福祉行政の最新情報(2006.4.1)−10
2009年1月1日〜2009年3月31日
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
2013年4月1日〜
2012年4月1日〜2013年3月31日
2011年4月1日〜2012年3月31日
2010年10月1日〜2011年3月31日
2010年4月1日〜2010年9月30日
2010年1月1日〜2010年3月31日
2009年8月1日〜2009年12月31日
2009年4月1日〜2009年7月31日
2009年1月1日〜2009年3月31日
2008年11月1日〜2008年12月31日
2008年9月1日〜2008年10月31日
2008年7月1日〜2008年8月31日
2008年4月1日〜2008年6月30日
2007年12月1日〜2008年3月31日
2007年8月1日〜2007年11月30日
2007年4月1日〜2007年7月31日
2006年10月1日〜2007年3月31日
2006年4月1日〜2006年9月30日
http://www.yamadajuku.com/
日付 関係省庁等 項 目 ポイント
3/31 文部科学省 「世界自閉症啓発デー(4月2日)」 ・2007年12月18日に国連総会において,2008年度以降,毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議された。
<決議された事項>
@4月2日を「世界自閉症啓発デー」とし,2008年度以降毎年祝うこととする。
A自閉症への一般の認識を高めるよう,すべての加盟国や国連その他の国際機関,またNGOや民間団体を含む市民社会が,「世界自閉症啓発デー」を適切な方法によって祝うことを促進する。
B自閉症の子どもについて,家族も含めた社会全体への意識啓発のための手だてを加盟国がとるよう促す。
C事務総長に対し、この決議をすべての加盟国及び国連の機関に注意喚起するよう要求する。

→「世界自閉症啓発デー」の上記決議を受けて,2009年2月3日に文部科学省は従来の「情緒障害特別支援学級」を「自閉症・情緒障害特別支援学級」に改める通知を出している。文部科学省は,「各都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては,域内の学校,教職員,保護者等に対し,自閉症を含む発達障害についての 正しい理解啓発を促進するよう努めること」としているが,昨日の記事にもあるように,障害者雇用で厚生労働省から適正是正勧告を受けた「37都道府県教育委員会」に周知し,助言せよと言っている。縦割り行政。(筆者)


3/30障害者の雇用を進められない「37都道県教育委員会」は認識に甘さはないか (適正是正勧告)の記事を参照
3/30 厚生労働省 障害者の雇用を進められない「37都道県教育委員会」は認識に甘さはないか (適正是正勧告)

<障害者雇用を進めている10府県>

@雇用率を達成した5府県
大阪府,京都府,奈良県,和歌山県,香川県

A改善が進んでいるとされる5県
石川県,佐賀県,長崎県,大分県,宮崎県
2009年3月27日,厚生労働省は,障害者採用計画(2006年〜2008年の3年間)を適正に実施していないと認められた37都道県教育委員会に対して,「適正実施勧告」(計画終期における実施率が
50%未満の場合)を行った

・都道府県教委の法定雇用率は2.0%(都道府県2.1%,企業1.8%)であるが,勧告対象の37教委は平均1.52%(全国47平均では1.60%)であった。

このカテゴリーで何度も取り上げている事柄である。障害者雇用については,2008年の12月19日に障害者雇用促進法の改正案が参議院で全会一致で成立(一部を除き施行は2009年4月)し,中小企業にまで障害者雇用施策が及ぶ状況になっている。2007年10月にも38都道府県教育委員会に適正是正勧告が出されていたにもかかわらず,今回の勧告である。口は達者で知識はあるが,知恵がないという教育者の手本を何度も示すことはない,は言い過ぎかも知れない。(筆者)
3/29 厚生労働省 「第22回社会福祉士・介護福祉士国家試験」の受験料引き下げ

(3月31日追記)
「精神保健福祉士」の登録手数料引き下げ
第22回国家試験から適用される
区分 現行 改定後
社会福祉士 11,100円 9,600円
(△1,500円)
介護福祉士 12,800円 12,500円
(△300円)
3/28 厚生労働省 「改正雇用保険法」が成立
〜2009年3月31日施行〜
非正規労働者への支援強化を目的とする改正雇用保険法が3月27日の参院本会議で可決,成立した。2008年度内に失職する人にも適用されるよう,3月31日に施行される
・主な改正点
@保険の加入条件の緩和
  ・非正規の加入要件:「週20時間,1年以上」→「週20時間,6か月以上」
A再就職困難者への失業給付日数の延長(60日分)
B雇用保険料率の引下げ
  ・1.2%→0.8%(労使折半)
C失業給付を受けるために必要な加入期間の緩和
   ・12か月→6か月

3/27 厚生労働省 「市町村がん検診事業の充実強化について」(通知) がん検診は,健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業として市町村が実施している。2007年の「がん対策推進基本計画では,がん検診の受診率を5年以内に50%以上とするとともに,すべての市町村において,精度管理・事業評価が実施され,科学的根拠に基づくがん検診が実施されることが目標とされている。
・厚生労働省は,
「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(2008年3月31日通知)を定めて検診を推進してきたが,2008年3月の「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について(報告書)」を受けて,今回新たに「市町村がん検診事業の充実強化について」(2009年3月18日通知)を示した。

→●「今日の一問」を参照(問題34:2008年度以降の「老人保健事業」および「市町村が実施するがん検診」について述べよ。,問題46:2008年度以降の「健診(検診)」の名称・根拠法・実施主体・財源を一覧で示せ。,問題60:「がん対策推進基本計画」および「2008年度以降のがん対策」について述べよ。)
3/26 厚生労働省 「4月から要介護認定の調査方法が変わる」
(厚生労働省説明文からの抜粋)
<4月からの見直しの考え方>
●申請手続はこれまでどおりですが,認定調査員がご本人を訪問して行う調査は,調査時のご本人の状態をありのままに調査する方法に変わります。このため,調査の際に,ご本人やご家族の方が,ご本人の普段の様子を調査員に詳しくお伝えいただくことが重要になります。
●認定審査は,ご本人の生活の上で、どれほど介護の手間がかかるかを判定するものです。要介護度は病気などの重症度ではなく,必要とされる介護の量で決まります。これまで通り,「要支援1〜2,要介護1〜5」の7段階であり,要介護度の仕組みそのものが変わるわけではありません。
●今回の見直しにより,最新のデータに基づいて,より正確に介護の手間が判定できるようになります。併せて,認定結果のバラツキを減らし,要介護認定を公平なものとします。
<変更のポイント>
@認定調査・主治医意見書
実際のご本人の状態や介助の程度のありのままを見させていただき,普段の様子などもお聞きします。ご本人やご家族が普段困っていることや不便に思っていることは,具体的に遠慮無く調査員や主治医の先生にお伝えください。
A1次判定
最近の介護サービスの開発・進歩にあわせ,より適切な介護の手間のかかり方を判定するために,使用するデータを更新しました。
B2次判定
「認定調査」などでお伺いした,より具体的な内容をもとに,審査会で総合的に判断されます。

3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照
3/25 厚生労働省 「認定調査員テキスト2009」 ・2009年4月からの「要介護認定の調査方法の変更」(後日掲載)に対応したテキストである。
→「認定調査員」の資格要件,業務内容,研修体制,雇用状況,評価を明確に答えられる人は少ないと思う。筆者は,「介護保険制度」の良否は「認定調査員」の資質に左右されると考えており,現状のままにしておくべきではないと思っている。要介護認定に際しては,形態の欠陥だけでなく,認定調査員の採用・養成方法の欠陥(場当たり的な自治体の非常勤職員採用によるベテランの不在など)を俎上に載せなければ,介護保険制度がよい方向に向かっていかないように思う。
→「要介護認定調査」を「介護福祉士」の国家資格に包含し,教育カリキュラムに組み込むことは解決法とならないだろうか。「介護福祉士」の専門性を高め,要介護認定の質を担保し,ひいては,「介護福祉士の社会的地位の向上」につながると考える。やれることはまだまだある。行き詰っていても仕方がない。
→介護保険のことはすべて介護支援専門員(ケアマネジャー)という一極集中的な考え方でことを解決すべきではないと考える。(筆者)
3/24 厚生労働省 「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」
【1】調査結果
(1)調査目的
・今後の若年性認知症に対する施策の基礎データを構築するため,2006年度から2008年度の3年間において,65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症の全国レベルでの疫学的な実態や当事者と家族が抱える問題を明らかにする調査を実施。
(2)有病率に関する推計結果
@18−64歳人口において47.6人(10万人当たり),男性>女性
A全国で3.78万人
B基礎疾患としては,脳血管性認知症,アルツハイマー病,頭部外傷後遺症,前頭側頭葉変性症,アルコール性認知症,レビー小体型認知症の順
C推定発症年齢は51.3歳

(3)介護家族に対する生活実態調査
@最初に気づかれた症状は,もの忘れ,行動の変化,性格の変化,言語障害の順
A家族介護者の約6割が抑うつ状態にある

B発症後7割が収入が減ったと回答
C多くの介護者が経済的困難,若年性認知症に特化した福祉サービスや専門職の充実の必要性を記載

【2】厚生労働省の対策(3月19日付通知)
@若年性認知症者の支援に活用可能な以下の現行施策を担当する各行政部局,サービス事業者その他の関係団体等が相互に若年性認知症対策に関する理解を深め,有機的な連携の下で,一人ひとりの状態に応じた多様なサービスが総合的に提供されるよう積極的に努める
A2009年度から国庫補助事業や介護報酬加算を創設し,若年性認知症に関する
相談体制や関係者の連携体制の強化,介護保険施設等の若年性認知症者の受入れの促進を積極的に図る

→上記厚生労働省の対策は,2008年7月の「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」および今回の調査結果を踏まえて,3部局長連名通知(職業安定局高齢・障害者雇用対策部長,社会・援護局障害保健福祉部長,老健局長連名通知)として発出された。「やっと」の感はあるが,医療と介護の連携が始まる。(筆者)

認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」
3/23 厚生労働省 「21世紀成年者縦断調査(第6回)」 2002年10月末時点で20〜34歳だった男女を対象に,毎年継続して実施している「21世紀成年者縦断調査」の第6回結果である。
・今回の調査は2007年11月に実施したもので,子供が1人いる夫婦に過去5年間の第2子の出生状況を尋ねたところ,夫の家事・育児時間が「なし」と答えた夫婦で35.5%だったのに対し,「8時間以上」71.3%であった。子供が2人以上いる夫婦についても夫の家事・育児時間が長いほど第3子以降の生まれる割合が高い傾向にあった。


→多くの調査項目のなかで,上記のようにある特定の事柄に焦点を合わせて記事にされると,一般的には受け手はそれを最重要なこととして受け止める。実は,上記の記事は,今回の調査結果における厚生労働省の発表文言である(見出し:「第2子以降の出生割合,夫の家事・育児時間に比例」)。メディアは,発表内容をそのまま報道することが多い。福祉専門職は,鵜呑みや思い込みを避けて,根拠や証拠を確かめて,自身で考える姿勢をもち続けることが大切である。(筆者)


明確な根拠をもつ「基本となる調査・統計」)
3/20 厚生労働省 国家試験の合格発表が3月末に集中
3月24日〜31日に合格発表のある厚生労働省所管の国家試験
介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士,医師,歯科医師,保健師,助産師,看護師,診療放射線義歯,臨床検査技師,理学療法士,作業療法士,視能訓練士,臨床工学技士,義歯装具士,歯科衛生士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,言語聴覚士

→改正社会福祉士及び介護福祉士法第47条では,「福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない」と規定されている。「高齢者介護」を例にすれば,求められる要介護者へのサービスとは,介護福祉士による生活支援,ソーシャルワーカーによる福祉的な相談支援,医療関係者による医療的な管理・リハビリテーション・機能訓練などの多様な保健医療・福祉サービスであり,これは「チームケア」によって実践される。特に,「多職種とのチームケア」における「各職種の役割・専門性」の理解は,「資格・試験」の正しい理解に基づいて成立する。(筆者)
3/19 首相官邸 「経済危機克服のための有識者会合」 ・麻生首相が追加経済対策の策定に向けて,各界の有識者から総合的に意見を聴くために設置たもので,「エコノミスト・学識経験者」「経済界」「雇用人材開発」など10のグループ(83人)で構成され,3〜4分/人で意見を聞くとのことである。首相は,「オールジャパン」のメンバーだと紹介している。
・期間:2009年3月16日〜3月21日


→本会合に対するマスコミの論調は,概して「ただのパフォーマンス」である。
→以下は,「経済」の知識に乏しい筆者の的外れな「作り話」である。
『この会合は単なるパフォーマンスでは断じてない。麻生首相のミッションは,リークされているように20〜30兆円(GDPの4-6%に相当)の大規模財政出動である。その実現までは何としても現政権の存続が必要である。現在の政局の不可解さはこの文脈にある。このミッションは,クリントン国務長官の来日やその後のオバマ大統領との会談に符合している。現在,アメリカは自国の貿易赤字の解消に焦点化しており,すでに保護主義が台頭している。アメリカ国内では,アメリカの景気対策への他国のただ乗りを許さない状況にある。GDPの17%という超大規模財政出動を発表している中国は問題ないが,日本のGDP縮小のなかでの2%の財政出動では不十分で,早期の大型財政出動の日本の発表をアメリカが待っている状況にある。大恐慌に陥るかどうかは財政規模の大きさによるとの認識に立っている。結論ありき(20〜30兆円の財政出動)ではあるが,国民への言い訳として日本国内の英知を集めて検討したという実績作りが必要なために「経済危機克服のための有識者会合」を開催した。日本は,大型財政出動,アジアとの連携,有効な内需拡大という難問に,早期に対応しなければならないという追い詰められた状況に置かれている。』
→これは,「経済危機克服のための有識者会合」のメンバーの一人で麻生首相の経済ブレーンといわれる野村総合研究所主席研究員リチャード・クー氏のこれまでの発言を基にした筆者の作り話である。
→筆者は,リチャード・クー氏の主張を主流化するために本会合が開催されたと思っている。本会合以後,クー氏の発言が注目されている。他の82人は当て馬だとしたらひどい話である。確かに,「オールジャパン」と言うには疑問のある顔ぶれである。
→今回の金融危機の起こる直前でも,事態とその深刻さを予想・予測した経済学者・エコノミストは殆どいなかったことを考えれば,現在これしかないという選択肢を提示している「経済学者・エコノミストの危うさ」を念頭に置いておく必要がある。さらに,「経済学の危うさ」は,金融危機を引き起こしたアメリカのサブプライムローンの理論を支えた経済学者に対して,1997年にノーベル経済学賞が授与されたことでも理解できる。
→福祉専門職には,人の話を鵜呑み・丸呑みにするのではなく,どういう人がどのような立場で何を主張しているかということを常に確認し,常に根拠・証拠を求める姿勢が必要である。長い話になってしまった。(筆者)
3/18 国立国語研究所 「『病院の言葉』を分かりやすくする提案(最終報告)」(2009年3月)

<福祉・介護現場における例示>
@言い換える言葉
・エビデンス→証拠
・誤嚥→食物などが気管に入ってしまうこと
・せん妄→話し言葉やふるまいに一時的に混乱が見られる状態
・ADL→日常生活基本動作,日常生活動作

A使う際には明確な説明が必要な言葉
・介護老人保健施設,グループホーム,炎症,うつ病,ぜん息,黄だん,既往歴,メタボリックシンドローム
B重要な概念として普及・定着させるべき言葉
・インフォームドコンセント(納得診療,説明と同意)
・QOL(その人がこれでいいと思えるような生活の質)
・「医療の分野では,患者中心の医療の考え方が広まり,医療者は十分に説明をし,患者は説明を理解し納得した上で,自らの医療を選ぶことが求められています。ところが,医療者の説明に出てくる言葉が分かりにくいことが,患者の理解と判断の障害になっています。この問題を改善するために,国立国語研究所は「病院の言葉」委員会を設置し,「病院の言葉」の分かりにくさの原因を探り,分かりやすく伝えるための工夫を類型化,医療者に対して提案しています。」と説明されている。

→「医師,薬剤師,看護師など様々な分野や立場の医療関係の専門家」に向けての提案とされるが,対人援助を行う「福祉専門職」も連動すべきである。
→2009年度から福祉士の新教育カリキュラムに基づいた新テキストが使用される。先日,筆者は,ある出版社の介護福祉士の新しいテキストを全巻通読した。今は社会福祉士の発刊された新しいテキストに目を通している。各分野のテキストにおいて,見出しや索引を見ていただくと分かるが,未だに英語の「カタカナ表記」や漢字をつなぎ合わせた「専門用語」だらけである。介護福祉士・社会福祉士が国家資格となってすでに20年以上になる。「力量ある福祉専門職」を養成するには,苦し紛れであわててつくったものではなく,練り上げて熟成させた用語を用いたテキストが必要だと思う。また,「福祉・介護」に携わることの魅力については,「カタカナ英語」や「難解な漢字」を用いずに,「心に響く日本語」で伝えることが大切だと思う。(筆者)


2008年10/30(■「『病院の言葉』を分かりやすくする提案(中間報告)」の記事を参照
3/17 厚生労働省・文部科学省 ■2008年度新卒者就職内定状況(中学・高校 / 大学等 ・2008年度新卒者内容内定状況
調査 1月末現在 2月1日現在
厚労省 厚労省・文科省
区分 中学 高校 短大(女性) 大学
内定者数 5千10人 16万2千人 4万7千人 35万人
内定率
(前年比)
18.9%
(6.8%減)
87.5%
(1.9%減)
75.8%
(0.9%減)
86.3%
(2.4%減)
                       (やまだ塾作成)

