福祉行政の最新情報(2006.4.1~)-14
2010年4月1日~2010年9月30日
http://www.yamadajuku.com/
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
2013年4月1日~
2012年4月1日~2013年3月31日
2011年4月1日~2012年3月31日
2010年10月1日~2011年3月31日
2010年4月1日~2010年9月30日
2010年1月1日~2010年3月31日
2009年8月1日~2009年12月31日
2009年4月1日~2009年7月31日
2009年1月1日~2009年3月31日
2008年11月1日~2008年12月31日
2008年9月1日~2008年10月31日
2008年7月1日~2008年8月31日
2008年4月1日~2008年6月30日
2007年12月1日~2008年3月31日
2007年8月1日~2007年11月30日
2007年4月1日~2007年7月31日
2006年10月1日~2007年3月31日
2006年4月1日~2006年9月30日
日付 関係省庁等 項 目 ポイン
9/30 厚生労働省

内閣府
10月は「臓器移植普及推進月間」
~政府広報オンラインにリンクしています~
<政府の広報文と提供できる臓器>
「平成9年10月に「臓器移植法」が施行されたことにちなみ,毎年10月は「臓器移植普及推進月間」と定められています。月間中は,厚生労働省,地方公共団体,(社)日本臓器移植ネットワークなど関係団体が連携・協力し,「臓器移植推進国民大会」や講演会など,臓器移植に対する理解と協力のための普及啓発活動を集中的に実施します。また,平成21年度から,(社)日本臓器移植ネットワークが中心となり,移植医療を応援する「グリーンリボンキャンペーン」が展開されています。」

脳死後に
提供できる臓器
心臓,肺,肝臓,膵臓,腎臓,小腸,眼球(角膜)
心停止後に
提供できる臓器
腎臓,膵臓,眼球(角膜)

→2009年の改正臓器移植法が,2010年7月17日に施行された。年齢制限が撤廃され,家族の承諾があれば臓器提供が可能になった。2010年9月25日現在,家族の承諾だけで脳死判定が行われたのは10例で,国内の脳死移植は97例となった。(筆者)

9/28「骨髄移植」,8/12究極の善意である臓器提供が,日本で定着できるかは「日本臓器移植ネットワーク」の手腕にかかっている)2009年10/13第11回臓器移植推進国民大会(10月24日)の開催について,6/19「臓器移植法改正法案」(A案)が6月18日に衆議院で可決されたの記事を参照

「2009年の通常国会で成立した法律」
「臓器移植法の改正」(2010年1/15)

(参考)
「(社)日本臓器移植ネットワーク」のHP
「United Network for Organ Sharing(UNOS) 」(アメリカの移植ネットワーク)のHP
「日本移植学会」のHP
「臓器移植に関する世論調査」(2008年9月調査)
9/29 ■尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後の日中関係における筆者の雑感 ・「中国が日本を征服するのは非常に簡単」とする書き込みが,中国共産党機関紙「人民日報」のWEBサイトに掲載され,他のサイトに転載されているとのことである。「日本に言うことを聞かせるには1か月もかからない」とし,まず,自動車から電気製品,化粧品など日本ブランドの商品を中国から締め出し,さらに日本に資源の輸出を禁止し,そして中東の産油国の原油を,日本より高値で購入する。この3つで日本の株価は大暴落し,政権批判を受け,政権も崩壊する,という内容である。(9月29日中日新聞の要約)

筆者は,国際政治には門外漢であるが,異論があることを承知で,今回の事件に対しての筆者の雑感を述べる。
→9月7日,尖閣諸島付近で発生した中国漁船衝突事件の初動で,「船長を逮捕する」と判断したのは,前原外務大臣(事件発生当時は,海上保安庁を管轄する国土交通大臣)の主張に基づくものであることは周知の事実である。
→筆者は,前原誠司氏のことをあまり知らなかったので,氏のホームページ(URL:
http://www.maehara21.com/blog/kiji.php)などを調べ,結果,氏の言動には一貫性があることを知った。氏は,京都大学法学部に入学し,1960年代以降の自民党政権のブレーンで,「アメリカ重視の論客」であった国際政治学者の高坂正堯氏のゼミに在籍して国際政治学を学んだこと,その後,高坂氏のアドバイスで,保守系政治家を多く排出している「松下政経塾」で学んで政治家を目指したこと,を知った。さらには,2005年12月に,民主党党首として訪米した際に,「中国脅威論」を提唱していたことから,今回の衝突事件の判断もその延長線上にあることを知った。9月17日に発足した菅改造内閣において,海外では,「日本にタカ派の前原外相が誕生した」という報道がされていたことも知った。
→歴史的には,1972年の日中国交回復において,田中首相と周首相との間で,「尖閣諸島問題には触れない」という暗黙の了解があり,その後,両国は曲りなりにもうまくやってきた。筆者は,今回の事件もこれまでのように国外退去でおさめるのではないかと思ったが,「船長を逮捕した」と聞いたときには驚いた。おそらく,今回の日本側の姿勢や態度から,中国側に豹変したと受け止められたことがボタンの掛け違いの始まりではないかと考える。現在,政治的側面だけではなく,日中の経済関係や文化関係にまで悪影響を及ぼし始めている。そして,上記のような過激なネットの書き込みにつながっており,尋常ではない状況にあることの認識が必要である。
→これは,前原氏だけの問題によるものではなく,菅首相の「政治センス」に起因するものであることには,異論はないと思う。筆者は,菅首相に,「未成熟な相手(国家)とは,うまく付き合うことが大切だ」,と助言できる大人の有能なブレーンがいないことが,問題ではないかと思う。(筆者)
9/28 厚生労働省

内閣府
「骨髄移植」
~政府広報オンラインにリンクしています~
・正常な血液をつくれなくなる病気である白血病や再生不良性貧血などは,健康な人から提供された骨髄を移植する「骨髄移植」をはじめとする造血幹細胞移植しか,根本的な治療方法がない。
・1991年度から「骨髄バンク事業」がスタートし,2010年8月末までに,約1万2千件の骨髄移植が行われ,2010年8月末現在のドナー登録者数は366,824 人である。ドナー登録自体は,18歳からできるが,骨髄を提供できる年齢は20歳以上,55歳以下である。ただし,がんや脳卒中などの病歴がある人,高血圧や過度の肥満の人,輸血を受けたことがある人,エイズやウイルス性肝炎などの感染症の病気の人など,健康状態によって骨髄提供ができない場合には,ドナー登録ができないことになっている。
・米独英などと比べ,人口当たりの登録者数が少なく,実際に移植に至る移植率は約6割であり,年間約2,000人の登録患者のうち2割は、移植を待ちながら死亡しているのが実情だといわれる。

→厚生労働省は,9月27日から,所管する公益法人などの事業見直しを行う「秋の省内事業仕分け」を開始し,同日,骨髄バンクを運営する「骨髄移植推進財団」の仕分けを行った。移植のコーディネートや普及啓発事業について,同財団の改革案は「不十分」と判定され,議論では,移植率の低さについて意見が集中した,と報道されている。
→アメリカの骨髄バンクの運営は,患者やその家族が主体に行われているといわれる。日本の運営主体である「骨髄移植推進財団」には,天下りとの関連が指摘されているが,「骨髄バンク事業」は,高い倫理観と公共性が求められていると思う。「命を提供する善意」に対しては,最大限の敬意を払うと同時に,クリーンに運営されることを望みたい。(筆者)


→■「日本骨髄バンク(JMDP)」
9/27 厚生労働省 現在の「介護人材の確保と処遇の改善策」
~第33回社会保障審議会介護保険部会(2010年9月24日)~
<第33回社保審議会介護保険部会資料の構成>
(1)介護人材の確保と処遇改善の推進方策
  ①介護人材を巡る現状
  ②これまでに講じられた主な施策(参入支援・処遇改善)
(2)労働法規遵守,キャリアアップ等の促進策
(3)介護職員等によるたんの吸引等の実施

→2010年5月31日に,第25回社会保障審議会介護保険部会が,2008年2月以来,約2年ぶりに開催され,2012年度の診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた,介護保険制度の問題点についての議論が始まった。9月24日の第33回では,「介護人材の確保と処遇改善策」について話し合われた。本テーマにおける,これまでのインチキくさい検討には辟易しているが,現状を確認する資料として,目を通しておくことを勧める。
→少しは期待していたのに,長妻さんや山井さんが豪語していた「介護ビジョン」は,発表されないまま,厚生労働大臣や政務官をクビにされてしまった。次の大臣や政務官には引き継がれているのだろうか。
→なお,9月26日には,「介護・看護人材の確保と活用について」という総理指示が厚生労働省に出されている。(筆者)
9/24 ■「第176回臨時国会」が,10月1日に召集される!
<日程(予定)>
・10月1日:菅首相の所信表明演説
・10月4日~6日:衆参両議院での各党からの代表質問
・10月7日~8日:衆議院予算委員会
・10月12日~13日:参議院予算委員会
・その後:その他の衆参常任委員会における大臣所信表明と一般質疑

→憲法第7条第1項第2号に基づき,天皇は,菅内閣の助言と承認により,2010年10月1日に第176臨時国会を召集する。当初,与党は10月6日で調整していたが,野党が円高対策の審議などを理由に,早期召集を求めたため,日程を前倒ししたとされている。これにより,菅首相は,10月4,5日にブリュッセルで開催されるアジア欧州会議(ASME)首脳会議への出席をあきらめたとのことである。菅政権の前途に,暗雲を感じさせる出来事である。
→通常国会の会期は1回のみであるが,臨時国会は2回まで延長できる。民主党は12月10日頃までの70日間程度を検討しているとのことである。この間に,行政刷新会議の事業仕分け,2011年度予算政府原案の策定,税制改正案の策定,国会答弁が行われるが,新政務三役の力量で乗り切れかどうかが注目されている。菅首相は,公明党,社民党,みんなの党と連携して,法案を成立させる算段をしていると思われるが,果たして目論見通りに進むかどうか大いに疑問がある。筆者は,「ねじれ国会」から,越年の可能性もあると見ている。誠に失礼であると思うが,筆者が注目しているのは,2011年の通常国会会期を含めて,菅政権がいつまで持つか,ということである。
→蛇足であるが,9月22日の国連演説で,菅首相は,「疾病」を「しつびょう」と世界に向けて堂々と誤読されていたが,英語はできない,日本語もできない,では何とも情けなくて・・・。(筆者)


9/22「新厚生労働三役」が決定した!,9/18新厚生労働大臣に細川副大臣が昇格の記事を参照
9/22 厚生労働省 「新厚生労働三役」が決定した! <厚生労働政務三役 (やまだ塾のまとめ)>   (敬称略)
大臣 細川律夫 衆議院議員(埼玉県第3区)
明治大学
前厚生労働副大臣
弁護士
菅グループ
副大臣 小宮山洋子 衆議院議員(東京都第6区)
成城大学
元NHKアナウンサー・解説委員
前原・枝野グループ
藤村修 衆議院議員(大阪府第7区)
広島大学工学部経営工学科
前外務副大臣
前厚生労働委員会委員長
野田グループ
政務官 岡本充功 衆議院議員(愛知県第9区)
名古屋大学医学部
医学博士
小林正夫 参議院議員(比例区)
東京都立世田谷工業高等学校
元電力総連副会長
<所掌における副大臣と政務官の組み合わせ>
・小宮山副大臣と小林政務官
  →子育て支援・労働
・藤村副大臣と岡本政務官

  →年金・医療・介護など

→筆者は,小宮山洋子さん以外のお顔は,今回始めて拝見した。もちろん,副大臣時には影が薄かった新大臣を含めて,厚生労働政務三役に相応しい力量を持っておられるかどうかはまったく知らない。「このメンバーでやっていけるのか」,というのが筆者の率直な感想である。こんなことだったら,前のメンバーの方がよかったという評価にならないように祈っている。新大臣は,「人権派の弁護士」というふれこみであるが,現在の厚生労働大臣という職位に求められている資質が,「人権派弁護士のセンス」なのかどうかは知らない。ともかく,大所高所から,リーダーシップを発揮していただくことを期待している。(筆者)

「副大臣,大臣政務官,内閣総理大臣補佐官」
9/21 総務省統計局 「統計からみた我が国の高齢者のすがた」
~「敬老の日」(9月20日)にちなんで~
(1)高齢者の人口(人口推計)
①65歳以上の高齢者は2,944万人で総人口比23.1%(過去最高)
②80歳以上人口が初めて800万人を超えた(1950年:37万人)
②65歳以上男性の割合が初めて20%を超えた(女性:25.8%)
(2)高齢者の家計(家計調査,2009年全国消費実態調査)
①高齢無職世帯の家計収入は1か月当たりが22万7,000円,実支出は27万1,000円で,4万4,000円が不足(不足分は預貯金などの金融資産の取崩しなどで賄う)
②「世帯主が高齢者の世帯」の貯蓄現在高は2,305万円(65歳未満:1,327万円)
③一般家具などの普及率が高い「世帯主が高齢者の世帯」であるが,パソコンの普及率は56.3%(65歳未満:84.3%),携帯電話の普及率は81.2%(同97.6%)
(3)高齢者の就業(労働力調査)
①近年上昇傾向にある65~69歳の就業率
②高齢雇用者のうち非正規の職員・従業員が約5割


→「敬老の日」にちなんで,総務省統計局が,わざわざ選別して発表する上記の統計を基にした「我が国の高齢者のすがた」は,筆者には,「結構,恵まれていて,幸せそう」に見える。
→核家族化が進み,親類はおろか親兄弟でも音信不通が常態となり,家族と同居しながらミイラ化したり,腐敗してやっと発見される孤独死が増え続けているという「我が国の高齢者のすがた」を伝えるのは,放置戸籍が山のようにある(戸籍が存在するのに現住所が確認できない100歳以上の高齢者が全国で23万4,000人もいる)国の「敬老の日」にこそ相応しいと思うが,マスメディアは積極的ではない。
→「福祉専門職」として,「我が国の高齢者のあるべきすがた」について,自身の見解をもっておく必要がある。(筆者)


「白書(社会福祉関連)」(2010年版 高齢社会白書)
9/19 介護労働安定センター 「2009年度 介護労働実態調査結果」
<調査結果のポイント>
①2008年10月1日から2009年9月30日の離職率は,17.0%(前年度比18.7%減)であった。
②介護サービスに従事する従業員の過不足状況では,「適当」が52.3%(前年度36.5%),不足感は46.8%(同63.0%)であった。
③介護サービスを運営する上での問題点では,「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が52.7%(前年度71.6%)であった。
④介護報酬改定に伴う経営面での対応状況では,「基本給の引き上げ」が30.4%,「諸手当の導入・引き上げ」が26.6%,「教育研修の充実」が21.4%、「一時金の支給」が19.2%,「職員の増員による業務負担軽減」が17.1%であった。
⑤仕事を選んだ理由では,「働きがいのある仕事だから」が58.2%で,現在の仕事の満足度では, 「仕事の内容・やりがい」が53.9%であった。
⑥労働条件等の不満では,「仕事の割に賃金が低い」50.2%(前年度58.3%),「人手が足りない」39.4%(同51.0%),「有給休暇が取りにくい」36.9%(同30.0%),「業務の社会的評価が低い」36.4%(同41.3%)であった。

上記ポイントの⑤において,仕事を選んだ理由での「働きがいのある仕事だから」,および現在の仕事の満足度での「仕事の内容・やりがい」が,いずれも5割を超えているという調査結果には,介護の仕事に携わる者の「使命感」,「誇り」,「自律性」の高さを感じる。(筆者)

「福祉専門職の現状」
9/18 首相官邸 新厚生労働大臣に細川副大臣が昇格

<菅首相の臨時代理の順位>
  ①仙石官房長官
  ②前原外務大臣
  ③鹿野農林水産大臣
  ④北沢防衛大臣
  ⑤細川厚生労働大臣
→2010年9月17日に,菅改造内閣が発足し,政権の新厚生労働大臣に,厚生労働副大臣として,これまで主に労働関係を担われてきた細川律夫氏が昇格された。いろんな意味で,ガッカリした人事であったが,期待を込めてご健闘をお祈りする。
→菅改造内閣の経済政策の当面の課題としては,①円高対策(為替介入の継続など),②景気対策(補正予算の前倒しなど),③2011年度予算編成,④税制改革(法人税率の引き下げなど),⑤農業の個別所得保障制度(本格実施),がある。
→なお,秋の臨時国会の日程については,10月6日に召集し,会期は,12月上旬までの60日間程度になるとみられている。(筆者)
9/17 内閣府 「「障害」の表記についての意見募集」
~締切は9月30日~
<内閣府の意見募集における広報文>
障がい者制度改革推進会議の第一次意見※を踏まえ,推進会議の下に設けられた「障害」の表記に関する作業チームでは,「障害」の表記についてどのような表記とすべきか検討を始めているところですが,今後の議論の参考とさせていただくため,「障害」の表記について国民の皆様から広くご意見を募集いたします。」
『「障害」の表記については,「障害」のほか,「障がい」「障碍」「しょうがい」等の様々な見解があることを踏まえ,障害者の「者」にあたる部分の表記の在り方も含め,推進会議としては,今後とも,学識経験者等の意見を聴取するとともに,国民各層における議論の動向を見守りつつ,それぞれの考え方を整理するなど,引き続き審議を行う。』

→「障害」の表記に関しては,筆者は,「障害」を「障碍」に,「障害者」を「障碍者」にすれば事足りると考えている。本表記に関する議論を深めても,現に存在する差別の解消や待遇の改善につながるとは思えない。
→本件とは関係のない話題であるが,本日,菅政権の改造内閣が発足するとみられている。厚生労働大臣に注目している。副大臣の昇格でお茶を濁すのではなく,日本の福祉行政を委ねるに足る有能な人物が選任されることを願っている。(筆者)


→■「法令で「障碍」ではなく「障害」と表記する理由を政府の公式見解で示せ。」(2008年度版今日の一問No.20

「「発達障害」の用語の使用について」(2009年3月15日文科省)
9/16 内閣府 「労働者の国際移動に関する世論調査」(2010年7月調査) ・内閣府が9月13日発表した「労働者の国際移動に関する世論調査」結果によれば,外国での就労に「関心がある」人の割合は22.0%,「関心がない」は77.4%であった。関心があるとした人の理由(複数回答)は,「外国の文化や生活に興味がある」70.3%,「語学力を向上・活用したい」42.3%,「技能を向上・活用したい」31.4%の順であった。また,関心がないと答えた人の理由(複数回答)は,「語学力に自信がない」52.3%,「外国での生活に不安を感じる」47.1%,「家族や友人と離れたくない」34.6%の順であった。これから社会に出る世代は若いうちに外国で働く経験を積むべきだと思うかとの問いには73.8%が「積むべき」と回答している。

→調査結果から,日本の英語教育の問題が浮かび上がってくる。「どの程度,外国語を話せますか」の問いに,77.7%が「話せない」と回答し,外国人労働者に求める「日本語能力」は,94.2%が「重要」と回答している。
→こぼれ話を一つ。2010年6月のG-8サミットで一人だけ英語での談笑の輪に入れなかったという証拠写真とともに報道された人物を日本の首相に選択したのは,民主党の党員・サポーター・地方議員・国会議員であり,「日本国民」ではない。菅首相夫人の著書『あなたが総理になって,いったい日本の何が変わるの』に,菅首相が英語が苦手という話があり,「この人が総理大臣でよいのだろうか」との記述もある。鳩山前首相のように,英語ができればいいというものではないことは分かっているが,国民としては,国際的に通用する人物に総理大臣になってほしいと思っているので,嫁さんのように笑い話で済ますことはできない。(筆者)
9/15 内閣府 「秋の全国交通安全運動(9/21~9/30)」と「交通事故死ゼロを目指す日(9/30)」
「政府広報オンライン」にリンクしています
・「2010年秋の交通安全運動」では,交通事故死者数の全体に占める高齢者の割合が年々増加し,約半数となっている状況を踏まえ,「高齢者の交通事故防止」を運動の基本とされている。2009年中の交通事故死者数は4,914人で,1952年以来,57年ぶりに5,000人を下回ったが,65歳以上の高齢者の割合は49.9%であった。
<全国で取り組む3重点項目>
①夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止(特に,反射材用品等の着用の推進)
②すべての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
飲酒運転の根絶

6/11
「チャイルドシートの使用状況」(2010年4月調査),3/12「高齢運転者等専用駐車区間制度」,2/8「2009年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」の記事を参照

→■「交通安全対策」(内閣府)
9/14 ■本日の民主党代表選挙を注目する! <9月14日の民主党代表選の予定>
3:00~12:00 地方議員票,党員・サポーター票開票
14:00 臨時党大会スタート
政権演説
①小沢一郎氏(15分)
②菅直人氏(15分)
国会議員投開票(無記名,40~60分)
15:30頃 ・地方議員と同時に開票結果を発表
・新代表あいさつ
16:00頃 新代表の就任記者会見

→本日の民主党の代表選挙は,日本の将来を決定する重要な選挙という意味で注目している。さらに,筆者が注目しているのは,今回の選挙におけるマスメディアによる世論調査結果(菅:小沢=おおむね60:20と,圧倒的に菅首相が有利)とインターネットによる世論調査結果に逆転現象が起きていたが,どちらの調査結果が選挙結果に合致していたかが判明することである。ネット社会における調査結果の信頼性を判定する一事例になるのではないかと思っている。(筆者)
9/13 首相官邸 「第1回新成長戦略実現会議(2010年9月9日)」

「新成長戦略実現会議」の構成員
<議長>
菅内閣総理大臣
<副議長>
仙谷内閣官房長官
荒井国家戦略担当大臣兼内閣府特命担当大臣
直嶋経済産業大臣
<委員>
野田財務大臣
内閣総理大臣が指名する大臣
白川方明
日本銀行 総裁
伊藤元重
東京大学大学院経済学研究科教授
岡村正
日本商工会議所 会頭
河野栄子
DIC株式会社 社外取締役
古賀伸明
日本労働組合総連合会 会長
小宮山宏
三菱総合研究所 理事長
桜井正光
経済同友会 代表幹事
清家篤
慶応義塾塾長
宮本太郎
北海道大学大学院法学研究科教授
米倉弘昌
日本経済団体連合会 会長

<民主党代表選での経済対策の比較>
菅首相 小沢前幹事長

・「雇用創造」と「不安解消」には菅首相が主導し,最優先で取り組む。
・新成長戦略は,「新成長戦略実現推進会議」で実施する。
「1に雇用,2に雇用,3に雇用」と雇用政策を最重点課題とし,「雇用が広がれば所得が増え,経済が潤い,社会保障の充実にもつながる」としている。

・急激な円高に対処するため,緊急経済対策用の予備費として2010年度予算に計上している2兆円(国庫債務負担行為を含む)を直ちに全額執行する。住宅ローン供給の円滑化,エコポイントの延長など景気対策を実施する。
・今後の急激な円高については,市場介入を含むあらゆる方策を実施する。
・国の「ひも付き補助金」を,地方への一括交付金に改める。

・「菅首相は,地域に雇用をつくるにはどうしたらいいか何ら具体策に触れていない。雇用を守るには景気の底上げが必要で,順序が逆だ」と反論している。

・9月7日に,政府は,2020年度までの平均で名目3%を上回る経済成長率を目指すとした新成長戦略を実現するため,「新成長戦略実現会議」を設置することを閣議決定し,9月9日に「第1回新成長戦略実現会議」を開催した。
・「新成長戦略実現会議」は,新成長戦略の実現がテーマであること,連合(労働組合)が構成員に加わっていること,予算編成権がないことなどの違いはあるが,民主党が廃止した 自・公政権時代の「経済財政諮問会議」そのものと思われる。両者の決定的な違いは,「経済財政諮問会議」は内閣府設置法に位置づけられていたが,「新成長戦略実現会議」は法的な根拠のないあいまいな会議体,ということである。
・「新成長戦略実現会議」の事務局長は,古川官房副長官と平岡内閣府副大臣であり,事務局は国家戦略室と内閣官房副長官補室の2部署が担うという変則的な運営がされる。これにより,機能を縮小して助言機関に格下げされると言われていた「国家戦略室」の位置づけや役割を修正し,調整機能を持たせるのではないかと見られている。
・なお,9月10日に,政府は,経済産業省の「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」(2011年3月31日までのエコポイント制度延長を含む)を閣議決定している。

→急激な円高に対処するための日本経済再生が,現下の日本の最重要課題である。
→筆者は,「新成長戦略実現会議」は,鳩山政権時の「国家戦略局構想」を,菅政権が放棄したことによる苦し紛れの設置であると思う。また,「新成長戦略実現会議」のように法定されず,予算編成に関与しない会議体でいくら議論を重ねても,その実現性には疑問がある。さらに,民主党代表選の結果,仮に小沢政権になることを想定すれば,「新成長戦略実現会議」の存続は考えられない。
→些細なことになるが,9月10日に閣議決定した新成長戦略実現に向けた「3段構えの経済対策」というフレーズは,やはりどこかで聞いたような気がしていたが,麻生元首相の「3段ロケットの経済対策」という名フレーズに似ている。官僚の考えに従っていれば,同じようになるのは当然であると思われる。
→異論があることを承知で,経済対策に限定して,両候補者に対する筆者のイメージを申し上げる。菅首相には,官僚主導で,じわりと新自由主義ににじり寄りながら,日本経済をジリ貧状況に導いていく人物というイメージを持っている。一方,小沢前幹事長には,代表選までとは異なり,代表になった場合には,豹変し,持論の「日本改造計画」をベースとして,新自由主義に回帰させる人物というイメージを持っている。
→9月14日は,日本の将来にとって,重要な日になることは間違いない。(筆者)


「第1回 新成長戦略実現会議 菅総理指示」

9/3「円高の影響に関する緊急ヒアリング結果」,7/13衆院与党2/3割れ,参院与党1/2割れとなり,現政権での正常な国会運営は望めないと思う),6/28「日本の財政運営戦略」「諸外国の財政再建計画」6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」,6/18「民主党のマニフェスト2010」を見る),6/13「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」の記事を参照
9/10 厚生労働省 「多剤耐性菌の情報」
・種類は違うが,2つの病院で,ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性菌が検出されている。獨協医科大学病院の「NDM-1」と帝京大学附属病院の「多剤耐性アシネトバクター」であり,いずれも感染し,発病すると治療が難しいというのが共通している。
・NDMー1の遺伝子を持つ多剤耐性菌は,2年前にインドのニューデリーの病院の患者から初めて検出され,インド,パキスタンで140人以上,両国から帰国した人たちを中心にスウェーデン,イギリス,アメリカなどで感染が確認され,2009年5月に,インドから帰国し,獨協医科大学病院に入院していた50代の患者から検出された。日本で検出が確認されたのは初めてであった。厚生労働省は,8月18日に,都道府県に対して,通知を出し,この新しいタイプの細菌が検出された場合は,感染予防策を徹底するよう,医療機関に求めている。また,WHOは,8月20日に,各国政府に対し,多剤耐性菌に警戒し,感染防止の対策をとるよう声明を出している。
・一方,帝京大学附属病院の「多剤耐性アシネトバクター」は,2009年8月に最初の感染が疑われたにもかかわらず,2010年5月まで院内調査もせず,ほとんど対策を講じなかったことから,病院の職員を介した最大規模の院内感染に至ったとみられている。

→見過ごせない話がある。2010年8月上旬に,帝京大学付属病院への東京都と厚生労働省の合同の定例立入検査があり,その場で院内感染対策の体制が脆弱ではないかという話が出たという状況があったにもかかわらず,8月30日の長妻大臣の帝京大学付属病院での救急医療現場の視察の折には,病院側からは院内感染の話が一切出ず,9月3日に,入院患者46人が「多剤耐性アシネトバクター」に感染し,このうち9人は院内感染が原因で死亡した疑いがあることを病院側が発表した(8日には46人を53人に,9人を13人に修正),ということである。
→9月7日の記者会見で,長妻厚生労働大臣は,「院内感染が起きている状況で視察を受け入れた病院側の姿勢についてはどのように感じていますか?」という記者からの質問に,「そこら辺の事情は帝京大学病院がどういう風に考えたかというのはそれを詳細に知っているわけではありません」と事も無げに答えられたそうである。
→筆者は,この場面では,厚生労働大臣は本気で怒らなければならないのではないかと思う。報告義務化などの法的や頭ごなしの対応を指示する前に,「不誠実は断じて許さない」という態度を明確に示すべきであったと思う。ただし,長妻大臣が,視察のときまでに官僚からきちんとした関連情報が入れられていなかったことについては,長妻大臣と部下である官僚との人間関係の問題であり,知ったことではない。
→厚生労働省,地方自治体,医療機関等の風通しの悪さは,国民の不利益につながる。院内感染予防のための人材不足などがあることを承知の上で,医療機関への負担ばかりが目に付く行政の対応策には疑問がある。さらに,犯人探しに血眼になっているマスコミの姿勢にも問題を感じる。
→おそらく,これから,事実を公表していなかったと申し出てくる医療機関が多数あると思う。その場合,テレビカメラに向かっての謝ると思うが,併せて「人間としての不誠実さ」を天に向かって謝罪しているかどうかを感じながら観ようと思う。これは,「福祉専門職」にも通じることである。(筆者)


「9月7日長妻厚生労働大臣の記者会見」
9/9 文部科学省 「2010年版  図表でみる教育 OECDインディケータ」
~日本の教育への公的支出は最下位~
・教育の公的支出に関する日本の経緯は,2003年調査(最下位),2004年(ワースト2位),2005年(最下位),2006年(ワースト2位)で,今回の2007年は最下位であった。
<2010年版(2007年調査分)のポイント>
①日本の教育機関(全教育段階)に対する公財政支出の対GDP比は前年と変わらず3.3(OECD平均4.8%)で,その順位はOECD加盟国(28か国)中最下位である。
②教育機関に対する教育支出について,就学前教育および高等教育における私費負担割合は,それぞれ56.2%,67.5%となっており,OECD平均の20.3%,30.9%と比較して高い割合となっている。
③日本の一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合は9.4%で,OECD加盟国(28か国)中27位である。
④国公立学校での平均学級規模は,初等教育28.0人,前期中等教育33.0人であり,OECD平均を上回る。
⑤国公私立学校での教員一人当たり児童生徒数は,初等教育18.8人,前期中等教育14.7であり,OECD平均を上回る。

民主党は,教育の諸施策において,OECD平均並を目標に掲げており,本インディケータを基にしているので,目を通しておいていただきたい。なお,今回は2007年調査分であるため,民主党政権下における210年度からの高校授業料の実質無償化などの施策の効果は現れていない。
→日本の自・公政権や文部科学省官僚の諸施策における評価はOECDの中では最低レベルであった。しかし,そのような状況にあっても,OECDの「国際学力調査PISA2006」(15歳児を対象として,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーの3分野を調査)の結果においては,少ない投資でよい成績を上げてきたとする評価や,学級規模が大きくて厳しい環境にかかわらず教育水準が高いとの評価を受けてきた。
これまで,日本の子どもたちの教育水準が高いレベルで維持されてきたのは,「政府・官僚の質的レベルの低さ」を,「個々の教員の質的レベルの高さ」(民主党の教育関係支持母体の質的レベルとは無関係)がカバーしてきたからである,は言い過ぎか。((筆者)


1/16「国立教員養成大卒業者」の教員就職率56.6%の記事を参照

「国際学力調査PISA2006」(OECD生徒の学習到達度調査)
9/8 厚生労働省 「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」 ・厚生労働省は,2010年1月21日に,「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」を設置し,5月28日に,「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム報告書」を公表した。この報告書において,職場におけるメンタルヘルス対策が重点の一つとされた。これを受け,2010年5月31日に,「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」が設けられ,2010年9月7日に,「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」が公表された。これを受けて,労働政策審議会で制度改正に向けた議論がされ,早ければ2011年度中に労働安全衛生法の改正を目指すとされている。
・なお,政府は,2010年6月18日に,「新成長戦略」を閣議決定し,2020年までの目標として,「メンタルヘルスに関する措置を受けられる職場の割合100%」を掲げている。

<「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」のポイント>
①一般定期健康診断に併せ,ストレスに関連する労働者の症状・不調を医師が確認する。
②面接が必要とされた労働者は産業医等と面接を行う。その際は,上記ストレスに関連する症状や不調の状況,面接が必要かについて事業者に知らせない。
③産業医等は労働者との面接の結果,必要と判断した場合は労働者の同意を得て,事業者に時間外労働の制限や作業の転換などについて意見を述べる。
④事業者は,労働時間の短縮等を行う場合には,産業医等の意見を労働者に明示し,了解を得るための話合いを行う。

→「日本の自殺者が,1998年以降12年連続して3万人を超えている」および「自殺死亡率が欧米の先進諸国と比較して突出して高い水準にある」という認識に基づいて,厚生労働省は「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」および「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」を設置した。筆者には,厚生労働省がわずか8か月で報告書としてまとめた「地域・職域におけるうつ病・メンタルヘルス対策」が効果的だとはどうしても思えない。
→また,関連事項として,9月7日に,内閣府の「自殺総合対策会議」が開催され,その席上で長妻厚生労働大臣の指示で,国立
社会保障・人口問題研究所に依頼した「自殺やうつによる社会的損失の推計結果」(2009年の単年度で約2.7兆円の損失)が長妻大臣から報告されている。筆者には,現段階でこの推計が,何の役に立つのか,理解できない。
→「フィンランドほどの国家戦略を持ってしても,自殺対策が成果を示すのには10年あまりの月日を要している」(2007年自殺対策白書)といわれている。そもそも,「日本の自殺対策」は,国家戦略としての体をなしているのか,という疑問もある
→9月10日は,「世界自殺予防デー」である。(筆者)


(「自殺」に関して)
6/30「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」,6/15「2009年度精神障害等にかかる労災補償状況」(過労死 / 精神障害)),6/1「自殺未遂による傷病に係る保険給付等について」(2010年5月21日通知),5/31「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめ」5/12精神障害者雇用安定奨励金の創設,2/22「いのちを守る自殺対策緊急プラン」の記事を参照

(「新成長戦略」に関して)
6/23「厚生労働分野における新成長戦略について」,6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のナリオ~)」(2010年6月18日)の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(心の健康-「自殺」)
9/7 厚生労働省 「保育所関連状況(2010年4月1日現在)」
~認可保育所への入所希望者は,実質3万9,000人もいる~
認可保育所への入所希望者は,合計3万9,000人(待機児童者:2万6,275人+認証保育所利用者:1万2,812人)で,待機児童者数は3年連続出増加している。

→「厚生労働省は,不況で就労希望者が増えているだけでなく,大規模開発で,特定地域に人口が流入するなどし,需要の伸びに供給が追いつかない,と分析している。」と新聞報道されている。毎回,同じことをコメントする気にならなかったので,このトンチンカンな分析の報道を紹介した。待機児童対策は,少子化対策の「肝」であるのに,何の進展もないことに対して,誰も責任を追及されないのはおかしくないか。
→民主党の代表選は,いわゆる「究極の選択」に当たるので,どちらが選ばれても大した期待は待てないが,仮に菅さんが選ばれても,内閣改造では,少なくとも厚生労働省政務三役は適任者に交代させてもらいたい,と筆者は思う。これ以上留任されても,日本の社会保障が良い方向に進むとは思えない。現政務三役の最大の欠陥は,1年経っても社会保障の全体像をきちんと語れないことである。誤解のないように付け加えるが,現政務三役の方々の人格を云々しているわけではなく,職務の適正や能力に疑問を呈しているのである。誠に失礼だとは思ったが,今しか言う機会がないと思ったのでコメントした。(筆者)


5/27「2010年版 子ども・子育て白書」,3/26(■「2009年10月の保育所入所待機児童数」 / 都道府県・政令指定都市・中核市別,1/31「子ども・子育てビジョン」,2009年12/29(■「子ども手当」は愚策ではないか~ドイツの二の舞を踏むことにならないか~),12/11(■「保育施設における死亡事例について」(2004年4月~2009年11月)),9/22(■「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度)),9/9(■筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う)の記事を参照の記事を参照
9/6 厚生労働省 「2008年所得再分配調査結果」(概要 / 本文

「ジニ係数」とは
ローレンツ曲線と均等分布線とで囲まれた面積の均等分布線より下の三角形の面積に対する比率によって,分配の均等度を表わしたものである。したがって,ジニ係数は0から1までの値をとり,0に近いほど分布が均等,1に近いほど不均等ということになる。(「2008年所得再分配調査報告書」)

「相対的貧困率」とは
等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の貧困線(中央値の半分)に満たない世帯員の割合をいう。(「OECDワーキング・レポート22」)
・厚生労働省は,9月1日に,原則として3年に1度行われる「2008年所得再分配調査報告書」を発表した。
・世帯単位で所得格差の大きさを示す2008年の「ジニ係数」が,税の支払いや公的年金などの社会保険給付を反映させない当初所得ベースで0.5318と,調査が始まった1962年以降で過去最大になった。当初所得ベースのジニ係数は,1984年以降,上昇が続いている。 年代別では,75歳以上が0.8166で,公的年金収入のみの世帯は,所得ゼロと見なされるため,受給者数の増加でジニ係数も 上がった形となった。一方,59歳以下ではほぼ横ばいであった。ジニ係数は0~1の間の数字で表され,格差が大きいほど1に近づく。
・厚生労働省は,賃金所得が少なく,年金収入に頼る高齢者世帯が増加したことなどが背景にあると分析している。

