ,「受け入れ条件が整えば精神病床を退院できる約7万人を今後10年間で解消する」ことを目標として,2004年9月に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が策定された。「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的方策を更に推し進め,精神保健医療福祉施策の抜本的見直しのための「改革ビジョンの後期5か年(2009年9月以降)の重点施策の策定」に向け,2008年4月より,「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」が開催され,2008年11月20日に「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会(中間まとめ)」が提出された。

→2009年は,「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の中間年にあたり,かつ2006年施行の「障害者自立支援法」における施行3年後の見直し年に当たることを受けて,「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」が発足した。並行して,「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催され,10月21日に「中間報告書」を提出している。今回,肝心要の「国民意識の変革」「国民の理解の深化(普及啓発)」の内容にはまったく触れずに「中間まとめ」をしていることに驚いている。「中間まとめ」では,諸外国と比較において,精神障害や精神障害者に対する理解が不十分で,精神障害者に対する根強い偏見が存在していることへの焦燥感や危機感が感じられず,「国際化」には程遠い現状にあると感じた。2009年夏頃を目途に今後の精神保健医療福祉施策の全体像のとりまとめをめざすとのことである。(筆者)

7/23「精神保健福祉士法の改正」の検討が始まった4/22(「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が発足した),2007年12/15「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催されるの記事を参照

明確な根拠をもつ(「心の健康」)

「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」に関して)
「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」(2008年10月21日)
<「福祉行政の最新情報」7/23記事の再掲>
→2007年12月発足以降,検討会は社会福祉士との共通科目(10科目)を議論し,2008年5月に省令を改正した。その後検討会は,専門科目について7月までに中間報告をまとめる予定をしていたが,厚生労働省は,議論の途中でカリキュラムよりも精神保健福祉士法の定義や義務規定が現状とそぐわないことが問題だとして,2009年の通常国会への改正法案提出を優先するというスケジュールを改めて示した。近年の障害者福祉,精神保健福祉の施策の大転換を考えると当然のことであるが,厚生労働省のやりたい放題のやり様に対して,精神保健福祉士として筆者は腹立たしく思う。職能団体をはじめ関係団体はコメントを出していないようである(2008.7.23 5:00 HPを確認)。ついには,介護福祉士のカリキュラムから「介護福祉」や「社会福祉」の用語が消え「介護士」然となったこと,また,社会福祉士のカリキュラムから「社会福祉援助(技術)」の用語が消え「相談援助する人」然となったことを思い返すべきである。検討会の議論は,精神保健福祉士の存続意義にかかわることであり,無関心やお上任せであってはならないと思う。(筆者)
「福祉行政の最新情報」2007年12月15日記事の再掲>
第5回精神保健福祉士国家試験までは,指定された「現任者講習会」の課程を修了することで受験が可能とされた。この講習会は,「質」を求めたものではなく,国際的な要請に応えることも含めて,5年間で10000人〜16000人の精神保健福祉士をつくるという現厚生労働省の「量」の目標に貢献した制度であったと思う。一部ではあるが,粗雑な教育課程で粗悪な国家資格者をつくり出す「現任者救済制度」との批判とともに,あまりに高い合格率から国家試験問題の質的レベルも問題視された。結果,第5回国家試験までに18713名(左表を参照)の「精神保健福祉士」が誕生した。もちろんこの間の合格者に有能で高質な精神保健福祉士も多くおられたが,総じて良質な施策であったかは疑問である。このあたりの問題点も,整理し,検討していただきたいと思う。さらに,養成される側だけではなく,「良質な教員の養成」に深く踏み込まなければ意味がない。(筆者)
「精神保健福祉士の資格制度見直し(動向)」
11/22 総務省統計局 「若年層の女性と定年層の就業状況」
〜「2007年就業構造基本調査」を基に取りまとめ〜



<直近の国家試験出題>
「就業構造基本調査」:
●介護=「老人福祉論」(第19回問題12)
●社会・精神=「社会学」(第18回問題52)
2008年11月23日(勤労感謝の日)にちなんだ報告書である。
近年,日本では雇用形態の多様化による非正規雇用,若年無業者の拡大が顕在化し問題視される一方,少子高齢化に伴う高齢者雇用,女性の就業促進が求められている。
。総務省統計局において,特に若年層の女性と定年層(15〜39歳の女性および60歳以上の人)の就業状況が,「2007年就業構造基本調査」の結果から取りまとめられた。
<取りまとめのポイント>
(1)若年層の女性
15〜39歳の女性の就業状況
@有業者は一貫して増加,25〜34歳で有業率が大幅に上昇
A25〜34歳で子供を持つ女性の有業率が大幅に上昇
B育児や子育てをしながら働く女性の割合が上昇

(2)定年層(60歳以上の人)の就業状況
@60〜64歳の有業率が男女とも大幅に上昇
A60〜64歳の非正規就業者は人数,割合とも大幅に増加,上昇

→●7/5
「2007年就業構造基本調査結果」の記事を参照
11/21 国立社会保障・人口問題研究所 「2006年度 社会保障給付費」

★第20回国家試験問題:社会保障給付費(2004年度)に関する次の文章は正しいか。

@介護対策に要する給付費の占める割合は,2割を超えている。
A国民所得に占める割合は20%を上回っている。
B部門別の構成比は,年金40%,医療40%,福祉その他20%となっている。
C財源は,社会保険と公費が中心であるが,公費の額は約40兆円を超えている。
D高齢者関係の給付費は全体の約40%である。

@:介護福祉士:社会福祉概論問題6
A〜D:社会・精神共通:社会保障論問題15
給付費 総額 89兆1,098億円(1.5%増,過去最高)
内訳 @高齢者関係:69.8%
A児童・家族関係:4%
@年金:53.1%
A医療:31.5%
Bその他の福祉(介護,障害者福祉など):15.4%
@高齢:50.1%
A保健・医療:30.8%
@国民1人当たり:68万8,100円
A1世帯当たり:184万4,700円
財源 総額 104兆3,713億円(11.1%増)
内訳 @保険料:53.8%
A税:29.8%
B他の収入:16.4%
対国民所得比 23.87%(15年ぶりの減少)
国際比較 社会支出を対国内総生産比でみると,日本はアメリカよりは大きいが,ヨーロッパ諸国に比べると小さくなっている。同時に(潜在的)国民負担率についても同様の傾向がみられる。
                                  (やまだ塾まとめ)
→次回国家試験受験者は,上記内容を暗記しておくこと。(筆者)

