白 書 (福祉関連分野)
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(2015年10月28日)

目 次
(内閣府所管)  「2015年版」を掲載
  
男女共同参画白書
  
障害者白書
  
高齢社会白書
  
少子化社会対策白書(2010年版〜2012年版:子ども・子育て白書,2009年版まで:少子化社会白書)
  
子供・若者白書(旧子ども・若者白書,旧青少年白書)
  
自殺対策白書
  ■国民生活白書
  
食育白書

(総務省所管)
  
地方財政白書

(法務省所管)
  
犯罪白書

(厚生労働省所管)
  
厚生労働白書
  
労働経済の分析(労働経済白書)
  
働く女性の実情

所管 名称 2015年版 2014年版 2013年版
内閣府 男女共同参画白書 「2015年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 「2014年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 「2013年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年6月22日記事の再掲>
・2015年6月19日,内閣府は,「2015年版 男女共同参画白書」を公表した。
・男女共同参画白書は,「男女共同参画者社会基本法」第12条に基づく年次報告書で,2001年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 男女共同参画白書」の構成>
【T】2014年度男女共同参画社会の形成の状況
特集 地域の活力を高める女性の活躍

【U】男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2014年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2015年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策


(参考:特集のテーマ)
 2015年版  地域の活力を高める女性の活躍
 2014年版  変わりゆく男性の仕事と暮らし
 2013年版  成長戦略の中核である女性の活躍に向けて
 2012年版  男女共同参画の視点からの防災・復興
 2011年版  ポジティブ・アクションの推進−「2020年30%」に向けて−
 2010年版  女性の活躍と経済・社会の活性化
 2009年版  男女共同参画の10年の軌跡と今後に向けての視点?男女共同参画社会基本法施行から10年を迎えて?

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「性別役割意識強いと男性の長時間労働に」,日本経済新聞では「女性の就業率6割強に」,東京新聞では「働く女性の割合63.6% 過去最高」という見出しで取り上げている。
→「男女共同参画」に関する直近の話題である。
「女性活躍推進法案」が2015年6月4日に衆議院で全会一致で可決され,今国会で成立する見通しである。法案は,2014年臨時国会に提出されたが,衆院解散で廃案になったものであるが,国と自治体,民間企業に,女性の採用比率や女性の管理職比率などのうちから,いずれかで独自の目標設定を義務付けている。情報の公開方針などを含めた行動計画については,自民,公明,民主の3党による修正で,企業が女性登用の行動計画で定めた目標を達成するよう努力義務規定が新たに盛り込まれている。10年間の時限立法である。
→筆者は,「女性活躍推進法案」における最大の問題点は,女性間の格差の助長である考える。また,2014年年8月の意識調査で「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた男性は46.5%,女性が43.2%という結果から,日本ではまだ女性の間に「主婦願望」が根強いと言われているが,無視すべきではない事柄であると考える。
→「世界は持続可能な社会を目指して,男女平等に大きく舵を切り,推進している。」というのが一般認識である。多くの日本国民は,男女共同参画社会の構築には理解を示すが,経済優先で,女性の就業率を上げる政策だけを推進しているように見える日本に不安を感じている,と思われる。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年7月2日記事の再掲>
・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 男女共同参画白書〜変わりゆく男性の仕事と暮らし〜」を公表した。
・男女共同参画白書は,男女共同参画基本法に基づき,政府が毎年,国会に提出する年次報告書である。
<「2014年版 男女共同参画白書」の構成>
(1)2013年度男女共同参画社会の形成の状況
特集 男女共同参画社会の形成の状況
(2)男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第1部 2013年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策
第2部 2013年度に講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

→「男女共同参画社会基本法」の文言を確認する。
「男女共同参画社会基本法」の抜粋
『少子高齢化の進展,国内経済活動の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で,男女が,互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い,性別にかかわりなく,その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は,緊要な課題となっている。』
→今年初めに,埼玉大学名誉教授であり,NHK経営委員でもある長谷川三千子氏の2014年1月6日付の産經新聞に寄せたコラム「年頭にあたり 「あたり前」を以て人口減を制す」が話題になったことを思い出した。
→「女性の就業率が高い国は出生率も高い」,「男性の家事・育児分担が増えれば出生率は増える」という特殊なデータを基に,女性の社会進出が「少子化対策」になるとする奇妙な意見も未だに散見される。
→2014年6月24日には,安倍首相が「新成長戦略」の一環として「女性が輝く日本」を打ち出した。女性が輝くのは働きに出ることだけか,経済成長させるために女性を働きに出すのか,という素朴な疑問を抱いた国民は少なくないと思う。
→結論だけを言うと,筆者は,「男女共同参画社会」とは,性別にかかわらず個人の個性や能力を認め合う社会,個人の生き方の多様性が認められる社会であり,目指すべき社会であると考えるが,「男女共同参画白書」の論調に違和感を持つことが多い。(筆者)
高齢社会白書 「2015年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 「2014年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 「2013年版 高齢社会白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年6月18日記事の再掲>
・2015年6月12日,内閣府は,「2015年版 高齢社会白書」を公表した。
・高齢社会白書は,「高齢社会対策基本法」第8条に基づく年次報告書として,1996年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 高齢社会白書」の構成>
【第1章】高齢化の状況
第1節 高齢化の状況
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
第3節 一人暮らし高齢者に関する意識