→「格差社会」を考える場合の指標として,「ジニ係数」と「相対的貧困率」が重要とされる。2006年のOECD(経済協力開発機構)の報告書では,日本のジニ係数0.4983はOECD諸国の平均0.319を上回り,日本は格差の大きな社会になっていると報告されている。2008年のOECD報告(2005年のデータ)では,日本の相対的貧困率は14.9%で,メキシコ,トルコ,アメリカに次いで4位と高位であった。また,2009年には,民主党政権の下で,厚生労働省は日本の相対的貧困率について,「国民生活基礎調査」に基づいて算出すると,2007年で15.7%で,子どもの相対的貧困率は14.2%であると公表している。(筆者)

「2008年OECD報告(相対的貧困率)」
「相対的貧困率」「相対的貧困率の公表(2009年10月20日)」および「子どもがいる現役世帯の世帯員の相対的貧困率の公表(2009年11月13日)」)
9/3 経済産業省 「円高の影響に関する緊急ヒアリング結果」
~円高継続の場合,製造業の40%「生産工場や開発拠点等を海外に移転」~
・経済産業省は,8月27日に,輸出製造企業を主対象に実施した「円高の影響に関する緊急ヒアリング結果」を発表した。
・1ドル85円の円高が継続した場合,製造企業の40%が「生産工場や開発拠点等を海外に移転」,60%が「海外での生産比率を拡大」と回答し,国内産業の空洞化が更に加速する恐れがあるとされている。

→「円高・株安・デフレ」の三重苦によって,日本経済の屋台骨である輸出製造業の「日本脱出」が加速化すれば,日本経済の空洞化は決定的になることが懸念されている。
→8月30日に,菅首相が経済関係閣僚委員会を開催したので,ようやく対応の姿勢を見せたと一般に受け止められていたが,菅首相の側近中の側近である荒井内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当,経済財政政策担当)は,「今回はスピード感を重視した」と述べていた。そういえば,キャミソールの購入や実態のない事務所費を計上していた荒井さんへの「政治とカネ」の疑惑問題があったが,どういう決着だったのか思い出せない。
→9月1日の民主党代表選に向けた共同記者会見では,菅首相は「経済対策を立て直すには,1に雇用,2に雇用,3に雇用だ」とカッコ良すぎるフレーズを使われていた。菅首相が信奉しているイギリスのブレア元首相が首相就任時に,「私のやりたいことは3つ。教育,教育,教育だ」と述べていたことを思い出した。フレーズの作り方までマネるとは,どれほど好きなんだ,とあきれてしまった。パクリが気になってくると,どこまでがオリジナルなんだ,という疑いを持つようになる。
→筆者は,9月2日の民主党代表選の公開討論会をテレビで観ていて,菅首相が肝心のところで「目が泳いでいた」のを無視したとしても,菅首相の経済への鈍感さは,日本経済にとって致命的になると思った。また,仮に代表選で小沢氏が勝利すれば,その直後,衆議院選挙を戦える体勢にない野党を見越して,小沢総理は,衆院解散・総選挙に打って出る可能性が高いと感じた。(筆者)


「経済対策の基本方針」(8月30日)
9/2 厚生労働省 「2010年度発達障害者支援施策の概要」 <効能・効果として発達障害を標榜し,製造販売が承認されている医薬品>
一般名 ビモジド錠 塩酸メチルフェニデート アトモキセチン塩酸塩
販売名 オーラップ錠1mg,同3mg,オーラップ細粒1% コンサータ錠18mg,同27mg  ストラテラカプセル5mg,同10mg,同25mg
効能・効果 小児の自閉性障害,精神遅滞に伴う以下の症状:動き,情動,意欲,対人関係等にみられる異常行動,睡眠,食事,排泄,言語等に見られる病的症状,常同症等がみられる精神症状 小児期におけるADHD 小児期におけるADHD
製造販売承認日 1973年
8月8
2007年10月26日 2009年
4月22日
備考 2010年6月,アトモキセチン塩酸塩の添付文書の<効能/効果に関する使用上の注意>に,「18歳未満で本剤により薬物治療を開始した患者において,18歳以降も継続して本剤を投与する場合には,治療上の有益性と危険性を考慮して慎重に投与するとともに,定期的に本剤の有効性及び安全性を評価し,有用性が認められない場合には,投与中止を考慮し,漫然と投与しないこと。」が追加された。
                      (参考:発達障害者情報センターHP)

→発達障害者支援法が2005年に施行され,適切な教育的支援を行うことが,国と地方自治体に義務づけられたが,未だ十分な支援が行われていない状況にある。ADHD児の治療として,「心理療法」「行動療法」「薬物療法」がある。
→2010年参院選マニフェストを比較すれば,発達障害など困難を抱える子どもへの支援は共産党と社民党で,少人数学級の実現は民主党,みんなの党,公明党で,教職員定数の改善は自民党,であった。
→文部科学省の推計では,小中学校の通常学級に在籍する発達障害の児童生徒は6%であるにかかわらず,担任1人に任せきりの学校教育現場のご苦労は計り知れない。また,指導を難しくしているのは,現行の国の基準「40人学級」との指摘がある。これについては,中教審初等中等教育分科会は,2010年6月18日に,小中学校1クラスの人数の上限を,40人から引き下げる提言の骨子をまとめている。(筆者)


8/2「子ども・若者ビジョン」,6/17「2010年版 障害者白書」,5/27「2010年版 子ども・子育て白書」,1/31「子ども・子育てビジョン」の記事を参照の記事を参照

(厚生労働省)
「発達障害者支援法」
「発達障害の理解のために」(パンフレット)
「発達障害者情報センター」

(文部科学省)
「特別支援教育」

「明確な根拠をもつ」(発達障害)
9/1 厚生労働省 「2011年度厚生労働省予算概算要求」

(9月3日追記)
「元気な日本復活特別枠の概算要求」・・・1,287億円を計上
・財務省は,8月31日に,2011年度予算の概算要求を締め切った。一般会計の要求額は,96兆円台後半(過去最高)であり,成長戦略に活用する「元気な日本復活特別枠」の要求は,約3兆円(約1兆円の枠に対して)と,いずれも膨れ上がっている。
<2011年度厚生労働省予算概算要求のポイント>
・一般会計は,28兆7,954億円(省庁別で最大,前年度比4.5%増)である。子ども手当は,地方自治体や企業による財源負担を残し,1兆7,375億円(現行の月額1万3,000千円分に相当)を要求し,上乗せ分は事項要求(年末の予算編成過程で決定される)として金額を明示していない。また,「基礎年金」の国庫負担分を「1/2」に引き上げる財源約2.5兆円の財源が示されていない(2009~2010年度までは一過性の財源が確保されている)。
・特別枠では,子宮頸がん予防ワクチン接種助成150億円(1/3を国が助成)など1,287億円を計上している。
・また,新卒時に就職できなかった若者を正規雇用した企業に奨励金100万円を支給する事業に73億円,通所介護事業所(デイサービス)での宿泊を可能にする「お泊まりデイサービス」8,000床を対象にした助成費100億円が盛り込まれている。

→些細なことをコメントする。近時の高齢者所在不明問題への対策として,医療の利用情報を活用して不正受給の可能性がある年金受給者に訪問調査などを行う事業に26億円の予算を計上している。これなどは,これまでにいい加減な仕事をしてきた日本年金機構(旧社会保険庁)の責任で実施させるべきであり,自らのムダ削減等の努力から財源を捻出させろ,とするのが「民間の感覚」だと思う。
→民主党代表選という「政争」の結果によっては,小沢前幹事長の執念のこもった子ども手当の満額支給が浮上することも考えられ,現在の概算要求自体が成り立たなくなる可能性があるし,現政務三役が交代する可能性もある,と筆者は考えている。(筆者)


8/30「2010年版 厚生労働白書」),8/19「国民生活に関する世論調査」8/11「所在不明の高齢者問題における政府の対応(8月6日)」,8/6「2009年度国民年金保険料の納付率は60.0%で過去最低となった」,7/31「2011年度予算概算要求基準の基本方針」の記事を参照
8/31 警察庁 9月11日は「警察相談の日」
~緊急通報は「110番」,相談は「#9110」番~
<政府の広報>
「緊急時以外の警察への相談電話番号があるのをご存じですか?国民の皆様の安全と平穏に関する相談窓口が「#9110」なのです。
事件や事故にはなっていないけれど,不安や危険を感じていることなどを,どこに相談していいか分からず一人で悩んではいませんか。
相談者の秘密は厳守されますので,安心してご相談ください。」

「警察へのホットラインは110番だけじゃない!!~#9110をご存じですか?」(政府インターネットテレビ)

「警察総合ソウゴウ相談ソウダン電話デンワ番号(警察庁HP)

→「#9110」番では,悪質商法・ヤミ金融,虐待・DV・性犯罪,少年非行,薬物乱用,暴力団関連など,生活の安全にかかわるさまざまな悩みごと,困りごとが相談できる。「相談窓口」は,「福祉専門職」には欠かせない知識である。(筆者)

<各種相談の窓口(やまだ塾トップページから転載)>
   困ったときの相談窓口
いきる・ささえる相談窓口(都道府県別)・・総合
いのちの電話 / 心の健康相談 / 薬物・・こころ
法テラス/警察/ADR/暴力追放/多重債務・法

人権擁護相談/労働相談/行政相談・・行政
いじめ,虐待,消費者/小児救急/子育/外国人
8/30 厚生労働省 「2010年版 厚生労働白書(厚生労働省改革元年~「役所文化」を変える~)」
ポイント
本文
資料編
100人でみた日本,日本の1日,参考事例集,カルタ
→厚生労働省は,8月27日に,「2010年版厚生労働白書」を発表した。
→2010年版厚生労働白書は,「異例」と報道されているが,筆者は「異様」だと考えている。何が「異様」かというと,①巻頭言でもないのに,本文の第1部第1章で,年金記録問題や薬害肝炎問題に関して,長妻大臣の個人的なおわびと思える文章が掲載されているが,厚生労働省という組織の年次報告の形態として疑問があること,②長妻大臣の指示とされているが,第2章の章立てとして,社会保障よりインフルエンザが優先して掲載されており,報告書としての脈絡に疑問があること,③「長妻大臣氏の発案で巻末付録に厚労省の施策をPRする子ども向けの「厚生労働カルタ」を掲載。例年と違い,長妻氏の視察や会見の写真もちりばめられており,省内からは「厚労行政の年次報告という位置付けなのに,私物化している」との批判も出ている。」(8/27共同通信)こと,などである。なお,首を傾げたくなる「カルタ」については,長妻氏の公式HPに「ながつまカルタ」というカテゴリーがあり,個人的な趣味を税金で発行する「厚生労働白書」に持ち込んだということになる。
→2010年版厚生労働白書は,「大臣の思いのこもった白書である」(5/26第18回厚生労働省政策会議)と説明されている。しかし,思いを込めるのは結構だが,筆者は,組織としてトップの独りよがりや稚拙さを正すことができる側近や仕組みが不足しているのではないかと思う。(筆者)


8/23「高齢者医療制度改革中間報告」を了承したおそまつ,8/19「国民生活に関する世論調査」(2010年6月調査),8/6「2009年度国民年金保険料の納付率は60.0%で過去最低となった」,8/5「後期高齢者医療制度についてご説明します」,8/4「2010年版 労働経済の分析(労働経済白書)」,7/31「2011年度予算概算要求基準の基本方針」,6/10「長妻厚生労働大臣の再任記者会見」,5/20「2010年版 高齢社会白書」の記事を参照

「白書(社会福祉関連)」
8/27 独立行政法人科学技術振興機構・社会技術研究開発センター 児童虐待が科学的アプローチで研究されていることを知っていますか?(マンガ / 詳細 ・8月26日放送のNHK「視点・論点」で紹介された「虐待など意図的傷害予防のための情報収集技術及び活用技術」(研究開発プロジェクト)は,2008年度から始まり,児童虐待を予防するための医療機関・児童相談所などの現場で活用できる予防技術を開発するものである。

→児童虐待に関する現在のマスコミ報道の問題点は,児童相談所の対応のまずさを殊更に焦点化することにある。このために,国民は画一的な理解をせざるを得なくなっている。
→厚生労働省は,全国児童相談所長会議を,例年1回だけ開催してきたが,2010年は2回目として8月26日~27日に実施することとしている(1回目は4月9日)。厚生労働省の対応として,児童相談所の尻を叩く対症療法だけでいいのだろうかと思う。複雑で多様な発生要因をもつ児童虐待への対応には,多職種・多機関の協働と多面的なアプローチが求められている。(筆者)


7/29「2009年度児童虐待相談対応件数等及び児童虐待等要保護事例の検証結果(第6次報告)」7/77月は「青少年の非行・被害防止全国強調月間」,5/27「2010年版 子ども・子育て白書」,5/5「2010年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)の推計」,4/295月12日は「民生委員・児童委員の日」,3/25「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」3/17「2010年に行う厚生労働省の「児童虐待防止対策」について」,2/2「障害児施設の入所における措置と契約」,1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」,1/23「児童虐待防止のための親権制度研究会報告書」,2009年11/3「児童相談所全国共通ダイヤル」~11月は「児童虐待防止推進月間」~),10/17「最新 子ども虐待対応の手引き」(2009年3月),7/152008年度の児童相談所における児童虐待相談件数および出頭要求等の記事を参照

→■「明確な根拠をもつ」(虐待(児童・高齢者)/DV)の記事を参照
8/26 国立青少年教育振興機構 「子どもの体験活動の実態に関する調査研究(中間報告)」(要約 / 本文
~20-60代の男女5000人の子ども時代を調査~
<青少年調査および成人調査 中間報告のポイント>
①子どもの頃の体験が豊富な大人ほど,やる気や生きがいを持っている人が多い。
②友だちの多い子どもほど学校好き,憧れる大人のいる子どもほど働くことに意欲的である。
③小学校低学年までは友だちや動植物とのかかわり,小学校高学年から中学生までは地域や家族とのかかわりが大切である。
④年代が若くなるほど,子どもの頃の自然体験や友だちとの遊びが減ってきている
・2008年7月の「教育振興基本計画」は,今後10年間を通じて目指すべき教育の姿として,「幼児期から義務教育修了までの教育を通じて,学校,家庭,地域が一体となって,基本的な生活習慣の習得や社会性の獲得をはじめとする発達段階ごとの課題に対応しながら,すべての子どもが,自立して社会で生き、個人として豊かな人生を送ることができるよう,その基礎となる力を育てるとともに,国家及び社会の形成者として必要な基本的資質を養う」とされていたが,例によって言うばっかりで,具体化がさっぱりであった。
・そこで,「体験活動の推進」のため,子どもの頃の体験を通じて得られる資質・能力を検証し,人間形成にとってどの時期にどのような体験をすることが重要になるのかを明らかにすることを目的として,(独)国立青少年教育振興機構が調査を実施したとされている。

→筆者は,調査のうち成人調査について,「昔はよかった」の懐古趣味に基づくもので,まったくのナンセンスであると思う。ゲームボーイなど電子ゲームを,経済を優先した価値基準において,無秩序に子どもに与え,子どもの体験活動を阻害し,遊びの環境や文化を破壊し尽くしてきたのは,他ならぬ「昔はよかったと答えている20~60代」だという認識がなければならないと思う。子どもたちをゲームに夢中にさせる前に,こういうことを配慮すべきだった,ゲームに依存している子どもたちには,これからこういうことを提案したい,というような具体的な反省点や提案を引き出す調査なら意味はあると思うが,「子ども時代に自然に触れたり,友だちとよく遊んだりした大人ほど学歴が高く,収入が多い。」という大人目線からの出したい調査結果を出しても,電子ゲームにどっぷり浸かってしまった「子どもたち」を救うことにはつながらない。(筆者)

8/2「子ども・若者ビジョン」5/27「2010年版 子ども・子育て白書」,1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」の記事を参照
8/25 内閣府 「2010年度の防災週間(8/30~9/5)」
~9月1日は{防災の日」~
<「防災週間」に関する政府の広報文>
「わが国は,自然的条件から,地震や台風,豪雨,火山噴火などによる災害が発生しやすく,毎年全国各地で災害による被害が発生しています。災害の未然防止と被害の軽減を図るには,個人や家庭,地域,企業,団体等が日常的に減災のための行動と投資を息長く行う国民運動の展開が必要です。週間中は,防災に対する知識を普及・啓発するため,実際の防災行動へと結びつけるさまざまな取組を全国各地で行い,備えの充実強化を呼びかけます。

「2010年度の防災週間(8/30~9/5)の実施について」

→「防災の日」(9月1日)は,1923年9月1日の関東大震災(マグニチュード7.9・震度6,死傷者20万人以上・行方不明者4万人以上)を教訓とするため,1960年に制定された。「防災は行政がするもの」,という社会意識を変えていくことが最優先課題であると思う。地域住民間や家族間のつながりの希薄化,少子高齢化,核家族化,都市化などがキーワードとなる。(筆者)

(内閣府)
「防災情報のページ」
「災害被害を軽減する国民運動のページ」
「みんなで防災のページ」

(その他の省庁)
「生活密着情報)」(総務省消防庁)
「災害情報」(国土交通省)
「防災気象情報」(国土交通省気象庁)
8/24 警視庁 「身元不明者」をインターネットで探すことができることを知ってますか?(東京都の例)
各都道府県警察HPの「身元不明相談リスト」で閲覧できる~
<身元不明者にかかわる法律>
・「身元不明者」の法律用語は「行旅死亡人」であり,「行旅病人及行旅死亡人取扱法」に基づいて,地方自治体が,遺体を火葬し,遺骨として保存のうえ,官報の公告で掲載される。その後,各都道府県警察の「身元不明相談リスト」として掲載される段階から,「行旅死亡人」は「身元不明者」と称される。なお,身元が判明しても,身内などがいない場合には,「墓地,埋葬等に関する法律」に基づいて,行旅死亡人と同様に地方自治体が取り扱うこととされる。

→「身元不明相談リスト」の細目を見るほどに,哀れさを誘う。このような人生の最後を,誰も望んでいない。
→近時の「消えた高齢者問題」においても,社会システムや制度などの社会的な要因が追究されることが多い。しかし,経済優先の画一的な価値観のもとで,密接な地域・近隣関係を極端に拒否し,度を越した個人主義を求めてきたのは,他ならぬ国民自身であり,特に,「団塊の世代」を中心とした60歳以上の戦後生まれの負の遺産であるという認識をもって,これからの社会のありようを考えていくことが必要ではないかと思う。(筆者)

8/11
「所在不明の高齢者問題における政府の対応(8月6日)」の記事を参照
8/23 厚生労働省 「高齢者医療制度改革中間報告」を了承したおそまつ
~長妻大臣主宰の「高齢者医療制度改革会議」~

「高齢者医療制度改革会議」委員名簿
(2009年11月30日現在 敬称略)
阿部 保吉 日本高齢・退職者団体連合 事務局長
池上 直己 慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授
岩見 隆夫 政治評論家・毎日新聞客員編集委員
岩村 正彦 座長,東京大学大学院法学政治学研究科教授
岡崎 誠也 全国市長会 国民健康保険対策特別委員長 (高知市長)
小島 茂 日本労働組合総連合会 総合政策局長
鎌田 實 諏訪中央病院名誉院長
神田 真秋 全国知事会 社会文教常任委員会委員長 (愛知県知事)
見坊 和雄 全国老人クラブ連合会 相談役・理事
小林 剛 全国健康保険協会 理事長
近藤 克則 日本福祉大学社会福祉学部教授
齊藤 正憲 日本経済団体連合会 社会保障委員会医療改革部会長
対馬 忠明 健康保険組合連合会 専務理事
堂本 暁子 前千葉県知事
樋口 恵子 高齢社会をよくする女性の会 理事長
三上 裕司 日本医師会 常任理事
宮武 剛 目白大学大学院生涯福祉研究科教授
山本 文男 全国町村会 会長 (添田町長)
横尾 俊彦 全国後期高齢者医療広域連合協議会 会長 (佐賀県後期高齢者医療広域連合長、多久市長)

<2010年8月5日記事の再掲>
(中間取りまとめ案に関して)

→結論から言えば,筆者は,本中間取りまとめ案を,「改革案とは言えない」,「総じて後期高齢者制度を超えるものがほとんどない」,「議論が未消化なままで,拙速にとりまとめた案」,「財政問題を先送りし,無意味だ」とする意見に賛同している。公聴会の開催は,アリバイ作りと思えるし,その折の批判的な意見が採用されるとは到底思えない。
→高齢者医療制度改革会議は,2009年11月から,委員提出の4案を基に新制度を検討し,中間取りまとめ案は宮武案(目白大大学院教授)がベースとされている。氏はメディアに露出して解説されている。悪名高い「後期高齢者制度」は,それでも10年の検討期間があったが,今回の「新しい高齢者医療制度」の中間取りまとめ案は,わずか8か月の検討期間でちゃっちゃと作られたものであり,練度には疑問を持たざるを得ない。
→本中間取りまとめ案が,改革案の前提となる左記の6原則の③に反していることが指摘されている。筆者は,そもそも,左記の6原則の設定自体がおかしと思っている。医療制度の「持続可能性」と「給付と拠出の公平性」が担保されることを前提にして,新制度は検討されなければならないのではないかと思う。

→「福祉専門職」は,メディアからの受け売りではなく,専門職としての自身の意見を持っていなければならない。(筆者)

→筆者は,財源確保・試算が示されない場当たり的と思える今回の改革案は,結実しないと考える。最終的には,おそらく,現行の後期高齢者制度の改善・一部修正(保険料負担軽減策の恒常化など)で決着するものと予想している。
→今回の改革案は,内容の陳腐さもさることながら,時機を逸したものであり,ねじれ国会という状況に至ったことからも成立する可能性は少ないと考えている。筆者は,政権交代直後に,それまで民主党が公言していた通り,「老人保健制度」に一旦戻しておくべきだったのに,大したアイデアもないのに時間稼ぎをした長妻厚生労働大臣の大失策であったと思う。長妻厚生労働大臣には,国民の一人として,今後,これ以上無駄なことに時間をかけず,早々に野党との間で現実的な解決策を模索してほしいと思う。
→繰り返す。①現後期高齢者医療制度を導入したのは自・公政権で,後期高齢者医療制度の廃止ありきの民主党案に賛同することはあり得ない(2010年参議院選挙の自民党のマニフェストを見れば理解できる),②政権交代後に約束を違え,先送りしたため,既に現後期高齢者医療制度が定着するような状況になり,今回の改革案によって混乱を招くことになる,③財源問題を解決しようとする議論がなされない改革案の実現の可能性はほとんどない。
→蛇足である。2008年の通常国会において,2008年6月6日,民主党は,「老人保健制度」を復活させる法案を,社民党,国民新党,共産党とともに提出し,参議院で可決されている。2009年の衆議院総選挙における民主党マニフェストの「後期高齢者医療制度の廃止」については,政権交代直後の2009年9月8日に,長妻厚生労働大臣は,2013年度から新制度にすることを表明し,それまでの民主党の「一旦老健制度に戻す」とする主張が突然に転換されたといういきさつを持つ。なお,政務三役の5名のうち,医療分野全般を受け持っているのは,筑波大出身の外科医の足立政務官で,他の4名は医療関係に疎いと言われている。(筆者)


(後期高齢者医療制度に関して)

8/5「後期高齢者医療制度についてご説明します」,6/10「長妻厚生労働大臣の再任記者会見」,5/20「2010年版 高齢社会白書」の記事を参照
8/20 消費者庁 消費者庁長官が交代しても話題にもならない
~「菅政権の目玉人事」らしい~
→消費者庁は,2009年9月1日に,「消費者行政の司令塔」と銘打って発足した。しかし,最近では,消費者庁があったことすら忘れられているほど,存在感がなく,影が薄い。2010年8月11日に,2代目の新長官として,元我孫子市長で,政府行政刷新会議の事業仕分け人でもあった福嶋浩彦氏が起用されたそうだ。行政の動向を注視している筆者も昨日まで気がつかなかった。また,消費者庁担当大臣も新井大臣に代わっていたことも改めて認識した。
→失礼とは思うが,「各省庁へのリーダーシップがなく,能動的な政策立案・実施がされていない」,「独立行政法人任せの施策が多い」,「収集した情報の活用ができていない」,「2010年3月の新しい消費者基本計画は,各省庁からの施策をホチキスで止めただけで主体性に欠ける計画である」,が筆者の消費者庁に対する正直な感想である。
→首相直轄の消費者庁は,被害防止のための措置を他省庁に求める絶大な権限を持ち,企業に直接勧告し,商品回収を命じることも可能である。この1年,話題に上らなかったことが不思議である。その間に,世界中が注目したトヨタのリコール問題が起きているが,消費者庁が何をしたのか,まったく記憶にない。また,事故情報において,企業や製品名が伏せられるものが多いことも指摘されている。
→新長官は,市民運動の出身であり,「市民目線」が期待されているとのことである。市民運動家が国政に携わると,国民が歯がゆい思いをするのは菅首相で十分に経験している。
→嫌味ばかりを言って申し訳なかったが,新長官には,心より声援を送りたい。(筆者)


「消費者基本計画(2010年3月)」

「消費者庁HP」
「消費者委員会(内閣府 HP)」
8/19 内閣府 「国民生活に関する世論調査」(2010年6月調査)
<間の抜けた,政府系(JILPT)の広報文>
「●「去年と比べ生活向上」4.0%/内閣府世論調査
・内閣府が8月7日発表した「国民生活に関する世論調査」の結果によると,「去年と比べて生活が向上している」との回答は4.0%で前回調査の2.8%から1.2ポイント上昇した。「低下している」との回答は,前回調査の33.6%から26.7%に低下している。

→科学的な調査・分析・広報をすべき労働政策研究・研修機構(JILPT)は,今回の調査結果の国民に向けたアピールとして,上記のような広報をして,恥ずかしくないのだろうか。
→今回の調査結果における最重要な事柄として,「民主党に政権交代して,国民生活が向上した」と政府が言いいたいのなら,誠に失礼とは思うが,国民の一人として筆者は「ばかばかしい」と言わせてもらう。政府は,国民に対し,正しい情報を広報すべき義務を負っている。こんなことなら,自・公政権と変わりはない。例えば,政府に対する要望として,「景気対策」が69.3%で,1978年以降過去最高になっていることや,「財政健全化の推進」も25.5%で,2001年以降最高になっている調査結果などは,今後の政府のなすべき経済対策を示唆するものであった。
→2010年8月7日に,「去年と比べ生活向上 4.0%」と寝ぼけたことを広報したが,8月16日には,4月~6月期のGDPが景気回復の減速傾向を示したので,景気の回復基調と判断していた菅首相は,「外国為替の問題を含め,注意深く見守る必要がある」として,追加の経済対策を検討し始めたと報道されている。経済の知識のない筆者ですら,近時の円高に対する政府や日銀の無策ぶりや景気の腰折れ防止策のなさが心配になる。後手後手の対応では,2011年度予算編成のみならず,追加経済対策についても,ねじれ国会において立ち往生することは必至である。
→「福祉専門職」には,今回の調査結果を概観し,自分なりの分析をし,自身の意見を持っていただきたいと思う。(筆者)

8/18 厚生労働省 「2010年第2四半期(3/29~6/27)におけるエイズ発生件数」
~新規HIV感染者263件,エイズ患者129件~
「第122回エイズ動向委員会」に報告された新規HIV感染者・エイズ患者報告数等の概要>
①新規HIV感染者報告数は263件,エイズ患者報告数は129件でともに前回と比較して増加した
②自治体が実施するHIV抗体検査件数は31,691件,保健所等における相談件数は39,928件でいずれも前年同時期と比較して減少した
③総評
・検査件数が減少している中で,エイズ患者は四半期報告では過去最多の件数が報告された。より検査を受けやすい体制を強化するなど,エイズ発症以前に検査により感染を発見できるような対策を強化する必要がある
・自治体が実施するHIV抗体検査件数・保健所等における相談件数は,2008年第4四半期をピークに減少傾向にあり,現在は2006年の水準に低迷している。国民の関心が薄れていることが危惧され,普及啓発を推進する必要がある

→UNAIDS (国連エイズ合同計画)の「AIDS Epidemic Update 2009」によれば,,2008年末現在の世界のHIV感染者は3,340万人と推計されている。日本の2008年までの累計は,HIV感染者が10,552人,AIDS患者が4,899人とされている。(筆者)

→■「API-Net(エイズ予防情報ネット)」
→■「HIV検査相談マップ」

8/17 「ユニバーサルデザインフードとは」

ユニバーサルデザインに関する豆知識>
・ユニバーサルデザインという言葉や考え方は,1980年代にノースカロライナ州立大学のR.メイスによって明確にされ,7つの原則が提唱された。
①公平性,②自由度,③単純性,④分かりやすさ,⑤安全性,⑥身体的負担の軽減,⑦スペースの確保
・ユニバーサルデザインフードとは,介護食品を選ぶ際の目安となるように,「固さ」や「粘度」に応じて4段階に分類した食品と,飲み物や食べ物を食べやすいように調整して利用できる「とろみ調整」食品をいいう。介護食に限定されず,日常の食事まで使うことができる食品でもある。
・食品メーカーを中心とした企業が集まり設立された,「日本介護食品協議会」が制定した規格に適合したロゴマークが,商品やパンフレットに記載されている。現在,ユニバーサルデザインフードに登録されている食品は500種類以上となっている。
・ユニバーサルデザインフードは,ドラッグストアや介護用品を扱う店舗,スーパーマーケットなどで販売されている。

「農林水産省HPでのユニバーサルデザインフードの説明」
「日本介護食品協議会のHP」
8/16 厚生労働省 「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会中間まとめ」(概要 / 本文
~現任介護職員が介護福祉士受験資格を取得するための養成の在り方等に関する意見の要点と今後の検討の方向性~

「介護サービス従事者の研修体系のあり方に関する研究会」本委員会 委員名簿
(2006年3月最終まとめの資料より抜粋 敬称略)
堀田力 委員長,さわやか福祉財団理事長
樋口恵子 高齢社会をよくする女性の会代表
石原美智子 ㈱新生メディカル代表取締役
川越博美 聖路加看護大学教授
須永誠 東京都社会福祉協議会研修室室長
田中雅子 社団法人 日本介護福祉士会会長
栃本一三郎 上智大学総合人間科学部教授
中島健一 日本社会事業大学社会福祉学部教授
西川真規子 法政大学経営学部助教授
堀越栄子 日本女子大学家政学部教授
山田尋志 福祉法人 健光園高齢者福祉総合施設 ももやま理事
若月健一 佐久総合病院老人保健施設施設長
和田敏明 福祉法人 全国社会福祉協議会事務局長
齋藤貞夫 福祉法人 全国社会福祉協議会事務局長(2005年4月より)
<中間まとめのポイント>
①医療的ケア実施に係る教育内容等の検討,介護福祉士資格取得に至るまでの研修体系の再編と施行準備に時間を要するため,介護福祉士の実務経験ルートについては見直したうえで,その施行は2012年度から3年程度延期すべき。なお,実務経験ルートの教育課程の再編にあたっては,事業者,従事者が対応できるものとすべき。
②養成施設ルートへの国家試験受験義務付けの施行時期についても,併せて見直しを検討すべき。
・実務経験のある介護職員が介護福祉士の資格を取得する場合,法改正前は「実務3年+国家試験」が要件となっていたが,質向上を図る観点から,2007年の法改正で新たに「6か月(600時間)以上の養成課程修了」が義務づけられることになり,2012年度から施行予定であった。
・今後の資質向上が期待される一方で,介護分野は離職率が高く,地域によっては人手不足などの課題が生じていることから,人材の量的な確保に向けた見直しが必要との指摘も出ていた。このため,2010年3月から「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」(座長;駒村慶大教授)が開催され,8月13日に中間まとめが公表された。
・最終報告は2010年内を目途に取りまとめる予定とされている。

<2008年3月4日記事の再掲(抜粋)>
→介護職員の質の向上には異論はないが,人手が少なく過酷な介護現場を懸命に支えてきた・支えているワーカーに対してもう少しやさしい,温かい,穏やかな方法で展開できないものだろうか。筆者は弱い者いじめのようなやり方と受け止めている。
→さらに,実際に研修している者を知っていることから,例外はあるだろうが,研修する側(講師)の質的レベルの飛躍的な向上が喫緊の課題であると思っている。(筆者)

→「無資格,資格取得が容易なヘルパー2級で就業可能となっていることが,介護職員の能力格差を生み,専門的な職業としての確立を困難にしている」という認識の下で,「介護職員の資格要件について,将来的には介護福祉士を基本とする」という現実離れした提言をしたのは,介護福祉士会の代表者を含めた左記の有識者である。国家資格を取らせれば「介護職員の質が向上する」という奇妙な考え方について,筆者は,いずれは破綻すると予想していたが,その通りとなった。
→筆者は,ボタンの掛け違いは,最初からやり直さなければ修正できないと考えている。介護分野における人材養成や人材確保に関して,自・公政権時の,考え方,施策および有識者を継承し,小手先の手直しでは,改善の方向に向かうとは到底思えない。ついでに申し上げれば,異論があると思うが,長妻厚生労働大臣が推進しようとしている「地域包括ケア」についても同様で,筆者は,田中慶応義塾大学教授の現実離れした主張には疑問を持っている。「福祉専門職」には,2008年の「地域包括ケア研究会報告書」をしっかり読んでいただきたい。後から,「話が違うじゃないか」,は通用しない。
→とにかく,民主党政権には,介護を支える人たちに対して,敬意とやさしさが感じられる施策を望みたい。(筆者)


4/27(■「介護福祉士の資格取得方法の見直しに関する意見の募集」の結果,3/30「福祉・介護人材確保対策関係予算(2009年度補正予算および2010年度予算)」 / 「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会委員名簿」,3/9「介護職員基礎研修について(第2版)」,3/6「介護福祉士の資格取得方法の見直しに関するご意見の募集」の記事を参照

「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)」
「福祉専門職の現状(2004年~)」
8/13 労働政策研究・研修機構 イギリス政府は,2011年4月から「定年制を原則廃止」する方針を示した ・イギリスの現行制度は,従業員が65歳に達する6か月前までに通知することで,雇用主の退職強制が認めているが,政府案は,2011年4月からこの通知を禁止し,6か月の移行期間を経た2011年10月以降は,定年年齢による解雇を原則として禁止するとしている。

→法定定年制の廃止は,キャメロン新政権(第2党保守党と第3党自由民主党の連立政権)が政策協定に盛り込んだ項目の一つである。なお,政府は定年制の廃止と並んで,年金支給開始年齢の引き上げを前政権の計画より前倒しで実施する方針を固めているとされている。嫌味を言わせてもらうが,困難を伴うものはことごとく先送りする日本の連立政権とは大違いである。(筆者)

6/8イギリスのキャメロン新政権における連立政策協定,5/11イギリスは,総選挙後,すぐに新首相が決まらない事態に陥っている)の記事を参照
8/12 日本臓器移植ネットワーク
・厚生労働省
■究極の善意である臓器提供が,日本で定着できるかは「日本臓器移植ネットワーク」の手腕にかかっている

<2010年7月17日施行の改正臓器移植法のポイント>
①脳死は一般的に人の死と位置づける
②本人が拒否していない場合は,家族の同意で提供できる
③提供は15歳以上という現行の年齢制限を撤廃する
④親族への優先的に提供すると意思表示しておくことができる
<(社)日本臓器移植ネットワークの現状>
2010年5月18日に行われた,「(社 )日本臓器移植ネットワーク」の厚生労働省内事業仕分け(You Tube)
法人概要
法人改革案
論点等
その他の資料
事業仕分けの結果

→8月9日,改正臓器移植法の施行(2010年7月17日)後初めて,書面での意思表示がない状態で臓器提供のための脳死の判定が行われたことについて,日本臓器移植ネットワーク理事の小中節子医療本部長が記者会見を行った。なお,8月10日には,当該20代男性の提供臓器を5人の患者に移植する手術が無事終了した,と報道されている。
→8月9日の日本臓器移植ネットワークの記者会見における,あいまいな応答や態度に疑問が呈せられている。5月18日の事業仕分けでの説明や指摘を見ておれば,今回の会見者が記者会見を適切に実施できるかは想定できたはずである。「さらに効率的な普及啓発をすべきであり」,「新聞,テレビ等を利用した大々的なPRをするべき」,「日本の社会風土を変えるため,広報活動の抜本的強化が必要」との指摘を真摯に受け止めていれば,広報活動やメディアとの応対がきちんとできる人物を予め選任しておけたはずである。現在,最も避けなければならないのは,メディアとの対応のまずさで,国民に情報公開への不透明性を感じさせ,不信感を惹起させたり,究極の善意とも言える臓器提供への国民の関心を薄れさせたりすることである。国民の理解を求めるために,実施主体は,プレゼンテーション能力の向上に意を用いるべきであると思う。
→もちろん,興味本位の報道に終始する多くの日本のメディアの未熟さの方が問題として大きいが,今その改善を言っても仕方がない。(筆者)


2009年10/13第11回臓器移植推進国民大会(10月24日)の開催について~10月は「臓器移植普及推進月間」~),6/19「臓器移植法改正法案」(A案)が6月18日に衆議院で可決されたの記事を参照

「2009年の通常国会で成立した法律」
「臓器移植法の改正」(2010年1/15)

