日付 関係省庁等 項 目 ポイント
6/30 社会保険庁 離婚時の厚生年金の分割制度にかかる年金相談・年金分割請求の件数
〜離婚等をしたときに,厚生年金の標準報酬を当事者間で分割することができる制度〜
・社会保険庁では,2006年10月から,全国の社会保険事務所,年金相談センター,中央年金相談室において,離婚時の厚生年金の分割制度に関する年金相談を受け付けており,分割割合の範囲や50歳以上の分割後の年金見込額など,年金分割のための情報提供を行っている。また,2007年4月からは,年金分割の請求書(標準報酬改定請求書)の受付を行っている
2004年年金制度改正に基づく年金分割制度は,離婚時の厚生年金の分割制度(合意分割制度,2007年度から実施)と離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度(3号分割制度,2008年度から実施)がある。
2006年10月から2008年5月までの件数(実績)
@年金分割に関する相談件数:124,701件(うち来訪相談は60%で女性が80%を占めている)
A情報提供請求件数:41,180件(うち女性は84%を占める)
B年金分割請求件数:12,061件(うち女性は79%を占める)

「離婚時の厚生年金の分割制度」(社会保険庁)
「2004年の年金制度改正」
6/28 財務省 「人口動態の変化と財政・社会保障制度のあり方に関する研究会 報告書」


【目次】
第1章「将来推計人口が描くこれからの日本」

 社会保障・人口問題研究所人口動向研究部長 金子隆一
第2章「少子高齢化と人口減少がマクロ経済・財政に与える影響の全体像」
 東京大学大学院経済学研究科教授 井堀利宏
 一橋大学大学院経済学研究科講師 別所俊一郎
第3章「人口減少の罠は脱出できるか?−人口転換論(Demographic Transition Theory)を中心に」
 財務総合研究所主任研究官 小黒一正
 前財務総合政策研究所研究員 森下昌浩
第4章「人口減少下の経済成長とイノベーション−情報技術革新からみた日本経済の基礎力と将来展望」
 九州大学大学院経済学研究院教授 篠ア彰彦
第5章「公的年金による世代内再分配効果」
 神戸大学大学院経済学研究科教授 小塩隆士
第6章「少子高齢化・人口減少における財政負担―「投資としての子育て支援」の観点から」
 一橋大学大学院経済学研究科准教授 山重慎二
第7章「世代会計による世代間不均衡の測定と政策評価」
 東北大学経済学研究科教授 吉田 浩
第8章「公的年金純債務から考える年金制度改革の方向性」
 慶應義塾大学法学部教授 麻生良文
第9章「医療保険制度への事前積立導入と、不確実性を考慮した評価」
 学習院大学経済学部准教授 鈴木 亘
・研究会」(財務総合政策研究所)は,@日本の人口動態の変化と経済,財政制度,公的年金・医療保険等の社会保障制度との関連などについて,理論的に整理分析し問題点を明らかにすること,Aそれらの問題点の政策対応についての示唆を提供することを目的として,貝塚啓明京都産業大学客員教授(財務総合政策研究所名誉所長)を座長に,2007年10月から2008年3月にかけて5回にわたり議論・検討を進め,各メンバーの分担執筆により報告書を取りまとめた。なお,「報告書の内容や意見は全て執筆者個人に属し,財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではない」とされている。

政策対応への示唆の要約(抜粋)
わが国の人口動態は,少子高齢化・人口減少の現状が示すとおり歴史的な転換の最中にあり,今後は世界のどの国も経験したことのない高齢化がもたらされる,とする推計結果が示されている(金子論文)。それらの人口推計の下,経済・財政・社会保障の今後約50年間については,経済成長率の低下やマイナス成長、国民負担率の上昇などを予測する推計結果が示されている(井堀・別所論文)。ただし,このような人口動態が予測可能な範囲で大きく変動したとしても,マクロ経済に劇的な影響を及ぼすことはないと指摘している(同)。さらに,情報資本の増加とその利用と活用が高まれば,経済成長率が上昇する可能性もあるとの指摘もなされている(篠ア論文)。次に,人口動態の変化に適合した財政・社会保障制度のあり方等として,@公的年金を始めとする現行の賦課方式の財政制度を維持する場合は,子育てを行う人々の財政負担の軽減,また,そうした子育て支援策としては労働供給を増加させるような補助政策が望ましい(山重論文),A公的年金制度における高齢者内部層の再分配効果を高める方法として,基礎年金部分を生活保護基準額程度へ引き上げると同時に報酬比例部分を圧縮する等の改革が,生涯所得の格差是正にある程度貢献する(小塩論文),という指摘がなされた。さらに,B医療保険制度を維持するためには積立方式の導入が必要であり,積立方式の下での保険料率の引上げによって100年先まで同じ保険料率で財政を維持することができる(鈴木論文),との推計結果も示された。」
6/27 厚生労働省 労働局雇用均等室所在地一覧

「一人で悩まず,雇用均等室までご相談下さい」(リーフレット)
6月23日〜29日は,「男女共同参画週間」である。
・厚生労働省の出先機関である各都道府県労働局雇用均等室では,労働者と事業主の間で男女均等取扱い等に関する私法上の紛争が生じた場合,当事者の一方または双方の求めに応じて,紛争の早期解決のための援助を行っている。
トラブル解決の援助には,男女雇用機会均等法第17 条と18 条に基づく,次の2つの方法がある。
@都道府県労働局長による紛争解決の援助(法第17 条)
A機会均等調停会議による調停(法第18 条)

この均等法に基づく紛争解決援助制度は,労働局または調停委員が公平な第三者として紛争の当事者の間に立ち,両当事者の納得が得られるよう解決策を提示し,紛争の解決を図ることを目的とした行政サービスである。


男女雇用機会均等法のあらまし(リーフレット)
労働基準法のあらまし(女性関係)


→●6/23「2008年版 男女共同参画白書」 ,4/3「総合労働相談コーナー」,4/2■労働基準法Q&A,3/12女性労働者の母性健康管理に関する法律の規定」(男女雇用機会均等法および労働基準法),2/25「妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ」(母性健康管理支援サイト),2007年12/12「男女雇用機会均等対策基本方針の概要」(2007年度〜2011年度 )の記事を参照
6/26 内閣府 「カエル!ジャパン」の「カエル」の意味を知ってますか? ・2007年12月18日,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定された。そして,内閣府に「仕事と生活の調和推進室」が設置された。推進室は,2008年度を「仕事と生活の調和元年」と位置づけ,「国民運動」を一層効果的に推進するため,「カエル!ジャパン」というスローガン,キーワードの下,キャッチフレーズ,シンボルマークを作成し,6月からキャンペーンをはじめた。

→「カエル!ジャパン」のスローガンを初めて見聞きしたとき,「カエル」は「定時に帰る」or「早く帰る」の意味だとほとんどの人は思うはずである。実は,「変える」(change)であった。『ひとつ「働き方」を変えてみよう!』などとは思いもつかない。説明が必要なものは,スローガン,キャッチフレーズ,キーワードとしては成り立たない。なぜ,「変える!ジャパン」としなかったのか。思うに,シンボルマークとして「カエル」を採用したかったからだと思う。プレゼンテーション能力の向上は喫緊の課題と思う。(筆者)

(プレゼンテーション能力の向上に関しては)
→●6/10「2008年版少子化社会白書」,6/6日本介護福祉士会の回答,4/21(■読み手の目線に合わせた資料作りを!・・・厚生労働省の「長寿医療制度でここがよくなる!!」という説明資料)の記事を参照
6/25 厚生労働省 第169回通常国会閉会を受けた福田内閣総理大臣記者会見
〜『具体的な重要政策を5つの安心プランとして7月中にとりまとめ,早急に着手するように関係部署に指示することといたします』〜
第169回通常国会:2008年1月18日〜6月21日(156日間)
・内閣提出の80法案のうち63法案が成立したにとどまり,厚生労働省所管の5法案(@児童福祉法の改正A障害者雇用促進法の改正B国民年金法の改正C2000年度における政府等が管掌する健康保険の事業に係る国庫補助額の特例及び健康保険組合等による支援の特例措置等に関する法律案D高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案)など国民生活に密接に関連する法律を含めて,17の法律が成立に至らなかった。


→80法案のうち厚生労働省所管は9法案であったが,成立は4法案であった(@戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律,A駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律,B感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律,C介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案)。(筆者)
6/24 首相官邸 「骨太の方針2008」(素案)
〜経済財政諮問会議〜
6月末にまとめられる予定の2009年度予算編成の基本となる「骨太の方針2008」の素案(2008年6月17日)である
社会保障制度
についての要点を挙げる。
@改革のポイント:サービスや供給体制のムダ・非効率の見直し,医師不足への対応,少子化対策,後期高齢者(長寿)医療制度の運用改善する。
A2006年に設定された5年間で1兆1000億円の歳費削減(2200億円/年)方針:「最大限の削減を行う」とし,「機械的に5年間均等に歳費削減を行うことを想定したものではない」が方針を堅持する。(昨年どおり)
B財源:医師や介護人材不足など新たに顕在化した問題,少子化などに伴う負担増については,従来の歳出改革とは別に,他分野の歳出削減や増税などで財源を確保する。
→6月23日には「素案」を一部修正した「原案」が審議されているが,6月末の「とりまとめ」が公表された時点で整理して記事にしたい。(筆者)
6/23 首相官邸 「社会保障国民会議 中間報告」
〜社会保障の機能強化を〜
・国民全体で社会保障を支えるという視点に立ち,負担についての国民合意を速やかに形成,必要な財源確保を図るべきと提唱した。このほか「少子化・仕事と生活の調和」,「医療・介護・福祉」,「雇用・年金」の3つの分科会も中間とりまとめを報告し,「男の産休」の普及,女性医師の復職支援,非正規雇用者への社会保険適用など,検討すべき対応策を盛り込んでいる。

→従来の社会保障制度では,非正規従業員がセーフティネットからこぼれ,産科・小児科を中心とした医師不足,救急医療体制の弱体化,介護分野の人手不足,将来の社会保障の支え手の子育て支援も不十分など,社会保障が有効に機能していないことを指摘している。その改善のために「社会保障の機能の強化」(現役世代の雇用確保,非正規労働者への社会保険の適用拡大,医療・介護サービスの充実・効率化,少子化対策の強化など)を提言している。国際的な比較からも当たり前のことを言ったまでである。特筆すべき点は,「機能強化」の財源として「増税」を強く匂わせていることである。大した期待をもたれず開催された本会議の主要な役割がこれにあることが認識できた。2006年5月の「これからの社会保障の在り方懇談会報告書」によって「自助」「給付と負担の不断の見直し」が遂行されてきたように,今秋の最終報告では,今回触れられなかった「基礎年金の国庫負担割合の1/3から1/2への引き上げ」も含めて「増税」の方向性が明確になることが予想される。(筆者)

→●5/21(「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」),1/31「社会保障国民会議」が設置・開催されたの記事を参照
6/23 首相官邸 「安心と希望の医療確保ビジョン(取りまとめ)」
〜総体として医師数を増やす方向に〜
・医師の勤務状況は過重となっており,勤務環境の改善や質の高い医療サービスの提供体制を確保するため,「総体として医師数を増やす方向」とし,同時に「医師養成環境の整備を行う」との方針を提示した。女性医師の離職防止・復職支援,多様な勤務形態の導入なども盛り込んでいる。
→2008年6月17日に政府は,1997年に大学医学部の定員削減を定めた閣議決定を撤回し,医師増員に政策転換することに決めた。同日,厚生労働大臣は,厚生労働省のこれまでの「医師数は十分で,偏在が問題」と言っていたことは「事実と相違」し,これまでの医師数の抑制の政策が間違いであったことを認めた。いつものことであるが,認めるだけで責任の話はない。財源も「後期高齢者医療制度」と同様に,別枠で確保するとのことであり,便利な財布がいくつもある。(筆者)

→●4/18「子どもの心の診療医」テキスト(3類型)3/27「緊急的産婦人科医確保が必要な医療機関の調査」 (日本産科婦人科学会)※「産科医療機関の状況に係る調査」 (厚生労働省)の記事を参照
6/23 厚生労働省 「福祉人材確保重点実施期間(2008年7月21日〜8月3日)」の実施について ・厚生労働省は7月21日から8月3日を2008年度の「福祉人材確保重点実施期間」と定めた。
・福祉・介護サービスに対する国民の理解を深め,福祉人材の確保・定着を図るための普及啓発活動を実施する。その一環として,7月27日に「福祉人材フォーラム」を開催する。
6/23 厚生労働省 インドネシア看護師(156人)・介護士(91人)の候補内定者247人の面接が開始された
〜当初の予定枠(看護師200人,介護士300人)を大きく下回る模様である〜

