2013年4月1日~2018年5月31日の記事
<2006年4月1日 ~ 2018年5月31日>
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2006年4月1日~2006年9月30日


日付 関係省庁等 項 目 ポイン
3/2 首相官邸,厚生労働省 「働き方改革関連法案」等に関する安倍首相の会見(裁量労働制の削除) ・2018年3月1日,安倍首相は,政府が「働き方改革国会」と名付けた「第196回通常国会」において,最重要法案と位置づけている「働き方改革関連法案」について,「裁量労働制の対象拡大」を法案から全面削除することを表明した。
・2018年1月29日,安倍首相は,衆議院予算委員会で「2013年度労働時間等総合実態調査」を根拠に「裁量労働制のほうが一般労働者より労働時間が短いというデータもある」旨答弁したが,野党からデータの信ぴょう性に疑問が提出され,2月14日謝罪し答弁を撤回したが,その後も国会で厚生労働省のデータ管理,調査の杜撰さが問題とされていた。

項目 関連8法 修正
①「裁量労働制」の対象拡大 労働基準法
労働安全衛生法
削除
②「高度プロフェッショナル制度」の新設 -
③「残業時間上限超過」に罰則
④「勤務間インターバル」の促進 労働時間等設定改善法 -
⑤「産業医機能」の強化 じん肺法
労働安全衛生法
-
⑥「同一労働同一賃金」の実現 パートタイム労働法
労働契約法
労働者派遣法
-
⑦「働き方改革の理念」の規定 雇用対策法 -

→そもそも,「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日閣議決定)において,「長時間労働は,仕事と子育てなどの家庭生活の両立を困難にし,少子化の原因や,女性のキャリア形成を阻む原因,男性の家庭参画を阻む原因となっている。」とし,「長時間労働を規制すること」が政府の認識であった。これを受け,2016年9月26日に「働き方改革実現会議」が発足し,2017年3月28日に「働き方改革実行計画」が決定された。2017年9月8日,厚生労働省は「労働政策審議会」に諮問し,「おおむね妥当」と答申された法案には,「長時間労働を規制すること」と逆行する「裁量労働制の対象拡大」と「高度プロフェッショナル制度の新設」が潜り込んでおり,労働関連8法一括での「働き方改革関連法案」とされた。
→振り返れば,「裁量労働制の対象拡大」と「高度プロフェッショナル制度の新設」は,2015年の「第189回通常国会」において,「労働基準法等改正法案」として提出されたが,一度も審議されずに継続審議となり,2017年9月28日の「衆議院解散」により廃案となったという経緯がある。いわば,「ゾンビ法案」である。
→「働き方改革関連法案」に対しては,経営者側が賛成し,労働組合側が反対する構図である。経営者側は,他の事柄に目をつぶっても「裁量労働制の対象拡大」と「高度プロフェッショナル制度の新設」に期待を示し,労働組合側である神津連合会長は,「長時間労働を抑制する法案の中に,一緒くたにするからおかしな話になる」と批判してきた。
→今後は,「裁量労働制の対象拡大」の片割れである「高度プロフェッショナル制度の新設」が国会での焦点の一つになる。
→今後,安倍政権が,どのような手段を使って「裁量労働制の対象拡大」を「ゾンビ法案」として,復活させててくるのか,を筆者は注目している。(筆者)
2/2 厚生労働省 「2017年度 全国厚生労働関係部局長会議資料」 ・2018年1月18日,厚生労働省は,全国厚生労働関係部局長会議を開催し,各局長が2018年度の重点的な取り組みや予算の執行方針について説明した。
・「全国厚生労働関係部局長会議」は,厚生労働行政の次年度の政策および現状と課題について,都道府県,指定都市および中核市に周知し,円滑な事業運営を図ることを目的として,毎年1月~2月に開催されている。

→本会議の参加対象自治体は,「都道府県,指定都市および中核市」であり,「2017年度 全国厚生労働関係部局長会議次第」を見れば,各部局等の説明時間はまずか10分~30分に過ぎない。こういう状況でも,国は地方自治体に「周知し,円滑な事業運営を図れるように説明した」と言うんでしょうね。
→福祉専門職にとって,「全国厚生労働関係部局長会議資料」は,厚生労働行政の各分野の動きを把握するのに大変役立つものである。例えば,「老健局」の事業について,2018年度は,診療報酬・介護報酬・障害福祉報酬のトリプル改定だけでなく,国民健康保険制度改革の施行,改正介護保険法の施行など,さまざまな変革が実際に動き始めるということを知っていれば,マスメディアの報道についての理解も深まると思う。
→さらに,福祉関連の教育機関の授業においても,こういう生きた資料を利用し,リアルな福祉行政に対して,もっと関心を示してほしいと思う。(筆者)
1/24 首相官邸,財務省 ■2018年1月22日に「第196回通常国会」が召集され,「安倍首相の施政方針演説」が行われ,「2017年度補正予算案」および「2018年度予算案」が国会に提出された ・2018年1月22日に「第196回通常国会」が開会し,安倍首相が施政方針演説を行った。会期は2018年6月20日までの150日間である。
<施政方針演説のポイント>
①働き方改革,人づくり革命,生産性革命の実行
②憲法改正の前進
③北朝鮮問題への対応と防衛力の強化
④日中関係の改善
⑤天皇陛下退位と新天皇の即位の実施
⑥財政健全化に向けた新計画の策定
・同日,政府は,「 2017年度補正予算案」および「2018年度予算案」を国会に提出した。2018年3月末までの成立をめざす。
<予算案のポイント>
2017年度 補正予算案(一般会計)
①生産性革命・人づくり革命(前倒し) 4,822億円
②災害復旧等・防災・減災事業 1兆2,567億円
③総合的なTPP等関連政策大綱実現に向けた施策 3,465億円
④その他喫緊の課題等への対応 6,219億円
(合計)
2兆7,073億円

2018年度 予算案(一般会計)
歳入 歳出
税収 60.5% 政策経費 社会保障費 33.7%
地方交付税 15.9%
公共事業費 6.1%
文教・科学振興費 5.5%
防衛費 5.3%
税外収入 5.1% (小計)74兆4,108億円
国債発行 34.5% 国債費 国債費 23.8%
(小計)23兆3,020億円
(合計)
97兆7,128億円
(合計)
97兆7,128億円

→安倍首相は,第196回通常国会について,2018年1月22日の記者会見で,「(2017年10月の)総選挙で,国民の皆様から力強い支持を頂きました。この国会は,その国民の皆様の負託に応えていくために,一つ一つお約束したことを実行していきたいと思っております。緊張感を持って臨んまいります。」と述べた。いわば,「選挙公約を実行する国会」としているが,当然のことをあえて声高に公言するところに,安倍首相の特異な考え方が垣間見える。
→予算案は,2017年12月22日に閣議決定されたもので,「2017年度補正予算案」では,大筋合意したEUとのEPAにおける「農業政策」,看板政策の「生産性革命・人づくり革命」関連費用の前倒しなどに総額2兆7,073億円を,「2018年度予算案」では,一般会計総額が過去最大となる97兆7,128億円を計上している。巧妙なからくりが仕組まれていることを知ろうとすることが大切である。例えば,補正予算案と次年度当初予算案をはあわせて編成するという「事実上の15か月予算」を6年続けており,「2017年度補正予算案」で防衛費を2,345億円も膨張させるとともに次年度予算の生産性革命・人づくり革命の事業4,822億円を前倒し計上し,「2018年度予算案」で社会保障費の自然増分を1,345億円を削減している。
→経済,社会保障に対する2020年以降の方向性が示されなかった「施政方針演説」であり,2018年度は官僚の意向が色濃く出た「寄せ集め予算」に基づく「ばらまき政策」が実施されると筆者は受け止めた。(筆者)
2018

1/10
厚生労働省 ■2018年4月から「精神障害者の雇用義務化」および「障害者の法定雇用率引き上げ」が実施される 「障害者雇用促進法」第37条に基づく雇用義務が課せられる障害者は,身体障害者または知的障害者のみであったが,2006年以降,精神障害者については,雇用義務の対象ではないが,雇用した場合は雇用している障害者の数に入れることができる,という位置付けだった。2013年の「改正障害者雇用促進法」に伴い,2018年4月からこの法定雇用率の対象となる対象障害者に,身体障害者と知的障害者に加え,新たに「精神障害者」が含まれることとなった。なお,ここでの精神障害者とは,精神障害者保健福祉手帳を所持者をいう。
・また,2018年4月から,「障害者法定雇用率」も以下の通り引き上げられることになっている。
民間企業 2.0% ➡ 2.3%
国,地方公共団体等 2.3% ➡ 2.5%
都道府県等の教育委員会 2.2% ➡ 2.4%

→本件に関して,2018年1月9日付中日新聞(朝刊)における,民間が実施したアンケート調査結果の記事を紹介する。
・「2018年4月から,民間企業に義務付けられている障害者雇用の対象に,精神障害者が加わることについて,企業の48%が「知らない」と回答した。対象拡大を知らない企業のうち,障害者を雇用していない企業は71%だった。障害者を雇用していない企業に理由(複数回答)を尋ねると,「障害者に適した業種・職種ではない」が52%,「受け入れる施設が未整備だ」が50%を占めた。」。
・「法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられることについて「知らない」とした企業は40%であった。」
→このような結果になっている責任を「厚生労働省」だけに押し付けているだけでは,いつまでたっても社会的認知は進まない。
→筆者は,日本の企業・国民が,障害者雇用の世界的な潮流や世界における日本の現在位置を知ることが,社会的認知の改善に有効であると考える。例えば,各国の障害者雇用施策の構成比較では,日本=割当雇用,アメリカ=差別禁止,イギリス=差別禁止と保護雇用,ドイツ・フランス=割当雇用と保護雇用,北欧=政府による雇用となっており,各国がどういう問題や課題を抱えているかを知ることが,日本の障害者雇用の理解促進に結び付くのではないかと思う。障害者雇用の関係者,マスメディアも,これまでの情報提供への不作為の責任を負うべきであると思う。(筆者)


(参考)
「障害者に関する世論調査」(2017年8月調査)

12/26 厚生労働省 「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書」(概要 / 本文 ・2017年5月に「生活困窮者自立支援法及び生活保護法の見直し」をテーマとして「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」が設置され,2017年12月15日に「報告書」が公表された。
<「生活困窮者自立支援及び生活保護部会 報告書(見直しのポイント)」>
①地域共生社会の実現を見据えた包括的な相談支援の実現
②「早期」,「予防」の視点に立った自立支援の強化
③居住支援の強化
④貧困の連鎖を防ぐための支援の強化
⑤制度の信頼性の確保


(参考)
「生活困窮者自立支援法の施行状況」
「生活保護制度の現状」

→①「生活困窮者自立支援法」の施行3年後の検討規定,②「改生活保護法」の施行5年後の検討規定,③「経済・財政再生計画 改革工程表」による必要な措置等に基づいて設置された部会による本報告書を受けて,政府は,2018年の通常国会に生活保護法と生活困窮者自立支援法の改正案を提出する予定とされている。
→「生活困窮者自立支援制度と生活保護制度が,国民の思いと願いに沿ったかたちでさらなる発展をとげるように・・・多面的な検討を行ってきた」とするが,肝心の「国民の思いと願い」を的確に言い当てているとは思えない。(筆者)

11/30 厚生労働省 「小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、異常行動にご注意下さい」 ・2017年11月27日,厚生労働省は,インフルエンザにより未成年の患者が自宅で療養する場合,治療開始から2日間はマンションなどの玄関や窓にかぎをかけ,ベランダに面していない部屋で寝かせるなど,患者が外に出ないための対策をとるよう全国の自治体に通知した。
<今回の通知内容>
(1)これまでにも注意喚起を行っている内容
●原則 :小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は,抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無によらず、少なくとも治療開始後2日間は小児・未成年者を一人にしない。

(2)今回,新たに示した対策(例)
①高層階の住居の場合
・玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う。(内鍵,補助錠がある場合はその活用を含む)
・ベランダに面していない部屋で寝かせる。
・ 窓に格子のある部屋で寝かせる。(窓に格子がある部屋がある場合)
②一戸建ての場合
・①に加え,できる限り1階で寝かせる。

(参考)
「2017年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」(厚生労働省)

→インフルエンザは,インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症であり,毎年世界中で流行がみられている。
→日本の感染症対策は,他の先進国より20年遅れていると言われて久しい。感染症対策は,疾病予防の利益と副反応の存在をどう考えていくかに尽きると言われている。日本では,1948年に「予防接種法」が制定されたが,その後,日本の特有のマスメディアの特異な誘導に基づく世論の形成とそれに萎縮した予防接種行政が,現在も継続されている。
→日本のインフルエンザ対策は,インフルエンザワクチンの予防接種とインフルエンザウィルスを増やさないために発熱期間を1日程度縮めるという限定的な効果のタミフル等の薬剤投与がある。海外との比較として,先進国では効果が限定的な高価なタミフルを処方するという習慣はなく,アメリカでは,インフルエンザワクチンの予防接種はすべての人に無料であり,日本でのタミフルの消費量は,世界の消費量の80%と,日本特有の状況を多くの一般国民は知らされていない。なお,厚生労働省によれば,インフルエンザ罹患による異常行動は,現時点では,タミフル等の薬剤投与によるものか,インフルエンザそのものによるものかは不明とされている。本質的な議論はいつになれば・・・。(筆者)

11/3 外務省 「国際女性会議WAW!(WAW! 2017)」が開催された ・2017年11月1日,外務省(総合外交政策局 )は,「国際女性会議WAW!(WAW! 2017)」を開催し,11月3日に閉会した。なお,11月3日の特別イベントにイバンカ・トランプ米国大統領補佐官が出席し,「女性活躍」について講演を行った。
・国際女性会議WAW(WAW:World Assembly for Womenは,安倍政権の最重要課題の1つである「女性が輝く社会」を国内外で実現するための取組の一環として2014年から開催している国際会議で,今回が4回目の開催であった。
・WAW!2017では,「WAW! in Changing World」をテーマとして,女性支援の具体的な取組・実績に焦点を当てつつ,変化する世界において女性が活躍していくために戦略的に行動するための方策,女性起業家支援について議論が行われた。

→女性蔑視発言の前歴のあるトランプ大統領の娘が「女性の地位向上」を訴えた。さらに,トランプ大統領の腰ぎんちゃくのように見える安倍首相が,イバンカ氏の講演に駆け付け,「安倍政権の女性活躍の本気度がお分かりいただけると思います」と発言した。なお,イバンカ氏の講演会場の半分が空席であった。その上,安倍首相はイバンカ氏が2017年に立ち上げた女性起業家への国際的な「イバンカ基金」に約57億円の資金援助を申し出た。とのことである。筆者は,トランプファミリーの太鼓持ちと化した安倍首相およびイバンカ氏を必要以上に持ち上げる日本のメディアが世界から嘲笑されると思った。
→「女性活躍」に関わる国内施策の経緯(1985年~2016年)を以下にまとめる。本質的,系統的な施策であったかは疑問である。
時期 項目 内容
1986年 「男女雇用機会均等法」の施行
(1985年成立)
コース別人事制度(一般職,総合職)
1992年 「育児休業法」の施行
(1991年成立)
男女に育児休業適用
1999年 「育児・介護休業法」の施行
(1995年成立)
介護休業の適用
「改正男女雇用機会均等法」の施行
(1997年成立)
差別を「努力義務規定」から「禁止義務規定」に変更
2003年 「少子化対策基本法」の施行
(2003年l成立)
企業の子育て支援対策を推進
「次世代育成支援対策推進法」の施行
(2003年成立)
◎10年間の時限立法
「くるみん」認定企業
「2020年30%」の政府目標の設定 指導的地位に女性が占める割合
2007年 「改正男女雇用機会均等法」の施行 男性に対する差別・セクハラも禁止対象
2008年 「改正次世代育設定成支援対策推進法」の施行 行動計画の策定および従業員への周知義務
2013年 「日本再興戦略」で「女性の活躍推進」を設定 女性活躍推進を最重要課題に
2014年 「改正次世代育成支援対策推進法」の施行 ◎2014年までの時限立法を10年延長
2016年 「女性活躍推進法」の施行
(2015年成立)
◎10年間の時限立法
「えるぼし」認定企業
→「第4次安倍政権」の女性活躍の政策に関わる大臣群をまとめてみる。「女性活躍」の政策に関して,これほど細分化し寄ってたかってかからなければ対処できないということは,「安倍政権の女性活躍の施策はパッチワークである」は言い過ぎか・・・。
重要政策 担当大臣
女性活躍担当 野田総務大臣
一億総活躍担当 松山一億総活躍担当大臣
少子化担当
働き方改革担当 加藤厚生労働大臣
人づくり革命担当 茂木経済再生担当大臣
社会保障・税一体改革担当
地方創生担当 梶山内閣府特命担当大臣(地方創生,規制改革)
まち・ひと・しごと担当
国際女性会議WAW 河野外務大臣
→一般国民として,「日本における女性活躍は進んでいる」という実感はありますか?(筆者)
11/2 首相官邸 ■2017年11月1日に「第4次安倍内閣」が発足した ・2017年11月1日,衆議院解散総選挙(9月28日解散,1月10日公示,10月22日投開票)後に予定されていた「第195回特別国会」が召集され(会期:11月1日~12月9日の39日間),衆参両院の本会議において首相指名選挙が行われ,第98代首相として安倍首相が選出された。その後,2017年8月3日に発足した第3次安倍第3次改造内閣の閣僚19名全員が再任され,「第4次安倍内閣」が発足した。
安倍首相の記者会見
基本方針(閣議決定)
内閣総理大臣談話(閣議決定)
閣僚等名簿


→「第4次」とは,国会で4回首相に指名されたことを意味する。
→衆院選の結果,「安倍一強」の巨大与党と小党分立の多弱野党の構図となった。今後,民主的な国会運営は期待できない。しかし,自民党の石破氏のように「国民の考えていることと議席数は乖離がある(衆院選の小選挙区での自民党の投票数は有権者全体の約25%に過ぎない)。注意しながらやっていくことが重要」との意見も出ている。安倍首相の「謙虚,真摯」という言葉の具体化が見ものである。(筆者)

10/30 厚生労働省 「2017年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 / 資料 ・2017年10月24日,厚生労働省は,「2017年版 厚生労働白書」(~社会保障と経済成長~)を公表した。

→「厚生労働白書」の副題(特定のテーマ)の変遷であるが,厚生労働行政分野についての国民の理解が深まっているとは思えない。
2011年版 社会保障の検証と展望
2012年版 社会保障を考える
2013年版 若者の意識を探る
2014年版 健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年
2015年版 人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して
2016年版 人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える
2017年版 社会保障と経済成長
→日本では現役世代に比べて高齢者を手厚く支える仕組みになっており,世代や世帯の状況に応じ,きめ細かな政策を考えていくべきで,高齢者に偏らない全世代型の社会保障への転換が必要だとしている。
→元来,社会保障とはそういうものでなければならないのに,社会保障を政治に利用し,世代間に大きなひずみを生じさせた責任には触れられていない。(筆者)
10/29 内閣官房 「尖閣諸島に関する世論調査結果(2017年8月)」および「竹島に関する世論調査結果(2017年7月)」 ・2017年10月27日,内閣府は,尖閣諸島(沖縄県)および竹島(島根県)に関する世論調査結果を公表した。
<2014年調査との比較>
項目 ポイント 2014年 2017年
尖閣諸島問題 知っていた 63.3% 65.3%
関心がある 74.5% 62.2%
沖縄県に属している(認知) 58.6% 52.4%
竹島問題 知っていた 63.9% 66.1%
関心がある 66.9% 59.3%
島根県に属している(認知) 60.0% 58.0%

→内閣官房は「広報啓発活動を強化して,国民の理解と関心を高めていきたい」としているが,自公政権が「国家主権にかかわる領土問題の無関心化」を助長させてきたという反省が微塵も感じられない。
→広報活動を強化すると言うなら,例えば,台風情報や天気予報において,沖縄県の尖閣諸島や島根県の竹島の情報を日本国民に対して日常的に広報することも考慮すべきである。「今日,尖閣諸島は雨で,竹島は晴れです」と毎日テレビでやり続ければすぐに国民の意識は変わり,関心は深まる。一方,政府の政策としての無策の責任が追求されないのでは辻褄が合わない。(筆者)

10/11 厚生労働省 「2017年版過労死等防止対策白書」(概要 / 本文 ・2017年10月6日,厚生労働省は,「2017年版過労死等防止対策白書」を公表した。
・「過労死等防止対策白書」は,過労死等防止対策推進法第6条に基づき,国会に毎年報告を行う年次報告書であり,2016年度ら始まり今回で2回目となる。
<「2017年版過労死等防止対策白書」の構成>
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
第2章 過労死等の現状
第3章 過労死等をめぐる調査・分析結果
第4章 過労死等の防止のための対策の実施状況


【過労死の定義】
◎ 「過労死等」とは,業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡,もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患,心臓疾患,精神障害をいう。

→過労死等防止対策推進法が2014年11月に施行され,「『過労死等ゼロ』緊急対策」(2014年1226日「長時間労働削減推進本部」決定),「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2015年7月24日閣議決定),「働き方改革実行計画」2017328日「働き方改革実現会議」決定)等が施策されている。また,厚生労働省では,①「過労死防止対策のページ」 ,②「健康で充実して働き続けるために」 ,③「過労死等防止対策白書」(2016年版 概要 / 本文
を実施している。
→2016年版の白書との大きな違いは,過労死等の実態解明のための調査研究結果について取りまとめられていることである。
→本白書の公表し際し,厚生労働省は,『「過労死をゼロにし,健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け,引き続き過労死等防止対策に取り組んでいきます』と本気度を疑わせるようなコメントをしている。毎年,判で押したような同じコメントが出されるように思えてならない。(筆者)

10/10  - 「第20回介護支援員(ケアマネ)試験の問題文および解答例」 ・2017年10月8日に「第19回介護支援専門員実務研修受講試験」(ケアマネ試験)が実施された。なお,合格発表日は2017年11月28日(火)である。
<ケアマネジャーに関する最近の動向>
時期 項目
2016年11月 ◎「介護支援専門員の法定研修に関するガイドライン」
・2016年度から,介護支援専門員の資質向上を図るため,各研修時間数を拡充し,医療介護連携や家族支援等の視点を強化した新カリキュラムに基づく介護支援専門員の法定研修が,各都道府県で実施されている。
「介護支援専門員実務研修ガイドライン」

「介護支援専門員専門研修ガイドライン」
「主任介護支援専門員研修ガイドライン」
「主任介護支援専門員更新研修ガイドライン」
2016年4月 「新ケアマネジャー研修制度」
・研修時間数を拡充し,医療介護連携や家族支援等の視点を強化した新カリキュラムに基づくケアマネジャーの法定研修が,2016年度から実施されている。
・2014年6月2日告示公布(主任更新は2015年2月12日公布),専門研修等は2016年4月1日から施行
(参考)
「介護支援専門員と相談支援専門員」(2016年3月)
2016年3月 「ケアマネの業務等の実態に関する調査研究事業 (結果概要)」
・2015年度の介護支援専門員の業務実態を把握と事業運営の在り方の検討に資する基礎資料の収集を目的とする調査研究事業
2015年2月 「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」の一部改正
・受験要件,法定資格取得者に対する試験の解答免除の取扱いの見直し
・2017年(第20回)試験までは,改定前の受験資格での受験が可能
2014年6月 介護保険法第69条の34第3項の新設
・2014年6月成立の「地域医療介護総合確保法」に基づき介護保険法が改正され,「介護支援専門員は,要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術の水準を向上させ,その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。」と規定された。
2013年12月 「社会保障審議会介護保険部会 介護保険制度の見直しに関する意見(概要 / 本文)」
2013年1月 「ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方に関する検討会 中間的な整理(概要 / 本文)

「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」の一部改正により,受験要件,法定資格取得者に対する試験の解答免除の取扱いの見直しが行われた。経過措置として,2017年(第20回)試験までは,改正前の受験資格で受験が可能であったが,2018年以降の試験からは,実務経験とみなされる業務の部分で,これまで対象だった介護等の業務やケース・ワーカーが対象外になり,介護職員初任者研修,ホームヘルパー2級,実務者研修などの資格者向けの受験資格制度は廃止になる。
→介護支援専門員は,介護保険制度の中核的な役割を担い,資格取得の厳格化や研修の拡充によって、ケアマネジメント技術のスキルアップがさらに求められていく。筆者は,社会福祉援助技術としてのソーシャルワークの一部であるケアマネジメント技術偏重の考え方で,2025年に向けた「地域包括ケアシステム」の実現が果たせるかどうか疑問を持っている。なお,これは介護支援専門員およびその資格取得を目指す人たちの問題でないことは言うまでもない。(筆者)
10/5 厚生労働省 「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(報告書)」(概要 / 本文 ・2017年10月4日,厚生労働省は,社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(報告書)」を公表した。
・2015年2月25日公表の「2025年に向けた介護人材の確保~量と質好循環立に向けて~」および2015年6月24日公表の「2025年に向けた介護人材かかる需給推計(確定値)について」を踏まえて,本専門委員会は,2016年10月5日から2017年9月26日までに6回開催された。
<報告書の概要>
(1)現状・課題への対応
・業務内容に応じた各人材層の役割・機能に着目するのではなく,利用者の多様なニーズに対応できるよう,介護職のグループによるケアを推進していく上で,介護人材に求められる機能や必要な能力等を明確にし,介護分野に参入した人材が意欲・能力に応じてキャリアアップを図り,各人材が期待される役割を担っていけるようにすべき。
(2)実現に向けた具体的な対応
項目 ポイント
①介護職のグループにおけるリーダーの育成 介護福祉士がリーダーを担うことが適当であり,介護福祉士がその役割を適切に担えるようにするためには,現場での実践を通じて育成していくことが必要である。
②介護人材のすそ野の拡大に向けた入門的研修の導入 ・現在実施されている130時間の介護職員初任者研修よりも受講しやすい入門的研修の導入が必要である。
③介護福祉士養成課程におけるカリキュラムの見直し 介護福祉士の既存のカリキュラムにおける教育内容も見直し,内容の統合を行うなど,養成施設等や学生に過度な負担とならないよう留意すべきである。
④介護福祉士等による医療的ケアの実態の把握 介護福祉士等による医療的ケアについては,喀痰吸引や経管栄養の医療的ケアを必要としている利用者に対して,質・量ともに対応できているか,喀痰吸引等研修の体制が十分に整備されているかといったことについて,速やかにその実態を把握した上で検討すべきである。

→この報告書の「おわりに」において,『2025年までに「地域包括ケアシステム」の構築を実現するにあたり,必要な介護人材の量と質の確保につながるものである』と記述されている。この人たちでは改善も改革も進まないということがさらに明確になった(社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会委員)。
→なお,もっとも重要な「介護報酬によるインセンティブの必要性」には触れているが,『関係の審議会で検討を進めることが重要である』という記述にはあきれるばかりである。(筆者)

10/2 厚生労働省 2017年10月から厚生労働関係で何が変わったか <2017年10月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)年金関係 ①厚生年金保険料率の引上げ ・0.118%引上げ(9月分~:18.3%)
(2)医療関係 ②入院時生活療養費の見直し (1)医療の必要性の低い者(医療区分1):370円/日(50円の引き上げ)
(2)医療の必要性の高い者(医療区分2,3(指定難病患者を除く)):200円/日(200円の引き上げ,2018年4月~:370円)
(3)指定難病患者,老齢福祉年金受給者,境界層該当者:0円/日(変更なし)
(3)雇用・労働関係 ③育児・介護休業法の改正施行

(1)子が1歳6か月に達した時点で,保育所に入れない等の場合に育児休業期間を「最長2歳まで」延長
(2)労働者又はその配偶者が妊娠・出産した場合,家族を介護していることを知った場合に,当該労働者に対して,個別に育児休業・介護休業等に関する定めを周知する努力義務の創設
(3)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が,育児に関する目的で利用できる休暇制度を設ける努力義務の創設

④最低賃金額の改定 (1)都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定
(2)すべての都道府県で、時間額22円から26円の引上げとなる(全国加重平均額848円)

→間近に迫った衆議院選挙において(2017年10月10日公示,10月22日投開票),これまでの安倍政権の政治姿勢が問われることになるが,衆議院解散からわずか数日で内閣支持率が40.6%と減少しており,流動的ではあるが,現在の「1強多弱」が転換する可能性も出てきた。
→選挙公約が間もなく明確にされるが,争点としての「社会保障」への各党のアプローチを注目したい。(筆者)
9/29 - ■2017年9月28日に「第194回臨時国会」が招集され,「衆議院冒頭解散」が行われた ・2017年1月20日に招集された「第193回通常国会」が2017年6月18日に閉会した(会期:150日間)。2017年6月22日には野党4党からの憲法第53条に基づく臨時国会召集要求が衆参両議院に提出された。
・しかし,安倍政権および与党(自民党,公明党)は,2017年8月3日に「第3次安倍第3次改造内閣 (結果本位の仕事人内)」が発足した後,2017年9月28日までの98日間も臨時国会召集要求を放置し続けた。同日「第194回臨時国会」が招集され,直後に「衆議院冒頭解散」が実施された。
・結局,内閣改造後の首相演説や代表質問が一度も行われず衆議院を解散した。
・なお,「森友・加計学園問題の追及」への対応として,「第193回通常国会」閉会後に,衆議院の予算委員会において2017年7月24日,25日の2日間のみ「首相出席の国会閉会中審査」が実施された。

→今回の衆議院選挙は,2017年10月10日公示,10月22日投開票の予定で,第2次安倍政権以降の政治姿勢が問われる選挙である。
→筆者は,「国難突破解散」というキャッチフレーズには嫌悪感を覚える。国民を甘く見過ぎた安倍首相への厳しい審判となるように思う。そうあってほしいと願う。(筆者)
9/19 厚生労働省 「地域力強化検討会 最終とりまとめ」(概要 / 本文 ・2017年9月12日,厚生労働省は,「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会) 最終とりまとめ~地域共生社会の実現に向けた新しいステージへ~」を公表した。
・2016年6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」において,地域包括ケアシステムを深化させた「地域共生社会の実現」が掲げられ,6月21日に厚生労働大臣は子どもや高齢者などさまざまな立場の 住民が助け合う「地域共生社会」の推進本部を省内に設置すると発表した。2016年7月15日に地域共生社会の実現を福祉改革の基本コンセプトとした『「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部』の初会合が開催された。2016年12月26日には「地域力強化検討会 中間とりまとめ」が公表され,2017年9月12日に「地域力強化検討会 最終とりまとめ」が公表された。

→「地域力強化検討会」の座長は原田正樹教授(日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科教授)である(地域力強化検討会委員名簿)。「第10回委員会での各委員の発言まとめ」も是非一読されたい。人口減少・少子高齢社会時代に向けた社会保障の大転換期に際して,この程度のメンバーでまとめられたものをベースにしていいのかという疑念を持つ。
→今後,厚生労働省は,この最終とりまとめを踏まえて,改正社会福祉法第106条の3に基づく指針の策定,地域福祉計画のガイドラインの改定,さらにはその後の「我が事・丸ごと」の地域づくりを進めるとしている。
→2016年に厚生労働省が打ち出した「地域共生社会」という概念は,福祉サービスを「縦割り」から「丸ごと」へと転換する「地域包括ケアシステム」を進化させたものだと説明されている。「最終とりまとめ」からは,福祉サービスの財源確保ができない国が,自らの責任を放棄して地域へ役割を丸投げしするために編み出した概念だという批判的な意見を説得できるものではないと思った。
→なお,2017年の第193回通常国会では,介護保険の財源不足からサービス制限を目的とする「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が成立している。(筆者)
9/5 厚生労働省 「2016年度 介護給付費等実態調査の概況」 ・2017年8月31日,厚生労働省は,「2016年度 介護給付費等実態調査の概況」(2016年5月審査分~2017年4月審査分)を公表した。
項目 ポイント内容
介護・介護予防サービスの実受給者数 ・613万8,100人(前年度比1.4%増)
介護サービスの受給者 ・497万5,500人(前年度比2.8%増)
・内訳=居宅サービスは373万5,200人(0.8%増),居宅介護支援は344万5,700人(2.8%増),施設サービスは125万700人(1.5%増),地域密着型サービスは111万9,300人(約2倍)
居宅サービスの受給者 ・受給者数が最も多かったのは福祉用具貸与の223万2,200人(4.8%増)
・訪問介護も144万500人(1.1%増)で増加。一方,通所介護は153万300人(20.2%減)で減少
施設サービスの受給者 ・介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)は65万6,600人(2.6%増),介護保健施設サービス(介護老人保健施設)が55万2,200人(0.8%増)で増加。一方,介護療養施設サービス(介護療養型医療施設)は9万1,600人(5.7%減)で減少
地域密着型サービスの受給者 ・地域密着型通所介護の58万5,500人,短期利用を除いた認知症対応型共同生活介護の24万700人(2.6%増),小規模多機能型居宅介護の12万7,500人(6.0%増)などが多かった
都道府県別の受給者1人当たりの介護サービスの費用額 ・都道府県の平均額は19万1,200円
・最も多かったのが沖縄(20万9,400円)。石川(20万4,200円)や鳥取(20万3,900円)も多かった

→介護給付費の増減の鍵は,ケアマネジャーが握っているということは周知のことである。居宅ケアプラン作成(新規,更新)において,住宅改修も含めて利用者に真に必要なサービスが設定されているか,過度のサービス提供となっていないかが問題点であることも周知のことである。さらに,介護給付費の過剰な支出への解決策は,サービス事業所のケアマネジャー等における保険制度の理解・能力不足の解消と,ケアプランの的確・厳格なチェック体制の構築であるということも周知である。介護給付費の適正化の課題は,厚生労働省が分かり切ったことを本気でやる,やらせるかだということも周知のことである。(筆者)
8/31 厚生労働省 「第138回労働政策審議会労働条件分科会」が開催された ・2017年8月30日,厚生労働省は,労働者の働き方に関連する重要な変更事項を審議するため,「第138回労働政策審議会労働条件分科会」を開催した。
労働政策審議会では,「働き方改革実行計画」(2017年3月28日働き方改革実現会議決定)及び「労働政策審議会の建議」(2017年6月)を踏まえ,8月30日の労働条件分科会での調査審議を皮切りに,各分科会・部会において,調査審議を始めるとしている。
<厚生労働省の方針>
①収入が高い一部専門職を労働規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の創設を中心とする労働基準法法改正案と,罰則付きで残業時間の上限規制を設ける労働基準法改正案を一本化する。
②労働基準法改正案のほか,「同一労働同一賃金」(正社員と非正社員の格差是正)に向けた労働契約法改正案などを「7法案一括法案」とする。

→厚生労働省は,目的の全く異なる働き方に関する7法案を一括法案として,2017年秋の臨時国会に提出する予定としている。一括法案とする理由は,審議時間を短縮するためであるとされているが,残業時間規制をなくす「残業代ゼロ制度」と残業上限規制を一本化することへの疑問や「残業代ゼロ制度」は2015年に国会に提出されたが,これまで一度も審議入りしたことがない法案で審議時間を短縮することへの強い疑問が提起されている。
→労働者の働き方に関する重要な法案が,不十分な審理でかつ強行的な採決で成立することが予想されるが,それを止めることができるのは「世論」以外にはないと思われる。(筆者)
8/6 厚生労働省 「第20回精神保健福祉士国家試験の施行について」 ・2017年8月4日,厚生労働省は,「第30回社会福祉士国家試験の施行について」を公表した。なお,2016年は8月5日に公表されている。
・同日,社会福祉振興・試験センターは,
「試験概要」・「受験申し込み手続き」を公表した。

試験日程
◎受験書類の受付期間  :2017年9月7日~10月6日
試験日          :2018年2月3日(土),2月4日(日)
◎発表日          :2018年3月15日(木)
試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
・試験委員長
鹿島晴雄
・副委員長
伊藤秀幸,菅野庸,竹島正,田中英樹,長崎和則,
和気康太
・委員
相原佳子,明渡陽子,天田城介,荒井浩道,今村浩司,井村修,岩崎香,岩本操,大岡由佳,大久保善朗,大塚俊弘,
荻野剛史,越智あゆみ,小原眞知子,影山隆之,風間朋子,勝又陽太郎,上山泰,菊池馨実,吉川隆博,倉知延章,近藤あゆみ,今野広紀,齊藤晋治,坂本明子,佐藤博,嶋﨑尚子,白石弘巳,須藤昌寛,髙木憲司,田澤あけみ,玉野和志,茶屋道拓哉,辻井誠人,所めぐみ内藤佳津雄永田祐,難波利光,西田和弘,畑本裕介,原元彦,福原宏幸,藤井博志,伏見惠文,堀越由紀子,松本すみ子,丸谷浩介,丸山桂,道中隆,宮岡等,宮岡佳子,森川美絵,森谷就慶,柳田正明,山田晋,吉川公章,吉澤豊,吉田光爾,吉益晴夫,四方田清
8/5 厚生労働省 「第30回社会福祉士国家試験の施行について」 ・2017年8月4日,厚生労働省は,「第30回社会福祉士国家試験の施行について」を公表した。なお,2016年は8月5日に公表されている。
・同日,社会福祉振興・試験センターは,
「試験概要」・「受験申し込み手続き」
を公表した。

試験日程
◎受験書類の受付期間  :2017年9月7日~10月6日
◎試験日          :2018年2月4日(日)
◎発表日          :2018年3月15日(木)

試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
・試験委員長
坂田周一
・副委員長
秋元美世,小笠原浩一,川崎二三彦,
後藤澄江鶴岡浩樹,野村豊子,福田素生(2016年は委員)和気康太
・委員
相原佳子,青柳親房,明渡陽子,上之園佳子,朝日雅也,天田城介,荒井浩道,石川正興,井村修,岩崎香,
岡田直人,荻野剛史,小原眞知子,金子恵美,上山泰,川島ゆり子菊池馨実,木村容子,今野広紀,佐藤博,潮谷恵美,澁谷昌史,嶋崎尚子,生島浩,須藤昌寛,諏訪徹,高木憲司,田澤あけみ,田中尚,玉野和志,得津愼子所めぐみ内藤佳津雄,長倉真寿美,永田祐中村高康, 難波利光,西岡正次,西田和弘,西村幸満,畑本裕介,原元彦,福原宏幸,藤井博志,伏見惠文,堀越由紀子,松原由美,丸谷浩介,丸山桂,道中隆,宮岡佳子,宮崎清恵宮島渡,森川美絵,柳田正明,山縣文治,山口麻衣山田晋吉田輝美,綿祐二
8/4 首相官邸 2017年8月3日に「第3次安倍第3次改造内閣」が発足した ・2017年8月3日,内閣支持率の急落という状況を受けて,「第3次安倍第3次改造内閣」が発足した。安倍首相は「結果本位の仕事人内閣」と明言した。
・今回の内閣改造は,麻生副総理・財務大臣や菅官房長官ら政権の骨格を維持しつつ,19閣僚のうち閣僚経験者13人,留任7人と党内バランスをとった人選とし,人事の目玉として河野外務大臣 (54)と野田総務大臣(56)を配置したものである。
・女性閣僚は,野田総務大臣・女性活躍担当大臣(56)と上川法務大臣(64)の2人で,初入閣は,斎藤農林大臣(58),中川環境大臣(70),小此木国家公安委員長(52),江崎沖縄・北方担当大臣(73),松山1億総活躍担当大臣(58),梶山地方創生担当大臣(61)の6人である。
・また,厚生労働大臣には加藤勝信1億総活躍担当大臣(61)が横滑りし,「働き方改革」を継続して担当する。さらに,新たな重要政策となる「人づくり革命」は,茂木敏経済再生担当大臣(61)が担当する。


■第3次安倍第3次改造内閣 (「結果本位の仕事人内閣」 :2017年8月3日発足)
安倍首相の記者会見
基本方針(閣議決定)
内閣総理大臣談話(閣議決定)
閣僚等名簿 / 総理大臣補佐官


→安倍首相が命名した内閣のキャッチフレーズの変遷は,以下の通りであるが,これまでの実績から無意味なものであると推測できる。
・2014年12月24日発足の「第3次安倍内閣」 :「実行実現内閣」
・2015年10月7日発足の「第3次安倍改造内閣」 :「未来へ挑戦する内閣」
・2016年8月3日発足の「第3次安倍第2次改造内閣」 :「未来チャレンジ内閣」
・2017年8月3日発足の「第3次安倍第3次改造内閣」 :「結果本位の仕事人内閣」

→なお,安倍首相に近い新厚生労働大臣に対しては,直近の課題として,「働き改革問題」,「残業代ゼロ制度」,「受動喫煙問題」への対応を注目している。(筆者)
7/25 厚生労働省 「第30回介護福祉士国家試験の施行について」
・2017年7月21日,厚生労働省は,「第30回介護福祉士国家試験の施行について」を公表した。なお,2016年度は7月1日の公表であった。

試験センターによる「試験概要・受験申し込み手続き」の案内
「試験概要」・「受験申し込み手続き」(2017年7月21日公表)
『受験の手引』請求窓口の開設(2017年7月3日公表)

試験日程
◎受験書類の受付期間  :2017年8月9日(水)~9月8日(金)
◎筆記試験日       :2018年1月28日(日)
◎実技試験日       :2018年3月4日(日)
◎発表日          :2018年3月28日(水)


筆記試験時間・領域・出題数・形式・・・赤の太字は第29回からの変更箇所
(1)試験時間 :220分
(2)出題領域 :
4領域
(3)出題数  :
125問

(4)出題形式 :筆記試験の出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式とし,問題に図表等を用いることがある
(午前)10時00分~11時50分
[領域:人間と社会](16問)

①人間の尊厳と自立<④と同じ群>
②人間関係とコミュニケーション<⑤と同じ群>
③社会の理解
[領域:介護](52問)
④介護の基本<①と同じ群>
⑤コミュニケーション技術<②と同じ群>
⑥生活支援技術
⑦介護過程
(午後)
13時45分~15時35分
[領域:こころとからだのしくみ](40問)
⑧発達と老化の理解
⑨認知症の理解
⑩障害の理解
⑪こころとからだのしくみ
[領域:医療的ケア](5問)
⑫医療的ケア

[総合問題](12問)
⑬総合問題

試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
臼井正樹
(2016年は副委員長)
副委員長
尾崎章子,川井太加子,川手信行,小池竜司(2016年は委員),谷口敏代,平野方紹,峯尾武巳,山野英伯
・委員(筆記)

天野由以,飯干紀代子,伊藤直子,井上善行,梅垣宏行,大木和子,
大塚晃大西基喜岡田忍,小川純人,奥田都子,金井守,金子英司,北村世都,木村琢磨工藤雄行小平めぐみ柴山志穂美志水幸鈴木智敦諏訪さゆり,高岡理恵,高木剛,高山由美子,田口潤,竹内美幸,武田卓也,辻哲也,津田理恵子,永井優子,長谷憲明,中西正人,中村大介,二瓶さやか朴美蘭,原口道子,柊崎京子,藤井徹也藤田秀剛,古田伸夫,堀江竜弥,本名靖,壬生尚美,森田慎二郎,八木裕子,吉田清子
・委員(実技) :省略
7/5 厚生労働省 「厚生労働省の組織再編」が2017年7月11日に施行される ・2017年7月4日,厚生労働省は,「2017年度の厚生労働省の組織再編(7月7日公布,7月11日施行)」を公表した。
<組織再編のポイント>
①「医務技監(次官級)」の新設
②「雇用環境・均等局」の新設
③「子ども家庭局」の新設
④「人材開発統括官」の新設

→2016年8月26日,厚生労働省は,安倍政権が第3次再改造内閣での「最大のチャレンジ」と位置づける「働き方改革」を進めるため,現在の「雇用均等・児童家庭局」を分割し,「雇用環境・均等局」(仮称)と子育て支援を担う「子ども家庭局」(仮称)とする組織再編方針を公表し,2017年度の機構・定員要求に盛り込むとしていた。
→今回のような小手先の組織再編では,何も変わらないだろうというのが筆者の感想である。
→従来から,巨大官庁である厚生労働省の「分割論」が問題提起されてきている。2016年4月22日付の毎日新聞(「厚労省分割論-若手議員ら主張,塩崎氏は反発」)の記事に対しての,塩崎厚生労働大臣の記者会見での「国土交通省など巨大官庁はいくつかある。厚労省だけに絞っても日本全体の問題解決にはならないと述べ,不快感を示した」という発言から,安倍政権の認識レベルが明確になった。
→国外の厚生労働省の業務分担は,以下の通り2~3省庁で行われている。
①アメリカ :「社会保障」,「年金」,「労働政策」の3省庁
②フランス :「社会保障」,「労働政策」の2省庁
③スウェーデン :「社会保障」,「労働政策」の2省庁
④イギリス :「社会保障」,「年金・労働政策」の2省庁
⑤ドイツ :「社会保障」,「年金・労働政策」の2省庁
しかし,塩崎厚生労働大臣は2016年5月13日の衆議院厚生労働委員会で,「厚生労働省分割論」に対して,「組織をどう分けようとも,あるいは大臣を2人にしようと,3人にしようとも,この業務量と職員の数というのはバランスは変わらない」と驚愕の答弁をしている。 この人物とやり取りしても得るものはないと思った。(筆者)


(参考)
「厚生労働省再編案に関する質問主意書」(2016年5月25日提出)
7/4 厚生労働省 「2016年版 働く女性の実情」(女性労働白書) ・2016年6月30日,厚生労働省は,「2016年版 働く女性の実情」を公表した。
・「働く女性の実情」は,女性の労働力人口,雇用者数,現金給与額,就業者,完全失業ほか,雇用の状況をまとめた統計資料で,1953年から毎年公表している報告書である。
<「2016年版 働く女性の実情」の構成>
【Ⅰ】 働く女性の状況

(1)2016年の働く女性の状況
(2)地域別にみた女性の就業状況


【Ⅱ】 働く女性に関する対策の概況
①雇用における男女の均等な機会と待遇の確保等対策の推進
②仕事と生活の調和の実現に向けた取組
③パートタイム労働対策の推進
④在宅ワーク対策の推進
⑤家内労働対策の推進
⑥女性の能力発揮促進のための援助

→「指導的地位に占める女性の割合」に関する動向である。
・1999年制定の「男女共同参画社会基本法」に基づいて「第3次男女共同参画基本計画」が2010年12月に閣議決定され,「社会のあらゆる分野において,2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%とする」という目標が設定された。2015年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」では,当該目標を「引き続き更なる努力を行う」こととした。
・2016年4月1日施行の「女性活躍推進法」により,職場における女性の活躍を促す取り組みが始まり,常用雇用労働者301人以上の企業は,「一般事業主行動計画」を策定し,都道府県労働局への届出しが義務化された。
→「2016年版 働く女性の実情」において,民間企業の管理職に占める女性の割合は,2013~2015年の全国平均で8.2%であり,30%という目標の達成は不可能と見られている。安倍政権の「いい加減さ」は,こんなところからも見て取れる。なお,「指導的地位」とは,①議会議員,②法人・団体等における課長相当職以上の者,③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者と定義されている。(筆者)

6/28 厚生労働省 「2016年 国民生活基礎調査の概況」(大規模調査) ・2017年6月27日,厚生労働省は,「2016年 国民生活基礎調査の概況」を公表した。
「国民生活基礎調査」は,保健・医療・福祉・年金・所得など国民生活の基礎的事項を調査し,厚生労働行政の企画や運営に必要な基礎資料を得ることが目的で,1986年を初年として3年ごとに大規模な調査,中間の各年に簡易な調査を実施しており,2016年は大規模調査にあたる。
<「国民生活基礎調査結果」の構成>
項目 高齢者に関する主な結果
(1)世帯数と世帯人員の状況 ①65歳以上の者のいる世帯の状況 ・2,416万5千世帯(全世帯の48.4%)
②65歳以上の者の状況 ・3,531万5千人
・「夫婦のみの世帯」(夫婦の両方又は一方が65歳以上)38.9%,「子と同居」38.4%),「単独世帯」18.6%
(2)各種世帯の所得等の状況 ①所得の種類別の状況 ・全世帯では「稼働所得」74.0%,「公的年金・恩給」19.1%
・高齢者世帯では「公的年金・恩給」65.4%,「稼働所得」21.0%
②貧困率の状況 ・2015年の貧困線は122万円
・「相対的貧困率」は15.6%(「子どもの貧困率」(17歳以下)は13.9%
(3)世帯員の健康状況 ①自覚症状の状況 ・有訴者率は「10~19 歳」166.5で,年齢階級が高くなるにしたがって上昇し,「80歳以上」では520.2
②通院の状況 ・通院者率は「10~19 歳」141.1 で,年齢階級が高くなるにしたがって上昇し,「80歳以上」では730.3
(4)介護の状況 ①要介護者等のいる世帯の状況 ・「核家族世帯」37.9%,「単独世帯」28.9%,「その他の世帯」18.3%
②主な介護者の状況 ・要介護者等と「同居」58.7%,「事業者」13.0%
・「同居」の主な介護者の要介護者等との続柄は,「配偶者」25.2%,「子」21.8%,「子の配偶者」9.7%
・「同居」の主な介護者の性別は,男性34.0%,女性66.0%で,男女とも「60~69歳」28.5%,33.1%
・介護者と要介護者等の組合せは,「60歳以上同士」27.3%,「65歳以上同士」27.9%,「75歳以上同士」30.2%
・介護が必要となった主な原因の多い順は,「認知症」18.0%,「脳血管疾患(脳卒中)」16.6%,「高齢による衰弱」13.3%

→介護が必要な65歳以上の高齢者を「65歳以上の高齢者が介護する「老老介護」の世帯の割合が54.7%に達した。
→「要介護者」が介護が必要となった主な原因の第1位は「認知症」(24.8%)であることから,「老老介護」のうち認知症の要介護者を認知症の介護者が介護する「認認介護」が,今後更に増加していくと想定されている。
→現行の介護保険制度において,「老老介護」や「認認介護」になってしまってからの実効ある選択肢は極めて少ないと思う。筆者は,「要介護4」の実母を77歳からの10年を在宅介護で看取った経験を持つ。「介護」は介護が始まる前,すなわち準備期間からの「介護する者の覚悟のあり様」次第で,「殺すか,心中するか」という「地獄」の一歩手前で,死ぬほどの苦悩を繰り返しながらも,何とか介護生活を送ることも可能だと信じている。思いやりから始まったであろう「介護」から,被害者も加害者も出ないことを祈るばかりである。(筆者)

6/20 首相官邸 第193回通常国会閉会後の「安倍首相の記者会見」 ・2017年1月20日に招集された「第193回通常国会」が,2017年6月18日に閉会した(会期:150日間)。これを受け,2017年6月19日,「安倍首相の記者会見」が行われた。
・文科省の再就職問題,財務省・文科省・内閣府が関わる森友学園問題,文科省・内閣府が関わる加計学園問題,テロ等準備罪の審議・採決方法問題,が次々と噴出し,国会閉会直近の世論調査(毎日新聞)における内閣支持率は36%,不支持率は44%となっていた。

・結果として,内閣提出の法律案72本(今国会提出66本+継続6本)中,67本が成立し,成立率は93%で,議員立法は10本が成立した。その他,予算案が5本,条約承認案が20本,国会承認案が5本,国会同意人事案が23本,決算案が5本,国有財産等承認案が8本,北朝鮮への非難決議1本が成立している。

→「これまでの画一的な発想にとらわれない『人づくり革命』を断行し,日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていく」,そのために「『みんなにチャンス!構想会議』を,この夏立ち上げ」て,内閣に新たに設ける担当大臣には,「有名マルチ商法の広告塔疑惑」のあった「加藤一億総活躍担当相・働き方改革担当大臣」が指名されるのではないかとみられている。そんなのに「人づくり」をやらせるんだ,というのが,筆者の感想である。
→これまでの総括を行わず,新たな政策を脈絡もなく唐突に打ち上げ,その政策を優遇する身内に担当させ,安倍一強体制での「官邸主導」で,今後も強引に進められていくことになる。具体案を示さないのが「安倍首相」の常とう手段である。国民から,これではよくないのではないかという空気が漂い始めてきた,ことを安倍首相が一番感じ取っているのかもしれない,と会見を観ていて思った。
→会見で,官邸スタッフが指名して馴れ合いの質問をしたメディアは,いつも官邸寄りの報道をしてくれるロイター通信,NHK,日本経済新聞,フジテレビの4社であった。例の文科省の再調査の引き金となったと言われる,菅官房長官を追い詰めた「東京新聞の望月記者」を恐れて排除したところが,「安倍政権」のアリの一穴と感じたのは筆者だけではないはずである。(筆者)
6/18 内閣府 「2017年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 ・2017年6月16日,内閣府は,「2017年版 少子化社会対策白書」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,「少子化社会対策基本法」第9条に基づく年次報告書で,2004年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2017年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部 少子化対策の現状
①少子化をめぐる現状
②少子化対策の取組


第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
①重点課題
②きめ細かな少子化対策の推進

→元民主党衆議院議員,元厚生省児童家庭局企画課長でおられた大泉博子氏が,2016年にWEBに公開された「少子化対策はなぜ効果をあげられないのか~問題の検証と今後の展望」をぜひ読んでいただきたいので,URLを紹介したい。氏の提言はともかく,氏の厚生省官僚時代からの経験に基づく「少子化対策の経過」の解説は大変参考になる。
(URL)http://ippjapan.org/archives/1537
→なお,「2017年度社会保障関係予算」(32兆4,735億円)に占める「少子化対策」の比率は0.06%(2兆1,149億円)である。これが,「少子化対策は国にとって喫緊の課題」と言い続けている現政権の本音である。(筆者)

6/17 内閣府 「2017年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2017年6月16日,内閣府は,「2017年版 高齢社会白書」を公表した。
・「高齢社会白書」は,「高齢社会対策基本法」第8条に基づいて,1996年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2017年版 高齢社会白書」の構成>
(A)「2016年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」
第1章 高齢化の状況
①高齢化の状況
②高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
③高齢者の暮らし~経済や生活環境に関する意識

第2章 高齢社会対策の実施の状況
①高齢社会対策の基本的枠組
②分野別の施策の実施の状況


(B)2017年度 高齢社会対策

①2017年度の高齢社会対策
②分野別の高齢社会対策

→「高齢社会白書」では,毎年,意識調査を実施し,第1章第3節において「結果の紹介とともに特徴的な事項を考察する」としている。
・2017年版 ;「高齢者の暮らし~経済や生活環境に関する意識~」
・2016年版 :「国際比較調査に見る日本の高齢者の意識」
・2015年版 :「一人暮らし高齢者に関する意識」
・2014年版 :「高齢期に向けた「備え」に関する意識」
・2013年版 :「団塊の世代の意識」
→「高齢社会白書」は,官僚が考察したものを,政治家で構成する内閣が閣議決定し,国会に報告するという代物である。近時,安倍首相の国民への裏切りを必死にかばう官僚や政治家の姿がテレビで連日放映されるという出来事が立て続けに起こった。
→第193回通常国会の「森友事案と加計事案」において,官僚と政治家が結託して幼稚なウソをつき通そうとする惨めで哀れな姿を観ていて,情けない気持ちになった国民は多いと思う。安倍一強体制での「官邸主導」は,官僚制度まで飲み込んでしまった。そんな理不尽に歯止めをかけられるのは国民以外にないことを思い知った国民も多くいる。国会閉会で,「罰」から逃れられたかどうか・・・。「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉もある。日本の将来のためには,いいモノ?を国民にさらけ出してくれたのかも知れない。ただし,負け戦を承知で行政官僚の矜持を示した「前川喜平前文科次官」のような人物を受け入れる度量が日本国民にあるかどうかであるが。(筆者)
6/16 内閣府 「2017年版 男女共同白書」(概要 / 本文 ・2017年6月9日,内閣府は,「2017年版 男女共同参画白書」を公表した。
・男女共同参画白書は,「男女共同参画者社会基本法」第12条に基づく年次報告書で,2001年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2017年版 男女共同参画白書」の構成>
【Ⅰ】2016年度 男女共同参画社会の形成の状況

特集 女性活躍推進法による女性活躍の加速・拡大に向けて

【Ⅱ】男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2016年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2017年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

→「女子に対する差別」を,1985年に日本が批准した「女子差別撤廃条約」で確認する。
『「女子に対する差別」とは,性に基づく区別,排除又は制限であって,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。』

→「男女共同参画社会」の定義とその実現の重要性を,1999年に成立した「男女共同参画社会基本法」で確認する。
『少子高齢化の進展,国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で,男女が,互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は,緊要な課題となっている。』
→「男女共同参画白書」が特集したテーマの経過である。
・2009年版 :男女共同参画の10年の軌跡と今後に向けての視点−男女共同参画社会基本法施行から10年を迎えて−
・2010年版 :女性の活躍と経済・社会の活性化
・2011年版 :ポジティブ・アクションの推進-「2020年30%」に向けて-
・2012年版 :男女共同参画の視点からの防災・復興
・2013年版 :成長戦略の中核である女性の活躍に向けて
・2014年版 :変わりゆく男性の仕事と暮らし
・2015年版 :地域の活力を高める女性の活躍
・2016年版 :多様な働き方・暮らし方に向けて求められる変革
・2017年版 :女性活躍推進法による女性活躍の加速・拡大に向けて
→2016年4月に施行した「女性活躍推進法」の経緯である。
2014年6月24日に,安倍首相が「新成長戦略」の一環として「女性が輝く日本」を唐突に打ち出した。女性が輝くのは働きに出ることなのか,経済成長させるために女性を働きに出したいということか,という素朴な疑問を持った国民は少なくなかったと思う。2014年臨時国会に「女性活躍推進法案」が提出されたが,衆院解散で廃案になった。2015年の通常国会で再度「女性活躍推進法案」が提出され,2015年8月28日に「女性活躍推進法」が成立し,公布・施行され,「事業主行動計画の策定」については,2016年4月1日に施行された。なお,本法は10年間の時限立法である。
→筆者は,「男女共同参画社会」とは,性別にかかわらず個人の個性や能力を認め合う社会,個人の生き方の多様性が認められる社会で,目指すべき社会であると考えるが,「男女共同参画白書」からその実現の可能性が全く読み取れない。もしかすると,「男女共同参画利権が巣くう社会」がすでに構築されているのではないかと勘ぐってしまう。(筆者)

(参考)
2016年4月から施行の「女性活躍推進法」(内閣府男女共同参画局) / 「女性活躍推進法」特集ページ(厚生労働省)
「事業主行動計画策定指針」(2015年11月20日告示)
「女性活躍加速のための重点方針2016」(2016年5月20日すべての女性が輝く社会づくり本部決定)

「女性の活躍推進に関する世論調査」(2014年11月1日)
6/15 内閣府 「2017年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2017年6月13日,内閣府は,「2017年版 障害者白書」を公表した。
・「障害者白書」は,「障害者基本法」第13条に基づく年次報告書として,1994年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2017年版 障害者白書」の構成>
第1編 共生社会の実現に向けて
第2編 障害者支援の充実に向けた動き
第3編 障害者施策の実施状況


<参考資料>
「障害者施策の主な歩み」
「障害者の状況」
「障害者施策関係予算の概要(2015年~2017年)」

→「2017年版障害者白書」の特徴としては,相模原市の「知的障害者施設殺傷事件」の背景にある偏見や差別意識をなくすための取り組みの粘り強い展開を訴えていること,2020年東京五輪・パラリンピックに備え、ハード・ソフト両面でバリアフリーを推進していく方針を強調していること,が挙げられる。しかし,筆者は,通り一遍で,国に当事者意識の希薄さを感じ,心に届くものがないと思った。
→2016年4月に「障害者差別解消法」が施行され,6月に「改正障害者総合支援法」が公布され,7月に「知的障害者施設殺傷事件」が起こった。「障害者差別解消法」は,2013年6月に成立したが,法の趣旨を周知するため,3年の準備期間を経て,2016年4月に施行されたことを考えれば,国の不作為の責任は厳しく追及されなければならないはずである。
→「合理的な配慮」を義務付けた「障害者差別解消法」において,市町村に策定が義務付けられている「地方公共団体における対応要領」の策定率は61.6%で,「地方公共団体における地域協議会」の設置率は37.8%である。これは,いかに政策と実態とが遊離しているかの証明でもある。
→「2017年版障害者白書」について,メディアは,次のような見出しで,一過性に取り上げるだけである。
・日本経済新聞 :「障害者雇用、13年連続最多 障害者白書」
・東京新聞 :「17年版障害者白書を閣議決定 相模原事件に言及,共生訴え」
・NHK :「障害者白書 “偏見や差別意識なくす取り組みを”」
「言ってることととやってることが違う」と訴え続けるのがメディアは責任ではないのかと思う。(筆者)

6/14 内閣府 「2017年版 子供・若者白書」(概要 / 本文 ・2017年6月13日,内閣府は,「2017年版 子供・若者白書」を公表した。
・「子供・若者白書」(旧青少年白書)は,「子ども・若者育成支援推進法」第6条に基づく年次報告書として,2010年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2017年版 子供・若者白書」の構成>
【特集】若者にとっての人とのつながり 
第1章 :子供・若者育成支援施策の総合的な推進
第2章 :全ての子供・若者の健やかな育成
第3章 :困難を有する子供・若者やその家族の支援
第4章 :子供・若者の成長のための社会環境の整備
第5章 :子供・若者の成長を支える担い手の養成
第6章 :創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援
第7章 :施策の推進体制等

<参考資料>
「子供・若者育成支援施策関係予算の概要(2016年~22017年)」

→子ども・若者の生存や発達は危機的な状況にあり,総合的な実践が必要だと言われて久しい。
→「2017年版 子供・若者白書」に関する新聞の見出しは,以下の通りである。
・日本経済新聞 :「ニート,4年ぶり増加 子ども・若者白書 」
・毎日新聞 :「無職だと孤立の恐れ 居場所少なく」
・東京新聞 :「無職だと孤立の恐れ 居場所少なく,若者白書」
・NHK :「「自分の居場所多い子は充実感」子供・若者白書」
→近年の「子供・若者育成施策」の経緯である。
・2003年6月に内閣に「青少年育成推進本部」が設置され,2003年12月に「青少年育成施策大綱」が策定された。5年後の見直しで,2008年12月に「新青少年育成施策大綱」が策定された。
・2009年7月に成立した「子ども・若者育成支援推進法」が2010年4月1日に施行された。同時に,内閣に「子ども・若者育成支援推進本部」が設置され,2010年7月には「子供・若者育成支援推進大綱(子ども・若者ビジョン)」が策定された。5年後の見直しで,2016年2月に「新子供・若者育成支援推進大綱」が策定された。日本の子ども若者政策は,従来の「健全育成」や「パターナリスティック」な政策から「社会包摂」の枠組みへと転換した。しかし,「子ども・若者育成支援推進法第19条」において,地方公共団体に「子ども・若者支援地域協議会」の設置を努力義務とされたものの,2017年4月現在の設置数は105地域に過ぎない。
→とにかく,国の政策実行への本気度が示されなければ,地方は動かない。当然に,実効あるものにはならない。(筆者)

6/11 首相官邸 2017年の4政策計画(骨太の方針2017,成長戦略2017,規制改革実施計画2017,まち・ひと・しごと創生基本方針2017)が公表された ・2017年6月9日,政府は,「4政策計画」(経済財政運営と改革の基本方針<骨太の方針>2017,未来投資戦略<成長戦略>2017,規制改革実施計画2017,まち・ひと・しごと創生基本方針2017)を閣議決定し,公表した。
2017年の4政策計画 ポイント
経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~(骨太の方針2017) ・人材投資による「生産性向上」をめざす
・幼児教育と保育の早期無償化と待機児童対策に取り組む
・これらは歳出削減,増税,こども保険が財源の候補
・財政健全化として,2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する目標を維持する
・同時に,GDPに対する政務残高比率を引き下げる
・なお,社会保障費の膨張を抑える策として素案に示されていた薬価引き下げは,自民党の反対で消滅した
未来投資戦略2017~Society5.0の実現に向けた改革~
(成長戦略)
・小型無人機ドローンを使った荷物配送を,山間部に続き都市部でも2020年代に本格化させる
・トラックの隊列自動走行を2022年に高速道路で商業化する
・規制を一時凍結して,迅速な実装実験を促す「サンドボックス制度」を導入する
規制改革実施計画2017 ・政府が今後取り組む,141項目の規制緩和や制度の見直し策が盛り込まれてい(行政手続きを簡素化して,企業の作業を2割削減する,労働基準監督署業務の民家員委託など)
まち・ひと・しごと創生基本方針2017 ・地方創生の新展開に向け,アベノミクスを浸透させるため,地方の「平均所得の向上」を目指す
なお「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日)については,2017年5月27日に「ニッポン一億総活躍プランフォローアップ会合」が設置され,ロードマップのフォロー等が実施される。

→「2017年度 4政策計画」に関する新聞の見出しは,以下の通りである。
・読売新聞 :「「骨太」など閣議決定…GDP600兆へ4計画」
・日本経済新聞 :「骨太方針決定 アベノミクス5年,「安倍1強」生かせず 経済の力低下 社会保障・財政は「落第」 」
・東京新聞 :「幼・保無償化1.2兆円超 骨太方針を閣議決定」
・毎日新聞 :「骨太方針決定 小粒な成長戦略 経済運営,財政頼み」
・朝日新聞 :「暮らしの課題解決し成長 人材へ投資し生産性向上 成長戦略・骨太の方針,閣議決定」
→「潜在成長率は上向かない,規制改革などを武器とした成長力のエンジンは不完全燃焼のまま」であるのに,「成長と好循環を拡大するため,人材への投資を通じた生産性の向上を図る」とする安倍首相の強弁がむなしく響いている。
→財源にめどがたっていない見栄えのいい事業を並び立て,歳出抑制を後回しにする意図がある「骨太の方針」や,国際競争が激しい技術革新での税収の見通しの不透明な「成長戦略」に対して,総じて政策の継続性に疑問が呈せられている。(筆者)

6/3 厚生労働省 「2016年人口動態統計月報年計(概数)の概況」 ・2017年6月2日,厚生労働省は,「2016年人口動態統計月報年計(概数)の概況」を公表した。
項 目 ポイント
①出生数➡減 ・出生数は97万6,979人(前年比2万8,698人減,現在の形で統計を取り始めた1899年以降初めて100万人を割り込んだ)
・第1子出生時の母の平均年齢は上昇傾向で,2016年は30.7歳

・合計特殊出生率は1.44 (前年比0.01減)
②死亡数➡増 ・130万7,765人(前年比1万7,321人増,過去最大)
・死因順位 :(1)悪性新生物(全死亡者の28.5%),(2)心疾患(同15.1%),(3)肺炎(同9.1%)で,死亡者の3.5人に1人は悪性新生物で死亡
③自然増減数➡減 ・出生数と死亡数の差である自然増減数は△33万786人(前年比4 万6,019人減)
・沖縄県(4910 人)のみが自然増減数が増加
④死産数➡減 ・2万938胎(前年比1,679胎減)
⑤婚姻件数➡減 ・62万523組(前年比1万4,633組減)
・平均初婚年齢は夫31.1歳,妻29.4 歳(夫妻ともに前年と同年齢)
⑥離婚件数➡減 ・21万6,805組(前年比9,410組減)

→本統計により,安倍政権が,2015年に「アベノミクス第2段階」で目標設定した「2025年度末までに出生率1.8」,「2060年に人口1億人程度維持」が,いずれも不可能になったと受け止められている。これらは,2年ももたずに科学的な根拠を持たない希望的ないしはその場しのぎの目標数値であったことが分かった。
→2017年の通常国会において,安倍首相が公私混同と指摘されている事案・事件について,平然と臆面もなく「嘘」をつき通し,その嘘に口裏を合わせることに汲々としている官僚の哀れな姿を国民は目の当たりにした。これによって,安倍政権の提出する公的な計画等の信ぴょう性に疑いを持った国民は少なくないと思う。(筆者)

5/31 厚生労働省 「2017年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・2017年5月30日,厚生労働省は,「2017年版 自殺対策白書」を公表した。
・「自殺対策白書」は,「自殺対策基本法」第10条に基づいて,2007年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2017年版 自殺対策白書」の構成>
第1章 自殺の現状
第2章 自殺対策の基本的な枠組みと動向
第3章 2016年度の自殺対策の実施状況

資料編

→「2017年版 自殺対策白書」に関するマスメディアの取り上げ方・見出しは,通り一遍で以下の通りである。メディアの責任感のなさには恐れ入る。
・日本経済新聞 :日本の自殺率6位 政府が2017年版白書 若年層ほど深刻」
・読売新聞 :「自殺者2万1897人,7年連続減少」
・東京新聞 :「日本の自殺率はワースト6位 女性では3位 若年層が深刻」
・NHK :「自殺対策白書 若い世代の自殺に歯止めを」
→2015年度以降,「自殺対策」に関して,大きな動きが3点あった。
(1)第189回通常国会において,2015年9月4日,内閣府提出の「改正国家行政組織法」が成立し,2016年4月1日から施行された。内容は,内閣府本府から各省等に所掌事務を移管するもので,「自殺対策」が「厚生労働省」に移管され,大綱の見直し,「自殺総合対策会議」の運営,自殺対策白書の取りまとめが行われることになった。
(2)第190回通常国会において,2016年3月22日に議員立法である「改正自殺対策基本法」が成立し,2016年4月1日から施行された。改正のポイントは,①目的規定の改正,②基本理念の追加,③都道府県自殺対策計画等,④基本的施策の拡充,である。
(3)2016年12月より「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」が開催され,現行の「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」の見直しが行われており,2017年8月には「新自殺総合対策大綱」が閣議決定される予定である。
→毎年同じコメントになるが,「日本の自殺対策」は課題満載である。厚生労働省に移管されたが,政策・施策が機動的になったという評価は出ていない。今後,自殺対策=うつ病対策に矮小化されるのではないかという懸念を提示する説得力のある意見がある。「うつ症状を感じた人の64.7%がはじめに内科を受診するが,精神科・心療内科の受診率は10%未満である」という事実は伏せられたままである。また,これまでの年間3万人が2万5,000人に減少したというのは意味のない算術であり,単純に年間2万5,000人が毎年増加しているという認識を国民に定着させることが重要であると思われる。
→誠に失礼とは思うが,「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会のメンバー」には,『こころの科学186号~「死にたい」に現場で向き合う~』を熟読してもらいたいと思っているのは筆者だけではないと思う。(筆者)
5/8 厚生労働省 「介護分野の最近の動向」 ・2017年4月26日,「第137回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され,会議資料が公表された。
<「介護分野の最近の動向」の項目>
①介護保険をとりまく状況
②2015年度介護報酬改定について
③2017年度介護報酬改定について
④2017年介護保険制度改正案について


(参考)
介護保険の各介護サービスについて

→介護保険法第116条で「基本指針」を定めることが規定されており,「都道府県及び市町村は,基本指針に即して,3年を1期とする都道府県介護保険事業支援計画および市町村介護保険事業計画を定める」こととされ,基本指針は計画作成上のガイドラインの役割を果たしている。現行の第6期基本指針では,第6期(2015年度~2017年度)以降の市町村介護保険事業計画は,「地域包括ケア計画」と位置付け,2025年までの各計画期間を通じて地域包括ケアシステムを段階的に構築することとしている。次期の第7期基本指針(2018年度~2020年度)においては,第6期で目指した目標や具体的な施策を踏まえ,地域包括ケアシステムの着実な構築に向けた取組を進めていくために,第7期の位置付けを明らかにすることが求められており,「社会保障審議会介護保険部会」で2017年2月27日から検討されている。(筆者)
4/14 厚生労働省 「日本の将来推計人口=2016年~2065年=(2017年推計)」 ・2017年4月10日,「第19回社会保障審議会人口部会」が開催され,「日本の将来推計人口=2016年~2065年=(2017年推計)」が公表された。
<前回推計(2012年)との比較>
比較項目 2012年(2011年~2060年) 2017年(2015年~2065年)
総人口が1億人を下回る時期 2048年 2053年
老年人口の割合 40.4% 38.4%
合計特殊出生率 1.35 1.44
平均寿命 女性:90.93歳
男性:84.19歳
女性:91.35歳
男性:84.95歳

→今回の推計は,2015年国勢調査の確定数が公表されたことを受けて算出されたものである。
→菅官房長官は4月10日の記者会見で,『「一億総活躍プラン」に掲げた子育て支援などの施策を推進すれば「合計特殊出生率や総人口の推計値はさらに上昇する』との危機感のない発言をしている。なお,安倍政権は,1億総活躍社会に向け「希望出生率1.8」の実現を掲げている。(筆者)

4/6 厚生労働省 2017年4月から厚生労働関係で何が変わったか <2017年4月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)年金関係 ①2017年度の国民年金保険料 ・16,260円→16,490円
②2017年度の老齢基礎年金額 ・月65,008円→月64,941円
③中小企業等に対する被用者保険の適用拡大 ・2017年4月:500人以下の企業も,労使の合意に基づき,企業単位で短時間労働者への適用拡大が可能(2016年10月から,5つの条件を全て満たす場合は,社会保険が適用)
(2)医療関係 ④後期高齢者の保険料軽減特例の段階的な見直し (1)所得の低い方の所得割軽減:5割→2割
(2)元被扶養者の均等割の軽減:9割→7割
⑤地域医療連携推進法人制度の創設 ・医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため,地域医療連携推進法人の認定制度を創設
(3)福祉関係 ⑥医療費助成の対象となる小児慢性特定疾病の追加 ・童福祉法に基づく医療費助成の対象となる小児慢性特定疾病として新たに18疾病を追加
(4)疾病対策関係 ⑦医療費助成の対象となる指定難病の追加 ・難病の患者に対する医療等に関する法律に基づく医療費助成の対象となる指定難病として新たに24疾病を追加
(5)雇用・労働関係 ⑧労災保険の介護(補償)給付額の改定

(1)常時介護を要する方
・最高限度額:月額105,130円(180円の引き上げ)
・最低保障額:月額57,110円(80円の引き上げ)
(2)随時介護を要する方
・最高限度額:月額52,570円(90円の引き上げ)
・最低保障額:月額28,560円(40円の引き上げ)

雇用保険法等の一部を改正する法律の一部施行 <雇用保険法関係>
(1)雇用保険料率(失業等給付):0.8%→0.6%
(2)雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する暫定措置を5年間実施。また,災害により離職した者の給付日数を原則60日(最大120日)延長できる
(3)雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施。
(4)倒産・解雇等により離職した30~45歳未満の者の所定給付日数を引き上げ
<職業安定法関係>
・職業紹介の機能強化及び求人情報等の適正化
⑪次世代育成支援対策推進法施行規則の改正施行 ・次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみん認定)及び特例認定(プラチナくるみん認定)の基準の見直し
(5)各種手当て・手数料関係 ⑫2017年度の児童扶養手当等の手当額 ・2018年3月までの額は0.1%の引下げ(2016年4月比)

→毎年4月の暮らしに関わる変更は,この国がどういう方向に進もうとしているのかを考えてみるいい機会になる。(筆者)(筆者)
3/28 首相官邸 「2017年度予算についての安倍首相会見」 ・2017年3月27日,「2017年度政府予算案」(一般会計総額:97兆4,547億円<過去最大>)は,参議院本会議で政府案通り可決,成立した。
<「2017年度予算」のポイント>
◎「経済・財政再生計画」2年目の予算として、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算
(1)経済再生
誰もが活躍できる一億総活躍社会を実現し,成長と分配の好循環を強化。
保育士・介護人材等の処遇改善,待機児童解消加速化プランに沿った保育の受け皿拡大,年金の受給資格期間の短縮,育児休業制度の拡充,雇用保険料の軽減,給付型奨学金の創設等
経済再生に直結する取組を推進。
官民一体となっての日本経済の成長力を高めるような施策への重点配分,科学技術振興費の伸長,第4次産業革命の推進,公共事業関係費の成長分野への重点化等
働き方改革を推進。
賃金アップを図る企業への助成,勤務間インターバルを導入する中小企業への支援,非正規労働者の正社員転換や待遇改善に取り組む企業の支援等

(2)財政健全化
⼀般歳出の伸びについて,2年連続して「経済・財政再生計画」の「目安」を達成(+5,300億円)。
社会保障の持続可能性を確保するために,社会保障関係費の伸びも「目安」に沿って抑制(+5,000億円)。
負担能力に応じた公平な負担,給付の適正化などの観点から,高額療養費/高額介護サービス費の見直し,後期高齢者医療の保険料軽減特例の見直し,介護納付金の総報酬割の導入などの改革を推進。
国債発行額(34.4兆円)を引き続き縮減(前年度から▲622億円)。

→一般会計総額は5年連続で過去最大規模となり,「国の基礎的財政収支は悪化するなど,財政再建の道筋は全く見えない」,「社会保障費についても,とりあえず自然増を5,000億円の枠内に収めるために,理念の乏しいツギハギを行っただけにすぎない」との指摘がある。
→予算案成立後の後半国会において,政府は,「共謀罪」の新設法案や天皇陛下の退位に関する特例法案の重要法案の成立を目指すとされている。(筆者)
3/15 厚生労働省 「第29回社会福祉士国家試験合格発表」および「第19回精神保健福祉士国家試験合格発表」 「第29回社会福祉士国家試験の合格発表」
区分 内容
合格率(合格者数/受験者数) 25.8%(11,828人/45,849人
合格者内訳 男性:女性 35.7%:64.3
保健福祉系大学等卒業者:養成施設卒業者 56.7%:43.3
年齢 47.4%(30歳以下),38.4%(31~50歳)

「第19回精神保健福祉士国家試験の合格発表」

区分 内容
合格率(合格者数/受験者数) 62.0%(4,446人/7,174人)
合格者内訳 男性:女性 33.1%:66.9%
保健福祉系大学等卒業者:養成施設卒業者 36.4%:63.6%
年齢 43.9%(30歳以下),42.1%(31~50歳)

→これらの有意の人たちを正しく評価し,活躍できる場を提供する環境は,現在の日本にはない。3福祉士資格の現状を把握するために,トップのページの「トピックス」のうち,「3福祉士の資格に関わる最新の行政情報」をご覧いただきたい。
→社会的認知度の向上や処遇・待遇の改善は,他力本願では進まない。職能団体(介護福祉士社会福祉士精神保健福祉士)のあり方が重要になっている。また,社会福祉士および精神保健福祉士に関しては,養成機関(社会福祉士精神保健福祉士)の不作為の責任は追及されるべきである。(筆者)
2/17 - ■「第29回介護福祉士国家試験の受験申込者半減等の報道」に関する「日本介護福祉士会」の公式声明 ・2017年1月29日に「第29回介護福祉士国家試験」が実施されたが,今回の受験者数は7万9,113人であり,前回16万919人,前々回16万2,433人の5割を下回る急激な落ち込みとなった。
・「実務経験ルート」では,今回から「実務者研修」(最大で450時間)が必須とされており,これが受験者数の急激な落ち込みの最大要因であるとの報道がなされた。
・「高邁な理想を優先して現場の実情を考慮しなかった結果。介護福祉士を志す人が減ってしまっては,サービスの質の向上にもつながっていかない。まさに本末転倒で完全な失敗だ」と淑徳大学の結城教授が指摘したことも報道されていた。
・これらの報道を受けて,2017年2月7日に職能団体である「日本介護福祉士会」が公式声明を提出したものである。
<介護福祉士国家試験の受験申込者半減等の報道について>(原文のまま)
 この度,介護福祉士国家試験の受験申込者の半減や介護福祉士養成施設入学者が定員の5割を切った等の報道がされている。この事実は一定のインパクトはあるが,日本介護福祉士会では,この事実のみをもって「資格取得方法の一元化」を否定するものではないと考える。
 介護人材不足の状況は,極めて危機的な状況にある。しかし,質の確保なくして量の確保を図ることは困難である。例えば,処遇の改善は重要な課題ではあるが,質の確保が図られないままに処遇が改善されても,根本的な解決にはならない。提供される介護サービスの質を担保し,介護職に対する信頼や社会的評価を確保することこそが,量の確保を図るための本質的な解決策である。
 私たち介護福祉士は,身体的な介助業務を行うだけでなく,その業務を行いつつ,個々の要介護者等の状態に応じ,目の前の方のもつ可能性を信じ,その方の人生そのものを支える支援を行っており,これこそが,介護サービスの質の追及である。
 現在,厚生労働省の福祉人材確保専門委員会では,介護福祉士を介護職チームの中核に位置づける方向性が示されており,介護福祉士が求められる役割を適切に担うことが出来る環境を整備することこそが重要である。
 資格取得方法の一元化は,資格に対する一定の信頼性を獲得するための土台になるものであり,介護福祉士が求められる役割に適切に応えていくことが,介護サービスの質の向上や,介護福祉士資格の社会的評価,介護職の訴求力にも結びつくことになる。そして,そのことが,結果として介護人材不足の解消に一定の影響をもたらすことになる。
 日本介護福祉士会としては,昨年末に介護福祉士に求められる役割等について意見書を提出したところである。そこでお示しした役割を適切に担うことができる介護福祉士の育成を図りつつ,介護職の処遇改善や労働環境の整備,介護職に対するイメージアップ,潜在的介護人材の発掘に取り組むなど,「質と量の好循環」を目指します。
 なお,今回の介護福祉士国家試験の受験者数の激減を受け,絶対基準を採用している合格基準を,政策的に歪める対応は行われるべきではないことを付言する。

→日本介護福祉士会の公式声明を読んで,「言い分に誤りはないと思うが,もっと穏やかな言い方で理解を求めることが大切ではないか」と悲しい気持ちになった。同時に,厳しい就労環境にある弱い立場の介護職に対して,研修費用(10〜15万円程度)を一方的に負担させることに疑問を持たない職能団体に憤りを感じる。(筆者)
2/6 厚生労働省 「児童相談所の現状」 ・2017年2月1日,「第5回子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ」が開催され,会議資料が公表された。
・「子ども家庭福祉人材の専門性確保ワーキンググループ」は,2016年5月27日に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」における「児童相談所の体制強化」を踏まえた児童福祉司等に義務付ける研修の内容・実施体制等を構築するためのワーキンググループである。
<「児童相談所の現状」のポイント>
項目 内容
①児童相談所での相談対応件数の推移 ・2015年度の児童相談所での相談対応件数は439,200件で,「障害相談」42.2%,「養護相談(虐待相談を含む)」36.9%で,「児童虐待防止法」が施行される前の1999年度の8.9倍である。
②児童相談所での虐待相談の内容別件数の推移 ・2015年度は「心理的虐待」47.2%,「身体的虐待」27.7%,「ネグレクト」23.7%である。
③児童相談所での虐待相談の経路別件数の推移 ・2015年度の通告は,「警察等」37%,「近隣知人」17%,「家族」9%,「学校等」8%である。
④主たる虐待者の推移 ・2015年度は,「実母」50.8%,「実父」36.3%である。
⑤虐待を受けた子どもの年齢構成の推移 ・2015年度は,「小学生」34.7%,「3歳から学齢前児童」23.0%,「0歳から3歳未満」19.7%で,小学校入学前の子どもの合計の割合は42.7%である。
⑥虐待相談の対応状況 ・「面接指導」89.5%,「施設入所等」4.0%,「里親等委託」0.4%である。
⑦児童相談所での所内一時保護の状況 ・2015年度の一時保護所内の一時保護件数は23,276件で,保護理由では「児童虐待」49.9%,「虐待以外の養護」25.5%である。

→現状,「児童相談所の体制」に関して,国家資格である社会福祉士も精神保健福祉士も無縁である。
→近時,社会福祉士・精神保健福祉士を「児童相談所の体制強化」の蚊帳の外に置いた報告書を受け,「社会福祉士・精神保健福祉士関係5団体,日本社会福祉学会」が,自分たちの活用を内容とするお願い文書を提出したことを知っていますか?
2015年8月28日に「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書」が提出され,2015年9月17日に『「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書」に関する提案及び依頼』が提出された。
→福祉専門職は,これらの報告書,依頼文書を見てどのように感じましたか?現状,社会福祉士と精神保健福祉士がこのような扱いを受けていることを,ソーシャルワーク教育を標榜する教育機関は,生徒,学生にきちんと伝えているのだろうか?このままでいいわけがない。(筆者)

1/24 厚生労働省 「2016年度全国厚生労働関係部局長会議」が開催された ・厚生労働省は,2017年1月19日・20日に開催された「2016年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会および労働分科会)」の資料を公表した。
全体会議,厚生分科会資料
(1/19~1/20)
労働分科会資料
(1/19)
①大臣官房総務課
②大臣官房厚生科学課
③医政局
④医薬・生活医衛生局
⑤健康局
⑥老健局
⑦保険局
⑧政策統括官(総合政策担当)
⑨医薬・生活衛生局(生活衛生・食品安全部)
⑩雇用均等・児童家庭局
⑪社会・援護局
⑫社会・援護局(障害保健福祉部)
⑬職業安定局
⑭政策統括官(統計・情報政策担当)
⑮年金局
①政策統括官(総合政策担当)
②労働基準局
③雇用均等・児童家庭局
④政策統括官(統計・情報政策担当)
⑤職業安定局
⑥社会・援護局
⑦職業能力開発局

→「全国厚生労働関係部局長会議」は,厚生労働行政の次年度の政策及び現状と課題について,都道府県等に周知し,円滑な事業運営を図ることを目的として,例年1月~2月に開催されている。
→福祉専門職として,把握しておかなければならない最重要の会議資料である。(筆者)
1/23 首相官邸 ■2017年1月20日に「第193回通常国会」が召集され, 「安倍首相の施政方針演説」が行われた ・2017年1月20日に「第193回通常国会」が開会し,安倍首相が施政方針演説を行った。「第193回通常国会」の会期は2017年6月18日までの150日間である。
・なお,政府・与党は,「第3次補正予算案」の早期成立と「2017年度予算案」の3月末までの成立を目指すとしている。

→施政方針演説に関する新聞各社の見出しは,以下の通りである。
産経新聞 :「日米同盟「不変の原則」を強調 憲法改正発議に向けた国会論議の加速を呼びかけ」
読売新聞 :「安倍首相,退位法整備に意欲…施政方針演説」
日経新聞 :「首相,一億総活躍へ働き方改革を加速 施政方針演説」
東京新聞 :「首相施政方針演説 「都合の悪い事実触れず」」
毎日新聞 :「安倍首相「未来」を24回連呼」
→日本で,2017年1月20日14:00頃に安倍首相が施政方針演説を行い,アメリカでは,1月21日2:00頃(日本時間)にトランプ新大統領が誕生し,就任式後,トランプ新政権は,TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱する方針を正式に表明した。2017年1月23日,トランプ大統領は「TPPからの離脱に関する大統領令」に署名した。これにより,TPPの発効は不可能となり,安倍政権は「成長戦略」「アベノミクス」の見直しが必要となった。
→2017年2月20までのオバマ政権においては,「第3次アーミテージ・ナイ報告書(The U.S-Japan Alliance ANCHORING STABILITY IN ASIA)」(2012年8月15日)が安倍政権の政策の「指針」であり「シナリオ」であった。「虎の巻」をなくした安倍首相の施政方針演説に虚無と哀れを感じのは筆者だけではないと思う。

時期 「第3次アーミテージ・ナイレポート」と整合する日本の重要な施策
2013年12月 「特定秘密保護法」が成立
2014年4月 「原発を重要な基幹電源とするエネルギー基本計画」を閣議決定
2014年4月 「武輸出器三原則を全面的に見直し,輸出を原則解禁」
2014年7月 「集団的自衛権行使を容認する解釈改憲」を閣議決定
2015年9月 「安全保障関連法」が成立
2015年11月 安倍首相が,日米首脳会談で,南シナ海への自衛隊派遣の検討を表明
2015年12月 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決で韓国と合意
2016年12月 南スーダンPKOで,駆け付け警護などの新任務が可能になる
2016年12月 「TPP」を国会承認
→さて,「未来」を多用する安倍首相は.,あからさまに「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ新大統領に,どのようにすり寄っていくのかを楽しみにしている。(筆者)
1/17 厚生労働省 「2016年度民生委員・児童委員の一斉改選結果」 ・2017年1月16日,厚生労働省は「2016年度民生委員・児童委員の一斉改選結果」を公表した。任期は,2016年12月1日から2019年11月30日までの3年間である。
<改選結果>
項目 2013年度 2016年度
定 数 236,271人 238,352人(2,081人増)
委嘱数 229,488人 229,541人(53人増)
うち新任委員:72,578人<31.6%>,再任委員:156,963人<68.4%>
充足率 97.1% 96.3%
(参考)
「民生委員・児童委員の概要」
「民生委員・児童委員の活動状況」(2015年度福祉行政報告例より)

「民生委員・児童委員に関するQ&A」

→民生委員・児童委員に関する最近の動向である。
厚生労働省は,2013年10月に「民生委員・児童委員の活動環境の整備に向けた検討会」を設置し,2016年4月21日に「民生委員・児童委員の活動環境の整備に関する検討会報告書」を公表した。また,2016年7月15日に『「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部』が設置され,2016年12月16日に「地域力強化検討会中間とりまとめ」が公表された。なお,地域力強化検討会は,「中間とりまとめ」で示した「我が事・丸ごと」の体制の具体的な展開および地域福祉計画のガイドラインの見直し等について,2017年夏を目処に検討を続ける予定とされている。
→2018年版厚生労働白書の「社会福祉の実施体制」を見ていると,「民生員・児童委員制度」を効果的なものにするための知恵を絞り出すべき時期に来ていると思う。宝の持ち腐れになっており,もったいない。(筆者)

2017年
1/5
首相官邸 安倍首相の「2017年 年頭記者会見」 ・2017年1月4日に,安倍首相の「年頭記者会見」が行われた。
<「年頭記者会見」のポイント>
項目 ポイント
経済 ・2017年も経済最優先。(デフレ脱却に向け,金融政策,財政政策,成長戦略の「3本の矢」を打ち続けていく)
外交 ・鳥の目のように,世界地図を俯瞰する積極的な外交を展開する。
国会 ・憲法施行70年の節目の年に当たり,次の70年を見据え,「新しい国づくり」を進める。
・2017年1月20から始まる通常国会は「未来を拓く国会」である。
衆議院解散 ・今年になって,「解散」の2文字を考えたことは全くない。
天皇陛下の退位 ・極めて重い課題であり,「政争の具」にせず,静かな環境で議論を進めるべきである。

→安倍首相は,2017年1月1日の「2017年 年頭所感」では,経済については,『誰もが,その能力を発揮できる一億総活躍社会を創り上げ,日本経済の新たな成長軌道を描く』とし,外交・世界の中の日本の位置づけについては,『積極的平和主義の旗をさらに高く掲げ,日本を,世界の真ん中で輝かせる』とした。そして,『新たな国づくりを本格的に始動する。この国の未来を拓く一年とする』としている。
→安倍首相は,「新しい国づくり」を,具体的に明確にしていない。それを厳しく聞き質すことがメディアの役割ではないのか,と腹立たしく思ったのは筆者だけではないはずである。「戦後レジュームからの脱却」を言い出した安倍首相は,当初厳しい批判を受けたので,その後はその表現を避けているが,撤回したわけではない。現行憲法下での「集団的自衛権の行使」を容認してきた。憲法改正による「自衛隊の国軍化」を残された課題としていることは周知である。さらに,外交においても,アメリカ一辺倒で,特に中国との外交関係が極めて不安定で,危機的な状況となっており,「世界地図を俯瞰する積極的な外交を展開する」,「日本を,世界の真ん中で輝かせる」とは矛盾している。(筆者)

12/19 - 2016年12月17日に「第192回臨時国会」が閉会した。 ・第192回臨時国会は,2016年9月26日に召集され,「TPP承認案・関連法案」「年金制度改革法案」を成立を成立させるため12月14日までの会期を延長し,さらに「特定複合観光施設区域整備推進法案(IR整備推進法案・カジノ解禁法案)」を成立させるために,12月17日まで再延長され,12月17日に閉会した。結果として,会期は83日間にわたった。
・今国会の政府新規提出法案19本のうち18本(不成立の1本は商法・国際海上物品運送法改正法案で継続審議となった)「が成立し,成立率は94.7%であった。
・政府・与党は,第190回通常国会から継続審議となっていた「環太平洋連携協定(TPP)関連法案」と「年金制度改革法案」が国会延長で成立させ,さらに「特定複合観光施設区域整備推進法案(IR整備推進法案・カジノ解禁法案)」を再延長国会で成立させた。
・また,「第189回通常国会」で提出され,継続審議となっていた労働時間規制の緩和を目的とする「労働基準法改正案」は審議されず,「第193回通常国会」に継続審議となった。この法案には,野党からは「残業代ゼロ法案」との批判のある。
・なお,議員立法では,新規提出の「ストーカー規制法改正案」「がん対策基本法改正案」などが成立した。
<厚生労働省に関連する主な法律案・法律(まとめ)>
区分 法案名 概要 施行
新規 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
(2016年9/26提出,11/16成立)
・年金受給資格期間を25年から10年に短縮することについて,2017年度中から実施できるよう,年金機能強化法を改正し,施行期日を消費税10%引上げ時から,2017年8月1日に改める。 公布日
継続 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(年金制度改革関連法案)
(第190回通常国会からの継続審議,12/14成立)
①短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進
②国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除
③年金額の改定ルールの見直し
④年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の組織等の見直し
⑤日本年金機構の国庫納付規定の整備
-
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案
(第190回通常国会からの継続審議,11/18成立)
①技能実習制度の適正化
②技能実習制度の拡充
公布日から1年以内
労働基準法等の一部を改正する法律案
(継続審議に)
①長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等
②多様で柔軟な働き方の実現
-
議員立法 がん対策基本法改正法案
(12/9成立)
・がん患者の雇用継続について「配慮に努める」と事業主の責務を定める。
・がんで治療を受ける子どもが学業を続けられるよう国などが環境整備などを行う。
・「希少がん」について研究の推進を明記する。
-

→「環太平洋連携協定(TPP)承認・関連法」「年金カット法」「カジノ解禁推進法」の成立のために2度の会期延長をし,いずれも野党からは「採決強行」との批判を受けた。
→2016年9月26日の開会から12月17までの会期中に,安倍首相は「アメリカ次期大統領に選出されたトランプ氏と初会談」し,「ロシアのプーチン大統領と首脳会談」を行った。会談の結果,トランプ氏からは会談直後に「就任時にTPPからの離脱を明言」され,プーチン大統領からは「北方領土には触れられず」というみじめなものであった。特に,プーチン大統領との首脳会談については,二階俊博自民党幹事長から「国民の皆さんの大半は,がっかりしているということを,我々も含めて,心に刻んでおく必要があると思う。」という発言は,今後の国政には重要と思われる。
(筆者)
12/14 厚生労働省 「社会福祉士のあり方」および「社会福祉士の現状と各種制度の動向」 ・2016年12月13日,「第8回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開催され,会議資料が公表された。
<社会福祉士の活用・活躍に関わる国会や審議会等の動向(まとめ)>
●1989年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が成立した。
「社会保障審議会福祉部会 介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見(2006年12月12日)」
・これまでの福祉サービス利用に向けた相談援助だけでなく,「第2社会福祉士制度の在り方 ①社会福祉士に求められる役割」が示された

「社会保障審議会 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書(2013年1月25日)」

・「Ⅲ 2.(5)新たな相談支援事業で配置する職員について」を参照
「衆議院厚生労働委員会 生活困窮者自立支援法に対する附帯決議(2013年12月4日)」
・自立相談支援事業の相談員については,その責務の一環として訪問支援にも積極的に取り組むこととし,ケースワーカーや民生委員等,関係者間の連携と協力の下,生活困窮者に対し漏れのない支援を行い,そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置することを検討し,適切な措置を講ずる
「第6回福祉人材確保対策検討会(2014年10月3日)」
・「2.社会福祉士に求められる役割について」を参照
「社会保障審議会児童部会 児童虐待防止策のあり方に関する専門委員会報告書(2015年8月28日)」
・「3.(1)④ウ.スクールソーシャルワーカー等の積極的活用」を参照
「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム(誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現~サービスの実現新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン~)(2015年9月)」
・「4.新しい地域包括支援体制を担う人材の育成・確保」を参照
「中央教育審議会 チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)(2015年12月21日)」
・スクールソーシャルワーカーを学校等において必要とされる標準的な職として,職務内容等を法令上,明確化すること,将来的には学校教育法等において正規の職員として規定し,義務標準法において教職員定数として算定し,国庫負担の対象とすることを検討する
「「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日閣議決定)」
・介護離職 ゼロの実現(安心した生活(地域課題の解決力強化と医療・福祉人材の活用)⑨地域共生社会の実現)
・「育児,介護,障害,貧困,さらには育児と介護に同時に直面する家庭など,世帯全体の複合化・複雑化した課題を受け止める,市町村における総合的な相談支援体制作りを進め,2020年~2025年を目途に全国展開を図る

⑧司法領域における社会福祉士の活用状況(2008~2016年)
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008(~「世界一安全な国、日本」の復活を目指して~)(2008年12月22日犯罪対策閣僚会議)」
「再犯防止に向けた総合対策」(2012年7月20日犯罪対策閣僚会議)」
「「世界一安全な日本」創造戦略」(2013年12月10日閣議決定)」
「薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策(~立ち直りに向けた“息の長い”支援につなげるネットワーク構築~)」(2016年7月12日犯罪対策閣僚会議)」

「改正社会福祉法第24条第2項の創設(2016年3月31日成立)」
・社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ,「地域における公益的な取組」の実施に関する責務規定が創設され,今後,社会福祉法人には,他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められることから,多様化・複雑化する地域の福祉ニーズを把握し,対応することができる人材が必要とされている
「「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の設置(2016年7月)」
・「地域力強化ワーキンググループ」の「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」(地域力強化検討会)」が開催され,住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりのあり方や市町村による包括的相談支援体制の整備のあり方等について検討を行っている

→「社会福祉士には地域社会の実情に応じて,分野横断的・包括的な支援を担う機能と役割を果たすことが期待されている」,「今後,具体的にはどのような分野においてどのような活用の仕方が考えられるか検討する必要がある」としている。同じことの繰り返し,同じ言葉の繰り返しと思いませんか?
→1989年以来,活躍が期待されていると言われ続けてきたが,一向に社会福祉士のソーシャルワーカーとしての任用・活用が進展しない。その背景には,「高い専門性・実践力を有する社会福祉士が養成されていない」「社会福祉士の活動が見えにくく社会的認知度が低い」「社会福祉士には更新制度はなく,研修体系等の整備が進んでいない」などがある,という分かり切った指摘にも閉口しませんか?
→他力本願ではなく,社会福祉士自らが行動を起こす以外に,ソーシャルワーカーとして活躍できる場は増えていかないことぐらい関係者はとっくに気づいている,と思いませんか?(筆者)

12/12 厚生労働省 「社会保障審議会介護保険部会 介護保険制度の見直しに関する意見書」(概要 / 本文 ・2016年12月9日,社会保障審議会介護保険部会は,「介護保険制度の見直しに関する意見書」を公表した。
・厚生労働省は,本意見書を基にした「介護保険法改正案」を取りまとめ,「2017年通常国会」に提出するとされている。

<意見書の構成とポイント>
【1】地域包括ケアシステムの深化・推進
(1)自立支援・介護予防に向けた取り組みの推進 ① 保険者等による地域分析と対応
⇒市町村の取り組みの実績評価や,評価結果に従い財政的なインセンティブの付与を検討する。
②地域支援事業・介護予防・認知症施策の推進
③ 適切なケアマネジメントの推進等
(2)医療・介護の連携の推進等 -
(3)地域包括ケアシステムの深化・推進のための基盤整備等 ①地域共生社会の実現の推進
⇒介護保険サービスの一類型として,「共生型サービス」を創設し,障害福祉サービスの相談支援専門員と介護保険の介護支援専門員の連携を進めるため,居宅介護支援事業所の運営基準を検討する。「共生型サービス」の具体化や居宅介護支援事業所の運営基準については,2018年度に予定される「介護報酬改定」に向けて検討する。
②介護人材の確保(生産性向上・業務効率化等)
⇒介護人材の確保推の一環として,業務の負担の軽減や効率化を図る必要性がある。現場における介護ロボット技術の活用や介護記録のICT化を推進する事業所に,介護報酬や人員・設備基準の見直しなどを「2018年度介護報酬改定」の際に検討する。
③サービス供給への保険者の関与
⇒「小規模多機能型居宅介護」などのサービスの普及を図るため,競合サービスとなり得る「地域密着型通所介護」については,一定の条件を満たす場合,市町村が指定をしない仕組みを導入する。また,都道府県と市町村が介護サービス事業者の指定について調整する「市町村協議制」の対象に,「短期入所生活介護」を加える。
④安心して暮らすための環境の整備
【2】介護保険制度の持続可能性の確保
(1)利用者負担のあり方 ⇒利用者負担については,1人暮らしで年収が383万円以上など,現役並みの所得がある高齢者には3割の自己負担に引き上げ,高額介護サービス費の一般区分の上限を37,200円から44,400円に引き上げる。
(2)給付のあり方 ①軽度者への支援のあり方
②福祉用具・住宅改修
⇒国がすべての商品の全国平均貸与価格を公表する仕組みを作り,貸与価格に一定の上限を設定する。また,福祉用具専門相談員には,利用者に対し,貸与しようとする商品の全国平均貸与価格の説明や,機能や価格帯の異なる複数商品の提示を義務化する。
(3)費用負担 ①総報酬割
⇒40歳から64歳までが支払う保険料については,健保組合などの加入者の数で頭割りする今の仕組みから,収入に応じて負担額を決める仕組み(総報酬割)に段階的に切り替える。
②調整交付金
【3】その他の課題
(1)保険者の業務簡素化(要介護認定)
(2)被保険者範囲
(3)介護保険適用外施設の住所地特例の見直し

→「社会保障審議会介護保険部会」は,3年に一度行われる「2018年度介護保険制度見直し」に向けた議論を2016年2月17日から始めたが,参議院選挙で与党が過半数を占める結果を見届けた7月20日から本格的な検討に着手し,2016年12月9日に厚生労働省が示した「介護保険制度の見直しに関する意見」を,同部会の意見の取りまとめとすることを了承した。検討のやり方からも政府の姑息さが見て取れる。
→「失政による消費税10%増税が再延期がされた中で,膨らみ続ける社会保障費用をいかに抑制するか」が議論の焦点であった。
→一方,介護保険料の負担対象を,現在の40歳以上から,収入のあるすべての者に拡大することも検討されたが,若い世代の理解を得られない恐れがあるとして,結論は先送りされた。
→2017年通常国会で提出される。与党過半数の状況下で,実のある国会審議は望めないが,福祉専門職としては,「改正介護保険制度」の内容,問題点,課題を正確に把握しておかなければならない。(筆者)
11/22 厚生労働省 「男女労働者それぞれの職業生活の動向」および「男女労働者をめぐる政府の動向」 ・2016年11月21日に「第177回労働政策審議会雇用均等分科会」が開催され,会議資料が公表された。
男女労働者それぞれの職業生活の動向
(1)男女労働者を取り巻く経済社会の動向 ①景気の動向,②有効求人倍率,③完全失業者数及び完全失業率の推移,④日本の人口の推移
(2)男女労働者の職業生活の動向 ①雇用の動向,②労働条件,③ハラスメントの状況,④ポジティブ・アクションの状況,⑤均等法に関する相談等の状況,⑥行動計画・認定の状況,⑦仕事と家庭の両立の状況,⑧短時間労働者の状況,⑨男女労働者の意識
男女労働者をめぐる政府の動向
(1)2015年 ①「少子化社会対策大綱(抄)」(2015年3月)
②「日本再興戦略 改訂2015(抄)」(2015年6月)
③「第4次男女共同参画基本計画」(2015年12月)
(2)2016年 ④「雇用環境・均等部(室)の設置」(都道府県労働局の組織を見直し)(2016年4月)
⑤「女性活躍加速のための重点方針2016(抄)」(2016年5月,すべての女性が輝く社会づくり本部決定)
⑥「ニッポン一億総活躍プラン(抄)」(2016年6月)
⑦「経済財政運営と改革の基本方針2016 ~600兆円経済への道筋~(骨太方針)(抄)」(2016年6月)
⑧「日本再興戦略2016(抄)」(2016年6月)

→男女労働者をめぐる職業生活および政府の動向である。「隔靴掻痒」の感がある。(筆者)


(参考)
「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(厚生労働省)

11/15 消費者庁 2016年12月から衣類等の洗濯表示(取り扱い表示)が変わる! ・衣類等の繊維製品の洗濯表示に関して,「家庭用品品質表示法」に基づく「繊維製品品質表示規程」が2015年3月31日に改正され,2016年12月1日から施行される。
・現在の洗濯表示は,1968年の「現行JIS(日本工業規格)」に基づく日本独自のものである。一方,海外からの輸入繊維製品は「ISO(国際標準化機構)」規格の取り扱い表示であるため,国内で販売する場合には,日本の「現行JIS」の表示に付け替えている。そこで,2016年12月1日からは,「新JIS(JIS L 0001)」と「ISO(国際標準化機構)」の統合が図られ,国内外で洗濯表示が統一されることになる。なお,「新JIS」では,表示の種類は22種類から41種類に増える。

→衣類等の繊維製品の洗濯表示(取り扱い表示)とは,洋服のタグに書いてある洗濯機やアイロンのマークのことで,市場には2017年春夏物から順次登場し,一定の併用期間を経た後,全面的に刷新されるとされている。従来の「取り扱い表示」と比較すれば,「絵」というより「記号」のようである。
→これまでの経緯は以下の通りである。
そもそも世界の「洗濯表示」は,日本独自の「JIS」,ヨーロッパの「ISO(国際標準化機構)」,アメリカ独自の「ASTMインターナショナル」に分かれていた。1995年に,WTO(世界貿易機関)加盟国に国内規格を国際規格に合わせるように求める協定(WTO/TBT協定)が発効したことから規格の標準化が図られてきた。ISOとASTMの表示は類似し,互いに類推することが可能であるため,形状や分類が大きく異なるJISとISOの統合が懸案事項になっていた。ようやく,2014年10月20日に「新JIS」が制定され,JISとISOの整合性が図られることになった。
→素人考えであるが,「日本が無駄にねばっても,,ダメなものはダメ,さっさと方向転換せよ」と言いたくなる。直近のことでは,2016年の臨時国会で,「TPP」にへばりついているあきらめの悪い安倍首相の言動にも重なる。(筆者)

11/1 厚生労働省 「児童虐待防止対策の推進」(動画) ・2016年10月29日,政府広報オンラインにおいて,「児童虐待防止対策の推進」(動画)が公開された。
<「児童虐待に関わる最近の動き>
「児童相談所全国共通短縮ダイヤル(189)」(2015年7月1日)
「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告(提言)」(2016年3月10日)
「児童相談所強化プラン」(2016年4月25日)
「児童福祉法等の一部を改正する法律」(2016年5月27日)
「全国児童福祉主管課長等会議」(2016年6月17日)

→児童虐待の相談件数は年々増加し,2015年度には10万件を超えた。
→2016年5月27日に成立した「児童福祉法等の一部を改正する法律」のポイントは以下の通りである。
①「児童福祉法の理念の明確化」と「しつけを理由とした児童虐待の禁止」
②「子育て世代包括支援センターの法定化」
③「児童相談所設置自治体の拡大」
→「そもそも,日本の児童虐待の多くは,貧困や格差社会と現行法システムの欠陥に要因が求められる」という有力な意見への直接的なアプローチはない。政府の防止対策では,劇的な改善は期待できない。(筆者)


(参考)
「児童虐待防止対策」(厚生労働省)

10/27 総務省 「2015年国勢調査 人口等基本集計結果(確定値)」 ・2016年10月26日,総務省は,「2015年国勢調査 人口等基本集計結果(確定値)」を公表した。
<「2015年国勢調査 人口等基本集計結果」のポイント>
【我が国の人口】

◎2015年10月1日現在の我が国の人口は1億2709万5,000人で,1920年(大正9年)の調査開始以来,初めての減少(2010年から0.8%減,年平均0.15%減)し,沖縄県,東京都,埼玉県,愛知県など8都県で人口増加,39道府県で減少し,全国1,719市町村のうち,1,419市町村(82.5%)で人口減少
【年齢別人口】
◎総人口に占める65歳以上人口の割合は23.0%から26.6%に上昇し,15歳未満人口の割合は世界で最も低く,65歳以上人口の割合は世界で最も高い水準
【外国人人口】
◎国籍が「中国」の者が51万1,000人と最も多く,2010年に引き続き割合が上昇し,外国人人口が多い都道府県は,東京都,愛知県,大阪府とその周辺
【世帯の状況】
◎2015年10月1日現在の我が国の世帯数は5344万9,000世帯で,都道府県別の一般世帯の1世帯当たり人員は東京都が1.99人と最も少なく,比較可能な1970年以降初めて2人を下回る

→2015年の国勢調査で,人口減少,少子高齢化とともに東京圏への一極集中が顕著になっていることがわかった。
→「人口減少社会に歯止めをかける方策は,①少子化対策,②社会保障改革,③地方創生である」というおおよその方向性は2014年からあった。その後,政府がまじめに取り組んでいたとすれば,次回の2020年国勢調査では,何らかの成果が出てきてもいいはずであるが・・・。(筆者)
10/19 厚生労働省 「介護人材の処遇改善について」 ・2016年10月12日に開催された「第131回社会保障審議会介護給付費分科会」の資料が公表された。
・「介護人材の処遇改善」に関して,「未来への投資を実現する経済対策」(2016年8月2日閣議決定)において,「月額平均1万円相当の改善を2017年度から実施する」とされ,2016年度の介護報酬改定で実現される見通しである。


→介護職員の月収平均は約22万円(2015年)で,全産業平均より10万円以上低い。それに対する改善が「月額1万円の増額」では「焼け石に水」である。このようなことを繰り返していても到底解決には至らない。「2020年代初頭には介護職員は25万人不足すること」はわかっている。「財源が確保できれば解決できること」もわかっている。「税源全般の見直しが必要だということ」もわかっている。(筆者)
10/12 厚生労働省 「2016年版 過労死等防止対策白書」(概要 / 本文 ・2016年10月7日,厚生労働省は,「2016年版 過労死等防止対策白書」を公表した。
・「過労死等防止対策白書」は,「過労死等防止対策推進法」(議員立法により2014年成立・施行)第6条に基づく年次報告書で,2016年から作成され,毎年,国会に報告される。
<「2016年版 過労死等防止対策白書」の特徴と構成>
【特徴】

①過労死等防止対策推進法に基づく初の白書
②過労死等防止対策推進法が制定に至るまでの経緯などについて記載
③過労死等の実態を解明するための調査研究(労働者の労働時間だけでなく, 生活時間の状況等の労働・社会面からみた調査や、労災認定事案のデータ ベース構築など)など,2015年度に行われた過労死等防止対策の取組について記載
④過労死等防止対策に取り組む民間団体の活動をコラムとして紹介


【構成】
第1章 過労死等の現状
第2章 過労死等防止対策推進法の制定
第3章 過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定
第4章 過労死等の防止のための対策の実施状況

<「過労死等防止対策推進法」における「過労死等」の定義>
『第2条 この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。』

→1日8時間労働を原則とする「労働基準法」は1947年に制定され,1990年後半から過労自殺が激増し,社会問題化した。2008年頃から「過労死防止基本法」の制定を求める声が上がり,ようやく,2014年6月20日に「過労死等防止対策推進法」が議員立法として成立した。「過労死等防止対策推進法」は,具体的な労働時間の上限規制などはなく,過労死等の防止対策を効果的に推進するために,国,地方公共団体,事業主,国民がそれぞれ担う義務などを定めた法律に過ぎない。
→2015年7月24日,「過労死等防止対策推進法」に基づいて,
「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定された。
→2016年9月27日,政府は安倍首相が議長を務める「働き方改革実現会議」を発足・開催した。当会議の検討テーマは以下の通りの雑多で,最優先としなければならない「長時間労働の是正」は,そのうちの一つに過ぎないという位置づけである。また,「長時間労働の是正」の有効な対応策となる「残業時間の上限規制」や「インターバル規制」は,フランスやドイツなどではすでに導入されているが,当会議ではまともに議論される気配がない。
①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
②賃金引き上げと労働生産性の向上
③時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
④雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援,人材育成,格差を固定化させない教育の問題
⑤テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
⑥働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
⑦高齢者の就業促進
⑧病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
⑨外国人材の受入れの問題

→2016年10月8日朝刊において,「世界でも例がない過労死等防止対策白書の公表」と「電通の24歳女性社員の自殺が長時間過重労働が原因とする労災として認定」の記事が,平然と同一紙面で掲載されていた。
→筆者は,『政府が口にする「過労死ゼロ」は,「本気度ゼロ」ではないか』と勘ぐっている。また,過労で亡くなられた女子社員の母親の「労災認定されても娘は戻ってこない。命より大切な仕事はありません。過労死を繰り返さないで」という訴えに対するメディアや国民の関心の薄さがこの国の未熟さを表していると思う。(筆者)

10/5 厚生労働省 「2016年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 ・2016年10月5日,厚生労働省は,「2016年版 厚生労働白書」(~人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える~)を公表した。
<「2016年版 厚生労働白書」の構成>
第1部テーマ :「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」
第1章 :我が国の高齢者を取り巻く状況
第2章 :高齢期の暮らし,地域の支え合い,健康づくり・介護予防,就労に関する意識
第3章 :高齢期を支える医療・介護制度
第4章 :人口高齢化を乗り越える視点


第2部テーマ :現下の政策課題への対応
特集① :一億総活躍社会の実現に向けて
特集② :2016年熊本地震への厚生労働省の対応について
第1章 :子どもを産み育てやすい環境づくり
第2章 :経済社会の活力向上と地域の活性化に向けた雇用対策の推進
第3章 :安心して働くことのできる環境整備
第4章 :自立した生活の実現と暮らしの安心確保
第5章 :若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
第6章 :医療関連イノベーションの推進
第7章 :国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第8章 :健康で安全な生活の確保
第9章 :障害者支援の総合的な推進
第10章 :国際社会への貢献と外国人労働者問題などへの適切な対応
第11章 :行政体制の整備・情報政策の推進


(参考)
「高齢社会に関する意識調査」(概要 / 本文)(2016年2月実施)

→「厚生労働白書」の副題(特定のテーマ)の変遷であるが,厚生労働行政分野についての国民の理解が深まっているとは思えない。
2011年版 社会保障の検証と展望
2012年版 社会保障を考える
2013年版 若者の意識を探る
2014年版 健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年
2015年版 人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して
2016年版 人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える
→「2016年版厚生労働白書」に関するメディアの興味は,「2016年版厚生労働白書」作成のために2016年2月に実施した「高齢社会に関する意識調査」の結果の一部分に集中している。
◎何歳まで働きたいか? 「働けるうちはいつまでも」29%,
「65歳まで」25.7%,「60歳まで」18.5%
◎高齢者だと思う年齢は? 「70歳以上」41%,「65歳以上」20%,「75歳以上」16%(なお,WHOの高齢者の定義は「65歳以上」である)
◎高齢期の一人暮らしへの不安? 「不安」81.7%
◎地域で困っている人がいたら? 「助けようと思う」69.6%
◎育児と介護のダブルケアを身近な問題と思うか? 「思う」45.4%,「わからない」20.6%
→「厚生労働白書」は,『厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて,広く国民に伝えることを目的に毎年とりまとめ』られているが,その閣議決定と公表が2年続けて10月になっているが,「遅いぞ」という意見は有識者からもメディアからも出てこない。(筆者)
10/4 厚生労働省 2016年10月から厚生労働関係で何が変わったか <2016年10月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)年金関係 ①短時間労働者への被用者保険の適用拡大 ・1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数が通常の労働者の3/4未満であっても,①週の所定労働時間が20時間以上,②勤務期間が1年以上見込まれること,③月額賃金が8.8万円以上,④学生以外,⑤従業員501人以上の企業に勤務していることの全条件を全て満たす場合は,社会保険が適用される
⇒約30万人弱に影響が及ぶとされる
②被用者保険の標準報酬月額下限の引下げ ・98,000円→88,000円
③厚生年金保険料率の引上げ ・17.828%→18.182%(10月支給の9月分の給料から適用)
⇒月収が20万円であれば,年間約4,000円の負担増となる
(2)医療関係 ①健康サポート薬局の届出及び表示の開始 ・2016年4月の「健康サポート薬局基準」の施行
・基準に適合する薬局は届出をすることにより,健康サポート薬局である旨の表示及び公表を行える
(3)疾病対策関係 B型肝炎の予防接種の定期接種化 ・2016年4月生まれ以降が対象となる
(4)雇用・労働関係 ①最低賃金額の改定 全都道府県で,時間額21円~25円の引上げ(全国加重平均額823円)
⇒安倍政権は「最低賃金1,000円」の中期目標を示している

→2012年に成立した「社会保障・税一体改革関連法」のうち,「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」に関するパートタイム,アルバイト等の短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険適用拡大が,2016年10月より施行された。これにより,社会保険の「年収の壁」が130万円から106万円に変更された。国が短時間労働者へ社会保険の適用拡大を決定した主たる理由は,①社会保険格差の是正,②働き手の増加であり,3年後には「301人以上」の企業が対象になる。扶養を外れて働く女性が増えるかどうか・・・。(筆者)
9/28 首相官邸 ■2016年9月27日に「働き方改革実現会議」が開催された ・2016年9月27日,「第1回働き方改革実現会議」が開催され,会議資料が公表された。
・会議では,2017年3月末までに実行計画を策定し,政府は2017年の通常国会への関連法案提出を目指すとされている。
「働き方改革実現会議」の概要>
(1)開催趣旨
・働き方改革の実現を目的とする実行計画の策定等に係る審議に資するために開催
(2)検討テーマ
①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
②賃金引き上げと労働生産性の向上
③時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
④雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援,人材育成,格差を固定化させない教育の問題
⑤テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
⑥働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
⑦高齢者の就業促進
⑧病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
⑨外国人材の受入れの問題

(3)会議議長
・安倍首相(議長代理:加藤働き方改革担当大臣,塩崎厚生労働大臣)
(4)構成メンバー
・国務大臣(6名)と有識者(15名)

→「第1回働き方改革実現会議」開催までの経緯である。
2015年10月29日に安倍首相を議長とする「一億総活躍国民会議」が設置され,2016年6月2日に政府は「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定された。プランでは,誰もが活躍できる「一億総活躍社会」を目指し,①「戦後最大の名目GDP600兆円」,②「希望出生率1.8」,③「介護離職ゼロ」の実現という3つの目標を設定し,そのためには①「希望を生み出す強い経済」,②「夢をつむぐ子育て支援」,③「安心につながる社会保障」の「アベノミクス新3本の矢」で構成する政策が求められるとして何をいつまでに実行するかというロードマップが示された。安倍首相は,「アベノミクス新三本の矢」に共通する課題として「働き方改革」を最重視するとした。参院選後の2016年8月3日に発足した「第3次安倍第2次改造内閣」において,「今後3年間の最大のチャレンジ」と位置付けて「働き方改革担当大臣」を新設のうえ,加藤一億総活躍大臣が兼任し,塩崎厚労大臣と緊密に連携しながら「働き方改革実現会議」を開催するとされていたものである。
→安倍首相は,「第1回働き方改革実現会議」において,「働き方改革は,社会問題であるだけでなく,経済問題です。働き方改革こそが,労働生産性を改善するための最良の手段であると思います」と述べているが,労働者のための政策と生産性向上のための政策を同時にバランスをとって行わなければならないはずである。経済問題に前のめりになりすぎている安倍首相は「しくじる」ことは目に見えているという有力な意見もある。
→もともと,「働き方改革実現会議」には,労働政策審議会(労政審)を形がい化させ,政府主導で労働政策を決めるものとの批判があった。さらに,構成メンバーに労働者の代表が少なくて,企業寄りの結論になるとの懸念も強い。(筆者)
9/27 - ■2016年9月26日に「第192回臨時国会」が招集された ・2016年9月26日,「第192回臨時国会」が召集された。会期は11月30日までの66日間である。安倍首相は,第192回臨時通常国会を「アベノミクス加速国会」と位置づけている。
・今国会では,①第2次補正予算案,②TPPの承認案と関連法案, ③消費税10%への引き上げを再延期する税制改正関連法案が焦点である。また,衆参両院の「憲法審査会」での与野党の憲法論議も注目されている。

今後の予定(9/26~11/30)
9月26日 「安倍首相所信表明演説」
9月27日~29日 衆参両院の代表質問
10月中旬までに ①第2次補正予算案(公共事業や低所得者への現金給付)の成立予定
11月8日までに ②TPPの承認案と関連法案の成立予定
・アメリカのクリントン,トランプ両大統領候補はともにTTPに反対の姿勢があり,11/8のアメリカ大統領選挙2017年1月20日のアメリカ新大統領就任式のスケジュールが重要となってきている

→演説を聞いていて,「未来」や「世界一」などの耳障りの言い単語が繰り返され,現実感のない言葉やフレーズが上滑りしているように思った。また,安倍首相の「(自衛隊員らに)心から敬意を表そうでありませんか」との呼び掛けに,自民党議員が起立して拍手を送るという幼稚な光景を見て,この国の未成熟さと前時代的な危うさを痛感した。なお,2009年の民主党政権下のあの鳩山首相の所信表明演説での能天気なスタンディングオベーションとは異質なものを感じた。
→安倍首相は,経済成長を最優先して前のめりで,「第192回臨時通常国会」を「アベノミクス加速国会」と位置づけてたにも拘らず,所信表明演説が始まった14:00過ぎには,地震速報とともに日経平均株価が下がり始めた。「アベノミクス」を繰り返し言い続けると,誠に失礼ではありますが,「安倍のみクズ」に聞こえてきた。(筆者)
9/14 厚生労働省 「2015年度 医療費の動向」 ・2016年9月13日,厚生労働省は,「2015年度 医療費の動向」を公表した。
<調査結果のポイント>
①2015年度の医療費 :41.5兆円(前年度比3.8%増)
②診療種類別内訳 :入院16.4兆円(構成割合39.5%),入院外14.2兆円(34.3%),歯科2.8兆円(6.8%),調剤7.9兆円(19.0%)

③1人当たり医療費 :75歳未満(22.0万円),75歳以上(94.8万円)

→本件に関して,「医療費41兆円 最高更新」が,マスメディアの代表的な取り上げ方である。また,医療費の伸びが大きい後期高齢者の入院診療費と入院外診療費には注目が集まっている。
→一般的に,医療費の上昇する要因としては,①高齢化の進展,②医療サービス価の向上,③医療技術の進歩であるとされている。また,劇的に医療費を削減する方策としては,①医療サービスの水準を低下させるか,②国民負担を増加する以外にはないということは周知である。
→2025年には,団塊の世代が75歳に達する。結論だけを言えば,医療費削減の具体的方策として,筆者は,①歯科医師の医師認定(医師不足を解消し,需給のバランスをとる),②疫学的な裏付けのない検診の廃止(特定検診など),③後期高齢者医療制度の廃止(救済への挙証責任は低所得者に持たせる)など,思い切った施策が必要ではないかと考える。(筆者)

9/7 試験センター 「2015年度社会福祉士,介護福祉士,精神保健福祉士 就労状況調査結果」 ・2016年8月31日,社会福祉振興・試験センターは,2015年11月1日現在における「2015年度社会福祉士,介護福祉士,精神保健福祉士 就労状況調査結果」を公表した。
<「調査結果」のポイント>
資格
(有効回答)
就労分野 雇用法人 職場の種類 雇用形態 勤続年数 全体平均年収
介護福祉士
(58,513人)
「高齢者福祉関係」84.0% 社会福祉協議会以外の社会福祉法人」29.7%,「民間企業」27.5% 「訪問介護員・介護職員・生活支援員」56.5% 「正規職員」63.9% 「10年以上」30.2% 260万円
社会福祉士
(9,000人)
「高齢者福祉関係」43.7% 「社会福祉協議会以外の社会福祉法人」35.6%、「医療法人」15.9% 「相談員・指導員」34.0% 「正規職員」82.8% 「10年以上」35.4% 377万円
精神保健福祉士
(3,859人)
「医療関係」32.4%,「障害者福祉関係」30.8% - 「相談員・指導員」47.7% 「正規職員」78.7% 「10年以上」30.2% 347万円

→社会的認知度の向上や処遇・待遇の改善は,他力本願では進まない。職能団体(介護福祉士社会福祉士精神保健福祉士)のあり方が重要になっている。(筆者)
9/6 内閣府 「どんな場合に,どう呼べばいいの? もしものときの救急車の利用法」 ・2016年9月5日,政府広報オンラインにおいて,「どんな場合に,どう呼べばいいの? もしものときの救急車の利用法」が広報された。
<「政府広報オンライン」での前書き>
『突然の重い病気やひどいケガをした人に,応急手当を行い適切な医療機関に搬送するのが救急隊の役目です。
近年,救急車の出動件数は増加傾向であり,また,救急要請を受けてから現場に到着するまでの時間も伸びています。
救急車は,今すぐに医療が必要な人のための限りある資源なので,症状の軽い方が安易な救急要請をすることは望ましくありません。
症状の軽い方はご自分で病院に行き,緊急性が高いと判断したときは,迷わず救急車を要請してください。
ぜひ一緒に救急車の正しい使い方や,応急手当について学んでみましょう。』

→海外での救急車利用に関して,外務省の「世界の医療事情」によれば,以下の通りである。
・アメリカのニューヨークでは,救急車は全て有料で600ドルほどの費用を請求される。
・フランスでは,S.A.M.U.(Service d' Aide Medicale Urgente=公営)という公的な緊急医療援助の機関に連絡するが,救急車の依頼料金は基本料金(約60ユーロ)に移送距離料金(約2ユーロ/Km)が加算される。
→日本では救急車の利用は「基本無料」であるが,2015年5月に行われた財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で,2013年における救急出動件数は,過去10年間で20%増え,年591万件となる中,49.9%が軽症患者が占めることを踏まえて,諸外国の例などを参考に,軽症の場合の有料化の検討を案が提示されている。
→救急車の有料化のデメリットを強調する意見もあるが,「救急医療は大切な社会資源」という認識には異論はないと思う。結論だけを述べるが,筆者は,「救急車利用は基本有料」への早期の移行に賛同する。(筆者)

9/1 厚生労働省 「2017年度厚生労働省予算概算要求」 ・2016年8月30日,厚生労働省は,「2017年度厚生労働省予算概算要求」を公表した。
・2016年8月31日,国の2017年度の予算編成に向けた各省庁の概算要求が出そろった。
◎2017年度国家予算概算要求額 :101兆円台となる見込み(前年度96兆7,218億円)
◎2017年度厚生労働省予算概算要求額 :31兆1,217億円(前年度比2.7%増)
・今後,財務省は査定作業に入り,各省庁との折衝を経て2016年末に予算案を策定する。
「2017年度厚生労働省予算概算要求の主要施策」
(1)希望を生み出す強い経済(第1の矢)

①医療分野のイノベーション・ICT化の推進
②医療の国際展開・国際保健への貢献
③観光先進国の実現・TPPの推進

(2)夢をつむぐ子育て支援(第2の矢)
①待機児童の解消
②女性・若者の活躍推進
③総合的子育て支援の推進

(3)安心につながる社会保障(第3の矢)
①介護の環境整備
②障害者、難病・がん患者等の活躍支援
③地域共生社会の実現

(4)横断的課題である働き方改革と生産性向上
①同一労働同一賃金の実現に向けた非正規雇用の待遇改善・最低賃金の引上げ
②長時間労働の是正
③高齢者・障害者等の活躍促進
④労働生産性の向上に向けた労働環境の整備

(5)成長と分配の好循環を実現するための基盤の整備
①質が高く効率的な医療提供体制の確保
②国民の安心につながる所得の底上げや社会基盤整備・防災対策の推進

(6)その他の主要施策
①自殺対策の推進
②戦没者遺骨収集、中国残留邦人等の援護

→厚生労働省は,概算要求で高齢化の進展に伴う社会保障費の伸びを6,400億円と想定している。政府は,財政健全化計画で2016~2018年度の伸びを1.5兆円に抑える目安を掲げており,1,400億円程度圧縮する必要があるとされている。さらに,消費税増税が2017年4月から2年半再延期されたにもかか関わらず,増税と同時に実施予定だった社会保障の充実策の実施も求められてくる。さて,どんな妙案を示すのか・・・。
→また,厚生労働省は,現在の「雇用均等・児童家庭局」を分割し,安倍政権が「最大のチャレンジ」と位置づける「働き方改革」を進める「雇用環境・均等局」(仮称)と子育て支援を担う「子ども家庭局」(仮称)とする組織再編方針を公表している。2017年度の機構・定員要求に盛り込まれるとみられている。「働き方」は2重行政(「雇用環境・均等局(仮称)」(労働政策審議会)と「働き方改革実現推進室」(働き方改革実現会議)),「子ども子育て」は3重行政(厚生労働省,文部科学省,内閣府)。一体どうしたいのか・・・。(筆者)

8/10 厚生労働省 ■「第3次安倍第2次改造内閣」における厚生労働省の政務三役(大臣・副大臣・政務官) 厚生労働省政務三役(「第3次安倍第2次改造内閣」)
厚生労働省の新政務三役 (2016年8/10) 敬称略
大臣 塩崎恭久 ・昭和25年11月7日生,愛媛県,自民党,衆議院,東京大学教養学部卒・ハーバード大学大学院修了
・「第1次安倍内閣」では官房長官,2014年9月の「第2次安倍改造内閣」からの現職留任
・なお,今回の改造内閣で新設された「働き方改革担当大臣」は,加藤1億総活躍担当大臣が兼務する。
・安倍首相は,2016年7月3日の会見で,「最大のチャレンジは,『働き方改革』だ。長時間労働を是正し,また同一労働同一賃金を実現し,非正規という言葉をこの国から一掃する」とした。そのうえで,「『働き方改革実現会議』を開催し,塩崎厚労大臣と緊密に連携しながら,年度内を目途に『働き方改革』の具体的な実行計画を取りまとめてもらう。スピード感をもって実行していく」と述べた。
・塩崎厚生労働大臣は,2016年7月4日の記者会見で,「できる限り早く36協定のあり方についてしっかり検討する」とし,「有識者検討会」を設置すると述べた。

【筆者の所感】(2015年10月20日)
→2015年9月24日,安倍首相は,唐突に「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し,2020年に向けた経済成長の推進力として新たに「新3本の矢」を発表した。脈絡のなさはさておき,問題は『新3本の矢』を実現する具体策である。然したるアイデアもないので,国民の意見を求めていると,筆者は勘ぐっている。
→2016年夏の参議院選挙に向けての目くらましでないことを望むばかりである。(筆者)