11/18戦後社会保障制度の基礎の基礎)の記事を参照
11/20 厚生労働省 ■ようやく「改正労働基準法案」が成立
〜今国会で一部修正のうえ衆議院で可決〜



(2008年12月5日追記)
12月5日の参院本会議で可決,成立した。
・労働基準法改正案が11月18日,一部修正を経て衆院本会議で可決された。本法案は第166通常国会(2007年)からの継続審議の案件である。
・時間外労働に対する賃金の割増率(現行25%以上50%以下)について,月60時間を超える部分を「50%以上」に引き上げることを定めている。
また,有給休暇について年間5日分に関し,1時間単位での取得を可能とする。
施行は2010年4月の予定である。

厚生労働省提出法案の修正点

修正点 提出法案 改正法
@割増50%の時間数
(第37条第1項関係)
80時間/月以上 60時間/月以上
A施行日
(附則第1条関係)
公布から1年以内 2010年4月1日
                                  (やまだ塾まとめ)
→ニュースとして大きく取り上げられないが,これほどまでに法改正の成立が遅れ,働く者に不利益を与えた責任は,ひとえに全政党・政治家にある。労働三法案が第166回国会で提案されたが,社会保険庁関連のごたごたで,第167回・第168回臨時国会に継続審議となり,最低賃金法改正案と労働契約法案は第168回臨時国会で成立したが,再び,給油新法案関連のごたごたで,労働基準法の改正法案は第169回国会に継続審議となった。さらに,政局不安定から第170回臨時国会に継続審議となり,ようやく今国会で成立したものである。労働三法案とは,労働基準法改正案最低賃金法改正案労働契約法案の3つを総称して呼ばれる法案である。小泉政権から国民不在の政治が続き,経過を説明するのもばかばかしいくらいである。今国会も政局不安で,途中から法案の審議が進まなくなり,25日間の国会延長が取りざたされているが,ちなみに,まともな審議もせず,国民に利益を生まない国会でも,開催には1日3億円を消費するといわれている。腹立ちついでに言っておくと,第169回で提出された虐待を受けた子どもの社会的養護体制の拡充などを柱にした児童福祉法の改正法案(2009年1月からの施行が予定されていた)について,「後期高齢者医療制度」に端を発した参議院での首相問責決議可決のごたごたで,野党が継続審議の手続きをとらなかったため,「廃案」とした。これなどは漢字が読めない程度の非常識でなく,さらにたちが悪い。与野党とも大同小異(これは読めるかな)である。(筆者)

「第166通常国会への厚労省提出法案」 / 「第170臨時国会での修正案」

(参考)
「第166国会で成立した法律」(成立しなかった法律) / 「第168回で成立した法律」
11/19 厚生労働省 「2007年度社会的養護施設に関する実態調査結果」とNHK福祉ネットワークとのギャップ
〜「第6回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」資料〜


(社会的養護に関する最近の主な動き)
@社会的養護体制を取り巻く現状と課題に対応するため,2007年2月「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する検討会」が設置された。
A2007年5月「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する検討会中間取りまとめ」がなされた。
B2007年6月「改正児童虐待防止法および児童福祉法」の附則において,社会的養護の体制の拡充について検討を進めることとされた。
C具体的な方策を検討するため,2007年8月「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」が設置された。
D社会的養護を必要とする子どもの増加,虐待等子どもの抱える背景の多様化・複雑化という現状認識に基づいて,2007年11月22日「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書」がまとめられた。
        (やまだ塾まとめ)

模擬問題:「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書」(2007年11月)のポイントに関する次の文章の空欄を埋めよ。

@【             】支援体制の見直し
A社会的養護に関する関係機関等の役割分担と機能強化及び【          】の確立
B【        】の見直し等自立支援策の拡充
C【       】のための仕組みの拡充
D措置された子どもの【     】の強化と【    】の質の確保のための方策
E社会的養護体制の【      】な整備


答え「報告書」を見て確認されたい
→先日,NHK福祉ネットワーク11月10日放送の「子どもの危機:施設内虐待の実態」を観た(11/17再放送)。児童養護施設の内部で起こる「施設内虐待」の実態と背景,防止に向けた課題などを伝えていた。虐待や親の養育不能など,親元で暮らせず児童養護施設で共同生活をする子供は約3万人である。全国に560か所ある児童養護施設で暮らす子供の6割以上が,虐待を受けた子供だという説明があった。まさに,その表面的な部分に対応するデータ(実態)が「2007年度社会的養護施設に関する実態調査結果」である。しかし,虐待した親から離れて安心できるはずの施設内で,職員による体罰や性的虐待,子供同士のいじめや暴力が起こるケースが報告されているが,「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」では,隠れた部分の深刻な実態を正確に把握できるデータを未だに持たないと推測される。公表されないまま施設内部で処理されているケースが多数あると言われている。放送では,施設内虐待が生まれる背景として,職員不足や職員自身の資質,第三者の目が入りにくい閉鎖性などが挙げられていた。
→なお,2007年11月の「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書」において,『現在施設内で行われているケアの現状を詳細に調査・分析することが必要』とされている。報告書で指摘されている課題は多いが,子どもたちの立場から見た優先順位付けが必要ではないかと思う。
→次回国家試験(特に,社会福祉士の児童福祉論)では,「社会的養護」が必ず出題されると予想している。(筆者)


「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書(概要)」(2007年11月)

明確な根拠をもつ(「虐待(児童・高齢者)/DV」-児童虐待)
11/18 戦後社会保障制度の基礎の基礎

模擬問題:戦後社会保障制度の変遷に関する次の文章の空欄を埋めよ。

@すべての国民を対象とする公的年金,医療・介護保険,子育て支援,生活保護,福祉,公衆衛生などの社会保障制度は,国民の暮らしを支える最も重要といっても過言ではない,【
社会基盤】である。
A日本において「社会保障」という言葉は,【
1951】年11月公布の日本国憲法に用いられたことを契機に一般化したといわれている。その後,現在に至るまで,社会保障制度は戦後の復興と経済成長,人口の急増,産業構造の大転換,国土開発,【人口】移動,少子高齢化の進展など,経済社会や人口構造のめまぐるしい変化に直面しながらも,維持されてきた。
Bしかし,今日の経済社会を取り巻く環境が大きく変化する中で,社会保障制度は様々な課題に直面し,中でもとりわけ深刻な課題として,【
少子高齢化】の進行があげられている。社会保障制度を【持続可能】なものとしつつ,経済社会の様々な変化にあわせて,時代が求める【役割】を果たすことができるものとなるよう,その【機能】を強化していくことが必要とされている。
C日本で起こりつつある,人口構造の高齢化による【
社会保障関係給付】の増加,少子化に伴い社会保障制度のみならず社会経済を支える【労働力人口】の減少見込みなどの変動は,社会保障の今後を考える上で難しい課題である。しかしながら,国民が安心して生まれ,育ち,学び,働き,年齢を重ねていくためには,こうした課題に向かい合って,少子高齢化が進む中にあって社会保障に求められる役割・機能を強化し,将来にわたって安定した制度にしていくことが重要でとされている。社会保障制度をより安心できるものとして【次の世代】に引き継いでいくことが必要と考えられている。