→「経済情勢の悪化を背景に,募集の抑制や採用の厳格化が進んでいる」と分析されている。(筆者)

新規学校卒業者の採用内定取消し状況(2009年2月19日現在)
3/16 厚生労働省 「仕事にあぶれた人を介護に回す」という施策

<社会保障 きほんのほ-8>
■高齢者向けの施設の種類と概要
種類 概要
@特別養護老人ホーム 「福祉専門職」には暗記していただきたい。
A老人保健施設
B介護療養型医療施設
C軽費老人ホーム
D養護老人ホーム
E有料老人ホーム
F認知症高齢者グループホーム
■高齢者の向けの賃貸住宅の種類と概要
種類 概要
@シルバーハウジング 「福祉専門職」には暗記していただきたい。
A齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
B高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)
C高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
→本ホームページ開設の趣旨である「福祉専門職の社会的地位の向上のために」と深く関連する施策なので,筆者の意見を忌憚なく述べる。
『「規制緩和」を優先して派遣切りの「弱者」を創出し,その救済に,あろうことか「介護」の名を借りて財政資金を投じるという施策である。56億円(2009年度予算案)もの多額の国民の血税に値するとは到底思えない。「使命感」をもって,懸命に支えている「介護現場の気持ち」を踏みにじるものである。品位に欠ける施策であり,「不快感」をもった。もちろん有効性にも疑問がある。』(筆者)


3/9「2009年度の介護報酬改正」の記事を参照

「今日の一問」(問題101.予算から見た「福祉・介護人材の確保対策」について述べよ。
3/13 厚生労働省 「2009年度 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」
(1)死亡診断書(死体検案書)の意義
@人間の死亡を医学的・法律的に証明する。
A日本の死因統計作成の資料となる。
(2)死亡診断書ではなく死体検案書とするケース
@診療継続中の患者以外の者が死亡した場合
A診療継続中の患者が診療に係る傷病と関連しない原因により死亡した場合
なお,外因による死亡またはその疑いのある場合には,異状死体として24時間以内に所轄警察署に届け出が必要となる。

→福祉専門職には,「死」と正面から向き合い,自分なりの「死生観」を確立していく時間が必要であると思う。
→現在,現下の社会情勢から「自殺の予防」を政府が広報している
『自殺予防のための行動〜3つのポイント〜
@周りの人の悩みに気づき、耳を傾ける。
A専門機関への早めの相談を促す。
B温かく寄り添いながら,じっくりと見守る。
−周囲の人が自殺を考えているのではないかと思い当たるときの3つのポイントです。』           (筆者)


2/23「2009年度自殺対策関係予算案」,1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?)の記事を参照
3/12 厚生労働省 「2007年地域児童福祉事業等調査結果の概況」
〜約7割が認可保育所への入所を断念〜

<社会保障 きほんのほ-7>
■日本の少子化対策の動向
1994年 ・エンゼルプラン
1995年 ・緊急保育対策等5か年事業
1999年 ・少子化対策推進基本方針
・新エンゼルプラン
2000年 ・児童虐待防止法
2001年 ・待機児童ゼロ作戦
2002年 ・少子化対策プラスワン
2003年 ・少子化社会対策基本法
・次世代育成支援対策推進法
2004年 ・少子化社会対策大綱
・子ども・子育て応援プラン
2006年 ・認定子ども園法
・新しい少子化対策について
2007年 ・「子どもと家族を応援する日本」重点戦略
・WLB憲章および行動指針
2008年 ・新待機児童ゼロ作戦
・約7割の世帯が子供の保育施設について認可保育所への入所を検討したが「入所しなかった」と回答した。その理由として,@「認可保育所に入りたかったが空きがなかった」,A「認可保育所の保育時間が希望に合わなかった」,B「預けたい時期に入れなかった」の順に多い

→厚生労働省が,最初の「待機児童ゼロ作戦」を発表したのは2001年7月で,直後に「待機児童の定義」を変更したが,それでもゼロにはできなかった。2008年2月27日「新待機児ゼロ作戦」を発表した。2008年4月時点における保育所入所待機児童数は1万9550人(前年同月比1624名増)であった。
→小泉内閣以降,待機児童数を減らすために,市場原理の考えを導入し,規制緩和ですし詰め状態にして園庭をもたない保育園も認可し,安全を確実に担保できない「保育ママ」という有償ボランティアを持ち込んだり,待機児童の定義までも変えてきた。「数」が「質」に優先され,現在もその方向性に変わりはない。
→保育現場からの完全な同意が得られないまま,2009年2月24日に「新たな保育の仕組み」として「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて(第1次報告書)」(社会保障審議会少子化対策特別部会)が取りまとめられた。厚労省は改善としているが,筆者は,「保育難民」の増加,保育の質の低下,職員の給与等待遇の低下につながる可能性が高いと思っている。現在,「介護難民」などの大きな問題を抱えることになった「介護保険制度」,「障害者自立支援制度」,「後期高齢者医療制度」の進め方にどこか似ているように思えてならない。「公的保育制度の危機」と捉える見解が多い。待機児童問題の最大の原因が,保育に対する公的支援額の絶対的な不足であることは周知である 。
→現在,「今後の少子化対策」は,「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」で検討が進められているが,人類の英知で獲得してきた「子どもの視点」「子どもの人権」「子どもの利益」をベースに置かず,「大人の論理」「大人の利益」を追求すれば,これまでの轍を踏むことになる。(筆者)


明確な根拠をもつ「子ども,青少年」「少子化の情報」)
3/11 厚生労働省 名刺型リーフレット(民生委員・児童委員)@ / A

<社会保障 きほんのほ-6>
■民生委員法第14条第1項
「民生委員の職務は,次のとおりとする。
@住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと。
A援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ,助言その他の援助を行うこと。
B援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと。
C社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。
D社会福祉法に定める福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)その他の関係行政機関の業務に協力すること。」
■民生委員法第15条
「民生委員は,その職務を遂行するに当っては,個人の人格を尊重し,その身上に関する秘密を守り,人種,信条,性別,社会的身分又は門地によって,差別的又は優先的な取扱をすることなく,且つ,その処理は,実情に即して合理的にこれを行わなければならない。」
・厚生労働省においては,「少子高齢化の進展や家族機能の変化等の影響もあり,高齢者等の孤立死の問題や消費者被害の問題など,地域における生活課題はますます複雑多様化してきており,住民の立場に立った身近な支援活動を行う民生委員・児童委員の役割はますます重要になってきている」と認識されている。

→民生委員・児童委員に関する最大の課題は,「担い手の確保」であるといわれている(全国ベースの定数充足率は97.9%で,大都市部で低い傾向がみられる)。2008年5月の地方分権改革推進委員会からの第一次勧告の中で「民生委員の委嘱手続を簡略化する。その具体的な方策について2008年度中に結論を得る。」とされ,現在厚生労働省で検討されている。また,民生委員・児童委員活動が円滑に行われるためには,できるだけ多くの国民に,民生委員・児童委員の取組みの理解を広げることが必要とのことから,広報の方策も検討されている。(筆者)

明確な根拠をもつ「地域福祉」)
3/10 厚生労働省 「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果(2009年1月)」

<社会保障 きほんのほ-5>
■ホームレス対策の経緯
・1999年:「ホームレス問題連絡会議」
・2000年:厚労省による支援の開始
・2001年:緊急一時宿泊事業,能力活用推進モデル事業など
・2002年:「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(時限立法)
・2003年:全国調査報告書
・2003年:旧「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」
・2007年:全国調査報告書
・2008年:新
「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」
■)ホームレスが就職するために望む支援
@「住所を設定する必要があるのでアパートがほしい」,A「就職の際の身元保証の援助」,B「自分たちにあった仕事先の開拓」の順であった。(2007年全国調査報告書)
@全国ホームレス数(目視調査による)
調査 男性 女性 不 明 合 計 増減
2007年 16,828 616 1,120 18,564 △26.6%
2008年 14,707 531 780 16,018 △13.7%
2009年 14,554 495 710 15,759 △ 1.6%
A都道府県別
最多は大阪府(4,302人),次いで東京都(3,428人)で,
全国の約半数を占めている。最少は鳥取県(3人)であった。
B東京都23区・政令指定都市の状況
合計数11,245人で,
全国の約7割を占めている。
C起居場所別
都市公園,河川で減少したが,
道路,駅舎,その他施設で増加している。

→自立支援を中心とした「ホームレス対策」が展開されている。「ホームレス対策」において,生活保護や福祉事務所の存在感が薄れていっていいものだろうか。憲法25条の「生存権」に基く生活保護制度における「無差別平等の原理」が,行政において適正に実施されていないのではないかという問題がある。また,「漏給」とともに行政の怠慢ともいえる「濫給」の問題がある。相手が組しやすいかどうかで対応することがないように,制度が必要な人に活用されるように,厳しい経済情勢によるホームレス数の増加に対応できるように,適正な生活保護制度の運用と改善が強く求められている。「最後のセーフティネット」とは,文字通り「最後」であり,「生死」の分岐を意味する。(筆者)

明確な根拠をもつ「ホームレス対策」,「社会保障・生活保護」)
3/9 厚生労働省 「2009年度の介護報酬改正」

<社会保障 きほんのほ-4>
■2005年の介護保険制度改正の基本的視点
@「制度の持続可能性」=給付の効率化・重点化によって,保険者である市町村権限の強化とサービスの適正化
A「明るく活力のある超高齢社会の構築」=予防重視型システムへの転換によって,介護予防システムの確立と軽度者の給付の見直し
B「社会保障の総合化」=効率的かつ効果的な社会保障制度体系に向けて,年金との給付調整,医療との連携・調整,予防重視型システムへの転換

■2000年以降の介護報酬改定の経緯
2003年度 ・2.3%引き下げ
2006年度 ・2.4%引き下げ
2009年度 ・3.0%引き上げ
<介護報酬改正の主要な項目>
サービス 項目 改定の概要
@訪問介護 身体介護 ・2310→2540円/回
生活援助 ・2080→2290円/回
A通所リハビリ 1H−2H ・なし→2700〜3900円/回
B通所介護 CCW40% ・なし→120円/回
C小規模多機能居宅介護 CCW40% ・なし→5000円/月
認知症 ・なし→5000or8000円
D特養 夜勤職員 ・なし→130〜410円/日
E老健 夜勤職員 ・なし→240円/日
認知症 ・600→2400円/日

→左記の通り今回のプラス改定(+3.0%)でも過去2回のマイナス改定分(−4.7%)を取り戻してはいない。厚生労働省は今回の改定のねらいの一つとして,介護職員の報酬アップで待遇を改善し,人手不足を解消することをあげている。介護離れにつながった2006年度の介護報酬の引き下げの施策失敗をたな上げにし,かつ十分な議論もせず何の根拠もなく行政が勝手に決定した3.0%アップであるのに,「また,ズレたことを言ってる」というのが現場の感想である。
→今回の改定では,基本報酬自体の「底上げ」がないため,すべての事業所の収入が3.0%増加するわけではない。上記の通り一定の基準を満たす事業所への上積みをする「加算方式」である。規模の小さいところには不利な改定である。なお,介護報酬改定に伴い2009年4月から65歳以上の保険料も上昇するが,2009年度は全額,2010年度は半額の増加分を国が補填するとされている。
→日本の介護保険制度はいま,介護現場に事業経営と人材確保の困難をもたらし,制度そのものが崩壊の危機に直面している。「走りながら考える」ということで始めた介護保険制度の答えが「いまの状況」である。日本の介護保険制度における致命的な欠陥は,「利用者の視点でないこと」と「行政のさじ加減で進められていること」だと筆者は考えている。介護保険制度の当初の目的であった「介護の社会化」の再構築に関しては,@利用者への負担の軽減,A支給限度額の引き上げ,B介護保険料に対する公的補助の実施,C介護型療養病床の継続,がベースになると考える。3月8日のテレビ番組(テレビ朝日ザ・スクープSP)のなかで,「介護型療養病床の廃止」の施策に直接関与した当時の厚労省担当者が,「ほとんど議論もなされず1か月で決定された」「間違った施策であった」ことを実名で露出して告白していたのを観て衝撃を受けた。今後,「自立自助」「民間活力導入」のもとで行われた小泉内閣の「社会保障構造改革」を適正に評価しなければ先へ進めない。(筆者)


「新介護保険制度(2005年改正)」
3/7 内閣府 ■「2008年度第2次補正予算関連法」が成立
〜2009年3月4日〜

<社会保障 きほんのほ-3>
■社会保障制度改革における1990年代以降の主な勧告・報告等
1995年 「社会保障体制の再構築(勧告)」
1996年 「社会保障制度構造改革の方向(中間まとめ)」
2000年 「新しい世紀に向けた社会保障(意見)」
2004年 「社会保障の給付と負担の見通し」
2006年 「今後の社会保障の在り方について」
2008年 「社会保障国民会議最終報告」
(1)予算の規模(一般会計分) : 4.8兆円
(2)主な内容
@定額給付金 2兆円
・国民12,000円/人
・子どもや高齢者20,000円/人
A高速道路料金の引き下げ 5,000億円
・地方部で,休日はどれだけ乗っても1,000円以下(首都高,阪神高速も休日は500円)
・実施時期は3/28以降
B地域活性化・生活対策臨時交付金 6,000億円
C緊急雇用創出事業の創設 1,500億円(特別会計分と合わせて4,000億円の基金創設)

→本法案(正式名称:「平成20年度における財政運営のための財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律」)は,1/13の衆議院本会議で可決,3/4の衆議院本会議に先立って行われた午前の参議院本会議で否決,衆参両院の議決が異なったので,衆議院に直ちに返付された。その後,憲法第59条第2項の規定に基づき,衆院本会議で2/3以上の賛成多数で再可決,成立した。
→今日は韓国戦で,WBC日本チームの「侍ジャパン」には頑張ってほしいが,「泥舟」といわれる現内閣や「ホップ。ステップ。肉離れ。」といわれる野党第1党となぜかダブって映ってしまう。実力以上のことを求めるのは酷である。耳障りなほど「長嶋ジャパン」「王ジャパン」「星野ジャパン」と言っていたのに,どうして「侍ジャパン」なのだろう,と知り合いに聞いたら,「ハラジャパン」だと「ハラキリジャパン」と言われることが目に見えているからだ,と言ったので妙に納得してしまった。(筆者)


1/61月5日に「第171回通常国会」が召集された),1/5「2008〜2009年度の福祉・介護人材確保対策」の記事を参照
3/6 3月12日は「世界腎臓デー」(World Kidney Day 2009)である

<社会保障 きほんのほ-2>
■医療保険制度の沿革
1922年 健康保険法
1927年 健康保険法(全面施行)
1938年 国民健康保険法
1958年 新国家公務員共済組合法,新国民健康保険法
1961年 「国民皆保険体制」が確立
■1980年代以降の医療保険の主な改正
1982年 老人保健法の制定
1984年 自己負担導入,退職者医療制度創設
1994年 療養の給付改正,出産一時金創設,育児休業保険料免除,訪問看護療養費創設
1997年 給付引き下げ
2000年 老人医療定率負担導入,高額療養費制度創設,高額療養費の改正
2002年 給付率改正,老人医療対象年齢引き上げ,公費負担割合引き上げ,総報酬制導入
2005年 医療制度改革

日本における慢性腎臓病((Chronic Kidney Disease:CKD)の患者数は,1300 万人,治療が必要な患者においては600万人,腎疾患は死因の第8位を占めている
CKD は増え続ける人工透析の予備軍といわれ,脳梗塞・心筋梗塞などとも関連のある恐ろしい病気といわれるが,重症になるまで自覚症状に乏しく,その危険性は十分に知られているとは言えない状況にあるとされる。現在,生活習慣の改善や薬物療法等によって進行予防が可能な疾患になってきている。
2007年末には約27.5万人が透析療法を受ける状況であり,「新たな国民病」として正しい理解が求められているとされている。

→2007年度の国民医療費は33兆4000億円(前年度比1兆円増)である。厚生労働省によれば,国内の透析患者は約26万人(2006年末現在)で,毎年約1万人ずつ増え,1人の透析にかかる医療費は年間約500万円で,全体の医療費は年間約1兆3000億円である。多くの国民は人工透析の医療費を国民が負担していることを知らない。同時に,患者の苦しみも十分に理解できていない。「医療費」に関して,耳に入ってくるのは,恣意的とも思えるほど過大に宣伝されている高齢者の医療費の増大のことである。「理解して支え合う」ということは,すべてをつぶさに知らなければかなわない。「医療」において,知らされていないことが多いと思う。なお,2008年3月に「今後の腎疾患対策のあり方について」(腎疾患対策検討会)が報告されて,「腎機能に異常のみられた患者の治療や重症化予防については医療現場に委ねられる部分が大きく」として政策・施策の遅れが指摘された。また,国民への普及啓発の重要性が挙げられており,2009年3/1(ウォーキング),3/8(腎臓チェックキット配布),3/13(シンポジウム),が「国民への普及啓発のイベント」である。
→CKDの増加は世界的な問題となっており,「世界腎臓デー公式ホームページ」(左記)を見れば,「Amazing Kidneys!」(腎臓ってすごーい!)という見出しになっている。同じ啓発の言葉であるが,「あなたの腎臓だいじょうぶ?」(厚生労働省)と比較すると違いを感じる。(筆者)


(厚生労働省)3月13日にシンポジウム開催(「慢性腎臓病(CKD)シンポジウム〜あなたの腎臓だいじょうぶ?〜」)
「2007年度 医療費の動向」
3/5 厚生労働省 「労災保険率」が2009年4月に改定される