【筆者の所感】(2014年9月5日)
→安倍首相は,党政調会長代理と日本経済再生本部の本部長代行を務め,成長戦略策定に関わってきたGPIF改革推進派の塩崎氏を,脛に傷を持つ田村氏の後任に起用した。
→安倍首相が,厚生労働大臣に求めているのは,厚生労働省が管轄する120兆円の年金積立金の大胆な活用によるアベノミクスの推進である。塩崎大臣は、「経済こそ最優先で,経済成長が大事」と公言している。厚生労働省のトップに,「医療・介護・福祉の専門家」ではない日銀出身の人物を持ってきたということは,今後,算術が前面に出てくる厚生労働行政の姿が窺えるようである。(筆者)
副大臣 古屋範子 ・厚生担当
・昭和31年5月14日生,埼玉県出身,早大卒,公明党,衆議院
・公明党の副代表。2003年の比例南関東ブロックから5期連続当選。総務大臣政務官,衆院厚生労働委員会理事,消費者問題特別委員会理事など歴任。2012年12月の「第2次安倍内閣が発足当初から,厚生労働副大臣のポストの一つは公明党議員から選出されている。
橋本岳 ・労働担当
・昭和49年2月5日生,岡山4区(3回当選),慶応大大学院卒,自民党,衆議院
・衆院外務委員会理事,自民党外交部会長や労働力確保に関する特命委員会の幹事・事務局次長など歴任。2014年9月の「第2次安倍改造内閣」の厚労政務官では主に医療・介護分野を担当。
・父親は元首相の故橋本龍太郎氏。
政務官 馬場成志
・厚生担当
・昭和39年11月30日生,熊本県,熊本工業高卒,自民党,参議院
・熊本県議5期,熊本市議2期を経て,2013年の参院選で熊本選挙区から初当選。参院の議院運営委員会理事、党農林部会副部会長,党水産部会副部会長など歴任。
堀内詔子 ・労働担当
・昭和40年10月28日生,学習院大卒,自民党,衆議院
・2012年の衆院山梨2区で初当選,2014年に比例南関東ブロックで復活当選で現在2期目
・義父は労働大臣や通産大臣を務めた堀内光雄氏。

安倍首相は,2016年7月3日の会見で,「最大のチャレンジは,『働き方改革』だ。長時間労働を是正し,また同一労働同一賃金を実現し,非正規という言葉をこの国から一掃する」とした。そのうえで,「『働き方改革実現会議』を開催し,塩崎厚労大臣と緊密に連携しながら,年度内を目途に『働き方改革』の具体的な実行計画を取りまとめてもらう。スピード感をもって実行していく」と述べた。また,塩崎厚生労働大臣は,2016年7月4日の記者会見で,「できる限り早く36協定のあり方についてしっかり検討する」とし,「有識者検討会」を設置すると述べている。
→なお,今回の改造内閣で新設された「働き方改革担当大臣」は,「加藤1億総活躍担当大臣」が兼務し,労働担当の橋本副大臣は同郷(岡山県)という具合である。健全な議論が期待できるかどうか。(筆者)
8/4 首相官邸 2016年8月3日に「第3次安倍第2次改造内閣」が発足した ・2015年6月17日の「改正公職選挙法」による選挙権年齢の20歳以上から高校生を含む18歳以上への変更および2015年7月28日の「改正公職選挙法」による定数10増10減への変更から初めての国政選挙となる「第24回参議院議員通常選挙」が2016年7月10日に投開票された。選挙結果は,与党など改憲に前向きな勢力で2/3の議席を獲得できるものとなった。
・これを踏まえ,2016年8月3日に「第3次安倍第2次改造内閣」が発足した。安倍首相は,記者会見において,改憲については「自民党の党是であり,党総裁として任期中に果たしたいと考えるのは当然のことだ」とした。また,第2次改造内閣を「未来チャレンジ内閣」と位置付け,「最優先課題は経済」とし,一億総活躍社会の柱の一つである「働き方改革」に関して,「働き方改革担当大臣」を新設し,加藤一億総活躍担当相大臣を兼務させることとし,「働き方改革実現会議」を設置させて,2016年度内をめどに具体的な実行計画を取りまとめるとした。
・19閣僚のうち8人が初入閣で,留任は8人,大臣経験者が3人である。女性閣僚はいずれも大臣経験者で,留任(高市総務大臣),再入閣(稲田防衛大臣),横滑り(丸川五輪大臣)の3人である。副大臣は,自民党22人,公明党が3人の計25人で,うち女性は古屋範子厚生労働副大臣(公明)のみである。政務官は,計27人で,、女性は3人である。なお,官房長官,財務・金融,外務の3閣僚は,自・公政権となった2012年12月の「第2次安倍内閣」以来、交代していない。
安倍首相の記者会見
基本方針(閣議決定)
内閣総理大臣談話(閣議決定)
閣僚等名簿 / 総理大臣補佐官

(参考)
▼第3次安倍改造内閣(「未来へ挑戦する内閣」 :2015年10月7日発足) 安倍首相の記者会見 / 閣僚等名簿
第3次安倍内閣(「実行実現内閣」 :2014年12月24日発足) : 安倍首相の記者会見 / 閣僚等名簿

→安倍首相が命名した内閣のキャッチフレーズの変遷であるが,見事に事柄の焦点をぼかしていると思う。
・2014年12月24日発足の「第3次安倍内閣」 :「実行実現内閣」
・2015年10月7日発足の「第3次安倍改造内閣」 :「未来へ挑戦する内閣」
・2016年8月3日発足の「第3次安倍第2次改造内閣」 :「未来チャレンジ内閣」
→「第2次安倍改造内閣」で「石破茂地方創生大臣」を,「第3次安倍改造内閣」で「加藤勝信一億総活躍大臣」を,「第3次安倍第2次改造内閣」で「加藤働き方改革担当大臣」を誕生させた。いずれも,厚生労働省の主導すべき政策であるにも拘らず,あえて縦割り行政を助長させている理由は,問題の本質や責任の所在を不明確にさせるための姑息な布石だと筆者は受け止めている。消費税10%増税の再延長により破たんした「社会保障制度改革」の本質的な論議や責任追及が霧散させられた手法と同じである。「同じ詐欺に何度も引っかかる方が悪い」ということか・・・。
→さらに,「一国の経済の発展」は,政治的安定が不可避である。稲田防衛大臣や松野文部科学大臣のような偏執的な政治家を主要閣僚とした日本は,世界経済からみれば政治的不安定要因を抱えたことぐらいアホでもわかる。「最優先課題は経済」は聞いてあきれる。(筆者)
8/1 - 「障害者入所施設における殺傷事件に関する見解」(日本精神保健福祉士協会) ・2016年7月28日,「障害者入所施設における殺傷事件に関する見解」が公益社団法人日本精神保健福祉士協会のホームページに掲載された。

→2016年7月28日,安倍首相は「障害者施設における殺傷事件への対応に関する関係閣僚会議」を開催し,「厚生労働大臣を中心に関係閣僚が協力して,施設の安全確保の強化,措置入院後のフォローアップなど,様々な観点から必要な対策を早急に検討し,できるところから速やかに実行に移していくよう指示をした」,と報道されている。
→一方,2016年7月26日未明に発生した元施設職員で措置入院退所者が犯人の事件でありながら,まさに当事者である日本精神保健福祉士協会としての最初の見解のタイミングおよびその内容のいずれにも,「職能団体としての主体性」に疑問を持った。(筆者)
7/1 厚生労働省 「認知症の本人及び家族への地域資源を活用した支援に関する調査結果」(概要 / 本文 ・2016年6月24日,厚生労働省は,「認知症の本人及び家族への地域資源を活用した支援に関する調査結果-自治体における新オレンジプランの実施状況について-」を公表した。
・本調査結果は,地域資源を活用して実施している自治体の中から,4自治体(北海道砂川市,岩手県岩手郡岩手町,兵庫県川西市,熊本県山鹿市)を対象とした実施状況の調査結果である。
<調査結果の概要(各自治体の取組事例)>
①認知症サポーターの養成と活動の支援

・受講対象者(民生委員・企業・学校等)に応じたサポーター養成講座内容の工夫
②認知症初期集中支援チームの設置
・認知症の人の緊急性等の判断に基づく往診・訪問介護サービス等の調整
③医療・介護関係者等の間の情報共有の推進
・医療介護情報連携ツールの地域医師会等との協力による導入・普及
④地域での見守り体制の整備
・地域の事業所(郵便・水道・ガス・新聞等)の参加による日常的な見守り

→認知症者は,現在約500万人であるが2025年には約700万人に達すると想定されている。
→2015年1月27日に「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(厚生労働省)が公表された。なお,新プランの対象期間は団塊の世代が75歳以上となる2025年である。
→2015年11月2日に「認知症に関する世論調査」(内閣府)が公表された。20歳以上の成人1,682人へのわずかな調査であるが,「認知症になったらどのように暮らしたいか」という質問には,43.7%の人が「今まで暮らしてきた地域で生活していきたい」としている点が認知症対策の理由づけに利用されているように思う。しかし,47.7%の人が「介護施設で暮らしたい」,4.6%の人が「誰にも迷惑をかけないよう,ひとりで暮らしていきたい」と答えている。民主主義的なとらえ方をすれば,国は6割の人が望む施策を指向すべきであるが,4割の人が望む施策を戦略の基本に据えている。
→認知症の家族介護に関わる殺人,心中事件の増加を考えれば,国の施策は多くの国民の望む方向にはないように思われる。筆者は,「認知症施策」は介護保険制度の枠内だけでは対処できないと考える。「認知症施策」には,ケアラーを総合的に支援する仕組み作りが大きなポイントになると思う。(筆者)

6/14 厚生労働省 「2014年度 介護保険事業状況報告(年報)」 ・2016年6月13日,厚生労働省は,「2014年度 介護保険事業状況報告(年報)」を公表した。
<2014年度 介護保険事業状況報告(年報)」の主なポイント>
項目 2014年3月末現在
or
2014年度
2015年3月末現在
or
2015年度
増減
①第1号被保険者数 3,202万人 3,302 万人 3.1%増
②要介護 (要支援 )認定者数 584万人 606万人 3.8%増
③第1号被保険者に占める要介護(要支援)認定者の割合(認定率) 17.8% 17.9% 0.1%増
④サービス受給者数(1か月平均) 482万人 503万人 4.3%増
⑤-1
保険給付(介護給付・予防給付)費用額
9兆1,734億円 9兆5,783億円 4.4%増
⑤-2
保険給付(介護給付・予防給付)額(利用者負担を除く)
8兆5,121億円 8兆9,005億円 4.6%増

→2016年末までに「介護保険制度改革案」が、まとめられる予定とされているが,給付費抑制策が主題となるとみられている。(筆者)

(参考)
「介護保険制度の概要」(厚生労働省)
6/7 内閣府 「2016年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 ・2016年6月6日,内閣府は,「2016年版 少子化社会対策白書」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,「少子化社会対策基本法」第9条に基づく年次報告書で,2004年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2016年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部 少子化対策の現状

第1章 少子化をめぐる現状
第2章 少子化対策の取組

第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第2章 きめ細かな少子化対策の推進

→「少子化対策は国にとって喫緊の課題」は口先だけであった。「少子化対策」と「その白書名」の変遷が,その迷走ぶりを物語る。
(少子化対策)
・エンゼルプラン(文部,厚生,労働,建設の4大臣合意) :1995年度~1999年度
・新エンゼルプラン(大蔵,文部,厚生,労働,建設,自治の6大臣合意) :2000年度~2004年度
・次世代育成支援対策推進法(10年の再延長) :2003年7月~
・少子化社会対策基本法 :2003年9月~
・少子化社会対策大綱 :2004年6月~2010年1月
・子ども・子育て応援プラン :2005年度~2009年度
・新しい少子化対策について :2006年6月~2007年度
・子どもと家族を応援する日本 重点戦略 :2007年12月~
・少子化社会対策大綱(子ども・子育てビジョン) :2010年1月~2015年3月
・子ども・子育て支援新制度(子ども・子育て関連3法) :2010年8月~
・待機児童の解消に向けた取組 :2013年4月~
・少子化危機突破のための緊急対策 :2013年6月~
・選択する未来 委員会 :2014年1月~11月
・放課後子ども総合プラン :2014年7月~
・地方創生の取組 :2014年9月~
・新たな少子化社会対策大綱 :2015年3月~


(白書名)

・「少子化社会白書」 :2004~2009年度版
・「子ども・子育て白書」 :2010~2012年度版(民主党政権)
・「少子化社会対策白書」 :2013年度版~
→人口減少,少子高齢化社会への効率的・効果的な対応は,部分最適から全体最適をめざす「横断的な行政システムの構築」が不可欠である。現政権が,それを実現しようとしているとは思えない。なお,2016年度の社会保障費予算は約32兆円で,そのうち「少子化対策費」は1%未満となっていることを知る国民は少ない。(筆者)
6/6 内閣府 「2016年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2016年6月2日,内閣府は,「2016年版 障害者白書」を公表した。
・「障害者白書」は,「障害者基本法」第13条に基づく年次報告書として,1994年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2016年版 障害者白書」の構成>
第1章 障害者差別解消法の施行に向けた取組
第2章 障害者権利条約批准後の動き
第3章 相互の理解と交流
第4章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり
第5章 日々の暮らしの基盤づくり
第6章 住みよい環境の基盤づくり

→「障害者施策」において,2016年4月から「合理的な配慮」を義務付けた「障害者差別解消法」が施行されたという重大な変化があった。にもかかわらず,「2016年版障害者白書」のメディアの取り上げは,例えば,「障害者の民間雇用,6月時点で45万人 12年連続最多」(日本経済新聞),「障害者白書を決定」(時事通信)という程度で,関心は低いと思われた。
「障害者差別解消法」は,2013年6月に成立したが,法の趣旨を周知するため,3年の準備期間を経て,2016年4月に施行された。法律で市町村に策定が義務付けられている「障害者差別解消法に基づく対応要領」の策定率は,2016年4月1日時点で21%であった。策定が進まなかった主たる理由として,「政府の対応の遅れ」が指摘されている。法律では,「政府は自治体の対応要領策定に協力しなければならない」と定めているが,2015年11月9日に「都道府県・政令指定都市に対する対応要領・対応指針に関する説明会」を1度しか開催しなかったことから,「国際的な非難をかわせる法的な形づくりができればよい」という政府の本音が表われているとの意見がある。それを見透かした地方自治体の対応が,「対応要領」の策定率21%「障害者差別解消支援地域協議会」の設置率6%,となっていると受け止めば,今後の進展・深化の困難さが理解しやすくなる。さらに,例えば,障害児への合理的配慮を公立学校にも義務付けられているが,前例となるイギリスの1995年からの経過を知ると,これからの「障害」の大きさに圧倒される。(筆者)


(参考)
「障害者差別解消法について」(厚生労働省)

6/5 首相官邸 ■2016年6月2日,「4政策計画」(骨太の方針,成長戦略,規制改革実施計画,1億総活躍プラン)が公表された ・2016年6月2日,政府は,「4政策計画」(骨太の方針2016,成長戦略2016,規制改革実施計画2016,1億総活躍プラン)を閣議決定し,公表した。
<アベノミクス「新3本の矢」と4計画の関係>
アベノミクス
「新3本の矢」
4政策計画
(1)成長戦略 (2)規制改革実施計画 (3)1億総活躍プラン (4)骨太の方針
①強い経済
(目標:GDP600億円)
・ITやロボットで産業革命
・農業改革,観光立国
・民泊
・返済浮揚の給付型奨学金
・同一労働同一賃金
・保育士,介護職員の処遇改善
・「アベノミクスの成果」を財源に活用
②子育て支援
(目標:希望出生率1.8)
③安心の社会保障
(目標:介護離職ゼロ)

→「2016年度 4政策計画」に関する新聞の見出しは,以下の通りである。
・日本経済新聞 :「骨太方針・成長戦略を閣議決定 健全化目標の堅持明記 」
・東京新聞 :「政府「骨太方針」 消費刺激策は従来型 持続的成長に疑問」
・毎日新聞 :「<骨太の方針>財源不明で実効性に疑問符 税増収の保証なし」
・朝日新聞 :「「ふかす」政策,道筋は 骨太の方針・1億総活躍プラン決定 採算・実現性に疑問も」
→今回の経済政策計画は,「従来型の消費刺激策や多数の項目を並べた総花的な内容も目立つ」,消費税増税を再延期したことによる「税収増の保証もない計画の実効性に疑問をもつ」は国民の代表的な感想ではないかと思う。「アベノミクスのエンジンを最大限吹かせる」に対して,「カラ吹かしやな」はまるでかけ合い漫才である。
→なお,消費税の5%から10%への引き上げは,2012年当時の民主党政権(野田佳彦首相),自民党,公明党の3党合意としてまとめた「社会保障と税の一体改革」の原点であった。消費税10%への増税再延期により,前提が完全に崩れており,「社会保障と税の一体改革」は破たんしたとみるべきである。例えば,「子ども・子育て支援」では,消費税⒑%で1兆円賄う予定であったが,8%のままであると4,000億円が不足する。しかし,現政権は「何とかする」といい加減なことを言っている・・・。(筆者)

6/3 内閣府 「2016年版 子供・若者白書」(概要 / 本文 ・2016年5月31日,内閣府は,「2015年版 子供・若者白書」(旧青少年白書)を公表した。
・「子供・若者白書」(旧青少年白書)は,「子ども・若者育成支援推進法」第6条に基づく年次報告書として,2010年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2016年版 子供・若者白書」の構成>
第1章 :子供・若者育成支援施策の新たな展開
第2章 :全ての子供・若者の健やかな育成
第3章 :困難を有する子供・若者やその家族の支援
第4章 :子供・若者の成長のための社会環境の整備
第5章 :子供・若者の成長を支える担い手の養成
第6章 :創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援
第7章 :施策の推進体制等

→2016年2月に策定された「子供・若者育成支援推進大綱」に関する経緯である。
・2003年6月に内閣に「青少年育成推進本部」(本部長:内閣総理大臣)が設置され,2003年12月に「青少年育成施策大綱」が策定され,2008年12月に「新青少年育成施策大綱」が策定された。
・2009年7月に「子ども・若者育成支援推進法」が成立し,2010年4月1日に施行された。2010年7月に「青少年育成推進本部」は法に基づく大綱である「子ども・若者ビジョン」策定した。
・2011年7月より,有識者からなる「子ども・若者育成支援推進点検・評価会議」が開催され,2015年11月に「新たな大綱に盛り込むべき事項について(意見の整理)」において,社会的な生活を送る上で困難を有する子供・若者について,生育環境において様々な問題に直面した経験を有している場合が多く,例えば,貧困,児童虐待,いじめ,不登校,ニート等の問題が相互に影響し合うなど,様々な問題を複合的に抱え,非常に複雑で多様な状況となっていること等が指摘された。
・2016年2月に「青少年育成推進本部」は,新たな「子供・若者育成支援推進大綱」を策定し,①全ての子供・若者の健やかな育成,②困難を有する子供・若者やその家族の支援,③子供・若者の成長のための社会環境の整備,④子供・若者の成長を支える担い手の養成,⑤創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援,という5つの課題について重点的に取り組むことを基本的な方針としている。いつもながら,お話としては,うまくまとめられている。
→実効あるものにするためには,日本国民が,身を削っても日本の次代を担う子供・若者への財源投入を承認し,さらに国が地域行政や地域社会を本気で実行させられるかどうかに尽きる。(筆者)
6/2 首相官邸 ■第190回通常国会閉会後の「安倍首相の記者会見」 ・2016年1月4日に召集された第190回通常国会が2016年6月1日に閉会した(会期:150日間)。2016年7月の参議院選挙を受け,例年より新規提出の閣法法案が56本と抑制され,成立率は89%(50/56本)であったが,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案など重要法案の成立は秋の臨時国会に継続審議となった。
<「安倍首相の記者会見」のポイント>
▽第190回通常国会

・通常国会で成立した法律や予算で,「1億総活躍社会」に向けた新たな取り組みがスタートする。
▽経済認識
・新興国や途上国の経済が落ち込んでおり,世界経済が大きなリスクに直面している。こうした認識を伊勢志摩サミットで世界のリーダーと共有した。
・熊本地震では,九州の広い範囲にわたって経済や暮らしが打撃を受けている。これらが日本経済にとって新たな下振れリスクとなっている。最悪の場合,再びデフレの長いトンネルへと逆戻りするリスクがある。

▽経済・社会政策
・アベノミクス3本の矢をもう一度力いっぱい放つため,総合的かつ大胆な経済対策をこの秋講じる。
・G7で協力し,世界的な需要を強化するため,将来の成長に資する分野で大胆に投資を進める。

▽増税再延期
・2017年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて,内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した。
・2019年10月に10%へ引き上げ,その際に軽減税率を導入する。
▽参議院選挙とその争点
・参院選を6月22日公示,7月10日投開票の日程で行う。
・アベノミクスをもっと加速するのか,それとも後戻りするのか。これが来る参院選の最大の争点である。

→安倍首相の記者会見で理解できたことは,サミットも熊本地震も,公約である10%への増税時期を再延期するために,つじつま合わせに利用したことだった。ひょっとしたら,10%への増税がどうであれ,すでにアベノミクスが破たんしていることを知らないのは日本国民だけではないかと・・・。
→第190回通常国会で成立した主な法律および主な継続審議となった法案は以下の通りである。
●通常国会で成立した主な法律
改正公職選挙法(衆院議員の定数を10減し「1票の格差」を是正),改正民法(女性の再婚禁止期間を6か月→100日に短縮),第189回通常国会からの継続法案であった改正刑事訴訟法(警察や検察による取り調べの録音・録画を義務付け),ヘイトスピーチ対策法(国に相談体制整備の責務,自治体に努力義務を課す),成年後見制度利用促進法(後見人の人材育成と家庭裁判所の監督体制の強化),改正児童扶養手当法(低所得のひとり親家庭に支給する児童扶養手当を増額),改正児童福祉法(児童虐待への対応のためベテランの児童福祉士や弁護士の児童相談所への義務付け),改正発達障害者支援法(学校の個別計画,事業主の雇用確保など発達障害者支援の充実)
●継続審議となった主な法案
・TPP関連法案(関税引き下げ,著作権保護期間の延長,畜産支援など),年金制度改革関連法案(将来の年金水準確保のため高齢者への給付抑制を強化),第189回通常国会からの継続法案である労働基準法改正案(高所得の一部労働者を労働時間規制の対象から外す制度の導入)
→なお,2016年秋の臨時国会は,8月の早期召集もあり得るとみられている。(筆者)
6/1 内閣府 「2016年版 男女共同参画(概要 / 本文 ・2016年5月31日,内閣府は,「2016年版 男女共同参画白書」を公表した。
・男女共同参画白書は,「男女共同参画者社会基本法」第12条に基づく年次報告書で,2001年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2016年版 男女共同参画白書」の構成>
【Ⅰ】2015年度男女共同参画社会の形成の状況

特集 多様な働き方・暮らし方に向けて求められる変革

【Ⅱ】男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2015年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2016年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

(参考:特集のテーマ)
2016年版 :多様な働き方・暮らし方に向けて求められる変革
2015年版 :地域の活力を高める女性の活躍
2014年版 :変わりゆく男性の仕事と暮らし
2013年版 :成長戦略の中核である女性の活躍に向けて
2012年版 :男女共同参画の視点からの防災・復興
2011年版 :ポジティブ・アクションの推進-「2020年30%」に向けて-
2010年版 :女性の活躍と経済・社会の活性化
2009年版 :男女共同参画の10年の軌跡と今後に向けての視点−男女共同参画社会基本法施行から10年を迎えて−

→「2016年版 男女共同参画白書」に関するマスメディアの取り上げ方・見出しは,以下の通りである。
・日本経済新聞 :「長時間労働,子育て期の男性が最多」
・時事通信 :「仕事と家庭,両立進まず=1億活躍社会実現求める」
・NHK :「働き方変革の必要」
→男女共同参画に関する最近の動向である。2015年8月28日に「女性活躍推進法」が成立し,2016年4月1日から労働者301人以上の大企業には,女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や,女性の職業選択に資する情報の公表が事業主(国や地方公共団体,民間企業等)に義務付けられた。なお,常時雇用する労働者が300人以下の民間企業等は努力義務である。
「2016年度男女共同参画基本計画関係予算」は約8兆円である。白書を読んで,国が実現しようとしている「男女共同参画社会」を具体的にイメージできる国民はどれほどいるだろうか。(筆者)
5/31 厚生労働省 「2016年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・2016年5月31日,厚生労働省は,「2016年版 自殺対策白書」を公表した。
・「自殺対策白書」は,「自殺対策基本法」第10条に基づいて,2007年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2016年版 自殺対策白書」の構成>
第1章 自殺の現状
第2章 自殺対策の10年とこれから
第3章 2015年度の自殺対策の実施状況

→「2016年版 自殺対策白書」に関するマスメディアの取り上げ方・見出しは,以下の通りである。
・日本経済新聞 :「高齢・若年層の自殺深刻 16年版対策白書,全体では減少」
・読売新聞 :「自殺,50代男性の割合低下…自殺対策白書」
・東京新聞 :「若者と高齢者の自殺深刻 政府,16年版白書」
・NHK :「自殺者 2万5,000人下回る 」
→2015年度以降,「自殺対策」に関して,大きな変更が2点あった。
(1)第189回通常国会において,2015年9月4日,内閣府提出の「改正国家行政組織法」が成立し,2016年4月1日から施行された。
・改正内容は,内閣府本府から各省等に所掌事務を移管するもので,「自殺対策」が「厚生労働省」に移管された。移管された主な自殺対策業務は,大綱の見直し,「自殺総合対策会議」の運営,自殺対策白書の取りまとめ,である。
(2)第190回通常国会において,2016年3月22日に議員立法である「改正自殺対策基本法」が成立し,2016年4月1日から施行された。
・改正のポイントは,①目的規定の改正,②基本理念の追加,③都道府県自殺対策計画等,④基本的施策の拡充,である。
→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験において,「自殺」に関する出題は頻出である。

(第27回社会福祉士・第17回精神保健福祉士 共通問題)
問題37 地域福祉のネットワーク推進に関する各種報告書や白書の記述として, 正しいものを1つ選びなさい。
×5 自殺予防における「ゲートキーパー」は, 周りの人の異変に気づき, 行動する人のことであり, 弁護士, 司法書士, 薬剤師などの専門職に限られる (「2013年版自殺対策白書」 (内閣府) より) 。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(第17回精神保健福祉士 専門科目)
問題12「2014年版自殺対策白書」 (内閣府) による日本の自殺に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
×1 自殺死亡率は, 男性より女性が高い。
×2 自殺死亡率は, アメリカよりも低い。
×3 自殺者の半数が失業者である。
〇4 自殺者の原因・動機特定者のうち, およそ3分の2が原因・動機として健康問題を挙げている。
×5 過去に自殺未遂歴がある自殺者数の割合は, 女性より男性が高い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(第18回精神保健福祉士 専門科目)
問題13→「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き(文部科学省)」関連
問題64→「ゲートキーパー」関連
→「日本の自殺対策」は課題満載である。厚生労働省に移管されたことで,政策・施策が機動的になるより,自殺対策=うつ病対策に矮小化される懸念を提示する説得力のある意見がある。また,これまでの年間3万人が2万5,000人に減少したというのは意味のない算術であり,単純に年間2万5,000人増加したということが理解できていないようではどうしようもない。(筆者)
5/23 内閣府 「2016年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2016年5月20日,内閣府は,「2016年版 高齢社会白書」を公表した。
・「高齢社会白書」は,「高齢社会対策基本法」第8条に基づいて,1996年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「高齢社会白書」の構成>
(A)「2015年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」
(1)高齢化の状況
①高齢化の状況
②高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
③国際比較調査に見る日本の高齢者の意識(アメリカ,ドイツ,スウェーデンの60歳以上の男女を対象にした意識調査)

(2)高齢社会対策の実施の状況
①高齢社会対策の基本的枠組み
②分野別の施策の実施の状況

(B)「2016年度 高齢社会対策」

→「2016年版 高齢社会白書」に関するマスメディアの取り上げ方・見出しは,以下の通りである。
・日本経済新聞 :『60歳以上「まだ働きたい」71.9%』
・東京新聞 :『友達少ない日本の高齢者 内閣府が国際比較調査』
・毎日新聞 :『高齢者国際意識調査:「友達少ない」日本』
・NHK :『老後の準備と孤立防ぐ取り組み推進を 』
・テレビ朝日 :『65歳以上が4割に 衝撃的な“超高齢化社会”を予測』
・毎日放送 :『「老後の備え足りない」60歳以上の6割近く』
→「2016年版」での特有の事柄は,「高齢者国際意識調査結果」である。筆者は,この調査結果は,日本の高齢社会対策には重要であり,福祉専門職として知っておかなければならない知識であると考える。こういう事柄こそ,適切に2016年度の「3福祉士国家試験」に取り上げてもらいたいと思う。
→時事的な事象に関する適時性に関して,筆者は,2015年度の「第28回社会福祉士国家試験 問題126」の「2015年版高齢社会白書」に関する出題の意図や質に疑義があるので,所感を述べる。
問題126 「2015年版高齢社会白書」(内閣府)で紹介されている高齢者の生活や意識等に関する事項のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
①アメリカ,ドイツ,スウェーデンと比較して,日本の高齢者が医療サービスを利用する頻度は高いとは言えない。
②常時雇用する労働者が31人以上の,60歳定年企業における過去1年間の定年到達者のうち,継続雇用された人の割合は約5割となっている。
③高齢者の若い世代との交流の機会への参加意向についてみると,約9割の高齢者が若い世代との交流に参加したいと考えている。
④高齢者の約9割は,体が弱ったときには老人ホームへ入居したいと考えている。
⑤高齢者の貯蓄の目的として最も多いものは,病気や介護への備えである。
正答は⑤である。疑問を感じるのは,この正答選択肢の内容が2015年版に特有の事柄ではないことである。つまり,201212年版~2016年版のすべてに,『第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向 - 2 高齢者の経済状況 - (4)世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄は全世帯平均の1.4倍で,貯蓄の主な目的は病気や介護への備え』の記述がある。「2015年版 高齢社会白書」において,国家試験で求められる知識が「これ」では,悲しすぎる。「その知識」を求めるにしても,問題文は,『「2015年版高齢社会白書」(内閣府)で紹介されている・・・』ではなく,『2012年版~2015年版の「高齢社会白書」(内閣府)で紹介されている・・・』とすべきではなかったかと思う。国家試験にふさわしい質の高い問題作りを望むものである。(筆者)
4/13 内閣府 「社会意識に関する世論調査の結果」(2016年2月調査) ・2016年4月9日,内閣府は,「社会意識に関する世論調査」(2016年2月調査)の結果を公表した。
・調査項目は、(1)国や社会との関わりについて,(2)社会の現状に対する認識について ,③ (3)国の政策に対する評価について,である。
<「(3)国の政策に対する評価について」のポイント>
調査項目 結果
(1)国の政策への民意の反映程度 「反映されている」が増加(前回27.6%→29.9%)・・・男性>女性,60歳以上で高率,無職>雇用者
「反映されていない」が低下(前回69.4%→66.8%)・・・男性<女性,30~50歳代で高率,無職<雇用者
(2)良い方向に向かっている分野 ・「医療・福祉」29.2%,「科学技術」が29.1%,「治安」19.8%,「防災」19.1%
(3)悪い方向に向かっている分野 ・「国の財政」38.0%,「景気」29.5%,「地域格差」27.9%,「雇用・労働条件」26.8%

→新聞各社の記事の「見出し」は以下の通りで,各社の立ち位置が明確に出ていると思う。
・外交・防衛「良い」最高 安保法成立など評価(産経新聞)
・「社会に満足」62%で過去最高(日本経済新聞)
・「現在の社会に満足」最高の62%(読売新聞)
・「景気は悪化」前回同水準29%(東京新聞)
・社会満足度…若者ほど低く(毎日新聞)
・「景気,悪化している」29.5%(朝日新聞)
→「社会全体に不満のある国民が少ない」となれば,現在の自民党政権が継続する,と一般的には考えられる。4月12に「北海道5区補選」が告示され,4月24日に投開票される。この補選の「野党共闘モデル」の成否次第では,夏の参院選が衆参同日選挙となる可能性もあると見られている。(筆者)

4/6 経済産業省 「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会報告書」 ・2016年3月24日,経済産業省は,2015年12月からの検討を踏まえて,「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会報告書」を公表した。
<報告書の要旨(発表原文のまま)>
『将来の介護需要に即した介護サービス提供の在り方について,地域特性や将来の高齢者の経済的・社会的環境も踏まえ,団塊の世代が85歳を越える2035年に向けた対応の方向策について提言をしています。将来にわたって必要な介護サービスを確保していくためには,
・介護機器・IT等を活用した介護サービスの質・生産性の向上
・地域ごとの介護需要の密度や介護従事者数に即した介護サービス提供体制の構築
・高齢者を支える機能の構築
を,官と民がそれぞれの役割を明確にしつつ,官民の協調が必要な領域については協調しながら,総合的に進めていくことが必要と考えられます。』

→筆者は,介護の本質的な議論を避け,「介護ロボットの実用化への進展」だけが目的と思われる経済産業省の本報告書の提言に期待はしていなかったが,「現状の延長線上において,2035年に68万人不足すると考えられる介護職員は,機器・ITの導入による労働時間,労働負荷の軽減,高齢者などの潜在的なリソースの活躍,集住の促進などによる介護需要密度の向上によって克服することが可能(65万人不足が51万人不足となる)」,「IT・ロボット導入による生産性向上により,2035年時において,8,000億円の生産性向上の効果が見込まれる(介護給付費対比で7%生産性が向上する)」という無謀な試算を見て,「介護の質の向上」ではなく「介護の質の低下」つながる危険性を感じた。
→もともと経済産業省は,関係する業界団体・企業・他省庁の協力がなければ政策が遂行(自己完結)できない官庁であり,筆者は,言葉は悪いが,「介護ロボットの実現」に関しては,「あなた任せで,当てにできない」と思っている。
→「介護」に関する結論だけを言えば,筆者は,介護保険制度の廃止を含めた抜本的な制度の見直しをすべきと考えている。それを実行できる政治家の出現を待たなければどうしようもないが,介護の可能性のある人たちには,「自分の家族は自分で守る(介護する)」という覚悟を持たなければならないときが近い将来に訪れると思う。「在宅介護」は,腹をくくらなければやりこなせない,介護は命がけである,というのが筆者の経験からの感想である。「介護離職ゼロ」は,チャンチャラおかしいとほとんどの国民は思っているはずである。政府もメディアも,インチキ臭い介護の専門家の意見を多く取り上げることで国民をごまかしている。(筆者)
4/1 厚生労働省 2016年4月から厚生労働関係で何が変わるか <2016年4月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)年金関係 2016年度の国民年金保険料 15,590円→16,260円
2016年4月からの年金額 ・据え置き(月65,008円)
(2)医療関係 診療報酬改定 ・診療報酬本体0.49%のプラス改定
・2025年度に向けて,地域包括ケアシステムの構築と質が高く効率的な医療提供体制の構築に取り組む
④紹介状なしの大病院受診時定額負担の導入 ・特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院については,紹介状なしで受診した患者に対し,定額を徴収
・初診は5,000円(歯科は3,000円),再診は2,500円(歯科は1,500円)を最低金額とし,医療機関が個別に設定
患者申出療養の創設 ・患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組みとして創設
入院時の食費の負担額の見直し ・これまでの食材費相当額に加え,新たに調理費相当額を負担
・1食あたり260円→2016年4月から360円→2018年4月から460円
・ただし,住民税非課税世帯や指定難病,小児慢性特定疾病の患者などの負担額は据え置き
被用者保険の標準報酬月額上限の引上げ ・健康保険・船員保険の標準報酬月額上限:47等級(121万円)→50等級(139万円)
・標準賞与額の年間上限:540万円→573万円
後期高齢者医療の保険料率の改定 ・各都道府県の後期高齢者医療広域連合において2年ごとに保険料率を改定
・2016-2017年度の被保険者一人当たり平均保険料額は,全国平均で月5,632円→5,659円
国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額の見直し ・国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額:85万円→89万円
(3)子ども・子育て関係 届出対象となる1日に保育する乳幼児の数の変更 ・ベビーシッター事業を行う場合の届出:6人以上→1人以上
(4)雇用・労働関係 「改正障害者雇用促進法」の一部施行 ・全ての事業主を対象に募集・採用など雇用に関するあらゆる局面で障害者に対する差別を禁止
・障害者一人一人の状態や職場の状況などに応じて合理的配慮の提供が求められる
「職業能力開発促進法」の一部施行等 ・「キャリアコンサルタント」の登録制度を創設
「女性活躍推進法」の全面施行 ・常時雇用する労働者の数が301人以上の一般事業主は,行動計画の策定・届出や情報公表等が義務付け
・300人以下は努力義務
「労働者災害補償保険法」に基づく介護(補償)給付の最高限度額及び最低補償額 ・最高限度額の引き上げ:月額104,950円,57,030円
・最低補償額の引き上げ:月額52,480円,28,520円
(5)各種手当関係 2016年度の児童扶養手当等の手当額 ・0.8%の引上げ

→その他の変更として,税制(エコカー減税,軽自動車税,ジュニアNISA,空き家売却の所得税),生活(電力の小売り自由化,燃油サーチャージ,ディズニーリゾート,ガリガリ君,たばこ)などがある。4月の暮らしに関わる変更は,この国がどういう方向に進んでいるのかを考えてみる機会になる。(筆者)
3/30 首相官邸 「2016年度予算」の成立を受けた「安倍首相の記者会見」 ・2016年3月29日,「2016年度予算(政府案)」が参議院で可決・成立した。
・前半国会の焦点であった「2016年度予算」の特徴として,一般会計総額(96兆7,218億円)と,高齢化による医療費などの増加のために社会保障関係費(31兆9,738億円)が過去最大を更新し,防衛費が初めて5兆円を超えたことが挙げられる。
・4月以降の後半国会での焦点は,TPP(環太平洋経済連携協定)の承認案,「一票の格差」是正に向けた衆議院の選挙制度改革,消費税率10%への引き上げの是非,などとみられている。
<「2016年度予算」のポイント>
(1)経済再生と財政健全化の両立する予算
①一億総活躍社会の実現に向けて,「希望出生率1.8」,「介護離職ゼロ」に直結する,子育て支援や介護サービス等の充実を図るほか,教育費の負担軽減等を進める。また,地方創生の本格展開を図る。
②持続可能な社会保障制度の確立に向けて,社会保障関係費の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑制(+4,400億円)診療報酬の適正化,改革工程表の策定などの改革を推進。
③事前防災・減災対策の充実や老朽化対策など国土強靭化を推進。また,「攻めの農林水産業」に向けた施策を推進。
④伊勢志摩サミットの議長国として,充実した外交予算により「地球儀を俯瞰する外交」を推進。また,防衛予算を充実し,防衛力を着実に整備。
⑤教育の質向上に向けた取組みや科学技術の基盤強化を推進。
⑥復興ステージに応じた課題に対応し,復興を加速化。


(2)財政健全化
①一般歳出の伸びを「経済・財政再生計画」の「目安」に沿って抑制(+4,700億円)。
②国債発行額(34.4兆円)は前年度から▲2.4兆円の減額。公債依存度は35.6%とリーマン・ショック以前(2008年度当初予算以来)の水準まで回復。

→筆者は,安倍首相の記者会見を聞いていて,誠に失礼ではあるが,相変わらずの滑舌の悪さによって話の中身に集中できないが,話しぶりから狡猾さ(ずるく悪賢いさま)には磨きがかかってきたように思った。
→安倍政権は,すでに補正予算による景気の下支えによるアベノミクスの効果の維持が不可欠とされている。2017年4月の10%への増税先送り=「アベノミクスの失敗」とされるとの批判をかわすために,衆参同時選挙は格好の手段になるはずで,「頭の片隅にもない」は疑わしい。(筆者)

3/24 厚生労働省 「2016年4月1日から入院時の食費の負担額が変わり,新たに調理費の負担が追加される」 ・2015年5月27日に「医療保険制度改革関連法」が成立した。その一環として,2016年4月1日から,入院時の食事代について,健康保険法等の規定に基づき,これまでの食材費相当額に加え,新たに調理費相当額を段階的に負担することになった。ただし,住民税非課税世帯者や,指定難病,小児慢性特定疾病の患者などの負担額(100円or210円)は据え置かれる。
2016年3月まで 2016年4月~ 2018年4月~
①一般 260円 360円 460円
②非課税世帯 100円or210円

→「医療保険制度改革関連法」の段階的施行は以下の通りである。
施行 ポイント
2015年度 ・国保への財政支援を1,700億円拡充
2016年度 ・入院時の食事代の自己負担が260円→360円/食
・紹介状なしの大病院受診に定額負担(5,000円以上)
・保険料算定の基準月収が121万円以上の会社員は保険料アップ
・患者申し出による「混合診療」がスタート(患者申出療養)
2017年度 ・会社員・公務員の組合の後期高齢者医療支援金負担を2,400億円引き上げ
・会社員の組合に700億円財政支援
・国保への財政支援を3,400億円に拡充
(参考)
・改革法とは別に75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の特例的な軽減措置が廃止され,保険料は2017年度から段階的に引き上げ
2018年度 ・国保の運営を市町村から都道府県に移管
・入院時の食事代の自己負担を360円→460円/食
・国保など保険者の健康増進や予防の取組みへの奨励策強化
→2015年の通常国会では,本題でない「安保法制」に紛れて,ほとんど注目されずに,入院時の食事代値上げや大病院受診の定額負担導入など,患者の負担増につながる重要な医療保健制度の見直しが盛り込まれた「医療保険制度改革関連法」が成立していたということである。
→ちなみに,「2013年社会保障制度改革に関する意識等調査結果(2013年7月調査)」によれば,「社会保障制度に関する情報」について,29歳以下では,「興味はない」とした者は69.5%という数値であった。これが現状である。(筆者)

3/2 厚生労働省 ■女性活躍推進法認定マークの愛称が「えるぼし」に決定した ・2016年2月28日,厚生労働省は,「女性活躍推進法」に基づく認定マークの愛称を,応募作品から「えるぼし」に決定したことを公表した。
・2015年8月28日,女性が,職業生活において,その希望に応じて十分に能力を発揮し,活躍できる環境を整備するための「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が成立し,9月4日に公布された。2015年11月20日には「事業主行動計画策定指針」が告示され,2016年4月1日から施行される。
・「女性活躍推進法」では,従業員301人以上の企業に,現状を把握・分析したうえでの行動計画作りを義務付け,2016年4月1日までに届け出る義務があるとしている。なお,300人以下の企業は「努力義務」である。
・先進的な取り組みが認められれば,3段階の評価認定マーク(愛称「えるぼし」)が発行される。今後,厚生労働省では,女性の活躍をさらに推進していくため,認定制度や認定マークと愛称(「えるぼし」)の周知を図っていくとしている。

→「女性活躍推進法」は,①罰則がない,②対象範囲が極端に狭い,という法律である。いわゆる「ざる法」に基づく認定マークの価値をどう見るか・・・。
→ところで,「くるみんマーク・プラチナくるみんマーク」というのを知ってますか?「次世代育成支援対策推進法」(2004年4月~2014年3月)および「改正次世代育成支援対策推進法」(2014年4月~2025年3月)に基づく認定制度で,「子育てサポート企業」として,厚生労働大臣の認定を受けた企業の優良?
の証である。「知らんがな」というのが大方の意見であると思う。(筆者)


(参考)
「女性活躍推進法特集ページ」(厚生労働省)
2/24 厚生労働省 「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」 ・2016年2月23日,厚生労働省は,「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン(~がんなどの疾病を抱える方々の治療と職業生活の両立を支援する企業に向けて~)」を公表した。
・本ガイドラインは,事業場が,がん,脳卒中などの疾病を抱える労働者に対して,適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い,治療と職業生活が両立できるようにするため,事業場における取組などをまとめたもので,職場における意識啓発のための研修や治療と職業生活を両立しやすい休暇制度・勤務制度の導入などの環境整備,治療と職業生活の両立支援の進め方に加え,特に「がん」について留意すべき事項をとりまとめている。また,がん対策基本法に基づく就労支援策の一環であるが,がんだけでなく,脳卒中など継続して治療が必要な病気も対象となっている。
<ガイドラインのポイント>
(1)ガイドラインの概要

①背景・現状
②治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備
③治療と職業生活の両立支援の進め方

(3)がんに関する留意事項
①治療の長期化や予期せぬ副作用による影響に応じた対応の必要性
②がんの診断を受けた労働者のメンタルヘルス面へ配慮

(4)ガイドラインの普及と企業支援の取組(今後の予定)
①厚生労働省主催セミナーの開催
②都道府県労働局・労働基準監督署、関係団体との連携による周知
③産業保健総合支援センターによる支援

→2016年1月20日,国立がん研究センターは,がん治癒の目安とされる5年生存率は63.1%で,10年生存率が58.2%であると発表した。がんの生存率は確実に向上している。
→柔軟な働き方の社会的認知が進み,よりよい形で定着していくかは,今後の行政や関係機関の啓発活動の良し悪しにかかっている,と一般的には受け止められている。(筆者)

2/10 厚生労働省 ■第190回通常国会における「厚生労働省の提出法案(11本)」のまとめ 2016年1月4日に召集された第190回通常国会において,1月20日に「2015年度補正予算案」が成立し,2月から「2016年度予算案」の本格審議が始まった。
・本国会の政府提出法案(55本)のうち厚生労働関係は新規が7法案,継続審議が4法案である。
区分 法案名 概要 提出
新規 雇用保険法等の一部を改正する法律案 ・改正雇用保険法,改正育児・介護休業法,改正高年齢者雇用安定法,改正男女雇用機会均等法,改正労働者派遣法,改正労働保険徴収法の6本で構成する。 2016年1/29
戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案 ・戦傷病者等の妻に対する特別給付金の継続支給が柱である。 2016年1/29
児童扶養手当法の一部を改正する法律案 ・児童扶養手当の第2子加算額(5,000円→10,000円),第3子以降の加算額(3,000円→6,000円)引き上げる 2016年2/9
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案 ・特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の請求期限を5年間延長し,死亡または発症後提訴までに20年を経過した「死亡・肝がん・肝硬変」の患者に対する給付金を新設する。 2016年2/9
⑤児童福祉法等の一部を改正する法律案 ・(1)理念の明確化,(2)子育て世代包括支援センター(仮称)を法定化,(3)児童相談所の体制や専門性の強化,(4)施設入所等措置の解除時の助言,関係機関による安全確認の実施 2016年3月予定
公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案 (1)短時間労働者への被用者保険の適用拡大,(2)国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除,(3)年金額の改定ルールの見直し,(4)年金積立金管理運用独立行政法人のガバナンス体制の強化,(5)日本年金機構の不要財産に関する国庫納付規定の創設 2016年3/11
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案 低所得の高齢障害者について,(1)介護保険サービスを利用する際の負担を軽減(高額障害福祉サービス等給付費の見直し),(2)新たなサービス類型を追加(自立生活援助の創設等)する。 2016年3/1
追記
衆議院継続 労働基準法等の一部を改正する法律案 2015年4/3
外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案 2015年3/6
参議院継続 社会福祉法等の一部を改正する法律案 2015年4/3
確定拠出年金法等の一部を改正する法律案 2015年4/3
2/8 厚生労働省 「2014年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」(概要 / 本文 ・2016年年2月5日,厚生労働省は,「2014年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」を公表した。
・本調査は,2006年4月に施行された「高齢者虐待防止法」に基づき,全国の市町村及び都道府県において行われた高齢者虐待への対応状況を2007年度から毎年度調査を実施しているものである。
<調査結果のポイント>
養介護施設従事者等によるもの 養護者によるもの
虐待判断件数 相談・通報件数 虐待判断件数 相談・通報件数
2013年度 221件 962件 15,731件 25,310件
2014年度 300件 1,120件 15,739件 25,791件

(参考)<昨年2月6日のコメント>
→日本の虐待に関する法律の制定は以下の通りである。
児童虐待防止法(2000年制定)
DV防止法(2001年制定)
高齢者虐待防止法(2005年制定)
障害者虐待防止法(2011年制定)
→日本の「虐待防止」における最大の特徴は,国際的な条約批准等の外圧を受けて法制度が整備されてきたものであり,法と日本社会・日本国民の感覚・意識のずれが大きいことにある。
→「家庭内の養護者による虐待」については,日本特有の根の深い問題を抱えている。しかし,「養介護施設従事者等による虐待」はゼロにすることは可能である。今回の調査結果を受けて,厚生労働省は,「研修を徹底し,防止に努めたい」で済ますのではなく,「施設での虐待はゼロにさせる」とコメントすべきであろう。職能団体も蚊帳の外でいい分けがない。(筆者)
→年々状況は悪くなっている。安倍政権は,「介護離職ゼロ」に向けて,介護の受け皿を50万人分増やすとしている。人権侵害であるはずの「虐待」を,「どこにでもある話」として肯定する風潮がある限り,虐待はなくならない。いっそ,「高齢者虐待」を,昔話題になった「シルバーハラスメント」という用語に変え,新たに定義づけるのも一策である。(筆者)
2/1 内閣府 「ベビーカーマークに関する世論調査(2015年12月調査)」 ・2016年1月28日,内閣府は,「ベビーカーマークに関する世論調査(2015年12月調査)」を公表した。
<世論調査のポイント>
①ベビーカーマークの認知度
・「見た,知っていた」(52.6%)のうち,「見たことがあり,内容まで知っていた」は24.9%である。
②ベビーカーマークの認知度向上のための取組(複数回答)
・「テレビや新聞などを通じた周知活動」76.9%,「公共施設や公共交通機関を通じた周知活動」49.6%
③環境整備のために重要な施策(複数回答)
・「公共施設や公共交通機関におけるベビーカー優先スペースなどの設置」55.3%,「ベビーカーマークの掲出場所の拡大」47.7%

→2015年3月20日に策定した「少子化社会対策大綱」における施策の数値目標では,ベビーカーマークの認知度を2020年までに50%にするとされている。
→今回の世論調査では,国が認知度とする「見たことがあり内容まで知っている人」は24.9%と極めて低調であった。きちんとした普及のための理解活動をやっていないのだから,こういう結果になるのは当然であった。
→管轄する「国土交通省」は,浸透させるために,世論調査の結果を裏付けにして,ありきたりに「ポスター掲示などを通じて周知を図る」としている。最も重要なことは,国が国民に熱意を示すことである,と筆者は思う。(筆者)
1/21 - 「2015年度補正予算(3兆3,213億円)」が成立 ・2016年1月20日,一般会計総額3兆3,213億円の「2015年度補正予算」が,第190回通常国会における参院本会議で可決,成立した。
<「2015年度補正予算(3兆3,213億円)」の主な項目>
【1】「1億総活躍社会」の実現に向けた緊急施策(1兆1,646億円)
(1)「希望出生率1.8」および「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策等(3,951億円)
①「希望出生率1.8」(第2の矢)関連

・保育所等の整備〔511億円〕
・保育士修学資金貸付等事業〔566億円〕
・保育所等におけるICT化推進等事業〔148億円〕
・三世代同居・近居の推進〔161億円〕
・地域における結婚に向けた活動の支援等〔36億円〕
・公立学校等施設整備〔438億円〕
・ひとり親家庭等の支援〔117億円〕
・児童虐待防止対策の強化〔91億円〕

②「介護離職ゼロ」(第3の矢)関連
・介護基盤の整備加速化事業〔922億円〕
・介護人材の育成・確保・生産性向上〔444億円〕
・サービス付き高齢者向け住宅の整備〔189億円〕

(2)アベノミクスの果実の均てんによる消費喚起・安心の社会保障(3,624億円)
・年金生活者等支援臨時福祉給付金〔3,390億円〕(別途事務費234億円)
(3)投資促進・生産性革命(2,401億円)
(4)地方創生の本格展開等(1,670億円)


【2】環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を受けた国内対策(3,403億円)
・攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)〔3,122億円〕
・TPPの活用促進・TPPを通じた「強い経済」の実現〔280億円〕280億円


【3】災害復旧・防災・減災事業(5,169億円)

【4】復興の加速化等(8,215億円)

→今後の予算関係の予定は,次のとおりである。
・1月22日 :「2016年度予算案」を国会に提出(3月末までの成立を目指す)
・1月22日 :安倍首相の「施政方針演説」
・1月26日 :衆院本会議での「各党代表質問」開始
→例えば,補正予算(3兆3,213億円)の約1/3が「1億総活躍社会の実現に向けた経費(1兆1,646億円)」で,さらにその約1/3が低所得高齢者約1,100万人を対象に1人当たり3万円を支給する「年金生活者等支援臨時福祉給付金」(3,624億円)」である。さらに,臨時給付金は2016年7月に予定されていいる参院選の前後に現金を配るということや2014年度から支給されている「子育て世帯臨時特例給付金」の2016年度支給が見送られたことから,投票率が高い高齢者を意識した選挙向けの「ばらまき政策,愚策」との批判が多い。しかし,外野からの批判はあるが提言がない,というのが現状である。
→野党がだらしなくても,まっとうな提言がなくても,2016年に世界的な景気後退と金融危機が表面化すれば,アベノミクスをバックグラウンドにする安倍政権が霧散することもあり得る。(筆者)
1/18 厚生労働省 ■「2015年度全国厚生労働関係部局長会議」が開催される ・厚生労働省は,1月19日~20日に開催する「2015年度全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会および労働分科会)」の資料を公表した。
厚生分科会資料
(1/19~1/20)
労働分科会資料
(1/19)
(1)大臣官房総務課
(2)政策統括官(社会保障担当)
(3)医政局
(4)大臣官房厚生科学課
(5)雇用均等・児童家庭局
(6)老健局
(7)大臣官房統計情報部
(8)保険局
(9)職業安定局
(10)医薬・生活衛生局
(11)健康局
(12)年金局
(13)社会・援護局
(14)社会・援護局(障害保健福祉部)
(15)医薬・生活衛生局(生活衛生・食品安全部)
(1) 政策統括官(労働担当)
(2) 労働基準局
(3) 雇用均等・児童家庭局
(4) 大臣官房統計情報部
(5) 職業安定局
(6) 社会・援護局
(7) 職業能力開発局
(8) 大臣官房地方課

→「全国厚生労働関係部局長会議」は,厚生労働行政の次年度の政策及び現状と課題について,都道府県等に周知し,円滑な事業運営を図ることを目的として,例年1月~2月に開催される。
→福祉専門職として,把握しておかなければならない最重要の会議資料である。(筆者)

1/15 厚生労働省 「一億総活躍社会の実現に向けた介護分野の取組」 ・2016年1月12日,厚生労働省は,「第1回介護のシゴト魅力向上懇談会」の資料を公表した。
・「介護のシゴト魅力向上懇談会」は,介護の仕事や職場の魅力向上を更に進めるため,業務プロセスの改善とテクノロジー(介護ロボット・ICT等)の活用による業務負担の軽減,生産性の向上等について,先進的な現場の実践を踏まえた有識者による議論を行い,今後の政策の検討の参考にすることを目的として,厚生労働省に設置された。
<一億総活躍社会の実現に向けた介護分野の取組>
(1)「介護離職ゼロ」(第3の矢「安心につながる社会保障」)への重点的取組
①在宅・施設サービス等の整備の充実・加速化
・在宅・施設サービス等の整備を前倒し,上乗せ(2020年代初頭までに約38万人分増→約50万人分増)
②介護サービスを支える介護人材の確保
・介護人材の追加確保
・介護者の負担軽減に資する生産性向上
③介護サービスを活用するための家族の柔軟な働き方の確保
・介護休業の制度改革や働き方改革
④働く家族等に対する相談・支援の充実
・介護サービス等の情報提供など周知強化や相談・支援の充実


(2)2015年度補正予算(444億円)における「介護人材(約25万人)確保のため主な対策」
①離職した介護人材の呼び戻し
・再就職準備金貸付事業の新設 :2年勤務で返還免除(20万円×1回限り)
②新規参入促進(学生)
・介護福祉士を目指す学生への学費貸付の大幅拡充 :5年勤務で返還免除(80万円/年×2年),国庫負担9/10相当
③新規参入促進(中高年齢者)
・ボランティアを行う中高年齢者への入門的研修・職場体験の実施等
④離職防止・定着促進,生産性向上
・雇用管理改善の推進(コンテスト・表彰の実施,助成金の拡充(2016年当初予算)
・事業所内保育所の整備・運営支援,介護ロボット・ICTの活用推進


(3)2015年度補正予算案および2016年度当初予算案における「介護の生産性向上関係施策」
①介護事業所における文書量の半減
・2015年度補正=600万円
・2016年度当初=1.3億円
②介護ロボットの効果的な活用方法の検討・開発
・介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業 :2015年度補正=1.5億円
・介護ロボット開発等加速化事業 :2016年度当初=3億円
③ロボット等の導入支援
・介護ロボット等導入支援特別事業 :2015年度補正=52億円

→介護の仕事の魅力を上げて人手不足の解消につなげ,生産性を向上させる新たな施策の立案に向けて,有識者から意見を 聞く会議を発足させることは重要である。しかし,根本的な対策となる「介護サービス単価の増額」は話題にも上らない。また,「介護離職ゼロ」は単なるキャッチコピーであり,子供だましであることへの批判すら出ない。「介護」をなめていると,自分の身に降りかかった時にその大変さを思い知ることになる。(筆者)
1/8 厚生労働省 「精神保健医療福祉の現状(最新データ)」 ・2016年1月7日,厚生労働省は,「第1回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の資料を公表した。
・2013年の「改正精神保健福祉法」の附則において,施行後3年(2017年4月)を目途として,医療保護入院の手続の在り方等について検討を加え,所要の措置を講ずるものとされており,「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」は,これに対応するものである。
<近年の精神保健福祉法と医療法に関連する施策>
時期 精神保健福祉法 医療法
2004年9月 「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(厚生労働省精神保健福祉対策本部報告)
⇒「入院医療中心から地域生活中心へ」改革を進めるため,①国民の理解の深化,②精神医療の改革,③地域生活支援の強化を今後10年間で進める。
2005年11月 精神保健福祉法改正
⇒①精神科病院等に対する指導監査体制の見直し,②精神障害者の適切な地域医療等の確保(救急医療体制・退院促進),③その他(精神保健指定医の指定に関する政令委任事務の明確化,地方精神保健福祉審議会の必置規制の見直し,「精神分裂病」の「統合失調症」への呼称の変更)
2006年6月 第5次改正
⇒①都道府県の医療対策協議会制度化,②医療計画制度の見直し,③4疾病5事業の具体的な医療連携体制を位置付け
2009年9月 「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」(今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書)
⇒「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の中間点において,後期5か年の重点施策群の策定に向け,有識者による検討をとりまとめたもので,「地域を拠点とする共生社会の実現」に向けて,「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に基づく施策の立案・実施を更に加速するとしている。
2011年7月 医療計画への精神疾患の追加(省令改正)
2012年6月 「入院制度に関する議論の整理」(新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R))
⇒①医療保護入院の見直し,②退院後の地域生活の支援,③入院の契機(34条移送関係),④措置入院
2013年6月 精神保健福祉法改正
①精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定,②保護者制度の廃止,③医療保護入院の見直し,④精神医療審査会に関する見直しを行うこととされていた。施行は2014年4月1日であるが,精神医療審査会委員の規定は2016年4月1日。
2013年12月 「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針とりまとめ」
「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」
2014年6月 第6次改正
⇒①病床機能報告制度の創設,②地域医療構想の策定,③地域医療介護総合確保基金の創設,④地域医療構想調整会議の設置
2014年7月 「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会とりまとめ」
⇒①長期入院精神障害者の地域移行及び精神医療の将来像,②長期入院精神障害者本人に対する支援,③病院の構造改革

→2004年9月から10年(2014年)を一応の期間とした「精神保健医療福祉の改革ビジョン(改革ビジョン)」の目標は,①精神病床を2015年までに2割削減(約35万床のうち約7万床)し,また,社会的入院患者を72,000人減少するとしていた。その結果,精神病床数は354,923床(2004年)から338,174床(2014年)で,わずか16,749床の削減であり,社会的入院患者においても,72,000人うち11,000人が地域に戻ったに過ぎなかった。このような重要な結果を,厚生労働省は公式に公表しないし,マスメディアも報道しない。
→これに関して,日本精神科病院協会会長は,精神病床削減については『精神保健医療福祉の改革ビジョンが出されたのは,高齢化が進んで社会保障制度の危機が叫ばれていた2004年のことです。クラーク勧告からすでに40年経っており,遅きに失した印象は拭えません。』と政府の責任を前面に出し,社会的入院患者については『私としては全ての患者さんを地域に帰す必要はないのではないかと考えています。地域に戻りたい人には経済的・人的支援の手を差し伸べ,どうしても退院できずに病院に残る人は,居住系施設などへ移行すればよいのではないかと考えています。』と述べている。詳しくは以下のURLで確認されたい。
https://ds-pharma.jp/gakujutsu/contents/partnering/pass/72_01.html
→これから先,政府や官僚がこういう人たちをコントロールできると思えますか?精神保健医療福祉に関わる不透明な部分の顕在化が,精神医療や精神障害者を正しく理解することにつながる,と筆者は思う。(筆者)

1/5 - ■2016年1月4日に「第190回通常国会」が召集された ・2016年1月4日,「第190回通常国会」が召集された。通常国会の会期は6月1日までの 150日間である。安倍首相は,第190回通常国会を「未来へ挑戦する国会」と表明している。
<今後の予定>
(前半国会)1/4~3/31
1月4日 衆参両院の本会議で,安倍首相が外交報告を,麻生財務大臣が2015年度補正予算案に関する財政演説を行った。
1月6日~7日 各党代表質問を実施する(6日は衆院,7日は参院)。
1月8日~ 衆院予算委員会において,2015年度補正予算案の実質審議が始まる。
1月22日 安倍首相の施政方針演説など政府4演説が行われる。
1月中旬 2015年度補正予算案(3兆5,030億円)が成立する。
1月末~3月末 2016年度予算案(96兆7,218億円)の実質審議を始め,2016年3月末までに成立する。
(後半国会)4/1~6/1
4月~6月1日 ・環太平洋連携協定(TPP)の国会承認が焦点となり,与党は衆参両院に特別委員会を設置して想起の承認の方向であるが,野党は徹底審議を求めている。 また,2017年4月の消費税再増税に伴って導入される軽減税率や2016年3月末までに施行される安全保障関連法における自衛隊の具体的な任務など実質審議が必要な重要テーマが山積しており,6月1日まででは審議時間が不足することは自明である。しかし,現在,政府・与党は会期を延長せず,2016年7月上旬の参院選に臨む方針と見られている(7月25日が参院議員任期満了)。
(関連事項)
1月24日 沖縄県宜野湾市長選(米軍普天間飛行場の地元で移設問題が争点)が投 開票される。
~3月末 「安全保障関連法」が施行される。
4月24日 衆院北海道5区補選が投開票される。
5月26日~27日 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催される。
6月19日 「18歳選挙権」が施行される。
2017年4月 消費税率10%への引き上げが実施される。

→安倍首相は,1月4日の年頭記者会見で,2016年7月の参院選では,改憲を争点とするとし,衆参同日選挙の可能性を全く考えないとしている。 なお,参院選に合わせて衆院解散・総選挙に踏み切るとの臆測では,通常国会会期末の6月1日に解散すれば,公職選挙法の規定により,7月10日の同日選が可能となる。その場合,2015年11月の最高裁判決において,2014年の衆院選が「違憲状態」と指摘された「1票の格差是正」への対応が条件となる。
→2016年通常国会では,あからさまな「1強体制」のための参院選対策や国会軽視が予想されているが,アベノミクスや閣僚の不祥事次第で状況は一変するとの見方もある。(筆者)

1/4 厚生労働省 「2015年 人口動態統計の年間推計」 ・2016年1月1日,厚生労働省は,「2015年人口動態統計の年間推計」を公表した。
推計項目 2015年 2014年からの増減
出生数 1,008,000 4,000
死亡数 1,302,000 29,000
死因順位 第1位 悪性新生物
第2位 心疾患
第3位 肺炎
第4位 脳血管疾患
-
自然増減数 △ 294,000 △ 25,000
死産数 23,000 △ 1,000
婚姻件数 635,000 △ 9,000
離婚件数 225,000 3,000

→安倍首相は,2016年1月1日の年頭所感で『「少子高齢化」という構造的な課題に,真正面から,立ち向かう。「一億総活躍」社会への挑戦です。・・・「国内総生産(GDP)600兆円」「希望出産率1.8(現在1.43)」「介護離職ゼロ」という3つの明確な「的」を掲げ,新しい「三本の矢」を放ちます。いよいよ「一億総活躍・元年」の幕開けです。』と述べている。出生数の正しい分析は重要な要素となる。
→『厚労省は出生数が増えた理由について,「雇用情勢の改善や保育施設の増加が影響した可能性がある」と指摘した』という報道があったが,一過性の速報値に自分たちに都合のいいコメントをする厚生労働省とそれをそのまま流すマスメディアの姿勢には疑問を感じる。(筆者)

12/21 厚生労働省 「2014年患者調査(概況)」 ・2015年12月17日,厚生労働省は,「2014年患者調査(概況)」 を公表した。
<「2014年患者調査(概況)」の構成>
(1)推計患者数

①施設の種類・性・年齢階級別
②傷病分類別
③在宅医療の状況
④入院(重症度等)の状況

(2)受療率
①性・年齢階級別
②傷病分類別
③都道府県別

(3)退院患者の平均在院日数等
①施設の種類・年齢階級別
②傷病分類別
③推計退院患者数の構成割合
(4)入院前の場所・退院後の行き先
(5)主な傷病の総患者数

→3年に1回に実施される「2014年患者調査」で最も重要なことは,2011年では震災直後のために福島県などの医療御施設が除外されていたが,2014年では含まれているということである。この点について,マスメディアもほとんど触れていない。
→筆者は,2011年に除外されていた震災に関係する福島県などの特異性(特に,放射線・放射能の関連についての変化)を2008年と2014年の比較で知りたいと思っていたが,どこをどう見ても分からない(「2014年患者調査(詳細)」)。チェルノブイリ事故から,少なくとも,子どものがん患者が増えているのではないかと妄想している。都合の悪いことに蓋をする行政およびその片棒を担ぐマスメディアと,都合の悪い現実にはいつでも目を瞑れる国民の未来が明るいかどうか・・・。(筆者)
12/10 厚生労働省 「2014年国民健康・栄養調査の結果」 ・2015年12月9日,厚生労働省は,「2014年国民健康・栄養調査の結果」を公表した。なお,2014年は重点項目として,所得と生活習慣等に関する状況について把握している。
<「厚生労働省」の指摘する調査結果のポイント>
(1)所得と生活習慣等に関する状況
所得の低い世帯では,所得の高い世帯と比較して,穀類の摂取量が多く野菜類や肉類の摂取量が少ない,習慣的に喫煙している者の割合が高い,健診の未受診者の割合が高い,歯の本数が20歯未満の者の割合が高いなど,世帯の所得の違いにより差がみられた。

(2)健診の受診に関する状況
健診を受診していない者では,健診を受診している者と比較して,男女ともに現在習慣的に喫煙している者の割合,運動習慣がない者の割合,血圧の平均値が高く,女性に関しては肥満者の割合も高かった。

(3)基本項目に関する状況
肥満者の割合,糖尿病が強く疑われる者の割合は,男女ともに増加せず推移し,収縮期血圧の平均値は経年的にみて男女ともに低下傾向にあるなど,生活習慣病の予防対策に一定の効果がみられている。
喫煙している者の割合は,2010年以降男女とも減少しておらず,このうち,たばこをやめたいと思う者の割合が男性26.5%,女性38.2%にとどまるなど,引き続き対策が必要である。

→通読すると,厚生労働省やマスメディアが挙げるポイント以外にも興味深い事柄が散見される。筆者は,厚生労働省から「健康・栄養」と聞くと,どうしても「利権」という言葉を想起してしまう。当然に,「国民健康・栄養調査の結果」についても,「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料」としてではなく「利権のための基礎資料」として利用されているのではないかと勘ぐっている。(筆者)
12/3 厚生労働省 「生活保護 被保護者調査(2015年9月分)」 ・2015年12月2日,厚生労働省は,「生活保護 被保護者調査(2015年9月分)」を公表した。
<被保護者調査(2015年9月分)のポイント>
①被保護実人員 :2,163,584人
②生活保護受給世帯 :162万9,598世帯

→マスメディアは,生活保護の被保護実人員が201万を超え,生活保護世帯数が162万を超えて過去最高であったことをセンセーショナル報道にしている。なお,1951年時点での人口8,457万人のうち生活保護の被保護利用者が204万6,000人であったことを知る国民は少ない。
→以下の質問項目のうちいくつ答えられますか?
①生活保護の利用率
②生活保護の捕捉率
③生活保護の再就業率
④生活保護における不正受給の割合(件数,金額)
⑤生活保護における医療扶助の割合(人員,金額)
⑥生活保護における高齢者世帯の割合(世帯数,金額)
⑦日本の生活保護費のGDPにおける割合と国際比較
→生活保護に関する政府の広報やマスメディアの報道からは,国民は生活保護の実態を把握できない状況に置かれており,一定方向に民意が誘導されているのではないかという疑念を抱く。(筆者)
11/30 厚生労働省 「2015年 障害者雇用状況(6月1日現在)」 ・2015年11月27日,厚生労働省は,「2015年 障害者雇用状況(6月1日現在)」を公表した。
<2015年 障害者雇用状況」のポイント>
(1)民間企業(法定雇用率2.0%)
・実雇用率 =1.88%
・法定雇用率達成企業の割合 = 47.2%
(2)国,地方公共団体等(法定雇用率2.3%)
・国の実雇用率 =2.45%
・市町村の実雇用率 =2.41%
(3)都道府県等教育委員会(法定雇用率2.2%)
・実雇用率 =2.15%
(4)独立行政法人など(法定雇用率2.3%)
・実雇用率 =2.32%

→2013年4月1日から障害者法定雇用率が引き上げになった(民間企業:1.8%→2.0%,国,地方公共団体等:2.1%→2.3%,都道府県等教育委員会:2.0%→2.2%)。なお,制裁措置を含む「納付金制度」は,障害者の雇用に伴う事業主かの経済的負担の調整を図ることを目的とし,障害者雇用率未達成事業主から,①障害者雇用納付金を徴収し,障害者雇用率達成事業主には,②障害者雇用調整金を支給するものである。
→厚顔にも,法定雇用率の未達成を継続し続けている「都道府県等教育委員会」とそれを許している「厚生労働省」は,救いようのない「・・」である。現行制度では,地方自治体,教育委員会等の公務部門は,納付金の対象外であり,民間との公平性を担保する手段として,何らかの制裁措置を講じる必要があると思う。(筆者)


(参考)
「障害者雇用率制度」(厚生労働省)
11/24 厚生労働省 「2014年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」 ・2015年11月19日,厚生労働省は,「2014年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」を公表した。
<医療施設調査・病院報告の項目>
(1)医療施設調査

施設数
病床数
診療等の状況
従事者の状況

(2)病院報告
患者数
病床利用率
平均在院日数

→本概況で,マスメディアが取り上げたのは「医療施設調査」における「診療科目別にみた施設数」での産婦人科・産科の減少であり,産婦人科・産科を掲げる施設数は1,361施設(前年比14施設減)となり,24年連続減少,1972年以降過去最少であったことである。そして,「少子化による出生数の減少や,夜間・休日対応が多いなど厳しい勤務環境による産婦人科医の不足が背景にある」との厚生労働省担当者の分析も紹介している。その程度の取り上げ方でいいのかどうか,疑問がある。
→2015年6月20日,日本産科婦人科学会は,産科医不足への対応策をまとめた行動計画(「産婦人科医療改革グランドデザイン2015(GD2015)」)を公表している。
→産科医減少・産科医不足の主な原因は,①長時間の連続勤務や一人当たりの過重負担業務になっている,②産科医のうち常勤医の4割を女性医師が占め,20~30歳代が6割を超え,女性医師の約半数が妊娠中もしくは小学生以下の子どもを抱えている,③訴訟リスクが大き過ぎる,④都道府県間で産業医数の格差が著しい,という現状の放置であることは周知である。
→産科医,小児科医,助産師の不足の責任は,現場からの指摘に対する対応策が後手に回り続けている厚生労働省にある。さらに,介護福祉士,保育士の不足も同様である。(筆者)

11/17 国立社会保障・人口問題研究所 「2013年度 社会保障費用統計(旧社会保障給付費)」(概要 / 本文 ・2015年10月23日,国立社会保障・人口問題研究所は,「2013年度 社会保障費用統計(旧社会保障給付費)」を公表した。
<「2013年度 社会保障費用統計」のポイント>
(1)社会支出(OECD基準)

①社会支出の総額 =114兆1,356億円(前年度比1.4%増,1980年度以降過去最高)
②国民1人当たりの社会支出 =89万6,600円

・政策分野別の割合では,社会支出に占める「高齢」(47.9%)「保健」(33.0%)の割合が8割を超え,全体への寄与度が大きく,社会支出の伸びを牽引している。
・諸外国の社会支出を対国内総生産比では,2011年度時点でアメリカより大きくイギリスをやや上回っているが,スウェーデンやフランス・ドイツなど大陸ヨーロッパ諸国に比べると小さくなっている。


(2)社会保障給付費(ILO基準)
①社会保障給付費の総額 =110兆6,566億円(前年度比1.5%増,1950年度以降過去最高)
②国民1人当たりの社会保障給付費 =86万9,300円

・社会保障給付費を「医療」,「年金」,「福祉その他」に分類した部門別割合では,「医療」32.0%,「年金」49.3%,「福祉その他」18.7%である。
・部門別給付費の対前年度伸び率は,「医療」2.1%,「年金」1.2%,「福祉その他」1.5%,「福祉・その他」のうち、介護対策は4.7%の伸びである。


(3)社会保障財源(ILO基準)
①収入総額 =127兆594億円(前年度比0.0%)
・財源項目別割合では,「社会保険料」49. 6%,「公費負担」33.9%である。

→これからも,社会支出も社会保障給付費も,「過去最高」を更新し続けると想定されている。現在,その財源を確保する手段として,「増税」と「社会保障費削減」を包括的に実施する「社会保障と税の一体改革」が遂行されている。
→しかし,今後,増税も社会保障費削減も困難な状況になることが現実味を帯びてくると,結局,「国債発行」という先送り策に落ち着くのではないかという有力な意見が説得力を持ってくる。国民が最も求める「他の政策経費の削減」が,第一解決策となる可能性はゼロである。(筆者)
11/12 厚生労働省 ■障害者差別解消法に基づく「福祉事業者向けガイドライン」 ・2015年11月11日,厚生労働省は,2013年6月に成立した新法である「障害者差別解消法」に基づく「福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(福祉事業者向けガイドライン)」を公表した。
<「福祉事業者向けガイドライン」の前書き>
2016年4月1日から「障害者差別解消法」が施行されます。この法律は,障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や,国の行政機関,地方公共団体等及び民間事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって,すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的としています。この対応指針は,「障害者差別解消法」の規定に基づき,福祉分野における事業者が障害者に対し不当な差別的取扱いをしないこと,また必要かつ合理的な配慮を行うために必要な考え方などを記載しています。日々の業務の参考にしていただき,障害者差別のない社会を目指しましょう。

(参考)
「障害者差別解消法リーフレット」(内閣府)

→「障害者差別解消法」制定までの概略は以下の通りである。
・2006年12月 :「障害者権利条約」が国連総会で採択された。
・2007年9月 :日本は「障害者の権利に関する条約」に署名した。
・2008年5月 :「障害者の権利に関する条約」が発効した。
・2009年12月 :国内法整備のために「障がい者制度改革推進本部」と「障がい者制度改革推進会議」を設置した。
・2010年11月 :推進会議の下で「差別禁止部会」を設置した。
・2012年3月 :「差別禁止部会」の「論点の中間整理」を公表した。
・2012年7月 :「改正障害者基本法」に基づき,推進会議の機能を発展的に引き継ぐものとして「障害者政策委員会」が発足したことから,差別禁止法のあり方の検討の場も推進会議から政策委員会へと移され,政策委員会の下に新たに「差別禁止部会」を設置した。
・2012年9月14日 :「差別禁止部会」の意見が取りまとめられた。
・2013年4月26日 :「障害者差別解消法案」が閣議決定され,第183回通常国会に提出された。
・2013年6月26日 :「障害者差別解消法」が成立・公布された。
・2013年12月4日 :参議院本会議において「障害者の権利に関する条約」の批准が承認された。
・2014年1月20日 :日本は,「障害者の権利に関する条約」の批准書を国際連合事務総長に寄託した。
・2014年2月19日 :日本について「障害者の権利に関する条約」が発効した。
→第183回通常国会では,障害者差別は解消されるべきものとする重要な2つの法案が可決された。「雇用」の分野での障害者差別をなくそうという趣旨の「改正障害者雇用促進法」と,「雇用以外」の分野での差別をなくそうとする趣旨の新法「障害差別解消推進法」である。一般に指摘されている問題点として,「障害者雇用促進法」では,障害者雇用を義務付けてはいるが「非正規雇用でもよい」とする点であり,「障害者差別解消法では,民間の事業者による「差別的取り扱い」は禁止したが,「社会的障壁の除去」は努力義務とした点が挙げられている。
→「国民の意識変化が伴わなければ,立派で精緻な法律を作っても根本的な障害者差別はなくならない」ことぐらい,本当はみんな気づいている。(筆者)
11/10 厚生労働省 「2014年度衛生行政報告例の概況」 ・2015年11月5日,厚生労働省は,「2014年度衛生行政報告例の概況」(①精神保健福祉関係,②栄養関係,③生活衛生関係,④食品衛生関係,⑤薬事関係,⑥母体保護関係,⑦特定疾患(難病)関係 )を公表した。
<2014年度の「精神保健福祉関係」>
区 分 項 目
精神保健福祉関係 ①一般・警察官等からの「申請通報届出数」
・24,729件(前年度比6.7%増)
②措置入院患者数
・1,479人(前年度比0.2%減)
③医療保護入院届出数
・170,079件(前年度比19.8%減)
④精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数
・803,653人(前年度比7.0%増)
⑤精神保健福祉センターにおける相談延人員
・147,478人で,主な相談内容は,「社会復帰」46.6%,「思春期」11.5%),「心の健康づくり」10.0%の順である。

→精神保健に関する最近の動向である。2013年成立の「改正精神保健福祉法」のうち,①「精神障害者の医療の提供を確保するための指針(精神医療指針)」の策定(2015年3月7日策定),②保護者制度の廃止,③医療保護入院の見直しが,,2015年4月1日から施行された。また,2014年成立の「改正労働安全衛生法」のうち,2015年12月1日から「ストレスチェック制度」が施行される。
→日本には,いまだに30万人を超える精神科入院患者がおり,生活保護費総額の50%は医療扶助で,医療扶助の25%は精神科入院という現状への抜本的な解決策は示されていない。また,「ストレスチェック制度」は精神科病院や精神科クリニックにつなげることが目的ではないと政府は公言している。
→筆者は,「日本の精神医療に欠落しているのは哲学である」という意見に同意している。(筆者)

10/29 内閣府 「認知症に関する世論調査(2015年9月実施)」の結果 ・2015年10月23日,内閣府は,初めて実施した「認知症に関する世論調査(2015年9月実施)」の結果を公表した。
調査項目 質問
(1)認知症の人と接する機会の有無 ①認知症の人と接する機会の有無 問1 あなたは今までに認知症の人と接したことがありますか?
・ある(56.4%)
・ない(43.3%)
①-1認知症の人と接する機会
(問1で「ある」と答えた人に)
問1-1 経験したことがあるものをあげてください。(複数回答)
(2)認知症に対するイメージ 問2 あなたは認知症に対してどのようなイメージを持っていますか。(1つだけ回答)
(3)認知症になった場合の暮らし 問3 もし,あなたが認知症になったとしたら,どのように暮らしたいと思いますか。(1つだけ回答)
(4)認知症に対する不安(本人自身) 問4 もし,あなたご自身が認知症になったとしたら,どのようなことに不安を感じると思いますか。(複数回答)
(5)認知症に対する不安(家族) 問5 もし,あなたのご家族が認知症になったとしたら,あなたはどのようなことに不安を感じると思いますか。(複数回答)
(6)国や自治体に求める認知症施策 問6 認知症の人は現在の約500万人から,2025年には約700万人に増えることが見込まれています。今後,増加が予想される認知症の人への取り組みとして,国や自治体はどのような施策に重点を置くべきだと思いますか。(複数回答)

→厚生労働省は,2015年1月に「2025年には認知症者が700万人を超える」と推計した。これは65歳以上の高齢者のうち,5人に1人が認知症に罹患することを意味する。内閣府は,今回の調査の目的を「認知症に関する国民の意識を把握し,今後の施策の参考にする」ためとしている。
→結論だけを言えば,筆者は,認知症ケアは「自宅近くの施設・病院」などに委ねられるサポートシステムの構築が必要であると思う。また,認知症は「地域包括ケアシステム」で対応できるほど生易しい精神疾患ではないと考える。2015年10月28日,認知症の73歳の男性が宮崎車暴走事故を起こし,6人の死傷者を出した。(筆者)

10/27 厚生労働省 「2015年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 ・2015年10月27日,厚生労働省は,「2015年版 厚る生労働白書」(~人口減少社会を考える-希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して-~)を公表した。
<「2015年版 厚生労働白書」の構成>
第1部 :「人口減少社会を考える ~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して~」
序章 :人口減少の見通しとその影響
第1章 :人口減少社会
第2章 :人口減少克服に向けた取組み


第2部 :現下の政策課題への対応
第1章 :子どもを産み育てやすい環境づくり
第2章 :経済社会の活力向上と地域の活性化に向けた雇用対策の推進
第3章 :安心して働くことのできる環境整備
第4章 :自立した生活の実現と暮らしの安心確保 [1,808KB] 第5章  若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
第6章 :医療関連イノベーションの推進
第7章 :国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第8章 :健康で安全な生活の確保
第9章 :障害者支援の総合的な推進
第10章 :国際社会への貢献と外国人労働者問題などへの適切な対応
第11章 :行政体制の整備・情報政策の推進


(参考)
「人口減少社会に関する意識調査」(概要 / 本文(2015年3月実施)

→「2015年版厚生労働白書」は,「人口減少社会」をテーマとして取り上げ,以下のように述べている。
・日本の人口は,現状のままでは2020年から2015年にかけてすべての都道府県で減少になり,2060年に8,674万人,65歳以上が約40%になると推計している。
・未婚率が上昇し,「生涯未婚率」(50歳時点で一度も結婚したことのない者の割合)は,現在が男性20.1%・女性10.6%であるが,2035年には男性29%・女性19.2%になると推計している。
・経済的事情や異性と出会う機会が少ないなどの理由で,若者の晩婚化や非婚化が進んでいるとし,上記の「人口減少社会に関する意識調査」では,83.2%が「公的な婚活支援に取り組むべきだ」と回答している。また,同調査で,15歳以下の子どもがいる者のうち男性67.4%,女性77.3%が「子育てに負担・不安がある」と回答している。
・これらを踏まえて,若者の雇用の安定的な確保や地方での雇用拡大,待機児童解消と妊娠・出産・子育て期にわたる相談体制や支援の充実,長時間労働の是正等の働き方の見直しなどに,重点的に取り組む必要があるとしている。
→塩崎厚生労働大臣は,記者会見で,「この白書が,人口減少に関する問題意識を国民の皆さんと共有するきっかけにることを期待している。厚生労働省としても関係省庁としっかり連携し,人口減少の克服と一億総活躍社会の実現に向けて全力で取り組んでいきたい」と傍観者的なコメントをしている。
→人口減少・少子化の進行において,国民が求めていること,すなわち国が最優先で取り組まなければならないことは明確である。「人口減少社会に関する意識調査」で,若者世代が出産・子育てにより前向きになり,安心して楽しく子育てできるための要素(複数回答)として,全回答者の70.9%が「安定した雇用と収入」と回答している。
→例年8月に公表される厚生労働白書が10月末とは・・・。いい加減にもほどがある。(筆者)

10/26 厚生労働省 「2015年度市町村職員を対象とするセミナー(市町村セミナー)」の資料 ・「市町村職員を対象とするセミナー(市町村セミナー)」は,『市町村厚生労働行政交流研修事業として,市町村に関連の深い厚生労働行政をテーマに採り上げ,市町村職員間相互及び市町村職員と厚生労働省職員間で情報や意見の交換等を行うことを通じて,市町村が地域の特性に応じた保健福祉サービス等の向上を図るために必要な情報や企画立案の手法を得る機会を提供し厚生労働行政の理解の推進を図るとともに,市町村の厚生労働行政に対する考え方や行政需要等を把握し,厚生労働行政の企画立案に資することを目的としている。』と説明されている。
<2015年度の実施テーマ>
第111回:地域支援事業の充実/介護予防・日常生活支援総合事業の推進について①2015年5/27
◎追加開催:医療保険制度改革について6/19
第112回:社会保障分野への社会保障・税番号制度の導入へ向けて7/17
第113回:子ども・子育て支援新制度の施行後の状況について9/18
第114回:障害者福祉における協議会の活性化、計画相談支援の推進及び虐待防止対策の強化について10/9

<今後の予定(2015年度分)>
◎生活困窮者自立支援制度施行後の状況11/20
地域支援事業の充実/介護予防・日常生活支援総合事業の推進について②2016年1/22
「健康日本21(第2次)の推進~健康寿命の延伸に向けた取組~」(仮)2/19
医療介護連携等に関する取組について3/18


<参考>
2014年度の実施テーマと資料
2013年度の実施テーマと資料

→実施テーマは,厚生労働省が,市町村に徹底を図りたいと考えている事柄である。半端な国の厚生労働施策の市町村への押し付けを目的とするセミナーではないか,という視点から見ると合点がいく。(筆者)
10/22 厚生労働省 「「一億総活躍社会」の実現に向けた『新3本の矢』について,ぜひ,皆さまからのご意見をお寄せください。 」(厚生労働省)

(2015年11月12日追記)
意見の結果
・2015年10月21日から2015年11月6日まで,厚生労働省は,「一億総活躍社会」の実現に向けた『新3本の矢』について,希望やそれを実現するために必要だと思われることについて,意見を求めている。
<アベノミクスの第2ステージでの『新3本の矢』とは>
・アベノミクスの第2ステージでは,国民一人ひとり,子どもや高齢者も含めた誰もが,家庭で,職場で,地域で,活躍する場所があり,将来の夢や希望に向けて取り組むことができる社会を創るとし,この「一億総活躍社会」の実現に向けた政策が,アベノミクスの経済成長の推進力としての『新3本の矢』である。
①全産業の生産性革命の実現 (第1の矢:希望を生み出す強い経済)
②希望出生率1.8の実現 (第2の矢:夢をつむぐ子育て支援)
③介護離職ゼロや生涯現役社会の実現 (第3の矢:安心につながる社会保障)


<アベノミクスの第1ステージでの『旧3本の矢』とは>
・安倍政権は,「デフレからの脱却」と「富の拡大」を目指し,これらを実現する経済政策が,アベノミクス『旧3本の矢』である。
①市場のお金を増やしてデフレ脱却 (第1の矢:大胆な金融政策)
②政府支出でスタートダッシュ (第2の矢:機動的な財政政策)
③規制緩和でビジネスを自由に (第3の矢:民間投資を喚起する成長戦略)

→2012年12月に「第2次安倍政権」が発足し,株価は2倍超になり, 企業の業績も過去最高水準に回復してきたと言われている。しかし,「成長戦略に必須の規制緩和は進んでいない。財政の健全化に必要な社会保障費などの削減も手付かずである。利害調整が難しい施策よりも金融緩和だけが先行している。」と一般的には見られている。
→2015年9月24日,安倍首相は,唐突に「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し,2020年に向けた経済成長の推進力として新たに「新3本の矢」を発表した。脈絡のなさはさておき,問題は『新3本の矢』を実現する具体策である。然したるアイデアもないので,国民の意見を求めていると,筆者は勘ぐっている。
→2016年夏の参議院選挙に向けての目くらましでないことを望むばかりである。(筆者)
10/20 厚生労働省 ■「第3次安倍改造内閣」における厚生労働省の政務三役(大臣・副大臣・政務官) 厚生労働省政務三役(「第3次改造安倍内閣」)
厚生労働省の新政務三役 (2015年10/7) 敬称略
大臣 塩崎恭久 ・昭和25年11月7日生,愛媛県出身,自民党,衆議院,東京大学教養学部卒・ハーバード大学大学院修了
・「第2次安倍改造内閣」からの留任

【筆者の所感】(2014年9月5日)
→安倍首相は,党政調会長代理と日本経済再生本部の本部長代行を務め,成長戦略策定に関わってきたGPIF改革推進派の塩崎氏を,脛に傷を持つ田村氏の後任に起用した。
→安倍首相が,厚生労働大臣に求めているのは,厚生労働省が管轄する120兆円の年金積立金の大胆な活用によるアベノミクスの推進である。塩崎大臣は、「経済こそ最優先で,経済成長が大事」と公言している。厚生労働省のトップに,「医療・介護・福祉の専門家」ではない人物を持ってきたということは,今後,算術が前面に出てくる厚生労働行政の姿が窺えるようである。(筆者)
副大臣 竹内譲 ・厚生担当
・昭和33年6月25日生,京都府出身,公明党,衆議院
・京都大学法学部卒,京都市議を経て,1993年に衆院初当選,4期目(近畿比例ブロック)である。2012年12月から2013年9月まで財務政務官。公明党政調副会長,衆院議院運営委員会理事を経験。
とかしきなおみ ・労働担当
・昭和37年7月16日生,京都府出身,自民党,衆議院
・昭和大学薬学部卒,資生堂に入社。東京都杉並区議を経て,2005年の衆院で初当選,3期目(大阪7区)である。2012年12月から2013年9月までは厚労省政務官。
政務官 三ッ林裕巳 ・労働担当
・昭和30年9月7日生,埼玉県出身,自民党,衆議院
・日本大学医学部卒,同大医学部付属板橋病院の内科医,2009年に日本歯科大付属病院副院長。2012年の衆院選で初当選,2期目(埼玉14区)である。衆院厚生労働委員を経験。祖父は元衆院議員の三ツ林幸三氏,実父は元衆院議員で元科学技術庁長官(現文部科学省)の三ツ林弥太郎氏。
太田房江 ・厚生担当
・昭和26年6月26日生,広島県出身,自民党,参議院
・東京大学経済学部卒,通商産業省(現経済産業省)に入省,岡山県副知事を経て,1999年に大臣官房審議官。2000年2月から2008年2月まで大阪府知事,2013年の参院で初当選,1期目(比例代表)である。

→2014年12月の「第2次安倍改造内閣」で,「石破茂地方創生大臣」が誕生し,2015年10月の「第3次安倍改造内閣」では,「加藤勝信一億総活躍大臣」が誕生した。いずれも,巨大省庁である厚生労働省が主導すべき政策を含むものであるが,縦割り行政と無責任体質を助長する以外の成果は期待できない,と筆者は受け止めている。むしろ,それが目的ではないかとも思える。
→前任の副大臣である山本香苗・公明党参議院議員(年金・労働・子育て支援担当)と永岡桂子・自民党衆議院議員(医療・福祉・介護担当),前任の政務官である高階恵美子・自民党参議院議員(年金・労働・子育て支援担当)と橋本岳・自民党衆議院議員(医療・福祉・介護担当)の名前すら知らなかった国民は多い。筆者は,在任中,義務も期待もなく気楽に過ごしていたのではないかと思っている。(筆者)
10/8 首相官邸 2015年10月7日に「第3次安倍改造内閣」が発足した ・2015年10月7日,「第3次安倍改造内閣」が発足した。安倍首相は,記者会見において,第3次改造内閣を「未来へ挑戦する内閣」と位置付け,今後の政策運営は,「経済政策の一層の強化」であるとした。
・また,安倍首相は,政権が新たな課題とした,国内総生産(GDP)の大幅増(2020年ごろまでの600兆円)を目指す「1億総活躍社会」実現に向けて,工程表(「日本1億総活躍プラン」)の策定を急ぎ,2015年内に具体策の第1弾を打ち出す考えを表明した。さらに,2015年10月5日に日米など12か国が大筋合意した「環太平洋連携協定(TPP)」に伴い,2015年度補正予算編成において,農業関係者への海外産品流入に対する総合対策的な対策を検討する考えも示した。

→政権が新たな課題として取り組むとした「1億総活躍社会」という用語は,戦時中の「一億玉砕」,敗戦後の「一億総懺悔」,高度成長期の「一億総中流」や「一億総白痴化」というネガティブな用法を連想させる。また,新設の「1億総活躍担当大臣」に「一億総活躍国民会議」の設置と2015年注に第一弾の具体化を指示したということである。ゴロの悪いキャッチフレーズの具体化(工程表,具体策)を,何の準備もなく,これから考えるらしい。思い付き程度のものには,期待しづらいと思った。(筆者)
10/7 厚生労働省 2015年10月5日に「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」が施行された ・2015年10月5日に,日本に住む一人一人に割りふられる12桁の番号に,「税」や「社会保障」などの個人情報を結びつけるマイナンバー制度に必要な「マイナンバー法」が施行された。
<今後の予定>
●個人の「マイナンバー」は,10月中旬から11月にかけて,自治体から郵送される「通知カード」で確認できる。
●配達時に不在だった場合は,郵便受けに不在票が入れられ,原則7日間は郵便局に保管され,郵便局に連絡すれば再配達してもらえるが,保管期限がすぎると発送の市区町村に戻されることになっている。
●「通知カード」は,世帯ごとに家族分まとめて簡易書留で届き,原則としてマイナンバーは生涯変わらない。
●市区町村によって発送時期は異なり,自治体のホームページなどで発送が行われたかどうかが確認できる。発送済みなのに手元に届かなければ,10月5日時点で住民登録している自治体に問い合わせる必要がある。
●希望者には各自治体に,顔写真付きの「マイナンバーカード」を申請でき,早ければ2016年1月から無料で入手できる。
2016年1月1日からマイナンバーの利用を始める。

→総務省は,対象者の手元に届かない「通知カード」が一定数出る見通しだとしているが,「通知カード」を国内に住むすべての人に確実に届けられなければどうなるのだろうか。また,個人情報を国家レベルで管理すると言っても,実際に運用する一般公務員への信頼性に問題を抱えている。筆者には,マイナンバー制度が犯罪を助長する元凶になるように思えてならない。(筆者)
10/1 厚生労働省 2015年10月から厚生労働関係で何が変わるか <2015年10月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)年金関係 「被用者年金一元化法」の施行 ・2012年8月に成立した「被用者年金一元化法」により,被用者年金制度が厚生年金保険制度に統一
②厚生年金保険料率の引上げ ・17.474%→17.828%(10月分給与の源泉徴収から)
③国民年金保険料の5年後納制度の開始 ・2012年10月から3年間の時限措置としての「10年後納制度」が終了し,2015年10月から3年間の時限措置としての「5年後納制度」が開始
(2)医療関係 ④医療事故調査制度の施行 ・医療事故が発生した医療機関において,「医療事故調査・支援センター」が調査報告する
⑤看護師等免許保持者の届出制度の創設 ・保健師・助産師・看護師・准看護師の免許を持ちその仕事をしていない人に,復職への働きかけを行う
⑥特定行為に係る看護師の研修制度 ・今後の在宅医療等の推進を図っていくため,特定行為を手順書により実施する場合の看護師の研修制度を創設
(3)疾病対策関係 ⑦特定配偶者等支援金制度 ・ハンセン病療養所退所者給与金受給者の遺族に対して,月額12万8千円を支給
(4)雇用・労働関係 ⑧地域別最低賃金額の改定 ・時間額16円から20円の引上げ(全国加重平均額798円)
「青少年雇用促進法」の施行 ・優良な中小企業を厚生労働大臣が認定し,これらの企業の情報発信を支援する
・ジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして見直し,その普及・促進を図る
「改正労働者派遣法」の施行 ・2015年7月に「改正労働者派遣法」が成立した。
・派遣事業の健全化,派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ,労働者派遣の位置付けの明確化,より分かりやすい派遣期間規制への見直し,派遣労働者の均衡待遇の強化
・労働契約申込みみなし制度

(参考)
2015年4月から厚生労働関係で何が変わるか
→2015年4月1日の記事を参照
9/30 - ■2015年9月27日に「第189回通常国会」が閉会した。 ・第189回通常国会は,2015年1月26日に召集され,6月22日に「安保に関連法案」を成立させるため6月25日までの会期を延長し,9月27日閉会した。結果として会期は245日にわたった。
・今国会の法案成立率は88.0%であった。安保関連法案,改正労働者派遣法(派遣労働者の受け入れ期間を一定の条件の下で延長可能にする),青少年雇用促進法(ブラック企業対策が盛りこまれた),改正公職選挙法(選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる),改正公職選挙法が(参議院選挙の「鳥取と島根」「徳島と高知」の各選挙区を統合する「2合区」を柱とした「10増10減」),改正農協法(JA全中の一般社団法人化),改正マイナンバー法(マイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)にも拡大する)など,国民生活に直結する重要な法案が成立している。
<厚生労働省に関連する主な法律案・法律>
成立した
法律
内容 施行日
医療保険制度改革関連法
(5/27成立)
・国民健康保険の安定化
・後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
・負担の公平化等
・その他
法案成立後,同法に基づき各種改革を順次実施される。
医療保険制度改革関連法公布等について(2015年7月)

医療保険制度改革について(2015年6月)
→医療保険制度改革骨子(概要)(本文)(1/13)
2018年4月1日
改正医療法
(9/16成立)
①地域医療連携推進法人制度の創設
②医療法人制度の見直し
公布の日から2年
改正労働者派遣法
(7/11成立)
・派遣事業の健全
・派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ
・労働者派遣の位置付けの明確化
・より分かりやすい派遣期間規制への見直し
・派遣労働者の均衡待遇の強化
2015年労働者派遣法の改正について
2015年9月30日
青少年雇用促進法
(9/11成立)
・円滑な就職実現等に向けた取組の促進(勤労青少年福祉法等の一部改正)
・職業能力の開発・向上の支援(職業能力開発促進法の一部改正)
2015年10月1日
女性活躍推進法
(8/28成立)
▼内閣府提案
●10年間の時限立法
・基本方針等の策定
・事業主行動計画の策定等
・女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置
女性活躍推進法が成立しました!
2016年4月1日
改正国家行政組織法
(9/4成立)
▼内閣府提案
●内閣府本府から各省等に所掌事務を移管

自殺対策 →厚生労働省
・食育推進 →農林水産省
2016年4月1日
公認心理師法
(9/9成立)
▼議員立法
●心理職に国家資格を設ける
2017年4月1日
継続審議の
法案名
内容 備考
社会福祉法等の改正案 ①社会福祉法人制度の改革
②福祉人材の確保の促進
-
労働基準法等の改正案 ①長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等
②多様で柔軟な働き方の実現
-
外国人実習生機構法案 ①技能実習制度の適正化
②技能実習制度の拡充
-

→政府は今国会を「改革断行国会」と位置付けていたにも拘らず,「安保関連法案」の成立を最優先として処理を進めたことにより,政府提出法案75件の成立率は88.0%で,2014年通常国会の97.5%から大きく下落している。
→「安保関連法案」の成立は,衆参両院における与党の多数を占める議会構成から,既定路線であった。なお,政府・与党のバックグラウンドである「日本会議」という集団の存在をマスメディアが取り上げることは少ないが,「日本会議」の主張を知っていれば,「安保関連法案」は序の口ということが理解できる。
→筆者は,これ以上の政府・与党の暴走を止められるのは,次回以降の国政選挙において,今回の「安保関連法案」に賛成した議員を選ばないことに尽きると思う。(筆者)

9/25 内閣府 「少年非行に関する世論調査(2015年7月実施)」 ・2015年9月19日,内閣府は,「少年非行に関する世論調査(2015年7月実施)」の結果を公表した。
<「少年非行に関する世論調査」の項目>
①少年非行に関する意識
②少年非行の問題点
③少年による不良行為の現状
④少年非行の防止と立ち直りの支援
⑤警察などの行政機関に対する要望等

→新聞各社の記事の見出しは以下のとおりである。
・朝日新聞 :『少年の重大事件「増えている」78% 内閣府世論調査』
・東京新聞 :『スマホやネットで有害情報69% 少年非行の内閣府世論調査』
・日本経済新聞 :『少年非行「増えた」78% 内閣府調査,スマホの影響懸念』
→少年非行の事実を正しく認識している者(「少年非行は減っている」)が2.5%という前提で,「スマートフォンやインターネットなどの普及により,簡単に暴力や性,自殺その他少年に有害な情報を手に入れられる」という社会環境に問題があると答えた者が69.8%であった。それにも拘わらず,マスメディアは,「少年非行は増加しているとする大多数の国民の事実誤認に基づく世論」に対する問題意識は明確に示していない。国も,「少年犯罪は減っている」ことを周知させるより,「スマートフォンやインターネットが少年非行の根源」として焦点化し,単純化しておいたほうが何かと都合がいいのであろうと思える。筆者は,「少年非行に関する世論調査結果」の公表は,マスメディアを利用し,国民の目を核心的な問題から遠ざけるための国の企みではないかと勘ぐっている。(筆者)


(参考)
「2014年版 犯罪白書」(法務省)
9/18 厚生労働省 「子宮頸がんワクチン副反応追跡調査結果(2009年~2014年)」 ・2015年9月17日,厚生労働省は,「第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会,2015年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催し,会議資料を公表した。
・実態調査を受け,検討会は,接種との因果関係について,「これまでの見解を覆す知見は加わっていない」とし,健康被害を接種時の痛みや不安が原因の「心身の反応」とした2014年1月の見解を変更しないこととし,「更に調査研究が必要」で,今後も引き続き「接種を積極的に勧めることを控える」,とした。
<「子宮頸がんワクチン副反応追跡調査結果(2009年~2014年)」 のポイント>
・子宮頸がん予防ワクチンの販売が始まった2009年12月から2014年11月までに接種した約338万人のうち,副反応疑い報告があったのは2,584人で, 発症日・転帰等が把握できた1,739人のうち,回復又は軽快し通院不要は1,550人,未回復は186人であった。

<回復していない186人の症状【複数回答,多い順】>
頭痛 66人
倦怠感 58人
関節痛 49人
接種部位以外疼痛 42人
筋肉痛 35人
筋力低下 34人
運動障害 29人
認知機能の低下 29人
めまい 25人
月経不整 24人
不随意運動 19人
起立性調節障害 17人
失神・意識レベルの低下 16人
感覚鈍麻 16人
けいれん 13人

→2013年4月1日から子宮頸がん予防ワクチンは定期の予防接種となり,対象者は,小学6年生(12歳相当)から高校1年生(16歳相当)の女子となっている。また,2013年6月から,厚生労働省は,ワクチンを積極的に勧めることを控えている。「ワクチン副反応追跡調査」は,若い女性とその家族の痛みや苦しみに関わる重大な事柄である。
→本調査結果は,ワクチン接種を受けた約338万人のうち,医師や製薬会社から副作用報告があった2,584人の症状のうち追跡できた1,739人(約68%)についての医師への調査票をまとめたものに過ぎない。このようないい加減な実態調査を公表していいものかどうか・・・。
→「厚生労働省は結論を急がず,今後の大規模疫学調査も含めた実態把握と原因解明に力を注ぐべきだ。」という意見には真摯に耳を傾け,誠実に対応すべきである。なお,検討会は,調査を理由に厚生労働省が止めていた患者への医療費や医療手当の支給手続きについては「審査を進めるべきだ」とし,厚生労働省は2015年9月18日から審査を始めることとなった。一歩前進である。(筆者)


(参考)
「子宮頸がん予防ワクチン接種の「積極的な接種勧奨の差し控え」についてのQ&A」
9/16 厚生労働省 「2015年版 労働経済白書」(要約 / 本文 ・2015年9月15日,厚生労働省は,「2015年版 労働経済の分析~労働生産性と雇用・労働問題への対応~」」(通称「労働経済白書」)を公表した。
・「労働経済白書」は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今回で67回目となる。
・「2015年版 労働経済白書」では,経済活力の維持・向上に向け,少子高齢化の中での労働力の減少という供給制約を克服し,さらに持続的な賃金の上昇を可能にするため,「労働生産性と雇用・労働問題への対応」と題し,分析が行われている。
<「2015年版 労働経済白書」の構成とポイント>
第1章 労働経済の推移と特徴

・2014年度平均で完全失業率は3.5%と17年ぶりの水準となり,有効求人倍率も1.11倍と23年ぶりの水準となるなど,雇用情勢は着実に改善が進んでいる。
第2章 経済再生に向けた我が国の課題
・経済の好循環の継続に向けて,賃金の上昇が消費の喚起に重要であり,そのためには労働生産性向上の取組が不可欠である。
第3章 より効率的な働き方の実現に向けて
・就労参加を促すには,長時間労働の是正等,働き方の見直しが必要となる。
第4章 人口減少下における地域経済の在り方
・我が国全体の経済成長にとって,地域経済の活性化は重要。地域経済の成長には,民間最終消費支出が大きく寄与しており,所得水準の引上げの前提となる労働生産性を高めるとともに,女性や高齢者の労働参加を進めることが肝要である。

→「労働経済白書」の副題は以下のとおりである。
2015年版 :労働生産性と雇用・労働問題への対応
2014年版 :人材力の最大発揮に向けて
2013年版 :構造変化の中での雇用・人材と働き方
2012年版 :分厚い中間層の復活に向けた課題
2011年版 :世代ごとにみた働き方と雇用管理の動向
2010年版 :産業社会の変化と雇用・賃金の動向
2009年版 :賃金,物価,雇用の動向と勤労者生活
2008年版 :働く人の意識と雇用管理の動向
2007年版 :ワークライフバランスと雇用システム
2006年版 :就業形態の多様化と勤労者生活
→筆者は,「労働経済白書」の最大の欠陥は,毎年,問題点を指摘するだけで労働行政を担う厚生労働省としての「反省」がないことであると思う。(筆者)

9/9 厚生労働省 「社会保障審議会児童部会児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書」 ・2015年9月7日,厚生労働省は,「社会保障審議会児童部会児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書」を公表した。
<「児童虐待防止対策の在り方」の構成>
①妊娠期からの切れ目のない支援の在り方
②初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化
③要保護児童対策地域協議会の機能強化
④児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制整備
⑤緊急時における安全確認,安全確保の迅速な実施
⑥児童の安全確保を最優先した一時保護の実施
⑦親子関係再構築等のための取組み
⑧措置児童の確実な自立につなげていくため,施設,里親等に養育されている間に必要な取組み
⑨退所者の円滑な自立のための居場所づくりの取組みと工夫
⑩上記以外の論点

→2013年度に全国の児童相談所が対応した虐待件数(7万3,802件)は1999年度の約6.3倍だが,配置されている児童福祉司数(2,771人)は1999年度の約2.3倍に過ぎず,一線の職員の増員は最優先課題となっている。
→厚生労働省は,児童相談所側の要員不足という課題を抱えたまま,2015年7月1日から,児童虐待などの通報や相談を24時間受け付ける「児童相談所全国共通ダイヤル:189番」の運用をスタートさせた。
→こういう状況の中で本報告書が提出された。本報告書で注目されているのが,「児童福祉司の国家資格化」(報告書p.14)の提言である。『児童福祉司の専門性向上を担保するため,ソーシャルワークに着目した国家資格化を目指した検討が必要。ただし,資格化に至るまでには様々な課題を整理することが必要。』と記述され,今後は,新設された「子ども家庭福祉の在り方に関する専門委員会」で検討され,2016年の通常国会に児童福祉法等の改正案が提出されるのではないかとみられている。
→筆者は,「一線職員の増員」と「児童福祉司の国家資格化」を同時に進めることは現実的ではないと考える。また,ソーシャルワークの国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士の配置を進めようという動きにならなかったことを悲しく思う。
→「国家資格化」に関する最近の話題である。2015年9月3日,民間資格である臨床心理士などに関わる心理系分野において,心理職でははじめての国家資格化となる「公認心理師法案」が衆議院で可決され,参議院へ送付されている。2015年9月27日までの第189回通常国会で成立する見通しとされている。
→ソーシャルワークが,「国家資格化」により細分化され,さらに,社会福祉士や介護福祉士の職能団体のように,行政の片棒を担いで,国家資格内で「認定資格」や「上級資格」の屋上屋を架する動きになる。一般国民には,ますます分かりづらくなっていく。ありていに言えば,筆者は,「国家資格化」は,利権や天下り先の獲得の手始めとして格好の言い訳になっているのではないかと勘ぐっている。(筆者)


(参考)
「社会福祉士について」(2014年10月)

9/7 厚生労働省 「2014年度 医療費の動向」 ・2015年9月3日,厚生労働省は,「2014年度 医療費の動向」を公表した。
<調査結果のポイント>
項 目 内 容
(1)2014年度の医療費 ①医療費 ・約40兆円(前年度比約0.7兆円増)
②診療種類別医療費 ・入院16.0兆円(構成割合40.2%),入院外13.8兆円(34.5%),歯科2.8兆円(7.0%),調剤7.2兆円(18.0%)
(2)医療費の伸び率 ・1.8%(入院1.7%,入院外1.3%,歯科2.9%,調剤2.3%)
(3)1日当たり医療費の伸び率 ・2.1%(入院2.5%,入院外1.9%,歯科1.9%,調剤0.5%)
(4)受診延日数の伸び率 ・▲0.3%(入院▲0.8%,入院外▲0.6%,歯科0.9%)

→社会保障給付費(医療費)は, 2013年度の社会保障給付費110.6兆円(医療費:36兆円)が,2025年度には約149兆円(医療費:54兆円)にまで増加すると推計されている。1・5倍となる「医療費」の抑制は,「社会保障制度改革」の重要課題とされている。
→2015年5月27日に「医療保険制度改革関連法案」が成立した。国民健康保険法,健康保険法,船員保険法,高齢者医療確保法,支払基金法を一括にした改正法である。これにより,都道府県は2018年度から国保の財政運営の責任主体となるとともに国保運営の中心的役割を担うこととなった。「地域医療構想の推進」を初めとする「医療費抑制」と「医療提供体制整備」の責任を都道府県に負わせる仕組みである。(筆者)

9/4 厚生労働省 「生活保護の被保護者調査結果(2015年6月分)」 ・2015年9月2日,厚生労働省は,「生活保護の被保護者調査結果(2015年6月分)」を公表した。
<被保護人員および被保護世帯(2015年6月分)>
2015年
6月分
2015年
5月比
2014年
6月比
①被保護実人員 2,163,128人 1,686人増 1,686人増
②被保護世帯数 1,625,941世帯 3,416世帯増 21,527世帯増

→生活保護受給世帯(約162万世帯)の半数(49.2%)が高齢者世帯であり,高齢者の生活保護受給者は年々増加傾向にある。「2015年版 高齢社会白書」によれば,2013年における65歳以上の生活保護受給者は88万人で,65歳以上人口に占める生活保護受給者の割合は2.76%で,全人口に占める生活保護受給者の割合(1.67%)より高くなっている。
→なお,「高齢者の経済状況」では,経済的な暮らし向きに心配ないと感じる高齢者は約7割で,高齢者世帯の約7割の世帯は公的年金・恩給の総所得に占める割合が8割以上である。
→生活保護制度において,高齢者への効果的な対策が最重要である。従来から,一例として,年金を受給している高齢者で,住居の確保ができれば生活保護を受けなくて済む人が多いと言われている。また,生活保護費3.7兆円の半分は医療費であり,国際的に突出した長期入院による日本の精神科医療の構造的な問題には触れられない。闇の部分の多い生活保護制度に関しては,国民への納得できる改善策の明示とともに,国民の意識改革が必要と思われる。(筆者)
9/2 厚生労働省 「周産期医療体制の現状について」 ・2015年8月31日,厚生労働省は,「第1回周産期医療体制のあり方に関する検討会」を開催し,会議資料を公表した。

・2009年3月4日に「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会報告書」が提出された。2010年1月26日の「周産期医療体制整備指針」に基づき,各都道府県は周産期医療体制整備計画を策定し,地域の実情に応じた周産期医療体制を計画的に整備し,リスクの高い妊産婦や新生児等に高度な医療が適切に提供されるよう,周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターを整備し,地域の分娩施設との連携を確保すること等により,周産期医療体制の充実・強化を進めている。2014年度には全国で総合周産期母子医療センター104施設,地域周産期母子医療センター292施設が整備されている。
・2010年1月26日の「周産期医療の確保について」において,各都道府県は周産期医療体制整備計画を概ね5年ごとに変更するとされており,2015年8月に「周産期医療体制のあり方に関する検討会」が設置された。

→「周産期」とは,妊娠22週から生後満7日未満までの期間で,合併症妊娠や分娩時の新生児仮死等の母体・胎児・新生児の生命に関わる事態が発生する可能性があると言われる。「周産期医療」とは,その前後の期間を含めて産科と小児科が一体となって母子をケアする医療で,一貫した総合的な体制が必要であるとされている。
→現在,「周産期医療体制の整備」により,妊婦死亡率や周産期死亡率が低下している。一方で,分娩件数と分娩取扱施設数は減少し,産婦人科医は増加傾向であるが,分娩取扱医師の偏在が続いている,という切実な問題を抱えているとされている。(筆者)
8/31 厚生労働省 「2013年 社会保障制度改革に関する意識等調査結果」 ・2015年8月28日,厚生労働省は,今後の厚生労働行政施策の企画・立案のための基礎資料を得ることを目的とした「2013年 社会保障制度改革に関する意識等調査結果」を公表した。
<調査結果のポイント>
調査項目 ポイント
(1)社会保障制度に関する情報についての意識 ①社会保障制度に関する情報 ・「見かけた時には興味を持って見るようにしている」51.9%
・29歳以下では,「興味はない」69.5%
②情報の内容や提供状況 ・「不満と感じている」54.5%
・不満の理由(複数回答)は,「得られる情報が分かりづらい」66.8%
③社会保障制度に関する授業 ・「受けたことがある」のうち,「内容を覚えている」38.0%,「覚えていない」61.5%
(2)社会保障制度改革についての意識 ①今後充実させる必要があると考える社会保障の分野(複数回答) ・「老後の所得保障(年金)」64.5%
②現在の税や社会保険料の負担水準 ・「生活にあまり影響しないが負担感がある」50.5%,「生活が苦しくなるほど重い」39.1%
③今後の社会保障制度を維持するための財源 ・「どちらかと言えば税で賄うべき」38.4%,「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」23.1%
④今後の社会保障の給付水準・負担の水準 ・給付水準は,「維持すべき」48.2%,「ある程度引き上げるべき」29.4%
・負担の水準は,「現状程度とすべき」43.6%,「ある程度減らすべき」21.8%,「ある程度の負担増はやむを得ない」20.7%

→この程度の調査結果の公表までに2年以上もかかることにあきれる。
「社会保障制度に関する情報」について,29歳以下では,「興味はない」が約7割という結果であった。驚愕の数値である。社会保障に関心を持たない無知な国民が多いとだれが喜ぶ?(筆者)
8/28 厚生労働省 「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」(概要 / 本文 ・2015年8月7日,厚生労働省は,「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」(座長:佐藤博樹中央大学大学院戦略経営研究科教授)を公表した。
<「報告書」の構成>
(1)介護離職を防止し,仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備
①介護休業(一の要介護状態ごとに通算して93日)の分割取得等
②介護休暇(要介護者1人につき年5日,2人以上の場合年10日)の取得単位の見直し
③選択的措置義務(短時間勤務制度等のうちいずれかを事業主が選択して措置する義務)・所定外労働の免除
④仕事と介護の両立に向けた情報提供

(2)多様な家族形態・雇用形態に対応した,育児期の柔軟な働き方の実現
①育児休業の対象となる子の範囲(法律上の親子関係)の見直し
②有期契約労働者に係る育児休業の取得要件の見直し
③有期契約の派遣労働者に係る育児休業の取得促進
④子の看護休暇の取得単位の見直し
⑤所定労働時間の短縮措置等の対象年齢(子が3歳まで)
の引き上げ

(3)男性の子育てへの関わりを可能とするための環境整備
・効果的な育児休業の取り方,利益取扱の禁止の周知徹底などの取組,各種制度の周知,育児休業取得の促進
(4)その他
・テレワークの活用,経済的支援,転勤配慮等

→本報告書に対する主な労働者団体の評価を紹介する。
●連合事務局長(談話) :「一定の前進はみられるものの抜本的な解決には不十分である。」
●全国労働組合総連合事務局長(談話) :「いくつかの前進面を持ちつつ,実際の効果としては不十分な内容に止まったといわざるを得ない。」
→「介護離職の防止」に関しては,重度の親を10年間在宅介護をした者からすれば,コメントしようもない。(筆者)

8/24 介護労働安定センター 「2014年度 介護労働実態調査結果」 ・2015年8月7日,「公益財団法人 介護労働安定センター」が「2014年度 介護労働実態調査結果(調査実施期間:2014年10月1日~10月31日)」を公表した。
<調査結果のポイント>
【1】事業所における介護労働実態調査
(1)離職率・採用率

・離職率 :16.5%、採用率 :20.6%
(2)従業員の過不足
①不足感 :59.3%
②不足理由では,「採用が困難」が72.2%
③採用が困難な原因では,「賃金が低い」が61.3%,「仕事がきつい」が49.3%
(3)介護サービスを運営する上での問題点
・「良質な人材の確保が難しい」が53.9%,「今の介護報酬では人材の確保・定着のために必要な賃金を払えない」が49.8%
(4)賃金
・労働者の所定内賃金(月給) :215,077円

【2】介護労働者の就業実態と就業意識調査
(5)仕事を選んだ理由

・「働き甲斐のある仕事だと思ったから」が52.6%
(6)労働条件等の不備
・「人手が足りない」が48.3%,「仕事のわりに賃金が低い」が42.3%,「有給休暇が取りにくい」が34.9%
(7)家族の介護
①「現在介護している」が11.1%,「ここ数年のうち,可能性がある」が31.1%,「当面ない」が55.5%
②仕事と介護の両立については,「両立できる」が34.2%,「両立できない」が63.3%
③「両立ができる」との回答者は「両立できない」の回答者に比べて,「休んだ時に,自分の仕事を代りに担当できる人がいる」などすべての項目で回答割合が高かった。

→本調査項目のうち,「(7)家族の介護」は2014年度から新設された項目である。「現在介護している」と「ここ数年のうち,可能性がある」の合計が42.2%であり,現業の介護職員の4割がここ数年で介護する側になり,また,その6割が「仕事と介護の両立ができない」で離職するという結果になっている。「介護人材の確保」に対して,近い将来,有能な多くのベテランを失うという新たな難問が提起されたと認識すべきである。
→なお,2015年2月25日には,「社会保障審議会福祉部会」から「2025 年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」が公表されている。(筆者)
8/12 内閣府 「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査(2015年6月調査)」 ・2015年8月10日,内閣府は,2020年に開催される「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査(2015年6月調査)」を公表した。
東京オリンピック 東京パラリンピック
周知度 ・「知っている」が98.1%(「オリンピックは知っているが,パラリンピックは知らない」が0.7%)
・「知っている」は大都市,男性,60歳代で割合が高いのが特徴である。
関心度 ・「関心がある」が81.9%(「非常に関心がある」30.5%+「ある程度関心がある」51.4%)
・「関心がある」は男性,40歳代で割合が高いのが特徴である。
・「関心がある」が70.3%(「非常に関心がある」18.4%+「ある程度関心がある」51.9%)
・「関心がある」は60歳代で割合が高いのが特徴である。
観戦に行きたいか ・「観戦に行きたい」が51.2%(「ぜひ観戦に行きたい」12.2%+「できれば観戦に行きたい」39.0%)
・「観戦に行きたい」は男性,40歳代・50歳代で割合が高いのが特徴である。
・「観戦に行きたい」が36.4%(「ぜひ観戦に行きたい」4.5%+「できれば観戦に行きたい」31.9%)
・「観戦に行きたい」は20歳代・40歳代で割合が高いのが特徴である。

→1964年の東京オリンピック前の1964年3月の世論調査では,「関心がある」は75.1%であったことから,今回の5年前での81.9%は,関心の高まりの早さを表わしている。
→ただし,「競技場などに観戦に行きたい」が51.2%であることには,「時代の推移」という重要な意味があると考えられる。これに対して,『文部科学省の担当者は「より多くの人に競技場に足を運んでもらえるようにしたい。」と話しています。』という新聞報道があり,またしても「元総理大臣や現担当大臣,官僚の認識が根本的に古臭いかズレているのではないか」という心配が沸き起こる。
→さらに,パクリ疑惑のあるエンブレムは,日本の品格に関わる問題であり,即刻取りやめにしてもらいたい。(筆者)
8/8 厚生労働省 「第28回社会福祉士国家試験の施行について」 ・2015年8月7日,厚生労働省は,「第28回社会福祉士国家試験の施行について」を公表した。
受検の手引き
『受検の手引き』の請求窓口  :2015年7/17~(発送は8/7以降)
試験日程
◎受験書類の受付期間  :2015年9月10日(木)~10月9日(金)
◎筆記試験日       :2016年1月24日(日)
◎発表日          :2016年3月月15日(火)午後


試験科目(150問:240分)
【試験科目(共通)】・・・83問(問題数配分:2014年度実績)
①人体の構造と機能及び疾病(7問)
②心理学理論と心理的支援(7問)
③社会理論と社会システム(7問)
④現代社会と福祉(10問)
⑤地域福祉の理論と方法(10問)
⑥福祉行財政と福祉計画(7問)
⑦社会保障(7問)
⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
⑩保健医療サービス(7問)
⑪権利擁護と成年後見制度(7問)


【試験科目(専門)】・・・67問
(問題数配分:2014年度実績)
①社会調査の基礎(7問)
②相談援助の基盤と専門職(7問)
③相談援助の理論と方法(21問)
④福祉サービスの組織と経営(7問)
⑤高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)
⑥児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)
⑦就労支援サービス(4問)<⑧と同じ群>
⑧更生保護制度(4問)<⑦と同じ群>

試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
坂田周一
副委員長
秋元美世,小笠原浩一,萱場一則,後藤隆,高橋紘士,野村豊子,橋本宏子,前橋信和
委員
相川充,相原佳子,青柳親房,明渡陽子,朝日雅也, 荒井浩道,石川正興,石田道彦,石橋敏郎,井村修,岩崎香,岡田まり,荻野剛史,小原眞知子,上山泰,加山弾,川崎二三彦,北本佳子,木村 容子,小山充道,今野広紀,潮谷恵美,澁谷昌史,嶋崎尚子,生島浩,嶋崎尚子諏訪徹高木憲司,高野和良,高野龍昭,田中尚,玉野和志,
長倉真寿美中島隆信,中瀬 剛丸,中田知生,長友祐三,難波利光,西岡正次,西田和弘,西村幸満,狭間香代子,畑本裕介,原元彦,福田素生,福原宏幸,堀越由紀子,松端克文,松原 由美,丸谷浩介,道中隆,宮岡佳子,村社卓,森川美絵,柳田正明,矢原隆行,山田篤裕山本克也山本真実,綿祐二
参考情報
「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ」→社会福祉士の活用及び障害福祉分野の人材確保の方向性(2014年10月)
「社会福祉士について」(2014年10月)
8/8 厚生労働省 「第18回精神保健福祉士国家試験の施行について」 ・2015年8月7日,厚生労働省は,「第18回精神保健福祉士国家試験の施行について」を公表した。
受検の手引き
『受検の手引き』の請求窓口  :2015年7/17~(発送は8/7以降)

試験日程
◎受験書類の受付期間  :2015年9月10日(木)~10月9日(金)
◎筆記試験日       :2016年1月23日(土),1月24日(日)
◎発表日          :2016年3月月15日(火)
午後

試験科目(163問:275分)
【試験科目(共通)】・・・83問(問題数配分:2014年度実績)
①人体の構造と機能及び疾病(7問)
②心理学理論と心理的支援(7問)
③社会理論と社会システム(7問)
④現代社会と福祉(10問)
⑤地域福祉の理論と方法(10問)
⑥福祉行財政と福祉計画(7問)
⑦社会保障(7問)
⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
⑩保健医療サービス(7問)
⑪権利擁護と成年後見制度(7問)


【試験科目(専門)】・・・80問(問題数配分:2014年度実績)
①精神疾患とその治療(10問)
②精神保健の課題と支援(10問)
③精神保健福祉相談援助の基盤(15問)
④精神保健福祉の理論と相談援助の展開(25問)
⑤精神保健福祉に関する制度とサービス(12問)<⑥と同じ群>
⑥精神障害者の生活支援システム(8問)<⑤と同じ群>


試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
鹿島晴雄
副委員長
伊藤真人,菅野庸,住友雄資,髙橋紘士,田中英樹,古屋龍太
委員
相川充,相原佳子,青木聖久,明渡陽子,荒井浩道,石田道彦,石橋敏郎,伊東秀幸,今村浩司,井村修,岩崎香岩本操,大久保善朗,越智あゆみ,小原眞知子,影山隆之,勝又陽太郎,上山泰,加山弾,倉知延章,小山充道,今野広紀,佐藤光正,嶋﨑尚子,白石弘巳,鈴木孝典髙木憲司,高野和良,竹島正,玉野和志,茶屋道拓哉 ,辻井誠人,長崎和則,中田和生,長友祐三,長沼葉月,中村和彦,難波利光,西田和弘,橋本みきえ,畑本裕介,原元彦,福田素生,福原宏幸,堀越由紀子,松岡克尚,松端克文,松本すみ子,丸谷浩介,道中隆,宮岡等,宮岡佳子村社卓,森川美絵,柳田正明,山田篤裕,山野尚美,山本克也,吉川公章,吉益晴夫
8/7 文部科学省 「2015年度学校基本調査(速報値)」 ・2015年8月6日,文部科学省は,「2015年度学校基本調査(速報値)」を公表した。
< 調査結果の項目>
①在学者
②高等学校卒業者の進学
③卒業者に占める就職者の割合
④一時的な職に就いた者,進学も就職もしていない者の占める割
⑤女性教員の割合
⑥長期欠席者数
⑦1年以上居所不明者数

→本調査結果において,「小学生の不登校率は過去最悪となり,2年連続で増加した」ことをほとんどのメディアが主たる記事として取り上げている。
→日本における「不登校」に関する名称の変遷である。
1960年代には「学校恐怖症」という名称が使われ,その後1980年代前半頃までは「登校拒否」という名称が使われ,1980年代半ば以降から「不登校」と呼称されるようになった。
→現在では,「不登校への対応」は, 学校現場の枠を超え,医療・福祉などの関係機関との連携が必要であると認識されている。しかし,今の胡散臭さ満載の文部科学大臣に何か期待できることがあるかどうか・・・。(筆者)


(参考)
「不登校」(文部科学省)
8/6 首相官邸 「介護保険の第6期計画(2015年~2017年度)及び 2025年における第1号保険料及び サービス見込み量について」 ・2015年8月3日,内閣は,「第5回社会保障制度改革推進会議」の会議資料を公表した。厚生労働省老健局から「介護保険の第6期計画(2015年~2017年度)及び 2025年における第1号保険料及び サービス見込み量について」が報告された。
<資料の構成>
①地域包括ケアシステムの構築について
②介護保険事業(支援)計画について
③2025年を見据えた介護保険事業計画の策定等
④第6期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込み
⑤介護給付と保険料の推移
⑥介護保険の第6期及び2025年等における第1号保険料

2013年の「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」に基づき,受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため,2014年1月12日に,関係閣僚により構成される「社会保障制度改革推進本部」が内閣に設置され,2014年6月12日に,有識者により構成される「社会保障制度改革推進会議」が内閣に設置された。
→社会保障制度改革の関連情報である。消費税率の10 %への引上げを2017年4月から実施することを踏まえ,社会保障の充実を2014年12月24日に閣議決定された「第3次安倍内閣」の「基本方針」に基づいて,2015年1月13日,社会保障制度改革推進本部(本部長:安倍首相)は,厚生労働省の「第85回社会保障審議会医療保険部会」における「医療保険制度改革骨子」及び「社会保障制度改革のスケジュール等について」を決定した。なお,「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」は,第189回通常国会において2015年5月27日に可決されている。(筆者)
7/21 厚生労働省 「第28回介護福祉士国家試験の施行について」 ・2015年7月17日,厚生労働省は,「第28回介護福祉士国家試験の施行について」を公表した。
受検の手引き
『受検の手引き』の請求窓口  :2015年6/26~(発送は7月下旬以降)

試験日程
◎受験書類の受付期間  :2015年8月5日(水)~9月4日(金)
◎筆記試験日       :2016年1月24日(日)
◎実技試験日       :2016年3月6日(日)
◎発表日          :2016年3月月28日(月)午後


筆記試験科目(120問)
(時間・問題数配分:2014年実績)
(午前) 10時00分~11時50分(時間・問題数配分:2014年実績)
①人間の尊厳と自立(2問)<④と同じ群>
②人間関係とコミュニケーション(2問)<⑤と同じ群>
③社会の理解(12問)
④介護の基本(16問)<①と同じ群>
⑤コミュニケーション技術(8問)<②と同じ群>
⑥生活支援技術(20問)
⑦介護過程(8問)
(午後) 
13時45分~15時25分
⑧発達と老化の理解(8問)
⑨認知症の理解(10問)
⑩障害の理解(10問)
⑪こころとからだのしくみ(12問)
⑫総合問題(12問)


試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長 
根本嘉昭
副委員長
朝倉京子,臼井正樹,遠藤英俊,川井太加子,川手信行,谷口敏代,峯尾武巳,山野英伯
委員(筆記)
天野由以,飯干紀代子,伊藤秀一,
伊藤直子,井上善行,梅垣宏行,梅本旬子大木和子,大原昌樹,小川純人,奥田都子,小倉毅,金井守金子英司川越正平,北村世都,藏野ともみ,小池竜司,小林理,澤宣夫,白井孝子高山由美子田口潤,竹内美幸,武田卓也,辻哲也,津田理恵子,東海林初枝,永井優子, 長谷憲明,中村大介,奈良環朴美蘭,鳩間亜紀子,花畑明美,阪東美智子,柊崎京子,古田伸夫,本名靖,松本由美子水谷なおみ八木裕子,吉賀成子
委員(実技)・・・-割愛

試験センターからの注意事項
第27回介護福祉士国家試験から,筆記試験において、図・表・イラスト・グラフを用いた試験問題を出題することがある。(2014年7/4)