・経済連携協定(EPA)に基づくインドネシアからの看護師と介護士の候補者受け入れで,日本側の仲介機関「国際厚生事業団」は6月16日,計247人の候補内定者の面接を,ジャカルタで5日間の日程で始めたとのことである。
面接結果を踏まえて求人施設との組み合わせが決められ,7月下旬〜8月上旬に来日する予定である
→下記のように日本看護協会は6月17日に本件への見解を出しているが,日本介護福祉士会はホームページを見る限り特別にコメントを表明していない。当事者間での温度差を感じさせられる。(筆者)
日本看護協会「インドネシア人看護師候補者受入れに対する見解」(2008年6月17日)
→●5/16,5/20の記事を参照
「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」

6/23 厚生労働省 「2007年度 母子家庭白書」
〜ハローワークでの就職件数:7.4万件に増加〜
・白書は母子家庭の母への就業支援,生活支援,経済支援に関する2007年度の施策と実施状況を報告している。2003年に制定された「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法」(2007年度までの時限立法)による報告である。
(白書のポイント)
@2002年の母子及び寡婦福祉法,児童扶養手当法等の改正により,「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」へと転換され,「子育て・生活支援策」,「就業支援策」,「養育費の確保策」,「経済支援策」の4本柱により施策を推進している。
Aこうした中で,2003年に制定された「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法」に基づき,各種の就業支援施策を実施している。

特に,「マザーズハローワーク」(全国12か所)が設置されていない36県に「マザーズサロン」が設置され,ハローワーク等を通じた就職件数は7.4万件で前年度と比べて1000件増加したことを強調している。
・また,2008年度から実施予定の児童扶養手当の一部支給停止措置の実質凍結を明記している。なお,2008年2月末現在,全額支給(4万1720円/月)が59万2365人,一部支給(〜9850円/月)が40万6577人であった。
6/23 内閣府 「2008年版 男女共同参画白書」(概要)
〜女性の参加で地域活性化を〜
・2008年版は「地域における女性の活躍」を特集した。まちづくり,環境,教育などの分野における女性の活躍事例を紹介し,女性の参加は地域活性化や女性自身の成長にもつながるとしている。一方,日本の「GEM指数」(女性の政治・経済活動への進出度を示す指数)は93か国中54位と指摘。地域のリーダーとして女性が活躍する機会はまだ少ないとしている。
6/23 警察庁 「2007年中における自殺の概要資料」(警察庁)
〜「勤務問題」の自殺原因:「仕事疲れ」がトップ〜
自殺者の総数は3万3093人(前年比938人増)で10年連続して3万人を超えた。原因・動機別では「経済・生活問題」が7318人で,このうち「失業」が538人,「就職失敗」が180人であった。「勤務問題」(2207人)による自殺者のうち最も高いのが「仕事疲れ」(672人)だった。

(2008年2月23日の記事再掲)
→「現在の自殺対策の課題」は,@自殺総合対策大綱に基づく施策の優先順位付け(9項目46施策もあり総花的である),A自殺者数の早期把握(地域格差があり,把握が遅い),B市町村単位での自殺者数の把握(原因・動機別の把握が市町村・警察署単位でできていない),C自殺に関するデータの集約(警察庁・厚労省など10省庁に及ぶばらばらのデータを集約し,研究に活用できるようにすべき),D民間団体との連携(民間の力を活用すべき),E市町村の自殺対策窓口(左記の通り都道府県市にはあるが,1市を除いて市町村に自殺対策窓口がないのはおかしい)と認識している。(筆者)

→●5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数,5/25「自殺予防メディア関係者のための手引き(日本語版第2版)」3/29「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照
明確な根拠をもつ
「心の健康-自殺」)
6/23 - ■「NHKの特集番組(従軍慰安婦問題)をめぐる取材対象者の期待権」を最高裁は認めず,「編集の自由」を重視した(2008年6月12日最高裁第一小法廷)

【横尾和子最高裁裁判長の意見
『多数意見の結論に賛成するが理由は異なる。取材対象者が抱いた期待,信頼を表明しなければ取材担当者は認識できない。それなのに放送した番組の内容が対象者の期待,信頼と異なるから違法と評価される可能性があるというなら,取材活動の萎縮を招き,報道の自由の制約にもつながる。
こうした期待,信頼を保護すれば,放送事業者がそれに沿った番組制作,放送を求めることになり,放送番組編集への介入を許す恐れがある。番組編集は放送事業者の自律的判断に委ねられているのだから,取材対象者の抱く期待,信頼を法的保護に値するものと認める余地はない。』
・事案・判決内容は新聞等でご覧いただきたい。

→「年金記録問題」に関して,安倍元首相は,2007年5月下旬〜6月中旬に「歴代の社会保険庁長官の責任を明らかにする必要がある」と国会等で公式に表明していたが,結局辞めてしまった。その後,何の進展もないが,国民の一人として,社会保険庁が解体される前に相応の責任を負ってもらいたいと思っている。氏は,その歴代社会保険庁長官の一人である。名前を見て思い出したので記事にした。(筆者)


→●4/13年金記録漏れ問題に関連する歴代社会保険庁長官の在任期間と現在の職位(敬称略の記事を参照
6/13 厚生労働省 「2007年介護事業経営概況調査結果(暫定仮集計)」
〜訪問介護員の給与,3.6%減少〜
・特別養護老人ホームなど介護老人施設の人件費が増加し,事業収益が低下している。一方,訪問介護の事業所ではヘルパーなど訪問介護員の給与が3.6%減少し,介護福祉士(常勤)の給与は,2004年調査の25万7581円から24万5329円に減少した。

→価値がよく分からなかったので,記事にもしなかったが,少し理解できたので掲載する。
2008年1月に野党は介護労働者の給与を2万円上げるという内容の法案を提出したが,与党からの「財源の裏づけがない」という批判を受けて,どういうわけか法案を取り下げた。その後,与野党間でお話し合いをされて,超党派の議員立法として法案を提出し,5月28日に成立・施行させた法律が「介護従事者処遇改善法」である。内容は,「来年4月までに,介護従事者の賃金をはじめとする処遇を改善するための施策の在り方について検討し,必要があると認めるときは,その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということらしい。
本調査結果における今後の対応では,本格調査を9月までに実施・集計し,その結果を踏まえて「国民にご負担いただく介護保険料等の水準にも留意しつつ,平成21年の介護報酬改定時に適切に設定する。」と明記されている。
結局,「介護労働者の給与が低すぎる」というキャンペーンは,来年度以降の「介護保険料引き上げ」のだしに使われているということが少し理解できた。(筆者)
6/12 法務省 「外国人登録者統計」(2007年末現在)
〜外国人登録者数215万人で過去最高〜
2007年末時点の外国人登録者数は215万2973人で過去最高を記録した。外国人登録者数はこの10年で約1.5倍に達しており,日本の総人口の1.69%を占める。
国籍(出身地)別では,中国が全体の28.2%(60万6889人)を占めトップとなり,これまで1位だった韓国・朝鮮(27.6%,59万3489人)を抜いた都道府県別では,@東京都(17.8%),A愛知県,B大阪の順である。日本での在留が認められている在留資格「永住者」は43万9757人(前年比4万5280人増)で,「特別永住者」の43万229人を上回り、過去最多となった。前年と比べて「技術」「研修」は,それぞれ27.2%と24.9%増えている一方で、「興行」は25.3%減少した。
6/11 内閣府 「2008年版高齢社会白書」(概要 / 本文 ・65歳以上の高齢者は2007年10月1日現在,約2746万人(前年比86万人増で,男性1170万人,女性1576万人)であった。高齢化率は21.5%(前年比0.7%増)で,人数,比率ともに過去最高である。
・高齢者のうち前期高齢者は約1476万人(男性694万人,女性782万人),後期高齢者は約1270万人(男性477万人,女性794万人)で,2017年には後期高齢者が前期高齢者を上回ると予測している。
・白書は,1947〜49年生まれの「団塊の世代」が定年を迎え始め,労働市場から撤退すると現役世代の負担が急激に増加すると指摘し,意欲や能力がある「団塊の世代」を活かすことが重要として,高齢期の「仕事と生活の調和」実現のための環境づくりを求めている。

→「年金記録不備問題」と「後期高齢者医療制度」についても以下のように言及されている。
@本文第2章第3節より抜粋
『平成20年3月末までには,「5千万件の未統合の記録」と「1億人のすべての年金受給者や現役加入者の方の記録」との氏名・生年月日・性別の3条件によるコンピュータ上での突合せ(名寄せ)や,その結果記録が結び付く可能性がある方々1030万人への「ねんきん特別便」の送付を,予定どおり完了したところである。』
A本文第2章第3節より抜粋
『保険料は,平均的には,国保と比べて低い』
『“長寿医療制度”(後期高齢者医療制度)とは,高齢者の医療費を国民全体で支える仕組みです』

→国民から疑問の声が上がっている最中という局面において,何事もなかったような深みのない記述は,政府の公式文書としての品位にかかわると思った。(筆者)
6/10 内閣府 「2008年版少子化社会白書」(概要 / 本文
〜本白書は,例年11月か12月に公表されていたが,6か月も早く出されるのは異例であり,相当の危機感が感じられる〜
・仕事と「結婚・出産・子育て」との二者択一構造の解消を推進し,「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」と子育て支援策を同時に取り組み,国民の多くにある子育て願望を実現することが少子化対策につながると訴えている。
・15歳以上の就業可能な「労働力人口」が高齢化しながら減少することによって,社会・経済が大きな影響を受けることを強調し,警鐘を鳴らしている。


→新たな少子化対策として,2007年12月に公表された「子どもと家族を応援する日本」重点戦略と「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」の周知徹底を図るのを目的に,異例にもこの時期に白書を公表するという前倒し措置が取られた。少子化対策は,企業や国民に分かりやすく説明することから始めなければ,意識改革に結びつかないように思う。外国の物まね然としたカタカナ語の「ワークライフバランス」や長ったらしい施策名を用いていては,違和感があり,どうも落ち着かない。まず,ネーミングを見直し,「上から目線」ではなく,国民の目線に落として進めていくことが大切であると思う。要は,難しいことでも,難しく言わずに端的に分かりやすく説明し,身近な問題として捉えてもらうことが重要である。早期に成果を出したい気持ちは理解できるが,白書を早く出したぐらいでは企業はともかく国民の意識は変わらない。さらに,実効を求めるならば,意識改革を訴えるだけでなく,併せて税制面の優遇措置などの積極的な支援策を具体的に提示しなければならない。財源については,社会保障国民会議において検討されているが,「消費税引き上げ」が想定されているように思われる(2007年度の少子化対策に4兆3000億円を投入した)。(筆者)

→●6/9
「2007年人口動態統計月報年計(概数)の概況」,5/6■日本のこどもの数(1725万人,13.5%),2/29「新待機児童ゼロ作戦」,2/21「ワーク・ライフ・バランスHP」,2/11『今年は「仕事と生活の調和元年」です』,1/31「社会保障国民会議」が設置・開催された,12/26雇用政策研究会報告,12/20「子どもと家族を応援する日本」重点戦略 / ■「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の記事を参照

→■明確な根拠をもつ(「少子化の情報」)
6/9 厚生労働省 「2007年人口動態統計月報年計(概数)の概況」 2007年の出生数は108万9745人で前年の109万2674人より2929人減少し,合計特殊出生率は1.34と前年(1.32)を上回ったが,死亡数は110万8280人で前年より2万3830万人増加している。
死因順位は,@悪性新生物(がん)33万6290人,A心疾患17万5396人,B脳血管疾患12万6940人の順である。悪性新生物は,1981年以降死因順位第1位となり,一貫して上昇を続けている
→合計特殊出生率の上昇は,出生率の分子に当たる出生数がわずかな減少(2929人)だったのに対して,分母に当たる15歳から49歳の女性人口が約2698万2000人で前年比18万人余り減少したことによるものであり,ニュースバリューはない。(筆者)
→■明確な根拠をもつ(「基本となる調査・統計」)
6/6 厚生労働省 日本介護福祉士会の回答
〜「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」のヒアリング〜
・同研究会は7月の中間報告に向けて,業界団体等ヒアリングを進めている。関連する職能団体の回答が公開されたので掲載する。