<社会保障 きほんのほ-1>
■労働保険とは
「労働者災害補償保険」(労災保険)と「雇用保険」の総称で,業務上災害と通勤途上災害による傷病等に対する補償(労災保険),失業した場合の給付(雇用保険)等を行う制度である。保険給付は,両保険制度で個別に行われるが,保険料の徴収等については労働保険として,原則的に一体のものとして取り扱われる。労働保険は,法人・個人を問わず労働者を一人でも雇っている事業主は必ず加入することが義務づけられ,「労働者」には、パート,アルバイトも含まれる。
A労災保険の目的
「労働者災害補償保険法」(労災保険法)において,「業務上の事由又は通勤による労働者の負傷,疾病,障害又は死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため,必要な保険給付を行うほか,社会復帰促進等事業として,被災労働者の社会復帰の促進,当該労働者及びその遺族の援護,適正な労働条件の確保を図り,もって労働者の福祉の増進に寄与すること」と規定されている。
■労災保険に要する費用
事業主の無過失損害賠償責任によって,全額事業主の負担である。なお,労災保険には,中小企業主とその家族従事者などに対する特別加入制度があり,公務員と船員は適用対象外となっている。
労災保険率は,業種別に災害リスクが異なる観点および労働災害防止インセンティブを促進し,かつモラルハザードを防止する観点から,業種別に設定され,原則として3年ごとに改定することとされている。一定規模の事業においては,過去3年間の収支率に応じて,メリット制(一定の範囲内で保険料率を増減)が採用されている。

→労災事故は未だに非常に多い(2007年の労災死亡者数は1357人)。労災事故は,精神疾患や過労死などますます複雑さを増しているといっても,「後追い行政」が認められるものではない。また,「労災かくし」(メリット制が要因になっているという指摘がある)という重大な問題に対する有効な解決策が見出されていない。(筆者)

「2007年における死亡災害・重大災害発生状況等」
「労災かくしは犯罪です。」(厚生労働省)
3/4 厚生労働省 「先進医療の各技術の概要について」

<医療費の自己負担額>
総医療費が100万円(うち先進医療に係る費用が20万円)のケースでは,44万円が自己負担となる。
@先進医療に係る費用は,全額が患者負担。→20万円
A通常の治療と共通する部分(診察,検査,投薬,入院料)は,保険給付され,3割が自己負担(高額療養費制度は適用される)。→24万円
先進医療は,2004年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構),行政改革担当,構造改革特区・地域再生担当との「基本的合意」に基づき,国民の安全性を確保し,患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえ,国民の選択肢を拡げ,利便性を向上するという観点から,保険診療との併用が認められた
2009年3月2日現在で,87種類(第3項先進医療技術として規定されている17種類を除く)の先進医療について,有効性・安全性を確保する観点から,医療技術ごとに一定の施設基準を設定し,施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることになっている。
先進医療は,一般的な保険診療を受けるなかで,患者が希望し,医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われる

「先進医療を実施している医療機関の一覧」
3/3 厚生労働省 「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書」および「労働関係法制度の知識の理解状況に関する調査報告書」

<近時,労働関係法制度に関する教育の重要性について指摘した各種報告等>
@「『人生85年時代』に向けたリ・デザイン」(2008年5月)
・労働関係法制など社会に出た際に必要となる法制度の基礎知識を付与する教育や情報提供についても,社会人の基礎づくりといった観点から一層の取組が期待される。
A「『生活安心プロジェクト』行政のあり方の総点検」(2008年3月)
・「働く」という観点からは,我が国における労働関係法令遵守水準の低さの大きな原因の一つとして,学校教育段階で働くことの意味を始め働くことに関する的確な教育が行われていないことが指摘されるところであり,働くことの権利と義務など働くことに関する教育の充実を通じて若年者の職業意識の形成が重要であると考えられる。
・内閣府,厚生労働省,経済産業省,文部科学省等関係府省庁の連携の下に,学校教育段階から社会に出てからの教育を含め,働くことの意味や労働関係法令,働くことの権利と義務など働くことに関する教育の充実等のための取組を進めることが必要である。

B「雇用政策基本方針」(2008年2月)
・在学中のキャリア教育が十分でない。
C「すべての人々が能力を発揮し,安心し働き,安定した生活ができる社会の実現」(2007年12月)
・就業形態の多様化や労働契約の個別化が進む中で,労働関係法制度をめぐる知識,特に労働者の権利に関する知識に不十分な状況がみられることから,労働関係法制に関する知識を付与する教育や情報提供の在り方について検討する。
D「経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会第1次報告」(2007年4月)
・労働を巡る権利・義務に関する正しい知識を教える学校教育の充実が図られ,そうしたなかで,就職・転職時における職業選択もよりスムーズに行われるようになる。
<今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告書>
・「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会(座長:佐藤博樹東京大学社会科学研究所教授)」において,2008年8月より6回にわたって検討が行われ,報告書が提出された。
<労働関係法制度の知識の理解状況に関する調査報告書>
・本調査研究は,学校教育や労使団体,地域のNPO,都道府県労働局,地方公共団体等が今後果たしていくべき役割等について総合的に検討するために,労働関係法制度の基礎的な知識の理解の状況に関する実態を把握することを目的に実施され,報告書が提出された。

→非正規労働者の趨勢的な増加や労働契約の個別化,就業形態の多様化等が進み,労働関係法制度をめぐる知識,特に労働者の権利に関する知識が,十分に行き渡っていない状況が問題として指摘されている。
→「労働教育」には歴史がある。戦後,GHQの指令によって,日本政府は1947年の労働省発足時に「労働省労政局労働教育課」を設置した。しかし,1959年に,労働教育にはその性質上,行政が直接行うことを不適当とする分野が少なくないとの理由で「労働教育課」を廃止した(例によって,外郭団体に「労働教育」を委ねた)。その後,公労使ともにバブルのときも,バブルの崩壊後も「労働者の権利」に真正面から取り組まなかった。その結果,近時,左記の政府系の会議体でも取り上げざるを得ないほど重大な社会問題となり,「労働教育」の言葉を半世紀ぶりに復活させたということである。今回の報告書はこれに対応するものである。歴史はあるが,積み重ねたものがないというのは悲しい。
→日本人の労働観にも深く関係する問題である。50年放置しておいて,いきなり大風呂敷を広げたように思った。「言うは易く行うは難し」という言葉がある。
→昨年から,本カテゴリーでも再三取り上げてきたが,少なくとも労働関係法制に疎いソーシャルワーカーを少なくすることはできる。筆者は,特に社会福祉士と精神保健福祉士の現在のありように危機感をもっており,「労働法制」「労働教育」は今後その専門性や存在意義を示すことのできる分野の一つであると考えている。(筆者)

3/2 ■「第21回介護福祉士国家試験の実技試験」に関して

(実技試験の問題文)
問題・やまだ塾解答速報はトップページ参照


・田村としさん(79歳)は右上下肢に麻痺があります。
つかまれば立位はとれますが,歩行はできません。衣服の着脱や車いすへの移乗には一部介助が必要です。車いすの移動は全介助です。
・昼食時に食べこぼして上衣が汚れました。自室に戻って着替えることを望んでいます。
・食堂のいすに座っている田村さんを自室まで車いすで移動介助し,上衣を着替えるまでの介助をしてください。
・なお,車いすの点検は済んでいます。
・田村さんは「はい」または「うなずく」のみです。
      (試験時間は5分以内です。)
→叱責を受けることは承知で,この時期しか言えないので,現在の介護福祉士実技試験に関する筆者の考えを述べる。
@日本では,「介護技術」は確立していない。にもかかわらず,応用問題で試験をしている。→本問題の「正解」を教科書(テキスト)から導き出すのは容易ではない。確立した基本技術で,かつテキストに明確にされている基本問題で試験すべきである。
A実施主体(社会福祉振興・試験センター)が,「正答」「採点基準」を公表しない。→筆記試験は正答が出せるが,実技試験は正答を出せないというのは論理的ではない。明朗なシステム(正答・基準の公表,面接委員・モデルのレベルの均一化など)で合否を判定すべきである。
B業者任せにメリットがあるとは思えない。→職能団体も正答公表にはタッチしない。結局,業者等の金儲けの道具になるだけである。介護職の質の向上や介護技術の質の向上に結びつく試験に改善すべきである。
→とにかく,このような試験を続けていては,努力を重ねて筆記試験までパスした受験者が気の毒である。(筆者)


財団法人社会福祉振興・試験センター
介護福祉士国家試験の実技試験免除制度
3/1 内閣府 「少子化対策に関する特別世論調査」 ・2月26日に「少子化対策に関する特別世論調査(2009年1月調査)」の結果が発表された。
@出生率について日本の将来に「危機感を感じている」と答えた人は83.0%であった(2004年9月調査:76.7%)。
A少子化対策で特に期待する政策を尋ねたところ,「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しの促進」が58.5%,「子育てにおける経済的負担の軽減」が54.6%,「妊娠・出産の支援」が54.6%となっている。

<調査項目>
@出生率について我が国の将来に危機感を感じるか
A諸外国の政策を我が国にも導入すべきか
B少子化が与えるマイナスの影響
C少子化対策で特に期待する政策
D子を持つ親にとってあればいいと思う地域活動

→ことここに至って,上記調査項目は適切なのかなあ,という思いをもった。(筆者)

明確な根拠をもつ「少子化の情報」
2/28 厚生労働省 ■「2009年度厚生労働省の行事予定」 (大会等 / 月・週間 / 国際会議等 →やまだ塾のトップページも,2009年度からは3福祉士の新しい教育カリキュラムや国家試験に対応する構成にしていきたいと思っています。介護福祉士の新しいテキストを全巻通読しました。新しいステージに向かうような気持ちになりました。(筆者)
2/27 厚生労働省 「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が2009年4月1日に施行される

神谷美恵子『生きがいについて』より

『ひとは自己の精神の最も大きなよりどころとなるものを,自ら苦悩のなかから創り出しうるのである。知識や教養など,外から加えられたものとちがって,この内面からうまれたものこそいつまでもそのひとのものであって,何ものにも奪われることはない。』
政府広報
   ハンセン病問題は終わっていません!! 
 
                           厚生労働省 
●「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が4月1日から施行されます。
●国の隔離政策によりハンセン病患者であった方やそのご家族が受けた被害の回復に向けて,社会生活全般にわたる必要な支援を推し進めます。
●偏見と差別のない社会の実現に向けて皆で取り組みましょう。    
・2月24日から上記の記事が政府広報されている。
・「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」は,ハンセン病問題の解決の促進に関し,基本理念を定め,国および地方公共団体の責務を明らかにするとともに,ハンセン病問題の解決の促進に関し必要な事項を定めた法律であり,2008年6月11日に成立し,2009年4月1日に施行される。

・福祉専門職は,本法律を通読していただきたい


本法律と直接の関係はないが,ハンセン病患者の治療に一生をささげられた精神科医の神谷美恵子氏の著作のうちから左記の一文を掲載した。「援助過程における利用者とのかかわり方」に関して,福祉専門職への示唆となる。介護福祉士の新しいテキストにおいても引用されている。(筆者)

「第169回通常国会で成立した法律」
2/26 厚生労働省 「2009年の公的年金財政検証」の評価は? ・厚生労働省は2月23日,2009年の「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」を社会保障審議会年金部会に示した。現役世代の手取り収入と比較した年金額の水準(所得代替率)の見通しについて,出生率や経済状況の推計に応じて9パターンを提示し,出生率,経済状況が中間値の「基本ケース」では,2038年度に50.1%になるとした。
●5年ごとの「公的年金の財政検証」:
政府は2004年の年金制度改革で,社会経済情勢の変化を踏まえ,少なくとも5年に1 度,年金財政の持続性を検証することを法律で規定した。2009年が初めての財政検証であり,所得代替率は,賞与を含めた現役世代(男子)の平均手取り月収に比べ,年金受給世帯がどの程度の年金を受け取れるかを表す数値であり,モデル夫婦世帯で計算する。財政検証で将来5年のうちに50%を割る結果が出た場合は,制度設計を見直す(保険料の上限や支給開始年齢の引き上げ,制度の抜本改革)ことが決められていた。ちなみに,2004年は50.2%で2009年は50.1%であった。なお,2009年度の所得代替率は62.3%である。
●2009年の検証結果の意味
・政府は2004年に約束した50%を維持できるとし,「100年安心の年金プラン」の体裁を保ったことになる。これによって,少なくとも5年後までは「制度設計の見直し」は行われない。

→マスコミ・報道の論調は,「100年安心疑問視」「試算前提に甘さ」「楽観的な試算」などで,ことを荒立てない様子である。
→筆者は,失礼だけど「荒唐無稽」と受け止めた。
@現実離れした前提条件 : 現下の危機的な経済情勢における直近のGDP成長率を無視している,合計特殊出生率を2005年の1.26で設定している,名目賃金は2008年実績0.3%であるが毎年2.5%上昇するとしている,年金積立金の運用利回りが現在目標3.2%を超える4.1%で設定されている
A不確定な前提条件 : 安定した財源が確保できないまま年金の国庫負担割合1/2への増加が設定されている
Bベースが異なる前提条件 : 現役の手取り額の50%を名目年金額(税や保険料の支払い前の金額)と対応させている
→「早晩,上記の前提に狂いが生じる」ことは,素人でも想定できる。国民が求めているのは,気休めや取り繕いではない。正確な情報を国民に伝えることが国政の重要な役割であると思う。(筆者)
2/25 厚生労働省 厚生労働省改革の工程表
〜「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間まとめ」を踏まえて「省内改革推進プロジェクトチーム」で作成された〜



<「工程表」作成に関連する組織>
@「厚生労働省内改革推進プロジェクトチーム」
A「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」
■「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」構成員(敬称略)(順不同) 専門(やまだ塾記載)
岩男寿美子 慶應義塾大学名誉教授 社会心理
大熊由紀子 国際医療福祉大学教授 ソーシャルサービス
高山憲之 一橋大学教授 公共経済,経済政策
土居丈朗 慶應義塾大学准教授 公共経済
薬師寺泰蔵 慶應義塾大学客員教授 政治学
奥田碩(座長),浅野史郎,朝倉敏夫,テリー伊藤,松浦稔明
 
<2009年3月30日追記>
「厚生労働行政の在り方に関する懇談会最終報告」(概要 / 本文
→「国民生活に身近な厚生労働行政について,国民の目線に立った行政を推進し,国民の理解を得,信頼回復を図ることが急務である」という認識の下に,厚生労働省改革が進められようとしている。
→筆者は,一般社会において,この内容の書類を「工程表」と言う企業を知らない。「工程」とは,仕事や作業を進めていく順序や段階である。「工程表」という言葉を使うのであれば,一般社会・企業における「工程表」「工程管理」「進捗管理」の手法や「納期」の厳しさに合致されてしかるべきである。とにかく,一読されたい。(筆者)
<2008年12月22日記事の再掲>
(「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間まとめ」に関して)
→いつもながら,無礼を承知で,日頃から厚生労働行政を注視している筆者の意見を率直に述べる。この不安定な政局の中で,社会問題化している厚生労働省の運営・組織・体制の「改革」が遂行できるとは考えづらい。また,この中間まとめおよび2008年度末に予定されている最終報告による「改革」が完遂される可能性は低いと考えている。もっとも抽象的な表現の事柄に完遂という言葉は当たらないのかも知れない。本会議は福田前首相の指示で設置されたものであることもそう考える根拠になっている。上記の@〜Eの項目の抽出において,左記の多様で急しつらえの会議メンバーで,しかも会議開催がわずか5回(1時間30分〜2時間程度/回)であったことを考慮すれば,議論が不足していたことは明白である。当然に,実現するための手順は示されておらず,内容や表現も抽象的である。ということで,この中間まとめは,改革に対する政府および所管省庁の考え方の反映と推測した。(筆者)

→●2008年12/22「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間まとめ」,8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置されたの記事を参照
2/24 厚生労働省 男女雇用機会均等法・パートタイム労働法における紛争解決援助制度(パンフレット / リーフレット
都道府県労働局雇用均等室は,労働者と会社との間で男女均等取扱いやパートタイム労働法で事業主に義務づけられている事項について,民事上のトラブルが発生した場合,解決に向けた援助を行う。
【紛争解決援助の種類】
@都道府県労働局長による援助
A調停委員(弁護士や学識経験者等の専門家)による調停
【対象者】
事業所に働く労働者および事業主(派遣社員,契約社員,パート,アルバイトを含む)
【男女雇用機会均等法関係】
・性別を理由とした差別的扱い
・妊娠または出産等を理由とする不利益取扱い
・セクシュアルハラスメント
・母性健康管理措置
【パートタイム労働法関係】
・労働条件の文書交付
・待遇の決定についての説明
・待遇の差別的取扱いの禁止
・職務遂行に必要な教育訓練
・福利厚生施設
・通常労働者への転換
【紛争解決援助制度の特徴】
@裁判に比べて早くて簡単で費用がかからない
A援助や調停の内容は,非公開のためプライバシーが守られる
B援助を申し出たことによる不利益取扱い(解雇,配転,降格,減給など)が禁止されている