答え:【 】内をドラッグ
(参考資料:2008年10月厚生労働省「政策レポート」)
@戦後の人口社会保障給費の推移
A戦後社会保障制度の大きな流れ
B第1期(昭和20年代の社会保障制度)
第2次世界大戦後の復興期である時代で,社会保障分野ではアジア各地からの引揚者や失業者などを中心とした生活困窮者に対する生活援護施策,劣悪な食糧事情や衛生環境に対応した栄養改善とコレラ等の伝染病予防が緊急の対策として求められた。また,日本国憲法により,国民の生存権の保障や社会福祉,社会保障,公衆衛生の向上等についての国の責務が明確にされるとともに,GHQの強力な指導の下に,制度の創設や行政機構の整備が進められていった時期であった。
C第2期(昭和30〜40年代の社会保障制度)
昭和30年代の高度経済成長により国民の生活水準が向上するに伴い,生活困窮者や援護が必要な人々に対する救済対策に加え,疾病にかかったり,老齢になるなどにより貧困状態に陥ることを防ぐ施策の重要性が増加していった。経済社会が戦後の混乱からの立ち直りを見せる中で,全国民をカバーする社会保障制度の確立を求める声が高まり,病気にかかった場合の医療費保障や老後の所得保障等などが確保されることになった(国民皆保険・皆年金の実現)。さらに,社会福祉の分野での老人福祉法や児童手当法の制定,老人医療費支給制度の創設,医療保険制度や年金保険制度などにおける各種給付の充実が図られ,この時代に日本の社会保障制度の体系がほぼ整った。
D第3期(昭和50〜60年代の社会保障制度)
オイルショックによる高度経済成長時代の終焉,経済の安定成長化,緊縮財政への移行,さらには高齢化の進展といった経済社会の変化の中で,当面する財政問題との調和を図る観点から,行財政改革の一環として社会保障制度の全面的な見直しが行われた。具体的には,社会保障費用の適正化・効率化を目指し,壮年期からの健康づくりと老人医療費の公平な負担を図ることを目的とした老人保健制度の創設や健康保険法等の一部改正,年金制度における基礎年金の導入や給付水準の見直しによる給付と負担の公平化などが行われた。
E第4期(平成の社会保障制度)
昭和50年代後半頃から人口の高齢化に対する取組が大きな課題となってきたが,日本では,諸外国では類のないスピードで高齢化が進行し,1994年には高齢化率が14%を超え,本格的な高齢社会が到来した。併せて,合計特殊出生率が1989にそれまでの戦後の最低値を更新,その後も低下を続けたことにより,少子化が進行し,ついには2005年に人口減少社会に突入した。少子高齢化の進展と併せて,バブル経済の崩壊を契機として,日本は低経済成長時代を迎えた。こうした中で,社会保障給付を国民全体で公平に負担し,経済社会と調和を図りつつ,社会保障制度に対する国民の需要に適切に対応するための改革が進められていった。特に近年は,長期的な社会保障給付の伸びを抑制し,制度の持続可能性を高める観点から,年金,介護,医療にわたる一連の制度改革が実施された。このような改革を行っても,医療や介護については,なお給付の伸びが国民経済の伸びを上回る見通しとなっている。
F現在の社会保障制度の考え方

        (引用・参考資料:2008年10月厚生労働省「政策レポート」)

→社会保障制度の知識習得は国家試験のためだけのものではない。「福祉専門職」は,上記資料の内容を人に説明ができる程度にまで整理し,理解できていて当然である。自身の社会保障制度に対する考え方を構築していくスタートの知識になる適切な資料と思い紹介した。細切れの知識の追求でなく,まず大きな流れを「理解」することから始める。社会保障制度を語れない「福祉専門職」が,専門職として社会的に認知されるわけがない。(筆者)

(最近の動き)
11/6(「社会保障国民会議 最終報告」)10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?,10/25「2025年の医療・介護費用シミュレーション」,9/6「5つの安心プラン」に対する連合の意見,9/5「社会保障制度に関する特別世論調査」,8/20「国民生活に関する世論調査」8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」,6/23(■「社会保障国民会議 中間報告」,5/21(■「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」,1/31(■「社会保障国民会議」が設置・開催された)の記事を参照の記事を参照
(社会保障構造改革)
社会保障制度改革最新工程表(2008年版厚生労働白書)
新介護保険制度/障害者自立支援法/新医療制度改革/年金制度改正
「今後の社会保障の在り方(2006年)」
「厚生白書」(1999年)

(今後の社会保障)
「社会保障国民会議 最終報告」(2008年11月)

○直近の国民の意識調査(「社会保障制度に関する特別世論調査(2008年7月)」/「国民生活に関する世論調査(2008年6月)」)
11/17 厚生労働省 「2008年度 今冬インフルエンザ総合対策」
〜11月14日より実施〜

                (厚労省HPより)
「咳 エチケット」
@咳・くしゃみが出たら,他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。マスクをもっていない場合は,ティッシュなどで口と鼻を押さえ,他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。
A鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨てましょう。
B咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。
咳エチケット用のマスクは,薬局やコンビニエンスストア等で市販されている不織布製マスクの使用が推奨されます。N95マスク等のより密閉性の高いマスクは適していません。
「インフルエンザ予防の基本」
<流行前>
インフルエンザワクチンを接種する
<流行したら>
人込みや繁華街への外出を控える
外出時にはマスクを利用する
室内では加湿器などを使用して適度な湿度に保つ
十分な休養,バランスのよい食事をとる
うがい,手洗いを励行する
「咳エチケット」を守る

模擬問題:感染症法に基づく分類に関する次の問いに答えよ。

@インフルエンザの現在の類型は何か。
A
鳥インフルエンザの現在の類型は何か。

答え@:5類感染症,A:4類感染症・・【 】内をドラッグ

<日本の対応>
2004年:「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」設置
2005年:「新型インフルエンザ対策行動計画」策定
2007年:「新型インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)」策定(2008年7月現在日本はフェーズ3A)

<WHOの動き>
1999年:「インフルエンザパンデミック計画」策定
2005年:「世界インフルエンザ事前対策計画」改訂

<20世紀の流行>
1918年:「スペインインフルエンザ」
1957年:「アジアインフルエンザ」
1968年:「香港インフルエンザ」
1977年:「ソ連インフルエンザ」
2008年度の国の具体的な対策)
@インフルエンザ予防のためのポスターをPDFで提供する
AインフルエンザのQ&A作成・配付する
Q&A
Bインフルエンザ専用のホームページを開設する
厚生労働省 / 国立感染症研究所感染症情報センター
C
インフルエンザ等感染症に関する相談窓口を開設する
→相談窓口03−3234−3479
D予防接種をする
→高齢者は積極的に予防接種を勧奨すべきというのが国際的認識である
Eワクチン・治療薬等を確保する
→インフルエンザワクチン,抗インフルエンザウイルス薬(タミフル,リレンザ),インフルエンザ抗原検出キット(迅速タイプ)の供給
F施設内感染防止対策を実施する
→高齢者施設等では,まず,施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要である
G「咳エチケット」(左記に記載)を普及啓発する