参考情報
「介護福祉士国家試験の出題範囲等の今後の在り方について(報告書)」(2013年12月16日)
「2015年度 介護技術講習会」(受付期間:2015年4/1~8/21)
「実技試験の免除について」(2015年4/17)
7/15 厚生労働省 ■2015年10月に「地域限定保育士試験」が実施される ・2015年7月10日,厚生労働省は,2015年度の「地域限定保育士試験の実施について」を公表した。
・2015年通常国会で成立した「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」により,資格取得後3年間は当該自治体内のみで保育士として働くことができ,4年目以降は全国で働くことができる 「地域限定保育士(正式名称:国家戦略特別区域限定保育士)」となるための試験制度が新たに創設された。
・「地域限定保育士試験」は,8月に全国で実施される保育士試験に加えて,2015年度の2回目の試験と位置づけられる。
<試験日程>
・地域限定保育士筆記試験:2015年10月24日(土),25日(日)
・地域限定保育士実技試験:2015年12月13日(日)


<地域限定保育士試験実施自治体>
・神奈川県・大阪府・沖縄県・千葉県(対象地域:成田市)

(参考)
「全国保育士養成協議会HP」

→「保育士試験」は,毎年1回,都道府県が行っているが,『「日本再興戦略」改訂2014』において,保育士試験の年2回実施を関係都府県に要請されたものであり,2015年通常国会で成立した「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律」により,「地域限定保育士試験」として2015年度より実施されることになった。
→周知されている保育士不足の最大の原因は,保育士の待遇の悪さである。魅力のある職業であるのにもかかわらず,潜在保育士が約60万人もいることがその証明である。今の保育士環境の改善を放置して,試験の回数を増やし,保育士資格取得者数を増やしても,保育士確保につながるとは考えにくい。現業の保育士の待遇を大幅に改善すれば解消する問題であることは自明である。
→さらに,待機児童数や保育士試験受験生が最も多い東京都が「地域限定保育士試験」の実施自治体になっていないところが笑うに笑えない。(筆者)


(参考)
保育士確保(厚生労働省)

7/6 内閣府 「2015年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 ・2015年7月3日,内閣府は,「2015年版 少子化社会対策白書」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,「少子化社会対策基本法」第9条に基づく年次報告書で,2004年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部 少子化対策の現状と課題

第1章 少子化の現状
第2章 少子化対策の取組


第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第2章 きめ細かな少子化対策の推進

→「白書」の名称の変遷である。
2004~2009年度版 :「少子化社会白書」
2010~2012年度版 :「子ども・子育て白書」(民主党政権)
2013年度版~   :「少子化社会対策白書」
→少子化対策に関する最近の動向である。
2014年1月に経済財政諮問会議の下に「選択する未来委員会」が設置された。2014年5月に民間機関の「日本創生会議」が衝撃的な分析結果を発表した。2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」・「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定された。2015年3月に「少子化社会対策大綱」が策定された。
→人口減少,少子高齢化社会への効率的・効果的な対応は,部分最適から全体最適のための横断的な行政システムの構築と実施以外にはあり得ないことはみんな認識している。ただ,やろうとしないだけである。(筆者)
7/3 厚生労働省 「2014年 国民生活基礎調査の概況」 ・2015年7月2日,厚生労働省は,「2014年 国民生活基礎調査の概況」を公表した。
<「2014年 国民生活基礎調査」の構成>
(1)世帯数と世帯人員数の状況
①世帯構造及び世帯類型の状況
②65歳以上の者のいる世帯の状況
③65歳以上の者の状況
④児童のいる世帯の状況
⑤15歳以上の者の就業の状況


(2)各種世帯の所得等の状況
①年次別の所得の状況
②所得の分布状況
③世帯主の年齢階級別の所得の状況
④児童のいる世帯の所得の状況
⑤所得の種類別の状況
6生活意識の状況

→国民生活基礎調査は,保健,医療,福祉,年金,所得などの国民生活の基礎的事項を調査し,施策の企画立案と行政の運営に必要な基礎資料を得ることを目的としている。1986年から実施され,3年ごとに大規模な調査が実施され,その10回目の大規模調査の結果が,「2013年国民生活基礎調査の概況」として公表されている。
→3福祉士国家試験,ケアマネ試験受験者にとって,「2013年国民生活基礎調査の概況」の理解は必須である。
→今回の小規模調査結果でメディアが取り上げた事柄は,①「生活が苦しい」が過去最多の62.4%,②高齢者世帯数(24.2%)が子育て世帯(22.6%)を初めて上回った,に集約できる。そして,①では「所得の少ない高齢者所帯や非正規雇用の人の増加が背景にあるとみられる。消費税率を8%に引き上げたことが影響している」,②では「少子高齢化の進展を反映している」とコメントされている。(筆者)

7/1 首相官邸 ■2015年の「骨太の方針」,「改訂成長戦略」,「規制改革実施計画」,「まち・ひと・しごと創生基本方針」が閣議決定された ・2015年6月30日の臨時閣議において,「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)「『日本再興戦略』改訂2015」(改訂成長戦略)「2015年規制改革実施計画」「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」が閣議決定された。
<内閣官房長官記者会見での説明>
「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)は,「経済再生なくして財政健全化なし」,その基本哲学の下に,2020年度の財政健全化目標を堅持し,経済と財政双方の一体的再生を目指す「経済・財政再生計画」を定めている。
「『日本再興戦略』改訂2015」(改訂成長戦略)は,人口減少下の供給制約を乗り越えるため「未来投資による生産性革命」の実現を図る,新たな施策を追加している。
「2015年規制改革実施計画」は,計画に基づき成長戦略を推進するとともに,国民に多様な選択を可能とする岩盤規制改革に取り組む。
「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」は,人口減少問題の克服と成長力の確保を実現するため,地方創生の深化によりローカル・アベノミクスの実現に取り組む。

→今後は,閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針),「『日本再興戦略』改訂2015」,「2015年規制改革実施計画」,「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」に沿って,「2016年度の予算編成」が進められる。
→大手新聞社のうち,2015年7月1日の社説で取り上げたのは以下の通りである。その他は,ギリシャ,新幹線,小噴火等を取り上げている。
◎読売新聞 :「骨太方針決定 アベノミクスを深化させよ」
「民間活力を引き出す規制緩和などで高い成長を実現し,財政赤字の解消や社会保障制度の再構築など構造問題の解決を図る。経済成長と財政再建の二兎を追う基本戦略を堅持したのは妥当である。」
◎日本経済新聞 :「成長と財政両立の宿題は山積みだ」
「日本経済の最大の課題である成長力の強化と、財政健全化を両立する道筋を示せたとはいえない。むしろ課題を浮き彫りにした。」
◎産経新聞 :「骨太方針 「二兎」追う道筋を見せよ 成長への過大な期待許されぬ」
「方向性は妥当といえよう。問題は実現可能性である。骨太方針は歳出改革に踏み込まず,成長頼みに過ぎている。その成長戦略も,3%以上の名目成長率を目指すのに十分なのか。」
→なお,「骨太の方針」において,2020年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を達成するため,膨張する社会保障費の伸びを年0.5兆円,2018年度までの3年間で1.5兆円程度に抑える目安を掲げている。関心の低さが気にかかる。(筆者)

6/26 厚生労働省 「2014年度 精神障害の労災請求件数・支給決定件数」 ・2015年6月25日,厚生労働省は,「2014年度 過労死等の労災補償状況」を公表した。
<「2014年度 過労死等の労災補償状況」のポイント>
【1】
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
①総計
・請求件数 :763件(前年度比21件減で3年連続で減少)
・支給決定件数 :277件(うち死亡121件,前年度比29件減で2年連続で減少)
②業種別の内訳
・請求件数 :「運輸業,郵便業」168件,「卸売業,小売業」126件,「建設業」97件
・支給決定件数 :「運輸業,郵便業」92件,「卸売業,小売業」35件,「製造業」31件

③職種別の内訳
・請求件数 :「輸送・機械運転従事者」149件,「サービス職業従事者」125件,「専門的・技術的職業従事者」102件 の順で多い。
・支給決定件数 :「輸送・機械運転従事者」88件,「専門的・技術的職業従事者」44件,「管理的職業従事者」37件
④年齢別の内訳
・請求件数 :「50~59歳」251件,「40~49歳」222件,「60歳以上」198件
・支給決定件数 :「50~59歳」111件,「40~49歳」93件,「30~39歳」39件

【2】精神障害に関する事案の労災補償状況
①総計
・請求件数 : 1,456件(前年度比47件増で過去最多)
・支給決定件数 :497件(うち未遂を含む自殺99件,前年度比61件増で過去最多)

②業種別の内訳
・請求件数 :「製造業」245件,「医療,福祉」236件,「卸売業,小売業」213件
・支給決定件数 :「製造業」81件,「卸売業,小売業」71件,「運輸業,郵便業」63件

③職種別の内訳
・請求件数,支給決定件数ともに,「専門的・技術的職業従事者」347件,110件,「事務従事者」336件,99件,「サービス職業従事者」193件,63件
④年齢別の内訳
・請求件数,支給決定件数ともに,「40~49歳」454件,140件,「30~39歳」419件,138件,「20~29歳」297件,104件
⑤出来事別の内訳
・支給決定件数 :「悲惨な事故や災害の体験,目撃をした」72件,「(ひどい)嫌がらせ,いじめ,又は暴行を受けた」69件

→うつ病などの精神障害が労災認定を受けるとは,「労働基準法施行規則」別表第1の2第9号ににおける「業務上の疾病(9.人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病)」に該当するということである。
→「精神障害の労災認定」に関わる最近の経緯の概観である。
2000年3月24日の最高裁判決において,従業員が業務によりうつ病となり自殺したケースで,会社に安全配慮義務違反があるとして,損害賠償義務が認められた。これにより,従業員に与えるストレス(心理的負荷)に関心が集まった。ストレスによる精神障害を労災として認定するための基準が設けられ,数度の改定を経て,現在は,2011年12月26日の厚生労働省労働基準局の通達(「心理的負荷による精神障害の認定基準」基発1226号第1号)が適用されている。この基準においては,対象となる精神障害(疾病)の発病の前おおむね6か月間に業務による強い心理的負荷が認められる場合に業務起因性がある精神障害と判断されるとされている。労働者のメンタルヘルスの悪化が社会問題となったことを背景にして,2014年6月に「改正労働安全衛生法」が公布され,2015年12月より労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施が義務付けられることになった。

→5/19
(■厚生労働大臣が,違法な長時間労働繰り返す「大企業の社名公表」を指示した),4/28(■「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について(説明会資料)」の記事を参照されたい。環境整備は必要であるが,自分自身でストレス耐性を高める努力をしなければ,「自分の健康は自分で守る」ことは叶わない,と筆者は思う。簡単な質問ですが,「精神疾病は完治する」と思いますか?「完治した人」を知っていますか?(筆者)
6/22 内閣府 「2015年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 ・2015年6月19日,内閣府は,「2015年版 男女共同参画白書」を公表した。
・男女共同参画白書は,「男女共同参画者社会基本法」第12条に基づく年次報告書で,2001年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 男女共同参画白書」の構成>
【Ⅰ】2014年度男女共同参画社会の形成の状況

特集 地域の活力を高める女性の活躍

【Ⅱ】男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2014年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2015年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策


(参考:特集のテーマ)
 2015年版  地域の活力を高める女性の活躍
 2014年版  変わりゆく男性の仕事と暮らし
 2013年版  成長戦略の中核である女性の活躍に向けて
 2012年版  男女共同参画の視点からの防災・復興
 2011年版  ポジティブ・アクションの推進-「2020年30%」に向けて-
 2010年版  女性の活躍と経済・社会の活性化
 2009年版  男女共同参画の10年の軌跡と今後に向けての視点−男女共同参画社会基本法施行から10年を迎えて−

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「性別役割意識強いと男性の長時間労働に」,日本経済新聞では「女性の就業率6割強に」,東京新聞では「働く女性の割合63.6% 過去最高」という見出しで取り上げている。
→「男女共同参画」に関する直近の話題である。
「女性活躍推進法案」が2015年6月4日に衆議院で全会一致で可決され,今国会で成立する見通しである。法案は,2014年臨時国会に提出されたが,衆院解散で廃案になったものであるが,国と自治体,民間企業に,女性の採用比率や女性の管理職比率などのうちから,いずれかで独自の目標設定を義務付けている。情報の公開方針などを含めた行動計画については,自民,公明,民主の3党による修正で,企業が女性登用の行動計画で定めた目標を達成するよう努力義務規定が新たに盛り込まれている。10年間の時限立法である。
→筆者は,「女性活躍推進法案」における最大の問題点は,女性間の格差の助長である考える。また,2014年年8月の意識調査で「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた男性は46.5%,女性が43.2%という結果から,日本ではまだ女性の間に「主婦願望」が根強いと言われているが,無視すべきではない事柄であると考える。
→「世界は持続可能な社会を目指して,男女平等に大きく舵を切り,推進している。」というのが一般認識である。多くの日本国民は,男女共同参画社会の構築には理解を示すが,経済優先で,女性の就業率を上げる政策だけを推進しているように見える日本に不安を感じている,と思われる。(筆者)

6/19 内閣府 「2015年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2015年6月16日,内閣府は,「2015年版 障害者白書」を公表した。
・障害者白書は,「障害者基本法」第13条に基づく年次報告書で,1994年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 障害者白書」の構成>
第1章 障害者差別解消法基本方針
第2章 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて
第3章 施策推進の経緯と近年の動き
第4章 相互の理解と交流
第5章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり
第6章 日々の暮らしの基盤づくり
第7章 住みよい環境の基盤づくり

→メディアにおいては,例えば,時事通信では「東京五輪へバリアフリー強化」,日本経済新聞では「障害者雇用40万人超」,東京新聞では「民間企業で働く障害者43万人 最多更新」という見出しで取り上げている。
→「障害者」に関する最近の話題である。
2015年5月,アスリートである為末大氏の以下のようなツイートが物議を醸した。
「障害者に関する世界に行くと,面倒臭い人がいて,それが嫌になって障害者に関する仕事は避けようかなとなっている人がいかに多いことか。障害者への理解が進まない一番の理由はヒステリックな正義の人だと思う。」
「400障害ではなく400ハードルと言ってくださいとか,障害ではなく障碍と言ってくださいとか。言ったらいけない言葉が多すぎしばらく話すのをやめました。」
「当然,憤りを感じても構わないと思うのですが,深く理解してくれる人しか認めないという姿勢だと,結局世の中の多くの人はめんどくさい事が嫌いなので理解が進まず,その弊害が出ているように私は思います。」
→筆者は,「障害者施策」に関しては,広く浅い理解の広がりが重要であり,肩肘張らずに多くの人が,自分なりの理解において,自分のできる範囲で関わっていくことが大切だと考えている。簡単に言えば,「不自由だろうから手助けする」という気持ちが素直に尊重される社会にすることが大切だと考える。為末氏の勇気に敬意を表する。(筆者)

6/18 内閣府 「2015年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2015年6月12日,内閣府は,「2015年版 高齢社会白書」を公表した。
・高齢社会白書は,「高齢社会対策基本法」第8条に基づく年次報告書として,1996年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 高齢社会白書」の構成>
【第1章】高齢化の状況

第1節 高齢化の状況
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
第3節 一人暮らし高齢者に関する意識


【第2章】高齢社会対策の実施の状況
第1節 高齢社会対策の基本的枠組み
第2節 分野別の施策の実施の状況


2015年度 高齢社会対策
①2015年度の高齢社会対策
②分野別の高齢社会対策

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「孤独死身近に感じる45% 感じない52%」,日本経済新聞では「「孤独死が身近に」単身高齢者の4割以上」,東京新聞では「60歳以上,ネット未利用67% 」という見出しで取り挙げている。
→2011年4月20に,日本学術会議は,「持続可能な長寿社会に資する学術コミュニティの構築(提言)」を公表した。当時,185項目に及ぶ「高齢化・長寿化に関する研究課題一覧」を見て,衝撃を受けた。改めて見直してみると,現政府における高齢社会対策の表層的な取組みを実感する。(筆者)

6/17 内閣府 「2015年版 子供・若者白書」(概要 / 本文 ・2015年6月5日,内閣府は,「2015年版 子供・若者白書」(旧青少年白書)を,公表した。
・「子供・若者白書」(旧青少年白書)は,「子ども・若者育成支援推進法」第6条に基づく年次報告書として,2010年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 子供・若者白書」の構成>
【第1部】 子供・若者の状況

第1章 :人口
第2章 :健康
第3章 :成育環境
第4章 :社会的自立
第5章 :安全と問題行動
第6章 :生活行動・意識


【特集】 「地域のネットワークによる子供・若者支援の取組」

【第2部】 子ども・若者育成支援施策の実施状況
第1章 :子ども・若者育成支援施策の総合的な推進
第2章 :全ての子供・若者の健やかな成長の支援
第3章 :困難を有する子供・若者やその家族の支援
第4章 :子供・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備
第5章 :今後の施策の推進体制等

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「親への反発減り,家楽しい 99%」,日本経済新聞では「14年の若年無業者,2年連続で減少」,東京新聞では「小学生の半数,いじめ被害」という「見出し」で取り上げている。
→なお,2009年版までは「青少年白書」であったが,2010年版から2014年版までは「子ども・若者白書」に変更され,2015年版では「子供・若者白書」と変更された。
→表記に関してであるが,「子供」は「差別的な印象を与える」として,行政においても,「子ども手当て」「子ども・子育て支援法」などと「子ども」とする表記の頻度が高いが,「認定こども園」では「こども」と表記されている。文部科学省は,2013年6月下旬に,公用文中の「子ども」の表記を「子供」に統一した,という新聞報道があったが,2014年版は「子ども・若者白書」であり,2015年版で「子供・若者白書」という表記に変更されている。
→従来から,筆者は,「漢字をひらがなに変えれば,その差別イメージが消えるというのは全くはナンセンスである」という考え方に同意している。結論だけをいえば,「障がい者,障碍者論者」から非難を受けるだろうが,「障害者」に関しても同様の考え方をしている。義務教育では教えない「交ぜ書き」を「子供」や「障害者」という極限られた用語に議論を焦点化することで,結局,事柄の本質をうやむやにしていると思っている。蛇足であるが,「児童」についても,「子ども論者」の言い分からすれば,「児どう」とすべきであるがそのような議論には熱心ではない。(筆者)
6/12 厚生労働省 「中東呼吸器症候群(MERS)の国内発生時の対応について」(通知) ・2015年6月11日,厚生労働省は,韓国における中東呼吸器症候群(MERS)の発生を受けた「第1回中東呼吸器症候群(MERS)対策に関する専門家会議」の内容を踏まえた「国内発生時の対応について」を,6月10日付で都道府県等に通知をしたことを公表した。
<通知のポイント>
区分 対象者 対応
【1】MERS 患者からの二次感染が疑われる者への対応について (1)疑似症の要件に該当する者 入院措置
(2)疑似症の要件に該当しない者 ①濃厚接触者 健康観察及び外出自粛要請 必要に応じ健康診断の受診勧告
②その他接触者 健康観察
【2】MERS患者への医療提供体制について ・原則として,当該患者が発生した都道府県内において入院医療体制が完結するよう,あらかじめ,患者の発生を想定して,地域ごとに入院医療機関を確保すること。

→MERSは,「感染症新法」第6条第3項で規定する「二類感染症」である。
→すでに,台湾政府は,韓国への渡航延期勧告を発令したとされるが,現行の日本政府の対応は適切と言えるかどうか・・・(筆者)
6/9 消費者庁,厚生労働省 2015年7月1日から短縮ダイヤルが2つ増える!(「消費者ホットライン」が188番,「児童相談所全国共通ダイヤル」が189番)
「消費者ホットライン」(消費者庁)は188番
◎0570-064-370(2010年1月12日に運用開始) ⇒188番(いやや)
◎消費者ホットラインは,消費者が苦情相談しようとした場合,どこにいても,最寄の消費生活センターに電話がつながるシステムである。

「児童相談所全国共通ダイヤル」(厚生労働省)は189番
◎0570-064-000(2009年10月に運用開始) ⇒189番(いちはやく)
◎「児童相談所全国共通ダイヤル」は,虐待かもと思った時などに,すぐに児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号で,ダイヤルをすると近くの児童相談所につながるシステムである。

→今回の2つの短縮ダイヤルの設定は,年々深刻化している消費者被害と児童虐待を背景にして,ようやく覚えやすい3桁の番号に変更されるものであり,海上などの緊急通報ダイヤル「118」の割り当て以来の15年ぶりの設定とのことである。なお,「110」「118」「119」のように無料ではなく,普通の相談なども含まれることから通話料は有料となっている。
→社会問題である消費者被害と児童虐待への対応として,このようなスピード感や内容で適切なのかどうか。さらには,周知のやり方はこの程度でいいのかどうか。疑問がある。(筆者)
6/3 - ■2015年6月12日に「7訂介護支援専門員基本テキスト」が発行される ・国が示している「介護支援専門員実務研修受講試験」出題範囲の項目に準拠した「7訂介護支援専門員基本テキスト」が,2015年6月12日に一般財団法人 長寿社会開発センターから発行される。
【編集】介護支援専門員テキスト編集委員会
【体裁】B5判・全3巻(CD-ROM付き)
【価格】6,300円+消費税504円
【予約】一般財団法人 長寿社会開発センター(なお,届くのは発行日から1週間ほどかかるとされている)

<「7訂基本テキスト」の内容と特徴>
第1巻・・・介護保険制度と介護支援
◎地域包括ケアに対応できる介護支援専門員をめざして!(2014年6月の改正介護保険法の背景・内容と介護支援専門員に期待される役割について解説)

第2巻・・・介護保険サービス(巻末にCD-ROM<法令・通知>添付)
◎サービスの内容を詳しく理解して!(2015年度の介護報酬改正を反映。居宅サービスを介護給付と予防給付に分けて解説。サービスごとに,利用者像,運営基準のポイントおよび介護報酬の加算・減算のポイントについて解説)

第3巻・・・高齢者保健医療・福祉の基礎知識
◎医療と介護の連携をめざして!(「高齢者保健医療の基礎知識」を全面的に書き換え,障害者総合支援法と介護保険法の適応関係を解説)
5/28 厚生労働省 「2014年社会福祉施設における労働災害の発生状況」 ・2015年5月27日,厚生労働省は,「2014年社会福祉施設における労働災害の発生状況」を公表した。
<発生状況のポイント>
1.社会福祉施設における労働災害の発生状況
(1)休業4日以上の死傷災害
労働災害は年々急増しており,6年間で1.5倍となった(7,224件)。
(2)災害発生率
災害発生件数が増加しただけでなく,災害発生率(1,000人当たりの発生件数)も6年前と比べ,0.2ポイント増となった。
(3)事故の型別死傷者数内訳
「動作の反動・無理な動作」が34%を占め,次いで「転倒」(31%)が多く,この2つで65%を占める。
腰痛発生件数は年々増加し,2014年には1,023件となり,前年比3%増となった。
(4)経験年数/年齢別数別死傷者数内訳
経験年数3年未満の被災者が,全体の44%を占める。
50歳以上の死傷者数の全体の約半数
(5)年齢別災害発生率
年齢別の災害発生率(1,000人当たりの発生件数)を比較すると,29歳以下に比べ60歳以上の値が3倍近く高い。

2.社会福祉施設における転倒災害の発生状況
社会福祉施設の労働災害は増加傾向。2014年は7,224件発生し,前年に比べ8%増加した。
このうち,転倒災害は2014年は2,259件で全体の31%を占め,前年同期に比べ8%増加。
社会福祉施設における転倒災害の特徴は
①9~11時台に多く発生。
②50歳以上の災害が約7割を占め,かつ年々増加傾向。
③休業見込期間が1月以上が約6割。

→施設職員の安全や健康が保たれていないところに良質なサービス提供はあり得ない。
→労働災害における雇用者の責任には,①刑事上の責任,②民事上の責任,③行政上の責任,④補償上の責任,⑤社会的な責任,があると言われている。
→「自分の身は自分で守る」が,人間が生きる上での基本的な姿勢であるということに気づかないうちはどうしようもない。気づいた時には手遅れだった,という悲劇が多すぎる。(筆者)


(参考)
「社会福祉施設における安全衛生対策(~腰痛対策・KY活動~)」(2015年2月)

5/23 警察庁 ■2015年6月1日から「自転車運転者講習制度」が始まる! ・「道路交通法施行令の一部を改正する政令」が2015年1月に閣議決定され,2015年6月1日から「自転車運転者講習制度」が始まり,危険行為を繰り返す自転車運転者に対して,「自転車運転者講習」の受講が義務づけられる。
<「自転車運転者講習」の対象となる危険行為(14項目)>
①信号無視
②遮断踏切立入り
③指定場所一時不停止等
④歩道通行時の通行方法違反
⑤制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
⑥酒酔い運転
⑦通行禁止違反
⑧交差点安全進行義務違反
⑨歩行者用道路における車輌の義務違反(徐行違反)
⑩交差点優先車妨害等
⑪通行区分違反
⑫環状交差点安全進行義務違反等
⑬路側帯通行時の歩行者の通行妨害
⑭安全運転義務違反

<「自転車運転講習制度」の対象者>
・自転車に乗っている14歳以上の人すべてが対象となる。

<「自転車運転者講習制度」の流れ>
(1)危険行為を反復(3年以内に2回以上)
(2)講習の受講命令 →受講命令に従わなかった場合,5万円以下の罰金
(3)講習の受講(3時間・受講料5,700円)

→2014年中の自転車が第1当事者又は第2当事者となった交通事故件数(自転車関連事故)は109,269件で,交通事故全体に占める割合は約2割となっており,自転車関連事故件数を事故類型別にみると,「出合い頭衝突」が半数以上(構成率52.2%)を占めているとのことである。
→警察庁は,今回の「自転車運転者講習の義務化」により,危険運転の抑止効果となることも見込んでいるとのことである。しかし,自転車運転中の「携帯電話の使用」は危険運転と思われるが,事故を起こした際に使用していれば危険行為の対象となり得るが,運転中の使用だけで対象とはならないらしい。「なんだかなあ」という感じである。
→道交法上では「自転車」は軽車両なので,原則として車道を走らなければならず,違反をすると免許がなくても取り締まりの対象となる,という認識すら十分に浸透していない日本国民に対する交通マナー・ルールの周知の方法を,根っこから考え直す必要があるように思う。(筆者)


(参考)
「自転車はルールを守って安全運転~自転車は「車のなかま」~」(警察庁)
5/22 内閣府 「様々な事情で暮らしにお困りの方のための相談窓口の紹介」(政府広報オンライン) ・さまざまな困難の中で生活に困窮している人に包括的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」が2015年4月から始まった。就職,住まい,家計など暮らしに悩みを抱えた人に対して,住まいの都道府県や市町村に相談窓口が設置され,家族や周りの人からの相談も受け付けている。
<「政府広報オンライン」での構成>
①どんな人を支援するの?
・仕事や生活など,さまざまな困難の中で生活に困窮している人を支援する。
②どこに相談すればいいの?
・住まいの都道府県や市町村に「相談窓口」が設けられている。
③どのような支援があるの?
・支援を必要とする人の状況に応じて,住まいや仕事,家計管理,子どもの学習などを支援する。
④相談から支援までの流れは?
・あなただけの「支援プラン」を作成し,寄り添いながら安定した生活に向けて支援する。
⑤例えばどんな支援になるの?
・長期引きこもりの方,求職者の方などの支援例。

(参考)
「生活困窮者自立支援法の概要」
「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」(2015年1月25日)
5/21 厚生労働省 「2015年度 市町村職員を対象とするセミナー」のスケジュール ・2015年5月20日,厚生労働省は,1999年4月から実施している市町村職員を対象とするセミナーの2015年度の開催予定を公表した。
開催予定 テーマ
第111回 2015年
5月27日
地域支援事業の充実/介護予防・日常生活支援総合事業の推進について①
第112回 7月17日 社会保障分野への社会保障・税番号制度の導入に向けて
第113回 9月18日 子ども・子育て支援新制度の施行後の状況について
第114回 11月20日 生活困窮者自立支援制度施行後の状況
第115回 2016年
1月22日
地域支援事業の充実/介護予防・日常生活支援総合事業の推進について②
第116回 2月19日 「健康日本21(第二次)の推進~健康寿命の延伸に向けた取組~」(仮)
第117回 3月18日 医療介護連携等に関する取組について

→国(厚生労働省)が,市町村職員に周知徹底を図りたがっている事柄である。開催後に資料が公表される。福祉専門職として,把握しておかなければならない事柄でもある。(筆者)
5/20 気象庁 「熱中症から身を守るために」 ・2015年5月14日,国土交通省気象庁は,熱中症から身を守るための情報を提供のために,「熱中症から身を守るために」を公表した。
<気象庁の呼びかけ文>
『気象庁では,日々の気温の観測結果や予報,気象情報の発表を通じて,関係機関と連携した熱中症対策に取り組んでいます。特に熱中症の危険性が高くなる35℃以上(一部の地域では35℃以外を用いることもあります)を予想したり,観測したときは「高温注意情報」を発表して,十分な健康管理を呼びかけます。リンク先ページの各情報を参照し,熱中症対策にご活用下さい。なお、熱中症は,必ずしも気温が高い状態ではなくても発症することがあります。熱中症の予防などについては,関係機関へのリンクを参照してください。』

<気象庁以外のリンク先>
熱中症情報(総務省消防庁)
暑い日は作業計画の見直しを!(厚生労働省)
環境省熱中症情報(環境省)
熱中症予防情報サイト(環境省)
熱中症環境保健マニュアル(環境省)

→縦割り行政の見本みたいな「お粗末な熱中症対策」である。ちなみに,そのいい加減な分担は以下の通りである。
(1)気象情報の提供
①気温の観測・予測情報の提供,注意喚起(気象庁)
②暑さ指数(WBGT)の情報提供(環境省)
(2)予防・対処法の普及啓発
①「熱中症予防強化月間」の設定(消防庁,文科省,厚労省,農林水産省,環境省,国交省気象庁,環境省)
②救急業務における熱中症対策(消防庁)
③日常生活における熱中症対策(厚労省,環境省)

→国民のための総合的な熱中症対策を責任を持って実行しなければならないのは「厚生労働省」である。「治療」に責任の持てない「環境省」に,縄張りを主張させるべきではない,はずである・・・。
→縦割り行政による弊害は数限りなくある。例えば,子育てと介護に同時に行う「ダブルケア」における保育園とデイケアの相談窓口が別々で連携がない,という状況が身近に存在している。メディアも触れないことが多い。(筆者)

5/19 厚生労働省 ■厚生労働大臣が,違法な長時間労働繰り返す「大企業の社名公表」を指示した ・2015年5月18日,厚生労働大臣は,「2015年度臨時全国労働局長会議」を開催し, ブラック企業対策を強化するため,違法な長時間労働を繰り返す大企業の社名を公表するよう,全国の労働局に対して指示した。
・対象になるのは,社会的に影響力のある大企業で,残業時間が月100時間を超える従業員が,1つの事業所で10人以上か,1/4以上を占めていることを基準としている。
なお,厚生労働省は,これまでは,是正勧告に従わず,書類送検した企業だけを公表していたが,是正勧告の段階で社名を公表することになった。なお,実施は2015年5月18日からである。

→今回のブラック企業名公表までの経過である。
2014年の「日本再興戦略」に,「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれ,2014年6月に「過労死等防止対策推進法」が成立した。長時間労働対策の強化は喫緊の課題とされ,2014年9月30日に厚生労働省に「長時間労働削減推進本部」が設置され,2回(10/1,1/27)開催された。
→ご大層なことを言っても,結局,「長時間残業の被害者が数人程度だったり,悪質な支社が2か所しかない場合は,対象とならずに社名公表をすり抜けられる」ということらしい。実態把握や36協定上の根本的な問題を隠し続ける厚生労働省のやり方では,ブラック企業を根絶することは絶対にできないと思う。(筆者)
5/18 厚生労働省 「パワーハラスメント対策導入マニュアル」(概要  / 本文)とセミナーの開催 ・2015年5月15日,厚生労働省は,職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため,企業の中でパワーハラスメント対策に取り組む際の参考になるように初めて作成した「パワーハラスメント対策導入マニュアル~予防から事後対応までサポートガイド~」を公表した。
・また,2015年6月1日から申し込みの受付を開始し,7月から今回のマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70か所で無料開催するとしている。
<厚生労働省の広報文より>
『パワーハラスメントについては,80%以上の企業が「職場のパワハラ対策は経営上の重要な課題である」と考えていますが,予防・解決のための取組を行っている企業は全体の45.4%です。特に、従業員数100人未満の企業では18.2%に留まり,約20%の企業が「現在は行っていないが取組を検討中」と回答しています(「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」2012年度)。
このため,パワーハラスメント対策に取り組みたいと考える企業が参考にできるよう,6か月で一通りのメニューが導入できるモデルプランの実施を20社の企業にご協力いただきました。そのフィードバックを参考に作成したのが今回のマニュアルです。 また,厚生労働省では,7月から,今回のマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70か所で無料開催します(委託先:株式会社東京海上日動リスクコンサルティング)。このセミナーは,企業の人事担当者を対象に開催するもので,パワーハラスメント対策担当者を養成し,企業におけるパワーハラスメント対策の導入に直結させるため,企業がパワーハラスメント対策を実施する必要性,マニュアルの活用方法についての解説や,グループワークを内容とする企業の人事担当者向け研修を行います。』
5/12 厚生労働省 ■「主な医療系国家試験の問題と正答」を見る ・2015年5月11日,厚生労働省は,直近の医療系国家試験の問題と正答を公表した。
<主な医療系国家試験>
第109回医師国家試験
第101回保健師,第98回助産師,第104回看護師国家試験
第50回理学療法士,第50回作業療法士国家試験

→福祉専門職として,医療系国家資格者への理解は重要である。(筆者)
5/11 厚生労働省 「教育訓練給付制度(一般教育訓練給付・専門実践教育訓練給付)」 ・2014年10月から,教育訓練給付金は,従来の枠組みを引き継いだ「一般教育訓練の教育訓練給付金」と拡充された「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」の2本立てになった。
①2014年10月以降の教育訓練制度の概要
◎一般教育訓練給付とは
・受講開始日現在で雇用保険の被保険者であった期間が3年以上(初めて支給を受けようとする者については当分の間1年以上)あること,前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していることなど一定の要件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)又は一般被保険者であった者(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給される。
・教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額で,その額が10万円を超える場合は10万円とし,4千円を超えない場合は支給されない。

◎専門実践教育訓練給付とは
・受講開始日現在で雇用保険の被保険者であった期間が10年以上(初めて支給を受けようとする者については当分の間2年以上)あること,前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに10年以上経過していることなど一定の要件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)又は一般被保険者であった者(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給される。
・教育訓練施設に支払った教育訓練経費の40%に相当する額で,その額が1年間で32万円を超える場合の支給額は32万円(訓練期間は最大で3年間となるため,最大で96万円が上限)とし,4千円を超えない場合は支給されない。


「専門実践教育訓練 利用者の声(2014年10月に拡充された教育訓練給付制度の指定講座について)」(動画)
・指定講座を持つ学校,実際に専門実践教育訓練を受講している学生からの意見を紹介している。
4/23 厚生労働省 「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について(説明会資料)」 ・2015年4月22日,厚生労働省は,2015年5月7日に開催される「ストレスチェック制度説明会」の資料を公表した。
・2014年6月25日に公布され,2015年12月より施行される「改正労働安全衛生法」における「ストレスチェック制度」は,定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い,本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し,個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに,検査結果を集団的に分析し,職場環境の改善につなげる取組みと説明されている。
<事業者・産業保健スタッフへの「ストレスチェック」実施における注意点>
◎2015年12月からストレスチェックの実施が事業者の義務になる。ただし,従業員50人未満の事業場については当分の間,努力義務である。
①ストレスチェックは,医師・保健師などが実施する。
②ストレスチェックの結果は,従業員の同意がなければ事業者に提供することは禁止されている。
③ストレスの高い従業員からの申し出があった場合,医師による面接指導を行う。
④面接指導の結果,医師の意見を聞き,必要に応じて働き方を配慮する。

→ありていに言えば,国(厚生労働省)が積極的にストレスチェックを進めている理由は,近年の職場を原因とする精神障害にかかる自殺者と労災申請の増加への対応であり,それを制度化する目的は企業活動における経済的損失の軽減と医療費の削減である。人数と金がキーワードである。
→2015年12月から,従業員50人以上の事業者(企業)が対象に「ストレスチェック」を実施することが義務化される企業数は,全体の15%程度に過ぎないということである。また,結果的にあぶり出された労働者が,事業者から不利益な扱いを受ける可能性や,受け皿とされる現在の精神科医療機関における薬漬けの懸念も払しょくできない状況にある。
→マスメディアが話題にしたのは,「ストレスチェックの法定化」した時で,その後のフォローはほとんどなく,世間一般の関心も低い。
→福祉専門職として,制度の正確な理解はもちろんであるが,問題点や課題の整理も必要である。(筆者)

(参考)
職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくり(THP)

4/22 総務省 「2035年の保健医療」に関する提案・意見の募集が開始された ・2015年4月21日,厚生労働省は,20年後の保健医療政策ビジョンを策定する『「保健医療2035」策定懇談会』における意見募集(「塩崎大臣へ,私のアイデア2035」)の開始を公表した。
<「厚生労働省」の公募文>
◎急激な少子高齢化や医療技術の進歩など医療を取り巻く環境が大きく変化する中で,2035年を見据えた保健医療政策のビジョンとその道筋を示すため,国民の健康増進,保健医療システムの持続可能性の確保,保健医療分野における国際的な貢献,地域づくりなどの分野における戦略的な取組に関する検討を行うことを目的として,現在「保健医療2035」策定懇談会を開催し検討を進めております。
◎20年後の2035年の保健医療ビジョンについて,皆様からの御提案・御意見をお寄せください。

→福祉専門職も自らの専門性に基づいて積極的に提案すべき,と思う。(筆者)
4/20 総務省 「人口推計(2014年10月1日現在)」 ・2015年4月17日,総務省は,「人口推計(2014年10月1日現在)」を公表した。
<全国人口>
①総人口は1億2,708万3千人で前年より21万5千人の減少,日本人人口は1億2,543万1千人で減少幅が拡大
②8年連続の自然減少(男性は10年連続,女性は6年連続),減少幅は拡大
③日本人は4年連続の社会減少,外国人は2年連続の社会増加
④65歳以上人口(3,300万人)が年少人口(1,623万3千人)の2倍を超える
⑤8人に1人が75歳以上人口(総人口の12.5%)となる

<都道府県別人口>
⑥人口増加は7都県,そのうち東京圏の1都3県で増加率が上昇
⑦全ての都道府県で65歳以上人口の割合が上昇

2008年以降,日本の人口は減少し続けている事実がある。
→「人口減少社会」という言葉は「2005年国勢調査」の集計結果の公表から始まったと言われている。2006年12月に国立社会保険・人口問題研究所は,「2100年に日本の人口は4,000万人台まで減少する」という数値を公表した。2014年5月には,日本創生会議が「2040年に若年女性の流出により,消滅の可能性の高い市町村が大幅に増加する」との試算を公表した。人口減少は国や社会の存立基盤にかかわる問題であり,人口減少に対応する施策として,①移民の受け入れの検討,②女性や高齢者の活用,③新しい都市づくり,を推進しなければならないとされている。
→一方,人口減少は文明の成熟化に伴う必然的な歴史現象であるという歴史学者も存在する。日本国民は,人口減少社会到来のメリット,デメリットが十分に理解できていない,ということだけは確かである。(筆者)

4/16 厚生労働省 「厚生労働統計一覧」 ・厚生労働省で実施している主な統計調査や業務統計について,その調査内容,調査対象,調査周期,公表予定,実施担当部局及び集計結果表等の搭載場所等をみることができる。
<「厚生労働統計一覧」の分類>
①人口・世帯
②保健衛生
③社会福祉
④老人保健福祉
⑤社会保険
⑥社会保障等
⑦雇用
⑧賃金
⑨労働時間
⑩福利厚生
⑪労使関係
⑫労働災害・労働安全衛生・労働保険
⑬その他

→現在,厚生労働統計調査数は94本で,「基幹統計調査」(国の行政機関が作成する統計のうち公的統計の中核をなす統計調査)7本と「一般統計調査」で構成されている。2014年3月31日の「厚生労働統計の整備に関する検討会報告書」において「厚生労働統計調査の現状と改善方策」が示された。3福祉士国家試験の受験者には,一読を勧めたい。(筆者)
4/10 - 「2015年度予算」が第189回通常国会で成立した ・2015年4月9日,第189回通常国会において,一般会計の総額が96兆3,420億円(過去最大)となる「2015年度予算」が,参議院予算委員会で可決され,その後,参議院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立した。予算案は,2015年に衆議院を通過しており,憲法の規定で4月11日には自然成立することが決まっていたものである。なお,2015年度予算は,2014年12月末の解散・総選挙で予算編成作業が遅れたことや閣僚の「政治とカネ問題」などの影響で,成立が4月までずれ込むため,政府は暫定予算(自然成立までの11日間で総額5兆7,593億円)を編成して対応していた。

→2015年度予算の総額は年金や医療など社会保障費(約31.5兆円)や防衛予算(約4兆9,800億)が増えて過去最大の96,3兆円となり,4割近くを国債発行(借金)に頼っている。
→予算成立を受け,安倍首相は,後半国会において,「農政改革や働き方の改革,電力改革,医療制度改革など戦後以来の大改革を進めていきたい。国民の命を守るための安全保障法制にもしっかり取り組む」と述べている。しかし,政府・与党は,6月24日の会期末につき,8月10日まで延長することを検討していることから,すでに難航を予想していると受け止められている。(筆者)
4/9 厚生労働省 『~これってあり? まんが 知って役立つ労働法Q&A~』 ・2015年4月8日,厚生労働省は,就職前やアルバイトをする学生・生徒などの皆さんに労働法の理解促進を図る新たなハンドブックとして『~これってあり? まんが 知って役立つ労働法Q&A~』を作成し,公表した。
<厚生労働省の呼びかけ文>
『厚生労働省では,このたび,学生・生徒などの皆さんを対象に,就職して働き始める前やアルバイトをする際に知っておくべき労働に関する基本的なルールをまとめたハンドブック『これってあり?まんが知って役立つ労働法Q&A』を作成しました。今回のハンドブックは,学生・生徒,学校関係者,労使団体などの皆さんが幅広く利用できるよう,ホームページに掲載し,どなたでも自由にダウンロードして使える形で提供します。また,各都道府県労働局やハローワークの主催するセミナーなどを通じて,配布も行っていきます。』

<Q&Aの構成>
第1章 働き始める前に知っておきたいこと
第2章 働くときのルール
第3章 仕事を辞めさせられるとき,辞めるとき
働く人のための相談窓口

→改めて,現在の学校教育のあり様を考えさせられる。性,金銭,労働法,社会保障等々,自立した大人になるための教育が不十分である。「自分の身は自分で守る」が基本となる。(筆者)
4/6 厚生労働省 「年金制度の国際比較(2015年3月作成)」 ・2015年4月2日,厚生労働省は,2015年3月作成の「年金制度の国際比較」を公表した。
<各国の年金制度の概要や動向>
国名 制度の特色
日本 ・公的年金制度は,「国民皆年金」,「社会保険方式」で,現役世代が支払った保険料を仕送りのように高齢者などの年金給付に充てるという「賦課方式」を基本とした財政方式で運営されている。
アメリカ ・一般被用者・自営業者を対象とした老齢・遺族・障害保険(OASDI)がある。
イギリス ・公的年金制度は2階建てで,1階部分は被用者・自営業者を通じた共通の基礎年金,2階部分は被用者のみを対象とした国家第二年金である。
ドイツ ・職業別階層別に分立している。
フランス ・職域毎の制度が多く見られる年金制度体系となっている。
スウェーデン ・公的年金制度は,持続可能な年金制度を構築する観点から,1999年に年金改革が実施された。

→日本の公的年金制度の課題は,「世代間扶養の維持」に尽きると考える。厚生労働省は,稚拙なマンガで国民をごまかせると考えている。なめられたもんである。(筆者)
4/1 厚生労働省 2015年4月から厚生労働関係で何が変わるか <2015年4月からの「厚生労働省関係の主な制度変更」一覧>
区分 項目 内容
(1)雇用・労働関係 ①障害者雇用納付金制度の対象事業主が拡大 ・100人超-200人以下も対象
(2)年金関係 ②2015年度の国民年金保険料 ・15,250円→ 15,590円
③2015年4月からの年金額 ・基本的には0.9%の引上げ,月65,008円
(3)医療保険関係 ④国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額の見直し ・81万円→ 85万円
(4)介護保険関係 ⑤地域医療介護総合確保推進法の施行 ・介護予防・日常生活支援総合事業への移行,在宅医療・介護連携の推進,認知症専門医による指導の下に早期診断・早期対応に向けた認知症初期集中支援チーム・認知症地域支援推進員を地域包括支援センター等に整備,特別養護老人ホームの新規入所者を原則要介護3以上に重点化
⑥第1号被保険者の保険料 ・改正介護保険法の施行により,特に所得の低い者については,公費を投入して,保険料の軽減強化を行う
⑦第2号被保険者の保険料 ・医療保険者が負担する介護納付金の一人当たりの負担額は月額5,273円→ 5,177 円
⑧介護報酬改定 ・全体の改定率を-2.27%に設定
(5)子ども・子育て関係 ⑨子ども・子育て支援新制度の施行 ・待機児童の解消,地域型保育の創設,子育て支援事業の推進・利用者支援事業の創設,保育所や幼稚園・認定こども園における職員配置・処遇の改善
(6)福祉関係 ⑩生活困窮者自立支援制度の施行 ・包括的な相談支援,就労支援等を行い,その自立を促進する
(7)各種手当関係 ⑪障害福祉サービス等報酬改定 ・全体の改定率を±0%に設定
⑫2015年4月からの児童扶養手当等の手当額 2.4%の引上げ,ただし特別障害給付金は2.7%の引上げ・

→上記の制度変更に関連する「社会保障・税一体改革」の経緯を振り返る。
高齢化等に伴う社会保障給付費の増加と財政悪化を背景に,持続可能な社会保障制度の構築とその安定財源確保に向け,2012年2月に「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定し,2012年8月に「一体改革関連法案」が成立した。消費税率については,2014年4月に8%,2015年10月に10%に段階的に引き上げることとし,消費税率引上げによる増収分を含む消費税収は,地方消費税収に係る1%分を除き社会保障財源化されることとなった。また,消費税率10%への引上げに伴う増収分5%の使途の内訳は,社会保障の充実に1%分程度,既存の社会保の安定化に4%分程度を充てることとされた。一体改革関連法として成立した「改革推進法」に基づき設置された「社会保障制度改革国民会議」の報告書において,少子化対策,医療,介護,年金の4分野における改革の具体的な方向性が示された。同報告書を受けて,「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく『法制上の措置』の骨子について」が2013年8月に閣議決定され,社会保障4分野の改革について,検討項目,実施時期及び関連法案の国会提出時期の目途を明らかにした「プログラム法」が2013年12月に成立した。「プログラム法」で示された社会保障制度改革の工程に従い,順次,個別法改正案を提出するなどの措置がを講じられてきた。
消費税率の10 %への引上げを2017年4月から実施することを踏まえ,社会保障の充実を2014年12月24日に閣議決定された「第3次安倍内閣」の「基本方針」に基づいて,2015年1月13日,「社会保障制度改革推進本部」(本部長:安倍首相)は,厚生労働省の「第85回社会保障審議会医療保険部会」における「医療保険制度改革骨子」及び「社会保障制度改革のスケジュール等についてを決定した。
2015年通常国会においては,医療保険制度改革関連法案が提出される見込みである。現在,2015年度社会保障関係予算(31兆5,297億円)は国会で審議中である。
→福祉専門職は,「どこにごまかしがあるか」を見破れる力をつけなければならない。(筆者)

3/31 厚生労働省 「2014年 海外情勢報告」 ・2015年3月25日,厚生労働省は,諸外国の労働情勢及び社会保障情勢全般に関する情報として「2014年 海外情勢報告」を取りまとめ,公表した。
<主要各国の厚生労働行政の動向>
アメリカ  社会保障施策   労働施策 
イギリス   社会保障施策   労働施策 
ドイツ  社会保障施策   労働施策 
フランス  社会保障施策   労働施策 
カナダ  社会保障施策   労働施策 
スウェーデン  社会保障施策   労働施策 

→3福祉士国家試験受験者に限らず,福祉専門職にとって,海外の労働・社会保障情勢の把握は必須である。(筆者)
3/26 厚生労働省 改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」が策定された ・2015年3月25日,厚生労働省は,改正障害者雇用促進法に基づく「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(障害者差別禁止指針)および「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(合理的配慮指針)を策定し,公表した。
これまでの経緯 2007年9月 日本が国連総会において採択された「障害者権利条約」に署名
2013年6月 障害者権利条約の批准に向けた法整備の一つとして,、「障害者雇用促進法」を改正。雇用分野において事業主に対して障害者への差別禁止及び合理的配慮の提供を義務づける規定を新設
2013年9月~2014年5月 「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催(全11回)し,2014年6月に報告書をとりまとめ
2014年9月~2014年12月 労働政策審議会障害者雇用分科会において議論(全4回)
2014年1月20日 「障害者権利条約」を批准し,2月19日から発効
2015年3月2日 労働政策審議会障害者雇用分科会において,両指針について諮問・答申
2015年3月25日 両指針の策定・公表
今後の予定 2015年5月頃月頃 事例集,Q&Aを作成
2016年4月 施行

<「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」のポイント>
「障害者差別禁止指針」では,すべての事業主を対象に,募集や採用に関して障害者であることを理由とする差別を禁止することなどを定めている。
・すべての事業主が対象
・障害者であることを理由とする差別を禁止
・事業主や同じ職場で働く人が,障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要
・募集・採用,賃金,配置,昇進,降格,教育訓練などの項目で障害者に対する差別を禁止
(例):募集・ 採用
①障害者であることを理由として,障害者を募集または採用の対象から排除すること。
②募集または採用に当たって,障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
③採用の基準を満たす人の中から障害者でない人を優先して採用すること。


「合理的配慮指針」では,すべての事業主を対象に,募集や採用時には障害者が応募しやすいような配慮を,採用後は仕事をしやすいような配慮をすることなどを定めている。
・すべての事業主が対象
・合理的配慮は,個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの
(例):募集・採用時,採用後
①募集内容について,音声などで提供すること。(視覚障害)
②面接を筆談などにより行うこと。(聴覚・言語障害)
③机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと。(肢体不自由)
④本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと。(知的障害)
⑤出退勤時刻・休暇・休憩に関し,通院・体調に配慮すること。(精神障害ほか)

→今後,2016年4月1日の施行に向けて準備が進められるが,「合理的配慮の提供義務」は日本では初めての概念であり,周知と啓発が重要と言われている。(筆者)
3/20 厚生労働省 ■「2015年度厚生労働行政の概要を知っておく」 ・2015年3月19日,2015年度厚生労働行政に向けた厚生労働省の主な行政会議(部局長・課長会議)の資料が概ね公開された。
部局長会議 主な課長会議
全国厚生労働関係部局長会議 (厚生分科会) 2/23-2/24開催 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(①  3/2開催
障害保健福祉関係主管課長会議 3/6開催
社会・援護局関係主管課長会議3/9開催
全国児童福祉主管課長会議 3/17開催
全国厚生労働関係部局長会議 (労働分科会) 2/23-2/24開催 -

→福祉専門職として,内容の把握は必須である。(筆者)
3/13 厚生労働省 「2015年我が国の人口動態(2013年までの動向)」 ・2015年3月10日,厚生労働省は,人口動態統計「2015年我が国の人口動態(2013年までの動向)」を公表した。
・本統計は,出生・死亡・婚姻・離婚及び死産の5種類の「人口動態事象」について,人口動態統計の主な内容をグラフ化したものである。
・出生・死亡・婚姻及び離婚については「戸籍法」により,死産については「死産の届出に関する規程」によって,それぞれ市区町村長に届け出られる。市区町村長は,これらの届書及び出生証明書・死亡診断書・死産証書等の関係書類に基づいて「人口動態調査票」を作成する。調査票は,地域保健活動の基礎資料として利用されるため,保健所長を経由して都道府県知事に提出され,さらに厚生労働大臣に提出される。厚生労働省において,これらの調査票を集計して人口動態統計が作成される。
<本統計の構成>
①人口 Population
②人口動態の年次推移 Trends in major indices for the vital events
③出生の動き Natality
④死亡の動き General mortality
⑤乳児死亡の動き Infant mortality
⑥自然増減の動き Natural change
⑦死産の動き Foetal mortality
⑧周産期死亡の動き Perinatal mortality
⑨婚姻の動き Marriages
⑩離婚の動き Divorces
⑪平均寿命 Life expectancy at birth
3/10 内閣府 「特集 :社会保障・税番号制度<マイナンバー>」 ・2015年3月9日,政府広報オンラインに,「 社会保障・税番号制度<マイナンバー>」の特集記事が掲載された。
<特集記事のポイント(抜粋)>
(1)マイナンバーとは?

・国民一人ひとりが持つ12桁の個人番号のことです。マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)は,複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり,社会保障・税制度の効率性・透明性を高め,国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)です。なお,法人には,13桁の法人番号が指定され,マイナンバーとは異なり,どなたでも自由に利用可能です。

(2)マイナンバーの3つのメリット
①国民の利便性の向上・・・面倒な手続きが簡単に
②行政の効率化・・・手続きが正確で早くなる
③公平・公正な社会の実現・・・給付金などの不正受給の防止

(3)マイナンバーの今後のスケジュール
 2015年10月~  お手元にマイナンバーを通知します。  住民票の住所に通知が届きます。住民票と異なるところにお住まいの方は,お住まいの市町村へ住民票の移動をお願いします。
 2016年1月~  社会保障,税,災害対策の行政手続きでマイナンバーが必要になります。申請者には,個人カードを交付します。
 2017年1月~  マイ・ポータル(仮称;情報提供等記録開示システム)が開始予定です。

●2/20
(■「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査の概要(2015年1月実施)」の記事を参照
3/6 厚生労働省 2015年3月は「保育士就職促進対策集中取組月間」(リーフレット / 本文 ・2015年2月27日,厚生労働省は,2015年3月を「保育士就職促進対策集中取組月間」とすることを公表した。
<厚生労働省の呼びかけ文>
『厚生労働省では,待機児童の解消を目指し,「待機児童解消加速化プラン」により,2017年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保することとしておりますが,保育の受け皿の確保には,保育を支える保育士の確保が必要不可欠です。 一方,2013年度は約7万人分の保育の受け皿を確保しましたが,2014年度はさらに約12万人分の保育の受け皿の拡大が見込まれており,また,2014年12月の有効求人倍率も2倍(東京では5倍)を超えている状況にあり,保育士の確保が急務となっています。 このため,2015年3月を「保育士就職促進対策集中取組月間」と位置付け,有効求人倍率が特に高い地域において,潜在保育士の掘り起こしに重点を置いた就職促進を集中的に行い,保育士確保を強力に進めてまいります。』

<「保育士就職促進対策集中取組月間」の主なポイント>
(1)保育士資格保有者で,現在,保育士として働いていない,いわゆる潜在保育士等の掘り起こし及び就職あっせんを強化し,潜在保育士等の就職促進を図る。
【具体的な取組】
◎「保育士資格をお持ちの方へ」リーフレットを活用した潜在保育士等への呼びかけ
◎2015年3月に保育士登録された方への働きかけ
◎指定保育士養成施設と連携した養成施設卒業生への呼びかけ
◎保育士登録簿を活用した潜在保育士への働きかけ
◎保育所OG・OBへの働きかけ
◎厚生労働省ツイッターなどSNSを活用した情報発信
◎保育団体と連携した保育士確保に向けたPR活動の実施
◎保育士が不足している保育所に対し,保育士・保育所支援センターが個別に就職希望の保育士を紹介
◎ハローワークの保育士マッチング強化プロジェクトによる集中的支援


(2)集中取組地域は,東京都,埼玉県,神奈川県,大阪府の4都府県

→専門的な知識と技術を持つ保育士の確保は喫緊の課題である。しかし,本質的な議論を端折って,このようなやり方でも何とかなると本気で思っているところがすごい。また,将来,取り返しのつかない出来事が起きるリスクも覚悟しているとしたらすご過ぎる。(筆者)
3/3 厚生労働省 「子どもを守る地域ネットワーク等調査結果(2013年度調査)」 ・2015年3月2日,厚生労働省は,2013年4月1日現在・2012年度実績における全国の1,742市町村に対する児童虐待の発生予防の取り組みである子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置状況等に関する調査結果(「子どもを守る地域ネットワーク等調査結果(2013年度調査)」を公表した。
<調査内容>
要保護児童対策地域協議会の設置・運営状況
・要保護児童対策地域協議会の設置状況,設置形態・構成メンバー,調整機関の担当職員の配置状況,会議の開催状況
乳児家庭全戸訪問事業の実施状況
・実施市町村数,訪問の実績,訪問の結果何らかの支援が必要とされた家庭への対応
養育支援訪問事業の実施状況
・実施市町村数、訪問した家庭数と支援した内容,訪問した家庭の把握経路

→虐待を受けた児童などに対する市町村の体制強化を固めるため,関係機関が連携を図り児童虐待等への対応を行う「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」は,2004年の児童福祉法の改正により努力義務として設置が進められてきたが,未だに100%の設置ではない(2013年4月1日現在98.9%)。
→筆者は,2015年3月2日に2013年4月1日現在の設置状況や2012年度の実施状況を公表するという厚生労働省のスピード感や取り組み姿勢が影響していると思っている。やる気があれば,情報収集はリアルタイムでできる。かつて,自殺者数の年度集計・公表を翌月集計・公表に変えたように。(筆者)
2/27 警察庁 「2014年中の少年非行情勢」 ・2015年2月26日,警察庁は,「2014年中の少年非行情勢」を公表した。

→「2014年中の少年非行情勢」に関するメディアの見出しは以下の通りである。
◎「いじめ摘発の小中高生456人…前年比37%減」(読売新聞)
◎「校内暴力で補導された小学生,昨年77人 増加傾向続く」(朝日新聞)
◎「<少年犯罪>再犯率年は17連続増 いじめと摘発人数は減少」(毎日新聞)
◎「小学生の校内暴力,急増=10年間で補導3.7倍―いじめは大幅減・警察庁」(時事通信)
→少年による重大な事件が起こるたびに,「少年法への厳罰化」が進められてきた。近年の少年法改正の経緯は以下の通りである。
①2000年の改正
・刑事罰対象を「16歳以上」から「14歳以上」に引き下げ,16歳以上の重大犯罪を原則として逆送すると定めた。
②2007年の改正
・少年院の年齢下限を「14歳」から「おおむね12歳」に引き下げ(少年院送致の年齢下限撤廃),14歳未満でも警察による強制的な調査が可能とした。
③2014年の改正
・有期刑の上限引き上げ,不定期刑の引き上げ,検察官の立ち会い範囲の拡大。
→最近の想像を超える少年による殺人事件から,従来からの「少年犯罪を防ぐのは「厳罰」か「教育」か」という視点からの議論は的外れではないかと思えてきた。(筆者)
2/25 内閣府 「困った時は法テラス」(ラジオ番組:約11分) ・「政府広報オンライン」において,2015年2月21日・22日放送の「Weekly ニッポン!!」(ラジオ番組)での「困った時は法テラス」が掲載されている。
<番組の内容(抜粋)>
『「離婚,借金,ご近所トラブルなど,暮らしていると思わぬ問題を抱えてしまうことがあります。そんなとき,頼りになるのが『法テラス(日本司法支援センター)』です。どこに相談したらいいのかわからないトラブルや,他人には知られたくないデリケートな問題など,様々なケースに対応し,解決への道案内をしてくれます。実際に寄せられた相談や『法テラス』のサポート業務について,日本司法支援センターの植田高史さんに伺います。』

(参考)
法テラス(日本司法支援センター)

→「困った時の相談窓口」は,福祉専門職にとっては必須の知識である。(筆者)
2/24 内閣府 「妊産婦さんと赤ちゃんへの思いやり マタニティマーク」 ・2015年2月23日,政府広報オンラインの「暮らしのお役立ち情報」に,「妊産婦さんと赤ちゃんへの思いやり マタニティマーク」が掲載された。
<記事の構成>
◎マタニティマークをつけた妊産婦さんを見かけたら?~つらそうな様子に見えたら,手伝えることがあるかどうか声をかけるなどのご配慮を。
①マタニティマークの活用(1)~妊婦さんへ~周囲の人に妊娠中または出産後間もないことを知ってもらうために,マタニティマークを活用しましょう。
②マタニティマークの活用(2)~地方公共団体や事業者の方へ~『妊産婦さんにやさしい環境づくり」びためにご活用ください。

→「マタニティマーク」は,『「健やか親子21」推進検討会』の発表を受け,厚生労働省が2006年に制定したもので,妊産婦自らが身に付け,妊産婦の存在を喚起するためのマークとされている。
→2014年7月の「母子保健に関する世論調査」における「マタニティマークの認知度」では,「知っていた」が53.6%,「知らなかった」が45.7%であった。筆者は,行政がきちんとした説明をしていないことによる,当然の結果であり,ひょっとすると,「賛否」も同程度の比率になるのではないかと思っている。
→例えば,アメリカのニューヨークやサンフランシスコでは,妊産婦を表示するマークはなく,優先席も妊産婦を対象としていないと聞く。また,イギリスのロンドンでは,”Baby on Board”というバッジを配布しているが,優先席の対象に妊産婦とは明示していないと聞く。ヨーロッパでは,公共交通機関の優先席は,「乳幼児同伴者」「妊産婦」「高齢者」「身体障害者」とされているらしい。日本の行政は,日本国民が世界の正確な動向や考え方を知りたいと思っても,自分たちに都合のいいときにしか国際比較などの情報を出さないのが常である。
→結論だけをいえば,筆者は,「マタニティマーク」のような思い付きのパッチワークのような施策は,国民に深く浸透するとは思えない。種々の議論がある「ベビーカーマーク」についても同様である。(筆者)


(参考)
「マタニティマークについて」(厚生労働省)
2/20 内閣府 「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査の概要(2015年1月実施)」 ・2015年2月19日,内閣府は,「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査の概要の概要(2015年1月実施)」を公表した。
<世論調査のポイント>
①マイナンバー制度の内容まで知っていた。・・・・28.3%
②マイナンバー制度で個人情報が漏えいすることにより,プライバシーが侵害されるおそれがあること,を不安に思う。・・・・32.6%
③「マイ・ポータル」の内容まで知っていた。・・・・3.6%
④個人番号カードに追加されると便利だと思う機能は「健康保険証」である。・・・56.3%
⑤「法人番号」の内容まで知っていた。・・・・3.1%
⑥マイナンバー制度に期待することは,「社会保障,税,災害対策に関する行政機関の手続きが簡単になる」ことである。・・・・51.4%

→「マイナンバー制度」は,2015年10月に国民一人ひとりに12桁の番号が通知され,2016年1月から希望者に「個人番号カード」を交付する予定である。なお,公的年金や失業手当を受け取る際の資格確認などに活用でき,現在,健康保険証代わりにも使えるよう検討されているとのことである。
→2014年6月24日に「世界最先端IT国家創造宣言」(新IT戦略)が閣議決定され,「個人番号カード」については,2020年を目途に健康保険証などと一元化することが盛り込まれた。また,個人が特定されないようデータを加工した場合は,本人の同意がなくても第三者に提供できるようにすることを柱とする「個人情報保護法改正案」については,2015年通常国会への提出を目指すとされていた。
→国民への周知遅れについて,『政府は,「周知・広報を強化する必要がある」(内閣官房)と説明している。』と新聞報道されている。「周知遅れが問題だ」という事柄に対して,「周知を強化する」と応答するのは間抜けが過ぎるのではないか。(筆者)


(参考)
「マイナンバー 社会保障・税番号制度」(内閣官房)
「社会保障・税番号(マイナンバー)制度がはじまります(事業主向け)」(厚生労働省)
2/17 厚生労働省 「社会保障審議会福祉部会報告書(社会福祉法人制度改革について)」 ・2015年2月13日,厚生労働省は,「社会保障審議会福祉部会報告書(社会福祉法人制度改革について)」を公表した。
<「報告書」の構成>
Ⅰ 総 論

Ⅱ 社会福祉法人制度の見直しについて
1.基本的な視点
(1)公益性・非営利性の徹底
(2)国民に対する説明責任
(3)地域社会への貢献
2.経営組織の在り方の見直し
(1)経営組織の現状と課題
(2)理事・理事長・理事会について
(3)評議員・評議員会について
(4)監事について
(5)会計監査人について
3.運営の透明性の確保
(1)情報開示の現状と課題
(2)情報開示の方向性
4.適正かつ公正な支出管理
(1)適正かつ公正な支出管理に係る基本的な視点
(2)適正な役員報酬について
(3)関係者への特別の利益の供与の禁止等
5.地域における公益的な取組の責務
6.内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下
(1)内部留保に関する基本的な視点
(2)内部留保の明確化
(3)福祉サービスへの計画的な再投下
(4)「地域協議会」について
(5)財務規律におけるガバナンス
7.行政の役割と関与の在り方
(1)行政の役割と関与の在り方についての基本的視点
(2)指導監督の機能強化について
(3)国・都道府県・市の役割と連携の在り方について
8.その他


Ⅲ 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直しについて
1.制度改革の基本的視点
2.給付水準について
3.合算制度について
4.公費助成について

→我が国の社会福祉を支えてきた「社会福祉法人制度」については,1951年の制度創設以来,抜本的な制度の見直しが行われてこなかったが,近年,「日本再興戦略」,「規制改革実施計画」,「社会保障制度改革国民会議報告書」において,非課税扱いにふさわしい地域貢献や運営の透明化等について提言がなされている。
→2014年7月4日の「社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書」において,介護施設などを運営する社会福祉法人は,多額の内部留保をため込む利益体質や,理事長による私物化などの問題が指摘され,地域における公益的な活動の推進,法人組織の体制強化,法人運営の透明性の確保等について意見が取りまとめられた。これを踏まえ,2014年8月27日に「第1回社会保障審議会福祉部会」が開催され,2015年2月12日の「第14回社会保障審議会福祉部会」において,今回の報告書(社会福祉法人制度について)がまとめられ,公表された。
→今後,社会福祉法等の改正案が2015年通常国会に提出され,2016年度からの施行が見込まれている。(筆者)

2/16 厚生労働省 「今後の労働時間法制等の在り方について建議(報告)」 ・2015年2月13日,労働政策審議会(会長:樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授)は, 2013年9月から労働政策審議会労働条件分科会(会長:岩村正彦 東京大学大学院法学 政治学研究科教授)での審議の結果を基に,厚生労働大臣に対して,「今後の労働時間法制等の在り方について建議(報告)」を行い,厚生労働省は関係資料を公 表した。
・建議(報告)では,「2016年4月の施行に向けて,通常国会における労働基準法等の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である」とされている。
<「建議(報告)」のポイント>
項目 内容
①「長時間労働」の防止策 ・働く全員が対象となる
・有給休暇取得年5日を企業に義務付ける(管理職を含む)
・中小企業にも残業代割増しを25%から50%に変更する(2019年4月~)
②「フレックスタイム制」の見直し ・労働時間を3か月単位でやりくりできるようにし,子育て等をしやすくする
・週50時間超の勤務には残業代を支払う
③「裁量労働制」の見直し ・企画や調査も行う一部の営業職にも対象を拡大する
・制度導入の手続きを簡素化する
④「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)の創設 ・年収1,075万円以上の高度専門職が対象となる
・金融商品開発などの職種が対象となる
・時間でなく成果で評価する

→「日本再興戦略(2014年6月改訂)」で,「働き方改革」を掲げ,戦後労働法の基本原則(8時間労働制,直接雇用の原則等)を経済成長を妨げる「岩盤」と位置付けて,改革が必要だとしている。また,仕事の報酬を「労働時間」ではなく「成果」によって決めることで,自由な時間に働けるようになり,子育てや介護などの事情に合わせた「多様な働き方」ができるようになる,とされている。いずれも胡散臭い説明である。
→例えば,長時間労働を適切に抑制するには,労働時間の把握義務を法定化し,時間外労働時間の上限を直接規制し,現行労基法の罰則を強化すべきことは分かっているが,建議(報告)においても記述が不十分である。また,ILOが定める労働基準監督官の配置基準(労働者1万人に1人)を満たし,脆弱な労働行政の体制強化を図る必要性には触れられていない。(筆者)

2/13 首相官邸 「第189回通常国会における安倍首相の施政方針演説」 ・2015年2月12日,安倍首相は,第189回通常国会における衆院本会議で「施政方針演説」を行った。
・2014年12月の衆院選後に発足した「第3次安倍内閣」で初めての「施政方針演説」であり,成長戦略実行に向け「この国会に求められていることは「改革の断行」だ」としている。
・「施政方針演説」は,原則として通常国会の冒頭で内閣総理大臣が本会議場で行う演説で,その1年の政府の内政・外交方針を示すために行われる演説である。なお,通例は1月に実施されるが,2015年は衆院選の影響で遅れて,2月12日に行われた。

→吉田松陰,岩倉具視,岡倉天心,吉田茂を無理やり引き合いに出し,「戦後以来の大改革」や「国民みんなが心を一つに」という大仰なフレーズを用い,「改革」という言葉を連呼した。
→演説の中身はさて置き,「戦後以来の大改革」という日本語はおかしいよ,とメディアは指摘しなくてよいのかどうか。(筆者)
2/10 厚生労働省 ■「2014年度 市町村職員を対象とするセミナー一覧(テーマ・資料)」 <「市町村職員を対象とするセミナーの目的」(抜粋)>
『「市町村セミナー」は,市町村厚生労働行政交流研修事業として,市町村に関連の深い厚生労働行政をテーマに採り上げ,市町村職員間相互及び市町村職員と厚生労働省職員間で情報や意見の交換等を行うことを通じて,市町村が地域の特性に応じた保健福祉サービス等の向上を図るために必要な情報や企画立案の手法を得る機会を提供し厚生労働行政の理解の推進を図るとともに,市町村の厚生労働行政に対する考え方や行政需要等を把握し,厚生労働行政の企画立案に資することを目的としている。


<2014年度 セミナー一覧(テーマ・資料)>
開催日 テーマ・資料
2014年7/18 103回:社会保障と税の一体改革について
7/25 104回:定期巡回、随時対応型サービス・高齢者向け住まいと居宅サービスの関わり方
8/22 105回:新しい総合事業について/介護予防・生活支援サービスの充実に向けて①
9/19 106回:医療介護総合確保推進法について
10/17 107回:生活困窮者自立支援制度について
11/21 108回:障害者の権利擁護について
2015年1/16 109回:新しい総合事業について/介護予防・生活支援サービスの充実に向けて②

→厚生労働省が,何を市町村に徹底を図りたい(強引に進めたい?)のかが分かる。(筆者)
2/9 厚生労働省 「2013年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」(概要 / 本文 ・2015年2月6日,厚生労働省は,「2013年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」を公表し,厚生労働省老健局長名で「対応の強化について」を都道府県知事に通知した。
・本調査は,2006年4月に施行された「高齢者虐待防止法」に基づき,全国の市町村及び都道府県において行われた高齢者虐待への対応状況を2007年度から毎年度調査を実施しているものである。
<調査結果のポイント>
養介護施設従事者等によるもの 養護者によるもの
虐待判断件数 相談・通報件数 虐待判断件数 相談・通報件数
2013年度 221件 962件 15,731件 25,310件

→日本の虐待に関する法律の制定は以下の通りである。
児童虐待防止法(2000年制定)
DV防止法(2001年制定)
高齢者虐待防止法(2005年制定)
障害者虐待防止法(2011年制定)
→日本の「虐待防止」における最大の特徴は,国際的な条約批准等の外圧を受けて法制度が整備されてきたものであり,法と日本社会・日本国民の感覚・意識のずれが大きいことにある。
→「家庭内の養護者による虐待」については,日本特有の根の深い問題を抱えている。しかし,「養介護施設従事者等による虐待」はゼロにすることは可能である。今回の調査結果を受けて,厚生労働省は,「研修を徹底し,防止に努めたい」で済ますのではなく,「施設での虐待はゼロにさせる」とコメントすべきであろう。職能団体も蚊帳の外でいい分けがない。(筆者)
2/6 厚生労働省 「2013年社会福祉施設等調査の概況」 ・2015年2月5日,厚生労働省は,「2013年社会福祉施設等調査の概況」を公表した。
<「2013年社会福祉施設等調査の概況」のポイント>
(1)施設の状況
①施設数

・「保育所」は24,076施設(前年比336施設・1.4%増)で,「有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)」は8,502施設(前年比983施設・13.1%増)である。
②定員階級別施設の状況
・障害者支援施設等,婦人保護施設などでは「30人以下」が最多で,保護施設,児童福祉施設などでは「51~100人」が最多である。
③経営主体別施設の状況
・その他の社会福祉施設等を除く各種類で「社会福祉法人」が最多であり,有料老人ホーム(サービス付き高齢者け住宅以外)では,「営利法人(会社)」(83.2%)が最多である。

(2)事業所の状況
①事業所数

・「居宅介護事業」が20,811事業所(前年比939事業所増),「重度訪問介護事業」は19,376事業所(前年比べ829事業所増)の順に多い。また,対前年増減率をみると「保育所等訪問支援事業」が72.9%増,「障害児相談支援事業」が56.2%増の順で多い。
②経営主体別事業所数
・障害福祉サービス等事業所について,事業の種類別に経営主体別事業所数の構成割合をみると,短期入所事業では「社会福祉法人」(79.6%)が最多で,居宅介護事業,重度訪問介護事業,同行援護事業では,「営利法人(会社)」(それぞれ64.9%,66.2%,69.3%)が最多である。

→2015年2月5日,「第13回社会保障審議会福祉部会」で「社会福祉法人制度改革案」がおおむね了承されたと報道されている。現行は,任意設置で諮問機関にすぎない評議員会を,必置の議決機関に見直し,理事・理事長をけん制する役割とすることや,「内部留保」の定義を明確化し,財産のある法人にその活用計画(再投下計画)の作成を義務付けることなどが柱とされている。
→2015年1月26日に開会した「第189回通常国」への「社会福祉法人改革法案」の提出は,3月上旬と見られており,社会福祉法,社会福祉士及び介護福祉士法,社会福祉施設職員等退職手当共済法が主たる改正となる。
→なお,2014年8月27日に立ち上げられた「社会保障審議会福祉部会」の検討テーマは,①「社会福祉法人制度の見直しについて」,②「福祉人材確保対策について」であり,近日中にそれぞれにつき報告書が提出されると思われる。(筆者)


(参考)
「社会福祉施設の整備・運営」(厚生労働省)

2/5 厚生労働省 「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会(中間まとめ)」 ・2015年2月4日,厚生労働省は,「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会( 中間まとめ)」を公表した。「日本再興戦略(改訂2014)」に明記された,外国人技能実習制度の対象職種に介 護分野を追加すること及び介護福祉士資格を取得した外国人留学生の卒業後の留資格 の拡充について,2014年10月30日に「第1回外国人介護人材受入れの在り方に関する 検討会」が開催された。議題は(1)技能実習生の受入れの在り方,(2)国家資格取得者 に在留資格が付与された場合の運用の在り方等,(3)EPAの更なる活用方策,であった。
・一方,2014年10月22日に公表された「福祉人材確保対策検討会(議論の取りまとめ )」を受けて,10月27日に「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開 催され,4回の委員会をもって取りまとめが行われる予定である(第3回は2015年1月 27日開催)。議題は「量的な確保」および「質的な確保」の方策である。

→厚生労働省において,介護人材確保のために,現在,2つの委員会(「外国人介護 人材受入れの在り方に関する検討会」,社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委 員会」)で検討が行われている。そのうちの「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会(中間まとめ)」が,今回公表されたものである。
→「結論ありき」の今回の中間まとめを受けて,「外国人技能実習制度」の改正準備 に入る。2016年度から実習期間を3年から5年に延長し,介護における介護福祉士資格取得者には在留期間の延長を認めることになる。「外国人介護人材の受け入れ」は,「介護人材の確保」とは別次元の施策ではないか,と筆者は思う。
→厚生労働省にとって,「介護人材確保」は,地域包括ケアシステムの構築の生命線であり,最重要課題であるはずである。筆者は,「介護分野の人材確保」の決め手は,「労働条件改善」に尽きると思う。その解決策の端緒は,介護事業に向けて,各種減税,助成金,内部留保等の優遇措置の努力を,大企業並みに行い,まずは,介護事業を儲けさせる施策を実施することと考える。「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」の提言が近いうちに提出される。(筆者)
2/4 厚生労働省 「2014年 保育施設における事故報告」 ・2015年2月3日,厚生労働省は,2014年1月1日から2014年12月31日までの1年間に報告のあった「保育施設における事故報告」を公表した。
<「2014年 保育施設における事故報告」 のポイント>
①報告総件数
・177件(認可保育所155件,認可外保育施設22件) であった。
・2013年の19人より2人減ったが,依然高い水準である。
②負傷等の報告
・160件で,そのうち5歳(54名)が最多であった。
③死亡の報告
・17件で,そのうち0歳(8名)が最多であった。
・状況別では,睡眠中が11人で,このうち4件は「うつぶせ寝」であった。
・施設別では,認可保育所が5人,認可外保育所が12人であった。
④事故の発生場所
・保育施設の園内(室内) (82名)が最多であった。

→少子化対策や女性の社会進出の支援策の一環として,2015年4月から「子ども・子育て支援新制度」が実施される。
→「子ども・子育て支援新制度」への移行に伴い,保育事故の報告は,教育・保育施設に関してのみ,都道府県や市町村への報告が法的義務が課されることになっている。消費者委員会は,2014年11月4日に「教育・保育施設等における事故情報の収集及び活用に関する建議」を公表した。また,内閣府は,2014年11月28日に「教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会(中間取りまとめ)」を公表した。これにより,文部科学省・厚生労働省・内閣府は,乳幼児の保育に関する重大事故の報告を義務付けたうえで,それを一元的にデータベース化し,保育事故の再発防止などに役立てる方針を打ち出した。報告の対象となる重大事故は,死亡事故,治療に30日以上を要する負傷・疾病を伴う重篤な事故とされている。
→ありていに言えば,保育事故,幼稚園事故,学童保育事故を管轄している「厚生労働省」と「文部科学省」は,事故防止に向けて何もやってこなかったというのが現実である。寄せ集め(内閣府,文部科学省,厚生労働省,消費者庁)と後追い行政で,行政間の意識が変化し,現場での劇的な事故防止につながるかどうか・・・。(筆者)
2/3 厚生労働省 「2015年度の年金額改定(引き上げ)」 ・2015年1月30日,厚生労働省は,「2014年平均の全国消費者物価指数」の発表により,2015年度の年金額は,2014年度の特例水準の年金額との比較では,特例水準の段階的な解消やマクロ経済スライドによる調整と合わせて,基本的には0.9%の引上げとなる,と公表した。
・なお,受給者の受取額が変わるのは,通常4月分の年金が支払われる2015年6月からとなる。
<2015年度の新規裁定者(67歳以下)の年金額>
2014年度
(月額)
2015年度
(月額)
国民年金
(老齢基礎年金(満額):1人分)
64,400円 65,008円
(+608円)
厚生年金
(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
219,066円 221,507円
(+2,441円)

→2004年の年金改革で導入が決まった「マクロ経済スライド」が,初めて2015年度で適用されることになった。2015年度年金額改定の算式は,次の通りである。
名目手取り賃金変動率(2.3%)-名目手取り賃金変動率にスライド調整率(0.9%)-特例水準の段階的な解消(0.5%)=0.9%
→ところで,現行の年金支給額の(年額)の決定方法の仕組みは,非常に難解である。国民がもっと簡単に理解できる仕組みにすべきだと思う。法律で定められているものであるが,どことなく胡散臭さがある。(筆者)
2/2 厚生労働省 「2015年度 厚生労働省予算案」(概要 / 主要事項 ・2015年1月29日,「第27回社会保障審議会」が1年4か月ぶりに開催され,会議資料が公表された。
<「2015年度 厚生労働省予算案」のポイント>
(1)2015年度予算額(一般会計)の推移

・2014年度予算額 :29兆454億円 ⇒ 2015年度予算案 :29兆9,146億円
・なお,特別会計とは,労働保険特別会計,年金特別会計,復航特別会計をいう。

(2)2015年度社会保障関係費(29兆4,505億円)の内訳
・医療(39.0%),年金{37.5%),福祉等(13.5%),介護(9.4%),雇用(0.6%)

(3)2015年度における社会保障・税一体改革による社会保障の充実・安定化
①2015年度の消費税増収分(8.2兆円)の内訳
・基礎年⾦国庫負担割合1/2(3億円),社会保障の充実(1.35兆円),消費税率引上げに伴う社会保障4経費の増(0.35兆円),後代への負担のつけ回しの軽減(3.4兆円)
②2015年度における「社会保障の充実」(1.35兆円)の考え方
・優先的に取り組む施策として,子ども・子育て支援の充実(2,195億円),医療・介護サービス提供体制改革の着実な実施(602億円),国保への財政支援の拡充(612億円),が挙げられている。
・その他として,難病・小児慢性特定疾病への対応(885億円),年金制度の改善(20億円),が挙げられている。

→2015年1月26日に「第189回通常国会」が召集された。国会法による会期は6月24日までの150日間で,延長が1回のみ可能である。前半国会において,「2015年度 政府予算案」は4月10日頃に成立すると見られている。(筆者)
1/29 厚生労働省 「新オレンジプラン」(概要 / 本文 ・2015年1月27日,厚生労働省は,「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を公表した。
・2014年11月に行われた「認知症サミット日本後継イベント」において,安倍首相より塩崎厚生労働大臣に対して,認知症施策を加速させるための戦略の策定について指示がなされ,厚生労働省は,関係省庁と共同して新たな戦略の検討を進め,「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を策定した。
・「新オレンジプラン」の策定を受け,1月27日,「認知症施策推進関係閣僚会合」において,認知症施策推進のために関係省庁が一丸となって取り組んでいくことを申し合わせた,とのことである。
<「新オレンジプラン」の7つの柱>
①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法,診断法,治療法,リハビリテーションモデル,介護モデル等
の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視

「新オレンジプラン」の2015年度予算(案)=約161億円
①医療・介護専門職による認知症初期集中支援チームの配置(13億円)
②医療・介護連携のコーディネーター(認知症地域支援推進員)の配置等(15億円)
③早期診断を行う認知症疾患医療センターの整備(6.4億円)
④生活支援コーディネーターの配置等(高齢者の見守り等を行うボランティア等の養成や連携支援を行う)(54億円)
⑤認知症の予防・治療のための研究開発の推進(65億円)

(参考)
参考資料集

→厚生労働省は,団塊の世代が75歳以上となる2025年の認知症患者数は約700万人となり,65歳以上の高齢者の約5人に1人を占めるとと推計している(2012年は,462万人で,7人に1人)。
→「新オレンジプラン」策定までの経過である。
・2013年12月,イギリスにおいて,国内世論に追いつめられたキャメロン英首相の呼びかけで「G8認知症サミット」が開催された。日本からは厚生労働副大臣ごときを出席させ,日本は「認知症」を軽く見ていることを世界に証明してしまった。
・2014年度には,サミットの後継イベントとして,①イギリス(2014年6月:社会的影響への投資),②カナダ・フランス共同(2014年9月:学術界と産業界のパートナーシップ),③日本(2014年11月:新しいケア と予防の モデル),④アメリカ(2015年2月:アルツハイマー病研究)の順でそれぞれ国際会議の開催が計画され,実行されている。2015年3月には,WHO主催の総括的な大臣級会合の開催も検討されている。
・2014年11月に日本で開催された「サミットの後継イベント」の開会の挨拶において,世界の流れや世界の日本に向ける目の厳しさを感じた安倍首相は,2013年からスタートした医療や介護分野の支援を中心とする認知症施策としての「オレンジプラン」の計画の途中ではあったが,国家的課題としての新戦略である「新オレンジプラン」の策定を世界に表明した。
→今回の公表は,それを受けたもので,安倍首相は,「世界のモデルとなる取組みを進める」と述べている。新オレンジプラン」に向けた2015年度予算は161億円とされ,2014年度より66億円増加されている。しかし,2014年4月からは,「介護報酬」を2.27%引き下げることを決定した。支離滅裂である。
→筆者は,今回の安倍首相の思惑に,現状の無策に過ぎる認知症施策に対する国内世論や世界からの批判を一時的に避けようとすることにあると勘繰っている。「認知症施策」をその場しのぎで乗り切れると高をくくっていると,近い将来,日本の医療保険と介護保険を崩壊させることになると思う。在宅で認知症者を看きることが,どれほど悲惨なことかを理解しようとしない者が作ったプランなど意味をなさないと考える。(筆者)

1/27 - ■2015年1月26日に「第189回通常国会」が召集された ・2015年1月26日,「第189回通常国会」が召集された。会期は6月24日までの150日間である。
・同日,安倍内閣は,緊急経済対策を盛り込んだ「2014年度補正予算案」を国会に提出し,これを受けて麻生財務大臣が衆参両院の本会議で「財政演説」が行われた。なお,これに対する各党代表質問が1月27日,28日衆参で1日ずつ行われる。
・経済最優先とする安倍首相は,今国会を「改革断行国会」と位置付け,各分野の規制改革を進めるほか,地方創生を加速化し,安全保障法制の整備にも取り組む方針を示している。当面の課題は,経済対策を盛り込んだ「2014年度補正予算案」と「2015年度予算案」の早期成立とされている。

<「第189回通常国会」の予定>
(1)前半国会(予算案成立まで)
◎安倍首相の「所信表明演説」は実施されず,2月中旬に「施政方針演説」が行われる。
・2月5日 :「2014年度補正予算案」の成立
・2月12日 :「2015年度予算案」の審議開始
・3月10日頃 :「2015年度予算案」の衆議院通過
・4月10日頃 :「2015年度予算案」の成立

(2)後半国会(予算案成立後~6月24日)
◎集団的自衛権の行使を容認した2014年7月の閣議決定を具体化する安保関連法案,労働者派遣法改正案が提出される。
1/23 厚生労働省 「国民年金保険料の納付率」 ・2015年1月21日,厚生労働省は,2014年11月現在の「国民年金保険料の納付率」を公表した。
<発表の数値>
・2014年11月末現在における国民年金保険料の納付率(2014年10月分まで)は,以下の通りである。
▼2012年度分 :59.0%
▼2013年度分 :60.9%
▼2014年4月~10月分 :58.6%

→衆議院議員河野太郎氏の公式サイトにおける2014年5月28日の記事(http://www.taro.org/2014/05/post-1481.php)によれば,例えば,2012年度の59.0%について,分母に免除・猶予を加えて,同じ期間の実際の納付率を厚生労働省に試算してもらったところ,39.9%だったということである。愕然とする不公平極まりない数値は公表されていない。これ以外の根幹にかかわる数値も都合よく加工されている可能性を考えれば,現行の年金制度は破たん状態ではなく,すでに破たんしているのではないかという強い疑念を持つ。
→2015年1月21日に開催された「第29回社会保障審議会年金部会」において,「年金制度改革の方向性を示す報告書案」が了承されたとのことである。このような小手先の改革案ではどうしようもないことを,とっくに気付いている国民は少なくないと思う。(筆者)
1/21 厚生労働省 「STOP!転倒災害プロジェクト2015」(2015年1/20~12/31)が開始された ・2015年1月20日,厚生労働省と労働災害防止団体は,休業4日以上の死傷災害で最も件数が多い「転倒災害」を減少させるため,「STOP!転倒災害プロジェクト2015」を開始した。
・本プロジェクトは,2015年1月20日~12月31日を期間とし,積雪や凍結による転倒災害の多い2月と全国安全週間準備月間である6月を重点取組期間として,安心して働ける職場環境の実現を目指す,とされている。
「転倒による労働災害の状況」のポイント>
●仕事中の転倒が原因で4日以上仕事を休んだ者は25,878人(2013年)で,休業4日以上の労働災害全体の22%を占め,増加傾向にある。

<「プロジェクトの主な取組」のポイント>
①業界団体などに対する職場の総点検の要請
②都道府県労働局,労働基準監督署による指導
「STOP!転倒災害特設サイト」の開設
④労働災害防止団体などによる支援

「第12次労働災害防止計画(2013年度~2017年度)」は2013年にスタートし,2015年はその中間年に当たる。しかし,2014年の労働災害は,上半期時点で大幅な増加となり,2014年8月には「労働災害のない職場づくりに向けた緊急要請」を行ったが,このままでは労働災害防止計画の目標達成ができなくなってきたため,本プロジェクトを実施したものである。つまりは,行政側としては,お尻に火が付いたということである。
→2013年の死傷災害のうち転倒災害が占める割合は,全産業平均22%であるが,社会福祉施設は31%と高率である。これは,この分野の事業主や従業者の「知識や意識の低さ」を表している,と筆者は考える。「自分の健康は自分が守る」,が基本である。(筆者)
1/20 首相官邸 「社会保障制度改革のスケジュール等について」および「2015年度の社会保障の充実・安定化について」 ・2015年1月13日,「第3回社会保障制度改革推進本部」において「社会保障制度改革のスケジュール等について」および「2015年度の社会保障の充実・安定化について」が決定され,公表された。
<「社会保障制度改革のスケジュール等」のポイント>
(1)消費税率の10%への引上げを2017年4月から実施することを踏まえ,社会保障の充実を「基本方針」(2014年12月24日閣議決定)に沿って着実に推進する。
(2)社会保障・税一体改革による社会保障制度改革の進め方は,以下の通りである。
2015年1月~3月 ①医療保険制度改革関連法案の提出(2015年通常国会に提出)
2015年度 ②子ども・子育て支援新制度の施行(2015年4月~)
③「医療介護総合確保推進法」の一部施行
2017年度 ④「年金関連法」の一部施行
2018年度 ⑤国民健康保険の財政運営責任等を都道府県に移行し,制度を安定化(2018年4月~,医療保険制度改革関連法案関係)
⑥医療計画・介護保険事業(支援)計画・医療費適正化計画の同時策定・実施(2018年4月~)

<「2015年度の社会保障の充実・安定化」のポイント>
(1)消費税率引上げによる増収分は,全て社会保障の充実・安定化に向ける。
(2)社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から,2015年度の増収額8兆円程度の内訳は,以下の通りである。
①基礎年金国庫負担割合1/2 3兆円程度
②社会保障の充実(子ども・子育て支援の充実,医療・介護の充実,年金制度の改善) 1.35兆円程度
③消費税率引上げに伴う社会保障4経費の増(診療報酬,介護報酬,年金,子育て支援等についての物価上昇に伴う増) 0.35兆円程度
④後代への負担のつけ回しの軽減(高齢化等に伴う自然増を含む安定財源が
確保できていない既存の社会保障費)
3.4兆円程度

→2015年度の消費税増収分8.2兆円程度(国と地方の合計)のうち,「社会保障の充実」に充てられるのは僅か1.35兆円程度に過ぎない。それでも,安倍首相は,「消費税増税による増収分は,すべて社会保障の充実・安定化に向ける」と説明している。
→国民に向けて安倍首相が言う「社会保障の充実・安定化」には,「病床機能分化」,「地域包括ケアの推進」,「子育て新制度の推進」,「社会保障制度の見直し」(医療保険,介護保険,生活保護制度)などとして,それぞれの中身が明確にされてくると,巧妙に「社会保障の後退」が仕組まれていたことが分かってきた。(筆者)

1/19 厚生労働省 「児童養護施設入所児童等調査の結果(2013年2月1日現在)」(概要 / 本文 ・2015年1月16日,厚生労働省は,「児童養護施設入所児童等調査の結果(2013年2月1日現在)」を公表した。
・本調査は,児童福祉法に基づいて,おおむね5年ごとに実施されており,全国の里親委託児童,児童養護施設の入所児童,情緒障害児短期治療施設の入所児童,児童自立支援施設の入所児童,乳児院の入所児童,母子生活支援施設の児童及び保護者,ファミリーホーム委託児童,自立援助ホーム入居児童の全員を対象として実施されている。なお,前回調査は2008年2月1日に実施された。
<「調査結果(2013年2月1日現在)」のポイント>
里親委託児童数は4,534人(前回3,611人)で,虐待を受けた経験のある児童の割合は31.1%(同31.5%)であった。
児童養護施設入所児童数は29,979人(同31,593人)で,親などから虐待を受けた経験のある児童の割合は59.5%(同53.4%)であった。

→日本の社会的養護の主流である施設養護児童で暮らす約30,000人のうち約6割が虐待を受けた経験があり,5年前の前回調査に比べて施設に入所する子どもは約1,500人減った一方で,虐待経験のある子どもの割合は6ポイント増えている。
→厚生労働省は,虐待を受けた子どもの増加への対応として,2015年度は,児童養護施設の職員一人あたりの児童数を現行の5.5人から4人に引き下げるとしている。しかし,被虐待経験者は,深刻で多様な障害を負っており,治療しながら,ケアするための体制整備(特に,専門知識を持つ人材の確保)が必要とされているが,改善が進展していかない。その理由は,この分野における行政の関心が薄いということに尽きる。社会保障給付費に占める,関心の高い「高齢者関係給付費」と関心の薄い「児童・家庭関係給付費」を比較して見れば一目瞭然である。(筆者)
1/16 財務省 「2015年度予算政府案」 ・2015年1月14日,政府は,「2015年度予算政府案」を閣議決定した。なお,「2014年度補正予算政府案」(①現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援,②地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化,③災害復旧・復興加速化など災害・危機等への対応)は2015年1月9日に閣議決定されている。
<「2015年度予算政府案」のポイント>
(1)歳入

①「一般会計の総額」 :96兆3,420億円(過去最大)
(2)歳出
①「政策に充てる経費」 :72兆8,912億円(社会保障費31兆5,279億円,地方交付税15兆5,357億円を含む)
②「国債費」 :23兆4,507億円

→2015年1月14日,安倍首相は,「地方の創生,子育て支援など社会保障の充実に最大限取り組んだ」と自己評価している。国民の評価はどうなるか。(筆者)
1/15 首相官邸 「医療保険制度改革骨子」 ・2015年1月13日,社会保障制度改革推進本部(本部長:安倍首相)は,2015年1月9日に開催された厚生労働省の「第85回社会保障審議会医療保険部会」における「医療保険制度改革骨子(案)」を決定し,併せて「社会保障制度改革のスケジュール等について」も公表した。
<「医療保険制度改革骨子」のポイント>
 年度  項 目
2015 ①国民健康保険(国保)への財政支援を1,700億円拡充する。
2016 ②入院時の食事の自己負担を360円/食に引き上げる。
③紹介状なしの大病院への受診に定額負担させる。
④患者の申し出による「混合診療」を解禁する。
⑤医師などの国保組合の国庫補助の見直しを開始する。
2017 ⑥後期高齢者医療制度の保険料軽減特例を原則廃止する。
⑦会社員・公務員の組合の高齢者医療支援金の負担を2,400億円引き上げる。
⑧会社員の組合に700億円の財政支援をする。
⑨国保の財政支援を3,400億円に拡充する。
2018 ⑩国保の運営を市町村から都道府県に移管する。
⑪入院時の食費を460円/食に引き上げる。
⑫健康推進や予防の取り組みに対する奨励策を導入する。
(参考)
医療保険制度改革骨子付属資料

→厚生労働省の「社会保障制度審議会」の3つの部会から,医療保険,介護保険,生活保護制度の見直し案が提示され,2015年度からの社会保障費の主な削減内容が以下の通り出揃った。
項目 主な削減内容 参照記事
医療 ●介護報酬の2.27%引き下げ ・本日
介護 ●入院時の食費の患者負担を段階的に引き上げ(360円,460円)
●全国健康保険協会(協会けんぽ)の補助金は現行の16.4%を維持するが,準備金が増えれば国庫補助減額
・1/14
生活保護 ●冬季の光熱費に充てる「冬季加算」を引き下げ
●家賃に相当する「住宅扶助」を引き下げ
・1/13
→一方,2014年12月24日に発足した「第3次安倍改造内閣」は,「社会保障制度の充実への取組み」を明言している。2015年1月13日に開催された「社会保障制度改革推進本部」においても,本部長である安倍首相は,『社会保障は国民が安心して暮らしていくためのセーフティネットであり,我が国の経済社会の礎となるものであります。景気の回復を確かなものとするため,消費税率10%への引上げを延期することとしましたが,財政を立て直し,世界に誇るべき社会保障制度を次世代に引き渡していく責任が私達にはあります。』と述べている。消費税が上げられなかったため,「社会保障制度の充実」のうち年金の充実策(低所得高齢者への給付金,最低加入期間の10年への短縮)のように,先送りされても仕方がないという政府からの子どもだましのような説明に納得しているようではどうしようもない。財源は消費税分だけではないはずである。従来から,予算配分の仕方を見直して,政策の優先順位を付けることが重要だと指摘されている。
→2015年1月26日から予算国会である「第189回通常国会」が招集される見通しである。2014年度補正予算案を2月上旬に,2015年度予算案を年度内に成立させる方向である。アベノミクスが大コケするまで,政府与党のやりたい放題で進められる。(筆者)

1/14 厚生労働省 「社会保障審議社会保障審議介護給付費分科会報告書」(2015年度介護報酬改定の審議報告) ・2015年1月13日,厚生労働省は,「社会保障審議社会保障審議介護給付費分科会」における「2015年度介護報酬改定に関する審議報告」を公表した。
・本報告では,団塊世代が75歳を迎える2025年を目途に,医療・介護・予防・住まい・生活支援などを総合的に実施する「地域包括ケアシステム」の早急な構築が必要とし,地域包括ケアシステムの推進のために,2015年度介護報酬改定では,①「中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化」,②「介護人材確保対策の推進」,③「サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築」,の3本柱を中心に進めていくべきだとしている。

→政府は現在,2015年度予算案の編成に向けた詰めの協議を行っており,介護報酬の改定率はその大きな焦点の1つである。財務省の意向に沿い,政府は2015年4月からの介護報酬の引き下げ幅を2.27%にする方針とされ,今回の報告は,その裏付けになる。
→厚生労働省は,今後,政府の正式な改定率の決定を受け,それぞれの報酬・加算の具体的な金額を設定する作業に入り,2月6日の介護給付費分科会に諮問し,2月中には各サービス単価を決定すると見られている。
→介護報酬の引き下げは,現行の介護保険制度の崩壊を招くとの指摘があるが,身近な問題でありながら多くの国民の関心は薄い。強引な「施設から在宅へ」の施策が,どれほどの悲劇を生み出すことになるのだろう。(筆者)
1/13 厚生労働省 「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」 ・2015年1月9日,厚生労働省は,「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」を公表した。
・今回の報告書で,初めて,住宅扶助と冬季加算(生活扶助)について,実質的に健康で文化的な最低限度の生活を保障しているかという観点から,検討・検証が行われた。

2015年1月7日に公表された「2014年10月分の被保護世帯数及び被保護実人員」は,1,615,240世帯及び2,168,393人であった。6か月連続で過去最多を更新したとのことである。もともと,日本の生活保護に関しては,「補足率が低い」(全5,200世帯の約16%の830万世帯が貧困世帯であり,その約20%(160万世帯)しか補足できていない)という指摘がある。
→しかし,現行の生活保護については,財政的な問題(2011年度には3兆5,015億円)があるとして,財務省の意向に沿って,基本的には給付を抑制する方向で制度改革が進められている。法の動向では,2014年7月の「改正生活保護法」において,窓口での申請書提出の原則義務付けや,親族や雇い主に対する調査権限の強化などが盛り込まれて,生活保護を受けるハードルを高くしたため,支援の対象とならない生活困窮者が増加することから,それに対応するために作られたのが,2015年4月から施行される「生活困窮者自立支援法」である。今回の報告書も,この流れに沿う形で,「住宅扶助」と暖房費などの「冬季加算」が検討・検証され,2015年度予算案から削減されることの裏付けになる。
→公平性を欠く制度運用は改善しつつ,それだけにとらわれず,「セーフティネット全般」についての抜本的な改革が必要とされていることは言うまでもない。(筆者)
1/8 内閣府 「尖閣諸島に関する世論調査結果」および「竹島に関する世論調査結果」 ・2014年12月25日,内閣府は,2014年11月に実施した「尖閣諸島に関する世論調査」および「竹島に関する世論調査」の結果を公表した。
<世論調査結果のポイント>
「尖閣諸島に関心がある」は74.5%で,2013年の第1回調査から0.8ポイント増加した。なお,「尖閣諸島に関心がない」(24.9%)の理由としては,「自分の生活に影響がない」が55.2%,「知る機会や考える機会がなかった」が37.4%であった。
「竹島に関心がある」は66.9%で,2013年の第1回調査から4.2ポイント低下した。なお,「竹島に関心がない」(30.7%)の理由としては,「自分の生活に影響がない」が64.1%,「竹島に関して知る機会や考える機会がなかった」が35.7%であった。

→竹島への関心が低下したことについては,「尖閣諸島周辺への中国船舶の領海侵入がメディアで多く取り上げられる一方,竹島は取り上げられる機会が減ったため」との内閣府のコメントが報道されている。
→政府の公式見解
(やまだ塾トップページのトピックスを参照)と国民の認識のずれは,早急に修正すべきである。各世代に応じて,認識を共有するための教育を含めた環境整備作りと分かりやすい情報提供の技術向上を進めるべきである。調査は,調査結果を生かさなければ意味がない。(筆者)
2015年
1/6
厚生労働省 「2014年人口動態統計の年間推計」 ・2015年1月1日,厚生労働省は,「2014年人口動態統計の年間推計」を公表した。
<人口動態総覧(前年比較)>
①出生数 :100万1,000人
②死亡数 :126万9,000人
③主な死因の死亡数 :第1位悪性新生物37万人,第2位心疾患19万6,000人,第3位肺炎11万8,000人,第4位脳血管疾患11万3,000人
④死産数 ;2万3,000胎
⑤自然増減数 ;△26万8,000人
⑥婚姻件数 :64万9,000組
⑦離婚件数 :22万2,000組

→2014年の日本の出生数は過去最少の100万1千人で,出生率(人口千対)は8.0 であった。2013年出生率の暫定値では,アメリカ12.5,フランス12.2,ドイツ8.5,イタリア8.5などを下回り,国際的にも低い数値となっている。
→少子化対策の切り札は,出生率の向上である。日本の合計特殊出生率は2013年時点で1.43であるが,人口維持のため必要な出生率は2.07~2.08と言われている。第2次安倍内閣の下で創設された「まち・ひと・しごと創生本部」では,「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(長期ビジョン)」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」をとりまとめ,2014年12月27日に閣議決定された。この中で,「合計特殊出生率を1.8程度に改善することを目指す」と明記されている。少子化対策は,社会構造全体に影響を及ぼす国家的な喫緊の課題である。
→価値観が多様化している若者世代でも,多くは結婚や出産を望んでいる。「第三次安倍改造内閣」においては,間抜けで無効な家族政策からの離脱を強く望みたい。また,「大惨事安倍改造内閣」と揶揄されないことを願う。(筆者)
12/26 厚生労働省 「第3次安倍内閣」における厚生労働省政務三役が決定した ・2014年12月24日に「第3次安倍内閣」における閣僚名簿が,12月25日には副大臣及び大臣政務官名簿が公表された。
・なお,厚生労働省政務三役は「第2次安倍内閣」からの再任である。
厚生労働省の新政務三役 (2014年12月25日付)敬称略
大臣 塩崎恭久 ・63歳,自民党,愛媛1区,衆議院,当選は衆議院7回/参議院1回
・ハーバード大学大学院修了。日銀出身。官房長官,外務副大臣,内閣官房長官・拉致問題担当大臣など。「第2次安倍改造内閣」から再任
https://www.y-shiozaki.or.jp/
副大臣 永岡桂子 ・60歳,自民党,北関東ブロック,衆議院,当選は衆議院4回
・学習院大学法学部卒業。2006年9月発足の第1次安倍内閣で農林水産大臣政務官。「第2次安倍改造内閣」から再任
http://keiko-nagaoka.jp/
山本香苗 ・43歳,公明党,全国ブロック,参議院,当選は参議院3回
・京都大学文学部卒。前職は外務省職員。経済産業大臣政務官,参議院総務委員長。「第2次安倍改造内閣」から再任
http://www.yamamoto-kanae.com/
政務官 橋本岳 ・40歳,自民党,岡山4区,衆議院,当選は衆議院3回
・慶大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。父は元総理の故橋本龍太郎氏。「第2次安倍改造内閣」から再任
https://ga9.jp/
高階恵美子 ・50歳,自民党,全国ブロック,参議院,当選は参議院1回
・東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士課程後期中退。看護師・保健師,前職は日本看護協会常任理事。「第2次安倍改造内閣」から再任
http://www.takagai-emiko.net/
12/25 首相官邸 2014年12月24日に「第3次安倍内閣」が発足し,安倍首相の記者会見が行われた

(12/26追記)
「第3次安倍内閣 副大臣名簿」
「第3次安倍内閣 大臣政務官名簿」
・2014年12月24日,午前に,2014年9月に発足した「第2次安倍改造内閣」の閣議で総辞職し,午後に,「第188特別国会」の衆参両院の本会議において,安倍首相が「第97代の総理大臣に選出され,夜に,自民・公明両党との連立による「第3次安倍内閣」が発足し,安倍首相の記者会見が行われた。
・なお,閣僚人事では,江渡氏に代わって,中谷元防衛庁長官が新防衛大臣に就任したが,他の閣僚(17名)は再任となっている。

(参考)
「第3次安倍内閣 基本方針」
「第3次安倍内閣 内閣総理大臣談話」
「第3次安倍内閣 閣僚等名簿」
「第3次安倍内閣 内閣総理大臣補佐官名簿」
12/24 厚生労働省 「今後の長時間労働対策について」 ・2014年12月22日,厚生労働省は,全国労働基準部長会議を臨時に開催し,長時間労働対策について,年明けから取り組むことを公表した。
<対策のポイント>】
◎都道府県労働局に「働き方改革推進本部」を設置し,地方公共団体等の協力を得つつ,各局幹部による企業経営者への働きかけを行うとともに,地域全体における働き方の見直しに向けた気運の醸成に取り組む。
◎時間外労働が月100時間を超える事業場等への監督指導を徹底し,厚生労働省本省がインターネットを監視して収集した,過重労働が疑われる企業等の情報を監督指導等に活用する。
◎メンタルヘルスの一層の向上に向けてストレスチェック制度の周知等に取り組む。

→2014年6月24日に,「日本再興戦略(改訂2014)」が閣議決定され,「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれた。2014年6月20日に「過労死等防止対策推進法」が成立した。厚生労働省には,2014年9月に「長時間労働削減推進本部」が,2014年12月に「過労死等防止対策推進協議会」が設置された。長時間労働対策の強化は喫緊の課題となっているのに,対応が遅すぎるように思う。
→ありていに言えば,筆者は,長時間労働の元凶は,アホな教育機関,経営者,労働組合の存在の放置にあると考える。すなわち,教育機関による労働ルール教育を制度化し,労基法違反を承知で行う経営者を厳罰化し,労基法の36協定の労働組合による抜け道を禁止することでおおむね対応できると考える。意識を変えて制度を変えるのではなく,制度を変えて意識を変えなければ根治できないと思う。(筆者)
12/19 厚生労働省 「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書」(概要 / 本文 ・2014年12月17日,厚生労働省は,「ストレスチェックと面接指導の実施方法等に関する検討会」および「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取扱い等に関する検討会」(いずれも座長:相澤好治北里大学名誉教授)における報告書を公表した。
・2014年6月25日に公布された「改正労働安全衛生法」により,ストレスチェックと面接指導の実施等を義務づける制度が創設され,2015年12月1日から施行されることになった。2014年10月には両検討会が設置され,具体的な制度の運用方法などについて検討が行われてきた。
・なお,ストレスチェックとは,事業者が労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査であり,従業員数50人未満の事業場は制度の施行後,当分の間努力義務とされている。
<報告書のポイント>
①ストレスチェックの実施について

・ストレスチェックの実施者となれる者は,医師,保健師のほか,一定の研修を受けた看護師,精神保健福祉士とする。
・ストレスチェックの調査票は,「仕事のストレス要因」,「心身のストレス反応」および「周囲のサポート」の3領域を全て含むものとする。具体的な項目数や内容は,事業者自ら選定可能だが,国が推奨する調査票は「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」とする。

②集団分析の努力義務化
・職場の一定規模の集団(部,課など)ごとのストレス状況を分析し,その結果を踏まえて職場環境を改善することを努力義務とする。

③労働者に対する不利益取扱いの防止について
・ストレスチェックを受けない者,事業者への結果提供に同意しない者,面接指導を申し出ない者に対する不利益取扱いや,面接指導の結果を理由とした解雇,雇止め,退職勧奨,不当な配転・職位変更等を禁止する。

→今回のストレスチェック制度は,労働者に受ける義務はないが,事業者には労働者に受けさせる義務がある,という不思議な制度である。それ故に,隠された深い理由(企み)があるように思えてならない。(筆者)
12/17 - ■2014年12月24日に「特別国会」が召集される ・2014年12月14日の衆議院総選挙の投開票を受け,首相指名選挙を行う「特別国会」が12月24日から3日間の会期で召集される。同日中に,「第3次安倍内閣」が発足すると見られている。

→今後の予定では,円安対策や低所得者向けの給付金を柱とする「経済対策」は12月27日に,「税制改正大綱」は12月30日に,経済対策の裏付けとなる「2014年度補正予算案」は2015年明けに,「2015年度予算案」は2015年1月14日に,閣議決定されるのではないかと見られている。なお,2015年4月12日に統一地方選挙が予定されており,それまでには「2015年度予算案成立」が必要になってくる。(筆者)
12/16 厚生労働省 「健やか親子21(第2次)」(パンフレット) ・2014年12月11日,厚生労働省は,2015年4月から開始される「健やか親子21(第2次)」のパンフレットを公表した。
●「健やか親子21」は,21世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンであり,かつ関係者,関係機関・団体が一体となって推進する国民運動計画である。また,安心して子どもを産み,ゆとりを持って健やかに育てるための家庭や地域の環境づくりという少子化対策としての意義と,少子・高齢社会において国民が健康で元気に生活できる社会の実現を図るための国民健康づくり運動である「健康日本21」の一翼を担うという意義を有している。
●「健康日本21」は,2000年度から2012年度までは「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)が行われ,2013年から2022年までは「健康日本21(第2次)」(21世紀における第2次国民健康づくり運動)が行われている。
●「健やか親子21」は,2001年度から2014年度までは「健やか親子21」が行われ,2015年度から2024年度までは「健やか親子21(第2次)」が行われ,「すべての子どもが健やかに育つ社会」の実現を目指している。なお,2013年11月28日に,「健やか親子21 最終評価報告書」が公表されている。

→最近の面白い話題である。中国の「2014年経済青書」(2015年の経済情勢を分析予測する)において,「一人っ子政策」を早期に完全撤廃するように提言し,同時に,急激な少子高齢化と労働人口減少の課題に直面しながら対応に失敗した「典型例」として日本を上げている。さも,りっぱそうな見せかけの国民運動計画を作っているが,後進国からも馬鹿にされていることを日本国民だけが知らないという状況にあるということか。(筆者)
12/15 厚生労働省 「70歳未満の高額療養費制度が2015年1月診療分から変わる」 ・健康保険制度の改正に伴い,70歳未満の高額療養費の自己負担限度額の区分が,2015年1月診療分より3区分から5区分に細分化される。
<今回の変更のポイント>
①変更の対象は70歳未満の高額療養費制度の自己負担額で,70歳以上の自己負担に変更はない。
②年収約770万円以上(標準報酬月額53万円以上,旧ただし書き所得600万円以上)の者は負担が増える。
③年収約370万円未満(標準報酬月額26万円以下で住民税課税者,旧ただし書き所得210万円以下)の者は負担が減る。

(参考)
現行の高額療養費制度とは

→高額療養費制度とは,月の初めから終わりまでの医療費が高額になった場合に,一定の自己負担額を超えた部分が払い戻される制度である。なお,差額ベッド代,食事代,保険外の負担分は対象とはならない。
→高額療養費制度を最大限活用するには,①できれば月をまたがず入院すること,②入院前に「限度額適用認定証」を用意しておくこと,を留意すべきだと言われている。(筆者)
12/11 内閣府 「ガス(都市ガス・LPガス)を安全・快適に使うチェックポイント」 ・2014年12月5日,政府広報オンラインにおいて,「ガス(都市ガス・LPガス)を安全・快適に使うチェックポイント」が掲載された。
<掲載記事の構成>
(1)家庭のガス事故は減っていないの?

●都市ガス,LPガスともに,非重大事故の件数は近年,増加傾向に。

(2)ガスを安全に使うには?
●ガス使用時には必ず換気。ガス機器・ガス設備は定期的に点検を。
<ガスを安全・快適に使うための6つのチェックポイント>
①ガス機器を使うときは必ず換気を!
②万一のガス漏れなどを知るために、警報器の取り付けを!
③ガス機器の接続は、形状に合った適切な接続具を!
④使用していないガス栓の誤開放にご注意を!
⑤日頃からガス機器・換気設備の定期的な清掃・メンテナンスを!
⑥古いガス機器は安全型ガス機器への早めの交換を!