→このテーマの主役としてどのように回答するのかを注目していた。よく考えられていると思うが,もう少し整理して回答するほうがいいと思った。積み上げてきたものを端的に表現して相手にわかってもらうことが大切である。複雑で大変なことでも大変そうに言わずに的確にポイントを示す力が必要となる。「言い過ぎは言い足りなさよりもよくない」は山頭火の言であるが,冗長な説明は相手に聞く耳を持たなくさせる。ソーシャルワーカーの対人支援にも当てはまる。プレゼンテーション能力の向上は重要である(4/21に■読み手の目線に合わせた資料作りを!の記事を掲載している)(筆者)

→●5/16日本介護福祉士養成施設協会への質問項目,5/14全国老人福祉施設協議会 / 全国老人保健施設協会のヒアリング資料,5/2■「介護労働を取り巻く現状について(第1回資料)」,4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」(日本医労連)4/16「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照

「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
6/5 厚生労働省 アレルギー物質を含む食品に関する表示の改正について
〜容器包装された加工食品に含まれるアレルギー原材料の表示義務が5品目から7品目に改正〜
・食物アレルギーを防ぐため,2001年度から「食品衛生法」等の改正により5品目の原材料が表示義務,19品目(えび,かにを含む)が表示奨励とされた。2004年に「バナナ」が追加されて,5品目+20品目となっていた。今回の改正により「えび」「かに」が表示義務とされ,2008年6月3日から施行された(7品目+18品目,経過措置あり)
新表示義務の7品目 卵,乳,小麦,そば,落花生,えびかに
新表示奨励の18品目 あわび,いか,いくら,オレンジ,キウイフルーツ,牛肉,くるみ,さけ,さば,大豆,鶏肉、,バナナ,豚肉,まつたけ,もも,やまいも,りんご,ゼラチン

→介護福祉士国家試験に出題の可能性が高い。(筆者)
アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A
6/4 環境省 「かんたん化学物質ガイドシリーズ」
6月は「環境月間」:6月5日は「環境の日」
@「わたしたちの生活と化学物質(2005.8.29)」
A「乗り物と化学物質(2006.4.5)」
B「洗剤と化学物質(2007.1.26)」
C「殺虫剤と化学物質(2007.8.30)」
D「塗料・接着剤と化学物質(2008.6.2)」
→さらに,詳しく知りたい場合は,製品評価技術基盤機構(「身の回りの製品に含まれる化学物質」)を閲覧されたい。(筆者)
6/3 厚生労働省 食育・食生活指針の情報センター
6月は「食育月間」
→3福祉士にとって,いわゆる「家政学」の知識は重要である。いずれまとめて記事にする予定であるが,2009年度以降の3福祉士の教育カリキュラムの改訂では,介護福祉士から「家政学」がなくなり,社会福祉士や精神保健福祉士においても「家政学」に相当する課程の充実は図れられていない。実務で必要な知識であるため,本ホームページでは今後も情報提供していく。(筆者)
6/2 環境省 「熱中症保健指導マニュアル」
〜「正しい知識をもち,適切な対処の仕方を知っていれば,熱中症を防ぐことができる」とされている〜
・熱中症は,周りの温度に体が対応することができず,体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ,体温の調節機能がうまく働かないなどが原因で起こる。夏の暑い日だけに限らず,梅雨の合間や,梅雨明けの蒸し暑い日など,気温が急に上昇した日は,体が暑さに慣れていないため,熱中症になりやすくなるといわれている
熱中症の症状は,T度〜V度までの3つに区分されている。初期T度では,めまいや失神,こむら返り,大量の汗が症状として現われる。U度では頭痛や吐き気がしてきたり,体がだるくなったりする。そのままほうっておくと,III度に進み,突然,意識障害やけいれんなどが起こり,死に至ることもあるとされる
・T度の症状が現われたら,すぐに風通しのいい日陰やクーラーなどがきいている室内など涼しい場所へ移り,衣服を脱がせて体を冷やし,熱を放散したり,うちわや扇風機などであおいだりする。スポーツドリンクなどの水分を与えることも重要とされる。
→特に,高齢者,小児,体調不良の人,肥満の人,ふだんから運動をしていない人などは熱中症になりやすいといわれているので,福祉専門職は熱中症についての適切な予防法・対処法を学習しておく必要がある。外出の際には,環境省「環境省熱中症予防情報サイト」で,暑さ指数速報などを確認することができる。(筆者)
5/30 金融庁 「振り込め詐欺救済法」が6月21日に施行される(概要 / 法律 ・第168回国会において成立した「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」は,詐欺その他の人の財産を侵害する罪の犯罪行為であって,財産を得る方法として振り込みが利用されたものによる被害者に対して,被害回復分配金の支払手続等を定めている
・被害者は基本的には、民事訴訟を提起して,損害回復を行うことが可能であるが,この法律により被害者の迅速な救済が図られることになる。

2008年に入り,「振り込め詐欺(恐喝)」事件の被害額は過去最高ペースで増加し,特に還付金詐欺が増加しているとのことである。
(金融庁)
=被害にあわないために=
「すぐに振り込まない。一人で振り込まない。」
=被害にあったら=
「まず,警察や金融機関に連絡し,振り込んだ預金口座の利用停止を求める。」

→「振り込め詐欺(恐喝)」事件とは,「オレオレ詐欺(恐喝)事件」(被害者の約7割が女性で,60歳代女性が全体の約6割),「架空請求詐欺(恐喝)事件」(20〜30歳代の男性が全体の約6割),「融資保証金詐欺事件」(30〜50歳代の男性が全体の約4割),「還付金等詐欺事件」(被害者の約7割が女性で,50歳代以上の女性が全体の約6割)の総称とされている。(筆者)

→●5/8(悪質商法にあわないためのポイント)の記事を参照
「振り込め詐欺(恐喝)」の認知・検挙状況(2008年1〜3月)(警察庁)
5/29 経済産業省 「車いす等の福祉用具分野に係る新JISマーク表示の開始について」
〜3福祉用具:「手動車いす」「電動車いす」「在宅用電動介護用ベッド」〜

・高齢化社会への進展への対応,国民生活の安全・安心の確保等の観点から,これまでJISマーク表示ができなかった「手動車いす」「電動車いす」「在宅用電動介護用ベッド」の3つの福祉用具に関して,工業標準化法(JIS法)に基づくJISマーク(福祉用具と判るJISマーク)の表示が新たにスタートする(公表日2008年5月27日)。
5/28 厚生労働省 「障害者の働く場に対する発注促進税制」(パンフレット)が創設された
〜5年間の時限措置(2008−2012年度or2009-2013年)〜
・本税制は,障害者自立支援法の就労継続支援事業所等の「障害者の働く場」への発注額が増えた場合に,発注を行った企業(法人,個人事業主)に対して法人税等の税制優遇(企業が有する固定資産の割増償却を認める)をするものである。
(パンフレットからの抜粋)
=パンフレットの使い方=
●企業の方はこのパンフレットの内容をよく御理解の上,授産施設等に発注するきっかけとして御利用下さい。なお,本税制優遇の対象となる発注先などの情報については,お近くの市町村やハローワーク等にお問い合わせください。
●授産施設等の職員の方などは,この税制が企業にとってメリットになるものであること踏まえ,このパンフレットを持参し,企業に対して業務開拓を行うなど,積極的に御利用ください。
厚生労働省の2008年度の主要税制改正項目として挙げられていたもので,2008年4月30日「所得税法等の一部を改正する法律」が公布された。「障害者の働く場」への発注を増加させるインセンティブとなり,より良質で安定的な仕事の確保につながることが期待されている。(筆者)
5/27 厚生労働省 2007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数
〜「2007年度脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」より〜
=2007年度精神障害等(自殺を含む)労災補償状況=

●最多項目(請求件数・支給決定件数ともに)
     @業種別:「製造業」
     A職種別:「専門的・技術的職業従事者」
     B年齢別:
「30〜39歳」
精神障害等 請求件数 952件
決定件数 812件
認定率(%) 33.0%
うち自殺・自殺未遂 請求件数 164件
決定件数 178件
認定率(%) 45.5%

→現在,厚生労働省は,「第11次労働災害防止計画」(2008年度〜2012年度)を策定して,3つの目標を設定し(目標@死亡者数:2007年より20%以上減少させる,目標A死傷者数:2007年より15%以上減少させる,目標B定期健康診断:有所見率増加を減少に転じさせる),重点項目に取り組むととし,メンタルヘルス対策も重点項目に盛り込まれ,「メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を50%以上とする」ことが目標とされている。対策の中身をどうしようというレベルには遠く及ばず,取り組む事業場の向上が目標(50%以上)となっていることから,日本における職場のメンタルヘルス対策の現状が推測できると思う。(筆者)
→■明確な根拠をもつ(■「心の健康-職場のメンタルヘルス」)
→●5/7「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」の記事を参照

(2008年5月7日記事の再掲)
→1990年代からクローズアップされてきた「企業におけるメンタルヘルス」に関連する法,指針,基準等の経緯をまとめると,1995年「過労死労災認定基準」,1999年「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」,2000年「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」,2001年「改定過労死認定基準」(1995年の改訂版),2004年「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」,2005年「改正労働安全衛生法」(2006年4月施行,長時間労働者への医師による面接指導の実施:第66条の8,第66条の9,第104条),2006年「改定労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2000年の改訂版),である。このような全体的な流れを把握しながら,ソーシャルワーカーは,「精神障害者保健福祉手帳制度」や「自立支援医療費(精神通院医療)」の手続方法や助成額等の実践に結びつく具体的な知識も絶えず蓄積していかなければならない。(筆者)
5/25 内閣府 「自殺予防メディア関係者のための手引き(日本語版第2版)」

4月18日に内閣府から以下の報道発表があった。

『最近,硫化水素による自殺方法がインターネットで紹介され,それを真似た自殺が相次いでおります。詳細な自殺方法の報道は,さらなる自殺を誘発する危険性があるといわれております。
このため,マスメディアの関係者におかれては,今後とも,世界保健機関(WHO)の「自殺予防メディア関係者のための手引き」を踏まえた報道に配慮願います。』
2000年に世界保健機関(WHO)は自殺予防のための6種の冊子を公表し,そのうちの一冊が「メディア関係者向けの手引き書」であった。2007年9月に日本語版の第2版が公表されている。
・「手引き」における以下の記述は重要である。
正しい知識をもつメディアによって行われる,適切で正確で,そして支援の可能性を併せもつ自殺報道は,自殺による悲劇的な命の損失を予防することができる。

=自殺の報道をする際に特別に注意すべき点=

●統計学は注意深く,そして正確に説明されなくてはならない。
●確実で信頼性の高い情報源が使われるべきである。
●時間の制約がたとえあったとしても,即興的なコメントは注意深く用いられなければならない。
●少数例に基づいて物事を一般化する場合には,特別な注意を要する。そして、「自殺の流行」,もしくは「世界で最も自殺率の高い場所」といった表現は避けるべきである。
●自殺行動を,「社会的あるいは文化的な変化や退廃に対応する理解可能な反応」などと報道することは差し控えるべきである。

従来から,日本のメディアには,WHOの「手引き」を逸脱している報道例が少なくないとの指摘がある。最近の「硫化水素」報道に関して,業を煮やした行政からの「表現の自由」を考慮した適切な左記のアピールであったと思う。しかし,4月18以降,メディアの報道を注視していたが,変化はなかったと感じている。
メディアには,報道する権利とともに適切に報道するという義務があること,自殺の予防・ケアにはメディアの報道のあり方が深く関係していることは,先進国では「常識」と言われる。「手引き」のことは,無視ではなく無知ではないかと思う。日本の現状に至らしめている原因の一つは,見て見ぬ振りをして,メディアに対して腰が引けているように見える日本の精神医療・保健・福祉の「学識者」「有識者」「専門家」「職能団体」の後進性にあると考えている。特殊性と後進性を抱える日本の精神科医療とも無縁ではない。(筆者)