咳が出たらマスクを着用する

→次回3福祉士国家試験において,必ず出題されると想定している。受験者は,これを機に,近年大きく変化している「感染症の状況」を確実な知識としておくことを勧める。キーワードは,「1999年の感染症法」「2003年の改正法」「2006年の改正法」「インフルエンザ]「結核対策」である。(筆者)

「インフルエンザの基礎知識」 /「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」(2005年) /「個人および一般家庭・コミュニティ・市町村における感染対策に関するガイドライン」(2007年) / ■新型インフルエンザ
「今日の一問」(「問題83 新型インフルエンザと通常のインフルエンザを比較せよ。」)
明確な根拠をもつ「健康・医療」-感染症対策-インフルエンザ)

(感染症に関して)
10/24
障害者就労支援のポータイルサイト「ATARIMAE」が開設された,7/18「新型インフルエンザQ&A」,5/232007年における死亡災害・重大災害発生状況等,4/25「はしかにならない。はしかにさせない。」,1/14「新型インフルエンザ警報」の世界の状況はWHOフェーズ3の記事を参照
11/14 ■「踏襲(ふしゅう)」「頻繁(はんざつ」「未曽有(みぞうゆう)」「有無(ゆうむ)」「詳細(ようさい)」と読んだ人 →最近,間違いがありますねと質問した記者団に向かって,「それは単なる読み間違い,もしくは勘違い。はい」(11/12)とおっしゃっているのをテレビでみた。「所信表明演説」や「麻生内閣メールマガジン」や月刊誌に掲載された「論文」などの「格調高い文章」を拝見している者としては信じられないことだが,自分の原稿の漢字を,「勘違い」で読み間違えることもあるらしい。突っ込みどころが多すぎて笑えない。(筆者)

(言葉に関して)
10/30(■「「病院の言葉」を分かりやすくする提案(中間報告)」の記事を参照

「今日の一問」問題20.「ノーマライゼーション」の用語が一般的に用いられる現在においても,法令で「障碍」ではなく「障害」と表記する理由を政府の公式見解で示せ。

「国語施策・日本語教育」(文化庁)
11/13 厚生労働省 「2007年 就業形態の多様化に関する総合実態調査」 非正社員(パートや派遣など)の雇用者全体に占める割合は37.8%(2003年比3.4%増)であった。特に派遣労働者の割合は2.0%から4.7%へ倍増している。
・正社員以外の労働者の活用理由は,「賃金の節約のため」40.8%,「1日,週の中の仕事の繁閑に対応するため」31.8%と「事業所」は答えている。
・現在の就業形態を選んだ理由は,@パートタイム労働者は「都合の良い時間に働けるから」55.9%,A契約社員は「専門的な資格や技能を活かせるから」37.0%,B派遣労働者は「正社員として働ける会社がなかったから」37.3%と「個人」は答えている。

(関連する法律の動き)
「第166回国会で成立した法律」(改正パートタイム労働法)
「第168回国会で成立した法律](労働契約法,改正最低賃金法)
「第170回国会に提出された法案」(改正派遣労働法案)
11/12 厚生労働省 「2008年度 現代の名工」(150名) ・1967年に創設された「卓越した技能者の表彰制度(現代の名工)」は,卓越した技能を持ち,その道で第一人者と目されている技能者を表彰するものである。「2008年度特に注目される技能者」として,150名のうち7名が挙げられている
・表彰は,厚生労働大臣が毎年1回,概ね150名の被表彰者に表彰状,卓越技能章(楯および徽章)および褒賞金(10万円)を授与して行われ,2008年度は11月11日に実施された。
11/11 内閣府 「生活対策」における政府の言い分(「介護従事者の月給2万円増を狙い」として,「介護報酬3%引き上げ」,それに伴う「介護保険料の上昇を1200億円程度の国費投入で抑える」)に異論はないのか。
「生活対策」(2008年10月30日「新たな経済対策に関する政府・与党会議,経済対策閣僚会議合同会議」)

(公表時の説明)
『新たな経済対策,「生活対策」を発表しました。これは,現在の金融経済情勢を踏まえ,国民生活と日本経済を守るため,第一に生活者の暮らしの安心,第二に金融・経済の安定強化,第三に地方の底力の発揮,という三つを重点分野として,セーフティネットの強化や,自律的な内需主導型経済成長への移行を図るため,必要な施策を取りまとめたものです。これらの施策を速やかに実施することで,金融市場の安定化,経済の活性化に繋げていくこととしています。』

(構成)
第1章 基本的考え方
第2章 具体的施策
 (第1の重点分野)生活者の暮らしの安心
  @家計緊急支援対策(総額2兆円給付)
  B生活安心確保対策
    介護従事者の処遇改善と人材確保等
第3章 財源(合計5兆円)
【2008年6月13日記事の再掲】
「2007年介護事業経営概況調査結果(暫定仮集計)」に関して)
→介護従事者処遇改善法案の価値がよく分からなかったので,記事にもしなかったが,少し理解できたので掲載する。
2008年1月に野党は介護労働者の給与を2万円上げるという内容の法案を提出したが,与党からの「財源の裏づけがない」という批判を受けて,どういうわけか法案を取り下げた。その後,与野党間で話し合いをされ,超党派の議員立法として法案を提出し,5月28日に成立・施行させた法律が「介護従事者処遇改善法」である。内容は,「来年4月までに,介護従事者の賃金をはじめとする処遇を改善するための施策の在り方について検討し,必要があると認めるときは,その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということらしい。
本調査結果における今後の対応では,本格調査を9月までに実施・集計し,その結果を踏まえて「国民にご負担いただく介護保険料等の水準にも留意しつつ,平成21年の介護報酬改定時に適切に設定する」と明記されている。
結局,「介護労働者の給与が低すぎる」というキャンペーンは,来年度以降の「介護保険料引き上げ」のだしに使われているということが少し理解できた。(筆者)

→「生活対策」において,「総額2兆円給付」だけが話題になっているが,介護職員の給与増に関する重要な施策が盛り込まれている。2008年5月に成立した「介護従事者処遇改善法」において,2009年4月までに介護従事者の賃金増を検討するとしたことに対応する国の施策である。
→「報酬アップ分を,賃金に充てるかどうかは事業所の判断」である。左記見出しの「風が吹けば桶屋が儲かる」式の政府の言い分をにわかに信じる人がいるとは思えない。確実に報酬アップを待遇改善に結びつける仕組みもなく,後のことはよきに計らえということで,政府としてはやるべきことはやったということになるのだろう。10月30日以降,筆者が知る限り,3福祉士の職能団体のホームページには,これに関して何のコメントもされていない。言わなければならないときに面と向かって「それはおかしい」と言うことも重要であると思う。署名活動や決起集会における尽力には敬意を表しているが,今,個々の介護従事者が頼りとする職能団体への期待に基づく意見である。(筆者)