「調停申請書」
「セクシュアルハラスメント」(パンフレット)
2/23 内閣府 「2009年度自殺対策関係予算案」 →日本の自殺者数が初めて3万人を超えたのは1998年である。1997年11月に三洋証券,北海道拓殖銀行が経営破たんし,その後山一證券が自主廃業した。その年度の決算期である1998年3月に初めて完全失業率が4%を超え,倒産件数は1990年以降最多となり,それに伴い自殺者数も急増したので「98年3月ショック」といわれた(1998年には,自殺原因が「経済・生活問題」(前年比70%増),「勤務問題」(同52%増)であった)。2008年は,11年連続で年間3万人を超えると想定されている。
→2009年3月の経済情勢は1998年3月をはるかにしのぐ状況になると想定されている。国会議員のなかからも現下の経済情勢における緊急の自殺対策の弱さが指摘されている。内閣府においては,「自殺対策推進会議」が開催されている(直近では2月13日)が,2009年3月に向けての目立った動きはない。また,会議資料を見ると,これまでリアルタイムの統計(データ)を持たず議論されてきた(警察庁は,これまでは年1回の公表をしていたが,2009年2月末頃から月ごとのデータを翌月に公表していく方針を決めたとのことであるが,「できる」のに今までなぜしなかったという思いが残る)。今政府に求められているのは,都道府県や関係府庁等への通知や依頼という丸投げの施策ではなく,目前に迫っている自殺者数激増のリスクに対する国としての具体的な回避策の策定・実施である。「2009年3月(4月)は過去最高の自殺者数でした」との事後の集計発表は国の副次的な仕事である。(筆者)


(「自殺」に関して)
1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?),2008年11/4「2008年版 自殺対策白書」,9/2「2008年度 自殺予防週間」 / 「世界自殺予防デー」,6/23「2007年中における自殺の概要資料」,6/9「2007年人口動態統計月報年計の概況」,5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数5/25「自殺予防メディア関係者のための手引き」,3/29「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照

「自殺対策推進会議」
自殺対策加速化プラン / 改正自殺総合対策大綱
明確な根拠をもつ
「心の健康-自殺」
2/20 内閣府 子どもの携帯電話について,小中学校への持ち込みを規制することのQ&A →このQ&Aが子どもに理解され,問題が解決する方向へ向かうと思えますか?
→筆者は,「学校への携帯電話持ち込み禁止は,問題を水面下に潜らせるだけ。子どもを理解しようとする姿勢が大切。味方と思われたら,子どもも心を開く」という意見に賛同している。
→子どもが利用できる携帯電話のサービスには,メーリス,バトン,学校裏サイト,プロフ,ムダ打ち,リアル,コミュニティサイト,アフィリエイト,オンラインゲーム,リアルマネートレード,モバゲータウン,復讐サイト,自殺サイト,モデル募集サイト,ホストサイト,ケータイ小説,などがある。これらは「通話」ではなく「インターネットとカメラ」の機能が主体となっている。現在,多くの大人は,これらの名称すら知りもせずに,まず規制しようとするという方向に同調している。
→最大の問題は,大人のパソコンやインターネットの知識の少なさと新しい知識を習得する努力の少なさである,と筆者は考えている。十分な理解のないまま子どもから携帯を取り上げるのではなく,まず親を含めた大人がインターネットの機能を勉強することが大切だと思う(難しく言えば,「情報リテラシー」を高めるということである)。「してみせて,言って聞かせて,させてみる」は上杉鷹山の言葉であるが,何かを教えたければ,自身がまずきちんとした知識を持たなければ,相手から信頼を受けることはない。
→日本では,「プロバイダ責任制限法」があり,「青少年インターネット環境整備法」が2009年4月に施行される。国際的には,「表現の自由」との関連で規制されにくい傾向にある。手に負えなくなると,規制の強化が問題解決の唯一の手段とするのは「愚」である。特殊性はあるが韓国の状況は参考にすべきである。(筆者)
2/19 経済産業省 「ソーシャルビジネス55選」
経済産業省は,社会的課題を解決するビジネスとして,また地域における安定的かつ継続的な雇用創出の受け皿として期待されている「ソーシャルビジネス」について,全国から先進的事例を公募し,「55」の日本を代表する取組みを選定した。2009年2月17日に公表された。

→昨年から,このカテゴリーで取り上げてきた「ソーシャルビジネス」についての先進事例である。福祉・介護の分野において,福祉専門職の社会起業は奨励されるべきと考えている。行政の力よりも自助努力で問題に取り組もうとするのがソーシャルベンチャーである。「持続可能なソーシャルビジネス」とするためには,卓抜した知識・技術が必要であることは言うまでもない。(筆者)

(「ソーシャルビジネス」に関して)
1/15「特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし」(改訂版)2008年12/17拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場の記事を参照

<昨年,このカテゴリーで取り上げた「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告群>

「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書」(2008年2月)
「ソーシャルビジネス研究会報告書」(2008年4月)
「人生85年ビジョン懇談会報告書」(2008年5月)
「安心と希望の医療確保ビジョン」(2008年6月)
「シルバーサービス振興ビジョン」(2008年9月)
「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月)
「安心と希望の介護ビジョン」(2008年11月)
2/18 ■日本には靴を投げつける気骨ある記者はいなかった →日本のメディアは,「かみ合わない記者会見」「しどろもどろ記者会見」「もうろうとした状態で記者会見」「ろれつが回らないままの記者会見」などと総じて他人事のような報道をしていた。
→筆者は,G7後の出席大臣の記者会見の顛末では,最も非難を受けなければならないのは,その場にいながら何もしなかった日本の記者団であると思う。その後の新聞やテレビ報道を見ていても,自分たちジャーナリストとしての責任を自ら話題・問題にしたところは皆無だったと思う。結局,「もたれ合い」「なれ合い」が伏せられたまま,今回も「記者会見を理由とする引責」での大臣辞任という形で一件落着した。日本のメディアが追求すべきことは,「日本の国益」であり,記者会見のことだけではなく,あの状態で会議に出席していたのではないかという疑念に対する答えである。核心に触れないように,どうでもいいことに焦点を合わせることが「もたれ合い」「なれ合い」の証明になると思う。(筆者)
<2008年10−12月期のGDP(前年比)の比較>
アメリカ:▲3.8%,ドイツ:▲8.5%,フランス:▲4.8%,▲イギリス:6%,
日本:▲3.3%(年率換算▲12.7%)
            
2/16オバマ新政権の景気対策法案が上下院で通過の記事を参照
2/17 厚生労働省 「麻薬・覚せい剤等乱用防止のための啓発活動」 ・薬物乱用は深刻な社会問題である。警察庁が1998年1月に宣言した「第三次覚せい剤乱用期」が現在も継続している。「第三次覚せい剤乱用期」の特徴的な要因として,青少年を中心とした規範意識の低下(警戒心や抵抗感が薄れるなど)が挙げられている。

(薬物乱用関連)
2008年12/512/3に新しい「薬物乱用防止啓発読本」を公表11/3「Q:最近,大麻や麻薬・覚せい剤の乱用事件が目立つ。政府の取り組みは?」,9/4■大麻などの依存性薬物と刑罰4/28「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30),2007年12/6■大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧,10/30塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ),9/26麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施,9/22リタリンの記事を参照

「第三次薬物乱用防止5か年戦略」
→■「薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
→■「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)」
→■麻薬取締りホームページ

明確な根拠をもつ「心の健康-薬物乱用」)
2/16 労働政策・研修機構 オバマ新政権の景気対策法案が上下院で通過 ・米上院と下院は2月13日に,両院で一本化した景気対策法案(7890億ドル)を,賛成多数でそれぞれ可決したが,議会予算局精査の結果,対策規模は過去最大の総額7870億ドル(約72兆円)となった。オバマ大統領が2月16日までに署名して成立することになる。公共投資:減税策=65%:35%で,2年間で400万人の雇用創出を見込んでいる。
「アメリカ製品の購入を義務づけする」という「バイ・アメリカン条項」は,国際協定に反しないように運用することを明記して残され,「保護主義」の台頭が懸念されている

→2月14日に,G7(先進七カ国財務省・中央銀行総裁会議)が開催され,上記のアメリカの景気対策も俎上に上り,一応,金融・経済安定化に向けて各国があらゆる政策手段を総動員すること,保護主義に対しては,景気悪化を加速させるとして「反保護主義」を声明に盛り込んだ。しかし,2008年11月のG20(金融サミット)において,すでに「反保護主義」を確認されていた。それにもかかわらず,その後,上記アメリカの「バイ・アメリカン条項」を例とする各国の保護主義の動きがでてきたことに対する今回の声明である。この後,緊急G20,G8サミットが予定されているが,「反保護主義」を声明でいくら確認しても,各国の経済的なナショナリズムを抑止できる保証はない。国の浮沈は,指導者の力量にかかっているといわれている。G7終了後の共同記者会見のテレビニュースを観て,日本の出席大臣のていたらくな態度・応答に愕然とした国民は多いと思う。このニュースは全世界に配信されたそうである。(筆者)

「米景気対策法」

2/11環境省の日本版グリーン・ニューディールに関するアイデア公募経団連の意見書,2/10「雇用対策のポイント(2009年2月6日現在)」,2/9「定住外国人支援に関する当面の対策について」,2/4「2009年度税制改正案」,2/3「2009年度 国民負担率」と国際比較,2/22009年の世界の失業者数/2億3000万人(ILO)2008年12月の日本の失業者数/270 万人(総務省),1/31「2009年度の年金額」「国民年金改正法案」,1/22オバマ米大統領の「就任演説」(要旨),1/12「子育て応援特別手当」,1/11今話題になっている「製造業への派遣労働の解禁」を積極的に進めた人たちがいたことを知っていますか?),1/61月5日に「第171回通常国会」が召集された),1/41月5日に「第171回通常国会」が召集される)の記事を参照
2/14 - ■結局,「障害者権利条約」は形式的な批准として第171回通常国会に提出される? 日本は,2007年9月28日に障害者権利条約の「署名」を行った2008年5月に障害者権利条約は「発効」した。条約を批准するためには国内法の整備が必要として,2008年4月2日に厚生労働省は「労働と雇用」(条約第27条)に限定して「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応のあり方に関する研究会」(座長:今野浩一郎学習院大教授)を発足させた。まとめの時期は未定である。
障害者権利条約は,憲法→条約→国内法の順位として位置づけされる。

→現在,「障害者権利条約」が今国会で批准される可能性が取りざたされている。障害者権利条約は,国際的な障害者の人権保障の到達点であるが,条約の批准があれば障害者の権利が守られるというものではない。これまで,「障害者権利条約」に障害者の立場からご尽力されてこられた方々に敬意を表したい。
→条約署名以降の国の取組みを概観すれば,2007年9月以降「障害者権利条約に係る対応推進チーム」(9省庁)で検討され,2008年11月に「欧米諸国における障害者権利条約批准に向けた取り組み」(障害者職業総合センター)が報告され,2008年12月26日に「障害者施策推進課長会議」から障害者権利条約の検討結果が報告され,日本障害フォーラム(JDF:NGO)との意見交換(内閣府関連,文部科学省関連,厚生労働省関連など)もされてきた。これらに基づいて,政府は「障害者基本法の見直し」をすれば,その後は国内法の整備は条約の解釈論(国の事情の範囲など)で乗り切れると判断して,今国会において障害者権利条約批准の承認を得ようとしているのだと思える。そうであれば,現在検討中である厚生労働省の「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」の結論を待つまでもないということが理解できる。「障害者基本法の改正案」は議員立法として国会提出されることが見込まれているとのことである。
→福田元首相が公約した「障害者自立支援法の抜本的改正」は果たされる状況でなくなり,「障害者権利条約」も形式的な批准で終わることになる情勢となった。筆者は,このまま批准されれば,「障害者差別禁止法の制定」は,日本では永久に俎上に上らないと思っている。繰り返しになるが,今回の条約批准には,現行の障害者の人権保障の枠組みを維持するか,変えるかという選択が含まれているということである。
→批准されたあとで,「批准すればよしということではない」と不作為の有識者がコメントすることが想定できる。「障害者」を生業としている有識者は,それぞれに,今なすべきことと自身の正義を考えるべきである。(筆者)

批准に関する国連のデータ

2008年4/15(■日本の「障害者権利条約」の批准はいつ?),2007年9/29ようやく,「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)が署名されることになった)の記事を参照
明確な根拠をもつ人権宣言と主要人権条約」)
2/13 警察庁 「2008年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について →マスコミ報道では,ほとんど無視されている調査報告であるが,ぜひ通読されたい。
→筆者は,車社会の進展に対して交通死亡事故が減少していることは,とてつもなくすごいことだと思っている。交通行政の努力,関係者の知恵と工夫の結果であると思う。「是を是とし非を非とする,これを知といい,是を非とし非を是とする,これを愚という」という荀子の言葉がある。よい結果を出したものには正当な評価を与えるべきであり,その経緯から学ぶことは多くある。(筆者)


1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?)の記事を参照
2/12 厚生労働省 「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」が開催される

■「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」委員名簿 (敬称略
木村晴恵 日本介護福祉士会副会長
木村光江 首都大学東京都市教養学部法学系学系長
島崎謙治 政策研究大学院教授
高階恵美子 日本看護協会常任理事
田中涼子 高齢者福祉総合施設ももやま副園長
樋口範雄 東京大学大学院法学政治学研究科教授
桝田和平 老施協総研介護委員長
三上裕司 日本医師会常任理事
<検討会の目的>
特別養護老人ホームにおける重度化の進行等により,医療的なケアを提供するニーズが高まっている状況に対応するため,看護職員と介護職員が連携・協働して,入所者にとって安心・安全なケアを提供するための方策について検討する。

→表面に現れてこない多くの事実(「医療職が介護職を見下している」)に正面から向き合わなければ連携・協働などあり得ない。「介護福祉士」の国家資格見直しの動向を見ても,今回の法改正において,もはや「介護福祉士」ではなく「介護士」然としてしまったことから,筆者はさらに溝を深める方向にあると思っている。さらに,これは家族を含めた一般の市民の感覚・意識においても同様である(「介護なんて大した仕事ではない」)。「名ばかり管理職」が法的にも,社会的にも認知されないのと同様に,「名ばかり福祉士」も社会的に認知されることはない(社会福祉士および精神保健福祉士も同様である)。20年間もありながら,「介護福祉士」の地位向上を果たせず,仕事の魅力をなくさせたのは,一重に専門職団体,学会,教職員を含めた星の数ほどいる有識者の無力さにあったと思う。
→今,有識者がなすべきことは,「介護福祉士は専門職であるか?」という問いに真正面から議論する状況を作り出すことであると思う。人材確保ができないのは,給与の問題だけではない。社会保障制度とともに一から考え直す時期にあるように思う。いつまでも下を向いていても仕方がない。(筆者)


(医療行為の例外)
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
ホームヘルパーが行う「たんの吸引」の「業務性」について
2/11 環境省・日本経団連 環境省の日本版グリーン・ニューディールに関するアイデア公募経団連の意見書 →2009年2月10日,オバマ大統領は,就任後初の記者会見で,「我々は,大胆で迅速な行動をとらなかった1990年代の日本で起きたことを見ている」「アメリカ経済を回復させるのに必要なことは何でもする」と,当時の日本政府の無能さを引き合いに出して大胆な対策の実行を表明した。
→1933年のルーズベルト大統領の「ニューディール政策」は,紆余曲折がありながら財政出動で景気を回復させたが,その原動力は「第二次世界大戦」の輸出と軍事支出であったといわれている。一方,オバマ大統領は,アメリカ経済の回復のために,400万人の雇用創出を目指して公共事業と減税を柱とした8000億ドル(約73兆2400億円)規模の財政支出が必要性だとし,その原動力として「グリーン・ニューディール」という経済立て直し策を掲げている。いうなれば,「第二次世界大戦」に代わるものが「グリーン・ニューディール」であり,その意気込みの大きさは想像するに難くない。
→筆者が奇異に感じることは,国策に係わることを公募(2009年2月16日まで)する環境省の見識と苛烈な国際競争が目前に迫っている環境・エネルギー技術分野において「わが国が世界に誇る環境,エネルギー技術にさらに磨きをかけ」(意見書より)という日本経団連の認識である。素人目に見ても,アメリカが,本格的に動けば,現在の日本の環境・エネルギー技術レベルは早々に凌駕されると考えられる。オバマ大統領の上述の会見で垣間見える日本観に基づけば,なりふり構わず実行することは明らかである。雇用創出どころではなく,関連する日本企業の存続すら危ぶまれる。今の段階で,「明確なビジョン」を持たずに,アイデアを公募しているような先進国は日本だけである。
→今後,「日本版グリーン・ニューディール」を3月末ごろを目途に策定するとのことである。(筆者)
2/10 厚生労働省 「雇用対策のポイント(2009年2月6日現在)」
→「市場原理主義」の置き土産ともいわれる現在の経済・雇用情勢に関して,特徴的な2人の経済学者の新聞記事を目にしたので紹介する。1人目は,2009年2月6日付,宇沢弘文氏(東大名誉教授)の「自由には,市場原理主義の「フリーダム」と,人間の尊厳を守り,市民の基本的権利を尊重し市民的自由を最大限に享受できる社会にする「リバティー」の二つの意味がある。市場原理主義は貧しい人や苦しんでいる人を搾取する。日本も競争原理を導入し医療や教育が荒廃した。」として市場原理主義からの転換を述べられ,2人目は,2009年2月8日付,島田晴雄氏(千葉商科大学長)の「生産があるから雇用が生まれるのであり,雇用というのは生産の「派生需要」に過ぎない。つまり企業にとって最大の社会的責任と使命は,生産性を上げて競争に勝つ以外にない。それができなければ生き残れず,新たな雇用創出もできない。」と市場原理主義の正当性を述べられている。前者は,日本人としてノーベル経済学賞に最も近いと言われている人で,「社会的共通資本」という考え方を提唱しておられる。後者は,小泉内閣の内閣府特命顧問として製造業の派遣労働解禁を含めて「小さな政府」の雇用対策を推し進められた人である。
→本日掲載した厚生労働省の「雇用対策のポイント」を見て,100年に1度の危機に立ち向かえる対策と思えますか?
→現在,日本においては,雇用,社会保険,生活保護の3層のセーフティネットに大きなほころびがあるといわれている。今なすべきはほころびの修正策と即時の実施である。筆者は,雇用では「3年の派遣の最大雇用期間の廃止」,社会保険では「失業保険の遡及的な措置」,生活保護では「若年者への適用」,が当面の対策になると考えている。上述の相対する考え方のいずれの立場をとるにしても,これまでのセーフティネット未整備に対する「政府の怠慢」が責められてしかるべきと思う。そのような状況にもかかわらず,現在の国会審議においては本質的な議論がなされず,与野党双方の抑制がなく,品位のない無礼な発言の応酬を聞いていると辟易する。(筆者)
2/9 内閣府 「定住外国人支援に関する当面の対策について」
・1月9日,内閣府は,景気の悪化で職を失った定住外国人に対する支援策を検討するための新組織「定住外国人施策推進室」を,小渕少子化対策・男女共同参画担当相の下に設置した。派遣切りや請負労働者の削減で職を失った定住外国人の雇用確保と,学費が払えず学校に通えなくなった子供の就学支援に向けた緊急対策を2月にまとめるとしていた。続いて今後,継続的に取り組む施策を網羅した「総合支援プラン(仮称)」をまとめ,2010年度以降の政府予算などに反映させていく方針とされた。
1月30日,内閣府は,当面の対策をまとめた。
急支援策は,日系ブラジル人らが重点である。支援策は,教育,雇用,住宅,帰国,情報提供の5項目とされている。
@教育面
では,公立学校への転入支援として,教育委員会に相談員や外国語が使える支援員を配置し,地方の就学支援事業を特別交付税などから助成する。
A雇用面
では,ハローワークに通訳・相談員を配置し,研修などを充実する。
B住宅面
では,入居支援として公営賃貸住宅を活用し,入居を受け入れる民間賃貸住宅の家主には滞納家賃の債務保証を国が造成した基金で支援する。
C帰国面
では,本国政府,産業界,航空会社に支援を要請する。
D情報提供面
では,多言語による情報提供や相談窓口の充実をはかり,在外公館やホームページを通じて一層の周知をはかる。