(参考)
「(社)日本臓器移植ネットワーク」のHP
「United Network for Organ Sharing(UNOS) 」(アメリカの移植ネットワーク)のHP
「日本移植学会」のHP
「臓器移植に関する世論調査」(2008年9月調査)
8/11 首相官邸 「所在不明の高齢者問題における政府の対応(8月6日)」
<2010年8月6日,官房長官記者会見において,所在不明の高齢者問題における政府の対応が示された>
「地域コミュニティーの在り方や,個人のプライバシー保護にも関わる問題でございまして,難しい問題を含んでおりますが,年金の給付がどのように行なわれているのか,あるいは,住民票記載事項の調査がどのように行なわれているのか等,5大臣会合,総務大臣,法務大臣,厚生労働大臣,官房長官,国家公安委員長を,開催して問題点を洗い出し,至急検討を始めたいということで,直ちに5大臣会議を開いたところでございます。
その第1回会合では,私(官房長官)から,各大臣に協力と検討依頼をいたしました。各大臣からは,発言がございまして,活発な意見交換をいたしました。で,総務大臣は「恩給受給者の状況確認をしている」と,それから厚労大臣は「対策チームを発足させて調査を開始した」と。それから厚生労働大臣のところでは,かねてから,今回と直接関係なしに,年金受給者のサンプル調査,これは別に100歳以上とか110歳以上ではないようでありますが,サンプル調査をしていると,8月の中盤にも結論が出るでありましょうということをしておりました。それから,110歳以上の方についても調査を始めたということでございました。それから問題事例について,対応策の検討する必要があるだろうと,国家公安委員長,厚労大臣からもそういう問題提起がありました。それから,給付の適正化に加えて高齢者孤立の問題もあると。それから各出席者から,事実の調査の在り方が慎重ではあるけれども,改めて事実調査をどのように行なうのか,行ない得るのかという検討が必要だということでございます。以上を踏まえて,8月の下旬にでも次の進め方を検討するということで,本日の5大臣会合は終えたところでございます。」

→8月11日,100歳以上の高齢者の所在不明は,20都道府県で計75人になった,とNHKのニュースで報道されていた。実数はそんなものではないだろうということや,地域にまったく密着していないのに「地域主権」を声高に叫んでいる行政のいい加減さを,すでに国民は感じているので,マスコミがセンセーショナルに報道しても,あまり驚かないと思う。
→「福祉専門職」であれば,マスコミの興味本位の報道に惑わされず,社会福祉上の問題点を自分なりに整理しておく必要がある。例えば,①社会福祉法における地域福祉計画の問題,②個人情報保護法と民生委員の問題,③国民年金法における年金不正受給の問題,④住民基本台帳法における住基ネットの問題⑤戸籍法における死亡届・除籍の問題,などが挙げられる。
→筆者は,大したことのない「消えた年金問題」で四苦八苦している現在の厚生労働省政務三役では,パンドラの箱から出てきてしまった「消えた高齢者問題」への対応は荷が重いのではないかと思う。(筆者)


「長妻厚生労働記者会見(8月 6日)」
8/10 観光庁

経済産業省
「観光庁の休暇分散化案」の意見募集の結果
~64%が「効果なし」,68%が「メリットなし」~
・2009年12月21日から,国土交通省観光庁は,「観光立国推進本部休暇分散化ワーキングチーム」を設置し,検討している。
・観光庁と経済産業省は,インターネットを使って,休暇取得の分散化に関して国民の意見募集をした(6月22日~7月12日)。
・春と秋の大型連休を地域ブロック別に分散させる「観光庁の休暇分散化案」について,6割超が「春・秋の大型連休ともに効果なし」,「メリットは特になし」と答えている。

→国民の多数が必要ないと言っているのに,これ以上検討する必要があるのかしら。フランスやドイツがやっているからという理由だけで説得するのはしんどいと思う。観光庁には,多数の外国人入国による日本国内の治安悪化への予防対策など,他に検討すべき重要なことがあるでしょうに。(筆者)
8/9 文部科学省 「2010年度 学校基本調査(速報)」
・調査期日 : 2010年5月1日現在
(進学率)
・大学院:13.4%(前年度比1.2%増)
・大学・短大(浪人含む):56.8%(1948年以降で過去最高)
・高校:98.0%(過去最高)
(就職率)
・大学卒:60.8%(前年度比7.6%減)
・高校卒:15.8%(前年度比2.4%減)
・短大卒:65.2%(前年度比4.7%減)
・中学卒:0.4%(過去最低)

→「就職氷河期」と盛んに報道されるが,就職後3年間で,中卒者7割,高卒者5割,大卒者4割が職を変わっているという実態に触れられることが少ない。現在,文部科学省,厚生労働省,経済産業省は,新卒者支援に取り組んではいるが,企業への協力要請を主たる対策としている(参考:「新卒者支援チーム」資料)。しかし,筆者は,学力の低さとともに,職業教育のなさや社会人・職業人になるための意識の低さへの長期的な対策にも,もっと目を向けるべきであると考えている。(筆者)
8/8 厚生労働省 第23回介護福祉士国家試験・試験委員第23回社会福祉士国家試験・試験委員および第13回社会福祉士国家試験・試験委員

2008年12月26日の「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書」より引用>

【試験委員の選定について】

①試験委員は,「社会福祉士及び介護福祉士に基づく指定試験機関及び指定登録機関に関する省令」(昭和62 年厚生省令第51号)において定められている要件に加え,学識に優れ,国家試験に対する責任感・社会的使命感等を備えている必要がある。
②今後とも,こうした資質を備えた試験委員を委嘱できるよう,候補者の情報収集,試験委員の選定方法等について検討していく必要がある。
→介護福祉士および社会福祉士国家試験委員の選定方法等については,左記の報告書において検討の必要性が明記されている。精神保健福祉士もこれに倣うものと考えられる。筆者は,2010年度3福祉士国家試験の試験委員の選任について,検討の余地が十分にあると思う。特に,精神保健福祉士国家試験専門科目の問題の練度は,試験委員の選定と無縁ではないと思う。
→2010年度と2009年度の試験委員の比較を,以下に示す。
第23回介護福祉士国家試験委員 / 第23回社会福祉士国家試験委員 /
第13回精神保健福祉士国家試験委員
 (筆者)

7/22「介護福祉士・社会福祉士を目指す人の学費サポート制度」(介護福祉士等修学資金貸付事業),7/21「精神保健福祉士の新養成カリキュラム案等への意見募集」,7/12「2010年度(第23回)介護福祉士国家試験の施行及び介護福祉士国家試験委員について」の記事を参照
8/6 厚生労働省 「2009年度国民年金保険料の納付率は60.0%で過去最低となった」

「日本年金機構」になって変わること

-気持ちを新たに取り組み,更なる改善に努めます-
・本部が霞ヶ関から高井戸へ移ります。
・お客様にご案内する通知書等の名義が,社会保険庁から厚生労働省又は日本年金機構に変わります。
「お客様へのお約束10か条」を掲げ,お客様の立場に立った効率的なサービスを提供します。
・理事長へのメール・手紙などによって,国民の皆さまからお寄せいただくご意見・アイデアを業務運営に積極的に反映します。
・能力・実績本位の人事方針を確立し,組織風土を変えます。
・組織改革・意識改革・業務改革を断行します。
<2010年1月4日記事の再掲>
悪事のやり逃げを許して,2010年1月1日に「日本年金機構」を発足させた

・2007年の国会で,社会保険庁を解体し,新組織を作ることが決定された。2008年10月に,社会保険庁から政管健保の運営を「全国健康保険協会(協会けんぽ)」という非公務員型の公法人に分離し,2010年1月に,社会保険庁を廃止して「日本年金機構」という非公務員型の特殊法人を設立したことにより,あの悪名高い「社会保険庁」は解体した。312ある「社会保険事務所」は「年金事務所」となった。

→民主党は,野党時代に,「年金記録問題がうやむやになる」として,社会保険庁と国税庁を統合して「歳入庁」を作ることを掲げて,「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行を凍結すると公言していた。しかし,政権交代直後に方針を転換し,2009年10月8日には長妻厚生労働大臣は,2010年1月に「日本年金機構」に移行することを発表した。その後,「ミスター年金」と言われて豪語していた肝心の年金記録問題の年金照合も遅れ,国民年金の納付率が2008年度には過去最低の62.1%となっていても,2012年3月までの日本年金機構中期目標(2009年12月社会保障審議会日本年金機構評価部会に諮問・了承)に具体的数値を設定しなかった。分限問題の処理の仕方にも不整合がある。2010年度の「年金手帳」の交付も見送られた。「歳入庁の創設」だけではなく,長妻大臣は,「障害者自立支援法の廃止」も「後期高齢者医療制度の廃止」も,肝心のことは先送りにしている。現状確認のために記事にした。(筆者)
「日本年金機構について」(2009年12月9日)

→納付率が過去最低となった要因の一つとして,「年金記録問題への対応を最優先としたため,保険料の徴収対策が不十分だった」との厚生労働省のコメントが報道されている。
→現行の年金制度のままであれば,将来,無年金者・低年金者の増加や生活保護受給者の増加が想定されるが,年金給付額が減少するため,年金財政への影響が少ないことから,日本年金機構は徴収を一生懸命やらないのかなあ。(筆者)


7/20「年金の加入期間(カラ期間)の説明」,7/6「長妻大臣と語る『みんなの年金』意見交換会」の記事を参照
8/5 厚生労働省 「後期高齢者医療制度についてご説明します」

長妻厚生労働大臣が主導する「高齢者医療制度改革会議」の検討に当たっての6原則(2009年11月30日第1回会議資料)
①後期高齢者医療制度は廃止する
②マニフェストで掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として、高齢者のための新たな制度を構築する
③後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする
④市町村国保などの負担増に十分配慮する
⑤高齢者の保険料が急に増加したり、不公平なものにならないようにする
⑥市町村国保の広域化につながる見直しを行う

・厚生労働省は,7月23日,2013年度からスタートさせる新しい高齢者医療制度について検討している「高齢者医療制度改革会議」(座長;岩村東大法学政治学教授)に「中間取りまとめ案」を示した。
・公聴会が,2010年10月まで全国6会場で開催される予定である。
・高齢者医療制度改革会議は,8月中に中間とりまとめをし,2010年末に最終的なとりまとめを行い,2011年の通常国会に法案を提出し,2013年4月からの新制度の施行をめざす予定とされている。

→結論から言えば,筆者は,本中間取りまとめ案を,「改革案とは言えない」,「総じて後期高齢者制度を超えるものがほとんどない」,「議論が未消化なままで,拙速にとりまとめた案」,「財政問題を先送りし,無意味だ」とする意見に賛同している。公聴会の開催は,アリバイ作りと思えるし,その折の批判的な意見が採用されるとは到底思えない。
→高齢者医療制度改革会議は,2009年11月から,委員提出の4案を基に新制度を検討し,中間取りまとめ案は宮武案(目白大大学院教授)がベースとされている。氏はメディアに露出して解説されている。悪名高い「後期高齢者制度」は,それでも10年の検討期間があったが,今回の「新しい高齢者医療制度」の中間取りまとめ案は,わずか8か月の検討期間でちゃっちゃと作られたものであり,練度には疑問を持たざるを得ない。
→本中間取りまとめ案が,改革案の前提となる左記の6原則の③に反していることが指摘されている。筆者は,そもそも,左記の6原則の設定自体がおかしと思っている。医療制度の「持続可能性」と「給付と拠出の公平性」が担保されることを前提にして,新制度は検討されなければならないのではないかと思う。
→「福祉専門職」は,メディアからの受け売りではなく,専門職としての自身の意見を持っていなければならない。(筆者)
8/4 厚生労働省 「2010年版 労働経済の分析(労働経済白書)」(概要 / 本文

(ポスト工業化と日本型雇用システムの新たな価値)-本文P.203より抜粋-
現代の産業社会は,工業化過程を通じて達成された高度経済成長を経た後,サービス化,情報化を伴いながら進展する「ポスト工業化」の時代を進んでいる。規格化された商品を大量に生産し,流通させ,消費することが「豊か」であると感じられた時代が過ぎ,一人ひとりのニーズに応えることのできる,柔軟で質の高いサービスを提供することが,多くの企業においても追求されるようになってきた。組織の中に多様で優れた人材を育て,蓄積していくことは,企業にとって,ますます重要性を高めていると言えよう。
現代の技術,産業の展開によって,今後,どのような仕事が増えていくかについては,たとえば,専門的な知識に基づいて教育・指導・相談などを行う仕事が増加すると見込まれており,中小企業では,専門的な知識に基づいて情報処理を行う仕事,調査研究や研究開発を行う仕事なども増えると見込まれている。ポスト工業化の動きは,製品を製造するための技術・技能の上に,さらに専門性を磨き,しかも,柔軟にサービスや情報を提供する能力を労働者に求めるようになると考えられる。これからの社会は,規格化された商品を流通市場に画一的に供給する社会とは異なる。それぞれの職場では,高い技術・技能水準,幅広い専門的知識,相互の協力や信頼感を醸成するコミュニケーション能力など,高度で多様な職業能力が不可欠なものとなっていくだろう。
人的能力の形成は一朝一夕にはできない。企業の人事方針も「即戦力志向」から「じっくり育成型」へシフトしてきており,能力評価システムについても,長期雇用慣行を基本に,個々の労働者の取組を適正に評価できるよう設計することが目指されている。日本型雇用システムには,「知識や技能の継承がしやすい」,「従業員の長期的な人材育成がしやすい」,「組織的な一体感を維持しやすい」などのメリットがあるが,これらは,ポスト工業社会の人事・労務施策として有効なものであると言えるだろう。ポスト工業社会が,それぞれの国の歴史や文化の強みを活かし,そうした取組の積み重ねが,世界に存在する様々な文化の価値を高め,相互に尊重し合うことにつながっていくことが期待される。
<厚生労働省の説明>
・「2010年版労働経済の分析」(通称:「労働経済白書」)では,日本経済の現状や課題を踏まえ,経済,雇用情勢の短期的な分析と「産業社会の変化と雇用・賃金の動向」について長期的,歴史的に分析している。
・白書のポイント:
①日本経済は輸出と生産が持ち直し,個人消費についても経済対策の効果があった。しかし,外需と経済対策に依存した経済の拡大は,自律性を備えた景気回復とは言い難く,今後は,所得や雇用の増加,国内消費の拡大などを中心に自律的な経済循環を創り出すことが課題である。
②白書は3章構成である。第1章「労働経済の推移と特徴」では,景気と雇用情勢について分析,第2章「産業社会の変化と勤労者生活」では,競争力を備えた産業構造と労働生産性向上の関係を分析,第3章「雇用・賃金の動向と勤労者生活」では,非正規雇用の増加と賃金格差の拡大について分析されている。
③分析のポイントとしては,(1)人員削減を通じて労働生産性を引き上げようとする動きが強まり,生産力の持続的な発展に課題が生じていること,(2)人件費コストの抑制傾向により,技能蓄積の乏しい不安定就業者が増加し,平均賃金の低下や格差の拡大がみられること,などである。
④これらの分析をもとに,今後の着実な経済成長に向け,すそ野広く,より多くの人々に支えられた労働生産性の上昇を目指すとともに,成長の成果を適切に分配していくことが課題とされている。

本白書の記述以後を含めた完全失業率は,次の通りとなる。2009年7月には5.6%と過去最悪となり,以後緩やかに改善し,2010年1,2月には4.9%に低下したものの,3月以降4か月連続で増加し,2010年6月には5.3%(労働力調査速報)と厳しい状況である。総務省の判断として,「失業率が高い水準で推移し,失業者数も依然多く,油断ができない状況が続いている」とのコメントが報道されている。
→本白書の特徴の一つは,非正規雇用の増加と勤労者間の所得格差を取り上げたことであるが,その具体策が十分に説明されていない,というのが一般的な見解だと思う。
→また,今後の労働・雇用政策への展望が不十分であるが,筆者が,なるほどと思った記述があったので,抜粋して左記に掲載した。(筆者)


「白書(福祉分野)」

(参考)
「今後の産業動向と雇用のあり方に関する調査結果」(2010年6月14日)
8/3 内閣府 ■『音声広報CD「明日への声」』をご存知ですか? ・2007年9月から始まった,音声広報CD「明日への声」は,2010年7月までに14号が発行されている。点字図書館等へも配布されている。
・2009年度以降の発行は,以下の通りである。

発行Vol. 発行月
第14号 2010年7月
第13号 2010年5月
第12号 2010年3月
第11号 2009年12月
第10号 2009年9月
第9号 2009年7月

→政府広報の一つである。「福祉専門職」として,知っていなければならないことは多い。(筆者)
8/2 内閣府 「子ども・若者ビジョン」(概要 / 本文
~旧青少年育成施策大綱に代わるもの~

<「理念」の新旧比較>
「青少年育成施策大綱」 「子ども・若者ビジョン」
①青少年の立場を第一に考える
②社会的な自立と他者との共生を目指して、青少年の健やかな成長を支援
③青少年一人ひとりの状況に応じ
た支援を社会総がかりで実施
   ↓
青少年の健やかな成長を保障する社会の実現
①子ども・若者の最善の利益を尊重
②子ども・若者は、大人と共に生きるパートナー
③自己を確立し社会の能動的形成者となるための支援
④一人一人の状況に応じた総合的な支援を、社会全体で重層的に実施
⑤大人社会のあり方の見直し
・「子ども・若者育成支援推進本部」は,7月23日に,第2回会合を開き,今後の子ども・若者育成支援施策に関する基本的な方針を定める「子ども・若者ビジョン」を決定した。「子ども・若者ビジョン」は,2009年制定(2010年4月施行)の「子ども・若者育成支援推進法」第8条第1項の規定に基づき,子ども・若者育成支援施策の推進を図るための大綱であり,自・公政権時における2008年12月に策定された「青少年育成施策大綱」に代わるものである。
・施策の基本的方向は,①子ども手当,キャリア教育など,すべての子ども・若者の健やかな成長を支援,②ニート,障害者など,困難を有する子ども・若者やその家族を支援,③家庭,学校,地域など,社会全体で支えるための環境整備,に区分して記述されている。
・併せて,「「子ども・若者ビジョン」における新たな重点施策」 が明らかにされている。

<2009年7月6日記事の再掲>
「2009年版 青少年の現状と施策(青少年白書)」(概要 / 本文)に関して


→今回の青少年白書は,2009年7月3日に,小渕少子化担当大臣から,「ニート」をクローズアップさせて発表された。これは,2009年7月1日に成立したニート対策としての「子ども・若者育成支援推進法」(通称:ニート支援法)をアピールするためであると考えられる。
→「ニート支援法」については,法文等が明らかになった段階(政府提出法案名は「青少年総合対策推進法」であったが,民主党の意見を大幅に取り入れて「子ども・若者育成支援推進法」と名称変更され,内容も変更されている)で記事にする予定である。(筆者)
第171回通常国会で成立した法律

→これまでの「健全育成」から,「①「育成の対象ではなく,社会を構成する重要な主体として尊重」,②「子ども・若者を中心に据え,地域ネットワークの中での成長を支援」,③「すべての子ども・若者と,困難を抱えている子ども・若者の両方を支援」,④「今を生きる子ども・若者を支えるとともに,将来をよりよく生きるための成長も支援」,⑤「大人がその役割の重要性を認識し,積極的によりよい社会づくりを推進」」への考え方の転換は,自・公政権であったならば成し得なかったものだと思う。今後,重要なのは,旧態依然の考え方で凝り固まってしまっている地方の青少年行政関係者の意識改革である。これまでの通り一遍の「徹底の仕方」では,有名無実になると思われる。(筆者)

5/27「2010年版 子ども・子育て白書」1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」の記事を参照
7/31 首相官邸 「2011年度予算概算要求基準の基本方針」 ・政府は,7月27日に,2011年度予算の概算要求基準を臨時閣議で決定した。
・一般会計予算のうち,国債費などを除く歳出上限を2010年度並みの約71兆円に抑制し,新規国債発行額も2010年度の44兆円を上限とする。高齢化に伴う社会保障費の自然増1.25兆円は認め,新成長戦略やマニフェスト関連の事業に予算を重点配分するため,「元気な日本復活特別枠」を「1兆円を相当程度に超えるもの」として設定した。特別枠の配分は「政策コンテスト」を実施するとのことである。
・一方,各省庁の要求額は,社会保障費,地方交付税交付金等を除いて2010年度当初予算より10%削減するよう求めている。

→各省庁はこの基準に沿って,8月末に財務省に予算を要求することになる。12月末に財務省は原案をまとめ,閣議決定を経て政府案が作成される。2011年1月の通常国会に税制改革案とともに予算案が提出され,衆議院与党の過半数の賛成により,2011年4月までに2011年度の予算が成立する。
→予算は,参議院で否決されても,衆議院の議決が優先する。しかし,関連法案は,両院での可決が必要であり,さらに衆議院で再議決する場合には,2/3以上が必要である。予算案が通っても,関連法案が通らなければ,予算を執行できないことになる。衆院与党2/3割れ,参院与党1/2割れとなった,いわゆる「ねじれ国会」の国会運営の困難さは,想像を絶するというのが大方の見方である。
→しかし,菅首相は,7月30日の記者会見で,「ねじれ国会」の対応に関しては,「与野党が合意する政策は,困難を伴う政策であっても実行が可能になると前向きに受け止めたい」と大物ぶりを示された。丁寧に野党側の理解を得るという姿勢は評価できる。臨時国会(7/30~8/6)での予算委員会の論戦から,覚悟の度合いと今後の政権運営の難易度が想定できると思う。(筆者)

7/13衆院与党2/3割れ,参院与党1/2割れとなり,現政権での正常な国会運営は望めないと思う)の記事を参照
7/30 厚生労働省 「2009年度介護給付費実態調査結果の概要」 ・介護(予防)サービスの利用者は468万7,100人(前年度比17万600人増)で,過去最多となった。内訳は,介護サービスが379万700人(同12万400人増),介護予防サービスが112万6,900人(同2万7200人増,重複を含む)であった。
・利用者1人当たりの費用は,月額15万7,300円(2010年4月審査分,前年同月比6,100円増)であった。都道府県別では,介護サービスは沖縄の20万9,500円が最高くで,高知の20万9,000円,佐賀の20万5,500円の順である。また,介護予防サービスは,福井の4万3,600円が最高で,沖縄の4万2,800円,佐賀の4万2700円の順である。

→社会保障審議会介護保険部会の資料に,今後の介護保険を取り巻く状況として,気の遠くなるような予測が掲載されている。①2055年には,75以上高齢者は全人口が26.5%となる,②2045年には,65歳以上の認知症高齢者が586万人(65歳以上人口の16.1%)となる,③2025年には,世帯主が65歳以上の単独世帯と夫婦のみの世帯が1,267万世帯(65歳以上の高齢者世帯の66.6%)となる,④都市部の高齢化が急速に進む(埼玉県を例にすれば,2015年には2005年の155%となる),である。さらに,2010年度の介護費用7.9兆円は,2025年には19兆円(現状維持のケース)になるとしている。
→現在の介護保険制度の設計は,公費45%,保険料45%,自己負担10%で行われている。幅はあるが,公費を増大させなければならないという点においては,各政党で一致していると考えられている。介護保険制度を新自由主義政策の産物として廃止し,現行の保育制度のようにすべきという見解もあるが,介護保険制度を維持・存続させるために,各層から知恵を出し合うことが必要と思われる。
→ところで,介護保険制度に関して,2010年6月に「介護ビジョン」を作成するとか,あるいは医療・介護の国民会議を開催するとか,豪快なことを長妻厚生労働大臣は胸を張っておっしゃっていたけれど,あれはどうなったのだろうか。老婆心ながら,筆者は,9月以降,先送りにされた諸々の事柄を残したまま,長妻大臣が交代するのではないかと心配している。(筆者)


7/8長妻厚生労働大臣は,「介護情報公表システム」の介護事業所の調査料負担を廃止する方針を示した,6/23「厚生労働分野における新成長戦略について」,6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」,6/18「民主党のマニフェスト2010」,5/20「2010年版 高齢社会白書」,5/18「介護保険制度に関する国民からの意見募集の結果」5/17特別養護老人ホームへの詰め込み策を進めようとしていると思える,4/20『ただいま それぞれの居場所』が公開されている:ドキュメンタリー映画,4/7福祉専門職として,「走りながら考える」はずが,10年間走るだけだったと言われている介護保険制度の「改正すべき項目」が挙げられますか?)2/25「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」の記事を参照の記事を参照
7/29 厚生労働省 「2009年度児童虐待相談対応件数等及び児童虐待等要保護事例の検証結果(第6次報告)」 ・2009年度中の児童虐待相談件数は,過去最多の44,210件であった。なお,厚生労働省が調査を開始した1990年度の虐待相談件数は1,101件である。

<3月25日記事の再掲>
→最近,生後2か月の長女を揺さぶって脳に損傷を与えて殺害したとして24歳の母親が殺人容疑で大阪府警に逮捕された事件において,背景にある出産直後の母親の孤独感と疎外感について,「ひとごととは思えない」という母親の現状が新聞報道されていた。
→3月31日に「第1回社会保障審議会児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会」が開催される。
→児童虐待が社会のひずみの現れだということも,誰もが伸び伸びと子育てできる環境作りが必要なことも,地域社会が一体となってすすめなければならないことも,みんな頭では分かっている。行政が立派な窓口を設置しても,行政が会議を開いて立派な課題を設定しても,何とかなると思って立派な法律や指針を作っても,児童虐待は食い止められない。(筆者)

→日本では,アメリカの社会現象がおおよそ20年遅れで発現すると言われている。アメリカは1974年に「児童虐待防止対策法」を制定し,日本は2000年に「児童虐待防止法」を制定した。1980年代前後の日本では,校内暴力,家庭内暴力,いじめ,不登校などに目を奪われていたが,その間に児童虐待は深刻さを増し,平成年代になってようやく児童虐待に対する取り組みが始められたという経緯をもつ。児童虐待相談件数が「4万件」とマスコミは大騒ぎしているが,気の遠くなるような水面下に隠されている児童虐待件数に目を向けるべきである。なんとなれば,アメリカの1996年の児童虐待通報件数は「310万件」だと報告されているからである。悲しいことは,日本の行政や有識者が,感性豊かな日本の風土や日本人の特性を考慮せずに,「虐待大国」といわれているアメリカの愚かな児童虐待施策に疑いを持たずに追随しようとしていることである。アメリカの児童虐待施策の特徴は,担当行政の人員が多い,通報件数が多い,司法の介入の度合いが強い,等だと認識している。いくら行政職員を増やしても,司法手続きを整備し,罰則を強化しても,虐待件数が増え続けるアメリカを,日本は反面教師として学ぶべきである。異論があることを承知で申し上げるが,筆者は,アメリカの児童虐待対策に関して,「自助自立」一辺倒の考え方に問題があると考えている。(筆者)

7/77月は「青少年の非行・被害防止全国強調月間」,5/27「2010年版 子ども・子育て白書」,5/5「2010年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)の推計」,4/295月12日は「民生委員・児童委員の日」,3/25「学校及び保育所から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供に関する指針」3/17「2010年に行う厚生労働省の「児童虐待防止対策」について」,2/2「障害児施設の入所における措置と契約」,1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」,1/23「児童虐待防止のための親権制度研究会報告書」,2009年11/3「児童相談所全国共通ダイヤル」~11月は「児童虐待防止推進月間」~),10/17「最新 子ども虐待対応の手引き」(2009年3月),7/152008年度の児童相談所における児童虐待相談件数および出頭要求等の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(虐待(児童・高齢者)/DV)
7/28 内閣府 「わが家の熱中症予防~ご存じですか?熱中症予防対策~」

「熱中症」の応急措置>
(環境省の「熱中症環境保健マニュアル」より)

死に直面した緊急事態であることをまず認識する。
・重症の場合は救急車を呼び,現場ですぐに体を冷やし始める


→体を冷やす方法として,水を口に含んで吹きかけるのが効果的だと言われている。顔にブワーと吹きかけたときに,「汚いっ」と本人が文句を言ったら,「重症ではない」ということになる。
<その他の熱中症に関する情報源>
環境省は,「熱中症予防情報サイト」を開設している。
日本気象協会は,熱中症予防の指標を公表している。
京都電子工業は,「熱中症予防情報サイト」(日本気象協会提供による情報サイト)を開設している
NHKニュースは,「気象・災害情報」を公表し,熱中症に注意喚起している。
環境省厚生労働省は,熱中症に関するマニュアルを公開している。

総務省消防庁は,「熱中症情報」を公表している。2010年7月19日~7月25日までの1週間に熱中症で病院に搬送されたのは全国で9,436人で,搬送直後に病院で死亡が確認されたのは57人で,過去に類のない数字であった,としている。
(参考)
「2010年6月の熱中症による救急搬送状況」
国土交通省気象庁は,「天気予報」や「気象情報」で熱中症などの健康被害を注意喚起している。2010年7月19日~7月25日までの日本列島は,強い太平洋高気圧に覆われ,記録的猛暑となり,「猛暑日」(35℃以上)を記録したのは7月24日で152か所であった,としている。

→上記2010年7月19日~7月25日までの1週間の熱中症による死亡者は57人であったが,入院後の死亡を含めると,実際の死者は数倍に上る可能性があると報道されている。生命にかかわる熱中症に関して,国民に効果的な情報提供をするためには,情報提供の仕方に工夫が必要だと思われる。(筆者)

6/16「2009年の職場における熱中症による死亡災害発生状況」,5/10「AEDの点検をしていますか?」の記事を参照
7/27 厚生労働省 「2009年簡易生命表の概況」

<参考>
2009年人口動態統計の年間推計
①出生数 減少(106万9000人,過去最少の2005年の106万2530人に次ぐ)
②死亡数 増加(114万4000人,過去最多)
③自然増減数 減少(-7万5000人,3年連続で過去最大)
④婚姻件数 減少(71万4000組,2年ぶりの減少)
⑤離婚件数 増加(25万3000組,7年ぶりの増加)
⑥死因順位 1位:悪性新生物
2位:心疾患
3位:脳血管疾患
⑦合計特殊出生率 1.37程度(厚生労働省の見込み)
<2009年簡易生命表のポイント>
①男性の平均寿命は79.59年(過去最高)であるが,世界第5位である。(第1位はカタール,第2位は香港,第3位アイスランド)
②女性の平均寿命は86.44年 (過去最高)であるが,世界第1位である。(第2位は香港,第3位はフランス)

→政府は,「男性83.67歳,女性90.34歳まで生きられる」という見通しを立てている。しかし,りっぱな見通しや分析が,どうして効果的な対応・対策に結びつかないのだろうかと不思議に思う。(筆者)

5/11「2009年度国民生活選好度調査結果」4/19「人口推計(2009年10月1日現在)」,1/2「2009年人口動態統計の年間推計」の記事を参照
7/26 首相官邸 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

自己負担軽減の要望がある疾患の例
疾病名 治療法等 1月当たり総医療費 患者数(2008年患者調査)
①慢性骨髄性白血病(CML) ・グリベック,タシグナ,スプリセルの投与(慢性期)
・なお,移行期までは骨髄移植,急性転化期は急性白血病の治療
・慢性期の場合:グリベック=約33万円,タシグナ=約55万年,スプリセル=約55万円
・高額療養費の対象となるが,治療が続くため月々の負担が重い
・約12,000人
②消化管間質腫瘍(GIST) ・グリベック,スーテントの投与 ・グリベック=約33万円,スーテント=約48~96万円
・高額療養費の対象となるが,治療が続くため月々の負担が重い
・不明
③関節リウマチ ・レミケード等の生物学的製剤の投与 ・約18万円(体重60kgの場合,2か月に1回投与)
・年齢・所得区分によっては高額療養費の支給水準にまで窓口負担が達しない
・約336,000人
④慢性閉塞性肺疾患(COPD) ・抗コリン薬吸入,在宅酸素療法など ・在宅酸素療法の場合,約10万円 ・約224,000人
・1973年にスタートした高額療養費制度は,公的医療保険における制度の一つで,医療機関や薬局の窓口で支払った額が,暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に,その超えた金額を支給する制度である。年齢や所得(低所得者,一般所得者,高所得者)にに応じて,本人が支払う医療費の上限が定められ,いくつかの条件を満たすことにより,さらに負担を軽減する仕組みも設けられている。ただし,差額ベッド代や,食事療養費・入院時生活療養費などの自己負担額は対象とならない。
・7月14日の第38回社会保障審議会医療保険部会において,左記のがんや難病など長期にわたり高額の医療費を自己負担する患者らの負担軽減の要望等を受け,高額療養費の上限額の引き下げを焦点として,高額療養費制度を見直す議論が始められた。2010年度中に結論を出す予定とされている。


→高額療養費制度は,自己申請で,申請しなければ支給されない。各健康保険とも上限額を超えた人には通知しているとのことであるが,徹底されていないという現実がある。なお,支給を受けることができる権利の有効期間は2年間(消滅時効)である。
→医学の進歩により,慢性骨髄性白血病(CML)のグリベックのような画期的な新薬ができても,不十分な社会制度(高額療養費制度)が一向に改善されないため,その恩恵が患者へ還元されず,経済的な事情で治療を続けることができない患者が多く存在するという現実がある。
→筆者は,自・公政権であったならば,上記のような「高額療養費制度の見直し」の検討はなされなかったと思う。特に,グリベックの患者負担問題については,自・公政権,厚生労働省官僚や族議員だけではなく,日本血液学学会および日本造血細胞移植学会のりっぱな先生方も,無関心で,無視していたという事実がある。
→慢性骨髄性白血病(CML)に関する補足説明である。CMLは,年間の発症者数は1,200人程度で,国内の患者数は約12,000人という稀な疾患といわれる。グリベックが開発されるまでは,10年程度で全員が死亡すると言われ,骨髄移植やインターフェロンを用いた延命が治療法であった。オレゴン健康科学大学のブライアン・ドラッカー博士(将来のノーベル生理医学賞候補と言われている)の研究成果をベースにして,2001年5月にアメリカFDA,2001年11月に日本でCMLの治療薬として承認された。これにより,CMLの治療法は激変し,グリベック投与患者の7年生存率は86%(2008年の米国血液学会での発表;インターフェロンαの7年生存率は36%であった)となっている。「分子標的治療薬」であるグリベックは,途中で止めることのできない命綱とも言うべき薬であり,同時に患者への大きな負担は,一生続くと言っても過言ではない。東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門客員准教授である上昌広氏は,「イギリス,フランス,イタリアの3ヶ国は,グリベックの費用は公的保険が完全にカバーしているため,患者負担はない。ちなみに韓国も無料。ドイツでは,処方の10%が患者負担だが,上限額が決まっているため,年間負担額は最大で$270だった。欧州では,風邪薬などでは個人負担を求めても,命に関わる薬剤については,国家が保証している。「成熟した制度」だと感じる」と述べられていた。国家のなすべきことの基本を指摘されているように思う。(筆者)


5/24「患者必携~がんになったら手にとるガイド~」(試作版),4/14「脳脊髄液減少症の研究について」,1/13献血-「小児がんとの戦いの記録」の記事を参照
7/23 首相官邸 「第1回パーソナル・サポート・サービス検討委員会」

・政府は,2010年7月21日に,失業や貧困などで生活に困っている者への支援策を検討するため,「第1回パーソナル・サポート・サービス検討委員会」を開催した。菅首相は,「去年から年末年始の生活相談などに取り組んできたが,あくまでも緊急の対応だったので,制度の縦割りを越えて必要な支援を行っていきたい」と述べた。行政手続きや福祉に関する専門知識を持つ「パーソナル・サポーター」を養成し,相談者に応じて担当者を決め,継続的に支援する体制を整備することを確認したとされる。また,2010年秋からは横浜市や福岡市などで試験的に実施し,2012年度から本格導入を目指すと報道されている。

→「パーソナル・サポート・サービス」は,菅首相が,6月11日の所信表明演説で実現を明言した施策である。案の定,イギリス好きの菅首相らしく,「イギリスのパーソナル・コーディネーター制度」が参考にされているとのことである。
→それにしても,「パーソナル・サポーター」として,「専門知識をもつ友人」とイメージ的に表現されているが,国家資格である「社会福祉士」との関連には,まったく触れられていないのが不思議である。これに対して,当該職能団体や関係者は,何のコメントもしなくていいのだろうか。(筆者)


6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」,6/13「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」の記事を参照

「パーソナル・サポート(個別支援)・サービスについて」(2010年5月11日,第1回緊急雇用対策本部セーフティ・ネットワーク実現チーム資料)

7/22 厚生労働省 「介護福祉士・社会福祉士を目指す人の学費サポート制度」(介護福祉士等修学資金貸付事業)
<厚生労働省の2010年度事業の前提となる説明>
「福祉・介護人材の確保については,昨今の厳しい経済情勢による他産業における雇用情勢の悪化を受け,その動向に一定の改善が見られるものの,依然として労働環境の厳しさ等から,
①福祉・介護の現場では,従事者の離職率が高く,また,地域や事業所よっては人材確保が困難な状況にある(特に都市部においては,依然として人手不足感が強い)
②介護福祉士・社会福祉士の養成施設では,著しい定員割れが生じている(定員充足率55.1%(2009年度))
③介護福祉士等の資格を有しながら,この分野で働いていない者が多数存在している(全国で約20万人)
などの様々な課題を抱えている。
このような状況の中質の高い福祉・介護人材の安定的確保は喫緊の課題であり,2007年8月に見直された「福祉人材確保指針」を踏まえつつ,福祉・介護人材確保のため,総合的な取組を進めているところである。
※介護職員の将来推計124万人(2007年度)→ 212万人~255万人(2025年度)」


<2010年度の福祉・介護人材確保対策>
・事業一覧(社会・援護局関係主管課長会議資料P.9参照のこと)

→現在の福祉・介護人材確保対策について,効果的であるかどうかの議論はあるが,事業内容を知らなければ話にならない。
→また,2011年度予算案のみならず,2011年度末で終了する介護職員処遇改善交付金や2012年度の診療・介護報酬同時改定に向けた財源確保についても,ねじれ国会を受けて,政争の愚(?)にされる恐れがあり,「福祉専門職」としては,動向を注視しておく必要がある。(筆者)
7/21 厚生労働省 「精神保健福祉士の新養成カリキュラム案等への意見募集」
~2010年7月12日- 8月10日~

「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会ワーキングチーム」構成員(敬称略)
青木聖久 日本福祉大学福祉経営学部准教授
岩崎香 早稲田大学人間科学部准教授
大塚淳子 社団法人日本精神保健福祉士協会常務理事
潮谷有二 長崎純心大学人文学部教授
白石弘巳 東洋大学ライフデザイン学部教授
住友雄資 高知女子大学教務部教授
中村和彦 北星学園大学社会福祉学部准教授
林道彦 日本精神科病院協会理事
半澤節子 自治医科大学看護学部教授
細谷要一 旭川荘厚生専門学院精神保健福祉科科長
森田久美子 立正大学社会福祉学部准教授
・2007年12月より,精神保健福祉士の高い専門性を担保できるような養成の在り方への見直しに向けて,「今後の精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催された。その後,2009年の通常国会で改正障害者自立支援法案が廃案になるとともに,「改正精神保健福祉士法案」も廃案となっている。2009年11月17日には,1年ぶりに「第7回精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」が開催され,「精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」が,2010年3月29日に取りまとめられた。それを受けた,今回の意見募集である。

<「福祉行政の最新情報」2009年12月14日記事の再掲>
→怒り心頭に発する。精神保健福祉士法と実態の乖離の修正を,一体いつまで放置しておくつもりなのだろうか。放置しておいても困らない国家資格なのだろうか。また,新カリキュラムの導入の時期を議論しない検討会など無意味であると思う。さらには,申し上げにくいけれど,筆者には,左記のワーキングチームの構成員が,ベストメンバーだとは思えない。(筆者)

→残念であるが,現在の「精神保健福祉士」は,上記のような検討や法改正のスピードでも,何も困らないような資格となっている,と筆者は考えている。今後,改善しなければならない事柄が多く,精神保健福祉士の社会的な地位の向上への道のりは険しい。(筆者)

2009年12月14日(精神保健福祉士の養成カリキュラム見直し案(講義系科目 / 演習・実習))の記事を参照

「精神保健福祉士の養成カリキュラム見直しについて」(2010年3月29日)

「精神保健福祉士の資格制度の見直し(動向)」
7/20 厚生労働省 「年金の加入期間(カラ期間)の説明」(You Tube) ・年金の加入期間にかかる「カラ期間」について,日本年金機構よりの説明である。

→「カラ期間」とは,「合算対象期間」のことをいい,公的年金の受給資格期間(25年)の要件を計算する場合には合算されるが,年金額の計算の基礎とはならない期間のことである。説明用の動画が公表されたので,確実な知識としていただきたい。次回の3福祉士国家試験に出題されそうな気がする。(筆者)

7/6
「長妻大臣と語る『みんなの年金』意見交換会」(7月24日),1/4悪事のやり逃げを許して,2010年1月1日に「日本年金機構」を発足させたの記事を参照

「日本年金機構のHP」
7/19 「市場を活用するソーシャルビジネス(社会性,事業性,革新性)の育成」(経済同友会)

<現在の各府省のソーシャルビジネス推進関連施策>(やまだ塾まとめ)
内閣府 ・新しい公共に関する取組み
総務省 ・少子・高齢化対策事業(地域活性化事業債)
文部科学省 ・放課後子ども教室推進事業(学校・家庭・地域連携協力推進事業),社会教育による地域の教育力強化プロジェクト(2010年度新規),NPOによる文化財建造物活用モデル事業
厚生労働省 ・地域再生中小企業創業助成金,地域求職者雇用奨励金,ふるさと雇用再生特別交付金,緊急雇用創出事業,重点分野雇用創造事業
農林水産省 ・地域バイオマス利活用交付金,バイオ燃料地域利用モデル実証事業,未来を切り拓く6次産業創出事業のうち新事業創出人材育成事業,強い農業づくり交付金,広域連携共生・対流等対策交付金,農山漁村活力再生・支援事業,農村活性化人材育成派遣支援モデル事業(田舎で働き隊!事業),農山漁村活性化プロジェクト支援交付金,山村再生総合対策事業
経済産業省 ・SB/CB振興<①中間支援機能強化事業,②先進モデル他地域移転支援事業,③村おこしに燃える若者等創出事業>,社会貢献型事業関連にかかる融資制度(地域活性化・雇用促進資金),農商工等連携対策支援事業,中小商業活力向上事業,中小企業経営支援体制連携強化事業
国土交通省 ・住民参加型まちづくりファンド支援業務,住民参加型まちづくりファンド支援業務(みなとづくりへの活用),地域再生を担う人づくり支援,空き家再生等推進事業,高齢者等居住安定化推進事業
環境省 ・エコツーリズム総合推進事業費,持続可能な社会づくりを担う事業型環境NPO・社会的企業中間支援スキーム事業,地域からの循環型社会づくり支援事業

<3福祉士国家試験の過去問>

世界の貧困克服への取組みに関する次の文章は正しいか?