6/13(■「2007年介護事業経営概況調査結果(暫定仮集計)」の記事を参照

「福祉専門職の現状」
「第169回国会で成立した法律」
「介護従事者処遇改善法」
11/10 内閣府 「2008年版 食育白書」(概要 / 本文

(参考)
「食育基本法」(2005年7月制定)=
前文と4章の全33条からなり,食育推進基本計画の策定や基本的な施策,食育推進会議などに関する事項が定められている。


「食育推進基本計画」(2006年3月策定)=
食育を国民運動と位置づけ,2006〜2010年度の5年間を対象とする基本計画である。基本的な方針を7つを挙げ,推進目標として次の9つを挙げている。
@食育に関心を持っている国民の割合(70%→90%)
A朝食を欠食する国民の割合(子ども4%→0%、20代男性30%→15%、その他)
B学校給食における地場産物を使用する割合(21%→30%)
C「食事バランスガイド」等を参考に食生活を送っている国民の割合(60%)
D内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)を認知している国民の割合(80%)
E食育の推進に関わるボランティアの数(20%増)
F教育ファームの取組がなされている市町村の割合(42%→60%)
G食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合(60%)
H推進計画を作成・実施している自治体の割合(都道府県100%,市町村50%)
・食育白書は,2005年制定の「食育基本法」第15条に規定する「食育の推進に関して講じた施策に関する報告書」であり,政府が毎年国会に提出しなければならないとされているものである。
・日常の食生活に悩みや不安を抱えている人は44.3%で,「食品の安全性」が81%(複数回答)と最も高い。
・食育推進基本計画の推進目標の進捗では,メタボを認知している人は87.6%で目標をクリアした。また,食育基本法では,各都道府県,市町村に推進計画作成の努力義務を課しているが,「50%以上」が目標のところ作成した市町村は15%であった(都道府県は100%が目標で作成済みの都道府県は95.7%であった)。


→「食育」という言葉を知っていた人は74.0%である(2008年3月「食育に関する意識調査」)。「メタボリックシンドローム」を知っていた人は87.6%である。しかし,生活習慣病につながるメタボの予防や改善のために適切な食事や運動を半年以上継続的に実践している人は3割に過ぎないという結果や改善の見られない朝食の欠食率の高さなど,「食育」の中身の理解活動に関する課題は多い。もともと,「食育基本法」は,「食育」という言葉がうるさいほど連呼されているが,前文で「食育」の目的や方法を謳っているだけで(これを「定義」という人もいる),肝心の「食育」が明確に定義されていないという奇妙な法律である。「学校給食法」にも「食育」の定義はない。「食育」を国民運動と位置づけるなら,法律の不備を補い,国民に対して「きちんとした定義」を示して,分かりやすく丁寧な理解活動を進めるべきである。(筆者)

6/3食育・食生活指針の情報センター6月は「食育月間」〜),5/10(「食育に関する意識調査」(2008年2月実施)の記事を参照
「白書(社会福祉関連)」
明確な根拠をもつ「健康・医療」)
11/9 内閣府 11月は「全国青少年健全育成強調月間」

3福祉士国家試験受験者は,子ども・青少年に関する以下の数値を記憶されたい。

@「ニート」・・・約62 万人
(2007年)
A「フリーター」・・・約181 万人
(2007年)
B「不登校児童生徒」・・・年間約13 万人
(2007年度不登校児童生徒数(小・中学校)=129,254人)
C「高校中退者」・・・年間約8万人
(2006年度国・公・私立高校の中途退学者数=77,027 人,中途退学率=2.2%)
D「刑法犯少年,触法少年(刑法)の検挙・補導人員」・・・年間約12 万人
(2007年度刑法犯少年=103,224 人,触法少年(刑法)=17,904 人,計121,128 人)
E「児童虐待相談対応件数」・・・年間約4万件
(2007 年児童相談所相談対応件数=40,639 件)
<2008年度の重点事項>
@青少年の社会的自立支援の促進
A生活習慣の見直しと家庭への支援
B児童虐待の予防と対応
C青少年を犯罪や有害環境等から守るための取組の推進


→困難を抱え,支援を必要とする子ども・青少年に対して,近年,日本では様々な取組が開始されているが,抜本的な改善には結びついていないとされている。日本の施策の根源的な問題として,関係する府省庁が多岐にわたり,国として施策の全体像が描けていないことにあるとの指摘がある。具体的には,児童福祉(厚生労働省),教育(文部科学省),就労支援(厚生労働省,経済産業省),青少年の非行・犯罪対策(警察庁,法務省),青少年の健全育成の総合調整(内閣府)などとなっている。その他,日本において何が問題でどのように進めて行くのか。イギリス(「エブリ・チャイルド・マターズ」),フランス(「ミッションローカル」「PAIO」),オーストラリア(「ユースパスウェイ・プログラム」),などの海外の組織・取組例が参考になるとされている。日本においても優れた取組をしている地方自治体が出始めている(高知県,東京都,京都市,横浜市など)。(筆者)


明確な根拠をもつ「子ども,青少年」)
11/7 内閣府 「改正暴力団対策法」と「暴力追放運動推進センター」 ・2008年5月2日「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴力団対策法)が改正され,8月1日に完全施行された。今回の改正では,暴力団員に脅し取られるなどした金銭を,その暴力団の代表者に請求することができるなど,被害を回復することに資する規定等が新設された。2007年末現在の暴力団構成員数は約4万900人,準構成員数は約4万3,300人とされる。
・暴力団対策法に基づき,暴力団員による不当な行為の防止とこれによる被害の救済に寄与することを目的とする公益法人として,
都道府県ごとに「都道府県暴力追放運動推進センター」が,全国レベルの組織として「全国暴力追放運動推進センター」が,それぞれ指定されている。
『暴力追放運動推進センターは,暴力団の被害者の皆さんのいわば「駆け込み寺」であり,市民の皆さんの暴力団排除活動を支援する組織です。』と説明されている

→■「全国および都道府県暴追センター連絡先一覧表」
→■やまだ塾トップページ(「急いで相談したい」ときの相談窓口」)
11/6 首相官邸 「社会保障国民会議 最終報告」