【第2章】高齢社会対策の実施の状況
第1節 高齢社会対策の基本的枠組み
第2節 分野別の施策の実施の状況

2015年度 高齢社会対策
@2015年度の高齢社会対策
A分野別の高齢社会対策

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「孤独死身近に感じる45% 感じない52%」,日本経済新聞では「「孤独死が身近に」単身高齢者の4割以上」,東京新聞では「60歳以上,ネット未利用67% 」という見出しで取り挙げている。
→2011年4月20に,日本学術会議は,「持続可能な長寿社会に資する学術コミュニティの構築(提言)」を公表した。当時,185項目に及ぶ「高齢化・長寿化に関する研究課題一覧」を見て,衝撃を受けた。改めて見直してみると,現政府における高齢社会対策の表層的な取組みを実感する。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年7月1日記事の再掲>
・2014年6月13日,内閣府は,「2014年版 高齢社会白書」を公表した。
・「高齢社会白書」は,高齢社会対策基本法に基づき,高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況および高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について,1996から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版 高齢社会対策白書」の構成>
●2013年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況
第1章 高齢化の状況
第2章 高齢社会対策の実施の状況
●2014年度 高齢社会対策
第1 2014年度の高齢社会対策
第2 分野別の高齢社会対策

→昨日の「少子化社会対策白書」の記事とも関連があるが,現在,「少子化」と「高齢化」という世代間の大きな課題が相互に関連し合いしながら,社会構造変化が起きている状況にあると一般的に受け止められている。当然に,2つの課題を解決するためには,「少子高齢化」とし,相互に干渉する複合・総合的な課題として受け止め,複合・総合的な政策がなければならないはずである。しかし,そうすることはお上にとって不都合であるため,今もって「少子化対策」は「少子化社会対策白書」で,「高齢化対策」は「高齢社会白書」で,各々の基本法に基づいて,毎年個別に政策の実施報告がされている。日本のマスメディアもお上にとって都合のいい情報を個別に流すだけである。
→2つの基本法の文言を確認する。
「高齢社会対策基本法」 (1995年制定)の抜粋
『我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり,遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれているが,高齢化の進展の速度に比べて国民の意識や社会のシステムの対応は遅れている。早急に対応すべき課題は多岐にわたるが,残されている時間は極めて少ない。』
「少子化社会対策基本法」 (2003年制定)の抜粋
『我らはともすれば高齢社会に対する対応にのみ目を奪われ,少子化という,社会の根幹を揺るがしかねない事態に対する国民の意識や社会の対応は,著しく遅れている。少子化は,社会における様々なシステムや人々の価値観と深くかかわっており,この事態を克服するためには,長期的な展望に立った不断の努力の積重ねが不可欠で,極めて長い時間を要する。急速な少子化という現実を前にして,我らに残された時間は,極めて少ない。』
→筆者は,2つの政策を有効なものとするためには,2つの基本法を統一して,「少子化社会対策および高齢社会対策基本法」を制定し,国家的戦略として,限りある財源を活用し,総合的な政策・施策を実施することが重要であると考える。(筆者)
障害者白書 「2015年版 障害者白書」(概要 / 本文 「2014年版 障害者白書」(概要 / 本文 「2013年版 障害者白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年6月19日記事の再掲>
・2015年6月16日,内閣府は,「2015年版 障害者白書」を公表した。
・障害者白書は,「障害者基本法」第13条に基づく年次報告書で,1994年から作成され,毎年,国会に報告されている。
<「2015年版 障害者白書」の構成>
第1章 障害者差別解消法基本方針
第2章 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて
第3章 施策推進の経緯と近年の動き
第4章 相互の理解と交流
第5章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり
第6章 日々の暮らしの基盤づくり
第7章 住みよい環境の基盤づくり