・2006年のノーベル平和賞が,バングラデシュのグラミン銀行とその創設者ユヌスに与えられた。ユヌスは貧困層の主体的努力を促すために,小規模融資(マイクロファイナンス)を取り入れ,グラミン銀行を設立した。日本政府も,同銀行に「農村開発信用事業」としておよそ30億円の資金を供与した。また,1998年にノーベル経済学賞を受賞したセンも,ユヌスと同じベンガル人である。ともに故郷の大飢饉を体験したことが活動の出発点になっている。
(20-社会・精神)

解答
:○
・経済同友会のNPO・社会起業推進委員会は,2010年7月13日に,社会的課題を事業手法によって解決する「ソーシャルビジネス」(SB)の育成に向けて,「ソーシャルビジネスこそ新しい希望」として,「民」主体でありながら政府がバックアップする「新日本流」による育成を提言した。
(目次)
概要
第一部
 はじめに-政府・企業・市民各セクターの協働による新しい価値創造
 1.社会的課題と市民社会
 2.ソーシャルビジネスこそが新しい希望である
 3.ソーシャルビジネス育成に向けた7つの提言
 4.経済同友会のソーシャルビジネス支援宣言
 5.市民社会の曙光、未来に向かって
 おわりに
第二部

<2009年1月15日記事の再掲(抜粋)>
→関連する事柄として,「ソーシャルビジネス(SB)」に触れておく。SBは,利益を追求しながら社会改良・変革を図るという新しい社会福祉・ビジネスのあり方であり,一般のベンチャーやボランティアとは異なる。海外においては,イギリスでは1990 年代からSB に着目し,社会企業局を新設して戦略的に支援策を展開するなど,官民ともにSB に対する意識は相当程度高まっている状況にある。しかし,日本のSB活動はまだ萌芽段階で,一部に草分け的なSB が事業活動を行っているものの,社会的な認知度は低く,体系的な支援もされていない状況にある。今年は,「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告が数多く提出されている。
→ちなみに,近年のSBの快挙としては,バングラデシュで「貧者の銀行」である
グラミン銀行を設立したムハマド・ユヌスが2006年にノーベル平和賞を受賞したことが挙げられる。
→福祉専門職は,社会改良の担い手である。そういう意識の醸成に寄与せず,視野を狭くさせ,福祉の仕事を閉塞感のあるつまらない仕事と受け止めさせてしまったことは,「福祉専門職を養成する側の資質・水準」と深くかかわる。(筆者)

→SBは,福祉や地域振興などの社会的課題をボランティアではなく,ビジネスの手法を用いて解決していく取り組みである。イギリスでは新しく起業する1/3はソーシャルビジネスだと言われている。日本での進展が期待されている。
→なお,CSR(企業の社会的責任)に関して,ユニクロを展開しているファーストリテイリングは,2010年7月13日に,ソーシャルビジネスの立ち上げを行うため,グラミン銀行と提携し,バングラデシュにおける社会的課題を衣料品の企画・生産・販売を通じて解決をするための会社(貧しい人々が買える服を提供する会社)を2010年9月をめどに合弁で設立する予定であると発表している。(筆者)


(「ソーシャルビジネス」に関して)
2009年2/19「ソーシャルビジネス55選」,1/15「特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし」(改訂版)2008年12/17拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場の記事を参照
「ユヌス・グラミン銀行総裁による菅総理表敬」

(経済産業省のソーシャルビジネス関連情報)
「METIジャーナル7・8月号 -ソーシャルビジネスという選択肢-」(2010年7月)
「ソーシャルビジネスネット」(2009年3月19日)
「ソーシャルビジネス55選」(2009年2月17日)
「ソーシャルビジネス研究会報告書」(2008年4月3日)
7/16 環境省 動物愛護週間(9月20日~26日)」

「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)とは>

1973年に議員立法で制定された法律で,1999年と2005年に改正されている。法律の目的は,動物の愛護と動物の適切な管理(危害や迷惑の防止等)に大別でき,対象動物は,家庭動物,展示動物,産業動物(畜産動物),実験動物等の人の飼養に係る動物である。
<政府の動物愛護に関する広報(2010年7月12日)>
「動物のいる生活は私たちを楽しませ,心を豊かにしてくれます。日本では3世帯に1世帯が,犬や猫などのペットを飼っているといわれますが,その一方で,飼い主の事情でペットが飼えなくなったり,捨てられたりするケースが少なくありません。このようなペットは自治体に保護され,多くが殺処分されています。このような不幸なペットを減らすため,その動物の特徴や習性を正しく理解し,必要なしつけや訓練を行って,最期まで責任をもって飼いましょう。」


<動物愛護に関する内閣府調査の結果>
「動物愛護に関する世論調査」(2003年7月調査)

<環境省自然環境局のHP>
「動物の愛護と適切な管理」
  ①飼い主の方やこれからペットを飼う方へ
  ②「特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可」

  ③「収容動物データ検索サイト」

→環境省は,7月15日に,第26回中央環境審議会動物愛護部会を開催し,2012年の動物愛護管理法改正に向けて,「動物愛護管理のあり方検討小委員会」を設置したとされる。後手後手に回っていると指摘されている動物愛護行政であるが,小委員会では虐待の防止,多頭飼育の適正化,罰則の強化などが検討課題とされているとのことで,注目している。(筆者)
7/15 労働政策研究・研修機構 「継続雇用等をめぐる高齢者就業の現状と課題」
~労働政策研究報告書 No.120~
・高齢者雇用を促進するためには,①年齢的要素を重視する賃金・人事制度の見直しが求められるが,年功的要素を全くなくすのではなく,高齢者のモチベーションや生活安定に配慮する必要がある,②60歳までの働き方や職業キャリアが大切で,企業は長期的視点での人材管理などが求められる,などが指摘されている。

→高齢者就業の現状と課題について,幅広い観点から分析されている。「福祉専門職」には,(独)労働政策研究・研修機構等における,高質な研究成果に数多く触れていただきたいと思う。(筆者)
  
「労働政策研究・研修機構の研究成果一覧」
7/14 「大腿骨頚部・転子部骨折の作業療法のご案内(パンフレット)」
~(社)日本作業療法士協会にリンクしています~

<3福祉士国家試験の過去問>

高齢者の大腿骨頚部骨折に関する次の文章は正しいか?

①高齢者に生じる3大骨折(大腿骨近位,脊柱,橈骨遠位)の中で,大腿骨近位の骨折が最も多い。
合併症防止の観点から,手術治療による骨折部の整復固定が優先されることが多い。
受傷の原因(機序)は,転倒が多い。
④骨折型の分類にかかわらず,骨癒合に失敗することは少ない。
(①~④:16-社会・精神)
骨粗しょう症で起きやすい。
(15-社会・精神)
手術は,臥床期間短縮のために行われる。
(20-介護)
原則として手術をする。
(16-介護)

解答:○=②③⑤⑥⑦,×=①④
・このパンフレットで,「大腿骨頚部/転子部骨折を受傷した(または受傷の恐れがある)「人」の支援には,予防期から急性期,回復期,維持期(生活充実期)のあらゆる時期で作業療法が必要であり,作業療法士が関わることで対象者QOLを向上できるものである」と説明されている。

→作業療法士(OT)のかかわりを中心に紹介されているが,「福祉専門職」にも参考となる資料である。(筆者)
7/13 ■衆院与党2/3割れ,参院与党1/2割れとなり,現政権での正常な国会運営は望めないと思う

<参院選後の臨時国会の召集の根拠>

国会法第2条の3第2項:
「参議院議員の通常選挙が行われたときは,その任期が始まる日から30日以内に臨時会を召集しなければならない。」
・予算や条約は,参議院で否決されても,衆議院の議決が優先する。しかし,法案は,両院での可決が必要であり,さらに衆議院で再議決する場合には2/3以上が必要とされる。
・同じ「ねじれ国会」と言っても,元麻生政権時では衆議院では2/3以上の与党議席があったことと比較すると,今回の菅政権の国会運営は絶望的なほど深刻であり,今後立ち往生する場面が多発することが想定されている。また,その打開のために,民主党は政策ごとに他党と提携するパーシャル(部分)連合を模索すると見られているが,連立と同様,実現性の困難さが予想されている。
・左記の通り,国会法の規定において,改選議員の任期が始まる7月26日から30日以内に臨時国会を開き,参院の正副議長の選出や議席の確定を行わなければならない。

→筆者は,せめて今回の参議院選挙までは,民主党が衆参両院で過半数を取り,安定した民主党政権時において,自・公政権時で停滞していた福祉行政の飛躍的な進展を期待していた。しかし,本選挙の惨敗により,その期待も潰えた。今後,菅政権の内閣支持率の低下とともに,政治停滞・政策停滞が生じ,「菅降ろし」が現実になると想定している。前首相にも言えることであるが,首相には,まともなブレーンが必要だとつくづく思う。
→ただし,正しい理解ができない首相には,よいブレーンも「猫に小判」となる。菅首相の「増税による経済成長路線」を支えている政策ブレーンである内閣府参与の小野大阪大学社会経済研究所長は,「消費税増税ではなく所得税増税」を唱えていたはずである。「消費税増税」を唱えたのは,自・公政権時の経済財政諮問会議会長であり,当時の与謝野馨財務相ブレーンであった吉川東京大学大学院教授であったと思う。筆者は,菅首相が,その辺りを正確に理解していれば,惨敗の引き金となった消費税増税における発言の幼稚さとぶれは起こさなかったのではないかと思っている。2010年1月26日の国会中継で,「子ども手当」に関して,経済学部の学生でも答えられる「消費性向と乗数効果の違い」が説明できずに,右往左往している菅副総理・財務大臣のみっともない姿がNHKで放映されていたことを思い出すと,起こるべくして起こったようにも思う。
→なお,選挙の惨敗の責任など知ったことではないが,選挙で落選した千葉法務大臣を当面は続投させるとした菅首相,仙石官房長官,枝野幹事長の判断は,「愚か」という表現以外に思いつかない。(筆者)


6/29「高速道路無料化の社会実験とは」(国土交通省),6/28「日本の財政運営戦略」「諸外国の財政再建計画」,6/23「厚生労働分野における新成長戦略について」,6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」,6/18「民主党のマニフェスト2010」を見る),6/13「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」の記事を参照
7/12 厚生労働省 「2010年度(第23回)介護福祉士国家試験の施行及び介護福祉士国家試験委員について」


2008年12月26日の「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の在り方に関する検討会報告書」より引用>

【試験委員の選定について】

①試験委員は,「社会福祉士及び介護福祉士に基づく指定試験機関及び指定登録機関に関する省令」(昭和62 年厚生省令第51号)において定められている要件に加え,学識に優れ,国家試験に対する責任感・社会的使命感等を備えている必要がある。
②今後とも,こうした資質を備えた試験委員を委嘱できるよう,候補者の情報収集,試験委員の選定方法等について検討していく必要がある。
●2010年度と2009年度の試験委員の比較

=以下は2009年度(第22回)介護福祉士国家試験の施行および国家試験委員に関する記事であるが,2010年度(第23回)にも参考となるため再掲する=

<「福祉行政の最新情報」2009年7月14日記事の再掲>

→出題傾向の判断材料としている試験委員の公表があった。第24回国家試験から新カリキュラムに基づく新試験となり,その受験対策もすべて新規になる。現行制度で受験できる人は大きなチャンスをもらっていることを忘れず,筆記試験の受験勉強に取り組んでいただきたい。また,実技試験は緊張のあまり失敗する人がいるので,自分の特性を考えて,対策を立てるべきである。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2009年8月9日記事の再掲>

→次回3福祉士国家試験の試験委員がすべて公表された。名前を見るだけならつまらない資料である。専門職となる(である)あなたは,何人の名前を知っていますか。試験委員の方々がどのような研究テーマをもち,どのような活動や主張をされておられ,国家試験にどう反映されるか興味は沸きませんか。筆者は,試験委員に注目している。また,次回の国家試験からは,試験センターの問題作成業務への関与が強くなることが予想され,試験委員の問題が,これまでのように寄せ集めではなく,バランスよく出題されると思っている。特に,新任の試験委員には注意が必要だと思う。(筆者)

→試験委員の選定方法等については,左記の報告書において検討の必要性が明記されている。筆者には,昨年度及び今年度の試験委員を見て,さらに検討の余地があると思える。(筆者)
7/9 内閣府 「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(概要 / 本文
~第2回障がい者制度改革推進本部~


<「政治参加」の項目(本文からの抜粋)>

(9)政治参加
○ 障害者が選挙情報等に容易にアクセスできるよう,点字及び音声による「選挙のお知らせ版」について,今年執行予定の参議院選挙において全都道府県での配布を目指す。政見放送への字幕・手話の付与等については,関係機関と早急に検討を進め,平成22年度内にその結論を得る。
○ 投票所への困難なアクセスや投票所の物理的バリア等を除去するための具体的方策として,投票所への移動が困難な選挙人の投票機会の確保に十分配慮するとともに,今年執行予定の参議院選挙において,投票所入り口の段差解消割合が100%(人的介助を含む。)となるよう,市町村選挙管理委員会の取組を促す。
・政府は,2010年6月29日に,障害者権利条約(2007年9月署名)の批准に向けて,障害者施策全体を見直すための指針である「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」を閣議決定した。
・基本となる法律の制定及び改正の予定:
①2011年=障害者基本法の改正
②2012年=障害者総合福祉法(仮称)の制定
③2013年=障害者差別禁止法の制定

→すごい指針だと思うが,その中身のりっぱさと多くの国民の感覚・意識との乖離を思うと,気が重くなる。
→また,本指針において,「おかしくないか」と思う事柄が散見される。細かいことで恐縮あるが,例えば,左記太字部分の参議院選挙の記述である。参議院選挙の公示期間は,6月24日(公示日)~7月11日(投票日)であるが,その期間内である6月29日に閣議決定された指針が,7月11日までの間に,全都道府県や市町村選挙管理委員会に対して,その内容の徹底が図られ,完遂されるとは到底思えない。ということは,「今年執行予定の参議院選挙において」という目標の記述は,まったく無意味だということになる。本指針は,「机上の空論ではないか」,と疑いたくなるような一例である。
→本指針に基づいて,改革を展開するためには大変な困難さが予想されるが,財源および人材の確保については,誰がどこで検討を進めているのかが知りたくなる。大風呂敷を広げ,高いハードルや目標を掲げても,実現させるという政府の強い決意・覚悟が見えなければ,国民の意識は変わらない。(筆者)


6/24障害者団体からの厳しい追求にキチンと答えず,逃げ出すように途中退席した「山井政務官」,6/17
「2010年版 障害者白書」,6/15「2009年度精神障害等にかかる労災補償状況」),5/12精神障害者雇用安定奨励金の創設,4/284月27日の「第1回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」の動画,4/21現政権の「障害者自立支援法を廃止し,新たな総合的な福祉法制を創設する」が,「子ども手当」や「米軍普天間飛行場移設問題」の大風呂敷と同じでないことを願う),4/20『ただいま それぞれの居場所』が公開されている(ドキュメンタリー映画),4/14「脳脊髄液減少症の研究について」,4/9「障害者福祉施策の見直しを進めています(厚生労働省)」,3/8「2009年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査の結果」および「2009年度介護従事者処遇状況等調査の結果」,3/1「障害者自立支援法における障害者相談支援事業の実施状況」からみた3福祉士国家試験の受験対策,2/122010年4月から「肝臓機能障害」が身体障害者手帳の対象となり,自立支援医療に追加される,2/32010年度の重点項目とされる「障害者保健福祉」を概観する),2/2「障害児施設の入所における措置と契約」の記事を参照
7/8 厚生労働省 長妻厚生労働大臣は,「介護情報公表システム」の介護事業所の調査料負担を廃止する方針を示した
・長妻昭厚生労働大臣は,7月6日の閣議後の記者会見で,「介護サービス情報の公表制度」に関して,「サービスの利用に結び付く例が少ない」とし,事業者が負担する手数料を廃止する方向で抜本的に見直しを進める方針を明言した。
・都道府県や指定情報公表センターが,介護サービス提供事業者の情報をインターネット上で公表する「介護サービス情報の公表制度」は,2005年の改正介護保険法で導入されたものである。
・本制度は,介護保険制度の基本理念である「利用者本位」「高齢者の自立支援」「利用者による選択(自己決定)」を実現するためとして,介護保険法第115条の35に規定され,制度化され,2006年度から実施された。
・これにより,介護事業所は,サービス内容の公表を法的に義務づけられ,都道府県は,その内容を指定機関に訪問調査をさせ,その調査料(サービス区分ごとの全国平均は34,000円/件)を「事業所」が支払う,という何とも理不尽な制度が出来上がった。また,2006年度以降,インターネットの「介護サービス情報公表システム」へのアクセルが少なく,ほとんど利用されていないことは,従来から指摘されていたことである。

→法制度の理念や概念は,りっぱな有識者や国会議員で話し合われ,審議され,決定されるが,一般に,その制度の細部の実施は,省庁の課長通知レベルに委ねられているようである。筆者は,制度の細部の実施に関与しない,言いっぱなしの有識者や国会議員は,無責任であると言い続けている。「介護サービス情報の公表制度」において,制度の細部を委ねられた官僚(この場合老健局振興課)が調査料の根拠としたのは,(社)シルバーサービス振興会に実施させたモデル事業がベースになっていることは明白である。その結果を受け,調査料および補助金の集金システムが構築され,集金するのは,「都道府県から調査を委託された数多くの「天下り法人」。年間80億円以上の調査料に加え,その上に位置する国の天下り法人には,毎年巨額の補助金も注ぎ込まれている」,と報道されている。
→筆者は,左記の方針の明言は,長妻厚生労働大臣の英断であり,自・公政権では起こり得なかったことだと受け止めている。参議院選挙前ということは気になるが。
→なお,2009年と同日である7月8日に同じ項目の記事を掲載したことを不思議に思う。(筆者)


2009年7/8利用者および事業者双方が疑問を持っている「介護情報公表制度」を提言した有識者を知っていますか?)の記事を参照

(参考)
(社)シルバーサービス振興会のHP
(社)シルバーサービス振興会全国介護サービス情報公表支援センター
7/7 厚生労働省 7月は「青少年の非行・被害防止全国強調月間」

<少年に関する用語をチェック確認する>
①少年とは,【
20】歳未満の者をいう。
②【
犯罪】少年とは,罪を犯した14歳以上20歳未満の者をいう(少年法第3条第1項第1号)。
③【
触法】少年とは,刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の者をいう(少年法第3条第1項第2号)。
④【
ぐ犯】少年とは,保護者の正当な監督に服しない性癖があるなど,一定の事由があって,その性格又は環境から判断して,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年をいう(少年法第3条第1項第3号)。
⑤【
非行】少年とは,犯罪少年,触法少年,ぐ犯少年をいう。
⑥【
不良行為】少年とは,非行少年には該当しないが,飲酒,喫煙,深夜はいかいその他自己又は他人の徳性を害する行為をしている少年をいう。
⑦【
年少】少年とは,14歳,15歳をいう。
⑧【
中間】少年とは,16歳,17歳をいう。
⑨【
年長】少年とは,18歳,19歳をいう。
・内閣府は,1979年度から毎年7月を「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」として定め,国民の非行防止意識の高揚,青少年の非行等問題行動への対応を図っている。2010年度は,福祉を害する犯罪被害の防止として,児童買春・児童ポルノの被害防止を重点課題として設定している。
・2010年度の7重点課題:
①インターネット上の違法・有害情報への適切な対応
②有害環境への適切な対応
③薬物乱用対策等の推進
④不良行為及び初発型非行(犯罪)の防止
⑤再非行(再犯)の防止
⑥いじめ・暴力行為等の問題行動への対応
⑦青少年の福祉を害する犯罪被害の防止

警察庁科学警察研究所によれば,少年非行の原因・背景に関して,少年非行の発生には,少年本人の性格,保護者の養育態度,学校生活への不適応,地域環境やマスメディア・インターネットを通した有害情報との接触など,多様な要因が関連している,と説明されている。
→児童買春・児童ポルノの被害防止において,日本で最も遅れているのは「被害者へのケア」だと言われている。被害者より加害者を助けることに軸足があっていいわけがない。(筆者)


→■2010年度「青少年の非行・被害防止全国強調月間」実施要綱
7/6 厚生労働省 「長妻大臣と語る『みんなの年金』意見交換会」(7月24日)
<新年金制度にかかわる直近の政府,民主党の動き>
「第2回新年金制度に関する検討会での菅首相のあいさつ」および「新年金制度に関する検討会(中間まとめ)」(2010年6月29日)
「厚生労働分野における新成長戦略」(2010年6月21日)
「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」 /
ポイント(2010年6月18日)
「民主党のマニフェスト2010」(2010年6月17日)

→年金制度に関して,長妻厚生労働大臣が解消を豪語した「宙に浮いた年金記録」の5,095万件のうち,3,627万件が未だに訂正されていないという状況だと知って驚いた。
→また,民主党マニフェストにある年金制度の一元化および月額7万円の最低保証年金を柱とする新年金制度と,上記中間まとめにおける額も財源にも言及されていない基本的な考え方7原則との整合性にも疑問がある。さらに,基本原則では,党派を超えて国民的議論を進めることを盛り込んでいるが,消費税が財源として見込まれているため,参議院選挙での与野党の議論から推定して,おそらく与野党協議には入れないと思われる。6月29日以降,約1か月間,左記の意見交換会やパブリックコメントを募り,2013年の通常国会で法案を提出する予定とされている。地に足が着いているように見えない「新年金制度」の先行きは,尋常ではないと思われる。(筆者)


6/23「厚生労働分野における新成長戦略について」,6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」/ ポイント,6/18
「民主党のマニフェスト2010」の記事を参照
7/5 厚生労働省 指摘を受け,3福祉士の受験料と登録料が,2011年度から引き下げられる
~社会福祉振興・試験センター~
2010年6月26日の長妻厚労大臣記者会見(抜粋)>
「御指摘がございまして,財団法人社会福祉振興・試験センターが保有する積立金が過大ではないかということでございます。これについて政務三役でも精査を致しまして,財団を昨日お呼びして役所とも協議をした結果,やはり地震など災害が起こる時に試験を円滑に進めるというようなことで,全国で同時に災害が起こるような積立金というのはやはり過大であるということで,試験事業安定積立金は原則として3年間で全額解消していこうということに致しました。
公益事業拡充資金等資産についても還元をしてゼロにしていきます。
登録事業安定積立資産については引き続き一定のものは留保したいと思いますが,半減をしようということで登録手数料も引き下げるということでございます。お配りの資料にもございますが,社会福祉士につきましては次々回からの受験手数料を,これまで9,600円だったものを5,580円に致します。介護福祉士は次々回からの受験手数料を12,500円のものを10,650円に致します。精神保健福祉士については次々回から11,500円だった受験手数料を9,750円に致します。介護福祉士に致しましては,登録手数料でございますが,これを4,050円でありましたが,次々回から3,320円に致します。」

→発表資料よく読んでみると,センターが保有する積立金を取り崩して,受験料や登録料を引き下げるということであるが,積立金の取り崩しが終わった後は,単年度の収支を均衡させるため再び引き上げられるということである。現厚生労働省政務三役の精査した施策であると長妻大臣は公言しているが,筆者には,目先の非難を避けることを主眼とした問題の先送り策のように思われてならない。筆者は,社会福祉振興・試験センターの3福祉士国家試験やケアマネ試験の試験委員の選定を含めた運営能力のみならず,存在意義を精査すべきであると思う。
→6月29日の発表以降,3福祉士の各職能団体はHPにどのように掲載するのかを興味を持って待っていたが,7月5日6:00現在まったく触れられていないのはどうしてかと思う(見落としがあるかも知れないが)。
→「福祉専門職」が,お上の言うことには,何の抗弁もせずに,「ご無理ごもっとも」という態度では,話にならない。自身の意見を持つには,知識と情報のブラッシュアップの絶え間ない努力が必要となるのは当然である。(筆者)


1/29「3福祉士国家試験の解答速報についての雑感」),1/15あきれた「財団法人社会福祉振興・試験センター」のお役所仕事の記事を参照

(センター関係資料)
「社会福祉振興・試験センターの保有する積立金の縮減等について」(2010年6月29日
「社会福祉振興・試験センターの概要」

(センターの天下りに関する国会の質疑)
第169回国会参議院厚生労働委員会2008年5月20日議事録
7/2 厚生労働省 「消費生活協同組合(生協)について」

<3福祉士国家試験の過去問>
消費生活協同組合(生協)に関する次の文章は正しいか?

①地域福祉の源流をつくった人物に関して,賀川豊彦は,生活協同組合の父と呼ばれたが,アメリカへ渡り牧師として生涯を送った。
(22-社会・精神共通)
②「住民参加型在宅福祉サービス団体」の特徴に関して,団体には「行政関与型」,「社協運営型」,「生活協同組合型」,「住民互助型」などがあるが,その中で最も数が多いのは「社協運営型」(2005年時点)で,全体の約半数を占めている。
(21-社会・精神共通)
生協の事業活動は,社会福祉における自助,公助,共助という仕組みの中で,共助に位置づけられる。
(17-社会・精神共通)
生協は,組合員及び会員に最大の奉仕をすることを目的とする非営利組織である。(17-社会・精神共通)
⑤生協は,消費生活協同組合法に基づく法人であり,介護保険法による指定居宅サービス事業者として指定居宅サービスの事業を行う場合,その利用者は組合員に限られる。
(17-社会・精神共通)

解答:○=③④,×=①②⑤
<左記過去問解答のヒント>
①2009年は,キリスト教社会運動家,社会改良家である賀川豊彦が神戸・新川の貧民街に移り住み,救済活動を始めて100年となるために出題されたと思われる。
「2008年度住民参加型在宅福祉サービス団体活動実態調査報告書」に記載がある。
「消費生活協同組合法」の法意および第1条から判断できる。
④「消費生活協同組合法」第9条に規定されている。
⑤「消費生活協同組合法」第12条の規定に基づき,「指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準」第9条が適用される。

→「消費生活協同組合法」は1948年に制定され,2007年に改正された。
→いつか,時間があれば,5度にわたりノーベル賞候補(文学賞・平和賞)にあがり,生活協同組合の父と呼ばれた賀川豊彦(1888~1960)の,自伝的小説『死線を越えて』(1920年)を読まれるといい。1988年には映画化もされた。「世界の三大偉人」(賀川,ガンジー,シュバイツァー)として挙げられたことも,第二次世界大戦後,マッカーサーから,戦後の日本について意見を求められた人物であることも,多くの国民は知らされていない。誤った思想を包含していることも含めて,その正確な業績を語り継げない日本の有識者のレベルの問題でもある。
→知識を広げ,深めることは無駄にはならない。(筆者)


「生協制度見直し検討会報告書」(2006年12月)
7/1 厚生労働省 「全国安全週間(7月1日~7日)」 ・全国安全週間は,産業界における自主的な労働災害防止活動を推進し,一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ることを目的として,1928年から実施され,83回目となる。
・2010年のスローガン:
「みんなで進めようリスクアセスメント めざそう職場の安全・安心」
・労働災害は長期的には減少傾向にあるが,現在も1,000人を超える命が労働の場で失われており(2000年:1889人→2009年:1075人),労災保険新規受給者数は年間約54万人にも上っている。

6/16「2009年の職場における熱中症による死亡災害発生状況」,4/15「労災保険給付の概要」,3/18「老人介護施設,保育施設,障害者施設における腰痛対策とKY活動」(社会福祉施設(老人介護施設,保育施設,障害者施設)における安全衛生対策マニュアル ))の記事を参照

「労働災害発生速報」(安全衛生情報センター)

「明確な根拠をもつ」(介護/介護労働)
6/30 厚生労働省 「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」 →「福祉専門職」には,この通知から,日本の精神医療のあり様について考えていただきたいと思う。精神科などの医療機関にかかって,悪くなっっていく人は知っているが,治ったという人は聞いたことがない,という素人の世間話について,一笑にふせる根拠を,精神医療保健福祉にかかわる専門職は持ち合わせているだろうか。(筆者)

6/15「2009年度精神障害等にかかる労災補償状況」(過労死 / 精神障害)),6/1「自殺未遂による傷病に係る保険給付等について」(2010年5月21日通知),5/31「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめ」5/12精神障害者雇用安定奨励金の創設,2/22「いのちを守る自殺対策緊急プラン」の記事を参照

「精神障害等の労災認定について」(2009年4月リーフレット)
6/29 国土交通省 「高速道路無料化の社会実験とは」(国土交通省) ・国土交通省は,2010年6月28日から2011年3月31日までの期間において,全国37路線50区間で,1,000億円の費用をかけて,高速道路無料化の「社会実験」を開始した。
・観光地での客の増減,一般道や高速道の渋滞の変化,JRなど公共交通機関への影響,事故や騒音の増減など6項目のデータを集約し,国交省ホームページで速報するとしている。また,観光地の消費額や宿泊客数,物流コスト,温室効果ガスの排出量などを検証した上で,2010年度内に無料化区間を拡大することが妥当かどうかを検討するとしている。

→高速道路全面無料化には,1.3兆円の財源が必要とされる。
→民意の賛意のない政策に対して,1,000億円もかけた社会実験が必要とされる状況にはないはずである。極めつけは,交通量の少ない地方路線を対象にした実験であり,有効なデータが得られるとは到底思えない。民主党の高速道路無料化策の採用には歴史がある。高速道路無料化の政策の生みの親は,山崎養世氏(米大手証券ゴールドマン・サックスの元幹部,氏の持論である高速道路無料化は,2003年民主党のマニフェストに採用され,氏は菅代表時の次の内閣の国土交通大臣に任命されている )といわれている。ブレーンの重要性を,改めて思い知らされる。
→なお,2009年衆議院選のマニフェストでは,2012年度までの完全無料化をうたっていたが,2010年参議院選のマニフェストでは,「段階的に原則無料とする」と後退させている。(筆者)


6/18「民主党のマニフェスト2010」を見る)の記事を参照
6/28 国家戦略室・内閣府 「日本の財政運営戦略」「諸外国の財政再建計画」
ポイント
日本 ・「財政運営戦略」の財政健全化の具体的な目標
(1)収支(フロー)の面
①2010年度見込みが▲6.4%になっている国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字幅を,遅くとも2015年度までに半減し,遅くとも2020年度までに黒字化する
②国の基礎的財政収支についても①と同じ年度における半減・黒字化を達成する
③2021年度以降も財政健全化努力を継続する
(2)残高(ストック)の面
①2021年度以降に国・地方の公債等残高のGDP比を安定的に低下させる
アメリカ ・2015年までに「基礎的財政収支の均衡」(財政赤字GDP比3%に相当)を達成。
・現在,超党派の「財政責任と財政改革に関する国家委員会」(2010年4月設置)において,上記目標を達成するための具体的措置を検討中。
・現時点での財政再建策
①Pay-As-You-Go法を復活(2010年2月成立)
②財政赤字の構造的要因である医療保険制度の改革に着手(2010年3月に関連法成立)
③行政管理予算局(OMB)は,各省庁に対し,2012年度予算要求に関し裁量的支出の5%削減を指示(2010年6月)
イギリス ・2015年度までに構造的財政収支(投資的経費を除く)を均衡化。
・2015年度に公的部門純債務残高GDP比を減少に転じさせる。
・現時点での財政再建策(2010年6月,新政権の予算案)
①社会保障制度改革,公務員の賃金上昇の2年間凍結等による歳出削減
②付加価値税率引上げ(17.5%→20%)等による歳入増加
                                   (やまだ塾作成)
→政府は,2010年6月22日に,中長期的な財政健全化目標と今後3年間の歳出・歳入の取り組みなどを示した「財政運営戦略」を閣議決定した。 高い目標が設定されているが,その道筋が明確に示されていないため,目標達成を疑問視する,という意見が多いように思われる。
→カナダのトロントで,6月27日に閉会した,中国やインドなど新興国を加えた20か国・地域(G20)首脳会合においては,ギリシャに端を発した財政健全化問題と成長強化が中心議題となった。成長を優先するアメリカと緊縮的な財政運営目標を打ち出していたヨーロッパ諸国とのせめぎあいの中,G20の声明では,先進国は2013年までに財政赤字を少なくとも半減するとの目標を盛り込み,財政再建が,世界経済の回復を阻害しないよう,財政再建と経済成長の両立を重視することで各国首脳は合意した,と報道されている。菅首相は,日本の「新成長戦略」と「財政運営戦略」を説明し,声明には,日本特有の状況を認識し、新たな財政計画を歓迎するとの文言が盛り込まれたとのことである。
→「財政再建」は,7月11日の参議院選挙の争点の一つである。(筆者)