今回の対策以降の予定は,「総合支援プラン」(仮称)については,2月に民間人が入った「定住外国人施策推進会議」(仮称)を発足させ,6月に中間報告をまとめて,経済財政運営の指針である「骨太の方針2009」に盛り込む,とされている。@労働条件の改善と社会保険への加入推進,A言葉や文化習慣の違いを超えた地域社会づくり,B子供への日本語教育充実や不登校対策など学校の体制強化,が主たる項目になると見られている。
→2008年12月に,外国人子弟の就学支援があるという理由で,小渕少子化担当大臣が「定住外国人対策」のとりまとめとして決定された。筆者は,深刻な問題・課題を抱え,かつ即時対応が求められている「定住外国人施策」の担当大臣が「少子化担当大臣」であることに違和感を持っている。
→2008年10月に,日本経団連が,少子高齢化に伴う人口減少対策として,定住移民の受け入れを提言した(「人口減少に対応した経済社会のあり方」)ことを,国民の多くは知らない。
→国民への十分な説明も,国民の合意もなく,「定住外国人施策」と「少子化対策」が結びつけられ,企業の論理で動き始めているのではないかという疑念を同時に持っている。(筆者)


「定住外国人施策」(内閣府)
「外国人雇用対策」(厚生労働省)
2/6 国家公安委員会 「2008年版 少年からのシグナル」 ・警察庁は,少年非行と犯罪被害の情勢,少年非行の防止,犯罪被害からの保護の取組みを「2008年版少年からのシグナル」としてまとめた。
・刑法犯少年の検挙人員や少年非行の原因・背景,少年の犯罪被害,児童虐待,少年の福祉を害する犯罪,少年を取り巻く有害環境などの情勢とともに,警察の取組もや少年問題に関する警察の相談窓口を紹介している。

(1) 刑法犯少年の検挙人員:
10万3224人(前年比8.5%減),成人を含めた刑法犯総検挙人員のうち約3割を占めている。人口比としては,成人の5.5倍である。
(
2) 少年が主たる被害者となった刑法犯の認知件数:
30万4695件(うち凶悪犯は1345件,粗暴犯は1万5775件)であった。
(3) 相談窓口:
@「少年サポートセンター」は,都道府県警察に設置されている。
A「全国のヤングテレホンコーナー」は,都道府県別に設置されている。

→本パンフレットのデータ源である2009年1月の「2007年の少年非行等の概要について」(警察庁)によれば,刑法犯少年の検挙数が4年連続で減少,2006年と比較してすべての包括罪種で減少している。一方で,従来の価値観では捉えきれない「重大事件」が発生している。門外漢がコメントすべきではないと思うが,「今なすべきこと」を考えた場合,2008年10月の「早急に確立されるべき子どもと若者総合支援策(子どもと若者総合支援勉強会最終まとめ)」の「各地域における一元的な窓口の整備とともに,国においても一元的な窓口の整備が期待される。当面,関係各府省庁が関連施策について情報を共有化した上で,種々の相談に対応し得る窓口を整備すべきである。」という提言が最も理解し易い。パンフレットにある上記(現行)の「相談窓口」の考え方では,対応しきれない,機能しないことを示唆しているように思う。(筆者)


明確な根拠をもつ「子ども・青少年-行政/少年非行等」)
2/5 外務省 「2008年版政府開発援助(ODA)白書/日本の国際協力」

<外務省の発表>
『今回の白書の主なポイントは以下のとおりです。
特集では,G8北海道洞爺湖サミット及び第4回アフリカ開発会議(TICADIV)に焦点をあて,「気候変動問題への取組」と「アフリカ支援」における日本のリーダーシップと具体的取組を紹介しています。
2007年の政府開発援助実績及びその分析,最近の国際的な援助動向に加え,日本の課題別,地域別の取組,時代のニーズに合わせた様々な取組についても解説しています。
途上国に対する協力の様々な具体的事例を,民間企業,地方自治体,NGOを含む幅広い援助の担い手による現場での取組,エピソードなどを通じて紹介しています。』
→外務省は左記の通りの発表をした。途上国向けの国際協力であるODAの日本の実績が,1991年〜2000年は1位(OECD加盟国中),2001年は2位,2006年は3位,さらに2007年は5位(アメリカ,ドイツ,フランス,イギリス,日本の順)と順位が落ち続けていることは,同時に国際的な評価および外交的な発言力も落ち続けているとの指摘がある。欧米諸国が援助予算を増額している状況において,日本は財政再建という国内事情により予算減額をしてきた。国民の知らないところで,「国際貢献に消極的な先進国」という非難を受けているならば,「国民の税金」が無駄に使われていることになる。日本外交の唯一とも言える戦略は「経済協力」であり,その戦術が「ODA」であったはずである。「経済協力」以外の自衛隊の派遣などへの国際貢献策の展開は,「経済国家」であると信じている日本の多くの国民が求めるところではない。一応,2009年度の予算でODA全体の事業量が増加されているが(1兆5724億円→1兆8000億円程度),「ODA軽視策」は日本の国際的地位を危うくするものだとする意見は聞くに値する(アメリカやイギリスにあるような国際協力基本法やNGOの議論をひとまずたな上げにして)。
→なお,2008年10月1日から,それまで外務省が無償援助,国際協力銀行が円借款,国際協力機構(JICA)が技術協力と別々に担ってきたが,外務省と国際協力銀行の仕事の大部分が国際協力機構(JICA)に統合され,「新JICA」が誕生した。
→3福祉士国家試験において,ODA(国際協力)が出題されたことがある(第17回,第18回社会福祉士・精神保健福祉士「社会福祉原論」)。今後,貧困問題が出題される可能性は高い。(筆者)


「新JICAの概要」
「ODA」(外務省)
2/4 財務省 「2009年度税制改正案」

【2009年度税制改正の要綱の概要】
住宅・土地税制
@住宅税制
・住宅ローン減税の適用期限を5年間延長。最大控除可能額を500万円(長期優良住宅の場合には600万円)に引上げ。
・自己資金で長期優良住宅の新築等をする場合や省エネ及びバリアフリー改修を行う場合の税額控除制度を創設。

A土地税制
・2009年,2010年に取得する土地を5年超所有して譲渡する際の譲渡益について1000万円の特別控除制度を創設。
・事業者が2009年,2010年に土地を先行取得して,その後10年間に他の土地を売却した場合,その譲渡益課税を繰り延べることを可能とする制度を創設。
・土地の売買等に係る登録免許税の軽減措置の現行税率を2年間据え置き。

法人関係税制
・エネルギー需給構造改革推進設備等や資源生産性の向上に資する設備等について,2年間即時償却を可能とする等の投資減税措置を導入。
中小企業関係税制
・中小法人等の軽減税率について,現行22%から18%に2年間引下げ。
・中小法人等の欠損金の繰戻し還付の適用停止の廃止。

相続税制
・中小企業の事業承継を円滑化するため,非上場株式等に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度を導入。
・農地に係る相続税の納税猶予制度について,農地の有効利用を促進する貸付けも適用対象とする等の拡充。

金融・証券税制
・上場株式等の配当及び譲渡益について,現行の7%(住民税とあわせて10%)軽減税率を3年間延長。
・少額投資のための簡素な優遇措置を2010年度税制改正において創設(上記軽減税率が廃止され15%(住民税とあわせて20%)本則税率が実現する際に導入)。
・確定拠出年金について,個人拠出(マッチング拠出)を導入するとともに,拠出限度額を引上げ。
・生命保険料控除における新たな控除枠として,介護医療保険料控除を2010年度税制改正において創設。

国際課税
・わが国企業が海外市場で獲得する利益の国内還流に向けた環境整備のため,間接外国税額控除制度に代えて,外国子会社からの配当について親会社の益金不算入とする制度を導入。
自動車課税
・一定の排ガス性能・燃費性能等を備えた自動車に係る自動車重量税を時限的に減免。
納税環境整備
・電子申告に係る所得税額の特別控除制度の適用期限を2年間延長。
→「予算案(歳出)」と「税制改正案(歳入の一部)」はセットになって,1月の通常国会に提出され,3月まで審議されるのが通例である。
→2008年度における「2009年度予算案」「2009年度税制改正案」関連を時系列でまとめると,以下の通りである。通年の流れを把握していると,新聞の政治・経済面の記事が理解しやすくなる。(筆者)

2008年
4月
2008年度の「会計年度」開始
2008年度の改正税法の成立・公布
6月 「2009年度予算編成の基本的考え方について」(財務省)
「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)
7月 「2009年度予算の全体像」を取りまとめ(経済財政諮問会議)
「概算要求基準(シーリング)」
@「2009年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」
A「2009年度一般歳出の概算要求基準の考え方」
B「2009年度概算要求基準のポイント」
8月 各省庁は,財務省に「概算要求書」を提出(2009年度一般会計概算要求額は89兆1357億円)
11月 「2009年度予算の編成等に関する建議」(財政制度等審議会)
「2009年度の税制改正に関する答申」(政府税制調査会)
12月 「2009年度予算編成の基本方針」
「2009年度税制改正の大綱」
「2009年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」
「2009年度予算政府案」
「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」」
2009年
1月5日
「第171回通常国会」召集
1月19日 「2009年度予算政府案」国会提出
1月23日 「所得税法等の一部を改正する法律案」国会提出
1月27日 「地方税法等の一部を改正する法律案」国会提出
                                  (やまだ塾まとめ)
2/3 財務省 「2009年度 国民負担率」と国際比較
・国民負担率=租税負担率+社会保障負担率
・潜在的国民負担率=国民負担率+赤字財政
・1月30日,財務省は,2009年度の国民所得に占める税金と社会保障の負担割合である「国民負担率」は38.9%(前年度比0.5%減少)を発表した。一方,「潜在的国民負担率」は47.7%(前年度比1.0%上昇)であった。

日本の財政における借金状況は,主要先進国のなかでも「最悪の水準」と財務省は公然と言うが,その経緯と財政のからくりはよく知らされていない。現世代の負担を示す「国民負担率」が減少し,これに将来世代の負担となる国と地方の拡大し続ける「財政赤字」が加わった「潜在的国民負担率」が上昇している。これは借金を多くして将来(子や孫の世代)に先送りしていることを意味していることもよく知らされていない。
→「社会保障費の増大」と「財政再建」は日本の喫緊の課題であり,その主たる解決策は「消費税の増税」であるとするのが政府や日本経団連の言い分であると思う(奥田ビジョン:2014年度には16%)。現在の2009年度の政府予算に関する国会のごたごたもその文脈にある。
→注意すべきは,消費税増税の理由に,必ず「日本の国民負担率の低さ」が持ち出されることである。この種の発言をする者は,国民への負担には「高福祉高負担」の北欧の福祉国家や社会保障の充実した国を例に出し,国民への給付には「低福祉低負担」のアメリカを例に出して,都合のいい議論を展開する。総理大臣の言う「中福祉中負担が国民のコンセンサス」の意味するところはどのようにでも言い訳のできる状況にしておくということではないかと勘ぐりたくなる。(筆者)


→●2/22009年の世界の失業者数/2億3000万人(ILO)2008年12月の日本の失業者数/270 万人(総務省),1/31「2009年度の年金額」「国民年金改正法案」,1/14国家試験に頻出の「社会保障関係費」の記事を参照

(「中福祉中負担」に関して)
1/3「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」,12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?),の記事を参照
2/2 労働政策研究・研修機構/総務省 2009年の世界の失業者数/2億3000万人(ILO)2008年12月の日本の失業者数/270 万人(総務省) 1月28日,国際労働機関(ILO)は,金融危機に伴う世界経済の急速な悪化で,2009年の世界の失業者数が最悪の場合,2億3000万人と初めて2億人の大台を突破する可能性があると予測した「世界の雇用情勢2009年度版」(年次報告書)を発表した。失業者数は,2008年の実績見込みから一気に最大4000万人も増える計算で,2009年の失業率は7.1%と比較可能な1991年以降で最悪になるとしている。
1月30日,総務省統計局は,2008年12月の完全失業率(季節調整値)4.4%(前月比0.5%上昇),完全失業者数270万人(前月比39万人増加),有効求人倍率(季節調整値)0.72倍(前月比0.04減少)であったと「労働力調査速報」を発表した。求職理由別では,「勤め先都合」が25万人増,「自己都合」が5万人増であった。

→「ILOの報告書に明記はされていないものの失業増の背景には,世界展開するグローバル企業が,従来にも増して状況変化に敏感に対応。業績悪化が,人員削減を通じて雇用悪化へ直結する構図が世界的に強まっている可能性もありそうだ。」と研修機構ではコメントしている。
→また,2008年12月は「過去に例のない悪化幅。雇用情勢は急速に悪化している」と総務省がコメントしている。
→雇用創出に関して,政府が進めてきたジョブカード制度といい,直近に実施している製造業からの労働力移動策といい,実効性が疑わしい施策への苛立ちがある。そういう状況において,「160 万人の雇用維持・創出」と首相が強調しても,にわかには信じ難い。国,地方,企業の知恵と工夫の出しどころである。
→失業者の大量増加は,単に無職の人が増えるだけでなく,「社会保障制度の危機・崩壊に直結している」ことを国民に知らせるべきであると思う。(筆者)


→●1/31「2009年度の年金額」「国民年金改正法案」,1/27「地域若者サポートステーション事業」とは?の記事を参照
1/31 厚生労働省 「2009年度の年金額」「国民年金改正法案」 @1月30日に,厚生労働省は, 2009年度の老齢基礎年金額は2008年度と同額(66,008円/月)であると発表した。
A1月30日に,厚生労働省は,基礎年金の国庫負担割合を2009年4月から1/2に引き上げる法案を第171回通常国会に提出した。


→国民年金事業に要する費用は,20歳〜60歳までの加入者が納める保険料で賄われるが,保険料だけでは足りないため国が負担している。これを「国庫負担」というが,実質は「国民の負担」(税金)である。2004年の年金制度改正において,国庫負担割合を現行の約1/3から1/2に引き上げる時期を「2009年度まで」と定めたことに符合する法案である。法案提出は,2008年の第169回通常国会から始まったが,政局のごたごたで一度も審議されたことはない。結局,財源は「埋蔵金」(当面は,財政投融資特別会計の金利変動準備金を充てるといわれている)で一時しのぎをし,頃合(この表現をどうするかでごたごたしている)を見計らって「消費税の増税」で賄う予定とみられている。
→国庫負担割合が1/2になるとどういうメリット・効果があるのかを多くの国民は知らされていない。全額納付した者にとっては年金額が増えるわけではない。また,保険料が安くなるわけではなく,むしろ増額される方向にある。保険料免除を受けていた者の年金給付額が増えるぐらいの効果はある。2009年4月から,「現行年金制度」は安定した財源を持たなくなる。「年金崩壊」といわれるゆえんである。
→今後の社会保障の財源として消費税をどう考えるのかという議論が致命的に不足している。総理大臣の「危機はチャンス」「日本の底力」という何の根拠も持たない楽観的な発言と一向に道筋が見えてこない「中福祉中負担が国民のコンセンサス」という発言が重なってみえる。(筆者)


(「年金制度」に関して)
→●2008年12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」,12/22「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間報告」,12/8「2009年度予算編成の基本方針」,11/18戦後社会保障制度の基礎の基礎),11/16「社会保障国民会議 最終報告」の記事を参照
「2004年の年金制度改正」