社会保障国民会議 構成員名簿 (敬称略) 
2008年1月25日現在の所属名
大森彌 NPO法人地域ケア政策ネットワーク代表理事,東京大学名誉教授
奥田碩 トヨタ自動車株式会社取締役相談役
小田與之彦 社団法人日本青年会議所会頭
唐澤人 社団法人日本医師会会長
神田敏子 全国消費者団体連絡会事務局長
権丈善一 慶應義塾大学商学部教授
塩川正十郎 東洋大学総長
清家篤 慶應義塾大学商学部教授
高木剛 日本労働組合総連合会会長
竹中ナミ 社会福祉法人プロップ・ステーション理事長
中田清 社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
樋口恵子 NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長
南砂 読売新聞東京本社編集委員
山田啓二 京都府知事
吉川洋 東京大学大学院経済学研究科教授

「社会保障制度に関する特別世論調査」
(2008年7月調査)

社会保障制度に対して,75.7%が「不満」と回答している。不満に感じている分野は,「年金制度」が69.7%でトップ。次いで「医療制度」56.4%,「介護制度」53.3%,「出産・育児支援制度」42.4%,「雇用支援策」41.3%の順となっている。

「国民生活に関する世論調査」
(2008年6月調査)

今後,政府に力を入れてほしい分野は,@「医療,年金等の社会保障構造改革」72.8%(前年比0.4%増),1998年以降最多),A「高齢社会対策」57.2%(同1.4%増),B「物価対策」56.7%(同21.8%増),C「景気対策」56.1%(同6.5%増)の順であった
・社会保障改革を望む人の割合は,男性67.7%,女性は77.3%で,特に主婦の78.5%が改革を望んでいた。また,年代別では@40歳代76.7%,A50歳代74.8%の順で,40歳代女性の8割以上が改革を望んでいる結果となった。

最終報告は,年金,医療・介護,少子化対策の3分野について費用を試算し,様々な課題に直面している今日の社会保障制度について,その機能を強化し安定的な制度にするためには相当大胆な改革が不可避であると強調している。基礎年金制度では,現行の社会保険方式を前提とする場合は,追加的に必要な公費負担は消費税率に換算して2015年時点で3.3〜3.5%,2025年には6%程度(これに,すでに決まっている2009年度からの基礎年金国庫負担の1/2への引き上げ分約1%が加算されると記載されている)が,税方式の場合は,2015年時点で6〜11%,2025年には9〜13%程度の新たな財源が必要とし,速やかに安定財源確保のための改革の道筋を示すべきと提言している。しかし,小泉政権時代の「骨太方針2006」により始まった毎年度2200億円を圧縮するという社会保障費抑制策からの転換については明確に示していない。

<1月31日記事の再掲>
「社会保障国民会議」設置に関して)
→内閣支持率が低下する中で,社会保障問題への積極姿勢をアピールするために設置されたとみられており,民主党の参加はなく,手詰まり感のある状況において,国民が望む給付と負担の有効な手立ての創出を疑問視する意見もある。(筆者)

<6月23日記事の再掲>
「社会保障国民会議中間報告」に関して)
→従来の社会保障制度では,非正規従業員がセーフティネットからこぼれ,産科・小児科を中心とした医師不足,救急医療体制の弱体化,介護分野の人手不足,将来の社会保障の支え手の子育て支援も不十分など,社会保障が有効に機能していないことを指摘している。その改善のために「社会保障の機能の強化」(現役世代の雇用確保,非正規労働者への社会保険の適用拡大,医療・介護サービスの充実・効率化,少子化対策の強化など)を提言している。国際的な比較からも当たり前のことを言ったまでである。特筆すべき点は,「機能強化」の財源として「増税」を強く匂わせていることである。大した期待をもたれず開催された本会議の主要な役割がこれにあることが認識できた。2006年5月の「これからの社会保障の在り方懇談会報告書」によって「自助」「給付と負担の不断の見直し」が遂行されてきたように,今秋の最終報告では,今回触れられなかった「基礎年金の国庫負担割合の1/3から1/2への引き上げ」も含めて「増税」の方向性が明確になることが予想される。(筆者)

<10月25日記事の再掲>
「「2025年の医療・介護費用シミュレーション」に関して)
→本シミュレーションは,「現在,医療と介護の現場は崩壊している」との認識に立っていると思われる。2025年は,団塊の世代の全員が「後期高齢者」(75歳以上)になり,高齢者社会のピークとなる年である。
→改革案には,医師・看護師・介護職を現在の倍にするための財源の確保と方策が示されていない。また,在院日数の短縮に日本医師会が賛同する可能性はないとするのが普通ではないだろうか。人材確保にも実現性にも疑問のある「改革案」との評価が一般的であると思う。
→ただし,「追加報告資料」において,医療・介護サービス費用については,必要なサービスを確保したうえで,一定の改革(一般病床の機能分化など)を実施した場合,総費用は2007年の41兆円から2025年には90兆円超になるとの推計を示し,これを賄うためには消費税率を4%程度引き上げることが必要だと結論づけている。結局,「いずれの案にしても増税が必要だ」ということを言いたかったのだろう。改めて,日本の官僚はすごいと思った。(筆者)

→野党から参加を拒否されスタートした会議であり,「消費税率の増税しかない」との結論(提言)を出すであろうということは,当初から想定できた。さらに,空論かもしれない提言として,@「最低保障年金」(モラルハザードの障壁がある),A「非正規労働者への厚生年金適用拡大」(すでに頓挫した経緯がある),B「医療から介護へ」「病院から在宅へ」の基本方向の堅持(医療・介護職員の大幅な増員(人材確保)の困難さ解消の道筋がない)などがあり,負担増に見合うサービスの充実と効率化の具体性,実現性が見えない。要するに,この時期に最終報告した意義は,総選挙を視野に入れて,野党案との差別化を図っただけであると考えられる。「3年後に消費税を引き上げる」「中福祉,中負担が国民のコンセンサス」と国民の総意(民意)を無視したとも言える総理大臣の最近の発言に裏づけを与えたことになる。
→繰り返し厳しいことを言って恐縮であるが,「CCS」「CWS」「PSW]は,福祉分野の専門職として,現在の国民の最大の関心事である「社会保障制度」に関して,自身の考えを持ち,専門的なレベルの議論ができて当然である。しかし,3福祉士国会試験で求められる知識レベル,合格レベルではそれはかなわない。福祉行政の任用資格においても同様である。社会保障に関するリアルタイムの知識の獲得は自身の努力によるところが大きいが,福祉教育(特に専門学校)における質・量の向上(教える側の質の向上を含めて)は喫緊の課題である。おそらく,現状の教育・教え方では,本最終報告書の内容を完全に理解できないのではないかと思われる。要は,本報告書を理解できる(手続きを含めて)ようにする教育力(指導力)を,国家試験にかかわる全科目の全教育者・指導者が持っていなければならないということである。3福祉士は,「福祉の単なる人手(マンパワー)」ではない。(筆者)