→メディアにおいては,例えば,時事通信では「東京五輪へバリアフリー強化」,日本経済新聞では「障害者雇用40万人超」,東京新聞では「民間企業で働く障害者43万人 最多更新」という見出しで取り上げている。
→「障害者」に関する最近の話題である。
2015年5月,アスリートである為末大氏の以下のようなツイートが物議を醸した。
「障害者に関する世界に行くと,面倒臭い人がいて,それが嫌になって障害者に関する仕事は避けようかなとなっている人がいかに多いことか。障害者への理解が進まない一番の理由はヒステリックな正義の人だと思う。」
「400障害ではなく400ハードルと言ってくださいとか,障害ではなく障碍と言ってくださいとか。言ったらいけない言葉が多すぎしばらく話すのをやめました。」
「当然,憤りを感じても構わないと思うのですが,深く理解してくれる人しか認めないという姿勢だと,結局世の中の多くの人はめんどくさい事が嫌いなので理解が進まず,その弊害が出ているように私は思います。」
→筆者は,「障害者施策」に関しては,広く浅い理解の広がりが重要であり,肩肘張らずに多くの人が,自分なりの理解において,自分のできる範囲で関わっていくことが大切だと考えている。簡単に言えば,「不自由だろうから手助けする」という気持ちが素直に尊重される社会にすることが大切だと考える。為末氏の勇気に敬意を表する。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年6月27日記事の再掲>
・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 障害者白書」を公表した。
・障害者白書は,障害者基本法に基づき,1994 年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版障害者白書」の構成>
第1章

・2013年度の障害者施策の新たな展開として,2013年6月に制定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」,9月に策定した「障害者基本計画(第3次)」,2014年1月に批准した「障害者権利条約」について掲載している。
第2章
・施策推進の経緯と近年の動きとして,最初の基本法,国際障害者年,最初の長期計画から現在までの経緯,2011年の障害者基本法改正などについて掲載している。
第3章
・障害者の状況等について,各種統計より,全体状況(全体数,年齢別,性別)を掲載している。
第4章以降
・啓発・広報,国際協力,教育・育成,雇用・就労,生活安定のための施策,保健・医療施策,住みよいまちづくりのための安全・安心のための施策,情報アクセシビリティを向上するための施策について,最近の施策を中心に掲載している。

→現在,日本の精神医療福祉の大きな分岐点になるであろう精神科病院の「病棟転換型居住系施設問題」への対処が,福祉専門職に突き付けられている。福祉専門職として,自身の見解を持っていなければならない。これは,「認知症者」にも深く関連しているので,「精神保健福祉士」だけではなく,福祉専門職全員に関わる事柄であり,2014年1月に批准した「障害者権利条約第19条」に抵触する問題でもある。
→経緯を確認する。2013年6月の改正精神保健福祉法」により,「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」を策定することになり,新たに厚労省内に「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」が設置され,2013年12月18日に「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」がとりまとめられ,3月7日に「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」が策定・公表され,4月1日から適用されている。この指針において,検討課題とされた「地域の受け皿づくりの在り方や病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方」について,2014年3月28日から「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」を改称した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」で「病棟転換型居住系施設」が検討されてきた。
→精神科病院の「病棟転換型居住系施設」とは,「精神科病棟」を「居住系施設」に転換することである。国際的な批判を受けてきた日本の精神科病床数(2012年調査で,34万床,30万人超の入院)の見かけ上の削減と,同時に入院患者を手放さずに経営の維持ができるという姑息な考え方に基づくものである。
→筆者は,「病棟転換型居住系施設」は,日本精神科病院協会,厚生労働省,自民党の従来からの考え方に沿うものであり,理念もくそもない安倍政権においてこそ実現できるものであると思っている。長谷川杏林大学教授によれば,「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」において,「病棟転換型居住系施設」を言い出したのは,伊藤独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所社会精神保健研究部部長であり,その後下火になっていたが,大きく議論を動かしたのは岩上特定非営利活動法人じりつ代表理事の発言であり,それに続いて,河崎日本精神科病院協会副会長,千葉日本精神科病院協会常務理事(医療法人青仁会青南病院院長)が賛意を表明したとのことである。なお,伊澤特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会代表は反対を明確に表明している。
→筆者は,転換施設構想に賛意を示し,病棟転換型居住系施設」導入への流れを作ったのは,2013年10月17日の「第6回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」において,精神障害者の身近で生活を支えているNPOの事業者代表である岩上構成員だったことに恐ろしさを感じている。同時に,「病院で死ぬということと,病院内の敷地にある自分の部屋で死ぬことには大きな違いがある」との岩上氏の文書や発言には怒りを感じる。『「どこで死ぬのか」でなく,「どこで生き,どこで生活するのか」だ』という当事者やその家族の声がまったく聞こえていないということが理解できた。
→筆者は,この時期においても,社会的入院の解消をし,社会的復権を支援する専門職としての国家資格である「精神保健福祉士」の職能団体が明確な反対の態度を表明しないということは,「精神保健福祉士もその職能団体も日本社会には不要」ということと同義になると考えている。「精神保健福祉士」は,自らの専門性に忠実でなければならない。厚生労働省は,間もなく検討会で議論をまとめ,2015年度の予算や障害福祉サービスの報酬改定に反映させると見られている。今,意思表示しなければ悔いを残す。(筆者)
少子化社会対策白書
(旧子ども・子育て白書,旧少子化社会白書)
「2015年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 「2014年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文 「2013年版 少子化社会対策白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年7月6日記事の再掲>
・2015年7月3日,内閣府は,「2015年版 少子化社会対策白書」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,「少子化社会対策基本法」第9条に基づく年次報告書で,2004年から作成され,毎年,国会に報告されている。