(3)地震でガスが止まったときは?
地震の際はガスメーターが自動的にガスを遮断。ガス臭いときは窓を開けて,火気厳禁。

(4)古くなったガス管はどうすればいいの?
●腐食が進んだ古いガス管はガス漏れの原因に。早めに取り替えましょう。

(5)ガス機器の安全性は?
●ガス漏れや一酸化炭素中毒,火災などの事故を防ぐため様々な改善がされています。

→LPガスは「LPG」「プロパンガス」と呼ばれてる。Liquefied(液化された)Petroleum (石油)Gas(ガス)という名称である。プロパンガスは自由料金で,都市ガスは公共料金である。LPガスはプロパン,ブタンなどを主成分とする炭化水素で(HC)で,一酸化炭素(CO)は含まれていない。プロパンガスは「空気より重く下の方に溜まる」が,都市ガスは「空気より軽く上の方に溜まる」。プロパンガスと都市ガスの利用者数は,全世帯の半々である。・・・ などの基本的な情報すら正確に知らない人が多い。生活に密着した事柄でありながら,安全性を含めた行政の広報・啓発活動に問題がある。(筆者)
12/10 厚生労働省 「2013年国民健康・栄養調査結果」 ・2014年12月9日,厚生労働省は,「2013年国民健康・栄養調査結果」を公表した。
・「国民健康・栄養調査」は,国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として,国民の身体の状況,栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため毎年実施されている。2013年は重点項目として,様々な基準の策定に関わる実態を把握している。
<調査結果のポイント>
主な生活習慣に関する状況

・食事,身体活動・運動,喫煙,睡眠の状況について,性・年齢階級別に見ると,60歳以上で良好だが,20歳代及び30歳代では課題が見られた。
②食品群の組合せの状況
・3食ともに,穀類,魚介類・肉類・卵・大豆(大豆製品),野菜を組み合わせて食べている者の割合は,男女ともに年齢が若いほど低い傾向にある。
③身体状況に関する状況
・肥満者の割合について,女性は減少傾向,男性は2011年以降,増加に歯止めがかかっている。血圧の平均値は,男女ともに低下傾向にある。
④たばこに関する状況
・受動喫煙の影響をほぼ毎日受けた者の割合は,2008年と比べて学校,遊技場を除く全ての場(家庭,職場,飲食店,行政機関,医療機関)で有意に減少している。

→以下は,「2013年国民健康・栄養調査結果」に関する新聞記事の抜粋であるが,「女性のスリム志向」に集中している。
●「やせ型女性,過去最多 20代の5人に1人以上」(産経新聞 )=厚労省は「20~30代は食事のバランスが悪く,運動習慣が少ない傾向にあることが影響しているのではないか」と分析している。
●「若い女性の摂取カロリー,70歳以上と同水準」(読売新聞)=厚労省は「20歳~40歳代の減量志向が続いており,健康面での将来的な影響が懸念される」と話している。
→無理なダイエットや偏った食生活は,健康を維持する上で大切な栄養素の不足を招くと同時に,若い女性や妊婦の低栄養は,その子どもにも生活習慣病のリスクを高めることが指摘されている。メディアが作り出した「過度な女性のスリム志向」への対策は,「女性自身の自覚」以外にはないと思う。(筆者)
12/8 厚生労働省 「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会これまでの議論のとりまとめ」 ・2014年11月28日,厚生労働省は,「児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会これまでの議論のとりまとめ」を公表した。
・「社会保障審議会児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会」は,児童虐待相談の対応件数の増加や多数の重篤な児童虐待事例があることに鑑み設置され,第1回(2014年9月19日)~第5回(11月28日)が開催され,11月28日に「児童虐待防止対策のあり方(提言)」が示された。
<「児童虐待防止対策のあり方(提言)」の項目>
①妊娠期からの切れ目ない支援のあり方
②初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化
③要保護児童対策地域協議会の機能強化
④児童相談所が虐待通告や子育ての悩み相談に対して確実に対応できる体制整備
⑤緊急時における安全確認、安全確保の迅速な実施
⑥その他


<参考>
第1回~第3回専門委員会への事務局提出資料
「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第10次報告)」
2015年度児童虐待防止対策関係予算概算要求

→この提言に呼応する形で,現在,内閣府の「政府広報オンライン」において,「特集-子育て支援:子育て支援ー子どもの笑顔のために,子育ての悩みや不安を感じたら,まずはご相談ください。」という記事が掲載されている。なお,内閣官房において,政府全体として関係省庁が連携して効果的な児童虐待防止対策を講じるため,2014年8月に「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」が設置されているので,政府全体の総意がこの薄っぺらな記事ということになる。
→残念ながら,政府全体のスピード感や認識がこの程度だということと理解した。(筆者)
12/4 厚生労働省 「生活保護の被保護者調査(2014年9月分)」 ・2014年12月3日,厚生労働省は,「生活保護の被保護者調査(2014年9月分)」を公表した。
・2014年9月の生活保護受給者が216万4,909人(前月比1,757人増)となった。受給世帯は161万1,953世帯(同2,123世帯増)で,5か月連続で過去最多を更新している。

→直近の生活保護に関する話題である。
永住資格を持つ中国籍の82歳の女性が,生活保護申請を却下した大分市の処分は違法だとして,市に処分の取り消しを求めていた訴訟の上告審判決で,2014年7月18日,最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は,外国人には生活保護法は適用されない,受給権もないという初めての判断を示した。
→歴史的な経緯は,1950年の「新生活保護法」において,国民でなければ受給できない仕組みに変更されたが,1954年に厚生省社会局長名で「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という通知を出し,当分の間,生活に困窮する外国人に対しては生活保護が受けられることにされ,それが現在まで続いているということである。なお,1981年に日本が「国連難民条約」を批准した際,「永住外国人等にも生活保護は準用されている」という事実をもって生活保護法の国籍条項を改正しないこととして難民条約を批准している。
→生活保護制度は,事業費ベースで2012年の総額は3兆6,284億円となっている。外国人世帯は,2005年から2011年の6年間で1.5倍に増加し,韓国・北朝鮮が約3万世帯,フィリピンが約5,000世帯の順とされている。
→2011年12月時点の政府の公式見解は,「通知は,地方公共団体に法的な義務を課するものではないが,厚生労働省としては,一定の外国人に対し,人道上の観点から,生活保護法に基づく保護に準じた保護を行うという本通知の趣旨に鑑み,地方公共団体に本通知の内容に沿った取扱いをしていただきたいと考えている。」というものであった(生活保護制度における外国人の取扱いに関する質問主意書および答弁書)。
→結論だけをいえば,筆者は,外国人はそれぞれ自国で生活保護を受けるべきと考える。正確な情報を提供したうえでの世論が重要である。(筆者)
12/3 - ■2014年12月2日に「第47回衆院選」が公示された(12月14日投開票) ・2014年12月2日,「第47回衆院選」が公示され,12月14日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まった。
自民党の「社会保障・雇用」に関する主な公約
●消費税財源はその全てを社会保障に使い2017年4月までの間も子育て支援,医療などの充実を図る。
●「全ての女性が輝く社会」を目指す。子ども3人以上の世帯への子育て負担軽減策を検討。1兆円超程度の財源を確保し,子育て支援の量的拡充と質の改善を図る。ベビーシッターや家事費用の支援策導入。2017年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保する。
●派遣労働者らの正規雇用への転換を果断に進める。

→消費税の再増税先送りにより,「社会保障と税の一体改革」をするための財源は,2015年度が4,500億円,2016年度が1兆3,500億円不足することになった。それでも,自民党・公明党は,消費税率を10%に上げる2017年度までの間も,子育て支援や医療,介護などを充実させることを公約している。現在の社会保障は,国債発行のよる将来世代へのつけ回しでまかなわれている。アベノミクスに欠けているのは「低成長時代でも持続可能な社会保障制度への改革の本気度」だと指摘されている。
→2014年12月1日,アメリカ格付け会社は,再増税の先送りなどで財政赤字の削減目標の達成に「不確実性が高まった」として,日本国債の格付けを1段階引き下げ,12月2日には,日本国債の格下げによって,日本政府が銀行を支援する能力が下がったとして,邦銀5行の格付けを1段階引き下げた。
→安倍首相は,今回の総選挙を「アベノミクス解散」と称している。第1の矢や第2の矢では潜在成長率を高めるには限界があり,肝心要の第三の矢であった成長戦略がほとんど進まず,アベノミクスのほころびが広がり始めている。海外では,すでにアベノミクスは失敗したと結論付けられているのに,日本国民だけがまだ煙に巻かれている状況にあるのかも知れない。このタイミングこそが,安倍首相の解散の狡猾なねらいかも・・・。(筆者)
12/1 内閣府 「知っておきたい「年金」の手続き」(会社員などの配偶者に扶養されている方,扶養されていた方(主婦・主夫)へ ・2013年6月に「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が公布された。
・同法の「厚生年金基金制度の見直し」(厚生年金保険法等の一部改正部分)については,2014年4月1日に施行され,適格年金と同様に10年かけて厚生年金基金制度が原則廃止されることになった。
・また,「第3号被保険者不整合記録問題への対応」(国民年金法の一部改正部分)については,以下の通りの施行となった。
(1)2013年7月1日施行
①時効消滅不整合期間の特定期間(カラ期間)化
②特定保険料の納付(特例追納)(2015年4月~2018年3月の時限措置)
③不整合記録を有する者の老齢給付の特例
④不整合記録を有する者の障害給付及び遺族給付の特例
⑤健康保険組合,共済組合等からの情報の提供等
・医療保険(短期給付)の被扶養配偶者の情報を入手することができる。
・共済組合等は,第2号被保険者の資格喪失の情報を厚生労働大臣に情報提供しなければならない。


(2)2014年12月1日施行
⑥第3号被保険者(被扶養配偶者)に該当しなくなったことの届出
・第3号被保険者が第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなった場合,その旨,事業主等を経由して日本年金機構に届け出なければならない。

→とにかく,「日本年金機構」の文章や説明は,多くの国民にはわかりにくいし,煩雑である。厚生労働省は,「分かりやすい文書を作る」,「わかりやすく解説する」ことを徹底すべきである。
→ところで,「労働者福祉健康機構」が障害者雇用を水増しし,虚偽報告をしていたことを長年見過ごしてきた,いい加減な厚生労働省の体質に,多くの国民が不信感を持ち,落胆しているという現状を,「あの障害者自立支援法」を作った事務次官あたりはきちんと認識しているのだろうか。(筆者)
11/28 厚生労働省 「障害保健福祉施策の動向(最新)」 ・2014年11月27日,厚生労働省は,11月25日に開催された「第59回社会保障審議会障害者部会」の会議資料を公表した。
<「障害保健福祉施策の動向等」の構成>
(1)障害者の数
(2)障害福祉サービスの実利用者数の推移
(3)障害福祉サービス等予算の推移
(4)障害保健福祉施策のこれまでの経緯
(5)障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言の概要(2011年8月30日))
(6)障害者総合支援法施行後3年を目途とした見直し事項
①常時介護を要する障害者等に対する支援
②障害者等の移動の支援
③障害者の就労の支援
④障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方
⑤障害者の意思決定支援の在り方,障害福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進の在り方
⑥手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚,言語機能,音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援
⑦精神障害者に対する支援
⑧高齢の障害者に対する支援

→障害者の総数は787.9万人(人口の約6.2%)で,このうち身体障害者393.7万人,知的障害者74.1万人,精神障害者320.1万人であり,障害者数全体は増加傾向,在宅・通所の障害者も増加傾向となっている。
→3福祉士受験者には,「戦後の障害者施策の歴史(1946年~2013年)」「改正障害者基本法(2011年8月5日施行)」「第3次障害者基本計画(2013年度~2017年度)」「障害者総合支援法(2013年・2014年4月1日施行)」「障害者差別解消法(一部の附則を除き2016年4月1日施行)」にも目を通しておいていただきたい。(筆者)
11/26 厚生労働省 「2013年度 都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果報告書)」 ・2014年11月25日,厚生労働省は,2012年10月に施行された「障害者虐待防止法」に基づいて,「2013年度 都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果報告書)」を公表した。
<調査結果の概要>
  養護者による障害者虐待 障害者福祉施設従事者等による障害者虐待 使用者による障害者虐待 (参考)
都道府県労働局の対応
市町村等への相談・通報件数 4,635件 1,860件 628件 虐待判断件数
253件
市町村等による虐待判断件数 1,764件 263件
被虐待者数 1,811人
(うち死亡2人)
455人
(うち死亡1人)
被虐待者数
393人

→家族や福祉施設の職員での被虐待障害者が2,226人(今回発表分),職場での被虐待障害者が193人(2014年7月発表分)で,厚生労働省が把握する2013年度の被虐待障害者数の合計は2,659人となった。今回の調査において,虐待の種別は,「福祉施設」では,身体的虐待(56.3%),心理的虐待,性的虐待(11.4%),経済的虐待,放棄・放置の順で,「養護者」では,身体的虐待(63.3%),心理的虐待,経済的虐待,放棄・放置の順であった。
→普通の感覚をもってすれば,このような虐待に関する公表される調査結果は「氷山の一角」であることぐらい想定できるはずである。口にせず,詳しく知ろうとせず,知っても知らないことにしているだけである。また,「障害者虐待防止法」では,学校や病院での虐待は通報の対象外であることには目をつぶったままである。もし,最も虐待が多いと想定されている精神科病院での虐待をカウントしたらどのような結果になる?(筆者)

11/25 - ■第187回臨時国会での政府提出法案の成立率は69.7%であった ・第187臨時国会は,2014年9月29日~11月30日(63日間)が会期予定であったが,2014年11月21日,衆議院解散で閉会した(実質会期は54日間)。
・政府が提出した33法案のうち23本が成立し,法案成立率は69.7%であり,また,党首討論は実施されなかった。
<成立した政府提出の主な法案>
・給与法改正案(11/12成立)・・・国家公務員の月給と賞与を引上げる
・災害対策基本法改正案(11/14成立)・・・災害時の放置車両強制撤去
・感染症法改正案(11/14成立)・・・感染症の情報収集体制を強化
・テロ資金提供処罰法改正案(11/14成立)・・・資金以外の不動産等提供,間接支援者を処罰対象に追加
・不当景品類及び不当表示防止法改正案(11/19成立)・・・不当事業者への課徴金制度を導入
・地方創生関連2法案(まち・ひと・しごと創生法案、改正地域再生法案)(11/21成立)・・地方創生の基本理念などを定める

<成立した議員提出の主な法案>
・サイバーセキュリティ基本法案(11/6成立)・・・サイバー攻撃の増加・高度化への対応
・空家等対策の推進に関する特別措置法案(11/19成立)・・・市町村に空家撤去・修繕命令権を付与
・私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案(11/19成立)・・・リベンジポルノの防止


<廃案になった主な法案>
①女性活躍推進法案・・・企業に女性登用の数値目標の設定を義務化
②改正労働者派遣法案・・・派遣労働者の受け入れ期間の制限をなくす
③改正国会戦略特区法案
④統合型リゾート施設(IR)整備推進法案
⑤五輪担当相新設特別措置法案
⑥改正公職選挙法案
⑦改正風俗営業法案
⑧公認心理師法案・・・心理職国家資格化


(参考)
提出法案(衆法,参法,閣法)一覧

→安倍首相は,所信表明で第187回臨時国会を「地方創生国会」と位置づけ,「女性が輝く社会」の構築をテーマとして上げていたが,「地方創生関連2法案」(まち・ひと・しごと創生法案,改正地域再生法案)は解散・閉会日の11月21日に駆け込みで成立したもので,重要法案の「女性活躍推進法案」は廃案となった。また,同じく重要法案であった,「改正労働者派遣法案」も廃案となった。衆議院選挙によるリセット後,2015年の通常国会で上記2重要法案は再提出されるとみられている。(筆者)
11/20 内閣府 「休み方改革ワーキンググループ 報告書」(概要 / 本文 ・2014年11月18日,内閣府は,ワーク・ライフ・バランスの推進などの政策を,休み方の観点から検討していた「休み方改革ワーキンググループ」(座長:高橋日本総合研究所理事長,経済財政諮問会議議員)の報告書を公表した。
・報告書では,有給休暇の取得を促すため,祭りなどのイベントに合わせ地域ごとに「休日」を設ける「ふるさと休日」の制度創設を提言している。
・今後,報告書は,政府の「経済財政諮問会議」と経済界と労働界の代表らを集めた「政労使会議」に提出されるとのことである。

「休み方改革ワーキンググループ」では,観光庁や経済産業省がオブザーバーを務めており,ワーク・ライフ・バランスの推進だけでなく,祭りなどの開催日に地域限定の休日を設けることで,観光産業など地域経済の活性化にもつなげようとしている。
→平日であろうがなかろうが,祭りなどのイベントへの参加が少ないのは,イベントに魅力がないことの方が問題ではないかと思う。また,国際的に見ても劣悪な有給休暇取得状況を改善したいのであれば,労働基準法等の法整備を検討するのが先決ではないかと思う。見事に話がすり替えられている。(筆者)


(参考)
「休み方改革ワーキンググループ」(内閣府)
11/19 首相官邸 安倍首相の記者会見(消費税の増税延期と衆議院の解散) ・2014年11月18日,安倍首相は,記者会見し,2015年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで1年半延期を表明し,増税延期の判断について国民に信を問うためとして,衆議院を2014年11月21日に解散すると明言した。なお,選挙日程は,12月2日公示,12月14日投開票である。

→2012年の衆議院選挙で自民党公約を掲げ,安倍政権が発足した。2年経過して,以下の重要な公約違反が明確になった。
①経済 :名目経済成長3%以上⇒
2014年7-9月期GDP速報値は年3%減(2013年度は1.9%増)
②TPP :交渉参加に反対⇒
交渉参加
③政治改革 :議員定数の削減など⇒
実現していない
④原発 :原発に依存しない⇒
原発は重要なベースロード電源で,再稼働を推進
⑤エネルギー :再生エネルギーの最大限の導入⇒
固定価格買取制度による受け入れ手続き中断
⑥集団的自衛権 :国家安全保障基本法を制定⇒
憲法解釈変更の閣議決定で行使を容認
⑦特定秘密保護 :記載なし⇒
特定秘密保護法を制定
→2013年に法制化された「社会保障と税の一体改革」は,消費税増税(5%)による社会保障制度の維持・充実を目的とするものであった。5%分の税収(年14兆円)を子育て・医療・介護・年金の財源に充てる計画であった。内訳としては,4%分(11兆2千億円)を制度維持に,1%分(2兆8千億円)を制度充実に充てることになっていた。特に,制度充実では,2015年度からスタートする「子ども・子育て支援制度」には,消費税10%時に毎年1兆1千億円が費やされ,消費税から7千億円充てる計画であった。今後,社会保障制度は,種々の面で負担増とサービスの削減で対処される。もちろん,介護職員の処遇改善の実施も見送りとなる。
→消費税増税10%を1年半も延期(2017年4月)した主たる理由は,2016年の参議院選挙の争点から避けたい意図であることは周知である。公約もアベノミクスも社会保障制度も,どうでもいいと考えている政権・与党であったことがはっきりした。結局,辻褄が合わなくなってきたので,700億円の税金を使った選挙をしてリセットするということである。(筆者)
11/17 厚生労働省 「登録販売者試験に係る試験問題の作成に関する手引き(2014年11月改訂版)」 ・2014年11月11日,厚生労働省は,「登録販売者試験に係る試験問題の作成に関する手引き(2014年11月改訂版)」を公表した。
・これまで登録販売者試験の受験には1年以上の実務経験(高卒以上の学歴がない場合は4年以上の実務経験),もしくは大学の薬学部卒業などの学歴が必要であった。しかし,2014年7月31日の「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」の公布により,これらの受験資格が廃止になり,2015年度試験より受験資格の規定がなくなることとなった。

→「登録販売者資格」は,ドラッグストア・薬局などで市販薬を販売するための資格で,2015年度試験からは受験資格がなくなり,実務経験・学歴を問わず,誰でも受験できる資格になる。登録販売者が販売できる医薬品は,一般用医薬品(市販薬)のうちの第二類医薬品と第三類医薬品で,副作用などで特に注意を必要とする第一類医薬品を扱うことはできないが,市販薬の約9割が第二類・第三類であるため,ほとんどの市販薬を販売できる。なお,「店舗管理者」になるための要件は,「登録販売者資格+実務経験2年」と変更されている。
→福祉専門職としても,役立つ資料と思われるので紹介した。(筆者)
11/14 厚生労働省 「乳がん検診等の実態について」 ・2014年11月13日,「第10回がん検診のあり方に関する検討会」が開催され,会議資料が公表された。

→乳がん検診受診率の国際比較(2010~2012年)では,アメリカ80.4%,フランス75.4%,イギリス72.6%ドイツ68.4%,日本36.4%である。また,子宮頸がん検診受診率では,アメリカ85.0%,ドイツ78.7%,フランス71.1%,イギリス68.5%,日本37.7%である。
→「面倒だから」「費用が高いから」という理由で婦人科検診を定期的に受けない日本女性。「自分の身は自分で守る」が理解できていない日本女性。末期がん女性の薄っぺらい愛情ドラマや映画を好む日本女性。もう何も言うことはない。(筆者)
11/13 農林水産省 「新しい介護食品」の愛称が「スマイルケア食」に決定された ・2014年11月11日,農林水産省は,栄養状態が悪い人や食べるための機能に問題がある人に向けた食品群である「新しい介護食品」の愛称を「スマイルケア食」と決定し,小売店等で商品を選択する際に活用できる早見表として,「『新しい介護食品』の選び方」を策定したことを発表した。

→公募でありながら,官僚が決定したと思われる厚生労働省の「危険ドラッグ」と同様,意味不明のトンチンカンな名称で決定された。筆者は,「介護」という言葉のイメージが悪いというのは言いがかりではないかと思っている。「介護食」を「スマイルケア食」に変えたら,何かいいことでもあるのでしょうか。ことのついでに,「介護職」を「スマイルケア職」に言い換えてしまったらどうでしょうかねえ。(筆者)

→●8/18(■「新しい介護食品」の愛称公募について)を参照
11/12 国立社会保障・人口問題研究所 「2012年度 社会保障費用統計」(概要 / 本文 ・2014年11月11日,国立社会保障・人口問題研究所は,「2012年度 社会保障費用統計」を公表した。
<集計結果のポイント>
①2012年度の「社会支出」総額は112兆7,475億円で過去最高である。(対前年度増加額7,274億円,伸び率0.6%)
②2012年度の「社会保障給付費」総額は108兆5,568億円で過去最高である。(対前年度増加額1兆507億円,伸び率1.0%)
③国民1人当たり「社会支出」は88万4,200円,「社会保障給付費」は85万1,300円である。
④社会支出を政策分野別でみると,「高齢」53兆6,272億円,「保健」36兆8,735億円で,この2分野で総額の80.3%となる。
⑤社会保障給付費は,「医療」34兆6,230億円(31.9%),「年金」53兆9,861億円(49.7%),「福祉その他」19兆9,476億円(18.4%)に分類される
⑥社会保障給付費に対応する,社会保険料や公費による負担などの「社会保障財源」は,総額127兆555億円(前年度比11兆3,987億円,9.9%の増)である。

→「社会保障費用統計」は,年金,医療保険,介護保険,雇用保険,生活保護など,社会保障制度に関する1年間の支出を,OECD(経済協力開発機構)基準による「社会支出」とILO(国際労働機関)基準による「社会保障給付費」の2通りで集計されている。「社会支出」は「社会保障給付費」と比べ,施設整備費など直接個人に渡らない支出まで集計範囲に含んでおり,国際比較の観点から重要な指標であることから,多くの国々で活用されている。
→なお,国立社会保障・人口問題研究所は,従来から毎年ILO基準による「社会保障給付費」を公表していたが,2012年7月に社会保障費用統計として統計法2条第4項第3号による基幹統計指定を受けたことに伴い,2010年度版よりその名称を「社会保障費用統計」と改め,ILO基準に加えてOECD基準の社会支出の集計結果を追加して公表している。
→社会支出(113兆円),社会保障給付費(109兆円)とも過去最高を更新した。統計を取り始めた1950年代から一貫して増加している。高齢化による膨張への「無為無策」を改めて感じる。(筆者)
11/11 首相官邸 「認知症サミット日本後継イベント(2014年11月6日)」での安倍首相の挨拶(動画) ・2014年11月6日,安倍首相は,「認知症サミット日本後継イベント」に出席し,開会式で挨拶を述べ,閉会式では塩崎厚生労働大臣が挨拶を述べた。
・重要なポイントは,現行の認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)に代わる新たな戦略を,2014年内を目途として策定し,2015年度予算編成に新プランの内容を反映させる,とのことである。
・2012年9月に策定された2013~2017年度の認知症施策の推進計画である「オレンジプラン」には,症状の進行状態に応じた「認知症ケアパス」の作成・普及や,認知症初期集中支援チームの設置のほか,本人や家族の手助けを行う認知症サポーターを累計600万人まで増やすといった数値目標が盛り込まれている。
・今後,厚生労働省は,2014年9月に設置した「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議」を活用するなどして新プランの内容を詰めるとのことである。同会議は,厚生労働省,内閣府・警察庁,金融庁,消費者庁,総務省,法務省,文部科学省,農林水産省,経済産業省,国土交通省の担当者らで構成されている。

(参考)
「認知症サミット日本後継イベント2日目(2014年11月6日)」(動画)
「厚生労働省の認知症施策等の概要」(2014年9月)
11/10 厚生労働省 「新規学卒者の離職状況(2011年3月卒業者の状況)」 ・2014年11月7日,厚生労働省は,2011年3月に卒業した新規学卒者の卒業後3年以内の「新規学卒者の離職状況(2011年3月卒業者の状況)」を公表した。
<新規学卒者の離職状況のポイント>
●新規学卒者の卒業後3年以内の離職率は,大学32.4%,高校39.6%といずれも前年比増であった。
●事業所の規模が大きいほど,卒業3年後の離職率が低い傾向が見られる。
●産業別に見ると,「宿泊業,飲食サービス業」52.3%,「生活関連サービス業,娯楽業」48.6%,「教育,学習支援業」48.5%の順である。

→若年層の早期離職者は,非正規雇用となり続け,正規雇用に戻れなくなる可能性が極めて高い。その防止対策としては,判で押したように,新卒就職時のミスマッチを減らすことが重要で,小学校から大学までを通したキャリア教育の充実が必要と言われている。
→筆者は,両親が存命の家庭においては,家庭教育が第一義であると考える。職業選択へのアドバイスができない,しない親の責任を無視していては解決のしようがない。少なくとも,大学の名に値しないような大学に行かさなければ,大卒者の離職率は劇的に下がる。(筆者)


(参考)
「若年者雇用対策」(厚生労働省)
「若者雇用戦略の推進」(内閣府)
若年者雇用を取り巻く現状若年者雇用対策の現状(2013年9月)
「2013年若年者雇用実態調査の概況」
11/7 厚生労働省 塩崎厚生労働大臣からエボラ出血熱に関するメッセージ ・2014年10月28日,塩崎厚生労働大臣は,「エボラ出血熱に関するメッセージ」を発表した。
<塩崎厚生労働大臣からエボラ出血熱に関するメッセージ(原文のまま)>
『エボラ出血熱が西アフリカでまん延しており,スペインやアメリカでは,この地域からの帰国者が感染していることが確認され,限定的ではありますが,二次感染の事例も見られております。我が国にとっても,国民の命と健康を守る上で,極めて重要な関心事となっています。
 エボラ出血熱への対応は,まず,この感染症が国内に入り込むことをできる限り防止することが第一であり,このためにでき得る限りの対策を講じ,そのリスクを減らしていきます。一方,どのような対策によっても,そのリスクをゼロにすることはできません。このため,万一,国内で感染事例が発生した場合の対応にも万全を期していきます。
 その対策を進める上では,行政による対応強化,医療機関による適切な対応,国民の協力の3つの取組を三位一体で行い,オールジャパンの体制で取り組むことが重要です。その一環として国民の皆様にお願いがあります。
 まず,エボラ出血熱は,インフルエンザのように容易に飛沫感染する可能性は非常に低く,患者の体液に直接接触することにより感染するとされております。このため,まず,国民の皆様には,冷静な対応をお願いしたいと思います。
 もう一点のお願いは,もし流行国に渡航し帰国した後,1か月程度の間に,発熱した場合には,万一の場合を疑い,地域の医療機関を受診することは控えていただきたい。まず,保健所に連絡をし,その指示に従っていただきたい。感染症指定医療機関への受診につなげるようにいたします。
 エボラ出血熱が万一国内で発生しても,我が国の関係者が一丸となって対応すれば,必ず封じ込めることができます。皆様の御協力を強くお願いしたいと思います。 』

(参考)
「エボラ出血熱に関するQ&A」(厚生労働省)

→エボラ出血熱対策では,行政による対応強化,医療機関による適切な対応,国民の協力の三位一体で行い,オールジャパンの体制で取り組むことが重要,としている。
→また,国民へのお願いとして,①患者の体液に直接接触することにより感染するとされているので冷静に対応してほしい,②もし流行国に渡航し帰国した後,1か月程度の間に,発熱した場合には,地域の医療機関を受診することは控え,まず,保健所に連絡をし,その指示に従ってほしい,という2点である。メッセージ発表後,10日経つが,上記2点のお願いが国民に浸透しているとは思えない。厚生労働省は,日本の報道機関に向けてはどのようなお願いや指示を出しているのだろうか。(筆者)
11/6 内閣府 「ソーシャルビジネスの支援」 ・2014年10月31日,政府広報ライン(暮らしのお役立ち情報)に,『「ソーシャルビジネス」を支援(~社会的課題にビジネスの手法で取り組む人を後押し~)』が掲載された。
<政府の広報文>
『子育て支援や高齢者・障害者の介護、環境保護,まちづくりなど,私たちの周りには,解決しなければならない様々な社会的課題が数多くあります。このような社会の課題解決に向けて,ビジネスの手法を活用して取り組むのが「ソーシャルビジネス」です。日本政策金融公庫では,ソーシャルビジネスの担い手を,資金供給や情報提供,経営支援などの多方面から,積極的に支援しています。』

<広報資料の構成>
(1)ソーシャルビジネスとは
・ビジネスの手法で,地域や社会の課題に取り組む継続的な事業
(2)ソーシャルビジネス展開の課題
・資金の確保や経営ノウハウなどの支援
(3)より利用しやすくなった「新規事業資金」
・子育て・介護サービス分野のソーシャルビジネスを始める場合には,特別利率が適用される
(4)ほかにどんな資金支援が
・設備投資やつなぎ融資など,様々な融資制度が利用できる
(5)ソーシャルビジネスの支援事例
・融資制度を利用した資金的支援や経営相談,ビジネスマッチングなど

(参考)
「ソーシャルビジネス」(経済産業省)
「ソーシャルビジネス研究会報告書(2008年4月)」
11/5 内閣府 「女性の活躍推進に関する世論調査(2014年8月調査)」 ・2014年11月1日,内閣府は,「女性の活躍推進に関する世論調査(2014年8月調査)」を公表した。
<調査項目と結果のポイント>
①「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方について

・「賛成」44.6%,「反対」49.4%
②女性が職業をもつことについて
・「子どもができても,ずっと職業を続ける方がよい」44.8%,「子どもができたら職業をやめ,大きくなったら再び職業をもつ方がよい」31.5%,「子どもができるまでは,職業をもつ方がよい」11.7%
③女性の活躍が進んだ時の社会・組織等の姿について
・「男女問わず優秀な人材が活躍できるようになる」65.0%,,「女性の声が反映されやすくなる」55.9%,「多様な視点が加わることにより,新たな価値や商品・サービスが創造される」42.8%,「人材・労働力の確保につながり,社会全体に活力を与えることができる」34.7%
④女性の活躍を進めるに際しての障害について
・「保育・介護・家事などにおける夫などの家族の支援が十分ではないこと」50.1%,「保育・介護の支援などの公的サービスが十分ではないこと」42.3%,「長時間労働の改善が十分ではないこと」38.8%
⑤仕事を選んだ(選ぶ)理由について
・「仕事にやりがいがある」61.0%,「勤務時間・勤務場所の条件が良い」49.0%,「職場の雰囲気が良い」46.3%,「性格・能力が適している」43.0%,「専門知識が生かせる」41.3%
⑥昇進に対するイメージについて
・「責任が重くなる」66.4%,「能力が認められた結果である」54.4%,「やりがいのある仕事ができる」36.6%
⑦女性が働き続けるために,家庭・社会・職場において必要なことに関する意識について
・「保育所や学童クラブなど,子どもを預けられる環境の整備」71.6%,「女性が働き続けることへの周囲の理解・意識改革」49.6%,「男性の家事参加への理解・意識改革」48.6%
⑧出産等で離職した女性が,再び家事以外で活躍する仕方について
・「これまでの知識・経験を生かして働けることを重視し,正社員として再就職する」55.4%,「仕事と家事・育児・介護の両立しやすさなどを重視し,正社員として再就職する」53.1%
⑨男性が家事・育児を行うことについてのイメージについて
・ 「子どもにいい影響を与える」56.5%,「男性も家事・育児を行うことは,当然である」52.1%
⑩男性の柔軟な働き方についての意識について
・ 「育児・介護のための休暇を取得する」53.1%,「リフレッシュのための休暇を取得する」49.0%
⑪女性の活躍推進に関する情報のうち,特に必要な情報について
・「保育所や幼稚園に関する情報(場所,保育料など)」59.9%,「仕事と育児・介護との両立支援制度に関する情報(内容,利用方法など)」46.1%,「介護・家事の支援サービスに関する情報(内容,利用方法など)」45.9%

→本調査に対する新聞の見出しは,以下の通り。各社のスタンスが見て取れて面白い。
●「夫は外,妻は家庭に」反対49%,賛成を上回る(日本経済新聞)
●「夫は外で働き,妻は家庭に」半数が反対(産経新聞)
●「夫は外,妻は家庭」反対が上回る(読売新聞)
●「産後働く」44%,初の減少(毎日新聞)
●「妻は家庭に」44%,女性活躍は限定的(東京新聞)
→重要なのは,「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方は,世論としては賛否が半々であるという事実認識である。現在,女性の社会進出に対する意識は10年前と変化がないのに,安倍さんが「女性の活躍推進」を成長戦略に無理やり持ち込み,勝手に大騒ぎしているという状況である。(筆者)
11/4 厚生労働省 「2014年高年齢者の雇用状況」 ・2014年10月31日,厚生労働省は,高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況など,「2014年高年齢者の雇用状況」(2014年6月1日現在)の集計結果を公表した。
<結果のポイント>
①高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は98.1%(前年比5.8%増)
②希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は71.0%(同4.5%増),70歳以上まで働ける企業の割合は19.0%(同0.8%増)
③過去1年間の60歳定年企業における定年到達者(344,500人)のうち,継続雇用された人は81.4%,継続雇用を希望しない定年退職者は18.3%,継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は0.3%

→2013年10月1日現在,日本の総人口は1億2730万人で,うち65歳以上人口は3190万人と過去最高を更新している。また,2013年の労働力人口6577万人のうち65歳以上の者は650万人(9.9%)で,1980年の4.9%から大きく上昇している。
→高年齢者雇用に関する法律の変遷と法改正の経緯は,以下の通りである。
・1971年 :「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」の制定
・1976年 :高年齢労働者(55歳以上)を常用労働者の6%以上雇用することを努力義務化
・1986年 :「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高齢者雇用安定法)に名称変更,60歳定年の努力義務化
・1990年 :定年到達後65歳までの継続雇用の努力義務化
・1994年 :60歳定年の強行規定化
・2000年 :高年齢者雇用確保措置(定年到達者の65歳までの再雇用)の努力義務化
・2004年 :60歳定年制の義務化,65歳までの雇用確保措置を選択した場合には,労使協定より基準めることで継続雇用制度対象者の選抜を行うことも可能
・2012年 :継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準は廃止され,定年後の雇用を希望する者全員が継続雇用制度の対象(2013年4月施行)
→2012年の法改正は,2013年度以降,年金の支給開始年齢引き上げに伴い,無収入,無年金の雇用が生じる可能性を解消するため,年金と雇用の接続を目的としたものである。、今後の高年齢者の就労の在り方,雇用対策は非常に重要な課題である。雇用を単に年金との接続と捉えるだけではすまなくなることは目に見えている。(筆者)


(参考)
「高年齢者雇用対策」(厚生労働省)
「2014年版高齢社会白書における高齢者の就業」
10/31 厚生労働省 2014年12月1日から「改正児童扶養手当法」が施行される ・2014年4月23日に「次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律」が公布された。この法律は,①次世代育成支援対策の推進・強化(改正次世代育成支援対策推進法),②ひとり親家庭に対する支援施策の充実(改正母子及び寡婦福祉法および改正児童扶養手当法),で構成され,2014年10月~2015年4月の間で暫時施行される。
<今回施行される「改正児童扶養手当法」のポイント>
●これまで,公的年金受給者は児童扶養手当を受給できなかったが,2014年12月以降は,年金 額が児童扶養手当額より低い場合は,その差額分の児童扶養手当を受給できるようになる。

<今回の改正により新たに手当を受け取れる場合の例示>
①子どもを養育している祖父母等が,低額の老齢年金を受給している場合
②父子家庭で,子どもが低額の遺族厚生年金のみを受給している場合
③母子家庭で,離婚後に父が死亡し,子どもが低額の遺族厚生年金のみを受給している場合

→母子家庭等に対する支援については,「母子及び寡婦福祉法」等に基づき,①保育所の優先入所等の子育て・生活支援策,②母子家庭自立支援給付金等の就業支援策,③養育費相談支援センターの設置等の養育費の確保策,
④児童扶養手当の支給等の経済的支援策,といった総合的な自立支援策が展開されている
→近年の「児童扶養手当法の改正」は以下の通りである。
2012年8月から,児童扶養手当の支給要件に,配偶者からの暴力(DV)で「裁判所からの保護命令」が出された場合が追加
2010年8月から,父子家庭にも児童扶養手当が支給
→2010年の母子世帯数は75万5,972世帯,父子世帯数は8万8,689世帯である。母子世帯の平均年間収入は291万円(児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額は697万円)で,父子世帯の平均年間収入は455万円(300万円未満の世帯が43.6%)である。(筆者)
10/30 厚生労働省 11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間
<厚生労働省の広報文>
『厚生労働省は,1999年度から,11月を乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月間と定め,SIDSに対する社会的関心を喚起するとともに,重点的な普及啓発活動を実施しています。2014年度も同様に,11月の対策強化月間を中心に,関係行政機関、関係団体等においてさまざまな普及啓発活動を行うなど,SIDSの予防に関する取組の推進を図ります。』

<乳幼児突然死症候群(SIDS)発症リスクを低くするための育児習慣>
●SIDS(Sudden Infant Death Syndrome)の原因はまだ分かっていないが,男児,早産児,低出生体重児,冬季,早朝から午前中に多いことや,うつぶせ寝や両親の喫煙,人工栄養児で多いことが,1997年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究」で分かっているため,以下の3つの望ましい育児習慣により,SIDSの発症リスクの低減が期待されている。
①うつぶせ寝は避ける
②たばこはやめる
③できるだけ母乳で育てる


(参考)
「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」(厚生労働省)
「乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)」

→SIDSの発症は年々減少傾向にはあると言われるが,2013年は全国で125人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっており,乳児(0歳)の死亡原因の第3位とのことである。
→海外の最新研究では,「添い寝を含めた親の不注意や育児に対する親の無知」による「突発的な事故」が7割にも及ぶというのがあるらしい。まさか,日本では,古い研究を基に,不注意や無知による事故まで病気(SIDS)にカウントしていないとは思うが・・・。(筆者)
10/29 - 「The Global Gender Gap Report 2014(世界男女格差報告書2014)」(日本文 / 英文 ・2014年10月28日,「世界経済フォーラム」(WEF,本部・ジュネーブ)は,各国の男女格差(ジェンダーギャップ)の少なさを指数化し,ランキングで示した「The Global Gender Gap Report 2014(世界男女格差報告書2014)」を発表した。なお,WEFは,世界の政財界人が集まる「ダボス会議」を主催することで知られた権威ある組織とされている。
・日本は,世界142か国中104位で,日本は先進国で最低ランクであった。ランキングは,「職場への進出」「教育」「健康度合」「政治への参加」の4分野で男女格差の少なさを指数化し,その平均点で総合順位を決めている。
・アジアおよび太平洋地域では,フィリピン(9位),てニュージーランド(13位),オーストラリア(24位),モンゴル(42位),シンガポール(59位),ラオス人民共和国(60位),タイ(61位),中国(87位),インドネシア(97位),日本(104位),インド(114位),韓国(117位),であった。

→2014年9月12日,安倍首相は,「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(女性版ダボス会議)」で,「2020年までに指導的地位を占める女性の割合を30%にする」目標を達成し,「女性がいつでも誰でも夢にチャレンジできる社会」を実現するために,切れ目なく政策を打ち出すとして,女性の活躍を推進する総合的な政策「全ての女性が輝く政策パッケージ」を10月に取りまとめると表明している。日本国民は,安倍首相の言い分を,子供だましのようなものだとうすうす気が付いている。
→日本のマスメディアも,今回の「世界男女格差報告書2014」に対する,安倍首相のコメントを取る努力をしてもらいたいものである。
→ところで,最近,男女格差の少ないとされる3位のノルウェー政府は,女性にも徴兵制を導入する方針を示したとの報道があったが,そういう方向へ進んでいくことが問題の解決になっていくのだろうか。(筆者)
10/28 内閣府・厚生労働省 2014 年10月から「水ぼうそう(水痘)」と「肺炎球菌感染症(高齢者)」が「定期予防接種」の対象に追加された ・2014年7月2日に「予防接種法施行令の一部を改正する政令」が公布され,2014年10月1日より,水痘(水ぼうそう)と高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種が定期の予防接種に追加された。
<政府の広報文(2014年10月27日)>
『感染症は,かかった本人やその周囲の人の負担になります。また,感染が広がり流行してしまうと,社会に大きな影響を与えます。そうした感染症を防ぐために有効な方法が,事前に予防接種を受けておくことです。予防接種法に基づく定期の予防接種として,2014年10月から,新たに水ぼうそう(水痘)と,高齢者の肺炎球菌感染症が定期予防接種の対象に追加されました。』

【水ぼうそう(水痘)】
●日本では,年間100万人程度が水ぼうそうを発症すると推計され,患者報告の90%以上を9歳以下の子供が占め,特に発症率が高いのは1歳から4歳の子供である。
①対象者 :生後12か月から生後36か月に至るまでの子供
②標準的な接種期間
・初回接種  :生後12か月から生後15か月に至るまでの間
・2回目の接種 :初回接種修了後6か月から12か月に至るまでの間

【肺炎球菌感染症(高齢者)】
●日本人の死亡原因の中で,肺炎は,2011年以降,脳血管疾患を抜いて,がん,心疾患に次いで第3位となっており,このような肺炎のうち,1/4~1/3が肺炎球菌によると考えられ,肺炎によって亡くなった人の9割以上は65歳以上の高齢者である。
①対象者 :原則65歳の人
②接種方法 :「23 価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」を1回,筋肉または皮下に注射

→今回,総務省が地方交付税を通じて財政支援し,厚生労働省が予防接種法の施行令を改正することにより追加された。
→肺炎球菌のワクチンは重症者を減らす効果があり,65歳以上が1回接種すればよく,最初の5年間は対象年齢を65歳,70歳などと5歳刻みとすることで,幅広い高齢者世代に受けやすくなっている。(筆者)


(参考)
「肺炎球菌感染症(高齢者)」(厚生労働省)
10/27 厚生労働省 「2013年 介護サービス施設・事業所調査の概況」 ・2014年10月21日,厚生労働省は,「2013年 介護サービス施設・事業所調査の概況」を公表した。
<調査項目とポイント>
【1】施設・事業所の状況

①開設(経営)主体別施設・事業所数の構成割合
●居宅介護支援事業所「営利法人」47.3%,「社会福祉法人」25.9%,「医療法人」16.5%,「NPO」3.4%
●介護予防支援事業所(地域包括支援センター)では,「社会福祉法人」51.9%,「地方公共団体」29.0%,「医療法人」12.4%
●2009年からの5年間,社会福祉法人の割合は年々微増,地方公共団体の割合は微減


【2】居宅サービス事業所の状況
①利用人員階級別事業所数の構成割合
②要介護(要支援)度別利用者数の構成割合
③利用者1人当たり利用回数
●「小規模多機能型居宅介護」30.9回,「訪問介護」18.0回,「短期入所生活介護」10.0回などが多い
●2012年から開始された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(健康保険法等の利用者を含む)」は110.5回(同96.9回)に増加

④認知症対応型共同生活介護事業所における共同生活住居(ユニット)の状況

【3】訪問看護ステーションの利用者の状況
①要介護(要支援)度別利用者の状況
●利用者1人当たりの訪問回数は,「介護予防サービス」で4.4回,「介護サービス」では5.8回
●「要介護5」6.9回,「要介護1」5.1回,要介護度が高くなるにしたがって訪問回数が多い

②性・年齢階級別利用者数の構成割合《利用者票》
③同居家族の状況《利用者票》
④利用者の認知症の状況《利用者票》

【4】介護保険施設の状況
①定員,在所者数,利用率
●利用率は,「介護老人福祉施設」97.9%,「介護老人保健施設」91.2%,「介護療養型医療施設」92.2%で,3施設とも9割を超えている
●在所者数は,「介護老人福祉施設」55.0%,「介護老人保健施設」37.5%,「介護療養型医療施設」7.6%

②室定員別室数の構成割合
●介護老人福祉施設での「個室」69.3%,介護老人保健施設での「個室」44.1%,介護療養型医療施設では「4人室」50.9%
③介護老人福祉施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況
④介護老人保健施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況
⑤要介護度別在所者数の構成割合
●介護老人福祉施設の「要介護5」34.3%,介護老人保健施設の「要介護4」27.0%,介護療養型医療施設の「要介護5」57.3%。介護保険施設の入所者はおおむね重度化の傾向

【5】介護保険施設の利用者の状況
①性・年齢階級別在所者数の構成割合《利用者票》
②在所者の認知症の状況《利用者票》
③在所者の認知症と寝たきりの状況《利用者票》
④退所者の入退所の経路《利用者票》
⑤利用料の状況《利用者票》

【6】従事者の状況
①1施設・事業所当たり常勤換算従事者数
●介護老人福祉施設で,看護・介護職員が2.0人,看護職員が17.5人,介護職員が2.2人。介護老人保健施設で,看護・介護職員が2.1人,看護職員が8.1人,介護職員が2.8人
②1事業所当たり常勤換算看護・介護職員数
③介護保険施設の常勤換算看護・介護職員1人当たり在所者数

→近い将来,医療と介護が一体となる方向であるが,その状況の具体的なイメージが一向にわいてこない。明日はわが身に降りかかる「介護」「介護保険」に対して,国民の関心が薄いのはどうしてだろうか。
→10月26日に2014年度の第17回ケアマネ試験があった。この試験内容から,ケアマネに求められていることを理解するのは困難である。介護保険には,ケアマネは絶対必要であるが,掛け違えたボタンはかけ直す必要があると筆者は考える。(筆者)


(参考)
「第17回 ケアマネ試験問題およびやまだ塾の解答速報」
10/24 厚生労働省 ■厚生労働省に「まち・ひと・しごと創生政策検討推進本部」が設置された ・2014年10月22日,厚生労働省は,「まち・ひと・しごと創生政策検討推進本部の設置」を公表した。
<厚生労働省の広報文>
『人口減少克服・地方創生のための司令塔として,政府に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されたことを踏まえ,これまでの厚生労働事務次官を主査とした「まち・ひと・しごと創生政策検討チーム」を,新たに厚生労働大臣を本部長とする「まち・ひと・しごと創生政策検討推進本部」に改組しました。
同本部は,政府の「まち・ひと・しごと創生本部」と密接に連携し,抜本的な少子高齢化対策の検討とともに,若者の東京への流出を止め,それぞれの地域で,若い世代が充実した職業生活を営み,子どもを育て,次世代へと豊かな暮らしをつないでいく「地方創生」に向けた施策を検討することとしています。』

→本会議体は,行政内部の関係者が,現状や関連する施策等について認識を共有するとともに,情報や意見の交換等を行うことを目的とするために「非公開」にするとのことである。
→厚生労働省には,「事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民に適切に公開していくことが極めて重要」という認識はあるのだろうか。(筆者)


(参考)
「まち・ひと・しごと創生本部」(首相官邸)
10/23 厚生労働省 ■「雇用を取り巻く環境と諸課題」(中長期データ,雇用情勢,ミスマッチ関連データ / 人的資本の質の向上について,全員参加社会について ・2014年10月22日,厚生労働省は,「2014年度第1回雇用政策研究会」を開催し,会議資料を公表した。
<2014年度雇用政策研究会の検討テーマ,現状認識,主な論点>
検討テーマ 現状認識 主な論点
(1)労働者の処遇改善 ①雇用情勢は改善しているものの,依然として不本意で非正規雇用として働く者が一定数存在している。
②多様な働き方の推進や恒常的な長時間労働の是正等が必要。(「正社員=いつでも残業」を変えよう)
③企業収益の拡大を賃金上昇につなげることが必要。
①正社員雇用の促進,長時間労働の削減,賃金の上昇 等
②人的資本の質の向上(労働生産性の向上)
③全員参加社会の実現。特に,高齢者のさらなる就労促進 等
(2)人手不足対策 ①雇用のミスマッチが生じており,また,人手不足感が顕在化している分野もみられる。
②人口減少下で,全ての人材が能力を高め,その能力を最大発揮することが必要。
(3)地域雇用 ①地域毎に抱える課題は様々であり,各地域の実情に応じた対策が必要。 ①地域における良質な雇用機会の確保・創出
②地域における労働力の確保(人材還流等)

→2014年2月6日に「2013年度 雇用政策研究会報告書(仕事を通じた一人ひとりの成長と,社会全体の成長の好循環を目指して)」が公表された。これを受け,2014年4月1日,厚生労働省は,雇用対策法施行規則第1条第1項の規定に基づき,今後5年程度の間に取り組むべき雇用政策の方向性を示した「改正雇用政策基本方針」を作成した。雇用政策の将来ビジョンとして「仕事を通じた一人一人の成長と,社会全体の成長の好循環」を掲げ,今後,この雇用政策基本方針に沿って,雇用政策を展開されることとされている。
→「雇用政策研究会の研究課題」は,①「経済構造及び労働力需要・供給構造の変化に関する分析と展望」,②「雇用に関する問題の分析と今後の雇用政策の方向」とされ,研究会の委員は15名程度で構成され,研究会は必要に応じて,開催することとされている。2014年度研究会の検討テーマ及び主な論点は上記のとおりである。(筆者)

10/22 厚生労働省 ご存知ですか?派遣先にも男女雇用機会均等法が適用されます ・2014年10月17日,厚生労働省は,「ご存知ですか?派遣先にも男女雇用機会均等法が適用されます」(パンフレット)を公表した。
<パンフレットのポイント>
(1)派遣先の事業主にも,労働者派遣法第47条の2により,男女雇用機会均等法における以下の3点が適用され,派遣労働者に対しても使用者としての責任を負う。
①妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(法第9条第3項)
②セクシュアルハラスメント対策(法第11条第1項)
③妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(法第12条,第13条第1項)


(2)さらに,「派遣先が講ずべき措置に関する指針」により,派遣先の事業主が労働者派遣契約の締結に際し,派遣労働者の性別を特定する行為は禁止されている。。もちろん,職業安定法や男女雇用機会均等法の趣旨からも,派遣労働者に対し性別を理由とする差別的取扱いを行ってはならない。

→2014年10月21日,「性別を理由にした差別を禁じる男女雇用機会均等法を所管し,左記のパンフレットを作成した厚生労働省の現役職員から男女差別解消の提訴を受けた」という報道があった。厚生労働省大臣官房統計情報部の50代の現役女性係長が,18年間にわたり係長職に留め置かれているのは,女性への差別であるとして,国に謝罪と約670万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした,ということである。
→一方,2014年10月20,「女性の活躍」の象徴として安倍改造内閣で起用された,小渕前経産大臣(40歳)と松島前法務大臣(58歳)が「公職選挙法違反の疑い」で辞任したという出来事があった。
→有能な女性官僚を冷遇し,無能な女性国会議員を優遇した結果,提訴を受けたり辞任に追い込まれたりしたという低次元の事案が同時期に起こった。安倍首相の考える「女性の活躍」の本質を垣間見た思いである。(筆者)
10/21 内閣府 「人口,経済社会等の日本の将来像に関する世論調査の結果」 ・2014年10月20日,内閣府は,2014年8月に実施した「人口,経済社会等の日本の将来像に関する世論調査」の結果を公表した
<調査結果のポイント>
1.日本の未来像について

①日本の未来に対する意識
・「50年後の日本の未来は,現在と比べて暗いと思う」とする者の割合が60.0%
②目指すべき社会像
・「日本の未来について,緩やかに成長・発展を持続する社会を目指していくことが望ましい」と答えた者の割合が42.8%
③自身の将来に対する意識
・「自身の将来に不安を感じる」とする者の割合が69.0%

2.人口減少・少子高齢化について
①人口減少に対する意識
・「日本の人口が急速に減少していくことには望ましくなく,増加するよう努力すべき」と答えた者の割合が33.1%
②人口減少に対する政府の取組に対する考え方
・「政府は総人口に関する数値目標を立てて,人口減少の歯止めに大いに取り組むべき」と答えた者の割合が41.1%
③少子化が与える影響
・「少子化が与えるマイナスの影響では,年金や医療費の負担など,社会保障に与える影響が特に重要」を挙げた者の割合が72.0%
④子育てに係る負担のあり方
・「子どもを生み,育てることによる負担は社会全体で支えるべき」とする者の割合が92.3%
⑤少子化対策で特に期待する政策
・「行政が行う少子化対策の政策で,仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しを特に期待する」を挙げた者の割合が56.0%
⑥国民負担と高齢者,若い世代に対する政策のバランスのあり方
・日本は今後,高齢化がさらに進展することが見込まれ,高齢者に対する社会保障給付のための国民の負担がますます増えることが想定される状況について,「高齢者と若い世代に対する政策はともに抑制すべきでなく,国民の負担の増加は止むを得ない」と答えた者の割合が29.0%

3.経済の成長・発展や人の活躍のあり方について
①国際的にみた日本の所得水準の見通し
・2012年に日本の一人当たりの所得水準は,北米やヨーロッパ諸国といった先進諸国の中で第10位となったが,「50年後の日本の一人当たりの所得水準の順位は下がると思う」とする者の割合が53.9%
②日本の国際競争力を強化するために重要な取組
・「日本の国際競争力を強化するために,世界に通用する人材を育成するための教育改革が重要」を挙げた者の割合が61.6%
③経済活力の維持のための政府の対策
・将来,働くことのできる人口が減少した場合,日本経済の活力を維持していくために,政府は,「女性が働きやすい環境をつくるを対策を講ずるべき」を挙げた者の割合が60.8%
④生産年齢に対する意識
・現在,働くことが想定される年齢層である生産年齢は,通常15歳以上65歳未満に設定されているが,今後は一般的に何歳まで働くのが望ましいと思うかについて,「年齢で一律に捉えるべきではない」と答えた者の割合が32.3%

4.今後の地域社会のあり方について
①地域の将来に対する意識
・「居住している地域の将来に不安を感じない」とする者の割合が51.9%
②東京一極集中に対する考え方
・「地方から東京への集中は望ましくない」と答えた者の割合が48.3%
③居住地域に関する認識
・「居住している地域は,地方だと思う」とする者の割合が72.8%
④地域が活性化するために特に期待する政策
・居住している地域が活力を取り戻したり,更に活性化するために,特に期待する政策は,「多様な世代が共に暮らせるための福祉,医療の充実」を挙げた者の割合が45.5%
⑤居住地の中心部への集約に対する意識
・人口減少,高齢化が進む中で,地域を維持・活性化させるための方法として,「居住地を中心部に集約するという考え方に反対」とする者の割合が64.0%
⑥中心部への移住の意向
・居住地の中心部への集約が進められた結果,自宅周辺に病院などの必要な施設や機能が不足した場合,「中心部への移住を考える」とする者の割合が48.8%

→「50年後の日本の未来は,現在と比べて暗いと思う」とする者の割合が60.0%であり,マスメディアはセンセーショナルに取り上げている。2014年の50年後は2064年である。2014年の50年前は1964年で,東京オリンピックのあった1964年時点で50年後の2014年をどう思うかを問われていたことと同じである。まったく無意味な調査項目の一つだということが分かる。(筆者)

(参考)
2014年度の世論調査(内閣府)
10/20 厚生労働省 ■福祉人材確保対策検討会において「議論の取りまとめ(案)」が提出された

(10月23日追記)
「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ」
・2014年10月14日,「第7回福祉人材確保対策検討会」が開催され,「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ(案)」が公表された。

→結論だけを言えば,筆者は,「福祉人材確保対策検討会 構成員」に委ねている限り,日本の福祉分野はよくならないと考える。「福祉人材確保対策検討会で示された意見(案)」を見れば,いかに的外れで,いい加減かが分かるはずである。今回の取りまとめ(案)は,「人材確保の中心課題である賃金水準の問題に正面から応えておらず,実効性が問われる内容」という有力な意見に賛同する。
→介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士の資格取得者および国家試験受験者が,この取りまとめを読んで,何の疑問も持たないようであれば,もう何も言うことはない。(筆者)
10/17 厚生労働省 「日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書」 ・2014年10月16日,厚生労働省は,「日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会」(座長:中村丁次神奈川県立保健福祉大学学長)の報告書を公表した。
・検討会は,日本人の長寿を支える「健康な食事」とは何かを明らかにし,その目安を提示し,普及することで,国民や社会の「健康な食事」についての理解を深め,「健康な食事」に取り組みやすい環境の整備が図られるよう,2013年6月から検討されてきた。
<報告書の主なポイント>
①日本人の長寿を支える「健康な食事」のとらえ方を整理
・「健康な食事」とは何かについて,健康,栄養,食品,加工・調理,食文化,生産・流通,経済など多様な側面から,構成する要因を踏まえ,整理した。
②生活習慣病の予防に資する「健康な食事」を事業者が提供するための基準を策定
・食事摂取基準(2015年版)における主要な栄養素の摂取基準値を満たし,かつ,現在の日本人の食習慣を踏まえた食品の量と組合せを求め,1食当たりの料理を組み合せることで「健康な食事」の食事パターンを実現するための基準を策定した。この基準は,食事を提供する事業者が使用するものである。事業者は,この基準を満たした料理を市販する場合にマークを表示することができる。
③「健康な食事」を普及するためのマークを決定
・市販された料理(調理済みの食品)の中で,消費者が「健康な食事」の基準に合致していることを一目で分かり,手軽に入手し,適切に料理を組み合わせて食べることができるよう,公募によりマークを決定した。

(参考)
「日本人の長寿を支える「健康な食事」の基準とマーク」

→日本の社会保障制度改革における4つの重要な報告書が出揃った。「社会保障制度改革国民会議 報告書」
(2013年8月6日)と我が国の超高齢社会に適切に対応していくための3検討会報告書である。
「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会 報告書」
(2013年6月26日)
「都市部の高齢化対策に関する検討会 報告書」
(2013年9月26日)
「日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会 報告書」(2014年10月16日)
→2014年中に農林水産省と共に具体的なガイドラインを作成し,2015年4月からの運用を目指すとのことである。公募された認証マークは,2015年4月から食品の包装で見られることになる。(筆者)
10/16 厚生労働省 ■2014年11月1日より,「過労死等防止対策推進法」が施行される ・2014年6月,第186回国会において「過労死等防止対策推進法」が制定された。10月14日の閣議決定により,11月1日から施行されることとなった。
<「過労死等防止対策推進法」のポイント>
●「過労死」という言葉を初めて使った法律である。「過労死等」を「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」と定義している。
●毎年11月を「過労死等防止啓発月間」とする。
●「過労死・過労自殺対策大綱」を策定し,「防止対策推進協議会」を設置し,毎年「白書」として国会に報告する。
●過労死等を防止するための対策を効果的に推進することを国の責務とし,地方公共団体には国と協力して対策を推進する努力義務を,事業主には国,地方公共団体の対策に協力する努力義務を,国民には過労死等を防止することの重要性を自覚し,これに対する関心と理解を深める努力義務を定めている。

→1日8時間労働を原則とする「労働基準法」は1947年に制定され,1990年後半から過労自殺が激増し,社会問題化した。2008年頃から「過労死防止基本法」の制定を求める声が上がったが,ようやく,2014年6月20日に「過労死等防止対策推進法」が議員立法として成立した。
→同時に,2014年6月25日には,まったく逆方向である長時間労働を招くと言われる「ホワイトカラー・エグゼンプション」を含む新成長戦略が閣議決定された。2015年以降に法制化を目指すとされている。
→「過労死等防止対策推進法」は,具体的な労働時間の上限規制などはなく,過労死等の防止対策を効果的に推進するために,国,地方公共団体,事業主,国民がそれぞれ担う義務などを定めた法律に過ぎない。「過労死等防止対策推進法」ができても,過労死がなくなるわけではないのに,法律ができたことで国民の関心が薄れてしまえば,過労死問題の対策が停滞する恐れがある。これこそが,国の戦略であるとすれば恐ろしいことである。(筆者)


(参考)
「過労死防止対策」(厚生労働省)
10/15 内閣官房・内閣府 「マイナンバー(社会保障・税番号)制度のコールセンターの開設および啓発ポスターの公表について」 ・2014年10月1日から,マイナンバー(社会保障・税番号)制度のコールセンターが開設され,マイナンバー啓発ポスターが各地方公共団体の窓口,全国の税務署,年金事務所,ハローワークなどで掲示されている。
<マイナンバー(社会保障・税番号)の通知・実施>
「社会保障・税一体改革」の一環として,「マイナンバー法案」は,2013年5月24日に成立した。なお,2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書」に沿って,8月21日に閣議決定された個別テーマごとの法案提出時期をまとめた「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」(概要 / 法律は,2013年12月5日に成立し,施行された。
●2015年10月から,国民一人ひとりに12桁のマイナンバー(個人番号)が通知される。(住民票を有する外国人にも通知される)
・住民票の住所に通知カードが送付される。
・通知カードを受け取り,同封された申請書を郵送すること等により,市町村の窓口で「個人番号カード」の交付を受けることができる。
●2016年1月から,マイナンバーは社会保障,税,災害対策の行政手続で利用される。
・年金,雇用保険,医療保険の手続き,生活保護や福祉の給付,確定申告などの税の手続きなど,社会保障,税,災害対策の法律に定められた事務に限って,マイナンバーが利用される。
・民間事業者でも,社会保険,源泉徴収事務などで法律に定められた範囲に限り,マイナンバーを取り扱う。
・法律で定められた目的以外でマイナンバーを利用したり,他人に提供したりすることはできない。

<マイナンバー制度についての問合せ先>
●全国共通ナビダイヤル
・日本語窓口:0570-20-0178
・英語窓口 :0570-20-0291
●利用時間
・平日9時30分~17時30分 (土日祝日・年末年始を除く)

→政府は,マイナンバー制度で期待する効果として,①公平・公正な社会の実現,②国民の利便性の向上,③行政の効率化が挙げているが,法案提出当初から懸念されていた,コストパフォーマンス,個人情報の漏洩,詐欺やなりすましの問題は完全に払拭されているのだろうか。日本は,オーストリアやスウェーデンなどを参考に,安全・安心な制度運用するとされていたが,近い将来,アメリカや韓国で起きていた情報流出問題が出現すると筆者は想定している。失礼ながら,筆者は,最も可能性が高い情報漏えいは行政機関からではないかと勘繰っている。日本のマスメディアは頬かむりをしたままである。(筆者)


(参考)
「マイナンバー(社会保障・税番号制度)」(内閣官房)
9/29 - ■2014年9月29日に「第187回臨時国会」が召集される

(10月15日追記)
■第187回臨時国会での「安倍首相所信表明演説」

<臨時国会での主な予定>
9月29日~11月30日 ・安倍首相の所信表明演説(9/29)
・「第187回臨時国会」の会期は63日間
9月30日~10月2日 衆参両院で代表質問
10月3日,6日 衆議院予算委員会
10月7日,8日 参議院予算委員会

→安倍首相は,今臨時国会を「地方創生国会」と位置づけ,最重要課題として,「地方創生」と「女性活躍」への取り組みを挙げている。
→2015年春には統一地方選があり,それに向けての与野党の論戦が行われることになる。テレビ番組で,「多弱」の野党は「安全保障政策」や「消費税再増税」に論戦を挑むらしいが,「1強」の自公は「地方創生」や「防災」がテーマになると公言していた。例えば,「まち・ひと・しごと創生法案」という名称を聞いて,筆者は,その法案の軽さを想像した。悪趣味であるが,改造内閣の大臣がどんな失言をするのかだけを楽しみにしている。(筆者)
9/26 内閣府 「生活の安全」に関わる警察への相談方法
<政府の広報文>
『犯罪や事故の発生には至ってないけれど,ストーカーやDV・悪質商法・近隣や職場でのトラブルなど,普段の生活の安全や平穏に関わる様々な悩みごとや困りごとを抱えていませんか。そのようなときには,警察相談専用電話#9110にご相談ください。全国どこからでも,その地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。そして,警察では問題解決に向けて,相談者の要望などを尊重しながら様々な対応を行います。』

<広報の構成>
(1) 「生活の安全」に関する悩み事がある時は?

⇒都道府県の警察本部や最寄りの警察署にある相談窓口で受け付け
(2)相談するには警察署に行かないとダメ?
⇒警察の相談窓口につながる全国共通の電話番号<♯9110>番
(3)相談したらどうなるの?
⇒専門の相談員が対応。相談内容によっては専門の相談機関を紹介
(4)どんな相談が多いの?
⇒犯罪被害防止や配偶者からの暴力DV),ストーカーに関する相談が増加
(5)相談による解決事例
⇒ケース1~5

→相談援助を行う福祉専門職にとって,警察への相談の基本的な事柄を知っておくことは必須である。(筆者)
9/25 厚生労働省 10月1日からの「専門実践教育訓練指定講座(863講座)」が決定した ・2014年9月24日,厚生労働省は,2014年10月1日から教育訓練給付金の対象となる「専門実践教育訓練」の指定講座(863講座)を公表した。
<2014年10月1日付指定講座(863講座)>
①業務独占資格または名称独占資格の取得を訓練目標とする養成課程 : 450講座(介護福祉士,はり師,柔道整復師,美容師,保育士,看護師等)
②専修学校の職業実践専門課程 : 384講座(商業実務,動物,情報等)
③専門職学位課程 : 29講座(ビジネス・MOT等)

→2014年3月28日に成立した「改正雇用保険法」の3本柱は,(1)育児休業給付の拡充(2014年4月施行),(2)教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設(2014年10月施行),(3)就業促進手当(再就職手当)の拡充(2014年4月施行)であった。
→2014年10月施行の「教育訓練給付金の拡充(専門的・実践的な教育訓練の新設)」の概要は以下の通りである。
①教育訓練給付(受講費用の2割を支給,給付上限10万円)を拡充し,中長期的なキャリア形成を支援するため,専門的・実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する講座を受ける場合に,給付を引き上げ(受講費用の4割),資格取得等の上で就職に結びついた場合には受講費用の2割を追加的に給付する。
②1年間の給付額は,32万円を上限とする。(給付期間は原則2年。資格につながる場合等は最大3年で給付上限額が96万円)
③対象者は,2年以上の被保険者期間を有する者(2回目以降に受ける場合は10年以上の被保険者期間が必要)
→教育訓練給付拡充のねらいは,「日本再興戦略」(成長戦略)に基づく,行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)を図ることとされている。筆者は,雇用保険法が定める育児休業取得支援や自己啓発支援について,厚生労働省の周知が不十分であると思う。制度を利用する者が増えるような環境づくりに腐心すべきである。(筆者)
9/22 厚生労働省 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第10次報告)」(概要 / 本文 ・2014年9月19日,厚生労働省は,「社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第10次報告)」を公表した。
<「第10次報告」における「課題と提言」>
(1)地方公共団体への提言

①虐待の発生及び深刻化の予防
②虐待の早期発見・早期の適切な対応と支援の充実
③職員の専門性の確保と資質の向上
④虐待対応における関係機関の効果的な連携
⑤虐待防止を目的とした検証の積極的な実施と検証結果の活用
(2)国への提言
①虐待の発生及び深刻化の予防
②虐待の早期発見・早期対応と支援の充実
③職員の専門性の確保と資質・能力の向上
④虐待対応における関係機関の効果的な連携
⑤虐待防止を目的とした検証の積極的な実施と検証結果の活用

→「子ども虐待死」は,最大の人権侵害事案であり,その防止策は,国家的な問題として取り組まなければならない。はずである。しかし,これまでのように,厚生労働省,警察庁,文部科学省,法務省,総務省,内閣府がばらばらに検討していては,いつまでたっても情報共有も連携も進まないことぐらい「子ども」でもわかっていることである。さらに,法律で義務付けしなければ,児童相談所,市町村,警察等の「情報の共有」や「機関間の連携」の実現が困難なことも,関係機関はわかっているはずである。
→日本では,相変わらず,「子ども虐待死」では,児童相談所,市町村,警察が関与しながら防げなかった事例多く,関係機関の消極的姿勢と情報共有・連携のなさが目立っている。「子ども虐待による死亡事例等の検証」は,厚生労働省の社会保障審議会児童部会に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において行われ,毎年,たいそうな「課題と提言」を厚生労働省単独で示しているが,それがどれだけ無駄が多いかを承知でやっている,ということであろうと筆者は憶測している。
→ようやく,政府は,2014年8月29日に,児童虐待防止に向け,厚生労働省,警察庁,文部科学省,法務省,総務省,内閣府の副大臣らを構成メンバーとして,省庁間で情報共有を徹底して課題を話し合い,政府一体となって対策を進めるのをねらいとして,「児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」を設置し,第1回会議を開催した。ただ,りっぱなお題目を唱えても,副大臣らがメンバーでは,十分に機能しないのではないかという心配はある。もちろん,しっかりとした成果を出していただけることを願ってはいるが・・・。(筆者)


「第1回児童虐待防止対策に関する副大臣等会議」の資料
厚生労働省における児童虐待防止対策について
警察庁における児童虐待への対応
文部科学省における児童虐待の防止に関する対応について
法務省における児童虐待防止に向けた人権擁護機関の主な取組
総務省における児童の虐待,居所不明に関する課題や取組等(住民基本台帳関係)
内閣府における児童虐待防止に係る取組
9/19 環境省 「宣誓!無責任飼い主0(ゼロ)宣言!!」(2014年9月発行)
<環境省の「ペットの飼い主の皆さま,責任を果たせていますか?」(広報文)>
『動物を飼うためには,動物の命をあずかる責任と,社会に対する責任の両方が求められます。動物の命をあずかる責任とは,飼い主が愛情を持って動物の健康と安全に気を配り,動物の種類にあった快適な環境を整える責任です。社会に対する責任とは,動物が周りの人に迷惑をかけないように社会のルールやマナーを守る責任です。飼い主の皆さん,責任を果たせていますか?』

<守ってほしい5か条>
①動物の習性等を正しく理解し,最後まで責任をもって飼いましょう
②人に危害を加えたり,近隣に迷惑をかけることのないようにしましょう
③むやみに繁殖させないようにしましょう
④動物による感染症の知識を持ちましょう
⑤盗難や迷子を防ぐため,所有者を明らかにしましょう

→2012年9月に「動物愛護管理法」が改正され,2013年9月1日に施行された。「改正動物愛護管理法」により,動物の飼い主は,その動物が命を終えるまで適切に飼養する「終生飼養」の責任があることが法律上明確にされた(一般飼い主編パンフレット)。
→環境省のデータによれば,2012年度に殺処分されたペット数は,犬が3万8,447頭,猫が12万3,400頭で,合計16万1,867頭であった。法律を変えても,今のような手ぬるい広報啓発活動で国民の意識が一変するとは思えない。筆者は,保健所や動物愛護センターなどが実施している殺処分の悲惨な現実,殺処分にかかる費用等の情報公開を考慮すべきと考える。(筆者)
9/18 消費者庁 「高齢者・介護用品で重大事故発生のおそれ!~回収 ・修理や 注意 の呼び掛け に対応してください ~」 ・2014年9月10日,消費者庁は,消費者庁ウェブサイトのリコール情報サイトに掲載されたものうち,高齢者・介護用品で重大事故発生のおそれのあるものをまとめて,改修・ 修理の呼びかけに対応すること,また,安全に使用するための注意喚起を行った。
<回収・修理や注意を呼び掛けている高齢者・介護用品>
高齢者・介護用品 事業者
①介護ベッド ・パラマウント(株)
・(株)プラッツ
②ベッド用サイドレール・グリップ ・医療・介護ベッド安全普及協議会
③手すり ・矢崎化工(株)
④ポータブルトイレ ・積水化学工業(株)
⑤手指保護具(口腔用) ・(株)オーラルケア
⑥車いす ・(株)幸和製作所
⑦歩行補助 ・アロン化成(株)
⑧電動車いす ・スズキ(株)
・パナソニックサイクテック(株)
・シーケー販売(株)
・(株)クボタ
・トヨタ車体(株)
⑨マッサージ器 ・(株)的場電機製作所
・(株)フジ医療器
9/17 内閣府 「母子保健に関する世論調査(2014年7月調査)」 ・2014年9月13日,内閣府は,「母子保健に関する世論調査(2014年7月調査)」を公表した。
<調査の構成>
(1)妊娠などに関する認知
①女性の年齢による妊娠しやすさの違いの認知
②不妊症の認知(男性側要因)
③不妊治療の一部助成事業の認知
④マタニティマークの認知
(2)育児に関する認知
①小児救急電話相談(#8000)の認知
②乳幼児突然死症候群の認知
③乳幼児揺さぶられ症候群の認知
④発達障害の認知
(3)地域での子育てに関する認知
①近所の子どもへの声かけに関する認知
②近所の人との助け合いに関する認知
③居住地域での子育て環境
④児童虐待発見時の通告義務の認知
⑤「健やか親子21」の認知

→「マタニティマーク」を男性の58.0%,女性の35.6%が知らなかった。また,「ダイヤル#8000」を男性の93.9%,女性の84.6%が知らなかった。厚生労働省のコメントとして,それぞれに,「情報発信を強化し,周知に力を入れる」,「妊娠や育児に関する知識を十分に知ってもらう必要がある」と報道されていた。安倍首相の少子化対策や育児支援策が心もとなくなってくる。
→安倍政権や厚生労働省はもちろんであるが,国民の側にも深刻な問題が潜んでいるように思われる。(筆者)


(参考)
「マタニティマークについて」(厚生労働省)
「小児救急電話相談事業(#8000)について」(厚生労働省)

9/16 厚生労働省 「2014年版 労働経済の分析(通称:労働経済白書)」(要約 / 概要/ 本文 ・2014年9月12日,厚生労働省は,「2014年版 労働経済の分析(労働経済白書)」(分析テーマ:人材力の最大発揮に向けて)を公表した。
・「労働経済白書」は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今回で66回目の白書となる。
・2014年版では,我が国が世界に誇る最大の資源は「人材」であるとの認識の下,全ての人材が能力を高め,その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の構築が必要だという観点から,企業における人材マネジメントや労働者の職業生涯を通じたキャリア形成に着目した分析が行われている。
<「2014年版 労働経済白書」の構成>
第1章 労働経済の推移と特徴
第2章 企業における人材マネジメントの動向と課題
第3章 職業生涯を通じたキャリア形成
まとめ

<「2014年版 労働経済白書」のまとめのポイント>
①経済の好循環の実現に向け,企業収益の拡大を持続的な賃金上昇につなげていくために,労働生産性を高めていくことが重要である。
②多様な労働者に積極的な雇用管理を行い,就労意欲を引き出す人材マネジメントが,企業を成長させるとともに,我が国の経済成長を高めていく。
③持続的な職業キャリアを通じた人的資本の蓄積によって職業能力を高めることが,人々の職業生活を安定させるとともに,我が国の経済社会の基盤を強固にしていく

→「男性の6割以上については,60歳近くまでの転職回数は多くても1回で,さらに,半数程度の者は初職から60歳近くまで一度も離職することなく一つの就業先で過ごしていることになる。」としている。また,「非正規社員から正社員へ移行する割合は,25~34歳が最も高く,年齢が上がるにつれて移行割合が低くなる。」と分析している。当然と言えば,当然のことである。(筆者)
9/15 総務省 「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)のすがた」 ・2014年9月14日,総務省統計局は,「敬老の日」(9月15日)を迎えるに当たって,「統計からみた我が国の高齢者のすがた」について取りまとめ,公表した。
<「我が国の高齢者(65歳以上)のすがた」の要約>
(1)高齢者の人口(人口推計 2014年9月15日現在)
・高齢者人口は3,296万人,総人口に占める割合は25.9%と共に過去最高
・8人に1人が75歳以上
(2)高齢者の人口移動(住民基本台帳人口移動報告)
・東京都や大阪府などで転出超過
・都道府県間移動率は男性が65~69歳及び90歳以上,女性は80歳以上で高い傾向
(3)高齢者の就業(労働力調査)
・日本の高齢者の就業率は,主要国で最高
・高齢者の就業者数は,10年連続で増加し,636万人と過去最多。就業者総数に占める割合は,10.1%と過去最高
・高齢雇用者の7割超は非正規の職員・従業員。「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多の理由
(4)高齢者の住まい(住宅・土地統計調査)
・高齢者のいる世帯は2000万を超え,過去最多
・増える高齢単身世帯の共同住宅割合
・50.9%が高齢者等に配慮した住まい
・近づく「親」と「子」の住まい
(5)高齢者の家計(家計調査,家計消費状況調査)
・交際費,保健医療への支出割合が高い高齢者世帯
・健康に気を配り,旅行などの趣味を楽しむ高齢者
・支出が収入を上回る高齢無職世帯

・高齢者世帯でも増加するネットショッピングの利用

→高齢社会対策に関する最近の動向である。
1995年に「高齢社会対策基本法」が制定された。1996年に「高齢社会対策大綱」が策定され,2001年に改定が行われた。基本法に基づいて,「新しい高齢社会対策大綱案」の作成に資するため,2011年10月に「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」が設置され,2012年3月に「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書(尊厳ある自立と支え合いを目指して)」が公表された。2012年9月に「新しい高齢社会対策大綱」が策定された。
→「超高齢社会」においては,生産年齢人口の減少,社会保障費の増大,医療・介護負担の増大が予測され,65歳以上の者および65歳以上の者に対する国民の意識改革が最優先の課題とされているのに,あえて国民的な議論を進ませなくさせているのは誰か。(筆者)


(参考)
「2014年版 高齢社会白書」
「2014年度 高齢社会対策の主な施策」
9/11 厚生労働省 2014年9月9日の「塩崎厚生労働大臣」記者会見 ・2014年9月10日,9月9日の閣議後の「塩崎厚生労働大臣記者会見の概要」が公表された。
<記者の質問(原文のママ)>
①デング熱に関してですけれど,感染者が80人を超えて,現在対策も講じられているんですけれども,これで一定程度封じられたというふうにお考えなのか,あるいは今後も拡大していく可能性もあるというお考えなのか,そして,拡大するとしたら東京都以外でも感染する可能性があるのか,そこら辺について大臣の御見解を教えてください。
②NHKの世論調査についてでございます。内閣改造後の安倍内閣の支持率が,先月に比べて7ポイントほど上昇しました。また,党役員人事と合わせた,全体としての評価も半数近くに昇っておりますが,これはどういったところが国民に支持されたとお考えでしょうか。
あわせてうかがいますけれども,NHKの世論調査で,社会保障財源に充てられる消費税の10パーセントへの引上げ,増税について,予定通り引き上げるべきと応えた人が20パーセント余りだったのに対して,遅らせるべきとか,取りやめるべきと答えた人が合わせて7割ということです。それについての受け止めをお願いします。
④消費税増税に関連してなんですけれども,先週日銀の黒田総裁が増税を先送りする方がリスクが大きいと発言されました。それについて,どのようなお考えを持っておられるかということと,日銀もそうした増税を場合,追加緩和など,側面支援をする必要があると考えてらっしゃいますか。
⑤政府として日銀に,例えば協力してほしいであるとか,そのような考え方はあるんでしょうか。
⑥内閣府の昨日の発表で,4月から6月のGDPがマイナス6.8から7.1%に下方修正されました。設備投資と個人消費の冷え込みが主要因ですけれども,今後の消費増税への判断の影響と,今後の景気の先行きによっては補正予算等が必要になってくるか,大臣のお考えをお聞かせください。
2点うかがいたいのですけれども,まず1点目なんですが,大臣就任以来ですね,経済こそ最優先だというお話をされておりまして,厚労行政でもできることをというふうにおっしゃってましたが,いまいちイメージとしてつかめないんですけれども,具体的にどういうことを想定されてお話になっているのか,お聞かせいただけますでしょうか。
2点目なんですけれども,おっしゃることは,経済成長が大事だというのはわかった上でお尋ねするんですけれども,例えば生活に困っている方々ですね,貧困に直面している方々に福祉的な対策とかっていうのは非常に重要な分野だと思うんですけれども,こういった対策に対する大臣のなかでの優先順位っていうのは,どういうふうな位置づけとしてあってですね,いろいろ生活保護基準の引き下げとか,年金も目減りしていて非常に苦しいというような声も聞こえるんですけれども,こういう方々に対して,どういう姿勢と具体的な対応策でもって臨まれるお考えなのかお聞かせいただけますか。
⑨具体的な対策というところではいかがでしょう。先ほど例えば,成長(戦略)でいえば医療技術とか介護ロボットの話とか出ましたけれども,何か考えていらっしゃる政策っていうのはありますか。今,非常に困ってらっしゃる方々に対する対策です。頑張っていてもなかなか抜け出せないとか,そういった方々です。
⑩明日の労働政策審議会から,またホワイトカラーエグゼンプションの議論が本格的に始まると思います。論点の大きな一つが年収の基準ということになると思いますけれども,成長戦略の上では少なくとも1,000万円以上と,少し曖昧さの残る表現で決着したわけですけれども,労働側からするともっと引き上げるべきだという意見がある一方で,あまり引き上げてしまうとですね,対象者が極めて限られてしまって,そもそも成長戦略としての意味がなくなるというか,ある意味骨抜きになるという懸念もあると思いますけれども,年収基準についての考え方というのは大臣からお聞かせいただけますでしょうか。

→「経済こそ最優先で,経済成長が大事」と公言する「塩崎厚生労働大臣」に対して,金融市場は歓迎している。塩崎氏は,自民党側で成長戦略策定の実務を担ってきた。「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革」を提言し,アベノミクスの成否を決する重要な政策を担っている。
→福祉専門職としては,この人物の「厚生労働行政のメインテーマ」である「社会保障制度改革」への言動に注視していく必要がある。(筆者)

9/9 厚生労働省 「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針案(見消し版)」

(9/12追記)
「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」
・2014年9月8日,厚生労働省は,「第3回医療介護総合確保促進会議」において「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針案(見消し版)」をまとめ,会議資料を公表した。
・厚生労働省は,2014年6月に成立した「医療介護総合確保法」に基づき,2014年7月に「医療介護総合確保促進会議」を設置し,「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(案)」の策定を進めてきた。
<「医療介護総合確保法の総合方針」,「医療法の基本方針」,介護保険法の基本指針」の関係>
・これまで,都道府県は医療法で定める基本方針に基づいて医療計画を,市町村は介護保険法で定める基本指針に基づいて介護保険事業計画をそれぞれ立てているが,初めて共通の方針として医療介護総合確保法に基づく総合方針が策定された。
・今後,都道府県は,地域の実情に合った医療と介護に関する目標や事業内容の計画を作成し,国は,その内容に応じて,都道府県に設置した「基金」(財政支援制度)に「消費税増収分財源」を活用した資金を交付する。2014年度の予算は904億円で,医療が対象であり,2015年度からは医療と介護の事業が対象で,交付額は11月に決定される。12月以降,「医療介護総合確保促進会議」において,基金の交付状況の検証などを行うことが予定されている。
(参考)
「医療及び介護に関する各種方針・計画等の関係について」

→「医療介護総合確保促進会議」は,総合方針案と基金の交付方針を出して終了するのではなく,常設の会議体である。厚生労働省は,会議の設置に先立って,2014年7月に医療と介護の連携審議官のポストと,保険局に医療介護連携政策課を新設している。
→2014年度は取りあえず総合確保方針が策定されたが,現在は,既に医療計画基本方針や介護保険事業計画基本指針に基づいて,医療計画と介護保険事業計画が進んでおり,両計画の同時改定が実施されるのは2018年度になる。したがって,2018年度に向けた医療計画基本方針や介護保険事業計画基本指針の改定が最重要とみられている。(筆者)

9/8 厚生労働省 「2015年度 厚生労働省の概算要求」 ・2014年8月29日,2015年度予算の各省庁からの概算要求が出そろい,厚生労働省概算要求が公表された。
・一般会計の総額は過去最大の約101兆7,000億円で,初めて100兆円を突破し,厚生労働省の要求額は,社会保障関係費は高齢化の進展で膨らみ,3%増(+8,155億円)の過去最大となる31兆6,688億円となっている。
・今後,2014年末にかけて,この要求に基づいて,財務省が各省庁と折衝を行い,2015年度予算の財務省原案が作成され,2015年1月の2015年通常国会に提出される予定である。
<厚生労働省の一般会計(31兆6,688億円)の主な要求額>
(1)社会保障費 :29兆8,558億円)
・医療(11兆1,352億円),年金(10兆9,591億円),介護(2兆7,618億円)
(2)「女性の活躍」推進 :6,200億円
・待機児童解消へ保育所増設など
(3)防災対策推進 :1,094億円
・災害時の医療体制の充実

→厚生労働省は,医療・年金などの自然増分(8,155億円)を圧縮せずに要求しているが,2015年度には,年金では,「マクロ経済スライド」が初めて発動され,物価上昇にもかかわらず削減が行われ,医療・介護では,2014年5月に成立した
「医療介護総合確保法」に基づき,抑制・削減が行われることになっている。
→2015年度の消費税増収分のうち社会保障費に充当する額は,消費税率が8%のままだと約1兆3,500億円,2015年10月に10%に引き上げた場合は約1兆8,000億円になるとのことである。 使途の内訳は増税判断後に決めるとし,金額を示さない「事項要求」となっている。2015年度の介護報酬改定の予算も,消費増税分も活用する方針のため,予算編成過程での調整を前提とした「事項要求」であり,消費税引き上げ頼みとなっている。社会保障費の自然保障増加分の圧縮はまったくを行わず,「医療・介護,年金,子ども・子育て支援」に関わる「社会保障の充実」が,安倍首相の消費税増税の判断次第という状況に置かれている(左記資料中の「2015年度における社会保障の充実として検討中の事項について(厚生労働省・内閣府)」の項を参照のこと)。おかしな国になっている。(筆者)

9/5 厚生労働省 ■厚生労働省の「新政務三役」が決定した ・2014年9月4日,第2次安倍改造内閣における厚生労働省の「政務三役」5人がすべて決定した。
厚生労働省の新政務三役
厚生労働省の新政務三役(2014年9月4日付)   敬称略
大臣 塩崎恭久 ・63歳,自民党,愛媛1区,衆議院,当選は衆議院6回/参議院1回
・ハーバード大学大学院修了。日銀出身。官房長官,外務副大臣,内閣官房長官・拉致問題担当大臣など。
https://www.y-shiozaki.or.jp/
副大臣 永岡桂子 ・60歳,自民党,北関東ブロック,衆議院,当選は衆議院3回
・学習院大学法学部卒業。2006年9月発足の第1次安倍内閣で農林水産大臣政務官。
http://keiko-nagaoka.jp/
山本香苗 ・43歳,公明党,全国ブロック,参議院,当選は参議院3回
・京都大学文学部卒。前職は外務省職員。経済産業大臣政務官,参議院総務委員長。
http://www.yamamoto-kanae.com/
政務官 橋本岳 ・40歳,自民党,岡山4区,衆議院,当選は衆議院2回
・慶大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。父は元総理の故橋本龍太郎氏。
https://ga9.jp/
高階恵美子 ・50歳,自民党,全国ブロック,参議院,当選は参議院1回
・東京医科歯科大学大学院医学系研究科博士課程後期中退。看護師・保健師,前職は日本看護協会常任理事。
http://www.takagai-emiko.net/

→安倍首相は,党政調会長代理と日本経済再生本部の本部長代行を務め,成長戦略策定に関わってきたGPIF改革推進派の塩崎氏を,脛に傷を持つ田村氏の後任に起用した。
→安倍首相が,厚生労働大臣に求めているのは,厚生労働省が管轄する120兆円の年金積立金の大胆な活用によるアベノミクスの推進である。厚生労働省のトップに,「医療・介護・福祉の専門家」ではない人物を持ってきたということは,今後の算術が前面に出てくる厚生労働行政の姿が見えるようである。
→新政務三役5人のうち3人が女性である。せっかくのチャンスなので,お飾りと言われないように,ぜひとも活躍していただきたいと思う。蛇足であるが,厚労省の村木事務次官については,近時の失態続きによる国民への不利益を勘案すれば,男女を問わず,本来なら退任させるべきだろうが,「安倍政権の女性活用施策の象徴」として,何としても残しておきたいということだと思う。「女性の活躍」においても,適材適所は重要である。(筆者)
9/4 首相官邸 「第2次安倍改造内閣発足」に関する安倍首相の記者会見 ・2014年9月3日,安倍首相は,第2次安倍内閣発足後,初の内閣改造を行った。
<関連資料>
第2次安倍改造内閣 記念撮影
第2次安倍改造内閣 閣僚名簿
第2次安倍改造内閣 内閣総理大臣談話(閣議決定)
第2次安倍改造内閣 基本方針(閣議決定)

→安倍首相は,記者会見において,第2次安倍改造内閣を「実行実現内閣」とし,「引き続き,経済最優先でデフレからの脱却を目指し,成長戦略の実行に全力を尽くし」,「元気で豊かな地方創生」,「安全保障法制の整備」についても重点的に取り組むとした。なお,副大臣と政務官の人事は,9月4日中に終えるとのことである。厚生労働省の布陣に注目している。(筆者)
9/3 厚生労働省 「2013年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」 ・2014年9月2日,厚生労働省は,「2013年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を公表した。
<調査・報告の構成>
種別 項目 内容
1)医療施設調査 (1)施設数 ①施設の種類別にみた施設数,②開設者別にみた施設数,③病床の規模別にみた施設数,④診療科目別にみた施設数
(2)病床数 ①病床の種類別にみた病床数,②開設者別にみた病床数,③都道府県別にみた人口10万対病院病床数
2)病院報告 (1)患者数 ①1日平均在院・新入院・退院患者数,②病院の1日平均外来患者数,③病院の都道府県別にみた1日平均在院患者数
(2)病床利用率 -
(3)平均在院日数 ①病床の種類別にみた平均在院日数,②病院の都道府県別にみた平均在院日数
(4)病院の従事者数 ①病院の職種別にみた従事者数,②病院の職種別にみた100床当たり常勤換算従事者数 ,③病院の都道府県別にみた人口10万対常勤換算医師数,④病床規模別にみた1病院当たり常勤換算医師数

→これまでの3福祉士国家試験において,「医療施設(動態)調査・病院報告の概況」からの出題はあった。2014年度試験では,時期的に見て,「2012年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」が対象になると思われるので,通読を勧めたい。(筆者)
9/2 内閣府 「子供の貧困対策に関する大綱」 ・2014年8月29日,政府は,「子ども貧困対策推進法」(2013年6月制定)に基づき,「子供の貧困対策に関する大綱(~全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して~)」を閣議決定した。
<大綱の閣議決定までの経緯>
・2013年6月 :「子ども貧困対策推進法」公布
・2014年1月 :「子ども貧困対策推進法」施行
・2014年4月~6月 :「子どもの貧困対策に関する検討会」(全4回開催)
・2014年4月~8月 :「子どもの貧困対策会議」(全2回開催)
・2014年8月29日 :「子供の貧困対策に関する大綱」閣議決定

<大綱に定められている項目>
①子どもの貧困対策に関する基本的な方針
②子どもの貧困率,生活保護世帯に属する子どもの高等学校等進学率等子どもの貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策
③教育の支援,生活の支援,保護者に対する就労の支援,経済的支援その他の子どもの貧困対策に関する事項
④子どもの貧困に関する調査及び研究に関する事項

→2012年の「子どもの貧困率」は16.3%,「ひとり親世帯での貧困率」は54.6%で,先進諸国では最悪の水準とされている。
→結局,検討会で提起された,貧困率削減の数値目標設定,ひとり親世帯への児童扶養手当,遺族年金の支給期間の延長・増額,返済の必要のない給付型奨学金の拡充,などは無視され,大綱の重点施策は既存の事業の列挙である。
→「子ども貧困対策推進法」は,全会一致で2013年6月に成立したものであり,このような理念だけの薄っぺらい大綱が閣議決定されるはずがない。今の政府与党は,野党だけでなく,国民もなめきっているように思う。また,今回の大綱では「子供」と表記されているが,これは,2013年6月頃に下村文部科学大臣の指示で,文部科学省の公文書を「子ども」から「子供」に統一したことと関係があるように思う。一大臣の思惑を内閣府の公文書にも採用したということは,明日の内閣改造では,下村文部科学大臣を留任させるということかな,と筆者は勘繰っている。(筆者)
9/1 厚生労働省 ■2014年9月1日から「労働条件相談ほっとライン」が開設される
<厚生労働省の広報文>
『厚生労働省は,若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組強化の一環として,2014年9月1日から,平日夜間・土日に,誰でも労働条件に関して、無料で相談できる電話相談窓口「労働条件相談ほっとライン」を開設します(委託事業)。
「労働条件相談ほっとライン」は,違法な時間外労働・過重労働による健康障害・賃金不払残業などの労働基準関係法令に関する問題について,専門知識を持つ相談員が,法令・裁判例などの説明や各関係機関の紹介などを行う電話相談です。電話相談は,労働者・使用者に関わらず誰でも無料で,全国どこからでも利用できます。匿名での相談も可能です。』
●フリーダイヤル
・0120-811-610(はい! ろうどう),携帯電話・PHSからも利用可能
●開設期間
・2014年9月1日(月)~2015年3月31日(火)
●受付時間
・平日 :17:00~22:00
・土日 :10:00~17:00
※ 12月6日(土)は,12:00~17:00
※ 年末・年始(12月29日~1月3日まで)は除く。

→法律を振りかざしただけではない,現実的な対応がどの程度できたかが,この委託事業の評価のポイントになると思うが,例によって,開設期間終了後には,「電話相談件数」だけで事業の有効性がアピールされることになるのでは・・・。(筆者)
8/27 厚生労働省 「介護人材確保の方向性について(福祉人材確保対策検討会中間整理メモ)」 ・2014年8月26日,厚生労働省は,「福祉人材確保対策検討会」の「介護人材確保の方 向性について(中間整理メモ)」を公表した。
<「検討会中間整理メモ」の項目>
(1)参入促進

①3つの魅力~「深さ」と「楽しさ」と「広さ」~の発信
②若者に選ばれる業界への転換
③女性や中高年齢者層の参画
④他業界に負けない採用戦略
(2)資質の向上
⑤多様な働き方や機能に応じたキャリアアップの実現
⑥介護福祉士の専門性と社会的評価の向上
⑦介護福祉士資格取得方法見直しに向けた取組
⑧小規模事業所の共同による人材育成支援
(3)労働環境・処遇の改善
⑨マネジメント能力・人材育成力の向上
(4)全体的な視点
⑩学校・企業などあらゆる主体と連携する「場」の創設による地域ぐるみの人づくり
⑪グランドデザインの構築

<福祉人材確保対策検討会 構成員名簿>
石橋真二日本介護福祉士会会長
井上由起子日本社会事業大学専門職大学院教授
門野友彦株式会社リクルートキャリア
HELP MAN!●JAPAN 担当
川井太加子桃山学院大学社会学部教授
西條由人神奈川県保健福祉局福祉部地域福祉課長
佐藤優治民間介護事業推進委員会代表委員
高橋福太郎全国福祉高等学校長会理事長
田中滋慶應義塾大学名誉教授
田中愽一日本介護福祉士養成施設協会副会長
平川則男日本労働組合総連合会生活福祉局長
平田直之
全国社会福祉法人経営者協議会高齢者福祉事業経営委員長
堀田聰子労働政策研究・研修機構研究員
松本敦公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
山田尋志NPO 法人 介護人材キャリア開発機構理事長

「福祉人材確保対策検討会」は,2013年12月の「社会保障審議会介護保険部会意見書」における『介護人材は,2025年度には237~249万人が必要と推計されており,現在の149万人から毎年6.8~7.7万人の人材を確保していく必要がある。』を受けて,2014年6月に設置された。
→介護分野に関わる福祉専門職であるならば,「介護人材の確保」に関しては,自身の見解を持っていてほしいと思う。(筆者)

8/26 内閣府 「2014年 国民生活に関する世論調査」 ・2014年8月23日,内閣府は,「2014年 国民生活に関する世論調査」(2014年6月調査)を公表した。
<調査項目と結果のポイント>
(1)現在の生活について
①去年と比べた生活の向上感
・「向上している」6.0%,「同じようなもの」72. 9%,「低下している」20.9%
②現在の生活に対する満足度
・「満足」70.3%,「不満」29.0%
③現在の生活の各面での満足度
・前回の調査結果と比較して見ると,所得・収入の面で,「満足」47.9%→44.7%,「不満」49.8%→54.1%
④現在の生活の充実感
・「充実感を感じている」73.1%,「充実感を感じていない」25.7%
⑤日常生活での悩みや不安
・「悩みや不安を感じている」66.7%,「悩みや不安を感じていない」32.6%
⑥時間のゆとりの有無
・「ゆとりがある」66.6%,「ゆとりがない」33.2%
⑦生活の程度
・「上」1.2%,「中の上」12.4%,「中の中」56.6%,「中の下」24.1%,「下」4.6%

(2)今後の生活について
①今後の生活の見通し
・「良くなっていく」8.9%,「同じようなもの」62.7%,「悪くなっていく」26.8%
②今後の生活の力点
・「レジャー・余暇生活」37.5%,「所得・収入」34.3%,「資産・貯蓄」33.4%,「食生活」30.2%
③これからは心の豊かさか,まだ物の豊かさか
・「これからは心の豊かさ」63.1%,「まだ物の豊かさ」31.0%
④将来に備えるか,毎日の生活を充実させて楽しむか
・「貯蓄や投資など将来に備える」33.7%,「毎日の生活を充実させて楽しむ」59.7%
⑤老後は誰とどのように暮らすのがよいか
・「息子(夫婦)と同居する」12.0%,「息子(夫婦)の近くに住む」8.3%,「娘(夫婦)と同居する」5.5%,「娘(夫婦)の近くに住む」7.3%,「どの子(夫婦)でもよいから同居する」5.8%,「どの子(夫婦)でもよいから近くに住む」18.0%,「子どもたちとは別に暮らす」36.3%

(3)政府に対する要望について
①政府に対する要望
・「医療・年金等の社会保障の整備」68.6%,「景気対策」58.7%,「高齢社会対策」54.9%,「雇用・労働問題への対応」42.5%,「少子高齢化対策」37.5%

→調査において,「回収率の確保」は調査結果の信頼性を維持するために重要な要素である,と言われている。
→今回の調査では,有効回収率62.5%であるが,1984年までは80%を超えていたが,それ以降は70%台で次第に低下を続け,1995年には75%を割り,現在は60%をかろうじて確保しているに過ぎない。また,「調査不能率」に関しても,1970年代前半には不能理由の中に占める拒否の割合は2割以下であったが,現在は約4割を超えている。これは,「内閣府の業務怠慢」を意味する。今回の調査結果について,『内閣府の担当者は「消費税増税が国民の意識に影響しているのではないか」と分析している』との報道があったが,信頼性に疑問符が付くような調査をしておいて,「よく言うよ」と言いたいところである。(筆者)

8/25 総務省 「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」および「医療機関における携帯電話等の使用に関する報告書」 ・2014年8月19日,総務省は,「電波環境協議会」の「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」及び「医療機関における携帯電話等の使用に関する報告書」を公表した。
<「指針等」の概要(総務省の説明)>
(1)経緯

・医療機関における携帯電話等の使用については,これまで,1960年の「医療機器の電磁的耐性に関する薬事法に基づく規制」,1997年に不要電波問題対策協議会(現・電波環境協議会)から公表された「指針及びマナーの問題等」を総合的に勘案して,各医療機関において独自にルールが定められてきた。一方,携帯電話等の日常生活への浸透,第二世代の携帯電話サービスの廃止,医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上等,状況は大きく変化してきている。また,医療機関における携帯電話等の無線通信機器の積極的活用は,医療の高度化・効率化や患者の利便性・生活の質(QOL)の向上に大きな効果が見込まれるため,今後,安全を確保しつつその推進を図ることが,非常に重要である。そのため,今般,学識経験者,医療関係団体,携帯電話事業者各社,総務省や厚生労働省等による検討を行い,「新たな指針及び報告書」(「指針等」)を作成したものである。

(2)指針等について
・指針等は,医療機関において携帯電話端末等の使用ルールを制定する際の考え方や,携帯電話端末を使用可能な場所での医用電気機器との離隔距離の目安等を示したものである。今後,各医療機関において,指針等を参考にして携帯電話等の使用に関する合理的なルールが定められることが期待される。

(3)今後の予定
・指針等について,様々な機会を捉えて周知等を行う予定である。

→「電波環境協議会」が,17年前に作られた指針を見直し,一部の場所を除き病院内での携帯電話の利用を原則的に認めることとなった。これが,日本の行政の「スピード感」である。
→新指針は法律ではないので,新指針を参考にして,各医療機関がそれぞれの実情に合ったルールを作ることが求められている。(筆者)
8/21 厚生労働省 「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告書」(概要 / 本文 ・2014年8月15日,厚生労働省は,「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告書(「らしく,働く」~仕事と治療の調和に向けて~)」を公表した。
・本報告書は,2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」の目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が新たに加えられ,3年以内にがん患者等の就労に関するニーズや課題を明らかにした上で,社会的理解の推進や就労支援策を講じることとされたことに基づいて,2014年2月に設置された「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」(座長:堀田知光 独立行政法人国立がん研究センター 理事長)によるものである。
<厚生労働省の説明文>
『本報告書では,がん患者・経験者の就労において,課題・ニーズを明確にし,それぞれに対する,①がん患者・経験者とその家族,②がん診療連携拠点病院,③がん患者・経験者を雇用する企業,④ハローワーク等雇用・労働関係機関の取組について,有識者の意見を踏まえ取りまとめています。今後,本報告書を踏まえつつ,がん患者・経験者が仕事と治療を調和するための取組を進め,病気になっても安心して暮らせる社会の構築につなげていくことが期待されます。』

「がん患者の就労や就労支援に関する現状」(2014年2月)によれば,がん医療(放射線療法,化学療法,手術療法)の目覚ましい進歩により,がんの5年相対生存率は58.6%であるにもかかわらず,勤務者の34%が依願退職・解雇され,自営業等の者の13%が廃業しているという実態がある。
→2014年7月10日に,国立がん研究センターが,2014年の全国で新たに診断されるであろう,がんの数の予測を発表した。2014年のがん罹患数は約88万で,診断技術の進歩や高齢化などの影響で,4年前と比べ,罹患数はおよそ8万増えるとの予測である。
→すでに,日本人の2人に1人が「がん」になるという時代であるにもかかわらず,国民の関心は広がらない。「働く側」も「雇用する側」も,「がんになったら働けない」という先入観にとらわれ続けている。「明日は我が身である」のに・・・。(筆者)
8/20 内閣府 ■政府広報の「放射線についての正しい知識を。」で,国民はどのように理解したか。 ・2014年8月17日,政府は,「放射線についての正しい知識を。」という政府広報を,産経新聞,日経新聞,読売新聞,毎日新聞,朝日新聞の大手5紙に掲載した。
<「政府広報」の内容>
・2014年8月3日,政府は,福島県からの避難者を対象にした「放射線に関する勉強会を開催し,放射線専門家2名の講演が行われた。政府広報の内容は,その講演の概要である。
レティ・キース・チェム国際原子力機関(IAEA)保健部長による講演(動画)
・放射線に関する様々な科学的データや放射線防護の国際基準などについて
中川恵一東京大学医学部附属病院放射線科准教授による講演(動画)
・放射線に関する様々な科学的データや放射線による健康影響などについて

→この政府広報を読んで,「放射能は恐ろしくない」と理解できたのなら,それはそれで幸せなことである。「危険」が証明されなければ「安全」と考えるか,「安全」が証明されなければ「危険」と考えるか。
→2014年8月7日,東京新聞は,「除染目標 事実上の緩和個人線量重視まやかし」という記事を掲載していた。「除染しても目標値を達成できない地域が相次いだために,効率化を優先した事実上の基準緩和だ。」とし,環境省が除染目標に個人線量を導入することを批判している。
→筆者は,科学的根拠が希薄とされる「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌 」(岩波書店)を無視していいとは思えない。(筆者)

8/18 農林水産省 「新しい介護食品」の愛称公募について ・2014年8月11日,農林水産省は,「新しい介護食品の愛称」の公募を始めた。
<「愛称公募」に至った理由(抜粋)>
『2013年2月から7月にかけて開催された「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」においてまとめられた論点について具体的な議論を行うため,2013年10月に「介護食品のあり方に関する検討会議」を設置し,介護食品の認知度向上や普及のための検討を進めてきました。この中で介護食品の利用者は高齢者のみではなく,障がいのある子どもから高齢者まで幅広いことや,高齢者や介護という言葉が敬遠され,「介護食品」という名称に抵抗感や拒否感があることなどから,利用者に受け入れやすい良いイメージの名称を考える必要がある,との認識に至りました。』

<公募方法>
①応募内容

1.愛称案
2.なぜ,その愛称を提案したかの理由を,簡潔に。
3.必要事項(氏名(ふりがな),年齢,郵便番号,住所,電話番号,職業)
②応募方法
・インターネット,郵便,ファクシミリ
③公募期間
・2014年8月11日~9月16日
④採用・公表
・採用 :1点
・公表 :「介護の日」(2014年11月11日)に行う表彰式(感謝状,記念品(介護食品セット)贈呈)

(参考)
「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」
「介護食品のあり方に関する検討会議」

→現業の福祉専門職や現に介護を行っている家族介護者等の応募作品群から採用されることを願う。(筆者)
8/12 厚生労働省・国立社会保障・人口問題研究所 「2013年 全国家庭動向調査結果の概要」 ・2014年8月8日,国立社会保障・人口問題研究所は,「2013年 全国家庭動向調査結果の概要」を公表した。
・本調査は,家庭機能の実態や変化要因を把握するため,1993年に調査をスタートし,以来,5年毎に実施されており,対象者は「結婚経験のある女性」(今回は6,409人)である。
<調査の目的・課題>
『この調査は,「出産・子育て」,「高齢者の扶養・介護」をはじめとする国民の皆様の家庭の諸機能について調べるために,社会保障・人口問題基本調査の一環として,5年ごとに実施しています。 この調査では,国民の皆様にとって家族がどのような役割を果たしているのかを明らかにし,これにかかわる政策的な課題を探ることを主な目的としています。 今日の日本社会では,今後ますます進むと予想される少子化・高齢化へ備えることが大きな課題となっております。 とりわけ近年の家族の変化は,家庭内における出産・子育て,老親扶養・介護などの機能に影響を与えていることから,将来の社会サービス施策のあり方に深くかかわってきます。このため,家庭機能の現状と変化,さらには変化の要因を探ることが本調査の大切な課題となります。』

→今回,「高齢の親の介護は家族が担うべきだ」と考える妻の割合は56.7%でで,賛成と答えた割合を年齢層別に見ると,30歳未満の71.8%,70歳以上が61.5%,30歳代が60.6%,40歳代(55.8%),50歳代(51.8%),60歳代(54.7%)の順であった。なお,第2回調査の1998年には74.8%であり,暫時低減し,今回初めて6割を切った(56.7%)。
→現在,厚生労働省は,「地域包括ケアシステムの構築」を掲げている。しかし,現に親を介護しなければならない中心的な立場におかれている50代の妻が「親の家族介護に最も否定的である」という事実は,当該システムの早晩の破たんを予感させる。これに対する解決策としては,「ケアラーに対する公的支援の構築」以外にはない,と筆者は考える。(筆者)
8/8 厚生労働省 「介護老人保健施設,介護療養型医療施設の現状と課題」 ・2014年8月7日,厚生労働省は,「第105回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催し,「2015年度介護報酬改定」に向けた議論における資料(介護老人保健施設,介護療養型医療施設について)を公表した。
<資料の構成>
①総論
②介護老人保健施設について
③介護療養型医療施設について

→厚生労働省は,「介護療養病床の廃止」を,2011年度までに老人保健施設等へ転換すると決定していたが,実情にそぐわないとして,2011年の通常国会における「改正介護保険法等」により,2017年度まで延長している。
→さらに,2014年8月7日,厚生労働省は,「第105回社会保障審議会介護給付費分科会」において,再度,「介護療養病床の機能を存続する」との方針転換の意向を示した。『今後,医療ニーズの高い中重度要介護者の増大特に慢性疾患や認知症を有する高齢者の増加が見込まれる中で,現在の介護療養型医療施設が担っているこれらの機能については,今後とも確保していくことが必要ではないか。』というのが論点である。筆者は,今後,「介護分野」において,時間稼ぎをしていても,このように大きく方針転換せざるを得ない状況に追い込まれるケースが増えてくるのではないかと想定している。
→ケアマネ試験および3福祉士国家試験受験者は,目を通しておくべき最新資料である。(筆者)
8/7 厚生労働省 「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会報告書」(概要 / 本文 / 資料 ・2014年7月30日,厚生労働省は,2013年の「日本再興戦略」などを踏まえて設置された「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」(座長:今野学習院大学経済学部経営学科教授)における「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会報告書」を公表した。
・今後,厚生労働省は,企業における多様な正社員の円滑な導入,運用のための労使の効果的な取組が促進されるよう,「多様な正社員」導入企業の好事例を収集し,雇用管理上の留意事項や就業規則の規定例とともに,周知に取り組むとしている。
<「有識者懇談会報告書」の構成>
(1)多様な正社員の効果的な活用が期待できるケース

①勤務地限定正社員の活用が期待できるケース
②職務限定正社員の活用が期待できるケース
③勤務時間限定正社員の活用が期待できるケース
(2)労働者に対する限定の内容の明示
(3)事業所閉鎖や職務の廃止などへの対応

①整理解雇
②能力不足解雇
(4)転換制度
①非正規雇用の労働者から多様な正社員への転換
②いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換
(5)均衡処遇
(6)いわゆる正社員の働き方の見直し

→今回の多様な正社員(限定正社員)の提言に関しては,整理解雇の基準と賃金格差の程度が注目されていたが,「この程度の内容では,限定正社員の普及・拡大は進まないのではないか」というのが大方の見方のようである。(筆者)
8/6 厚生労働省 「少子高齢社会等調査検討事業報告書(健康意識調査編)」 ・2014年8月1日,厚生労働省は,「健康意識に関する調査」を公表した。
・本調査は,健康に関する意識の傾向を捉え,「2014年版厚生労働白書」の作成等に当たっての資料を得ることを目的として,2014年2月に実施された。
<「健康意識に関する調査」のポイント>
①健康状態・健康意識

・現在の幸福感を10点(とても幸せ)から0 点(とても不幸)で点数化し,「7点」19.9%が最多,次に「8点」19.0%であり,平均は6.38点であった。
・その幸福感を判断する際に重視した事項としては,「健康状況」54.6%が最多,次に「家計の状況(所得・消費)」47.2%,「家族関係」46.8%であった。
②健康行動
・1か月間に自身の健康のための出費してもよいと考える金額は平均3,908円で,実際の出費額は平均3,049円であった。(医療費・介護費・薬剤費は含めていない)
③生活習慣
・自身の健康のために食生活に「気をつけていると思う」とした者は68.8%で,具体的に気をつけていることは「朝昼晩と1日3回規則正しく食べている」66.7%が最多,次に「栄養のバランスを考えて,色々な食品をとる」51.6%,「ホウレン草,ニンジンなど緑や黄色の濃い野菜を食べている」47.5%であった。
④死生観
・何歳まで生きたいかという設問には平均79.6歳で,実際に生きられる年齢については平均77.6歳との回答であった。

→「2013年版 厚生労働白書」は,「少子高齢社会等調査検討事業報告書(若者の意識調査編)」を基に,「若者の意識を探る」をテーマにして執筆され,「2014年版 厚生労働白書」は,「少子高齢社会等調査検討事業報告書(健康意識調査編)」を基に,「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」をテーマにして執筆されている。あくまで「意識調査」であり,「実態調査」ではない。意識調査から実態は把握できない。何をどうしていきたいかという意図が見えてくる。(筆者)

→●8/4
(■「2014年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 / 資料))の記事を参照
8/5 厚生労働省 「2013年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数 」および「2013年度に児童相談所長により申立てされた親権停止の事例等」 ・2014年8月4日,厚生労働省は,「2013年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数 」および「2013年度に児童相談所長により申立てされた親権停止の事例等」を公表した。
<児童虐待相談対応件数および親権停止の事例等のポイント>
①「2013年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数 」

・2013年度中に,全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は73,765件(2012年度は66,701件)で,過去最多の件数である。
②「2013年度に児童相談所長により申立てされた親権停止の事例等」
・2012年4月から施行された「改正民法」,「改正児童福祉法」により,親権停止制度が創設され,法人又は複数人の未成年後見人が選任できるようになった。
・2013年度に全国の児童相談所長が行った家庭裁判所に対する親権停止の審判の申立ての実績は,16自治体で23事例で,法人又は複数人の未成年後見人の選任申立ての実績は,10自治体で11事例であった。

→児童相談所が虐待を把握していながら,助けることができずに子どもが亡くなるという悲惨な事例が後を絶たない状況を断ち切るためには,現在の「児童虐待防止対策」の抜本的な改革が必要ではないか,と多くの国民が思っている。
→2000年11月に「児童虐待防止法」が施行され,2003年6月に「社会保障審議会児童部会児童虐待の防止等に関する専門委員会報告書」が提出された。度重なる「児童虐待防止法」や「児童福祉法」の改正が行われたが,「児童虐待防止」の効果は極めて限定的である。
→総務省は,2012年1月20日に「児童虐待の防止等に関する政策評価結果及び勧告」を行い,2014年6月12日には「児童虐待の防止等に関する政策評価」の結果に基づく勧告に伴う政策への反映状況(2回目のフォローアップ)」を公表したが,国民として納得できる状況ではない。
→なお,「2014年版厚生労働白書」によれば,「地域での児童虐待防止のシステム」は,以下の通りと説明されている。
①現在の児童虐待防止対策は,2004年の「改正児童虐待防止法等」により,児童相談所のみで対応する仕組みから,「市町村」も虐待の通告先となり,「市町村」と「児童相談所」が2層構造で対応する仕組みとなっている。
②市町村虐待相談対応件数は,40,222件(2005年度)から73,200件(2012年度)に増加している。
③各市町村単位で,要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)の設置が進んでいる(2012年4月1日現在,98.4%の市町村で設置(任意設置の虐待防止ネットワークを含むと99.7%))。
③2008年の「改正児童福祉法」により,2009年4月から,協議会の支援対象について,これまでの要保護児童に加え,乳児家庭全戸訪問事業等で把握した養育支援を必要とする児童や出産前から支援を行うことが特に必要である妊婦も追加された。
→「児童相談所での児童虐待相談件数」が年々増加する理由は,水面下に隠れていたものが顕在化したに過ぎない。しかし,1年間に7万件も超えたことを知っても,相変わらず,従来からの効果の薄い「児童虐待防止対策」を推し進めるだけでいいわけがない。
→結論だけを言えば,筆者は,「児童虐待防止対策」の抜本的な改革には,①家族支援を含めた家族政策としての見直し,②十分な機能を発揮できる児童虐待対策の法制度と運用への見直し,③効率的な児童相談所の組織および専門職の体系・体制への見直し,の視点が必要であると考える。(筆者)
8/4 厚生労働省 「2014年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 / 資料 ・2014年8月1日,厚生労働省は,「2014年版厚生労働白書」(を公表した。
・「厚生労働白書」は,厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて,広く国民に伝えることを目的に毎年とりまとめられ,2014年版は発刊から14冊目となる。
<「2014年版 厚生労働白書」の構成>
第1部
・毎年テーマを決めて執筆されており,今回は「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」である。
第2部
・「現下の政策課題への対応」では,子育て,雇用,医療・介護,年金など,厚生労働行政の各分野について,最近の施策の動きがまとめられている。

→2013年の「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(成長戦略)の中で「国民の健康長寿を延伸する社会」が打ち出されたことなどを背景に,「2014年版厚生労働白書」のタイトルは「健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年~」となったとのことである。現時点で日本人の平均寿命と健康寿命には男性で約9年,女性で約13年の開きがあり,この差を短くすることが,医療費や 介護費を減らすことにつながると指摘し,生活習慣病を予防するために,特定健診(メタボ健診)やがん検診の受診率向上が有効だとしている。なお,2013年度から始まった「健康日本21(第2次)」でも取り組みがなされている。
→「健康寿命」とは,2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念で,「日常的に介護を必要とせずに自立した生活ができる生存期間のこと」をいう。厚生労働省は,平均寿命と健康寿命との差を,日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味すると説明し,健康寿命が伸びれば,個々人の生涯医療費の抑制につながり,医療費削減に貢献できるという論法を用いるが,科学的な根拠を示していない。
→一方,「健康長寿であっても,いずれは医療機関にかかることになり,必ずしも医療費抑制につながらない」,「健康寿命が長い者とは,自分で排せつ,食事が可能であっても,疾病と共存し,薬漬けの毎日を送っている可能性があり,医療費抑制に結び付かない」などの有力な指摘がある。
→また,例えば,「喫煙」による健康被害は,国内外の多数の科学的知見により因果関係が確立している。したがって,「煙草」が健康寿命の短縮と医療費の増大をもたらしていることは明白であるが,「たばこ税」ほしさに,本気で喫煙を無くすつもりはないらしく,「健康日本21(第2次)」でも,寿命を縮める有力候補を「喫煙」としているだけである。とにかく,医療費・介護費や医療費・介護費削減に関しては,行政からの嘘くさい説明が多い。(筆者)

8/2 厚生労働省 「第27回 社会福祉士国家試験の施行について 」および「第17回 精神保健福祉士国家試験の施行について 」 ・2014年8月1日,厚生労働省は,「第27回 社会福祉士国家試験 」および「第17回 精神保健福祉士国家試験 」の実施について官報で公告した。
「第27回社会福祉士国家試験の施行について」 (8月1日発表)

 試験日程
◎『受験の手引』の請求  :7月11日~。8月1日以降に順次発送
◎受験書類の受付期間  :2014年9月4日(木)~10月3日(金)
◎筆記試験日       :2015年1月25日(日)
◎発表日          :2015年3月月13日(金)


 試験科目(150問)
【試験科目(共通)】・・・83問
①人体の構造と機能及び疾病(7問)
②心理学理論と心理的支援(7問)
③社会理論と社会システム(7問)
④現代社会と福祉(10問)
⑤地域福祉の理論と方法(10問)
⑥福祉行財政と福祉計画(7問)
⑦社会保障(7問)
⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
⑩保健医療サービス(7問)
⑪権利擁護と成年後見制度(7問)

【試験科目(専門)】・・・67問
①社会調査の基礎(7問)
②相談援助の基盤と専門職(7問)
③相談援助の理論と方法(21問)
④福祉サービスの組織と経営(7問)
⑤高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)
⑥児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)
⑦就労支援サービス(4問)<⑧と同じ群>
⑧更生保護制度(4問)<⑦と同じ群>

 試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
坂田周一
副委員長
秋元美世,小笠原浩一,萱場一則,後藤隆,副田あけみ,高橋紘士,橋本宏子,前橋信和
委員
相原佳子,圷洋一,明渡陽子,朝日雅也, 荒井浩道,石川正興,石田道彦,石橋敏郎,井村修,岡田まり,尾形裕也,加山弾,北本佳子,倉田康路,小山充道,佐藤弥生,潮谷恵美,生島浩,嶋崎尚子,新保美香,杉野昭博,杉野勇,杉森伸吉,高木憲司,高野和良,高野龍昭,玉野和志,綱川晃弘,中田知生,中谷陽明,長友祐三,難波利光,西田和弘,狭間香代子,原元彦,平田厚,府川哲夫,福田素生,福富昌城,福原宏幸,藤井賢一郎,伏見惠文,保正友子,増田雅暢,松尾睦,松端克文,丸谷浩介,道中隆,宮岡佳子,椋野美智子,村社卓,森川美絵,森田明美,柳田正明,矢野聡,矢原隆行,山本真実,横山豊治,和気純子,綿祐二

「第17回精神保健福祉士国家試験の施行について」 (8月1日発表)

 試験日程
◎『受験の手引』の請求  :7月11日~。8月1日以降に順次発送
◎受験書類の受付期間  :2014年9月4日(木)~10月3日(金)
◎筆記試験日       :2015年1月24日(土)および1月25日(日)
◎発表日          :2015年3月月13日(金)


 試験科目(163問)
【試験科目(共通)】・・・83問
①人体の構造と機能及び疾病(7問)
②心理学理論と心理的支援(7問)
③社会理論と社会システム(7問)
④現代社会と福祉(10問)
⑤地域福祉の理論と方法(10問)
⑥福祉行財政と福祉計画(7問)
⑦社会保障(7問)
⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
⑩保健医療サービス(7問)
⑪権利擁護と成年後見制度(7問)


【試験科目(専門)】・・・80問
①精神疾患とその治療(10問)
②精神保健の課題と支援(10問)
③精神保健福祉相談援助の基盤(15問)
④精神保健福祉の理論と相談援助の展開(25問)
⑤精神保健福祉に関する制度とサービス(12問)<⑥と同じ群>
⑥精神障害者の生活支援システム(8問)<⑤と同じ群>


 試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
鹿島晴雄
副委員長
伊藤真人,菅野庸,住友雄資,髙橋紘士,田中英樹,古屋龍太(前年度は委員)
委員
相原佳子,青木聖久,
圷洋一,明渡陽子,荒井浩道,石田道彦,石橋敏郎,伊東秀幸,今村浩司,井村修,岩本操,大久保善朗,尾形裕也,影山隆之,勝又陽太郎,加山弾,倉知延章,小山充道,佐藤光正,嶋﨑尚子,白石弘巳,杉野昭博,杉森伸吉,鈴木孝典髙木憲司,高野和良,竹島正,玉野和志,茶屋道拓哉 ,辻井誠人,豊嶋良一,長崎和則,中田和生,長友祐三,長沼葉月,中村和彦,難波利光,西田和弘,橋本みきえ,原元彦,平田厚,府川哲夫,福田素生,福富昌城,福原宏幸,伏見惠文,保正友子,松岡克尚,松端克文,松本すみ子,丸谷浩介,道中隆,宮岡等,宮岡佳子,森川美絵,柳田正明,矢野聡,山野尚美,吉川公章,四方田清
8/1 厚生労働省 「2013年簡易生命表の概況」 ・2014年7月31日,厚生労働省は,「2013年簡易生命表の概況」を公表した。
・「2013年簡易生命表」によれば,男性の平均寿命は 80.21年,女性の平均寿命は 86.61年となり,主な年齢の平均余命では,男女とも全年齢で前年を上回っている。平均寿命が延びたのは,性・年齢別にみた死亡状況の改善によるもので,死因別にみると,悪性新生物,心疾患(高血圧性を除く),脳血管疾患及び肺炎の死亡状況の改善が大きい。

→2012年9月の「高齢社会対策大綱」において,高齢者は社会の「支え手,担い手」として,明確に位置づけられた。基本的考え方として,①「高齢者」の捉え方の意識改革,②老後の安心を確保するための社会保障制度の確立,③高齢者の意欲と能力の活用,④地域力の強化と安定的な地域社会の実現,⑤安全・安心な生活環境の実現,⑥若年期からの「人生90 年時代」への備えと世代循環の実現,が明記されている。
→2014年5月の「経済財政諮問会議」の「選択する未来委員会 人の活躍ワーキング・グループ」において,「高齢者の働き方・生活」に関する論点」として,①労働力人口が減少し,その年齢構成が高齢化していく中で,年齢にかかわらず働くことができる社会,②高齢者が健康で生きがいを持って安心して暮らせる社会,が提起されている。
→筆者は,日本の「高齢社会対策」における問題点は,①国民の当事者意識のなさ,②現実の変化と個人の意識・価値観とのズレ,にあると考える。いくら,高齢化のデータを示し,有識者同志で議論し,りっぱな方針を立てたとしても,国民を置いてけぼりにし続ければ,現実の急激な変化と国民の認識のズレの修正が難しくなるだけである。
→2010年に逝去されたロバート・バトラー博士は,1969年に「エイジズム」という「新しい概念を提起し,「Productive Aging」を「長生きの価値はその長さにあるのではなくて,それがどのように活用されるかにある」と定義された。国民的な議論の手がかりになると思われるこんな基本的なことも,多くの国民は知らされていない。(筆者)

→●7/1
(■「2014年版 高齢社会白書」(概要 / 本文))の記事を参照
7/31 - ■2014年7月18日,最高裁は「永住外国人は生活保護法の対象外」と判決した ・2014年7月18日,永住外国人が生活保護法の対象となるのかが焦点となっていた裁判で,福岡高裁の判決を破棄し,最高裁は,外国人には生活保護法に基づく生活保護の受給権がないとの初めての判断を下した,と報道された。
<今回の最高裁判決のポイント(新聞情報より)>
◎厚生労働省の従来からの行政解釈・運用を肯定した
①永住外国人の生活保護は継続する
・厚生労働省の従来の行政解釈・運用を肯定し,今後も行政措置として永住外国人の生活保護は実施する
②訴訟により解決する余地がある
・法的権利が否定されても,訴訟による解決の余地を残す
③難民条約と整合する
・難民条約第23条の「自国民に与える待遇と同一の待遇を与える」規定と整合性がある

→従来からの「永住的外国人等」に対する行政解釈および運用は,以下の通りである。
(行政解釈)
・1950年施行の「現行生活保護法」は,日本国憲法第25条を受け,「国民」は日本国籍を有する者とし,その権利主体である旨を定めたことから,政府は一貫して外国人がその適用の対象ではない旨の行政解釈をしてきた。
(運用)
・1950年6月18日の「生活保護法における外国人の取扱に関する件」(通知)・・・自治体の裁量大
・1954年5月8日の「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(通知)・・・自治体の裁量小
・2009年3月31日の「生活保護問答集について」(事務連絡)・・・生活保護の決定実施の取扱いに準じた行政措置の対象を原則「永住的外国人」に限定し,永住的外国人以外でも人道上やむを得ない場合には自治体の裁量での保護の余地あり
→近時の生活保護制度に関する法的な動向は,以下の通りである。
・2014年7月に施行された「改正生活保護法」により,生活保護から抜けるときには「就労自立給付金」が支給されることになった。また,生活保護の一歩手前で,求職活動を行う失業者への家賃補助や自治体による相談窓口の開設と就労支援などを柱とする「生活困窮者自立支援法」が成立し,2015年4月から施行される。こうした法整備の背景には,生活保護の受給者は,従来は,高齢者・障害者・母子家庭に多かったが,近年の目立った傾向として,20代~50代の勤労世代に増えていることがあるとされている。
→近時の「生活保護と最低賃金」の逆転現象に関する話題である。
・政府は2008年度から逆転現象の解消に乗り出していたが,現在まで逆転現象が解消できなかった。2014年7月29日に,厚生労働相の諮問機関である「中央最低賃金審議会」が,全国平均で時給16円増の780円とする目安をまとめ,厚生労働大臣に答申したことにより,現在,最低賃金で働いた場合の手取り収入が生活保護支給水準を下回る「逆転現象」が5都道県(北海道,宮城,東京,兵庫,広島)で起きているが,引き上げ実施で全ての逆転が解消されることになった。
→筆者は,日本の現行生活保護制度を,毎年約3兆7,000億円もの血税を浪費し,給付するかしないかの2者択一の画一的で安易な判断により,不正受給がしやすく,本当に保護が必要とされる人には届かない,ザルのような制度になっていると理解している。日本国民からの信頼を得るためには,効果の薄い生活保護費の過多や不正受給策の議論にうつつを抜かすのではなく,例えば,アメリカのようなきめの細かい「貧困対策プログラム」などを参考にした,より良い生活保護制度にするための抜本的改革案が必要になると考える。蛇足であるが,2005年4月の日本社会福祉士会の「生活保護制度の見直し及び制度運用の在り方と自立支援に関する意見について」において,『このたび,「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告」として,・・・・現実的で画期的な運用が行われていることに謹んで敬意を表します。』との文章から,「穏健」という受け止めではなく,「どれだけ卑屈なんだ」と憤りを感じたことを思い出した。また,2013年3月18日の日本社会福祉士会・日本社会福祉士養成校協会の「新たな生活困窮者対策に関する要望」における,『社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の報告を踏まえ,その実行に向け,法整備等の準備を進められていることに敬意を表します。」とのおもねった文章を見ても,「やっぱり」と思っただけだった。(筆者)
7/30 厚生労働省 「2014年度 保健師中央会議」 ・2014年7月29日,厚生労働省は,「2014年度保健師中央会議」(テーマ:「地域における健康づくりの更なる推進に向けて~戦略的な保健師の活動の展開と担うべき役割・体制づくり~)を開催し,会議資料を公表した。
<会議での「主な行政説明」>
「健やか親子21(第2次)」と母子保健計画について
「難病患者医療法」について
生活保護受給者の健康管理支援等について
精神保健福祉行政について(改正精神保健福祉法と長期入院精神障害者の地域移行)
介護保険制度の改正について(地域包括ケアシステムの構築関連)

→2014年度ケアマネ試験および3福祉士国家試験受験者には,上記の「④精神保健福祉行政について」および「⑤介護保険制度の改正について」の理解は必須である。(筆者)
7/28 - 「Making Mental Health Count」(OECD) ・2014年7月27日,先進34か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は,各国の精神医療に関する報告書(「Making Mental Health Count」)を公表した。
<報告書における問題点の提起と総評>
日本の精神医療制度は,OECD 諸国の中で,精神病床の多さと自殺率の高さなど悪い意味で突出している。OECD のほとんどの国では,病院から地域へ医療を移行する「脱施設化」が主要な傾向となっている。日本は,この脱施設化の傾向が遅れており,精神病床数はいまだにOECD 諸国で最も多く,OECD 平均は10万人当たり68床であるところ,日本は269床である。これらの日本の病床の一部は,他のOECD 諸国では精神病床に含まれない「長期入院病床」であることに留意する必要がある。また,日本の自殺率は,1990年代半ば,アジア経済危機の頃に急激に上昇した後,横ばいとなっており,2000年から2011年の間には6.3%減少した。それでも自殺率はOECD平均の10万人当たり12.4人と比べて日本は20.9人であるため,明らかに要注意である。
さらに,日本がうつ病や不安神経症などの軽度または中等度の精神疾患にも注意を向けるべきである。他のOECD諸国では,総合医がこれらの精神疾患の治療を主に担っているが,日本のプライマリ・ケア制度は発展途上にある。日本はオーストラリアやイギリス,ノルウェーで行われているように,心理療法を中心として,軽・中等度の患者のためのエビデンスに基づく広く行き渡った治療プログラムの作成を検討するべきである。
なお,日本の精神医療は他国に比べて「脱施設化」が遅れているが,いくつかの進展も見られるとしている。近年,明らかに日本は精神医療制度の改善に向けて努力してきている。精神医療に関する法制度の改革と併せて,日本は,政策目的の推進のために精神医療提供者への支払いのあり方も変えてきた。2014年春の診療報酬改定では,例えば退院支援のための精神保健福祉士の配置など,一定の要件を満たした医療提供者には診療報酬の加算が与えられる。

→本報告書では,厚生労働省が容認している,2014年7月14日に公表された長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」における「病棟転換型居住系施設」には触れられていない。OECDが,このような日本の姑息な施策を知ったときには,「日本の脱施設化」に対して,どういう評価を下すのだろうか。
→本報告書が指摘する,精神病床の多さ,自殺率の高さ,うつ病や不安神経症などの軽度または中等度の精神疾患治療の後進性は,日本の精神医療の根幹にかかわる重要なテーマである。(筆者)

→●7/15
(■「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」(概要 / 本文)),6/27(■「2014年版 障害者白書」(概要 / 本文))の記事を参照
7/24 厚生労働省 「特別養護老人ホームの論点」および「特定施設入居者生活介護等・養護老人ホーム・軽費老人ホームの論点」 ・2014年7月23日,厚生労働省は,「第104回社会保障審議会介護給付費分科会」の会議資料を公表した。
・2015年度介護報酬改定に向けて,介護福祉施設サービスおよび特定施設入居者生活介護等に関する論点などが示された。
<資料の構成>
(1)特別養護老人ホームについて

①特養の現状
②特養における医療提供の現状
③居住環境のあり方
④地域における特養の役割
⑤特養の内部留保
⑥2015年度介護報酬改定に向けた主な論点
(2)特定施設入居者生活介護等・養護老人ホーム・軽費老人ホームについて
①特定施設入居者生活介護等について
②養護老人ホーム・軽費老人ホームについて
③2015年度介護報酬改定に向けた主な論点


<2015年度介護報酬改定に向けた主な論点>
(1)特別養護老人ホームの主な論点

①現在,介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設については,医療関係職種の配置等に係る加算や,看取り介護加算が設けられているが,今後,中重度者を支える施設としての機能に重点化されること等に伴い,医療ニーズの高い入所者の増加が見込まれる中で,そうした入所者に対する適切なケアを行う観点から,配置医師や看護職員の勤務実態等も踏まえつつ,施設における医療提供体制や介護報酬上の評価の在り方をどのように考えるか。
②入所者の居住環境の改善を図る観点から,これまで,「個室ユニット型施設」の整備を推進し,新設のものを中心として一定の整備が進んできているが,一方で,一定数の自治体において,地域の実情に応じて多床室の整備が行われている実態に鑑み,多床室の居住環境を向上させる観点からも,プライバシーに配慮した多床室の在り方を検討する必要があるのではないか。
③2005年に居住費を利用者負担とした際,多床室については,居住環境を考慮して,室料を含まない光熱費相当分のみを居住費とする取扱いとされているが,今後の介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設における居住費の利用者負担の在り方をどう考えるか。
③特別養護老人ホームは,社会福祉法人等により設置される地域福祉の拠点として積極的に地域展開をし,地域貢献を行う必要がある。そのような中で,小規模多機能型居宅介護等との併設禁止や人員配置基準上の取扱い等についてどのように考えるか。
③「サテライト型」のみならず,「単独型」も増加している地域密着型介護老人福祉施設について,特に都市部等の地域における更なる整備を進めていくに当たり,どのような方策が考えられるか。
④介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設における様々な取組を評価する観点から,各種の加算を設けているところであるが,その算定状況にはバラツキがあるほか,2015年度より,施設への新規入所者が原則として要介護3以上に限定されることを踏まえ,報酬上の加算の在り方をどのように考えるか。


(2)特定施設入居者生活介護等・養護老人ホーム・軽費老人ホームの主な論点
①有料老人ホーム利用者の平均要介護度が上昇傾向にあり,認知症の入居者も多くなっているなどの実態が
あるが,特別養護老人ホームが中重度者を支える施設としての機能に重点化されることも踏まえ,「特定施設入居者生活介護等」における介護報酬上の評価のあり方についてどのように考えるか。
②「特定施設入居者生活介護等」については,2012年度にショートステイの利用を可能としたところであるが,現在の利用状況を踏まえて,合理的なサービス利用の拡大を図るために,本来の入居者による利用率を80%以上としている要件等のあり方についてどのように考えるか。
③「特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型)」については,「早めの住み替え」を想定し,必要に応じて外部サービスの利用を可能とする体制を実現する観点から2006年度に新たに設けられた枠組みであるが,養護老人ホーム以外の類型ではほとんど利用されていない現状を踏まえ,制度の在り方についてどのように考えるか。
④所得の低い方や介護ニーズ以外の面で生活困難を抱える高齢者が入所する養護老人ホームや軽費老人ホームは,今後とも地域において重要な役割を果たしていくべきものである。そうした中で,施設の持つ専門的支援機能(ソーシャルワーク)を活かし,地域の住民への相談支援・アウトリーチ機能や,地域の高齢者等の交流拠点機能の更なる強化を図るといった役割を担うことが期待されていることについてどのように考えるか。

→次回ケアマネ試験受験者には,介護福祉施設サービスおよび特定施設入居者生活介護等の現状や現在の論点を整理しておくことを勧める。(筆者)
7/23 厚生労働省 ■「2014年度 厚生労働省の組織目標及び局の組織目標 ・2014年7月18日,厚生労働省は,「2014年度 厚生労働省の組織目標及び局の組織目標」を公表した。
2014年度の「省および局の組織目標」
2014年度 省の組織目標 2014年度 局の組織目標
(1)厚生労働省の使命
・厚生労働省は,国民一人ひとりが,家庭,職場,地域等において,持てる力を発揮し,ともに支え合いながら,健やかに安心して生涯を送ることができるよう,社会保障政策・労働政策を通じて,将来にわたる国民生活の質の向上と社会経済の発展に寄与することをその使命とする。
(2)施策に関する目標
①東日本大震災への対応
②持続可能な社会保障制度の確立
③医療・健康・介護等
④安心できる年金制度の構築
⑤子ども・子育て支援等
⑥雇用・労働対策
⑦女性の活躍促進等(新規)
⑧障害者施策
⑨生活困窮者対策等(新規)
⑩国民生活の安全の確保等
⑪国際貢献
(3)組織運営に関する目標
①職員の意識改革等(新規)
②適切な人事評価・人材育成の推進
③業務改善・効率化,職場環境の改善等の推進
①大臣官房
②医政局
③健康局
④医薬食品局
⑤労働基準局
⑥職業安定局
⑦職業能力開発局
⑧雇用均等・児童家庭局
⑨社会・援護局
⑩老健局
⑪保険局
⑫年金局
⑬政策統括官(社会保障担当)
⑭政策統括官(労働担当)
⑮中央労働委員会事務局

→各省の権限は各省の「設置法」に規定されており,厚生労働省は「厚生労働省設置法」により規定されている。
→厚生労働省分割論の経緯である。橋本行政改革としての2001年の中央省庁再編によって,現在の「厚生労働省」という巨大官庁が誕生した。2009年当時,元麻生首相の厚生労働省分割論は,①社会保障省(年金,福祉,医療、介護など),②国民生活省(雇用,児童,少子化対策など)の2分割であった。また,当時の元舛添厚生労働大臣は,厚生労働省を①年金,②厚生,③労働の3分割にすべきと言っていたことを思い出す。当時は,衆議院選挙前の話題作りという要素もあったので,その後,厚生労働省分割論は霧散した。
→現在の肥大化した厚生労働省には政策課題が多すぎ,処理能力の限界を超えており,即応的な政策遂行機能が失われている。今年度に入って,内閣府も同様の状況にあることが新聞記事(日本経済新聞)で話題にされている。筆者は,遠からず,現在の中央省庁による弊害・支障が噴出し,中央省庁再編や厚生労働省分割を議論せざるをえない差し迫った局面を迎えるように思う。(筆者)

→●6/25
(■「第186回通常国会」で成立した福祉関連の法律)の記事を参照
7/22 厚生労働省 「2013年度 使用者による障害者虐待の状況等」 ・2014年7月18日,厚生労働省は,「2013年度 使用者による障害者虐待の状況等」を公表した。公表は,2012年10月1日から施行された「障害者虐待防止法」に基づき,2回目であり,2012年度は同法が施行された12年10月~2013年3月の半年間で虐待を受けた障害者数は206人であったが,2013年度は393人となっている。
<「2013年度 使用者による障害者虐待の状況等」のポイント>
①使用者による障害者虐待が認められた事業所 :253事業所
②虐待を行った使用者 :260人
(事業主215人,所属の上司29人,所属以外の上司2人,その他14人)
③虐待を受けた障害者 :393人
(知的障害292人,身体障害57人,精神障害56人,発達障害4人)
④使用者による障害者虐待が認められた場合に採った措置 :389件
(労働基準関係法令に基づく指導等341件,障害者雇用促進法に基づく助言・指導37件,男女雇用機会均等法に基づく助言・指導2件,個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導等9件)

→日本では,虐待の対応として「個別法」が制定されている。児童虐待防止法(2000年施行),DV防止法(2001年施行),高齢者虐待防止法(2006年施行),障害者虐待防止法(2012年施行)と法整備は進められてきた。法制化による虐待防止・解消への取り組みだけでは虐待はなくならないことぐらい誰にでも想定できる。
→また,2013年4月から障害者の法定雇用率を引き上げたが,安心して働ける職場の確保はしていない。
→日本では,法整備段階後の,次の段階へのシナリオを持たず,それぞれの分野で右往左往している状況にある。(筆者)


(参考)
「障害者虐待防止法」が始まります
7/18 文部科学省 「不登校に関する実態調査(2006年度不登校生徒に関する追跡調査報告書)」 ・2014年7月9日,文部科学省は,今後の不登校生徒への支援策の参考とするため,2006年度に中学3年生時不登校だった生徒の5年後を追った「不登校に関する実態調査報告書」を公表した。
調査結果の主な特徴>
(1)不登校の理由・受けていた支援等

①不登校の主な継続理由は,以下のとおり。
「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため(43.6%)」
「身体の調子が悪いと感じたり,ぼんやりとした不安があったため(42.9%)」
「いやがらせやいじめをする生徒の存在や友人との人間関係のため(40.6%)」
「朝起きられないなど,生活リズムが乱れていたため(33.5%)」
「勉強についていけなかったため(26.9%)」
「学校に行かないことを悪く思わないため(25.1%)」
②中学校3年生の時に受けていた主な支援
学校にいる相談員(スクールカウンセラー等) 34.0%,学校の先生 29.5%,病院・診療所 24.1%,学校の養護教諭 23.6%,教育支援センター(適応指導教室) 19.7%,民間施設(フリースクールなど) 8.8% ※ 何も利用しなかったと回答した者は 22.5%

(2)不登校の傾向分析
①不登校の継続理由から「無気力型」「遊び・非行型」「人間関係型」「複合型」「その他型」の5つに類型化することができる。
②不登校時期の分析により,一旦欠席状態が長期化するとその回復が困難である傾向が示されている。
③学校を休み始めた時期と長期化した時期との間にタイムラグが生じていることから,一定の「潜在期間」を経て不登校になることが推測される。
④不登校のきっかけと不登校の継続理由,中学校3年時にほしかった支援と現在必要とする支援との間の関連性は,非常に強い。

(3)調査時現在までの進路
①20歳現在の就学・就業状況
就業のみ 34.5%,就学のみ 27.8%,就学・就業 19.6%,非就学・非就業18.1%
②中学校卒業後の高校進学状況
高校進学率 85.1%,高校中退率 14.0%
③20歳現在の就学先
大学・短大・高専 22.8%,高等学校 9.0%,専門学校・各種学校等 14.9%
④20歳現在の就業状況
正社員 9.3%,パート・アルバイト 32.2%,家業手伝い・会社経営 3.4%

→不登校者のうち,高校進学者が85%,現在の就業・就労者は82%で,現在に至るまで受験や就労に関して「苦労はまったくなかった」が46%の最多で,かつて不登校であったことが現在の状態にマイナスの影響を与えているかについて聞いたところ「マイナスは感じていない」が40.3%の最多であった。また,「支えとなるアドバイスをくれた人」では最多が「母親」であった。・・・・・とのことである。
→不登校への一般的なイメージとは異なる結果が現れた。マスメディアに露出している多くの「教育の専門家」が,いかにいい加減なことを言っているかが理解できた。同様に,筆者は,福祉・介護の分野においても,実態調査をきちんとしたら,したり顔の多くの「福祉・介護の有識者や専門家」の化けの皮がはがれる結果になるのではないかと想像している。(筆者)


(参考)
「不登校」(文部科学省)
7/17 厚生労働省 「2013年度 よりそいホットライン報告書」 ・2014年7月15日,厚生労働省は,「一般社団法人 社会的包摂サポートセンター」における「2013年度 よりそいホットライン報告書」を公表した。
・「よりそいホットライン」とは,東日本大震災後の社会不安の高まりを受けて2012年3月11日よりスタートしたもので,厚生労働省および復興庁の補助金を受けた「一般社団法人 社会的包摂サポートセンター」が,24時間365日つながる無料の電話相談窓口を設置し,電話による相談を受けて悩みを傾聴するとともに,必要に応じ,面接相談や同行支援を行い,具体的な問題解決に繋げる寄り添い支援を行う事業である。
「よりそいホットライン」の電話のかけ方
●0120-279-338に電話し,音声ガイダンスに従う。
●カテゴリーは以下の5つで,番号で選択できる。

①生活や暮らしに関する相談
②外国語による相談 (Helpline for Foreigners)

・英語,中国語,韓国・朝鮮語,タガログ語,タイ語,スペイン語,ポルトガル語
③性暴力,ドメスティックバイオレンスなどの女性の相談
・月・水・土の22時~翌朝10時は10代,20代の女性の相談も受け付け
④性別や同性愛に関わるご相談
⑤死にたいほどのつらい気持ちを聞いて欲しい

→福祉専門職には,参考となる報告書である。(筆者)


(参考)
「一人ぼっちのあなたへ~生きづらさを抱えた時に~」(NHKにリンクしています)
7/16 厚生労働省 「2013年 国民生活基礎調査の概況」 ・2014年7月15日,厚生労働省は,「2013年 国民生活基礎調査の概況」を公表した。
・国民生活基礎調査は,厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得ることを目的とするもので,1986年を初年として3年ごとに大規模調査,中間年は簡易調査を実施し,2013年は,第10回目の大規模調査である。
<「2013年 国民生活基礎調査の概況」の構成>
(1)世帯数と世帯人員数の状況

①世帯構造及び世帯類型の状況
②65歳以上の者のいる世帯の状況
③65歳以上の者の状況
④児童のいる世帯の状況
⑤15歳以上の者の就業の状況
(2)各種世帯の所得等の状況
①年次別の所得の状況
②所得の分布状況
③世帯主の年齢階級別の所得の状況
④児童のいる世帯の所得の状況
⑤所得の種類別の状況
⑥貯蓄,借入金の状況
⑦貧困率の状況
⑧生活意識の状況
(3)世帯員の健康状況
①自覚症状の状況
②通院者の状況
③健康意識
④悩みやストレスの状況
⑤こころの状態
⑥睡眠と休養充足度の状況
⑦飲酒の状況
⑧喫煙の状況
⑨健診(健康診断や健康診査)や人間ドックの受診状況
⑩がん検診の受診状況
(4)介護の状況
①要介護者等のいる世帯の状況
②要介護者等の状況
③主な介護者の状況
④同居の主な介護者の悩みやストレスの状況
⑤介護サービスの利用状況
⑥介護者の組合せの状況

→2013年調査において,注目されるのは,2012年の「相対的貧困率」が16.1%と1985年以降最悪で,17歳以下の「子どもの貧困率」は16.3%と初めて全体の貧困率を上回ったことである。これは,非正規雇用の増加による所得減少や低所得の単身高齢者の増加が影響している,とみられている。なお,2014年1月17日に施行された「子どもの貧困対策推進法」に基づく大綱は,近く閣議決定されるとみられている。また,単独世帯の増加に伴って,2013年の「1世帯の平均人数」は2.51人で過去最低となり,65歳以上の高齢者が65歳以上を介護している世帯の割合は51.2%と初めて半分を超えたことにより,「老老介護」の進行が明らかになった。
→「国民生活基礎調査の概況」は,3福祉士国家試験では頻出である。筆者は,大規模調査である「2010年」と「2013年」を比較して,見ておくことを勧めたい。(筆者)

7/15 厚生労働省 「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」(概要 / 本文 ・2013年6月5日に成立した「改正精神保健福祉法」に基づいて,「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」によって取りまとめられ,2014年3月7日に策定された「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」において検討課題とされた「地域の受け皿づくりの在り方等に係る具体的な方策」は,2014年7月14日に,「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」から「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」として取りまとめられ,公表された。
・今後、本取りまとめで示された方向性を踏まえ,方策の具体化に取り組むとものされている。