10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?,10/25「2025年の医療・介護費用シミュレーション」,9/6「5つの安心プラン」に対する連合の意見,9/5「社会保障制度に関する特別世論調査」,8/20「国民生活に関する世論調査」8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」,6/23(■「社会保障国民会議 中間報告」,5/21「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」,1/31(■「社会保障国民会議」が設置・開催された)の記事を参照
11/5 厚生労働省 11月は「「児童虐待防止推進月間」
〜標語:「助けての 小さなサイン 受け止めて」〜


<直近の国家試験出題>
「児童虐待」:
●介護=「家政学概論」(第16回問題53)
●社会・精神=「社会福祉原論」(第20回問題9)
●社会=「児童福祉論」(第20回問題106)
●精神=「援精神保健学」(第8回問題16)

模擬問題:次の文章の空欄を埋めよ。

@2007年度の全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は,【
 4 】万件を超え,児童虐待防止法施行前の1999年度の約【 3.5 】倍と年々増加している。
A【
 2000 】年11月「児童虐待防止法」が施行され,【 2004 】年に改正が行われ,従来,虐待通告先が【 児童相談所 】のみであったものが,【 市町村 】も通告先に加わり,二層構造で対応する仕組みとなった。また,関係機関が連携を図り児童虐待等への対応を行う【 要保護児童対策地域協議会 】(子どもを守る地域ネットワーク)」が法定化され,各【 市長村 】単位で設置が進められており,2007年4月1日現在の設置は【 8 】割を超えている。さらに,2007年1月に「児童相談所運営指針等の見直し」が行われ,2007年6月に法改正(2008年4月施行)され,立入調査等の児童虐待防止対策の強化が行われた。
B児童虐待防止キャンペーンのリボンの色は【 オレンジ 】である。

答え:【 】内をドラッグ
・現在実施されている主な児童虐待防止対策:
(1)発生予防
@生後4か月までの全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の推進
A育児支援家庭訪問事業の推進
B地域子育て支援拠点の整備
(2)早期発見・早期対応
@「子どもを守る地域ネットワーク」(要保護児童対策地域協議会)の機能強化
A児童相談所の体制強化
(3)保護・自立支援
@児童養護施設等に入所している子どもへの支援充実
A里親委託の推進
               (参考資料:厚労省政策レポート)

<2008年7月1日記事の再掲>
(「児童相談所の児童虐待相談対応件数」に関して)

→2008年4月から改正児童虐待防止法が施行され,裁判所の許可を得て,家庭への強制立入りが可能となったが,4月以降においても児童相談所などの関係機関の関与がありながらの虐待死亡事例が発生している。個々の機関の努力は認めたいが,結果として改善に結びつかないのは,妊娠期も視野に入れた保健・福祉の関係機関の連携が機能していないことによるとの従来から指摘があり,各自治体ごとの対応に任せることの限界を考慮すべきである。さらに,一時保護所(2008年4月1日現在120か所)の環境の劣悪さによる混合処遇の問題(現在,6割超が混合処遇)も進展していない。子ども(特に虐待死の4割に及ぶ0歳児)の命にかかわる対応がこの程度のスピードでよいわけがない。また,今169回国会において,児童虐待とも深く関係する里親制度の見直しを柱にした児童福祉法の改正法案を政争の道具にし,参議院において「継続審議」ではなく「廃案」にした政党・政治家の判断・対応は民意に反するものである。(筆者)

→現在,「児童虐待」は,社会全体で早急に取り組むべき重要な課題となっている。虐待を受けたと思われる子どもを見つけたときは,近くの児童相談所や市町村の窓口などに連絡(通告)すること,また,出産や子育てに悩んでいる人がいたら,一人で悩まず,近くの児童相談所や市町村の窓口などに相談することをアドバイスするのも福祉専門職の重要な役割である。(筆者)

7/12007年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数)の記事を参照

「児童相談所一覧」(2008年9月1日現在)
「第166回通常国会で成立した法律」(改正児童虐待防止法)
明確な根拠をもつ虐待(児童・高齢者)/DV」
11/4 内閣府 「2008年版 自殺対策白書」(概要)
〜年間自殺者数は10年連続3万人で推移〜

<直近の国家試験出題>
「自殺」:
●介護=「形態別介護技術」(第20回問題118)
●社会・精神=「心理学」(第20回問題44)
●社会=「援助技術」(第19回問題135)
●精神=「精神医学」(第10回問題1),「精神保健学」(第10回問題11,17,20),「援助技術」(第10回問題54,68)
・自殺対策白書は,自殺対策基本法第10条の規定に基づいて,政府が毎年,国会に提出する年次報告書で,今回が2回目の作成である。
・白書のポイント:
2007年の自殺者数は33,093人(前年比938人増)で過去2番目の多さであった。壮年以上の男性自殺者が増加したことが一因とみられている。
男女別では,男性23,478人(前年比665人増),女性9,615人(273人増)であった。
原因・動機別では,「健康問題」(14,684人,63.3%),「経済・生活問題」(7,318人,31.5%),「家庭問題」(3,751人,16.2%)の順である。
年齢層別では,男性は55〜64歳,女性は75歳以上が最多である。
職業別では,「無職」57.4%,「被雇用者・勤め人」27.7%,「自営業・家族従事者」9.9%,「学生・生徒など」2.6%の順である。
場所別では「自宅」54.7%,曜日では「月曜日」が最多であり,時間帯では男性が早朝の午前5〜6時台,女性は昼下がりの午後2〜4時台に頻発である。
「自殺死亡率」(人口10万人あたりの自殺者数を示す)は,23.7で世界8位であった。
・なお,政府は,2007年「自殺総合対策大綱」を閣議決定し,自殺者数を2016年までに20%以上減少(2005年を基準として)などの数値目標を盛り込んでいた。自殺総合対策大綱に基づき,策定後1年間のフォローアップ結果等も踏まえて,当面強化し,加速化していくべき施策を「自殺対策加速化プラン」として,2008年10月31日の自殺総合対策会議で決定した。さらに,自殺対策加速化プランの決定にあわせ,閣議決定事項である「自殺総合対策大綱の一部改正」をし,インターネット上の自殺関連情報対策の推進等を盛り込まれた。

→次回の3福祉士の国家試験に必ず出題されると予想するが,白書は時期的な関係で,「2007年版自殺対策白書」が対象になると想定している。(筆者)


(国家試験関連資料)
「自殺対策に関する意識調査」(2008年)
「2007年中における自殺の概要資料」(警察庁)
「人口動態統計月報年計(概数)の概況」(2007年)
「2007年版 自殺対策白書」(概要)

→●9/12「こころの健康相談統一ダイヤル」,9/2「2008年度自殺予防週間」8/15(■「職場における心の健康づくり」6/23「2007年中における自殺の概要資料」,5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数,5/25「自殺予防メディア関係者のための手引き(第2版)」5/7(■「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」3/29「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照

明確な根拠をもつ「心の健康-自殺」)
白書(福祉関連分野)
11/3 首相官邸 「Q:最近,大麻や麻薬・覚せい剤の乱用事件が目立つ。政府の取り組みは?」

模擬問題:次の文章は,依存性薬物である有機溶剤,大麻,ヘロイン,覚せい剤,コカインの特性を記述したものである。どの薬物に相当する特性であるか?