<「2015年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部 少子化対策の現状と課題

第1章 少子化の現状
第2章 少子化対策の取組


第2部 少子化社会対策の具体的実施状況
第1章 重点課題
第2章 きめ細かな少子化対策の推進

→「白書」の名称の変遷である。
2004〜2009年度版 :「少子化社会白書」
2010〜2012年度版 :「子ども・子育て白書」(民主党政権)
2013年度版〜   :「少子化社会対策白書」
→少子化対策に関する最近の動向である。
2014年1月に経済財政諮問会議の下に「選択する未来委員会」が設置された。2014年5月に民間機関の「日本創生会議」が衝撃的な分析結果を発表した。2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」・「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定された。2015年3月に「少子化社会対策大綱」が策定された。
→人口減少,少子高齢化社会への効率的・効果的な対応は,部分最適から全体最適のための横断的な行政システムの構築と実施以外にはあり得ないことはみんな認識している。ただ,やろうとしないだけである。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年6月30日記事の再掲>
・2014年6月17日,内閣府は,「2014年版 少子化社会対策白書(旧少子化社会白書)」を公表した。
・「少子化社会対策白書」は,少子化社会対策基本法第9条に規定する「少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策の概況に関する報告書」で,政府が毎年国会に提出している年次報告書である。
<「2014年版 少子化社会対策白書」の構成>
第1部

・第1章は「少子化の現状」として,基本的な統計資料等を用いて少子化の状況を紹介している。
・第2章は,「少子化対策の取組」として,これまでの少子化対策の主な取組み,2014年度の特集として「『子ども・子育て支援新制度』の施行に向けた取組」及び「最近の少子化対策」について掲載している。
第2部
・東日本大震災における被災等における対応を含めた2013年度に講じられた少子化社会対策について掲載している。

→2013年8月の「社会保障・税一体改革」に基づく「少子化対策」以降の経過である。
・2012年8月に成立した「子ども・子育て関連3法」に基づく「子ども・子育て支援新制度」は,社会保障・税一体改革の1項目として,消費税率の引き上げによる財源の一部を得て実施され,2015年度から本格施行が予定されている。
・2013年5月28日の「第1期少子化危機突破タスクフォース(取りまとめ)」を受け,6月7日に「少子化危機突破のための緊急対策」が決定された。これまで少子化対策として取り組んできた「子育て支援」「働き方改革」に加え,「結婚・妊娠・出産支援」を3本の矢として推進することとされた。これは,6月14に閣議決定された「骨太の方針」と「成長戦略」にも盛り込まれ,政府を挙げて少子化対策に取り組むこととされた。2013年11月28日の「緊急対策」を着実に実施するための「第2期少子化危機突破タスクフォース」の「政策推進チーム」による「少子化危機突破のための緊急提言」には,少子化危機突破基金の創設や次世代育成支援対策推進法の延長・強化,長時間労働の抑制等が盛り込まれた。2014年5月26日には,「第2期少子化危機突破タスクフォース(取りまとめ)」が提出された。
・2014年5月13日には,経済財政諮問会議が設けた『「選択する未来 委員会」(取りまとめ)』 が提言され,6月24日に閣議決定された「新骨太の方針」では,「新たな少子化対策の大綱」を2014年度中に策定し,「子ども子育て新支援制度」を2015年4月に施行する,としている。
→大失敗に終わったこれまでの少子化対策の反省も総括も不十分のまま,いろいろな会議体でこねくり回した挙句の「新骨太の方針」の「少子化対策」が,国家戦略として有効に機能する保証はない。従来の対策の延長線上にある「2013年度少子化社会対策関係予算」「2013年度補正予算案」の効果は明確にされず,「2014年度少子化社会対策関係予算」も小手先の施策の寄せ集めであり,「新骨太の方針」に盛り込まれ,「新たな少子化対策の大綱」が策定されたからと言っても,「2015年度少子化社会対策関係予算」に,十分な議論がされていない若者に対する将来の不安の解消策といった根幹にかかわる問題への対策・施策が計上されるはずもない。(筆者)
子供・若者白書
(旧子ども・若者白書,旧青少年白書)
「2015年版 子供・若者白書」(概要 / 本文 「2014年版 子供・若者白書」(概要 / 本文 「2013年版 子供・若者白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年6月17日記事の再掲>
・2015年6月5日,内閣府は,「2015年版 子供・若者白書」(旧青少年白書)を,公表した。
・「子供・若者白書」(旧青少年白書)は,「子ども・若者育成支援推進法」第6条に基づく年次報告書として,2010年から作成され,毎年,国会に報告されている。