(「中福祉中負担」に関して)
1/3「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」,12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?),の記事を参照
1/30 内閣府 「新青少年育成施策大綱」で何が変わったか? 2003年12月:「青少年育成施策大綱」を策定(5年をめどに見直すと規定されていた)
2008年12月:「新青少年育成施策大綱」を策定
<2008年12月16日記事の再掲>
→また,「本大綱においては,0歳からおおむね30歳未満までの年齢層にある者を「青少年」と総称」(p.3)するとしながら,青年期を過ぎた30歳以上の「ポスト青年期」世代で,雇用環境の悪化などから社会的自立が困難になっている者が多数存在するために「ポスト青年期」を含めた(p.16)施策にするということである。筆者は,従来から30歳までを対象としてきたことに対しては,世間(日本国民,国際社会)の感覚とずれていないか,また,今回の30歳以上も対象としたことに対しては,本旨(本質,根本)から外れていないか,という疑念を持っている。この点の詳細は,別の機会にする。(筆者)

→旧大綱策定当時は,長崎(犯人12歳)の男児誘拐殺人事件の影響から「少年」に焦点が合わせてられたが,新大綱策定時点では,秋葉原(犯人25歳)や八王子(犯人29歳)の「青年」による通り魔事件が相次いだ影響で,「自立できていない青年」に焦点が合わせられて,「育て直し」や「切れ目のない支援」がキーワードに入ってきた。筆者には,この先5年間を見据えた大綱であるはずが,策定時期の社会情勢に影響を受け過ぎるように思える。腰をすえた分析・検討による課題の抽出と施策が必要だと思う。また,時流の事柄を取り上げるのはいいが,例えば,インターネットの捉え方に「ずれ」はないだろうか。インターネットはなんでもありで,箍(たが)のはめられない世界である。だから計り知れない「功」と「罪」がある。「いかに使うか」を教育の一環(新大綱にある「通り一遍の教育」ではなく,高度なIT知識を有する者による学校教育をさす)として考え切ることに尽きるのではないかと思う。あれもこれもあって大変だ,というのが新大綱の読後感である。(筆者)

1/27「地域若者サポートステーション事業」とは?,2008年12/16「新しい青少年育成施策大綱」9/19(■「2007年中における少年の補導及び保護の概況」,9/18(「民法の成年年齢に関する世論調査」)の記事を参照

「新青少年育成施策大綱」
明確な根拠をもつ「子ども・青少年」)
1/29 内閣府 「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」が発足

■「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」メンバー (政府公表順,敬称略
安藤哲也 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事
勝間和代 経済評論家
松田茂樹 第一生命経済研究所主任研究員
宮島香澄 日本テレビ報道局解説委員
佐藤博樹 東京大学社会科学研究所教授(少子化社会対策推進点検・評価検討会議座長)
・1月20日に,小渕少子化対策担当相は,有識者でつくる「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を発足させると発表した。子育て世代の当事者の視点から,既存の枠にとらわれずに議論し,各回のテーマに応じ,現場の当事者・学識経験者・関係団体を招き,ヒアリングや意見交換を行い,月2回程度のペースで開催するとのことである。なお,検討テーマには「恋愛・結婚」「若者の雇用と自立支援」などをあげている。

<1月12日の記事の再掲>
→現在,少子化対策として,2008年12月24日に「小渕ビジョン」が示され,「思い切った少子化対策」を議論していくため,2009年1月から「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を発足するとされている。これは,現在の「子ども・子育て応援プラン」が2009年度までであることを受けたものであるが,筆者は,今までの「ばらまき型少子化対策」がどの程度見直されるかに注目している。(筆者)

→左記のメンバー構成を見て,「ゼロから考える・・・」というネーミングが相応しいのかなあと思った。繰り返しになるが,筆者は,「ワーク・ライフ・バランス」を国が提唱することはいいことだと思っている(ただし,今のように「賃金を得ている正規従業員」だけではなく,「全国民」を対象とすべきであると思っている)が,基本的に個人や家族の問題である「ワーク・ライフ・バランス」を国の政策にしていいものだろうかという疑問を持っている(ちなみに,アメリカは国の政策としていない)。また,なぜ「ワーク・ライフ・バランス」が少子化対策の決め手になるのか未だに理解ができない。その理由は,原因と結果が逆になっているからだと思う。「ワーク・ライフ・バランス」は原因ではなく,結果である。さらに,元年,憲章,指針などと仰々しくして,話を難しくしすぎたことにも理由があると思う。「ワーク・ライフ・バランス」をもっと気楽に捉えるような国民運動として始めたほうがよかったように思う。少子化対策としてではなく,来るべき少子高齢社会における対応として「ワーク・ライフ・バランス」が重要になるので「働き方を考えてみよう」ぐらいに,気軽に言われたほうが納得しやすい。東京大学の佐藤博樹教授が,「ワーク・ライフ・バランス」とは,「単に仕事とプライベートのバランスをとることではなく,ワークライフコンフリクトがない状態をさす」と言われていることを国民の多くは知らない。個人や家族にとってコンフリクト(争い,対立)がなければ,極端にはワーク:ライフ=9:1でもバランスが取れているということであり,どういうバランスがいいかを国が決めることではない。筆者には,「ワーク≦ライフ」のバランスを求めるべきで,「家庭重視」が正しい生き方だと国が言っているように聞こえてならない。これまで多様な働き方のメニューが圧倒的に不足していたことがバランスを崩した要因であり,多様なメニューを用意するのが国の為すべきことであると思っている。(筆者)

1/12「子育て応援特別手当」の記事を参照

「少子化対策」(内閣府)
1/27 厚生労働省 「地域若者サポートステーション事業」とは? 2006年度から,地域のネットワーク(地方自治体,ハローワーク,保健・福祉機関,教育機関等)を活用して若者の職業的自立支援を行う「地域若者サポートステーション事業」が実施されている(モデル事業は2007年度で終了し,2008年度からは一般事業として実施されている)。
・いわゆる「ニート(NEET)」と呼ばれる若年無業者が60万人を越える水準に達していることや,15〜39歳の無業者の数は,2002年以降約80万人で推移し,特に35歳以上の無業者が増加していること,などが本事業実施の背景にある。

→「ニート問題」などに大きな成果を上げてきたイギリスの「コネクションズ・サービス」(2001年からスタート)の物まねで始まった事業である。先進事例を参考(物マネ)にするのはいいが,形だけをまねることの限界は目に見えている。イギリスのように,自治体,学校などの公的機関,民間企業,ボランティア,NPOなどが地域ごとに連携する風土(歴史)の上に成り立っているシステムとは異質のものとならざるを得ない。多くの国民は,「地域若者サポートステーション」(通称「サポステ」)を知らない。同様に,イギリスの「職業能力評価制度(NVQ)」の形マネで,2008年4月から本格的に始まった「ジョブ・カード制度」の状況もおおよそ予測できてしまう(3年間で50万人,5年間で100万人の訓練参加を予定している)。PR不足を言う前に,PRセンスのある行政職員の採用・育成は重要だと思う。十分な議論を経ずに形マネから始まった施策であったとしても,国民に浸透させる工夫と努力を積み重ねれば「日本流」として定着していく可能性はあると思う。(筆者)

(海外の物まねに関して)
2008年12/25OECDが「日本は若年層が安定的な職に就けるよう更なる対策が必要」と提言の記事を参照

「イギリスのコネクションズ・サービスの概要」(内閣府)
「ジョブ・カード制度」(厚生労働省)
1/26 総務省消防庁 「2008年版 救急・救助の現況」 ・救急自動車による救急出場件数は,2007年中に529万236件(前年比1.0%増)であり,うち救急搬送人員は490万2,753人(前年比0.2%増)であった。救急車が現場到着までの所要時間は,全国平均で7.0分(前年6.6分)であり,医療機関収容までの所要時間は全国平均で33.4分(前年32.0分)となっている。一方,救急隊数は4,871隊(前年比0.5%増),救急救命士の資格を有する消防職員は2万1,840人であった(2008年4月現在)。

→関連する問題としては,救急車をタクシー代わりや定期的な入退院,外来通院などに利用する者がいることや,「AED」(Automated External Defibrillato,自動体外式除細動器)は,2004年7月に一般市民による使用が解禁されたが,7割の人が使い方を知らないという調査結果があること,などがある。(筆者)


→■「心肺機能停止傷病者の救命率等の状況(2005〜2007年)」
1/25 ■明日からは次の目標に向かって着実に進んでいきましょう。 せめて今日は爆睡しましょう。
→全力を尽くした試験が終わったのだから,主だった解答速報を参考に見て,後は合格発表があるまで腰を据えて待つのが賢明である。ネットサーフィンや掲示板での意見交換を繰り返しても,実施主体から発表される「正答」が変わるわけではない。やまだ塾では,これまで解答速報作成者の質のばらつきよりも国家試験問題の質のばらつきを指摘してきた。よい問題であれば,同程度のレベルの解答速報作成者であれば結果はばらつかない。ブラッシュアップされていない問題が出題されている可能性が高いと受け止めている。来年度以降,新カリキュラムに基づく新国家試験に向けて,ブラッシュアップを含めて問題の質を向上させることが厚生労働省で検討されている。(筆者)
1/24 ■3福祉士国家試験(1/25実施)の補習 →明日の3福祉士国家試験に役立つ情報かも知れないと思い掲載した。

        <高齢者をめぐる状況>
@高齢化の進行
・65 歳以上は,2005 年では2,576 万人(全人口の約20%)であり,2040 年に概ねピークを迎えて約3,850 万人(約37%)へと,大きく増加するものと予測されている。同時に,75 歳以上の高齢者の増加が見込まれている。
・また,高齢化の進展は地域ごとに差異が存在している。これまでのところ地方部で先に高齢化が進行しているが,今後は大都市圏で急速に高齢化が進む見込みである。
A要介護の高齢者及び高齢者の単身世帯等の増加
・介護保険制度が開始された2000年度から2007年度までに,要介護認定等を受けた高齢者は,218 万人から453 万人へと約2倍に増加しており,中でも,要介護1〜3または要支援の認定を受けた高齢者は,155 万人から345 万人へと大きく増加している。
・また,65〜74 歳の人では要介護または要支援の認定を受けた人が約5%であるところ,75 歳以上の人では約30%と,年齢が高い人で要介護等の割合が高くなっている。同時に,認知症の高齢者や介護予防の対象となる虚弱な高齢者も増加している。
・また,単身高齢者は増加を続けており,2005 年の387 万人から,2030 年には717 万人へと大きく増加することが見込まれている。今後の高齢化の進行に伴い,高齢者の単身世帯をはじめとして高齢者のみの世帯が増加するものと見込まれている。
B高齢者の住まい
・2005 年時点の高齢者2,576 万人のうち,特別養護老人ホームなど介護サービスの提供される施設等に91 万人(約3.5%)が入所しているが,大多数は住宅で生活している。住宅で生活する高齢者を含む世帯(1,720 万世帯)のうち,単身・夫婦世帯が半数(851 万世帯)を占める。また,持家は約8割(1,379 万世帯),借家は約2割(341 万世帯)である。
・住宅内では,身体機能の低下した高齢者の事故が起こりやすく,2007年に,浴槽内で溺死した高齢者は3,162 人,転倒・転落が原因で死亡した高齢者は1,844 人であり,これらの合計5,006 人は,交通事故死者数 2,727 人(同年)より多い。また,死亡には至らない事故も多数発生している。
・こうした事故の発生を防止するには,住宅のバリアフリー化が有効と考えられるが,高齢者の居住する住宅において,手すりの設置又は屋内の段差解消がされた「一定のバリアフリー化」が行われた住宅の割合は,2003年時点で28.9%であり,2か所以上の手すりの設置,屋内の段差解消及び車いすで通行可能な廊下幅の3条件を満たす「高度のバリアフリー化」が行われた住宅の割合は6.7%である。また,借家全体では,それぞれ10.0%,2.6%と特に立ち後れている。さらに,共同住宅のうち,各戸の玄関から道路まで車いす等で通行可能な住宅ストックの比率は10.0%である。
・また,高齢者の単身世帯の増加や,近隣関係の希薄化などにより,高齢者が誰にも看取られずに住宅で死亡する孤独死が増加しており,公共賃貸住宅においても孤独死者数が増加する傾向が見られる。
・持家に住む人は,高齢期になってもその住宅に必要に応じて建替えやリフォームをして住み続けたいという意向を持つ人が多いが,生活支援・介護サービス付き高齢者向け住宅などへの住み替え希望も見られる。民間賃貸住宅のなかには,高齢者の入居を不可とするなど入居者を限定している住宅が依然として存在しているが,一方で,高齢者の入居を拒まない賃貸住宅や高齢者専用の賃貸住宅が増加している。高齢者専用としている賃貸住宅では,高齢者の緊急時対応をはじめ見守りなどの生活支援サービスや食事,入浴の介助などの介護サービスを提供するものが見られる。
・地域によって,人口の高齢化の状況,住宅事情,介護サービスの状況は異なる。大都市地域では,今後高齢者の急増が見込まれるが,高齢者人口当たりの入所介護施設の整備率が低い。高齢化が先行した地方部では,高齢者人口当たりの入所介護施設の整備率は比較的高い。

(注)2009年1月の国土交通省社会資本整備審議会答申より
1/24 厚生労働省 「2007年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」 (構成)
@施設・事業所の状況
A居宅サービス事業所の状況
B介護保険施設の状況
C介護保険施設の利用者の状況
D訪問看護ステーションの利用者の状況
E従事者の状況


→小規模多機能型居宅介護は,利用者登録して要介護度ごとの金額を毎月払えば,3サービス(訪問介護,デイサービス,ショートステイ)を1か所で受けられる。2006年に介護保険サービスに導入され,認知症のケアに有効とされている。
→今回の調査では,数字上は小規模多機能型居宅介護の事業所数は962か所と2006年の5倍,利用者数も6倍の1万407人と増加しているが,事業所の設置はこの程度の想定ではなく,伸び悩みが深刻である(認知症グループホームは,現在約8800か所,約12万3000人である)。設置の伸び悩みの理由は,@制度の認知度の低さによる利用者の少なさ,A事業所への介護報酬の低さ,といわれる。小規模多機能の定額報酬は,在宅での要介護度ごとの利用限度額の8割程度とされており,利用者で多い認知症は,常に見守りが必要であるが,要介護度の低い人が多く,必要なサービスをすれば赤字になる仕組みになっている。「2008年介護事業経営実態調査」では,小規模多機能の事業所は2008年3月の平均で,収入に対し8%の赤字となっている。2009年度の介護報酬改定案(3%アップ)においては,わずかな見直しはあるものの根本的な解決とはならない。
→国民の財産ともいえる「介護保険制度」において,民意,議論(審議会等)を無視して,政治的な決着によって介護報酬3%アップを決めたことに憤りを感じる。(筆者)


明確な根拠をもつ「介護/介護労働」)
1/23 ■精神保健福祉士国家試験(1/24実施)の補習

<「基本的なデータ」>
入院期間の二極分化と長期入院者の高齢化が特徴
@精神病床を有する病院数・病床数:1674か所・35万4296床(全病床数の約2割。うち「法人・個人病院」は1372施設・31万7873床・病床数比89.7%である)
A在院患者数:32万5027人
B病床利用率:91.7%
C疾患別患者数の構成割合:
《1》入院=(1)統合失調症56.3%,(2)認知症疾患23.5%,(3)気分障害7.9%
《2》外来=(1)気分障害33.3%,(2)神経症性障害等疾患21.5%,(3)統合失調症20.7%
D措置率:0.7%(医療保護入院35.4%,任意入院63.2%)
E在院期間:(1)1年未満29.6%,(2)1年以上5年未満28.0%,(3)5年以上10年未満14.3%,(4)10年以上27.5%
F入院患者のうち65歳以上の患者の割合:40.7%(1989年の2倍に相当)
(注)Dは2004年のデータ,他は2005年のデータ

<「今後,検討すべきとされている項目」>
【1】相談支援
(1)地域生活の拡充のための相談支援
@相談支援体制の充実強化
Aケアマネジメント機能の拡充
B自立支援協議会の活性化
C相談支援の質の向上
(2)相談体制における行政機関の役割
(3)精神保健福祉士の養成のあり方等の見直し
【2】地域生活を支える福祉サービス等の充実
(1)住まいの場の確保
@グループホーム・ケアホームの整備促進・サービスの質の向上
A公営住宅への入居促進
B公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての活用促進
C民間賃貸住宅への入居促進
(2)生活支援等障害福祉サービス等の充実
@訪問による生活支援の充実等
Aショートステイ(短期入所)の充実
B就労支援等
C家族に対する支援
【3】精神科救急医療の充実・精神保健指定医の確保
(1)精神科救急医療の充実
(2)精神保健指定医の確保
【4】入院中から退院までの支援等の充実
(注)2009年の障害者自立支援法見直しに向けての検討会(2008年11月)より
→明日の精神保健福祉士国家試験(専門科目)に役立つ情報かも知れないと思い掲載した。
→1月6日の記事である「孟子」の言葉を再度掲載する。
『為すこと有らんとする者は,辟えば(たとえば)井(せい)を掘るがごとし。井を掘ること九仞(きゅうじん)なるも,泉に及ばずしてやむれば,なお井を棄つとなす。』
何事もやり遂げなくてはだめである。例えば,井戸を掘るにしても,水が出てくるまで掘らなくては,いくら深く掘っても,結局,井戸を捨てたことになる。井戸を掘る努力をしても,水が出なければ,その努力には意味がない。と解されている。
→筆者は,「努力をする」のは当たり前のことであるが,「努力をした自分へのねぎらい」(自分を認めること)は必要であると思っている。ただし,「努力したこと」は,結果を出せなかったときの言い訳にしてはならないと考えている。「とにかく合格する」というやまだ塾のテーマの設定根拠である。
→最後まであきらめず,結果を出せるまで努力し続ける。これは,ソーシャルワーカーに求められている姿勢そのものである。(筆者)
1/22 労働政策研究・研修機構 オバマ米大統領の「就任演説」(要旨)
         <労働政策関連のポイント>
「現在の経済情勢は大胆で迅速な行動を求めている」とした上,「われわれは新たな雇用を創出するだけでなく,成長の新たな基盤を築くために行動する」と表明した。具体的には高速道路や橋などの社会基盤整備に加え,デジタル情報回線の整備,医療分野の質の向上と費用圧縮,クリーンエネルギーの推進,教育制度改革などを積極的に進める必要があると説明した。その上で「これらのすべては可能だ。われわれはすべてを実行する」と強調した。さらに「問題は政府が大きすぎるか,小さすぎるかではなく,機能するかどうかだ」と指摘し,大型経済対策に伴う財政支出の拡大は現時点で問題にはならないとの考えを示唆した。