@中枢神経を抑制する作用を持ち,精神依存が強く,不安や不眠,幻覚などの精神症状が見られる。
Aアヘン類の麻薬であり,中枢神経を抑制する作用を持ち,身体依存,精神依存ともに強い。世界的に最も乱用されている薬物の一つである。
B中枢神経を興奮させる作用を持ち,精神依存が非常に強い。日本で最も乱用されている薬物の一つである。
C中枢神経を興奮させる作用を持ち,身体依存は弱いが精神依存が強い,幻聴や妄想などの精神症状が見られる。
D神経を抑制させる作用を持ち,幻覚を誘発するほか,視力障害や末梢神経障害を引き起こす。


答え【@大麻,Aヘロイン,B覚せい剤,Cコカイン,D有機溶剤・・【 】内をドラッグ
A(要約):
・最近の特徴としては,覚せい剤犯罪は,ここ10年間は減少傾向であるが,大麻の犯罪は10年前の2倍となり,MDMA等合成麻薬の押収量が急増している。
・2008年8月22日「第三次薬物乱用防止五か年戦略」※を策定し,政府一体となって薬物乱用対策を推進することとなっている。
※各省庁が連携し,青少年への薬物乱用防止の取り組みを強化すること,薬物の乱用を繰り返させない取り組みを進めること,薬物犯罪の捜査や調査を徹底すること,外国からの密輸入を防ぐ対策を進めること,国際協力を推進することなど,総合的な対策を進めることが内容となっている。

→薬物関連問題は精神保健福祉士国家試験には頻出である。特に,「大麻」については次回国家試験に出題される可能性が高い。(筆者)

「第三次薬物乱用防止5か年戦略」
→■「薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
→■「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)
→■麻薬取締りホームページ
明確な根拠をもつ「心の健康-薬物乱用」)

9/4■大麻などの依存性薬物と刑罰4/28「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30),2007年12/6■大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧,10/30塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ),9/26麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施,9/22リタリンの記事を参照
11/1 厚生労働省 厚生労働省の「11月11日は「介護の日」です」全国老人福祉施設協議会の「平成21年度介護報酬改定に関する要望書(10/22)」から浮かび上がる行政と現場のギャップ

「介護の日(仮称)」検討会メンバー名簿(敬称略)(2008年6月27日現在)
堀田力 さわやか福祉財団理事長授
鎌田實 諏訪中央病院名誉院長
樋口恵子 高齢社会をよくする女性の会理事長
高橋靖子 スタイリスト


★過去問:第20回社会・第10回精神共通「社会学問題60」

近代の組織類型の1つとしてヴェーバーが取り上げた「官僚制」の特色に関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。

@規則によって,権限が秩序づけられている。
A上下関係がはっきりした職階性を採る。
B秘密主義である。
C職務が専門化する。
D文書による事務処理が行われる。
・「介護についての理解と認識を深め,介護サービス利用者やその家族,介護従事者などを支援するとともに,これらの人たちを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から,「いい日,いい日,毎日,あったか介護ありがとう」を念頭に,「いい日,いい日」にかけた11月11日が「介護の日」として定められました。」と説明されている。
・社団法人全国老人福祉施設協議会は10月22日に,2009年度の介護報酬改定に関する要望書を厚生労働大臣に提出した。介護の現場を支える介護・看護職員等の人材不足に関しては緊急に措置を講じる必要性があること,介護従事者が意欲と誇りを持って働くことができる制度の実現に向けて,@処遇改善の原資となる介護報酬本体のアップ,A介護従事者の事務の軽減,B職員のキャリア評価,などについて要望している。

<2008年7月29日記事の再掲>
(11月11日を「介護の日」と決めたことに関して)

→あれもこれも混ぜ合わせて,きれいごとの話にしてしまったので,一体何が問題であったのか分からなくなってしまった。当初,厚生労働大臣は,介護従事者の苦労に何としても報いたいと言っていたが,その意味がよく分かった。これで,厚労省は,介護従事者の問題にも対処したことになるのだろう。現場の介護従事者は,切実であり,お祭り騒ぎや無理やり集めた観衆を前にして開かれるフォーラムを求めているわけではない。いつまでも介護従事者の「熱意」や「使命感」に寄りかかっていては,早晩先進諸国から後ろ指を指されるという危機意識はあると思う。最優先課題は,介護従事者の給与引き上げを含めた社会的地位の向上策ということを忘れずにいてもらいたい。
→また,筆者は自身の経験を踏まえ,在宅で,重度の方を介護している人たちを代弁して,厳しいことを申し上げる。多くのことを犠牲にし,先が見えず,命がけの思いで,息を潜めて,耐えに耐え,追い詰められて日々介護されている人の心には届かない,デリカシーに欠ける施策であると思う。今現在,過酷な状況で在宅介護する人からは,「いい日,いい日」などというノー天気な発想は絶対に出てこない。むしろ,「苦痛の日,苦労の日」の連続である。そういう心情を汲みとるべきであり,さらに何が支援できるかの議論を進めるべきである。11月11日でなく,9月2日(苦痛の日),9月6日(苦労の日)がふさわしい。筆者は,「頑張らない介護」「明るい介護」などと言葉遊びをしている状況にないのが「介護のスタンダード」であることを国民に啓蒙すべきと思っている。「介護をなめるな」と言いたい。(筆者)

→異論あることを承知で,「介護の日」に関して,筆者の結論を申し上げる。「介護従事者」に対して今なすべきことは,「普通の生活ができる給与に改定すること」に尽きると考えている。また,介護現場の窮状の理解や改善を意図していた話が,「介護の日の設定」に置き換えられ,海外向けの政府の実績づくりや国内向けの介護・福祉行政へのガス抜きに利用されたと思っている。そして,厚生労働省は「介護の日」を設定して,後のことは地方自治体に「丸投げ」したと思っている。トップダウンで行事を企画しなければならない地方自治体の人も,それを定常業務の合間に実行しなければならない人も,無理やり参加させられる人も気の毒であるが,特定の人に「介護の日」特需をもたらしたという効果はあると思う。やっぱり,日本の「官僚制」はすごい。(筆者)


→●7/29(「11月11日」「介護の日」),6/23「福祉人材確保重点実施期間(2008年7月21日〜8月3日)」の実施についての記事を参照
http://www.yamadajuku.com/
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