<「2015年版 子供・若者白書」の構成>
【第1部】 子供・若者の状況
第1章 :人口
第2章 :健康
第3章 :成育環境
第4章 :社会的自立
第5章 :安全と問題行動
第6章 :生活行動・意識


【特集】 「地域のネットワークによる子供・若者支援の取組」

【第2部】 子ども・若者育成支援施策の実施状況
第1章 :子ども・若者育成支援施策の総合的な推進
第2章 :全ての子供・若者の健やかな成長の支援
第3章 :困難を有する子供・若者やその家族の支援
第4章 :子供・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備
第5章 :今後の施策の推進体制等

→メディアにおいては,例えば,毎日新聞では「親への反発減り,家楽しい 99%」,日本経済新聞では「14年の若年無業者,2年連続で減少」,東京新聞では「小学生の半数,いじめ被害」という「見出し」で取り上げている。
→なお,2009年版までは「青少年白書」であったが,2010年版から2014年版までは「子ども・若者白書」に変更され,2015年版では「子供・若者白書」と変更された。
→表記に関してであるが,「子供」は「差別的な印象を与える」として,行政においても,「子ども手当て」「子ども・子育て支援法」などと「子ども」とする表記の頻度が高いが,「認定こども園」では「こども」と表記されている。文部科学省は,2013年6月下旬に,公用文中の「子ども」の表記を「子供」に統一した,という新聞報道があったが,2014年版は「子ども・若者白書」であり,2015年版で「子供・若者白書」という表記に変更されている。
→従来から,筆者は,「漢字をひらがなに変えれば,その差別イメージが消えるというのは全くはナンセンスである」という考え方に同意している。結論だけをいえば,「障がい者,障碍者論者」から非難を受けるだろうが,「障害者」に関しても同様の考え方をしている。義務教育では教えない「交ぜ書き」を「子供」や「障害者」という極限られた用語に議論を焦点化することで,結局,事柄の本質をうやむやにしていると思っている。蛇足であるが,「児童」についても,「子ども論者」の言い分からすれば,「児どう」とすべきであるがそのような議論には熱心ではない。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年7月4日記事の再掲>
・2014年6月3日,内閣府は,「2014年版 子ども・若者白書」を公表した。
・「子ども・若者白書」は,子ども・若者育成支援推進法に基づくき,2010年から毎年政府が国会に提出している年次報告書である。
<2014年版 子ども・若者白書」の構成>
第1部 子ども・若者の状況
特集 今を生きる若者の意識〜国際比較から見えてくるもの
第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第1章 子ども・若者育成支援施策の総合的・計画的な推進
第2章 全ての子ども・若者の健やかな成長の支援
第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援
第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備
第5章 今後の施策の推進体制等

→今回の特集において,「内閣府が実施した,日本を含めた7か国(日本,アメリカ,英国,ドイツ,フランス,スウェーデン,韓国)の満13〜29歳の若者を対象とした「2013年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果からみえる,日本の若者の意識の特徴を,@自己認識,A家庭,B学校,C友人関係,D職場,E結婚・育児の6つの項目から分析し,子ども・若者育成支援施策に対する示唆を考察する」としている。
→今回の意識調査において,内閣府や日本のマスメディアがセンセーショナルに取り上げたのは,「自分自身に満足している」と回答した者は,他国は全て70%を超えているのに日本は最下位の45.8%であったことと,「将来に明るい希望を持っている」と回答した者は,他国は全て80%以上あるのに日本は最下位の61.6%であったことである。つまり,日本の若者は「自尊心が際立って低く」「将来に対する希望がない」というネガティブな結果だけを殊更に取り上げて広報し,報道した。日本人は,アンケート等においては,社会規範意識の高さからくる謙虚さによって,「控えめ」な回答をする傾向にあり,意思を明確に表現したがらず,どちらかといえば長所ではなく欠点を見出すような傾向があることはよく知られていることである。そういう要素を加味して分析する必要があると思う。。
→筆者は,こういうネガティブな結果を踏まえて,「今後,新たな大綱を検討する」のではないかと勘繰っている。2013年8月に公表された「2013年版 厚生労働白書〜若者の意識を探る〜」における,「現代の若者は厳しい時代を生きているが,その大半が現状を悲観しているというわけではなく,現在の生活には満足している者が多い。一方で,日本の未来に関しては,財政や社会保障,経済,雇用などに対する不安を理由として悲観的な見方が強い。しかし,日本の未来に自分も何かしら貢献したいと考える若者が多い。」という分析結果には目を通し,連携を取り,縦割り行政にならないようにしていただきたいと思う。(筆者)
自殺対策白書 「2015年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 「2014年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 「2013年版 自殺対策白書」(概要 / 本文
<「福祉行政の最新情報」2014年7月3日記事の再掲>
・2014年6月3日,内閣府は,「2014年版 自殺対策白書」を公表した。
・「自殺対策白書」は,自殺対策基本法第10条の規定に基づき,我が国における自殺の概要及び政府が講じた自殺対策の実施の状況について,政府が毎年,国会に提出する年次報告書である。
<「2014年版 自殺対策白書」の構成>
第1章 自殺の現状