「この病を受けたる不幸に,この国に生まれたる不幸を重ねるものなり」は,明治政府の精神障害者への「非人間的な措置」に対する呉秀三の言葉である。
→筆者は,本取りまとめにより,日本は,人権侵害国家として重ねて国際社会から非難を浴び続けることが確定的になったと考える。厚生労働省に魂を売った「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会メンバー」「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会メンバー」は,「歴史を学ばぬ愚か者」として後世に語り継がれ,記憶にとどめられるべきである。また,精神保健福祉士は,権力に抗しきれない状況に置かれているとしても,良識あるPSWとして行動し,専門性に忠実であり続けなければならないと思う。(筆者)

→●6/27
(■「2014年版 障害者白書」(概要 / 本文))の記事を参照
7/11 総務省統計局 「最新の公表データ」 ・総務省統計局のホームページ上に「最新の公表データ」が掲載されている。
<2014年7月11日時点での「最新の公表データ」>
日本の人口 1億2709万人(2014年6月1日現在)
消費者物価指数 3.7%(2014年5月)
完全失業率 3.5%(2014年5月)
消費支出 -8.0%(2014年5月)
日本の企業 4,128,21(2012年2月)
日本の事業所 5,768,48(2012年2月)

→その他,総務省統計局のホームページには,「政府の総合統計書」として,以下のものが掲載されている。
日本統計年鑑
Statistical Handbook of Japan(英文で日本を紹介している)
日本の統計
世界の統計
社会生活統計指標-都道府県の指標-
PSI(ポケット統計情報)
統計でみる都道府県のすがた
日本の長期統計系列(明治初期からの時系列データ)
統計でみる市区町村のすがた
→利用する機会はめったにないと思われるので,この際に当該ホームページの閲覧を勧めたい。(筆者)
7/9 厚生労働省/警察庁 『「脱法ドラッグ」に代わる呼称名を募集します』

(7/22追記)
「脱法ドラッグ」に代わる新呼称名を選定しました
・2014年7月4日,厚生労働省は,警察庁とともに,いわゆる「脱法ドラッグ」について,これらが危険な薬物であるという内容にふさわしい呼称名を募集した。
・意見募集期間は,2014年7月5日(土)から7月18日(金)までの間(消印有効,送信分まで)である。

→本日,「やまだ塾」は,以下の呼称案と意見内容をメールで送信した。
(呼称案)
①准麻薬または準麻薬
②脱法麻薬
③強毒性ドラッグ
④中毒性ドラッグ
(意見)
・2005年9月22日の「第5回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」において,『「脱法ドラッグ」という呼称は誤解を与えかねないので「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)」とすることが適当である』とする結論を尊重せずに,その後,「脱法ドラッグ」として呼称を国民に定着させた責任は厚生労働省と警察庁の双方にあると思う。
・今回,厚生労働省と警察庁が共同して,「呼称変更」を国民に呼びかけるのは,合理的であるが,国民への募集期間が短すぎる。
・選定方法が不明確なので,警察庁とは別に警視庁が勝手にやった「母さん助けて詐欺」の呼称変更のときと同じように,国民から「出来レース」や「アリバイ作り」と思われても仕方がない。
・先進諸国でも,同様の問題があると聞いているが,その詳しい情報を国民にも知らせるべきである(ちなみに,国連では「NPS」と呼んでいるらしいが)。(筆者)
7/8 厚生労働省 「社会福祉法人制度の在り方について(報告書)」 ・2014年7月4日,厚生労働省は,「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」(座長:田中慶應義塾大学名誉教授)の「社会福祉法人制度の在り方について(報告書)」を公表した。
・今後,厚生労働省は,本報告書の具現化に向けて「社会保障審議会福祉部会」を夏にも開催し,「社会保障審議会」において具体的な制度の内容を2014年内に決定し,2015年の通常国会に「改正社会福祉法案」を提出する予定とされている。

→社会福祉法人は,1951年に制定された「社会福祉事業法」(現「社会福祉法」)により創設された法人で,社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人である(社会福祉法第22条)。社会福祉法人制度については,措置から契約へとかじを切り,運営も弾力化した2000年の「社会福祉基礎構造改革」以降,大きな見直しは行われていない。その間,社会福祉法人を取り巻く状況は大きく変化し,現在,内部留保の問題や株式会社とのイコールフッティングなどで厳しい批判を受けている。
→2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」や「規制改革実施計画」において,効果的な財務諸表の公表などが盛り込まれ,2013年8月の「社会保障制度改革国民会議報告書」では,地域貢献や法人規模の拡大などが求められている。これを受けて,2013年9月に,厚生労働省において「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」が設置された。
→今回の報告書では,社会福祉法人制度見直しにおける論点として,「地域における公益的な活動の推進」,「法人組織の体制強化」,「法人の規模拡大・協働化」,「法人運営の透明性の確保」,「法人の監督の見直し」が示された。例えば,「2014年度以降,財務諸表の公表を義務化する」としているが,毎年,社会福祉法人全体に地方自治体と国をあわせてどのくらいの税金が投入されているのかというデータを厚生労働省が把握していないし,そのデータを取るつもりもないという現状を知るとアホらしくなってくる。
→今年から,朝日新聞に連載されている「報われぬ国 負担増の先に」の社会福祉法人関係の記事を読んだ。「社会福祉法人」の関係者を集めた検討会で関係者にヒアリングをした結果を踏まえた報告書を読んでみて,政府や行政は,「社福法人の売買が横行 理事長ポスト,数億円」,「社福利権,飛び交う金 園長の座購入 息子継げる」,「社福,親族企業に利益 行政,監視不十分」,「社福と地方政治 選挙買収,理事長が暗躍」,「社福県議 票とカネ,支える福祉」という腐りきった実態を本気で解決する意思がないことが分かった。(筆者)
7/5 厚生労働省 「第27回 介護福祉士国家試験の施行について」 ・2014年7月4日,厚生労働省は,第27回「介護福祉士国家試験」の実施について官報で公告した。
試験日程
◎受験書類の受付期間  :2014年8月6日~9月5日
◎筆記試験日       :2015年1月25日(日)
◎実技試験日       :2015年3月1日(日)
◎発表日          :2015年3月月26日(木)


筆記試験科目(120問)
(午前) 10時00分~11時50分
①人間の尊厳と自立(2問)<④と同じ群>
②人間関係とコミュニケーション(2問)<⑤と同じ群>
③社会の理解(12問)
④介護の基本(16問)<①と同じ群>
⑤コミュニケーション技術(8問)<②と同じ群>
⑥生活支援技術(20問)
⑦介護過程(8問)
(午後) 13時45分~15時25分
⑧発達と老化の理解(8問)
⑨認知症の理解(10問)
⑩障害の理解(10問)
⑪こころとからだのしくみ(12問)
⑫総合問題(12問)


試験委員一覧(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長 
根本嘉昭
副委員長
朝倉京子,臼井正樹,遠藤英俊,川井太加子,川手信行,谷口敏代,峯尾武巳,山野英伯
委員(筆記)
天野由以,飯干紀代子,伊藤秀一,稲谷ふみ枝,井上善行,岩井惠子,梅垣宏行,
梅本旬子,大原昌樹,岡京子 ,小川純人,奥田都子,小倉毅,小澤温,笹原幸子,叶谷由佳,岸川洋治,北村世都,藏野ともみ,小池竜司,小林理,五味郁子,櫻山豊夫,澤宣夫,鈴木聖子,田口潤,竹内美幸,辻哲也,津田理恵子,東海林初枝,永井優子,中村大介,服部英幸,鳩間亜紀子,花畑明美,阪東美智子,平野方紹,廣瀬圭子,柊崎京子,本名靖,山田幸子,吉浦輪,吉賀成子
委員(実技)・・・-割愛

試験センターからの注意事項
第27回介護福祉士国家試験から,筆記試験において、図・表・イラスト・グラフを用いた試験問題を出題することがある。(7月4日)
第27回介護福祉士国家試験,『受験の手引』の発送は,都合により,7月中旬以降に順次発送を延期し,開始することとなった。(6月30日)
 参考情報
「2014年度 介護技術講習会実施予定表」
「介護福祉士国家試験の出題範囲等の今後の在り方について(報告書)」(2013年12月16日)

→2014年6月30日に,「第27回介護福祉士国家試験」の『受験の手引』の発送について,『7月4日から発送を開始する予定でしたが,都合により,7月中旬以降に順次発送を開始することとなりました。既にご請求いただいた皆様には,大変申し訳ございませんが,しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。』が試験センターのホームページに掲載された。民間企業であれば,この程度の文面の連絡では済まされない。
→出題に関して,大きな変更が発表された。2014年7月4日に,試験センターのホームページ上で,『第27回介護福祉士国家試験から,筆記試験において,図・表・イラスト・グラフを用いた試験問題を出題することがあります。』と掲載された。(筆者)
7/4 内閣府 「2014年版 子ども・若者白書」(概要 / 本文 ・2014年6月3日,内閣府は,「2014年版 子ども・若者白書」を公表した。
・「子ども・若者白書」は,子ども・若者育成支援推進法に基づくき,2010年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<2014年版 子ども・若者白書」の構成>
第1部 子ども・若者の状況
特集 今を生きる若者の意識~国際比較から見えてくるもの
第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第1章 子ども・若者育成支援施策の総合的・計画的な推進
第2章 全ての子ども・若者の健やかな成長の支援
第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援
第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備
第5章 今後の施策の推進体制等

→今回の特集において,「内閣府が実施した,日本を含めた7か国(日本,アメリカ,英国,ドイツ,フランス,スウェーデン,韓国)の満13~29歳の若者を対象とした「2013年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果からみえる,日本の若者の意識の特徴を,①自己認識,②家庭,③学校,④友人関係,⑤職場,⑥結婚・育児の6つの項目から分析し,子ども・若者育成支援施策に対する示唆を考察する」としている。
→今回の意識調査において,内閣府や日本のマスメディアがセンセーショナルに取り上げたのは,「自分自身に満足している」と回答した者は,他国は全て70%を超えているのに日本は最下位の45.8%であったことと,「将来に明るい希望を持っている」と回答した者は,他国は全て80%以上あるのに日本は最下位の61.6%であったことである。つまり,日本の若者は「自尊心が際立って低く」「将来に対する希望がない」というネガティブな結果だけを殊更に取り上げて広報し,報道した。日本人は,アンケート等においては,社会規範意識の高さからくる謙虚さによって,「控えめ」な回答をする傾向にあり,意思を明確に表現したがらず,どちらかといえば長所ではなく欠点を見出すような傾向があることはよく知られていることである。そういう要素を加味して分析する必要があると思う。。
→筆者は,こういうネガティブな結果を踏まえて,「今後,新たな大綱を検討する」のではないかと勘繰っている。2013年8月に公表された「2013年版 厚生労働白書~若者の意識を探る~」における,「現代の若者は厳しい時代を生きているが,その大半が現状を悲観しているというわけではなく,現在の生活には満足している者が多い。一方で,日本の未来に関しては,財政や社会保障,経済,雇用などに対する不安を理由として悲観的な見方が強い。しかし,日本の未来に自分も何かしら貢献したいと考える若者が多い。」という分析結果には目を通し,連携を取り,縦割り行政にならないようにしていただきたいと思う。(筆者)


(参考)
子ども・若者育成支援施策関係予算(2013年度~2014年度)
7/3 内閣府 「2014年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・2014年6月3日,内閣府は,「2014年版 自殺対策白書」を公表した。
・「自殺対策白書」は,自殺対策基本法第10条の規定に基づき,我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況について,政府が毎年,国会に提出する年次報告書である。
<「2014年版 自殺対策白書」の構成>
第1章 自殺の現状

第1節 自殺の現状
第2節 特集(自殺死亡率の分析)
第2章 自殺対策の基本的な枠組みと実施状況
第1節 自殺対策の基本的な枠組み
第2節 2013年度の自殺対策の実施状況

→2015年は,自殺対策基本法の施行から10周年に当たるが,この間の「自殺対策」は,まったく成果を上げられなかった。日本の自殺対策が失敗したのは,内閣府が集めた自殺対策関連」の検討会等のメンバーに責任がある,と筆者は考える。責任は追及され,負わなければならない。これを放置し続けるということは,国際社会において笑いものになり続けるということである。日本の状況の深刻さは,国民に正しく伝えられていない。
区分 期間 会議体の構成員名簿
現行の会議体 2006年11月~ 自殺総合対策会議
2012年9月~ 自殺対策の機動的推進のためのワーキングチーム
2013年9月~ 自殺対策官民連携協働会議
2013年8月~ 自殺対策検証評価会議
過去の会議体 2011年11月~2012年7月 官民が協働して自殺対策を一層推進するための特命チーム
2010年9月~2012年2月 自殺対策タスクフォース
2008年2月~2012年8月 自殺対策推進会議
2006年11月~2007年4月 自殺総合対策の在り方検討会
→本気で「問題解決のイノベーション」を起こせる人材は現在の本流(NPOも含めて)にはいない。
→以前,このカテゴリーで紹介したことがあるが,映画『Saving 10,000 - 自殺者1万人を救う戦い』を参考までにご覧いただきたい。(筆者)


(参考)
自殺対策関連予算(2012年度~2014年度)
7/2 内閣府 「2014年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 ・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 男女共同参画白書~変わりゆく男性の仕事と暮らし~」を公表した。
・男女共同参画白書は,男女共同参画基本法に基づき,政府が毎年,国会に提出する年次報告書である。
<「2014年版 男女共同参画白書」の構成>
(1)2013年度男女共同参画社会の形成の状況
特集 男女共同参画社会の形成の状況
(2)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2013年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2013年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

→「男女共同参画社会基本法」の文言を確認する。
「男女共同参画社会基本法」の抜粋
『少子高齢化の進展,国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で,男女が,互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は,緊要な課題となっている。』
→今年初めに,埼玉大学名誉教授であり,NHK経営委員でもある長谷川三千子氏の2014年1月6日付の産經新聞に寄せたコラム「年頭にあたり 「あたり前」を以て人口減を制す」(URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/
news/140106/fnc14010603200000-n1.htm
)が話題になったことを思い出した。
→「女性の就業率が高い国は出生率も高い」,「男性の家事・育児分担が増えれば出生率は増える」という特殊なデータを基に,女性の社会進出が「少子化対策」になるとする奇妙な意見も未だに散見される。
→2014年6月24日には,安倍首相が「新成長戦略」の一環として「女性が輝く日本」を打ち出した。女性が輝くのは働きに出ることだけか,経済成長させるために女性を働きに出すのか,という素朴な疑問を抱いた国民は少なくないと思う。
→結論だけを言うと,筆者は,「男女共同参画社会」とは,性別にかかわらず個人の個性や能力を認め合う社会,個人の生き方の多様性が認められる社会であり,目指すべき社会であると考えるが,「男女共同参画白書」の論調に違和感を持つことが多い。(筆者)

7/1 内閣府 「2014年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2014年6月13日,内閣府は,「2014年版 高齢社会白書」を公表した。
・「高齢社会白書」は,高齢社会対策基本法に基づき,高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況および高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について,1996から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版 高齢社会対策白書」の構成>
●2013年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況
第1章 高齢化の状況
第2章 高齢社会対策の実施の状況
●2014年度 高齢社会対策
第1 2014年度の高齢社会対策
第2 分野別の高齢社会対策

→昨日の「少子化社会対策白書」の記事とも関連があるが,現在,「少子化」と「高齢化」という世代間の大きな課題が相互に関連し合いしながら,社会構造変化が起きている状況にあると一般的に受け止められている。当然に,2つの課題を解決するためには,「少子高齢化」とし,相互に干渉する複合・総合的な課題として受け止め,複合・総合的な政策がなければならないはずである。しかし,そうすることはお上にとって不都合であるため,今もって「少子化対策」は「少子化社会対策白書」で,「高齢化対策」は「高齢社会白書」で,各々の基本法に基づいて,毎年個別に政策の実施報告がされている。日本のマスメディアもお上にとって都合のいい情報を個別に流すだけである。
→2つの基本法の文言を確認する。
「高齢社会対策基本法」 (1995年制定)の抜粋
『我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり,遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれているが,高齢化の進展の速度に比べて国民の意識や社会のシステムの対応は遅れている。早急に対応すべき課題は多岐にわたるが,残されている時間は極めて少ない。』
「少子化社会対策基本法」 (2003年制定)の抜粋
『我らはともすれば高齢社会に対する対応にのみ目を奪われ,少子化という,社会の根幹を揺るがしかねない事態に対する国民の意識や社会の対応は,著しく遅れている。少子化は,社会における様々なシステムや人々の価値観と深くかかわっており,この事態を克服するためには,長期的な展望に立った不断の努力の積重ねが不可欠で,極めて長い時間を要する。急速な少子化という現実を前にして,我らに残された時間は,極めて少ない。』
→筆者は,2つの政策を有効なものとするためには,2つの基本法を統一して,「少子化社会対策および高齢社会対策基本法」を制定し,国家的戦略として,限りある財源を活用し,総合的な政策・施策を実施することが重要であると考える。(筆者)


(参考)
高齢社会対策関係予算分野別総括表(2013年度,2014年度)
6/30 内閣府 「2014年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 ・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 少子化社会対策白書(旧少子化社会白書)」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,少子化社会対策基本法第9条に規定する「少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策の概況に関する報告書」で,政府が毎年国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部

・第1章は「少子化の現状」として,基本的な統計資料等を用いて少子化の状況を紹介している。
・第2章は,「少子化対策の取組」として,これまでの少子化対策の主な取組み,2014年度の特集として「『子ども・子育て支援新制度』の施行に向けた取組」及び「最近の少子化対策」について掲載している。
第2部
・東日本大震災における被災等における対応を含めた2013年度に講じられた少子化社会対策について掲載している。

→2013年8月の「社会保障・税一体改革」に基づく「少子化対策」以降の経過である。
・2012年8月に成立した「子ども・子育て関連3法」に基づく「子ども・子育て支援新制度」は,社会保障・税一体改革の1項目として,消費税率の引き上げによる財源の一部を得て実施され,2015年度から本格施行が予定されている。
・2013年5月28日の「第1期少子化危機突破タスクフォース(取りまとめ)」を受け,6月7日に「少子化危機突破のための緊急対策」が決定された。これまで少子化対策として取り組んできた「子育て支援」「働き方改革」に加え,「結婚・妊娠・出産支援」を3本の矢として推進することとされた。これは,6月14に閣議決定された「骨太の方針」と「成長戦略」にも盛り込まれ,政府を挙げて少子化対策に取り組むこととされた。2013年11月28日の「緊急対策」を着実に実施するための「第2期少子化危機突破タスクフォース」の「政策推進チーム」による「少子化危機突破のための緊急提言」には,少子化危機突破基金の創設や次世代育成支援対策推進法の延長・強化,長時間労働の抑制等が盛り込まれた。2014年5月26日には,「第2期少子化危機突破タスクフォース(取りまとめ)」が提出された。
・2014年5月13日には,経済財政諮問会議が設けた『「選択する未来 委員会」(取りまとめ)』 が提言され,6月24日に閣議決定された「新骨太の方針」では,「新たな少子化対策の大綱」を2014年度中に策定し,「子ども子育て新支援制度」を2015年4月に施行する,としている。
→大失敗に終わったこれまでの少子化対策の反省も総括も不十分のまま,いろいろな会議体でこねくり回した挙句の「新骨太の方針」の「少子化対策」が,国家戦略として有効に機能する保証はない。従来の対策の延長線上にある「2013年度少子化社会対策関係予算」「2013年度補正予算案」の効果は明確にされず,「2014年度少子化社会対策関係予算」も小手先の施策の寄せ集めであり,「新骨太の方針」に盛り込まれ,「新たな少子化対策の大綱」が策定されたからと言っても,「2015年度少子化社会対策関係予算」に,十分な議論がされていない若者に対する将来の不安の解消策といった根幹にかかわる問題への対策・施策が計上されるはずもない。(筆者

→●5/26
(■少子化対策に関する近時の3提言)の記事を参照
6/27 内閣府 「2014年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 障害者白書」を公表した。
・障害者白書は,障害者基本法に基づき,1994 年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版障害者白書」の構成>
第1章

・2013年度の障害者施策の新たな展開として,2013年6月に制定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」,9月に策定した「障害者基本計画(第3次)」,2014年1月に批准した「障害者権利条約」について掲載している。
第2章
・施策推進の経緯と近年の動きとして,最初の基本法,国際障害者年,最初の長期計画から現在までの経緯,2011年の障害者基本法改正などについて掲載している。
第3章
・障害者の状況等について,各種統計より,全体状況(全体数,年齢別,性別)を掲載している。
第4章以降
・啓発・広報,国際協力,教育・育成,雇用・就労,生活安定のための施策,保健・医療施策,住みよいまちづくりのための安全・安心のための施策,情報アクセシビリティを向上するための施策について,最近の施策を中心に掲載している。

→現在,日本の精神医療福祉の大きな分岐点になるであろう精神科病院の「病棟転換型居住系施設問題」への対処が,福祉専門職に突き付けられている。福祉専門職として,自身の見解を持っていなければならない。これは,「認知症者」にも深く関連しているので,「精神保健福祉士」だけではなく,福祉専門職全員に関わる事柄であり,2014年1月に批准した「障害者権利条約第19条」に抵触する問題でもある。
→経緯を確認する。2013年6月の改正精神保健福祉法」により,「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」を策定することになり,新たに厚労省内に「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」が設置され,2013年12月18日に「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」がとりまとめられ,3月7日に「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」が策定・公表され,4月1日から適用されている。この指針において,検討課題とされた「地域の受け皿づくりの在り方や病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方」について,2014年3月28日から「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」を改称した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」で「病棟転換型居住系施設」が検討されてきた。
→精神科病院の「病棟転換型居住系施設」とは,「精神科病棟」を「居住系施設」に転換することである。国際的な批判を受けてきた日本の精神科病床数(2012年調査で,34万床,30万人超の入院)の見かけ上の削減と,同時に入院患者を手放さずに経営の維持ができるという姑息な考え方に基づくものである。
→筆者は,「病棟転換型居住系施設」は,日本精神科病院協会,厚生労働省,自民党の従来からの考え方に沿うものであり,理念もくそもない安倍政権においてこそ実現できるものであると思っている。長谷川杏林大学教授によれば,「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」において,「病棟転換型居住系施設」を言い出したのは,伊藤独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会精神保健研究部部長であり,その後下火になっていたが,大きく議論を動かしたのは岩上特定非営利活動法人じりつ代表理事の発言であり,それに続いて,河崎日本精神科病院協会副会長,千葉日本精神科病院協会常務理事(医療法人青仁会青南病院院長)が賛意を表明したとのことである。なお,伊澤特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会代表は反対を明確に表明している。
→筆者は,転換施設構想に賛意を示し,病棟転換型居住系施設」導入への流れを作ったのは,2013年10月17日の「第6回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」において,精神障害者の身近で生活を支えているNPOの事業者代表である岩上構成員だったことに恐ろしさを感じている。同時に,「病院で死ぬということと,病院内の敷地にある自分の部屋で死ぬことには大きな違いがある」との岩上氏の文書や発言には怒りを感じる。『「どこで死ぬのか」でなく,「どこで生き,どこで生活するのか」だ』という当事者やその家族の声がまったく聞こえていないということが理解できた。
→筆者は,この時期においても,社会的入院の解消をし,社会的復権を支援する専門職としての国家資格である「精神保健福祉士」の職能団体が明確な反対の態度を表明しないということは,「精神保健福祉士もその職能団体も日本社会には不要」ということと同義になると考えている。「精神保健福祉士」は,自らの専門性に忠実でなければならない。厚生労働省は,間もなく検討会で議論をまとめ,2015年度の予算や障害福祉サービスの報酬改定に反映させると見られている。今,意思表示しなければ悔いを残す。(筆者)


→●6/12
(■「認知症への対応について」,6/10(■「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会報告書」の記事を参照

(参考)
「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」(2014年3月7日)
精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会構成員名簿
6/26 首相官邸 『「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-(新成長戦略)』(概要 / 本文 ・2014年6月24日,2014年版の『経済財政運営と改革の基本方針(新骨太の方針)』,『「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑戦-(新成長戦略)』が閣議決定された。また,6月14日には,『規制改革実施計画』が閣議決定されている。
・今後,政府は,「新骨太の方針」に基づいて,2015年度予算案の編成に当たり,「新成長戦略」の実現に向けて制度設計や必要な法案の策定作業を進めるとしている。

<第186回通常国会・新骨太の方針・新成長戦略についての安倍首相の説明>
6月24日の安倍首相の記者会見(動画を含む)

<「新骨太の方針」の構成>
第1章 アベノミクスのこれまで成果と今後日本経済課題
第2章 経済再生の進展と中長期発に向けた重点課題
第3章 経済再生と財政健全化の好循環
第4章 2015年度予算編成に向けた基本的考え方

<「新成長戦略」の構成>
第一 総論
Ⅰ. 日本再興戦略改訂の基本的な考え方
Ⅱ.改訂戦略における鍵となる施策
Ⅲ.更なる成長の実現に向けた今後の対応
Ⅳ.改訂戦略の主要施策例
第二 3つのアクションプラン
一.日本産業再興プラン
二.戦略市場創造プラン
三.国際展開戦略
(参考)
新成長戦略(国民に向けた動画)

→筆者は,新聞各社の「新成長戦略」に関する社説を見て,2014年6月24日付の東京新聞の社説(タイトル:新成長戦略 奇策や禁じ手ばかりだ)が適確であるように思ったので,参考までにご紹介する。
URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column
/editorial/CK2014062502000165.html

→筆者には,W杯の日本代表サッカーチームと安倍内閣が妙に重なって見える。素人目に見ても,W杯予選3試合から,日本代表チームは世界レベルではないと思った。戦前の国際試合の連勝で,国民はごまかされていたが,それは日本のマスメディアも片棒を担いだ「興行」だったということが分かってきた。今更ながら,少数意見であったセルジオ越後氏や釜本氏の指摘が適確であったことを知ることになった。希望や期待とは別に,本当のことをきちんと教えてくれていたら,国民の応援の仕方もその後の対応も変わっていたと思う。同様に,第186回通常国会やこの1年間の「骨太の方針」と「成長戦略」の実績を自画自賛し,現実感のない芝居じみた話しぶりの安倍首相の記者会見から,素人目に見ても,安倍首相の発言には嘘くささが感じられ,世界で通用するレベルではないと思えてきた。2013年の成長戦略の成果も「興行」と見れば,先進国で最悪の財政状態にある日本の「新成長戦略」が世界に通用するかどうかは明白である。(筆者)
6/25 - ■「第186回通常国会」で成立した福祉関連の法律 ・2014年6月22日に閉会した第186回通常国会において,厚生労働省の提出法案(11法案のうち9法案が成立した。成立しなかった2法案(①専門的知識等を有する有期雇用労働者等特別措置法案,②改正労働者派遣法)は,厚生労働省の事務的ミスのために①継続審議,②廃案となったものである。
<成立した主な福祉関連法案(やまだ塾のまとめ)
厚生労働省 内容 施行日
改正雇用保険法案 ・育児休業給付の充実
・教育訓練給付金の拡充及び教育訓練支援給付金の創設

雇用保険制度関係資料(2014年3月)
2014年4/1
2014年10/1
地域医療・介護総合確保推進法案 ・新基金創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係)
・地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係)
・地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係)
・介護福祉士の資格取得方法見直しの施行時期の延期(士士法関係)

「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」(第185回臨時国会で成立)
「社会保障審議会介護保険部会 介護保険制度の見直しに関する意見」(2013年12月20日)

「社会保障審議会医療部会医療法等改正に関する意見」(2013年12月27日)
⇒6/19の記事を参照
(医療)
2014年10月以降

(介護)
2014年4月以降
難病患者医療法案 ・基本方針の策定
・難病に係る新たな公平かつ安定的な医療費助成の制度の確立
難病対策の改革に向けた取組について(報告書)(2013年12月23日)
「難病の患者に対する医療等に関する法律」
2015年1/1
改正児童福祉法案 ・基本方針の策定
・小児慢性特定疾病に係る新たな公平・安定的な医療費助成制度の確立
・小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の実施

慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方(報告)(2013年12月)
「改正児童福祉法」 / 「改正児童福祉法」参考資料
2015年1/1
改正次世代育成支援対策推進法案等 ・次世代育成支援対策の推進・強化(次世代育成支援対策推進法関係)
・ひとり親家庭に対する支援施策の充実(母子及び寡婦福祉法,児童扶養手当法関係)

「次世代法・母子寡婦法・児童扶養手当法が変わります」(2014年4/23)
公布日~
2015年4/1
改正短時間労働者雇用管理改善等法案 ・短時間労働者の均等・均衡待遇の確保
・短時間労働者の納得性を高めるための措置

「パートタイム労働法が変わります」(2014年4/23)
公布日から1年未満
改正国民年金保険法案等 ・年金保険料の納付率の向上方策等(国民年金法,厚生年金保険法等関係)
・保険料猶予,対象者拡大
2014年10/1~
2016年7/1
改正労働安全衛生法 ・化学物質管理のあり方の見直し,ストレスチェック制度の創設,受動喫煙防止対策の推進,重大な労働災害を繰り返す企業への対応 等
「労働安全衛生法が改正されました」(2014年6/25)
公布日から2
議員立法 内容 施行日
介護・障害福祉従事者の処遇改善法案 ・介護サービスや障害福祉サービスを担う人材を確保するため、2015年4月の介護報酬改定などを念頭に,「介護・障害福祉従事者の賃金水準その他の事情を勘案し,介護・障害福祉従事者の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策の在り方についてその財源の確保も含め検討を加え,必要があると認めるときは,その結果に基づいて必要な措置を講ずる」としている。
⇒5/28,5/21の記事を参照
公布日
過労死等防止対策推進法案 ・「過労死」という言葉を初めて使った法律
・「過労死・過労自殺対策大綱」の策定し,「防止対策推進協議会」の設置し,毎年「白書」として国会に報告する。
・対策は国が地方公共団体,事業主と密接に連携して行うこと,国民の努力義務として「過労死等の防止の重要性を自覚し,関心と理解を深める」ことを明記した。
公布日から半年以内

→「地域医療・介護総合確保推進法案」は,参院本会議で審議入りした5月21日,厚生労働省が議員に配布した趣旨説明の資料にミスが見つかり,野党の反発によって本会議が中断し,6月2日に趣旨説明をやり直した。また,「改正労働者派遣法案」では,罰則規定の条文にミスが見つかり,野党側からの提出し直せとの意見を受け,6月20日の衆議院議院運営委員会の理事会で廃案が決定した。これに影響を受け,「専門的知識等を有する有期雇用労働者等特別措置法案」は継続審議となった。こういう気の抜けた仕事をさせているボンクラな責任者に対して,田村厚生労働大臣には大臣給与1か月分を自主返納,村木事務次官を訓告という,まったくお話にならない甘い処分で済ませた。民間企業であれば,両名は,「子会社に飛ばされる」か「降格」という処分になるだろう。 お上に対する日本のマスメディアの追求も甘すぎる。
→福祉専門職であれば,法律成立後の追認的な理解ではなく,法案提出時点で問題点や課題を把握し,意見表明していてしかるべきである。(筆者)
6/24 - ■6月22日に「第186回通常国会」が閉会した ・2014年1月24日に召集された「第186回通常国会」(会期150日間)が6月22日に閉会した。
<1月24日の記事の再掲>
■1月24日に「第186回通常国会」が召集される

→安倍首相は,先の第185回臨時国会を「成長戦略実行国会」にすると言っておきながら,経済政策の審議はほとんど行わず,「秘密保護法案成立国会」に変質させた。今通常国会も「好循環実現国会」と言っているが,「秘密保護法および解釈改憲国会」にされる可能性はある。
→経済政策は最優先課題のはずである。「アベノミクス」の3本の矢の「金融緩和」と「財政政策」は成功したが,3本目の矢であり,持続的な景気対策として最重要とされていた「成長戦略」は効果が上がっていないといわれている。2014年4月の消費税率の引き上げによる景気の冷え込みを最小限に抑えることや,夏までの「成長戦略の改定」が国内外から注目されている。(筆者)

第186回に安倍内閣が提出した法案の成立率は97.5%(79/81法案)であった。この高い成立率は,2013年7月に衆参のねじれが解消したことを背景に,重要法案の根幹となる大部分が自民,公明両党の党内調整で決められ,国会は「審議を尽くす場」ではなく,「強行的に法案を通す場」になったことを意味する。
→さらに,事実上の国会最終日の6月20日には,特定秘密保護法の運用に国会が関与する「情報監視審査会」を設ける「改正国会法」が与党の賛成多数で成立した。集団的自衛権問題を国会で取り上げる機会は限られていたが,「集団的自衛権行使をめぐる与党協議は,国会閉会中に解釈改憲が実現し,既成事実化してしまうおそれすらある」という見解が現実化する可能性は高くなったと思われる。
→案の定,今通常国会を「好循環実現国会」とするという安倍首相の発言は真っ赤な嘘で,実質は「秘密保護法および解釈改憲国会」であった。同じ手口に何度も引っかかる方が悪い。
→6月24日,世界が注目する新たな「骨太の方針」と「成長戦略」が閣議決定される予定とされている。国民をごまかすことに長けていても,世界で通用するかは疑問である。(筆者)

→●1/24
(■1月24日に「第186回通常国会」が召集される)の記事を参照
6/20 内閣府 ■6月12日から「一般用医薬品のネット販売」がスタートした ・2013年12月5日に成立した「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」は,①医薬品の販売規制の見直し, ②指定薬物の所持・使用等の禁止を内容とし,施行期日は①:2014年6月12日,②:2014年4月1日とされた。
(参考)
一般用医薬品のインターネット販売について(2014年4月)
一般用医薬品の販売サイト一覧
各都道府県,保健所設置市及び特別区における一般用医薬品販売制度に係る苦情・相談窓口一覧(2014年4月1日現在)


→2013年12月の薬事法・薬剤師法改正は,一般用医薬品のインターネット販売に関する2013年1月の最高裁判決等を踏まえた,医薬品の販売業等に関する規制の見直しで,改正後の「医薬品販売制度」では,①「一般用医薬品は」適切なルールの下,すべてインターネット販売(特定販売)が可能,②「要指導医薬品(=スイッチ直後品目・劇薬)」は対面販売,③「医療用医薬品(処方薬)」は引き続き対面販売,という区分となった。
→「自分の健康は自分で守る」が基本である。ネット販売においても,自分で責任を取る意識と「信頼できるサイト」から薬を購入することが大前提である。(筆者)
6/19 厚生労働省 ■6月18日に「地域医療・介護総合確保推進法案」が成立した ・2014年6月18日,第186回通常国会において,「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(地域医療・介護総合確保推進法案)が参院本会議で,自民,公明両党の賛成多数で可決,成立した。
<「地域医療・介護総合確保推進法案」の主な法律>
(1)地域介護施設整備促進法(WAC法)・・・施行は2014年4月
(2)医療法・・・施行は2014年10月以降
(3)保健師助産師看護師法・・・施行は2015年10月
(4)介護保険法・・・施行は2015年4月以降
(5)社会福祉士及び介護福祉士法・・・施行は公布日


<2005年以降の介護保険法改正の経緯>
(1)2005年介護保険法の改正
・介護予防の重視
・施設給付の見直し
・地域密着サービスの創設,介護サービス情報の公表,負担能力をきめ細かく反映した第1号保険料の設定

(2)2008年介護保険法の改正
・介護サービス事業者の法令遵守等の業務管理体制の整備。休止・廃止の事前届出制。休止・廃止時のサービス確保の義務化
(3)2011年介護保険法の改正
・地域包括ケアの推進。24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの創設。介護予防・日常生活支援総合事業の創設。介護療養病床の廃止期限の猶予
・介護職員によるたんの吸引等。有料老人ホーム等における前払金の返還に関する利用者保護。市町村における高齢者の権利擁護の推進。
・介護保険事業計画と医療サービス,住まいに関する計画との調和。地域密着型サービスの公募・選考による指定を可能に。各都道府県の財政安定化基金の取り崩し

(4)2014年介護保険法の改正(「地域医療・介護総合確保推進法」のうち介護保険法関係のみ)
・地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化
①在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ,全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し,多様化
②特別養護老人ホームについて,在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化
③低所得者の保険料軽減を拡充
④一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引上げ(ただし,月額上限あり)
⑤低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加

→「地域医療・介護総合確保推進法案」は,2013年8月の「社会保障制度改革国民会議報告書」の内容を具体化したもので,法案の骨子は在宅医療および在宅介護の促進である。法案提出時点から,医療と介護という性質の異なる分野の19重要法案をまとめて審議することに批判があった。結局,国会において,参考人質疑や公聴会を除けば,衆議院では28時間,参議院では27時間というわずかな審議時間で,両院とも与党の強行採決が行われ,成立した。
→政府,与党のやりたい放題を許しているのは誰か。(筆者)


→●2/28
(■「2014年の介護保険制度改正案」の記事を参照
6/18 厚生労働省 「社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書(案)」 ・2014年6月16日,厚生労働省は,「第12回社会福祉法人の在り方等に関する検討会」における「社会福祉法人の在り方等に関する検討会報告書(案)~社会福祉法人制度見直しについて~」を公表した。
・今後,政府の「規制改革会議」の答申にも盛り込まれ,「社会保障審議会」では具体案を詰め,2015年の通常国会への社会福祉法改正案の提出が予定されている。

→社会福祉法人は,特別養護老人ホーム,児童養護施設,保育所などの事業を行う非営利法人で,全国に約19,800(2012年度)あり,法人税などは原則非課税で,国と地方自治体が補助金を交付し,2013年3月時点で特別養護老人ホームの内部留保は,1施設平均で退職給与引当金などを除いた実質で約1億6千万円と公表されている。
→これまで,社会福祉法人は,多額の内部留保,一部の理事長らによる私物化や理事職の世襲などの弊害が指摘されていた。近年,社会福祉法人制度に関して,2013年6月14日の「日本再興戦略」(成長戦略)・「規制改革実施計画」および2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書」において,「医療・介護サービスの高度化」,「社会福祉法人の経営情報の公開」,「保育の質の評価の拡充」,「医療法人制度・社会福祉法人制度の見直し」が明記されていた。
→今回の「社会福祉法人制度見直し」は,法人運営の透明性の確保を目的とし,地域での社会貢献活動の義務化や監視役となる外部メンバーを含めた評議員会の機能強化を柱としている。(筆者)


(参考)
社会福祉法人の現状(2013年9月)
6/17 厚生労働省 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動リーフレット」 ・2014年6月13日,厚生労働省は,最新の「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動リーフレット」を公表した。
<『「ダメ。ゼッタイ。」普及運動(6月20日から7月19日)』の厚生労働省の広報文 >
『地球規模での薬物乱用問題は,世界の国々が一丸となって取り組むべきことであり,かつ,国民一人ひとりの認識を高める必要があることから、1987年に国連の「国際麻薬会議」において6月26日を「国際麻薬乱用撲滅デー」とすることが決定されました。我が国においても,「薬物乱用対策推進会議」の下,第三次薬物乱用防止五か年戦略(2008年8月策定)に基づき,国・都道府県・関係団体が緊密に連携し,総合的な薬物乱用対策に取り組んでいるところです。本運動は,このような背景の下,「新国連薬物乱用根絶宣言」(2009~2019年)の支援事業の一環として,官民一体となり,国民一人ひとりの薬物乱用問題に対する認識を高め,併せて,国連決議による「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」の周知を図り,内外における薬物乱用防止に資することを目的としています。』

→2013年8月7日に「第四次薬物乱用防止五か年戦略」が策定された。我が国の「薬物乱用対策」においては ,新たに薬物乱用者を生み出さないための「薬物乱用防止対策」が中心となっている。「薬物乱用対策」として,薬物を使わない・使わせないと同時に治療・リハビリをどうしていくのかも含めた総合的な取組みが必要だと言われ続けている。
→ところで,筆者は,何年も使い続けている『ダメ。ゼッタイ。』というスカしたキャッチフレーズはそろそろ見直した方がいいと思う。少なくとも,『ゼッタイ。ダメ。』にした方が受け止めやすい。(筆者)


→●3/19(■「合法といって売られている薬物の,本当の怖さを知っていますか?」(短編マンガ)),2/19(■「薬物乱用の現状と対策」の記事を参照

(参考)
「薬物乱用防止に関する情報」(厚生労働省)
薬物乱用 「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ(公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
「薬物乱用対策」(内閣府)
6/13 厚生労働省 「年金制度の国際比較」 ・2014年6月12日,厚生労働省は,最新の「諸外国の年金制度」と「年金制度の国際比較」を公表した。
国名 年金制度の特色
アメリカ ・一般被用者・自営業者を対象とした老齢・遺族・障害保険(OASDI)がある。
イギリス ・公的年金制度は2階建てで,1階部分は被用者・自営業者を通じた共通の基礎年金,2階部分は被用者のみを対象とした国家第2年金である。
ドイツ ・職業別階層別に分立している。
フランス ・職域毎の制度が多く見られる年金制度体系となっている。
スウェーデン ・公的年金制度は,持続可能な年金制度を構築する観点から,1999年に年金改革が実施された。

2012年の年金制度改正(社会保障・税一体改革関連)において,「社会保障制度改革国民会議報告書」を基にした年金関連の法律が,通常国会で2法,臨時国会で2法の計4法成立した。一般的な評価としては,「全体的に微修正にとどめ,「将来の制度体系」の議論は先送りした」とされている。
→2014年6月3日に,厚生労働省は,「2014年の年金財政検証結果」を公表し,「経済が成長すれば将来にわたり50%が確保できると確信した」と明言している。一般的な評価としては,「甘い検証」とされている。
→さらに,年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が,リスクの高い自家運用(インハウス運用)に乗り出す可能性がある,と報道されている。安倍首相は,2014年4月,GPIF運用委員長に米沢康博早大教授を就任させた。日本国民は,ギャンブラーを求めているわけではない。安倍政権や与党,厚生労働省任せにせず,国民の側が改革を強く求めなければ年金破綻は確実なものになる,という指摘が当たっているように思えてきた。種々の局面で安倍首相の危うさが表面化している。(筆者)

→●6/4
(■「将来の厚生年金・国民年金の財政見通し」の記事を参照
6/12 厚生労働省 「認知症への対応について」 ・2014年6月11日,厚生労働省は,2015年4月に予定される介護報酬改定に向け,「第102回 社会保障審議会介護給付費分科会」を開催し,会議資料を公表した。

→近年,厚生労働省から,2012年6月18日に「今後の認知症施策の方向性について」が示され,2012年9月に策定された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」が2013年度から始まっている。行政がりっぱな「認知症対策」提示しても,医療や介護の現場に浸透していないのが現状である。ましてや,多くの日本国民は,先進諸国では「認知症対策」が国家戦略として位置づけられ,積極的に取り組まれてきていることを知らされていない。また,日本では,精神病院経営に深く関わっている長期入院や精神医療における抗精神病薬の無節操な投与等にも関係しており,行政にとっては大っぴらにはできない不都合な部分が多く含まれている分野であることも知らされていない。
→かつて,『毎日がアルツハイマー』というドキュメンタリー映画が話題になったが,その続編としての『毎日がアルツハイマー2』(http://www.maiaru.com/)が2014年7月から上映される。「認知症者の介護に一石を投じる内容である」と報道されている。日本では,認知症者の介護現場でも「PCC(パーソン・センタード・ケア)」という言葉すら知る者は多くないというのが現状である。(筆者)

→●6/9
(■「2013年中の行方不明者の状況」の記事を参照
6/10 厚生労働省 「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会報告書」 ・2014年6月6日,厚生労働省は,「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会報告書」を公表した。
・研究会では,2013年の第183回国会において成立した「改正障害者雇用促進法」に基づき,厚生労働大臣が定めることとされている,「差別の禁止に関する指針」と「均等な機会の確保等に関する指針」に盛り込むことが必要な事項に関して検討された。
・なお,「合理的配慮」とは,「募集・採用時における,障害者と障害者でない人との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するための措置や,採用後における,均等な待遇の確保や障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置のこと」と定義されている。
<報告書のポイント>
【1】差別の禁止に関する指針

(1)基本的な考え方
①対象となる障害者の範囲は,障害者雇用促進法に規定する障害者
②対象となる事業主の範囲は,すべての事業主
③直接差別を禁止(車いす,補助犬その他の支援器具などの利用,介助者の付き添いなどの社会的不利を補う手段の利用などを理由とする不当な不利益取扱いを含む)
④事業主や同じ職場で働く者が障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要
(2)差別の禁止
①募集・採用,賃金,配置,昇進などの各項目に沿って禁止される差別を整理する
②各項目について,障害者であることを理由に,その対象から障害者を排除することや,その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることが差別に該当する
③障害者を有利に取り扱うこと(積極的差別是正措置)や,合理的配慮を提供し,労働能力などを適正に評価した結果として異なる取扱いを行うことなどは,差別に当たらない

【2】合理的配慮の提供に関する指針
(1)基本的な考え方
①障害者,事業主の範囲は「差別の禁止に関する指針」と同じ
②合理的配慮は障害者の個々の事情と事業主側との相互理解の中で提供されるべき性質のもの
(2)合理的配慮の手続
①募集・採用時:障害者から事業主に対し,支障となっている事情などを申し出る
 採用後   :事業主から障害者に対し,職場で支障となっている事情の有無を確認する
②合理的配慮に関する措置について事業主と障害者で話合う
③合理的配慮に関する措置を確定し,内容・理由を障害者に説明する
(3)合理的配慮の内容
①合理的配慮の内容に関する理解を促進する観点から,多くの事業主が対応できると考えられる措置を事例として「別表」の内容を指針に記載する。なお,「別表」はあくまでも例示であり,あらゆる事業主が必ずしも実施するものではない。また,記載されている事例以外であっても合理的配慮に該当するものがある
(4)過重な負担
①改正法では,合理的配慮の提供について,事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合を除くとされている。過重な負担については,事業活動への影響の程度,実現困難度,費用・負担の程度,企業の規模,企業の財務状況,公的支援の有無を総合的に勘案しながら,事業主が当該措置の提供について個別に判断する
(5)相談体制の整備など
①障害者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備や,相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ,その旨を周知する  など

【3】その他
①指針の策定に加え,行政によるさまざまな取組が重要

→2013年に成立した「改正障害者雇用促進法」では,障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応として,①障害者に対する差別の禁止,②合理的配慮の提供義務,③苦情処理・紛争解決援助に関する規定が設けられ,2016年4月1日に施行されるが,①および②については指針を定めるものとされた。これに関する研究会の報告書である。今後は,指針策定に向けて「労働政策審議会障害者雇用分科会」で検討される。
→併せて,2013年成立の「障害者差別解消法」および「最近の障害者雇用の現状と課題」にも目を通しておいていただきたい。(筆者)
6/9 警察庁 「2013年中の行方不明者の状況」 ・2014年6月5日,警察庁は,「2013年中の行方不明者の状況」を公表した。
・2013年中に警察へ行方不明者届が出された数は83,948人であった。
・原因・動機別では,家庭関係17,919人(21.3%),疾病関係16,245人(19.4%),事業・職業関係9,095人(10.8%),学業関係2,386人(2.8%)の順であった。
・とりわけ,疾病関係(16,245人)のうち,「認知症」は,2012年の9,607人(11.8%)から10,322人(12.3%)へ,715人増加(7.4%増)した。

→2014年5月11日のNHKスペシャルで「認知症800万人時代行方不明者1万人~知られざる徘徊の実態~」が放映された(http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0511/)。今回のデータを待つまでもなく,多くの国民はことの重大さをすでに認識していた。
→ようやく,「2014年6月6日の閣議後の記者会見で,田村厚生労働大臣は,認知症で行方不明になる高齢者が相次いでいる問題に触れ,近く,都道府県などを通じて実態調査を行うことを明らかにし,警察庁などと連携し,自治体間で情報共有できる仕組みの構築に取り組む考えを示した」との報道があった。筆者は,「鈍重,鈍感にもほどがある」と思った。(筆者)
6/6 厚生労働省 「2013年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」 ・2014年6月4日,厚生労働省は,「2013年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」を公表した。
・「人口動態調査」は,出生,死亡,婚姻,離婚及び死産の人口動態事象を把握し,人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的としている。
<調査結果のポイント>
①出生数は,103万人で過去最小 (対前年7千人減少)
②合計特殊出生率は,1.43で上昇 (同0.02ポイント上昇)
③死亡数は,126万8千人で戦後最大 (同1万2千人増加)
④自然増減数は,△23万9千人で過去最大の減少幅 (同2万人減少)
⑤婚姻件数は,66万1千組で戦後最小 (同8千組減少)
⑥離婚件数は,23万1千組で減少 (同4千組減少)

→人口減少が加速している(自然減数は過去最大)。晩婚・晩産化による30代女性の出産増で合計特殊出生率は微増したが,出産世代の女性人口が減少し続けており,少子化が加速している(出生数は過去最小)。高齢化により死亡数は年々増加している(死亡数は戦後最大)。「少子高齢化・人口減少社会」が現実のものとなってきた。
→「人口減少社会となって生産年齢人口が減少し,しかも長寿化で高齢者が増えることは,支え手が少なくなり,支えるべき高齢者は多くなることであり,社会保障制度にとって脅威である」ということを深刻に受け止めれば,今の社会保障制度改革の内容や進め方に疑問符が付くはずである。(筆者)


→●6/4(■「将来の厚生年金・国民年金の財政見通し」,6/3(■4年ぶりに「全国福祉事務所長会議」が開催された),5/26(■少子化対策に関する近時の3提言)の記事を参照
6/5 厚生労働省 「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」(概要 / 本文 ・2014年6月3日,厚生労働省は,「働きやすい・働きがいのある職場づくりプロジェクト企画委員会」(座長:藤 本労働政策研究・研修機構人材育成部門副主任研究員)の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調 査報告書」を公表した。
・「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」は,雇用管理制度などの取組み状況と「働きやすさ」「働きがい」との関係などについて,中小企業の人事担当者(企業調査)と中小企業で働く従業員(従業員調査)を対象に,2013年10月に実施した調査の報告書である。
<報告書の主なポイント>
(1)中小企業における各雇用管理制度等の実施状況
①「評価・処遇制度」の実施率

・全体の70%以上の企業が,「目標管理を実施する」や「人事評価やその調整を複数の評価者が行う」といった目標管理制度を実施している。
②「人材育成」の実施率
・全体の70%以上の企業が,「従業員の自己啓発・資格取得に対する補助を行う」ことに取り組んでいるが,「 メンター制を実施する」ことに取り組んでいる割合は12.5%と低い。
③「業務管理・組織管理,人間関係管理」の実施率
・全体の70%以上の企業が,「朝礼や社員全体会議を通じて会社のビジョンを共有する」「従業員に対する表彰や報奨などを行う」ことに取り組んでいる。

(2)雇用管理制度等の実施と「働きがい」「働きやすさ」との関係
・「評価処遇・配置」「人材育成」「業務管理・組織管理」「福利厚生・安全管理・精神衛生」の雇用管理制度等の実施は,従業員の「働きがい」「働きやすさ」を高める傾向がある。
・雇用管理制度等の実施は,「働きがい」「働きやすさ」の両方を高めるが,実施による効果は「働きがい」の方により顕著に表れる傾向がある。

(3)「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲・定着、会社の業績との関係
・「働きがい」や「働きやすさ」がある会社では,従業員の仕事に対する意欲が高く,職場への定着が進みやすい傾向があり,さらに,会社の業績も高い傾向にある。

(4)その他
・中小企業における離職の現状
・労働条件と「働きがい」「働きやすさ」との関係
・雇用管理制度等の実施状況と会社の業績との関係

(参考)
ポータルサイト「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」
目指しませんか?「働きやすい・働きがいのある職場づくり」(従業員の職場定着など雇用管理面でお困りの 事業主の皆さまへのパンフレット)
「働きやすい・働きがいのある職場づくり事例集」

→学生の就職希望が大企業に集中し,人手不足の中堅・中小企業に人材が集まらない「雇用のミスマッチ」がクローズアップされがちであるが,それ以上に深刻なのが早期の離職率の高さである。中小企業にとっては,定着率の低さは,教育・訓練を通じて企業特有の知識や技能を妨げる恐れがあると言われ続けている。(筆者)
6/4 厚生労働省 「将来の厚生年金・国民年金の財政見通し」 ・2014年6月3日,厚生労働省は,「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し ~年金財政検証結果~」を公表した。
・公的年金財政の長期見通しは,国民年金法に基づいて,5年に一度行われる。2004年の年金制度改正で,「所得代替率の50%維持」が法律に明記され,検証から5年後に50%を割る場合は,制度改革を義務付けられている。
・今回の検証では,経済的条件(物価・賃金の上昇率,年金積立金の運用利回り等)は8パターン,将来人口推計(合計特殊出生率,死亡率)は3パターンで試算されている。

→厚生労働省は,「経済が成長すれば将来にわたり50%が確保できると確信した」と説明しているが,関係者は心が痛まないのだろうか。
→毎回,難解な話や数字を示して煙に巻いたように見えても,社会保障制度改革の工程表に盛り込まれた年金制度の見直しに向けては,多くの国民は,現行の年金制度の小手先の見直し(給付の減額,保険料支払期間の延長,非正規雇用の厚生年金加入など)でなく,年金制度の抜本改革が必要になっていることを肌身で感じている。また,2004年に「百年安心」を言い出した時から,現行の年金制度がすでに破たんしているのではないかと疑っている。(筆者)

→●5/19
(■「いっしょに検証!公的年金」(HP)の開設)の記事を参照

(参考)
「2009年財政検証結果等について」
「2004年財政検証結果等について」
6/3 厚生労働省 ■4年ぶりに「全国福祉事務所長会議」が開催された ・2013年12月に成立した「改正生活保護法」が2014年7月から,「生活困窮者自立支援法」が2015年4月から施行される。その周知徹底に向けて,2014年5月20日に,4年ぶりに「全国福祉事務所長会議」が開催された。
・厚生労働省は,「生活保護制度」については,今後とも制度が国民の信頼に応えられるよう,個々の生活保護受給者の状況に応じた自立の支援,不正受給対策の強化,医療扶助の適正化等を推進し,「生活困窮者自立支援制度」については,複合的な課題を抱えた者も多い生活困窮者に対して,就労支援や生活支援などを包括的に提供することで、課題が複雑化する前に早期の自立を図ることが重要で,関係機関によるネットワークの構築が不可欠である,としている。
<改正生活保護法と生活困窮者自立支援法の施行>
(1)改正生活保護法の適正実施
①就労による自立の促進
②健康・生活面等に着目した支援
③不正・不適正受給対策の強化等
④医療扶助の適正化

(2)生活困窮者自立支援法の円滑施行
①自立相談支援事業の実施及び住居確保給付金の支給(必須事業)
②就労準備支援事業,一時生活支援事業及び家計相談支援事業等の実施(任意事業)
③都道府県知事等による就労訓練事業(いわゆる「中間的就労」)の認定
④費用(国庫補助1/2,2/3,3/4)

→改正生活保護法と生活困窮者自立支援法が目指しているのは保護費の抑制である。全体的な方向性には大方の理解が示されていると思われるが,さらに「国庫補助」ではなく,正しく「血税からの補助」と表現すれば,国民の受け止め方は,もっとはっきりしてくるはずである。(筆者)


(参考)
「生活保護制度」
「生活困窮者自立支援制度」
6/2 厚生労働省 「2013年度個別労働紛争解決制度施行状況」 ・2014年5月30日,厚生労働省は,「2013年度個別労働紛争解決制度施行状況」を公表した。
・「個別労働紛争解決制度」は,個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルの未然防止や早期解決を支援するもので,「総合労働相談」,労働局長による「助言・指導 」,紛争調整委員会による「あっせん 」の3つの方法がある。
・2013年度は,2012年度に比べて,総合労働相談、助言・指導、あっせんのいずれも件数が減少したが,総合労働相談の件数は6年連続で100万件を超え,高止まりしており,総合労働相談のうち,民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が59,197件と,2年連続で最多となった。

→我が国における,個別労働関係紛争に関する紛争の解決手段は,①民事訴訟(裁判),②行政による個別労働紛争解決制度(2001年創設),③裁判所による労働審判制度(2006年創設),が存在する。個別労働紛争解決制度や労働審判制度により,裁判で解雇の有効・無効を争うことなく,金銭解決を含む迅速で柔軟な解決が可能となった。
→「個別労働紛争解決制度」は,2001年10月施行の「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づいて,個々の労働者と事業者の間のトラブルを,裁判によらず,第三者を介在させて迅速に解決することを目的とし,都道府県労働局がセーフティネットとして設けている制度である。 全国の「総合労働相談コーナー」で相談員が法律や制度の情報を提供し,自主的な紛争の解決を促す。 (筆者)

(参考)
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」(職場のトラブル解決をサポートします)
5/30 厚生労働省 「がんと診断された時からの緩和ケア」(パンフレット) ・日本では,2006年の「がん対策基本法」,2007年の「がん対策推進基本計画(第1期)」,2012年の「がん対策推進基本計画(第2期)」に沿って,がん対策が推進されてきた。
・2007年の第1期基本計画では,「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」が重点課題の一つに掲げられ,これを受けて,がん診療に携わるすべての医師が,緩和ケアについての基本的な知識を習得し,がん治療の初期段階から緩和ケアが提供されることを目的とした「緩和ケア研修会」が全国でスタートした。2008年3月に,がん診療連携拠点病院の整備指針が改定され,緩和ケアチームの整備が進み,組織上の位置づけもより明確になった。2012年の第2期基本計画では,重点課題に定められていた緩和ケアは「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」と改められた。2014年1月には,がん診療連携拠点病院の指定要件が改定された。また,2013年1月に,内閣府が「がん対策に関する世論調査」を実施している。
<「がんと診断された時からの緩和ケア」(パンフレット)における「緩和ケア」とは>
『緩和ケアは,治療を終えてから実施するものではありません。緩和ケアを、がんと診断された時から実施するとともに, 診断,治療,在宅医療など様々な場面で切れ目無く実施する必要があります。』

<「がん対策に関する世論調査(2013年1月調査)」における「緩和ケア」の認知度>
・がん医療における緩和ケアとは,がんに伴う体と心の痛みを和らげることだが,がん医療における緩和ケアについて知っていたか聞いたところ,「知っている」とする者の割合が63.3%,「知らない」と答えた者の割合が35.7%となっている。
・都市規模別に見ると,「知らない」と答えた者の割合は小都市で高くなっている。
・性別に見ると,「知っている」とする者の割合は女性で,「知らない」と答えた者の割合は男性で,それぞれ高くなっている。
・年齢別に見ると,「知っている」とする者の割合は50歳代,60歳代で,「知らない」と答えた者の割合は20歳代,70歳以上で,それぞれ高くなっている。

→現在,「緩和ケア」は,終末期の医療に限定されるものではなくなっている。国民の認識や意識は低い。2007年に日本医師会が実施した「緩和ケアに関するアンケート調査」において,がんの診療を行っていない医師も含めた全医師の意向は,「緩和ケアにかかわりたくない・できればかかわりたくない」が41.7%であったことを思い出す。現在,意識変化はあったのだろうか。(筆者)

→●4/10
(■「がん研究10か年戦略」の記事を参照

(参考)
「がん対策情報」(厚生労働省)
5/29 厚生労働省 「保健師の配置や研修をめぐる現状」 ・2014年5月26日に「第1回保健師に係る研修のあり方等に関する検討会」が開催され,会議資料が公表された。
<「検討会」開催の背景>
・地域における保健師の保健活動は,「地域保健法」に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(1996年)により実施され,保健師は地域保健対策の主要な担い手として重要な役割を担っている。近年の地域保健の大きな変化に伴い,2012年に大幅な指針の改正が行われた。
・2013年4月19日には「地域における保健師の保健活動について」も大幅に改正され,地方公共団体に所属する保健師について,保健,医療,福祉,介護等に関する専門的な知識に加え,連携・調整に係る能力,行政運営や評価に関する能力を養成すべく,研修等により人材育成を図っていくべきことが示されている。これに対応する課題解決のための検討会である。

→「地域包括ケアシステム」を理解するためには,「保健師」に対する正しい理解は重要である。(筆者)

●5/13
(■「2013年度の医療系専門職国家試験の問題と正答を見てみる」)の記事を参照
5/28 厚生労働省 6月から「福祉人材確保対策検討会」が開催される ・2014年6月4日に「第1回福祉人材確保対策検討会」が開催される。
<厚生労働省の案内文(2014年5月26日)>
『厚生労働省は,福祉人材確保対策について検討するため,社会・援護局において,有識者、関係団体等の参集を求め,(別紙1により)「福祉人材確保対策検討会」を開催しますので,(下記のとおり)お知らせします。
 福祉人材は,高齢化に伴う福祉ニーズの拡大等に伴い,その確保について喫緊の課題として指摘されているところであります。
特に介護人材の確保については,かねてより,入職率・離職率が高いこと,給与水準が相対的に低いこと,女性比率が著しく高い職場であり,結婚・出産段階での離職率が高いことなどの課題が指摘されております。また,平成37年には現在の1.5倍以上の237万人から249万人の介護職員が必要と推計されているが,平成22年度以降,有効求人倍率が一貫して増加するなど,人手不足感が広がっており,足下の景気好転による他産業への人材流出が懸念されるなど,大きな課題となっております。
 このような状況を踏まえ,この検討会では,介護人材を含む福祉人材の確保対策の在り方について,多様な人材の参入促進,資質の向上及び環境の改善等の観点から,多角的に検討を行っていくものです。』

→田村厚生労働大臣が,2014年5月18日の地方講演の折,「2025年には団塊の世代がみんな75歳以上になる。介護の担い手は100万人足りない。福祉人材の確保対策検討会を,6月初旬から始める」,「介護の仕事はきつく給料が低いイメージがあるが,やりがいのあるすばらしい仕事だとイメージアップを図っていきたい」と述べた,と報道されていた。「子供だましのようなことをよく言えるよなあ」,「新鮮味のない福祉人材確保対策検討会メンバーに期待する人がいるのかしら」と思ったのは筆者だけではないと思う。
→第186回においては,衆法として,「介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案」が提出されている。(筆者)

●5/21
(■「介護・保育・看護分野などの人材確保に関する参考資料」の記事を参照

(参考)
「福祉人材確保対策」(厚生労働省)
5/27 厚生労働省 ■「2013年 我が国の保健統計」 ・2014年5月26日,厚生労働省は,「医療施設調査」「患者調査」「衛生行政報告例」「地域保健・健康増進事業報告」「医師・歯科医師・薬剤師調査」「病院報告」「受療行動調査」「国民医療費」の主な統計について,グラフを中心として時系列観察及び地域別観察等を行い,保健統計の概要が平易にわかるように編集された「2013年 我が国の保健統計」を公表した。
・なお,「我が国の保健統計」は,3年周期で作成されている。
<「2013年 我が国の保健統計」の構成>
患者の動向
医療施設の動向
保健医療関係者の動向
保健事業の動向
国民医療費の動向

→福祉専門職にとって,日本の保健統計を理解できるよい資料である。自分の知識を総動員して,現状追認ではなく,批判的に見ていただきたいと思う。
→例えば,日本の精神病床は,現在も34万床を超え,先進諸国との差は歴然である。これについての見解として,2014年5月19日の東京新聞の以下の社説を参考にしていただきたい。
URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/
editorial/CK2014051902000146.html

専門職である「精神保健福祉士」は,自身の見解を持っていなければならない。(筆者)


(参考)
「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」
5/26 - ■少子化対策に関する近時の3提言 ・2014年5月中に,2014年6月にもまとめられる「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」や新成長戦略などへの反映や影響を視野に入れた3つの提言が,政府および民間の会議体から立て続けに公表された。
公表日 会議体 副題
2014年5月8日 「日本創成会議」(要約 / 本文
(民間の会議体)
成長を続ける21世紀のために「ストップ少子化 ・地方 元気戦略 」
2014年5月13日 「選択する未来 委員会」(ポイント / 概要 / 本文
(経済財政諮問会議)
人口急減・超高齢社会を超えて,日本発成長・発展モデルを構築
2014年5月19日 「少子化危機突破タスクフォース(第2期)」(概要 / 本文
(少子化社会対策会議)
-

2012年の合計特殊出生率は1.41である。3提言とも,「2025年をめどに出生率を1.8へ」,「出生率を2.07に引き上げ,50年後も人口1億人を維持」,「2030年を一つの区切りに出生率を2.1へ」と,合計特殊出生率の数値を表示している。「少子化危機突破タスクフォース(第2期)」の提言にもあるように,「少子化を反転させたフランスやスウェーデンにおいても,具体的な出生率や出生数などの数値を目標として掲げた例はみられなかった」という認識は重要である。
→このレベルの提言が,今後の有効な少子化対策へのきっかけになるかどうか。原文に目を通していただきたいと思う。(筆者)

5/21 厚生労働省 「介護・保育・看護分野などの人材確保に関する参考資料」 ・2014年5月20日,厚生労働省は,「第2回人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議」を開催し,会議資料を公表した。
「人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議」(座長:佐藤副厚労大臣)は,2014年2月19日に,介護・保育・看護分野などの人材不足解消策を省内で検討するために設置された。検討結果は,2015年度予算の概算要求に反映させるとされている。
<介護職に関する現状認識>
①介護に対するイメージ
・介護職について,「夜勤などがあり,きつい仕事」(65.1%),「社会的に意義のある仕事」,「給与水準が低い仕事」,「やりがいのある仕事」などの順となっている。
②現在の職場を選択した理由(介護福祉士:複数回答)
・入職の段階では,介護という仕事への思いが先行し,法人・事業所の理念・方針や職場の状況,子育てなどの面への関心は薄い。
③過去働いていた職場を辞めた理由(介護福祉士:複数回答)
・離職時には,結婚・子育て,職場の方針やマネジメントが大きな引き金になっている。

(参考)
●人材確保に関する関係部局の取組
介護関係(社会・援護局)
保育関係(雇用均等・児童家庭局)
看護関係(医政局)
人材確保に関する関係機関の取組(介護・保育・看護)

→厚生労働省は,2014年4月28日の「第100回社会保障審議会介護給付費分科会」から,2015年度の介護サービスの報酬改定の検討に入っている。介護福祉士の待遇を改善し,人手不足を解消するのがねらいとされている。
→筆者は,例えば,介護保険適応マークの付いたムダに高額な商品に関わる利権など,介護保険に巣食うシロアリの退治をやななければならない時期に来ていると思う。「介護保険制度」をまっとうな機関が大掃除すれば,まっとうな人手不足の対策案も出てくるのではないかと思っている。(筆者)
5/19 厚生労働省 「いっしょに検証!公的年金」(HP)の開設 ・2014年5月14日,厚生労働省は,公的年金制度への理解を深めるためのホームページ「いっしょに検証!公的年金」(~公的年金の仕組みや財政検証のことをわかりやすく説明します~)を開設したことを公表した。
<「ホームページ」の開設に伴う,厚生労働省の広報文>
●このホームページは,多くの方が感じている公的年金に対する疑問や不安を解消していくことを目指すものです。現時点では2009年財政検証結果を基に作成しておりますが,2014年財政検証の公表後に差し替えていく予定としています。
●多くの方に興味をもってもらうため、Webマンガを採用し,公的年金制度の内容をわかりやすく伝えています。また、本文にもイラストを多く取り入れ,読みやすくなるように工夫しています。
●幅広い世代の方に閲覧してもらえるように,世代ごとに関心が高いと思われる項目を取り上げたページも用意しています。

→現行の公的年金制度は,「2004年年金制度改革」によっており,5年に1度実施される「2009年公的年金財政検証」(いわゆる年金財政の健康診断)に基づいて運用されている。2014年は「公的年金財政検証」の年に当たり,今後の年金制度改革に大きく影響するため,「2014年公的年金財政検証」結果は大変注目されている。
→これまで,政府は,多くの国民が公的年金に対して抱いている不安や疑問に真摯に応える努力をすることなく,制度への揺らぎを放置してきた。筆者は,今回のホームページ開設を,「2014年財政検証」結果によって,公的年金制度の揺らぎがさらに大きくなることを予想して,公表の前に付け焼刃の理解活動を始めたのだと受け止めた。現行の公的年金制度の揺らぎの主たる要因は,不安定な雇用と少子高齢化への政府の無策であると考えている。このホームページが,国民が本当に聞きたいことに答えようとしているのかどうか。「いっしょに検証」にはあきれる。(筆者)

5/16 首相官邸 「安保法制懇の報告を受けた安倍首相の記者会見」 ・2014年5月15日,安倍首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は,集団的自衛権の行使を憲法解釈を変更して容認するよう求める報告書を提出した。これを受けて,同日の記者会見で,安倍首相は,「これまでの憲法解釈で十分か検討が必要」とし,「集団的自衛権の行使は憲法が認めている」という趣旨の解釈変更を示唆した。
<安倍首相の記者会見のポイント>
①限定的な集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を検討し,与党協議を開始
②解釈変更が必要と判断されれば,改正すべき法制の基本的方向を閣議決定
③武力行使を目的とした集団安全保障には参加せず。平和主義を守り抜く
④武力攻撃に至らない侵害など「グレーゾーン」への対処を強化
⑤現行解釈で対処できない邦人輸送中の米艦船防護や「駆け付け警護」を可能とする

→詰まるところ,集団的自衛権の行使には憲法改正の必要はなく,首相の都合のいい結論を出す有識者を集めた諮問会議から報告書を提出させ,記者会見をすれば,首相の判断で解釈変更できるということである。一度解釈改憲が容認されれば,歯止めがなくなるであろうことは当然に予想される。
→ついに,日本国および日本国民の命運は,国民不在のまま,与野党による国会での論戦もなく,連立を組む「公明党」の判断次第というところにまで至ってしまった。6月20日から与党協議が始まるということである。ちなみに,公明党は,①有識者懇が列挙する具体的事例のほとんどは個別的自衛権の範囲内,②グレーゾーン問題の法整備が急務,としている。(筆者)

5/15 厚生労働省 「外国人労働者向け労災保険パンフレット 」 ・2014年5月14日,厚生労働省労働基準局労災補償部補償課は,最新の「外国人労働者向け労災保険パンフレット (労災保険請求のためのガイドブック)」(日本語,英語,ポルトガル語,韓国語,中国語,ベトナム語,タイ語,インドネシア語,ペルシャ語,スペイン語)を公表した。
<「労災保険請求のためのガイドブック」の構成>
①第1編・・・請求(申請)のできる保険給付など
②第2編・・・労災保険給付の概要,各種保険給付の内容

→外国人を採用するときには,労働基準法15条で定められた内容の雇用契約書を作成が必要で,事業主は労働保険の加入手続きをとり,保険料を納めることが義務付けられている。労災保険についても,日本国内の事業所に雇用される労働者であれば,外国人であっても国籍を問わず適用となる。なお,外国人の場合,「資格取得の日」が,入国管理局から「就労資格」を与えられた日になり,就労資格のない外国人は雇用してはならない。
→現在,外国人労働者を中心とする外国人受入れに関する諸問題を検討するため,「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」が設置されている。政府は,2014年1月に,2020年の東京オリンピック開催に伴い,建設業を中心に外国人労働者の受け入れ拡大について検討を始めるとし,4月には,安倍首相が経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で,女性の就労を促すため,家事支援や介護などの分野で外国人労働者を受け入れる制度の検討を指示した,という報道があった。外国人労働者の活用を広げるなら,その前に不正行為をなくして労働環境を改善することが大前提になる,という意見に賛同する。(筆者)


(参考)
「労災保険制度」(厚生労働省)
5/14 法務省 「法務省は再犯防止対策を進めています」 ・法務省では,2014年5月12日~5月18日にかけて,中央5紙,ブロック3紙,地方52紙による新聞突出し広告で,再犯防止に関する政府広報 (「再犯を防止し,犯罪や非行のない明るい社会へ」)を実施している。
「再犯防止対策」の新聞突出し広告文 (原文のまま)
「再犯を防止し,犯罪や非行のない明るい社会へ」
●帰る場所や仕事のない出所者等ほど,再犯を繰り返す傾向にあります。
●安全・安心な社会を実現するため,住居と仕事の確保にご理解とご協力をお願いします。
▼詳しくは,保護局公式Twitterまで。 
またはお近くの保護観察所まで。

→2012年7月20日,総理大臣を議長,全閣僚が構成員となる「犯罪対策閣僚会議」において,10年間の政府の取組方針を示す「再犯防止に向けた総合対策」が決定され,2013年10月3日には「再犯防止対策に関する特別世論調査結果」が公表されている。しかし,「再犯防止」は国民的関心事とはなっていない。
→「再犯者による犯罪は全体の約6割」という最も大切な情報を新聞突出し広告に掲載しないのはどうしてだろうか。「保護局公式Twitter」にアクセスできる中高齢者はどれだけいると考えているのだろうか。疑問がたくさんある。(筆者)

5/13 厚生労働省 ■「2013年度の医療系専門職国家試験の問題と正答を見てみる」 ・2014年5月12日,厚生労働省は,2013年度の医療系専門職国家試験の問題及び正答を公表した。
<2013年度の各種国家試験>
「第108回医師国家試験の問題および正答」(2014年2月8日~10日実施)
「第107回歯科医師国家試験問題および正答」(2014年2月1日~2日実施)
「第100回保健師国家試験,第97回助産師国家試験,第103回看護師国家試験・追加試験の問題および正答」(2014年2月13日~3月19日実施)
「第66回診療放射線技師国家試験問題および正答」(2014年2月20日実施)
「第60回臨床検査技師国家試験問題および正答」(2014年2月19日実施)
「第49回理学療法士国家試験,第49回作業療法士国家試験問題および正答」(2014年2月23日実施)
「第44回視能訓練士国家試験問題および正答」(2014年2月20日実施)

→3福祉士国家試験受験者や福祉専門職が,医療系専門職国家試験の種類やそのレベルを知っておくことは無駄にはならない。(筆者)
5/12 総務省 「第1回 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議配布資料」 ・2014年4月22日に安倍首相が議長を務める「第1回 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議」が開催され,2014年4月24日に「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等総務省準備本部(第1回会合)」が開催され,関連資料が公表された。
・関係閣僚会議において,安倍首相は,「日本全体の祭典として我が国が活力を取り戻すものだ。東日本大震災の被災地の復興を加速し,その姿を世界に発信していきたい」と述べ,会議には全閣僚が出席し,下村博文五輪担当大臣が大会開催に関する基本計画などについて説明した,とのことである。
・また,準備本部の会議において,総務大臣から,2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けて,ICT環境を世界最高水準にすること,日本中の全ての地域・自治体が様々な形で参画できるよう努力すること等の今後の対応のための指示が出された,とのことである。

→2014年1月24日に「一般財団法人 東京オリン ピック・パラリン競技大会組織委員」が設立された。1964年のアジアで最初の「東京オリンピック」が開催されたときには,利権問題が起きた。現在,メディアが取り上げないために新国立競技場建設問題は静かに進行しているが,オリンピック利権として国民的な関心事になるのもそう遠くないような気がする。(筆者)
5/9 厚生労働省 「労働保険料(労災保険料,雇用保険料)の使用用途」 ・「労働保険」とは,労働者災害補償保険(労災保険) と雇用保険とを総称した言葉で,保険給付は両保険制度で別個に行われているが,保険料の納付等については一体のものとして取り扱われている。厚生労働省において,「労災保険料」は労働基準局労災補償部労災管理課が,「雇用保険料」は職業安定局雇用保険課が担当している。
・労働者(パートタイマー,アルバイト含む)を1人でも雇用していれば,業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり,事業主は成立(加入)手続を行い,労働保険料を納付しなければならない(農林水産の一部の事業は除く)。

・「労働保険料(労災保険料,雇用保険料)」は,労働者に支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額で算定され,使用用途は各種労災保険給付や雇用保険給付などである。
<「労働保険料」の2012年度実績>
(1)労災保険料
(収入)

・労災保険料収入 :約1兆1,166億円(うち保険料収入は7,447億円)
・労災保険料は全額事業主の負担
(用途)
① 労災保険給付等(8,616億円)  保険料収入:7,447億円
② 社会復帰促進等事業(621億円)
③ その他(966億円)
④ 2013年度への繰り越し(963億円+1,015億円の積立金)

(2)雇用保険料
(収入)
・雇用保険料収入 :約2兆1,030億円
・失業等給付費や就職支援法事業の保険料は,事業主および労働者双方が負担
(用途)
① 失業等給付(1兆5,771億円)
② 雇用保険2事業(5,030億円)
③ 就職支援法事業(502億円)
④ その他(1,136億円)

「労災保険・雇用保険の特徴」(厚生労働省)

→福祉専門職として,労働保険制度の理解は重要である。(筆者)
5/8 厚生労働省 ■「介護保険制度に関わる最新資料」 ・2014年4月28日に開催された「第100回社会保障審議会介護給付費分科会」の介護保険制度に関する資料が公開された。
<介護保険制度に関する最新資料>
「介護保険制度を取り巻く状況」
「在宅サービスについて」
「施設・居住系サービスについて」

→2011年の「改正高齢者住まい法」によって創設された「サービス付高齢者向け住宅(サ高住)」は,高齢者の居住の安定確保を目的とし,2014年3月末時点で146,544戸と急増している。しかし,2014年5月8日付での新聞報道では,43.6%のサービスや施設が標準に達していないとのことである(高齢者住宅研究所の調査)。
→サ高住は,「施設から在宅へ」や「地域包括ケア体制の推進」の流れに沿っていると思いきや,住宅というより施設化しているとの指摘もある。制度変更リスクや運営リスクが潜む施策に対する国や自治体の抱えている課題は山積している。(筆者)

5/7 総務省 「こどもの数(15歳未満人口)」(2014年4月1日現在) ・総務省は,2014年5月5日の「こどもの日」にちなんで,2014年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)を公表した。
【全国】
①こどもの数は1,633万人で33年連続の減少
②こどもの割合は12.8%で40年連続の低下
【都道府県】
③こどもの数は東京都・沖縄県では増加
④こどもの割合は沖縄県が最高,秋田県が最低

→子どもの人口は,1981年の2,760万人を境に減少し,調査が始まった1950年から1,300万人以上も減少し,1997年以降は65歳以上の人口を下回っている。総人口に占める子どもの割合は「第1次ベビーブーム」が続く1949年まではおよそ35%であったが,現在の12.8%は先進7か国で最も低い割合である。
→素人考えでも,子どもの数がこれ以上減少するのは国家の劣化につながるように思われるが,相変わらず結婚に結び付く若者雇用改善などの積極的な施策がなされず,国からは明確な考えが示されないため,多くの国民は差し迫った危機感は持っていない。(筆者)

4/25 国税庁 「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大された ・「金銭又は有価証券の受取書」には印紙税が課税される。受取書とは,受取事実を証明するために作製される書類で,「受取書」,「領収書」,「レシート」,「預かり書」,「コンビニや銀行などでお金を振り込んだ際に発行される明細書」などが該当する。なお,営業に関係しない金銭又は有価証券の受取書は非課税である。また,印紙税は文書作成者に納付義務があるため,一般には,負担している印紙税を「手数料」という名目で利用者から徴収しているケースが多い。
・2013年度税制改正における「改正印紙税法」により,2014年4月1日以降に作成された領収証やレシートなどの「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税について,記載された受取金額の非課税範囲が,従来の「3万円未満」から「5万円未満」に拡大変更された。

→介護サービス利用料の領収書の場合では,介護サービス事業者が作成者であれば,今回の改正で収入印紙が5万円以上の領収書には必要となるが,「公益法人(社会福祉法人,医療法人等)」,「NPO法人」が作成者であれば,従来通り,営業に関しないものとして収入印紙を貼らなくてよい(金銭又は有価証券の受取書 第17号文書)。(筆者)

(参考)
「介護サービス関係Q&A」(厚生労働省)
「営業者の間における契約であることの要件」(国税庁)
4/24 文化庁 「ことば食堂へようこそ!(全20回)」(You Tube) ・文化庁は,1995年度から毎年度,日本人の国語意識の現状を調査する「国語に関する世論調査」を行っている。今回,その調査結果を基にして,本来の意味と異なる意味で使われることが多い慣用句を取り上げて解説した全20回の動画を作成し,そのうち第1回を2014年4月18日に公開した。今後,第20回目を2015年2月20日として,第1・第3金曜日に追加公開される。
・取り上げられる慣用句等は,①役不足,②煮え湯を飲まされる,③敷居が高い,④奇特,⑤気が置けない,⑥雨模様,⑦枯れ木も山のにぎわい,⑧割愛する,⑨流れに棹さす,⑩世間ずれ,⑪煮詰まる,⑫他山の石,⑬御の字,⑭すべからく,⑮手をこまねく,⑯やおら,⑰琴線に触れる,⑱失笑する,⑲情けは人のためならず,⑳耳ざわり,の予定である。
4/22 厚生労働省 「民生委員・児童委員の活動環境の整備に向けた検討会報告書」 ・2014年4月21日,厚生労働省は,「民生委員・児童委員の活動環境の整備に向けた検討会報告書」を公表した。
・近年,地域福祉の担い手として,活躍が期待されている民生委員・児童委員の活動の現状と課題を整理し,その活動しやすい環境整備に向けた方策を検討するため,2013年10月に,「民生委員・児童委員の活動環境の整備に向けた検討会」(座長:同志社大学社会学部教授)が設置され,2014年3月26日に報告書が取りまとめられた。
<報告書の構成>
①検討会設置の趣旨
②民生委員・児童委員活動における課題(検討の論点)
③民生委員・児童委員の活動環境の整備に向けて(提言)
④今後検討を期待する課題
⑤民生委員・児童委員に期待すること

→民生委員・児童委員の活動については,「福祉行政報告例」のなかで人数,相談・支援の種類別の件数,訪問回数等が定期的に把握されているが,具体的な支援内容や地域福祉の推進にあたっての現状等の実態や課題が把握できていないのが現状だとされている。
→民生委員・児童委員に関する現状や課題をまとめた最新の資料である。(筆者)
4/18 警察庁 「春から初夏にかけて増加が目立つ交通事故の特徴と対策について」 ・2014年4月10日,警察庁は,「春から初夏にかけて増加が目立つ交通事故の特徴と対策について」を公表した。
<傾向・特徴および対策のポイント>
(1)自動二輪車の交通事故の傾向・特徴
<過去5年間の傾向>

・死者は4月から増加
<4月~6月の特徴>
①年齢層別 :全死者に占める割合は,16~24歳(24.4%),40~49歳(21.7%),30~39歳(19.2%)の順に多い
②通行目的別 :ドライブ目的が増加
③時間帯別 :昼間帯(11:00~14:00)が顕著に増加
④曜日別 :土曜日・日曜日が平日の約2倍


(2)小学校の歩行中事故の傾向・特徴
<過去5年間の傾向>
・小学生1・2年生の歩行中死傷者の合計値は5月から7月に増加
<5月~7月の特徴>
・時間帯別 :14:00 ~16:00までに多発(64.6%)
・通行目的別 ::登下校(31.3%),遊戯(19.7%),訪問・買物(17.5%)の順に多い
・法令違反有無別 ::67.3%に法令違反あり(うち58.9%が飛び出し)


(3)対策
①上記特徴を先行的に広報
②自動二輪車乗用中の交通事故防止対策,小学生低学年の歩行中の交通事故防止対策の取組み

→「広報」が対策と言うのであれば,テレビでの広報の場合,スマホ会社やパチンコ屋のCMぐらい,アホほど繰り返し流さないと効果的ではないと思われる。「通り一遍の広報活動」を対策と言っていいのかどうか。(筆者)

(参考)
「第9次交通安全基本計画(2011年度~2015年度)」

4/17 総務省 「人口推計(2013年10月1日現在)」 ・2014年4月15日,総務省は,「人口推計(2013年10月1日現在)」(全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口)を公表した。
<「人口推計(2013年10月1日現在)」結果の要約>
(1)全国人口

①総人口は21万7千人の減少,日本人人口は減少幅が拡大
②男性は9年連続,女性は5年連続の自然減少
③日本人は3年連続の社会減少,外国人は5年ぶりの社会増加
④生産年齢人口が32年ぶりに8000万人を下回る
⑤4人に1人が65歳以上人口となる

(2)都道府県別人口
①人口増加に転じた宮城県,人口減少幅が縮小した福島県及び岩手県
②過半数の道府県で65歳以上人口の割合が年少人口の割合の2倍以上となる

(参考)
「人口推計(2013年10月1日現在)」の統計表

→総人口は1億2,729万8千人で3年連続減少した。年少人口(0~14歳)の割合が12.9%と過去最低となった。65歳以上が25.1%と1/4を超えた。「人口減少・少子高齢化が進行している」と,日本のメディアはセンセーショナルに報道しているが,このようになることは以前からわかっていたことで,むしろ政治の無為無策ぶりやの行政の鈍感さに言及すべきと思うが・・・。
→政府は,「現役世代の社会保障費負担増を懸念し,女性やシニア世代の活用とともに外国人労働者の受け入れ拡大の検討を急いでおり,6月にまとめる新たな成長戦略に盛り込む方針」とのことである。また,最近,神奈川県大和市が,「60歳代を高齢者と言わない都市を宣言した」とのことである。政府や地方行政がやらねばならないことは,こういうことなのだろうか。(筆者)
4/16 厚生労働省 「ハローワークの主な取組と実績」 ・2014年4月15日,厚生労働省は,「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績(2014年4月)」を公表した。
<2014年度 ハローワークの概要>
(1)設置数

・544所(本所:436所,出張所:95所,分室:13室)(2014年度末予定)
(2)人員体制
・職員数:11,140人,相談員数:16,737人
(3)所掌事務
①職業紹介 :職業相談・紹介業務,求人受理・開拓業務再就職支援業務等
②雇用保険 :雇用保険適用,失業認定・給付業務等
③雇用対策 :障害者・高年齢者雇用企業指導業務,助成金業務 等

(参考)
ハローワークでのサービスについて (厚生労働省職業安定局)
ハローワーク等所在地情報

→厚生労働省は,2010年6月25日に「職業相談等の際に名刺をお渡しすることについて」を公表し,6月28日から実施された。また,2011年3月1日には,ハローワークの窓口サービスの基本方針などをまとめた「ハローワークサービス憲章」の策定を発表している。
→ハローワークの課題は山積しているが,福祉専門職としては,ハローワークの現状把握は必須である。(筆者)

4/15 法務省 「改正少年法」が成立した ・2014年4月11日,「改正少年法案」が参院本会議で賛成多数で可決,成立した。
<「改正少年法案」の概要>
(1)法案提出の理由

少年審判手続のより一層の適正化を図るため,家庭裁判所の裁量による国選付添人制度及び検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大するほか,少年に対する刑事事件における科刑の適正化を図るため,少年に対する不定期刑の長期と短期の上限の引上げ等の措置を講ずる必要がある。
(2)法案の骨子
①事件当時18歳未満の少年に対する有期刑の上限を15年から20年にする。
②判決時20歳未満の少年に対する不定期刑の上限を,短期は5年から10年に,長期は10年から15年にする。
③検察官や国選付添人が少年審判に立ち会える対象事件を窃盗や傷害などにまで広げる。

(参考)
法案の新旧対照条文

→2013年2月8日の「法制審議会」の答申に基づいて,2014年2月7日に「改正少年法案」が提出された。
→少年の凶悪犯罪への刑罰の妥当性は,時代の変化に法律がマッチしているかどうかということに尽きる。2009年に大阪府富田林市で当時17歳の少年にバットで殴られるなどして殺害された事件の裁判員裁判で,大阪地裁堺支部が,不定期刑の上限である5年以上10年以下の懲役を言い渡したうえで「刑期は十分でなく,適正な法改正が望まれる」と異例の言及をした。それから,5年を経て法改正がなされたことになる。絶え間ない国民的議論が必要であるが・・・。(筆者)
4/11 厚生労働省 「2013年度 厚生統計要覧」 ・2014年4月10日,厚生労働省は,「2013年度 厚生統計要覧」を公表した。
・「厚生統計要覧」は,人口・世帯,保健衛生,社会福祉,老人保健福祉,社会保険,社会保障等の基本的な厚生統計のダイジェストである。

(参考)
「2013年 厚生労働統計のあらまし」
「厚生労働統計一覧」
4/10 厚生労働省 「がん研究10か年戦略」 ・2014年4月2日,文部科学大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣は,2012年の「がん対策推進基本計画」に基づき,国全体で進めるがん研究の今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等について定めた,2014年度からの「がん研究10か年戦略」を公表した,。
<厚生労働省の広報文>
「今後,本戦略を踏まえ,文部科学省,厚生労働省,経済産業省が一体となって,がん研究を推進していきます。本戦略では,「根治・予防・共生 ~患者・社会と協働するがん研究~」をキャッチフレーズに,これまで以上に,がんの本態解明研究とこれに基づく革新的な予防,早期発見,診断,治療に係る技術の実用化をめざした臨床研究に取り組みます。また,新たに小児がんや高齢者のがん,難治性がんや希少がん等に関する研究を戦略に位置付けて推進することとした他,充実したサバイバーシップを実現する社会の構築をめざした研究,がん対策の効果的な推進と評価に関する研究等を推進することとしています。」

(参考)
「がん対策情報」(厚生労働省)
「がん対策に関する世論調査(2013年1月調査)」(内閣府)

「がん対策推進協議会」(厚生労働省)
4/8 厚生労働省 「2013年 海外情勢報告」 ・2014年4月7日,厚生労働省は,「2013年 海外情勢報告」を公表した。
・ 「海外情勢報告」は,諸外国の労働情勢と社会保障情勢全般に関する情報を,毎年取りまとめているもので,「特集」と「定例報告」で構成されている。今回の「特集」では,アジア7か国(中国,インド,インドネシア,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナム)の労使紛争とその解決制度について取り上げている。中国,インド,インドネシア,ベトナムにおいては,ここ数年,デモやストライキなどの労働紛争が多発し,企業の間では,その実情に対する懸念や解決制度に対する関心が高まっている。なお,マレーシア,フィリピン,タイでは,多くの規制などもあって,紛争は比較的少ないとされている。
<主要国の労働施策および社会保障施策>
国名 労働施策・社会保障施策
および過去1年におけるトピックス
①アメリカ 労働施策
・非登録移民の合法化等を内容とする移民改革法案が超党派議員により提出され,上院で可決したが,下院では審議の見込みがたっていない。
社会保障施策

・医療制度改革法が2014年から本格施行されるが,2014年から施行される予定であった従業員50人以上規模の企業への医療保険プランの提供義務付けが,2013年7月に1年先送りされることが決定されるなど,医療制度改革法の各種規定の施行に向けては,紆余曲折が予想される。
②イギリス 労働施策
・ 長期失業者などの就労支援を民間業者に委託する「ワークプログラム」の実施結果が改善された。支援実績は支援容易な若年者・成人失業者に偏っており,就労困難者の支援は,依然として不十分であった。福祉改革法に基づき,税財源による単一の普遍的給付制度(Universal Credit)及び世帯当たりの福祉給付の上限(Benefit Cap)が順次導入された。
社会保障施策

・ この1年の大きな動きとしては,2階建てであった公的年金制度を1階建てに再編する法案が提出されたこと,高齢者介護に関して,介護費用の生涯での自己負担額の上限を設けること等を内容とする法案が提出されたことが挙げられる。
③フランス 労働施策
・ 2012年4月に就任したオランド大統領は,世界金融危機以降悪化を続ける雇用・失業情勢に対して,若年者を中心とした15万人の雇用創出を目標に掲げている。2012年においては就職が困難な若年者のため未来の雇用制度を創設し,2013年3月には若年者雇用と高齢者の雇用維持の両立を目指す世代契約制度を開始した。また,労働市場改革として失業保険や解雇関係規制を改正する雇用安定化法が2013年5月に成立,同年7月までに順次施行された。これらに加え,解雇を回避するために利用されてきた一時帰休制度と長期操業短縮制度が,受給者の利便性向上等の観点から一本化された。労使関係施策においては,「代表制を有する労働組合」に関する投票が2013年1月に行われ,フランス労働総同盟(CGT)ら5団体が8% 以上の支持を得て,中央組織として認められた。
社会保障施策

・ 年金制度の持続可能性と公平性を高めるため,2013年末に成立した年金改革法(年金制度の将来と公平性を保障する法)が2014年1月に施行した。保険料率の引上げや保険料納付期間の延長等を内容とする年金制度改革が実施された。
④ドイツ 労働施策
・ 2013年においては,高度技能労働者の不足に際し,EU 外からの専門労働者の移民要件の緩和が行われた。また,とりわけ不足が深刻である高齢者介護人材について,介護労働者の養成・継続教育を強化するために養成期間を短縮する制度を充実させる措置も取られた。
社会保障施策

・2013年1月 :①好調なドイツ経済等により年金保険上の持続性積立金の余剰を活かし,年金保険料率が18.9%(前年19.6%)に引き下げられた。また,医療保険制度においても生じた巨額余剰金を活かし,ドイツ国民に嫌悪感が著しく高かった外来一部負担金制度(四半期に一度10ユーロ)が撤廃された。②介護保険料率が0.1%引き上げられ原則2.05%とされ,認知症患者の支給(限度)額引上げ等に充てられたとともに,私的介護保障を任意に講じる者の保険料負担に対する連邦補助の支給(いわゆるプフレーゲ・バール)制度が施行された。
・2013年8月 :①公的な支援が講じられている保育の場を全く又はほぼ利用せず,3歳未満の児童を私的な環境(自宅等)で保育する両親に対する「保育手当」が導入された。②全ての1歳以上の児童について保育所の入所を請求する法的権利が付与された。
⑤スウェーデン 労働施策
・経済・雇用情勢も回復の兆しは見えつつも,本格的な回復にはまだ時間を要するものと見込まれている。なお,2014年予算においても,積極的労働市場政策による支援など,経済成長を下支えする雇用の増大に注力を続けるとされている。
社会保障施策

・医療費及び薬剤費の自己負担上限額について,2013年から,これまでの定額から物価基礎額に連動する形に改められた。

→3福祉士国家試験受験者のみならず,福祉専門職にとっても,現在の日本の到達点を理解するうえで,「社会福祉の国際動向」の把握は重要である。(筆者)


(参考)
諸外国の年金制度(厚生労働省)
主要各国の年金制度(日本年金機構)
データブック国際労働比較(労働政策研究・研修機構)
諸外国の労働情報(労働政策研究・研修機構)
諸外国の安全衛生情報(中央労働災害防止協会)
4/4 厚生労働省 「社会的養護の現状(2014年3月版)」および「社会的養護の課題と将来像の取組状況(2014年3月版)」 ・2014年4月3日,厚生労働省は,「社会的養護の現状(2014年3月版)」および「社会的養護の課題と将来像の取組状況(2014年3月版」を公表した。
社会的養護とは,保護者のない児童や,保護者に監護させることが適当でない児童を,公的責任で社会的に養育し,保護するとともに,養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。社会的養護の理念とは,「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」である。
<「社会的養護の現状」の構成>
①社会的養護の現状
②措置費の現状と充実
③人員配置基準と最低基準の現状と充実
④里親委託等の推進
⑤施設運営指針,里親等養育指針
⑥社会的養護関係施設の第三者評価等
⑦市町村における要保護児童対策
⑧社会的養護の充実のためのこれまでの取組
⑨2011年からの主な取組
⑩2014年度社会的養護関係予算の概要
⑪2012年度の検討ワーキング


<「社会的養護の課題と将来像の取組状況」の構成>
①社会的養護の現状
②社会養護の基本理念と原理
③施設等種別ごとの課題と将来像
④社会的養護の質の向上,親子関係再構築の充実,権利擁護など
⑤施設の人員配置の課題と将来像
⑥社会的養護の整備量の将来像
⑦子ども・子育て新制度と社会的養護
⑧社会保障・税一体改革による社会保障の充実・安定化と社会的養護
(参考)
「社会的養護の課題と将来像」(社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会2011年7月)

→ソーシャルワーカーに関係する最近のテレビドラマについてのコメントである。
・2014年1月から3月まで放映された,全部観れば分かってもらえると日本テレビの社長が言っていた例の「明日ママがいない」というテレビドラマは,作り手側の軽薄な姿勢に基づいて「実態に即したフィクション」になっていない低俗な脚本だった,というのが全部観た上での筆者の感想である。
・2014年4月8日から始まる東京下町の社会福祉協議会CSWを主人公とするNHKテレビドラマ「サイレント・プア」(全9回)は,大阪府豊中市と豊中市社会福祉協議会が取材協力し,モデルとなっているとのことである。筆者は,軽率な発言をくりかえしたあの会長が率いるNHKと民放との違いはどの程度なのかを楽しみにしている。(筆者)

4/3 厚生労働省 「終末期医療に関する意識調査検討会報告書」 ・2014年4月2日,厚生労働省は,「終末期医療に関する意識調査等検討会 」(座長:町野上智大学教授)における「終末期医療に関する意識調査検討会報告書」を公表した。

→今回の「終末期医療に関する意識調査検討会報告書」において,2013年3月の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」が改めて整理されている。
・終末期に備えて望む治療の内容を示す書面を作っておくことについて,69.7%の国民が「賛成」と回答しているが,意思表示の書面に従った治療を行うことを法律で定めること(リビングウィルの法制化)については,53.2%の国民が「反対」と回答している。筆者は,こんな中途半端な意識調査では「民意」は捉えられないが,安易な法制化の動きへの抑制にはなると思う。
・担当される死が間近な患者(入所者)の治療方針の決定に際して,「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を参考にしているかについて,病院と介護老人福祉施設との施設長は「知っているが,特に活用していない」との回答がもっとも多く,「ガイドラインに沿うよう指導している」は少ないという結果には,改めて国民的議論の必要性を感じる。
→なお,2013年に実施された「人生の最終段階における医療に関する意識調査」は,1992年から5年ごとに行われていたもので,従来の「終末期医療のあり方に関する意識調査」の表題が「人生の最終段階における医療に関する意識調査」に変えられたものである。「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」において,『名称を変更することで,医療行為のみに注目するのではなく,最後まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目していくことに重点をおく」,「人生の最後の時期の過ごし方についての国民の希望はさまざまだが,医療のみならず,本人が誰と,どこでどのように過ごしたいかという,生き方に対する考え方をふまえ,支援していくことが重要である。』とその用語の変更理由が記述されている。
→また,2013年の「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」においては,「医療の在り方」の項目に,『そのときが来たらより納得し満足のできる最期を迎えることのできるように支援すること-すなわち,死すべき運命にある人間の尊厳ある死を視野に入れた「QOD(クォリティ・オブ・デス)を高める医療」-も入ってこよう。』と記述されている。
→軽々にコメントできない事柄であることを承知の上で,結論だけを言えば,筆者は,用語の言い換えや新しい用語の導入には,本質的な問題の隠ぺいやきちんとした議論を踏まえない国民の合意への誘導の意図を感じている。(筆者)
4/2 厚生労働省 「公的年金制度の概要」 ・2014年4月1日,厚生労働省ホームページ上の「公的年金制度の概要」が更新された。
・国民に向けて, Q&Aの形で,公的年金制度の考え方や基本的な仕組みについて説明されている。
<「公的年金制度の概要」の構成>
(1)公的年金制度は必要なのか?
公的年金制度の特徴
公的年金制度が整備されてきた背景
(2)公的年金制度はどのような仕組みなのか?
公的年金制度の仕組み
公的年金制度の規模
ライフコース別にみた公的年金の保障
現行年金制度の財政方式
(3)年金はどのようなときに受け取れるのか?
公的年金の給付の種類
(4)公的年金制度は少子高齢化にどのように対応しているのか?
現行の公的年金制度における長期的な財政の枠組み
人口ピラミッドの変化(1990~2060年)
将来における総人口と就業者数の変化

→現在,国民の約3割(2013年3月末:約3,942万人)が公的年金を受給し,高齢者世帯の収入の7割を公的年金が占めている状況にある。
→現行の社会保障制度の基本的な枠組みが構築された1960年代に比べ,社会保障制度の前提となる社会経済情勢が大きく変化してきたため,近年,持続可能な社会保障制度の構築を目指すための社会保障・税一体改革が行われている。その一環として,公的年金制度改革については,2012年の通常・臨時国会で「年金関連4法」(「国民年金法等一部改正法」,「年金機能強化法」,「被用者年金一元化法」,「年金生活者支援給付金法」)が成立し,公布された。これにより,2004年の年金制度改正で導入された,①上限を固定した上での保険料の引上げ,②基礎年金国庫負担割合1/2の恒久化,③積立金の活用,④マクロ経済スライドによる給付水準の調整からなる財政フレームワークが完成し,長期的な給付と負担の均衡を確保して持続的な制度運営を行う基礎が整ったと説明されている。これが,公的年金制度改革の現在の到達点であり,「現行の制度は破綻していないというのが政府の認識」である。
→なお,2013年8月の「社会保障改革国民会議報告書」において,公的年金制度改革における残された課題は,『「長期的な持続可能性をより強固なものとする」,「社会経済状況の変化に対応したセーフティネット機能を強化する」という2つの要請からの課題と整理可能』と明記されているが,国民的関心の強い主要な改革論議は先送りされており,2013年に成立した「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」においても,実施時期および法案提出時期の記述はない。その程度の到達点である。(筆者)


→●3/31
(■「社会保障制度改革の全体像」の記事を参照
4/1 厚生労働省 2014年4月に実施される「厚生労働省関係の主な制度変更」 ・2014年3月31日,厚生労働省は,「2014年4月に実施される厚生労働省関係の主な制度変更の一覧表」を公表した。
<主な制度変更>
(1)雇用・労働関係
改正雇用保険法の施行
求職者支援制度の見直し
(2)年金関係
2014年度の国民年金保険料の引き上げ(15,040円 →15,250円)
2014年4月からの年金額の引き下げ(64,875円 →64,400円)
遺族基礎年金の父子家庭への支給
産休期間中の厚生年金保険料の免除
(3)医療保険関係
2014年度の診療報酬改定(消費税引上げ対応分:+1.36%,通常改定分+0.1%)
後期高齢者医療の保険料率の改定(2年ごと)
70~74歳の患者負担軽減特例措置の見直し
(4)介護保険関係
2014年度介護報酬改定
第2号被保険者(40歳から64歳)の保険料の引き上げ(4,966円 →5,273円)
(5)障害者福祉関係
障害者総合支援法の本格施行
改正精神保健福祉法の本格施行
(6)薬事関係
指定薬物の所持,使用,購入等の禁止
3/31 厚生労働省 「社会保障制度改革の全体像」 ・2014年3月28日,厚生労働省は,「社会保障制度改革の全体像」を公表した。
<「社会保障制度改革の全体像」の構成とポイント>
①地域ごとの高齢化の特徴
・75歳以上人口は,多くの都道府県で2025年頃までは急速に上昇するが,その後の上昇は緩やかで,2030年頃をピークに減少する。今後10年間で75歳以上人口は都市部においては急速に増加するが,地方ではそれほど増加しない。75歳未満人口は特に地方において急速に減少する。
②平均的なライフサイクル
・子どもの数は減少する一方,平均寿命の延伸により引退後の期間が長くなっている。
③世帯構成の推移と見通し
・単身世帯,高齢者単身世帯,ひとり親世帯ともに,今後とも増加が予想されている。単身世帯は,2035年で約4割に達する見込み。(全世帯数約5,184万世帯(2010年))
④社会保障給付費の推移
・1970年:3.5兆円⇒2013年:110.6兆円
⑤社会保障財源の全体像(イメージ)
・保険料62.2兆円+国庫29.7兆円+地方負担11.7兆円+資産収入等
⑥社会保障の給付と負担の現状(2013年度予算ベース)
・2013年度の社会保障給付費:110.6兆円(対GDP比22.7%)
⑦社会保障に係る費用の将来推計について
・給付費は,2012年度の109.5兆円(GDP比22.8%)から2025年度の148.9兆円(GDP比24.4%)へ増加する。2025年度にかけて,医療・介護の給付費が急激に増加する。
⑧歳出・歳入構造の変化
・1990年度と2014年度の国の一般会計の構造を比べると,公債金が大幅に増加するとともに,社会保障関係費も大幅に増加し,国の一般歳出(政策経費)の半分以上を占めるようになった。
⑨社会保障と税の一体改革の経緯
・社会保障国民会議(2008年)~2014年通常国会以降の順次の個別法改正案の提出
⑩消費税5%引上げによる社会保障制度の安定財源確保
・消費税率(国・地方)を,2014年4月より8%へ,2015年10月より10%へ段階的に引上げる。消費税収の使い途は,国分については,これまで高齢者3経費(基礎年金,老人医療,介護)となっていたが,今回,社会保障4経費(年金,医療,介護,子育て)に拡大する。消費税収は、全て国民に還元し、官の肥大化には使わない
⑪国・地方を通じた社会保障安定財源の確保
・消費税率を引き上げた増収分は,(1)社会保障4経費に則った範囲の社会保障給付における国と地方の役割分担に応じた配分を実現し,(2)全額社会保障財源化し,国民に還元する。官の肥大化には使わない。
⑫社会保障制度改革国民会議報告書を踏まえた改革の方向性
・すべての世代が安心感と納得感の得られる,「全世代型」の社会保障制度に転換を図る。そして,社会保障制度を将来の世代にしっかり伝える。
⑬社会保障制度改革国民会議報告書を踏まえた各分野の方向性
・子ども・子育て(0,7兆円程度)
:「子ども・子育て支援新制度」を実施(平成27年4月施行予定),平成29年度末までに待機児童解消をめざす,社会的養護の充実
・医療・介護(1.5兆円程度)
:病床の役割の分化・連携強化、在宅医療の推進(平成26年度から実施),地域包括ケアシステム構築の推進(平成27年度から本格実施),医療・介護の保険料を所得に応じて見直し(平成26年4月,平成26年度中,平成27年1月,平成27年度中)
・公的年金制度(0.6兆円程度)
:年金制度の充実
⑭社会保障の安定化
・基礎年金国庫負担割合1/2の恒久化(現役世代は全て国民年金の被保険者となり,高齢期になれば基礎年金の給付を受ける。基礎年金国庫負担割合を1/2に引き上げ,将来の年金支払いに支障が生じないようにする。)
⑮社会保障の「充実」の全体像
・消費税引上げによる増収分(2.8兆円程度)は,全て社会保障の充実・安定化に向けることとなっており,基礎年金国庫負担割合の1/2への恒久的引上げ等による社会保障の安定化のほか,子ども子育て,医療・介護,年金の社会保障の充実を予定している。
⑯消費税率の引上げと経済成長の両立のための給付
・臨時福祉給付金,子育て世帯臨時特例給付金

(参考)
「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(概要 / 本文)(2013年8月6日)

社会保障・税一体改革ページ(首相官邸)
社会保障・税一体改革(厚生労働省)
社会保障都税の一体改革
(政府広報オンライン)

→「社会保障制度改革」の直近の動向である。
2013年8月6日に「社会保障制度改革国民会議報告書」が提出され,2013年12月5日に「持続的な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)」が成立し,施行された。個別の法案は,2014~2015年の通常国会に提出され,2014~2017年度の間に多くの項目が実施されると見られている。2014年の通常国会においては,「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(医療・介護総合推進法案)が提出されている。また,2014年2月14日には「プログラム法」に基づいた「第1回社会保障制度改革推進本部」が開催され,厚生労働省より「社会保障制度改革の実施状況と今後の進め方」が示されている。(「社会保障制度改革」については,やまだ塾トップページの「トピックス」を参照)
→一般に,報告書やプログラム法において,最も問題があるとされていたのは,社会保障制度改革と政府の財政健全化政策との整合性や関係性の曖昧さであった。社会保障制度改革の全体像」が示されても,政府の財政健全化との整合性は未だ不十分のままである。今後,「社会保障改革推進会議」での議論を経て,財政健全化と整合された社会保障制度改革の姿が示されることを期待しているという無責任な意見がマスメディアから流されている。(筆者)


→●3/28
(■「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」,3/5(■「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」,2/28(■「2014年の介護保険制度改正案」の記事を参照
3/28 厚生労働省 「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」 ・2014年3月25日,厚生労働省は,「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」を公表した。
・特別養護老人ホームの入所申込者は,約52.4万人(2009年:42万人)で,そのうち入所の必要性が高い要介護3・4・5での在宅入所申込者は約15.3万人であった。なお,現在,特別養護老人ホームは約7,900か所あって,約51.6万人が入所している。

→厚生労働省は,今国会に「医療・介護総合推進法案」を提出し,「特別養護老人ホームを,在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化する」ことをめざしている。
→「待機児童」と同列の議論が必要であるはずの「待機高齢者」を,「入所申込者」という言い方ではぐらかしている。はぐらかされる方が悪い。(筆者)


→●3/5(■「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」,2/28(■「2014年の介護保険制度改正案」の記事を参照
3/27 厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会報告書」

(3月31日追記)
「健康づくりのための睡眠指針2014」
・2014年3月25日,厚生労働省は,「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会報告書」を公表した。
・睡眠に関して,2000年からスタートした健康日本21(第1次)に目標が設定され,2003年に「健康づ くりのための睡眠指針」が策定された。2013年4月からスタートした健康日本21(第2次)においても目標が設定され,2014年2月3日に設置された「健康づくりのための睡眠指針の改定に関する検討会」の報告書に基づいて「新健康づくりのための睡眠指針」が策定されることになっている

健康づくりのための睡眠指針2014(案)
~睡眠12箇条~
健康づくりのための睡眠指針2003
~睡眠7箇条~
(1)良い睡眠で,からだもこころも健康に。
(2)適度な運動,しっかり朝食,ねむりとめざめのメリハリを。
(3)良い睡眠は,生活習慣病予防につながります。
(4)睡眠による休養感は,こころの健康に重要です。
(5)年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
(6)良い睡眠のためには,環境づくりも重要です。
(7)若年世代は夜更かし避けて,体内時計のリズムを保つ。
(8)勤労世代の疲労回復・能率アップに,毎日十分な睡眠を。
(9)熟年世代は朝晩メリハリ,ひるまに適度な運動で良い睡眠。
(10)眠くなってから寝床に入り,起きる時間は遅らせない。
(11)いつもと違う睡眠には,要注意。
(12)眠れない,その苦しみをかかえずに,専門家に相談を。 

(参考)
「睡眠に関する施策的背景」(2014年2月)
(1)快適な睡眠でいきいき健康生活。
(2)睡眠は人それぞれ,日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター。
(3)快適な睡眠は,自ら創り出す。
(4)眠る前に自分なりのリラックス法,眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる。
(5)目が覚めたら日光を取り入れて,体内時計をスイッチオン。
(6)午後の眠気をやりすごす。
(7)睡眠障害は,専門家に相談。

→新指針案では,従来の指針をベースとして,①若年世代,②勤労世代,③熟年世代の特徴に応じた良い睡眠のためのアドバイスが盛り込まれている。
→なお,総務省の「2011年社会生活基本調査」によれば,平均の睡眠時間は7時間42分(男性7時間49分,女性7時間36分)で,過去25年間の睡眠時間は男女共に減少傾向となっており,1986年と比べると,男性は10分,女性は6分減少している。(筆者)
3/25 内閣府 「社会意識に関する世論調査(2014年1月調査)」 ・2014年3月22日,内閣府は,「社会意識に関する世論調査(2014年1月調査)」を公表した。
「国の政策に対する評価について」の結果>
(1) 国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか?
・「反映されている」30.7%,「反映されていない」66.4%
(2) 現在の日本の状況で良い方向に向かっていると思われる分野は?(複数回答,上位6項目)
・「医療・福祉」27.6%,「科学技術」25.1%,「景気」22.0%,「治安」19.4%,「防災」18.3%,「教育」17.2%
(3) 現在の日本の状況で悪い方向に向かっていると思われる分野は?(複数回答,上位6項目)
・「外交」38.4%,「国の財政」32.8%,「雇用・労働条件」28.0%,「物価」25.7%,「資源・エネルギー」24.5%,「地域格差」23.7%

→現在の日本の状況で良い方向に向かっている分野として,「医療・福祉」を挙げた者の特徴は,①都市規模別では「小都市」,②性別では「女性」,③年齢別では「70歳以上」,の者となる。筆者は,いびつな「医療・福祉行政」の結果が現れていると理解した。
→現在の日本で悪い方向に向かっている分野として,「外交」を挙げた者が38.4%という高率であった。筆者は,中国との対立,韓国との確執,北朝鮮との拉致問題,ロシアとの北方領土問題,日米関係の希薄さなどの「現在の日本外交の閉塞状況」を打開できるのは,何事につけ個人的な信条を無邪気に振りかざす安倍首相ではないと考える国民の割合に対応しているように思う。(筆者)
3/24 総務省 「2014年版地方財政白書」(概要 / 本文 ・2014年3月14日,総務省は,「2014年版地方財政白書(地方財政の状況)」(2012年度決算)を公表した。
<白書の構成>
【第1部】平成24年度の地方財政の状況

(1)地方財政の役割
(2)地方財政の概況
(3)地方財源の状況
(4)地方経費の内容
(5)地方経費の構造
(6)一部事務組合等の状況
(7)地方公営事業の状況
(8)東日本大震災の影響
(9)平成24年度決算に基づく健全化判断比率等の状況
(10)市町村の規模別財政状況
(11)公共施設の状況…
【第2部】平成25年度及び平成26年度の地方財政
(1)平成25年度の地方財政
(2)平成26年度の地方財政
【第3部】最近の地方財政をめぐる諸課題への対応
(1)地域の元気創造 ~地域からの日本再生に向けて~…
(2)社会保障・税一体改革
(3)地方分権改革の推進
(4)行財政改革の推進

→地方財政とは,約1,800の都道府県・市町村の財政の総称である。「地方自治体により財政状況がかなり異なり,特に財政力の弱い市町村が多いので,地方財政を見る場合には,全体の指標ばかりではなく,個々の地方自治体ごとの財政状況もみる必要がある」とされている。
→今後,地方分権の推進や人口減少・少子・超高齢社会に向けた介護・医療・子育て支援など地方公共団体が担うべき役割の拡大とこれに伴う財政措置がますます重要になる。(筆者)


(参考)
「地方財政制度」(総務省)
3/20 厚生労働省 「福祉人材の確保について」
<資料の構成とポイント(2014年2月20日時点)>
(1)介護職員数の推移
・139.9万人(2011年)
(2)介護職員数の推移と見通し
・介護保険制度の施行後,介護職員数は増加し,10年間で倍上となっている。また,2025年 には,介護職員は更に1.5倍以上必要と推計されている。
(3)介護サービス別事業所数の推移
・18万7,400か所(2011年)
(4)介護職員に占める介護福祉士の割合の推移(実人員)
・514,129人/1,399,088人(2013年度)
(5)介護福祉士登録者の推移
・国家試験:881,078人/1,183,979人(2013年)
(6)社会福祉士登録者の推移
・165,494人(2013年度)
(7)保育士登録者の推移
・112万6,000人(2012年度)
(8)居宅介護支援事業所に従事する介護支援専門員(ケアマネジャー)の従事者数等
・居宅介護支援事業所における介護支援専門員の従事者数は,増加傾向にあるものの,2006年 以降ほぼ一定している。
・実務研修受講試験の合格者数は,2001年度以降ほぼ一定しているが,合格率でみると減少傾 向にある。
・それに対し,介護支援専門員1人当たりの利用者数は大幅に減少しており,居宅介護支援事 業所の介護支援専門員の従事者数及び資格取得者数は,不足していないものと考えられる。

(9)介護分野における人材確保の状況と労働市場の動向(有効求人倍率と失業率の動向)
・介護分野の有効求人倍率は,全産業より高く,雇用情勢が改善する中で,一層上昇している
(10)離職率・採用率の状況(就業形態別,推移等)
・景気好転により他産業に人材が流れる懸念が高まる。総じて離職率は低下傾向にあるが,他 の職種に比べて水準としては高い。
(11)事業所規模別離職率・法人格別の離職率
・基本的には事業所規模別で見ると,事業所の規模が大きくなるほど離職率が低くなる傾向に ある。
・法人格別の正規職員の離職率を見ると民間企業の離職率が高い傾向にある。

(12)従業員の過不足の状況
・人手不足感は広がっている。特に,種別として在宅サービス,その中で,段階としては採用段階での不足感が強い。
(13)介護に対するイメージ
・介護職について,「夜勤などがあり,きつい仕事」を挙げた者が65.1%と最も高く,以下, 「社会的に意義のある仕事」,「給与水準が低い仕事」,「やりがいのある仕事」などの順と なっている。
(14)介護労働者の現状
・一般労働者の男女比・平均年齢・勤続年数及び平均賃金,就業形態
(15)介護職員の賃金(常勤労働者)
・産業別・職種別
(16)事業所規模別(従業員数別)の賃金の状況
・基本的には,事業所規模が大きい方が,事業所の平均実賃金が高い傾向にある。
(17)介護事業所における法人格別の賃金の状況
・民間企業やNPOは,1か月の平均実賃金がやや低い傾向にある。
(18)施策を通じての介護人材確保(試算)
・学卒入職者数の水準維持(相対的なシェア拡大),離職率の低下(特に介護業界離れの抑制 ),中途入職者の拡大を同時達成して初めて実現する水準
(19)現在の職場を選択した理由(介護福祉士:複数回答)
・入職の段階では,介護という仕事への思いが先行し,法人・事業所の理念・方針や職場の状 況,子育てなどの面への関心は薄い。
(20)過去働いていた職場を辞めた理由(介護福祉士:複数回答)
・離職時には,結婚・子育てや,職場の方針やマネジメントが離職の大きな引き金になってい る。
(21)介護人材確保等のための主な対策
・多様な人材の参入促進,資質の向上,環境の改善
(22)福祉・介護人材確保緊急支援事業(2013年度補正予算:520億円の内数)
・福祉・介護分野については,介護職員が,2012年度149万人に対して2015年度までに165~ 173万人必要とされており,また2025年度には更に100万人必要と推計されている。
・また,現行の介護分野の有効求人倍率は,全産業と比較して高い傾向があり,今後もこの傾向が維持される可能性が高いため,引き続き安定的な人材確保が喫緊の課題。
・さらに「社会保障制度改革国民会議」報告書(2013年8月6日)においても,地域包括ケアを 支えるサービスの確保には介護職員等の人材確保が必要とされている。
・よって,緊急雇用創出事業臨時特例交付金に基づく基金事業において,引き続き当該事業を 実施するとともに,所要額の積み増しを行い,福祉・介護人材確保の一層の推進を図るもので ある。

(23)介護福祉士等修学資金貸付事業
・超高齢化社会に向けて多くの介護・福祉人材の確保が喫緊の課題。
(24)社会福祉施設職員等退職手当共済制度
(25)社会福祉法人職員の給与水準

(26)福祉人材の確保に係る論点
・社会福祉法人は,どのような人材確保に向けた取組を進めて行くべきか。
・福祉人材の確保の効果的な取組を促進するためには,どのような方策が考えられるか。

→左記の資料は,2014年2月20に開催された「第6回社会福祉法人の在り方等に関する検討会」での資料で,現時点での到達点である。福祉人材確保が難しい原因は,①高い離職率,②低い賃金,③劣悪な企業文化,に尽きる。福祉・介護職への社会的評価を向上させるためのソーシャルアクションが必要なことは言うまでもない。(筆者)

→●2/5
(■「福祉人材コーナー設置公共職業安定所及び問い合わせ先一覧」の記事を参照

(参考)
「福祉人材確保対策」(厚生労働省)

3/19 内閣府 「合法といって売られている薬物の,本当の怖さを知っていますか?」(短編マンガ) ・2013年12月13日に公布された「改正薬事法及び改正薬剤師法」のうち,指定薬物の所持等の禁止に関する規定については,2014年4月1日より施行されることが通知された。これにより,指定薬物の(医療や研究目的以外での)所持や使用,購入も取り締まりの対象になり,違反した場合,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらが併科される。
・これに伴い,2014年3月17日,内閣府政府広報オンラインで「合法といって売られている薬物の,本当の怖さを知っていますか?」(短編マンガ)が公表された。
<「薬事法の指定薬物についての禁止行為」の追加>
●改正前 :指定薬物の輸入,製造,販売,授与,販売目的の貯蔵等
●改正後 :上記のほか,新たに「指定薬物の所持,使用,購入,譲り受け」を禁止として追加
●薬事法第76条の4 (改正後:下線部が追加)
指定薬物は,疾病の診断,治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの以外の用途に供するために製造し,輸入し,販売し,授与し,所持し,購入し,若しくは譲り受け,又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。

(参考)
「薬物乱用防止に関する情報」(厚生労働省)
「薬物対策」(内閣府)

→「脱法ドラッグ」について,2013年10月に施行された「改正薬事法」により麻薬取締官に調査権限を付与するなど取り締まり体制が強化され,2014年4月に施行される「改正薬事法」により指定薬物の所持・使用等が禁止されることになった。取り締まりの成果向上が注目されている。(筆者)

→●2/19
(■「薬物乱用の現状と対策」の記事を参照
3/17 厚生労働省 「2012年介護サービス施設・事業所調査の概況」 ・2014年3月13日,厚生労働省は,「2012年介護サービス施設・事業所調査の概況」を公表した。
・この調査は,介護保険制度におけるすべての施設・事業所,延べ32万4,079カ所で,2012年10月1日現在の状況について調査したものである。
<調査項目と調査結果>
【基本票編】
●施設・事業所の状況
①施設数,事業所数
②施設別定員の状況
③定員階級別施設数及び構成割合


【詳細票編】
(1)施設・事業所の状況

①開設(経営)主体別施設・事業所数の構成割合
(2)居宅サービス事業所の状況
①利用人員階級別事業所数の構成割合
②要介護(要支援)度別利用者数の構成割合
③利用者1人当たり利用回数
④認知症対応型共同生活介護事業所における共同生活住居(ユニット)の状況
⑤訪問看護ステーションにおける利用者の状況

(3)訪問介護利用者の状況
①性・年齢階級別利用者数の構成割合
②訪問滞在時間別利用者数の構成割合
③訪問介護の提供内容の構成割合

(4)介護保険施設の状況
①定員,在所者数,利用率
②室定員別室数の構成割合
③介護老人福祉施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況
④介護老人保健施設におけるユニットケア(ユニット型及び一部ユニット型)の状況
⑤要介護度別在所者数の構成割合

(5)従事者の状況
①1施設・事業所当たり常勤換算従事者数
②1事業所当たり常勤換算看護・介護職員数
③介護保険施設の常勤換算看護・介護職員1人当たり在所者数

2011年の「改正介護保険法」により,2012年4月から,単身・重度の要介護者等に対応できるよう,24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」や「複合型サービス」が創設された。(筆者)

→●3/5「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」,2/28(■「2014年の介護保険制度改正案」の記事を参照
3/13 厚生労働省 2014年4月から「改正精神保健福祉法」が施行される ・第183回通常国会において,2013年6月に可決・成立し,6月19日に公布された「改正精神保健福祉法」は,一部を除き,2014年4月1日から施行される。
・本法律では,2014年4月1日から保護者制度が廃止され,病院の管理者に退院後生活環境相談員の設置等の義務が新たに課されることとなる。
<「精神保健福祉法」について>
「精神保健福祉法の目的,制定の経緯,法の内容,法令・通知などの解説」(厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)

<2013年の「改正精神保健福祉法」について>
法律の概要
(1)精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定(2014年4月施行)
(2)保護者制度の廃止(2014年4月施行)
(3)医療保護入院の見直し(2014年4月施行)
(4)精神医療審査会に関する見直し(2014年4月施行。ただし,「精神医療審査会委員の規定」は2016年4月施行)
法律の細目
法律・理由
新旧対照表
衆議院附帯決議
参議院附帯決議

→2013年の「改正精神保健福祉法」に基づき新たに策定する「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」は,2013年12月18日に「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会(とりまとめ)」として公表された。所要の手続きを経て,2013年度内に大臣告示として指針が定められる予定とされている。なお,この指針案において検討課題とされた「地域の受け皿づくりの在り方や病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方」については,引き続き同検討会の下で検討される予定とされている。(筆者)


(参考)
「精神障害者に対する医療の提供の現状」(2013年7月)
3/12 厚生労働省 「2014年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」 ・2014年3月10日,厚生労働省は,「2014年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」を公表した。
<マニュアルの構成>
①死亡診断書(死体検案書)の意義
②死亡診断書と死体検案書の使い分け
③作成に当たっての留意事項
④その他の留意事項(厚生労働省からのお願い)
⑤コラム:「原死因ってどう決めているの?」
⑥参考:医師臨床研修制度について
⑦付録[1]:出生証明書及び死産証書(死胎検案書)記入マニュアル
⑧付録[2]:疾病,傷害及び死因分類(ICD-10(2003年版)準拠)の解説
3/11 警察庁 「児童虐待及び福祉犯の検挙状況等(2013年1月~12月)」 ・2014年3月6日,警察庁は,「児童虐待及び福祉犯の検挙状況等(2013年1月~12月)」を公表した。
・2013年の児童虐待事件(身体的虐待,性的虐待,怠慢又は拒否,心理的虐待に分類される)の検挙件数は467件であった(2012年:472件)。
・2013年の福祉犯(児童買春・児童ポルノ禁止法,児童福祉法,青少年保護育成条例などの法令違反)の送致件数は7,687件であった(2012年:7,909件)。
<主な検挙事例(p.12~p.14)>
(1)児童虐待事件
・同居の祖父による殺人事件(警視庁)
・実母による保護責任者遺棄致死事件(群馬)
・同居の男による傷害致死事件(広島)
・実父による傷害致死事件(宮崎)

(2)福祉犯事件
①児童買春事件
・中学生に対する児童買春事件(長崎)
・中学生に対する業としての児童買春周旋事件(埼玉)
②児童ポルノ事件
・ホームページを利用した児童ポルノ製造事件(静岡)
・携帯ゲーム機を利用した児童ポルノ製造事件(茨城)
・多数の小・中学生等に対する強姦・児童ポルノ製造等事件(大阪)
・ファイル共有ソフトを利用した児童ポルノ公然陳列事件(群馬)
③その他の福祉犯事件
・暴力団幹部等による児童福祉法違反事件(神奈川)
・暴力団関係者等による児童福祉法違反等事件(福岡・大分)
・「女子高校生リフレ」経営者等による労働基準法違反事件(警視庁)
・「ガールズバー」経営者等による風営法違反事件(神奈川)
・女子高校生に対する東京都青少年保護育成条例違反事件(警視庁)

「2013年版子ども・若者白書(旧青少年白書)」においては,児童虐待は「警察が検挙した児童虐待事件も,年々増加。身体的虐待と性的虐待が多い。検挙事案全体と比べ死亡事件では,被害者は低年齢,加害者は実母が多い。」,福祉犯は「福祉犯の被害者となった20歳未満の者はおおむね横ばいである。」とコメントされている。緊迫感が伝わってこないのはどうしてだろうか。(筆者)


(参考)
「警察庁の統計」

3/7 厚生労働省 「婦人保護事業の現状」 ・2014年3月5日,厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課は,「婦人保護事業」に関する資料を公表した。
<「婦人保護事業の現状」の構成>
①婦人保護事業の概要
②婦人保護事業の各機関(2013年度予算額)
③婦人相談所及び婦人相談員が受付けた来所相談の内容
④婦人相談所及び婦人相談員による相談
⑤婦人相談所における一時保護の理由
⑥婦人相談所による一時保護者数の推移
⑦婦人相談所による一時保護の在所期間(2012年度)
⑧一時保護委託の状況
⑨一時保護同伴家族の状況(2012年度)
⑩婦人保護施設における在所者の入所理由
⑪婦人保護施設における同伴家族の割合
⑫婦人相談員による相談件数の推移
⑬婦人相談員の推移
⑭厚生労働行政における婦人保護事業関係機関の概要

<婦人保護事業実施状況>
「2012年度婦人保護事業実施状況報告の概要」

→厚生労働省(家庭福祉課・母子家庭等自立支援室)は,2013年6月に「婦人保護事業等の課題に関する検討会」を設置した。婦人相談所,婦人相談員,婦人保護施設による婦人保護事業が,1956年制定の「売春防止法」に基づく事業であり,その後時代の変化に合わせ,通達により,家庭関係の破綻,生活困難,性被害等社会生活を営む上で困難を有する女性などに事業対象を拡大してきたが,法律との実態の差異が大きいことから,制度見直しに向けての検討が行われている。
→法務省との縦割り行政での難しさがあるにしても,「婦人」,「収容保護」,「保護更生」などの古臭い文言や呼称は,さっさと「今風」に直せよ,と言いたくなるのが「普通」である。すでに,「婦人警察官」は「女性警察官」に置き換わっているのにね。(筆者)


(参考)
「内閣府男女共同参画局ホームページ」
「2013年版男女共同参画白書」(概要 / 本文
3/6 文化庁 「『異字同訓』の漢字の使い分け例(報告)」 ・2014年2月21日,文化庁は,「文化審議会国語分科会漢字小委員会」において,常用漢字表にある漢字で,同じ訓読みでも,字によって意味が異なる「異字同訓」の使い分け例をまとめた「『異字同訓』の漢字の使い分け例(報告)」を公表した。
・本報告書において,1972年6月の「異字同訓の漢字の用法」(旧国語審議会)および2010年6月の「異字同訓の漢字の用法例」を一体化し,簡単な説明を加え,必要な項目の追加及び不要な項目の削除を行い,現在の表記実態に合わせて修正を加えたもの,とその経緯が説明されている。
<参考例>
●あたたかい・あたたかだ・あたたまる・あたためる
①【温かい・温かだ・温まる・温める】冷たくない。愛情や思いやりが感じられる。
・温かい料理。スープを温める。温かな家庭。心温まる話。温かい心。温かい人柄。 温かいもてなし。
②【暖かい・暖かだ・暖まる・暖める】寒くない(主に気象や気温で使う)。
・日ごとに暖かくなる。暖かい日差し。暖かな毛布。暖まった空気。室内を暖める。

→同じ「ジャンプ」でも,葛西選手は「飛ぶ」(空中を移動する)で,浅田真央選手は「跳ぶ」(地面を蹴って高く上がる)ということ等を例示にして報道されていた。知ってるつもりを再確認できる面白い報告書である。(筆者)
3/5 厚生労働省 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」 ・2014年2月12日,厚生労働省は,介護と医療のサービス提供体制を見直す「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」を第186回通常国会に提出した。
・厚生労働省における担当は,医政局総務課および老健局介護保険計画課である。
<「医療・介護総合推進法案」の詳細>
法律案要綱
法律案文・理由
法律案新旧対照条文
参照条文