3/29
「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照
明確な根拠をもつ
「心の健康-自殺」
5/24 法務省 6月1日に全国各地で「特設人権相談所」が開設される
6月1日は「人権擁護委員の日」〜
・全国人権擁護委員連合会は,人権擁護委員法が施行された6月1日「人権擁護委員の日」と定め,全国的な啓発活動を展開している。
・6月1日に全国各地で「特設人権相談所」が開設され,女性・子ども・高齢者をめぐる人権の問題や近隣とのトラブルなど,身近なことで困っていることについて
人権擁護委員が相談に応じるとされている。
・秘密は厳守され,相談は無料である。


人権擁護局の常設相談窓口
@常設人権相談所(法務局・地方法務局・支局内)
A子どもの人権110番(全国フリー:0120-007-110)
B女性の人権ホットライン(全国共通:0570-070-810)
C外国人のための人権相談所
Dインターネット人権相談受付(24時間受付)
5/23 厚生労働省 2007年における死亡災害・重大災害発生状況等(1.84MB)
「全国安全週間」(7/1〜7/7)のスローガン:トップが率先 みんなが実行 つみ取ろう職場の危険
@死亡者数=過去最少の1,357人(前年比7.8%減,ピークは1961年の6,712人)
・業種別では建設業,製造業,陸上貨物運送事業の順で,事故型別では墜落・転落,交通事故,はさまれ巻き込まれ,激突され,崩壊・倒壊の順である。
A重大災害(一時に3人以上の労働者が業務上死傷またはり病した災害)=293件(前年比7.9%減)
・事故型別では「交通事故」が全体の約半数を占めている。

→感染症等の「その他」の事故の型による重大災害発生件数は,1985年の3件から2007年は32件に増加している。この背景には,ノロウイルスが原因の1つである「感染性胃腸炎」の増加などがあると考えられており,これによって厚生労働省は「介護保険施設等における職員の手洗い,衛生管理の徹底」の周知・指導を行っている。また,厚労省は「第11次労働災害防止計画」(2008年度から5か年間)を策定している。(筆者)
5/21 首相官邸 ■社会保障国民会議の「年金制度の検討における定量的評価(シミュレーション結果)」
〜現行の「社会保険方式」維持の方向か〜

社会保障国民会議 構成員名簿 (敬称略) 
2008年1月25日現在の所属名
大森彌 NPO法人地域ケア政策ネットワーク代表理事,東京大学名誉教授
奥田碩 トヨタ自動車株式会社取締役相談役
小田與之彦 社団法人日本青年会議所会頭
唐澤人 社団法人日本医師会会長
神田敏子 全国消費者団体連絡会事務局長
権丈善一 慶應義塾大学商学部教授
塩川正十郎 東洋大学総長
清家篤 慶應義塾大学商学部教授
高木剛 日本労働組合総連合会会長
竹中ナミ 社会福祉法人プロップ・ステーション理事長
中田清 社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
樋口恵子 NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長
南砂 読売新聞東京本社編集委員
山田啓二 京都府知事
吉川洋 東京大学大学院経済学研究科教授
→難しくて筆者には解説できない資料であるが,予想していた通り,「現行の社会保険方式継続」の説明資料のように思った。(筆者)

(2008年1月31日記事の再掲)

・2008年1月25日に設置が閣議決定され,第1回は1月29日に開催された。
・設置の趣旨:「将来にわたって国民に信頼される社会保障制度に裏打ちされた,すべての人が安心して暮らし,本当の意味での豊かさを実感できる社会をつくっていくために取り組んでいくことが必要であるという観点から,有識者の参加を得つつ,社会保障のあるべき姿と,その中で,政府にどのような役割を期待し,どのような負担を分かち合うかを,国民が具体的に思い描くことができるような議論を行うため,社会保障国民会議を開催する。」
3分科会で検討
@所得確保・保障〔雇用・年金〕
Aサービス保障〔医療・介護・福祉〕
B持続可能な社会の構築〔少子化・仕事と生活の調和〕

2008年6月に中間報告,2008年秋に最終報告の予定

→内閣支持率が低下する中で,社会保障問題への積極姿勢をアピールするために設置されたとみられており,民主党の参加はなく,手詰まり感のある状況において,国民が望む給付と負担の有効な手立ての創出を疑問視する意見もある。(筆者)
5/20 専門的・技術的分野で働く外国人を「高度人材」として位置づけ,その受け入れを拡大するすることで一致した財政諮問会議における民間議員からの外国人介護士も「高度人材」の対象にするという提案(2008年5月9日)
                

2000年以降一貫して安易な外国人介護士の受け入れに反対している「日本介護福祉士会」
        
         とのギャップを知っておく
→外国人介護士の受け入れに関して,「報酬を上げてやりがいのある職場にすれば,国内で人手の確保は可能であり,なにより認知症やコミュニケーションが取れない人の仕草や動作からその人の意図をくみ取って介護にあたることができるだろうか」という介護福祉士会会長のコメントが報道されていたとのことである(4/17毎日新聞)。
正論である。しかし,行政の動きを見れば,これを受け止めてくれる状況になく,「時代の趨勢」とのギャップはさらに広がっていくように思う。
逆に,外国人介護士を積極的に受け入れる方向に展開することで,単独では進展しない国内介護福祉従事者の条件整備の突破口にするという考え方は成り立たないものだろうか。(筆者)


→●5/16の記事を参照
「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
5/19 内閣府 「高齢者の経済生活に関する意識調査結果」の概要(2007年1月調査) ・全国の55歳以上の男女,2176人
・ポイント
@「現在の暮らしに経済的に心配がある」者は4 割弱(2002年の前回調査から約1 割増加)
A「現在の貯蓄額は、老後の備えとして足りないと思う」者は6 割強
B「収入ある仕事はしていない」が67.9%(前回調査よりやや減少し,理由としては「年齢制限で働くところが見つからない」が最も多く5 割弱)
C
60 歳以上では「働けるうちはいつまでも」が約5 割
D
夫婦の収入額の中で公的年金の占める割合が「10 割」の者が5 割強
E)就業による収入が得られなくなった場合の年金による生活費において,「足りないと思う」者は6 割弱(前回調査から約1 割増加
5/17 警察庁 「2007年中の警察安全相談の状況について」 ・相談取扱件数:1,290,089 件(前年比7.5%減,過去最多2004年比28.4%減)
・相談内容:「生活安全」68.2%,「刑事」10.3%
・減少した相談:「悪質商法」70万件(2004年)→16万件
・増加した相談:増加件数では「家事問題(家庭・職場・近隣関係)」10万件(2004年)→13万件の増加であり,増加率では「児童虐待」(71.6%),「配偶者からの暴力」(46.5%)が高くなっている。
・受理の方法:「来訪」46.6%,「電話」44.9%


→■
警察総合相談電話番号(全国共通「#9110」番)
5/16 厚生労働省 日本介護福祉士養成施設協会への質問項目
〜第3回介護労働者の確保・定着等に関する研究会〜


(5/14記事の再掲)
全国老人福祉施設協議会 / 全国老人保健施設協会のヒアリング配付資料
〜第2回介護労働者の確保・定着等に関する研究会〜
→インドネシアとの経済連携協定(EPA)が5月17日に発効される予定である(参議院での採決がなされない場合の衆議院の優越権による自然承認を想定)。これに伴い,早ければ7月にも日本で看護師・介護福祉士の資格取得・就労をめざすインドネシア人の第一陣が来日すると見込まれている。協定では,看護師400人,介護士600人の合わせて1000人が,2年間で来日することになる。なお,「准介護福祉士創設」の言い訳に使われたフィリピン人については,日本政府の見込み違いだったようで,フィリピン国会での承認の目途が立たない状況にあると報道されている。事ここに至って,日本の「職能団体」等の関係者は,意地悪な対応ではなく,温かく受け入れる度量もっておられると思う(「介護職不足への対策」であろうがなかろうが,そのようなことは来日する人の問題ではないのだから)。やまだ塾も介護福祉士の国家試験受験対策で協力したいと思っている。(筆者)

→●5/14全国老人福祉施設協議会 / 全国老人保健施設協会のヒアリング資料,5/2■「介護労働を取り巻く現状について(第1回資料)」4/16「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照

「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
5/14 厚生労働省 全国老人福祉施設協議会 / 全国老人保健施設協会のヒアリング配付資料
〜第2回介護労働者の確保・定着等に関する研究会〜
→「介護サービスを支える担い手の確保」に,給与や経営等の経済面ばかりに目を奪われていては問題を矮小化する。介護現場からの「利用者は何をやっても当然と思っている」「定められたサービス以外の仕事を要求される」という切実な意見を無視し続けてはいけない。これは「介護の仕事」に対する社会の理解の希薄さへの問題提起と考えるべきである。そして,この問題提起に,介護現場の経営者・監督者,介護の教員,職能団体等の関係者が答え切れない現実と介護の仕事への目に見えた理解活動がない現状に介護職が落胆している。(筆者)

→●5/2■「介護労働を取り巻く現状について(第1回資料)」4/16「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照

「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
5/13 厚生労働省 「人生85年ビジョン懇談会報告書」(概要 / 本文
〜「人生85年時代」に向けたリ・デザイン〜


=現在,「後期高齢者(長寿)医療制度」において,一律に75歳という年齢で区切ったことに対して,国民から疑問の声が上がっている状況にある。それを前提にして,以下の記述をご覧いただきたい=

P.17から抜粋
『我が国に根強く存在する年功序列的な考え方を背景にした「年齢で区切る考え方」をできるだけ緩め,年齢を基準にしない社会づくりに向けた取組みを進めていくことも「人生85年時代」の重要な課題である』

『一定年齢以上の者を一律に「高齢者」として扱うことについては,そうした扱いが開始された時期と比べて平均年齢が伸張し,対象者の多様化も進んでいることを踏まえ,必要に応じて適切な見直しを行うことに関し,国民的な議論を深めていくべきである』

『政府自らが率先して見直し(中略)されるべきである』
「人生85年ビジョン懇談会」:岩男壽美子慶應義塾大学名誉教授を座長とし,舛添厚生労働大臣が有識者18名を参集して2007年12月から開催されてきた。
・『平均寿命が伸長し,「人生85年時代」が到来しつつあり,同時に一人ひとりのニーズや価値観が多様化する中で,平均寿命が50歳ないし60歳であった戦後しばらくの間に形づくられた生き方や働き方のモデルは時代に合わないものとなっている。こうした中,現在の日本と異なる文化・価値観・生活様式等も参考にしながら,これからの日本人の「暮らし」「働き方」「人生設計」のイメージを描き,併せてそれを支える仕組みについて,幅広い視野から検討した』と説明されている。

→●左記の通り,現実の施策(75歳で輪切りにした「後期高齢者(長寿)医療制度」)は身内から批判を受ける結果となった。まず,厚生労働省は身内からの批判を真摯に受け止め,施策を見直し,その上で国民に展開を図っていただきたいと思う。そういう意味では,新味は感じないが,時を得た報告書であると思う。(筆者)
5/12 厚生労働省 「食べ物による窒息事故を防ぐために」
〜食べ物による窒息死亡者数は毎年4,000名超〜
<高齢者の特徴>
・高齢者では,摂食・嚥下機能が低下しているため,ご飯やパンなど粘りのある食べ物などは咀嚼しにくく大きな塊のまま喉に入って窒息に至ることがある。
・注意が必要な食べ物:@加熱してもやわらかくなりにくいもの(いか,たこ,きのこ類など),A硬いもの(ナッツ類など),B厚みのないもの(海苔やレタスなど),Cパサパサしたもの(パン,ふかし芋など),D繊維の強いもの(青菜類など)
<応急処置>
(1)119 番通報を誰かに頼む。
(2)高齢者では食べ物が口の中にたまっているのが見えれば,まず,ハンカチやガーゼなどを巻いた指で口から掻き出すことを試みる。
(3)次に,以下の方法でつまった物の除去を試みる。
  @背部叩打法(はいぶこうだほう)
  Aハイムリッヒ法(腹部突き上げ法)

→福祉専門職には,「食べ物による窒息事故」に対する予防や応急手当の知識・技術は必須である。(筆者)