6/23「厚生労働分野における新成長戦略について」,6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」,6/18「民主党のマニフェスト2010」を見る)の記事を参照
6/25 厚生労働省 「傍聴・参加が可能な審議会等の会議一覧」(厚生労働省) →福祉専門職は,厚生労働省の動きに注意を払っていなければならない。
→やまだ塾もえらそうなことは言えないが,巷では,厚生労働省のHPは,もっと見やすくする必要があるとの意見が多いらしい。仕事の種類が違うので,単純に比較するのは適切ではないが,以前,省庁の中で一番見やすいHPは「宮内庁]だ,というアンケート結果を見たことがある。(筆者)


「厚生労働省のHP」
6/24 厚生労働省 障害者団体からの厳しい追求にキチンと答えず,逃げ出すように途中退席した「山井政務官」(You Tube)
~第4回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会~
→言ってることとやっていることが違うじゃないか,という主旨の質問に答える姿勢として,これでいいのかどうか,読者自身で判断していただきたい。彼は,厚生労働省内の他の会議に出席することと引き換えに,大切なものを失ったような気がする。(筆者)

4/284月27日の「第1回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」の動画(You Tube:4時間20分)),4/21現政権の「障害者自立支援法を廃止し,新たな総合的な福祉法制を創設する」が,「子ども手当」や「米軍普天間飛行場移設問題」の大風呂敷と同じでないことを願う)4/9(■「障害者福祉施策の見直しを進めています(厚生労働省)」の記事を参照

「障がい者制度改革推進本部および障がい者制度改革推進会議」(内閣府)
「障害者制度改革推進会議総合福祉部会」(厚生労働省)
6/23 厚生労働省 「厚生労働分野における新成長戦略について」
<厚生労働省からの公表文>
「2010年6月18日に政府の「新成長戦略」が閣議決定されたことに伴い,参考までに,同戦略のうち,厚生労働分野の施策を体系的にとりまとめいたしましたので公表します。」

→6月22日に,日本記者クラブ主催の参議院選挙を前にした「9党首討論会」が行われ,NHKで放映された。筆者は,菅首相が盛んに呼びかけている消費税を含む「税制改革」の与野党協議の前に,年金,医療,介護,年金,子育て支援などの「社会保障の抜本的改革」の与野党協議が優先されなければならないと思った。
→左記の資料を含めた政府が公表している新成長戦略に関する資料を丹念に見ているが,「強い社会保障」の意味するところが,筆者には未だに理解できていない。自・公前政権で強行採決され,「100年安心プラン」と大ぼらを吹いた2004年の年金制度改革が数年ももたなかったことを学習すれば,イギリスの前労働党政権政策の表面的なモノマネや困難なことを先送りしているパッチワークのような与党だけで考えた社会保障施策の破綻は,容易に想定できる。(筆者)


6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のナリオ~)」(2010年6月18日)の記事を参照
6/22 国土交通省 「土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設の調査結果について」(本文)
~土砂災害の恐れある高齢・障害者等施設が全国に13,730存在する~
<左記本文の参考資料>
災害時要援護者関連施設の定義
災害時要援護者関連施設調査結果および連都施道設の府状県況 別 災害時要援護者関連施設数

マスメディアによる報道では,おおむね左記本文の一部または要旨が掲載されている。この結果を,「ああそうか」ということで済ませばそれまでである。また,調査は今回初めてではない。例えば,10年以上も前の1998年の調査結果では「約8,000施設が土砂災害に注意が必要な区域に位置している」とされている。
→「福祉専門職」であれば,近時の「認知症高齢者グループホームの防火設備の実態調査」(厚生労働省)や「介護施設の防火安全体制についての実態調査」(総務省消防庁と厚生労働省)等との関連も含めて,幼児,高齢者,障害者等の災害弱者に係る国の施策のどこに問題と課題があるのかについて,マスメディア等の受け売りでなく,自身の考えをもっていただきたいと思う。(筆者)


(砂防に関する国土交通省のHP)
「砂防」(国土交通省)
6/21 首相官邸 「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」(2010年6月18日)/ ポイント

<「新成長戦略」のカタカナ英語(例示)>
(目次)
・グリーン・イノベーション
・政策パッケージ
・ライフ・イノベーション
・フロンティアの開拓
・プラットフォーム
・トランポリン型社会
・ディーセント・ワーク
・パッケージ型インフラ
・グローバル人材
・クール・ジャパン
・オープンスカイ
・リーディング大学院
・キャリア段位制度
・パーソナル・サポート制度

(本文)
・デジタルコンテンツ/クラウドコンピューティング/ソフトパワー/中期財政フレーム/リスク・マネーの供給/フェーズⅠ,フェーズⅡ/ポリシー・ミックス/観光のポテンシャル/モーダルシフトの推進/日本型スマートグリッド/レアメタル,レアアース/ゼロエミッション化/環境コンシェルジュ制度/アクセスできる体制/創薬ベンチャーの育成/高齢者用パーソナルモビリティ/ドラッグラグ,デバイスラグの解消/ロードマップ/スマートグリッド/クリエイティブ産業/ポップカルチャー/エコツーリズム,グリーンツーリズム/ローカル・ホリデー制度/リバースモーゲージ/ソフトパワー/キャリアパス/シーズ研究/成長エンジン/成長マネー/企業のグローバルなプレゼンス向上/ファンドスキーム/ブレークスルー/ゾーニング/スケールメリット/コンソーシアム/ワンボイス・ワンパッケージ/インセンティブ制度/コンセッション方式/テニュアトラック制/デスバレー/リカレント教育/学習ユニット積上げ方式
・政府は,6月18日に,今後10年間の経済政策の指針を示す「新成長戦略」を閣議決定した。
・法人税の実効税率を「主要国並み」に引き下げることや,原子力発電所や高速鉄道等の社会基盤(インフラ)輸出の拡大など,菅内閣の「強い経済」を実現する21項目の重点施策を「国家戦略プロジェクト」と位置づけている。330項目の政策が掲載され,21の重点施策には2020年までの目標を掲げている。
・新成長戦略における7つの戦略分野(成長分野):
①環境・エネルギー
②医療・介護・健康
③アジア経済
④観光立国・地域活性化
⑤科学・技術・情報通信立国
⑥雇用・人材
⑦金融
・なお,上記①②③④の4分野で500万人の雇用と123兆円の需要を創出する目標を掲げている。
・2020年までの平均経済成長率において,名目3%,実質2%の経済成長を実現し,失業率を早期に3%台に低下させる目標も設定している。

→新成長戦略における具体的な政策の多くは,自公政権政権において挙げられてきたものだという指摘がある。また,政策に,財源の確保も予算額も示されておらず,国家戦略としては,致命的な欠陥を包含しているとの見解もある。筆者も,この戦略の実現性の危うさを感じている。
→新成長戦略を通読したが,左記に挙げたような「カタカナ英語」が満載で,うんざりした。菅首相が,首相就任演説以降,鳩山前首相が使ってきた「脱官僚依存」という言葉を避けてきた理由が分かった。外国語に長けた若い官僚の力を借りなければ,イギリス好きの年のいった政治家だけでは「新成長戦略」が作れなかったために,「脱官僚依存」を言わなくなったのだと,筆者は曲解している。
→例えば,「新成長戦略」の核であるグリーンイノベーションはイギリスの「低炭素戦略」(2009年7月),リカレント教育や学習ユニット積上げ方式はイギリスの「QCF制度」,キャリア段位制度はイギリスの「NVQ制度」が参考にされている。だから,異様にカタカナ英語が多い。筆者は,ここまで来ると「お笑い」と思い,ちょっと古いけれど,「欧米かっ!」と一人で突っ込んでみたりしていた。介護の分野において,近い将来,「介護5段」のキャリア段位を持った人が,「要介護5」の介護認定を受けた人を介護している,という会話が巷で聞かれるかもしれない。少なくとも,推進チームの主査であった仙石さんは,そのようなことが,日本の介護現場にも必要だと本気で考えているように思われる。茶化して申し訳ない。(筆者)


「民主党のマニフェスト2010」(2010年6月17日)
「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」(2010年6月11日)
「新成長戦略(基本方針~輝きのある日本へ~)」(2009年12月30日)
6/18 「民主党のマニフェスト2010」を見る
~民主党のHPにリンクしています~

<民主党マニフェスト2010の主な項目>
経済・財政 ・2011年度国債発行額は,2010年度を上回らない
・消費税を含む税制抜本改革の協議を超党派で開始
・2015年度までに基礎的財政収支の赤字を2010年度の半分以下に
社会保障 ・「子ども手当」を1万3000円から上積み
・月額7万円の最低保障年金の実現
・2013年度から新しい高齢者医療制度開始
外交・安全保障 ・米軍普天間飛行場移設に関する日米合意に基づいた沖縄の負担軽減
・日米地位協定の改定提起
政治改革 ・参議院定数242を40程度,衆議員比例定数180を80削減
・議員経費2割削減
・企業団体献金禁止
行政改革 ・国家公務員の総人件費2割削減
・不要な特別会計廃止
・行政情報の公開積極化
・6月17日に,各政党は 7月の参議院選挙に向けたマニフェストを発表した。
・菅直人代表が発表した「民主党の政権政策Manifesto2010」は,「党が目指す政策をまとめた政権政策集です」と説明されている。


→筆者は,特定の政党を支持していないが,菅政権の今後の政策に大きな影響を及ぼすものであるため,民主党のマニフェストを情報提供として掲載した。
→2009年の衆議院選挙のマニフェストで掲げた目玉政策(子ども手当や高速道路無料化など)が,明確な説明もなく,今回大幅に変更されている。菅首相がお手本とするイギリスのマニフェストとはまったく異なるテクニカルなだけで優先順位も不明確な選挙用のマニフェストで良しとするかどうかは,国民が決めることである。(筆者)


6/13「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」,6/9「菅内閣総理大臣記者会見」 / 閣僚名簿の記事を参照
6/17 内閣府 「2010年版 障害者白書」(概要 / 本文

<公的機関法定雇用率の未達成に関する記述(抜粋)>
2010年版 2009年版
国及び地方公共団体の機関については,民間企業に率先垂範して障害のある人の雇入れに努めるべき立場にあることを踏まえ,国及び地方公共団体の各機関の人事担当幹部に対し,身体に障害のある人又は知的障害のある人の計画的な採用を図るよう要請を行っている。法定雇用率が未達成である機関については,障害のある人の採用に関する計画を作成しなければならないこととされており、その計画が適正に実施されていない場合には、計画の適正実施に関して勧告を行っている。平成21年11月にすべての公的機関について,同年6月1日現在の雇用状況を発表するとともに,後期重点施策実施5か年計画における2012(平成24)年度までにすべての公的機関で障害者雇用率を達成する目標の達成に向け未達成の公的機関に対し指導を徹底しているところである。 国及び地方公共団体の機関については,民間企業に率先垂範して障害のある人の雇入れに努めるべき立場にあることを踏まえ,国及び地方公共団体の各機関の人事担当幹部に対し,身体に障害のある人又は知的障害のある人の計画的な採用を図るよう要請を行っている。法定雇用率が未達成である機関については,障害のある人の採用に関する計画を作成しなければならないこととされており,その計画が適正に実施されていない場合には,計画の適正実施に関して勧告を行っている。平成20年11月にすべての公的機関について,同年6月1日現在の雇用状況を発表するとともに,18 年10 月に設定した,「法定雇用率達成に向けた指導の目標」の達成に向け未達成の公的機関に対し指導を徹底しているところである。なお,公的機関については,より積極的な取組が求められており,新5か年計画において同期間中の平成24年度までにすべての公的機関で障害者雇用率を達成する目標が盛り込まれている。
・政府は6月11日の閣議で,2009年度を中心に障害者のために講じた施策をとりまとめた『2010年版障害者白書』を決定した。
・障害者雇用率を柱とした施策では,2009年6月時点の民間企業の障害者雇用率は,1.63%で(前年1.59%)より上昇したが,「障害者雇用促進法」が定める法定雇用率(1.8%)に達していない。
・国の雇用率は2.17%,都道府県は2.48%,市町村は2.37%で,法定雇用率(2.1%)を上回っているが,2.0%の法定雇用率が適用される都道府県等の教育委員会の雇用率は1.72%(前年は1.62%)であった。。

→これまで,公的機関である「都道府県等の教育委員会」の法定雇用率(2.0%)が達成されたことはない。民主党政権になれば,すぐに改善されるものと期待していたが,残念ながら「恥の上塗り」をしている。
→左記の通り,該当部分の2009年版と2010年版を比較した。白書ののほとんどの記述が,学生でも後ろめたさを感じる「コピペ」である。これは,官僚任せにしている明確な証拠だと思う。民主党政権の政府の閣僚に対しても「恥を知れ」と言いたい。この部分は,長妻厚生労働大臣の管轄であると思う。(筆者)
6/16 厚生労働省 「2009年の職場における熱中症による死亡災害発生状況」

<熱中症とは>
高温多湿な環境下において,体内の水分および塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れたり,体内の調整機能が破綻するなどして,発症する障害の総称であり,めまい・失神,筋肉痛・筋肉の硬直,大量の発汗,頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感,意識障害・痙攣・手足の運動障害,高体温などの症状が現れる。
<2009年の職場における熱中症による死亡災害発生状況>
①死亡者数=8人(2008年17人)となり,大幅に減少
②業種別=建設業5人(同9人),製造業1人(同5人)
③作業開始からの日数別=88%が7日以内に発生
④発生月別=すべて7月~8月に発生


→厚生労働省は,熱中症の予防措置として,自覚症状の有無にかかわらない水分・塩分の摂取などを内容とする以下の通達を出している。この通達に基づいて,都道府県労働局・労働基準監督署は,事業場への指導を推進している。(筆者)
<職場における熱中症予防対策のポイント(2009年6月19日付け基発第0619001号)>
①WBGT値(湿球黒球温度℃)を求めること等により,職場の暑熱の状況を把握し,必要な作業環境管理,作業管理,健康管理等を行うこと
②計画的な熱への順化期間(熱に慣れ,その環境に適応する期間)の設定
③自覚症状の有無にかかわらない水分・塩分の摂取
④熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患(糖尿病等)を踏まえた健康管理

「職場における熱中症の予防について」(パンフレット)
6/15 厚生労働省 ■「2009年度精神障害等にかかる労災補償状況」(過労死 / 精神障害 <2009年度のポイント
項 目 過労死 精神障害等
①請求件数 767件
(前年度比13.7%減)
1,136件
(同22.5%増)
②支給決定件数 293件
(同22.3%減)
234件
(同13.0%減)
③業種別 請求・支給決定件数ともに「道路貨物運送業」が最多 ・請求件数=「社会保険・社会福祉・介護事業」が最多
・支給決定件数=「総合工事業」が最多
④職種別 請求・支給決定件数ともに「自動車運転者」が最多 ・請求件数=「一般事務従事者」が最多
・支給決定件数=「商品販売従事者」が最多
⑤年齢別 ・請求件数=50~59歳が最多
・支給決定件数=40~49歳が最多
請求・支給決定件数ともに30~39歳が最多

本補償状況は,3福祉士国家試験(特に,精神保健福祉士)において,来年以降出題される可能性が高いと想定している。3福祉士国家試験受験者は,上記ポイントを記憶しておく必要がある。
→福祉専門職には,日本における,高齢者や障害者に対する家族など無償の介護者(イギリスでは「ケアラー」,アメリカでは「ケアギヴァー」と呼ばれている)への支援の後進性に目を向ける時期が来ていることを知っていただきたい。日本において,2010年6月7日に,「ケアラー連盟」が発足したという報道があった。先進諸国においては,「介護者支援法」をベースにして,種々の介護者支援施策があるが,日本の介護保険制度や福祉制度では,介護者への支援がほとんどないという現状である。近時の介護殺人などの背景には介護者への支援が致命的に不足していることが指摘されている。しかし,筆者には,現厚生労働省政務三役に,「介護者支援法」等の法制化(介護者の相談先の確保,休息施設の整備,所得保障などを内容とする)の必要性の認識があるとは到底思えない。筆者は,今回,厚生労働大臣は再任ではなく,例えば海江田議員あたりに変わることを期待し,その力量を見せていただきたいと思っていたので残念である。
→なお,厚生労働省および警察庁の発表データは,以下の通りである。
・介護・看護疲れによる自殺=285人(2009年)
・介護・看護疲れによる殺人=48件(2008年)
・介護者による高齢者の虐待=約14,900件(2008年度)
                             (筆者)

6/1
「自殺未遂による傷病に係る保険給付等について」(2010年5月21日通知),5/31「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめ」の記事を参照

→■「精神障害等の労災認定について」(2009年4月リーフレット)

6/13 首相官邸 「第174回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説」 →書かずにおこうと思ったが,いい機会なので,率直に所感を述べる。
→夢がなく,具体性に乏しい演説というのが,筆者の印象である。首相になって初めての所信表明演説で,「市民運動」の市川房枝氏,「市民自治の思想」の松下圭一氏,「平和の代償」の永井陽之助氏,という自身が影響を受けた「古い学者」の名前を連呼されて,うんざりした。失礼な言い方になるが,演説の骨格となる「強い経済,強い財政,強い社会保障」は神野直彦東大名誉教授のパクリ,[第三の道」という言葉はブレア首相のパクリ,「増税と成長の両立」という考え方は小野大阪大教授のパクリである。菅首相の持論である「最小不幸社会を作る」という「気味の悪いフレーズ」を出されなかったのはよかったと思うが,自身のフレーズが少なく,有名人の名前がいくつも登場する演説には,まったく面白みを感じない。
→また,例えば,演説で紹介された「反・貧困ネットワーク」の湯浅誠さんやこれからも登場されると思われる市民運動の天野礼子さん等の意見を尊重するのはいいが,首相として,特定の意見を偏重することなく,対極の意見も聞いたうえで,予断なく,適切に判断していただくことを望みたい。
→さらに,選挙至上主義の小沢前幹事長が設定した施策である「子ども手当」が破綻し,元米証券幹部の山崎養世氏が生みの親とされる「高速道路無料化」が破綻した事実から,筆者は,菅首相の上記等のブレーンが関与する国の根幹となる政策(「強い経済,強い財政,強い社会保障」,「第三の道」,「増税と成長の両立」など)にも強い疑問を抱いている。ところで,2010年1月26日の国会中継で,「子ども手当」に関して,経済学部の学生でも答えられる「消費性向と乗数効果の違い」が説明できずに,右往左往している菅副総理・財務大臣のみっともない姿がNHKで放映されていたが,首相になられた今ではきちんと説明できるようになっておられると信じたい。
→最後に,「是非とも私を信頼していただきたいと思います」という言葉で締めくくった菅首相と,「Trust me」と言う言葉を使ったとされる鳩山前首相との違いがよく分からない。「信頼を受けるようにがんばりたいと思います」というのが国民に対する誠意ある発言ではないかと思った。(筆者)
6/11 警察庁 「チャイルドシートの使用状況」(2010年4月調査)
・2000年4月の改正道路交通法において,6歳未満の乳幼児に義務づけられたチャイルドシートの使用状況(2010年4月調査)は,56.8%である。また,取り付け状況では,正しく取り付けられていたものが乳児シートで36.7%,幼児用シートが36.2%であった。
・なお,2008年6月施行の改正道路交通法において,義務づけられた後部座席シートベルト着用の着用状況(2009年調査)は以下の通りである。
区 分 一般道 高速道
運転者 99.6% 99.2%
助手席同乗者 90.8% 96.9%
後部座席同乗者 33.5% 63.4%
チャイルドシートやシートベルトの非着用による被害の拡大は被害者の過失とされる。被害者であっても,損害賠償等の場面で十分な補償が受けられなくなる可能性がある。

→「子どもの安全を守るのは親だ」という社会意識の形成が十分でない日本では,チャイルドシート着用率も低い。海外のチャイルドシート着用率は,70~90%で推移しているといわれる(自動車会議所)。なお,海外の後部座席シートベルト着用率は,イギリス66%,スウェーデン75%,オランダ32%,アメリカのカリフォルニア州89%とされている(2006年JAF調査)。(筆者)
6/10 厚生労働省 「長妻厚生労働大臣の再任記者会見」
<菅首相から指示された6項目とは>
①年金記録問題
②後期高齢者医療制度を廃止して新しい制度を作る
③子ども・子育ての政策
④障害者自立支援法を廃止して新たな障害者福祉制度を作る
⑤求職者支援制度の創設,派遣労働法制の見直し
⑥食の安全・安心

→記者から,菅首相の言われる「強い社会保障」のイメージを質問されているが,担当大臣の応答として,そういう認識でいいのかなあという感想を持った。ただ,菅首相の言い分も,税制調査会の専門家委員長の神野東大名誉教授や内閣府参与でマクロ経済学者の小野大阪大教授などの言葉や指南に従がっているようなので,イメージしにくいことは確かである。まさか,6月11日の菅内閣発足に伴う衆参本会議での首相所信表明演説でも,就任の記者会見での発言と同じことを言われることはないとは思うが。(筆者)
6/9 首相官邸 「菅内閣総理大臣記者会見」 / 閣僚名簿

菅内閣の政権運営の「基本方針」
①政権交代の原点に立ち返り,信頼回復に邁進する
②経済・財政・社会保障の一体的立て直しに取り組む
③各閣僚は省益にとらわれず,一体となって取り組む
④行政の無駄遣いを根絶し,行政の透明化を推進する
⑤政務三役と官僚は,緊密に意思疎通を図り,一体となって真の政治主導による政策運営に取り組む


<菅首相が不在時の臨時代理の順位>
①仙谷官房長官
②岡田外相
③前原国土交通相
④中井国家公安委員長
⑤千葉法相
・記者会見の冒頭で,菅首相は「政治の役割は国民が不幸になる要素,世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか。最小不幸の社会を作ることにあると考えている」と述べられた。なぜ「最大幸福」と言わないで「最小不幸」と言うかということについては,2003年の2003年10月9日付民主党メールマガジンで説明されておられる。
→筆者は,ことさら話を難しくして,ネガティブワードにしなくても,「最大幸福を目指すと同時に,マイノリティーを切り捨てない社会を目指す」と言えばすむことではないかと思う。菅首相がよく口にされる,「草の根」や「最小不幸社会」という言葉に,違和感を覚えるのは筆者だけだろうか。
→蛇足である。「最小不幸」という言葉は,ベンサムの「最大幸福」の裏返しである。また,「強い経済と強い財政と強い社会保障」は,神野直彦東大名誉教授の主張を使っているとどこかでおっしゃっていた。さらに,新成長戦略(基本方針)で使われた「第三の道」は,ギデンズが提唱し,ブレア首相が掲げた言葉の流用である。自身の内閣を,「奇兵隊内閣」と命名された。歯切れのいいしゃべり口であるが,言葉の用い方が独特である。(筆者)
6/8 イギリスのキャメロン新政権における連立政策協定

<3福祉士国家試験の過去問>

イギリスの動向に関する次の文章は正しいか?
(22・12-社会・精神共通)

①イギリスにおけるソーシャルポリシー(社会政策)は,所得保障,医療保障及び教育保障から構成されている。これに対してドイツを中心に発達した社会政策は当初,雇用・就業上の事故を対象とする社会保険を内容とするものであった。
アンソニー・ギデンズは,社会民主主義的な福祉国家でもなく,サッチャリズムに象徴される市場原理主義でもない「第三の道」という考え方を提唱して,イギリスのブレア政権の福祉政策のあり方に影響を与えた。

解答:○=,×=
→2010年5月6日に,総選挙が行われ,ブラウン首相が率いるイギリス労働党が敗北し,第2党になった。2010年5月11日には,過半数は取れなかったものの,最大多数となった保守党(キャメロン党首)は,第3党の自由民主党(クレッグ党首)と連立を組み,キャメロン新政権が誕生し。保守党と自由民主党は,財政赤字の削減を柱とした,社会保障,地方分権,国際関係,選挙制度改革など31の連立政策協定を締結した。今後,この合意内容に基づいて,施策が展開されることになる。この機会に,参考までに,イギリスの省庁のHPを掲載するので,日本のそれと比較されるといい。イギリスの総理府 / イギリスの厚生労働省
菅首相が,これまで望ましいと言ってこられた脱官僚を指向する「イギリス型の内閣」とはどういうものなのか,まもなく見せてもらえる。
→なお,2010年6月4日の代表選挙後,民主党の菅新代表と国民新党の亀井代表は,民主・国民新党の2党での連立を維持することで合意書を締結した。社民党も含めた3党連立当時の「政権合意書を尊重し,引き継ぐ」旨の合意であったと報道されている。(筆者)


5/11イギリスは,総選挙後,すぐに新首相が決まらない事態に陥っている)の記事を参照

日本の「3党連立政権合意書」(2009年9月9日)
6/7 ■学生時代の愛読書が『平和の代償』で,今読んでいる本が『琉球処分』であることを紹介した菅首相の意図は何だろうか
→2010年6月4日に,菅首相は,代表選挙の演説と記者会見で2つの本を紹介した。
→現実主義の立場から日米同盟の重要性を主張する永井陽之助氏の『平和の代償』は,アメリカに対するメッセージであり,最近読み始めているという明治政府が沖縄県設置を断行した『琉球処分』に関する本は,沖縄県に対するメッセージであると受け止めた。政権内で孤立させられ,屈辱的な状況に追い詰められた上,65年間も忍耐を強いた沖縄県民に,これからも我慢してくれと言った鳩山首相の「県内移設」を明記した日米合意を踏襲しながら,同時に沖縄県の負担軽減に努力をする,と菅首相は言った。その努力の中に,まさか,『琉球処分』に関する本を読むことが含まれているのではないだろうかという疑義を抱いた。
→普天間問題は,「腰をすえて取り組んでいきたい」というほどの時間的余裕はなく,おおよそ2014年までに移設完了するという目標が迫っている。菅首相は,後者の本から何を学んだのか,すぐに詰問されることになる。言わずもがなのことを言ってしまった,と後悔する時期が来るという予感が,筆者にはある。日米同盟を重視し,同時に沖縄県の負担軽減を重視するという施策の実現性は皆無だと思う。
→普天間問題に関して,筆者は,日米の国民が気付かず,決定的に欠落しているものがあると思う。それは,「沖縄県民へのお詫びの気持ち」ではなく,「沖縄県民への感謝の気持ち」である。(筆者)
6/4 内閣府 「子育て費用に関する調査報告書(概要)」
(1)調査対象と方法:第1子として0歳~中学3年生(15歳)までの子をもつ親に対するインターネットによるアンケート調査
(2)調査期間:2009年11月1日~30日
(3)調査結果のポイント
①子育て費用が最もかかるのは「中学生」で,未就学児の約1.5倍
②年齢・学年で支出の変動が大きい「習い事の月謝等」と「学習塾費」
③家計負担割合が高い子育て費用は,「中学生の教育費」と「未就学児の保育費」
④地域別ではどの就学区分でも,東京23区の子育て費用が突出
⑤最も優先したい子ども手当の使い道は,「子どもの将来のための貯蓄」が約4割超(43.4%)

→本報告書は,2010年4月28日に公表されたが,6月1日から支給される「子ども手当」との関連で,公表時期が操作されたと思い,記事にはしなかった。筆者は,「子ども手当」を天下の愚策といい続けてきた。また,「子ども手当」は,小沢幹事長が一存で民主党マニフェストに記載させ,固執してきた施策であったと思い込んでいる。当人が辞任することになったので,この機会に記事として掲載し,コメントする。
→政府は,「子ども手当の7割は消費にあてられる」と国会で答弁してきたが,そのときには本調査結果の「貯蓄に回す割合が43.4%」であったことを,すでに知っていたのではないかという疑義がある。新首相および新幹事長には,民主党には隠蔽体質は断じてないと思うが,あるとすればその排斥を望みたい。なお,「子ども手当の見直し」に関しては,①外国人や養護施設の子どもへの支給の適正化,②財源はどうするのか,③来年度の制度設計のメドが立たない,などという課題が挙げられている。
→本日決定するであろう新閣僚・党役員の人事,特に厚生労働省政務三役に注目している。残留しないことを願っている。(筆者)
6/3 厚生労働省 「2009年人口動態統計月報年計(概数)の概況」

<結果のポイント>
①出生数は減少(107万25人)
→合計特殊出生率の上昇が4年ぶりに止まる(1.37)
②死亡数は減少(114万1920人)
→第1位は悪性新生物で34万3954人,第2位は心疾患18万602人,第3位は脳血管疾患12万2274人
③自然増減数は減少(△7万1895人:過去最大)
④死産数は減少(2万7021胎)
⑤婚姻件数は減少(70万7824組)
→平均初婚年齢は,夫30.4歳,妻28.6歳,さらに晩婚化が進んでいる
⑥離婚件数は増加(25万3408組)
・都道府県別の合計特殊出生率は,沖縄(1.79)が最も高く,最低は東京(1.12)であった。厚生労働省のコメントとして,出生率(1.37)が横ばいとなった要因は,「赤ちゃんの数は減ったが,分母となる母親も減ったため」と報道されている。

→3福祉士国家試験受験者は,上記ポイントを記憶しておく必要がある。
→鳩山首相が辞任された。辞任の際の演説は,素直に聞けたし,みごとだった。愚直さを貫かれたことに敬意を表する。次期首相として,現閣僚や政務三役にも多く見受けられる,小器用で,口が達者で,歯切れがいい割には理念も深い考えもないように見える民主党議員が政権を担うことを想像すると,気が重くなる。筆者は,閣内から次期首相を出すのであれば,岡田克也氏が相応しいと思っている(次期首相が他の者なら,次期幹事長)。(筆者)
6/2 国立社会保障・人口問題研究所 「第4回全国家庭動向調査の調査結果」(要旨 / 概要 ・全国家庭動向調査は,5年ごとに既婚女性を対象に実施するもので,今回は2008年7月に6,870人から得た回答を分析している。調査は,家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため,家庭の出産,子育ての現状,家族関係の実態を明らかにすることを目的にしている,と説明されている。
・新聞記事における「見出し」の例示
A新聞 NK新聞
共稼ぎの妻,なお大変 夫の6人に1人,家事手伝わず 「女性は家庭にの妻増える」 減少傾向から一転 家族観に伝統回帰の兆し

→マスメディアの取り上げ方の多くは,NK新聞に類似のものであった。NK新聞の記事には,当該研究所のコメントとして,「伝統的な家族間に回帰する兆しが見られる」「前回の調査は小泉改革の最中だったことが影響した可能性がある」「夫の家事は多少改善しているが,妻の負担は依然大きい」「妻の負担を減らすためには夫が定時退社したり,育児休暇を取得したりできるよう,より実効性のある政策を整備する必要がある」,などを紹介していた。このことからも,マスメディアは,省庁等から発表されたものをそのまま記事にして,報道していることが多いように思われる。一度,先入観を持たずに,左記の調査結果の原本を見て,自身の「見出し」を作り,分析してみることを勧めたい。
→何よりも,筆者は,この調査結果や分析の公表に2年近くもかかっていることが不思議でならない。(筆者)
6/1 厚生労働省 「自殺未遂による傷病に係る保険給付等について」(2010年5月21日通知)

健康保険等において,次のような場合には,保険給付の制限または調整が行われる。

①故意の犯罪行為又は故意に事故をおこしたとき
②けんか,よっぱらいなど著しい不行跡により事故をおこしたとき
③正当な理由がなく医師の指導に従わなかったり保険者の指示による診断を拒んだとき
④詐欺その他不正な行為で保険給付を受けたとき,又は受けようとしたとき
⑤正当な理由がないのに保険者の文書の提出命令や質問に応じないとき
⑥感染症予防法等他の法律によって,国又は地方公共団体が負担する療養の給付等があったとき
・健康保険法,船員保険法,国民健康保険法,高齢者医療確保法では,故意に給付事由を生じさせた場合は,その給付事由についての保険給付等は行わないことと規定されている(左記①に該当)。ただし,自殺未遂による傷病について,その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められる場合は,「故意」に給付事由を生じさせたことに当たらず,保険給付等の対象とされている。
・健康保険法は,原則として故意の負傷の場合には保険給付を認めていないが,厚労省は精神疾患による自殺未遂は例外とする解釈をこれまでにもにも示している。しかし,「自殺未遂の場合は一切,保険は適用されない」と誤解している健保組合などもあることから,あらためて周知することにした,と説明されている。また,2009年7月,東京都で自殺を図り意識不明となった長男の治療費に保険が適用されず,負担を苦にした母親が長男を刺殺する事件が背景にあるとされている。

→自殺未遂の場合は,療養の給付などは,原則として行われないが,自殺の場合は,埋葬料・埋葬費・家族埋葬費は支給される。このような保険給付の知識は,ソーシャルワークの実務では必須の知識であるが,現行の3福祉士国家試験で求められる知識レベルを超えるものである。
→3福祉士国家試験受験者の方に申し上げたいことは,医療保険制度を例にしても,3福祉士国家試験合格程度の知識レベルでは,ソーシャルワークの利用者への相談支援の実務においては,「役に立たない専門知識」「何も知らない専門職」という評価を受ける可能性があるということである。3福祉士が「専門職」として社会的な認知を受け,社会的な地位を向上させるためには,利用者,他の専門職および世間が認める知識レベルに達していなければならない。やまだ塾のテーマの一つである「知識・情報の質量を向上させる~知識・情報不足では話にならない~」は,そのことを指している。3福祉士国家試験の合格は,スタートラインに立ったに過ぎないと考えていただきたい。筆者も含めて,「福祉専門職」は,地道に,研鑽を積み重ねていくことが求められていると思う。(筆者)
5/31 厚生労働省 「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめ」(概要 / 本文

「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームとりまとめについて」(政策レポート)

<3福祉士国家試験の過去問>

最近の日本の自殺に関する次の文章は正しいか?(12-精神専門)

20
歳から39歳までの男性の自殺死亡率は徐々に高くなっている。
②自殺死亡率は,東京都や大阪府などの大都市で高い。
③自殺死亡者数は,平成20年になって3万人以下に減少した。
④年齢階級別の自殺死亡者数は,30歳代が最も多い。
⑤自殺死亡者のうち,無職者の割合は20%程度である。


解答:○=,×=②~⑤

<3福祉士国家試験の過去問>

「自殺対策白書(平成19年版)」に関する次の文章は正しいか?
(21・11-社会・精神共通)

①戦後の自殺者数の推移を見ると,一貫して増加しているが,平成元年以降は,自殺者数の全体に占める女性の割合が増加している。
②「年齢階級別」に自殺者数(平成18年)を見ると,15歳から24歳の若者の自殺が最も多く,学校問題,男女問題が主たる動機となっている。
③「主要7カ国」の自殺死亡率(WHO調査)を比較してみると,我が国は最も死亡率が低いが,近年,各国との差は縮小している。
④政府は,平成12年には自殺総合対策会議を設置して,自殺死亡率の減少に関する数値目標を初めて設定した。
自殺対策基本法(平成18年)の基本理念では,自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきでなく,その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえて,自殺対策を実施することとしている。

解答:○=
,×=①~④

<3福祉士国家試験の過去問>

「自殺に関する調査結果」(「平成18年人口動態統計」と「平成19年中における自殺の概要資料」(警察庁)に関する次の文章は正しいか?
(21-介護)

①自殺による死亡者数は,年間10万人を超えている。
②自殺による死亡者数は,肺炎による死亡者数より多い。
③都道府県別自殺死亡率には,差異が見られない。
自殺の動機の1番は,健康問題である。
⑤女性の自殺死亡率は,男性の自殺死亡率より高い。

解答:○=
,×=①~③
・厚生労働省は,自殺防止対策とあわせて,地域・職域におけるうつ病・メンタルヘルス対策の一層の充実を図っていくための検討を行うために,2010年1月21日に「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」を設置し,5月28日に「とりまとめ」を行い,公表した。
・職場の定期健康診断にうつ病などの精神疾患に関する検査項目を実施したり,失業者へのメール相談を強化したりすることを柱とする自殺防止対策である。
・なお,厚生労働省は,健康診断の検査項目追加については,労働安全衛生法を改正し,2011年度中に実施することを目指す,と報道されている。

<2月22日記事の再掲(抜粋)>
→これまでの日本の自殺予防対策は,効果がまったく出ていない。その理由は何だろうか。
→思いつくままに,筆者の感じている自殺予防対策に関する不思議を挙げてみる。まず。12年もの間3万人台というのが不思議でならない。
マスコミが,実態調査すら実施しない国の責任を,12年も追及しないことを不思議に思う。国が,精神科に早期に受診することを国民に促進してから自殺の主な原因とされる「うつ病」が急増してきたという事実が無視されていることを不思議に思う。子どものいじめ自殺があってもスクールカウンセラーの有効性や責任性が問題にされないことを不思議に思う。日本で発表される自殺者数には変死者や失踪者が含まれていないことが不思議でならない。国民に知らされていないことが多くあるのではないかと思う。(筆者)

→筆者は,職場にうつ病検査を導入することについて,広く英知を集めたとは到底思えない上記のメンバーの検討だけで,実施に移すことに疑問を感じ,将来に禍根を残すものと考える。
→蛇足であるが,諸外国との比較について,以下に所感を述べる。今回のとりまとめにおいて,「英国イギリスで行われたように,日本においても自殺やうつ病が社会経済に与える影響を数量化する」や,「デンマークの労働環境法を参考にしながら,事業場の労働環境評価についてのガイドラインを策定し,労働者の健康を守るという観点で,心理社会的職場環境についてモニタリングを行う」,など外国のつまみ食いをしている文面が見受けられる。しかし,フィンランドについて触れられていないのはどうしてであろうか。フィンランドの自殺対策は,全国民の問題意識に裏打ちされた理想的なものといわれている。フィンランドは,かつてはヨーロッパのなかで自殺死亡率の高い国であったが,2002年には,高自殺死亡率のピークであった1990年に比較して自殺死亡率の30%減少を達成した。フィンランドの国レベルでの自殺対策は世界的に高く評価されて,多くの国のモデルとなっている。なお,フィンランドでは,40あまりあったサブプロジェクトの一つに「うつ病に対するプロジェクト」というのがあったので,今回のプロジェクトの名称は「フィンランド」」からパクったのだと思う。「フィンランドほどの国家戦略を持ってしても,自殺対策が成果を示すのには10年あまりの月日を要している」(2007年自殺対策白書)といわれている。
→筆者は,最優先で外国の物まねをしなければならないのは,マスメディアに対する自殺報道に関する事柄であると思う。先進諸国では,地域住民の自殺や精神疾患に対する態度は,メディアの報道によって影響を受けると認識され,そのことはジャーナリストにも重く受け止められているといわれている。一方,日本では,自殺総合対策大綱において,「マスメディアの自主的な取組への期待」が記載しているだけであり,日本のマスメディアへの適切なアプローチがなされているとは思えない。2008年度硫化水素自殺事案とマスメディア報道との関連に関して,2008年4月・5月時点の自殺者数の増加と,新聞紙面・テレビ報道の露出度は比例していたというデータが出されているが,その後の対応が十分だとは思えない。少なくとも,「WHO自殺予防メディア関係者のための手引き2008年改訂版日本語版」と同じく,「2009年度自殺対策白書」で紹介しているオーストラリアの「Reporting Suicide and Mental Illness,2009」についても,日本語に訳して,日本のマスメディアに周知させるぐらいの活動をすべきではないかと思う。
→最後に,厚生労働省の本プロジェクトチームによって,4か月のやっつけ仕事でまとめられたものが,「自殺予防対策」として効果的であるとはどうしても思えない。
(筆者)

5/12
精神障害者雇用安定奨励金の創設,2/22「いのちを守る自殺対策緊急プラン」の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(心の健康-「自殺」)
5/28 気象庁 5月27日から「大雨などの警報が,市町村ごとに発表される」ことになった

<3福祉士国家試験の過去問>

「災害」に関する次の文章は正しいか?