法律名 内容 施行
①地域介護施設整備促進法(WAC法) ・新基金制度を設け,在宅医療・介護を制度化する 2014年4月
②改正医療法 ・医療機関による病床機能の報告制度を導入する 2014年10月
・都道府県による地域医療構想(ビジョン)を策定する 2015年4月
③改正保健師助産師看護師法 ・看護師の特定行為の研修制度を創設する 2015年10月
改正介護保険法 ・地域支援事業を見直す 2015年4月
・特別養護老人ホームの入所要件を厳格化する 2015年4月
・低所得者の保険料軽減を拡充する 2015年4月
・一定以上所得者の利用負担を2割に引き上げる  2015年8月
・補足給付の支給は資産を勘案する 2015年8月
⑤改正社会福祉士及び介護福祉士法 ・介護福祉士資格取得方法の変更を1年延期する 公布日

→2007年の「改正社会福祉士及び介護福祉士法」により,「介護福祉士の資格取得方法の見直し」が予定されていたが,2011年の「改正社会福祉士及び介護福祉士法」で3年延期され,今回の改正案でさらに1年再延期される。再延期の理由は,「資格取得方法を予定通り変更すると,人材不足が深刻化するから」と報道されているが,十分な議論がなされた経緯はない。
→ひょっとすると「質の高い介護福祉士を養成することが,国民の介護ニーズに応じることにつながる」というこれまでの上から目線の考えはすでに破たんしていて,次は再再延期ではなく,「変更はやーめた」ということになるような気がしてならない。そうなった場合の責任は誰にある?(筆者)


→●2/28(■「2014年の介護保険制度改正案」の記事を参照
3/4 厚生労働省 「仕事と介護の両立のための制度」 ・2009年6月に改正され,2012年7月1日に本格施行された「改正育児・介護休業法」により,「介護休業制度」,「介護休暇制度」,「介護のための勤務時間の短縮等の措置」等が定められている。
・なお,「育児・介護休業法」附則7条により5年後の見直しが規定されている。
<「育児・介護休業法」の概要>
「育児・介護休業法」のあらまし(パンフレット)
2009年の「改正育児・介護休業法」(概要 / 本文

<「育児・介護休業法」による仕事と介護の両立のための制度の概要>
①介護休業制度
・介護のために仕事を休める制度
②介護休暇制度
・介護などの必要がある日について仕事を休める制度
③介護のための勤務時間の短縮等の措置
・短時間勤務などができる制度
④その他
●時間外労働を制限する制度
・残業時間に一定の制限を設ける制度
●深夜業を制限する制度
・深夜(午後10 時~午前5 時)の就労を制限する制度
●)転勤の配慮
・家族の介護をする従業員の転勤に一定の配慮を求める制度
●不利益取扱いの禁止
・上記制度を利用した従業員への不利益な取扱いを禁じる制度

→超高齢社会である日本において,「介護と仕事の両立は重要な問題である」が,法制度についての国民の関心が薄く,また十分に周知されていないのが現状である。
「2012年仕事と介護の両立に関する企業アンケート調査」(2013年7月9日公表)において,従業員の介護ニーズの把握状況では,「特に把握していない」企業は約半数(46.4%)あり,仕事と介護の両立支援の取組に対する経営トップの対応では,「仕事の介護の両立支援の必要性を感じていない」と答えた企業が5.0%もあった。さらに,管理職が仕事と介護との両立支援制度を利用した場合,長期的な昇進・昇格に影響するか尋ねたところ,「影響する」は14.0%,「わからない」は33.6%であった。
→2013年10月24日にテレビ放映されたNHKクローズアップ現代「どうする介護離職~職場を襲う“大介護時代”~」において,介護をしながら働いている人は全国で291万人,介護と仕事の両立が難しく仕事を辞める人は年間10万人に上るとされていた。また,いったん仕事を辞めると再就職は困難で,やがて介護をする人が生活保護に頼るようになるという過酷な現実も紹介されていた。
→仕事と両立させるための法制度における「介護」と,介護離職しなければならないという実態における「介護」とは,同次元で述べることはできないと思われる。(筆者)


(参考)
「介護離職を予防するための職場環境モデル~仕事と介護を両立できる働き方の方策~」(厚生労働省)
「「仕事と介護を両立できる職場環境」の整備促進のためのシンボルマーク」
2/28 厚生労働省 「2014年の介護保険制度改正案」 ・2014年2月25日に「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」が開催され,資料が公表された。
<「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(医療・介護総合推進法案)」の提出について>
・2014年2月12日に,第186回通常国会に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」が提出された。
・法律案の内容は,①新基金創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関係),②地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係),
③地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係),④介護福祉士の資格取得方法見直しの施行時期の延期(士士法関係),などである。なお,施行期日は,医療法関係は2014年10月以降、介護保険法関係は2015年4月以降とされている。

<「2014年の介護保険制度改正案」の概要について>
(1)地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関係)
①在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業(介護保険財源で市町村が取り組む事業)の充実とあわせ,全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し,多様化する。
②特別養護老人ホームについて,在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点化する。
③低所得者の保険料軽減を拡充する。
④一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引上げる(月額上限あり)。
⑤低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「(補足給付」の要件に資産などを追加)。
(2)介護人材確保対策の検討(社会福祉士及び介護福祉士法関係)
・介護福祉士の資格取得方法見直しの施行時期を,2015年度から2016年度に延期する。

<介護保険制度改正の経緯と概要について>
2005年介護保険制度の改正
・介護予防の重視
・施設給付の見直し
・地域密着サービスの創設,介護サービス情報の公表,負担能力をきめ細かく反映した第1号保険料の設定

2008年介護保険制度の改正
・介護サービス事業者の法令遵守等の業務管理体制の整備。休止・廃止の事前届出制。休止・廃止時のサービス確保の義務化
2011年介護保険制度の改正
・地域包括ケアの推進。24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスの創設。介護予防・日常生活支援総合事業の創設。介護療養病床の廃止期限の猶予
・介護職員によるたんの吸引等。有料老人ホーム等における前払金の返還に関する利用者保護。市町村における高齢者の権利擁護の推進。
・介護保険事業計画と医療サービス,住まいに関する計画との調和。地域密着型サービスの公募・選考による指定を可能に。各都道府県の財政安定化基金の取り崩し

→介護保険制度の改正は,介護保険法附則に基づいて5年を目途として実施されている。また,法文上の明確な規定はないが,「介護報酬の見直し」は3年ごとに行われている。これまでの主な制度改正は,上記のとおり,2005年,2008年,2011年に行われた。
→介護費用は,団塊の世代が75歳になる2025年には20兆円を超えると言われている。当面の財政対策として,2014年4月から消費税が増税されるが,それとは別に,持続可能な介護保険制度として維持していくためには,増加し続ける介護費用の抑制のための改革が必要とされており,その一環として,2014年の制度改正案は位置づけられる。「理念なき制度改正」との批判もある。
→「医療・介護総合推進法案」の詳細については,別途掲載する予定である。(筆者)

→●2/25
(■「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」および「これからの介護予防」の記事を参照

(参考)
「公的介護保険制度の現状と今後の役割」(2013年)
「社会保障審議会介護保険部会 介護保険制度の見直しに関する意見」(2013年12月20日)

2/26 厚生労働省 「2014年度国の一般歳出と社会保障関係費」および「2014年度厚生労働省予算案」
<2014年度社会保障関係費の特徴>
・国の一般歳出の約54%(30.5兆円)は社会保障関係費である。
・高齢化等に伴い,一般歳出に占める社会保障関係費が急増している。(2000年:35%,2005年:43%,2010年:51%)

<2014年度厚生労働省予算案の特徴>
・厚生労働省予算の約97%は年金,医療等の給付費の国庫負担などの義務的経費である。
・厚生労働省予算は,少子高齢化に伴い、制度改正を行わなくても毎年度増加(自然増)する傾向にある。(2012年度:1億1,600万円,2013年度:8,400万円,2014年度:9,700万円)

→一般会計における社会保障関係費は,社会保険費,社会福祉費,生活保護費,保健衛生対策費,失業対策費に分類されている。わが国の一般会計予算における社会保障関係費は累増傾向にあるが,2014年度予算案では30.5兆円と,歳出総額(95.9兆円)の31.8%(一般歳出の54.0%)を占める最大の支出項目となっている。
→「消費税増税」に関して,2014年4月に消費税率を8%に,2015年10月には10%へ引上げることが予定されているが,これらの5%分の税率引上げによる増収分(13.5兆円程度)は原則としてすべて社会保障財源化されることとなっている。
→「社会保障と税の一体改革」に関して,2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書では,「安定財源の確保」,「徹底した給付の効率化・重点化」,「全ての世代を対象に相互に支え合う」などが提起されているが,基本的には現行制度を前提とした改革案という位置付けと言われている。
→「財政検証・財政再計算」に関して,2014年は5年毎に実施される再計算が予定されているので,国は,「社会保障制度の安定性や持続可能性」について,どのような説明(辻褄合わせ)をするのかが注目されている。
→なお,第186回通常国会で審議されている政府予算案は,憲法の規定で参院送付から30日後に自然成立するので,2月28日までに送付できれば年度内成立する見通しになっている。(筆者)


(参考)
「2014度厚生労働省予算案の主要事項」
2/25 厚生労働省 「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」および「これからの介護予防」 ・2014年1月17日に開催の「第101回市町村職員を対象とするセミナー」(テーマ:「市町村介護予防強化推進事業(介護予防モデル事業)を通して見えてきた自立支援の姿~各自治体の取組みから~」)における資料が公表された。
<「地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し」の構成>
①在宅医療・介護の連携推進
②認知症施策の推進
③地域ケア会議の充実
④生活支援・介護予防の充実
⑤介護予防給付(訪問介護・通所介護)の見直しと地域支援事業の充実等

<「これからの介護予防」の構成>
①現行の介護予防関連制度の概要について
②地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防の取組事例
③市町村介護予防強化推進事業(予防モデル事業)について
④これからの介護予防
⑤地域づくりによる介護予防の推進について
⑥介護・医療関連情報の「見える化」の推進について

→厚生労働省老健局振興課の最新の行政説明資料で,有用である。(筆者)
2/24 厚生労働省 「2013年 厚生労働統計のあらまし」 ・2014年2月21日,厚生労働省は,「2013年 厚生労働統計のあらまし」を公表した。
<「厚生労働統計のあらまし」の前書き>
『厚生労働行政は,人の誕生から老後まで,日々の国民生活全般にわたる幅広いフィールドに関わっています。厚生労働省大臣官房統計情報部においては,人々のライフサイクルの各段階に対応して,様々な統計調査を実施することにより,人々の「安心」と「活力」とをもたらすための政策を展開していくための基礎データを提供しています。』
<主な項目と基礎データ>
①出生
・出生数 :1,037,231人(30秒に1人)
・合計特殊出生率 :1.41
②児童
・保育所入所人員数(4月1日現在) :2,177,158人
・虐待相談対応件数 :66,701件
③就職
・初任給(大卒男子) :20万2千円
・年次有給休暇取得日数 :8.6日
④結婚
・結婚 :668,869組(47秒に1組)
・平均初婚年齢 :夫30.8歳,妻29.2歳
⑤出産・育児
・第1子を持つ年齢 :父32.3歳,母30.3歳
⑥退職
・退職給付額(大卒) : 1,941万円
⑦老後
・高齢者世帯 :1,024万1千世帯
⑧死亡
・死亡数 :1,256,359人(25秒に1人)
・平均寿命 :男79.94年,女86.41年
⑨日々のくらし
・全国世帯数 :4,817万世帯
⑩病気になったら
・医療施設数 :17万7千施設
・人口一人当たり国民医療費 :29万2千円

→福祉専門職としては,常に頭に入れておきたい基礎的データである。(筆者)

(参考)
「厚生労働統計一覧」
2/20 外務省 2014年2月19日,日本について「障害者権利条約」が発効した ・2014年1月20日,「障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)」に日本が批准し,2014年2月19日に日本について条約の効力が生じた。
日本における「障害者権利条約」の経緯
2006年12月13日 国連総会(ニューヨーク)で,「障害者権利条約」を採択
2007年9月28日 日本は,ニューヨークで署名
2008年5月3日 「障害者権利条約」の効力が発生
2013年6月 日本は,「障害者差別解消法」の成立で国内法が整備(2011年8月:障害者基本法の改正,2012年6月:障害者総合支援法の成立)
2013年12月4日 日本は,締結のための国会での承認
2014年1月20日 日本は批准書を国連事務総長に寄託(日本の批准)
2014年2月19日 日本について「障害者権利条約」の効力が発生

→2014年1月20日に,日本政府は,障害者の差別禁止や社会参加を促す国連の障害者権利条約を批准し,条約の定めにより,2014年2月19日から日本について発効した。日本の批准は,世界141番目(欧州連合を含む)で,条約発効から批准に5年以上もかかるような国は断じて「先進国」ではない。多くの日本国民が,福祉分野においても「日本は先進国である」と思い込まされているところに恐ろしさがある。(筆者)

(参考)
「障害者問題を巡る国際的な動き」
2/19 厚生労働省 「薬物乱用の現状と対策」 ・2014年2月18日,厚生労働省は,2014年2月14日現在の「薬物乱用の現状と対策」を公表した。
<資料の構成>
①主要な国の薬物別生涯経験率
②薬物事犯検挙人員の推移
③麻薬・覚醒剤等事犯検挙人員の推移
④覚醒剤事犯者と再乱用者の推移(過去10年)
⑤大麻事犯の検挙者数の推移(過去10年)
⑥第四次薬物乱用防止五か年戦略の概要
⑦第四次薬物乱用防止五か年戦略に基づく今後の厚生労働省の主な取組
⑧薬物規制に関する法律
⑨乱用薬物の種類・作用
⑩合法ハーブ等と称する薬物(脱法ドラッグ)
⑪指定薬物の取締体制の強化
⑫厚生労働省における啓発活動
⑬地方厚生局麻薬取締部の概要
⑭薬物統制に係る国際条約・国際機関

→「薬物対策」に関する有用な最新資料である。
→薬物乱用対策推進会議は,2013年8月に,第四次薬物乱用防止5か年戦略を策定している。
→薬物事犯の約85%が覚せい剤取締法関連であり,覚せい剤の再犯率は61.1%という現実がある。にもかかわらず,裁判において,薬物事犯の初犯者の大半は執行猶予で,すぐに社会復帰させている。そして,初犯者の予後ケアが課題だとしている。おかしな話である。
→筆者は,「薬物対策」には,「薬物乱用未然防止」が最重要であり,そのためには「初犯者(若年者を含めた)の厳罰化」が必須であると考える。もちろん,「予後ケアの高度化」が重要なのは言うまでもない。(筆者)


(参考)
「薬物乱用防止に関する情報」(厚生労働省)

「薬物乱用対策」(内閣府)
2/13 厚生労働省 「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」 ・2013年2月6日,厚生労働省は,「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」を公表した。
<報告書の構成>
①はじめに
②救急医療体制や取り組みに関する現状及び課題
③今後検討すべき事項と方向性
④その他
⑤終わりに

→医療資源は国民の財産である。報告書の熟読を勧める。(筆者)
2/12 厚生労働省 「介護福祉士国家試験の出題範囲等の今後の在り方について(報告書)」 ・2013年12月16日,2013年7月から3回開催された「介護福祉士国家試験の出題範囲等の在り方に関する検討会」の「介護福祉士国家試験の出題範囲等の今後の在り方について(報告書)」が公表された。
項目 主な見直しの方向性
①筆記試験の総出題数等 試験問題数を120問→125問にする
・2015年度試験(2016年に実施)から現行の120問から125問とする。(主に,領域「医療的ケア」について増問)
・領域「介護」の中で,科目間の出題数を調整し,科目「介護の基本」を減じ,科目「生活支援技術」を増問する。
・視覚素材を活用した問題を導入する(可及的速やかに)。その際,他職種国家試験と同様に受験者,養成課程に対する周知,視覚障害者への配慮について十分する。
②実技試験 実技試験を廃止する
・2017年度試験以降,実技試験受験者が制度的には想定されなくなるので,廃止する。
・ただし,旧カリキュラムの福祉系高校又は特例高を卒業し,介護技術講習を修了していない者が受験する余地が生じることも踏まえ,介護技術講習の修了やそれに相当する研修を求めるなどの措置を検討する。
③合格基準 合格基準は現行のまま(60%)
・総得点の60%程度を基準として,問題の難易度で補正するという現状の考え方を維持する。
④試験日程 社会福祉士試験日とずらせる
合格格発表は早める
・介護福祉士,社会福祉士資格を同時に得られるよう,介護福祉士の筆記試験と社会福祉士試験を1週間程度ずらして実施する。
・実技試験廃止後の介護福祉士試験の合格発表は,可能な範囲での前倒しを進めていくことが適当である。

→2015年度(第28回)国家試験から,実務者ルート受験者に実務者研修が必須となり,養成校ルートでも国家試験受験が義務付けられるなど資格取得方法の変更が行われ,介護福祉士養成課程のカリキュラムに医療的ケアが追加されることになっている。
→これらの制度改正を踏まえ,介護福祉士資格取得に相応しい知識及び技能を確認するための出題範囲や実技試験の在り方等を検討するための検討会が設置された。その検討会の報告書である。検討会は,7月12日,8月26日,9月24日に「非公開」で開催され,なんと3か月後の12月16日に「報告書」が公開された。こそこそと「非公開」でやらなければならない事柄ではないと思うが・・・。
→関連の動きとして,介護福祉士資格取得の一元化は,2012年から2015年に延期された経緯を持つが,さらに1年の先送り案を,介護保険の改革に向けた法案に併せて,第186回国会に提出する可能性があると報道されている。そうなれば,上記の実施時期等も変更されることになる。なお,1年延期案は,厚生労働省の検討会や審議会で議論された経緯はなく,与党の要請だけで行われるらしい。
→政治も行政もやりたい放題である。(筆者)


→●2/5(■「福祉人材コーナー設置公共職業安定所及び問い合わせ先一覧」,1/31(■第26回介護福祉士国家試験における「不適切問題」の可能性について)の記事を参照

(参考)
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)」
2/10 厚生労働省 「2013年度雇用政策研究会報告書」 ・2013年2月6日,雇用政策研究会(座長:樋口慶應大教授)は,日本の成長を支えるために,雇用政策には何が求められ,何をすべきかという観点から,今後5年程度の間に重点的に実施すべき雇用政策の方向性について,「2013年度雇用政策研究会報告書~雇用政策の将来ビジョン「仕事を通じた一人ひとりの成長と,社会全体の成長の好循環」を目指して~」を取りまとめ,公表した。
<報告書のポイント>
(1)雇用政策の将来ビジョン
・少子高齢化に伴う人口減少,グローバル化による競争激化など,雇用をとりまく社会や経済は構造変化の中にある。そのような中で,雇用政策の将来ビジョンとして『仕事を通じた一人ひとりの成長と,社会全体の成長の好循環』を掲げる。
(2)実現に向けた2つの軸
①社会全体での人材の最適配置・最大活用
②人口減少に対する危機意識をもって「全員参加の社会」を実現
(3)今後の施策の方向性
①「労働市場インフラ」の戦略的強化
②「全員参加の社会」の実現
③良質な雇用機会の創出
④企業の強みにつなげる雇用管理の実現

→厚生労働省は,「この報告書を踏まえ,今後の雇用政策を推進する」と説明している。(筆者)
2/5 厚生労働省 「福祉人材コーナー設置公共職業安定所及び問い合わせ先一覧」 ・急速な少子高齢化の進展などに伴い,福祉分野におけるマンパワーの確保が重要な課題となっていることから,2009年度より,「福祉人材確保重点対策事業」において,各都道府県の主要なハローワークに「福祉人材コーナー」が設置された。福祉分野(介護,医療,保育)での人材確保に向けてサービス提供体制の整備及び求人・求職のマッチング機能の強化を図ることとして,2009年4月以降,順次設置されてきた。
<厚生労働省の広報>
「福祉分野の就職支援~福祉人材コーナーのご案内~」
なお,「福祉分野の仕事」とは,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士,作業指導員,児童指導員,生活相談員,寮母(父),介護支援専門員,介護福祉士,ホームヘルパー,介護員,社会福祉士,精神保健福祉士,看護補助,保健師,助産師,看護師,准看護師,保育士などの職種を指すとされている。

「2013年行政事業レビューシート」(厚生労働省)によれば,「2012年度においては,福祉人材コーナーの新規相談者数が5.6万人と当初の見込み(5万人)を上回るとともに,就職件数も3.1万件と目標(2.7万件)を達成している。また,上記点検結果にも問題はないと考えており,引き続き適正に事業を実施する。」と記述されている。辞めるところまでフォローしなければ,事業が有効であるかどうかは判断が付かないはずだが・・・。「福祉分野」の労働環境の整備を放置している限り,苦労して就業にこぎつけても,すぐに辞めてしまうことは避けられない。(筆者)
2/3 厚生労働省 「2014年度の年金額は0.7%の引下げ」および「各種手当の0.3%の引き下げ」
<2014年度の年金改定>
・総務省から,1月31日に発表された「2013年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率は0.4%となり,2014年度の年金額改定に用いる「名目手取り賃金変動率」は0.3 %となった。この結果,2014年度の年金額は,法律の規定に基づき,特例水準の段階的な解消(2014年4月以降は▲1.0%)と合わせて0.7 %の引下げとなった。
(2014年度の年金額)
①国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)
・64,875円 → 64,400円(▲475円)
②厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)
・228,591円 → 226,925円(▲1,666円)
<参考>
●2014年度の国民年金保険料額の引き上げ(月額) : 15,040円 → 15,250円
●2015年度の国民年金保険料額の引き上げ(月額) : 15,250円 → 15,590円

<2014年度の各種手当改定>
・物価変動に応じた改定ルールが法律に規定されている各種手当については,年金の特例水準の段階的な解消(2014年4月以降は▲0.7%)と併せて,0.3%の引下げとなる。
(各種手当の種類)
①母子家庭・父子家庭などなどに対する給付
②障害者などに対する給付
③原子爆弾被者に対する給付

→2004年の改正年金法で,従来の給付額は引き下げられ,マクロ経済スライドが実施され,年金額を時間をかけて減額する仕組みが設けられたが,国民からの反発を恐れ,それ以前の2000年度から2002年度にかけて物価が下落したのに,年金額を据え置き本来の年金額より2.5%高い水準で支払うこととされた。このため年金財政がさらにひっ迫し,3年間で2.5%を解消する法律が2012年11月に成立して,2013年10月分1%,2014年4月分から1%,2015年4月分から0.5%を引き下げることになったものである。今回の改定は,政治の怠慢のしりふきの続きである。(筆者)
2/2 厚生労働省 ■「2013年度 全国厚生労働関係部局長会議資料」 ・2014年1月21日~1月22日にかけて都道府県を対象に開催された全国厚生労働関係部局長会議厚生分科会および労働分科会の資料が公開された。
(1)厚生分科会資料
・大臣官房総務課,医政局,健康局,大臣官房統計情報部,大臣官房厚生科学課,医薬食品局,医薬食品局(食品安全部),年金局,老健局,職業安定局,政策統括官(社会保障担当),社会・援護局,雇用均等・児童家庭局,社会・援護局(障害保健福祉部),保険局,内閣府

(2)労働分科会資料
・政策統括官(労働担当),雇用均等・児童家庭局,大臣官房統計情報部,職業能力開発局,労働基準局,職業安定局,社会・援護局

→この資料は,膨大ではあるが,2014年度の政府予算に盛り込まれたものを中心にして,厚生政策および労働政策がまとめられている。福祉専門職には重要な資料である。(筆者)
1/31 - ■第26回介護福祉士国家試験における「不適切問題」の可能性について ・2014年1月30日午前,やまだ塾は,第26回介護福祉士国家試験 問題30について,「不適切問題」の可能性があることを,電話,FAX,郵送(速達)にて,「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」宛ご連絡させていただいた。
・介護福祉士国家試験試験には,EPA介護福祉士候補者の方も受験されている。安易な過去問の流用は避け,さらに,日本国の国家試験にふさわしい,良質な問題にしていただくことを望むものである。

→「不適切問」と思われる理由等の詳細は,トップページまたは受験対策専用ページをご覧いただきたい。介護福祉士国家試験の筆記試験合格通知は2月14日であるため,連絡を急ぎました。
→昨年の社会福祉士国家試験の例もあるので,試験センターは,問題30を「不適切問題」としないことも考えられる。その場合,現在,世間では家庭内での不慮の事故死で,高齢者は溺死が一番多いというのが「常識レベル」となっているのに,わざわざ国家試験で「窒息が一番多い」とする問題を出し,それを介護福祉士の知識として求めることの意味は何だろうか。
→なお,第26回社会福祉士及び第16回精神保健福祉士国家試験については,「不適切問題」はないと判断した。(筆者)
1/30 厚生労働省 「障害者の意思疎通支援」 ・2013年4月に施行された「障害者総合支援法」等において,意思疎通を行う者の派遣や養成等を行う制度として「意思疎通支援」が規定されている。
<障害者総合支援法における主な改正点>
(1)市町村と都道府県の役割分担の明確化
①市町村と都道府県が行う意思疎通支援を行う者の養成については,市町村と都道府県の必須事業となっており,その役割分担が明確にされた。
・市町村 ; 手話奉仕員の養成
・都道府県 : 手話通訳者,要約筆記者,盲ろう者向け通訳・介助員の養成
②市町村と都道府県が行う意思疎通支援を行う者の派遣についても,市町村と都道府県の必須事業となっており,その役割分担も明確にされた。
・市町村 : 手話通訳者及び要約筆記者の派遣
・都道府県 :盲ろう者向け通訳・介助員の派遣のほか,複数市町村の住民が参加する障害者団体等の会議,研修,講演,講義等や専門性の高い分野など市町村が派遣できない場合などにおける手話通訳者及び要約筆記者の派遣

(2)広域的対応が必要なものの都道府県事業の必須化
●市町村域又は都道府県域を越えた広域的な派遣については,市町村では派遣することができない場合がある等の課題があったため,新たな事業を都道府県の必須事業とされた。
・特に専門性の高い意思疎通支援を行う者を派遣する事業
・意思疎通支援を行う者(手話通訳者及び要約筆記者)の派遣に係る市町村相互間の連絡調整


(参考)
地域生活支援事業における意思疎通支援を行う者の派遣等について(2013年3月27日)
手話奉仕員及び手話通訳者の養成カリキュラム等について(1998年7月24日)
要約筆記者の養成カリキュラム等について(2011年3月30日)
盲ろう者向け通訳・介助員の養成カリキュラム等について(2013年3月25日)
1/24 - ■1月24日に「第186回通常国会」が召集される ・2014年1月24日に「第186回通常国会」が開会される。会期は6月20日までの150日間である。
・安倍首相は,「第186回通常国会」を「好循環実現国会」と位置づけ,2014年3月末までに「2013年度補正予算案」および「2014年度予算案」を成立させ,4月以降に「成長戦略関連法案(33本)」の成立を目指すと見られている。
「第186回通常国会」に提出予定の主な法案
政府提出 ①医療・介護保険見直し一括法案 ・一定の所得がある者は,介護保険の利用者負担を1割から2割に引き上げる
②日本医療研究開発機構法案 ・医療分野の研究開発の司令塔として「日本版NIH]を新設する
③改正電気事業法案 ・2016年を目途に電力の小売りを全面自由化する
④改正所得税法案 ・生産性の高い設備投資を促す改正をする
議員立法 ⑤改正国民投票法案 ・自民党,公明党
・改正法施行から4年後に国民投票年齢を自動的に18歳以上に確定する
⑥特定秘密保護法廃止法案 ・民主党,共産党
・特定秘密保護法を廃止する

→安倍首相は,先の臨時国会を「成長戦略実行国会」にすると言っておきながら,経済政策の審議はほとんど行わず,「秘密保護法案成立国会」に変質させた。今通常国会も「好循環実現国会」と言っているが,「秘密保護法および解釈改憲国会」にされる可能性はある。
→経済政策は最優先課題のはずである。「アベノミクス」の3本の矢の「金融緩和」と「財政政策」は成功したが,3本目の矢であり,持続的な景気対策として最重要とされていた「成長戦略」は効果が上がっていないといわれている。2014年4月の消費税率の引き上げによる景気の冷え込みを最小限に抑えることや,夏までの「成長戦略の改定」が国内外から注目されている。(筆者)
1/23 - ■児童養護施設を舞台にした日本テレビ系列のドラマ「明日,ママがいない」に対する抗議について

(1月31日追記)
1月29日の再度の全国児童養護施設協議会抗議文 / プレスリリース
<報道情報による経緯の整理>
・2013年12月,全国児童養護施設協議会と日本テレビ側との協議で,第1話の内容について改善要求が出されていた。
・2014年1月15日,「第1話」が改善されないまま放送された。
・1月16日,熊本市の慈恵病院は記者会見を開き,番組への抗議と放送中止を申し入れる意向を示した。
・1月20日,慈恵病院は,「1月20日午前に問題としている日テレ系のドラマ「明日,ママがいない」のチーフプロデューサーから電話で「放送中止や施設の子ども,職員への謝罪の予定はありません」と連絡があった」ことを明らかにした。
・1月20日,全国児童養護施設協議会は,「日本テレビ放送網株式会社」に抗議文を郵送した
・1月21日,全国児童養護施設協議会(藤野興一会長)と全国里親会(星野崇会長)は,放送内容の修正を求めて記者会見を開いた
・1月22日,慈恵病院は,放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審議を求める申立書を送付した。
・1月22日,「第2話」が放送された。

→筆者は,「フィクション=作り物」だから何をしても構わないという日本のマスメディアの「人権感覚の鈍感さ」に危惧の念を抱く。今更の国内での「差別・偏見に結び付くかどうか」という議論は,国際社会では通用しない。もし,BPOの放送人権委員会が審議をせずに,門前払いの判断したら,この国に未来はない。
→福祉関係の教育機関やソーシャルワーカーの職能団体が何のコメントも出さない「当事者意識のなさ」には呆れるばかりである。
→福祉専門職は,自身の見解を明確にすべきである。(筆者)
1/22 内閣府 「子ども・子育て支援新制度のシンボルマーク」 ・2014年1月17日,内閣府は,2015年4月に本格施行する「子ども・子育て支援新制度のシンボルマーク」を公表した。
<内閣府の広報文>
『内閣府はこのほど,2015年4月の本格施行を予定している「子ども・子育て支援新制度」を広く国民に知ってもらうため,シンボルマークを作成し,、公表した。今後,新制度に対する国民の理解と共感を深めるため,広報啓発活動等に活用していく。メインコピーの「すくすくジャパン!」には,新制度で充実される乳児・幼児の教育・保育、子育て支援によって、子どもたちにすくすく育ってほしい,ママやパパにも親としてすくすく育ってほしい,という思いが込められている。また,サブコピーとなる「みんなが,子育てしやすい国へ。」には,行政をはじめ社会全体で誰もが安心して子育てができ,「子どもの最善の利益」が実現される国にしていこう,というメッセージが込められている。』

(参考)
少子化対策(内閣府)
「おしえて! 子ども・子育て支援新制度」(パンフレット)

→2012年8月に「子ども・子育て関連3法」(①子ども・子育て支援法,②改正認定こども園法,③関係法律の整備等に関する法律)が成立した。これらの法律に基づき,幼児期の学校教育・保育や地域の子ども・子育て支援を総合的に推進するための「子ども・子育て支援新制度」が,2015年4月からスタートする。
→新制度の目的は,さまざまな課題(急速な少子化の進行,子育ての孤立感と負担感の増加,深刻な待機児童問題など)を抱えている子ども・子育てを取り巻く環境の改善であり,新制度の内容は,①質の高い幼児期の学校教育,保育の総合的な提供,②保育の量的拡大・確保により,待機児童の解消を,③教育・保育の質的改善,④地域の子ども・子育て支援の充実である。また,新制度の財源は,「社会保障と税の一体改革」における消費税率引き上げ(10%)によって確保する約0.7兆円の財源が,恒久的な財源として新制度に充てられることになっているが,「保育の量的拡大・確保」と「教育・保育の質的改善」のためには,0.7兆円では足りず,1兆円程度の財源が必要とされ,国はその確保に最大限努力することとされている。シンボルマークとキャッチコピーは立派にできた。スタート前であるが,筆者には尻すぼみの制度になるような気がしてならない。(筆者)
1/21 厚生労働省 「2012年度 市区町村の児童家庭相談業務の実施状況等の調査結果」 ・2014年1月20日,厚生労働省は,全国の1,742市区町村に対して,2012年度の児童虐待問題などに対応する児童家庭相談業務の実施状況等に関する調査の結果を公表した。
<調査項目>
児童家庭相談業務の状況(2012年4月1日現在)
・児童虐待問題などに対応する相談窓口の設置状況,担当職員の配置状況など
要保護児童対策地域協議会の設置・運営状況(2012年4月1日現在)
・要保護児童対策地域協議会の設置状況,設置形態・構成メンバー,調整機関の担当職員の配置状況,会議の開催状況など
乳児家庭全戸訪問事業の実施状況(2012年7月1日現在)
・実施市区町村数,訪問の実績,訪問の結果何らかの支援が必要とされた家庭への対応など
養育支援訪問事業の実施状況(2012年7月1日現在)
・実施市区町村数,訪問した家庭数と支援した内容,訪問した家庭の把握経路など

(参考)
「市町村児童家庭相談援助指針」

→2003年の「改正児童福祉法」において,放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)や地域子育て支援拠点事業,一時預かり事業などの子育て支援事業が市町村事務として位置づけられた。2004年の「改正児童福祉法」では,2005年度から市町村が児童家庭相談の一義的な窓口として位置づけられ,虐待の通告先としても位置づけられた。厚生労働省は,市町村における児童家庭相談の適正な運営を期するため,2005年2月に「市町村児童家庭相談援助指針」を策定し,以来,法改正の度に指針の改定を行ってきた。市町村の役割が重視されているにもかかわらず,現状の市町村における児童家庭相談支援体制は極めて脆弱である。市町村に限らず,児童相談所,社会福祉施設において,児童家庭相談業務関わる人材は疲弊している。そのような状況下における実施状況である。
→現行の「児童家庭相談体制」の最大の問題点は,都道府県と市町村の機能関係の不全にあり,相談支援窓口という高い専門性が求められる業務を市町村に押し付けていることにある。結論だけを言うと,筆者は,児童家庭相談体制の整備とは人的体制の問題であり,現状は「ソーシャルワークの専門性を備えた福祉人材育成の軽視」が招いた当然の帰結である,と思っている。(筆者)
1/20 国立社会保障・人口問題研究所 「先進国の子どもの状況に関する国際比較報告書」(概要 / 本文 / 英文 ・2013年12月25日,国立社会保障・人口問題研究所は,「国連ユニセフ・イノチェンティ研究所レポートカードシリーズ(先進国の子どもの状況に関する国際比較報告書)に関する共同研究」(報告書)を公表した。
<「国立社会保障・人口問題研究所」の広報文>
『国連ユニセフの研究機関であるイノチェンティ研究所では,2000年より先進国の子どもの状況に関する国際比較報告書(レポートカードシリーズ)を刊行しています。当研究所の阿部彩(社会保障応用分析研究部長)がシリーズ10より日本のデータに関して協力を行ってきました。シリーズ11『先進国における子どもの幸福度』(2013年4月刊)の特別編集版として日本と諸外国の比較に焦点をあてた報告書を,当研究所の阿部彩・竹沢純子(企画部)がイノチェンティ研究所と共同執筆しました(2013年12月刊行)。これは,シリーズ11において日本データで不十分な面が多く十分な国際比較ができなかったため,日本のデータを当研究所が追加提供するとともに,イノチェンティ研究所より先進国の詳細データ提供等の協力を受けて,日本を軸とする子どもの幸福度(貧困,教育,健康,住宅等)の国際比較報告書として作成したものです。』
<集計結果のポイント>
項 目 順 位
①総合 6/31
②物質的豊かさ 21/31
③健康と安全 16/31
④教育 1/31
⑤日常生活上のリスク 1/31
⑥住居と環境 10/31

→この報告書は「子どもの幸福度」として紹介されている。「日本の教育水準は世界最高である」,「日本は物質的豊かさが乏しい」という調査結果に対して,違和感を持ったのは筆者だけではないと思う。筆者には,村上龍氏の『この国には何でもある。だが,希望だけがない』という認識の方が理解しやすい。
→「2013年6月,日本では「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立した。これによって,政府には子どもの貧困対策に関する大綱を策定し,子どもの貧困について各種指標を用いてモニタリングする仕組みをつくることが義務付けられた。こうした中,本報告書が,日本の子どもの貧困と幸福に関する政策およびモニタリングの方法について,何らかの示唆を与えることとなれば幸いである。」と共同執筆者の阿部氏は述べている。そういうことらしい。(筆者)


(参考)
「2011年度国民生活選好度調査」(内閣府)
「世界幸福度報告書2013」(国連)
1/17 内閣府 「防災とボランティアの日(1月17日)」および「防災とボランティア週間(1月15日~21 日)」 ・「防災とボランティアの日(1月17日)」および「防災とボランティア週間(1月15日~21 日)」は,1995年年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに,「災害時におけるボ ランティア活動および自主的な防災活動についての認識を深めるとともに,災害への備えの 充実強化を図ること」を目的として制定された。

<内閣府広報文の構成>
①「防災とボランティアの日(1月17日)」および「防災とボランティア週間(1月15日~21 日)」
②防災ボランティアの力を生かすには、受け入れる被災地側の「受援力」が大事
→●「パンフレット『地域の『受援力』を高めるために』」(内閣府)
③被災者への寄り添いやお手伝い等の防災ボランティア活動
④「受援力」を高めることが地域の防災力の向上に
⑤地域の「受援力」を高めるための平時の取り組み

→内閣府のパンフレットによれば,「受援力」とは,ボランティアを地域で受け入れる環境・知恵などのこととしている。支援する力(支援力)に対する,支援を受ける力(受援力)で,「受援力」を高めれば「防災力」が高まるということであるが,分かりづらい説明である。「受援力」とは「コーディネイト力」である,と以前「NHKのクローズアップ現代」で放送されていたのを思い出したが,この方が分かりやすい。
→1995年の阪神・淡路大震災時とは異なり,中国四川大地震以降,東日本大地震時の「ボランティア活動」もそうであったように, 支援県を被災県ごとに個別に割り当てる「対ロ支援方式」の時代であるにもかかわらず,自治体側としては,「支援」に比べて,「受援」にほとんど関心を示していないのが現状であるという指摘がある。国が笛を吹いても,自治体が踊らない状態ということである。つまるところ,「受援力の向上」とは,自治体の自立や危機管理の問題ではないかと思う。(筆者)


(参考)
「防災ボランティアのページ」(内閣府)
「防災情報のページ」(内閣府)
1/16 外務省 2014年は「我が国の経済協力開発機構(OECD)加盟50周年」に当たる ・我が国は,1952年のサンフランシスコ平和条約批准,1955年のGATT加盟,1956年の国連加盟を経て,1964年にOECD加盟を実現した。2014年は,我が国がOECDに加盟して50周年の節目の年となるが,この記念すべき2014年に閣僚理事会の議長国となる。閣僚理事会は,OECDの最高意思決定機関である理事会に閣僚が参加し,年1回開催される最重要会合で,2014年の閣僚理事会は,5月6日~7日の開催が予定されている。
・なお,我が国がOECD閣僚理事会の議長国を務めるのは,OECD加盟以来,1978年に次いで2度目となる。


(参考)
「OECDの概要」(外務省)

「OECD(経済協力開発機構)」(経済産業省)
1/15 厚生労働省 「子育て世帯臨時特例給付金について」 ・2014年1月10日に実施された[子育て世帯臨時特例給付金の地方自治体担当者向け説明会資料」が公表された。

→2014年4月1日から消費税が5%から8%に引き上げられることについてはほとんどの国民は知っているが,その陰で,中堅所得者の子育て世帯に対する「子育て世帯臨時特例給付金」(1,473億円)や低所得者に対する「臨時福祉給付金」(3,420億円;生活保護受給者らを除く住民税非課税世帯の約2400万人に1人当たり1万円の一時金が給付され,給付対象者のうち,老齢基礎年金,障害基礎年金,遺族基礎年金,児童扶養手当の受給者には1人につき5000円が上乗せされる)が準備されていることをほとんどの国民は知らない。これらの財源は,5.5兆円の経済対策を盛り込んだ2014年通常国会における「2013年度補正予算案」で賄われることになっている。これもほとんどの国民は知らない。
→2014年第186回通常国会は,1月24日に召集され,6月22までの150日間の会期となる予定である。なお,通例通りであれば,通常国会は,「2013年度補正予算案」の早期の成立と「2014年度予算案」の3月末日までの成立を目指すことになる。
→「子育て世帯臨時特例給付金」は,子育て世帯を対象に子ども1人当たり1万円の一時金が支給されるもので,支給対象者は2014年1月分の児童手当受給者で,2013年所得が児童手当の所得制限額未満の者であり,低所得者対策として実施される「臨時福祉給付金」の対象者や生活保護の受給者らは対象外となっている。
→「子育て世帯臨時特例給付金」や「臨時福祉給付金」は,消費税率8%増税に対する中堅所得者である子育て世帯への支援策や低所得者対策と説明されているが,連立している特定政党の言い訳に利用されている,と筆者は思っている。また,十分な検討もなされずに取り込まれたこれらの施策の有効性には疑問がある。さらに,「子育て世帯臨時特例給付金」の1,473億円のうちに行政経費が202億円もカウントされていることにも納得がいかない。(筆者)


(参考)
「2013年度補正予算の概要」
1/9 厚生労働省 「新災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領」 ・2014年1月7日,厚生労働省は,都道府県・指定都市に対して,2013年4月1日の活動要領に代え,新たな「災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領」を通知した。
・「災害派遣精神医療チーム(DPAT;Disaster Psychiatric Assistance Team)」とは,大規模災害などで心のケアにあたる精神医療の専門家チームのことである。
<DPAT各班の構成>
●以下の職種を含めた数名(車での移動を考慮した機動性の確保できる人数を検討)で構成する。
・精神科医師
・看護師
・業務調整員(ロジスティクス):連絡調整,運転等,医療活動を行うための後方支援全般を行う者
・現地のニーズに合わせて,児童精神科医,薬剤師,保健師,精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成する。

→「2014年度 障害保健福祉部予算案」において,主な施策のうち「2.地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進 ― 災害時心のケア支援体制の整備」に「0.5億円及び地域生活支援事業(462億円)の内数」として計上されている程度である。
→救急治療を行う「DMAT」は,「Dr.DMAT」としてドラマ化されて認知度は高くなったが,神科医療及び精神保健活動の支援を行う「DPAT」を知る人は少ない。(筆者)


(参考)
「災害派遣精神医療チーム(DPAT)/ 災害精神保健医療情報支援システム(DMHISS)」(災害時こころの情報支援センター)
「DMATとDPATの比較」
1/8 内閣府・法務省 2013年12月から被害者参加制度」が変更された ・「被害者参加制度」とは,一定の犯罪の被害者などが,裁判所の決定により,公判期日に出席し,被告人に対する質問を行うなど,刑事裁判に直接参加することができる制度である。
・2000年以降,被害者らが事件の当事者として訴訟に参加する権利を求める声の高まり,重大事件の被害者への社会の関心を背景として,2004年の「犯罪被害者等基本法」,2005年の「犯罪被害者等基本計画」を経て,2007年の「改正刑事訴訟法」により「被害者参加制度」が導入され,2008年12月1日から施行された。
・施行後3年をめどに見直す規定があり,2013年6月に「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律」の成立し,2013年12月1日から「被害者参加人制度」が変更された。
<法改正による変更点>
(1)被害者参加旅費等支給制度の新設
(2)被害者参加人のための国選弁護制度の資力要件が緩和

<政府広報オンラインの記事の構成>
(1)犯罪の被害に遭うということは?~日常生活の中で,誰もが犯罪被害を受けるおそれ~
(2)捜査や裁判はどのような流れ?~捜査,起訴,公判(裁判),判決という過程で,被害者やご家族の方にご協力をお願いすることも~
(3)被害者参加制度とは?~被害者やご遺族などの方が裁判に直接関与できる制度~
(4)どのように利用しやすくなったの?~旅費などの支給や国選弁護制度の視力要件の緩和~
(5)そのほかに,裁判に関与できる制度は何があるの?~被害者参加制度以外に被害者やご遺族などの方々が裁判に関与する制度~

→日本の「被害者参加制度」の問題点として,①被害者参加人の権利が限定されている(すべての権利の行使に検察官への申し出や重罪のみの利用),②不起訴処分になった事件について被害者は直接不服申立をすることができない,が指摘されている。筆者は,単純に,人権を保護され過ぎている加害者と人権を無視されている被害者の不公平は存在していると感じている。誤解を恐れず結論だけを言えば,筆者は,刑事裁判が報復の場になることや被害者感情を受けた厳罰化は,被害者の正当な権利行使であり,刑罰の適正化につながるという意見に賛同している。(筆者)

(参考)
「法テラス」
「2013年版犯罪白書」
1/7 首相官邸 ■安倍首相の「年頭所感」および「年頭記者会見」 ・2014年1月1日に安倍首相の「年頭所感」が公表され,1月6日に安倍首相の「年頭記者会見」が行われた。
・1月24日に召集が予定されている第186回通常国会については,「好循環実現国会」とし,経済対策を引き続き最重要課題と位置付けた。
1/2 厚生労働省 「2013年 人口動態統計の年間推計」 ・2014年1月1日,厚生労働省は,「2013年人口動態統計の年間推計」を公表した。
・推計項目は,(1)2013年の出生数,死亡数,婚姻件数,離婚件数及び死産数,(2)2013年の主な死因(悪性新生物,心疾患,肺炎,脳血管疾患)別死亡数,である。
<推計結果のポイント>
①出生数: 103万1,000人 (過去最低)
②死亡数: 127万5,000人 (戦後最多)
③自然増減数:△24万4,000人 (過去最多)
④婚姻件数: 66万3,000組 (2011年に次ぎ戦後2番目の少なさ)
⑤離婚件数: 23万1,000組

→人口減少は,2007年から7年連続で,ペースは年々加速しており,厚生労働省は,「この傾向は今後も続く」と分析している。また,「合計特殊出生率」は,2013年も2012年の1.41と同程度の水準になる見込まれているとのことである。
→なお,総務省は,2013年12月31日,2014年1月1日現在の「午(うま)年生まれ」と「新成人」の人口を発表した。「午年生まれは958万人であり,十二支の中では12番目で最少」,「新成人は121万人で,人口,割合共に過去最低を更新」とのことである。
→2012年1月30日,国立社会保障・人口問題研究所は,「日本の将来推計人口」を発表した。①日本の総人口は減少の一途を辿る(今後50年間で4千万人減る),②年少人口・生産年齢人口と老年人口の逆転現象が起きる(65歳以上の高齢者が全体の約4割になる),③合計特殊出生率は低いままで推移する(1.35と予測される),という衝撃的な内容であった。政府が進める「社会保障と税の一体改革」が,どの国も経験したことがない「超高齢・人口減少社会」への有効な布石になると言えるかどうか。(筆者)
12/31 厚生労働省 「2012年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」 ・2013年12月26日,厚生労働省は,「2012年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」を公表した。
・2012年度に確認された高齢者への虐待件数は,家庭内と施設内を合わせて1万5,357件であったとのことである。

→例えば,秋田県内の介護施設などの職員による高齢者への虐待件数が,2008年から2012年までの5年間「ゼロ」であるということが含まれた「高齢者虐待防止法に基づく調査結果」への厚生労働省の統計的分析に対して,まともにコメントするのは「アホらしい」と思うのは,筆者だけではないはずである。
→「厚生労働省は,虐待は,老老介護や,同居する息子や娘が1人で介護しているケースで目立っている。介護する人が孤立しないよう行政や地域が支える態勢作りを進めたいと話しています」とNHKのニュースで報道されていた。毎度のことであるが,現実感も,緊迫感も,悲壮感もない発言から,具体的な対策など考え切れていないだろうな,ということが読み取れる。(筆者)

11/14「2012年度 都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)」,11/2「2013年度 児童虐待防止推進月間の取組み」の記事を参照
12/30 厚生労働省 「2012年度 母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」 ・2013年12月27日,厚生労働省は,2013年3月に施行された「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法」に基づく「2012年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」を公表した。
<実施状況のポイント>
①母子家庭等・就業自立支援センターにおける就業相談 ・相談件数:105,439件(2011年度:101,536件)
・就職件数:6,361件(6,273件)
②高等技能訓練促進費の支給 ・支給件数:9,577件(10,287件)
・就業件数:3,076件(2,442件)
③母子自立支援員の配置 ・配置人数:1,622名(1,601名)
④ハローワークによる母子家庭の母への職業紹介 ・紹介件数:487,183件(491,240件)
・就職件数:98,077件(93,613件)

→「母子及び寡婦福祉法」において,「母子家庭等」として,父子家庭を「等扱い」している。筆者は,これを何とかしなければ根本的な改善にはつながらないのではないかと思う。(筆者)
12/29 厚生労働省 「2013年度 民生委員・児童委員の一斉改選結果について」 ・2013年12月26日,厚生労働省は,2013年11月30日に3年間の任期を終了した全国の民生委員・児童委員について,2013年12月1日に一斉に改選 (厚生労働大臣委嘱)し,その結果として,「2013年度民生委員・児童委員の一斉改選結果について」を公表した。
<改選結果のポイント>
前回(2010年度)の一斉改選より定数および委嘱数共に増加した。
・定数 :236,271人(2010年:233,905人)
委嘱数 :229,488人(2010年:228,550人)
新任委員と再任委員の人数は,新任委員は73,011人(31.8%),再任委員は156,477人(68.2%)であった。


(参考)
「民生委員・児童委員の概要」
「民生委員・児童委員の活動状況」

→民生委員を含めた地域福祉の研究に関する概略である。2008年の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」において,民生委員の現状,課題,今後の論点等についてもまとめられ,公的な福祉サービスだけでは支援が困難な事例への対応を含め,成熟した社会における自立した個人が主体的に関わり,支え合う,地域における「新たな支え合い」(共助)の領域の拡大・強化が求められているとされていた。また,2010年の「地域包括ケア研究会報告書」では,「今後,それぞれの地域のもつ「自助,互助,共助,公助」の役割分担を踏まえながら,有機的に連動して提供されるようなシステム構築が検討されなければならない」とされた。2013年3月には,「地域包括ケアシステムの構築における今後の検討のための論点整理」および「民生・児童委員の活動等の実態把握及び課題に関する調査・研究事業報告書」が公表されている。
厚生労働省は,今回の改選で定数が増加した理由について,「高齢化や核家族化の進行等により、高齢者や単身者等の要援護者が増加し,各自治体において民生委員・児童委員の定数を増やす必要性が高まったためと考えられる」としている。(筆者)
12/27 厚生労働省 「G8認知症サミット」の結果 ・2013年12月26日,厚生労働省は,2013年12月11日にイギリス・ロンドンで開催された「「G8認知症サミット」で合意された 「宣言(Declaration)」及び「共同声明(Communique)」を公表した。
<「G8認知症サミット」のポイント>
G8各国,欧州委員会,WHO,OECDの代表が出席し,世界的な共通課題である「認知症対策」について,各々の取組を紹介するとともに,意見交換が行われた。
日本からは土屋厚生労働副大臣が出席し,、日本の高齢化と認知症の現状,「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン;2013~2017年度)」等について説明した。
●施策,研究及び社会的な取組に及ぶ幅広い現状の共有,意見交換の結果,認知症問題に共に取り組むための努力事項を定めた「宣言(Declaration)」及び今後の対応に関して詳しい情報を盛り込んだ「共同声明(Communique)」が,G8各国代表者によって合意された。

「G8認知症サミット宣言」英文
「G8認知症サミット共同声明」英文

→「認知症ケア」において,イギリスは日本の遥か先を行っている。イギリス政府は,2007年8月に認知症国家戦略の策定を宣言し,2009年2月の「認知症国家戦略;認知症とともに良き生活(人生)を送る」を発表するに至るまでの18か月間,保健省内に設置された「認知症国家戦略策定委員会」(外部から招聘された2名の共同委員長,アルツハイマー協会代表,その他は保健省職員)によって国家戦略の策定作業が続けられた。その結果,副作用のある「抗精神病薬」の使用を大幅に削減している(2006年約17%→2011年約7%)。
→「認知症ケアの後進国である日本の厚生労働副大臣」が,サミットで日本の惨状をどのように説明したのかを知りたくなる。2014年には,「新しい介護と予防モデル」をテーマとした本サミットの後継イベントを日本で開催する予定とのことであるので,これを機会として,日本が,「まともな認知症ケア」を実施する国になることを期待したい。
→なお,新聞記事であるが,上記イギリスの「認知症国家戦略策定員会」委員長であったブライトン・サセックス医大のスベ・バナジー教授は,「国家戦略に定められたことで国民の間で薬のリスクがはっきりと認識された」とし,「医療機関に支払う報酬の仕組みが異なるため,イギリスでは報酬による誘導は必要なかったが,日本では薬の処方に対する報酬を,服用を減らすためのカウンセリングに付け替えるなどの対応が必要だろう」と指摘したとされている。(筆者)
12/26 厚生労働省 「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書」(概要 / 本文 ・2013年8月の「子ども・子育て関連3法」の成立により,放課後児童クラブの設備及び運営について,厚生労働省令で定める基準を踏まえて市町村が条例で基準を定めることとされた。これを受け,2013年5月に「社会保障審議会児童部会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会」が設置された。
・2013年12月25日,厚生労働省は,「放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書」を公表した。
・今後,本報告書は、「子ども・子育て会議」,「子ども・子育て会議基準検討部会」,「社会保障審議会児童部会」に報告され,2014年2月に「省令案」をパブリックコメントにかけ,2014年3月末までに省令として制定する予定とされている。また,各自治体,2014年度中に条例化し,2015年度から適用されると見られている。
<報告書のポイント>
自治体が従うべき基準 指導員 ・1クラスに2人以上配置
・うち1人は資格者(保育士,2年以上児童福祉の仕事を経験した者など)で研修を受ける
十分参照すべき基準 施設 ・子ども1人当たり概ね1.65㎡以上の専用室を確保
・静養スペースを設ける
運営 ・1クラス概ね40人まで
・年間250日以上,平日3時間,休日8時間以上開所

→放課後児童クラブ(学童保育)は,1997年に児童福祉法に位置づけられ,2012年5月現在,2万1,085か所で,85万1,949人の児童が登録している。
→現行制度では,学童保育の整備は市町村の努力義務で,定員超過などの理由で利用できない児童の「小1の壁」が問題となっている。また,厚生労働省は,施設や職員配置の基準を定めず,2007年に強制力のない「ガイドライン」を示していたが,自治体間のバラツキが大きいため,統一的な基準を作り,質の向上と量の確保が求められていた。2012年8月に成立した「子ども・子育て支援関連3法」において,消費税財源を投入し,学童保育の利用者増や職員体制の強化を図っていくことが決まった。このような状況において,今回の報告書が公表された。(筆者)
12/25 厚生労働省 「今後の労働安全衛生対策について (労働政策審議会建議)」 ・2013年12月24日,厚生労働省の労働政策審議会(会長:樋口慶應義塾大学商学部長)は,厚生労働大臣に対し,今後の労働安全衛生対策について建議を行い,公表した。
2010年の「労働政策審議会建議」に基づいて,2011年12月の臨時国会に提出された。その後,2012年の通常国会・臨時国会で継続審議となっていた「労働安全衛生法改正法案」が衆議院解散・総選挙により廃案となった。これを踏まえ,改正法案に盛り込まれていた「メンタルヘルス対策」「受動喫煙防止対策」「型式検定等の対象器具の追加」のほか,2013年度を初年度とする「第12次労働災害防止計画」で検討することとされた事項も含めて,「安全衛生分科会報告書」(分科会長:土橋東京大学大学院工学系研究科教授)に基づいているのが今回の建議である,と説明されている。
・また,厚生労働省では,今後,今回の建議を踏まえ,「労働安全衛生法改正案」の提出に向けた検討を行うものとされている。
<建議の主なポイント>
(1)第12次労働災害防止計画に基づいて新たに検討した主な事項 化学物質管理のあり方
一定の危険性・有害性が確認されている化学物質対策について,リスクアセスメント(危険性・有害性の調査)を事業者に実施させることが適当。
企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み
重大な労働災害を繰り返す企業に対し,厚生労働大臣が改善計画の作成などを指示し,従わない場合は勧告や,企業名の公表を行う制度などを設けることが適当。
(2)廃案となった法案に盛り込まれていた主な事項 職場におけるメンタルヘルス対策
廃案となった法案を踏まえつつ,事業者が医師または保健師によるストレスの状況を把握するための検査や労働者の申出に応じて医師による面接指導などを行い,必要な措置を講じることなどの取組を事業者に実施させることが適当。
職場における受動喫煙防止対策
廃案となった法案を踏まえつつ,全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とした場合,国の支援策がなくなり,取組が進まなくなるおそれがあるとの意見が出されたことや,対策に取り組んでいる事業場が増加していることも勘案し,法案の内容を検討することが適当。

→2010年の「労働政策審議会建議」以降の動向である。
2010年の建議を受け,近年増加する職場でのうつ病対策が盛り込まれた労働安全衛生法改正案が国会に提出されたのは,2011年12月であり,継続審議を繰り返し,継続審議にする時間的な余裕がないという政局(解散・総選挙)により廃案になった。その後,厚生労働省は,「第12次労働災害防止計画」(2013年~2017年度)を出し,重点とする職業性疾病対策としてメンタルヘルス対策を掲げ,取り組む事業者の割合目標を80%とした。しかし,2012年度のメンタルヘルスに取り組んでいる事業所は47.2%(旧目標値60%)というのが現状である。また,2013年12月17日には,「労働政策審議会安全衛生分科会報告書」が提出された。これを受け,2013年12月24日に今回の「労働政策審議会建議」が公表された。
→「職場のメンタルヘルス」に関して,建議はともあれ,国は事業者への責任の押し付けだけでは根本的な改善は期待できないこと,罰則のない義務付けは無意味であることを知るべきである。筆者は,「職場のメンタルヘルス」を本気で改善しようとするのであれば,学校教育における「働く場におけるメンタルヘルス教育」と歩調を合わせることが必要であり,事業所だけに対応を押し付けてもどうにもならない,という意見に賛同している。(筆者)


→●12/3「第12次労働災害防止計画」(パンフレット)),9/20「2012年 労働者健康状況調査(労働安全衛生特別調査)」の結果2/26「2012年の労働災害の動向(速報値)」の記事を参照
12/24 厚生労働省 「2012年 国民健康・栄養調査の結果」 ・2013年12月19日,厚生労働省は,2012年11月に実施した「国民健康・栄養調査の結果」を公表した。
「国民健康・栄養調査」は毎年実施されるが,2012年は重点項目として,1997年以降,5年ごとに行っている糖尿病有病者等の推計人数及び体格や生活習慣に関する地域格差が把握されている。
<調査結果のポイント>
(1)糖尿病 糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約950万人,糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)は約1,100万人と推計される。
糖尿病が強く疑われる者と糖尿病の可能性を否定できない者を合わせると約2,050万人と推計され,1997年以降増加していたが,2007年の約2,210万人から初めて減少に転じた。
糖尿病が強く疑われる者の,、現在治療を受けている者の割合は,男性65.9%,女性64.3%で,男女とも毎回増加している。
(2)体格・生活習慣 ①体格(BMI)及び主な生活習慣の状況について,都道府県別に年齢調整を行い,高い方から低い方に4区分に分け、上位(上位25%)群と下位(下位25%)群の状況を比較した結果,BMI,野菜摂取量,食塩摂取量,歩数,現在習慣的に喫煙している者の割合(男性)で,それぞれ上位群と下位群の間に有意な差がある。

→厚生労働省は,「糖尿病有病者と予備群は約2,050万人で,1997年以降,初めて減少」との見出しで報道発表した。しかし,よく見ると,糖尿病有病者は950万人で2007年より60万人増えている。こういう発表の仕方は,正確性を欠いている。「糖尿病有病者は約950万人で,1997年以降,増加中」という見出しにすべきである。
→筆者は,2008年度から義務化した「特定健診・特定保健指導」の成果として,「2012年の糖尿病の予備軍の推計が2007年より220万人減少した」ことぐらいを,厚生労働省のお手柄にさせてはいけないと思う。さらに,結論だけを言うと,「特定検診・特定保健指導政策」という国家事業は,壮大で膨大な無駄であると考えている。(筆者)
12/23 厚生労働省 「介護保険制度の見直しに関する意見」(概要 / 本文 ・2013年12月20日,厚生労働省は,社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」を公表した。
<介護保険制度改正案のポイント>
区分 項目 概要
【1】地域包括ケアシステムの構築 (1)サービスの充実 ・地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実
①在宅医療・介護連携の推進
②認知症施策の推進
③地域ケア会議の推進
④生活支援サービスの充実・強化
(2)重点化・効率化 ①全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し,多様化
要支援1・2の訪問・通所介護を保険給付から外し,切り下げ
②特別養護老人ホームの新規入所者を,原則,要介護3以上に限定(既入所者は除く)
特養入所は要介護3以上に制限
【2】費用負担の公平化 (1)低所得者の保険料軽減を拡充 ・低所得者の保険料の軽減割合を拡大
(2)重点化・効率化 ①一定以上の所得のある利用者の自己負担を引上げ
1割負担→2割負担
②低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」の要件に資産などを追加
一定の預貯金あれば居住費・食費を補助しない
制度概要資料
参考資料

→介護費用は,団塊世代が75歳になる2025年には,20兆円を超えると見込まれている。今回の意見書は,2014年4月からの当面の財政対策である消費増税とは別に,今後増え続ける介護費用を抑制するための介護保険制度改正という位置付けである。「持続可能性の確保」と言えば聞こえはいいが,悪知恵を駆使した「サービスの切り捨て」と「負担増」の内容である。高齢者介護を社会全体で支えると説明されてきた「介護の社会化」と言う耳触りのいい言葉の意味が,「介護費用を抑制するための介護費用の社会化」であったことがより明確になってきた。
→・今後,本意見書を基にした介護保険法改正案が,2014年通常国会に提出される予定とされている。福祉専門職は当然であるが,3福祉士国家試験受験者においても,次回試験の出題の有無に関係なく,把握しておかなければならない意見書である。(筆者)


11/27「全国介護保険担当部(局)長会議資料 ~介護保険制度改正の検討状況等について~」の記事を参照
12/20 消防庁 「2013年版 救急・救助の現況」(ポイント / 本文 ・2013年12月18日,総務省消防庁は,「2013年版 救急・救助の現況」を公表した。
<2012年中の救急・救助の現況のポイント>
①救急出動件数及び搬送人員ともに過去最多を記録
・救急自動車による救急出動件数は580万2,455件(前年比1.7%増),搬送人員は525万302人(前年比1.3%増)
②救助人員は自然災害において減少,建物等による事故,水難事故で増加
・救助人員は5万9,338人(前年比6.7%減),「風水害等自然災害事故」が1,152人(前年比82.2%減)と減少する一方で,「建物等による事故」が19,962人(前年比2.1%増),「水難事故」が3,745人(前年比、29.0%増)と増加
③消防防災ヘリコプターの救急出動件数は減少
・消防防災ヘリコプターによる救急出動は3,246件(前年比201件減),救助出動は2,035件(前年比258件増)

→マスメディアは,一様に,救急車が通報から傷病者を病院に搬送するまでにかかった時間は平均38分42秒(前年比36秒遅い)であり,過去最悪を更新したこと,通報から救急車が現場に到着するまでの平均時間は8分18秒(前年比6秒遅い)であったことをセンセーショナルに報道するばかりである。
→例えば,搬送者の50.4%は軽症であるのに,消防庁は,搬送の遅れを,出動が増えて救急車がすぐに手配できなかったり,遠い消防署に応援を依頼したりするケースが増えたためと説明している。国民の意識の低さへの啓発活動策や現業の消防職員の社会的地位の向上策の必要性を主張してもよいと思う。(筆者)


(参考)
「救急・救助」(総務省消防庁)
12/19 厚生労働省 「難病対策の改革に向けた取組について(報告書)」(概要 / 本文)および「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方(報告)」(概要 / 本文 【1】「難病対策」
・2013年12月18日,厚生労働省は,難病対策の法制化に向けた「厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会」の「難病対策の改革に向けた取組について(報告書)」を公表した(委員会の検討経緯)。
・近時の難病対策の動向では,2013年1月25日に厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会の「難病対策の改革について(提言)」が公表され,2013年8月6日に「社会保障制度改革国民会議報告書」に盛り込まれた。難病対策等の改革は,「難病対策等の改革に総合的かつ一体的に取り組む必要。医療費助成を制度として位置づけ,対象疾患の拡大や都道府県の超過負担の解消を図るべき」と明記された。12月5日に
は法制化に向けた「社会保障制度改革プログラム法」が成立している。
・難病対策は,1972年の制度発足から40年以上を経て,ようやく法的裏付けを持った正規事業となる。
<報告書のポイント>
①効果的な治療方法の開発と医療の質の向上
②公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築
③国民の理解の促進と社会参加のための施策の充実

委員名簿

【2】「小児慢性特定疾患対策」
・2013年12月18日,厚生労働省は,「社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方(報告)」を公表した。
・「小児慢性特定疾患治療研究事業」は,1974年から医療費助成を目的として開始され,2005年度からは児童福祉法において法制化され,日常生活用具給付事業および小児慢性特定疾患ピアカウンセリング事業などの医療費助成以外の支援も行われてきた。
・近時の小児慢性特定疾患対策の動向では,難病対策の法制化の検討に併せ,今日的視点で,改めて小児慢性特定疾患児への支援の在り方を見直すため,2012年9月に社会保障審議会児童部会に「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」が設置された。2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書」には「難病対策等の改革」として盛り込まれている。
<報告のポイント>
①公平で安定的な医療費助成の仕組みの構築(医療費助成を義務的経費として位置付け)
②研究の推進と医療の質の向上
③慢性疾患児の特性を踏まえた健全育成・社会参加の促進,地域関係者が一体となった自立支援の充実

委員名簿

→今後,厚生労働省は,本報告を受けて,難病対策は「疾病対策部会」に,小児慢性特定疾患対策は「児童部会」にそれぞれ報告される。
その後,法案作成に向けた作業に入り,
難病対策は新法要綱案が,また,小児慢性特定疾患対策は児童福祉法改正案が,2014年通常国会に提出されると見られている。(筆者)


(参考)
「難病対策」(厚生労働省)
「難病対策」(難病情報センター)
12/18 内閣府 「民法の成年年齢に関する世論調査(2013年10月)」 ・2013年12月16日,内閣府は,2013年10月に調査した「民法の成年年齢に関する世論調査」の結果を公表した。
項 目 結 果
(1)18歳,19歳の日本人に関する意識 ①子どもが大人になるための条件
・「自分がしたことについて自分で責任をとれること」72.8%,「自分自身で判断する能力を身に付けること」70.9%,「精神的に成熟をすること」69.4%,「社会人として最低限の学力・知識を身に付けること」63.9%
②今の18歳,19歳にあてはまること
・「肉体的に成熟をしている」48.2%,「社会人として最低限の学力・知識を身に付けている」25.2%,「自分自身で判断する能力が十分ある」21.7%,「自分がしたことについて自分で責任をとることができる」19.0%。なお,「特にない」23.7%
(2)民法の成年年齢の引下げに関する関心 ①引下げの議論の認知度
・「知っている」77.9%,「知らない」22.1%
②引下げの議論に対する関心度
・「関心がある」69.8%,「関心がない」29.6%
③成年年齢と飲酒・喫煙年齢,選挙権年齢との関係の認知度
・「いずれも知っていた」38.7%,「飲酒・喫煙年齢との関係についてのみ知っていた」10.0%,「選挙権年齢との関係についてのみ知っていた」20.5%,「いずれも知らなかった」30.8%
(3)契約を一人ですることができる年齢に関する意識 ①契約を一人ですることができる年齢を18歳にすることの賛否
・賛成」18.6%,「反対」79.4%
(4)親権に服する年齢に関する意識 ①親権に服する年齢を18歳未満にすることの賛否
・「賛成」26.2%,「反対」69.0%

(「賛成」の割合を年齢別に見ると,18~19歳40.8%,50代22.4%)
(5)養子をとることのできる年齢に関する意識 ①養子をとることのできる年齢に関する意識(現在20歳)
・「18歳に引き下げるべき」5.9%,「現在のまま20歳とすべき」51.5%,「引き上げるべき」36.6%

→「憲法改正国民投票法」は2007年に成立し,2010年に施行された。この法律により,日本国憲法を改正するための国民投票の投票権は満18歳以上の日本国民が有するとされたが,現行の民法の成人年齢や公職選挙法の選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げなければ,年齢満20歳以上の者が投票権を有することとされている。「憲法改正国民投票法」の先送りされた課題は,①投票年齢の確定,②公務員の政治的行為の規制緩和,③国民投票の対象拡大,である。
→選挙権年齢及び成年年齢等の引下げ問題は,国民,国政と密接に関連している。「18歳成人」への国民の抵抗感が根強い結果となっている(「反対」が69.0%)。にもかかわらず,自民党や公明党には,2014年の通常国会で,投票年齢の確定のための改正法案を提出する動きがある。ぼんやりしていると,「特定秘密保護法」で味を占めた安倍サンのやりたい放題になる。(筆者)
12/17 観光庁 ■偽装表示や不当価格表示をしていた企業の代表等が審査員(目利き)として選んだ「世界にも通用する究極のお土産9品」 ・2013年11月29日,観光庁は,日本の食のブランド化に向けて主催した「世界にも通用する究極のお土産9品」を選出した。
・選出は,書類審査を通過した115品のお土産を,「究極のお土産品評会」に出品し,観光庁が目利きと称する審査員10名が究極のお土産9品を選定したものである。
<観光庁の広報文>
『旅のきっかけにつながる「究極のお土産」を発掘するため,2013年11月29日に「世界にも通用する究極のお土産フォーラム」を開催し,747品の応募の中から,最終選考で9品が選定されました。9月に地域の特産物をいかしたお土産の公募を行ったところ,全国から747品の応募があり,一次審査を通過した115品のノミネート商品の中から,著名な目利き10人が1人1品ずつを選定しました。』

お土産を審査する目利き10名(審査員)
目利き(審査員)審査員10名 悪事の発覚(筆者)
(株)阪急阪神百貨店
荒木直也代表取締役社長
阪神百貨店梅田本店(大阪市北区)や川西阪急(兵庫県川西市)などのレストランやカフェで偽装が発覚した。
(株)三越伊勢丹ホールディングス
大西洋代表取締役社長
三越と伊勢丹に入っているレストランで偽装が発覚した。
(株)東急百貨店
二橋千裕代表取締役社長
本店や東横店などのレストランや食品売り場で偽装が発覚した。
楽天(株)
河野奈保執行役員
「楽天市場」の優勝記念セールで通常価格を実際より大幅引き上げで不当価格が発覚した。
ローソン CVSカンパニー -
(株)料理通信社
(株)紀ノ國屋
(株)プレジデント社
(株)ディーンアンドデルーカジャパン
(株)味の手帖

→筆者は,コンプライアンスに問題のある渦中の企業の代表が大勢参加している「審査員(目利き)」に選ばせた
「世界に通用する究極のお土産9品」は,「世界に全く通用しない究極の偽装のお土産9品」と言われても仕方がないと思う。バナメイエビを芝エビというのが当たり前と言ったり,伊勢海老とロブスターは同じだと言ったりするような「味音痴」や「不見識」を目利きと言い切る「観光庁」はまっとうではないと思う。少なくとも,今年は,身綺麗な企業の代表を審査員として集めるべきであった。本当は,観光庁に向かって,「愚か者め!」と,日本のマスメディアがごうごうたる非難を浴びせなければならないことである。念のために,選ばれたお土産9品を非難するものではない。(筆者)
12/13 厚生労働省 「労災保険特別加入制度のしおり(海外派遣者用)」
・2013年12月12日,厚生労働省は,「労災保険特別加入制度のしおり(海外派遣者用)」を公表した。
・労災保険は,本来,労働者の負傷,疾病,障害又は死亡に対して保険給付を行う制度である。 しかし,労働者以外のうち,その業務の実情・災害の発生状況などから見て労働者に準 じて保護することが適当であると認められる一定の者(※)に対して,特別に任意加入を認めてい るのが,労災特別加入制度である。 したがって,加入条件や被災した場合の補償は,予め特約した内容で行われる。 労働者の場合とすべて同じ補償がなされる訳ではないので注意が必要であり,条件等 について予め十分確認しておくことが大切であると説明されている。
(※)
・第1種特別加入者(中小事業主及びその事業に従事する者)
・第2種特別加入者(一人親方・自営業者及びその事業に従事する者,特定作業従事者)
・第3種特別加入者(海外派遣者)

<労災に特別加入ができる海外派遣>
・労災保険は,本来,国内にある事業場に適用され,そこで就労する労働者が給付の対象となる制度であるため,海外の事業場で就労する者は対象とならない。国内の事業場で就労していた者が転勤などで海外の事業場に派遣された場合についても,通常,派遣先の国の災害補償制度の対象となる。しかし,外国の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分でない場合もあることから,海外派遣者についても労災保険の給付が受けられる制度が設けられている。なお,「海外出張」は,所属する国内の事業場の労災保険により給付を受けられる。

<労災に特別加入ができる海外派遣者の範囲>
①日本国内の事業主から,海外で行われる事業に労働者として派遣される者
②日本国内の事業主から,海外にある中小規模の一定の事業に事業主等(労働者ではない立場)として派遣される者
③独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて,開発途上地域で行われている事業に従事する者

(参考)
「労災保険への特別加入」(厚生労働省)
12/12 文部科学省 「2012年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」(その① / その② ・2013年12月10日,文部科学省は,「2012年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果について」を公表した。
<調査項目と結果の概要>
①暴力行為
・小・中・高等学校における,暴力行為の発生件数は約5万6千件(前年度約5万6千件)で,児童生徒1千人当たりの発生件数は4.1件(前年度4.0件)である。
②いじめ
・小・中・高・特別支援学校における,いじめの認知件数は約19万8千件(前年度約7万件)で,児童生徒1千人当たりの認知件数は14.3件(前年度5.0件)である。
③出席停止
④小・中学校の不登校
・小・中学校における,不登校児童生徒数は約11万3千人(前年度約11万7千人)よで,不登校児童生徒の割合は1.09%(前年度1.12%)である。
⑤高等学校の不登校
・高等学校における,不登校生徒数は約5万8千人(前年度約6万6千人)で,不登校生徒の割合は1.72%(前年度1.68%)である。
⑥高等学校中途退学等
・高等学校における,中途退学者数は約5万2千人(前年度約5万4千人),中途退学者の割合は1.5%(前年度1.6%)である。
⑦自殺(学校から報告のあったもの)
・小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は196人(前年度202人)である。
⑧教育相談

→左記の調査結果は上記の通りで,「いじめ」の調査だけではない。しかし,マスメディアがセンセーショナルに取り上げるのは,「いじめ」一辺倒である。筆者は,日本のマスメディアの取り上げ方の「いびつさ」が,「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題」についての,本質的な国民的議論を阻んでいる要因になっているのではないかと思う。
→さらに,「いじめ」の施策においても,日本のマスメディアは深刻な問題の存在を正しく国民に伝えていない。安倍首相の「教育再生実行会議」の提案に基づいて,国民的な議論や中教審の審議もなされず,「いじめ防止対策推進法」が成立し,2013年6月28日に公布され,3か月後の9月28日に施行されることになった。「いじめ防止基本方針策定協議会」(有識者会議)において,具体的運用を定める「いじめ防止基本方針」が策定され,同時に施行されるはずであったが,基本方針が法の施行に間に合わず,施行後に文部科学省は都道府県教育委員会に通知している。繰り返すが,「いじめ防止対策推進法」は,具体的な運用方針なしで2013年9月28日に施行され,基本方針は施行日から13日も遅れて2013年10月11日に通知されている。お粗末にも程がある。文部科学省および有識者会議は3か月かけても具体的な運用(基本方針)をまとめ切れなかったのである。具体的方針のない法の施行は前代未聞であるのに,「教師が1人で抱え込まない取り組みと中立で公平ないじめ調査,被害者側への適切な情報提供の必要性を明記した点が重要だ」という有識者会議座長(森田大阪市立大名誉教授)の記者会見での発言が報道されていた。「いじめの未然防止」「早期発見と速やかな対処」「重大な事態への対応」において,曖昧な姿勢のまま国の方針を作っておきながら,後は現場でという考え方である。筆者は,「厳罰化や規範意識の押しつけでは何ら解決にはならず,さらに悪化する」という意見に賛同している。(筆者)
12/11 - 「第185回臨時国会で成立した福祉関連の主な法律」 2013年12月8日に閉会した「第185回臨時国会」において,成立した福祉関連の主な法案は以下の通りである。
第185回で成立した主な法律
(福祉関連)
種別 成立 参考
社会保障制度改革プログラム法 閣法 12月5日 社会保障制度改革の課題と今後の展望
改正生活保護法
(183回で廃案)
閣法 12月6日 新旧対照
生活困窮者自立支援法
(183回で廃案)
閣法 12月6日 生活困窮者自立支援制度
改正薬事法・薬剤師法 閣法 12月5日 新旧対照
改正民法 閣法 12月5日 新旧対照
法務省
アルコール健康障害対策基本法 衆法 12月7日 アルコール健康障害対策基本法
がん登録推進法 参法 12月6日 がん登録の法制化
自動車運転死傷行為処罰法(183回からの継続) 閣法 11月20日 新旧対照
<その他の成立した重要法案>
安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案
(183回からの継続)
閣法 11月27日 -
特定秘密の保護に関する法律案 閣法 12月6日 -
産業競争力強化法案 閣法 12月4日 -
国家戦略特別区域法案 閣法 12月7日 -

→第185回臨時国会における政府提出の23法案(閣法)のうち20本が成立し,成立率は87%であった。民主党政権における2011年臨時国会の62.5%,2012年臨時国会の50.0%と比較すると,ねじれ国会の解消による強行採決の成果が顕著である。また,国会審議においては,秘密保護法の与野党双方の稚拙な審理に多くの時間が取られ,他の法律に関する質疑は明らかに不十分であった。安倍政権の暴走に歯止めをかけるには,「世論」しかない。国会閉会後の共同通信社の内閣支持率は,47%に急落したと報道されている。
→安倍政権肝いりで成立した法律は,「国家安全保障会議設置法」,「特定秘密保護法」,「改正自衛隊法」,「産業競争力強化法」,
「国家戦略特別区域法」,「国土強靱化基本法」で,東日本大震災関連の法律は,「改正電気事業法」,「原子力損害賠償請求権時効特例法,「首都直下地震対策特措法」である。
厚生労働省提出の4法案は,「社会保障改革プログラム法案」,「改正生活保護法案」,「生活困窮者自立支援法案」,「改正薬事法及び改正薬剤師法案」で,100%の成立率であった。(筆者)

10/18「第185回臨時国会への厚生労働省の提出法案(10月17日時点)」)の記事を参照
12/10 国立社会保障・人口問題研究所 「2011年度版 社会保障費用統計 (旧社会保障給付費)」 ・2013年12月6日,厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は,「2011年度版 社会保障費用統計」を公表した。
・2009年度版までは「社会保障給付費」として公表されていたが,2010年度版より「社会保障費用統計」と改訂され,ILO基準に加えて国際比較が可能OECD基準の社会支出の集計結果を追加して公表することとされた。
<2011年度社会保障費のポイント>
(1)社会保障給付費の総額
・107兆4,959億円(前年度比2.7%増)
①部門別の構成比率 :「年金」が49.4%,「医療」が31.7%,「福祉その他」が18.9%
②機能別の構成比率 :「高齢」が48.2%,「保健医療」が30.2%,「その他」が21.6%
③国民1人当たり社会保障給付費 :84万1,100円
④1世帯当たり社会保障給付費 :217万2,400円

(2)社会保障財源の総額
・115兆6,566億円(前年度比5.5%増)
①項目別の構成割合 :「社会保険料が「52.0%,「公費負担」が37.6%,「他の収入」が10.4%

→過去最高を更新した「社会保障給付費」について,同研究所では「高齢化や医療技術の高度化が要因とみている」と報道されている。
→2013年12月8日に閉会した「第185回臨時国会」において,「社会保障制度改革プログラム法案」が成立した。2014~2017年度に行う医療,介護などの制度改革について,実施時期や関連法案の国会提出時期を規定している。プログラム法案については,「社会保障・税一体改革」,「消費税増税」との関連を含めて,改めて記事にする予定である。(筆者)
12/6 厚生労働省 「産科医療補償制度」 ・2013年12月5日,「第72回社会保障審議会医療保険部会」が開催され,会議資料が公表された。
・産科医療補償制度は,2009年1月に創設され,分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんと家族の経済的負担を補償するとともに,脳性麻痺発症の原因分析を行い,再発 防止に役立つ情報 を提供する制度である。
・産科医療補償制度は,2015年以降の制度見直しのために,剰余金や保険料の扱いについての基本方針が「社会保障審議会医療保険部会」で話し合われている。

→2013年7月25日の「第64回社会保障審議会医療保険部会議事録」に,「単純に言うと,保険会社をもうけさせるためにこの制度を運用しているのかと,疑いたくなるぐらいでございます」(健康保険組合連合会専務理事の白川委員)という発言がある。「産科医療補償制度」には,民間の損保会社が管理する剰余金や保険料の運用益などに不透明な金の流れがあるという問題点の指摘である。
→補足説明である。産科医療補償制度の原資は健康保険料と血税である。産科医療補償制度に加入している産科クリニックなど(病院・診療所は99.8%,助産院は100%が制度に加入)で分娩する妊産婦に対しては,健康保険から出産育児一時金39万円に加えて,制度の保険料分の3万円を上乗せした42万円が給付される。この保険料を徴収し,制度の運営を行っているのが「日本医療機能評価機構」という民間団体(厚生労働省の外廓団体)で,実際に保険金の支払いや保険料の運用などを行っているのは,民間の損害保険会社5社である。年間300億円の保険料が集められ,毎年200億円強の剰余金が発生し,2009年1月の制度発足以来,約1000億円の剰余金が発生しているとのことである。おかしなことに,その剰余金等は,一部で天下り団体と揶揄されている日本医療機能評価機構と損害保険会社の利益として分配される仕組みになっているらしい。これが先の白川委員の発言に符合する。産科医療補償制度そのものに問題はなく,国民生活の安定に寄与している(訴訟件数の減少等)。(筆者)


(参考)
「産科医療補償制度について」(厚生労働省)
お産の「もしも」を支える産科医療保障制度(政府広報オンライン)
12/5 厚生労働省 「健やか親子21」最終評価報告書」(概要 / 本文 ・2013年11月28日,厚生労働省は,終期を迎える「健やか親子21」2001年度~2014年度)について,「「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会」における最終評価報告書を公表した。
・最終報告書によれば,「健やか親子21」は,21世紀の母子保健の主要な取組を提示するビジョンで,「健康日本21」の一翼を担う母子保健に関する国民運動であり,その主要課題74項目のうち,10代の性感染症罹患率の減少や産後うつ病疑いの割合の減少,周産期死亡率の世界最高水準の維持,むし歯のない3歳児の割合80%以上など,約8割において改善が見られたとのことである。
・なお,次期「健やか親子21」(2015年度~2024年度)の計画づくりが,引き続き「「健やか親子21」の最終評価等に関する検討会」で進められている。
<「健やか親子21」の4つの主要課題>
[1] 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進
[2] 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援
[3] 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備
[4] 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減


2010年中間評価での「今後5年間の重点推進項目」>
[1] 思春期の自殺の防止を含む子どもの心の問題への取組の強化
[2] 産婦人科医師,助産師,新生児科医師等の産科医療・周産期医療を担う人材の確保
[3]全出生数に占める低出生体重児の割合の低下に向けた取組の強化
[4] 子どもの虐待防止対策の更なる強化


<最終評価報告書のポイント>
69指標(74項目)について,策定時の数値と直近値とを比較して評価した結果:
・「改善した(目標を達成した)」と「改善した(目標に達していないが改善した)」を合わせて60項目(81.1%)
・「変わらない」は8項目(10.8%),「悪くなっている」は2項目(2.7%),「評価できない」は4項目(5.4%
②この他,地方公共団体や関係団体の取組状況の評価などを行い,今後の課題及び次期計画に向けた提言がされている。

→「健やか親子21」は,21世紀の母子保健の取組の方向性と目標や指標を示し,2001年から開始された母子保健の国民運動計画である。なお,当初は10か年計画であったが,中途で見直され,計画期間が4年延長(2014年まで)された。
→「健やか親子21」の推進の基本理念として,1986年のオタワでのWHO国際会議において提唱された公衆衛生戦略であるヘルスプロモーションを掲げ,それまでの母子保健事業の評価にQOL向上等の視点を取り入れている。
→「健やか親子21」もさることながら,その大元としてのメタボ健診と関係のある「健康日本21」が,2013年度から「健康日本21(第二次)」に全面改訂されていることを,ほとんどの日本国民は知らない。「国民運動」というには認知度が低すぎる。誰の責任か?(筆者)
12/3 厚生労働省 「第12次労働災害防止計画」(パンフレット) ・2013年12月2日,厚生労働省は,2013年2月25日に策定した「第12次労働災害防止計画(2013~2017年度)」のパンフレットを公表した。
・「労働災害防止計画」とは,労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である。
<第12次労働災害防止計画>
概要 / 本文(日本語版) / 本文(英語版)
<第12次労働災害防止計画が目指す社会>
・「誰もが安心して健康に働くことができる社会」

<2013年2月26日記事の再掲>
「2012年の労働災害の動向(速報値)」
→2013年2月15日,労働政策審議会は「第12次労働災害防止計画(案)」を妥当と答申した。
→2013年度は,今後5年間で労働災害減少に向けて重点的に取り組む事項を定めた「第12次労働災害防止計画(2013~2017年度)」の初年度にあたる。計画の全体目標としては,(1)2017年までに,労働災害による死亡者数を15%以上減少(2012年比),(2)2017年までに,労働災害による死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少(2012年比),と設定している。「第11次労働災害防止計画の評価」では,目標の2/3が達成できてない。りっぱな目標を定めても,「未達成でした」と言うだけなら誰にでもできる。まあ,どこかの行政機関のように「統計数値を改ざんする」よりは救われるが・・・。(筆者)

→2013年2月25日に策定し,4月からスタートした計画のパンフレットが今頃の公表でも許される?
「誰もが安心して健康に働くことができる社会を実現する」という崇高な計画への国の本気度が疑われかねない。(筆者)


2/26「2012年の労働災害の動向(速報値)」の記事を参照
11/29 厚生労働省 「赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの対処と理解のために~ 」(動画) ・2013年11月26日,厚生労働省は,「乳幼児揺さぶられ症候群(Shaken Baby Symdrome;SBS)」防止のために,「赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの対処と理解のために~ 」(動画)を公開した。
<厚生労働省の広報文>
●『赤ちゃんの泣きの特徴とその対処法を理解してもらうこと,特に,泣きやませるために激しく揺さぶったり口をふさいだりしてはいけないことを知ってもらうことを目的に,DVD「赤ちゃんが泣きやまない」を制作しました。赤ちゃんをもつ保護者の方のほか,赤ちゃんの面倒をみるすべての方に是非ご覧いただければと思います。』

「赤ちゃんが泣きやまないに関するQ&A」

<日本小児学会>
「赤ちゃんを揺さぶらないで」
(パンフレット)

→「赤ちゃんは泣くのが仕事」で「生後5か月くらいにはおさまる」ことを,親になる前に親や周りの者から教えられているずである。また,赤ちゃんを激しく揺さぶると,脳に傷をつけ,重い障害を残させたり,死亡させたりするので,虐待に当たることを知っているはずである。と言い切るところに問題がある,という認識が必要となる。
→厚生労働省は,虐待のひとつである「乳幼児揺さぶられ症候群」の予防対策として,2013年5月に市町村にDVDを配布し,11月26日に動画を配信した。筆者は,今回の動画を観て,さらに,「児童虐待の視点」からの動画の作成が必要ではないかと思う。
→ところで,児童虐待をテーマにした歌についての最近の話題である。歌詞が過激すぎるという理由で,予定されていた有線放送が見送られることになったという報道があった。2013年10月の日本の文月メイさんの「ママ」(You Tube)である。
ご存知の方も多いと思うがこの機会に,1987年のアメリカのSuzanne Vegaさんの「Luka」(You Tube)も是非聴いていただきたいと思う。 (筆者)


8/28
「子ども虐待対応の手引き(2013年8月改正版)」(概要 / 本文)),7/29子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告要) / 2012年度児童虐待相談対応件数 / 2012年度親権に係る制度見直しの施行状況の記事を参照

(参考)
「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告)」(2013年7月)
「2013年度児童虐待防止対策」(厚生労働省)
「児童虐待防止対策」(厚生労働省)
11/28 厚生労働省 「先進諸国の年金改革の動向」参考資料 ●現在の日本の年金制度改革の到達点を確認する。
【1】2012年8月と11月の国会で成立した年金関連4法(社会保障・税一体改革関連)
法律/概要 項目 施行日
(1)改正国民年金法等 ●2012年8月10日成立
●公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等が目的

施行日の赤字は,消費税増税時と関連
①年金の受給資格期間を現在の25年から10年に短縮する 2015年10月1日
②基礎年金国庫負担1/2を恒久化する年度を2014年度と定める 2014年 4月1日
③短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う 2016年10月1日
④厚生年金,健康保険等につき,産休期間中の保険料免除を行う 2014年4月1日
⑤遺族基礎年金の父子家庭への支給を行う 2014年4月1日
(2)厚生年金保険法等 ●2012年8月10日成立
●被用者年金制度の一元化等を図ることが目的
①厚生年金に公務員及び私学教職員も加入し,2階部分は厚生年金に統一する 2015年10月1日
②共済年金・厚生年金の保険料率(上限18.3%)を統一し,制度の差異を解消する
③共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)は廃止する
④追加費用削減のため、恩給期間に係る給付について27%引き下げる 2013年8月1日
(3)改正国民年金法等 ●2012年11月16日成立
①2012年度・2013年度の基礎年金国庫負担割合を,消費税増税により得られる収入を償還財源とする年金特例公債(つなぎ国債)によ1/2とする 2012年11月26日
②年金額の特例水準(2.5%)について,2013年度から2015年度までの3年間で解消する 2013年10月1日
(4)年金生活者支援給付金の支給に関する法律 ●2012年11月16日成立
①年金受給者のうち,低所得高齢者・障害者等に福祉的な給付を行う 2015年10月1日

【2】2013年8月6日に公表された「社会保障制度改革国民会議報告書」における年金関連の記述
・「年金制度や高齢者医療制度,介護保険制度は,子どもが老親を扶養するという私的扶養を社会化したものであることに十分留意が必要である」
・「年金制度が十分に成熟する以前の世代は,親の私的扶養もしながら,自らの保険料を納めてきたのであり,公的年金の給付と負担だけをみて損得論を議論するのは不適切である」

→日本の年金制度は,「子供が親を私的に扶養すること」を原則として,国がそれを支援する」という,古い家族制度の価値観をもとに設計され,現在これが変更される方向にはない。再度,「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」を通読することを勧めたい。
→現在の年金制度を「持続可能」とするための基本的な方法としては,①年金保険料を増やす,②年金受給額を減らす,③受給開始年齢を遅らせる,以外はない。「能力別導入」や「物価スライド制の廃止」などでは,根本的な解決にはならない。筆者は,政府が適当にごまかしをし,国民もいいようにごまかされながら,大きな変換点を迎えるまでの時間稼ぎをしているのが現状であると考えている。諸外国の状況を把握しておくことは重要である。(筆者)


11/26「国民年金保険料の納付率(2013年9月末現在)」,9/12「2012年 年金制度改正(社会保障・税一体改革関連)」のまとめ),8/6「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」の記事を参照
11/27 厚生労働省 「全国介護保険担当部(局)長会議資料 ~介護保険制度改正の検討状況等について~」 ・2013年11月21日に開催された「全国介護保険担当部(局)長会議~介護保険制度改正の検討状況等について~」の資料が公表された。
<資料の構成>
【1】介護保険制度改正の検討状況
制度改正の検討の背景と検討事項
②地域支援事業の充実と介護予防給付の見直し
在宅医療・介護の連携推進
認知症施策の推進
地域ケア会議の充実
生活支援・介護予防の充実
介護予防給付(訪問介護・通所介護)の見直しと地域支援事業の充実等
介護予防事業の見直し

在宅サービスと施設サービスの見直し
費用負担の公平化
その他
【2】消費税引上げに伴う介護報酬改定
【3】地域包括ケアシステム構築のための市町村支援

→この資料は,社会保障審議会介護保険部会における現時点の検討状況等を説明するために,同部会の資料を中心に作成したものと説明されている。
→介護保険制度見直しのポイントは,①当初,「要支援1・2」は介護保険給付から外し,市町村の事業に移すとしていたが,「市町村に移すのは訪問介護と通所介護だけ」と修正,②当初,特別養護老人ホームへの入所は「要介護3」以上に限るとしていたが,「条件を満たせば要介護1・2にも入所を認める」と修正,③一定所得以上の者は介護保険の利用料を2割に引き上げる,④当初,低所得者でも預貯金や不動産があれば,施設の居住費・食費を補助しないとしていたが,「一人暮らしで1千万円以上の預貯金があれば補助しない」と修正,である。たびたびの方針変更により,改めて厚生労働省の介護保険制度に対する戦略性のなさが理解できた。11月27日の介護保険部会で最終報告案が概ね了承される予定とのことである。
→2013年11月15日に,衆院厚生労働委員会において,社会保障制度見直しの手順などを定めた「プログラム法案」が強行採決され,与党の賛成多数で可決されている。今後は,同法を今国会で成立させた後,上記の見直しのポイントに基づく介護保険法改正案を2014年通常国会に提出する方針である,と報道されている。
→プログラム法案も秘密保護法案も「強行採決」された。自民党政権を選択し,暴走を許したのは国民である。(筆者)
11/26 厚生労働省 「国民年金保険料の納付率(2013年9月末現在)」 ・2013年11月20日,厚生労働省は,2013年9月末現在の「国民年金保険料の納付率」を公表した。
<納付率の推移>
対象期間 納付率 対前年度比
①2013年(4月~8月分) 55.3% +0.9%
②2012年(4月~8月分) 54.4% -

→厚生労働省では,2013年10月11日から社会保障審議会年金部会の「年金保険料の徴収体制強化等に関する専門委員会」で,未納者への徴収対策の強化を検討している。
→「生活保護を受給する高齢者が増えており,将来的なことを考えると,未納そのものが問題だというより,将来の低年金者,無年金者が増えることが問題」という委員からの指摘は重要である。将来,無年金・低年金になる可能性がある者は,厚生労働省の推計で100万人を超えているとされ,その多くが将来には国民の血税で賄われる「生活保護」の対象になる。

→従来から,納付率低下の主たる要因は,現在の年金制度はいずれ破たんするという「不信感」であると言われてきた。それでも,厚生労働省の委員会では,「滞納者への督促や強制徴収」をどうするかということが真剣に検討されている。現在,「強制徴収」の滞納保険料に対する割合は,たったの0.2%だということを知って愕然とした。そのようなことを,どうこねくり回しても効果的な「年金未納対策」とはならないと考えるのは,筆者だけではないと思う。(筆者)

11/25「生活保護の動向(2013年8月分)」の記事を参照
11/25 厚生労働省 「生活保護の動向(2013年8月分)」 ・2013年11月22日,厚生労働省は,「第15回社会保障審議会生活保護基準部会」を開催し,会議資料を公表した。
<2013年8月分の生活保護の動向の概要>
①被保護実人員 :2,159,877人(2011年度:2,067,244人)
②被保護世帯 :1,590,249世帯(2011年度:1,498,375世帯)
③保護率 :1.70% (2011年度:1.62%) / 保護開始人員 :26,213人 / 保護開始世帯数 :19,617世帯 / 申請件数 :19,951件
④保護廃止人員 :22,851人 / 保護廃止世帯数 :17,772世帯

→生活保護制度に関する直近の動向である。
2013年1月18日「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」,第183回通常国会で「「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立(ただし,
「生活保護法改正案」,「生活困窮者自立支援法案」は廃案),2013年8月「生活保護基準額の改定」(生活扶助費を3年かけて最大10%の範囲内で改定),第185回臨時国会で2法案を再提出(「生活保護法改正案」「生活困窮者自立支援法案」),である。
→生活保護の受給者は近年急増しており,特に,稼働能力のある受給者の増加が問題視され,制度改革は喫緊の政策課題となっている。働けるのに仕事がなく生活保護受給者となったものが生活保護受給から抜け出さないケースが多いと言われる。
→筆者は,国民に肝心のところを知らせていないのではないかと勘繰っている。国が最優先でやらなければいけないのは,「国民の不公平感の是正」である。(筆者)
11/22 厚生労働省 「2013年 就労条件総合調査結果」の概況 ・2013年11月21日,厚生労働省は,日本の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的とした「2013年就労条件総合調査(2013年1月1日現在)」の結果を公表した。
<調査結果のポイント>
(1)年次有給休暇の取得状況
①年休の付与日数は18.3日(前年18.3日),そのうち労働者が取得した日数は8.6日(同9.0日)で,取得率は47.1%(同49.3%)
②年休暇の時間単位で取得できる制度がある企業割合は11.2%(同8.8%)
(2)退職給付(一時金・年金)の状況
①退職給付(一時金・年金)制度のある企業の割合は75.5%(2008年83.9%)で,そのうち退職一時金制度がある企業の割合が88.4%(同87.2%),退職年金制度がある企業の割合が34.2%(同44.7%)(どちらも両制度併用を含む)
②勤続35年以上の定年退職者の退職給付額は,「大学卒(管理・事務・技術職)」が2,156万円(同2,491万円),「高校卒(管理・事務・技術職)」が1,965万円(同2,238万円)

→福祉・介護分野の人材確保策とその労働環境改善策の現状が知りたくて,厚生労働省のホームページの階層を辿ってみた。例えば,「ホーム ⇒政策について ⇒分野別の政策一覧 ⇒福祉・介護 ⇒生活保護・福祉一般 ⇒福祉・介護人材確保対策」に行きついた。驚いたことに,「福祉・介護人材確保対策」の更新日は何と「平成21年6月3日」である。このページを見る限り,厚生労働省は,福祉・介護の人材確保対策について,2009年から4年間もメンテナンスする必要がなかったということになる。この程度の情報提供でもスルーさせている方にも問題がある。(筆者)

(参考)
「福祉専門職の現状」
11/21 法務省 「自動車運転死傷行為処罰法」(新法)が成立した

(11/28追記)
「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」
・2013年11月20日,処罰対象の範囲拡大と悪質運転の厳罰化を盛り込んだ「自動車の運転により人を 死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)」が,参院本会議で全会一致で可決し,成立した。公布の日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。
<新法のポイント>
●2011年に栃木県で発生した,てんかん発作をおこしたクレーン車の運転手による複数の児童の死亡事故や,2012年の京都市祇園で発生した運転者のてんかんが関係したと疑われる暴走事故および京都府亀岡市で発生した無免許・居眠り運転で登校中の児童と引率の保護者の列に突っ込み10人が死傷した事故等に対する軽すぎる刑罰に端を発した厳罰化法である。
●従来は,悪質な自動車事故については,刑法上の①「危険運転致死傷罪(最高刑は20年)」と②「自動車運転過失致死傷罪(最高刑は7年懲役)」が適用されていたが,危険運転致死傷罪の適用要件が厳しく,同罪が適用できず,罪の軽い後者を適用せざるを得なかったという問題があった。
●今回,「危険運転致死傷罪」と「自動車運転過失致死傷罪」は刑法典から分離し,「自動車運転死傷行為処罰法」の中で規定され,以下の犯罪類型とされることになった。
(1)「危険運転致死傷罪」における死亡事故① :懲役1年以上20年以下,傷害事故:懲役15年以下に該当する項目
(旧刑法第208条の2に規定)
(2)「危険運転致死傷罪」における死亡事故② :懲役15年以下,傷害事故:懲役12年以下に該当する項目
(新たな罰則)
(3)「過失運転致死傷アルコ-ル等影響発覚免脱罪」 :最高刑懲役12年
(新たな罰則)
(4)「過失運転致死傷罪」
 :最高刑懲役7年(旧刑法第211条の2第2項に「自動車運転過失致死傷罪」として規定)
(5)原則として,「無免許による加重」(新たな罰則)

→「2013年犯罪白書」によれば,刑法犯の検挙人員は,1998年に100万人を超え,1999年から毎年戦後最多を記録し,2004年に128万9,416人を記録した後,2005年から減少に転じて,2012年は93万9,826人であった。検挙人員のうち,「自動車運転過失致死傷等」が69.4%を占めていたことには驚かされる。
→谷垣法務大臣は,新法成立について,「運転手の自覚を促し,抑止効果が十分期待できる」と強調したと報道されているが,楽観的過ぎないかという指摘もある。
→また,危険運転致死傷罪の対象として一定の病気(統合失調症,てんかん,再発性失神,無自覚性の低血糖症,躁うつ病,重度の眠気の症状を呈する睡眠障害の6疾患)が想定されているが(法第3条の2),対案を示さず,「疾患に対する差別を助長し,疾患の早期発見・適切な治療を妨げる」,「交通事故との関係を科学的に明らかにすべきである」という主張に対して,違和感を覚えるのは筆者だけではないと思う。(筆者)
11/20 厚生労働省 「2013年 障害者雇用状況の集計結果」 ・2013年11月19日,厚生労働省は,民間企業や公的機関などにおける「2013年障害者雇用状況(2013年6月1日現在)」の集計結果を公表した。
法定雇用率は,2013年4月1日に改定された。「民間企業」は1.8%→2.0,「国・地方公共団体等」は2.1%→2.3%,「都道府県等の教育委員会」は2.0%→2.2%%,となった。
<集計結果の主なポイント>
区 分 内 容
民間企業 法定雇用率2.0

①雇用障害者数,実雇用率ともに過去最高を更新し,数,率の伸び幅も過去最高である。
雇用障害者数は40万8,947.5人(対前年比7.0%増
実雇用率1.76%(対前年比0.07%増)

法定雇用率達成企業の割合は 42.7%(前年比4.1%減)

公的機関 法定雇用率2.3%(都道府県などの教育委員会は2.2%)
※( )は前年の値
雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。
●国 :雇用障害者数7,371.0人(7,105.0人),実雇用率2.44%(2.31%)
都道府県 :雇用障害者数8,136.0人(7,882.0人),実雇用率2.52%(2.43%)
●市町村 ::雇用障害者数2万4,792.0人(2万3,730.5人),実雇用率2.34%(2.25%)
●教育委員会 :雇用障害者数1万3,581.0人(1万2,677.5人),実雇用率2.01%(1.88%)
独立行政法人など 法定雇用率2.3
※( )は前年の値
雇用障害者数及び実雇用率のいずれも対前年で上回る。
●雇用障害者数8,369.0人(7,647.0人),実雇用率2.27%(2.13%)

→「障害者の雇用義務化」の経緯を概観する。1960年「身体障害者雇用促進法」,1975年「障害者の権利宣言」(国連),1976年「改正身体障害者雇用促進法」による「身体障害者の雇用義務化(1.5%)」,1981年「国際障害者年」,1987年「障害者雇用促進法」(法改正と名称変更)により「知的障害者と精神障害者も適用対象」,1988年「雇用率の引き上げ(1.6%)」,1997年「改正障害者雇用促進法」により「知的障害者の義務化」,1998年「雇用率の引き上げ(1.8%)」,2005年「障害者自立支援法」,2006年「精神障害者も雇用率の対象」」,2012「障害者総合支援法」(自立支援法の名称変更),2013年「雇用率の引き上げ(2.0%)」,2013年の「改正障害者雇用促進法」による「精神障害者の雇用義務化」(2018年4月1日からの施行),である。
→障害者雇用を,法定雇用率で民間に丸投げしている国。障害者は配慮してもられるものだと考えている障害者。障害者にはただ居てもらうだけでいいと思っている多くの企業や精神障害者を多数発生させながら,社会貢献と言って障害者雇用を積極的に進めているブラック企業。「正直,勘弁してよ」と感じている大多数の職場。離職率を考えれば,この先に希望は持てないことは明らかである。
→雇用率制度は中心的制度ではなく,他の施策により補完される場合にのみ有効であるという国際感覚を持つべきである。法定雇用率を強化しても,障害者雇用に対する国民の意識は変わらない。時として,内向し,逆行することもある。筆者は,差別撤廃のアプローチに向けて,法定雇用率・納付金→罰則(罰金)ではなく,障害者雇用→特別の優遇(報償),という考え方に方向転換することはできないものかと夢想している。(筆者)

11/18 厚生労働省 「2013年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」 ・2013年11月14日,厚生労働省は,「2013年賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果を取りまとめ公表した。
・「賃金構造基本統計調査」は,全国の主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を,雇用形態,就業形態,職種,性,年齢,学歴,勤続年数および経験年数別などに,明らかにすることを目的として,毎年7月に実施されている。そのうち今回は,新規学卒者の2013年初任給(6月分)についての集計結果で,対象は10人以上の常用労働者を雇用する民間の事業所のうち,新規学卒者を採用した1万4321事業所を対象としている。
<調査結果のポイント>
(1)学歴別の平均初任給
①大卒の初任給
・男性は20万200円(前年度比0.8%減),女性は19万5,100円(同0.7%減)
②高卒の初任給
・男性は15万8,800円(前年度比0.8%減),女性は15万1,300円(同1.5%減)
(2)産業別の平均初任給
①学歴別の最高産業
・大卒は,男女ともに「情報通信業」で,男性は21万2,200円,女性は21万800円
・高卒は,男女ともに「生活関連サービス業・娯楽業」で,男性17万8,500円,女性は16万1,000円

②学歴別の最低産業
・大卒は,男性は「医療・福祉」18万9,600円,女性は「運輸業・郵便業」18万3,600円
・高卒は,男性は「医療・福祉」14万5,900円,女性は「建設業」14万3,100円

→介護分野において,介護事業所での定昇制度や賃金表の整備状況については,事業所の規模が小さくなると,定昇制度もなく,昇給した人もいない事業所が多くなり,定昇制度がある事業所での賃金表の整備状況では,賃金表がない事業所が約4割ある,というのが現状である。
→2013年8月の「社会保障制度改革国民会議報告書」においては,「地域包括ケアを支えるサービスを確保していくためには,介護職員等の人材確保が必要であり、処遇の改善やキャリアパスの確立などを進めていく必要がある」と明記されている。「風呂屋の釜」。(筆者)


(参考)
「介護人材の確保について」(2013年9月)
11/15 厚生労働省 「2011年度 国民医療費の概況」 ・2013年11月14日,厚生労働省は,「2011年度 国民医療費の概況」を公表した。
項 目 結果の概要
①国民医療費の状況 ・国民医療費=38兆5,850億円(過去最高)
・人口一人当たりの国民医療費=30万1,900円(過去最高)
・国民医療費の国内総生産(GDP)比=8.15%
・国民所得(NI)比=11.13%
②制度区分別 (構成割合)
・公費負担医療給付分=7.2%(前年度比6.0%増)
・医療保険等給付分=47.5%(同2.5%増)
・後期高齢者医療給付分=31.8%(同4.8%増)
・患者等負担分=13.0%(同0.1%減)
・軽減特例措置=0.5%(同3.7%増)
③財源別 (構成割合)
・公費=38.4%(うち国庫26.0%,地方12.4%)
・保険料=48.6%(うち事業主20.2%,被保険者28.4%)
・その他は=13.0%(うち患者負担12.3%)
④診療種類別 (構成割合)
・医科診療医療費=72.1%(うち入院医療費37.3%,入院外医療費34.8%・薬局調剤医療費17.2%
・歯科診療医療費=6.9%
⑤年齢階級別 (構成割合)
・65歳以上=55.6%

(人口一人当たり国民医療費)
・65歳未満=17万4,800円(前年度比3.2%増)
・65歳以上=72万900円(同2.6%増)
⑥傷病分類別費 (構成割合)
・「循環器系の疾患」=20.8%
・「新生物」=13.1%
・「呼吸器系の疾患」=7.8%

→2011年度の国民医療費は,5年連続の過去最高を記録した。厚生労働省は,その主な要因を,「医療技術の高度化と高齢化」と説明している。医療費を含めた社会保障関係費は国の政策的経費の約半分を占め,医療費削減が重要課題となっている。
→現在,政府は,経済諮問会議において,国民医療費を抑制するため,具体的な手法や数値目標を盛り込んだ中長期工程表を作成しようとしている。どうせ,レセプトの電子データ活用,後発薬(ジェネリック医薬品)の促進など根本的な問題を避けた削減案を出すことになると思う。こんなことをしても大した削減にはつながらない。
→2013年9月13日に,健康保険連合会から「2012度高額レセプト上位の概要」が発表された。1か月の医療費が1,000万円以上のものは,2011年度より75件増加し,過去最高の254件であった。最高額の人は1か月で約8,400万円を使っている。気が遠くなるような金額が死亡するまで続くため,医療側には費用面で何のマイナスもないが,国民の負担は増え続ける一方である。少数の患者や回復の見込みのない患者の医療費が国民を不安に陥れているという事実に,いつまでもふたをしていていいはずがない。筆者は,人の命は地球より重いことは分かっているが,どこかで線引きしなければならないと考える。人の命と金について,成熟した国民の議論に基づいた新しい価値観や基準が必要になってきていると思う。臭いものにふたをしていては,少数の難病患者や回復の見込みのないスパゲッティ症候群の高齢者を救うためなら,無制限に税金を使い,足らなくなれば子どもや生活に困っている人たちからもむしり取った消費税で賄っても構わないということになる。きれいごとを言うだけでは済まない。(筆者)
11/14 厚生労働省 「2012年度 都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)」 ・2013年11月11日,厚生労働省は,「障害者虐待防止法」201210月1日から施行されたのを受け,各都道府県等の対応等に関する全国的な状況を明らかにするために,「2012年度 都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応等に関する状況等(調査結果)」を公表した。
<調査結果>
区 分 市区町村等への
相談・通報件数
市区町村等
による虐待判断件数
被虐待者数
養護者による障害者虐待 3,260件 1,311件 1,329人
障害者福祉施設従事者等による障害者虐待 939件 80件 176人
使用者 による障害者虐待 303件
 (参考)
都道府県労働局の対応
虐待判断件数(事業所数) 被虐待者数
133件 194人

→1984年の「宇都宮病院事件」により,日本の精神障害者への人権侵害の実態が国内外から厳しく批判され,これに抗しきれなくなって,1987年の精神衛生法の改正法としての「精神保健法」が成立した。「薬漬け」が指摘される現在の精神科病院において,過去の出来事と言い切れるかどうか。2011年に成立した「障害者虐待防止法」は,虐待の種類を,家族,福祉施設職員,使用者に限定しており,精神科病院での障害者虐待は対象外となっていることを日本国民の多くは知らない。
→あの民主党のあの牧義夫衆議院厚生労働委員長の発議としての議員立法で,2011年にどさくさに紛れて拙速で成立させられた「障害者虐待防止法」は,2012年10月に施行された。肝心要の,学校や病院における虐待をどのように扱うかという検討を,愚かにも先送りした。3年後の法の見直しの際の検討課題として附則に盛り込んだとして,自慢げに談話を出していたことを思い出すと,未だに腹立たしい。養護者,障害者施設,企業などに限定された障害者虐待をカウントし,精緻に分析しても,日本の障害者虐待の実態把握には行きつかないことは容易に想定できる。(筆者)
11/13 内閣府・中小企業庁 「起業・創業を支援し 日本経済を活性化!~新たに生まれる中小企業を強力サポート~」
<政府広報オンラインにおけるの広報文>
『「99.7%」「3人に2人」――。これは日本の企業全体に占める中小企業の数と従業員の割合です。新しい産業や雇用機会を創出したり,地域経済を活性化したりする中小企業は,まさに日本経済の基盤といえる存在であり,現在世界的な大企業の多くも,もともとは町工場などから起業・創業しています。我が国が更なる成長発展をするためには,女性や若者などを中心に起業家たちがどれだけ活躍できるかにかかっています。そこで,中小企業の重要性や,それを取り巻く環境,そして起業・創業にチャレンジする人たちに向けた様々な支援策をご紹介します。』

(構成)
(1)中小企業が果たしている役割は?
~日本経済の基盤であり,成長発展を支える原動力
(2)日本の起業・創業の現状は?
~英米に比べて低い開業率。起業時はきめ細やかな支援が必要
(3)企業・創業支援
①「認定支援機関」

~地域にある身近な相談窓口として,起業の計画策定から実行まで専門的にサポート
「ミラサポ」
~中小企業の未来をサポートするポータルサイトを通じて,起業・創業を後押し
③「様々な資金サポートメニュー」
~国や政府系金融機関などが多様な支援メニューを用意(日本公庫信用保証協会中小機構

(関連リンク)
経済産業省(中小企業庁)
厚生労働省の創業支援

→1963年に制定された「中小企業基本法」が1999年に全面改正され,これを契機に起業や創業が政策的に推進されてきた。法律ではないが,中小企業政策に関する綱領ともいうべき「中小企業憲章」が2010年に閣議決定された。2012年に,これまでの中小企業政策を見直す,「“日本の未来”応援会議~小さな企業が日本を変える~」(“ちいさな企業”未来会議)が開催され,報告書が取りまとめられた。
→福祉・介護の分野では,ソーシャル・ビジネスの担い手としての中小企業が注目されている。(筆者)
11/12 内閣府 「北方領土問題に関する特別世論調査(2013年10月)」の概要 ・2013年11月7日,内閣府は,ロシアによる不法占拠が続いているが,日本固有の領土である「北方領土」について,2013年10月に実施した「北方領土問題に関する特別世論調査」の結果を発表した。
領土問題に関する日本政府の公式見解
北方領土問題 北方領土は,ロシアによる不法占拠が続いているが,日本固有の領土である。
尖閣諸島問題 尖閣諸島は,日本が有効に支配している日本固有の領土で,領有権の問題はそもそも存在しない。
 「尖閣諸島に関する特別世論調査」(2013年7月実施)
竹島問題 竹島は,韓国による不法占拠が続いているが,日本固有の領土である。
 →「竹島に関する特別世論調査」(2013年6月実施)

<8月31日記事の再掲>
「尖閣諸島に関する特別世論調査(2013年7月)」の概要
→繰り返し述べているが,筆者は,反日政策を取っている,一党独裁国家や分断国家については興味がないので何のコメントもないが,どの国であろうが,日本の領土への不法・不当な干渉には厳格に対処すべきだと考える。
→調査結果では,尖閣諸島を「知っていた」は91.1%であったが,このうち知っていたことを複数回答で聞いたところ「日本が有効支配し領有権問題は存在しない」を挙げたのは48.0%であった。6月に実施した「竹島に関する特別世論調査の結果」と同様,このような状況にしたのは政府の怠慢によるものである。内閣官房は「関係省庁と連携して広報,啓発活動に取り組みたい」と報道されているが,現に日本の領土が侵されているのに悠長なことを言っている場合かと思う。(筆者)


<8月2日記事の再掲>
「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要
→筆者は,従来から,韓国についてはまったく興味がないので何のコメントもない。ただ,「竹島が歴史的にも国際法上も日本固有の領土である」と答えた人が60.7%にとどまっていることは,政府の怠慢によるものであると考える。竹島に限らず,日本の領土に関する日本政府の公式見解は,キチンと繰り返し国民に伝え続けるべきである。(筆者)

→調査結果では,北方領土問題について「聞いたことがあり,問題の内容も知っている」と答えた人は「ある程度知っている」を含めて81.5%(2008年比2.3%増)であった。しかし,「北方領土返還要求運動」について「知っている」「ある程度知っている」と回答したのは合わせて51.3%で(同4.9%増)であった。
→また,返還要求運動に「参加したくない」と回答した人は59.5%(同0.1%増)で,その理由を複数回答式で聞いたところ,「時間や労力の負担が大きいから」(45.8%),「活動の内容が分からないから」(34.2%)であった。元島民らの高齢化と若い世代の運動参加が課題となっている。参加を促す方法として有効な方法を複数回答式で聞いたところ,「学校教育の充実」が57.8%の最多で,「テレビや新聞」による広報活動が52.4%であった。やるべき者が率先してやらなければこういう結果になる。
→領土問題について,国民に対し正しい認識を問いかけることを怠ってきたのは自民党および自民党政権である。2013年9月8日,北方領土問題に関して,自民党の石破幹事長は,「安倍政権の間に前進させ,めどを付けていかないといけない」と発言したとのことである。期待してみたい。(筆者)


8/31「尖閣諸島に関する特別世論調査(2013年7月)」の概要8/2「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要の記事を参照
11/8 厚生労働省 「一般用医薬品のインターネット販売について」(田村厚生労働大臣の会見) ・2013年11月6日の会見において,田村厚生労働大臣は,市販薬(一般用医薬品)の99.8%の品目のインターネット販売を解禁する一方,安全性に懸念がある28品目は販売を禁止し,厳しい制限を設ける方針を発表した。
・11月7日,厚生労働省は,薬事法改正案を自民党厚生労働部会に示し,了承されたとの報道があった。

→2013年1月11日,「医薬品のインターネット販売訴訟」において,最高裁は厚生労働省の上告を棄却した。厚生労働省の敗訴が確定した。同日,田村厚生労働大臣は,判決における談話を発表し,1月17日には判決を受けた対応について都道府県等に通知した。その後,厚生労働省は,「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置し,2月14日から5月31日まで全11回,18名の構成員により約30時間をかけて検討したが,最後まで,ネット推進派,ネット慎重派の意見はかみ合わなかった。6月13日の報告書は両論併記で公表され,決着は政治の場に委ねられることとなった。なお,6月14日には,「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が閣議決定され,「一般用医薬品のインターネット販売」が盛り込まれている。このような経過をたどった今回の会見である。
→今回のドタバタで,「インターネット社会」への急激な変化に,今の行政では適切に対処できないことが分かった。筆者は,全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかり氏の「消費者の薬についての知識が不十分な中で,時間や年齢を問わず医薬品にアクセスできる環境は,利便性と引き替えに消費者を不用意な副作用リスクにさらしかねない」との検討会での証言は無視すべきではないと考える。
→最後に,安倍内閣の産業競争力会議において,民間委員である楽天の三木谷氏の定見のなさは知っていた。えらそうに「委員を辞任する」とケツをまくった翌日に悪事が判明して謝罪しなければならないような不確実なIT企業の代表者ごときに,総理大臣がなめられてもらっては日本国民として承服しかねる。(筆者)
11/6 厚生労働省 「発達障害者の就労支援」 <「発達障害者就労支援」の一覧>
対象 区 分 項 目
発達障害者 (1)『すぐにでも就職したい』『具体的な就職先を紹介して欲しい』人 ハローワークにおける職業相談・職業紹介
障害者試行雇用(トライアル雇用)事業の推進
(2)『じっくり相談にのってほしい』『少しずつ就職に向けた準備を進めていきたい』人 若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム
地域障害者職業センターにおける職業リハビリテーション
職業能力開発関係
(3)『職場定着のための支援をしてほしい』『就職後も相談にのってほしい』人 ジョブコーチ支援
障害者就業・生活支援センター事業の拡充
支援者・事業主 (1)助成金制度 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金
(2)意識啓発・セミナー 発達障害者の就労支援者育成事業
研究報告 発達障害のある人の雇用管理マニュアル(2006年3月)
「発達障害者を理解するために~支援者のためのQ&A~」(2005年3月)
発達障害者に対する職業リハビリテーション支援技法の開発

→「発達障害者支援法」は,2005年4月に施行された。発達障害を早期に発見し,状況に応じて適切に発達支援,就労支援,地域における生活支援及び家族に対する支援を行うことが,国及び地方公共団体の責務とされた。この法律は,理念を定めた法律であり,その履行に関しての罰則等はない。発達障害者支援法施行8年経過し,「発達障害」という言葉は,国民の間に知られるようになってきたが,正しい理解が未だ不十分であると言われている。
→それを裏付ける衝撃的な裁判があった。2012年7月30日,大阪地裁が,アスペルガー症候群が犯した殺人事件に,検察求刑16年を上回る懲役20年の判決を下した。裁判長は「未だ充分な反省にいたっていない」とし,「刑務所内で内省を深めさせる必要がある」とした。しかも,この裁判は,一般市民が参加した「裁判員裁判」であった。判決後,『現在の医学的立場で見ると,弁護人も裁判長も正しい発達障害について理解してくれていないと考えられます』と日本発達障害ネットワーク理事長の市川宏伸氏がコメントされていた。(筆者)
11/2 厚生労働省 「2013年度 児童虐待防止推進月間の取組み」
~「さしのべた その手がこどもの 命綱」~
厚生労働省では,毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ,集中的な広報・啓発を実施している。
<2013年度の主な取組み>
「児童虐待防止推進月間」標語の決定・公表
・「さしのべた その手がこどもの 命綱」に厚生労働大臣表彰を授与
②ポスター・リーフレットの作成・全国配布
都道府県,市町村,学校,警察,その他関係機関,関係団体などに幅広く配布し,啓発に活用
③児童相談所全国共通ダイヤル紹介しおりの作成・全国配布
児童相談所全国共通ダイヤルを普及させるためのしおりを作成し,地方自治体や関係団体を通して全国配布
「子どもの虐待防止推進全国フォーラムinおおいた」の開催
政府広報などの各種広報の実施

新聞突き出し広告,ラジオ番組,インターネットテキスト広告 ほか
学生による「オレンジリボン運動」の展開
厚生労働省から大学などへ呼びかけ,学生の創意工夫による「オレンジリボン運動」を実施(順次実施中。100校以上が協力)
地方自治体・民間団体による「オレンジリボンキャンペーン」など各種広報・啓発の取り組みの展開
・児童虐待防止推進月間に併せ、地方自治体や民間団体でもさまざまな取り組みを実施

→厚生労働省は,児童虐待の防止に向け,①児童虐待の発生予防,②早期発見・早期対応,③子どもの保護・支援,保護者支援の取組を進めていると説明している。厚生労働省の「児童虐待に関する法令・指針等一覧」を見れば,制度改正や関係機関の体制強化などを図ってきたことは理解できる。
→しかし,法改正もマニュアルも啓発活動も「虐待防止」には,まったく機能していないという現実を直視すべきである。相変わらず,児童虐待の多くの有識者は,「アホの一つ覚え」のように,児童相談所と市町村の体制の脆弱さを最大の問題点として指摘している。「児童虐待問題」を「児童の問題」として矮小化しているところに問題が存在すると思う。筆者は,「日本人の養育観」に根本的な問題があると思っている。民法の懲戒権に基づく「不適切な養育(マルトリートメント)」を議論しない限り,「日本における児童虐待防止」はできないと考える。つまり,日本人のひずんだ子育て観の実態把握をせずに,見当違いの対策を立てているのが現状であるように思う。もちろん,早期に,民法の懲戒権は廃止すべきだと考える。
→近時,社会問題化している「食品偽装」に関して,有名ホテルのレストランがメニューの偽装を誤表示と真顔で真剣に説明しているのを見ると,虐待をしつけと言い張る「確信犯」の両親とダブる。そういう連中が,「おもてなしのこころ」や「心のこもった」という言葉を口にする。今後,有名レストラン業界の身勝手な常識の実態把握をしていくと,恐ろしい現実が現れてくるように思う。(筆者)
11/1 厚生労働省 「医療・介護サービス提供体制改革推進本部について」 ・2013年10月11日,厚生労働省は,より良い地域包括ケアシステム(医療,介護,住まい,予防,生活支援が身近な地域で包括的に確保される体制)の構築に向けて,医療や介護に関する社会保障審議会の進捗状況などを省内で共有,部局横断的な調整を行う場として活用するために,厚生労働省に「医療・介護サービス提供体制改革推進本部」を設置した。
・本部長には田村厚生労働大臣が就任し,土屋副大臣や赤石政務官,村木事務次官などが構成メンバーとなる。

→2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」において,医療界簿分野に関して,①医療・介護サービス提供体制,②医療保険制度,③介護保険制度の3つについてそれぞれに改革案が示された。10月15日,厚生労働省は,社会保障制度の改革の工程を盛り込んだ「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案(プログラム法案)」を第185回臨時国会に提出した。それぞれの改革に必要な法案は,医療サービスの提供体制,介護保険制度,難病対策などは2014年通常国会に,医療保険制度は2015年通常国会に提出することを目指すとされている。これを受けての,厚生労働省の「医療・介護サービス提供体制改革推進本部」設置である。(筆者)

10/18「第185回臨時国会への厚生労働省の提出法案(10月17日時点)」)8/6「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」,7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)の記事を参照
10/31 厚生労働省 「高年齢者の雇用状況(2013年6月1日現在)」 ・2013年10月30日,厚生労働省は,「高齢者雇用安定法」に基づいて,高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況など,2013年6月1日現在の「高年齢者の雇用状況」の集計結果を公表した。
・2013年4月1日施行の「改正高年齢者雇用安定法」から,初めての結果公表である。なお,この集計結果では,従業員31人~300人規模を「中小企業」,301人以上規模を「大企業」としている。
<集計結果の主なポイント>
(1)高年齢者雇用確保措置の実施状況は92.3%
・中小企業:91.9%,大企業:95.6%
(2)希望者全員が65歳以上まで働ける企業は大幅増加
・希望者全員が65歳以上まで働ける企業:66.5%,70歳以上まで働ける企業:18.2%
(3)定年到達者に占める継続雇用者は76.5%
・継続雇用を希望しない定年退職者:22.3%,継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者:1.2%

改正高齢者雇用安定法のポイント>
この改正の最大のポイントは,「60歳の定年後も原則として希望者全員を雇用することを企業に義務付けるものであり,定年の65歳への引上げを義務付けるものではない」ということである。
①継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
②継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
③義務違反の企業に対する公表規定の導入
④高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定
⑤施行期日 : 2013年4月1日

新旧対照表

→1971年に制定されていた法律が,1986年に「高年齢者雇用安定法」に改称され,1986年10月1日に施行された。その後は,その場しのぎの高齢者雇用施策によって法改正が繰り返されてきた。2013年4月1日施行の法改正は,厚生年金の受給開始年齢が引き上げられるのに対応し,定年を迎えた後に年金も給料も受け取れない「空白期間」が発生するのを防ぐことを狙いとしている。
→高齢者の中には年金支給開始年齢の65歳まで雇用を維持する必要のない者も大勢いる。そのようなことはお構いもなしに,希望する労働者全員を継続雇用制度の対象とすることが義務付けられた。国は,年金財政の破たんの責任にはふれさせないように,年金の不足分を企業の給与で肩代わりさせようとしている。「少子高齢社会」といいながら,高齢者に軸足を置きすぎたいびつな雇用政策は,いかなる言い訳をつけても若年者雇用の悪化につながる。2011年の経団連の「人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」において,希望者全員の65歳までの継続雇用の義務付けへの対応として,「若年者の採用数の縮減」と回答していた企業が約4割あった。これが企業の本音である。
→なぜこのような高齢者優遇施策がまかり通るかの答えは,選挙における高齢者の投票率の高さ見れば理解できる。ちなみに,2013年7月21日に行われた「参議院選挙」での「第23回参議院議員通常選挙における年齢別投票状況」を見ると,全体で54.13%だった投票率に対して,20代前半の投票率31.18%,70代前半の投票率70.94%で,男女別では,50~54歳以下の年齢層では女性が高く,55~59歳以上の年齢層では男性が高くなっているという結果であった。どの世代に受けがいい政策が,これまで進められようとしてきたかの説明は不要である。「若年者の身から出たさび」は,言い過ぎではない。(筆者)
10/30 厚生労働省 「2012年度 福祉行政報告例の概況」 ・2013年10月29日,厚生労働省は,「2012年度 福祉行政報告例の概況」を公表した。
<結果のポイント>
(1)身体障害者福祉関係
・2012度末現在の身体障害者手帳交付台帳登載数は5,231,570人
(前年度比0.5%増)
(2)知的障害者福祉関係
・2012年度末現在の療育手帳交付台帳登載数は908,988人
(前年度比3.5%増)
(3)障害者自立支援関係
・2012年度中の身体障害者・児の補装具費の支給状況は,購入決定件数が163,378件で,修理決定件数が122,507 件で,種類別にみると,購入は「補聴器」が45,659 件,修理は「車いす」が42,388 件と最多である。
(4)婦人保護関係
・2012年度中の婦人相談員及び婦人相談所における相談件数は302,197件(前年度比4.8%増)
で,相談の経路別では,「本人自身」からの相談の受付件数は228,766件で,(前年度比4.2%増)である。
(5)老人福祉関係関係
①老人ホームの施設数・定員
・老人ホーム(有料老人ホームは除く)の施設数は10,779施設で(前年度比5.0%増),定員は664,971人(前年に比4.0%増)である。
②老人クラブ数・会員数
・2012年度末現在の老人クラブ数は110,701クラブ(前年度比1.5%減),会員数は6,499,958人で、前年度比2.9%減)である。
(6)民生委員関係
①民生委員数
・2012年度末現在の民生委員数(児童委員を兼務)は230,199人(前年度比0.3%増)
である。
②民生委員の活動状況
・2012年度中に民生委員が処理した相談・支援件数は7,172,257件(前年度比0.9%増)である。
(7)社会福祉法人関係
・2012年度末現在の社会福祉法人数は19,407法人(前年度比0.8%増)である。
(8)戦傷病者特別援護関係
・2012度末現在の戦傷病者手帳交付台帳登載数は17,651人(前年度比(17.6%減)である。
(9)児童福祉関係
①児童相談所における相談の種類
・2012年度中に児童相談所が対応した相談件数は384,261件で,相談の種類別では,「障害相談」が45.6%,「養護相談」が30.4%,「育成相談」が13.6%である。「養護相談」の構成割合は年々増加している。
②児童相談所における児童虐待相談の対応件数
・2012年度中に児童相談所が対応した養護相談のうち児童虐待相談の対応件数は66,701件(前年度比11.3%増)である。
・主な虐待者別に構成割合では,「実母」が57.3%,「実父」29.0%である。

10/25「2012年度衛生行政報告例の概況」の記事を参照
10/28 厚生労働省 「薬物の乱用は,あなたとあなたの周りの社会をダメにします!」(2013年10月1日現在) ・2013年10月15日,厚生労働省は,一般啓発用パンフレットとして,「薬物の乱用は,あなたとあなたの周りの社会をダメにします!(2013年10月1日現在)」を公表した。

(最近の行政の動向)
・2013年8月7日,「薬物乱用対策推進会議」(内閣府)において,「第四次薬物乱用防止五か年戦略」が決定された。
・2013年9月27日,「薬物乱用対策推進地方本部全国会議」(内閣府)が開催され,「各省庁の取組みについて」,以下の資料が公表されている。