第1節 自殺の現状
第2節 特集(自殺死亡率の分析)
第2章 自殺対策の基本的な枠組みと実施状況
第1節 自殺対策の基本的な枠組み
第2節 2013年度の自殺対策の実施状況

→2015年は,自殺対策基本法の施行から10周年に当たるが,この間の「自殺対策」は,まったく成果を上げられなかった。日本の自殺対策が失敗したのは,内閣府が集めた自殺対策関連」の検討会等のメンバーに責任がある,と筆者は考える。責任は追及され,負わなければならない。これを放置し続けるということは,国際社会において笑いものになり続けるということである。日本の状況の深刻さは,国民に正しく伝えられていない。
区分 期間 会議体の構成員名簿
現行の会議体 2006年11月〜 自殺総合対策会議
2012年9月〜 自殺対策の機動的推進のためのワーキングチーム
2013年9月〜 自殺対策官民連携協働会議
2013年8月〜 自殺対策検証評価会議
過去の会議体 2011年11月〜2012年7月 官民が協働して自殺対策を一層推進するための特命チーム
2010年9月〜2012年2月 自殺対策タスクフォース
2008年2月〜2012年8月 自殺対策推進会議
2006年11月〜2007年4月 自殺総合対策の在り方検討会
→本気で「問題解決のイノベーション」を起こせる人材は現在の本流(NPOも含めて)にはいない。
→以前,このカテゴリーで紹介したことがあるが,映画『Saving 10,000 - 自殺者1万人を救う戦い』を参考までにご覧いただきたい。(筆者)
国民生活白書 2008年版(概要 / 本文
2009年の消費者庁発足に伴い,同白書を制作していた内閣府国生活局が廃止され,以降発行されていない。
食育白書 「2015年版食育白書」(概要 / 本文 「2014年版食育白書」(概要 / 本文 「2013年版食育白書」(概要 / 本文
総務省 地方財政白書 「2015年版地方財政白書」(概要 / 本文 「2014年版地方財政白書」(概要 / 本文 「2013年版地方財政白書」(概要 / 本文
法務省 犯罪白書 ■「2015年版犯罪白書」 「2014年版犯罪白書」 「2013年版犯罪白書」
厚生労働省 厚生労働白書 ■■「2015年版 厚生労働白書」(概要 / 本文) / 資料 「2014年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 / 資料 「2013年版厚生労働白書」(概要 / 本文/ 資料
<「福祉行政の最新情報」2015年10月28日記事の再掲>
・2015年10月27日,厚生労働省は,「2015年版 厚生労働白書」(〜人口減少社会を考える-希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して-〜)を公表した。
<「2015年版 厚生労働白書」の構成>
第1部 :「人口減少社会を考える 〜希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して〜」
序章 :人口減少の見通しとその影響
第1章 :人口減少社会
第2章 :人口減少克服に向けた取組み


第2部 :現下の政策課題への対応
第1章 :子どもを産み育てやすい環境づくり
第2章 :経済社会の活力向上と地域の活性化に向けた雇用対策の推進
第3章 :安心して働くことのできる環境整備
第4章 :自立した生活の実現と暮らしの安心確保 [1,808KB] 第5章  若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
第6章 :医療関連イノベーションの推進
第7章 :国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第8章 :健康で安全な生活の確保
第9章 :障害者支援の総合的な推進
第10章 :国際社会への貢献と外国人労働者問題などへの適切な対応
第11章 :行政体制の整備・情報政策の推進


(参考)
「人口減少社会に関する意識調査」(概要 / 本文(2015年3月実施)