→食品衛生法(厚生労働省管轄),JAS法(農林水産省管轄),消費生活用製品安全法(経済産業省)などの関連法規には「食品による窒息などの事故に関する規定」がない。したがって,各省ともに2007年3月〜4月に発生した「こんにゃくゼリーによる死亡事故」では,製品の回収命令などの強制力ある措置は取れないとの立場をとっていたが,2007年6月に「国民生活センター」は@(株)エースベーカリー(「ちぎりたて果熟園 蒟蒻ゼリー」)とA(株)下仁田物産,(株)ハーベスト(「収穫のおかげ 蒟蒻ゼリー」)の2事業者名等を公表した。(筆者)


→●2008年1/5
「いざというときのための応急手当の知識と技術」の記事を参照
→■明確な根拠をもつ(■「健康・医療<救急>」)
5/10 内閣府 「食育に関する意識調査」(2008年2月実施)
食育の周知度
・「食育の言葉を知っていた」人の割合は74%(うち言葉と意味の両方を知っていた人は41.0%)
日頃の食生活での実感
・「食生活は,自然の恵みによって成り立っている」と日頃実感している人は82.6%
・「食生活は、生産者をはじめ多くの人々の苦労や努力に支えられている」と日頃実感している人は91.3%

→「食育とは,『「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てる』こと」,と食育基本法の前文に定義されている。ほとんどの人はそのような法律があることを知らないし,ましてや4割超の人が「小難しい言葉の意味」を知っているとは思えない。また,「日頃の食生活での実感」についても実態を反映しているとは思えない。この結果が「今後の食育推進施策の検討のための基礎資料」(調査目的)になっていいのだろうか。(筆者)
5/9 厚生労働省 ■「障害児支援の見直し」の関係団体意見(2)
F財団法人日本知的障害者福祉協会(1) (2) (3)
G社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
H社団法人日本重症児福祉協会
I社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会
J全国肢体不自由児施設運営協議会
K全国児童相談所長会
L特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク(1) (2)


〜「第3回障害児支援の見直しに関する検討会」(2008年4月25日)〜

(4/17記事の再掲)
■「障害児支援の見直し」の関係団体意見(1)
@(社)日本自閉症協会
A日本発達障害ネットワーク
B全国発達支援通園事業連絡協議会
C(社)全国肢体不自由児・者父母の会連合会
D全国肢体不自由児通園施設連絡協議会
E全国盲ろう難聴児施設協議会


〜「第2回障害児支援の見直しに関する検討会」(2008年4月15日)〜
(4/17記事の再掲)
・近年の障害児施策については,2005年度より「発達障害者支援法」が施行され,2007年度より「特別支援教育」が実施されているが,2006年施行の「障害者自立支援法」の附則において,「この法律の施行後3年を目途として,障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を勘案し,必要な措置を講ずるものとする。」とされていた。これに基づいて,2008年3月に「障害児支援の見直しに関する検討会」が発足した。
障害児支援施策のあるべき姿について検討を行うこととされているが,具体的な検討課題は,@障害の早期発見・早期対応策,A就学前の支援策,B学齢期・青年期の支援策,Cライフステージを通じた相談支援の方策,D家族支援の方策,E行政の実施主体,等とされている。
・検討期間は,2008年3月〜7月である。


「障害者自立支援法」(2005年新法)

「2007年版障害者白書」(障害児・者の状況)
明確な根拠をもつ■「発達障害」

→貴重な資料である。すべてに目を通していただきたい。(筆者)

→●4/26「障害児・者の現状」〜第31回社会保障審議会障害者部会資料より〜の記事を参照
5/8 内閣府 悪質商法にあわないためのポイント
〜キーワード:「悪質業者はう・そ・つ・き」〜
「う」・・・うまい話を信用しない!
「そ」・・・そうだんする!
「つ」・・・つられて返事をしない!
「き」・・・きっぱり断る!
→高齢者,障害者を狙う悪質な業者への対処法は,ソーシャルワーカーの必要な知識・技術である。(筆者)

→●4/11無登録業者からのファンドの勧誘には応じないの記事を参照
→■明確な根拠をもつ(■「消費者トラブル」)
5/7 労務行政研究所 「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」
(財団法人労務行政研究所にリンクしています)

〜メンタルヘルス不調者の復職率は,7割の企業で半分程度〜
・労務行政研究所は2008年4月25日にレポートを公表した。
@
調査対象:4168社〈上場企業3819社、非上場企業349社〉
Aメンタルヘルス不調者が最近3年間で「増加している」とする企業:55.2%(「30代」51.9%,「20代」41.2%)
Bメンタルヘルス不調による1か月以上休職者がいる企業:62.7%(3年前の調査では50.9%)
C1社当たりの休職者:平均9.5人(全従業員に対する比率は平均0.5%)

D何らかのメンタルヘルス対策を実施する企業:79.2%(従業員1000人以上:98.9%,300〜999人:79.3%,300人未満:57.0%)

E企業側の具体的な施策:「電話やEメールによる相談窓口の設置」56.0%,「心の健康対策を目的とするカウンセリング(相談制度)」 52.4%
Fメンタルヘルス不調で休職した従業員のうちの完全復帰した割合:「半分程度とする企業」22.5%,「7〜8割」21.5%,「9割以上」20.4%,「全員」7.3%


→1990年代からクローズアップされてきた「企業におけるメンタルヘルス」に関連する法,指針,基準等の経緯をまとめると,1995年「過労死労災認定基準」,1999年「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」,2000年「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」,2001年「改定過労死認定基準」(1995年の改訂版),2004年「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」,2005年「改正労働安全衛生法」(2006年4月施行,長時間労働者への医師による面接指導の実施:第66条の8,第66条の9,第104条),2006年「改定労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2000年の改訂版),である。このような全体的な流れを把握しながら,ソーシャルワーカーは,「精神障害者保健福祉手帳制度」や「自立支援医療費(精神通院医療)」の手続方法や助成額等の実践に結びつく具体的な知識も絶えず蓄積していかなければならない。(筆者)

→●4/5(
「管理職の範囲の適正化」(通達))の記事を参照

5/6 総務省 ■日本のこどもの数(1725万人,13.5%)
〜「こどもの日」にちなんで「推計人口」から〜
@こどもの数(15歳未満人口):1725万人,27年連続の減少
Aこどもの割合:13.5%,34年連続の低下
Bこどもの割合:沖縄県が最も高く,東京都が最も低い
→こどもの数・割合は,30年も連続して減少・低下し続けている。これまでおよびこれからの「少子・高齢化対策」の有効性や意義について考えさせられる。
現時点では日本の適正人口規模については定説はなく,多説あるがおおよそ3,000万人〜9,000万人ではないかと思われる。なかでも,日本が追随してきた「欧州先進国程度並」(6,000 万人〜8,000 万人)という考え方は理解しやすい。今後は,日本の人口の維持・増加を前提とした「少子・高齢化対策」だけではなく,適正人口からの議論を国民に展開することも必要であると思われる。(筆者)

→■明確な根拠をもつ(■「基本となる調査・統計」)
5/4 医薬品医療機器総合機構 「後発医薬品などのくすりの電話相談」
〜医薬品医療機器総合機構〜
独立行政法人医薬品医療機器総合機構では,消費者からのくすりに関する電話相談を受け付けている。相談内容は,医師から処方されたくすりの使い方,くすりの名前,何に効くくすり,くすりの飲みあわせ,くすりに関する心配ごとなど, くすりに関することすべてである。また,後発医薬品については,消費者だけでなく,医療関係者からの質問にも答える。専任の薬剤師の相談員が,できる限りその場で答え, 相談の際には,名前や電話番号などは聞かれることはないとされている。
・受付時間等は次の通りである。
受付時間:月曜日〜金曜日(祝日・年末年始を除く) 9:00〜17:00
電話番号:03ー3506ー9457


独立行政法人医薬品医療機器総合機構くすり相談窓口が行うの後発医薬品に係る相談事業
5/3 総務省 「世界の統計2008」(2.68MB) 世界各国の人口,経済,社会,文化などの実情を知る上で参考となる様々な統計が簡潔に編集されている。「労働・賃金」の章では,各国の就業者数,失業率,労働時間,平均賃金,生産性,労働災害,労働争議などのデータを紹介している。

→■明確な根拠をもつ
5/2 厚生労働省 ■「介護労働を取り巻く現状について」(資料)
〜第1回介護労働者の確保・定着等に関する研究会の資料〜
第1回介護労働者の確保・定着等に関する研究会資料(2008年4月18日)
1 介護分野の需要見通し等について
・介護職員の需要:2055年140〜160万人(2004年100万人)
2 介護労働の現状について
・離職率:介護職員・ヘルパー20.3%(全産業16.2%)
・「やめたい」と考えている者:介護職員17〜23%,ヘルパー10〜14%
3 介護労働者雇用管理改善等の関連施策について
4 介護分野の労働者等の推移
5 特定業種における就業者数の状況
6 特定産業における入職率・離職率の状況
7 都道府県別有効求人倍率(介護関係職種・職業)
8 都道府県別職業紹介状況(介護関係職種・職業)
9 介護職における有効求人倍率及び充足率の推移
10 職種別賃金カーブ
11 介護関係職種の求人賃金と求職賃金の比較
12 福祉人材確保指針の概要
13 介護保険制度の概要

→●4/16
「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照

→●4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」(日本医労連),4/5「管理職の範囲の適正化」(通達),4/3「総合労働相談コーナー」,4/2■労働基準法Q&A,■労働基準監督署(全国)の所在案内,3/28「労働時間等見直しガイドライン」,3/15「労働基準法」関係の主要な様式の記事を参照

「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
5/1 厚生労働省 「2006年 国民健康・栄養調査結果の概要」(2.13MB) ・主な項目とポイント
項目 ポイント
(1)生活習慣病 @糖尿病:約1,870万人(約820万人+予備軍1,050万人)
<2002年:2,360万人=740万人+1,620万人>
A高血圧症:約5,490万人(3,970万人+正常高値血圧1,520万人)
(2)メタボリックシンドローム ・40〜74歳:男性の2人に1人,女性の5人に1人
(3)身体活動・運動 @運動に関する意識:男性の20〜39歳および70歳以上と女性の15〜29歳および70歳以上では,「実行していないし,実行しようとも考えていない」者が3割以上
A日常生活で体を動かすことを,「実行していない」者は,男性の20〜50歳代,女性の20 〜40歳代で4割以上
(4)食習慣 @朝食の欠食率を年次推移では,男女共に高くなる傾向
A夕食の開始時間は,男女共に20〜60歳代において,21:00時以降に食べる者の割合が増加
                                    (やまだ塾作成)
1996年に「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」(公衆衛生審議会成人病難病対策部会意見具申)が当時の小泉厚生大臣に提出され,従来の加齢に注目した「成人病」に代わって,生活習慣に着目した「生活習慣病」という概念が新たに導入された。今回の調査では,日本人の成人のうち糖尿病(含予備軍)が18%,高血圧症(含予備軍)が53%であった。厚労省の「運動不足の解消が,糖尿病などの生活習慣病予防につながる」との単純なコメントは理解できるが,いずれ日本においても,「たばこ」や「トランス脂肪酸」の問題を避けて通れない時期がくると思う。(筆者)
4/30 厚生労働省 高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)−報告書(1.67MB) ・高齢化や核家族化の進行,集合住宅に居住する高齢者等の増加等に伴い単身高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯が急増しており,高齢者が死後,長期間放置されるような「孤立死」が社会問題となっている。「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」(議長:高橋紘士立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)は,「孤立死」ゼロを目指して「孤立死」予防型コミュニティづくりへの検討結果をとりまとめ,報告書を提出した。
・報告書の構成
(1)「孤立」した生活が特別の事柄ではなくなる,(2)「孤立死」予防型コミュニティづくりへの提案(@コミュニティ作りの戦略,A)「孤立死」ゼロ作戦と高齢者虐待と認知症対策さらに災害予防対策を一体的に考えること,B)「孤立死」防止ネットワークのさまざまなツールや見守りシステムの開発と継続的な運用