①市町村社会福祉協議会は,災害時の要援護者支援を行うことが社会福祉法で定められている。
(21・11-社会・精神共通)
危機介入アプローチでは災害や急病といった突発的な出来事ばかりでなく,ライフサイクル上の課題等によるストレスも視野に入れて介入を行う。
(21-社会)
災害の被災者は自らの生命の危険を感じるだけでなく,死別や喪失,生活変化などで急性ストレスや慢性ストレスが生じやすい。
(20・10-社会・精神共通)
避難所生活が長期になる場合は,廃用症候群の発生予防に努める。
(19-介護)

解答:○=②③④,×=
<2010年5月27日からの気象庁発表の変更点>
①大雨警報などの気象警報・注意報を,これまで都道府県をいくつかに細分した区域を対象に発表されてきたが,2010年5月27日から,「○○市に大雨警報を発表」のように,すべての気象警報・注意報について,原則として個別の市町村を対象として発表される。
②また,大雨警報を発表する際には,特に警戒を要する災害を,「大雨警報(土砂災害)」「大雨警報(浸水害)」のように警報名と併せて知らされる。

<市町村ごとに発表される気象警報・注意報の詳細な内容が確認できる主なサイト>
「気象庁防災気象情報のサイト 」
「国土交通省防砂情報提供センターの携帯電話サイト」

→1日の雨量が100ミリを超える猛烈な雨が降る日数は,この100年間で1.2倍に増え,今後更に増えると予測されており,「避難勧告」などが出されるケースが多くなると想定されている,とのことである。
→気象庁をはじめとする科学の専門家は,「地球温暖化の影響」だと,さも当たり前のこととして断定的に説明するが,温暖化なのに,5月末でも冬服を着る状況が続いていることが,素人には理解できない。辻褄が合わないように思えるので,都合のいいデータで,都合よく説明されているのではないかと思ってしまう。このように,素人は,断定的に,難しいことを難しく言われると,気象予測などでも予測が外れると,つい文句を言いたくなってしまう。日本では,科学的なデータを基に,素人に分かりやすく説明しなければならない省庁の努力や工夫が,決定的に不足しているように思えてならない。素人の受け止め方や心理,さらには国民性を研究し,例えば,「避難勧告を出して,被害が出なかったとき」でも,文句ではなく,「被害が出なくてよかったね」と素直に言ってもらえるような状況にしていく努力や工夫が必要だと思う。左記のパンフレットも,一見して,ごたごたと,難しく書いてあるように思えて,読む気がしなくなった素人は多いと思う。
→官民を問わず,サービスを提供する側は,「顧客第一」「現場重視」の誠実な姿勢がなければ,ユーザーからの支持は得られない。(筆者)
5/27 内閣府 「2010年版 子ども・子育て白書」(概要 / 本文)(旧・少子化社会白書)

<3福祉士国家試験の過去問>

「少子化」に関する次の文章は正しいか?

①少子化によって15歳未満の子どもが不在で今後も新たな人口増が見込めない集落を,限界集落という。
(21・11-社会・精神共通)
児童虐待を防止することは,子育て支援体制の充実という少子化対策の面からも重要な意味を持っている。
(20-社会専門)
③最近の日本の合計特殊出生率は,韓国,ドイツ,イタリア,フランスなどと同水準であり,先進諸国の中でも最も低い水準にある。
(18-社会専門)

解答:○=,×=①③

・「2010年版 子ども・子育て白書」(旧・少子化社会白書)が決定された。今後5年間の子育て支援を総合的に進めるための基本的な指針である「子ども・子育てビジョン」の作成の背景や意義について説明され,これまでの「少子化対策」から「子ども・子育て支援」へと視点を移し,社会全体で子育てを支えることなどをうたっている。
・白書の構成:
①第1部では,「子ども・子育てビジョン」(2010年1月29日閣議決定)の策定の背景や意義概要について説明するとともに,出生率等の現状やこれまでの取組、仕事と生活の調和の推進について解説している。
②第2部では,2009年度に講じられた子ども・子育て支援策について,「子ども・子育てビジョン」における「目指すべき社会への政策4本柱」および「12の主要施策」の項目に従い整理し,記述されている。

→本白書では,(独)労働政策研究・研修機構の2003年度から2004年度にかけて研究され,2005年に研究報告された「若者就業支援の現状と課題-イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から-」「平成19年労働力需給の推計」が,引用されている。また,内容に関しては,福島担当大臣の独特な考えが大きく反映され,白書の呼称も変えられた。
→筆者は,これまで「高齢化」に対比するための言葉として「少子化」が用いられてきたことに対して,国民の間では,一般的な言葉として定着し,おおむね曲解はされていないと考えている。しかし,福島少子化担当大臣は,「少子化」という言葉を使ってきたことで,これまで出生数や合計特殊出生率に議論が集中してきたという認識をもち,今回,呼称を変更したのだと理解している。この流れでいくと,「福島少子化担当大臣」は,「福島子ども・子育て支援担当大臣」とでも言い換えるのだろうなあと思っている。どのような言葉に変えても,当該政策の評価として,出生数や合計特殊出生率が重要な指標になることに変わりはない。(筆者)


5/20「2010年版 高齢社会白書」,1/31「子ども・子育てビジョン」の記事を参照
5/26 - ■口蹄疫の法的な根拠である「家畜伝染病予防法」「口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針」を確認する
(2010年5月28日追記)
口蹄疫対策特別措置(法案 / 要綱)が5月28日の参議院で可決・成立した。

<3福祉士国家試験の過去問>

「感染症」に関する次の文章は正しいか?

ノロウイルス感染症患者の嘔吐物は,塩素系消毒剤で消毒する。
(22-介護)
②感染症予防法に基づき行われる「健康診断および就業制限に関する事務」は,地方公共団体が行う自治事務である。
(20・10-社会・精神共通)
感染症予防法は,1998年に伝染病予防法,性病予防法および後天性免疫不全症候群の予防に関する法律を廃止・統合して制定された。
結核予防法は,2006年の感染症予防法の改正に伴い廃止された。
(③④:14-介護,現時点の問題に修正)

解答:○=①③④,×=
→2010年4月20日に,宮崎県において口蹄疫の疑似患畜の1例目が確認された。
→5月25日時点においても,農林水産副大臣は「埋められずに豚が何万頭も放置されてしまった事実が拡大を招いた」と指摘し,問題点として用地選定が遅れたことを挙げ,農林水産大臣は「唯一最大の決め手は,早く殺処分して埋め,消毒を徹底するしかない」との見解を示したという状況である。同日,宮崎県知事は,殺処分した家畜を埋める土地を買い上げると発表したと報道されている。国と県の関係や連携がギクシャクし,そのために対応が遅れているように見えるようでは,国民の不安は増大する。
→宮崎県の口蹄疫(法定伝染病,家畜伝染病)の問題は,門外漢が軽々しくコメントすべきではないが,福祉専門職であれば,国や県の法的責任の根拠を確認しておく必要があると思うので,法律と指針を掲載した。これまでの関係者の方々の努力に対しては最大限の敬意を払うが,筆者は,口蹄疫は国内で初めての症例ではなかったこと,近時に近隣諸国で発症していた事実を勘案すれば,封じ込めや感染拡大防止が先行されるべき状況にあって,責任を擦り付け合っているように見える「国と県の責任者」は,事後において厳しく検証を受けると同時に,リスクマネジメントの甘さに対する責めを受けなければならないと考える。(筆者)


<国の情報提供>
内閣官房(口蹄疫対策本部)
農林水産省
経済産業省
消費者庁
食品安全委員会
<県の情報提供>
宮崎県
5/25 厚生労働省 「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」(概要 / 本文

<3福祉士国家試験の過去問>

「ひきこもり」に関する次の文章は正しいか?

厚生労働省が示した「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドラインは,「ひきこもり」を,精神障害以外の原因で,就労や就学など「自宅以外の生活の場」が長期的に失われた状態としている。
「患者調査」と「ひきこもりの状態にある患者数の組み合わせは適切である。
(①②:12-精神専門)
③中途身体障害者の障害受容において,重度障害者は軽度障害者より「ひきこもり」になりがちで,障害受容が困難である。
(19-介護)
④「ひきこもり」と「無動無言症」の組み合わせは適切である。
(9-精神専門)

解答:○=,×=①③④
・2007年度から2009年度に取り組まれた厚生労働科学研究「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究」の研究成果として,「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」がまとめられた。
<ひきこもりの定義>
・「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」
・概ね従来通りの定義である。

→2009年7月に,ニートやひきこもりなど社会参加に困難を抱える青少年への自立支援強化を柱とする「子ども・若者育成支援推進法」が成立した。青少年が自立した社会生活を営むための支援などを定めており,政府原案では「青少年総合対策推進法」であった法案名称は,青少年の範囲を明確にすべきとの民主党の主張を受け入れて,名称変更された経緯をもつ。当時,民主党に対して,「食いつくのは,名称かよ~」,と突っ込みたくなったことを思い出した。
→2010年4月19日の「障がい者制度改革推進会議」のヒアリングにおいて,「全国引きこもりKHJ親の会」が,障害の定義に「引きこもり」を加えるよう求めた,との報道があった。親御さんが抱えておられる計り知れない苦悩と深い絶望の現れのように感じた。(筆者)


「2010年版 一問一答」(4.「地域生活定着支援センターおよびひきこもり地域支援センターの整備」について述べよ)

「ひきこもり対応ガイドライン(最終版)」(10代・20代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン-精神保健福祉センター・保健所・市町村でどのように対応するか・援助するか-)
→■「ひきこもり情報」
(NHK福祉ネットワークにリンクしています)
「明確な根拠をもつ」(子ども・青少年)
5/24 国立がんセンターがん対策情報センター 「患者必携~がんになったら手にとるガイド~」(試作版)

<3福祉士国家試験の過去問>

「がん」に関する次の文章は正しいか?

がんは「難病対策要網」によって実施される対策の対象である。
(22-介護)
②医療計画における4疾患とは,がん,脳卒中,急性心筋梗塞およびうつ病である。
③胃がんの術後の消化器障害は,内部障害に含まれる。
④疾患と治療や処置の組み合わせとして,「大腸がん」と「クリッピング」は適切である。
(②~④:21・11社会・精神共通)
大腸がんの予防には,高脂肪や低繊維食の過剰摂取に注意する。
(20-介護)
すい臓がんは,予後が不良であることが多く,肝細胞がんは,肝硬変に合併するとが多い。
(19-介護)

解答:○=
⑤⑥,×=①~④
・がん対策情報センターは,2009年6月に「患者必携(試作版)」を作成し,公開している。なお,同センターからは,2010年度以降に配布が検討されている完成版とは異なる,との注意が表明されている。

→近年,国際的に,子宮頸がんの予防ワクチンである「サーバリックス」に大きな期待が寄せられている。サーバリックスの接種と定期的に子宮頸がん検診を受診することで,子宮頸がんはほぼ100%予防が可能といわれている。日本では,2009年12月22日に「サーバリックス」(グラクソ・スミスクライン社)が販売されたが,先進国の中で最後だったといわれている。さらに,サーバリックスは既に世界100カ国以上で承認され,ほとんどの先進国が接種費用を公費で補助している状況にある。これらの現状を知った上のことと思われるが,公費での補助を2010年度の予算には計上しなかったことから,厚生労働省政務三役の見識の程度や政権内での力関係が見て取れた。少子化対策に関して,2010年1月27日の国会(参院予算委員会)で,長妻厚生労働大臣は,「イク(育)メンやカジ(家事)メンという言葉をはやらせたい」と答弁していた。そんな「つまらないジョーク」を考える暇があれば,子宮頸がんワクチンだけではなく,体外受精などの助成制度の整備をし,子を産む女性に対して敬意を払う社会意識の醸成や支援施策に心を致してもらいたいと思った。
→サーバリックスの接種対象者は10歳以上の女性で,通常3回の接種で5万円前後が必要とされている。現在,がんを予防する唯一のワクチといわれる「サーバリックス」については,筆者は,「予防接種法」に位置づけて,費用は公費で負担(約200億円といわれる)すべきと考える。(筆者)

「2010年度版今日の一問」(3.がん対策について述べよ

「がん情報サービス」(国立がんセンターがん対策情報センターのHP)
5/21 厚生労働省 「2009年 国民生活基礎調査の概況」

<3福祉士国家試験の過去問>

「国民生活基礎調査」(2008年)に関する次の文章は正しいか?

①単独世帯の構成割合は,10%以下である。
高齢者世帯の平均所得は,約300万円である。
高齢者世帯の所得の内訳は,約70%が公的年金・恩給である。
④暮らしが苦しいと答えているのは,高齢者世帯の40%以下である。
(21-介護,2006年版を2008年版で出題し直している)
65歳以上の者のいる「単独世帯」の数は,1995年に比べて4倍になった。
65歳以上の者のいる世帯構造別の構成割合は,「単独世帯」,「夫婦のみの世帯」,「3世代世帯」の順に多い。
(22-介護)

解答:○=
②③,×=①④⑤
・国民生活基礎調査は,世帯ごとの平均所得や人員構成などに関する調査で,厚生労働省が政策の基礎資料とするため,1986年から毎年実施されている。全国から無作為に対象を抽出し,調査員が各世帯を訪問して前年の状況を聞き取る。保健や医療,福祉,年金などの分野について調べる大規模調査は3年ごとで,次回は2010年に実施されることになっている。
<構成>
(1)世帯数と世帯人員数の状況
①世帯構造及び世帯類型の状況
②65歳以上の者のいる世帯の状況
③児童のいる世帯の状況
(2)各種世帯の所得等の状況
①年次別の所得の状況
② 所得の分布状況
③世帯主の年齢階級別の所得の状況
④所得の種類別の状況
⑤生活意識の状況
<高齢者世帯に関するポイント>
・65歳以上のみの高齢者世帯数が962万3000世帯(前年比4.0%増)と過去最高となり,全世帯に占める割合が20.0%と初めて2割台となった。独居高齢者が463万1000人(同6.4%増)に増加したことなどが影響した。
・全高齢者世帯のうち独居高齢者の割合は48.1%で,男性が13.4%(前年12.5%),女性が34.8%(同34.5%)となり,男性は過去最高であった。国内の総世帯数は4801万3000世帯(同0.1%増)であった。65歳以上の高齢者がいる世帯が初めて2000万世帯を突破し,全世帯の41.9%を占め,2012万5000世帯(同1.8%増)になった。
・高齢者世帯の増加に伴い,全世帯の平均就業人数が低下したことで,年間の平均所得金額は547万5000円(前年比1.6%減)と,1994年以来の減少傾向が続いている。「生活が苦しい」とする世帯は全世帯の58.1%で,過去最悪となった。

→国民生活基礎調査の実施に際して,「少子化対策」および「高齢社会対策」の参考資料として活用することが主な調査目的と説明されている。そのため,3福祉士国家試験においては頻出である。なお,第22回介護福祉士では,左記の通り「2008年版」から出題されたことから,今後,3福祉士国家試験においては,これまでのように古い版での出題(例えば,第21回介護福祉士では「2006年版」であった)ではなく,6月ぐらいまでに公表される調査等については,最新版で出題される可能性が高いと考えられる。(筆者)

「明確な根拠をもつ」(基本となる調査・統計)
5/20 内閣府 「2010年版 高齢社会白書」(概要 / 本文

<3福祉士国家試験の過去問>

「2007年版 高齢社会白書」に関する次の文章は正しいか?

日本の高齢化の現状は,2006年には5人に1人が高齢者となっており,2055年には,2.5人に1人が高齢者,4人に1人が後期高齢者で,現役世代1.3人で1人の高齢者を支える社会が到来すると推計されている。
2005年現在,高齢者のいる世帯は全体の4割,そのうち「単独」「夫婦のみ」で過半数となっている。
2005年の高齢者の世帯の貯蓄は全世帯の約1.4倍であるが,300万円未満の世帯も約1割であった。
日本は平均寿命だけでなく,健康寿命も世界で最も長いが,健康についての高齢者の意識をアメリカ,ドイツ,フランスおよび韓国の4か国と比較してみても,「健康である」と考えている者の割合は,日本が64.4%で最も高い結果となっている。
(19-介護,2005年版を2007年版で出題し直している)

解答:○=
①②③④
・高齢社会白書は,高齢社会対策基本法に基づき,1996年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
・マスコミの取り上げ方の例として,特徴ある2紙を比較してみた。

A新聞 Y新聞

高齢者の犯罪,10年で3倍 白書「孤立が再犯の要因」

独り暮らしの高齢者の3割以上は終日,周囲と会話をしないことが日常的になっており,高齢者の社会的な孤立が進んでいる。一方,高齢者による犯罪が増えており,社会的孤立がその要因になっているという。

白書によると,65歳以上は過去最高の2,901万人で,全体の22.7%を占める(2009年10月現在)。2010年時点の独り暮らしの高齢者は465万人と推計される。

内閣府の調査(2008年度,60歳以上の3,398人が対象)では,周囲との会話が電話やメールを含めて2~3日に1回以下という人が,独り暮らしでは35.2%(男性41.2%,女性32.4%)だった。未婚の人の場合も3人に1人の割合で,健康状態が悪い人や暮らし向きが苦しい人も,周囲との接点が乏しい傾向にある。

困った時に頼れる人がいるかどうかでも,独り暮らしや暮らし向きが苦しいと,「いない」という割合が大きい。特に未婚者の2割は,頼れる人がいなかった。

一方,高齢者による犯罪は年々増加。2008年には5万件近くになり,10年間で3倍になった。高齢者全体に占める犯罪者の割合も2.3倍に。万引きなど窃盗が約3分の2を占める。高齢者の犯罪者のうち3割が再犯で,社会的な孤立が犯罪を繰り返す要因だと指摘している。

白書は孤立化を防ぐため高齢者同士の連携を強めることを提言。高齢者の8割が「手助けをしたい」と考えているという調査結果をもとに,サポート役の高齢者の養成を促している。

高齢男性の独り暮らし急増,孤立化の懸念も

高齢者の中で独り暮らしの人の割合が増加し,2030年には男性17.8%,女性20.9%に達するという推計値を提示した。特に男性の増加が顕著だとしたうえで,「男性の独り暮らしは社会から孤立しているものが多い」と懸念を示している。

65歳以上の高齢者は2009年10月1日で2,901万人となり,総人口に占める割合(高齢化率)は過去最高の22.7%に達した。1980年には男性4.3%,女性11.2%だった独り暮らしの割合は,2005年には男性9.7%,女性19.0%となった。

独り暮らしの高齢者は他の世帯と比べて健康や生活費などの心配を抱えている人が多く,内閣府の調査でも「友人との交際が少ない」「日頃の会話が少ない」と回答する割合が高いとした。そのうえで,高齢者の孤立を防ぐため,働く機会を増やしたり,地域に交流の場を設けたりすることを提唱した。

→2010年1月のT新聞の「生活図鑑」という記事の見出しに,「進む高齢化と社会保障~延びる寿命 少子化対策の拡充を~」というのがあった。この記事を見たときに,深い考えもなく,以下のような感想を持った。現在でも,多くの若者に正規の安定した就職先がなく,労働力が余っている状況であるのに,これから少子化対策をやって,出生率を上げて子どもの数を増やしても,仕事にあぶれる若者をこれまで以上に作り出すだけで,労働力を確保して医療や年金を賄うという高齢社会対策にはつながらないのではないかと思った。いいかげんに,日本の少子高齢社会に対する胡散臭い考え方やその対策を,きちんと正せる政治家が出てきてくれないものかと思った。
→福祉専門職には,鵜呑み,丸呑み,受け売りではなく,根拠に基づいて,自身の考えをもつ努力が求められている,ということを伝えたくて,このコメントを書いた。(筆者)
5/19 厚生労働省 「男女雇用機会均等法のあらまし」(パンフレット)
2010年5月28日追記)
→■「2009年度男女雇用機会均等法の施行状況」


<3福祉士国家試験の過去問>

男女雇用機会均等法に関する次の文章は正しいか?


①1999年に成立した「男女雇用機会均等法」の前文では,男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置づけている。
②男女雇用機会均等法における「積極的改善措置」とは,当該法に定める活動に参画する機会の男女間の格差を改善するため,必要な範囲内において,男女のいずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう。
(①②:18-社会)
③男女雇用機会均等法は,男女が共に責任を負うべき社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的の一つとしている。

(14-介護)

解答:
×=①②③

<男女雇用機会均等法の経過>
・1972年:「勤労婦人福祉法」制定・施行
・1975年:国連の「国際婦人年」
・1979年:「女性差別撤廃条約」国連採択
・1985年:「女子差別撤廃条約」の批准のために,「勤労婦人福祉法」を改正して「男女雇用機会均等法」に改称⇒肝心な部分については,差別の「禁止」ではなく「努力義務」で,内容的にも,不十分で実効性に欠ける法律であった
・1985年:日本が「女子差別撤廃条約」批准
・1997年:1回目の改正(1999年4月施行)⇒すべての場面の差別を禁止すると同時に,積極的な男女格差を是正するための措置(ポジティブアクション)やセクシュアル・ハラスメントを防止する事業主の配慮義務を定めた法律となった
・2006年:2回目の改正(2007年4月施行)⇒「2006年の通常国会で成立した法律」

・2007年11月30日:「男女雇用機会均等対策基本方針」制定⇒男女雇用機会均等法第4条に基づき策定される方針で,2007年度から2011年度までの5年間について,男女雇用機会均等対策における政府の施策の基本となるべき事項が定められている
<目次>
①募集及び採用
②配置・昇進・降格・教育訓練等
③間接差別
④婚姻,妊娠,出産等を理由とする不利益取扱い
⑤セクシュアルハラスメント防止
⑥母性健康管理
⑦派遣先に対する適用,深夜業従事の女性労働者に対する措置
⑧ポジティブ・アクション
⑨紛争の解決の援助・調停制度・報告の徴収等
⑩コース別雇用管理についての留意事項
⑪労働基準法(女性関係)
⑫機会均等推進責任者

5/7「セクシュアルハラスメント」には,毅然とした態度で臨む),5/6「データブック国際労働比較2010」,4/13「2009年版 働く女性の実情(女性労働白書)」,4/6(■「日本の女性研究者の数」,2/24「男女雇用機会均等法,育児・介護休業法,パートタイム労働法に基づく紛争解決援助制度」,2009年12/11「男女共同参画社会に関する世論調査」,7/28「2008年度男女雇用機会均等法の施行状況」の記事を参照
5/18 厚生労働省 「介護保険制度に関する国民からの意見募集の結果」

<3福祉士国家試験の過去問>

介護保険制度に関する次の文章は正しいか?


①介護報酬の改定は,原則として3年に1回の頻度で実施されているが,これまでの改定はすべてマイナス改定であった。
②地域包括支援センターが創設されたことにより,在宅介護支援センター(老人介護支援センター)が再編され,介護保険法上のセンターとされた。
介護保険制度の創設に伴い,医療保険におけるサービスの一部が介護保険に移行したため,平成12年度の国民医療費は前年度に比べ減少した。
(①~③:22-社会)
④介護保険の給付に関して,保険料を1年以上滞納している者は,給付を受けることができない。
訪問介護は,「介護福祉士その他政令で定める者」によって行われる。
(④⑤:22-介護)

解答:○=③⑤,×=①②④
<2月25日記事の再掲(抜粋)>
「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」に関して
→2009年4月に,厚生労働省が主導して強引に実施した要介護認定基準の変更に伴う混乱・影響を検証する検討会(「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」)が,2010年1月15日に終了し,介護認定について幕引きがされた。
→筆者は,「要介護認定」の問題に,あたかも決着が付いたかのように,当該検討会を終結させた長妻担当大臣の見識を疑う(左記議事録を参照されたい)。振り返れば,
2009年5月の「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪 公開政策討論会」における「介護保険に係わる公開質問と各政党の回答」において,民主
党は,「民主党は,要介護認定区分の見直し,ケアマネジメント,要介護認定制度のあり方を含めた検討を早急に行い,見直しにあたって,介護支援専門員(ケアマネジャー)の判定による高齢者ニーズに基づく要介護認定制度を基本とする方針です。」と回答している。にもかかわらず,介護認定に関して,年間700億円もの費用投入の妥当性の問題が残っているのに当該検討会を終わらせたこと,また厚生労働省予算案の予算編成において,介護支援専門員資質向上事業の減額がなされていること,は納得できない。(筆者)

→「介護保険制度」に関して,今後は,以下の結果だけが一人歩きすることになると思う。
2.介護保険制度への評価
○約6割が介護保険制度を評価している
○一方,評価していない人が約2割
→「約6割が介護保険制度を評価している」という結果があれば,介護保険制度を抜本的に見直しする,ということにはならないと考えられる。福祉専門職であれば,社会調査の知識を持ち,アンケートの作り方および答え方等の技術的な問題点を理解していなければならない。(筆者)

5/17特別養護老人ホームへの詰め込み策を進めようとしていると思える,4/20『ただいま それぞれの居場所』が公開されている:ドキュメンタリー映画,4/7福祉専門職として,「走りながら考える」はずが,10年間走るだけだったと言われている介護保険制度の「改正すべき項目」が挙げられますか?)2/25「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」の記事を参照
5/17 厚生労働省 特別養護老人ホームへの詰め込み策を進めようとしていると思える

<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>
大臣 ・長妻昭衆議院議員
副大臣 細川律夫衆議院議員
長浜博行参議院議員
政務官 山井和則衆議院議員
足立信也参議院議員

<3福祉士国家試験の過去問>

特別養護老人ホームおよび養護老人ホームに関する次の文章は正しいか?


老人福祉法上の特別養護老人ホームおよび養護老人ホームへの入所適用年齢は,65歳以上である。
(21-社会)
②市町村における社会福祉の行政計画に関して,老人福祉計画は,高齢社会対策基本法により策定が義務づけられており,市町村ごとの養護老人ホームおよび特別養護老人ホームほ必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標などを定めることとされている。(
19-介護)
養護老人ホームの入所要件は,要介護認定を受けていることである。
(22-介護)
特別養護老人ホームは,高齢者への経済的援助と介護を行う施設として,老人福祉法(昭和38)に規定された。(22-社会)

解答:○=,×=③④
・4月16日の記者会見で,長妻厚生労働大臣は,特別養護老人ホームのユニット型施設の1人当たりの居室面積基準を,現行の13.2平方メートル㎡(約8畳)以上から多床室と同水準の10.65㎡(約6畳)以上に引き下げる方針を示した。
・個室ユニット化の推進と基準引き下げによって,定員を増やすのが目的とされている。


<2009年12月23日記事の再掲>
「特別養護老人ホーム待機者の状況」に関する記者会見において,長妻昭厚生労働大臣は,「特養の定員と同じくらいの人数が待機しているという深刻な状況だ。対応策を強化していきたい」と述べたことに対する筆者のコメント)
→最近,筆者は,長妻厚生労働大臣という人物は,よくもまあいつもいつも調子のいい受け答えをするものだと感心している。逆に言えば,はぐらかすような受け答えがうまいということだろう。見識があり,責任ある受け答えとしては,「対応策を強化していきたい」などとごまかさずに,例えば,「特別養護老人ホームの増設などの対応策を強化していきたい」と言うことが考えられる。
→長妻大臣は,11月4日に,待機児童解消の対策強化として,認可保育所の面積の最低基準をなくした「詰め込み策」を内閣府に提案している。正直,言うことと,することが違う人物だと思った。同時に,左記のブレーンの力量にも関連すると思った。認可保育所の「最低基準をなくす」ということは,「最低基準以下を国が容認する」ことを意味する。
→長妻大臣は,介護・障害者施設の施設面積基準については,国の最低基準をなくさないと言っていたが,まさか,今回も「特養への詰め込み策」を考えている・・・わけないよね。(筆者)

→筆者には,長妻労働厚生大臣は,待機児童における認可保育所のときと同じく,特養待機者においても特養への「詰め込み策」を進めようとしていると思える。これまで特養の居室面積基準を拡大しててきた方針を,「自己負担も下がるし建設も定員を確保しやすくなるのではないか」という何ともノウテンキな考えを披露し,一転して全国一律に縮小するという方針に変更した。居室面積基準を下げ,通知を出したぐらいで,遅れている個室化(2014年度で全入所者の70%を個室化する目標が設定されている)が進むという保障はないし,何よりも約42万人いる特養待機者に対して,どの程度対応できるのかの説明が不十分である。これから先の介護保険制度のありようにも関連がある事柄である。
→「特養の居室面積基準の引き下げ」に関しては,6月には社会保障審議会介護給付費分科会に諮問され,その答申に基づいて速やかに省令の改正が行われる予定とされている。3月25日の社会保障審議会介護給付費分科会において,2012年度の介護報酬の改定に関して,座長から厚生労働省の政務三役に対して,発言の食い違いに疑義が提出され,委員から拍手があったという報道が思い起こされる。今回,その分科会がどのような答申をするのかを注目している。
→また,「介護保険制度の見直し」については,5月中にも社会保障審議会の部会で検討が始まるとされている。被保険者やサービス受給者の拡大,要介護1の取り扱い,公費負担割合の引き上げなどが議論の対象となると見られているが,おそらく,安定した財源確保には触れないままの空虚な議論が予想される。さらに,このような状況下で,6月には厚生労働省から「介護ビジョン」が示される。(筆者)

(特養待機者に関して)
2/10「2008年 社会福祉施設等調査結果の概況」,1/17「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」,2009年12/26「特別養護老人ホーム待機者の状況」の記事を参照

(介護保険制度に関して)
4/20『ただいま それぞれの居場所』が公開されている:ドキュメンタリー映画,4/7福祉専門職として,「走りながら考える」はずが,10年間走るだけだったと言われている介護保険制度の「改正すべき項目」が挙げられますか?)2/25「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」の記事を参照
5/14 内閣府 「2009年度国民生活選好度調査結果」(概要 / 図表

<3福祉士国家試験の過去問>

社会福祉調査に関する次の文章は正しいか?

標本調査とは調査対象となる集団の一部を抽出し,母集団の特性を推測する方法である。集団の一部を抽出する方法には確率理論に基づく無作為抽出法と,確率理論に基づかない有意抽出法がある。無作為抽出法には,一定の間隔で標本を抽出する系統抽出法という方法がある。
(第20回社会専門科目より)
我が国の国勢調査は,統計法の定めるところにより,全数調査を基本とする。
(第18回社会専門科目より)
③標本調査においては,一部の標本について調査し,母集団における特定の標識について推定するので,代表性のある標本を得ることが重要である。
(第15回社会専門科目より)
標本調査は,母集団からその一部を抽出して調査を行い,その標本の特性値から母集団の特性値を推定使用とする方法である。
「社会福祉施設調査等」における社会福祉施設の数は,全数調査によって把握している。
(④⑤:第17回介護より)

※その他:第22回社会において,専門科目として「社会調査の基礎」(7問)が出題されているので確認されたい。

解答:○=
①②④⑤×
・調査目的:幸福度を表す新たな指標の開発に向けた一歩として,国民が実感している幸福感・満足感の現状を把握し,2010年6月策定予定の「新成長戦略」に反映させる。
・調査対象:母集団は全国に居住する15 歳以上80 歳未満の男女で,標本数は4,000人(層化二段無作為抽出法)である。
・調査期間:2010年3 月11 日~3 月22 日(12 日間)
・調査方法:調査員が調査票を配布,回収する訪問留置法
<調査結果のまとめ>
①国民の幸福感の現状
・10 段階評価で,平均値は「6.5」であった。日本では,「5」を選択する者が多かった。欧州に比べ,日本の幸福感は低い,と分析されている。
・男女別には,女性のほうが幸福感が高い。特に10点中7 点以上の幸福感があると答えた者が男性48%に対して,女性は59%であった。
・年齢別には,30歳代の幸福感が最も高く,特に10点中7点以上の幸福感があると答えた者の割合は30歳代をピーク(61%)に,年齢階層があがるにつれ低下(70 歳代は44%)であった。
②幸福感とその判断
・幸福感に影響する要素は,①健康,②家族関係,③家計状況が3大要素である。
・企業への期待は,「給料や雇用の安定」「仕事と生活のバランス確保」であった。
・政府への期待は,「年金・医療介護・子育て」「雇用や住居の安定」が重要課題であった。
③政策への期待と満足度
・国民の幸福に直結する最重要課題は「年金」であるとの意識調査結果であり,現状最も不満を抱いているのも「年金」についてであった。
・政策的重要性はそれほど高く位置づけられていないが,不満足度の高い政策としては,「財政健全化の計画的推進」「いじめ・不登校のない社会環境実現」であった。
④新しい公共関係
・ NPO活動等の参加経験者26%,サービス利用者11%,寄付者11%であった。また,参加したくない45%,利用したくない31%,寄付したくない47%の結果も出ており,制度整備にあわせ,国民的参加の環境を整備していくことが重要,と分析されている。

→次回の3福祉士国家試験において,社会調査に関して,世論調査等でよく用いられている「層化二段無作為抽出法」が出題されると想定している。
→2010年2月に,鳩山首相,菅副総理兼財務相,仙谷由人国家戦略担当相で,2010年6月に策定される「新成長戦略」の具体策取りまとめに向けて,「国民の幸福度」を調査する方針を決定したと報道されていた。その折,仙石大臣は,「単なる数字のGDP(国内総生産)だけじゃない成長をわれわれがどう作っていくのか」と述べ,新たな指標を検討すると明言した,とされている。しかし,その発言のそっくりそのままが,2008年当時のフランスのサルコジ大統領の問題意識の「パクリ」であると思うが,それに関しては,まったく報道されていなかったように思う。
→現政権は,初めてのように言うが,日本でも,これまでにも幸福度の測定は検討されてきた。政府として,国民生活審議会の「国民生活指標(NSI)」および「新国民生活指標(PLI)」が改訂・中止に至った理由や,その問題点の説明は必要である。これまでのどこが問題で,現在の国際的な動向はこのようで,だからこういう考え方で,「幸福度」の調査を行う,という丁寧な説明を国民にすべきではないかと思う。(筆者)
5/13 厚生労働省 「日本の1日」+「100人でみた日本」

<3福祉士国家試験の過去問>

将来推計における次の文章は正しいか?