→ついにサッチャーやレーガンの掲げた経済路線である「小さな政府」に終止符が打たれた(上記下線部分)。
→話のきっかけとして受け止めていただきたい。断じて,個人攻撃や中傷を意図するものではない。昨年,オバマ氏の登場によってアメリカの新自由主義の先行きが見えてきた。早速,日本では昨年末から,新自由主義からの「転向」や「懺悔」を公然と口にする「小泉-竹中構造改革の旗振り役をしていた一流といわれる経済学者」がマスコミに露出している。「疲弊した日本の再生」をテーマにした本を出版している。間違いを認め,反省することが目的なら,インターネット上での無償公開という方法もあるだろうと思う。勇気があるとして賛辞を送る人が多いことは知っている。しかし,筆者は,人の本質がそう簡単に変わるとは思わない。
→福祉・介護の分野においても,近年の新しい理念や価値を口にするが,実際には旧来の価値観と思い込みで無意識に対応している経験豊富といわれる福祉専門職は少なくない。むしろ,そういう指導的立場にいる人の意見が進展を妨げていることがある。「福祉専門職の質の向上」を言うのは簡単だが,一朝一夕とはいかない。人の本質は簡単には変わらない。
→人から聞いた古い話を思い出した。精神病院(現在は精神科病院という)の人権に対する変化が求められたときに,従来の鉄格子の鉄棒は縦であるが,それでは牢獄のイメージに重なるので,これからは横にすべきだと真剣に話す病院長(精神科医)がいた,というおそらくは作り話であろう。
→オバマ大統領の演説を聴いていて,社会における
「Change」の本質は,「体制や仕組みを変える」ことではなく「人を代える」ことなのではないかと思った。(筆者)


「提言:新たな日米関係の構築〜激動の国際情勢下の米国政権交代を好機と捉えて」(経済同友会米州委員会)
1/21 厚生労働省 新規学校卒業者の採用内定取消しの防止強化
〜職業安定法施行規則の改正等〜

<「厚生労働大臣の定める場合に該当するとき」とは>

内定取消しの内容が,次のいずれかに該当する場合とするもの。ただし,倒産により翌年度の新規学卒者の募集・採用が行われないことが確実な場合を除く。

@2年度以上連続して行われたもの
A同一年度内において10名以上の者に対して行われたもの(内定取消しの対象となった新規学卒者の安定した雇用を確保するための措置を講じ,これらの者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除く。)
B生産量その他事業活動を示す最近の指標,雇用者数その他雇用量を示す最近の指標等にかんがみ,事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに,行われたもの
C次のいずれかに該当する事実が確認されたもの
・内定取消しの対象となった新規学卒者に対して,内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき
・内定取消しの対象となった新規学卒者の就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき

<2009年1月19日公布・施行の「改正職業安定法施行規則等」に対する厚生労働省の説明>
『ハローワークによる内定取り消し事案の一元的把握(省令),事業主がハローワークに通知すべき事項の明確化(省令)を図ることにより,企業に対する指導など内定取り消し事案への迅速な対応を図るとともに,内容内定取り消しの内容が厚生労働大臣の定める場合に該当するときは,学生生徒等の適切な職業選択に資するため,その内容を公表(省令・告示)することができることとしました。』
()書き,太字・下線はやまだ塾が追記

→「公共職業安定所は,管轄区域にある学校に,公表された情報を提供する」とされる。厚生労働省は社会問題化した時点からは迅速な対応をしてきたと思う。しかし,厚生労働省による「企業名公表」が抑止力を持ち続けられるものであろうか。現在のようにマスコミがセンセーショナルに取り上げる状況がいつまでも続くようには思えない。(筆者)

2008年12/11新規学卒者の採用内定取消しへの対応について12/1(■「採用内定取消し」の現状および推移)の記事を参照

「2008年12月時点の採用内定取り消しの状況」(厚労省政策レポート)

(2009年1月29日追記)
新規学校卒業者の採用内定取消しの防止について〜制度が新しくなりました〜(厚生労働省)
新規学校卒業者の採用内定取消しの防止について〜制度が新しくなりました〜(厚生労働省)
1/20 ■3福祉士国家試験の「解答速報」について

「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の今後の在り方について」(2008年12月)<抜粋>

【国家試験・合格発表の実施時期について】
○現在,卒業見込みの受験者を考慮し,筆記試験については1月下旬に,介護福祉士国家試験の実技試験については3月上旬に,それぞれ実施し,3月31日に合格発表を行っている。
○試験実施時期の大幅な前倒しを求める意見もあるが,卒業見込みで受験する者について,未受講のカリキュラムが多くなることから,現在の実施時期を維持することが適当である。
○また,合格発表については,現在よりもできる限り早い時期に行うことができるよう検討を行うべきである。特に社会福祉士については,実技試験が行われないことから,2月中に合格発表を行うことができるような体制の整備を含め,検討する必要がある。
→やまだ塾を開設した当時(2006年4月)の「解答速報」の状況は,今ほどインターネットの利用が多くなく,業者による有償の解答速報の販売や一部の専門学校・通信教育業者のHPによる公開だけで,時期も直後ではなく,誤答も多かった。また,市販の解説書については,7月〜8月ごろの発売であった。
→健全な競争のもとで,質の高い情報が適切な時期に公開されることが「福祉専門職の社会的地位の向上」に結びつくとの思いで「やまだ塾」を立ち上げ,最もニーズの高かった国家試験問題・解答速報・解説を公開することからスタートした。その後,介護職員基礎研修の導入,3福祉士の資格制度やカリキュラム・試験の見直しが本格化し,さらに福祉・介護の人材確保が社会問題化して,状況が様変わりしてきた。昨年からは福祉・介護分野の最大手の出版社が「解答速報」の公開に加わった。それに伴い,他の業者等の解答速報のタイミングも早くなったように思う。
→やまだ塾は,解説のない番号のみの解答速報を出す意味に疑問を持っているが,競争に負けたくないので,第21回・第11回も解答速報を公開する予定である。
→解答速報における最終的な思いは,大学入試センターが翌日に「問題と正解」を公開しているのと同様に,「社会福祉振興・試験センター」による翌日の「問題と正答」の公開である(同センターが所管している「ケアマネ試験」も同様である)。なお,左記の通り,第22回・第12回の国家試験より現在の3月末の発表(合格者・正答)が2月末の発表に変更になる可能性が出てきた。現行の合格発表を1か月も縮められるのであれば,翌日に「正答のみ」を公開することもできるはずである。「社会福祉振興・試験センター」は,受験者のニーズには真摯に応えるべきである。(筆者)
1/19 厚生労働省 「2007年度 国民健康保険(市町村)の財政状況(速報)」
・自営業者などが加入し,市区町村が運営する国民健康保険(国保)の収入は13兆1,164億円,支出は13兆72億円で,表面上は439億円の黒字であるが,赤字補てんのための一般会計からの繰入金を除くと実質赤字は3,787億円(前年度比445億円増)に膨れ上がっている。単年度収支では,市区町村の約7割に当たる1,283自治体が赤字決算となった
・同時に,国保の滞納世帯数が2008年6月現在,全世帯の20.9%(前年比2.3%増)の453万455世帯に上る,1998年以降では初めて2割を超えたとの発表もあった。

→「国民皆保険制度」の財政面からの崩壊の危機が報道されている。
→福祉専門職としては,財政面からだけではなく,小泉政権による「聖域なき構造改革」以降,現行の国民健康保険制度は,1年以上国保料が払えなかった世帯から保険証を取り上げる(「資格証明書交付世帯」)など,きわめて冷酷なものとなっており,2割もの世帯が「医者にかかれない」状況に置かれ,置かれようとしていることも理解しておかなければならない。保険証がなく,手遅れとなって死亡する人がいることも許容している「世界に誇る国民皆保険制度」であるという認識は必要である。「あたたかい対応」とはどういう場合に使う言葉なのだろうか。(筆者)
1/18 シルバーサービス振興会 「介護サービス情報公表制度支援センター(シルバーサービス振興会)」

<公表制度支援センターHPの説明(抜粋)>
公表制度とは,『介護保険法第115条の規定に基づき,介護サービスを利用し,又は利用しようとする要介護者等が,その自立に向け,適切かつ円滑にサービスを利用する機会を確保するために公表されることが必要なものとして定められた「介護サービス情報(基本情報・調査情報)」の各項目について,介護サービス事業所が定期的に都道府県知事に報告することを義務づけるとともに,都道府県知事に対して,調査情報についての事実確認調査を行うことや,その結果を含めた介護サービス情報公表することを義務付ける制度です。
2005年6月の改正介護保険法により,利用者自らが介護サービス提供事業者を適切に選択できるシステムを構築し,利用者の選択を通じた介護サービスの質の向上を図るため,2006年4月から「介護サービス情報の公表制度」が開始された。都道府県または指定情報公表センターが,原則すべての介護サービス提供事業所を対象に,その情報をインターネットなどを通じて公表している。

→筆者は,「介護サービスに関する公表制度」の意義と必要性は認めている。しかし,現行の「介護情報公表システム」に対しては,サービスの実態を正確に反映しているのだろうか,利用者に誤解を生じさせていないだろうか,事業者から徴収する費用で運用されているが適切な使途となっているのだろうか,という疑念を持っている。厳しい経営環境にある事業者からかき集めた理不尽とも思える高額な費用(ひいては「国民の負担」になっている。厚労省の見解では本徴収費用は「介護報酬」に組み込まれているとのことである)が,ひょっとしたら,とてつもない無駄と利権の中で消費されているのではないかと勘ぐっている。ありていに言えば,現行の公表システムが,今すぐなくなっても,実施主体・指定調査機関以外は誰も困らないのではないかという思いを強く持っている。なお,2008年度の厚生労働省の対応を知りたい方は,下記の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で確認されたい。(筆者)

→■「2008年度の介護サービス情報の公表制度の適正な運用について(厚生労働省老健局振興課)」<2007年2月27日全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料>
1/16 厚生労働省 「男女雇用機会均等法(均等法)のあらまし」(リーフレット)
<均等法に関する復習>
@1979年に国連で採択され,1985年に日本が批准した「女性差別撤廃条約」の条件を国内で整備するため,「法の下の平等」を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野での男女の均等な機会・待遇の確保,女性労働者の職業能力の開発・向上,再就職の援助,職業生活と家庭生活の調和を図ることなどにより女性労働者の福祉を増進させることを目的として,1985年6月1日に「勤労婦人福祉法」の改正法として「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」(通称:男女雇用機会均等法or均等法)という名称で公布された。これまでに数次の改正があり,2006年の改正均等法は,2007年4月1日から施行されている。
A2007年11月30日に「男女雇用機会均等対策基本方針」が制定された。男女雇用機会均等法第4条に基づき策定される方針で,2007年度から2011年度までの5年間について,男女雇用機会均等対策における政府の施策の基本となるべき事項が定められている。

明確な根拠をもつ人権宣言と主要人権条約」「少子化の情報」)
1/15 内閣府 「特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし」(改訂版) ・NPO法は,「この法律は,特定非営利活動を行う非営利団体に特定非営利活動法人としての法人格を付与すること等により,ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し,もって公益の増進に寄与することを目的とする。」と規定している。(法第1条)
・NPO法は,1998年に制定された。2006年の法改正を経て,現在,17分野におけるNPO法人数は約3万5000である。
・2006年の「改正NPO法」は,2008年12月1日に施行され,主なポイントは,@公益法人制度改革に伴う民法の改正に伴う変更,A社員総会の欠席者の表決権行使の電磁的方法,である。

→昨年から本カテゴリーで取り上げている「ソーシャルビジネス」に関して,下記の経済産業省の「ソーシャルビジネス研究会報告書」において,ソーシャルビシネスの組織形態はNPO法人が約半数を占め,営利法人(株式会社,有限会社)は約2割に留まっているとしている。筆者は,福祉専門職が専門性を生かしてソーシャルビジネスに転進することは積極的に進めるべきと考えている(現状の福祉・介護の現場の改善と並行して)。また,ソーシャルビジネスが「雇用創出」に寄与することは,1990年代以降のイギリスにおいてすでに実証されている(現在,イギリスでは,約6万の事業者によって70万人以上を雇用創出し,市場規模は約6兆円といわれている)。簡単なことではないと思うが,「夢」がある。先日(1/9),NHK総合「時論・公論」において,雇用創出とソーシャルビジネスの関連が解説されていた。
→現在の日本政府の雇用対策は,今回の予算案を見る限り,グローバル化を起因とした構造的な失業状況という認識が薄く,雇用の維持や再就職を支援するための対策が主体であり,「新たな雇用創出」では,具体性のない従来型の「雇用を生み出すため」という大義名分だけが前面に出た公共事業への巨額の予算投入である。また,脈略なく介護や農業の分野に失業者をつれてくる施策(今回の予算案に計上されている)やワークシェアリングという日本人の特質になじまない働き方に対する経団連の提案などは「新たな雇用創出」とは言い難く,いずれも「夢」がない。
→3福祉士国家試験では,今までに「ソーシャルビジネス」という用語での出題はないが,次回出題される可能性がある。(筆者)


→■「内閣府NPOホームページ」

(「ソーシャルビジネス」に関して)
2008年12/17拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場の記事を参照

<このカテゴリーで取り上げた「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告群>
「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書」(2008年2月)
「ソーシャルビジネス研究会報告書」(2008年4月)
「人生85年ビジョン懇談会報告書」(2008年5月)
「安心と希望の医療確保ビジョン」(2008年6月)
「シルバーサービス振興ビジョン」(2008年9月)
「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月)
「安心と希望の介護ビジョン」(2008年11月)
1/14 国家試験に頻出の「社会保障関係費」 「介護福祉士模擬問題B−社会福祉概論問題1」の問題文の誤りを訂正した。非常に重要な事柄なので,本カテゴリーで記事として掲載する。
→「2008年度一般会計歳出歳入の内訳(予算)」を例にして,左記の財務省の資料をご覧いただき,「一般会計歳出総額」と「一般歳出」の言葉の違いを確認されたい。
@社会保障関係費/
一般会計歳出総額26.2%
A社会保障関係費/
一般歳出46.0%
→「定額給付金」や「介護報酬3%アップ」「雇用創出のための基金創設」などが盛り込まれた「2008年度第2次補正予算案(4兆7858億円)」と「関連法案」が1月13日に衆議院で与党の賛成多数で可決され,参議院に送付された(補正予算案は2月12日には自然成立するが,関連法案は60日経過後に再可決するとみられている)。続いて1月19日には,本予算である「2009年度予算案」と「関連法案」が提出される予定であるが,与野党間のごたごたで審議に遅れが出るのは必至と見られている。本予算では,「一般会計歳出総額(88兆5480億円)」「社会保障関係費(24兆8344億円)」「4月からの基礎年金の国庫負担割合の1/2への引き上げ(2兆3000億円)」などにも関連するので,成立するまで(例年は次年度の予算案が成立するのは3月末ごろである)の経過を注目していただきたい。また,社会保障制度のありようについても考えてみていただきたい。
→これで「社会保障関係費」に関する出題への対応は完璧。かな。(筆者)


(国会の予算案審議に関して)
1/12「子育て応援特別手当」,1/61月5日に「第171回通常国会」が召集された),1/5「2008〜2009年度の福祉・介護人材確保対策」,1/41月5日に「第171回通常国会」が召集される),2008年12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」の記事を参照

2009年度一般会計歳出歳入の内訳(予算)」
1/13 内閣府 「DV相談ナビ」の開設 DVについて,どこに相談したらいいか分からないという被害者を相談機関につなぎ,支援等の情報入手をしやすくするため,1月11日から「DV相談ナビ」が開設された。
・都道府県などが運営する「配偶者暴力相談支援センター」等多くの相談窓口が設けられている。しかし,内閣府が実施した調査では約7割が「知らない」と回答し,被害を受けた女性の半数近くは,だれにも相談していないという調査結果も出ていた。
・電話番号は0570(0)55210で,24時間対応し,通話料は発信者の負担で,PHSや一部のIP電話は対応できない。


「DV防止法」は2001年に成立し,これまで2004年と2007年に改正されている。2007年の改正骨子は,@市町村の被害者の保護・支援体制を強化したこと,A保護命令制度(接近禁止命令,退去命令)を拡充したこと,B被害者保護のため,裁判所は保護命令を発した場合,それを支援センターに通知すること,である。DVおよび虐待は,次回の国家試験に出題される可能性が高いと考えている。
→なお,現在,DVに関して,「定額給付金」のDV被害者受取り分が加害者に渡される可能性が高いことに対する行政側の対応が注目されている。(筆者)