→2015年には世帯主65歳以上世帯の64%超が単身高齢者や高齢者夫婦のみの世帯になると見込まれている。今後,「孤立した生活」が一般的となり,「孤立死は誰にでも起こる可能性がある事柄」と認識されている。幅広く,奥行きがあり,一筋縄では対応できない問題であると思う。(筆者)
→●4/9「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」(1.48MB)の記事を参照
4/28 厚生労働省 「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30) (2007年12月6日記事の再掲)
大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧
〜遊びや快感を求めるために使用した場合は,たとえ1回使用しただけでも「薬物乱用」にあたるとされている〜
大麻は「大麻精神病(妄想,幻覚など)」「生殖機能への悪影響」「肺がんの誘発」を生じさせ,大麻乱用者は多剤乱用が多く,より依存性の高い薬物への移行がみられるといわれている
薬物5法 薬 物 「非営利」での主な刑罰
@大麻取締法 ・大麻
(マリファナなど)
・栽培・・・7年以下の懲役
・所持・・・5年以下の懲役
A覚せい剤取締法 ・覚せい剤 ・所持・使用・・・10年以下の懲役
B麻薬及び向精神薬取締法 ・ヘロイン
・その他の麻薬
(モルヒネ,コカイン,LSDなど)
・向精神薬
・ヘロインの所持・使用・・・10年以下の懲役
Cあへん法 ・けし,けしがら,
・あへん
・けしの栽培・・・1年以上10年以下の懲役
D規制薬物特例法 ・マネーローンダリングの処罰等
                       (やまだ塾作成)
話題の大麻事件は,大学の部活動の一監督が辞任したり,謝罪会見をしたり,部活動を自粛すれば「事が終わる」という程度で取り上げるのではなく,社会と人間の破壊に直結する重大な犯罪を構成しているというアピールが必要である。今回の薬物乱用者も,この先,自分の意思では止められないため,薬物を中心にした生活を送る可能性が高いと予想される。断る勇気をもたずに,ハードルを低くして,一線を越えてしまった者とその家族の行く末の過酷さは想像を絶すると言われる。薬物問題の支援に携わっておられる方々の努力と貢献には敬意を表する。薬物問題はソーシャルワーカーの必須の知識であり,精神保健福祉士の第10回国家試験には出題の可能性は高い。(筆者)
→●10/30(塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ)),9/26(麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施),9/22(リタリン)の記事を参照
「薬物乱用防止新5か年戦略」
→■薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
→■「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)(3.93MB)
→ ■麻薬取締りホームページ
4/26 厚生労働省 「障害児・者の現状」
〜第31回社会保障審議会障害者部会資料より〜
・障害者総数723.8万人(人口の約5.6%,うち65歳以上45%,うち在宅667.0万人,身体障害者(児)366.3万人+ 知的障害者(児)54.7万人+ 精神障害者 302.8万人)
・手帳:身体障害者約489万人,療育約72万人,精神障害者約40万人
・障害年金:176万人(うち国民年金1級約72万人)
・1級の障害年金額:792,100円×1.25+子の加算(第1子・第2子各227,900円,第3子以降75,900円)

→3福祉士の2008年度国家試験問題で利用される数値と考えられるので,現段階では本資料の数値を記憶しておくことを勧める。なお,2008年4月23日の第31回社会保障審議会障害者部会の開催趣旨は,2009年に予定されている「障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた検討」であり,2008年夏までに論点が整理され,2008年12月末までに意見を取りまとめる予定となっている。(筆者)

→●4/22
「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が発足したの記事を参照

→●3/26
「2006年身体障害児・者実態調査結果」,1/19(「身体障害者,知的障害者及び精神障害者就業実態調査の調査結果」,2007年2/142005年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要(2005年11月1日調査)の記事を参照
→■明確な根拠をもつ(■「基本となる調査統計」)
4/25 厚生労働省 「はしかにならない。はしかにさせない。」
〜日本から「はしかゼロ」を〜
2008年4月から5年間は,「1歳」,「小学校入学前」に加えて,「中学1年生」,「高校3年生」相当の年齢の者も,はしか・風疹(混合ワクチン)の予防接種の対象となる

(2007年6月1日記事の再掲)
「〜今年は,10代,20代での感染が多い〜
症状
:感染してから約10日後に発熱や咳,鼻水といった風邪のような症状が現れる。2〜3日熱が続いた後,39℃以上の高熱と発疹が出現する。「麻疹にかかったこともなく,ワクチンを1回も受けたことのない人」は重症になり易い。
予防:麻しんワクチンの予防接種が有効。麻しんの患者に接触した場合,72時間以内に麻しんワクチンの予防接種をすることも効果的であると考えられている。
妊娠:妊娠中に麻しんに罹ると流産や早産を起こす可能性がある。」


はしか(麻しん)に関するQ&A
4/24 厚生労働省 非公開で「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が実施される
〜2008年7月頃までに「基本方針」および「短期的対策」がまとめられる予定〜
・プロジェクトの目的:認知症に関する研究開発の促進から、医療・介護現場での連携・支援に至るまで、認知症に関する包括的・総合的な対策を推進する
・プロジェクトの実施期間:2008年5月1日〜7月末日
厚労省の内部会議であるため,原則非公開であるが,検討結果については2008年7月末までに公開される予定である
→今後の認知症対策の基本的な柱として,@「技術開発の加速」,A「早期診断の推進」,B「適切なケアの普及」,C「本人・家族への支援」が提示されている。スウェーデンでは,すでに認知症ケアの標準化が図られている(介護と医療の目的が一致し,初期の診断から看取りまでを包括的に支援するシステムが整備されている)。はるかに遅れをとっているであろう日本が,議論・検討を非公開にして,どのメンバーが何を言ったか分からないような会議で決め,結果だけを公開するというのは現代的なやり方ではない。また,認知症ケアは国民的な関心が高く,内部会議で検討する事柄ではないと思う。現在,認知症ケアはグループホームや小規模多機能型居宅介護などの小規模サービスに期待されているが,介護保険創設以降,入居者の重度化と医療連携体制が課題とされながら,今までなんら有効な手立てが講じられなかったものを,わずか3か月でまとめられるものなのか。医療的なケアの規制緩和,精神保健としての家族教育の導入,介護職への教育(認知症の終末期支援)など,取り組まなければならない課題は山積していると思う。地域・現場が求めている対策が提唱されることを期待する。(筆者)
4/23 内閣府 社会意識に関する世論調査(2008年2月調査) 良い方向に向かっていると思われるのは,どのような分野か?
「科学技術」21.2%,「通信・運輸」17.9%,「国際化」16.6%,
「医療・福祉」15.1%,「防災」15.1%の順であり,性別に見ると,「科学技術」「運輸・通信」「防災」では男性で,「医療・福祉」では女性で,割合が高くなっている
→民意と実態が乖離することはある。例えば,2007年の殺人事件の認知件数は,戦後最低であったが,一般的には逆に治安状況が極めて悪くなっていると受け止められている。また,少年犯罪の発生件数,凶悪化も同様の状況にある。理由は異なるが,「医療・福祉」の分野においても民意と実態の乖離がある。当事者としてなすべきことは,現状を正確に認識し,具体的な問題点と課題を適切な方法でアナウンスして,民意と実態の乖離を修正する努力を継続していくことであると思う。(筆者)

→●4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」(日本医労連)の記事を参照
→●2/27「2007年少年非行等の概要」(2007年1月〜12月)の記事を参照
4/22 厚生労働省 「今後の精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」が発足した 2004年9月策定の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において,「受け入れ条件が整えば精神病床を退院できる約7万人を今後10年間で解消する」ことを目標として2009年が中間年にあたり,かつ2006年施行の「障害者自立支援法」における施行3年後の見直しが2009年に当たることを受けて,検討会が発足した。
・検討会は2008年12月に中間まとめを行う予定とされている。

→「精神保健医療福祉の改革の経緯」および「精神保健医療福祉の現状」がまとめられている。特に,精神保健福祉士の受験者に役立つ最新資料である。(筆者)
→■明確な根拠をもつ
(■「心の健康」)
4/21 厚生労働省 ■読み手の目線に合わせた資料作りを!・・・厚生労働省の「長寿医療制度でここがよくなる!!」という説明資料
厚生労働省は,長寿医療制度については,必要な医療が受けられなくなるのではないか,といったご心配の声が寄せられています。これまで通り必要な医療が受けられるとともに,負担が軽くなる「合算」の仕組みをご説明する資料を作成しました。として,4月18日に説明資料を公表した。

→プレゼンテーション能力の向上は一般企業にとどまらず行政においても重要な事柄である。福祉行政においては,特に高齢者や障害者が対象となるケースが多いので,分かりやすい資料作りをお願いしたい。(筆者)

「新医療制度改革」

→●4/10■「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」創設に参画した「専門家」を知っていますか?4/2厚生労働大臣の新入職員への挨拶,2007年11/23後期高齢者医療制度(リーフレット),4/13■「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」の記事を参照
4/20 - 「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」(日本医労連)

『介護・福祉労働者の労働実態調査「中間報告」』(日本医療労働組合連合会のホームページにリンク)
低賃金と人手不足で過半数が「仕事を辞めたい」
・「4割強が所定内賃金20万円未満」:
介護福祉士19万4,600円,ヘルパー17万 5,200円
・「3人に2人が不払い残業」:
不払い残業の内容は,「通常業務の準備や片付け」59.9%,「記録」57.2%
・「人手不足や忙しさで転倒事故」:
1年間の利用者の事故のうち「転倒・転落」36.5%
・「職員の過半数が健康不安」:
「健康に不安」「病気がち」 51.2%

→現在,介護・福祉分野の労働環境が危機的な状況にあるのにかかわらず,メディアに取り上げられている問題・課題が「給与の低さ」に偏りすぎている。労働実態を正確に広報し,改善・改良の重要性を訴えていかなければ,適切な対策・施策に結びつかない。現在,介護福祉の話題を国会,メディアが取り上げるのは,選挙を控えているからである。また,政府の審議会・分科会・検討会において議論はされているが,他力本願で状況が好転するとは思えない。
この局面において,介護・福祉にかかわる「職能団体」は重要な役割を担っているのではないかと思う。例えば,セクショナリズムを排して大同団結し,関係教育機関・産業,一般企業などからも寄付を募り,大々的・波状的に「新聞広告」を掲載して,国民に現状の切実さと仕事の魅力・誇りをアピールする,という方法が考えられる。この場合には,衆議院解散・総選挙前が効果的であり,タイミングを逸したら無意味な活動になる。
なお,最近の動きにおいて,介護職員の給与水準が他の産業と比べて低く,将来も安定して人材を確保することが困難として,「全国老人保健施設協会」は介護職員に普通の暮らしができるだけの給与を保障できる介護報酬に底上げするよう求める陳情書・署名(155万人)を厚労大臣・財務大臣に提出(3月4日)し,日本医師会も同調した。この署名活動のきっかけは,2007年7月に全老健埼玉県支部に届いた,老健で働く男性からの1通の手紙であり,埼玉県の活動が全老健に波及したと聞く。小さなきっかけでも大きなうねりになる。(筆者)


→●4/16「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照

→●4/5「管理職の範囲の適正化」(通達),4/3「総合労働相談コーナー」,4/2■労働基準法Q&A,■労働基準監督署(全国)の所在案内,3/28「労働時間等見直しガイドライン」,3/15「労働基準法」関係の主要な様式の記事を参照

「福祉専門職の現状」 /「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
4/19 厚生労働省 2008年度 シルバー人材センター企画提案事業(181件)
〜指定重点分野:「教育・子育て・介護・環境」〜
・全国の「シルバー人材センター」から提案のあった181の事業を2008年度の国の支援対象に認定した。地域のニーズや現場の創意工夫を取り入れた事業構想を全国各地のセンターから集め,一定の効果が見込まれる企画を国が支援するもので,2008年度は「教育・子育て・介護・環境」を重点分野に指定した。「空き店舗を活用した幼児の一時預かり」,「JAと連携した高齢者世帯への食堂事業」などの事業を認定している
→厚生労働省は,シルバー人材センターの会員数を2010年度末までに100万人とすることを目標としている(2005年12月末時点で男性53万人+女性26万人=約79万人であった)。シルバー人材センター事業は,1986年の「高齢者雇用安定法」により法制化され,原則市(区)町村単位に置かれ(2007年1月現在:1270団体),原則都道府県知事の許可を受けた公益法人である。(筆者)

「全国シルバー人材センター事業協会」(■あなたのまちのシルバー人材センター
4/18 厚生労働省 「子どもの心の診療医」テキスト(3類型) @「一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト」(13.9MB)
A「一般精神科医のための子どもの心の診療テキスト」(16.1MB)
B「子どもの心の診療医の専門研修テキスト」(34.8MB)