①「日本の世帯数の将来推計」(2008年)によると,2030年(平成42年)には,世帯主が65歳以上の単独世帯における男性の世帯は約440万世帯,女性の世帯は約280万世帯になると見通される。
「我が国の人口とその将来推計」(2006年)によると14歳以下の年少人口は,今後20年以内に増加に転じる。
「我が国の人口とその将来推計」(2006年)によると65歳以上の老年人口は,今後10年間は全人口の15%未満である。
(①~③:第22回介護より)

解答: 解答:×=すべて
日本の1日 100人でみた日本
○生まれるのは?→2,981人 ○22.7人は65歳以上である。
また,3.0人が介護サービスを受けている。
○亡くなるのは?→3,121人
・自殺で亡くなるのは?→90人
・人口の減少数は?→140人
○47.4人が生涯でがんになる。
○結婚するのは?→1,984組 ○49.3人が仕事についている。また,2.6人が失業者である。
○離婚するのは?→686組 ○5.8人が障害者である。
○ハローワークを通じて就職するのは?→5,147人 ○1.2人が生活保護を受けている。
○児童虐待の相談件数は?→117件 ○20.4人が老齢年金を受給している。
   (2003~2009年の直近の数字である。引用:厚生労働省政策会議資料)

→3福祉士国家試験においては,統計資料名や統計データを問われることが多い。統計データを記憶する場合,数値を単純に暗記するやり方よりも,上記のように統計データを「1日」や「100人」に置き換えて,イメージで記憶することを勧める。10年ほど前に,「世界がもし100人の村だったら」という書籍が評判になったことを思い出した。
→「これからの日本」を考えていく場合,国の現状の全体像を理解しておくことが重要である。民主党政権における「日本のめざす姿」は未だに明確に示されていないが,福祉専門職として,「自身の意見」は持っていなければならない。(筆者)


「明確な根拠をもつ」
「新成長戦略(基本方針)」(2009年12月30日
5/12 厚生労働省 精神障害者雇用安定奨励金の創設
~検討中であった支給要件等が明確にされた~

<3福祉士国家試験の過去問>

精神障害者の雇用・就労に関する次の文章は正しいか?

①精神障害者総合雇用支援の事業は,精神障害者の雇用促進支援・職場復帰支援・雇用継続支援を,主治医等との連携の下で,総合的に行うものである。
②精神障害者社会適応訓練事業は,事業所にジョブコーチを派遣して,障害者や事業主に対して,雇用の前後を通じて障害特性を踏まえた援助を実施するものである。
③職場適応訓練事業は,事業主と有期雇用契約を締結して雇用をすることで,就職に対する不安を軽減して事業主との相互理解を深め,その後の常用雇用を目指すものである。
精神障害者職業自立等啓発事業は,精神障害者を有期雇用した上で,仕事や職場への適応状況を見ながら徐々に就業時間を延ばして,職業的自立を図るものである。
⑤精神障害者ステップアップ雇用は,公共職業安定所を中心に地域の関係機関が障害者就労支援チームを編成して,就業から職場定着までの一貫した支援を行うものである。

⑥成長力底上げ戦略(基本構想)(平成192月)の一環であるチャレンジ雇用の推進は,一般企業が障害者に一般雇用へ向けて経験を積む機会を提供するものである。
障害者試行雇用(トライアル雇用)事業は,精神障害者に12か月の試行雇用をして事業主への雇用の契機をつくり,一般雇用への移行を促進するものである。
障害者の態様に応じた多様な委託訓練においては,都道府県に配置された障害者職業訓練コーディネーターが,委託先を開発し個々の障害者に対応して調整する。
在宅就業障害者支援制度は,自宅等で就業する障害者に対して,企業の仕事を容易に受注できるよう助成金を支給するものである。
就労継続支援事業所は,利用者が就労移行支援にチャレンジするよう促すために,期限を定めた就労機会を提供する。

(第12回精神保健福祉士国家試験専門科目より)

解答:○=,×=その他
・2010年4月1日より,精神障害者の雇用を促進し職場定着を図るため,精神障害者の雇入れや休職者の職場復帰にあたり,精神障害者が働きやすい職場づくりを行った事業主に対する奨励金が創設された。
(1)精神障害者を新規雇用する事業主
精神障害者支援専門家活用奨励金(最高180万円)
精神障害者を雇い入れ,精神保健福祉士等の精神障害者の支援に係る専門家を雇い入れまたは委嘱し,精神障害者の雇用管理に関する業務を行わせた場合に,当該専門家の賃金または委嘱費用の一部を奨励金(最高180万円)として支給される。
社内精神障害者専門家養成奨励金(費用の2/3,上限50万円)
労働者に精神保健福祉士等の養成課程を履修・修了させ,この者に新たに雇い入れた精神障害者の支援に関する業務を行わせた場合に,履修に要した費用の一部を奨励金(費用の2/3、上限50万円)として支給される。
(2)精神障害者を新規雇用又は休職者を職場復帰させる事業主
社内理解促進奨励金(費用の1/2,上限5万円)
精神障害者を雇い入れ,または職場復帰させ,精神障害者とともに働く労働者に精神障害者の支援に関する講習を受講させた場合に,受講に要した費用の一部を奨励金(費用の1/2、上限5万円)として支給される。
ピアサポート体制奨励金(25万円)
精神障害者を雇い入れ,または職場復帰させ,社内の精神障害者を他の精神障害者への配慮事項等に関する事業所への助言等,ピアサポートの業務を担当させた場合に奨励金(25万円)を支給される。


→精神障害者の雇用は促進させるべきである。
→福祉専門職(特に,精神保健福祉士)に求められるのは,職場が精神障害者の受入れを迷惑がっており,復職を受け入れた職場の同僚が困り果てている,という精神障害の専門的な知識のない者にとっての「当たり前の感覚」を理解し,受け入れる側の本音に耳を傾ける姿勢である。一方的な権利・義務の主張は,精神障害者の受入れの障害になることに留意しなければならない。(筆者)


「2010年4月から福祉関連分野で何が変わったか?」
5/11 ■イギリスは,総選挙後,すぐに新首相が決まらない事態に陥っている

(2010年5月12日追記)
保守党のキャメロン党首が5月11日夜(日本時間5月12日未明),首相に就任し,1997年ぶりの政権交代となった。キャメロン新首相は第3党の自由民主党と連立を組む意向を表明した。



<3福祉士国家試験の過去問>

イギリスの政権政策に関する次の文章は正しいか?

①イギリス保守党のサッチャーは,総合的な自立支援策を展開するために「個人責任・就労機会調停法」を制定し,就労をより効果的に促進するための勤労機会・基礎技術訓練事業(JOBS)を実施した。
②イギリス労働党のブレアは,高い生産性と経済の効率性を重視した積極的労働市場政策を展開し,国による積極的な産業間の労働力需給調整や公的部門の臨時的雇用の提供などを実施した。
(①②:第21回社会・第11回精神共通科目より)
アンソニー・ギデンズは,社会民主主義的な福祉国家でもなく,サッチャリズムに象徴される市場原理主義でもない「第三の道」という考え方を提唱して,イギリス労働党のブレア政権の福祉政策のあり方に影響を与えた。
(第22回社会・第12回精神共通科目より)

解答:○=,×=①,②
<イギリスの首相の変遷>
・1979年:サッチャー(保守党)
・1990年:メージャー(保守党)
・1997年:ブレア(労働党)
・2007年:ブラウン(労働党)

・2010年?(5月6日,総選挙の結果保守党が第1党となったが,単独過半数に達しなかった)

→イギリスでは,第1党党首(キャメロン)が首相になるという明確な規定が存在しないため,慣習によって,現労働党首相(ブラウン)が組閣を模索して辞任しない場合には,新首相は誕生しないことになっている(政権づくりの優先権はブラウン首相にある)。
→現在,第1党の保守党(キャメロン党首)と第3党の自由民主党(クレッグ党首)との連立交渉が難航し,第2党となった労働党は現ブラウン首相が辞任した上で第3党の自由民主党との連立交渉に入る方向のため,新政権の樹立が遅れていると報道されている。
→アメリカでは,2008年に「民主党政権」(オバマ大統領)が,日本では,2009年に「民主党連立政権」(鳩山首相)が誕生した。そして,イギリスでは,2010年5月6日の総選挙で保守党が第1党となり,連立政権による新首相が誕生する可能性が高くなってきた。
→福祉専門職は,国際的な大きな変化に追随できる知識・情報を獲得していかなければならない。特に,何かにつけて,日本がお手本にしているイギリスの動向には注意を払っておく必要がある。(筆者)
5/10 厚生労働省 「AEDの点検をしていますか?」

<3福祉士国家試験の過去問>

救急対応に関する次の文章は正しいか?

①語句の組み合わせとして,「意識障害」「気道確保」「保温」は適切である。
(第19回社会専門科目より)
②一次救命処置(BLS)ガイドラインでは,AEDを使用できる者は,医療職に限られる。
③BLSガイドラインでは,倒れている人に遭遇した場合,まず周囲の安全と意識の確認を行う。
(②③:第19回介護より)
④心肺蘇生法における胸骨圧迫は,毎分50~60回行う。
(第20回介護より)

解答:○=①③,×=
<日常点検のポイント>
①インジケータの確認(AEDの状態を確認するためのランプや画面を確認する)
②電極パッドやバッテリの交換(消耗品の交換時期を表示ラベルで把握する)

<1月25日記事の再掲(抜粋)>
(「救急救命士制度」に関して)

→蛇足である。医療者や介護者に取りすがり,泣きすがって懇願したことでも,結果が悪ければ,刑事罰を課され,あるいは損害賠償を請求されるのが当然という風潮や社会的意識があるとすれば,「医療・救急医療・介護の現場」はどう対処しておけばいいのだろうか。「救いを求めている人」へ手を差し伸べたいと思う医療・介護関係者の保護を,いつまでも後回しにしていていいのだろうか。日本においても,「よきサマリア人法」の必要性を感じなくもない。「医療・介護の崩壊」は,国民の意識と深く関連していると思う。(筆者)

→救命現場においては,①119番通報,②胸骨圧迫と人工呼吸,③AEDの使用,④医療機関の処置,を「できるだけ早く行うこと」が大切であるとされている。
→自動体外式除細動器(AED)の設置については,2004年7月1日に救命現場に居合わせた市民による使用の取扱いを示して(厚生労働省通知)以降,国内において普及してきた。厚生労働科学研究・調査データによれば,2008年12月現在の推計は約20万台超であった
が,AEDを9割が知っていたが,7割が使い方を知らなかったという調査結果も報告されている。
→「AEDの使い方」のイメージトレーニングとして,AEDメーカーの一つである日本光電工業(株)等の動画が役立つと思われるので,参考までにURLを紹介する。
http://www.nihonkohden.co.jp/aed/use_movieuse.html)
→救急に関連する問題として,救急車をタクシー代わりにしたり,定期的な入退院,外来通院などに利用したりする「愚か者」に対して,日本のマスメディアは寛大過ぎるように思える。筆者は,そういう輩が減らないのは,日本のマスメディアの「救急医療システムに対する認識レベルの低さ」が要因の一つになっているように思う。いつまでも「病院のたらい回し」だけを,センセーショナルに取り上げる報道姿勢には嫌気が差す。例えば,世界的に優れた制度の一つと言われ,1968年に発足し40年間かけて構築されてきたフランスの救急医療システムに関する情報提供などを丁寧に行ってほしいものである。(筆者)

3/5「2009年度不慮の事故死亡統計の概況」の記事,1/25「救急救命士制度の現状等について」を参照

「自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について」(厚生労働省)
「わが国の新しい救急蘇生ガイドライン(BLS)」(日本救急医療財団)
「2009年版 救急・救助の現況」(総務省)
「救急医療の今後のあり方に関する検討会中間取りまとめ」(2008年7月30日)
「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」(2004年7月1日)
5/7 - ■「セクシュアルハラスメント」には,毅然とした態度で臨む

<セクシュアルハラスメントの定義>
「継続的な人間関係において,優位な力関係を背景に,相手の意思に反して行われる性的な言動であり,それは、単に雇用関係にある者の間のみならず,施設における職員とその利用者との間や団体における構成員間など,様々な生活の場で起こり得るものである。」
(2004年3月男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会報告書「女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策」)

<3福祉士国家試験の過去問>

ジェンダーに関する次の文章は正しいか?

①用語と説明の組み合わせとして,「セクシュアルハラスメント」と「性的いやがらせ」は適切である。
(第12回社会・2回精神共通科目より)
②ジェンダー・セグレゲーションとは,様々な場面において女性差別の要因となる,男女の生活空間の分離をいう。
(第16回社会・6回精神保共通科目より)
③ジェンダー・メインストリーミングとは,ジェンダー平等を実現するために,政策過程においてジェンダー視点を主流化することをいう。
(第21回社会・11回精共通科目より)
ジェンダーとは,生物学的性差に基づいて形成される生得的な男らしさ・女らしさのことを意味する。
男女共同参画社会を実現するために,厚生労働省に男女共同参画局が設置されている。
コペンハーゲンで開催された国連の世界女性会議(]980)の宣言で.「ジェンダー主流化」が明記された。
社会政策におけるジェンダー・バイアスとは,男性が安定的に雇用され,女性が労働市場に参入しないことを標準とみなすようなバイアスのことである。
(④~⑦:第22回社会・12回精神共通科目より)

解答:○=①②③⑦,×=④⑤⑥
<セクハラに係る法律・指針と厚生労働省のパンフレット等>
【セクハラに係る法律・指針】
「男女雇用機会均等法」(2008年改正)
「男女雇用機会均等法Q&A」
「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(2006年)
「2008年度男女雇用機会均等法の施行状況」

【企業・事業主向けパンフレット・リーフレット】
「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」(2010年)
「職場におけるセクシュアルハラスメント対策について」(2010年)

【従業員向けリーフレット】
「職場でのセクシュアルハラスメントでお悩みの方へ」(2010年)

「職場でのトラブル解決の援助を求める方へ」(2010年)

<2009年7月28日記事の再掲>
→男女雇用機会均等法の理解が進まない。その最大の理由は,スタート段階で,左記の通り条約批准のための形づくりの法整備であり,国民の理解を置いてきぼりにしたことにある。そうであったとしても,その後改正が繰り返されているのに理解が進んでいないのはどうしてであろう。権利・義務からは十分であるが,心に訴えかけるという点において,周知や啓蒙の仕方に一工夫足りないように思える。例えば,セクシュアルハラスメントのリーフレットを見て,皆さんはどう思われますか。
→以前,NHKの解説番組で,アメリカ人会社経営者の男女平等に関する考え方を紹介していたことがあった。自分には娘が2人いる。成長したときに,恋人や配偶者から娘たちが大切に扱われてほしいと願っている。将来,2人が就職したときには,やはり職場で大切に扱われてほしいし,セクシュアルハラスメントのない職場で能力を発揮してほしい。そういう社会にしなければならないと思っている。そのため従業員には,会社や職場で何ができるのかを考えて行動してもらいたいと思っている,という内容であったと思う(かなり不正確であるが)。素直に聞くことができた。DVや職場のセクシュアルハラスメントの理解を進めるうえでの参考にならないだろうか。(筆者)

5/6「データブック国際労働比較2010」,4/13「2009年版 働く女性の実情(女性労働白書)」,4/6(■「日本の女性研究者の数」,2/24「男女雇用機会均等法,育児・介護休業法,パートタイム労働法に基づく紛争解決援助制度」,2009年12/11「男女共同参画社会に関する世論調査」,7/28「2008年度男女雇用機会均等法の施行状況」の記事を参照
5/6 労働政策研究・研修機構 「データブック国際労働比較2010」

<3福祉士国家試験の過去問>

GEMに関する次の文章は正しいか?

①女性の稼働所得割合や国会議員に占める女性の比率等を用いて算出される「ジェンダー・エンパワメント指数(GEM)」とは,女性が積極的に経済・政治活動に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るものである。

(第18回社会・第8回精神共通科目より)
国連によるGEM(ジェンダー・エンパワーメント指数)によれば,日本は,北欧諸国はともに男女の平等化が最も進んだ国々のグループに位置づけられる。
(第22回社会・12回精神共通科目より)

解答:①=○,②=×
・日本と諸外国における労働統計の国際比較資料集である。
・構成(9章):
①経済・経営,②人口・労働力人口,③就業構造,④失業・失業保険・雇用調整,⑤賃金・労働費用,⑥労働時間・労働時間制度,⑦労働組合・労使関係・労働災害,⑧教育・職業能力開発,⑨勤労者生活・福祉

→左記のGEM指数については,「⑨勤労者生活・福祉」の章において,「GEM値とは, ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)をいい,女性が政治及び経済活動に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。具体的には,国会議員に占める女性の割合,専門職・技術職に占める女性の割合,管理職に占める女性の割合,男女の推定所得を用いて算出している」と説明されている。本統計資料に目を通しておくことは無駄にはならない。(筆者)
5/5 総務省統計局 「2010年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)の推計」
~「こどもの日」にちなんで~

<2010年度の厚生労働省雇用均等・児童家庭局の主要な施策>

◎安心して子育てできる環境の整備など総合的な次世代育成支援対策の推進、仕事と生活の調和と公正かつ多様な働き方の実現
次代の社会を担う子ども一人ひとりの育ちを社会全体で応援するため,子育てに係る経済的負担の軽減や安心して子育てができる環境整備のための施策など,総合的な少子化対策を推進する。また,働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現に向け,育児・介護休業制度の拡充や企業の取組に対する支援など,育児・介護期における仕事と家庭の両立支援対策を推進する。さらに,男女雇用機会均等の更なる推進やパートタイム労働者の均衡待遇確保などにより,公正かつ多様な働き方の実現を図る。
局の総予算:2兆2,861億円
(1)安心して子育てできる環境の整備など総合的な次世代育成支援対策の推進
①子ども手当の創設(1兆4,722億28百万円)②ひとり親家庭への自立支援策の充実
③待機児童の解消等の保育サービスの充実
④すべての子育て家庭に対する地域子育て支援対策の充実
⑤児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実
⑥母子保健医療対策の充実
⑦仕事と家庭の両立支援
(2)安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる環境整備
①女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推進
②育児休業等を理由とする解雇等不利益取扱いへの対応の強化
③パートタイム労働者の正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進
④多様な働き方に対する支援の充実
<全国>
・こどもの数は1694万人,29年連続の減少
・こどもの割合は13.3%,36年連続の低下
<都道府県>
・こどもの数は東京都では増加
・こどもの割合は沖縄県が最高,秋田県が最低

→日本は,1994年に「子どもの権利条約」を批准した。しかし,これまでの国および地方自治体の児童行政においては,子どもの権利条約の精神が十分に生かされてこなかった。現政権において,国は,「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(2009年12月8日閣議決定),「新成長戦略(基本方針)」(2009年12月30日閣議決定),「子ども・子育て新システム検討会議」(2010年1月29日少子化社会対策会議決定),「子ども・子育てビジョン」(2010年1月29日閣議決定)などを表明しているが,「児童福祉のあるべき姿」が明確に示されているとはいえない。また,左記の2010年度の厚生労働省雇用均等・児童家庭局の施策においても同様であり,特に具体的施策の優先順位については,多くの国民が疑問を感じている。予算面では,2009年度の9,815億円が,2010年度には2兆2,861億円に増額されたが,「子ども手当」分(1兆4,722億28百万円)によって増額されたものである。筆者は,児童行政に対する「子ども手当」の現在の位置づけは,近い将来,「訂正」されなければならないと考えている。
→「こうのとりのゆりかごの問題」を契機として,「児童福祉法」や「児童虐待防止法」と「母子保健法」の理念・体系との間に,「切れ目」があることが指摘されている。また,ゆりかごというシステムが必要になった社会的背景として,「子育て家庭が孤立化している状況」とともに,「世間体を重んずる風潮」や「歪んだ身内意識」も見受けられるとされている(2009年11月26日の「こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告」)。筆者は,児童行政に対する重要な提言にもきちんと対応できる「賢明な政治家」が政権内には必要であると思う。(筆者)

4/295月12日は「民生委員・児童委員の日」4/19「人口推計(2009年10月1日現在)」の記事を参照

「こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告」
4/30 【「あったらいいなぁ」という話】
「普天間飛行場移設問題」での鳩山首相の言動は,「アメリカ」を追い詰めるための大芝居であった,という筆者の作り話
(これまでの経過)
・民主党は,米軍普天間飛行場(宜野湾市)を県外に移設するという公約を掲げて2009年衆議院総選挙を戦い,勝利した。そして,鳩山首相は,アメリカとの「より対等な」関係づくりを提唱して政権の座に就き,普天間移設問題を2010年5月末に決着させる方針を立てた。

これから先は,鳩山首相への期待を込めた筆者の作り話である。
鳩山首相は,政権交代当初から,普天間飛行場をキャンプ・シュワブ(名護市)に移設するという日米合意を白紙に戻し,かつ県外移設の選挙公約を果たすためには,「沖縄県民および日本国民の県外移設に反対する圧倒的な意思の形成」しかないと読んでいた。そこで,鳩山首相は,「平成の大石内蔵助役」を演じる大芝居を打った。案の定,日米のマスメディアや有識者は,鳩山首相の大芝居に引っかかり,遂にはアメリカのワシントン・ポスト紙から「愚か」とまで言わしめ,鳩山首相の名演技によって,沖縄県民および日本国民の移設反対の意思が形成された。これによって,鳩山首相は,アメリカに対して,「普天間飛行場の日本国内での移設先はない。日本国内からの撤退を求める」という意思表明を行った。そのとき初めて,日本国民は,「鳩山首相の腹案」を知ることになると同時に,世界中からアメリカの対応に注目が集まった。当時,5月末決着において,追い詰められていたのは,「鳩山首相」ではなく「アメリカ」であったことを認識している者はほとんどいなかった。アメリカが最も恐れたのは,核抑止力に直接かかわる嘉手納基地や横須賀・佐世保の空母寄港地の反対運動への飛び火であったため,アメリカは,鳩山首相の意思表明を受け入れざるを得ない状況に追い込まれていたのである。後年,米軍普天間飛行場は海外(米自治領のテニアン島)に移設され,対等な日米同盟関係をめざして,日米安全保障体制を根本的に見直すきっかけとなった。これにより,鳩山首相は不世出の政治家として歴史に名を残した。
→バブルの崩壊も,リーマンショックも,オバマ政権も,鳩山政権も,予見できなかった日本のマスメディアや有識者が,この時期に鳩山首相を一方的に断罪している。いつものことであるが,非難するだけで,提案がない。5月末には,どちらが愚鈍だったのかが明らかになる。上記は,一方的な非難・批判に嫌悪感を感じたことによる,期待を込めた筆者の作り話(「平成の忠臣蔵」)である。99%は実現しないと思うが,残り1%に夢を 託してみたくなった。
→なお,米誌タイムは,5月10日号において,2010年の「世界で最も影響力のある100人」で,日本人では「リーダー」部門で鳩山由紀夫首相を選んだとのことである。その選定理由は,2009年の総選挙で勝利し政権を取った民主党の源流をつくり,「日本が事実上の一党支配の国から,機能する民主主義に変わる一助となった」ことと速報されている。(筆者)
4/29 厚生労働省 5月12日は「民生委員・児童委員の日」

◎民生委員・児童委員の役割
①民生委員は,厚生労働大臣から委嘱され,それぞれの地域において,常に住民の立場に立って相談に応じ,必要な援助を行い,社会福祉の増進に努め,「児童委員」を兼ねている。
②児童委員は,地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように,子どもたちを見守り,子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談・支援等を行う。また,一部の児童委員は児童に関することを専門的に担当する「主任児童委員」の指名を受けている。

◎委員の委嘱数(2009年3月31日現在)
①総数:228,427人
②内訳:
・地区担当:207,327人,主任児童委員:21,100人

・男性:40.4%,女性:59.6%
<民生委員に関する主な経緯>
・民生委員制度は,1917に岡山県に設置された「済世顧問制度」(岡山県知事笠井信一)と,1918年に大阪府で始まった「方面委員制度」(大阪府知事林一蔵)が始まりとされている。
・1929年の救護法制定により,方面委員が市町村長の補助機関として位置づけられた。
・1936年の方面委員令制定による全国的な運用等を経て,1948年に「民生委員法」が制定された。
・1947年の改正児童福祉法により,民生委員は児童委員を兼務することとされた。
・1950年に生活保護法が制定され,民生委員が行政機関の協力機関として位置づけられた。
1994年に主任児童委員制度が創設され,制度化された。
・1997年に,全国民生委員児童委員協議会(当時)は,毎年5月12日を「民生委員・児童委員の日」とすることを定めた。これは,1917年5月12日に岡山県済世顧問制度設置規定が公布されたことに由来するものとされている。
・2000年の改正民生委員法により,基本理念(「保護指導」から「相談,援助」へ),性格(「名誉職」から「給与を支給しない」へ),職務内容等について改正された。
・2001年に改正児童福祉法により,児童委員の職務の明確化,および主任児童委員の法定化がされた。

→3福祉士国家試験において,民生委員制度は頻出である。(筆者)

名刺型リーフレット(「私はこの地域の民生委員・児童委員・主任児童委員です」① 
「民生委員・児童委員に関するQ&A」(厚生労働省)
「全国民生委員児童委員連合会」
4/28 厚生労働省 4月27日の「第1回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」の動画(You Tube:4時間20分
<4月21日記事の再掲(抜粋)>
→筆者は,4月19日の「障がい者制度改革推進会議」において,国民全体で議論すべき年金制度の問題であるはずなのに,「在日無年金障害者を対象とする要望」を俎上に載せていることに違和感を持った。また,4月27日に,「障がい者総合福祉法」のあり方を障害者団体の代表,有識者,行政担当者ら総勢55人で議論する「総合福祉部会」を開催することに疑問を感じている。筆者は,「当事者参加」の意義は認識しているが,参加させてほしいという諸団体からの要望を受けて構成した55人で行う会議体で,きちんとした議論が成立するとは思えない。
→さらに,具体的な財源の確保を棚上げにして,国民の理解も不十分のまま,議論を進める国の姿勢には,「子ども手当」と同様に継続性に対する危うさを感じる。過剰な期待を持たせたり,大風呂敷を広げたりすることが,国民の求めることに合致するのだろうか。
<4月14日記事の再掲(抜粋)>
→現在,病気として認められていない「新たな病」としては,脳脊髄液減少症をはじめ,慢性疲労症候群,高次脳機能障害,線維筋痛症,反復性交感神経性ジストロフィー,バレーリュー症候群,椎骨脳低動脈循環不全,機能性胃腸炎,複合性局所疼痛,神経循環無力症,咽喉頭異常症,などがあると言われている。「福祉専門職」は,病気と認知されずに,医療制度の谷間に置かれている人たち,子どもたちにも関心を払う必要がある。
<4月9日記事の再掲(抜粋)>
→筆者は,障がい者制度改革推進会議で障害者を含めて議論を深めることはすばらしいと思うが,その場の議論だけが先行し過ぎないように,障害や障害者に対する国民の理解活動も同時並行で行わなければならないと思う。ただし,今回のような,厚生労働省の粗悪な資料と雑な広報方法では,国民への理解活動を行っていることにはならない。
→3月19日の障がい者制度改革推進会議において,鳩山首相の「言いっぱなしの会議にならないよう,意見を施策に反映させる政治にしたい」との発言には大きな意味があると思う。

→福祉専門職には,障害者・当事者の生の声を真正面から受け止める姿勢を持ち続けることが求められていると思う。インターネットの普及により,生の姿や声に触れる機会が大幅に増えているので,大いに活用すべきだと思う。今回紹介した動画(You Tube)は,長時間であるが,23名の意見発表は大変参考になるので,ぜひご覧いただきたい。
→一連の会議の設定と展開の仕方には疑義をもっているが,障害者・当事者の参加を具体的に実施された政府に敬意を表したい。この機会に,当事者等の提起する問題点をしっかり把握し,勉強したいと思う。障害者団体や障害者・当事者の意見だからといって,鵜呑みにしたり,すべてを了解したりしているわけではないが,知らなかったことや気づかなかったことがいかに多いかを思い知った。第2回総合福祉部会は5月18日とのことである。(筆者)


→■「53委員からの提出資料」等

4/21現政権の「障害者自立支援法を廃止し,新たな総合的な福祉法制を創設する」が,「子ども手当」や「米軍普天間飛行場移設問題」の大風呂敷と同じでないことを願う),4/14「脳脊髄液減少症の研究について」4/9「障害者福祉施策の見直しを進めています(厚生労働省)」の記事を参照

「障がい者制度改革推進本部および障がい者制度改革推進会議」(内閣府)
「障害者制度改革推進会議総合福祉部会」(厚生労働省)
4/27 厚生労働省 「介護福祉士の資格取得方法の見直しに関する意見の募集」の結果
-2010年3/3~4/4分の意見集計-


<介護福祉士に関する意見募集における厚生労働省の呼びかけ文(抜粋)>
「今後の高齢化の一層の進展等を踏まえ,介護福祉士の資質向上を図るため,平成19年に「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部が改正され,平成24年度(平成25年1月に実施される国家試験)より介護福祉士の資格取得方法が見直されます。従来は介護職員としての実務経験が3年以上あれば国家試験が受験できたところ,3年以上の実務経験に加えて,国が指定する教育機関で,介護に関する体系的な知識・技術を学習する6ヵ月(600時間)以上の養成課程を経ることが必要となります。しかしながら,これによる資質向上が期待される一方,現在の介護分野においては,離職率が高く,地域によっては人手不足が生じているなどの課題があり,介護人材の量的な確保に向けた見直しが必要との意見があります。厚生労働省としては,資質向上と量的確保が可能な限り両立されるよう,介護分野の現状に即した介護福祉士養成の在り方について検討を行う必要があると考えております。ついては,こうした検討の参考とさせていただくため,下記の要領により広くご意見を募集いたします。」
<「介護福祉士の資格取得等について」の回答結果>
①Q:6か月以上の養成課程の義務付けの方向性
・「良くないと思う」が最多(37.3%)で,次いで「どちらともいえない」(33.3%),「良いと思う」(29.4%)の順となっている。
②Q:6か月以上の養成課程についての認識
・「一定の養成課程は必要であると思うが,6か月以上では長すぎる」が最多(42.6%)である。
③Q:働きながら無理なく資質向上の学習を行うための支援策
・「身近な地域で受講できる環境が必要である」が最多(59.7%)で,次いで「受講費用を助成する仕組みが必要である」(43.9%),「単位制を取り入れ,段階的に受講できるようにするなど,受講者のやる気を引き出す仕組みとすべき」(37.3%)の順となっている。

→左記の厚生労働省の呼びかけ文にあるように,2007年に士士法が改正され,介護福祉士資格取得方法として,実務経験3年以上の人には600時間以上の養成課程を課すことを内容として,2012年度から施行されることが決定されている。それにもかかわらず,負担が多いという意見があるからといって,その部分(時間数)だけを施行前に見直すとして,長妻厚生労働大臣は,「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」を2010年3月に設置した。本件の意見募集もその一環で実施されたものである。
→筆者は,「介護職員の資格要件について,将来的には介護福祉士を基本とする」という厚生労働省の方針は誤りで,介護人材養成・処遇を根本的に見直しすべきだと繰り返し主張してきた。しかし,今回の検討会のような小手先の見直しには反対であり,結果が分かっているような本件意見募集もアリバイ作りの茶番だと考えている。
→2007年の法改正において,民主党は野党であったが,「600時間」については反対しなかった。さらに,衆参両議院での付帯決議においても,600時間の見直しは入っていなかった。にもかかわらず,民主党政権になったからといって,人気取りとも受け止められる,600時間だけの施行前の思いつきのような見直しが許されていいわけがない。
→長妻厚生労働大臣は,600時間を減少させて介護人材の質の低下を招くような姑息なことではなく,介護人材養成・処遇の全体像を示すことが求められていることを認識しているのであろうか。(筆者)


3/9「介護職員基礎研修について(第2版)」,3/6
「介護福祉士の資格取得方法の見直しに関するご意見の募集」の記事を参照

「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会開催要綱」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)」
「福祉専門職の現状」
4/26 4月23日の事業仕分けで,「廃止」とされた「キャリアマトリックス」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)のホームページ

「キャリアマトリックス」を含めた「労働政策研究(職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発)」の評価結果

『労働政策研究(職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発),成果普及等については,結論としては,事業の廃止ということで判定したい。』
・2001年度から,国で直接やるよりもムダが減って税金を節約できるとして「独立行政法人」が作られた。しかし,実際には各省庁官僚の「天下り先」となり,各省庁の壁を維持したまま同じような仕事を別々にして,税金のムダ使いを続ける温床になったと理解されている。
・税金のムダ遣いをしないようにチェックすることを目的とした「事業仕分け」において,今回の対象となった独立行政法人は,全104法人のうちの47の法人であり,合わせて151の事業である。
・「キャリアマトリックス」という仕事は,独立行政法人労働政策研究・研修機構の「労働政策研究(職業情報・キャリアガイダンスツールの研究開発)」の一環であり,およそ500の職業について,どんな仕事で,どうすればなれるかという情報をインターネットで紹介するもの(インターネットによる職業情報データベース)で,議論の結果,「廃止」とされた。すでに,一般の会社でもっと詳しい職業紹介をしている,というのが廃止の理由であった。

→どうでもいい仕事を,重要な仕事に見せかけるというサイト作成のテクニックの見本としては参考になる。
→しかし,介護支援専門員の通称である「ケアマネジャー」を「ケアマネージャー」と誤記しているのを見て,中身の信頼性には疑問を持つ。
→事業の成果として,「サイトの訪問数の年々増加(2009年度:204万件,2008年度:146万件,2008年度:71万件)」しか提示できないようでは,事業仕分けで「廃止」とされても仕方がない。4月25日のNHKの子どもニュースでも取り上げられ,「子ども」にも馬鹿にされている様子を観て,「子供だまし」のような仕事に人生を費やさなければならない人たちを気の毒に思った。(筆者)


「独立行政法人労働政策研究・研修機構」の事業仕分けの資料
4/23 期待が大きかっただけに,言い訳がましい会見をする今の長妻厚生労働大臣は見るに忍びない
~4月20日の会見からの感想~
<2009年9月4日記事の再掲>
「2007年度国民医療費の概況について」
→異論があることを承知で申し上げると,筆者は,次期厚生労働大臣として「モンスター」を御せられると思える人物は,民主党においてはミスター年金と言われる議員よりも,反小沢とされる枝野議員ではないかと思っている。(筆者)

<2009年8月18日記事の再掲>
自民党と民主党のマニフェストにおける社会保障
→社会保障政策に対する筆者の感想は以下の通り。
自民党 「行き過ぎた市場原理主義とは決別」し,「中福祉・中負担を目指す」とし,「小さな政府」からの路線変更を示唆している。しかし,中負担とする国民負担率の水準や中福祉とする年金・医療・育て支援などの給付水準が明確にされているとは言えない。
民主党

・子育て支援・年金・医療・介護・失業対策等に広く公費投入を増額し,給付等の上積みをするとしている。しかし,国民負担率の水準や「大きな政府」となるであろうその水準が明確にされているとは言えない。

→社会保障制度の改革は,負担と給付が示されなければ議論にならないことは専門家でなくとも分かることである。自民党は,「増税」で「責任力」を強調しているが,給付の中身がつかめない。一方,民主党は給付を網羅しているが,その主たる財源としている無駄の削減の中身がつかめない。両党とも,政策の具体的な中身や財源の説明が十分になされておらず,スローガン的なマニフェストと言わざるを得ない。
→筆者は,今回の選挙はこれまでの自・公政権への信任投票と受け止めている。仮に,民主党政権になっても,それは小泉政権以降に対する批判の結果であるととらえる。福田政権時に設置された「社会保障国民会議」に民主党が参加を拒否したが,その判断は「誤り」だったと思う。「社会保障」は,互いにあげつらうのではなく,オールジャパンで議論されなければならない。(筆者)


<2009年7月29日記事の再掲>
厚生労働省に「医療・介護改革調整会議」が設置された
→政局に関して,今回の総選挙を「政権選択の選挙」と一部で言われている。筆者は,それほどたいそうなものではなく,「現時点で,どちらの政党がよりましかという程度の選択の選挙」だと思っている。注目されていた民主党のマニフェストが公開された。社会保障の項目に限って言えば,年金制度改革を4年先送りしたことにはがっかりしたと同時に,巨大な厚生労働省の官僚組織を御せるだけの力をもつまでには相当の時間がかかるのではないかと思った。いずれの政党が主導権をとるにしても,一政党が大勝しないことが国民の利益につながると考えている。大勝すると,国会で議論をせずに多数決で決してしまう(強行採決を常套手段とする)ことは,小泉政権で学習した。(筆者)

→本日,やまだ塾は5年目を迎えた。今年度から,「力量ある福祉人が日本の未来を変える」という文言をトップページに追加した。的確な情報提供が行えるよう,努力したい。(筆者)
4/22 総務省統計局 「世界の統計2010」「日本の統計2010」 「世界の統計2010」は,世界各国の人口,経済,社会,文化などの実情を知る上で参考となる様々な統計が簡潔に編集されている。「労働・賃金」の章では,各国の就業者数,失業率,労働時間,平均賃金,生産性,労働災害,労働争議などのデータが紹介されている。
「日本の統計2010」は,日本の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野に関して,基本的な統計を選んで利用しやすい形に編集されている。26の分野,約500の統計表,約600のグラフから構成されている。

「明確な根拠をもつ」(基本となる調査・統計-「統計全般」)
4/21 ■現政権の「障害者自立支援法を廃止し,新たな総合的な福祉法制を創設する」が,「子ども手当」や「米軍普天間飛行場移設問題」の大風呂敷と同じでないことを願う
・2009年12月に,政府は,障害者にかかわるあらゆる制度を総合的に改革するため,全閣僚で構成する「障がい者制度改革推進本部」(本部長:鳩山首相)を設置した。
・主たる課題は,①障害者権利条約の批准に向けた障害者基本法の抜本改正,②廃止が決まった障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法(仮称)の制定,③障害者差別禁止法の制定,である。