→「2015年版厚生労働白書」は,「人口減少社会」をテーマとして取り上げ,以下のように述べている。
・日本の人口は,現状のままでは2020年から2015年にかけてすべての都道府県で減少になり,2060年に8,674万人,65歳以上が約40%になると推計している。
・未婚率が上昇し,「生涯未婚率」(50歳時点で一度も結婚したことのない者の割合)は,現在が男性20.1%・女性10.6%であるが,2035年には男性29%・女性19.2%になると推計している。
・経済的事情や異性と出会う機会が少ないなどの理由で,若者の晩婚化や非婚化が進んでいるとし,上記の「人口減少社会に関する意識調査」では,83.2%が「公的な婚活支援に取り組むべきだ」と回答している。また,同調査で,15歳以下の子どもがいる者のうち男性67.4%,女性77.3%が「子育てに負担・不安がある」と回答している。
・これらを踏まえて,若者の雇用の安定的な確保や地方での雇用拡大,待機児童解消と妊娠・出産・子育て期にわたる相談体制や支援の充実,長時間労働の是正等の働き方の見直しなどに,重点的に取り組む必要があるとしている。
→塩崎厚生労働大臣は,記者会見で,「この白書が,人口減少に関する問題意識を国民の皆さんと共有するきっかけにることを期待している。厚生労働省としても関係省庁としっかり連携し,人口減少の克服と一億総活躍社会の実現に向けて全力で取り組んでいきたい」と傍観者的なコメントをしている。
→人口減少・少子化の進行において,国民が求めていること,すなわち国が最優先で取り組まなければならないことは明確である。「人口減少社会に関する意識調査」で,若者世代が出産・子育てにより前向きになり,安心して楽しく子育てできるための要素(複数回答)として,全回答者の70.9%が「安定した雇用と収入」と回答している。
→例年8月に公表される厚生労働白書が10月末とは・・・。いい加減にもほどがある。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年8月4日記事の再掲>
・2014年8月1日,厚生労働省は,「2014年版厚生労働白書」(を公表した。
・「厚生労働白書」は,厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて,広く国民に伝えることを目的に毎年とりまとめられ,2014年版は発刊から14冊目となる。
<「2014年版 厚生労働白書」の構成>
第1部
・毎年テーマを決めて執筆されており,今回は「健康長寿社会の実現に向けて〜健康・予防元年〜」である。
第2部
・「現下の政策課題への対応」では,子育て,雇用,医療・介護,年金など,厚生労働行政の各分野について,最近の施策の動きがまとめられている。

→2013年の「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(成長戦略)の中で「国民の健康長寿を延伸する社会」が打ち出されたことなどを背景に,「2014年版厚生労働白書」のタイトルは「健康長寿社会の実現に向けて〜健康・予防元年〜」となったとのことである。現時点で日本人の平均寿命と健康寿命には男性で約9年,女性で約13年の開きがあり,この差を短くすることが,医療費や 介護費を減らすことにつながると指摘し,生活習慣病を予防するために,特定健診(メタボ健診)やがん検診の受診率向上が有効だとしている。なお,2013年度から始まった「健康日本21(第2次)」でも取り組みがなされている。
→「健康寿命」とは,2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した概念で,「日常的に介護を必要とせずに自立した生活ができる生存期間のこと」をいう。厚生労働省は,平均寿命と健康寿命との差を,日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味すると説明し,健康寿命が伸びれば,個々人の生涯医療費の抑制につながり,医療費削減に貢献できるという論法を用いるが,科学的な根拠を示していない。
→一方,「健康長寿であっても,いずれは医療機関にかかることになり,必ずしも医療費抑制につながらない」,「健康寿命が長い者とは,自分で排せつ,食事が可能であっても,疾病と共存し,薬漬けの毎日を送っている可能性があり,医療費抑制に結び付かない」などの有力な指摘がある。
→また,例えば,「喫煙」による健康被害は,国内外の多数の科学的知見により因果関係が確立している。したがって,「煙草」が健康寿命の短縮と医療費の増大をもたらしていることは明白であるが,「たばこ税」ほしさに,本気で喫煙を無くすつもりはないらしく,「健康日本21(第2次)」でも,寿命を縮める有力候補を「喫煙」としているだけである。とにかく,医療費・介護費や医療費・介護費削減に関しては,行政からの嘘くさい説明が多い。(筆者)
労働経済の分析(労働経済白書) 「2015年版 労働経済の分析(通称:労働経済白書)」(要約 / 本文 「2014年版 労働経済の分析(通称:労働経済白書)」(要約 / 概要/ 本文 「2013年版 労働経済の分析(通称:労働経済白書)」(要約 / 概要/ 本文
<「福祉行政の最新情報」2015年9月16日記事の再掲>
・2015年9月15日,厚生労働省は,「2015年版 労働経済の分析〜労働生産性と雇用・労働問題への対応〜」」(通称「労働経済白書」)を公表した。
・「労働経済白書」は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今回で67回目となる。
・「2015年版 労働経済白書」では,・経済活力の維持・向上に向け,少子高齢化の中での労働力の減少という供給制約を克服し,さらに持続的な賃金の上昇を可能にするため,「労働生産性と雇用・労働問題への対応」と題し,分析が行われている。
<「2015年版 労働経済白書」の構成とポイント>
第1章 労働経済の推移と特徴

・2014年度平均で完全失業率は3.5%と17年ぶりの水準となり,有効求人倍率も1.11倍と23年ぶりの水準となるなど,雇用情勢は着実に改善が進んでいる。
第2章 経済再生に向けた我が国の課題
・経済の好循環の継続に向けて,賃金の上昇が消費の喚起に重要であり,そのためには労働生産性向上の取組が不可欠である。
第3章 より効率的な働き方の実現に向けて
・就労参加を促すには,長時間労働の是正等,働き方の見直しが必要となる。
第4章 人口減少下における地域経済の在り方
・我が国全体の経済成長にとって,地域経済の活性化は重要。地域経済の成長には,民間最終消費支出が大きく寄与しており,所得水準の引上げの前提となる労働生産性を高めるとともに,女性や高齢者の労働参加を進めることが肝要である。