2007年3月に『「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会』において報告書が取りまとめられた。本研修テキストはその報告書に対応するものである。なお,2007年3月の報告書提出時点において,上記Aの類型の小児科医・精神科医は多くても約1500人,Bの類型の子どもの心の診療に専門的に携わる医師は70人弱と推計されていた。(筆者)
→■『「子どもの心の診療医」の養成に関する検討会』報告書(概要)
→●3/31
「発達障害情報センターホームページ」開設の記事を参照
→■明確な根拠をもつ
(■「発達障害」)

→産科・小児科の医師不足の問題は深刻な状況にある。厚生労働省は2008年1月に「安心と希望の医療確保ビジョン」会議を設置し,検討を開始した。地域医療に従事する医師らからのヒアリングなどを進めてきたが,4月を予定していた報告書の取りまとめ作業は遅れている。4月14日に東京都世田谷区にある国立成育医療センターを訪問した福田首相は,「2008年5月中に,産科や小児科の勤務医を増やすための具体的な目標,そのための方策を盛り込んだビジョンをとりまとめ,政策にしていきたいと思います。」と明言している(4月17日付福田内閣メールマガジン)。(筆者)

→●3/27「緊急的産婦人科医確保が必要な医療機関の調査」 (日本産科婦人科学会)※「産科医療機関の状況に係る調査」 (厚生労働省)の記事を参照
4/17 厚生労働省 ■「障害児支援の見直し」の関係団体意見(1)
@(社)日本自閉症協会
A日本発達障害ネットワーク
B全国発達支援通園事業連絡協議会
C(社)全国肢体不自由児・者父母の会連合会
D全国肢体不自由児通園施設連絡協議会
E全国盲ろう難聴児施設協議会


〜「第2回障害児支援の見直しに関する検討会」(2008年4月15日)〜
・近年の障害児施策については,2005年度より「発達障害者支援法」が施行され,2007年度より「特別支援教育」が実施されているが,2006年施行の「障害者自立支援法」の附則において,「この法律の施行後3年を目途として,障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を勘案し,必要な措置を講ずるものとする。」とされていた。これに基づいて,2008年3月に「障害児支援の見直しに関する検討会」が発足した。
障害児支援施策のあるべき姿について検討を行うこととされているが,具体的な検討課題は,@障害の早期発見・早期対応策,A就学前の支援策,B学齢期・青年期の支援策,Cライフステージを通じた相談支援の方策,D家族支援の方策,E行政の実施主体,等とされている。
・検討期間は,2008年3月〜7月である。


「障害者自立支援法」(2005年新法)

「2007年版障害者白書」(障害児・者の状況)
明確な根拠をもつ
4/16 厚生労働省 「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」が発足した
〜中間報告は2008年7月末の予定〜

■「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」参集者 (2008年4月14日現在 敬称略)
大橋勇雄 座長,中央大学大学院戦略経営研究科教授
河幹夫 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授
北浦正行 社会経済生産性本部事務局次長
駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授
佐藤博樹 東京大学社会科学研究所教授
堀田聡子 東京大学社会科学研究所助教
皆川宏之 千葉大学法経学部法学科准教授
検討事項:@介護労働者の雇用管理の現状の把握及び分析,A介護労働者の雇用管理の在り方,B介護労働力の確保・定着のための支援策 など
検討スケジュール:2008年4月18日に第1回が開催され,以後業界団体ヒアリング等を通じて,中間報告を7月末頃までにとりまとめる予定とされている

→これまでは,研究会等の報告書提出の段階で検討メンバーを記載してきたが,今回は研究会の開始前に掲載する。現場を熟知している人物が加入していないメンバーによる研究会がどのような報告書をまとめるのかを予め想定していただきたい。介護職員の処遇改善のためとして,成立の可能性のない野党の「介護人材確保法案」提出,財源の裏づけを持たず実現の可能性のない福祉行政トップの介護報酬の引き上げ発言などによって閉塞感がつのっている。また,メディアの「3K」「給与が低い」などのマイナス面を強調するキャンペーンで,さらに介護ばなれが進んでいる状況にあると思われる。研究会のテーマに対して,メディアなどの責任のない解説の受け売りや丸呑みではなく,福祉専門職は自身の見解を持つ必要があると思う。(筆者)


→■「福祉専門職の現状」 / ■「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
4/15 - ■日本の「障害者権利条約」の批准はいつ? 日本は,2007年9月28日に障害者権利条約の「署名」を行った。条約を批准するためには国内法の整備が必要として,2008年4月2日に「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」(座長:今野浩一郎学習院大教授)を発足させたところである。また,検討会は「労働と雇用」(条約第27条)に限定したもので,まとめの時期も未定である。

→予想されていたことであるが,障害者差別禁止の法律を持たず,条約の求めている「合理的配慮」の概念がない日本の条約批准は見通しがつかない。しかし,世界は動いており,2007年4月3日に障害者権利条約を批准した国が20か国を超え,2008年5月3日に条約が「発効」し,「障害者の権利委員会」が発足することとなった。(筆者)

明確な根拠をもつ(■「障害者権利条約」
→●2007年9/29■ようやく,「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)が署名されることになったの記事を参照

<参考>
→●2007年12/22
「今後の障害者雇用施策の充実強化について−障害者の雇用機会の拡大に向けて−(労働政策審議会意見書)」,12/11「日本の障害雇用政策に関するILO159号条約違反に関する,国際労働機関規約24条に基づく申し立て書」,11/22障害者の雇用状況(2007年6月1日現在)の記事を参照
4/14 経済産業省 「ソーシャルビジネス(SB)研究会報告書」 「ソーシャルビジネス(SB)研究会」(座長:谷本寛治一橋大学大学院商学研究科教授)は,2007年9月〜2008年3月にかけて6回開催された。報告書は,@我が国におけるSBの現状,A今後SB が発展していく上での課題,Bこれらの課題の解決策についてとりまとめている。環境・福祉・教育・途上国問題などの社会的課題を解決することを目的に,ビジネスの手法を用いながら新しい社会的商品やサービスなどを創り出す活動の主体を「ソーシャルビジネス(SB)」と定義し,その担い手となる人材の育成・強化のためには,大学・大学院などの専門的な教育の充実,成功した事業者の下での実地訓練が重要と指摘している。なお,2008年2月4日に「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書〜地域・産業・人の「つながり」による地域活性化〜」(経済産業省)が公表され,SBの振興を求めている。
利益を追求しながら社会改革を図るという新しい社会福祉のあり方で,同時に社会問題の解決を試みる新しいビジネスのあり方としての,一般のベンチャーやボランティアと異なる「ソーシャル・アントレプレナーシップ(社会起業家精神)」については,別途記事として掲載する予定である。
→番外の記事であるが,昨年ある雑誌で,「誰もがハッピーになれる,誰に対しても利益がでるやり方。僕はそれがスマートだと思う。(中略)世界ではグラミン銀行のムハマド・ユヌスがノーベル平和賞をとったりして変わっている。ああいった持続可能なソーシャルビジネスが,これからの世界のスタンダードになると思う。どこにも損がないし,ビジネスとして成り立つことで継続でき,より効果があると思うんです。」と述べた人物がいた。
それは,元サッカー選手の中田英寿氏である。予兆として受け止めている。さらに,「日本人は,自分たちの可能性に気づいていない。」とも述べている。なかなかの人物だと思った。
なお,第20回社会福祉士・第10回精神保健福祉士の社会福祉原論問題10においても出題されており,さすが国家試験であると思った。旧態依然の知識や現行制度しか見えていない従来の国家試験の解説者では,「社会福祉原論にふさわしくない問題」と言うのではないかと思う。(筆者)

→●2008年3/21■「ソーシャルビジネス(SB)研究会報告書」が2008年3月末にまとめられるの記事を参照
「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書〜地域・産業・人の「つながり」による地域活性化〜」(2008年2月4日)
4/13 - (2007年7月11日の記事再掲)

年金記録漏れ問題に関連する歴代社会保険庁長官の在任期間と現在の職位(敬称略)

@
1985.8〜1986.6
(財)復光会 
理事長
A
1986.6〜1988.6
厚生年金事業振興団 
理事
B
1988.6〜1989.6
死亡
C
1989.6〜1990.6
社会福祉振興・試験センター 
会長
D
1990.6〜1992.7
日本障害者スポーツ協会 
会長
E
1992.7〜1994.9
全国社会福祉協議会 
副会長
F
1994.9〜1996.7
最高裁判所 
判事
G
1996.7〜1998.7
船員保険会 
会長
H
1998.7〜2001.1
国民生活金融公庫 
副総裁
I
2001.1〜2002.8
社会保険診療報酬支払基金 
理事長
J
2002.8〜2003.8
大阪大学大学院 
教授
K
2003.8〜2004.7
こども未来財団 
理事長
(2007年7月11日の記事再掲)

・生存者11名は,現在も「要職」についておられる。最高裁判事,国立大学教授,3福祉士国家試験を実施する社会福祉振興・試験センター会長,その他3福祉士の受験者ならば,目にすることの多い団体のトップである。(左の表は厚労省等の公表資料に基づいてやまだ塾が作成)
安倍首相は,5月下旬〜6月中旬に「歴代の社会保険庁長官の責任を明らかにする必要がある」との考えを国会等で公式に表明していた。
「歴代長官は,退職金を返還すべきだ」との意見に対しては,法的には退職金の返還は強制できないため,何らかの返還を求める場合,あくまで本人の自主返納になるとされていた。
・政府は,年金記録漏れ問題への反省を示すためとして,厚生労働省の歴代長官に270万円相当(現役の夏季賞与相当額)を自主的に寄付するよう求めていたところ,生存者11名が「反省寄付」に応諾したとのことである。

→国家・国民への不誠実と計り知れない損害に対して,一人当たり「270万円」の寄付によって,大見得を切った政府の責任追求が終結されるように思われる。参議院選挙後において責任追及が継続される保障はない。国民は無力であるが,12名の名前を長く記憶にとどめることはできる。(筆者)
→●6/5の記事を参照のこと

(2007年6月5日の記事再掲)

・2007年6月1日の衆院内閣委員会で民主党の細野議員が指摘したのは,「正木馨 元社会保険庁長官」は,1954年に旧厚生省に入省し,1985年8月から1986年6月までの間社保庁の長官を務め,定年で退官し,その後5つの天下り先を転々として約16年間で「少なくとも2億9000万円以上」の「天下り報酬」を受け取っていたとのことである。また,後任の長官10人全員も同様に天下り先を渡り歩いていたということである。
・2007年6月2日,安倍首相は,公的年金の記録不備による支給漏れに関して,@有識者による委員会を設置して原因究明と歴代の社会保険庁長官を含めた責任追及を行うことを表明,A渡辺行革担当相に歴代社会保険庁長官の責任を明確化するように指示,をしているとのことである。

・2007年6月4日,柳沢厚労相は,記録不備の原因を究明し,歴代幹部の責任を追及する有識者会議を総務省に設置することを表明した。
→今後,@現在保険料を払っている被保険者も含めて,すべての年金記録と照合する作業の早期完了,A責任追及の確実な実行,に注目したい。(筆者)

(2008年3月24日の記事再掲)

→(第1回社会保険庁年金作品コンクールの表彰に関して)中・高生が事実を正確に認識していれば,このような作品にならなかったのではないかと思う。次回には(2008年9月には社会保険庁は解体され,「やり逃げ」することが決まっているので,それまでに),社会保険庁・学校は,中・高生に「事実」を伝えて,同じ趣旨で作品を描いてもらったらどうかと思う。どのような状況下でも,大人は子どもをだしに使ってはいけない。(筆者)
4/11 金融庁 無登録業者からのファンドの勧誘には応じない(免許・許可・登録等を受けている業者一覧)
〜必ず,登録業者であるかどうかを確かめなければならないが,登録をしていても,業者の信用力の判断や取引内容の理解は必要である〜
・他者からの出資金を集めて事業・投資を行い,収益を出資者に分配することを業とするものは,全国の財務局等に登録されている。
2007年9月30日の「金融商品取引法」(金商法)の施行により,いわゆる集団投資スキーム(ファンド)持分の販売勧誘や運用(有価証券等投資に限る)を業としている者は,金融庁および財務局の監督下に置かれることになり,登録義務(1人以上の適格機関投資家かつ49人以下の一般投資家を相手とする私募については届出義務)が課された。2008年3月30日以降は,原則として登録を受けた者でなければ業務を行うことはできないことになった。
・相談・問合せ先:国民生活センター(住所地を管轄する消費生活センター)金融サービス利用者相談室(金融庁)
→高齢者,障害者を狙う悪質な業者への対処法は,ソーシャルワーカーの必要な知識・技術である。(筆者)
明確な根拠をもつ消費者トラブル<「高齢者の見守りガイドブック」「障害者の見守りガイドブック」
4/10 - ■「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」創設に参画した「専門家」を知っていますか?