省 庁 取組内容 (2013年9月27日現在)
①内閣府 「最近の薬物情勢について」
「薬物乱用対策HP」
②警察庁 「最近の薬物情勢について」
③法務省 「薬物事犯の第一審裁判結果の推移」
④財務省 財務省・税関の取組状況」(1 / 2 / 3 / 4
⑤文部科学省 「薬物乱用防止教育に関する文部科学省の取組」
⑥厚生労働省 「薬物乱用防止対策」
「薬物乱用防止に関する情報HP」
⑦海上保安庁 「海上保安庁の薬物水際対策について」

→現在,厚生労働省では,「麻薬・覚醒剤乱用防止運動」(10月1日から11月30日)を実施している。
→もともと,日本では,薬物の種類ごとに異なった規正法(麻薬及び向精神薬取締法,大麻取締法,あへん法,覚せい剤取締法,国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等に関する法律)が定められているため,わかりにくい。さらに,管轄する関係省庁・機関も多岐にわたり,探求する学術分野も広範囲(精神医学,心理学,社会学など)である。せめて,一般啓発用のパンフレットは,簡潔,分かりやすさを追及してほしい。(筆者)
10/25 厚生労働省 「2012年度衛生行政報告例の概況」 ・2013年10月24日,厚生労働省は,「2012年度衛生行政報告例の概況」を公表した。
<報告例の構成>
(1)精神保健福祉関係
①精神障害者申請通報届出数
・「申請通報届出数」 :21,064件
・「診察を受けた者数」 :9,077人
②入院形態別患者数
・「措置入院患者数」 :1,531人
・「医療保護入院届出数」 :209,547件
③精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数
・695,699人
④精神保健福祉センターにおける相談延人員
・相談延人員 :145,124人
・相談内容 :「社会復帰」(46.3%),「ひきこ0.81.6%)
※「ひきこもり」とは,仕事や学校に行かず,かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに,6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態にある7歳から49歳までの者をいう。

(2)栄養関係
(3)生活衛生関係
(4)食品衛生関係
(5)薬事関係
(6)母体保護関係
(7)特定疾患(難病)関係

2012年度の手帳保持人数は695,699人(1級:101,758人,2級:430,516人,3級:163,425人)で,2008年度からの4年間で44%も増加している(482,905人→695,699人)。「何とかしなければ大変なことになる!」レベルの話である。2018年4月には,障害者法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられ,対症療法的な法定雇用率の引き上げも想定されている。激増しているうつ病などの職場のメンタルヘルスにおいても,完治した人にお目にかかったことがないという不可思議な日本の精神科治療に疑問を持たなければどうしようもない。(筆者)
10/23 内閣府 「臓器移植に関する世論調査(2013年8月調査)」の概要 ・2013年10月19日,内閣府は,2013年8月に実施した「臓器移植に関する世論調査」の結果を公表した。
<調査結果のポイント>
●家族が脳死と判断され,臓器提供の意思を書面で残していた場合,その意思を「尊重するorたぶん尊重する」が87%で,「尊重しないorたぶん尊重しない」が8%であった。
●2009年の「改正臓器移植法」により,本人の意思表示がなくても家族の承諾があれば臓器を提供できるようになったが,脳死と判定された家族の臓器提供を本人の意思表示がなくても「承諾する」が39%で,「承諾しない」が50%であった。

●意思表示カードや保険証,免許証の記入欄などに,臓器提供に関する意思表示をしている人は12.6%であった。

→「厚生労働省は,臓器提供をするかどうか,生前に意思表示しておく制度をより知ってもらえるよう啓発活動を強化したい,と話しています」とNHKのテレビニュースが報道していた。2010年施行の「改正臓器移植法」から初めての調査で,厚生労働省のやりっぱなし,放ったらかし,が露呈した。「提供する,しないに関わらず,意思表示はしてもらいたい」という上から目線では,国民の理解は進まない。(筆者)

10/8「命をつなぐ骨髄バンク ~あなたのドナー登録を待っている人がいます~」の記事を参照
10/22 内閣府・法務省 「HIV・ハンセン病に対する偏見・差別をなくそう」 ・2013年10月21日,内閣府は,政府広報オンラインにおいて,「HIV・ハンセン病に対する偏見・差別をなくそう」を公開した。
<政府の広報文>
『私たちはだれでも,自由に,人間らしく生きる権利「人権」を持っています。しかし,HIV感染者やハンセン病の患者・元患者の方々は,誤った知識や偏見などから人権が侵害されてしまうことがあります。偏見・差別をなくすためには,一人一人がHIVやハンセン病などに対する正しい知識を持ち,人権を尊重する心を持つことが大切です。』
(項目)
①HIVやハンセン病を理由とした人権侵害が起こっています
②ハンセン病の悲しい歴史を知っていますか
③今なお残るハンセン病への偏見・差別をなくしていくために
④HIV/エイズに対する誤解や偏見
⑤一人一人の心に「レッドリボン」を

→現在,HIVやハンセン病は,治療が可能な病気であるが,誤った知識により,HIV感染者やハンセン病の患者・元患者に対する偏見や差別が,いまだに解消されていない状況にある,と説明されている。
→HIVの感染経路は,性的接触,血液感染,母子感染の3つに限られ,現在では治療薬が次々と開発され,HIVの感染を早期に発見し,早期治療を行うことで,エイズの発症を抑えることができるようになっており,HIVに感染しても,適切な治療を受けることで,社会生活を続けていくことができる病気となっている。また,ハンセン病のらい菌は,感染力が非常に弱く,たとえ感染しても発病することはまれであり,1940年代以降は,治療法が確立され,早期に発見し,適切な治療を行えば,治すことができる病気となっている。
→「人権の視点」からの広報活動が不足しているように思われる。(筆者)

→●6/3
「HIV検査普及週間~ストップエイズ!~」(6月1日~6月7日)の記事を参照
10/21 総務省 「東京オリンピック時(1964年)と現在(2012年)の日本の状況の比較」 ・2013年10月16日,総務省統計局は,2020年に東京オリンピックが開催されることが決定したことを踏まえ,前回東京オリンピックが開催された時(1964年)と,現在(2012年)の日本の状況について,主要な統計指標を比較した表を作成し,「東京オリンピック時(1964年)と現在(2012年)の日本の状況」を公表した。

→1960年に策定された池田内閣の所得倍増計画の4年後に開催されたのが,1964年の東京オリンピックである。当時の日本のおかれた状況と現在の日本の状況を単純に統計で比較しても何の意味もない。もし,意味があるとすれば,1964年の東京オリンピック終了後に,日本が不況に陥った経験を思い起こし,2020年後への備えをすることことであると思う。
→日本の財政再建の足かせになることが分かりきっている「福島第一原発」について,世界に向けた原発に関する安倍首相の大ウソが一時的に見逃されていても,早晩,化けの皮は剥がれ,経済復興優先で原発汚染水処理問題を後回したことにより,世界中から厳しく非難される事態に陥ることは想像に難くない。IOC総会での安倍首相の愚行を,諌めないなかったのは日本のマスメディアだけではなく,日本人の多くがそうであった。このままでは,真実を平気で捻じ曲げる「愚かな国民」と言われかねない。2020年の東京オリンピック開催決定による,目先の景気でごまかせても,肝心要の財政再建の失敗が明らかになることは避けられない。すでに,安倍首相の稚拙なマジックは見破られつつある。筆者は,2020年の東京オリンピックの終了後には,原発の処理における国際的な信用失墜とともに,日本の評価は地に落ちるのではないかと妄想している。
→さらに,妄想を続ける。近時の小泉元首相の「脱原発」発言における,「ピンチをチャンスに変える方針を決めるのが,政治の仕事なんです」との言葉が,日本の未来への光になるのではないかと思い始めた。民主党の野田前首相の「原発事故収束宣言」に始まり,安倍首相の「原発汚染水はコントロール下にある」という「愚かな日本のリーダー」の言動によって,日本が破滅の道を歩んでいるのだと思う。しかし,安倍首相には,まだやり直せるチャンスがあると思う。今後,政治再編という生臭い話は別にして,安倍首相が先導して,小泉元首相の「脱原発」の動きに相乗りし,国民世論を形成して,「脱原発」を日本の政治姿勢として世界に発信し,同意を得ることで,日本が生き残れるのではないかと思えてきた。ひょっとすると,小泉親子が日本の救世主になるのでは・・・。なんてな。(筆者)

●9/10「真っ赤なウソをついた安倍首相」(2013年9月8日IOC総会のスピーチで))の記事を参照
10/18 厚生労働省 ■「第185回臨時国会への厚生労働省の提出法案(10月17日時点)」 ・第185回臨時国会に厚生労働省が提出した法案は,10月17日時点では,以下の通りである。
法案名 内容 提出
社会保障制度改革プログラム法案 ・社会保障制度改革の項目や道筋を定めたプログラム法案
・今回の社会保障改革は,消費税率を10%に引き上げ,社会保障制度を改革するという2012年の自民・公明・民主3党合意が出発点となっている。
・個別テーマごとの関連法案は,2014年1月の第186回通常国会以降,順次提出される。
10/15
生活保護法改正案 ・第183回通常国会で廃案となったものの再提案(施行期日等で一部修正あり) 10/17
生活困窮者自立支援法案 ・第183回通常国会で廃案となったものの再提案(修正なし) 10/17

8/6「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」,7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)の記事を参照
10/17 内閣府・厚生労働省 「薬と健康の週間(10/17~10/23)」
~知っておきたい クスリのリスクと,正しい使い方~
・医薬品及び薬剤師等の専門家の役割に関する正しい認識を広く国民に浸透させることにより,国民の保健衛生の維持向上に寄与することを目的として,「薬と健康の週間」(2013年10月17日~23日)が実施される。

→3福祉士国家試験用の知識として,左記の政府オンラインの記事は重要なので,通読することを勧める。
→「薬は毒である」,「毒をもって毒を制する」が,いつの間にか,薬と毒物は全く別物とされ,「薬は安全,毒物は危険」とするのが一般常識となってしまっている。一体,誰に毒されたのであろうか。
→2013年5月に報道された「降圧剤ディオバンを使った臨床研究のデータ操作問題」で,2013年10月8日に,厚生労働省は,「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 中間まとめ」を公表した。データ操作に関し,元社員,大学側ともに否定し,ノバルティス社の関与を裏付けられず,まるで「笑えないお笑い番組」のような報告であった。臨床研究をした5大学への奨学寄付金は,2002年以降で総額11億円に上っていたということからも,素人目に見ても,製薬会社に毒された研究だったということは明白である。今後,厚生労働省が,薬事法に基づく立ち入り検査をし,厚生労働大臣が大仰なパフォーマンスをしても,真相究明のために事態が大きく進展するとは思えない。筆者は,真相はやぶの中のままにして,中間報告程度で幕引きされると考えている。薬の利権に毒されたものが,ディオバンの服用者4,000万人の儲けをふいにするわけがないし,こんなのは,氷山の一角であることぐらい容易に想像がつく。(筆者)


(参考)
「おくすりe情報」(厚生労働省)
10/16 首相官邸 「第185回臨時国会」における安倍首相の所信表明演説 ・2013年10月15日,第185回臨時国会が召集された(会期:10/15~12/6の53日間)。安倍首相は,衆参両院本会議で所信表明演説を行い,今国会を「成長戦略実行国会」と位置付け,経済再生と財政再建,社会保障改革を同時に達成するとした。
・代表質問は10月16日・17日に行われ,法案審議入りは,11月上旬と見られている。特別委員会での審議が決まっている国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案・特定秘密保護法案や,国家公務員制度改革関連法案,社会保障改革プログラム法案,産業競争力強化法案,国家戦略特区関連法案,国民投票法改正案などの重要法案を含む政府提出法案などの審議が,2013年12月6日の会期末に向けて行われる。なお,臨時国会は2回まで延長することができるとされている。

→今臨時国会における衆参両院の勢力関係は次の通りであり,「衆参のねじれ」は解消され,「国会の空転」はなくなるが,法案が「衆参横流し」で機械的に成立することが多くなると見られている。
●衆議院 : 自民294,民主・無所属クラブ56,日本維新の会53,公明31,みんな17.共産8,生活7,社民・市民連合2,無所属12
●参議院 : 
自民114,民主・新緑風会58,公明20,みんな18,共産11,日本維新の会9,社民・護憲連合3,新党改革・無所属の会3,生活2,無所属4
→6月26日の第183回通常国会の閉会で,閣法のうち,厚生労働省提出分の重要2法案(不正受給事件の増加を受け,罰則の引き上げや福祉事務所の調査権限の拡大を盛り込んだ「生活保護法改正案」,失業者らの就労・自立を支援する「生活困窮者自立支援法案」)が廃案となったため,厚生労働省は,今臨時国会で再提出・成立を目指すとされている。
→会期末(12月6日)以後の政治日程としては,12月中旬に「2014年度税制改正大綱」が決定され,12月下旬に「2013年度補正予算案」および「2014年度予算案」が閣議決定され,2014年1月に「2014年通常国会」が召集される予定とされている。(
筆者)

7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)の記事を参照
10/13 厚生労働省 「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案(中間まとめ)」 ・2013年10月11日,厚生労働省は,第183回国会で成立した「改正精神保健福祉法」により新たに策定することとされた「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」について,2013年7月より設置された「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」における指針案の中間まとめを公表した。
・今後は,2013年10月15日の社会保障審議会障害者部会に報告され,2013年12月を目処とする最終的な取りまとめに向け,保健サービスや福祉サービス,多職種連携などのテーマについて議論が行われるとされている。


7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)の記事を参照
10/11 内閣府 「犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)」について ・2013年10月4日,内閣府は,公募していた「2013年度犯罪被害者等に関する標語」を『支える手 寄り添う心 あなたから』に,「犯罪被害者等支援シンボルマークの愛称」を『ギュッとちゃん』に決定したこと,および「犯罪被害者週間の広報啓発事業の開催について」を発表した。
・「犯罪被害者週間」は,2004年に成立した「犯罪被害者等基本法」において,法の成立日である12月1日以前の1週間(11月25日から12月1日まで)とすることが定められ,犯罪被害者等が置かれている状況や犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について,国民の理解を深めることを目的としている。

→最近の東京・三鷹の女子高生刺殺事件において,マスメディアによる未成年者の犯罪被害者の顔写真付きの実名報道があり,その後は被害者遺族の心情を無視した興味本位の節操のないプライバシー報道が続いており,さらに,それを根拠とした一般人によるインターネット上での犯罪被害者のプライバシーに関する画像等の拡散が起こっている。筆者は,今回のように死亡している未成年の犯罪被害者においても,顔写真付きの実名報道をすることに疑問を持つ。一方,未成年の犯罪加害者については,少年法の要請や更生の可能性があるという理由で,一般的には顔写真付きの実名報道はなされない。ジャーナリズムとしての小難しい言い分はあるだろうが,今回のケースでは,当初から,未成年の死亡した犯罪被害者やその家族に哀れみや思いやりの情をかけてあげて,顔写真なしの匿名報道でよかったのではないかと思うし,今からでも遅くはないのではないか。未成年の死者を貶めて何が面白い?(筆者)

(参考)
「2013年版 犯罪被害者白書」
10/10 厚生労働省 ブルッキングス研究所における村木厚子厚生労働事務次官の基調講演「安倍政権における女性活躍推進策について」 ・2013年9月25日,米国ワシントンDCにあるブルッキングス研究所(The Brookings Institution)で開催された「アベノミクスからウーマノミクスへ:働く女性と日本の経済復興」(From Abenomics to Womenomics: Working Women and Japan's Economic Revival)」と題するセミナーで,村木厚子厚生労働事務次官が基調講演を行い,基調講演の内容と用いたスライド資料が公表された
「フォトレポート」

→2013年6月28日,巨大省庁である厚生労働省において,わずか9か月の就任期間となる金子順一事務次官の後任に村木厚子社会・援護局長を充てる人事が発表され,同日閣議で承認された。以後,村木氏は,安倍政権の女性登用のシンボル的な存在となり,国際的にも活動されている。
→筆者は,従来から言われていたように「厚生労働省の官僚のトップには,男女を問わず,並はずれて頭が切れ,抜きん出た業績を有する人物がふさわしい」と思っていたので本当に驚いた。「(村木さんを)いつまでも悲劇のヒロイン扱いしていると,国民は痛い目に遭うかもしれない」というどこかで見たマスメディアの記事が頭から離れない。(筆者)


10/2「厚生労働省の新副大臣および新政務官」),2012年12/30「厚生労働省政務三役」が決定した12/27「第2次安倍内閣」が発足したの記事を参照
10/9 厚生労働省 「社会福祉法人の現状」 ・2013年9月27日,「第1回社会福祉法人の在り方等に関する検討会」(座長:田中滋慶応義塾大教授)が開催され,資料が公表された。
・検討会は,厚生労働省社会・援護局長の下に置かれ,2014年5月頃を目途に報告書がとりまとめられる予定である。。
<検討会の設置趣旨>
『社会福祉法人は,社会福祉の発展に大きな役割を果たしてきたが,2000年の社会福祉基礎構造改革から10 年以上が経過,、措置制度から契約制度への転換、福祉サービスにおける民間企業等の参入,福祉ニーズの多様化・複雑化,既存の社会保障や福祉政策にとどまらない切れ目のない生活支援サービスへの期待など,法人を取り巻く環境は大きく変化しており,社会福祉法人としての役割,経営の在り方等について見直しが必要になっている。
また,「日本再興戦略」,「規制改革実施計画」,「社会保障制度改革国民会議報告書」においては,社会福祉法人の大規模,複数法人による連携,経営の高度化,法人経営の透明性の確保や非課税扱いにふさわしい地域貢献等について具体的な対応を求められている。
このように法人を取り巻く環境や福祉ニーズが変化していることを踏まえ,「日本再興戦略」等への具体的な対応をはじめ,社会福祉法人の在り方について幅広い検討を行い,その方向性について論点整理を行うものである。』


(参考)
「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」の委員
「社会福祉法人制度」(厚生労働省)

→社会福祉法人制度は1951年に創設され,2013年で62年目になる。、2000年の「介護保険制度」の創設,2001年の「社会福祉基礎構造改革」,「障害福祉制度改革」により,社会福祉法人の行う社会福祉事業は,その多くが行政庁による措置の受託事業から,サービス提供方式への転換がされたが,その事業の成否を担う社会福祉法人の見直しは棚上げにされたままであった。当然に,その結果は惨憺たるものとなっている。
→2013年8月の「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(概要
/ 本文では,社会福祉法人制度の見直しを盛り込まれ,医療や介護サービスのネットワーク化を図るため,競争よりも協調が必要だと指摘しされ,具体的には法人合併などを進めるよう求めている。これを受けた「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」であり,2014年度概算要求にも盛り込まれ,2014年度から社会福祉法人制度の見直しが行われる。現在,基礎資料となる理事の人数や事業内容,財務状況などをまとめた「社会福祉法人全体のデータはない」とのことである。国の本気度が窺い知れる。
→従来から,「社会保障業界には膨大な無駄・非効率がある」との指摘はあるが,「社会福祉法人」についても,多くの国民はその実態や真相を知らされていない。(筆者)


5/28「特別養護老人ホームの内部留保について」の記事を参照
10/8 厚生労働省 「2013年度 保健師活動領域調査(領域調査)の結果」 ・2013年10月7日,厚生労働省は,「2013年度 保健師活動領域調査(領域調査)の結果について」を公表した。

<調査結果の概要>
項 目 概 要
①自治体別
保健師数
・地方自治体における常勤保健師数の合計は32,516人で,このうち都道府県の保健師は4,929人(全体の15.2%),市区町村の保健師は27,587人(全体の84.8%)である。
②所属部門別保健師数 ・都道府県では,本庁に710人(都道府県全体14.4%),保健所に3,628人(同73.6%)が所属,市区町村では,本庁に9,508人(市区町村全体の34.5%),保健所に3,143人(同 11.4%),市町村保健センターに10,329人(同37.4%)が所属している。

2004年以降の保健師に関わる主な法律・制度の改正を概観する。2004年「発達障害者支援法」・「改正児童福祉法」・「児童虐待防止法」,2005年「改正介護保険法」・「障害者自立支援法」・「高齢者虐待防止法」,2006年「がん対策基本法」・「自殺対策基本法」・「高齢者医療確保法」,2007年「こんにちは赤ちゃん事業」,2008年「特定健康診査・特定保健指導」,2009年「肝炎対策基本法」・「改正保健師助産師看護師法」,2011年「改正介護保険法」・「障害者虐待防止法」,2012年「改正障害者自立支援法(障害者総合支援法)」・「健康日本21(第二次)」,2013年「改正配偶者暴力防止法」「いじめ防止対策推進法」「障害者差別解消法」「改正精神保健福祉法」「改正予防接種法」など,である。
「地域の健康課題を一手に担う」と言われる保健師の求められる業務は,一般的には,幅広く,膨大となっている。近年,地域住民ニーズの多様化・高度化,地域における保健師活動体制の改編など,保健師を取り巻く環境の変化は大きい。
→最近の保健師に関する動向である。2011年2月に「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~」が公表された。2013年3月の「地域における保健師の保健活動に関する検討会報告書」を受けて,2013年4月19日,「地域における保健師の保健活動指針」が10年ぶりに改訂され,厚生労働省健康局長通知として発出された。また,2013年7月18日には,「2013年度保健師中央会議」が「保健師の活動を推進させる方策について考える~保健師に求められる役割,活動の展望~」をテーマに開催され,2013年7月31日には「改正地域保健対策の推進に関する基本的な指針」が通知された。本来の保健師のあり方からかけ離れ過ぎているのではないかという指摘もある。(筆者)
10/7 厚生労働省 「2013年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(5月1日現在)」 ・2013年10月4日,厚生労働省は,2013年の「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」の状況を取りまとめ,公表した。
・この実施状況は,児童館や学校の余裕教室などで留守家庭の子ども(おおむね10歳未満)に放課後の遊び場や生活の場として提供する事業で,クラブ数や利用登録している児童の数などを把握するための調査(全国の市町村(1,742市町村))の取りまとめであり,毎年5月1日現在で実施されている。
<2013年の実施状況のポイント>
①放課後児童クラブ数は,2万1,085か所(前年比397か所増)であった。
②登録児童数は,2万1,085か所(前年比37,256人増)であった。
③利用できなかった児童数(待機児童数)は,8,689人(前年比1,168人増)であった。
④平日に18時を超えて開所しているクラブが,1万3,405か所(前年比885か所増)で,全体の6割を超えた(59.5%→62.4%)。

⑤設置場所は,学校の余裕教室が約28%,学校敷地内の専用施設が約24%,児童館が約13%で,これらが全体の65%を占める。

(参考)
「2015年度から施行予定の子ども・子育て新制度放課後児童クラブの主な改正事項」

→厚生労働省は,待機児童数が8,689人で,前年より人数が1,168人増えたのは,「一年生の総数が増えた(2005年出生数106万人→2006年出生数109万人)のが原因」としている。子供だましのようないい加減な数値にいい加減な理由をつけられると,二の句が継げない。現在,潜在的な待機児童は40万人以上あるという指摘に多くの国民は納得している。「待機児童」については,市町村は民間のことは知らず,実態を把握していないので,まず正確な数値を把握することが重要で,そのうえで早急な対応策を国民に示すべきだというのが一般的な意見であると思う。また,「「小1の壁」の解消に向けて,開所時間の延長が一定程度進んでいる」とコメントされているが,「よく言うよ」と言うのが普通の感覚である。厚生労働省と文部科学省の縦割り行政を維持したままで,2015年度からの「子ども・子育て支援新制度」が有効に機能するかどうか。(筆者)
10/4 内閣府 「再犯防止対策に関する特別世論調査(2013年8月)」の概要 ・2013年10月3日,内閣府は,2013年8月に実施した「再犯防止対策に関する特別世論調査」の結果を公表した。
<調査対象>
●全国20歳以上の日本国籍を有する者3,000人(有効回収率61.8%)

<調査目的>
●再犯防止対策に関する国民の意識を調査し,今後の施策の参考とする。

<調査項目>

①犯罪や非行をした人たちが自分の身近にいるかもしれないと思うか?
②再犯を防止するためにはどのようなことが必要だと思うか?
③過去に犯罪や非行をした人たちを積極的に雇用すべきか?
④就職機会を広げるために,国や地方公共団体はどのような取り組みを進めるべきか?
⑤国や地方公共団体は協力雇用主に対してどのような支援をすべきだと思うか?
⑥犯罪や非行をした人たちの立ち直りに協力したいと思うか?
⑦犯罪や非行をした人たちの立ち直りにどのような協力をしたいと思うか?

→日本政府は,2006年から元受刑者の「総合的就労支援対策」をやっている。しかし,刑法犯全体は減少傾向にあるが,再犯者が占める割合は上昇し続けており,まったく実効は上がっていない。さらには,刑務所出所者や保護観察中の者による重大事犯が後を絶たないに拘わらず,「世界一安全な国,日本」だとオリンピック招致で世界にアピールする日本の代表やそれを否定しない日本のマスメディアの厚顔無恥さには言葉がない。
→今回の世論調査で,「59.1%」(2009年は41.7%)が犯罪や非行を犯した人の立ち直りに協力したいと回答している。また,再犯防止のために必要な具体策として,「刑務所出所者などの住居と仕事の確保」58.6%,「保護観察官や保護司による指導の強化」47.9%,「被害者の心情理解」38.2%の順で回答された。さらに,国や地方公共団体が進めるべき再犯防止に必要な方策としては,「職業訓練によるビジネスマナーや資格・技術の取得支援」60.7%,「出所者などを雇用した企業や事業主への支援」42.3%,「国や地方公共団体での雇用」36.7%の順で回答された。このことから,国は,更生支援に対する理解が進んでおり,職を得て自立した生活を送るのが再犯防止に有効と考える人が多い,とマスメディアに報道させているが,筆者は,国民に対して,きちんと現状・課題およびこれまでの国の不作為を説明したのちに世論調査をすれば,国民の回答は大きく変わると思う。
→2012年7月の「再犯防止に向けた総合対策」(犯罪対策閣僚会議)において,「刑務所出所者等の再犯を効果的に防止するためには,長期にわたり広範な取組を社会全体の理解の下で継続することが求められることから,今後は,より総合的かつ体系的な再犯防止対策として発展的に再構築を図る必要がある。再構築に当たり,特に重要と考えられる点は,①「個々の対象者の特性に応じた取組の実施」,②「再犯要因分析に基づく施策の重点実施」,③「可能な限り具体的な目標設定及びその達成のための仕組みづくり」である。これらを踏まえ,犯罪対策閣僚会議においては,この度,「再犯防止に向けた総合対策」を策定した。」と記述し,10年後の再犯を20%以上減らす初の数値目標を打ち出している。根拠のない数値目標など無意味であるし,そんなに簡単に達成できる事柄ではないということは門外漢でもわかっている。再犯の状況・課題および行政の不作為を多くの国民は知らないし,マスメディアもきちんと報道していない,というのが現状である。(筆者)


8/19心神喪失者等医療観察法における「指定入院医療機関の整備状況 」および「指定通院医療機関の指定状況」の記事を参照

(最近の世論調査に関して)
9/17(■「介護ロボットに関する特別世論調査(2013年8月)」の概要,8/31「尖閣諸島に関する特別世論調査(2013年7月)」の概要8/2「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要の記事を参照
10/3 内閣府 命をつなぐ骨髄バンク ~あなたのドナー登録を待っている人がいます~」
<政府からの呼びかけ(政府広報オンライン)>
「骨髄バンクは,白血病をはじめとする血液疾患などのため「骨髄移植」などが必要な患者さんと,それを提供するドナーをつなぐ公的事業です。しかし移植には,数万通りもあるという白血球の型(HLA型)が互いに適合することが必要であり,その確率は兄弟姉妹の間でも1/4,血の繋がっていない他人になると数百~数万分の1と非常に低くなります。移植を希望するすべての患者さんがチャンスを得るためには,一人でも多くの方のドナー登録への協力が必要になるのです。ここでは,移植の必要性やその実情,ドナー登録の方法や,実際に採取される流れなどを分かりやすくご紹介します。」
①なぜ,骨髄移植が必要なの?
②ドナーの数は足りないの?
③ドナー登録するには?
④候補者に選ばれたら,すぐに採取されるの?
⑤採取はどうやって行われるの?


<関連リンク>
日本骨髄バンク(JMDP)
日本赤十字社 中央骨髄データセンター
日本さい帯血バンクネットワーク

→骨髄移植は,1970年代に確立され,日本では1980年から血縁のドナーを対象に実施されるようになった。善意の骨髄提供者からの移植を仲介する骨髄バンク設立の要望が高まり,1991年12月に,公的骨髄バンクである骨髄移植推進財団が設立され,1993年1月に骨髄バンクによる最初の非血縁者間骨髄移植が実施された。また,1995年に,日本で初めての神奈川臍帯血バンクが設立された。
→造血幹細胞移植には,バンク制度が不可欠であり,これまでは,根拠法がなく,厚生労働省や日本赤十字社の支援を受けながら,骨髄移植推進財団(骨髄バンク)および臍帯血バンク(現在は全国に8つある)において業務が実施されてきた。ようやく,2012年9月6日に,国の責任のもとで,骨髄・末梢血幹細胞移植や臍帯血移植を円滑に推進するための根拠法である「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(造血幹細胞移植推進法)」が成立した。現在,厚生労働省において,2014年3月までの施行に向けて,必要な検討が進められている。「効果的な普及広報」のための工夫も必要であると思う。(筆者)
10/2 厚生労働省 ■「厚生労働省の新副大臣および新政務官」 ・2013年9月30日,政府は,臨時閣議において,新副大臣および新政務官人事(副大臣25人,政務官27人)を決定し,任命した。
2013年10月1日付の厚生労働省の新政務三役
職位 氏名 内容
大臣 田村憲久 ・自民党,衆議院議員
・三重県4区(当選6回)

※48歳,三代目の世襲議員
新副大臣 佐藤茂樹 ・公明党,衆議院議員,大阪3区(当選7回)
・元国土交通大臣政務官

※54歳
土屋品子 ・自民党,衆議院議員,埼玉県13区(当選5回)
・元外務大臣政務官,元環境副大臣

※61歳,実父は元参院議長の土屋義彦氏
新政務官 高鳥修一 ・自民党,衆議院議員,新潟県6区(当選2回)
・衆院厚生労働委員,災害対策特別委員
※53歳,第183回通常国会で,障害者雇用促進法の改正,障害者差別解消法の制定などに厚生労働副部会長として障害者福祉を担当
赤石清美 ・自民党,参議院議員,全国比例区(当選1回)
・参院厚生労働委員会の理事
※65歳,臨床検査技師

→安倍首相は,「内閣改造」(各省大臣・担当相の人事)をせずに,副大臣と政務官の人事刷新で10月15日召集予定の臨時国会に臨むことになる。安倍首相は,同国会を「成長戦略実行国会」と位置付ける,と報道されている。厚生労働省関連では,「再興戦略」における「雇用制度改革・人材力の強化」の展開が注目されている。
→また,厚生労働省は,臨時国会では,第183回通常国会で廃案となった2法案(生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案)の出し直しと継続審議となった2法案(薬事法改正案と再生医療法案)の成立を急ぐとされている。
→安倍首相の「女性の活躍」には大賛成であるが,男女を問わず,責任ある立場には,有能な人物を登用すべきである。口汚く下品なヤジで有名な丸川珠代前厚生労働省政務官は,「人材派遣会社の新聞広告出演の件」において,「多くの有能な女性」を失望させたのではないかと思う。口が達者でも仕事ができないのが一番困る。こんなのが,内閣には,結構いるように思うが・・・。(筆者)


6/14「厚生労働省の組織目標等について」),2012年12/30「厚生労働省政務三役」が決定した12/27「第2次安倍内閣」が発足したの記事を参照
10/1 厚生労働省 ■「厚生労働省における2013年10月からの主な制度変更(まとめ)
<2013年10月からの主な制度の変更(厚生労働省関係>
区分 項目 内容
雇用労働関係 最低賃金の引上げ ・都道府県ごとに定められている地域別最低賃金額が改定され,2013年10月6日から順次発効する。
・すべての都道府県で,時間額11円から22円の引上げとなる(全国加重平均額764円)。
年金関係 厚生年金保険料率の引上げ ・厚生年金保険料率は9月分(10月分給与の源泉徴収)から0.354%引上げ(~8月分16.766%,9月分~17.120%)
2013年10月から2014年3月の年金額の引き下げ ・2012年11月に成立した「改正国民年金法等」の規定に基づき,2013年10月以降,特例水準の解消を段階的に行うこととしている。
・2013年10月から2014年3月までの年金額は1.0%の引下げ(2013年9月比)となる。
※老齢基礎年金(満額)= ~9月分:月65,541円,10月分~:月64,875円)
各種手当関係 2013年10月から2014年3月の児童扶養手当等の手当額の引き下げ ・2012年11月に成立した「改正国民年金法等」の規定に基づくことなどにより,2013年10月以降,特例水準の解消を段階的に行うこととしている。
・以下の各手当等について,2013年10月から2014年3月までの額は0.7%の引下げ(2013年9月比)となる。
①児童扶養手当
②特別児童扶養手当及び特別障害者手当等
③医療特別手当(原爆関係のその他手当含む)
④予防接種による健康被害救済給付関係の手当
⑤新型インフルエンザ予防接種による健康被害救済給付関係の手当
⑥副作用被害救済給付関係の手当  など

5/1「厚生労働省における2013年4月からの主な制度変更(まとめ)」)の記事を参照
9/30 厚生労働省 「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」 ・2013年9月27日,厚生労働省は,職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組を推進するため,企業の取組の好事例などを紹介した「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」を作成し,公表した。
・ハンドブックは,製造業,建設業,社会福祉施設など種々の業種,全17社の取組の好事例を紹介し,就業規則の規定例などを掲載しているので,取組に着手していない企業はもちろん,すでに取組を行っている企業でも活用できる内容となっている,とのことである。

→厚生労働省は,職場のパワーハラスメントについて,予防・解決に向けた取組を行っている企業が約半数(45.4%)であることや,職場のパワーハラスメントなどによる若者の「使い捨て」が疑われる企業の存在が社会問題化していること,を認識していると公言している,しかし,筆者は,認識が甘く,対処の仕方が手ぬる過ぎると思っている。海外の状況については,1993年のスウェーデン「職場での虐待に関する規則」に始まり,2002年にはフランスで「労使関係近代化法」が成立している。日本においても,「モラルハラスメント」と言っておけばいいものを,2002年から,世界に通じない,一民間人が使った和製英語の「パワーハラスメント」という訳のわからない用語を用いている。国に,事の重大さを矮小化するなどの良からぬ意図でもあるのかと勘繰りたくなる。日本では,「個別労働紛争解決促進法」が制定されているが,フランスのように罰則を設けていない。
→厚生労働省は,2013年10月から2014年2月にかけて,無料の「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約50か所で開催するとしている。筆者には,日本は,国として本気で取り組む姿勢を示しているとは思えない。(筆者)


(参考)
「あかるい職場応援団」(厚生労働省ポータルサイト)
「これってパワハラ?なくそう、職場のパワーハラスメント」(2013年4月1日政府広報オンライン)
「2012年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省委託事業)
9/26 文化庁 「2012年度 国語に関する世論調査」の結果 ・2013年9月24日,文化庁は,「2012年度 国語に関する世論調査」の結果を公表した。
・本調査は,日本人の国語に関する意識や理解の現状を調査し,国民の国語に関する興味や関心を喚起するために,文化庁が1995年から毎年実施している。
<世論調査の構成>
①人とのコミュニケーションについて
②外来語や外国語などのカタカナ語の使用について
③国語に関わる知識や能力についての課題
④文字の手書きについて
⑤手紙の作法について
⑥言葉の意味や使い方が分からないときにどうするか
⑦同訓の漢字の使い方について
⑧5つの言い方の認知と使用
⑨言葉の意味
⑩慣用句の言い方

→例年,本調査の結果について,マスメディアは,センセーショナルに取り上げ,総じて「日本語の乱れ」を指摘している。なお,本調査の役割については,マスメディアが取り上げることが少ないので,2013年1月の文化庁月報の「国語に関する世論調査が果たす役割」の記事を読んでみたが,筆者にはよく理解できない。筆者は,「世論調査の目的」を,マスメディアが面白おかしく取り上げることを見越して,文化庁が問題だと考えている時々の言葉(2012年度では「役不足」「流れに棹さす」「気が置けない」「噴飯もの」など)の矯正を図ろうとしているのではないか,と勘繰っている。
→言語学のことはまったく知らないが,言語は生き物で,時代と共に変化するのは必然であり,「日本語の乱れ」ではなく「日本語の変化」ととらえて,世論調査の結果を国語の施策につなげていくのが自然の流れような気がする。「本を読まない人ほど,殊更に日本語の乱れを口にする」という「うがった見方をする」人もいる。この言葉の用法は正しい?(筆者)
9/25 首相官邸 「認知症 家族で知っておきたい初期サイン」
~政府インターネットテレビ~
・2013年9月12日,政府インターネットテレビにおいて,「認知症 家族で知っておきたい初期サイン」がアップされた。
<今回の政府の広報文>
「認知症の予防や進行を遅らせるためには,家族や周囲が初期の症状を見逃さず,適切に対応することが重要です。今回は,初期サインを見逃さないよう早期診断,早期対応のために知っておきたいポイントをご紹介します。」

(関連情報)
「もし,家族や自分が認知症になったら 知っておきたい認知症のキホン」(政府広報オンライン)
「認知症の取組み」(厚生労働省)
「認知症の人と家族の会のHP」
「若年認知症コールセンターのHP」
「認知症・地域支援マップ(e-65.net)のHP」

→最近注目を集めているフランス発祥の「ユマニチュード」という認知症ケアをご存知だろうか?「ユマニチュード」とは,「人として接する」という意味とのことらしい。また,ユマニチュードの4つの基本とは,①相手を見つめること,②話しかけること,③触れること,④できるだけ自分で立つよう支援することと言われる。
→日本ではようやく,「今後の認知症施策の方向性について」(2012年6月18日)において,「認知症になっても本人の意思が尊重される」という目標が明記されたことにより,日本の精神科医療やかかりつけ医における認知症ケアの悲惨さを含めて「認知症施策の後進性」が明確にされた。当然に,介護保険における「グループホームの認知症ケアの専門性」についても,絶望的なレベルと言える現状にある。念のため付け加えるが,その責任は現場の介護職員にはない。「認知症ケア」における介護職員の専門性向上のための施策の手抜かりは「厚生労働省」にある。
→なお,遅きに失するが,2012年8月24日の「認知症高齢者数の将来推計」に基づいて,2012年9月5日に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン」(2013年度~2017年度)が公表された。その計画の一環として,2013年7月12日には「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」が公表された。さらに,非公開の「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議」の発足が予定されているとのことである。いくら家族に認知症の早期発見を啓発しても,専門的な支援や受け皿が十分に用意されていないのが現実である。付け焼刃が過ぎる。
→最後に,2013年8月9日,名古屋地裁(上田哲裁判長)で,認知症の男性(2007年当時91歳)が線路内に立ち入り電車と接触した死亡事故について,「男性の介護体制は,介護者が常に目を離さないことが前提となっており,過失の責任は免れない」と判事し,男性の妻と長男に対して損害賠償請求全額にあたる約720万円を支払うよう命じた。今後,市民感覚とズレていると思われる「司法の判断」の行く末を注視していきたい。(筆者)

7/15「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」の記事を参照
9/24 厚生労働省 「都市部の高齢化対策に関する検討会報告書」(概要 / 本文


(9月27日追記)
「都市部の高齢化対策に関する検討会報告書」(概要 / 本文
・2013年9月20日,「第5回都市部の高齢化対策に関する検討会」において,「都市部の高齢化対策に関する検討会報告書~都市部の強みを生かした地域包括ケアシステムの構築~」が取りまとめられ,公表された。
<報告書のポイント>
①地価が高い東京23区などでは整備が進んでいないため,同一都道府県内であれば自治体間の調整次第で圏域外に区民用の特養を整備できるようにすべきだとした。また,都道府県をまたいで特養を整備するケースについて,自治体間の連携が既にある場合に限って認めるとした。
②都市部の不特定多数の高齢者を受け入れる目的で特養を整備する構想を持つ自治体もあるが,本人の意思に反し,地方の施設入所を強いる恐れがある」と慎重な検討を求めた。
③高齢者のスムーズな移住に向け,他の都道府県にある特養に入居し,その後75歳になった人についても引き続き転居前の自治体が医療費を負担する「住所地特例」を適用するよう提言した。

(参考)
報告書に関連するデータ(人口,都市部の地域特性,「団塊の世代」の現状と意識,在宅医療・介護,住まい,生活支援・予防,施設整備,中長期的視点に立った取組)

→2013年に入り,厚生労働省に,超高齢社会に対応する3検討会が設置されている。
①「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」(職業安定局)
・2013年2月27日に設置され,6月26日に報告書が提出された。
②「都市部の高齢化対策に関する検討会」(老健局)
・2013年5月20に設置され,9月20日に報告書が取りまとめられた。
③「日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会」(健康局)
・2013年6月24日に設置され,現在検討中である。
→現在,日本の介護保険制度が目指す将来の姿は「地域包括ケアシステムの構築」である。前のめりで,あらゆる局面で,「地域包括ケアシステム」に辻褄が合うような結論を出そうとしていると思われる。特別養護老人ホームの待機高齢者は全国で約42万人おり,ほぼ半数は在宅者と言われている。なお,介護老人保健施設(老健)は長期滞在できない施設であり,認知症者を介護するグループホームの数も圧倒的に足りない。待機児童2万2千人は大騒ぎするのに,なぜ待機高齢者42万人を放置する?
→今回の報告書において,家族の立場で,自ら在宅介護をした経験がないと思われる大学の先生や行政職員で構成された
委員の「リロケーションリスク」だの「エイジング・イン・プレイス」だのという寝ぼけた意見を殊更に取り入れているようでは話にならない。現に,命を削って「在宅介護」をしている家族を助けないのは「悪」であり,もはや「犯罪」である,と筆者は思う。国は,無償の介護者であるケアラーの救済策として,都市部の不特定多数の高齢者を受け入れる目的で特養を整備する構想を持つ自治体を積極的に支援すべきであると思う。(筆者)


5/22「都市部の高齢化対策の現状」の記事を参照
9/23 厚生労働省 「地域ケア会議について」 ・2013年9月20日,「地域ケア会議推進に係る全国担当者会議」が開催され,資料が公表された。
<介護保険事業計画の位置づけ>
第5期(2012~2014) 第6期(2015~2017)
高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築するために必要となる,
①認知症支援策の充実
②医療との連携
③高齢者の居住に係る施策との連携
④生活支援サービスの充実

といった重点的に取り組むべき事項を,実情に応じて選択して位置づけるなど,段階的に計画の記載内容を充実強化させていく取組をスタートする
第5期で開始した地域包括ケア実現のための方に向性を承継しつつ,取組を一層強化する「地域包括ケア計画」と位置づける
<地域ケア会議とは>
・地域ケア会議は,高齢者個人に対する支援の充実と,それを支える社会基盤の整備とを同時に進めていく,地域包括ケアシステムの実現に向けた手法である。
・具体的には,地域包括支援センター等が主催し,
①医療,介護等の多職種が協働して高齢者の個別課題の解決を図るとともに,介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める。
②個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより,地域に共通した課題を明確化する。
③共有された地域課題の解決に必要な資源開発や地域づくり,さらには介護保険事業計画への反映などの政策形成につなげる。

→2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議 報告書」において,「地域ケア会議や医療・介護連携協議会などのネットワークづくりの場は多くの市町村や広域圏でできているが,今のところ、医療・介護サービスの提供者が現場レベルで「顔の見える」関係を構築し、サービスの高度化につなげている地域は極めて少ない(P.29)」と指摘されている。
→現在,市町村や地域包括支援センターが開催する「地域ケア会議」は,地域包括支援センターの設置運営通知(2012年4月)として位置付けられているが,2013年8月28日の「第46回社会保障審議会介護保険部会」では,新たに介護保険法に位置づけて制度化することが提案されている。
→今後,「地域ケア会議の制度化」は,2015年度からの実施に向けて,2014の通常国会に提出される介護保険法改正案に盛り込まれると見られている。(筆者)


(参考)
「地域ケア会議運営マニュアル」(2013年3月)
「地域ケア会議」に関するQ&A」(2013年2月14日)
9/20 厚生労働省 「2012年 労働者健康状況調査(労働安全衛生特別調査)」の結果 ・2013年9月19日,厚生労働省は,5年に1度実施している「2012年 労働者健康状況調査(労働安全衛生特別調査)」の結果を公表した。
・本調査は,労働者の健康状況,健康管理の進捗状況などに関する調査で,(1)「事業所調査」(長時間労働,メンタルヘルスケア,定期健康診断,がん検診,総合的健康診断(人間ドック),受動喫煙防止対策,腰痛対策,熱中症対策,労働者の健康管理など)および(2)「労働者調査」(勤務状況,定期健康診断,長時間労働者の面接指導,喫煙など)からなっている。
・本調査は,周期的にテーマを変えて調査を行い,2012年は,労働者の健康状況,健康管理に関する事業所や労働者の取組状況,意識等について調査を行っている。

<調査結果の概要>
(1)「事業所調査」
①時間外・休日労働が100 時間を超える長時間労働者への医師による面接指導を実施している事業所のうち,「100 時間を超える全ての労働者に対して実施した」事業所は81.6%
②メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所は47.2%
③定期健康診断を実施した事業所は91.9%
(2)「労働者調査」
①長時間労働者への医師による面接指導等を過去6か月間に受けたことがある労働者は5.5%
②現在の自分の仕事や職業生活に関して強い不安,悩み,ストレスを感じる事柄がある労働者は60.9%
③職場で他の人のたばこの煙を吸引すること(受動喫煙)がある労働者は51.8%

→心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる事業所割合は,2002年(23.5%),2007年(33.6%)で,2012年においても47.2%と半数にも満たない状況であった。
→「第11次労働災害防止計画」(2008年度~2012年度)において,8つの重点対策を定められ,対策ごとの目標を設定して取組みをすすめられてきたが,その一つにメンタルヘルス対策の推進が挙げられ,「8.メンタルヘルス対策の推進-【目標】メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を50% 以上とする」と明記されていた。このような時代に,50%という低すぎる数値目標を設定しているうえに,結局達成できなかった。これを,「行政の怠慢」と言わずして何と言う?なお,「第12次労働災害防止計画」(2003年度~2018年度)では,性懲りもなく,「80%以上」と低い目標を設定している。筆者は,これも達成できないであろうと予想している。(筆者)


(参考)
「職場における心の健康づくり(労働者の心の健康の保持増進のための指針)」
9/19 厚生労働省 ■介護保険における「在宅サービス」および「施設サービス等」の現状・課題と論点 ・2013年9月18日,「第48回社会保障審議会介護保険部会」が開催され,会議資料が公表された。
(1)在宅サービスについて
①総論
②通所介護
③定期巡回・随時対応サービス
④小規模多機能型居宅介護
⑤複合型サービス
⑥訪問看護
⑦福祉用具
⑧住宅改修
⑨介護ロボット


(2)施設サービス等について
①特別養護老人ホーム
②高齢者向け住まい
③介護老人保健施設・介護療養型医療施設

→介護保険サービスの到達点が確認できる。2013年度のケアマネ試験および3福祉士国家試験受験者には有用な資料である。(筆者)
9/18 厚生労働省 「2012年 社会福祉施設等の耐震化状況調査の結果」(施設別 / 都道府県・市別
・2013年9月13日,厚生労働省は,各都道府県,指定都市および中核市を通じて実施した「2012年 社会福祉施設等の耐震化状況調査の結果」を公表した。
・2012年の社会福祉施設等の耐震化率は84.3%(2010年は81.3%)であった。なお,調査対象は保育所や特養,障害者支援施設,救護施設など全国16万4,542棟で,改修中を含め耐震性があるのは13万8,636棟であった。

→防災意識の差とも言える耐震化率の最高と最低は、都道府県(政令市・中核市を除く)は,愛知県91.4%と北海道77.7%,政令市は相模原市95.0%と広島市74.8%,中核市は愛知県豊田市99.1%と兵庫県尼崎市56.9%,であった。また,施設別では,高齢者関係が92.4%,児童関係は76.7%,障害者関係は78.9%であった。
→厚生労働省は,今回の調査結果を踏まえ,都道府県等に対して,計画的に耐震化整備を推進するよう通知した。しかし,「自力で避難できない人が多くいる施設」と国も地方自治体も認識していながら,人の命にかかわる対策に対して,国のやり方は手ぬるいと思う。(筆者)
9/17 内閣府 「介護ロボットに関する特別世論調査(2013年8月)」の概要 ・2013年9月12日,内閣府は,2013年8月に実施した「介護ロボットに関する特別世論調査」の結果を公表した。
<調査項目>
①介護の経験
②介護で苦労したこと
③介護ロボットの認知
④介護ロボットの魅力点
⑤介護をする際の介護ロボット利用意向
⑥介護を受ける際の介護ロボット利用意向
⑦介護ロボットを選ぶ際の重視点

→「①介護の経験」では,「あなた自身に在宅での介護の経験がある」と答えた者は26.3%であり,「在宅での介護の経験はない」は62.1%であった。自分自身に在宅介護の経験のない者の意見を集約し,分析しても意味があるとは思えない。「介護ロボットの必要性」を後付けするための世論調査とも思える。
→「介護ロボット」に関する最近の関係官庁の動向は,以下の通りである。
・2012年11月22日,厚生労働省と経済産業省が「ロボット技術の介護利用における重点分野」を発表した。
・2012年11月26日,経済産業省と(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「ロボット介護機器開発パートナーシップ」の参加企業募集を発表した。
・2013年度は,経済産業省の開発支援策(「ロボット介護機器開発・導入促進事業」)と厚生労働省の支援(「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」)で本格化することになっている。
→なお,2013年7月29日,厚生労働省は,「介護ロボットの実用化に関する相談窓口」を開設した。その趣旨には,『現在,介護の現場からは,介護ロボットの種類や活用法が分からない,役立つ機器がないといった意見がある一方,開発側からは,介護現場のニーズが分からない,介護ロボットを作ったけれど使ってもらえないといった意見があり,ミスマッチが起こっています。今後も引き続き,開発・介護の両方の現場の連携を図り,ニーズに合った実用性の高い介護ロボットの開発・実用化を促す環境を整備していきます』と説明されている。
→2015年度から「介護ロボット」の介護保険適用がなされることになっているが,4人に1人が65歳以上の「超高齢化大国日本」における「介護ロボット」の現状は,「シーズとニーズのギャップ」が大き過ぎるので何とかしなければならないという段階と言える。筆者には,企業の金儲け(「介護ロボット」が安倍政権における成長戦略の柱)以外に,「介護ロボット」が本当に必要とされる理由が思い付かない。(筆者)
9/13 厚生労働省 「保育所関連状況取りまとめ」(2013年4月1日現在) ・2013年9月12日,厚生労働省は,2013年4月1日時点での保育所の定員や待機児童の状況を公表した。
項目 2012年4月 2013年4月 増減 
①保育所定員 224万人 229万人 4万9千人増
②保育所
   利用児童数
2,176,802人 2,219,581 42,779人増
③待機児童数 24,825人 22,741 2,084人減
④特定市区町村 107 101 6

→2001年に「待機児童ゼロ作戦」,2008年に「新待機児童ゼロ作戦」が発表された。しかし,待機児童数の減少は3年連続であるが,依然2万人超の高水準が続いている。
→国が定めた面積や職員数などの基準を満たし,都道府県や政令市・中核市が認めた施設である「認可保育所」に入園を申し込んだにもかかわらず,入れなかった子どもを「待機児童」という。したがって,原則的には,①自治体が独自施策で設置した保育施設を利用している場合,②保護者が育休や産休を取っている場合,③親が希望する特定の保育所に入れなければ入園しない場合,は待機児童に含まれないことになっている。このような中途半端な基準で,横浜市での保育所待機児童ゼロが達成されたが,これに感激した安倍首相は「横浜方式を全国に横展開する」と表明した。また,安倍政権では,成長戦略で待機児童問題は最優先課題として掲げ,これを受けた待機児童ゼロを目指す自治体への支援策である「待機児童解消加速化プラン」において,5年で約40万人分の保育の受け皿を確保し,2017年度までの待機児童ゼロを目指すとしている。
→現在,都市部では保育所を新設すればするほど,入所申込者が増えるという現象が起きて,困っているらしい。実態をきちんと把握せずに,潜在的な需要を見込まず,漫然と保育所を作れば,入所を諦めていた人の申し込みが増えるのは,少し考えれば誰にでも想定できたことである。つまり,潜在待機児童は80万人以上と推定されているのに,「5年で40万人分の受け皿」を用意しても,どうにもならないということである。(筆者)
9/12 - ■「2012年 年金制度改正(社会保障・税一体改革関連)」のまとめ ・2012年の通常・臨時国会で成立した年金関連4法は,以下の通りである。これが現在の年金制度の到達点である。
法律/概要 項目 施行日
(1)改正国民年金法等 ●2012年8月10日成立
●公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等が目的

施行日の赤字は,消費税増税時と関連
①年金の受給資格期間を現在の25年から10年に短縮する 2015年10月1日
②基礎年金国庫負担1/2を恒久化する年度を2014年度と定める 2014年 4月1日
③短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う 2016年10月1日
④厚生年金,健康保険等につき,産休期間中の保険料免除を行う 2014年4月1日
⑤遺族基礎年金の父子家庭への支給を行う 2014年4月1日
(2)厚生年金保険法等 ●2012年8月10日成立
●被用者年金制度の一元化等を図ることが目的
①厚生年金に公務員及び私学教職員も加入し,2階部分は厚生年金に統一する 2015年10月1日
②共済年金・厚生年金の保険料率(上限18.3%)を統一し,制度の差異を解消する
③共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)は廃止する
④追加費用削減のため、恩給期間に係る給付について27%引き下げる 2013年8月1日
(3)改正国民年金法等 ●2012年11月16日成立
①2012年度・2013年度の基礎年金国庫負担割合を,消費税増税により得られる収入を償還財源とする年金特例公債(つなぎ国債)によ1/2とする 2012年11月26日
②年金額の特例水準(2.5%)について,2013年度から2015年度までの3年間で解消する 2013年10月1日
(4)年金生活者支援給付金の支給に関する法律 ●2012年11月16日成立
①年金受給者のうち,低所得高齢者・障害者等に福祉的な給付を行う 2015年10月1日

→2008 年の社会保障国民会議以来,民主党への政権交代をはさんだ検討を経て,上記の2012 年社会保障・税一体改革による年金関連4法の成立が,年金制度の現在の到達点である。その後,2013年8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書」における「今後の年金制度改革の検討の視点」では,2004年改革の年金財政フレームによる現行の年金制度は破たんしていないという認識のもとで,残された課題としては,「長期的な持続可能性をより強固なものとする」,「社会経済状況の変化に対応したセーフティネット機能を強化する」という2つの要請からの課題に整理できるとされている。今後は,8月6日の「社会保障制度改革国民会議報告書」に沿って,8月21日に閣議決定された個別テーマごとの法案提出時期をまとめた「プログラム法案」が,今秋の臨時国会に提出され,個別テーマごとの関連法案は,2014年の通常国会以降,順次提出される予定と見られている。
→2013年度のケアマネ試験,3福祉士国家試験の受験者にとって,上記年金制度の到達点の理解は必須である。(筆者)


8/6「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」の記事を参照
9/11 厚生労働省 「2013年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 / 資料 ・2013年9月10日,厚生労働省は,「2013年版 厚生労働白書」を閣議報告し,公表した。今回の個別テーマは,「若者の意識を探る」である。
<2013年版厚生労働白書の構成>
第1部 テーマ編 「若者の意識を探る」
第1章 若者を取り巻く社会経済の変化
第2章 多様化するライフコース
第3章 若者がチャレンジできる社会を目指して
第2部 年次行政報告 「現下の政策課題への対応」

→厚生労働白書で「若者」を個別テーマで取り上げるのは初めてである。厚生労働省は,「少子高齢化が進み,厳しい経済情勢が続くなか,日本の将来像を探ろうと,若者の意識に焦点をあてています」と説明している。「焦点を当てるのが,いくらなんでも遅すぎる」と感じたのは筆者だけではないと思う。少子化対策としての若者政策において,「若者総合政策」(教育と職業訓練,情報提供と相談,働く場,経済的安定,社会保障,ソーシャルネットワーク,意思決定への参画など)の必要性は以前から指摘されていることである。
→「2013年版 自殺対策白書」において,我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり,20~39歳の各年代の死因の第1位(約47%)は自殺となっている。こうした状況は国際的に見ても深刻であり,15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7か国では日本のみで,その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。筆者は,今回の厚生労働白書における若者の分析には緊張感が欠乏しているように思う。
→近年,「厚生労働白書」の質的レベルが下がっているという有力な意見がある。官僚の質的レベルとも言い換えられている。(筆者)


(2013年版の白書関連)
9/2「2013年版 労働経済の分析(労働経済白書)」(ポイント / 要約 / 本文,7/17「2013年版 情報通信白書」(ポイント / 概要 / 本文)),6/30「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文)),6/28「2013年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文)),6/25(「2013年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文)),6/24(「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文)),6/20(「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文)),6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照

白書(福祉関連
9/10 - 「真っ赤なウソをついた安倍首相」(2013年9月8日IOC総会のスピーチで)
<安倍首相の2020年オリンピック開催決定におけるプレゼンテーションでの「福島の状況」に関するウソの数々>
スピーチで
・「福島については,私が安全を保証する。状況は完全にコントロールされている。決して,東京にダメージを与えることを許さない」
IOC委員からの質問に答えて
・「汚染水の影響は,福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内で,完全にブロックされている」
・「福島近海でのモニタリング数値は,最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1である」
・「健康問題については,今までも現在も将来も全く問題ない」

・「抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し,実行していく」
プレゼン後の記者会見で
・「懸念は,完全に払拭できたのではないかと思う」

日本国民であれば誰でも,福島第1原発に関する安倍首相のスピーチのウソを見破れた。しかし,その直後からの日本のマスメディアの論調は,2020年の東京五輪決定の祝賀・歓迎迎ムード一辺倒であった。国際社会に平気でウソをついた日本の首相を見過ごす日本のマスメディアの姿勢には言葉がない。日本の浮沈に関して,止むに止まれぬ状況からの発言であるにせよ,福島第1原発についてのウソは断じて許されない。
→逆に言えば,東京五輪の開催が決まったことで,日本政府と日本のマスメディアは,今後は,厳しく注視する国際社会に対して「ウソの上塗り」ができなくなてしまったので,原発事故の収拾と被災地の復興にはよかったのかもしれないと思う。「ウソから出たまこと」になることを願う。(筆者)
9/9 内閣府・法務省 「高齢者・障害者の人権あんしん相談強化週間」(9月9日~9月15日) ・法務省では,虐待など高齢者に対する人権侵害の防止,障害者に対する差別や偏見の解消など,高齢者や障害者をめぐる人権問題の解決を図るため,2009年より全国一斉「高齢者・障害者の人権あんしん相談」強化週間の取組を毎年実施している。
<期間中における電話相談の受付時間>
●「みんなの人権110番」 : 0570-003-110
●期間中は,平日の電話受付時間を19;00まで延長し,土日も相談を受け付ける。
 ・9月9日(月)~13日(金) : 8:30~19:00
 ・9月14日(土)~15日(日) : 10:00~17:00

注)上記期間以外の平日は,8:30~17:15

<その他の110番・ホットラインの利用状況>
「女性の人権ホットライン(0570-070-810)」(2001年~2012年)
「子どもの人権110番(0120-007-110・フリーダイヤル)」(2002年~2012年)

→虐待,暴力に関する法律の制定は以下のとおりである。
①2000年 :「児童虐待防止法」
②2001年 :「DV防止法」
③2005年 :「高齢者虐待防止法」
④2011年 :「障害者虐待防止法」

→法務省の「2012年における「人権侵犯事件」の状況」によれば,2012年に新規で救済手続きを開始した人権侵犯事件は22,930件(前年比3.4%増)で,そのうち,暴行・虐待事案は4,977件,社会的に弱い立場にあるとされる高齢者,障害者,女性,子どもが被害を受けているケースが85.1%(4,233件)を占める。
→2012年の「人権擁護に関する世論調査によれば,日本における人権課題について,関心があるものはどれか聞いたところ,「障害者」が39.4%,「子ども」が38.1%,「インターネットによる人権侵害」が36.0%,「高齢者」が34.8%の順となっている(複数回答,上位4項目)。
2014年度厚生労働省予算概算要求の「新しい日本のための優先課題推進枠」には,「高齢者・障害者の活躍推進」として,高齢者に58億円,障害者に217億円計上されているが,その前に高齢者や障害者に対する低すぎる日本国民の人権意識を何とかしなくては効果的な政策とはならないのではないか。(筆者)
9/6 厚生労働省 「2012年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」 ・2013年9月4日,厚生労働省は,「2012年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」を公表した。
区分 項目 内容
(1)医療施設調査  ①施設数 ・施設の種類別にみた施設数
・開設者別にみた施設数
・病床の規模別にみた施設数
・診療科目別にみた施設数
②病床数 ・病床の種類別にみた病床数
・開設者別にみた病床数
・都道府県別にみた人口10万対病院病床数
(2)病院報告 ①患者数 ・1日平均在院・新入院・退院患者数
・病院の1日平均外来患者数
・病院の都道府県別にみた1日平均在院患者数
②病床利用率 -
③平均在院日数 ・病床の種類別にみた平均在院日数
・病院の都道府県別にみた平均在院日数
④病院の従事者 ・病院の職種別にみた従事者数
・病院の職種別にみた100床当たり常勤換算従事者数
・病院の都道府県別にみた人口10万対常勤換算医師数
・病床規模別にみた1病院当たり常勤換算医師数

→2012年10月時点の一般診療所(歯科診療所を除く)の数が,10万152施設(前年比605増)で,1953年の統計開始以降初めて10万施設を超えたが,病院は8,565施設(前年比40減)であった。また,平均在院日数は31.2日(前年比0.8日減)であった。「厚生労働省は,地域医療の担い手が病院から診療所へと移ってきているのではないかと分析している」と報道されている。
→また,一般病院において,「小児科」を標ぼうする施設は2,702 施設で19年連続減少し,「産婦人科・産科」は1,387施設で連続22年減とし,いずれも過去最低となっている。これについても,「厚生労働省は,少子化による出生数減少や医師不足に加,夜間・休日の患者集中や訴訟リスクの増大などの厳しい環境が影響していると分析している」と報道されている。「少子化対策」の根幹にかかわる事柄である。こんなボンクラな分析をしていていいのかと思う。(筆者)
9/5 - ■最高裁が「婚外子相続格差」を違憲と判断した ・2013年9月4日,最高裁大法廷(裁判長:竹崎博允長官)は,結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を,結婚した夫婦の子の半分とした民法の規定(民法900条第4号ただし書き)が「法の下の平等」を保障した憲法に違反するかどうかが争われた裁判で,民法の規定を合憲とした1995年の判例を見直し,「違憲」とする決定を出した。なお,違憲判決とは,憲法訴訟において,法令や行政措置が憲法に違反しているという裁判所による判決で,日本国憲法では前文,第81条(違憲審査制),第98条の規定による。
・最高裁大法廷で審理されたのは,ともに2001年に死亡した東京都と和歌山県の男性の遺産相続を巡る2件の家事審判で,いずれも1,2審が民法の規定を合憲とし,婚外子側の相続分を結婚した夫婦の子の半分としたため,婚外子側が特別抗告していたものである。
・なお,この民法の規定(民法900条第4号ただし書き)は,1898(明治31)年施行の明治民法に盛り込まれ,戦後の現行民法にも引き継がれて,115年間続いてきた。

現行民法の規定
第2節 相続分
(法定相続分)
第900条 同順位の相続人が数人あるときは,その相続分は,次の各号の定めるところによる。
①子及び配偶者が相続人であるときは,子の相続分及び配偶者の相続分は,各2分の1とする。
②配偶者及び直系尊属が相続人であるときは,配偶者の相続分は,3分の2とし,直系尊属の相続分は,3分の1とする。
③配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは,配偶者の相続分は,4分の3とし,兄弟姉妹の相続分は,4分の1とする。
④子,直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは,各自の相続分は,相等しいものとする。
ただし,嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分の2分の1とし,父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は,父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

→これまでの最高裁判所における法令違憲判決(8例)は以下のとおりである。今回が9例目となる。
①尊属殺人重罰規定(最高裁判所1973年(昭和48年)4月4日判決[)
②薬事法距離制限規定(最高裁判所1975年(昭和50年)4月30日判決 )
③衆議院議員定数配分規定(最高裁判所1976年(昭和51年)4月14日判決)
④衆議院議員定数配分規定 その2(最高裁判所1985年(昭和60年)7月17日判決)
⑤森林法共有林分割制限規定(最高裁判所1987年(昭和62年)4月22日判決)
⑥郵便法免責規定(最高裁判所2002年(平成14年)9月11日判決)
⑦在外邦人の選挙権制限(最高裁判所2005年(平成17年)9月14日判決)
⑧非嫡出子の国籍取得制限(最高裁2008年(平成20年)6月4日判決)

→1993年11月以降の度重なる国連の勧告を無視し続け,民法改正を先送りしてきた国会と政府,そして,これを追認してきた司法への責任は大きい。しかし,それを後押ししてきたのは世論である。2012年の「家族の法制に関する世論調査」においても,「現行制度を変えない方がよい」35.6%,「相続分を同じにすべきだ」25.8%,であった。2001年にフランスが法改正で相続分を平等化したため,先進国では日本が唯一,格差が残る国になっていたが,現在でも,国際感覚と大きくずれているのは日本国民の意識(民意)であることを多くの日本国民が知らないという状況にある。
→2013年9月4日,法務省は,婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とした民法の規定が最高裁で違憲と判断されたことを受け,民法の規定を削除する方向で検討に入ったとされ,早ければ10月に召集が予定されている臨時国会に民法改正案が提出されると報道されている。(筆者)
9/4 - アメリカ精神医学会の精神障害の診断ガイドラインがDSM-IV-TRからDSM-5に改訂された ・2013年5月18日,アメリカ精神医学会は,精神障害の診断ガイドライン(「精神障害の診断と統計の手引き」)である『Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders』第4版改訂版のDSM-IV-TRを第5版のDSM-5に改訂したことを発表し,発刊した。
・DSMとは,発達障害を含む認知機能や精神障害の分類で,アメリカ精神医学会(APA)が定めたもので,日本では手帳の発行など,診断に使われている。一方,世界保健機関(WHO)の定めたICD-10は,精神疾患を含む全疾病疾患の分類であり,日本では主に統計に使われている。
<「DSM」の制定・改訂経緯>
・DSM-I :1952年発表
・DSM-II :1968年発表
・DSM-III :1980年発表
・DSM-III-R :1986年発表
・DSM-IV :1994年発表
・DSM-IV-TR :2000年発表
・DSM-5 :2013年5月発表

→2013年5月18日のイギリスの週刊新聞The Economist「DSM-5: By the book」という記事では,「The American Psychiatric Association’s latest diagnostic manual remains a flawed attempt to categorise mental illness」と批判されている。
→DSMに関して,面白いお話がある。
2013年10月2日には『〈正常〉を救え 精神医学を混乱させるDSM-5への警告』という書籍が発売予定となっている。この書籍は,奇妙にも,DSM-4の作成委員長であったアラン・フランセス氏が著しており,2012年に日本の雑誌でこれまでの医学書院版のDSMの意図的な誤訳を指摘されている大野裕氏が監修している。大野氏は,一部で,一向にご病気が回復しないと言われている雅子妃の主治医(精神科医,国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長)でおられる。筆者は,お二人とも,これまで,製薬会社の利益に貢献しておきながら,一見,スタンスを変更したかのように,批判的な書籍を著したり,監修したりできるという,常人には理解できないエキセントリックな精神科という世界の人たちもしくはエキセントリックな精神科医たちではないかと疑っている。
→社会福祉士および精神保健福祉士国家試験の試験科目別出題基準では,「人体の構造と機能及び疾病」中の「5 疾病と障害の概要」(大項目)においては,「(3)精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-IV)の概要」(中項目)と「・精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-IV)」(小項目)と記載されている。当然に,この出題基準は,直ちにDSM-5に変更しなければならないはずであるが,未だに試験センターからのアクションがない。試験委員にもDSMの信奉者がいるはずであるが・・・。(筆者)
9/3 厚生労働省 「2014年度 厚生労働省予算概算要求の概要」

(9月6日追記)
「各部局の概算要求の概要」
・2013年8月27日,厚生労働省は,「2014年度 厚生労働省予算概算要求の概要」を公表した。
<「概算要求の概要」の構成>
概算要求の姿
概算要求のフレーム
概算要求のポイント
概算要求の主な新規施策等
概算要求の「新しい日本のための優先課題推進枠」要望施策一覧
東日本大震災からの復興に向けた主な施策

(参考)
「20146年度厚生労働省予算概算要求の主要事項」

→2014年度の厚生労働省予算概算要求は,社会保障費の自然増9,732億円を含む過去最大となる30兆5,620億円(今年度当初予算比3.8%増)になっている。そのうち成長戦略などを実行に移すための「優先課題推進枠」には1,617億円を計上し,「高齢者・障害者の活躍」に441億円を充て,医療・介護は地域包括ケアシステムを意識して,低所得者の住まいづくりなどを後押しする方向である。なお,各省庁の2014年度の概算要求は,8月30日に締め切られ,一般会計の要求総額は過去最大の99.2兆円(2013年度当初予算はの92.6兆円)となっている。今後,財務省で各省庁との折衝が始まり,2013年末の政府予算案決定に向けて,要求が絞り込まれるが,政府の財政再建への姿勢に疑問が投げかけられている。(筆者)
9/2 厚生労働省 「2013年版 労働経済の分析(労働経済白書)」(ポイント / 要約 / 本文 ・2013年8月30日,厚生労働省は,「2013年版労働経済の分析(労働経済白書)」を閣議決定し,公表した。分析テーマは,「構造変化の中での雇用・人材と働き方」である。
・「労働経済白書」は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今回で65冊目になる。
<白書の構成>
第1章 :「労働経済の推移と特徴」
第2章 :「日本経済と就業構造の変化」
第3章 :「労働市場における人材確保・育成の変化」

<白書の主なポイント>
①雇用情勢の現状 ・2012年の有効求人倍率は0.80倍,完全失業率は4.3%となるなど,雇用情勢は,依然として厳しさが残るものの,このところ改善の動きがみられる。
②賃金の動向 ・一般労働者の現金給与総額の内訳をみると,所定内給与の変動は総じて小さい。
③消費者心理の状況 ・消費者態度指数は,2013年1月から雇用環境を中心に消費者の先行きへの期待が高まり持ち直した。
④就業構造のサービス化 ・サービス経済化が進む中で第1次,第2次産業の就業者割合は傾向的に縮小しており,就業構造のサービス化も進んでいる。
⑤製造業の雇用創出効果と競争力の源泉 ・製造業が雇用に与える効果は大きいが,グローバル競争下において,競争力強化を図るために新製品・サービスの開発力とともに人材の多様性や能力・資質を高める育成体系が必要である。
⑥企業が求める人材 ・企業が社会人基礎力として重視するものとしてあげられた能力で,若手社員に特に半数以上の企業が欠けているとした能力として,働きかけ力,創造力,主体性,課題発見力,発信力,計画力と続いた。
⑦構造変化と非正規雇用 ・正規雇用が横ばいの一方,非正規雇用労働者は増加している。企業における人材の確保・定着,労働者のキャリアアップ,安定的な雇用を実現する働き方が必要である。

白書のまとめ~成長による雇用・所得の拡大に向けて~>
①雇用・所得の拡大を含む経済の「好循環」を実現するため,企業と労働者の双方が構造変化に対応し,競争力と人材力を強化していくことが必要。
②我が国最大の資源である人材が能力を発揮し,「全員参加の社会」を構築することが重要。
③政労使の連携の下,失業なき労働移動や多様な働き方の実現といった「成長のための労働政策」を推進していくことが重要。


→白書における「非正規雇用労働者」に関する記述である。
「2013年1~3月の非正規雇用労働者は1,870万人,役員を除く雇用者に占める割合(非正規雇用労働者比率)は36.3%である。非正規雇用労働者の多くは有期契約労働者である。有期契約労働者は1,444万人で,役員を除く雇用者に占める有期契約労働者の割合は28%である。このうち勤続年数が5年超の者は426万人と推計されるが,今後,より多くの者の無期雇用への移行が期待される。一方,不本意非正規は348万人となっている。また,正社員になりたい非正社員は339万人と推計される。非正規雇用労働者の中には,世帯の主たる稼ぎ手でない者や在学中の者,高齢者も多いが,世帯所得の相対的に低い世帯に属する主たる稼ぎ手の非正規雇用労働者(在学中の者や60歳以上の高齢者を除く)を試算すると,約149.2万人(役員を除く雇用者全体の2.9%)と推計される。」
→2013年8月30日,厚生労働省は,労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働力需給制度部会を開催し,労働者派遣制度の見直しを始めた。原則として同一業務で派遣労働者を使用できる期間を最長3年とする現行規制の撤廃などを提言した「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」に関して,有識者や労使の代表者が議論し,年内に結論を出し,2014年の通常国会に労働者派遣法改正案を提出する予定とされる。(筆者)


→●8/22「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」(概要 / 本文))の記事を参照

(参考)
「雇用の構造に関する実態調査(派遣労働者実態調査)」
8/31 内閣官房 「尖閣諸島に関する特別世論調査(2013年7月)」の概要 ・2013年8月29日,内閣府は,日本が有効に支配している日本固有の領土で,領有権の問題はそもそも存在しない「尖閣諸島」について2013年7月に実施した「尖閣諸島に関する特別世論調査」の結果を発表した。
領土問題に関する日本政府の公式見解
尖閣諸島問題 尖閣諸島は,日本が有効に支配している日本固有の領土で,領有権の問題はそもそも存在しない。
 「尖閣諸島に関する特別世論調査」(2013年7月実施)
竹島問題 竹島は,韓国による不法占拠が続いているが,日本固有の領土である。
 →「竹島に関する特別世論調査」(2013年6月実施)
北方領土問題 北方領土は,ロシアによる不法占拠が続いているが,日本固有の領土である。

 <8月2日記事の再掲>
■「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要
→筆者は,従来から,韓国についてはまったく興味がないので何のコメントもない。ただ,「竹島が歴史的にも国際法上も日本固有の領土である」と答えた人が60.7%にとどまっていることは,政府の怠慢によるものであると考える。竹島に限らず,日本の領土に関する日本政府の公式見解は,キチンと繰り返し国民に伝え続けるべきである。(筆者)

→繰り返し述べているが,筆者は,反日政策を取っている,一党独裁国家や分断国家については興味がないので何のコメントもないが,どの国であろうが,日本の領土への不法・不当な干渉には厳格に対処すべきだと考える。
→調査結果では,尖閣諸島を「知っていた」は91.1%であったが,このうち知っていたことを複数回答で聞いたところ「日本が有効支配し領有権問題は存在しない」を挙げたのは48.0%であった。6月に実施した「竹島に関する特別世論調査の結果」と同様,
このような状況にしたのは政府の怠慢によるものである。内閣官房は「関係省庁と連携して広報,啓発活動に取り組みたい」と報道されているが,現に日本の領土が侵されているのに悠長なことを言っている場合かと思う。(筆者)

8/2「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要の記事を参照
8/30 内閣府・気象庁 2013年8月30日から「特別警報」が始まる!
~政府インターネットテレビ~
<左記「政府インターネットテレビ」での政府の広報文>
「気象庁では,2013年8月30日から,これまでの注意報,、警報に加えて,新たに「特別警報」を発表することにしました。これは,「数十年に一度」クラスの大雨や暴風などが予想されるような,重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に発表されるものです。今回は,特別警報がどのような状況で発表されるのか,また発表された場合にどのように行動すればよいのかを,気象庁の担当者の解説を交えながら紹介します。」

「政府広報オンライン」でのQ&A>
Q A
 ①今までの警報とは何が違うの?  数十年に一度の大災害が起こると予想された場合に発表
 ②何のために設けられたの?  住民の方々へ重大な災害発生の危険性を確実に伝えるため
 ③特別警報はいつ発表されるの?  重大な災害発生の危険性が著しく高い場合
 ④どうやって伝えられるの?  警報・注意報と同じく,お住まいの市町村やマスメディアから
 ⑤特別警報が発表されたら,どうすればいいの?  ただちに非難所に非難するか,外出が危険な場合には無理せず家の中にとどまること
(参考)
「特別警報が始まります」(気象庁)

→2013年5月24日,第183回通常国会の参議院で「気象業務法及び国土交通省設置法の一部を改正する法律案」が可決・成立した。これにより,気象庁が発表する防災気象情報のうち,これまでの注意報・警報の上にさらに「特別警報」が新設され,8月30日から運用が始まることになった。
→しかし,これとは別に,現在,気象庁は,複雑化し,分かりづらくなっている防災気象情報の体系整理を目指して,「防災気象情報の改善に関する検討会」で提言を取りまとめている。なぜ,検討会の提言を待たずに「特別警報」をだけを別途新設しなければならなかったのか。「特別警報」の新設を急ぎたいのであれば,2012年から実施している検討会を急がせ,その中での導入を図るさせるべきではなかったかと思えてならない。マスメディアも肝心のところを国民に知らせていないように思う。したがって,上記のQ&Aも,素直に国民の腹に落ちない。(筆者)
8/29 厚生労働省 「障害福祉サービス等の利用状況(2012年4月~)」 ・2013年8月28日,厚生労働省は,「障害福祉サービス,障害児給付費等の利用状況について(2012年4月~)」を公表した。
<障害福祉サービスに関する主な制度改正>
改正 内容
2012年4月 ・児童デイサービス利用者の児童福祉法のサービス利用への移行
・18歳以上の障害児施設入所者の障害者自立支援法の障害福祉サービス利用への移行
2013年4月 ・障害者総合支援法の施行により,障害児・者の対象に難病等を追加

→近年の動向である。障害保健福祉施策の見直しの一環として,従来の「障害者自立支援法」を廃止し,新たに2013年4月からの施行を目指した「障害者総合支援法」が2012年6月に公布された。施行までの期間,障害者や障害児の地域生活を支援するための「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて,障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」が2010年12月に公布され,障害者自立支援法や児童福祉法等の改正が行われた。改正の主な内容は,①利用者負担について応能負担を原則とする。②発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化。③市区町村に基幹相談支援センターを設置し,相談支援体制を強化。④障害児支援について,障害種別等で分かれている施設を一元化。⑤障害児通所支援の創設。であった。
→直近の障害福祉サービスについて,3福祉士国家試験受験者には,WAM NETの障害者福祉の「よくあるご質問」が参考になるので参照されたい。(筆者)


7/24「障がい者等に配慮した取組みに関するアンケート調査の結果」7/19「障害保健福祉施策の経緯(2005年~2013年)」,7/5「使用者による障害者虐待の状況等」について,7/2「2011年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果)(概要 / 本文)),7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)6/30(「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文6/27「第183回通常国会」が閉会した)の記事を参照

(参考)
「2012年度 障害者相談支援事業 障害者相談支援事業の実施状況等の調査結果」(2013年5月22日公表)
8/28 厚生労働省 「子ども虐待対応の手引き(2013年8月改正版)」(概要 / 本文 ・2013年8月26日,厚生労働省は,2013年年8月23日付けで改正した「子ども虐待対応の手引き」(雇児総発0823第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長通知)の改正後の全文を公表した。
・「子ども虐待対応の手引き」は,児童相談所などに対して虐待対応の原則といった被虐待児支援の在り方を示すもので,4年ぶりに改訂され,虐待を受けた子のきょうだいについて,虐待が認められなくても心理的虐待として受理するように明記された。
<「改正子ども虐待対応の手引き」の構成>
第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項
第2章 虐待の発生を予防するために
第3章 通告・相談の受理はどうするか
第4章 調査及び保護者・子どもへのアプローチをどう進めるか
第5章 一時保護
第6章 診断・判定及び援助方針の決定をどのように行うか
第7章 親子分離に関わる法的対応をどう進めるか
第8章 児童福祉審議会の意見聴取をどう進めるか
第9章 在宅における援助をどう行うか
第10章 施設入所及び里親等委託中の援助
第11章 児童相談所の決定に対する不服申立てについて
第12章 関係機関との協働
第13章 特別な視点が必要な事例への対応
第14章 虐待重大事例に学ぶ
参考資料・参考文献・執筆協力者等一覧

→2012年度の児童虐待の件数が,掘り起こしにより,初めて6万件を超え,前年度より1割も増加しているが,これは氷山の一角にすぎないと見るのが一般的である。
→1999年3月に通知された「子ども虐待対応の手引き」の改訂経緯は,2000年11月(児童虐待防止法制定に伴う改訂),2005年3月(2004年の改正児童福祉法(市町村が虐待対応機関に加わるなど)に伴う改訂),2009年3月(2007年の改正児童虐待防止法(立入調査の強化等),2008年の改正児童福祉法(子育て支援事業の法定化等)等に伴う改訂),2013年8月(2013年5月の改正民法(親権停止制度の新設,法人又は複数の未成年後見人の選任など)に伴う改訂)である。
→現在,児童相談所も「児童の安全確保を最優先」と考えるようになり,一時保護をしてとりあえず児童の身の安全は確保するという段階となっている。しかし,その後の「親子関係」へのケアは手つかずのままであり,大きな課題として存在している。「子供の命を守る」ための保護体制は,まったく不十分である。
近年では,児童相談所への人員の拡充は進んでいるが,対応が追いついていないのが現状だと言われている。また,広島県のように,2013年度の大卒程度の職員採用試験で新たに社会福祉士の資格を持つ者を対象にした採用枠を設け,専門性に配慮するところも出てきている。(筆者)


7/29子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告要) / 2012年度児童虐待相談対応件数 / 2012年度親権に係る制度見直しの施行状況の記事を参照
8/27 厚生労働省 「2013年度 全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料」 ・2013年8月26日,厚生労働省は,2013年7月25日に開催された「2013年度 全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議」の資料を公表した。
<行政説明の個別資料>
児童虐待防止対策
子どもの貧困対策
社会的養護の推進
婦人相談所との連携
障害児支援

秩父学園における障害児支援
警察と児童相談所との連携
文部科学省における児童虐待への対応
居所不明児童生徒の把握等のための関係機関との連携

→2013年度社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の受験者には,有用な最新資料となる。
→その他の行政説明資料は,トップページのトピックス「(4)厚生労働省の予算および施策 ■「2013年に厚生労働省で開催された審議会,部局長・課長会議等」の項目を参照されたい。(筆者)
8/26 厚生労働省 「ひとり親家庭への支援施策の在り方について(中間まとめ)」 ・2013年8月23日,厚生労働省は,社会保障審議会児童部会の「ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」(委員長: 小杉労働政策研究・研修機構特任フェロー)において取りまとめられた「ひとり親家庭への支援施策の在り方について(中間まとめ)」を公表した。
本専門委員会は,2010年8月施行の「改正児童扶養手当法」(父子家庭への支給)の施行3年後検討規定に基づき設置され,2013年5月29日に第1回の会議が開催された。
・今後は,本「中間まとめ」を踏まえて,施策が進められる。
<「中間まとめ」で検討が必要とされた主なポイント>
①支援施策全体,実施体制
・地域の支援ニーズや社会資源の在り方に応じた相談支援窓口の整備のために必要な支援や,先進的取組等の収集・情報提供,支援施策の更なる周知と利用など。
②就業支援
・状態像に応じたきめ細かな就業支援,休日夜間などの相談支援等による転職やキャリアアップの支援など。
③子育て・生活支援
・就業等との両立のための子育て・生活支援に加えて,学習支援ボランティア事業等子どもへの支援の充実や活用促進など。
④養育費確保支援,経済的支援
・養育費確保を促す支援,児童扶養手当よりも少額の公的年金を受給する場合の差額の支給等の検討,母子寡婦福祉資金の貸付対象の父子家庭への拡大など。

「2011年度全国母子世帯等調査結果」によれば,20歳以下の子がいる「母子家庭」は123.8万世帯で,2006年度に比べ8.7万世帯も増加している。一方,「父子家庭」は24.1万世帯から22.3万世帯へと微減している。また,子どもの最終進学目標を「大学・大学院」としているのは,母子家庭で38.5%,父子家庭で35.5%で,母子家庭の母親の苦悩と決意が感じ取れる。
→結論だけ申し上げるが,筆者は,ひとり親家庭への支援の見直しについて,「少子化対策」の視点からのアプローチが欠損していると思う。(筆者)


6/5「ひとり親家庭の支援施策の在り方の見直しについて」の記事を参照
8/23 内閣官房 「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」~プログラム法案の骨子~ ・2013年8月22日,政府は,8月6日にまとめられた「社会保障制度改革国民会議報告書」を踏まえて,8月21日に閣議決定した改革のスケジュールを定めた「社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子について」(プログラム法案の骨子)を公表した。
<主な社会保障制度改革の工程>
項目 内容 負担
(1)年金 ・実施時期の記述はない
・法案提出時期の記述はない
①マクロ経済スライドの強化
②支給開始年齢の引き上げ
③年金課税の強化
④短時間労働者の厚生年金への加入条件緩和
(2)医療保険 ・2014~2017年度までを目途に順次実施
・法案は2015年の通常国会に提出
①70~74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げ
②紹介状なしに大病院を訪れる患者に定額自己負担を導入
③大企業の健康保険組合の負担増
④保険料の上限引き上げ
⑤低所得者の保険料の軽減
⑥月ごとの高額な医療費の自己負担上限額を高所得者は上げ,低所得者は下げる
⑦国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移管
-
(3)医療提供体制 ・病床の機能を再編し,在宅医療,在宅介護を推進(2017年までを目途に順次実施)
・法案は2014年の通常国会に提出
(4)介護保険 ・2015年を目途に実施
・法案は2014年の通常国会に提出
①軽度の「要支援」者をサービス対象から切り離す
②高所得者の利用者負担の引き上げ
③特別養護老人ホームは,「要介護3,4,5」の中重度者に限定
④低所得者の保険料の軽減

→本骨子は,「自助・自立を基本とする」と明記している。
→田村厚生労働大臣は,8月21日の記者会見において,制度改革案に関して,「詳細に関して議論を進めていくことはあるが,方向性が変わることは考えられない」と述べたと報道されている。田村大臣の無邪気な発言はいつものことであるが,負担増につながる項目への強い反発は必至であり,実現は簡単ではないとするのが大方の見解であると思う。(筆者)

8/6「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」 <8/13追記>■「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(概要 / 本文の記事を参照


トップページ(「(3)政府の予算及び取組み」)
8/22 厚生労働省 「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」(概要 / 本文 2013年8月20日,厚生労働省は,「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(座長:鎌田耕一東洋大学法学部教授)における検討結果(2012年10月より16回開催)を報告書として取りまとめ,公表した。
・現在は,無期限に派遣できるのは「専門26業務」で,その他の一般業務は派遣先の正社員の雇用保護を理由に原則1年,最長3年に限定されている。本報告書では,企業が1つの業務に派遣労働者を使用できる期間を最長3年に制限する現行ルールを撤廃し,労働組合の同意を条件に人を入れ替えれば派遣を使い続けられるようにすべきだとしている。

→「労働者派遣法」の経緯である。1986年に施行された「労働者派遣法」は,以後,企業の都合のいいように規制緩和され,2004年には製造業務への派遣も解禁された。しかし,2008年のリーマンショックによる「派遣切り」で20万人を超える労働者が職を失い,この批判を受けて,2009年以降の民主党政権では,労働者保護を公約し,2012年には日雇い派遣の原則禁止などを盛り込んだ「改正労働者派遣法」が成立した。
→本報告書は,緩和路線への逆行を進めるもので,経済界が求めている便利で安上がりに労働者を使える制度への変更である,という厳しい批判がある。
→本報告書は,今後,「労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」において,労使を交えて検討される予定である。(筆者)
8/21 厚生労働省,介護労働安定センター 「2012年度介護給付費実態調査結果」および「2012年度介護労働実態調査結果」
(1)2013年7月31日,厚生労働省は,「2012年度介護給付費実態調査結果(2012年5月分審査~2013年4月審査分)」を公表した。
<結果のポイント>
①受給者の状況
・年間累計受給者数:54,660.3千人(前年度比2 853.8千人増)
・年間実受給者数:5,430.6千人(前年度比256.8千人増)
②受給者1人当たり費用額
・157.6千人(前年度比0.6千円増)
③居宅サービスの状況
・「要介護5」62.8%,「要介護4」59.9%,「要介護3」56.3%
④地域密着型サービスの状況
・認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)11,837 事業所,小規模多機能型居宅介護3,979 事業所
⑤施設サービスの状況
・介護福祉施設サービスでは「要介護4」「要介護5」の割合が多い,介護保健施設サービスでは「要介護3」「要介護4」の割合が多い,介護療養施設サービスでは「要介護5」の割合が多い

(2)2013年8月16日,(財)介護労働安定センターは,「2012年度介護労働実態調査結果(2012年11月実施)」を公表した。
<結果のポイント>
①離職率および採用率
・離職率は,全体が17.0%(前年度16.1%),訪問介護員が14.0%(前年度13.8%),介護施設などで働く介護職員が18.3%(前年度16.9%)
・採用率23.3%(前年度21.0%)
②介護サービスに従事する業員の過不足
・「不足感」57.4%(前年度53.1%),「適当」42.0%(前年度46.1%)
③介護サービスを運営する上での問題点
・「良質な人材の確保が難しい」53.0%(前年度50.4%),「今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を払えない」46.4%(49.8%)
④介護職員処遇改善加算を算定した事業所の経営面での対応
・「一時金の支給」55.6%,「諸手当の導入・引き上げ」44.1%,「基本給の引き上げ」26.5%,「教育研修の充実」20.9%
⑤労働者の所定内賃金(月給の者,施設長を除く)
・全体では211,900円,介護職員は293,253円
⑥仕事を選んだ理由
・「働き甲斐のある仕事だから」は54.9%(前年度55.7%)
⑦労働条件等の不満
・「仕事内容のわりに賃金が低い」44.3%(前年度44.2%),「人手が足りない」42.4%(前年度40.2%),「有給休暇が取りにくい」35.6%(前年度36.1%),「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」30.0%(前年度30.8%)

→上記2調査結果は,ケアマネ試験および3福祉士国家試験の受験者が把握し,理解しておかなければならないものである。
→「介護労働者の賃金を4万円引き上げる」と煽るだけ煽って,消滅してしまった民主党への期待と共に,最近では,日本のマスメディアによる「介護現場の危機」に関する報道もめっきり少なくなった。2012年度に介護労働者の離職率がアップしたことについて,「公益財団法人介護労働安定センター」は,『「施設の介護職員が,好条件の職場を求めて他施設に転職する傾向が,離職率を上げたのでは」と分析している』,とさらりと報道されていた。お気楽な分析であり,報道である。(筆者)


「福祉専門職の現状」
8/20 内閣府 「いざというときのために応急手当の知識と技術を身につけておきましょう」
<内閣府の広報文{2013年8月9日)>
「事故などで心肺停止になった人を救うには,救急車が到着するまでの間に,そばに居合わせた人が速やかに心肺蘇生などの応急手当を行う必要があります。いざというときのために,消防署の講習会に参加して応急手当の知識と技術を身につけておきましょう。」

(1)そばに居合わせた人の心肺蘇生で一命をとりとめる
・日本では,119番通報があってから救急車が現場に駆けつけるまでに平均して8分ほどかかる。
(2)迅速な救命活動で命をつなぐ「救命の連鎖」
・「心停止の予防」→「心停止の早期発見と通報」→「一次救命処置(心肺蘇生とAED)→「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」
(3)講習会に参加して応急手当の技術の習得を
・各消防本部・消防署では応急手当の講習会(普通救命講習(講習時間 3時間),上級救命講習(講習時間 8時間))を実施している。
(4)応急手当のやり方(消防庁)
①周囲の安全を確認する。
②傷病者に近づき,反応(意識)を確認する。
③傷病者に反応がなければ,大声で叫び応援を呼ぶ。
④119番通報およびAEDを現場に届けてもらうよう協力を求める。
⑤呼吸を見る。(胸と腹の動きをしっかりとみてください。呼吸の確認は10秒以上かけないようにしてください。)
⑥胸骨圧迫を30回。
⑦人工呼吸2回。(どうしても人工呼吸を行うことができなければ省略可)

「JRC(日本版) ガイドライン2010(確定版)」
8/19 厚生労働省 ■心神喪失者等医療観察法における「指定入院医療機関の整備状況 」および「指定通院医療機関の指定状況」 ・2013年8月12日,厚生労働省は,心神喪失者等医療観察法における「指定入院医療機関の整備状況(2013年6月30日現在)」および「指定通院医療機関の指定状況(2013年6月30日現在)」を公表した。
<関連資料>
「心神喪失者等医療観察制度」(厚生労働省) / 法務省
 →心神喪失者等医療観察法
医療観察法の入院対象者の状況(2013年3月31日現在)
医療観察法の地方裁判所の審判の終局処理の状況2005年7月15日~2013年12月31日)
心神喪失者等医療観察法の施行の状況についての検討結果(2012年7月)

→一般の精神障害者の社会的入院の解消や社会復帰支援の資源も乏しい現状において,司法精神医療の対象者の社会復帰は難問中の難問である。
→日本の「心神喪失者等医療観察法」および「精神保健福祉法」は,イギリスの1983年精神保健法の影響を大きく受けていることを知る者は多い。しかし,「心神喪失者等医療観察法」は,イギリスの司法精神医療をモデルにされているが,精神障害犯罪者の処遇に関して,日本とイギリスの根本的な違いは,刑事司法システムと司法精神医療システムとの関係にあることを,「精神保健福祉士」ですら明確に答えられないのが現状である。当然に,何が問題・課題であるかを十分に把握できていないということになる。
→心神喪失者等医療観察法の対象者の社会復帰支援は,法務省管轄の社会復帰調整官が行い,社会復帰に関係する福祉施設や福祉関係者は厚生労働省の管轄となっている。厚生労働省と法務省との縦割り行政の弊害は明らかである。日本においては,精神障害者の社会復帰支援は,厚生労働省が責任をもって支援にあたるのがいいに決まっている。効果が全く不明な医療観察制度関連施策だけに膨大な税金が注ぎ込まれているが,肝心要の「社会的入院の解消」を目指す精神障害者社会復帰支援の整備は遅々として進まない(2013年度障害保健福祉部の予算案において,精神障害者のアウトリーチ(訪問支援)体制整備は6.8億円,地域移行・地域定着支援は1.3億円であるが,医療観察法関連予算は213億円である)。(筆者)


(参考)
「心神喪失者等医療観察制度における地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業報告書」(日本精神保健福祉士協会)
8/9 厚生労働省 「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化」 ・2013年8月8日,厚生労働省は,若者の離職率が高く「使い捨て」にしているのではないかと疑われる企業,いわゆる「ブラック企業」に対して,「過重労働重点監督月間」として9月に監督指導などを集中的に実施することを発表した。なお,2012年には,企業などに134,295件の監督指導を実施している
・ 労働基準法の施行日である9月1日には,0120-794-713で電話相談を受付し,9月2日以降も,厚生労働省の「総合労働相談センター」「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報を受け付ける。
<厚生労働省の取組の3本柱>
①長時間労働の抑制に向けて,集中的な取組を行う。
→9月を「過重労働重点監督月間」とする
相談にしっかり対応する。
→9月1日に全国一斉の電話相談を実施する
職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進する。

→一層の周知啓発を徹底する

→田村厚生労働大臣は,8月8日の記者会見で,「若者が使い捨てにされている問題を野放しにしておいたのでは,日本の将来はない。ブラック企業をなくしていきたい」と強弁した。声援を送りたい。
→ただ,週刊誌等で「ブラック企業」と名指しされている「あのワタミ(株)」の創業者である渡邉美樹氏が,2013年7月の参議院選挙において,自民党公認で参議院議員(104,176票を獲得)に当選している。今後,氏は自民党の看板を掲げて,「ブラック企業」の運営で培ってきた経営能力を,農業の強化や震災復興,経済の強化,教育や福祉の分野で力を尽くすということになる。安倍首相は,2006年の安倍内閣において,教育再生会議委員に任命している。果たして,安倍内閣の田村サンは,強弁通りに,ワタミを含めた「ブラック企業」をなくせるのだろうか。(筆者)
8/7 厚生労働省 「2012年 生活と支え合いに関する調査結果」 ・2013年7月24日,国立社会保障・人口問題研究所は,2012年7月に実施した「生活と支え合いに関する調査」(旧:社会保障実態調査)の結果を公表した。
・本調査は,生活困難の状況や,家族や地域の人々の支え合いの実態を把握し,公的な支援が必要なのはどのような人なのかなどを調査することを目的として,5年ごとに実施しているものである。なお,今回の調査では,2007年度に初めて実施した「社会保障実態調査」の内容を継続し,不況や震災の家計への影響などの調査項目を追加し,名称が変更された。
・調査対象は,「2012年国民生活基礎調査」で設定された全国(福島県を除く)の調査地区(1,102地区)から無作為に選ばれた300地区に居住する世帯主および20歳以上の世帯員で,有効回答票数は,世帯票11,000(有効回収率68.3%),個人票21,173(有効回収率80.6%)であった。
<調査結果のポイント>
①親に経済的支援をしている人が増加。
②若者の自立は20代後半が中心。
③ひとり暮らしの高齢男性で社会的孤立が深刻。
④おおよそ7割から8割の人が,さまざまな支援を家族から受けているものの,一部の人は「頼れる人」がいない。
⑤食料や衣服の困窮,家賃,その他債務の滞納の経験者は,前回(2007年)に比べ減少。
⑥医療機関受診が出来なかった主な理由は,「行く時間が無かった」。
⑦現在の暮らし向きは約4割が「やや苦しい」「大変苦しい」。特に,30~59歳の無職男性は割合が高い。
⑧東日本大震災の影響で10.4%が収入減少。一方,17.6%は「絆が深まった」。

→20歳代以上の男女の約4割が生活が苦しいと感じており,5年前と比べ,生活水準が悪くなったと考える男女も4割近くに上る。これは,政治の怠慢を表す。
→今回の調査では,高齢の親と同居したり援助を受けている貧困化した20代~40代の非正規雇用者や低賃金労働者の実態が覆い隠されているが,親亡き後の調査において,貧困化の構造が一気に表面化するという指摘がある。(筆者)
8/6 首相官邸 「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」

(8/6追記)
「社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」(概要 / 本文
「社会保障制度改革推進法」(2012年)に基づき,社会保障制度改革を行うために必要な事項を審議するため,内閣に,「社会保障制度改革国民会議」が設置された。検討項目は,①医療改革,②介護改革,③年金改革,④少子化対策の4項目であった。
・2013年8月5日,「第20回社会保障制度改革国民会議」が開催され,「社会保障制度改革国民会議 報告書」および「国民へのメッセージ」が取りまとめられた。8月6日に安倍首相に提出される
<「社会保障制度改革国民会議」の開催>
(1)設置根拠
社会保障制度改革推進法,国民会議令
(2)委員
委員名簿
(3)設置期限
2013年8月21日
(3)開催
1回(2012年11/30),2回(12/7),3回(2013年1/21),4回(2/19),5回(2/28),6回(3/13),7回(3/27),8回(4/4),9回(4/19),10回(4/22),11回(5/9),12回(5/17),13回(6/3)),14回(6/10),15回(6/13),16回(6/24),17回(7/12),18回(7/29),19回(7/29),20回(8/5)

→今後の予定である。政府は,本報告書に沿って,個別テーマごとの法案提出時期をまとめた「プログラム法案」の要綱を閣議決定し,「プログラム法案」は,秋の第185回臨時国会に提出される。また,個別テーマごとの関連法案は,2014年1月の第186回通常国会以降,順次提出される。
→本報告書の詳細については,改めて記事にする予定である。
→なお,8月5日,民主党は,自民党・公明党との社会保障をめぐる3党実務者協議から離脱し,税に関する3党協議には応じる方針を示したとのことである。期待を裏切り,自爆した政党のくだらない意地のように思える。(筆者)
8/5 厚生労働省 「第26回社会福祉士国家試験の施行について」および「第16回精神保健福祉士国家試験の施行について」 ・2013年8月2日,厚生労働省は,「第26回社会福祉士国家試験の施行」について官報で公告した。
(1)試験日
・2014年1月26日(日)
(2)合格発表日
・2014年3月14日(金)午後
(3)受験手続
①受験書類の受付期間 :2013年9月5日(木)~10月4日(金)
②受験書類の提出先 :社会福祉振興・試験センター
(4)受験手数料
・一般受験者 :7,540円
・同時受験者 :6,830円
・科目免除者 :6,360円

(5)試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
坂田周一(前年度は委員)
副委員長
秋元美世,
小笠原浩一後藤隆副田あけみ,高橋紘士,橋本宏子,長谷川敏彦,前橋信和(前年度は委員)
委員
相原佳子,明渡陽子,朝日雅也,荒井浩道,石川正興,石田道彦,石橋敏郎,井村修,岡田まり,尾形裕也,加山弾北本佳子,倉田,康路,小山充道,坂本洋一,佐藤弥生潮谷恵美生島浩,白川泰之,新保美香,杉野昭博,杉野勇,杉森伸吉,高野和良,高野龍昭田渕六郎玉野和志,綱川晃弘,中田知生,中谷陽明,長友祐三,難波利光,西田和弘,狭間香代子,原元彦,平田厚,府川哲夫福田素生福富昌城福原宏幸,藤井賢一郎,保正友子増田雅暢,松尾睦,松端克文,丸谷浩介道中隆,椋野美智子,村社卓,森川美絵,森田明美,柳田正明,矢野聡,矢原隆行,山本真実,横山豊治吉原雅昭,和気純子,綿祐二,渡辺雅幸

・2013年8月2日,厚生労働省は,「第16回精神保健福祉士国家試験の施行」について官報で公告した。
(1)試験日
・専門科目 :2014年1月25日(土)
・共通科目 :2014年1月26日(日)
(2)合格発表日
・2014年3月14日(金)午後
(3)受験手続
①受験書類の受付期間 :2013年9月5日(木)~10月4日(金)
②受験書類の提出先 :社会福祉振興・試験センター
(4)受験手数料
・一般受験者 :13,250円
・同時受験者 :10,680円
・科目免除者 :10,560円

(5)試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
鹿島晴雄
副委員長
石川到覚,小川一夫,菅野庸,住友雄資,
髙橋紘士,田中英樹
委員
相原佳子,青木聖久,明渡陽子,浅沼奈美,荒井浩道,石田道彦,石橋敏郎,伊東秀幸,井村修,江間由紀夫,大久保善朗,大山勉,尾形裕也,影山隆之,勝又陽太郎,金子努,加山弾,小山充道,坂本洋一,佐藤光正,白石弘巳,白川泰之,杉野昭博杉森伸吉,高野和良,竹島正,田渕六郎玉野和志,・井誠人,豊嶋良一,長崎和則,中田知生,長友祐三,中村和彦難波利光,西田和弘,橋本みきえ,原元彦,平田厚,府川哲夫福田素生福富昌城福原宏幸,古屋龍太,保正友子,松岡克尚,松端克文,松本すみ子,丸谷浩介道中隆,宮岡等,森川美絵,森田久美子,柳田正明,矢野聡,山野尚美,吉川公章,吉原雅昭,四方田清,渡辺雅幸

7/6「第26回介護福祉士国家試験の施行について」の記事を参照
8/2 内閣府 「竹島に関する特別世論調査(2013年6月)」の概要 ・2013年8月1日,内閣府は,韓国による不法占拠が続いている日本固有の領土である竹島について,2013年6月に実施した「竹島に関する特別世論調査」の結果を発表した。

→筆者は,従来から,韓国についてはまったく興味がないので何のコメントもない。ただ,「竹島が歴史的にも国際法上も日本固有の領土である」と答えた人が60.7%にとどまっていることは,政府の怠慢によるものであると考える。竹島に限らず,日本の領土に関する日本政府の公式見解は,キチンと繰り返し国民に伝え続けるべきである。(筆者)
8/1 厚生労働省 ■「主な医療系国家資格の試験問題と正答」 ・2013年7月31日,厚生労働省は,2012年度に実施された医療系国家資格の試験問題と正答を公表した。
主な医療系国家資格 問題 正解 実施
第48回理学療法士国家試験 午前 / 別冊
午後 / 別冊
正答 2/24
第48回作業療法士国家試験 午前 / 別冊
午後 / 別冊
正答 2/24
第102回看護師国家試験 午前 / 別冊
午後
正答 2/17
第99回保健師国家試験 午前
午後
正答 2/15
第96回助産師国家試験 午前 / 別冊
午後
正答 2/14
第107回医師国家試験 A~I 正答 2/9~2/11
第106回歯科医師国家試験 A~D 正答 2/2

→医療と介護の連携は,住み慣れた地域で,必要な医療・介護サービスを継続的・一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築のために必要不可欠とされ,今後,医療と介護の役割分担と連携を強化する必要があるとされている。
→介護系のケアマネ試験受験者および3福祉国家試験受験者が,医療系国家資格における問題との違いを体感してみることは無駄ではない。(筆者)
7/31 厚生労働省 「在宅医療の推進について」および「地域包括ケアについて」 ・2013年6月28日に開催された「第98回市町村職員を対象とするセミナー~在宅医療・介護の推進について~」の資料が公表された。
<資料の構成>
(1)在宅医療の推進

①背景
②在宅医療の現状
③在宅医療・介護の推進
④制度的対応
⑤予算での対応
⑥診療報酬・介護報酬
⑦在宅医療における新しい課題

(2)地域包括ケア
・介護の将来像(地域包括ケアシステム)
・介護サービスの種類
・介護給付と保険料の推移
・高齢者人口と要介護認定率
・要介護度別認定者数の推移
・通所介護費用が急増している
・高齢者の生活支援ニーズ
・高齢者の権利擁護に関する課題
・在宅医療・介護の連携における課題
・ケアマネジャーの保有資格
・地域包括支援センターの設置状況
・地域包括支援センターにおける相談支援状況
・「地域包括ケア」に係る理念規定の創設
・認知症施策の推進-「今後の認知症施策の方向性について」の概要-
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護の推進
・小規模多機能型居宅介護の概要
・小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複合型サービスの概要(イメージ図)
・サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要
・介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)
・生活支援サービスの充実と高齢者の社会参加
・高齢者による自助・互助の取組により介護予防を促進する
・第5期介護保険事業計画の位置づけ
・「地域包括ケア」を実現できる事業計画を策定するには
・地域ケア会議
・個別課題の解決から始める意義(参考例)
・(参考)地域ケア会議活用推進等事業
・市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス(概念図)
・地域包括ケアシステム構築に向けた在宅医療への期待
・地域包括ケアシステムの実現に向けた市町村への期待
・これからの高齢者施策
・地域の特性を踏まえた地域包括ケアシステムの構築

→ケアマネ試験および3福祉士国家試験の受験用の参考資料として活用していただきたい。(筆者)
7/30 内閣府 「高速道路の安全ドライブ3つのポイント」 ・交通事故が全体的に減少傾向であるにもかかわらず,高速道路での死亡事故は増加している。高速道路での死亡事故の4件に1件が,故障や事故で停車中の車や人に後続車が衝突したもの,とのことである。
<事故防止のポイント>
(1)車の点検と発煙筒・停止表示機材の携行を忘れずに!
(2)誤った認識を改め,正しいルールでの高速道路での走行を
(3)故障や事故が発生したときは適切な対応を!
①ハザードランプを点灯させ,路肩に停車
②発炎筒,停止表示器材を後方に設置
③ガードレールの外側など安全な場所に避難
④発生した故障・事故状況を通報
・道路緊急ダイヤル「#9910」
・110番
・非常電話(1kmごとに設置)

→高速道路での死亡事故において,事故当事者のうち過失が重いほうの人(第一当事者)が普段どのくらい高速道路を利用していたかをみると,約80%を高速道路を走りに慣れているドライバーが締めており,過去に違反歴はあるが「事故歴ゼロ」という人が第一当事者となるケースが多いとのことである。衝撃的な事実である。(筆者)
7/29 厚生労働省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告要) / 2012年度児童虐待相談対応件数 / 2012年度親権に係る制度見直しの施行状況 ・2013年7月25日,厚生労働省は,児童虐待防止法に基づく「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告の概要)」,「2012年度児童虐待相談対応件数」,改正民法・児童福祉法に基づく「2012年度親権に係る制度見直しの施行状況」を公表した。
<ポイント>
(1)子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告の概要)
①対象期間に発生又は表面化した心中以外の虐待死事例は56例(58人),心中による虐待死事例は29例(41人)であった。
②心中以外の虐待死事例で死亡した子どもの年齢は,0歳が25人(43.1%),3歳未満が39人と約7割を占めている。
③地方公共団体と国への提言のうち主なものは,養育支援を必要とする家庭の妊娠期・出産後早期からの把握及び支援のための保健機関(母子保健担当部署)の質の向上と体制整備,児童相談所と市町村における専門性の確保と体制整備,要保護児童対策地域協議会の活用促進と調整機関の機能強化であった。
(2)2012年度児童虐待相談対応件数
・2012年度中に,全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は66,807件(速報値)であった。
・統計を取り始めてから22年連続で過去最多を更新し,2002年度と比べて2.8倍となった。
(3)2012年度親権に係る制度見直しの施行状況
・2012年4月から,改正民法・児童福祉法が施行され,親権停止制度が創設され,法人又は複数人の未成年後見人が選任できるようになった。
 ・2012年度に全国の児童相談所長が行った家庭裁判所に対する親権停止の審判の申立ての実績は,17自治体で27事例,法人又は複数人の未成年後見人の選任申立ての実績は,8自治体で13事例であった。

→地方自治体の子どもに関連する施策の窓口は,妊娠から出産は「母子保健」,保育所は「児童福祉」,幼稚園や小中高校は「教育委員会」で,問題行動に対処する場合は「青少年対策」や「児童相談所」に分かれ,縦割り行政により責任の所在が不明確である。
→児童虐待においても,施策の遅れは厚生労働省と文部科学省が責任を擦り付け合い,具体的な事案は都道府県が市町村に責任を押し付けるという図式が定着しているように思われる。児童虐待死では,望まない出産や10代の妊娠には「性教育」が重要であり,愛情をかけ子育てをする意思はあるが相談相手がなく地域から孤立し追い詰められている若い親への支援,貧困との関連や虐待の連鎖を断つ,など課題が山積するが,対応に一貫性が感じられない。なお,2013年の第183回通常国会で,議員立法により「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立し,今後,保護者の就労支援など具体策を盛り込む大綱を策定することとされている。
→筆者は,虐待される子供への保護体制は,児童虐待大国のアメリカの成功例を基にした制度を日本に導入しなければならない状況にあると思う。現行の,日本の児童相談所による通報後に親と面接を基本とするような体制ではなく,「児童の保護」を強行的に優先する制度・体制の導入が必要であると思う。(筆者)


(参考)
「児童虐待に関する法令・指針等一覧」
7/25 消費者庁 「消費者意識基本調査の結果(概要)」 ・2013年7月10日,消費者庁は,「2012年度 消費者意識基本調査の結果(2013年2月実施)」を公表した。
・本調査では,日頃の消費生活での意識や行動,消費者事故・トラブルの経験等を中心に尋ねている。例えば,消費者が商品やサービスを選ぶ際に「常に意識する」項目として,価格,機能,安全性が上位を占めたが,広告やブランドイメージは「たまに意識する」が多かった。また,この1年間に電話勧誘を受けた経験のある者が約6割,そのうち約4割が不当な行為を受け,購入した商品や利用したサービスで被害を受けたと答えた者のうち,誰にも相談しなかった者は約3割となっている。


→消費者庁に対する,筆者の所感である。
このようなどうでもいい調査(設問項目や設問の仕方に異議がある)やその結果を分析をする暇があったら,「自分たちの為すべきことを為せ」と言いたい。消費者庁の過去のたびたびの不作為による不手際もさることながら,現在進行中の「カネボウの美白被害事案」での後追いの対応には強い憤りを感じている。
→あろうことか,自分たちの不手際を棚上げにして,2013年7月24日の記者会見において,阿南消費者庁長官は,「カネボウはもっと早く公表すべきだった」とカネボウの対応の遅れを批判し,「5月の時点で使用中止を呼びかけていれば,少しでも被害を防げたはずだ」と述べたと報道されている。しかし,それをやらせられなかった「消費者庁の対応のまずさ」を非難するマスメディアの報道は見当たらない。消費者庁は,カネボウの対応を非難する前に,まず,監督不行き届きとして,行政の対応のまずさを被害者・国民に詫びるべきではなかったか,と筆者は思う。2013年7月10日および7月18日の記者会見での消費者庁長官と記者とのやり取りからも,行政(特に,消費者庁や厚生労働省)の対応の不誠実さが読み取れた。(筆者)

6/26「温めすぎは要注意!~電子レンジに潜む危険」の記事を参照
7/24 金融庁 「障がい者等に配慮した取組みに関するアンケート調査の結果」 ・2013年7月9日,金融庁は,各金融機関に対し,2013年3月末時点での障がい者等に配慮した取組み状況についてアンケート調査を行い,その結果を公表した。
・調査結果では,視覚障がい者対応ATMの設置率は全金融機関で約72%となっている。

→1990年にアメリカで成立した「障害を持つアメリカ人法」(ADA法)を端緒に,障害者差別禁止法の制定は世界各国に広がった。2006年12月に「障害者権利条約」が国連で採択され,2008年5月3日に発効した。2013年6月現在の批准国は132か国で,日本は批准していない。ようやく日本も2013年6月19日に「障害者差別解消法」が成立した。今後,2016年4月の施行に向けて,分野ごとに直接差別や合理的配慮の具体例を示したガイドラインが定められる。障害者差別解消法の成立により,「障害者権利条約批准」に向けての関連法は形の上で整ったことになる。20年以上も世界から遅れている日本政府の障害者施策を支えてきたのは,他ならぬ日本国民の障害に対する理解や意識の低さである。
→なお,2002年の「障害者基本計画」に掲げられた「公共サービス従事者に対する障害者理解の促進」において,障害者が窓口を利用する際に配慮すべき事項を具体的に示した「公共サービス窓口における配慮マニュアル」が作成されている。(筆者)


7/19「障害保健福祉施策の経緯(2005年~2013年)」,7/5「使用者による障害者虐待の状況等」について,7/2「2011年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果)(概要 / 本文)),7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)6/30(「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文6/27「第183回通常国会」が閉会した)の記事を参照
7/19 厚生労働省 「障害保健福祉施策の経緯(2005年~2013年)」 ・2013年7月18日,厚生労働省は,「第50回社会保障審議会障害者部会」の資料を公表した。
「障害保健福祉施策の変遷(2005年~2013年)」
成立 法律名 課題 完全施行
2005年
10月31日
「障害者自立支援法」 2006年
10月1日
2010年
12月3日
「つなぎ法」(議員立法) 2012年
4月1日
2011年
6月17日
「障害者虐待防止法」(議員立法) 2012年
10月1日
2011年
7月29日
「改正障害者基本法」 2012年
5月21日
2012年
6月20日
「障害者優先調達推進法」 2013年
4月1日
「障害者総合支援法」 2014年
4月1日
2013年
6月13日
「改正精神保健福祉法」 2016年
4月1日
「改正障害者雇用促進法」 2018年
4月1日
2013年
6月19日
「障害者差別解消法」 2016年
4月1日

「障害福祉サービス等の現状」
 ・障害福祉サービス関係予算額は義務的経費化により10年間で2倍以上に増加している。
・2011年3月から2012年3月にかけて障害福祉サービス利用者数全体で11.9%増加し,精神障害者の利用者数は23.3%の増加となっている。
・障害福祉サービス延べ利用者数・利用額において,生活介護,就労継続支援B型が多い。また,障害児給付延べ利用者数・利用額において,児童発達支援,放課後等デイサービスが多い。
・2010年4月から,実質的な応能負担として低所得の利用者負担を無料化。障害福祉サービス利用者のうち,93.3%が無料でサービスを利用している。給付費全体に対する利用者負担額の割合は,0.22%となっている。
・入所施設の利用者数は,障害者自立支援法施行時に比べ着実に減少している。ケアホーム・グループホーム利用者は着実に増加している。
・就労系障害福祉サービスから一般就労への移行者数は約10年で4倍以上に増加している。
・サービス等利用計画については,2012年度から対象を拡大し,2015年度からは全ての利用者を対象とする。

→一般的には,2013年の第183回通常国会は,日本の障害分野にとって大きな節目になったと受け止められている。改正公職選挙法による成年被後見人の選挙権回復,改正障害者雇用促進法による精神障害者雇用の他障害者との同水準化への方向付け,改正精神保健福祉法による「保護者規定」の削除,障害者差別解消法の成立があった。それぞれに問題を抱えてはいるが,曲がりなりにも,2012年に障害者基本法が改正され,2013年に障害者差別解消法が成立したことにより,今後は「権利条約の批准」というステージに移っていくことになる。
→筆者は,「条約の批准は終結点ではない。国内法制改革の動きを絶対に止めてはならない」とする意見に賛同する。(筆者)

7/5「使用者による障害者虐待の状況等」について,7/2「2011年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果)(概要 / 本文)),7/1「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」)6/30「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文6/27「第183回通常国会」が閉会したの記事を参照
7/18 厚生労働省 「夏休み期間中における海外での感染症予防について」 ・2013年7月18日,厚生労働省は,夏休み期間中の海外への渡航で注意すべき感染症及びその予防対策についての最新情報を公開した。
<海外での感染症予防のポイント>
(1)海外で感染症にかからないようにするために,感染症に対する正しい知識と予防方法を身につける。
(2)渡航先や渡航先での行動によって異なるが,最も感染の可能性が高いのは食べ物や水を介した消化器系の感染症である。
(3)日本で発生していない,動物や蚊・マダニなどが媒介する病気が海外では流行していることがあり,注意が必要である。また,WHOが排除又は根絶を目指している麻しん(はしか)やポリオは,日本での感染者が減少傾向又は発生が認められていないが,諸外国では未だに流行している。
注)予防接種実施機関の探し方

海外で注意しなければいけない感染症(一覧)
①蚊やダニなどが媒介する感染症
マラリアデング熱・デング出血熱チクングニア熱ウエストナイル熱・ウエストナイル脳炎クリミア・コンゴ出血熱
②動物からうつる感染症
鳥インフルエンザ(H5N1H7N9),狂犬病エボラ出血熱マールブルグ病
③諸外国での感染に注意すべき感染症
麻しん(はしか)ポリオ中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)
④その他注意すべき感染症
水や食べ物から感染する消化器系の感染症(A型肝炎,E型肝炎,コレラ,赤痢,腸チフスなど),生鮮魚介類や生肉等を介した寄生虫疾患

<感染症に関するホームページ>
FORTH/厚生労働省検疫所ホームページ
世界の医療事情(外務省)
7/17 総務省 「2013年版 情報通信白書」(ポイント / 概要 / 本文 ・2013年7月16日,総務省は,日本の情報通信の現況及び情報通信の政策の動向について,国民の理解を得ることを目的として,「2013年版 情報通信に関する現状報告(情報通信白書)」を公表した。なお,情報通信白書は,1973年から毎年作成され,今回で41回目となる。
・今回の情報通信白書では,特集テーマを「『スマートICT』の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか」とし,ICTの最新トレンド,あるいはICT産業の国際展開を活かして,日本経済の再生と成長をどう実現するかを展望している。

→今回初めて,ビッグデータに関する統計を公表した。ビッグデータがやりとりされた量は,7年間で5.5倍に急増しているとのことである。
→パソコン,スマートフォン,カーナビなどあらゆる電子機器から発信され,蓄積される個人の購買履歴やウェブ検索の履歴,車の位置情報などの膨大なデータ(「ビッグデータ」と呼ばれる)を国内でフル活用した場合,小売業,農業,インフラ,製造の4分野で年間7兆7,700億円の経済効果が見込めると試算している。小売業でにおいては,購買履歴の分析により効果的な販売促進が可能になり,1兆1,500億円の経済効果が,農業においては,栽培や土壌データの分析で最適な肥料や農薬の量を機械的に計算でき,4,000億円の経済効果が,インフラ分野においては,カーナビなどのデータを活用した渋滞解消で,燃費の向上により,1兆4,300億円の効果が,製造業においては,業務用機械の故障の減少などにより,4兆7,900億円の経済効果があるとしている。
→一方,日本では,プライバシー情報や個人データの取り扱いに対して強い拒否感があり,今回,実名公開については,海外と比較して慎重な人が多い(57.3%)ことも指摘されている。筆者は,日本のビッグデータにおける基本的な問題は,社会全体のデータ利用(活用)への理解や認識が低いことだと思う。未だに,データよりもKKD(カンと経験と度胸)が優先される社会であるから。 (筆者)


7/11「ICT成長戦略(~ICTによる経済成長と国際社会への貢献~)」,7/10「ネット選挙運動解禁啓発動画コンテストにおける全賞の決定」,7/9「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書」(概要  / 本文))の記事を参照
7/15 厚生労働省 「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」 ・2012年6月18日に公表された「今後の認知症施策の方向性について」や,2012年8月24日に公表された「認知症高齢者数の将来推計」などに基づいて,2012年9月5日に「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン」(2013年度~2017年度)が公表され,その計画の一つとして「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定が予定されていた。
・2013年7月12日,「2012年度厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業」の「認知症,特にBPSDへの適切な薬物使用に関するガイドライン作成に関する研究」の成果として策定された
「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」が公表された。

→今まで,「かかりつけ医のBPSDに対する安易な薬物投与」が野放しにされていたが,ようやく,「向精神薬の使用に際して,身体拘束を意図した投薬は避けるべきであり,いかなる場合でも認知症になっても本人の意思が尊重される医療サービスが提供されるように努めるべきである」という歯止め(最低限の基準)が明確にされた。BPSDの悪化要因として,薬剤が4割を占めるという研究結果は公知であった。精神医療においては,BPSDは医療だけでは解決できず,生活や家族とも影響するとされているはずであるが,果たして,精神科病院やクリニックでの実態はどうであろうか。(筆者)
7/12 環境省 2013年度から,7月は「熱中症予防強化月間」と定められた ・2013年6月4日の「熱中症関係省庁連絡会議」(消防庁,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,気象庁,環境省<事務局>)において,熱中症の被害を少なくするために,国民が熱中症の予防対応策についての正しい知識を持つことの重要性をより一層周知するべく,2013年度から7月1日から7月31日を「熱中症予防強化月間」と定められた。

→「7月11日,静岡県にある静岡大学附属浜松中学校で,体力テストの持久走をしていた生徒21人が熱中症で,救急車で病院に運ばれました」というテレビニュースが流れていた。7月11日の朝,持久走を実施すれば熱中症の危険があるということは学校側も十分認識していながら,「こういうことが起こったのは判断がよくなかった」という担当した当該中学校教諭のコメントが紹介されていた。色んな理由や言い訳があるにせよ,情けない。教育者でも,この程度の認識である。(筆者)

(参考)
「環境省熱中症情報」
「環境省熱中症予防情報」⇒熱中症予防の目安と暑さ指数(WBGT)の情報提供サービス
(注意喚起)「熱中症から身を守る 予防法と対処法」(政府広報オンライン)
7/11 総務省 「ICT成長戦略(~ICTによる経済成長と国際社会への貢献~)」 ・総務省は,グローバル展開を視野に入れつつ,ICTを日本経済の成長と国際社会への貢献の切り札として活用する方策等を様々な角度から検討するために,2013年2月22日から「ICT成長戦略会議」構成員16名)において4回の会議を開催し,2013年7月4日,同会議が取りまとめた「ICT成長戦略」を公表した。
・設定された検討内容は,①社会実装戦略(くらしを変える),②新産業創出戦略(新しいモノをつくる),③研究開発戦略(世界に貢献する),であった。

→結局,内閣の「IT総合戦略本部会合」との関連が明確でないまま,総務省の「ICT成長戦略会議」から「ICT成長戦略」が公表された。筆者は,日本の経済成長に結び付く「日本のICT産業を強化する戦略」ではなく,従来通りの縦割り行政から出てきた「日本のICT産業への税金バラマキ戦略」だという批判的な意見に納得している。(筆者)
7/10 総務省 「ネット選挙運動解禁啓発動画コンテストにおける全賞の決定」 ・総務省は,2013年6月14日に5月26日施行の「改正公職選挙法」(インターネット選挙運動解禁の周知啓発の一環としての動画コンテスト公募を開始し,第1次審査で8点まで絞り,第2次審査を一般投票(人気投票)で決定し,7月2日に最優秀賞(総務大臣賞)を,7月8日に各賞(5賞)を公表した。
<6月21日記事の再掲>
「改正公職選挙法に基づくインターネット選挙運動解禁について」に関して
→これまでの公職選挙法では,選挙期間中に候補者がWeb,メール,Twitter,Facebookなどを通じて有権者にアピールする選挙活動は一切禁止され,更新もできなかったが,2013年7月4日公示,21日投開票の日程で行われる見通しの参院議員選挙からできることになった。
→筆者の「インターネット選挙運動解禁」に対する所感である。ネットによる選挙運動解禁の最大のメリットは,選挙前の日本のマスメディア(インターネットの世界では「マスゴミ」と言われている)による「世論誘導」や「世論操作」に,限定的ではあるが,一定の歯止めがかかることだと考えている。また,アメリカや韓国の例を引き合いに出されても,二元代表制でない日本では,ネットによる選挙運動解禁で投票率が上がるとは思えないし,選挙結果の大勢に影響を与えることにはならないと思う。まして,「政党政治が脆弱化する」とは到底思えない。結局のところ,デメリットの多い選挙運動ツールが1つ増えたことによって,選挙経費がかさむことになるだけではないかと思う。
→それにしても,総務省の広報用のチラシ等は,見づらいし,分かりにくい。(筆者)

→動画コンテストの応募が104件,期間中のページ閲覧が39万回,動画再生が1万5千回,3,300人が投票したとのことで,総務省は自画自賛しているところを見ると,閲覧や再生回数を重要な評価指標にしているようである。
→筆者は,せっかくの受賞作品を「テレビ放映」しないのは奇妙に思うし,受賞全作品の発表が選挙の公示日(7月4日)を過ぎていては,いかにも間が抜けていると思う。(筆者)


6/21「改正公職選挙法に基づくインターネット選挙運動解禁について」の記事を参照

(参考)
「第23回参議院議員通常選挙公式サイト」
7/9 厚生労働省 「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書」(概要  / 本文 ・2013年6月26日,厚生労働省は,「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会報告書」(座長:大橋中央大学大学院戦略経営研究科教授)を公表した。
・本検討会は,地域における中高年齢者の就労をめぐる現状と課題を整理し,企業を退職した高年齢者が「居場所」と「出番」を得られ,地域社会に貢献できるような就労を支援するための施策の方向性を検討することを目的として,2013年2月から6回開催された。
<報告書のポイント>
(1)基本的な考え方

人生100年時代を見据え,働く意欲のある高齢者が培った能力や経験を活かし,生涯現役で活躍し続けられる社会環境を整えていくことが必要である。 とりわけ65歳を迎えた団塊の世代が労働市場からの引退過程に入り,サラリーマン層の多くが地域に活動の場を移しつつある中,これらの人が活躍できる環境の整備が喫緊の課題である。高齢者が生きがいを持って社会参加することは,健康維持,介護予防となることが期待され,社会保障負担の軽減にもつながると考えられる。
高齢化に加え,少子化,核家族化が進む中で,これまで家族が担ってきた子育て,高齢者に対する生活支援,介護などを社会全体で支援していく必要性が高まってきている。そのような分野で経験豊富な高齢者が現役世代の補助的な役割を担い,社会の支え手として活躍してもらうことが望まれる。
(2)現状と課題
①就業構造の変化と65歳以降の就業率の低下
②地方の高齢化と今後の都市近郊での急速な高齢化
③地域での高齢者の就業・社会参加機会
④核家族化と地域社会の支え手の必要性
(3)生涯現役社会の実現に向けた就労・社会のあり方についての提言
①高齢期の就労・社会参加に向けた意識改革
②プラットフォーム・コーディネーター設置の推進モデル事業
③シルバー人材センター等の活性化
④専門的な知識や技術、経験を他の企業で活かす仕組みのあり方
⑤企業における高齢者の活用のあり方

→厚生労働省は,2011年6月20の「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書~生涯現役社会を目指して~」(座長:清家慶応義塾長)を受け,2013年4月からの企業の65歳雇用制度の義務化に結び付けた。2012年から,65歳を迎えた団塊の世代が労働市場から引退過程に入っているが,「喫緊の課題」とされていたにもかかわらず,彼らの活躍できる環境の整備の検討については手付かずのままであった。遅まきながら,2013年2月27日に「生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会」(座長:大橋中央大学大学院戦略経営研究科教授)が設置され,わずか6回の検討会でまとめられたのが今回の報告書である。 厚生労働省は,「本報告書の方向性を踏まえ,今後,生涯現役社会の実現に向けた取組を推進していきます」とし,とりあえず薄っぺらいパンフレット(中高年齢者向け関係機関向け)を作成している。なお,関連する施策として,2012年7月10日に,「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(第2次健康日本21)」が公表され,2013年4月1日から適用されている。
→内閣府においては,2012年3月に「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書~尊厳ある自立と支え合いを目指して~」(座長:清家慶応義塾長)が公表され,2012年9月7日に「新高齢社会対策大綱」が閣議決定されている。また,文部科学省では,2012年2月3日に「超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会報告書~人生100年 いくつになっても 学ぶ幸せ 「幸齢社会」~」が公表されている。さらに,総務省では,2013年5月24日に「ICT超高齢社会構想会議報告書-『スマートプラチナ社会』の実現-」が公表されている。
→2030年には,日本は65歳以上の高齢者が総人口の1/3を占める超高齢社会となる。特に,今後大きな問題となるのは,都市部での75歳以上の高齢者の急増とされている。そのため,2013年5月20日から厚生労働省の「都市部の高齢化対策に関する検討会」(座長:大森東京大学名誉教授)において検討が始まっている。
→それぞれの行政組織で,都合のいい同じ顔ぶれの有識者を集めて,付け焼刃の検討会や報告書が積み上げられ,それに基づいて莫大な税金(内閣府厚生労働省など)が投入され,結果,「利権」に吸い上げられていく。しかし,国民には「日本の超高齢社会」の高齢者像や社会像が一向に見えてこない。(筆者)