→「労働経済白書」の副題は以下のとおりである。
2015年版 :労働生産性と雇用・労働問題への対応
2014年版 :人材力の最大発揮に向けて
2013年版 :構造変化の中での雇用・人材と働き方
2012年版 :分厚い中間層の復活に向けた課題
2011年版 :世代ごとにみた働き方と雇用管理の動向
2010年版 :産業社会の変化と雇用・賃金の動向
2009年版 :賃金,物価,雇用の動向と勤労者生活
2008年版 :働く人の意識と雇用管理の動向
2007年版 :ワークライフバランスと雇用システム
2006年版 :就業形態の多様化と勤労者生活
→筆者は,「労働経済白書」の最大の欠陥は,毎年,問題点を指摘するだけで労働行政を担う厚生労働省としての「反省」がないことであると思う。(筆者)
<「福祉行政の最新情報」2014年9月16日記事の再掲>
・2014年9月12日,厚生労働省は,「2014年版 労働経済の分析(労働経済白書)」(分析テーマ:人材力の最大発揮に向けて)を公表した。
・「労働経済白書」は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今回で66回目の白書となる。
・2014年版では,我が国が世界に誇る最大の資源は「人材」であるとの認識の下,全ての人材が能力を高め,その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の構築が必要だという観点から,企業における人材マネジメントや労働者の職業生涯を通じたキャリア形成に着目した分析が行われている。
<「2014年版 労働経済白書」の構成>
第1章 労働経済の推移と特徴
第2章 企業における人材マネジメントの動向と課題
第3章 職業生涯を通じたキャリア形成
まとめ

<「2014年版 労働経済白書」のまとめのポイント>
@経済の好循環の実現に向け,企業収益の拡大を持続的な賃金上昇につなげていくために,労働生産性を高めていくことが重要である。
A多様な労働者に積極的な雇用管理を行い,就労意欲を引き出す人材マネジメントが,企業を成長させるとともに,我が国の経済成長を高めていく。
B持続的な職業キャリアを通じた人的資本の蓄積によって職業能力を高めることが,人々の職業生活を安定させるとともに,我が国の経済社会の基盤を強固にしていく

→「男性の6割以上については,60歳近くまでの転職回数は多くても1回で,さらに,半数程度の者は初職から60歳近くまで一度も離職することなく一つの就業先で過ごしていることになる。」としている。また,「非正規社員から正社員へ移行する割合は,25〜34歳が最も高く,年齢が上がるにつれて移行割合が低くなる。」と分析している。当然と言えば,当然のことである。(筆者)
働く女性の実情 ■2014年版 働く女性の実情 2013年版 働く女性の実情 2012年版 働く女性の実情

<「福祉行政の最新情報」2012年7月9日記事の再掲>
・2012年7月6日,厚生労働省は,「2011年版 働く女性の実情」(いわゆる「女性労働白書」)を公表した。
・「働く女性の実情」は,政府や研究機関等の各種統計調査を用いて,働く女性の状況等を分析した報告書で,1953年から毎年公表されている。
<2011年版の構成>
I部第1章 :就業状況や労働条件など,働く女性に関する状況
I部第2章 :「女性の継続就業〜全員参加型の社会を目指して」と題し,急速な少子高齢化が進む中,全員参加型社会を目指す上で女性の就業継続に影響を与える要因や仕事と家庭の両立支援の状況などについての分析,検討
II部     :働く女性に関する厚生労働省の施策
@女性の就業継続に影響を与える要因
 ・育児休業制度(P15,16)
 ・キャリア意識(P19〜21)
 ・両立支援制度利用者のキャリア形成支援(P23)
A女性の継続就業,活躍推進に向けた方策(まとめ)(P26,27)

→2011年の雇用者のうち「非正規の職員・従業員」に当たる女性は,54.7%(1188万人,岩手,宮城,福島の被災3県を除いた前年比で0.7%増)で,過去最高であった。年齢が上がるほど非正規の割合が増えており,「妊娠・出産で退職した女性が非正規雇用になっている」と分析している。なお,非正規として働く女性のうち「パート・アルバイト」が前年比18万人増の916万人,「契約社員・嘱託」が154万人,「派遣社員」が56万人などである。
→「労働力率」(働く意欲のある人の割合)では,従来から出産後の30代が落ち込む「M字カーブ」が問題となっているが,「25〜29歳」(77.2%)と「45〜49歳」(75.7%)を左右のピークとし,「35〜39歳」を底とするM字型カーブを描いているものの,M字型の底の値は67.0%(前年比0.9%増)となり,改善されていると説明されている。
→厚生労働省が言うように「働きたかった女性が働ける環境が整備されてきた」のか,それとも,望まないけれど苦しい家計を助けるために主婦が仕方なく非正規で働かなければならなくなってきたということなのか。(筆者)