「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」委員名簿 (2007年10月1日現在 敬称略)
遠藤久夫 学習院大学経済学部教授
鴨下重彦 国立国際医療センター名誉総長
川越厚 ホームケアクリニック川越院長
高久史麿 自治医科大学学長
辻本好子 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
糠谷真平 部会長,独立行政法人国民生活センター理事長
野中博 医療法人社団博腎会野中医院院長
堀田力 さわやか福祉財団理事長
村松静子 在宅看護研究センター代表
後期高齢者医療制度の創設に当たり,後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような新たな診療報酬体系を構築することを目的として,後期高齢者医療の在り方について審議した委員は,左記の通りである(2006年10月5日第1回〜2007年10月4日第12回)。
@「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会の設置について」(2006年9月22日)  
A
「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」(2007年4月11日)
B「後期高齢者医療の診療報酬体系(骨子)」(2007年10月10日)
→その後,具体的な診療報酬については「中央社会保険医療協議会」で議論された。

→現在,「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」は,対象者にほとんどメリットがなく,自己負担が高く,複雑な制度と一般的に評価されている。「行政」だけでは作れない制度で,「行政」に裏づけを与えた「中立的な立場の専門家」がいる。先日,メディアに露出し,「中立的な立場の専門家」として,医療・保健・福祉のあり方を,「行政寄り」から語っている姿を目にした。(筆者)

→●2008年4/2厚生労働大臣の新入職員への挨拶,2007年11/23後期高齢者医療制度(リーフレット),4/13■「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」の記事を参照

「新医療制度改革」
4/9 厚生労働省 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」(1.48MB)
〜「地域における『新たな支え合い』を求めて−住民と行政の協働による新しい福祉−」〜

これからの地域福祉のあり方に関する研究会メンバ(敬称略)
今田高俊 東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
大橋謙策 座長,日本社会事業大学学長
河西英彦 横浜市鶴見区平安町町内会長
金井利之 東京大学大学院法学政治学研究科教授
木原孝久 住民流福祉総合研究所所長
清原慶子 三鷹市長
小林良二 東洋大学社会福祉学科教授
榊原智子 読売新聞東京本社生活情報部
佐藤寿一 宝塚市社会福祉協議会事務局次長
三本松政之 立教大学コミュニティ福祉学部教授
長谷川正義 横浜市民生委員児童委員協議会会長
和田敏明 ルーテル学院大学教授
・2007年10月〜2008年3月31日に11回の検討会を開催し,報告書としてまとめたものである。
・構成:@はじめに,A現状認識と課題設定,B地域福祉の意義と役割,C地域福祉を推進するために必要な条件とその整備方策,D留意すべき事項,E既存施策の見直しについて
7つの既存施策の見直し
@地域福祉計画,A民生委員,Bボランティア活動,C社会福祉協議会,D福祉サービス利用援助事業,E生活福祉資金貸付制度,F共同募金

→注目していた研究会であったが,正直に言えば,メンバーをそろえたにしては,「看板倒れ」と感じた。なお,孤独死に関しては,別途「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)」から報告書が提出される予定である。(筆者)

→2008年4/1「日本の世帯数の将来推計(2008年3月)」の概要,2/26『社会福祉全般のマネジメントの近代化が遅れている。施策全般について,これまでの固定観念を見直し,イメージも刷新する必要。』,2007年12/10「地域福祉計画」の取組み状況(2007年12月7日現在),10/31社会福祉協議会の現状,10/15「地域の現況と課題」の記事を参照

明確な根拠をもつ地域福祉
4/8 厚生労働省 食品の安全に関するQ&A ・項目:@食中毒等,A健康食品,BBSE,C食品表示,D遺伝子組換え食品,E食品中の残留農薬・動物用医薬品・飼料添加物,F食品中の化学物質,G食品添加物,Hその他

→「Hその他」のうち,4月7日に公表された「体細胞クローン家畜由来食品に関するQ&A」や4月1日の内閣府の「食品安全委員会への体細胞クローン家畜由来食品の安全性の諮問」などの最近の行政の動きは,唐突の感があり,アメリカからの輸入への早期の対応という要因を感じる(2008年1月にアメリカの「FDA」は安全とする調査報告書をまとめ,同調して3月に農林水産省が「生物的な差異はない」との報告書をまとめている)。科学的データを示せば,消費者は納得する訳ではない。

→福祉専門職にとって,「衣・食・住に関する知識・情報」は極めて重要であるが,2009年度からの3福祉士の新教育カリキュラムにおいてもその対応は不十分のように思われる。(筆者)


→●3/11「社会福祉施設等における中国産冷凍ギョウザ等の使用状況等調査結果」,2/4「保健所」には,地域の健康危機管理の中核拠点としての役割が指針(告示)に定められているの記事を参照
明確な根拠をもつ■健康・医療■食品表示
4/7 厚生労働省 2008年ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果
〜2008年1月実施〜
・「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(2002年)および「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(2003年)に基づく実態調査である。ホームレスとは,「都市公園,河川,道路,駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」と規定されている(法第2条)
ホームレスは全国に1万6,018人おり,2007年1月より2,546人減少した。ホームレス数の多い順は,@大阪府4,333人,A東京都3,796人であり,両都府で全国のホームレス数の過半数を占めている。また,寝起きする場所は,2007年最も多かった公園が減少し,河川が最多であった(4,907人)。
→厚生労働省は,「都市公園の野宿者を中心に,自立支援に取り組んだ成果が出ている」(新聞報道)としているが,「全市区町村における巡回による目視調査」のデータでそのような評価を出していいものか疑問がある。(筆者)
→■2007年ホームレスの実態に関する全国調査報告書の概要
4/5 厚生労働省 「管理職の範囲の適正化」(通達) ・2008年4月1日,厚生労働省は,管理監督者(いわゆる「管理職」)の範囲の適正化について,適切な監督指導を行うよう都道府県労働局長あてに通達した。十分な権限や相応の待遇を与えられていないにもかかわらず,労働基準法の管理監督者と見なされ,割増賃金の不払いや過重労働による健康障害の発生など,著しく不適切なケースもみられ,社会的関心も高くなっていることを踏まえて示された(2008年1月に,ファーストフード店の店長の管理監督者性を否定した「日本マクドナルド店長残業代請求事件」の東京地裁判決があった)。
→ 「管理職」について,労働基準法第41条第2号では,労働時間・休憩・休日の規定を適用しないと定めている。ただし,深夜労働(午後10時から午前5時まで)に対する割増賃金の支払義務は除外されない。また,年次有給休暇の規定も適用除外にはならない。(筆者)
→●4/3「総合労働相談コーナー」,4/2労働基準法Q&A,■労働基準監督署(全国)の所在案内,3/28「労働時間等見直しガイドライン」,3/15「労働基準法」関係の主要な様式,2/20(■「労働契約法のポイント」の記事を参照
4/4 厚生労働省 ■2008年度の厚生労働省の行事予定(@年間・月間・週間 / A大会等 / B国際会議等 さらに,トップページにも掲載している厚生労働省の2008年度予算 / 組織 / 主な仕事 / などは,福祉の動向を正しく捉えるための手助けとなる情報である。

<2/15のコメントの再掲>
→「福祉分野の人材」に求められる技術として,@大きな流れやシステム全体を実感してとらえる技術,A根拠・証拠に基づいて具体的に対処する技術,Bコミュニケーション技術が大切であると考えている。本HPでは,@Aを意識して記事を掲載している。「分かったつもり」で終わらせずに,常にデータなどに基づいて事実を正確に把握するという作業を惜しまないでいただきたい。一般に,報道では「社会保障審議会が〜した」とされるが,どういうメンバーで議論されたのかを確かめておくことも必要である。「鵜呑み,丸呑みはよくない」ということは誰もが思うことであるが,「最近の少子・高齢化対策」においては,イギリスやフランスなどでうまくいった制度だからという理由で「日本版○○」として施策の展開が図られることがあるように思う。(筆者)
4/3 厚生労働省 「総合労働相談コーナー」
〜キャッチフレーズ:「労働問題に関する相談,情報の提供にワンストップで対応します」〜
「総合労働相談コーナー」の特徴
@労働問題に関するあらゆる分野が対象
: 労働条件,募集・採用,男女均等,いじめなど,労働問題に関するあらゆる分野についての労働者,事業主からの相談を,各都道府県の専門の相談員が,面談または電話で受付ける(相談は無料)
A他機関とも連携
: 希望があれば,裁判所,地方公共団体等他の紛争解決機関の情報を提供する。
→4/2の記事に関連するが,福祉専門職の状況を改善・改良するためには,「労働」に関する知識・情報は欠かせない。(筆者)
「福祉専門職の現状」

→●4/2労働基準法Q&A,労働基準監督署(全国)の所在案内,3/28「労働時間等見直しガイドライン」,3/15「労働基準法」関係の主要な様式,2/20(■「労働契約法のポイント」の記事を参照

4/2 厚生労働省 ■労働基準法Q&A(@労働時間・休憩・休日関係A賃金関係B解雇Cその他 →個別の事案については,事業所を所管する労働基準監督署に問い合わせ,正確な情報を得ることも大切である。(筆者)
労働基準監督署(全国)の所在案内
→●3/28「労働時間等見直しガイドライン」,3/15「労働基準法」関係の主要な様式,2/20(■「労働契約法のポイント」の記事を参照
4/2 厚生労働省 厚生労働大臣の新入職員への挨拶 →逆風の中で厚生労働省を選択した気骨ある人たちだと思う。将来の厚生労働の行政を担う人たちであり,大切に育成していただきたい。誰が育成するのかが重要となる。同日,批判のある「後期高齢者医療制度」の名称を「長寿医療制度」に変更すると発表した。福田首相から「イメージがよくない」と名称見直しの指示を受けて変更したことは,厚生労働省のトップも,この制度の問題を「イメージの問題」と捉えているということになる。そのような環境における人材育成への期待ということになる。(筆者)
「厚生労働省の幹部名簿」(2008年4月1日付)
4/1 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(2008年3月)」の概要
〜2005年から2030年までの25年間〜
・2005年と2030年との比較
@総人口:減少(1億2,777万人→1億1,522万人)
A一般世帯総数:2015年まで増加,その後減少(4,906万人→5,060万世帯→4,880万世帯)
B平均世帯人員:縮小(2.56人→2.27人)
C
世帯主が65歳以上および75歳以上の単独世帯:増加(「65歳以上」は1.86倍,「75歳以上」は2.18倍)
→本推計は,5年毎に実施され,2005年の国勢調査を基に作成された。地域福祉における今後の課題として,高齢者の「単独世帯」の増加に伴い,引きこもりによる孤独死が指摘されている。2008年3月28日に,「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)」が報告書を公表した。また,「これからの地域福祉のあり方研究会」が報告書をまとめる段階にあり,孤独死に関しても言及するとされている。(筆者)
「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議(「孤立死」ゼロを目指して)報告書」(2008年3月28日)
「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書案の骨子」(2008年3月14日第10回研究会資料)
明確な根拠をもつ■基本となる調査・統計地域福祉
2008年4月1日〜2008年6月30日
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
2013年4月1日〜
2012年4月1日〜2013年3月31日
2011年4月1日〜2012年3月31日
2010年10月1日〜2011年3月31日
2010年4月1日〜2010年9月30日
2010年1月1日〜2010年3月31日
2009年8月1日〜2009年12月31日
2009年4月1日〜2009年7月31日
2009年1月1日〜2009年3月31日
2008年11月1日〜2008年12月31日
2008年9月1日〜2008年10月31日
2008年7月1日〜2008年8月31日
2008年4月1日〜2008年6月30日
2007年12月1日〜2008年3月31日
2007年8月1日〜2007年11月30日
2007年4月1日〜2007年7月31日
2006年10月1日〜2007年3月31日
2006年4月1日〜2006年9月30日
福祉行政の最新情報(2006.4.1)-6
http://www.yamadajuku.com/