6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文))の記事を参照
7/8 厚生労働省 「2012年 国民生活基礎調査の概況」 ・2013年7月4日,厚生労働省は,「2012年 国民生活基礎調査の結果」を公表した。
・「国民生活基礎調査」は,1986年を初年として3年ごとに大規模調査を行い,その間の各年は簡易調査を実施している。なお,2012年は簡易調査実施年に当たる。
<2012年(簡易調査年)の調査結果のポイント>
(1)世帯数と世帯人員数の状況
①高齢者世帯は,全世帯の21.3%である。
②役員以外の雇用者うち,正規は 61.1%,非正規業は38.9%である。
(2)各種世帯の所得等の状況
①1世帯当たり平均所得金額は548万2千円(前年比1.9%増),児童のいる世帯に限ると697万円である。
②生活意識が「苦しい」とした世帯は60.4%で,過去最高であった2011年の61.5%からは減少したが,依然として6割を上回っている。

(参考 :直近の大規模調査)
「2010年 国民生活基礎調査の概況」
(1)世帯数と世帯人員数の状況
(2)各種世帯の所得等の状況
(3)世帯員の健康状況
(4)介護の状況

→3福祉士国家試験には,頻出の重要な調査である。上記2010年調査結果の通読は必須である。(筆者)
7/6 厚生労働省 「第26回介護福祉士国家試験の施行について」 ・2013年7月5日,厚生労働省は,「第26回介護福祉士国家試験の施行」について官報で公告した。
(1)試験日
①筆記試験 :2014年1月26日(日)
②実技試験 :2014年3月2日(日)
(2)合格発表日
・2014年3月27日(木)午後
(3)受験手続
①受験書類の受付期間 :2013年8月7日(水)~9月6日(金)
②受験書類の提出先 :社会福祉振興・試験センター
(4)受験手数料
・10,650円
(5)試験委員(敬称略)・・・赤の太字は新任
試験委員長
根本嘉昭
副委員長
朝倉京子,臼井正樹,遠藤英俊,川井太加子,川手信行,谷口敏代,
峯尾武巳(前年度は委員)山野英伯
委員(筆記試験)
上之園佳子,
天野由以飯干紀代子伊藤秀一稲谷ふみ枝井上善行,岩井惠子,梅垣宏行,大原昌樹,岡京子,奥田都子,小倉毅,小澤温,笠原幸子,金澤章,叶谷由佳,岸川洋治,北村世都,藏野ともみ,小池竜司,小林理,五味郁子,櫻山豊夫,澤宣夫,白石旬子,鈴木聖子,竹内美幸,辻哲也,津田理恵子東海林初枝,永井優子,中村大介,服部英幸,鳩間亜紀子花畑明美阪東美智子,平野方紹,廣瀬圭子,柊崎京子,本名靖,山田幸子,吉浦輪,吉賀成子
7/5 厚生労働省 「使用者による障害者虐待の状況等」について ・2013年6月28日,厚生労働省は,障害者虐待防止法第28条に基づいて,「使用者による障害者虐待の状況等」を公表した。
・「使用者による障害者虐待の状況等」は,年度ごとに公表するもので,今回は,2012年度(2012年10月1日の法律施行から2013年3月31日まで)における使用者による障害者虐待の状況,使用者による障害者虐待があった場合に採った措置等を取りまとめている。

<ポイント>
(1)障害者虐待が認められた事業所・使用者・関係
・使用者による障害者虐待が認められた事業所 :133事業所
・虐待を行った使用者 :136名
・直接の虐待者と被虐待者との関係 :事業主113名,所属の上司19名,その他4名
(2)被虐待者数
・被虐待者数 :194名
・障害種別は,身体障害25名,知的障害149名,精神障害23名,発達障害4名,である。(重複あり)
・虐待の種別は,①経済的虐待164件,②心理的虐待20件,③身体的虐待16件,④レグレクト15件,⑤性的虐待1件,である。(重複あり)
(3)使用者による障害者虐待が認められた場合に採った措置
・全体で183件。
・内訳は,労働基準法等労働基準関係法令に基づく指導等159件(86.9%,うち最低賃金法関係145件),障害者雇用促進法に基づく助言・指導20件(10.9%),男女雇用機会均等法に基づく助言・指導1件(0.5%),個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導3件(1.6%)である。(複数あり)


(参考)
「障害者虐待防止法の概要」

→使用者による障害者虐待においては,約75%が経済的虐待であった。経済的虐待とは,「障害者の財産を不当に処分すること,その他,障がい者から不当に財産上の利益を得ること」と定義され,例としては,賃金額が最低賃金に満たない,強制的に通帳を管理する,本人の了解を得ずに現金を引き出すなどとされている。
→人間として,恥ずべき,卑しい使用者を,「指導等」で済ましてほしくない,というのが一般国民の気持ちであると思う。少なくとも,企業名を公表するという制裁措置を設けて,社会的制裁を受けさせるべきである。「障害者雇用促進法第47条」ですら,企業名を毎年度公表している。(筆者)
7/4 厚生労働省 「2012年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査結果」(概要 / 本文 ・2013年6月27日,「第2回終末期医療に関する意識調査等検討会」が開催され,資料が公表された。
・「人生の最終段階における医療に関する意識調査」は,1992年以来5年おきに実施され,5回目に当たる2012年度の調査は2013年3月に実施された。

<2012年度調査結果のポイント>
(1)終末期に関する関心について
・家族と話し合いをしたことがある割合は,一般国民では約4割,医療福祉従事者では約5割であった。
(2)事前指示書について
・リビングウィルによる事前指示書の考え方に,一般国民の約7割が賛成しているが,実際に事前指示書を作成している人は少ない。
「・事前指示書に従った治療を行う」のを法制化することについては,一般国民の5割以上,医師は7割以上が消極的である。

(3)治療方針の決定についての考え方
・自分で判断ができなくなった場合に治療方針を決定する者については,一般国民では,家族等が集まって話し合った結果への委任を希望している人の割合が高い。
(4)さまざまな終末期の状況において希望する治療方針
①終末期を過ごしたい場所
・「末期がんであるが,食事はよくとれ、痛みもなく,意識や判断力は健康なときと同様に保たれている場合」は,7割が居宅を希望しているが,それ以外の場合は医療機関もしくは施設での療養を希望している。
②受けたい治療について
・「末期がんで、食事や呼吸が不自由であるが,痛みはなく,意識や判断力は健康なときと同様に保たれている場合」に受けたい治療は,抗生剤服用や水分補給による治療は望む人が多いが,中心静脈栄養,経鼻栄養,胃ろう,人工呼吸器,心肺蘇生処置は望まない人が多かった。
・「認知症が進行し,身の回りの手助けが必要で,かなり衰弱がすすんできた場合」に受けたい治療は,末期がんのケースと比較して,様々な治療を「望まない」割合が高くなっている。末期がんでは抗生剤服用や水分補給は半数以上の人が望んでいたが,認知症のケースでは半数以下であった。

→筆者は,後に残された家族が混乱し,悩むことが分かっているのに,自分の終末期医療に関して,明確な意思表示をしておかないのは「罪」だと思う。「NPO法人 高齢社会をよくする女性の会」の代表である樋口恵子さんの「私たちは,「おまかせ」でなく自分の最期と真剣に向き合いたいと思います」,「まず自分の最期について語り合い,書面にすることを提唱したいと考えています」という呼びかけに賛同する。(筆者)
7/3 厚生労働省 「主要統計資料(最新)」 ・2013年7月2日,厚生労働大臣は,中央最低賃金審議会に対し,「2013年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問)」を提示した。同日,中央最低賃金審議会の「2013年第1回目安に関する小委員会」が開催され,資料が公表された。
・「2013年目安に関する小委員会」は,公益委員,労働者側委員,使用者側委員で構成され,「2013年度地域別最低賃金額改定の目安について」をテーマに議論される。

・「主要統計資料」は,①全国統計資料編と②都道府県統計資料編で構成されている。
全国統計 細目
(1)主要指標の推移 ①GDP,鉱工業生産指数,製造工業稼働率指数,倒産件数,完全失業者数,完全失業率
②求人倍率,消費者物価指数,国内企業物価指数,賃金(現金給与総額)指数
(2)有効求人倍率の推移 ①有効求人倍率の推移
②年齢別常用求人倍率の推移
(3)賃金・労働時間の推移 ①賃金
②賃金・労働時間
(4)春季賃上げ妥結状況 ①春季賃上げ妥結状況(2013年)
②賃上げ額・率の推移
(5)夏季賞与・一時金妥結状況
(6)消費者物価指数の対前年上昇率の推移(全国・ランク別) -
(7)地域別最低賃金額(時間額),未満率及び影響率の推移(年度) -
(8)賃金構造基本統計調査特別集計による未満率及び影響率(暦年) -
(9)地域別最低賃金と賃金水準との関係 ①一般労働者
②短時間労働者
③毎月勤労統計調査(産業計・事業所規模30人以上)
(10)企業の業況判断及び収益 ①日銀短観による企業の業況判断及び収益
②中小企業景況調査による業況判断(DI)
(11)法人企業統計でみた労働生産性の推移 -

→日本のGDPはいくらか知ってますか?完全失業率は?消費者物価指数は?福祉専門職として,知っていなければならない指標である。(筆者)
7/2 厚生労働省 「2011年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果)(概要 / 本文 ・2013年6月28日,厚生労働省は,「2011年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果」を公表した。
・本調査は,在宅の障害児・者等(これまでの法制度では支援の対象とならない者を含む)の生活実態とニーズを把握することを目的とし,これまでの「身体障害児・者実態調査(2006年)」及び「知的障害児(者)基礎調査(2005年)」を拡大・統合して,2011年12月1日現在で実施された。
<調査結果のポイント>
①障害者手帳所持者数等(推計値)
・障害者手帳所持者数 :4,791,600 人(身体障害者手帳3,863,800 人,療育手帳621,700 人,精神障害者保健福祉手帳567,600人)
・障害者手帳非所持かつ自立支援給付等を受けている者320,000人

②障害種別にみた身体障害者手帳所持者数(推計値)
・肢体不自由の割合が最多で全体の44.2%
③年齢階級別にみた身体障害者手帳所持者数(推計値)
・65歳以上の増加が顕著で,2006年に比べ444千人(20.1%)増加
④療育手帳所持者数(推計値)
・重度,その他ともに増加し,2007年に比べ203千人(48.4%)増加
⑤精神障害者保健福祉手帳所持者数(推計値)
・2級の手帳所持者が最多で,全体の53.5%
・40歳~49歳が最多で,全体の21.0%

⑥医師から発達障害と診断された者の数(本人・家族等からの回答に基づく推計値)
・318千人
⑦ 医師から高次脳機能障害と診断された者の数(本人・家族等からの回答に基づく推計値)
・422千人
⑧生活のしづらさの頻度
・65歳未満,65歳以上ともに「毎日」の割合が最多
⑨福祉サービスの利用希望
・65歳以上の手帳非所持で,自立支援給付等を受けている者において,1週間に1~2日程度」が19.5%と最多であるが,それ以外では,「利用したくない」の割合が最多
⑩手帳非所持で自立支援給付等を受けていない者の生活のしづらさ等の状況
・70.4%が障害による日常生活を送る上での生活のしづらさがあり,そのうち,福祉サービスを利用しておらず,福祉サービスの利用希望がある者は15.1%

→次回3福祉士国家試験受験者には,必須の資料である。
→2014年度の「障害者白書」における「障害者の全体状況」を把握する厚生労働省の調査は,①「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」,②「社会福祉施設等調査」,③「患者調査」,が用いられることになる。(筆者)


6/30「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文の記事を参照
7/1 - 「第183回通常国会で成立した福祉関連の主な法律」 2013年6月26日に閉会した「第183回通常国会」において,成立した福祉関連の主な法案は以下の通りである。
成立した主な法律
(福祉関連)
付帯
決議
種別 成立 施行日
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案
    
改正配偶者暴力防止法
- 参法 6月26日 2014年
1月3日
ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案
    
改正ストーカー規制法(概要 / 新旧対照
- 参法 6月26日 公布日から3か月経過日
いじめ防止対策推進法案
    
いじめ防止対策推進法

(参考)
いじめ防止基本方針(10/11)
衆院
参院
衆法 6月21日 公布日(2013年6月28日)から3か月経過日
食品表示法案
      ↓
食品表示法(概要 / 法律 / 新旧対照
衆院
参院
消費者庁 6月21日 公布日(2013年6月25日)から2年未満
子どもの貧困対策の推進に関する法律案 - 衆法 6月19日 公布日(2013年6月26日)から1年未満
公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案 衆院
参院
厚生労働省 6月19日 公布日~1年以内
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案 衆院
参院
内閣府 6月19日 2016年4/1
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案 衆院
参院
厚生労働省 6月13日 公布日
2016年4/1
2018年4/1
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案 衆院
参院
厚生労働省 6月13日 2014年4/1
2016年4/1
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案 衆院
参院
法務省 6月12日 条約が日本に効力を生ずる日
成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案 衆院
参院
衆法 5月27日 公布日から1か月経過日
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(番号法案) 衆院
参院
内閣官房 5月24日 2016年利用開始
予防接種法の一部を改正する法律案 衆院
参院
厚生労働省 3月29日 2013年4月1日

6月26日の国会閉会により,閣法のうち,厚生労働省提出分の重要2法案(不正受給事件の増加を受け,罰則の引き上げや福祉事務所の調査権限の拡大を盛り込んだ「生活保護法改正案」,失業者らの就労・自立を支援する「生活困窮者自立支援法案」)が廃案となった。厚生労働省は,今秋の臨時国会での再提出・成立を目指すと明言しているが,2013年8月からの生活保護費の引き下げは予定通り実施される。具体的には,8月以降,「生活扶助費」は,3年かけ最大10%減額され,小学生と中学生の子どもがいる都市部の40代夫婦の場合,月額(現行22万2,000円)が8月には21万6,000円,2015年度には20万2,000円に下がる予定である。生活保護費の減額は,セーフティーネットの役割を果たす廃案になった2法案の成立を前提とするものであった。筆者は,今後,セーフティーネットを持たないまま,各自治体での締め付け強化の運用が着実に進められていくことになると想定している。
→与野党間で合意されていたにもかかわらず,参議院選挙目当ての駆け引きのために廃案にされた法案は,与党によってさらに厳しい内容になって次期国会の場に再提案されるとの指摘がある。その時点では,ねじれ国会は完全に解消されており,与党のやりたいようにやれるということか。
→上記の成立した法律の解説記事は,後日掲載する予定である。(筆者)


6/27「第183回通常国会」が閉会したの記事を参照
6/30 内閣府 「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2013年6月25日,「2013年版 障害者白書」が閣議決定され,同日公表された。
・障害者白書は,1970年に制定・1994年に改正・施行された「障害者基本法」に基づき,1994年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<白書の構成>
第1編 障害者の状況等
第1章 障害者の状況(基本的統計より)
・障害者数は,身体障害者366.3万人(人口千人当たり29人),知的障害者54.7万人(同4人),精神障害者320.1万人(同25人)であり,国民の約6%が何らかの障害を有していることになる。
第2章 「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」
第3章 「障害者に関する世論調査」(2012年7月)の結果

・「障害のある人に対し、障害を理由とする差別や偏見があるか」については,「少しはあると思う」人を含めて,89.2%の人が「あると思う」と回答しており,前回(2007年2月:82.9%)より増加している。


第2編 全般的推進状況(2012年度を中心とした障害者施策の取組)
第1章 施策推進の経緯と現況
第2章 相互の理解と交流
第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり
第4章 日々の暮らしの基盤づくり
第5章 住みよい環境の基盤づくり

→障害者自立支援法制定以降の障害者制度改革を概観する。
小泉構造改革の中で障害者自立支援法が2005年制定され,障害者の受益者負担が強化された。「障害者権利条約」は,2006年12月13日にに国連で採択され,日本政府は2007年9月28日に署名し,2008年5月3日に発効した。2009年9月,民主党に政権交代し,いわゆる「障害者制度改革」は,2009年12月8日の「障がい者制度改革推進本部設置」に始まる。2010年1月に障害者自立支援法訴訟団と基本合意を結び和解し,国連の障害者権利条約を批准するための国内法整備を目的として,2010年6月29日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が閣議決定された。基本的な方向とは,①障害者基本法の改正と改革の推進体制,②障害者自立支援法に代わる「障害者総合福祉法」(仮称)の制定,③障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定,である。
「改正障害者基本法」(上記①)は,2011年7月29日に成立し,8月5日から施行された。
「障害者総合福祉法」(仮称)に当たる法律としての「障害者総合支援法」(上記②)は,2012年6月27日に成立し,2013年4月1日から施行された。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律((障害者差別解消法))」(上記③)は,2013年6月19日に成立し,2016年4月1日から施行される。
→2013年の第183回通常国会において成立した障害者関連法は,
「改正障害者雇用促進法」(6月13日成立,原則2016年4月1日施行),「改正精神保健福祉法」(6月13日成立,2014年4月1日施行),「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律((障害者差別解消法))」(6月19日成立,2016年4月1日施行),の3本である。
→これにより,障害者制度改革は収束していくわけであるが,誠意ある政治への期待が大きかっただけに,落胆も大きい。どれほどの落胆であったかは,2012年2月8日の第19回障がい者制度改革推進会議におけるオブザーバーであった東京大学先端科学技術研究センターの福島智教授の発言に集約できると思われるので,参考までに掲載する。
http://www.youtube.com/watch?v=SltreKVT0dA
→現在,障害者施策の推進体制として,
障がい者制度改革本部障害者政策委員会,が内閣府に設置されている。なお,内閣府の障がい者制度改革推進会議および厚生労働省の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会は,2012年7月23日に廃止されている。(筆者)

(2013年版の白書関連)
6/28「2013年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文)),6/25(「2013年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文)),6/24(「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文)),6/20(「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文)),6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照

「白書」(福祉関連)
6/28 内閣府 「2013年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 ・2013年6月25日,「2013年版 少子化社会対策白書」(2010年版~2012年版:子ども・子育て白書,2009年版まで:少子化社会白書)が閣議決定され,同日公表された。
・「少子化社会対策白書」は,2003年9月に施行された「少子化社会対策基本法」に基づき,2004年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。

<白書の構成>
第1部 少子化対策の現状と課題について
第1章 少子化の現状
第2章 少子化対策の取組


第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 子どもの育ちを支え、若者が安心して成長できる社会へ
第2章 妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会へ
第3章 多様なネットワークで子育て力のある地域社会へ
第4章 男性も女性も仕事と生活が調和する社会へ(ワーク・ライフ・バランスの実現)
第5章 東日本大震災の被災地等における子ども・子育てに関する対応


→「少子化社会対策」が求められているのに,白書の名称を,2004年版~2009年版の自・公政権時には「少子化社会白書」,2010年版~2012年版の民主党政権時には「子ども・子育て白書」と「対策」の文言を抜いた名称にしており,いずれの政権においても的外れで小手先の少子化対策に終始し,まさに無策の連続であった。改めて自・公政権となった2013年版では「少子化社会対策白書」として,「対策」の看板を掲げているが,中身は従来の延長線上にある。筆者には,安倍政権においても,無策が継続されると思われる。
→結論を言えば,筆者は,今後の少子化対策の根本問題は,財政再建の中で社会的な子育て支援関連の財源(欧米諸国を参考に,GDP1~2%・5~10兆円)をどう確保するか,と考えている。また,人口減少化における少子高齢社会での「日本の少子化対策」の主たる課題は,①若者の労働政策や雇用システムの大幅な見直しと②女性の労働力の確保であると考える。
→しかし,安倍政権において,森少子化担当大臣が主催する「少子化危機突破タスクフォース」のわけのわからない有識者による「少子化危機突破のための提案」(5月28日)を受けて,6月7日には少子化社会対策会議で「少子化危機突破のための緊急対策」が決定され,それを盛り込んで,6月14日には「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が閣議決定された。「待機児童ゼロ」は最優先に解決すべき事柄であると思うが,「3年間の育児休暇」はまったく的外れである。育児休暇の前にやるべきことは山積みのはずである。筆者は,一連の最大の欠点を,結婚後の施策に偏り過ぎていることにあると考える。まず,結婚前の若者に結婚ができる社会環境の整備がなければ,「子育て」も何も話が始まらないのと違いますか。そのために,社会的支援として,増税ではなく,5~10兆円の財源を確保して,欧米の先例のシステムや施策に倣うべきであると思う。やはり,安倍政権で乱立した「少子化対策」に関する9会議体を調整するために,2013年4月16日に設置された「少子化社会対策政府連絡調整会議」は機能していないように思われる。(筆者)


(2013年版の白書関連)
6/25(「2013年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文)),6/24(「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文)),6/20(「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文)),6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照

「白書」(福祉関連)
6/27 首相官邸 「第183回通常国会」が閉会した ・2013年1月28日に招集された第183回通常国会(会期:150日,会期末:6月26日)が,6月26日に閉会した。
・与野党の不毛な駆け引きのため,政府提出の重要4法案(電気事業法改正案,生活保護法改正案,生活困窮者自立支援法案),議員立法の2法案(水循環基本法案,雨水利用推進法案),6条約承認案(日中韓など投資協定5件,日印社会保障協定)が廃案となった。
・また,8法案(日本版NSC(国家安全保障会議)を創設するための関連法案,自衛隊法改正案など)が継続審議となった。
・なお,政府が新規に提出した75法案のうち成立したのは63本で,成立率は84.0%であった。


→今後の政局の焦点は,7月4日に公示,7月21日に投票される参議院選挙である。国会終盤における選挙を意識し,党利党略を丸出しにした不毛な駆け引きを見せつけられて,今後,参議院無用論が巻き起こってしかるべきではないかと思った。
→廃案になった「電気事業法改正案」は,発送電分離を含む電力システム改革を進めることを内容とするもので,6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」(成長戦略)でも電力システム改革を主要施策の一つに位置づけている。与党は,それを捨てて,さらに安倍首相に予算委員会を欠席させるという憲法違反をしてまでも,野党を悪者にしたてる姑息な手法を用いて,選挙の圧勝を目論んだということである。まあ,どっちもどっちではあるが,情けない。(筆者)
6/26 内閣府 「温めすぎは要注意!~電子レンジに潜む危険」
<政府の広報文>
「私たちの暮らしをより豊かにしてくれる新製品の数々ですが,少しの気のゆるみや誤った使い方で便利な製品も一転,危険なものに変わります。今回はその中のひとつ,電子レンジで起こる事故の危険性を,実際の事故事例を検証した実験映像とともにご紹介します。」


(関連情報)
「リコール情報 製品安全ガイド」(経済産業省)
「注意喚起リーフレット」(NITE)

  ・暮らしに潜む危険
  ・電子レンジのリコール製品 など

→筆者は,製品安全において,「自分の健康は自分で守る」,「自分の命は自分で守る」という考え方が基本になければならないと思うが,ことが起これば誰かの責任を追及したり,訴えたりすればいいというような安易な風潮があるように思う。もちろん,製品安全に限らず,被った被害に対する必要な責任は追及すべきであるが,事後的に自分自身の安全を金で換算できても,無知や不注意で害した健康や失くした命は元に戻ることはない。
→ところで,製品安全の話題になると,消費者目線の「消費者庁」は何をやっとるんでしょうかと思う。これまでの「こんにゃくゼリー」や「茶のしずく石鹸」などでのいい加減な対応も腹立たしかったが,近時の「安愚楽牧場事件」でも,消費者庁の不作為で被害を拡大させたことが判明した。改めて,このような「為すべきことを為さない組織」は,早期に消滅させることこそ,国民の利益に叶うと思う。(筆者)
6/25 内閣府 「2013年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 ・2013年6月21日,「2013年版 男女共同参画白書」が閣議決定され,同日公表された。
・男女共同参画白書は,1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」に基づき,2000年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。

<白書の構成とポイント>
(1)「2012年度 男女共同参画社会の形成の状況」
第1部 :男女共同参画社会の形成の状況
・2012年における全就業者に占める女性の割合は42.3%であり,仕事に就いている女性の3割弱が結婚を機に退職している。また,管理職に占める女性の割合は11.1%で,フィリピン(52.7%),アメリカ(43.0%)などと比較して,依然として低い水準である。
・15歳以上で働くことも仕事探しもしていない女性のうち,就業を希望する人は303万人に達し,そのうちの半分以上に当たる161万人は,25~44歳の年齢階級に属している。また,71.9%が非正規労働を望んでいる。
「女性の活躍に向けた今後の課題等」

特集編 ~成長戦略の中核である女性の活躍に向けて~
現状編

第2部 :2012年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

(2)「2013年度 男女共同参画社会の形成の促進施策」

→日本の男女共同参画政策を概観する。1975年「国連女性年」,1999年「男女共同参画社会基本法」,2000年「男女共同参画基本計画」(5年ごとの具体的な施策まとめ),2001年「内閣府男女共同参画局設置」,2010年「第3次男女共同参画基本計画」(「第3次男女共同参画基本計画における成果目標の動向(2012年11月現在)」),である。
→安倍政権は,「働く女性の活躍」を「日本再興戦略」(いわゆる成長戦略)の中核に位置付けている。筆者は,安倍政権の成長戦略の多くに疑問を感じるが,「働く女性の活躍」,特に国際競争に対応できる有能な女性の活用には大賛成である。
→今回の白書に関して,内閣府は,今後の取り組みとして,育児や家事などの役割分担の見直し,社会人になってからの学び直しの支援,雇用形態(正規や非正規)にとらわれずに能力を重視した働き方の普及などが必要だと指摘しているが,その手始めの具体策が,「育児休暇を最長3 年間取得できるように経済団体に要望する」では,どうしたもんでしょうか・・・。「マタニティ・ハラスメント」が起きている実態を把握しているのだろうか。肝心なのは,制度づくりよりも風土づくりであると思うが。
(筆者)

(女性の活躍に関する資料)
「最近の女性の活躍促進に関する動き」(6月24日第127回労働政策審議会雇用均等分科会資料)


(2013年版の白書関連)
6/24「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文)),6/20「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文))6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照

「白書」(福祉関連)
6/24 内閣府 「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・2013年6月18日,「2013年版 自殺対策白書」が閣議決定され,同日公表された。
・自殺対策白書は,2006年に施行された「自殺対策基本法」に基づき,2007年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。

<白書の構成とポイント>
第1章 :自殺の現状
・我が国の自殺者数は,1998年以降,14年連続で3万人を超える状態が続いていたが,2012年の自殺者数は,総数2万7,858人で15年振りに3万人を下回った。
・近年,50歳代は2003年を境に減少傾向にある。全体的には20歳代で自殺死亡率が高まる傾向にあるのに対し,40歳代以上では低下傾向にある。
・我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあり,20~39歳の各年代の死因の第1位(約47%)は自殺となっている。こうした状況は国際的に見ても深刻であり,15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは先進7カ国では日本のみで,その死亡率も他の国に比べて高いものとなっている。

特集  :自殺統計の分析
・自殺者が急増した1998年以降直近までの減少した要因のうち,「健康問題」および「負債(多重債務)」については,各対策への取組による効果が高いが,「失業」などについては景気回復による効果が高いと考えられる。また,今後、自殺総合対策大綱に掲げられた数値目標の達成に向けては、これまで実施されてきた対策への継続的な取組に加え,失業率を引き下げていくような総合的な経済対策とともに,景気悪化から自殺増加に結び付く経路を弱めていく取組が必要である。そして,雇用構造の変化などを背景として増加傾向がみられる「勤務問題」への取組が必要であり,特に深刻な状況にある若年層に重点を置いた取組を早急に実施することが必要である。
・自殺問題を根本的に解決していくためには,悩みや不安に関する世論調査の結果にも注視する必要がある。

第2章 :自殺対策の基本的な枠組みと実施状況
2012年9月28日に新たな「自殺総合対策大綱」が閣議決定された。自殺対策の数値目標について,2016年までに,自殺死亡率を2005年と比べて20%以上減少させることとしている。
既存資料の利活用の推進として,①「地域における自殺の基礎資料」「東日本大震災に関連する自殺者数」,②「2012年中における自殺の状況」,③毎月の自殺者数(総数,男女別及び都道府県別)の速報値,④「自殺対策のための自殺死亡の地域統計ビジュアライズ版」を公表している。

→2013年3月14日,警察庁は,「2012年中の自殺の状況」において,2012年の自殺者数が27,858人(前年比9.1%減)で,15年ぶりに3万人を下回ったと発表した。今回の白書は,これを盛り込んだものである。ことろで,同じ警察庁が発表している2012年の「死体取扱状況」には,変死体数は22,722人とされているが,変死体数にはかなりの数の自殺者が含まれているのではないかとの指摘が以前からある。こねくり回した数値がいろいろと公表されているが,どうも正確な数値が,諸般の都合で,国民には知らされていないように思われる。
→「2013年版自殺対策白書」は,民主党政権での結果報告である。民主党権下で内閣府参与として,政府の自殺対策立案にも深く関わった清水康之氏が,6月22日のインターネット放送局に出演し,「13年度版自殺対策白書・若者の自殺を減らしていくには」と題して発言しているので参考までに掲載する。
http://www.youtube.com/watch?v=SIdWNSaqntw

このような見識の人が自殺対策に関与していたことに驚かされる。(筆者)


(2013年版の白書関連)
6/20「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文))6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照

「白書」(福祉関連)

(参考)
→■「自殺対策」(内閣府)
6/21 総務省 「改正公職選挙法に基づくインターネット選挙運動解禁について」 ・2013年4月19日に「改正公職選挙法」が成立し,5月26日に施行され,インターネットを使った選挙運動ができるようになった。
・2013年5月26日以後初めて公示される国政選挙(衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙)の公示日以降に,公示・告示される国政選挙及び地方選挙について適用される。
<インターネット選挙運動解禁に関する説明資料>
チラシ /  未成年者用チラシ
あらまし
概要
ガイドライン(2013年4月26日第1版)

→これまでの公職選挙法では,選挙期間中に候補者がWeb,メール,Twitter,Facebookなどを通じて有権者にアピールする選挙活動は一切禁止され,更新もできなかったが,2013年7月4日公示,21日投開票の日程で行われる見通しの参院議員選挙からできることになった。
→筆者の「インターネット選挙運動解禁」に対する所感である。ネットによる選挙運動解禁の最大のメリットは,選挙前の日本のマスメディア(インターネットの世界では「マスゴミ」と言われている)による「世論誘導」や「世論操作」に,限定的ではあるが,一定の歯止めがかかることだと考えている。また,アメリカや韓国の例を引き合いに出されても,二元代表制でない日本では,ネットによる選挙運動解禁で投票率が上がるとは思えないし,選挙結果の大勢に影響を与えることにはならないと思う。まして,「政党政治が脆弱化する」とは到底思えない。結局のところ,デメリットの多い選挙運動ツールが1つ増えたことによって,選挙経費がかさむことになるだけではないかと思う。
→それにしても,総務省の広報用のチラシ等は,見づらいし,分かりにくい。(筆者)
6/20 内閣府 「2013年版  子ども・若者白書」(概要 / 本文 ・2013年6月18日,「2013年版 子ども・若者白書((旧青少年白書)」が閣議決定され,同日公表された。
・「子ども・若者白書」は,2010年4月に施行された「子ども・若者育成支援推進法」に基づき,2010年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。

<白書の構成とポイント>
第1部 子どもや若者の状況
第1章 人口
第2章 健康
第3章 成育環境
第4章 社会的自立
 ・15~34歳のニートは63万人,15~34歳人口に占める割合は2.3%。
・15~34歳のフリーターは180万人,15~34歳人口に占める割合は6.6%。
・「ふだんは家にいるが,自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」者を含む広義のひきこもりは,69.6万人と推計。
第5章 安全と問題行動
第6章 生活行動・意識

特集 地域における青少年育成活動
・2012年度に活動に参加した人は1割未満で,担い手不足が大きな課題。

第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況
第1章 子ども・若者育成支援施策の総合的・計画的な推進
第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援
第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援
第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備
第5章 今後の施策の推進体制等

→今回の白書に関して,日本のマスメディアの多くは,「ニート,過去最高2・3% 63万人,子ども・若者白書」という見出しで報道し,内閣府の「社会での能力発揮を支援する対策が必要」との他人事のようなコメントを紹介していた。
→しかし,2012年のニート数が約63万人というのは,目新しい数値ではなく,2013年2月21日に公表された厚生労働省の「「地域若者サポートステーション事業」の今後の在り方に関する検討会報告書」で分かっていたことである(2013年3月25日の記事を参照)。
→2013年5月7日,安倍首相は,参議院予算委員会において,ニートやひきこもりの若者にメッセージを出してほしいという間抜けな質疑に対して,「頑張って自分の足で立っていこう,と思ってほしい。若い皆さんは,思っている以上の可能性が満ちあふれている。どうか自分の力でその可能性をつかみ取ってほしい」とお気楽な答弁をされていた。自民党議員の馴れ合いの質疑に対する答弁であるが,安倍首相,下村文部科学大臣,田村厚生労働大臣,森少子化担当大臣のそれぞれの見識のレベルが見て取れるので参考までに掲載する。http://www.youtube.com/watch?v=4i2xyy-qmMU     (筆者)


(2013年版の白書関連)

6/18「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)),6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照
「白書」(福祉関連)
6/19 厚生労働省 「職場における腰痛予防対策指針(改訂版)」 ・2013年6月18日,厚生労働省は,2004年9月の「旧職場における腰痛予防対策指針」を改訂し,新しい指針を公表した。また,同日に「職場における腰痛予防対策の推進について」が,都道府県労働局長に通知された。
・2004年の旧指針では,主に重量物を取り扱う事業場などに対して,啓発や指導が行われてきたが,近年は高齢者介護などの社会福祉施設での腰痛発生件数が大幅に増加し,現在,職場での腰痛は,休業4日以上の職業性疾病のうち6割を占める労働災害となっている。このような状況を受けて,適用対象を福祉・医療分野等における介護・看護作業全般に広げ,腰に負担の少ない介護介助法などを加えて改訂が行われたものである。

<新指針の構成>
(1)一般的な腰痛予防対策の総論
【1】はじめに(指針の趣旨・目的等)
【2】作業管理(自動化・省力化,作業姿勢等)
【3】作業環境管理(温度,照明,作業床面等)
【4】健康管理(腰痛健診,腰痛予防体操等)
【5】労働衛生教育(腰痛要因の低減措置等)
【6】リスクアセスメント,労働安全衛生マネジメントシステム


(2)作業態様別の対策(腰痛の発生が比較的多い5つの作業)
【1】重量物取扱い作業
【2】立ち作業(製品の組立、サービス業等)
【3】座り作業(一般事務、VDT作業、窓口業務、コンベア作業等)
【4】福祉・医療分野等における介護・看護作業
【5】車両運転等の作業(トラック、バス・タクシー、車両系建設機械等の操作・運転)


<改訂のポイント>
(1)介護作業の適用範囲・内容の充実
①「重症心身障害児施設等における介護作業」から「福祉・医療等における介護・看護作業」全般に適用を拡大
②腰部に著しく負担がかかる移乗介助等では,リフト等の福祉機器を積極的に使用することとし,原則として人力による人の抱上げは行わせないことを記述


(2)リスクアセスメント,労働安全衛生マネジメントシステムの手法を記述
①リスクアセスメントは,ひとつひとつの作業内容に応じて,災害の発生(ここでは腰痛の発生)につながる要因を見つけ出し,想定される傷病の重篤度(腰痛に関しては腰部への負荷の程度),作業頻度などからその作業のリスクの大きさを評価し,リスクの大きなものから対策を検討して実施する手法(労働安全衛生法第28条の2)
②労働安全衛生マネジメントシステムは,事業場がリスクアセスメントの取組を組織的・継続的に実施する仕組み(労働安全衛生規則第24条の2)
③これらは,いずれも労働災害防止対策として取り組まれているものであるが,腰痛予防対策においてもこれらの手法が効果的であることから改訂指針に明記

(3)一部の作業について,職場で活用できる事例を掲載(チェックリスト,作業標準の作成例,ストレッチング(体操)方法など)

(参考)
「職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会報告書」(2013年6月18日)

→2013年度は,社会福祉施設に対する指針の普及・定着を目的として,介護事業者を対象とした腰痛予防対策講習会開催などの支援事業の実施が予定されているとのことである。行政の対応としては,「遅すぎる感」がある。今年3月に,厚生労働省研究班が,国内の腰痛者は2,800万人おり,その8割が原因不明という調査結果を出したという朝日新聞の記事が話題になったが,出典が確認できない。
→「自分の健康は自分で守る」が基本である。「介護」という行為には腰に負担がかかることは分かっているのに,無知や不注意で,「腰痛持ち」になってしまっては,一生悔いを残すことになる。労災であるかどうかには関係なく,「腰痛」で苦しむのは自分や自分の家族だけである。卑近な例であるが,筆者は,介護度4の家族を在宅介護して7年になるが,自分が腰痛になれば,たちまちに在宅介護ができなくなるので,腰痛を起こさないために細心の注意を払って生活している。
→介護を生業にする介護のプロであるなら,腰痛を起こすのは恥だと考えるべきである。ありていに言えば,「腰痛持ちの職員には介護をしてほしくない」,というのが介護を依頼する側の本音である。(筆者)
6/18 内閣府 「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2013年6月14日,「2013年版 高齢社会白書」が閣議決定され,同日公表された。
・高齢社会白書は,1995年の「高齢社会対策基本法」に基づき,1996年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<白書の構成>
①「2012年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」
(高齢化の現状と将来像)
・2012年は,高齢化率が24.1%(前年23.3%)に上昇。最高:秋田県30.7%,最低:沖縄県17.7%
・2012年は,社会保障給付費が過去最高。我が国は世界のどの国も経験したことのない高齢社会を迎えている
・2060年は,2.5人に1人が65 歳以上,4人に1人が75 歳以上
・2060年は,現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会が到来
・2060年は,男性84.19歳,女性90.93歳まで生きられる
(内閣府が初めて実施した団塊世代の意識調査)
・団塊の世代の意識(その1 /その2 /その3

②「2013年度 高齢社会対策」

→日本における「高齢化対策」の経緯を概観する。
・1986年「長寿社会対策大綱」(第2次中曽根内閣)
・1995年「高齢社会対策基本法」(村山内閣)
・1996年「高齢社会対策大綱」(橋本内閣)
・2001年「高齢社会対策大綱の見直し」(小泉内閣)
・2012年9月「新高齢社会対策大綱」(第2次野田内閣)
これは,歴代内閣の「無為」および高齢社会対策の「無策」の歴史でもある。
→日本の政治が責められるのは「高齢化対策」だけではなく,「少子高齢化政策」の約40年にも及ぶ無為無策である。日本が,「急速な高齢化と人口減少の社会」になっていくことは,38年前(1975年の1.57ショック)から分かっていたことである。
→筆者は,2012年総選挙の自民党の「J-ファイル2012 自民党総合政策集マニフェスト」に対して,理念先行で,高齢化対応への認識が乏しいという印象を持った。同時に,自民党は,「日本の長期的な成長」への少子高齢化の影響を軽く見積もっているのではないかとも思った。2013年5月20日に,産業競争力会議で,都市部の高齢化対策を話し合うため,「都市部の高齢化対策に関する検討会」が設置されたが,検討事項は極めて限定的である。「第2次安倍政権」が,戦後一貫して少子高齢化政策に無為無策であった自民党政権の流れにあることは間違いない。
→「高齢化社会」による主な社会問題としては.①労働力減少と経済活動の低下,②所帯の収入と消費経済の減少,③税収(所得税,市町村税,法人税,固定資産税)の減少,④自治体の歳入の減少,⑤医療費・介護費用・高齢福祉施設費用の増加,⑥年金給付所帯数の増加,とされている。(筆者)


(2013年版の白書関連)
6/7「2013年版 食育白書」(概要 / 本文))の記事を参照
「白書」(福祉関連)
6/17 首相官邸 ■「経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる「骨太の方針」)」,「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(いわゆる「成長戦略」),「規制改革実施計画」が閣議決定された ・2013年6月14日,政府は,「経済財政運営と改革の基本方針」,「日本再興戦略」,「規制改革実施計画」を閣議決定した。
「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)は,日本経済の再生に向け,「再生の10年」を実現する明確な道筋を示した基本戦略で,これに基づいて,政策の具体化と実行に全力を挙げて取り組むとされている。「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(成長戦略)に基づいて,民間活力を引き出し,新たな市場フロンティアを創出するための政策を準備が整ったものから迅速に実行に移し,日本経済を成長軌道に載せていき,特に,規制改革は,成長のための一丁目一番地として,「規制改革実施計画」を着実に実施することで,規制改革を抜本的に推進すると説明されている。

「経済財政運営と改革の基本方針~「再生の10年」に向けた今後の経済財政運営及び基本戦略~」
(いわゆる「骨太の方針」)
ポイント図
概要
本文
経済財政諮問会議
・「骨太の方針」は,安倍政権の経済財政政策を総まとめにしたもので,3本の矢と呼ばれる,①大胆な金融緩和,②機動的な財政出動,③骨太の方針とは別にとりまとめられた民間の力を引き出す成長戦略の骨格の部分が盛り込まれ,安定成長する上で欠かせない財政の健全化の進め方などの4本目の矢が書き加えられている。
「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」
(いわゆる「成長戦略」)
戦略市場創造プラン(ロードマップ)
中短期工程表
本文
日本経済再生本部

産業競争力会議
規制改革実施計画 本文 規制改革会議

→「成長戦略」については,「産業競争力会議の民間委員や官僚任せで,曖昧な数値目標を並べていては期待も評価もない」,また,「骨太の方針」については,「経済再生と財政健全化を両立させるとしているが,総花的で新味性に欠け,改革の先送りや絵空事が多くて,説得力に乏しく,実現可能性が不透明である」,というのが一般的な受け止め方と言える。
→安倍首相は,「成長戦略」や「骨太の方針」が具体策に欠けているとの批判や,急激な株価下落に慌てふためいたらしく,急きょ新たな成長戦略を今秋に打ち出すという方針を表明した。大胆な規制改革や財政健全化の道筋を示さなければ了解してもらえないということに気付いたということか。しかし,多くの国民は,具体的なことを聞かれると目が泳いでしまう安倍首相を見逃さなかった。世間は,第二次安倍政権で使い始めた「経済の安倍」という実績のないキャッチフレーズに疑いを持ち始めたということである。
→「成長戦略」において,楽天社長のごり押しにより一般用医薬品(OTC薬)のインターネット販売が盛り込まれたと報道されていた。「成長戦略の柱に医療や健康を位置付けること」と「薬のネット販売優先」との関係の合理的な説明がない。結局,「薬のネット販売が経済成長につながる」という根拠は不明のままである。もちろん,2013年1月の「ネット販売を一律に禁止する省令は改正薬事法を逸脱し,違法で無効」とする最高裁判決には,適切に対応しなければならないが,渡りに船で,消費者である国民の安全・安心を置き去りにして,「儲かるのは楽天などのネット業者だけ」という可能性がある決着には疑義がある。「消費者の安全性を確保しつつ,適切なルールのもとで行う」,「秋ごろまでに結論を得て,所要の制度的な措置を講じる」,「インターネット販売か,対面販売かを問わず,合理的かつ客観的な検討を行う」という記述からも,政治決着の「いい加減さ」が想定される。国民は,過去に発生した市販整腸剤のキノホルムによる「薬害スモン」を忘れてはならない。筆者は,今後,「ネット販売業者の責任の明確化」と「自分の健康は自分で守るという意識付け」が重要になってくる,という意見に賛同する。
→「今後,安倍首相に必要なのは,お腹痛に備えた「整腸戦略」である」は言い過ぎだと思う。(筆者)
6/14 厚生労働省 ■「厚生労働省の組織目標等について」 ・2013年6月5日および6月13日に,厚生労働省は,「2013年度における厚生労働省の組織目標および局の組織目標」を公表した。
2013年度の
省の組織目標
2013年度の
局の組織目標
(1)厚生労働省の使命

(2)施策に関する目標
①東日本大震災への対応
②持続可能な社会保障制度の確立
③医療・健康・介護等
④安心できる年金制度の構築
⑤子ども・子育て支援等
⑥雇用・労働対策
⑦生活保護制度の見直し
⑧障害者施策
⑨国民生活の安全の確保等
⑩国際貢献


(3)組織運営に関する目標
①適切な人事評価・人材育成の推進
②業務改善・効率化と「明るく楽しい職場づくり」の推進
①大臣官房
②医政局
③健康局
④医薬食品局
⑤労働基準局
⑥職業安定局
⑦職業能力開発局
⑧雇用均等・児童家庭局
⑨社会・援護局
⑩老健局
⑪保険局
⑫年金局
⑬政策統括官(社会保障担当)
⑭政策統括官(労働担当)
⑮中央労働委員会事務局
厚生労働省の幹部名簿

→福祉専門職として,理解しておかなければならない「「役人の言い分」である。同時に,福祉専門職には,彼らが,「国民の視点に立った政策運営やサービスの提供に努め」ているかどうかを,的確に評価できる力量を持つことが求められる。
→大言壮語の安倍サンの「第三の矢である成長戦略」は,3回のスピーチが行われ,海外では「針小棒大」と受け止められ,財政健全化への不安等から,6月13日には急激な円高・株安に転じ,「第一の矢の異次元の金融緩和」前の状況に戻ってしまった。「役人の権益」にまったく抵抗していない「成長戦略」にとっては,当然の帰結とも言える。そうした中で,本日,「骨太の方針」と「成長戦略」が閣議決定される予定である。今後,メッキがはがれ始めた安倍サンは,TPP交渉においても,ごまかし切れずに,さらに厳しい環境に置かれるように思う。(筆者)
6/12 内閣府・金融庁 2014年1月から「少額投資非課税制度(NISA)」がスタートする ・通常,株式や投資信託などから得られた配当や譲渡益は所得税や地方税の課税対象(本来は税率20%であるが,2013年12月末までは特例措置で10%に軽減)となるが,「NISA(ニーサ)」は,毎年100万円を上限とする新規購入分を対象に,その配当や譲渡益を最長5年間,非課税にする制度である。

→「NISA(ニーサ)」は,1999年からイギリスで導入された個人貯蓄口座制度である「ISA(Individual Savings Account,通称アイサ)」の日本版である。聞くところによれば,イギリスでは,国民の4割が利用し,資産形成や貯蓄の手段として広く定着しているらしい。
→1年あたり100万円で5年分利用可能で最大で500万円までの非課税枠を得ることができるが,非課税枠は使い切り方式,翌年へ繰り越しは不可などの条件が付いている。
→嫌みを込めて言えば,「ISA(アイサ)」と読むなら,「NISA」はナイサ(無いさ)と読むほうが適切だと思うし,「NISA」はNASI(無し)と誤記しやすいように思う。筆者は,「NISA}を,年寄りや貧乏人のなけなしの生活資金を絞り取り,業者だけが喜ぶシステムになる可能性があると邪推している。国の広報活動には,「吸いすぎに注意しましょう」,「借りすぎに注意しましょう」,「母さん助けて詐偽に注意しましょう」などと同じように,「銀行や証券会社の口車に乗って,大切なお金を無くさないように注意しましょう」ぐらいの明確な注意書きを入れておくのが,国民に対する誠意ではないかと思う。煽っておいて,あとは個人の責任では済まない。(筆者)
6/11 ILO 「2013年版 ILO報告書」(世界の雇用情勢-若者編~) / 英語版 ・2013年5月8日,国際労働機関(ILO)は,2013年版報告書『世界の雇用情勢-若者編』を発表した。
・報告書は,「危機にある世代」を副題に掲げて,2013年の若者(15~24歳)の失業率は経済危機ピーク時の2009年の水準に近い12.6%で,失業者数は2007年より350万人多い7,340万人に達すると予測し,上昇傾向は今後も続き,2018年までに12.8%になるとしている。先進国の若者に関して,失業率は2012年に18.1%で,2015年まで17%超の状況が続くとし,長引く失業と臨時雇用の増大,求職意欲を失った若者が多く見られ,2012年に1,070万人と推計されているが,就職活動をあきらめてしまった若者を加えると,1,300万人になると見られている。なお,ギリシャとスペインでは,若者労働力人口の半数以上に職がない状況にある。
・報告書は,使用者団体と労働組合による調整を図った共同努力を呼びかけると共に,2012年の第101回ILO総会で採択された「行動の呼びかけ」で明らかにされた主要政策分野を含む国際的な枠組みに沿って,若者の雇用危機に取り組む,対象を絞った即時の行動を取ることを政府に呼びかけている。具体的には,①財政と金融の持続可能性を確保しつつ,危機の社会的影響に取り組むための若者の権利,起業家精神,労働市場政策,就業能力,マクロ経済政策を通じた人間らしく働きがいのある仕事の創出と雇用促進的な成長の醸成,②働いていない若者が多い先進国における不利な条件を抱える若者に対象を定めた包括的な措置(教育,訓練,就労体験支援,潜在的な使用者を対象とした採用奨励策など),といった措置が提案されている。

→日本で失業保険の給付を受けていない失業者の割合は77%に上り,先進国の中で最悪の水準にあることがわかった(アメリカは57%,ドイツやフランスは10%台)。これにより,非正規雇用者のセーフティーネットが未整備で,かつ放置している日本の労働行政は,日本国民をごまかせても,国際的には受け入れられない状況に置かれていることも理解できた。(筆者)

(参考)
「若者の高失業、傷跡は数十年に-ILOが2013年版報告書」(労働政策研究・研修機構)
6/10 厚生労働省 「マタニティマークについて」 ・2005年12月14日,「健やか親子21」の実施期間(2001年~2010年)の中間年にあたることから実施状況の評価等を目的として設置された「健やか親子21推進検討会」(事務局:厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)が,「妊娠・出産の安全性と快適さの確保」の達成に向けて,マタニティマークのデザインを一般公募し,2006年3月10日,現行のマタニティマークが選定のうえ公表された。さらに,2006年8月1日には,「首都圏における鉄道事業者20社局」に対して,マタニティマークの無償配布やマタニティマーク周知ポスター掲示が開始された。
<マタニティマークとは>
●妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ,周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの。
●さらに,交通機関,職場,飲食店,その他の公共機関等が,その取組や呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し,妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの。

→「マタニティマーク」の成り立ちをみると,2005年3月,参院経済産業委員会などでの公明党議員から統一マークの強い要望をきっかけとして,自・公政権下の厚生労働省が推進したものである。また,近時の「ベビーカーマーク」等に関しても,2013年5月7日,参院予算委員会において,公明党議員からの公共交通機関などでの統一マーク等の要望を受けて,公明党所属の国土交通大臣が,「今後,鉄道などの公共交通機関について,エレベーターや車両内にベビーカーのスペースを確保することをガイドライン(指針)に位置付け,さらに,マークの作成や利用のルール作りも協議会を立ち上げて着実に進めていきたい」と答弁されている。
→政党の実績づくりのように感じられる個別の施策を寄せ集めても,日本国民には,目指そうとする日本の将来の姿は見えてこない,と筆者は思う。(筆者)
6/7 内閣府 「2013年版 食育白書」(概要 / 本文 ・2013年5月31日,内閣府(共生社会政策担当)は,「2013年版 食育白書」を公表した。
・食育白書は,2005年7月に施行された「食育基本法」第15条に規定する「食育の推進に関して講じた施策に関する報告書」であり,政府が毎年国会に提出しなければならないもので,今回で8回目である。
<白書の構成>
第1部 :食育推進施策の現状と課題
①食育推進施策等の現状
②食育推進施策の課題と取組~特集「つながる,ひろがる食育の環」~
第2部 :食育推進施策の具体的取組
①~⑧ :2012年度に講じた,家庭,学校,保育所,地域における食育推進施策の状況について解説するとともに、重要なテーマや新たな取組をコラム等で紹介している。

→筆者は,国民の最大の関心事である「原発事故と食品の安全との関係」について,誠実に対応しようとしていないと思われる食育白書に不信感を持つ。日本の「食の安全性」について,諸外国の方が正しい情報を持っているとしたら日本国民は救われない。だいたい,日本の食の放射能汚染に対して,諸外国がどのような受け止め方をしているのかを正確に知らされていない。(筆者)
6/6 厚生労働省 「2012年 人口動態統計月報年計(概数)」(概要 / 本文 ・2013年6月5日,厚生労働省は,2012年1~12月の人口動態統計月報(概数)を公表した。
<結果のポイント>
①出生数 ・103万7千人 (前年比1万4千人減)
②合計特殊出生率 ・1.41(前年比0.02上昇)
③死亡数 ・125万6千人 (前年比3千人増)
④自然増減数 ・△21万9千人 (前年比1万7千人減)
⑤婚姻件数 ・66万9千組 (前年比7千組増)
⑥離婚件数 ・23万5千組 (前年比3百組減)

→2012年の合計特殊出生率が1.41となり,1.4台の回復は1996年以来16年ぶりとのことである。しかし,出生数は,統計を取り始めた1899年以降過去最少となり,人口減は続いている。
安倍政権になって,少子化対策が9つの会議体で検討されていたが,混乱を調整するために,2013年4月16日に10個目となる「少子化社会対策政府連絡調整会議」を設置している。
「有効な子育て支援策」と「若年層の雇用策」
が望まれているが,筆者は,まず,少子化対策のキーマンとして,見識ある厚生労働大臣と少子化担当大臣が必要であると思う。(筆者)

5/8我が国の子どもの数(15歳未満人口)」の記事を参照
6/5 厚生労働省 「ひとり親家庭の支援施策の在り方の見直しについて」 ・2010年8月施行の「改正児童扶養手当法」の3年後検討規定に基づき,ひとり親家庭への支援施策の在り方を検討するため,社会保障審議会児童部会に「ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」が設置された。
・2013年5月29日,「第1回社会保障審議会児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」が開催され,資料が公表された。
<現行の「ひとり親家庭への支援施策」>
「ひとり親家庭への支援施策に関する法体系」
「ひとり親家庭の現状と支援施策の課題」


(参考)
<厚生労働省>

「ひとり親家庭の支援について」(2012年10月24日)

「2011年度母子家庭等対策の実施状況」(2012年10月24日)
「2011年度全国母子世帯等調査結果報告
「ひとり親家庭等の在宅就業支援サイト」
<労働政策研究・研修機構>
「シングルマザーの就労と経済的自立(2012年1月17日)

→「ひとり親家庭」に関連する2013年通常国会の動向である。
2013年6月4日,生活保護の不正受給の罰則を強化することなどを盛り込んだ
「生活保護法改正案」(衆議院で一部修正),仕事と住まいを失った人に対し家賃を補助する制度を恒久化するなどとした「生活困窮者自立支援法案」,貧しい家庭の子どもの教育支援を柱とした「子どもの貧困対策推進法案」が,衆院本会議で可決され,衆院を通過した。今後,参議院での審議を経て,3法案とも2013年通常国会で 成立すると見られている。
→日本の貧困世帯が先進諸国と大きく違う点は,「親が働いているのに貧困に陥っている世帯の割合が高いこと」と言われている。日本のひとり親世帯の貧困率は50.8%であり,2人に1人以上が貧困であり,先進国では最悪の水準である。日本の母子世帯の母親は8割以上が働いているが,働いて得られる年収は平均で180万円ほどにとどまっている。「働いて得られる所得が少ない上に政府の支援策も十分でない」という状況に置かれている。(筆者)


→●5/7「ひとり親の就業をご支援ください」(事業主向け))の記事を参照
6/4 内閣府 「どうしたら防げるの? 高齢者の交通事故」
<「高齢者の交通事故防止」における政府広報のポイント>
①高齢者の事故は増えている?
・交通事故死者数に占める高齢者の割合は半分である。
②高齢者に多い歩行中や運転中での事故原因は?
・「意識と行動のミスマッチ」など高齢者特有の事情がある。
③道路を歩くときの注意は?
・加齢による体の変化を自覚し,交通ルールを厳守する。
④夜間歩行時の事故を防ぐには?
・ドライバーの目に付きやすい服装や「反射材」が有効である。
⑤高齢ドライバーが安心して運転するには?
・日頃からの安全運転と様々な講習会などを利用して運動能力のチェックをする。

→2013年5月28日に「2013年版 交通安全白書」が閣議決定されたとの報道があった。そのポイントは,2012年の交通事故による死亡者数は4,411人(前年比252人減)となり,12年連続で減少しているが,事故死者数のうち65歳以上の高齢者は2,264人と全体の51.3%を占め,警察庁に記録が残る1967年以降,最も高い割合となり,高齢者の死亡者のうち49%が歩行中の事故で,「自動車乗車中」(26.1%),「自転車乗車中」(16.1%)の順となっている,とのことであった。
→左記は,交通安全白書に基づく政府の型通りの広報であるが,今後,これまでの「高齢者は弱者」一辺倒の広報から,どのように効果的な広報活動を展開していくのかを注目している。(筆者)
6/3 内閣府 「HIV検査普及週間~ストップエイズ!~」(6月1日~6月7日) HIVには予防,早期発見,早期治療が有効で,HIV検査の浸透・普及を図るために,2006年度から「HIV検査普及週間」(6月1日~7日)が始まった。「2013年度HIV検査普及週間 実施要綱」
<保健所等におけるHIV抗体検査件数及び相談件数>
・2012年の保健所等におけるHIV抗体検査件数及び相談件数は,2011年と同水準で,依然として過去最多の2008年を大きく下回っている状況にある。

・検査・相談体制の充実は,今なおエイズ対策の喫緊の課題である。

<「AIDS(エイズ)」と「HIV」の常識>
(1)HIVとAIDS(エイズ)って何?
・「AIDS(エイズ)」(後天性免疫不全症候群)とは,「HIV」(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスに感染して免疫力が低下し,決められた様々な疾患を発症した状態をいう。
(2)HIV/AIDS(エイズ)は増えているの?
・1981年に最初のエイズ症例が報告されたが,日本でもHIV感染者数・エイズ患者数は年間1,400人を上回わり,HIVに感染していたことを知らずに,エイズを発症して初めて気づいたというケースが,約3割を超える高い水準で推移している。
(3)感染を防ぐには?
・HIVは血液や精液,膣分泌液などに含まれるが,感染力が弱いため,日常生活(握手・入浴・缶などの回し飲みなど)ではうつらない。主な感染経路は3つで,①性行為による感染,②血液感染,③母子感染である。
(4)感染・発症したら治せるの?
・現在,体の中にあるHIVを完全に取り除くことはできないが,早期発見・早期治療で発症を抑えられ,「不治の特別な病」ではなく,コントロール可能な病気である。
(5)HIV検査を受けるには?
・HIV検査を受けるには,保健所で匿名,無料で受けられる。
・その他へのリンク :公益財団法人エイズ予防財団API-Net(エイズ予防情報ネット)HIV検査相談マップ

→1981年,アメリカのロサンゼルスに住む同性愛男性に初めてエイズ患者が発見され症例報告された。日本では,1985年3月に日本人エイズ患者が初めて報告され,当時は,HIVは空気感染する,というような認識が当たり前であり,以後,HIV・エイズへの差別と偏見が高まったままで,現在も大きな改善がなされていない状況にある。
→2013年5月22日,「厚生労働省エイズ動向委員会」の「2012年エイズ発生動向」が公表された。2012 年報告されたHIV感染者数は1,002 件,エイズ患者数は447 件であり,両者を合わせた新規報告件数は1,449 件で,2012 年の累積報告件数(凝固因子製剤による感染例を除く)は2 万件を突破したとのことである。2012年版厚生労働白書(p429)における「日本のエイズ対策」によれば,新規感染者数及び患者報告数が増加傾向にあり,,地方の大都市でも増加の傾向が見られ,20~30歳代の占める割合が高く,感染の原因は,約9割が性的接触によるもので,特に男性の同性間性的接触による感染が増加している,とのことである。先進国において特異とされる日本での増加の背景には,危機意識の低さと無関心があると言われている。2012年1月19日から施行された「改正後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」(エイズ予防指針)はあるが,国際的にみても,日本の「エイズ対策」が不十分なことは否めない。
→予防法の中で最も重要なのは,一般人におけるエイズ全般の知識の普及とエイズ教育(性教育)であるとされている。特に,性感染症における「コンドームの必要性」もまともに子どもに伝えられない日本の学校教育での性教育の改善は,急務と指摘されている。(筆者)
5/31 総務省 「ICT超高齢社会構想会議報告書-『スマートプラチナ社会』の実現-」(概要 / 本文 ・2012年12月7日,総務省は,超高齢社会がもたらす課題を解決し,新たな社会モデルの確立に向けたICT利活用の推進方策について検討することを目的として,「ICT超高齢社会構想会議」を設置した。2013年5月24日,「ICT超高齢社会構想会議報告書-『スマートプラチナ社会』の実現-」を公表した。
<総務省の「経緯」の説明>
『世界に先駆けて超高齢社会を迎えた我が国においては,経済活動や社会保障制度,国民生活,地域コミュニティ等の在り方について,従来の政策手法では対応できない課題に直面しています。これらの課題を解決し,社会に新たな価値をもたらす原動力として,距離や時間の問題を克服できるICTが持つ「ネットワーク力」への期待が高まっています。このような状況を踏まえ,総務省では,超高齢社会がもたらす課題を解決し,新たな社会モデルの確立に向けたICT利活用の推進方策を検討するため,2012年12月より本会議を開催してきました。今般,本会議における議論を踏まえ,「ICT超高齢社会構想会議報告書-『スマートプラチナ社会』の実現-」が取りまとめられましたので、公表します。』

「ICT超高齢社会構想会議 構成員名簿」
「ICT超高齢社会構想会議の開催状況」
参考資料

→「スマートプラチナ社会」とは,「シルバー」を越えて,全ての世代がイノベーションの恩恵を受け,いきいきと活動できる超高齢社会超高齢社会のことを指し,医療や介護といった高齢者対策にICTを導入した場合には,2020年時点で1年間に最大23兆円規模の経済効果が見込めるとしている。プラチナ社会実現により,グリーン・シルバー産業および教育・サービス産業で700万人の雇用が創出され,建設業・製造業から社会システム産業,知識集約型サービス産業への就業構造の転換が可能になるとも説明されている。
→今から,10年以内の「日本の社会像」ということである。(筆者)
5/30 文部科学省 「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」 ・2013年3月5日,文部科学省は,大阪市立桜宮高校での体罰事案を受けて運動部活動における体罰が問題となっていること,また,教育再生実行会議の第一次提言(2月26日)において,運動部活動指導のガイドラインを作成することが提言されたことを受けて,「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置した。
・2013年5月27日,厚生労働省は,「運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議」における「運動部活動での指導のガイドライン」を含めた調査研究報告書を公表した。
・「運動部活動での指導のガイドライン」では,今後,各学校の運動部活動において適切かつ効果的な指導が展開され,各活動が充実したものとなるよう,指導において望まれる基本的な考え方,留意点が示されている。

→「運動部活動における体罰には一定の効果があるという意識」を学校・教師・保護者が完全に否定しない限り,いくら精緻なガイドラインを作っても「一過性の体罰減少」程度の効果しか期待できないことぐらい,少し考えれば分かることである。「ガイドライン」で意識が変えられると考えるのは錯覚だと思う。(筆者)
5/29 内閣府 「ローンやキャッシングをご利用の方へ。~ご存じですか? 借入れのルール~」 ・2010年6月の「改正貸金業法」完全施行(2006年に法改正)によって,ローンやキャッシングなどの借入れに関するルールが大きく変わった。
<「改正貸金業法」に基づく借入れのルール>
①多重債務問題を防ぐための「改正貸金業法」
②貸金業者から借りられる金額は年収の1/3以内
・総量規制
③総量規制の対象外は
・企業などの法人による借入れ,銀行や信用金庫・信用組合・労働金庫といった貸金業者以外からの借入れ,クレジットカードの「ショッピング機能」,住宅ローンや自動車ローンなどの借入れ,本人や親族の緊急医療費を支払うための借入れ,(条件付)自営業などの個人事業者による事業資金の借入れ
④利用者の金利負担を軽減するため,上限金利を引き下げ
・利用者の金利負担軽減のためにグレーゾーン金利は廃止され,出資法の上限金利が利息制限法と同水準である「年20%」まで引き下げられた
⑤返済や借入れで困ったときの相談窓口
財務局
都道府県・市区町村(多重債務者相談窓口)
日本司法支援センター(法テラス)
弁護士会・弁護士会連合会
日本司法書士会連合会
日本貸金業協会
財団法人日本クレジットカウンセリング協会

→福祉専門職としての必須の知識である。筆者は,「多重債務問題の未然防止には,子どもの頃からのお金教育(予防教育)が必要であり,多重債務の再発の防止には,生活再建への支援(相談体制を含む)が必要である」とする意見に賛同している。(筆者)
5/28 厚生労働省 「特別養護老人ホームの内部留保について」 ・2013年5月21日,厚生労働省は,「第7回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」において,社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームの内部留保の実態調査の結果を公表した。
・今回の調査で新たに定義された,法人に未使用の資産として残っている「実在内部留保」は,1施設あたりの平均額は約1.6億円であり,特養6,126施設(2009年10月時点)×1.6億円の単純計算では,全体で約9.801億円であることが分かった。また,一部の特養が巨額の内部留保を抱えていることも明らかになった。「
・なお,2011年12月の社会保障審議会介護給付費分科会で,1施設あたり約3億円の内部留保を抱えているという調査結果(特養1,087施設の2010年度末の平均貸借対照表)が報告されているが,今回の調査結果をその時の基準である「発生源内部留保(その他の積立金や次期繰越活動収支差額などを足したもの)」に置き換えれば,1施設あたり約3.1億円となり,ほぼ同じ結果となっていたことが分かった。

→今回の調査で,特養は平均3.1億円の内部留保を持ち,総額では2兆円規模という結論が出た。過大な内部留保を福祉サービス拡充や職員の待遇改善に活用すべきだとの指摘にはきちんと答えられなければならない。
→「社会福祉法人」は,社会福祉法に基づいて,特別養護老人ホームや保育所運営など社会福祉事業を行うことを目的に公費を投入された法人である。
→厚生労働省は,介護分野において,「地域包括ケアシステム」を2025年までに実現する方針である。安倍首相は,保育分野において,「5年間で待機児童ゼロを達成する」と豪語している。しかし,筆者は,従来から「社会福祉法人は濡れぞうきん」という意見に賛同しており,社会福祉法人経営の透明性を高める改革なくして,これらは容易に達成できないと思う。これまで,社会福祉法人を監督すべき立場である厚生労働省は傍観してきたが,2013年5月2日および5月15日の規制改革会議において,「すべての社会福祉法人の財務諸表を公表する方向」が示され,厳しい追及により,2013年度分から財務諸表を公表するとしている。「濡れぞうきん」や「巨大な行政利権」はこんなことでどうなるものではないのでは,もと思うが・・・。福祉・介護の未来のためには,利権の塊である「社会福祉法人」の抜本的な改革は不可欠である。(筆者)
5/27 首相官邸 「マイナンバー法案」が成立 2013年5月24日,参議院において,5月9日に衆議院で修正可決していた「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)が,与党・民主党等の賛成多数で可決・成立した。
「マイナンバー法」は,国民一人ひとりの年金・介護保険などの社会保障給付と納税情報を1つの個人番号(共通番号)で管理するが,「今回のマイナンバー法」は個人番号の利用は社会保障や税など行政分野に限定されている。医療など他分野は施行後3年(2018年1月)をメドに利用範囲の拡大を検討すると法律の付則で定め,先送りされた。
<「今回のマイナンバー法」の実施予定>
2015年10月 ・12ケタの個人番号の「個人番号通知カード」を市町村が郵送する
2016年1月 ・番号情報が入ったICチップを載せた顔写真付きの「個人番号カード」を市町村が希望者に配布し,個人番号での年金相談や照会を可能にする
・災害時の要援護者リストに個人番号を記載する
2017年1月 ・自分専用のインターネットサイト「マイ・ポータル」の運用を開始し,自分の所得や年金情報を確認でき,添付書類なしで税の確定申告ができる
・行政窓口で介護サービス・母子家庭給付金などの手続きが,段階的に添付書類なしで可能になり,行政手続きが簡単になる
・税務当局が保有する所得情報を名寄せし,所得の過少申告や税の不正還付を防止する
2018年1月目途 ・番号の利用範囲を拡大する

→現在,日本では,縦割り行政で,各行政機関が個別に,基礎年金番号,健康保険被保険者番号,後期高齢者医療被保険者番号,パスポート番号,納税者番号,運転免許証番号,住民基本台帳カード,雇用保険被保険者番号,などに番号をつけている。
→「今回のマイナンバー法」は,社会保障・税一体改革の実現のために,共通番号制度を導入して行政側の効率化を行うことが主眼であり,利便性向上の評価は施行3年後の利用範囲の拡大にかかっていると言われている。利用範囲拡大の検討を進めるには,政府として個人情報保護のシステム対応を急ぐ必要があると指摘されている。
→これまでに,「国民総背番号制」に関して,法律を制定して事務処理のための巨大なコンピューターセンターまで作った「グリーンカード制度(少額貯蓄の名寄せ制度)」の実施直前の頓挫と,持つかどうかを選択性にした「住基カード」の中途半端な運用,というアホな制度による血税の無駄遣いを経験してきているが,分野を限定した「今回のマイナンバー制度」が3例目になる危険性が極めて高い,と筆者は思っている。なお,システム整備の初期費用は2000億円〜4000億円(1兆円とも),年毎の管理・運用費には数百億円が必要とされている。(筆者)
5/24 厚生労働省 「国民年金保険料の納付率(2013年3月末現在)」 ・2013年5月22日,厚生労働省は,「国民年金保険料の納付率 (2013年3月末現在)」を公表した。
・2012年4月から2013年2月までの11か月分の国民年金保険料の納付率が58.2%(前年同期比0.2%増)であった。残り1か月で納付率の大幅改善は難しいとみられ,2012年度を通じた納付率は4年連続で60%を割る公算が大きくなったと報道されている。

→納付率の低迷が続いていることについて,『厚生労働省は,「納付率が高かった世代が受給者に移行している。収入が低く不安定な非正規労働者の増加が納付率の上昇を妨げている」と分析。督促業務を担当する日本年金機構の職員が減少したのも影響したと説明している』と報道されている。「100年安心」という子供だましのようなキャッチフレーズを作り出したお役人には,「年金を払わない一番の理由は不信感である」ということが未だに理解できていないように思われる。目先の未納督促をいくらがんばっても納付率が劇的に上がるとは思えないが・・・。(筆者)
5/23 厚生労働省 「分野別・対象別にみた厚生労働統計一覧」 ・2013年5月22日,厚生労働省で実施している主な統計調査や業務統計について,分野別・対象別にみた一覧表が公表された。
<「分野」の区分>
①人口・世帯,②保健衛生,③社会福祉,④老人保健福祉,⑤社会保険,⑥社会保障等,⑦雇用,⑧賃金,⑨労働時間,⑩福利厚生,⑪労使関係,⑫労働災害・労働安全衛生・労働保険,⑬その他

<「対象」の区分>
(1)世帯・個人等,(2)施設・事業所・企業等,(3)都道府県・市町村・その他の公的機関等,(4)その他 ((1)~(3)以外または(1)~(3)の複数)


(参考)
「厚生労働統計一覧」

→「他の書籍に記載されていることや引用部分を,原典や原文を調べもせずに,そのまま引用すること」を「孫引き」という。厚生労働関連のデータでも,既存の統計要約書等から孫引きがされている場合も少なくないが,原典を調べてみると新たな発見がある。2012年度の3福祉士国家試験においても,出題者が原典を調べておれば起こりえないような,原典に忠実でない表現での出題も散見された。国家試験の品位に関わると思うが・・・。(筆者)
5/22 厚生労働省 「都市部の高齢化対策の現状」 ・2013年5月20日,「第1回都市部の高齢化対策に関する検討会」が開催され,配布資料が公表された。
・本検討会では,今後急速に高齢化(特に後期高齢者数の増加)が進む都市部の高齢化対策につき,高齢者のニーズに応じた方策を検討し,地方の地域活性化の観点もふまえて,必要な方策が検討される。
・主な検討項目は,①都市部の高齢者の見通しの策定,②都市部でのサービス提供確保方策(民間企業や互助の活用,在宅・施設サービス整備の課題等),③地方での都市部高齢者の受け入れ時の課題と対応策,とされている。
<「都市部の高齢化対策の現状」の構成>
①高齢化の現状および将来予測
②地域包括ケアシステム
③高齢者の住まい
④生活支援・介護予防
⑤在宅介護サービス

→2025年には,全人口に占める65歳以上の高齢者の割合は39.4%,75歳以上の後期高齢者は26.1%で,75歳以上人口は,都市部では急速に増加し,もともと高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加すると見込まれている。
→第1回検討会では,委員からのプレゼンテーションが行われた。その中で,目新しくはないが,馬場園九大大学院教授は,健康なうちに入居し,人生最期の時までを過ごす高齢者のためのアメリカの生活共同体「CCRC」を紹介し,そのシステムを基にした日本版のCCRCを提言されている。「日本の既定の高齢化対策」,特に2025年までの実現を目標にしている「地域包括ケア」の危うさを感じる。(筆者)
5/17 厚生労働省 ■厚生労働省の15か月予算(2012年度補正予算 + 2013年度予算 ・2013年2月16日および5月15日に国会で成立した「2012年度補正予算」および「2013年度予算」に関する自・公政権以後の経緯を概観する。
●2012年12月26日に発足した第2次安倍政権において,12月27日に「2012年度補正予算」と「2013 年度予算」を合わせた「15か月予算」を念頭に,2013年度予算の概算要求の見直しが行われた。前政権の概算要求に対して,「復興・防災対策」,「成長による富の創出」,「暮らしの安心・地域活性化」の3分野に重点化した要求に入れ替えることとし,2013年1月11日までに財務省に提出することとされた。
●2013年1月11日に,「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が閣議決定され,実質国内総生産(GDP)約2%の押上げ効果,約60万人の雇用創出効果を見込んで,1月15日に「2012年度補正予算(13兆1,054億円)」が閣議決定され,2月26日に国会で成立した。
なお,厚生労働省所管分は3兆2,198億円である。
●2013年1月22日に,経済財政諮問会議において「2013年度予算編成の基本方針」が示され,1月24 日に閣議決定された。「歳出分野における主な留意事項等」として,少子高齢化が進展する中で,持続可能な社会保障制度を構築するため,社会保障の安定財源を確保するとともに,国民負担の増大を極力抑制する観点から,重点化に取り組むため,社会保障制度改革推進法に沿って,社会保障制度改革国民会議における議論を促進する旨,また,生活保護については,不正受給対策を徹底するとともに,自立・就労などの支援施策と併せて,生活扶助基準や医療扶助の適正化を行う旨が明記された。1月29日に,「2013年度予算」が閣議決定され,5月15日に国会で衆議院の議決優越により成立した。
なお,厚生労働省の一般会計予算は29兆4,321億円である。

→自民党は,社会保障に関し,自助・自立を第一に,共助・公助を組み合わせるとしており,予算編成時に生活扶助基準の見直しが行われた点が特徴として挙げられている。一方で,年金,医療,介護等の社会保障制度を維持するための課題は山積している。
→今後,2013年6月には第3の矢である「成長戦略」と中・長期的な経済財政運営のための指針である「骨太の方針」が策定され,7月には「参議院議員通常選挙」が予定され,8月までには「社会保障制度改革国民会議」の結論が出る予定である。
→福祉専門職として,厚生労働省予算の内容を理解し,今後の社会保障制度改革を巡る議論には注視しておく必要がある。(筆者)


5/16■2013年5月15日,「2013年度予算政府案」が成立した),3/7「厚生労働省における政策と予算の対応について(総括表)」2/27全国厚生労働関係部局長会議資料(厚生分科会) / (労働分科会),2/1「2013年度 厚生労働省予算案の概要」,1/16「2012年度厚生労働省補正予算案」の記事を参照
5/16 - ■2013年5月15日,「2013年度予算政府案」が成立した ・2013年5月15日夜,「2013年度予算」が参議院本会議で野党7会派などの反対多数により否決されたが,衆議院では与党の賛成多数で可決しており,両院協議会が開かれたが不調に終わり,衆議院議長が衆議院の議決優越を定めた憲法60条2項の規定に基づいて,「衆議院の議決が国会の議決になること」を宣告し,成立した。
・2012年末の政権交代を受けて予算編成が遅れたため,2013年4月以降は暫定予算が組まれていた。「2013年度予算」は,2013年2月26日に成立した「2012年度補正予算」と合わせて「15か月予算」との位置付けである。

→2013年度の一般会計総額は92兆6,115億円で,7年ぶりの減額予算となるが,別枠で計上した4.4兆円の復興予算と合わせるとこれまでで最大規模になる。公共事業費は2012年度当初予算より7,000億円多い5.3兆円となっている。
→安倍政権が主導するアベノミクスは,「3本の矢」から構成される。大胆な金融緩和による第1の矢と,大型の 「2012年度補正予算」と今回の本予算の成立による機動的な財政出動という第2の矢に続き,今後は,6月中旬の成長戦略により第3の矢が放たれ,経済財政運営の指針となる「骨太の方針」が示される。
→「財政規律の維持」と「中長期的な経済体質の改善・構造改革」が不十分になるではないかとの懸念に応え得るかどうかが「アベノミクス」成功のカギだと言われている。(筆者)
5/14 内閣府 「医療機関のホームページでの表現はガイドラインに沿わなければならない。不適切な内容や表現を発見したら都道府県へ通報を!」 →医療機関における広告規制の動向を概観する。
2007年4月施行の「改正医療法」で,患者等に対して必要な情報が正確に提供され,その選択を支援するといった観点から,広告可能な内容の拡大が明示された。これを踏まえ,2007年4月に「医療広告ガイドライン(指針)」において,広告できる内容が示され,ホームページは当該医療機関の情報を得ようとする目的を有する者が検索等を行った上で閲覧するものであり,原則としてホームページの表示を医療法の規制対象となる「広告」とは見なさないこととされた。
その後,美容医療などの自由診療を行う医療機関のホームページにおいて,その記載内容と実際の受診時における説明や対応が異なるといったトラブルが問題となり,2012年3月の「医療情報の提供のあり方等に関する検討会報告書」を踏まえて,2012年9月に「医療機関ホームページガイドライン(指針)」が示された。
→現在の医療機関のホームページは,他の広告と異なり,医療法による広告規制を受けないが,2012年の「医療機関ホームページガイドライン(指針)」によって初めて規制がかけられたが,引き続き医療広告とは見なさず,医療関係者の自主的な取り組みにより改善を図るものとされ,医療機関ホームページ上における不適切な内容に対しては,行政指導ができることとされた。つまりは,ガイドライン(指針)に法的拘束力はない,ということである。
→「後追い型医療政策」は,日本の医療政策の特徴である。(筆者)
5/10 厚生労働省 「民生委員・児童委員について」 全国民生委員児童委員連合会は,5月12日を「民生委員・児童委員の日」とし,5月12日からの1週間を活動強化週間としている。
・民生委員・児童委員は,民生委員法第14条および児童福祉法第17条に基づいて,地域の身近な相談者として,厚生労働大臣の委嘱を受け,生活に関する相談に応じ,助言その他の必要な援助を行うことをその役割としており,2013年は3年に一度の民生委員・児童委員の一斉改選年に当たり,ふさわしい人材の確保が求められている。
<2013年度 民生委員・児童委員の日,活動強化週間の取り組み予定>
民生委員・児童委員の日 :5月12日
強化週間 :5月12日~5月18日
主な取り組み :都道府県・指定都市,市区町村・法定単位民児協


(参考)
「民生委員・児童委員について」(厚生労働省)
 ⇒民生委員・児童委員に関するQ&A

「民生委員・児童委員」(政府広報)
「これからの地域福祉の在り方に関する研究会報告書」(2008年)

→民生員制度の成否は,人選と質の向上の2点にあるとされてきたが,これまでは人選方法に偏り,質の確保の論議が欠落していると指摘されている。民生委員制度を存続させ,地域福祉の重要な担い手となるためには,「人材の確保」と「人材育成」が不可欠とされている。(筆者)
5/9 厚生労働省 「感染症法に基づく医師の届出について」 <全ての医師が,全ての患者の発生について届出を行う感染症の種類>
・患者が発生するたび,診断した医師は,最寄りの保健所に届け出なければならない。

種類 疾患数 届出の時期
1類感染症 7疾患 ただちに届出
2類感染症 5疾患 ただちに届出
3類感染症 5疾患 ただちに届出
4類感染症 43疾患
※2013年3月4日から「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」が追加された
ただちに届出
5類感染症の一部 18疾患
※2013年4月1日から「侵襲性インフルエンザ菌感染症」「侵襲性肺炎球菌感染症」が追加され,「髄膜炎菌性髄膜炎」が「侵襲性髄膜炎菌感染症」に変更された
7日以内に(麻しん・風しんはできるだけ早く)届出

→最近,話題となった感染症では,「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」は,マダニが媒介するウイルスに感染し,発病するもので,「重症で熱が出て,血小板が少なくなる病気」とする英語の「Severe fever with thrombocytopenia syndrome」の頭文字(SFTS)をとっている。鳥インフルエンザウイルス(H7N9)は,病原性が低いので低病原性鳥インフルエンザウイルスとも呼ばれており,2012年5月には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立している。また,妊娠中の女性が感染すると,赤ん坊に障害が起きる可能性のある風疹が全国的に流行している。このような時事的な事柄も,3福祉士国家試験やケアマネ試験に出題される可能性がある。(筆者)

(参考)
「感染症・予防接種情報」(厚生労働省)
「感染症疫学センター」(国立感染症研究所)
5/8 総務省 我が国の子どもの数(15歳未満人口)」 ・ 総務省統計局は,2013年5月5日の「こどもの日」にちなんで,2013年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)を推計し,公表した。
<要約>
①子どもの数は1,649万人(前年比15万人減),32年連続の減少
→男子が844万人,女子が 804万人
②子どもの割合は12.9%(前年比0.1%減),39年連続の低下
③子どもの数は東京都(前年比3千人増)および沖縄県(前年比1千人増)では増加
④子どもの割合は沖縄県(17.6%)が最も高く,秋田県(11.1%)が最も低い

⑤子どもの割合の国際比較でも,昨年同様,依然最も低い数値
→アメリカ(19.6%),イギリス(17.6%),ドイツ(13.2%),フランス(18.6%)
→ミャンマー(32.6%),インドネシア(26.4%), ベトナム(24.0%),中国(16.5%),韓国(15.6%)

→「子どもの日」にちなんだ15歳未満人口の推計において,日本国民は,30年以上も,子どもの数と割合が「去年より減った」,「少子化が止まらない」と聞かされ続けてきた。そんな中で,2013年4月19日,安倍首相は「成長戦略スピーチ」において「少子化対策」として,「待機児童解消加速化プラン」と「3年間抱っこし放題での職場復帰支援」をしたり顔で披露した。即座に,「そこかっ!」と呟いた国民は少なくないと思う。筆者は,「晩婚化」が少子化の要因として「早婚化」や「早期出産」を考えている安倍首相や的外れな「女性手帳の導入」を少子化対策にしようとしている森少子化担当大臣で構成されている現内閣では,適切な少子化対策の進展は望めないと思う。安倍政権になって,少子化対策が9つの会議体で検討されている。混乱を調整するために,10個目の「少子化社会対策政府連絡調整会議」を2013年4月16日に設置したとのことである。ここまで来ると笑えない。(筆者)
5/7 厚生労働省 「ひとり親の就業をご支援ください」(事業主向け) ・2012年9月7日に成立し,2013年3月1日に施行された「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法」に基づいて,国と地方公共団体は,企業に対して,優先的にひとり親を雇い入れたり,その他の協力を要請することになった。

→2010年国勢調査によれば,母子世帯数は約76万世帯,父子世帯数は約9万世帯で,母子世帯になった理由は,離婚8割・死別1割,父子世帯になった理由は,離婚7割・死別2割である。また,2011年の児童のいる世帯の平均年収は658万円(国民生活基礎調査)であるが,母子家庭の平均年収は291万円,父子家庭455万円(全国母子世帯等調査)である。なお,生活保護を受給している母子世帯及び父子世帯はともに1割で,ひとり親家庭の相対的貧困率は50.8%と高い水準となっている(全体の相対的貧困率は16%)。
→ひとり親家庭はさまざまな困難に直面し,なかでも母子家庭における最大の 困難は「就業」であることは今に始まったことではない。対症療法による解決の難しさも分かりきっていることである。「将来,家庭を築くための教育」の必要性を強く感じる。(筆者)


(参考)
<厚生労働省>

「ひとり親家庭の支援について」(2012年10月24日)

「2011年度母子家庭等対策の実施状況」(2012年10月24日)
「2011年度全国母子世帯等調査結果報告
「ひとり親家庭等の在宅就業支援サイト」
<労働政策研究・研修機構>
「シングルマザーの就労と経済的自立(2012年1月17日)
5/1 厚生労働省 「厚生労働省における2013年4月からの主な制度変更(まとめ)」 <2013年4月からの主な制度変更(まとめ>
区分 項目 内容
雇用・労働関係 (1)障害者の法定雇用率の引き上げ ●「障害者雇用促進法」では,事業主に対して,障害者雇用が法定雇用率以上になるよう義務づけている。
●2013年4月1日から法定雇用率を民間企業は2.0%(従前1.8%)に,国・地方公共団体等は2.3%(従前2.1%)に,都道府県等の教育委員会は2.2%(従前2.0%)に引き上げる。
(2)改正高年齢者雇用安定法の施行 ●継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
・継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みを廃止し,定年後の雇用の希望者全員が継続雇用制度の対象となるようにする。
(3)改正労働契約法の全面施行 ●労働契約法が改正され,有期労働契約に関する新しいルールがスタート
・改正労働契約法が定める3つのルール
①無期労働契約への転換
有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは,労働者の申込みにより,期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール。
②「雇止め法理」の法定化(2012年8月より既に施行)
最高裁判例で確立した「雇止め法理」が,そのままの内容で法律に規定。一定の場合には,使用者による雇止めが認められないことになるルール。
③不合理な労働条件の禁止
有期契約労働者と無期契約労働者との間で,、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール。
年金関係 (4)2013年度の国民年金保険料 ●2013年度の国民年金保険料は,15,040円(2012年度14,980円)
・法律に規定されている2013年度の保険料額15,820円(2004年度価格)に,2004年度以降の物価や賃金の変動を反映した率(0.951)を乗じることにより,15,040円となる。
(5)2013年4月から9月の年金額 ●2013年4月から9月の年金額は,2012年度と同額(老齢基礎年金(満額):月65,541円)
医療保険関係 (6)70歳から74歳の患者負担引き上げの凍結 ●2013年度も,70歳から74歳の窓口負担を1割に据え置き
(2014年度以降のあり方については今後検討)
障害者福祉関係 (7)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)等の施行 ●障害者基本法の改正を踏まえ,全ての国民が障害の有無にかかわらず共生する社会の実現を図る観点から,障害者の自立した日常生活又は社会生活のための支援の充実を図るため,障害者の範囲の見直し,地域生活を支援するためのサービス体系の整備その他所要の措置を講ずる。
(8)国等による障害者就労施設からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)の施 ●国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関し,障害者就労施設等の受注の機会を確保するために必要な事項等を定めることにより,障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図る。

→2013年度3福祉士国家試験・ケアマネ試験受験者にとっては,必須の知識である。(筆者)
4/30 首相官邸 「医療・介護分野における最新資料」 ・2013年4月22日,「第10回 社会保障制度改革国民会議」が開催され,資料が公表された。
<資料の構成>
医療分野 介護分野
・我が国の医療制度の概要
・医療費の動向
・特定健康診査・特定保健指導の概要
・後期高齢者支援金の加算・減産の仕組み
・国・都道府県による医療費適正計画に基づく取り組み
・保険者の取り組み(広島県呉市の事例)
・健康保険の保険者機能強化のためのネットワーク基盤整備改修
・国保データベース(KDB){2013年10月稼働予定)
・医療提供体制の各国比較(2010年)
・外来受診回数の各国比較(2009年)
・現在の性・年齢階級別の医療サービス利用状況をそのまま将来に投影した場合における入院者数等の見込み
・医療・介護機能の再編(将来像)
・現在の一般病棟入院基本料等の病床数
・機能分化を推進するための仕組み
・医療計画制度について
・外来患者の紹介の状況
・外来診療の機能分化の推進
・在宅医療・介護の連携推進の背景・課題
・在宅医療・介護の連携推進の方向性
・医療法人制度の概要
・医療施設数及び病床数の推移
・人口10万対医師数の年次推移
・チーム医療の推進について
・専門医のあり方に関する検討会
・新たな専門医に関する仕組みについて(専門医の在り方に関する検討会中間まとめ)
・医療保険制度の体系
・各保険者の比較
・後期高齢者支援金の総報酬割について
・後期高齢者支援金の総報酬割拡大による影響
・協会けんぽ(政管健保)の国庫補助率・保険料率の推移
・今回の健康保険法改正案
・2012年の改正国民健康保険法の概要
・財政運営の都道府県単位化の推進
・都道府県単位の共同事業の仕組み
・都道府県調整交付金の割合の引上げ
・市町村国保の低所得者に対する財政支援の強化(2,200億円)
・高額療養費制度の概要
・高額療養費の自己負担限度額(現行)
・医療保険制度における患者負担の推移
・70~74歳の患者負担特例措置の見直し
・2012年度厚生労働省補正予算(抄)(2013年2月26日成立)
・社会保障・税一体改革大綱〈抜粋〉(2012年2月17日閣議決定)
・後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ(概要)(2013年4月5日公表)
・終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会(2007年)
・「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」における手続きの流れ(イメージ図)
・現行の高齢者医療制度
・後期高齢者医療制度の保険料軽減について
●今後の介護保険をとりまく状況
●介護の将来像(地域包括ケアシステム)
●介護保険制度の仕組み
●介護保険制度の被保険者(加入者)
●介護給付と保険料の推移
●介護費用は,2010年度で7兆8千億円で,10年間で約2.2倍に。
●要介護度別の認定者数の推移
●介護保険サービス利用者は,2010年度で413万人で,10年間で約2.2倍に。(種類別平均受給者(件)数(年度平均))
●通所介護費用が急増している。
●介護予防・重度化予防について
●介護予防・日常生活支援総合事業
●地域における互助の取組の推進
●施設の重点化
●介護保険の利用者負担(介護保険と医療保険の利用者負担の推移)
●介護保険料の低所得者軽減
●介護納付金の総報酬割
●介護職員の処遇改善

→2012年の「社会保障と税の一体改革」で関連法が成立できたのは,年金と子育て支援だけで,医療と介護の制度見直しは手付かずのままとなり,自民,公明,民主の3党で設置を決め,「社会保障制度改革推進法」(2012年)に基づく「社会保障制度改革国民会議」で,2013年8月21日までに方向性を決めることになった。会議の検討項目は,①医療改革,②介護改革,③年金改革,④少子化対策の4項目である。
→2013年4月22日の会議で,「医療・介護分野におけるこれまでの社会保障制度改革国民会議での議論の整理(案)」も公表された。民主党の「公助」と対照的に,「自立・自助」を社会保障の理念とする自民党政権下ではあるが,2013年7月の参院選前には,医療・介護の見直しについて,国民に痛み伴うような抜本的な改革を打ち出さないのではないか,と一般には受け止められている。
→ちなみに,4月25日に「第43回社会保障審議会介護保険部会」が開催されたが,国民会議の議論への批判があったと報道されている。そういうレベルの議論が進められている。(筆者)
4/26 厚生労働省 ■障害者雇用の「相談・支援機関および支援策」 ・現状の障害者雇用に係る相談支援および就労支援は以下のとおりである。
区分 項目 内容
相談・支援機関 概説 どこに相談する?
ハローワーク 概要
一覧
障害者就業・生活支援センター 概要
一覧
在宅就業支援団体 在宅就労支援制度
一覧
障害者職業能力開発校 概要
発達障害者支援センター HP
難病相談・支援センター HP
雇用・就業分野の障害者施策関係単独事業 一覧
就労に向けた支援策 障害種別の就労支援策 視覚障害者
発達障害者
精神障害者
難病者
チーム支援 概要
トライアル雇用(障害者試行雇用支援事業) 概要
実績
雇用と福祉の連携による地域に密着した就労支援の実施 概説 概要
一覧
実績
職場適応援助者(ジョブコーチ) 詳説
障害者の態様に応じた多様な委託訓練 概要
チャレンジ雇用 概説 概要
障害者福祉施策における就労支援 詳説
その他の施策 特別支援学校,就労支援施設,地方自治体などへの施策 詳説
事業主への施策 詳説
事例 好事例集

「2013年度 障害者雇用施策関係予算」は,218億9,500万円である。筆者には,「障害者雇用の充実・強化」に直接つながる効果的な施策あるとは思えない。
→障害者側では,障害者雇用の対象者のうち希望する者(分母)の少なさ,定着率の悪さ,障害者の労働意識の低さという現状がある。行政側では,障害者雇用の意義よりも雇用率達成や就職件数という数を追い求め,求めさせている現状がある。企業側では,障害者雇用をコストと考えている現状がある。腫物を触るような及び腰の現行の相談支援機関や就労支援策だけでは,進展しようもない。日本には,未だに全国民を対象にした主観的な障害の有無を問う社会調査はない。国民的議論が必要である。(筆者)


→●4/24(■2013年4月1日から「障害者優先調達推進法」が施行された),4/23
「改正障害者雇用促進法案」が国会に提出された),4/22「改正精神保健福祉法案」が国会に提出された)の記事を参照

(参考)
「最近の障害者雇用の現状と課題」(2011年11月)
4/24 厚生労働省 ■2013年4月1日から「障害者優先調達推進法」が施行された ・「障害者優先調達推進法」(正式名称:国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律,議員立法)は,2012年6月27日に公布され,2013年4月1日より施行された。
・この法律は,障害者就労施設で就労する障害者や在宅で就業する障害者の経済面の自立を進めるため,国や地方公共団体、独立行政法人などの公機関が,物品やサービスを調達する際,障害者就労施設等から優先的・積極的に購入することを推進するために制定された。
・法律において,「国は,障害者就労施設等からの物品等の基本方針を定める」とされていたが,2013年4月23日に,「障害者就労施設等からの物品等の調達の推進に関する基本方針」が閣議決定され,公表された。


→2012年の通常国会で,「障害者関連2法案」(①改正障害者自立支援法<障害者総合支援法に改称>,②障害者優先調達推進法)が,2012年6月20日に成立した。ねじれ国会を背景とした官僚主導により,障害者総合支援法は,結局,自立支援法の抜本的改正には至らず,関係者からの大きな失望や反発を招きながら,参院本会議で民主,自民,公明などの賛成多数で可決・成立した。一方,障害者優先調達推進法は,全会一致で可決・成立した。
→2012年6月20日のNHKニュースでは,「障害者優先調達推進法が成立」を見出しに,「障害者が福祉施設で作った製品を国の機関などが優先的に購入するよう求める法律が,20日の参議院本会議で全会一致で可決され,成立しました。・・(法律の概要を説明)・・・法律の施行は来年4月からで,すべての省庁と自治体などは,福祉施設からの製品の購入や業務委託についての計画を毎年作り,実績を公表することが義務づけられます。参議院本会議ではこのほか,これまで福祉サービスを受けられなかった難病の患者もサービスの対象に広げるなどとする「障害者総合支援法」も賛成多数で可決し,成立しました。」と報道されていた。当時,意図をもってすれば,事の重大さを逆転させて国民に周知させることは簡単なんだ,と感じたことを思い出した。(筆者)


(参考)
「その仕事,障害者就労施設に発注できませんか?」(パンフレット)
4/23 厚生労働省 「改正障害者雇用促進法案」が国会に提出された ・2013年4月19日,「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が,2013年通常国会に提出された。
 <「改正障害者雇用促進法案」の概要>
【1】改正のポイント
(1)障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応
  ①障害者に対する差別の禁止
  ②合理的配慮の提供義務
  ③苦情処理・紛争解決援助し
(2)法定雇用率の算定基礎の見直し
・法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える。ただし,施行(2018年)後5年間に限り,精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について,本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする。
(3)その他
・障害者の範囲の明確化等

【2】施行期日
・(1) :2016年4月1日
・(2) :2018年4月1日
・(3) :公布日(障害者の範囲の明確化に限る)

(関連資料)
法案要綱 / 法案案文・理由 / 法案新旧対照条文 / 参照条文

「精神障害者の雇用を取り巻く状況」(2012年5月25日)

障害者雇用対策に関する最近の動向である。2010年6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のため基本的な方向性について」を踏まえ,3つの研究会が設置され,2011年11月から議論が始まり,2012年8月3日に3研究会の報告書が公表された(①「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会報告書」,②「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会報告書」,③「地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書」)。その後,労働政策審議会障害者雇用分科会に報告され,2013年3月14日に今後の障害者雇用施策の充実強化について,「労働政策審議会障害者雇用分科会意見書」が提出され,左記の法律案につながった。なお,2013年4月1日から,障害者雇用率制度における法定雇用率が引き上げられた(民間企業:1.8%⇒2.0%,国・地方公共団体等:2.1%⇒2.3%,都道府県等の教育日委員会:2.0%⇒2.2%)。
→近年の海外における障害者雇用対策の動向である。
2012年4月の高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書(「欧米の障害者雇用法制及び施策の動向と課題」)を以下に引用する。アメリカでは,1990年の障害をもつアメリカ人法(ADA)により障害者差別を包括的に禁止する制度としてきたが,さらに障害者差別禁止の実効性を高めるためのADAの改正を行う一方,障害者の就労支援にも力を入れている。イギリスでは,雇用率制度から,1995年に障害者差別禁止法(DDA)により差別禁止法制へと転換する一方,障害者に雇用と所得保障のサービスを効率的に実施するための施策を実施しており,2010年には,DDAも含む包括的な差別禁止法である平等法を制定し,より効率的に障害者雇用施策を展開しつつある。また,障害者雇用率と差別禁止を併せ有する法制度を展開するドイツとフランスは,差別禁止法制を展開している。
→筆者は,「共生社会」というあいまいな言葉が,日本国民の障害者理解の妨げになっているのではないかと考える。2004年,内閣府に「共生社会政策担当」という部署が作られ,「国民一人ひとりが豊かな人間性を育み生きる力を身に付けていくとともに,国民皆で子どもや若者を育成・支援し,年齢や障害の有無等にかかわりなく安全に安心して暮らせる」のが共生社会だとした。しかし,筆者にとってはまったく意味不明の文章である。また,「障害者重点施策実施5か年計画」では,「共生社会は,障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う社会であるとともに,障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重され,自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加,参画し,その一員として責任を分担する社会である。」としている。これで具体的なイメージを持てる者がいるとしたら,是非ご教示いただきたいものである。というわけで,2012年7月調査の「障害者に関する世論調査」においても,「共生社会」の周知度では,「知っている」と答えた者が4割であり,日本国民の6割がなんのこっちゃと思っている。
→障害者福祉という狭い範囲の中で保護的視点が必要な特別な存在として障害者をとらえる「いわゆる共生社会」や,「スローガン的な差別禁止社会」から決別して,障害に対する差別的行為を厳しく禁止する中で生活者として障害者をとらえる「差別排除社会」を目指すべきである,と筆者は考えている。その文脈の中で障害者雇用がなければならないと思う。(筆者)


(参考)
「各国の障害者雇用支援施策(職業リハビリテーション)と雇用率制度の対象範囲」(2012年3月14日)
「主な法律における障害者等の定義」(2012年3月14日)
4/22 厚生労働省 「改正精神保健福祉法案」が国会に提出された ・2013年4月19日,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案」が,2013年通常国会に提出された。
<「改正精神保健福祉法案」の概要>
【1】改正のポイント
①精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定
②保護者制度の廃止
③医療保護入院の見直し
④精神医療審査会に関する見直し

【2】施行期日
・①②③ :2014年4月1日
・④ :2016年4月1日

(参考)
法案要綱 / 法案案文・理由 / 法案新旧対照条文 / 参照条文

→「精神保健医療福祉の充実に関する検討」は,2010年6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のため基本的な方向性について」において,以下の3項目が示されていた。その後,「①退院支援・地域生活支援の検討」は2011年度内に概ね終了し,左記の法案につながる「②強制入院・保護者制度の検討」および「③人員体制の充実の検討」の取りまとめは,2012年6月29日に公表された。
→精神保健福祉医療に関わる福祉専門職は,本法案に対して指摘されている問題点(強引な入院や安易な放出の危険性など)への自身の考えを持っておく必要がある。(筆者)
4/19 厚生労働省 「健康食品の正しい利用法(2013年3月改定)」 ・2013年4月18日,厚生労働省は,一般向け用の情報提供用のパンフレットである「健康食品の正しい利用法」(2013年3月改定)を公表した。
<「健康食品の正しい利用法」の構成>
選択編 :健康食品を選ぶ前に
使用編 :健康食品を使う前に
情報編 :健康食品の情報の冷静な受け止め方 Q&A

※医師向け用のパンフレット :「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」(2013年3月改定)

→「健康食品」の法律上の定義はないが,厚生労働省や消費者庁では,「広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指している」としている。
→「健康食品」に関する最近の動向である。2013年1月29日,消費者委員会は,健康食品の効果について誇大な広告や表示が横行しているとして,対策強化を求める「「健康食品」の表示等の在り方に関する建議」(項目は,「健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化」「健康食品の安全性に関する取組の推進」「健康食品の機能性の表示に関する検討」「健康食品の特性等に関する消費者理解の促進」の4分野)を森まさ子消費者担当大臣と田村厚生労働省大臣に提出した。消費者庁には,行政処分の対象となる誇大な広告や表示についての判断基準が不明確だと指摘し,問題となる表現などを具体的に示した事例集をつくるよう要請し,厚生労働省には,健康食品による被害情報を収集する仕組みなどを求め,2013年7月までに改善状況の報告を求めている。この建議に対して,主婦連は,「建議内容は,従来から指摘されてきた論評の域を出ていない。法執行体制の強化・整備では即効性・具体性に欠け,「健康食品」への対応については,結果的に様々な施策が先延ばしにされる可能性があるものばかりです。」とばっさりと切り捨てている。これまで,主婦連合会や消費者団体が「健康食品」に求めてきた,「届出制度・登録制度等の導入」「事故情報の報告義務化」「事故の公表制度の導入」「警告表示の採用」「新食品表示法への統一的検討」などが建議に含まれていない,あるいは,あいまいなままになっているとしている。
→健康食品の市場は1兆円とも2兆円とも言われる規模となっており(建議),近年,健康食品をめぐる消費者苦情相談は,全国の消費生活センターに年間1万2千件から1万6千件にも及び,健康被害や財産(経済)被害において,深刻事例が多く出てきている。
→左記のパンフレットにおいて,あふれる情報にふりまわされず,すぐに飛びつく前に,健康食品についての正しい理解をもとに,冷静に考えてみることが大切だとしている。また,健康の3本柱である「栄養・運動・休養」の「栄養」とは,決して,特定成分を濃縮して効率的に摂取することではなく,適量をバランスよく(多種類の食品をまんべんなく)食べること,と説明している。(筆者)


(参考)
「健康食品」のホームページ(厚生労働省)
「「健康食品」の表示等の在り方に関する調査報告」(2013年1月,消費者委員会)
4/18 厚生労働省 「2011年 地域児童福祉事業等調査の概況」(ポイント / 本文
・2013年3月27日,雇用均等・児童家庭局総務課は,2011年10月に実施した市町村の保育などの取組状況である「2011年 地域児童福祉事業等調査の結果」を1年4か月もかかって公表した。
・この調査は,保育を中心とした児童福祉事業の実態を把握するため,「市町村」,「認可外保育施設利用世帯」,「保育所利用世帯及び認可外保育施設」を対象に,それぞれ3年周期で実施されている。今回は,1,743の市町村を対象に,保育所における定員弾力化や短時間勤務の保育士の状況などを調査している。
 <調査項目>
(1)保育所定員の弾力化の状況
①市町村の状況
②保育所の状況
③定員の弾力化を認めていない市町村の今後の予定と認めていない理由
(2)短時間勤務の保育士の導入状況
(3)保育料の収納事務の私人への委託状況
(4)幼稚園と保育所の施設の共有化や行事等の連携状況
(5)子育て支援に関する情報提供の状況
(6)放課後児童クラブの状況
①運営費(2010年度)の状況
②利用料
③指導員の配置

→日本の「保育所待機児童問題」は喫緊の課題である。「待機児童解消策の推進など保育の充実」という重要な施策を担当する部署は,雇用均等・児童家庭局総務課である。保育所における定員弾力化や短時間勤務の保育士の状況などを調査し,待機児童問題への施策に利用しなければならない「2011年 地域児童福祉事業等調査の結果」が毎年1年以上もかかっていては,施策に適切に反映できるとは到底思えない。調査の公表については,「遅くとも月次調査は60日以内,年次周期調査は1年以内に公表する』という閣議決定された原則があった。
→待機児童対策としては,2001年の「待機児童ゼロ作戦」,2008年の「新待機児童ゼロ作戦」,2010年の「待機児童解消『先取り』プロジェクト」があったが,まったく成果が出なかった。これまで,待機児童問題が解消できなかった原因の一つに,「厚生労働省雇用均等・児童家庭局」の仕事のやり方のまずさや,仕事の遅さがあったのではないかと筆者は思っている。「待機児童解消策の推進など保育の充実」に関する厚生労働省の本気度も疑わざるを得ない。
→2010年に「厚生労働統計の整備に関する検討会」が設置され,2013年3月25日に「厚生労働統計の整備に関する検討会(中間報告書)」が公表された。その間に,「厚生労働統計調査一覧」(92本)のうち,2012年6月現在「公表時期が遅い統計調査」が9本あり,「厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課」の担当するものが3本(地域児童福祉事業等調査,全国家庭児童調査,児童養護施設入所児童等調査)もあった。「2012年6月8日の第6回厚生労働統計の整備に関する検討会議事録」で,「コンピュータを使ったネットワークがあるわけですから,何となくもうちょっと早くできそうなのではないかなという感じがします。エラーチェックが膨大でというような理由だけで遅いというのは何となく納得されないような気がいたします」という批判的な意見も述べられていた。2011年分への反映はできなかったとしても,来年には,きちっとした対応ができていることを期待している。(筆者)


3/28(■「保育所待機児童数(2012年10月)」の記事を参照
4/17 環境省 2013年4月1日から「小型家電リサイクル法」が施行された(You Tube) ・2012年8月に成立・公布された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(小型家電リサイクル法)が,2013年4月1日に施行された。
・「小型家電リサイクル法」は,デジタルカメラやゲーム機等の使用済小型電子機器等の再資源化を促進するため,主務大臣による基本方針の策定及び再資源化事業計画の認定,当該認定を受けた再資源化事業計画に従って行う事業についての廃棄物処理業の許可等に関する特例等について定めた法律である。
・2013年4月1日以降,回収体制の整備ができた市町村から順次,使用済み小型家電の回収が始まっている。
「小型家電リサイクル法」の概要
・携帯電話やデジタルカメラなどの小型家電には、金や銅などの有用金属,希少なレアメタルが含まれている一方,鉛などの有害な物質を含むものもある。
・廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り,もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与する。

小型家電リサイクル法が始まります(パンフレット)
使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン

<家電リサイクル法と小型家電リサイクル法の比較>
家電リサイクル法 小型家電リサイクル法
法律の施行 2001年4月 2013年4月
対象品目 テレビ,冷蔵庫・冷凍庫,洗濯機・衣類乾燥機,エアコンの4品目 携帯電話,デジタルカメラ,ゲーム機などで,具体的に回収・リサイクルする品目は市長村ごとに異なる。
回収方法 家電販売店(小売業者)が消費者から回収し,製造メーカーがリサイクルする。 市町村が回収ボックスや回収コンテナ等を設置して回収する。回収方法は,市町村ごとに決定し,家電量販店(小売業者)も回収に協力する。
再資源化の実施 製造メーカー 認定事業者など
消費者の費用負担 対象品目によって,数千円程度を負担(運搬料金も含め)する。 市町村によって異なる。(品目によっては有料の場合もある)

→筆者は,「小型家電リサイクル法」の最大の欠点は,「製造メーカー」に責任を取らせなかったことであると思う。「小型家電リサイクル法」によって,消費者には,直接的メリットはなく,「都市鉱山」の活用や「ごみ輸出」の防止という社会的意義が還元されるだけである。結局,「製造メーカー」に代わる「認定事業者制度」という利権に,2013年度予算のうち「使用済み小型電気電子機器リサイクル推進事業費」の33億5,600万円(2012年度は2億4,200万円)の多くが充てられることになるように思える。(筆者)
4/16 - ■2012年度の保健師・看護師試験において,「不適切問題」を指摘した教育関係団体があった →2008年4月1日に「保健師,助産師及び看護師教育」のカリキュラムの改正が,2011年4月1日に「保健師教育及び助産師教育」のカリキュラムの改正が行われ,2012年4月には保健師助産師看護師国家試験の改善に関する基本的な方向性等についての報告書が提出された。2012年度の保健師・看護師試験直後の2013年2月21日に,教育関係団体が厚生労働大臣宛に「不適切問題等」についての要望書を提出し,3月25日に合格発表がなされた。
<2008年以降の経緯>
「保健師助産師看護師国家試験制度改善部会報告書」(2008年3月24日)
→出題形式における写真等の視覚素材の導入や看護師国家試験における必修問題数の増加等の改善がなされた。

「保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令」(2011年1月6日)
→カリキュラムの改正が行われ,2012年以降に実施される看護師国家試験および2013年以降に実施される保健師国家試験については,試験科目の改正も行われる。

「保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会報告書」(2012年4月23日)
→医道審議会保健師助産師看護師分科会の下に,保健師助産師看護師国家試験制度改善検討部会を設置し,2011年11月から開催し,従来の国家試験について評価し,保健師助産師看護師国家試験の改善に関する基本的な方向性等について報告された。

■「第99回保健師国家試験および第102回看護師国家試験の試験日」(2013年2月15日,2月17日)

「第99回保健師及び第102回看護師国家試験に関する要望書」(2013年2月21日)
→厚生労働大臣宛に2月21日付で一般社団法人日本看護学校協議会が「不適切問題」を指摘し,要望書を提出した。


「第99回保健師国家試験および第102回看護師国家試験の合格発表」(2013年3月25日)
→厚生労働省は,保健師国家試験問題1問を「不適切問題」とし,合格発表した。なお,当該「不適切問題」(採点除外とされた)は,日本看護学校協議会の指摘にはなかった箇所である。

→筆者は,2012年度3福祉士国家試験における社会福祉と精神保健福祉士の国家試験にも,上記保健師および看護師国家試験と同様の状況があったように思う。同列に論じられないことはわかっているが,3福祉士における一般社団法人日本看護学校協議会のような立場からは,合格発表までに,目に見える形での正式な動きはなかったと認識している。後から,国家試験について意見を集約し,公表しても,「試験問題の質の向上」には効果的ではない。福祉・介護分野の教育関係者は,「後出しじゃんけん」や「現状追認」ばかりしていると,社会的な信頼を失うことを知るべきである。
→また,2012年度の社会福祉士や精神保健福祉士では,合格基準を大幅に下げて,試験問題の半分も答えられない受験者を合格させるようなことをやってしまった。これでは,国家試験の体をなさない。今回の社会福祉士国家試験では,粗悪な問題が散見されるが,80点以下の者を合格にしなければ理由にはならない。社会福祉士や精神保健福祉士国家試験の合格率の維持が影響していると思われるが,合格基準(合格点)を下げるようなことをやっていては,本末転倒であり,社会福祉士や精神保健福祉士の社会的認知の向上を口にするのはおこがましい。25回社会福祉士国家試験委員長の古川孝順先生は,日本学術会議社会学委員会福祉職・介護職育成分科会副委員長として,福祉職や介護職の専門性向上や社会的待遇の改善を提言されている。また,第15回精神保健福祉士国家試験副委員長の石川到覚先生は,一般社団法人日本精神保健福祉士養成校協会会長である。さらに,社団法人日本社会福祉士養成校協会の外部理事
白澤政和先生は,日本学術会議社会学委員会福祉職・介護職育成分科会委員長である。最後に,上記3人とも「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会」「精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会」のメンバーであった。そういう状況にある。合格発表後1か月を経たので,筆者の所感を述べた。(筆者)

(参考)
「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書」(2008年12月26日)
「精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会報告書」(2011年11月11日)
「福祉職・介護の専門性向上と 福祉職・介護の専門性向上と 福祉職・介護の専門性向上と社会的待遇の改善に向けて 社会的待遇の改善に向けて 社会的待遇の改善に向けて」(日本学術会議,2011年9月20日)
4/12 厚生労働省 「災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領」 ・2013年4月1日,厚生労働省は,災害派遣精神医療チーム(DPAT) の活動要領を定め,通知した。これにより,各都道府県において,地域防災計画を策定する際に,DPATの運用についても記述されることになる。
<DPATの経緯>
●東日本大震災における心のケアについては,活動手法に関する要領が定まっていないことから,一部非効率な運用が見られる等の課題が明らかとなっていた。
●各都道府県等における心のケアチームの整備を促進するため,2012年度から「心のケアチーム体制整備事業」が実施されているが,チームの定義や具体的な活動要領の作成の必要性が認められていた。
●そこで,厚生労働省は,2011年度から設立された災害時こころの情報支援センター等と連携し,DMATの名称や活動要領も参考に,災害派遣精神医療チーム(DPAT)の名称や定義を定めた。


<DMATとDPATの比較>
●DMAT(Disaster Medical Assistance Team)は,大地震及び航空機・列車事故等の災害時に被災者の生命を守るため,被災地に迅速に駆けつけ,救急治療を行うための専門的な災害派遣医療チーム。情報システムは,広域災害・救急医療情報システム(Emergency Medical InformationSystem;EMIS)。
●DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)は,自然災害,航空機・列車事故,犯罪事件などの大規模災害等の後に被災者及び支援者に対して,精神科医療及び精神保健活動の支援を行うための専門的な災害派遣精神医療チーム。情報システムは,災害精神保健医療情報支援システム(Disaster Mental Health Information SupportSystem; DMHISS)。

→「東日本大震災に関連する自殺者は,2011年は55人,2012年は22人,2013年に入ってからも4人ということが内閣府の資料で報告をされている」と2013年2月28日の「DPAT構想についての記者会見」で,秋葉副大臣が述べていた。スピード感に欠ける。(筆者)

(参考)
「災害時こころの情報支援センター」
4/11 内閣官房 ■2013年4月13日から「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行される ・2013年4月10日,政府は,新型インフルエンザの国内での感染拡大を防ぐため,「新型インフルエンザ等対策特別措置法」を2013年4月13日から施行することを発表した。
・「新型インフルエンザ等対策特別措置法」は,2012年4月27日に可決・成立し,2012年5月11日に公布され,「2013年5月10日に施行」される予定であった。しかし,近時の中国での鳥インフルエンザの感染拡大を受け,施行日を2013年4月13日に前倒ししたものである。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法の概要」
・国が緊急事態を宣言した場合,都道府県知事が外出自粛などを要請できるなど,国民の生活を制限すること等を内容とする。

(参考)
「新型インフルエンザ等対策」(内閣官房インフルエンザ等対策室)
「鳥インフルエンザA(H7N9)について」(厚生労働省)

→2009年に流行した新型インフルエンザ(H5N1で高病原性鳥インフルエンザウイルス)への国の不手際を教訓として,2012年に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立した。
→菅官房長官は,4月10日の記者会見で,「中国におけるH7N9鳥インフルエンザ(低病原性鳥インフルエンザウイルス)は,現段階において人から人に持続的に感染することは確認されていないが,万が一に備え,施行令を4月12日に閣議決定し,特措法を4月13日に施行することとした」と述べた。また,対策の詳細を定める新しい行動計画を,4月16日の「第8回新型インフルエンザ等対策有識者会議」に提示し,4月下旬に決定する方針も示した。
→今後のポイントは,「人から人への感染」だ と言われている。日本国民は,国に対して,実施体制の早期整備と的確な情報提供を期待している。(筆者)
4/10 内閣府 ■「少子化社会に関する参考資料(その① / その②)」 ・2013年4月1日,内閣府は,3月27日に開催された「第1回少子化危機突破タスクフォース」の資料を公表した。
・「少子化危機突破タスクフォース」は,結婚・妊娠・出産・育児のすべてのステージにおける課題の解消を目指すとともに,家族を中心におきつつ,地域全体で子育てを支援していく取り組みを推進等について意見交換を行うもの,と森少子化対策担当大臣は3月26日の記者会見で説明している。
・今後,2013年5月末を目途に具体案をまとめ,政府が6月に策定する「骨太の方針」に盛り込む予定とされている。
<「少子化社会に関する参考資料」の構成>
(1)少子化の現状
(2)結婚や出産・子育てをめぐる国民の希望と現実とのかい離
①若年者の非正規雇用の増加
②子育て子育ての孤立化と負担感の増加世代の男性の長時間労働
③各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2007年)
(3)少子化対策の歩み
・1990年(1.57ショック)~2012年8月(子ども・子育て関連3法の成立・公布)

→民主党政権時の2012年8月に,保育サービスや幼児教育の充実をはかるための「子ども・子育て支援3法」が成立しており,今回のタスクフォースは「結婚や出産,育児など,残された課題への支援策」という位置づけになっている。
→森少子化対策担当大臣は,3月27日の会合で「出会い,結婚,妊娠,育児のすべてに国が支援していく必要がある」と述べている。野党時代の「キレのある下品なヤジ」を飛ばしていた人物とは思えないほど,ごった煮的な発言である。2013年7月の参議院選に向けたパフォーマンスと考えれば合点がいく。というわけで,筆者は,低所得者の夫婦への住宅補助や,非正規労働者への出会いや婚活補助などの怪しげな話が出てくるかも知れないが,これらは貧困対策や雇用対策に深く関わりのある問題であり,ごった煮にして少子化対策でお茶を濁されかねないと思った。20年間何の効果も出せなかった少子化対策に関して,「少子化危機突破タスクフォース委員」から,効果的な対策案が出てくれば拍手喝采ものである。(筆者)

→●4/1
「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)-2010年~2040年-」,3/28
「保育所待機児童数(2012年10月)」の記事を参照
4/9 厚生労働省 「福祉人材コーナー設置ハローワーク・問い合わせ先一覧」
~福祉分野での仕事探しや人材探しに活用~
・2013年4月8日,厚生労働省は,「福祉人材コーナー設置公共職業安定所及び問い合わせ先一覧(2013年4月1日現在)」を公表した。
「福祉人材コーナ」は,福祉分野(介護,医療,保育など)での人材確保に向けてサービス提供体制の整備および求人・求職のマッチング機能の強化を図るために,都道府県の主要ハローワークに2009年4月以降順次設置されてきた。
<「福祉人材コーナー」とは>
●介護・医療・保育など福祉分野への就職希望者への,相談,セミナー,職場見学会や,福祉人材の確保・定着に向けて雇用管理の改善に取り組む事業主への,求人充足に向けた相談を行う窓口である。
<「福祉分野の仕事」とは>
●理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士,作業指導員,児童指導員,生活相談員,寮母(父),ホームヘルパー,介護員,介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士,介護支援専門員,看護補助,保健師,助産師, 看護師,准看護師,保育士などの職種を指す。

「福祉人材確保重点プロジェクト推進の2012年行政事業レビューシート」を見れば,2011年度の「福祉人材コーナーにおける予算」は,12億6,200万円で,新規相談者数は50,536人,就職件数は27,040件であった。この程度の実績に高い評価が与えられているのはおかしいと思う。また,「非正規労働者総合支援センター等において,他産業からの離職を余儀なくされた非正規労働者を中心に,介護分野に関心を持つ者等に対する職業情報の提供及び必要に応じた「福祉人材コーナー」の利用勧奨等の支援を行う」ことによって,介護分野が活性化することはあり得ないと思う。介護分野は姥捨て山ではない。(筆者)

(参考)
「福祉人材確保対策」(厚生労働省)
4/8 内閣府 「社会意識に関する世論調査(2013年2月調査)」 ・2013年4月1日,内閣府は,「社会意識に関する世論調査(2013年2月調査)」を公表した。
●「医療・福祉」「科学技術」「治安」「景気」など計26の分野を選択肢として設け,現在の日本の状況について,良い方向と悪い方向の分野をそれぞれ複数選べる手法で実施している。
①「良い方向に向かっていると思われる分野」
・「医療・福祉」が27.5%(2012年:22.5%),「科学技術」が25.7%(2012年:23.1%),「防災」(19.6%),「治安」(15.6%)の順となっている。
②「悪い方向に向かっていると思われる分野」
・「雇用・労働条件」が39.1%(2012年:49.3%),「国の財政」が39.0%(2012年:54.9%),「景気」が36.1%(2012年:58.7%),「外交」が35.9%(2012年:37.9%)の順となっている。
「現在の社会に全体として満足しているか」
・「満足」(53.4%)が「満足していない」(46.1%)を上回り,質問を始めた2009年以来,、初めて逆転した。また,「国を愛する気持ちの程度」は「強い」が58%で過去最高であった。

→1987年から1990年までのバブルを容認した澄田元日銀総裁に代わり,1989年に就任し,「バブル潰し」に急ぎ過ぎて,後処理を誤り,被害を増幅させ,現在もその後遺症を引きずらせ,日本経済を潰した元凶と断罪されている三重野元日銀総裁に対して,当初,日本のマスメディアは挙って持ち上げるだけ持ち上げたため,国民も喝采を送った,という事実を無視してはならないと思う。
→正反対の事象ではあるが,似たような状況が二十数年後に起こっている。2013年4月4日,「異次元の金融緩和策」を打ち出した黒田日銀総裁に対して,日本のマスメディアは持ち上げ一辺倒ではないものの,大多数が賞賛している状況にある。日本のマスメディアの論調の通りに,日本の円の価値が下がる「円安」を手放しで喜んでいる国民も奇妙である。将来,「アベノミクスに同調し,デフレ脱却を急ぐあまり,「異常なバブル」を招き,ひいては国債の暴落を引き起こし,日本経済をインフレで崩壊させた元凶は黒田元日銀総裁である」,の記事が現実のものにならないとは言い切れないというのが門外漢である筆者の妄想である。過剰な政策には危険なにおいがするし,まだ何も為していない安倍首相や黒田日銀総裁のドヤ顔が奇妙に見えてしまう。安倍政権に対する国民の評価となるのは,2014年以降の「社会意識に関する世論調査結果」である。(筆者)

4/5 厚生労働省 「社会的養護の現状」および「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」 ・2013年4月3日,厚生労働省は,「社会的養護の現状」および「社会的養護の課題と将来像の実現に向けて」(2013年3月版)を公表した。
<「社会的養護の現状」のポイント>
①社会的養護の対象児童は,約4万7千人で,うち約3万人が児童養護施設に入所している。
②児童養護施設に入所している子どものうち,1/2以上は,虐待を受けている。
③欧米主要国では,概ね1/2以上が里親委託であるのに対し,日本では,施設:里親の比率が9:1となっており,施設養護への依存が高い現状にある。

<「児童養護施設の課題と将来像」のポイント>
①小規模化と施設機能の地域分散化による家庭的養護の推進
②本体施設は,精神的不安定等が落ち着くまでの専門的ケアや,地域支援を行うセンター施設として,高機能化

子どもの権利条約第3条第1項において,「児童に関するすべての措置をとるに当たっては,公的若しくは私的な社会福祉施設,裁判所,行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても,児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」と規定されている。
→「社会的養護」という用語は,2003年から公的資料に用いられ,未だ明確な定義はなく,根拠法もない状況にある。2003年の社会保障審議会児童部会の「社会的養護のあり方の専門委員会」において,国レベルではじめて社会的養護について議論され,報告書が提出された。
→国連は,特に乳幼児について実証的研究結果をふまえた上で家庭養護を第一とすることを明示し,そのような取り組みが各国で展開されつつあり,「家庭的養護の推進」が社会的養護の主流となっている国も多いと言われている。施設養護が圧倒的多数(約9割)を占めるという世界的にも希少な例とされる日本において,厚生労働省は,「社会的養護の量・質ともに拡充が求められる」とはしているが,相変わらず「施設養護」か「家庭養護」かの議論をするための物理的な数のカウントと金勘定の資料の提示をするばかりで,実証的な研究によるデータを十分に示すこともなく,臨床的な知見やカンに基づいてまとめた政策を遂行しようとしている,と筆者は受け止めている。いつまで経っても,「根拠に基づいた子どもの最善の利益につながる地域での子育て支援」の議論には及ばない。「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会委員および社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会委員(2011年7月現在)」「社会保障審議会児童部会委員(2012年10月現在)」が,厚生労働省のバックボーンである。(筆者)
4/4 厚生労働省 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)」(2013年4月1日改訂版) ・2013年4月1日,厚生労働省は,「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に関するQ&A(事例集)」(2013年4月1日改訂版)を公表した。
Q :介護関係事業者は,どちらのガイドラインを参照にすべきか?

A :「本ガイドライン(「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(2010年9月17日改正)」)の他に,主に障害者福祉,児童福祉関係の事業者を対象として,「福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン(2004年11月30日通知)」が定められています。
高齢者福祉サービス以外に,障害者福祉サービスや児童福祉サービスを行っている事業者の場合は,両方のガイドラインの対象となりますが,高齢者福祉サービスのみを行う事業者におかれては,本ガイドラインをご参照の上,遵守していただければ足りることになります。」


(参考)
福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン(2013年3月29日通達)

→筆者は,介護分野において,「プライバシー保護」と「個人情報保護」の区別がきちんとできていない管理者や経営者が少なからずいるのではないかという疑念を持っている。所属する介護施設や事業所の経営者や管理者がまともなOJTができなければ,現場の介護職員に「倫理」や「法令遵守」(憲法,民法,介護保険法,消費者契,個人情報保護法,公益通報者保護法,高齢者虐待防止法,労働関連法等)の理解と適切な実践が望めるわけがない。これが,日本の介護分野における最大の欠陥であり,最優先で解決すべき課題であるはずだが・・・。(筆者)
4/3 厚生労働省 「モデル就業規則」 ・2013年4月1日,厚生労働省労働基準局監督課は,「モデル就業規則(2013年3月)」を公表した。
・パートタイマーやアルバイトなども含め,常時10人以上の従業員を使用する使用者は,労働基準法第89条の規定により,就業規則を作成し,所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないと規定されている。就業規則を変更する場合も同様に,所轄の労働基準監督署長に届け出なければならない。

区分 内容
第1章 総則
第2章 採用,異動等
第3章 服務規律
第4章 労働時間,休憩及び休日
第5章 休暇等
第6章 賃金
第7章 定年,退職及び解雇
第8章 退職金
第9章 安全衛生及び災害補償
第10章 職業訓練
第11章 表彰及び制裁
第12章 無期労働契約への転換
第13章 公益通報者保護

→介護・福祉分野においては,24時間体制でサービスの利用者を支えるため,常勤職員,パートタイマー,契約職員,派遣職員など,多様な勤務形態をとっている場合が多く,人事・労務管理に関して,複雑で難しい問題を含んでいることが多いとされている。また,10人未満の事業者には就業規則の届出義務は課せられていないが,労働契約として労働条件を明示する義務があるため,10人未満の事業者であっても,就業規則を作成しておくことが望ましいとされている。
「介護労働者」が意欲と誇りを持って働くためには,職業としての社会的認識・経済的評価が大切であるが,まずは「介護労働者」の労働意識の向上が先である。(筆者)


(参考)
「福祉職・介護の専門性向上と社会的待遇の改善に向けて」(日本学術会議)」(2011年9月20日)
「福祉専門職の現状」 / 「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」 / 「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
4/2 厚生労働省 「2013年度 年金制度のポイント」(パンフレット) ・2013年4月1日,厚生労働省年金局は,「2013年度 年金制度のポイント」を公表した。
・このパンフレットは,国民の年金制度への興味・理解を促進させるために,公的年金制度を中心に,年金制度のポイントを解説したものである。

区分 内容
第1章 公的年金の意義と役割
第2章 公的年金制度の概要
第3章 公的年金の適用と保険料
第4章 年金の支給要件と年金額
第5章 年金積立金の運用
第6章 社会保障協定
第7章 企業年金制度等
第8章 2012年度の年金制度の改正点
参考資料 公的年金制度における直近の財政検証の結果や公的年金制度の運営業務を担当する日本年金機構の概要

→2013年4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」が施行され,企業に対して従業員を65歳まで雇用するよう義務付けた。これは,2013年4月1日から厚生年金の支給開始年齢が60歳から61歳に引き上げられ,2025年度にはさらに65歳になることに伴う措置である。また,老齢基礎年金の受給資格期間が,消費税が引き上げられる2015年10月から,現在の25年から10年に短縮されることになっている。福祉専門職にとって,有用な最新資料である。(筆者)
4/1 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)-2010年~2040年-」(要旨 / 概要 ・2013年3月27日,国立社会保障・人口問題研究所は「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)-2010年~2040年-」を公表した。
・この推計は,将来の人口を都道府県別・市区町村別に求めることを目的として,2010年国勢調査をもとにしている。

<推計結果のポイント>
(1)都道府県別の将来推計人口
①2040年の総人口はすべての都道府県で2010年を下回る
②65歳以上人口,75歳以上人口は大都市圏と沖縄県で大幅に増加する
(2)市区町村別の将来推計人口
①2040年の総人口は,約7割の自治体で2010年に比べ2割以上減少する
②2040年には,65歳以上人口が40%以上を占める自治体が半数近くになる


(関係資料)

「日本の世帯数の将来推計(全国,2013年1月推計)-2010年~2035年-」の推計結果のポイント
①世帯総数は2019年をピークに減少開始,平均世帯人員は減少が続く
②「単独」「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が増加する
③世帯主の高齢化が進み,65歳以上の高齢世帯が増加する
④高齢世帯では「単独」と「ひとり親と子」の増加が著しい

「日本の将来推計人口(2012年1月推計)-2011年~2060年-」の推計結果のポイント
①今後わが国では人口減少が進み,2060年の推計人口は8,674万人になる
②人口高齢化が進行し,2060年の65歳以上人口割合は39.9%になる
③長期仮定,合計特殊出生率は1.35,平均寿命は男性84.19年,女性90.93年になる

→2005年の国勢調査に基づいた前回調査では東京都と沖縄県だけは30年後も増加するとされていたが,今回の推計で,初めて全都道府県で減少する見通しが示された。市区町村別では,人口が4割以上減る自治体が全体の22.9%に及ぶとのことである。また,日本の高齢化がさらに加速化し,都市部では若年層が減るために高齢化が著しくなるとしている。
→今回の推計結果に対して,日本のマスメディアは大騒ぎするが,このような詳細なデータがなくても,多くの日本国民は,将来的には日本の重要課題である「人口減」「少子化」「高齢化」が,今より加速していくという予感をすでに持っている。国民が本当に求めているのは,外れっぱなしのご大層な将来推計や予測ではなく,日本の重要課題について,政治や行政がどのような考えで,どう対処としていこうとしているか,つまり「将来像の提示」である。(筆者)


3/12「日本の世帯数の将来推計(全国,2013年1月推計)-2010年~2035年-」の記事を参照
 ttp://www.yamadajuku.com/
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
福祉行政の最新情報(2006.4.1~)-2