→2010年1月7日に,障害者自立支援法違憲訴訟において,「遅くとも2013年8月までに自立支援法を廃止し,新たな総合的な福祉法制を実施する」との約束を,長妻厚生労働大臣が原告団・弁護団との間で行った
→筆者は,4月19日の「障がい者制度改革推進会議」において,国民全体で議論すべき年金制度の問題であるはずなのに,「在日無年金障害者を対象とする要望」を俎上に載せていることに違和感を持った。また,4月27日に,「障がい者総合福祉法」のあり方を障害者団体の代表,有識者,行政担当者ら総勢55人で議論する「総合福祉部会」を開催することに疑問を感じている。筆者は,「当事者参加」の意義は認識しているが,参加させてほしいという諸団体からの要望を受けて構成した55人で行う会議体で,きちんとした議論が成立するとは思えない。
→さらに,具体的な財源の確保を棚上げにして,国民の理解も不十分のまま,議論を進める国の姿勢には,「子ども手当」と同様に継続性に対する危うさを感じる。過剰な期待を持たせたり,大風呂敷を広げたりすることが,国民の求めることに合致するのだろうか。(筆者)


4/9「障害者福祉施策の見直しを進めています(厚生労働省)」の記事を参照

「障がい者制度改革推進本部および障がい者制度改革推進会議」(内閣府)
4/20 『ただいま それぞれの居場所』が公開されている(ドキュメンタリー映画)
~映画の公式ホームページにリンクしています~
<映画の公式ホームページより引用>
『2000年4月1日の介護保険制度開始以降,介護サービスの数は急激に増えました。しかしその一方で,介護を必要としながらも,制度の枠組から漏れてしまう人々も多くいる現状があります。そうした中,現在の画一的な介護サービスの在り方にジレンマを感じ,自ら理想とする介護を実現させようと施設・事業所を立ち上げた人たちがいます。』

→本記事を掲載する趣旨は,映画の推薦ではなく,情報提供である。
→筆者は,現行の介護保険制度は,現実に対応できておらず,今後ますます乖離が進んでいくと考えている。福祉専門職の知恵と工夫が重要になってきていると思う。介護される側も,介護する側も,苦しみ抜いて,喘いで,助けを求めている,という現実から目をそらしてはいけないと思う。(筆者)


4/12インドネシア人の受入実態調査結果(介護福祉士の場合 / 看護師の場合) )4/7福祉専門職として,「走りながら考える」はずが,10年間走るだけだったと言われている介護保険制度の「改正すべき項目」が挙げられますか?)の記事を参照
4/19 総務省 「人口推計(2009年10月1日現在)」
(1)全国人口
①総人口(日本人と外国人を合わせた人数)は,1億2751万人,男性は6,213万人,女性は6,538万人
総人口は18万3千人の減少,減少幅は前年より大きく拡大
③男性は5年連続の自然減少,女性は初の自然減少
外国人は1994年以来15年ぶりの社会減少,過去最大の減少幅
65歳以上人口は増加が続Iき総人口の22.7%,14歳以下は13.3%に低下
(2)都道府県別人口
①東京都が全国人口の10.1%を占める
②人口増加は7都県,このうち増加率が上昇したのは沖縄県のみ
③9都府県で自然増加
④5都県で社会増加
すべての都道府県で生産年齢人口割合が低下し,老年人口割合が上昇
⑥5歳以上人口の対前年増加率が5%以上の5府県は,75歳以上人口割合が10%未満

→総務省は,「本格的な人口減少時代に入った」との分析を示した。
→少子高齢化が一段と進んでいることが明確になり,より効果的な「少子化対策」が現政権に強く求められている。しかし,新少子化社会対策大綱および新子ども・子育て応援プランとして位置づけられ,2010年1月に発表されたが,年度ごとの具体的な財源を明示していない「子ども・子育てビジョン」や2010年度から支給されることになった持続的な財源を持たない「子ども手当」などの施策から,現政権で「少子化」に歯止めがかかるという期待を持った国民が多くいるとはどうしても思えない。
→内閣支持率の激減から,鳩山政権が短命となる可能性が出てきた。福祉行政の動向が気にかかる。(筆者)


2010年1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」2009年12/29「子ども手当」は愚策ではないか~ドイツの二の舞を踏むことにならないか~)の記事を参照

「子ども手当」の創設
4/16 ■同じ厚生労働省所管の国家試験であるのに,医師や看護師の国家試験問題は公表されて,3福祉士国家試験問題が公表されないのはおかしくないか?
<厚生労働省医政局が所管する国家試験>
第104回医師国家試験の問題および正答
第103回歯科医師国家試験問題および正答
第93回助産師国家試験,第96回保健師国家試験,第99回看護師国家試験の問題および正答
第62回診療放射線技師国家試験の問題および正答
第56回臨床検査技師国家試験問題および正答
第45回理学療法士国家試験,第45回作業療法士国家試験の問題および正答
第40回視能訓練士国家試験の問題および正答

<厚生労働省社会・援護局が所管する国家試験>
第22回介護福祉士国家試験の正答
第22回社会福祉士国家試験の正答
<厚生労働省障害保健福祉部が所管する国家試験>
第12回精神保健福祉士国家試験の正答

→筆者は,3福祉士国家試験の問題を公表しないのは,所管部局である社会援護局,障害保健福祉部および外注先である(財)社会福祉振興・試験センターの怠慢ではないかと考えている。3福祉士国家試験にかかわる福祉関係者が,問題公表の要望・要求をしないないから是正されないだけだと思う。医療関係と福祉関係で,このような差異があっていいわけがない。(筆者)
4/15 厚生労働省 「労災保険給付の概要」

<労災保険給付の種類>
(1)業務災害・通勤災害による傷病等
  ①療養(補償)給付
  ②休業(補償)給付
  ③傷病(補償)給付
  ④障害(補償)給付(年金・一時金)
  ⑤介護(補償)給付
  ⑥遺族(補償)給付,葬祭料(葬祭給付)
(2)定期健康診断等における異常の所見
  ①二次健康診断給付
・労災保険制度は,労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い,あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度である。労災保険の費用は,原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれる。
・労災保険は,原則として「一人でも労働者を使用する事業は,業種の規模の如何を問わず,すべてに適用」される。なお,労災保険における労働者とは,「職業の種類を問わず,事業に使用される者で,賃金を支払われる者」をいい,労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ない。


→労災補償状況において,「過労死」と「精神障害」の労災請求件数,支給決定件数ともに高水準で推移している。年齢別でみると,「過労死」では50~59歳が最多で,「精神障害」では30~39歳が最多である。
→労働者の不利益に結びつく「労災かくし」とは,「故意に労働者死傷病報告を提出しないこと」や「虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を提出すること」である。「労災かくし」は,犯罪であり,主に労働安全衛生法の罰則が適用され厳しく処罰を求められる。 (筆者)


「2008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について」
「労災かくしは,犯罪です。」
4/14 厚生労働省 「脳脊髄液減少症の研究について」 ・脳脊髄液減少症は,原因は不明とされるが,交通事故や転倒などの後に,髄液が漏れて頭痛・めまい・吐き気・全身疼痛など,激しい症状を苦しを引き起こす病気とされ,現在,10万人超の患者がいると推定されている。この病気は,確立した診断基準がないために,診断名が付くまでに長期間かかり,減少症という病名がないために検査費用が自己負担となるケースも多くあり,高額な治療費が全額自己負担となるなどの問題によって,患者やNPO法人などから強い要望が厚生労働省に出されていた。また,経済的負担だけでなく,不登校,仮病,詐病と言われたり,心の病と片付けられたりすることによる,周囲の無理解からも患者は苦しんでいると言われている。
・左記の通り,脳脊髄液減少症の研究は,2007年度から厚生労働科学研究費補助金で研究が行われ,現在は「診断のガイドライン」を策定中とされている。
・これらのことを受けて,厚生労働省は,4月12日に,「脳脊髄液減少症検査」の保険適用を徹底するとの見解を示し,治療効果があるとされる「ブラッドパッチ療法」(自分の血液で漏れをふさぐ)についても,2年後の診療報酬改定時に保険適用を検討するということを表明した。

→現在,病気として認められていない「新たな病」としては,脳脊髄液減少症をはじめ,慢性疲労症候群,高次脳機能障害,線維筋痛症,反復性交感神経性ジストロフィー,バレーリュー症候群,椎骨脳低動脈循環不全,機能性胃腸炎,複合性局所疼痛,神経循環無力症,咽喉頭異常症,などがあると言われている。「福祉専門職」は,病気と認知されずに,医療制度の谷間に置かれている人たち,子どもたちにも関心を払う必要がある。(筆者)
4/13 厚生労働省 「2009年版 働く女性の実情(女性労働白書)」
<女性労働白書のポイント>
(1)労働力人口就業者と完全失業者の合計,労働力率
女性の労働力人口2年ぶりの増加で過去最多(2,771万人)
(2)配偶関係別労働力率の変化
「25~29 歳」「30~34 歳」の有配偶者の労働力率上昇幅大
(3)就業者および完全失業者
完全失業者数過去最大の増加(133万人),完全失業率過去最大の上昇(25.5%)
(4)雇用者
①雇用者数
女性7年ぶりに減少(2,311万人),雇用者に占める女性割合過去最高(42.3%)
②雇用形態別雇用者数
非正規は2003年以降男女とも初めての減少(女性:1,196万人)
(5)賃金
女性の所定内給与額前年に引き続き増加,男女間賃金格差も縮小(格差は,正規:69.8%,非正規:72.6%)

→本白書に関して,「これまで働いていなかった女性が,家計的な事情で労働市場に出てきているが,なかなか職に就けていない状況」,「正社員の増加は介護などの分野に限定される。非正規が50%を超える女性の働き方に転換があったとまでは言えない」,などの厚生労働省の談話が新聞報道(朝日,毎日)されていた。
→また,4月9日に,「変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会報告書」が提出されている。厚生労働省は,今後、男女間賃金格差の縮小に向けて,労使が自主的に取り組むための賃金・雇用管理の見直しの視点や支援ツールを盛り込んだガイドラインを作成し,その普及等男女間賃金格差縮小に向けた取組を進めることとしている。
→少子高齢化社会・人口減少社会における「働く女性」の位置づけについて,「福祉専門職」として,自身の考えを持っておく必要がある。(筆者)


「白書(社会福祉関連)」
4/12 厚生労働省 インドネシア人の受入実態調査結果(介護福祉士の場合 / 看護師の場合

<EPAに基づく外国人介護福祉士候補者の受入れ>(やまだ塾のまとめ)
(1)受入国・人数枠
・インドネシア共和国:2010年度(3年目)は300人,フィリピン共和国:当初2年間で600人
(2)実績
①2008年度
・インドネシア人候補者104人
②2009年度
・インドネシア人候補者189人,フィリピン人候補者217人
(3)在留期間
・資格取得前は最大4年間
・資格取得後は制限なし
・滞在中の在留資格は「特定活動」とし,協定上定められた在留期間中に国家資格を取得できなかった者は帰国する
(4)要件・候補者
・看護学校卒業者または4大卒業者(インドネシアの場合には3年以上の高等教育機関卒業者)であり母国での介護士資格認定者
(5)受入施設
①定員30名以上の介護施設であること
②介護職員数(候補者を除く)が法令に基づく配置基準を満たすこと
③常勤介護職員の4割以上が介護福祉士有資格者であること
④候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払うこと
⑤適切な研修体制を確保すること 等
・調査は,経済連携協定(EPA)に基づき入国した候補者の就労・研修開始から約1年が経過したことを受けたもので,受け入れの目的や就労・研修の実態,日本語でのコミュニケーション能力,サービスの質への影響等についての現状を把握することを目的として実施されたものである。
受け入れ理由として,介護福祉士候補者の受け入れ施設の5割弱(48.6%)および看護師候補者の受け入れ施設の約6割(57.6%)が,「人手不足解消のため」と回答している。

<4月1日記事の再掲>
「諸外国における外国人労働者対策」に関して

→外国人労働比率は,「データブック国際労働比較2005」によれば,日本は1%(法務省の調査では,2008年末は1.74%)だが,欧州では10%近い国もある(ドイツ8.9%,フランス6.0%,スウェーデン5.1%,イギリス3.8%)。
→日本において,外国人労働者が増加し,更に受け入れようという動きの背景には,「少子高齢化」がある。今後,「外国人労働者」抜きに,日本社会および日本経済は立ち行かないと指摘されている。「日本の外国人労働者対策」における最大の問題は,外国人を受け入れることについて国民的合意が形成されていないことにあると言われる。日本において,1980年代後半から「外国人労働者問題」が社会問題化してきたが,生活支援まで含めて,「多文化共生や社会統合を実現する」という意識は希薄である。行政が,諸外国の動向について,適切な情報提供をしないことにも要因があると思われる。
→近年の「外国人看護師および介護士の受入れ」に関しても,インドネシア等との経済連携協定(EPA)に基づくものとして,日本政府はあくまでも例外的な受け入れと位置づけ,資格取得においても,職能団体を含めた関係団体等の狭い了見からと思われる意見を取り入れ,資格取得に厳しいハードルを設定している(日本語での国家試験を短期間のうちに合格しなければならないことなど)。他国で国家資格のない看護師や介護職は,高度な技術を持つ専門職とされていないので,原則受け入れないというのが基本的な姿勢である。ちなみに,日本の介護保険制度の手本としたドイツにおいて,近年介護の人手不足を解消するために東欧諸国から募集したが,現在日本が実施しているように,自国のドイツの労働者を保護に配慮した施策を取り,結局は失敗したという事実を,多くの日本国民は知らされていない。介護分野において,さらに議論を深めていく必要がある。
→今後,3福祉士の国家試験において,「外国人労働者」の出題が増えるのではないかと予想している。(筆者)

→「
外国人介護士の受け入れ」に関して,以下に筆者の所感を述べる。
→これまで,厚生労働省は,「EPAの趣旨は,人手不足解消対策ではない」と説明してきた。また,「日本介護福祉士会」は,2000年以降,一貫して安易な外国人介護士の受け入れに反対している。筆者は,当初から,厚生労働省や当該職能団体の言い分は,現場の声やニーズを反映していないと考えていたが,今回の調査で明らかになった。筆者は,介護現場に,左記の通りの実務経験豊かで有能な外国人介護士の受け入れを促進することは,厚生労働省の仕事にあぶれた者や資格取得をえさに熱意のない者を介護現場に送り込むという,介護現場の自尊心やプライドを傷つけるような安易な施策よりはましだと思う。
→また,本格的な人口減少時代が到来することから,外国人の入国・在留管理制度について,今後5年間の指針を示す法務省の「第4次出入国管理基本計画」が2010年3月に策定された。これにより,EPA以外の外国人介護士の受け入れが拡大される可能性が出てきたとされている。
→さらに,国内で介護福祉士を目指すフィリピン人の定着を促す目的で,静岡県が介護施設向けの受け入れマニュアルや英語でも使用できる介護記録用のパソコンソフトを全国で初めて開発した,という報道が2010年3月にあり,市販の参考書をもとに,国家試験用の英語版テキストも作成したとのことである。
→外国人介護士の受け入れに関して,「ドイツの失敗」の検証は必須であり,「介護の社会化」から「介護の国際化」へのシフトに向けて,国民的な議論を喚起すべき時期が到来していると思う。
→「フィリピンでは名誉を重んじるので,人前で注意しない」といった国際的な知識やノウハウが,地方自治体や介護現場で蓄積されていく中で,厚生労働省や介護福祉士の職能団体は,時代の流れに取り残されていくのではないだろうか。(筆者)


4/5筆者には,介護職を看護師不足を補う便利な道具にする方策と思える!),4/1「諸外国における外国人労働者対策(2008~2009年海外情勢報告)」(厚生労働省)の記事を参照

「福祉専門職の現状」(4.外国人介護福祉士の受入れ)
4/9 厚生労働省 「障害者福祉施策の見直しを進めています(厚生労働省)」
<厚生労働省の広報文(抜粋)>
『2009年9月9日の連立政権合意において,「障害者自立支援方」は廃止し,「制度の谷間がなく」,利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくることとされています。
①新しい制度の検討状況は?
②2010年4月からの利用者負担はどうなるの?
③障害者福祉施策に関するさまざまなデータを調べたい!
④現行制度はどうなっているの?

→日本の現行障害者施策において,「障害者権利条約の非差別・平等の原則」に抵触するために,改定または廃止を含めた大転換が迫られているのは,以下の2法律と見られている。
①学校教育法(教育において,特別支援教育と普通教育の分離を目的とする規定を改定する)
②精神保健福祉法(医療において,精神医療と一般医療を分離する法体系の見直しおよび社会的入院の解消のために,精神保健福祉法を廃止する)
→筆者は,障がい者制度改革推進会議で障害者を含めて議論を深めることはすばらしいと思うが,その場の議論だけが先行し過ぎないように,障害や障害者に対する国民の理解活動も同時並行で行わなければならないと思う。ただし,今回のような,厚生労働省の粗悪な資料と雑な広報方法では,国民への理解活動を行っていることにはならない。
→3月19日の障がい者制度改革推進会議において,鳩山首相の「言いっぱなしの会議にならないよう,意見を施策に反映させる政治にしたい」との発言には大きな意味があると思う。(筆者)


「障がい者制度改革推進本部および障がい者制度改革推進会議」(内閣府)
4/8 総務省消防庁 「2009年の火災の概要」
~住宅火災の死者数の6割超が高齢者~
<消防庁の広報文(抜粋)>
『2008年と比較すると,総出火件数,建物火災,車両火災の出火件数は減少していますが,林野火災,船舶火災,その他火災の出火件数は,増加しています。また,火災による死者数は,減少しています。
① 総出火件数は,51,124件,前年比1,270件の減少
②総死者数は,1,877人,前年比92人の減少
③住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)数は,1,025人,前年比98人の減少
・高齢者は628 人で,前年より82 人(11.5%)減少していますが,住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)数の61.3%を占めています。
④出火原因の第1位は「放火」,第2位は「こんろ」
・住宅の防火対策として,2004年の改正消防法によって,すべての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務づけられ,新築の住宅は2006年6月1日から,既存の住宅は市町村の条例で定める日から義務化され,2011年6月には全国の自治体で義務化されることとなっている。なお,2009年12月の住宅用火災警報器の推計普及率は全国で52%である。

→今年3月の札幌市で起きた認知症高齢者グループホームで7名が死亡した火災は,灯油ストーブ上に洗濯物を干すという当該施設・職員の不注意や非常識が直接の原因であったと見られている。その後,厚生労働省は実態調査を行うこととし,3月26日には,スプリンクラーの設置率は半数以下(48.7%)というサンプル調査結果を公表している。筆者には,スプリンクラー設置の実態調査より(2009年度に「既存小規模福祉施設スプリンクラー整備事業」を創設したので,辻褄あわせのために躍起になるのは分かるが),防災意識啓発や防災訓練・消火訓練の実態調査のを優先すべきだと思えてならない。不慮の事故死(交通事故,転倒・転落,溺死,窒息,火災,中毒,その他)に占める高齢者の割合が高いことは統計上分かっていることである。高齢者を支援する者の「防火に対する不注意・非常識」や「稚拙な消火技術」が,高齢者の命を危険にさらしているのであれば,まずその「防火に対する不注意・非常識」や「稚拙な消火技術」の解消を考えるべきで,消火設備に金を使うことが最優先の防火対策ではないように思う。(筆者)

3/29
2010年3月13日の札幌市の認知症高齢者グループホームの火災の原因は,「特定の施設・職員の常識欠如」,と正確に報道すべきではないか),3/5「2009年度不慮の事故死亡統計の概況」の記事を参照
4/7 ■福祉専門職として,「走りながら考える」はずが,10年間走るだけだったと言われている介護保険制度の「改正すべき項目」が挙げられますか?

<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>
大臣 ・長妻昭衆議院議員
副大臣 細川律夫衆議院議員
長浜博行参議院議員
政務官 山井和則衆議院議員
足立信也参議院議員
→介護保険制度は,改正されるごとに仕組みが複雑になり,利用者やその家族だけでなく,現在では介護従事者でも理解が困難となっている,との指摘がある。
→6月には,厚生労働省から「介護ビジョン」が示されると言われているが,3月25日開催の社会保障審議会介護給付費分科会において,座長から厚生労働省の政務三役の考え方に差異があることが指摘され,彼らの意見を聞いたうえで2012年度の介護報酬の改定を議論したいと提案され,他の委員から拍手があり,異議が出なかったことからも,有識者の政務三役に対する信頼性にもイエローカードが出ている状況にあると考えられる。また,政権交代後,6か月経っても,介護政策が示されないことに多くの国民はいらだっている。これらの状況を受けて,近時,市民団体や労働組合を含めた諸団体から,介護保険制度の改正に対する意見書や要望書が,厚生労働省に提出されているとのことである。筆者の知る得る範囲であるが,参考までに諸団体が指摘する介護保険制度の改正すべき項目を以下に例示する。
・公費負担の引き上げ(現行5割→6割)
・介護予防事業の介護保険制度からの切り離し
・介護事業所の人員配置基準の見直し
・給与水準の引き上げ(全産業平均が最低目標)
・初任給の引き上げ(全産業平均が最低目標)
・地域区分と地域係数の見直し
・訪問介護報酬の一元化(身体介護と生活援助)
・福祉用具の利用状況確認と用具点検の義務化
・医療と介護の連携を促進する法整備
・要介護認定の簡素化(重度,中度,軽度に変更)と精度向上
・地域包括支援センターの機能の見直し(介護予防業務を除外)
・認知症高齢者への施策の見直し
・事務作業の簡素化
・特養体制の見直し(増設,人員配置,施設長の国家資格化など) など
→福祉専門職は,マスコミ報道だけでなく,諸団体の動きにも注意を払わなければならない。筆者は,現政権が,2009年の民主党マニフェストにこだわるならば,2012年度の改定介護保険料は,介護サービスの向上がないのに大幅に増額されるだろうと想定している。(筆者)

2/25「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」の記事を参照
4/6 総務省 「日本の女性研究者の数」
~科学技術週間:4月12-18日~
<研究者に占める女性の割合の国際比較>
ロシア(41.8%),アメリカ(34.3%),フランス(27.7%),ドイツ(21.3%),韓国(13.1%),日本(13.0%)

→総務省から発表された「日本の女性研究者の数」を知り,「ディスカバリー」に搭乗された日本人宇宙飛行士の山崎直子さん(39)のすごさを再認識した。
→日本のマスコミは,日本政府の女性研究者施策の貧困さに言及すらできずに,山崎さん個人やご家族の努力に負う成果である快挙を横取りして,日本の女性研究者の優秀さを自慢げに報道しており,改めて見識の低さを感じた。
→欧米諸国では,全研究者の30~40%を女性が占めていることと比較して,日本は13.0%(11万6,100人)であり,韓国にも及ばない状況であることを知る国民は少ない。筆者は,女性研究者の数は,国の資源の質・量にかかわらず,その国の女性に対する評価の現われと考えている。日本では,科学技術分野における女性の活躍促進のために,「特別研究員制度」(出産・育児によって研究を中断した女性が現場に復帰するための制度)や「女性研究者支援モデル育成事業」(女性研究者の育成・活動促進をモデル的に積極的に行う研究機関に対する支援制度)などを設定しているが,制度内容の問題が多く,まったく成果が上がらない。また,保育に関する環境整備も十分でない。ある講演会での,現在の「性」の意義は,従来の生殖と快楽に加えて,コミュニケーションの役割がある,ということや女性が働きやすい社会は男性も働きやすい社会であるはず,という女性の発言には同意できなかったが,男女を問わず,能力・成果に応じた評価ができる社会にしなければならない,という女性の発言には同調できた。現政権において,マニフェストにもなかった選択的夫婦別姓法案に費やす時間があったら,その前に議論しなければならない大切なことが山積しているように思う。(筆者)
4/5 厚生労働省 筆者には,介護職を看護師不足を補う便利な道具にする方策と思える!
~現在,違法行為とされている特養介護職による「口腔内吸引」「胃ろう経管栄養」ケアを,法改正なしで現状追認する報告書が提出された~


「安心と希望の介護ビジョン」構成員敬称略
石川誠(医療法人社団輝生会初台リハビリテーション病院理事長)
石川良一(稲城市長)
太田差惠子(NPO法人パオッコ理事長)
駒村康平(慶應義塾大学経済学部教授)
袖井孝子(お茶の水女子大学名誉教授)
鳥羽研二(杏林大学医学部教授)
中村邦夫(松下電器産業(株)代表取締役会長,社団法人シルバーサービス振興会会長)
古川静子(日本化薬メディカルケア(株)デイサービス部部長)
堀田聰子(東京大学社会科学研究所特任准教授)
前田雅英(首都大学東京都市教養学部長)
村上勝彦(社会福祉法人慧誠会帯広けいせい苑施設長)
村田幸子(福祉ジャーナリスト)

特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会委員名簿敬称略
木村晴恵(日本介護福祉士会副会長)
木村光江(首都大学東京法科大学院専攻長)
齋藤訓子(日本看護協会常任理事)
島崎謙治(政策研究大学院大学教授)
田中涼子(高齢者福祉総合施設ももやま副園長)
樋口範雄(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
桝田和平(老施協総研介護委員長)
三上裕司(日本医師会常任理事)
・厚生労働省は3月25日に,「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」において,特養介護職員が看護職員と連携して行う「口腔内吸引」「胃ろう経管栄養」を認めた。本人同意,体制整備などの要件を定め,解釈通知,研修実施等を経て,6月にも各特養で実施できるとされている。
・今回の報告書までの経緯を概観する。特養の看護師は,入所者数が50人に対し2人,100人に対し3人であるが,夜間は看護師不在のところがほとんどで,老施協の調査では,夜間,介護職に「たんの吸引」を任せている施設は半数以上に上るという状況があった。これを背景にして,自・公政権下で有識者会議が設置され,医療と介護の連携強化を含めた「安心と希望の介護ビジョン(報告書)」(2008年11月20日)が提出された。これを受けて検討会が設置され,民主党政権下で「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する取りまとめについて(報告書)」(2010年3月31日)が提出された。
・なお,2005年に11項目(点眼,浣腸など)について,「医療行為でない」との通知が出され,介護職も行えることになった。しかし,これは介護職に医療行為が認められたものではなく,11項目は「誰でもできる医療外の行為」とされたものである。一方,今回は,「医療行為である口腔内吸引や経管栄養ケア」を,介護職に認めようというものであり,次元の異なる話であり,2003年以降,在宅におけるALS患者等や特別支援学校の痰の吸引が,法解釈によって認められてきたことの延長線上にあるとされる問題である。

<2009年7月13日の記事の再掲>
→実は,コメントの仕方に迷って何度もボツにしてきた事柄がある。それは,左記のメンバーで,6月10日に開催され,紛糾したといわれる「第2回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」における議事内容である。第2回検討会の結果は,2010年度から「介護福祉士」に医療行為である「喀痰吸引と経管栄養」の一部を「モデル事業」として認めてやろうというものである(様子を見て範囲を拡大していく)。
→時期を逸してはいけないと思い,異論があることを承知で,現時点の筆者の意見(結論)を申し上げる。筆者は,厚生労働省の本質論を避けたその場しのぎで場当たり的な提案に同調していると思える「日本介護福祉士会」の姿勢に対して,結果的に,介護福祉士の専門性を著しく傷つけ,禍根を残すものと考えている。また,筆者は,「医療の範囲」の問題として真正面から取り上げるべきという「日本医師会」の主張に賛同している(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090610_1.pdf)。
最後に,2010年度から実施された場合,「介護福祉士」の専門性について,以下の2つの危険性があると考え,「介護福祉士」の危機と捉えている。
①「介護の専門職」でありながら,「利用者のため」という大義名分によって,「医療の専門職である看護師」からの雑用や使いっぱしりのような仕事がなし崩し的に拡大していく危険性がある
②違法行為を黙認するというやり方で事故が起こった場合には,「介護の専門職である介護福祉士」が「医療事故の当事者」として罪に問われる(刑事訴追を受ける)危険性がある 
(筆者)

→老健の介護職は看護師がいて楽であるが,医療を目的とした施設でない特養の介護職は,高齢・重度化の傾向で看護職的な仕事もあり大変だという話や病棟介護職は看護助手として使われているという話は,よく耳にする。まさか,「ことの本質」を見誤って,今回のガス抜きのような報告書やその後の施策を「介護職が評価された」と喜んでいる介護職関係者はいないと思うが・・・。
→筆者は,「連携によるケア」という耳障りのいい言葉の裏に,「看護師不足への対応のために,体のいい安上がりのお手伝いとして介護職を使う」という意図を感じる。また,「姥捨て山化している特別養護老人ホーム」が抱える重大な問題のガス抜きのように思えてならない。
→「医師と看護師の関係」において,目前で呼吸停止し,挿管して人工呼吸器につなげれば助かる患者に対しても,看護師にはその行為は「法的」に認められていない。この場合,看護師は,アンビューバックでの人工呼吸など看護師に許された限りの手を尽くしていることは,ドラマなどでもよく取り上げられている。そして,「看護師と介護職の関係」において,「医療行為である口腔内の吸引や経管栄養を介護職が行うこと」は,法的に認められていないことと,何ら変わることではない。この場合,介護職は,体位を変える,湿度など環境をかえるなど,医療行為である吸痰以外でやれることをやるのではないのか。
→違法である現状を,モデル事業を実施して問題が少ないからといって,法解釈によって追認する姑息なやり方は,危機的な状況にある医療や介護現場が抱える問題の根本的な解決の障害になると思う。
→日本介護福祉士会は,「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員との連携によるケアの在り方について(要望) -介護福祉士が実施する行為について -」(2010年3月25日)を提出しているが,現状を追認する方向における要望であり,理解しがたい。国家資格である「介護福祉士」の専門職としての職務は,介護を行い,必要に応じて医療職につなぐことである。「介護福祉士」は,「医療行為は行わない」というプライドを持つべきである。人手不足は,看護職だけではなく,介護職も同様である。今後,なし崩し的に,リスクを抱えたまま,介護福祉士の雑務が拡大していく,という心配がある。
→筆者は,民主党政権において,法改正なしに,法解釈によって介護職に医療行為をさせるという間違った方向が正されることを期待していた。しかし,左記の通り,「安心と希望の介護ビジョン」の構成員に,現厚生労働省の顧問である駒村康平氏(慶應義塾大学経済学部教授)が入っていたことを勘案すると,現政権においても,介護職に医療行為を認めていく方向を維持するものと思われる。
→今回の流れは止められないとしても,「介護福祉士」は,国家資格である専門職」として,「医療の概念」,「法の範囲」,「専門職種の役割」,「現行の介護保険制度のあり方」などの本質的な問題をきちんと把握し,問題点を理解しておかなければならない。
→「介護福祉士」は,誰かが何かをしてくれるのを待つだけでなく,自らできることを考え,実行する姿勢が必要である。「専門職」として,自らの意見を社会に向けて発信していくことを考えなければならない。(筆者)


1/17「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」,1/25「救急救命士制度の現状等について」,2009年11/4長妻大臣は,厚生労働省顧問として駒村康平氏(慶應義塾大学教授)を任命した),7/13「改正保助看法」および「改正看護師等人材確保法」成立に対する日本看護協会の見解の記事を参照
4/2 - 「2010年4月から福祉関連分野で何が変わったか?」
<主な項目(やまだ塾のまとめ)>
①年金・医療(国民年金保険料の引き上げ,診療報酬の改定,協会けんぽ保険料率の引き上げ)
②育児・教育支援(子ども手当の創設,高校無償化がスタート,「家庭的保育(保育ママ)事業」の施行)
③労働(改正労働基準法の施行,改正労働時間等設定改善指針(通称:労働時間等見直しガイドライン)の適用,雇用保険料率の改定,育児休業給付の見直し,「合宿型若者自立支援プログラム」(新設)がスタート)
④税金(自動車重量税の減税がスタート)
⑤農業(農業者戸別所得補償制度がスタート)
⑥健康(受動喫煙防止条例を施行(神奈川県))
⑦温暖化対策(テレビの省エネ基準を改定,大規模事業所に二酸化炭素(CO2)の削減を義務づけ(東京都))
⑧料金(国際線の燃料給油付加運賃(燃油サーチャージ)の引き上げ)
⑨高齢者・障害者(「高齢運転者等専用駐車区間制度」がスタート,障害者自立支援法における利用者負担の一部無料化,肝臓の機能障害者に身体障害者手帳交付)

→本HPは,2010年4月23日に5年目を迎えるので,所感を述べる。
→「福祉行政」を批判的な目を持って理解できる「力量ある福祉専門職」が求められる時代が来ると思っていたが,そのような状況になってきている。2009年の政権交代以降,恒久的な財源を持たずに恒久的と思える重要な施策が実施されるという状況にあり,常に「福祉情報の最新情報」を入手するとともに,「福祉のあり方」を考え続けていくことが必要になっている。
→3福祉士に関しては,新カリキュラムによる新国家試験の実施が始まった(社会福祉士試験(社会福祉士・精神保健福祉士共通科目,社会福祉士専門科目)は2010年1月から実施され,介護福祉士試験は2012年1月から実施予定であり,精神保健福祉士専門科目は2013年1月からの実施が見込まれている)。今後,出題形式や出題内容は,より洗練されたものに変質していくと想定される。
→今年度は,受験者に対する受験対策を5月から実施する予定であるが,福祉行政の最新情報と受験対策情報を融合させることで,現任者の知識のブラッシュアップにも結び付けたい。(筆者)
4/1 厚生労働省 「諸外国における外国人労働者対策(2008~2009年海外情勢報告)」(厚生労働省)


<3福祉士国家試験における「外国人」にかかわる過去問>

次の文章は正しいか?

①厚生年金被保険者の期間が6か月以上あり,老齢厚生年金の受給資格を満たしていない外国人は,帰国後2年以内に脱退一時金を請求することができる。
②我が国は,国際連合の「難民の地位に関する条約」及び「難民の地位に関する議定書」に加入し,1982年から同条約・議定書が我が国について発効したことに伴って,社会保障関係法令から国籍要件を撤廃することなどの法整備を行った。
③我が国は,国際的な人的交流の活発化により在外邦人や在日外国人が増えているため,二国間における公的年金制度に関する適用調整及び年金の受給権の取得を目的とした期間通算を内容とする社会保障協定を締結している。
④最高裁判所は,地方選挙について外国人が選挙権を認められないことは憲法に反するものではないとしている。


解答:後日掲載
<「海外情勢報告」の特集記事の経緯>
2008~2009年 「諸外国における外国人労働者対策」
2007~2008年 2008年G8労働大臣会合(新潟会合)
2005~2006年 諸外国における高齢者雇用対策
2004~2005年 諸外国における若年者雇用・能力開発対策
2003~2004年 諸外国における少子化の動向と次世代育成支援策
2002~2003年 各国の失業保険,公的扶助制度等の概要と受給者の就労促進施策
2001~2002年 アジア諸国の労使関係と労使紛争処理
2000~2001年 APEC主要国における人材養成への取組み

→外国人労働比率は,「データブック国際労働比較2005」によれば,日本は1%(法務省の調査では,2008年末は1.74%)だが,欧州では10%近い国もある(ドイツ8.9%,フランス6.0%,スウェーデン5.1%,イギリス3.8%)。
→日本において,外国人労働者が増加し,更に受け入れようという動きの背景には,「少子高齢化」がある。今後,「外国人労働者」抜きに,日本社会および日本経済は立ち行かないと指摘されている。「日本の外国人労働者対策」における最大の問題は,外国人を受け入れることについて国民的合意が形成されていないことにあると言われる。日本において,1980年代後半から「外国人労働者問題」が社会問題化してきたが,生活支援まで含めて,「多文化共生や社会統合を実現する」という意識は希薄である。行政が,諸外国の動向について,適切な情報提供をしないことにも要因があると思われる。
→近年の「外国人看護師および介護士の受入れ」に関しても,インドネシア等との経済連携協定(EPA)に基づくものとして,日本政府はあくまでも例外的な受け入れと位置づけ,資格取得においても,職能団体を含めた関係団体等の狭い了見からと思われる意見を取り入れ,資格取得に厳しいハードルを設定している(日本語での国家試験を短期間のうちに合格しなければならないことなど)。他国で国家資格のない看護師や介護職は,高度な技術を持つ専門職とされていないので,原則受け入れないというのが基本的な姿勢である。ちなみに,日本の介護保険制度の手本としたドイツにおいて,近年介護の人手不足を解消するために東欧諸国から募集したが,現在日本が実施しているように,自国のドイツの労働者を保護に配慮した施策を取り,結局は失敗したという事実を,多くの日本国民は知らされていない。介護分野において,さらに議論を深めていく必要がある。
→今後,3福祉士の国家試験において,「外国人労働者」の出題が増えるのではないかと予想している。(筆者)


「外国人雇用対策」(厚生労働省)
「経済産業省の外国人労働者問題」(2005年)
「連合の外国人労働者問題に関する当面の考え方」(2004年)
「社会保障協定の締結を進めています」(厚生労働省)
「2008年末現在における外国人登録者統計」(法務省)

「福祉専門職の現状」(4.外国人介護福祉士の受入れ)

<「労働政策研究・研修機構」の報告書>
「外国人労働者の雇用実態と就業・生活支援に関する調査」(2009年) / 「アメリカの外国人労働者受入れ制度と実態」(2009年) / 「諸外国の外国人労働者受入れ制度と実態 」(2008年) / 「アジアにおける外国人労働者受入れ制度と実態」(2007年) / 「欧州における外国人労働者受入れ制度と社会統合」(2006年)