1/2法的トラブル,まずは「法テラス」への記事を参照

配偶者からの暴力被害者支援情報 / 配偶者暴力相談支援センター一覧

明確な根拠をもつ「虐待(児童・高齢者)/DV」)
1/12 厚生労働省 「子育て応援特別手当」
〜「生活対策」の項目の一つ〜


★模擬問題:憲法の規定に関して,以下の文章は正しいか。

@2008年度第2次補正予算案は,衆議院で可決され,参議院で否決されても,参議院送付から30日たてば自然成立する。
A2008年度第2次補正予算案の関連法案は,衆議院で可決され,参議院が否決した後か参議院送付して60日経過後に衆議院で再可決(2/3以上の賛成)すれば成立する。

答え:【
 @A共正しい ・・【 】内をドラッグ


・現在,国会で審議されている2008年度2次補正予算にかかる「生活対策」の「出産・子育て支援の拡充」(@安心こども基金(仮称)による保育所などの緊急整備,A子育て応援特別手当(仮称)の支給,B妊婦検診の国庫補助,C中小企業の育児休業・短時間勤務促進の4つ)のうちの@の具体的内容が明確にされたものである。

→上記の4項目はいずれも法改正を行わずに2次補正予算で処置するというものである。現在,国会で審議されている「定額給付金」と同様に本件も公明党の主張を受けて盛り込まれたものと言われている。本件は,単年度(2008年度のみ)の施策として,定額給付金(2兆円)に付加して子育て応援特別手当(600億円)を支給するというものである。筆者は,景気対策としても少子化対策としても実効性に疑問のある場当たり的な施策・対策ではないかと思う。
→現在,少子化対策として,2008年12月24日に「小渕ビジョン」が示され,「思い切った少子化対策」を議論していくため,2009年1月から「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を発足するとされている。これは,現在の「
子ども・子育て応援プラン」が2009年度までであることを受けたものであるが,筆者は,今までの「ばらまき型少子化対策」がどの程度見直されるかに注目している。
→最近,行政トップの言い方がコロコロ変わり,つじつまの合わないことが多いので,問題点を浮き彫りすることを意図しているが,コメントがついつい批判的になってしまう。注意したい。トップにはその地位にふさわしいブレーンを置くことの重要性を感じる。とは言っても,「2008年度第2次補正予算案と関連法案」は1月13日の夕刻に衆議院本会議で与党の賛成多数で可決されることが決まっている。それに対して,野党は「退席」して抗議の意志を示す。・・らしいが「前時代的」と思いませんか。(筆者)


(「子育て応援特別手当」に関して)

1/61月5日に「第171回通常国会」が召集された),1/41月5日に「第171回通常国会」が召集される),2008年11/11「生活対策」(2008年10月30日「新たな経済対策に関する政府・与党会議,経済対策閣僚会議合同会議」)の記事を参照

(「少子化担当大臣」に関して)
2008年11/24「2008年版 青少年白書」の記事を参照
「少子化対策」(内閣府)
1/11 ■今話題になっている「製造業への派遣労働の解禁」を積極的に進めた人たちがいたことを知っていますか?

「総合規制改革会議」委員名簿 (政府公表,50音順,敬称略
宮内義彦 議長,オリックス椛纒\取締役会長兼グループCEO
鈴木良男 議長代理,活ョリサーチセンター代表取締役社長
奥谷禮子 潟U・アール代表取締役社長
神田秀樹 東京大学大学院法学政治学研究科教授
河野栄子 潟潟Nルート代表取締役社長
佐々木かをり 潟Cー・ウーマン代表取締役社長
清家篤 慶應義塾大学商学部教授
高原慶一朗 ユニ・チャーム椛纒\取締役会長
八田達夫 東京大学空間情報科学研究センター教授
古河潤之助 古河電気工業椛纒\取締役社長
村山利栄 ゴールドマン・サックス証券会社調査部マネージング・ディレクター
森稔 森ビル椛纒\取締役社長
八代尚宏 社団法人日本経済研究センター理事長
安居祥策 帝人椛纒\取締役会長
米澤明憲 東京大学大学院情報学環教授
1986年に制定された「労働者派遣法」の改正経緯は,当初専門職だけ認められていた派遣が1999年改正で製造業などを除き派遣対象業務が原則自由化され,2004年改正では製造業でも認められることになった。
派遣労働者数の推移(厚労省発表)
1999年度 2002年度 2006年度
106万人 212万人 321万人

→1999年の法改正では野党の民主党と社民党は 「労働者に多様な選択肢を確保し,就業機会拡大を図る」 として賛成したが,2004年の製造業への解禁の法改正には両党は反対し,与党(自民党と公明党)が成立させた。規制緩和の一環として,製造業への派遣労働を推進したのは小泉内閣と与党(自民党と公明党)であったが,バックボーンとなったのは左記の「総合規制改革会議」であった。製造業への派遣解禁をすれば,使い捨てで無法地帯化することは当時から指摘されていたことで,多くの派遣労働者が失職している現在の状況は,当然の帰結である。「製造業への派遣労働の解禁」は,「経営者側の論理」に基づいて始まったが,その尻拭きは「国民の負担」すなわち「税金」で行われている。現在,「製造業派遣を禁止する」という選択肢があるような報道があるが,白紙に戻すことはあり得ないと考えられる。仮に,そうなってもさらに失業者は増えることは明白である。ここが知恵の出しどころだと思う。「ワークシェアリング」しか知恵が出ないのでは悲しい。
→2008年12月の障害者自立支援法見直しに関する報告書について,「一度成立した法律を白紙に戻すことの困難さは計り知れない。今後は,現状を絶え間なくアピールし,制度の不備の改善とこれまでの努力の成果である特例としての「軽減措置」をできる限り拡大・延長されることを要求し続けていくことが大切になる。」とコメントした。
→原則論が重要なのは当然であるが,経緯や事実を正確に把握したうえで,現実的な解決法に知恵を出し切れるソーシャルワーカーが「力量あるソーシャルワーカー」ではないかと思う。(筆者)


12/18「社会保障審議会障害者部会報告書」の記事を参照

「総合規制改革会議」
1/10 厚生労働省 厚生労働省のキャッチフレーズ及び行動指針の策定について →逆風にある状況において,若手職員を中心としたプロジェクトチームを設置し,省内に展開を図り,キャッチフレーズと行動指針を策定されたことには一定の評価が与えられるべきと考える。しかし,残念に思うことがあるので,いつもながらの無礼であるが,以下に意見を述べる。
→日本は法治国家である。法に基づいて行政事務を遂行することを行政職員は義務づけられており,いかなる場合においても法から外れた行動をしてはならないとされる国家である,と多くの国民は固く信じている。「高い倫理観」「国民と時代の要請」「 誇りと使命感」という抽象的ないことを言う前に,「福祉行政職員は法を拠りどころにし,自分勝手にルールを作らない」と具体的に宣言すべきである。それが「Fair(公正・公平)」の意味するところであり,民意に沿うものと思われる。もし,「倫理」を持ち出したいなら,「国家公務員法」「国家公務員倫理法」「国家公務員倫理規程」(政令)を遵守すると言えばいい話である。再度言うが,今国民の多くが求めている行政職員への行動指針は,総論的な「高い倫理観」ではなく,各論的な「高い法令遵守観」であると思う。(筆者)


2008年12/22「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間報告」9/1(■「2009年度 厚生労働省予算の概算要求」,8/22「厚生労働省が改革元年として現在取り組んでいる事項」「第1回厚生労働行政の在り方懇談会」資料〜),8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された〜「社会保障の機能強化のための緊急対策−5つの安心プラン−」を受けて〜)7/4厚生労働省のシンボルマークの記事を参照
1/9 警察庁 「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?
<交通事故死者数と自殺者数の比較>
交通事故
死者数
2008年中 5,155人 警察庁交通局交通企画課
2009年1月2日公表
自殺者数 2007年中 33,093人 警察庁生活安全局地域課
2007年6月公表

→上記を比較してみると,「交通事故」では「2008年中」のデータが2009年1月2日に公表されているが,「自殺」では通例6月に公表される。自殺者数は交通事故死者数の6倍に当たるが公表にタイムラグがある。「自殺者数」に関する問題の一つとして,現在,市町村に自殺対策の窓口がないことが挙げられている。すなわち,市町村レベルで自殺者総数をリアルタイムに把握するシステムができていないということになる(自殺者数の把握時期は地域格差が大きいといわれる)。早期把握によって有効な自殺予防対策が打てる可能性があることは専門家でなくても想定できる(交通事故死亡者数は減っている)。また,WHOの「報道に関する手引き」に抵触するようなマスコミの報道の取り上げ方や自殺に関する認識レベルが指摘されている。さらに,関連する事柄として,日本の監察医数の少なさ,変死体の解剖率の低さ,死体の画像診断における2000年頃からの「Ai(Autopsy imaging)」と呼ばれる新しい概念の導入の遅れ(『チーム・バチスタの栄光』の著者である現役医師の海堂尊氏はAiの推奨者である),関連設備や予算不足などがあると言われているが,われわれ国民は,どれほど根が深い事柄なのかは十分に理解していない。(筆者)

(交通事故に関して)
7/17「2008年秋の全国交通安全運動」の記事を参照

(自殺に関して)

2008年11/4「2008年版 自殺対策白書」(概要),9/2「2008年度 自殺予防週間(9/10〜9/16)」
9月10日は「世界自殺予防デー」(WHO)〜)
,6/23「2007年中における自殺の概要資料」(警察庁),6/9「2007年人口動態統計月報年計(概数)の概況」,5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数5/25「自殺予防メディア関係者のための手引き(日本語版第2版)」,3/29「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照
→■自殺対策加速化プランおよび改正自殺総合対策大綱(2008年10月31日)
明確な根拠をもつ
「心の健康-自殺」
1/8 内閣府 「2008年度版 国民生活白書」
〜消費者市民社会への展望−ゆとりと成熟した社会構築に向けて−

<消費者庁関連3法案>
(1)消費者庁設置法案
@内閣府の外局として消費者庁を設置する。消費者の利益擁護と増進,物価に関する基本的政策の事務を行う。長は消費者庁長官とする。
A首相や関係閣僚らの諮問に応じ重要事項を調査,審議し,意見を述べる「消費者政策委員会」を置く。必要があるときは勧告する。関係行政機関の長は,講じた施策を報告しなければならない。
B首相は関係行政機関の長に対し,食品の安全性確保など重要事項について必要な措置を講じるよう求め,報告を求めることができる。

(2)消費者被害防止法案
@国は迅速,適切,効率的に消費者被害の発生,拡大防止に努めなければならない。国と自治体は国民生活センター,関係機関,消費者団体などとの緊密な連携に配慮しなければならない。
A事業者は被害発生と拡大防止に努め,国と自治体に協力する。
B重大事故があった場合,市町村長や知事,関係行政機関の長,国民生活センターは直ちに概要を消費者庁に通知しなければならない。
C消費者庁長官は被害情報の収集,分析などで関係機関,自治体に原因究明への協力を求めることができる。
D首相は被害の発生や拡大を防止するため,収集情報の分析結果を公表できる。
E首相は緊急の必要があるとき,6か月以内の期間を定め,事業者に物品の回収,施設の使用停止など必要な措置を命じることができる。事業者に報告を求め,立ち入り調査し物品を無償で撤去させることができる。
F命令に違反した者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金。法人は1億円以下の罰金。
G都道府県は「消費生活センター」を設置する。市町村も同センターを設置できる。
H国は自治体に同センターの経費として交付金を支出できる。
(3)内閣府設置法改正案
@「消費者行政担当相」を置く。
(2008年度国民生活白書のポイント)
@悪質商法などの被害を防止するための教育を進めることが重要である。
A2007年度の消費者被害の総額は最大で国内総生産(GDP)の約0.7%に当たる約3兆3922億円である。
B少額の被害者は解決にかかる費用を考えて泣き寝入りする可能性が高く,損害を集団的に救済する仕組みが必要である。
C国民生活センターなど公的機関の相談態勢を強化すべきである。
D消費者には社会や市場を変革する力が求められている

→消費者庁関連3法案は,第170回臨時国会で提出されたが継続審議となり,2009年の第171回通常国会での審議が予定されている。本白書は,2009年度の「消費者庁」創設に向けて(2009年度予算93億円を計上し定員は204人とされている),「消費者」を取り上げたと思われる。現在10省庁が分散して所管している消費者行政の一元化には相応のメリットがあることは理解しているが,反面,担保されなければ,権限と実効性を別にすれば,分散されていた利権が一元化されることであり,「巨大な利権を持つ強力な官僚組織が作り上げられる」ことになるとも考えられる。同じ外局で巨大な年金利権を持った強力な官僚組織である消滅間近の「社会保険庁」からの学習も大切だと思う。(筆者)

「白書(福祉関連)」
明確な根拠をもつ「消費者トラブル」)
1/7 受験者の方々へのメッセージ 思いが遂げられることを心から願っています。「勇気」をもって走り抜けてください。(筆者)
1/6 ■1月5日に「第171回通常国会」が召集された ・衆議院本会議では,2008年度第2次補正予算案が提出されたことを受けて,中川財務大臣による財政演説が行われ,2008年10月30日の「生活対策」と12月19日の「生活防衛のための緊急対策」などの経済対策および第2次補正予算案の概要が説明された。その後,参議院本会議でも財政演説が行われた。
→1月6日からは財政演説に対する質疑が行われる予定である。

→第2次補正予算案には,「定額給付金」が含まれ紛糾する要素はあるが,その他の項目では成立が急がれるものが多い。
→繰り返し伝えていることであるが,個々の事案の把握とともに,全体の枠組みや流れを捉える訓練がソーシャルワーカーには必要である。行政に関するマスコミの報道・記事は,行政側の発表をそのままアナウンスしていることが多い。また,根拠を示さないでセンセーショナルな取り上げ方がされることもある。ソーシャルワーカーは,常に根拠に基づいて自身の考えを持つことが大切である。
逆に言えば,根拠のない事柄には同調や鵜呑みをせず,根拠のないことは言わない,ということである。さらに,自身の意見と他人の意見を区分することも重要である。これらのことは適切な対人援助のベースになると考えている。本HPでは,マスコミ等の報道記事の転載は避け,原資料が明示できるもの(公的機関とリンクできるもの)を記事として掲載することを基本にしている。手間はかかるが,状況や事実を正確に伝えるためには必要なことと考えている。「福祉専門職の社会的地位の向上のために」という目的に向かっての努力ができなくなったときが,本HPをやめるときと心に決めてやっている。
→最近,NHK教育の「知るを楽しむ この人この世界 -宮城谷昌光 孟嘗君と戦国時代」という番組 において,氏が孟子の言葉を紹介されていた。@「木に縁りて魚を求む」(きによりてうおをもとむ)では,努力には方向性があり,目的が違えば意味がないと解説され,A「為すこと有らんとする者は,辟えば井を掘るがごとし。井を掘ること九仞なるも,泉に及ばずしてやむれば,なお井を棄つとなす。」(この文章は氏の著作からの引用)については,何事もやりとげなくてはだめで,たとえば,井戸を掘るにしても,水が出てくるまで掘らなくては,いくら深く掘っても,結局,井戸を捨てたことになってしまい,「井戸を掘る努力をしても,水が出なければ意味がない」と解説されていた。国家試験受験者においては,「とにかく合格する」という気迫が大切である。もって回った言い方になってしまった。(筆者)

1/5「2008〜2009年度の福祉・介護人材確保対策」,1/41月5日に「第171回通常国会」が召集される),1/3「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」,1/1「丑(うし)年生まれ」と「新成人」の人口推計(総務省)12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」の記事を参照
1/5 厚生労働省 「2008〜2009年度の福祉・介護人材確保対策」
〜「福祉・介護人材確保関係主管課長会議(2008年12月25日開催)」 資料より〜
<福祉・介護人材確保対策のための予算>

(1)2008年度第2次補正案
@介護報酬改定による介護従事者の処遇改善(1154億円)→介護報酬3%アップ
A介護人材等の緊急確保対策の実施(介護福祉士等修学資金貸付事業の拡充320億円,進路選択学生等支援事業・潜在的有資格者等養成支援事業・複数事業所連携事業・職場体験事業205億円)
B介護人材確保職場定着支援の拡充(介護未経験者確保等助成金の拡充50→100万円,介護労働者設備等整備モデル奨励金(仮称)の創設250万円),C母子家庭の母の介護福祉士・看護師等の資格取得支援1.3億円 など
(2)2009年度予算案
@福祉・介護人材確保緊急支援事業(新規:福祉・介護人材定着支援事業,実習受入施設ステップアップ事業),A地域における人材の確保(新規:高齢者地域活動推進者養成支援事業0.8億円,生活(介護)支援サポーター養成支援事1.7億円),B雇用管理改善に取り組む事業主に対する総合的な支援」やハローワークにおける福祉人材確保対策の強化(介護雇用管理改善等対策費143.8億円,雇用管理改善等援助事業8.3億円,「福祉人材確保重点プロジ工クト(仮称)」の推進等による福祉人材確保対策の強化7.4億円),C離職者訓練の実施規模の拡充(職場訓練の実施規模の拡充5億円,安定雇用実現に向けた長期間の訓練の実施51億円)

上記予算案が第171回通常国会で審議される。よく見ていただきたい。現状の福祉・介護従事者の給与面の待遇改善に「直結する」施策は皆無である。いつまでも福祉・介護従事者の使命感と情熱によりかかっていてよいものであろうか。これ以上,有能な福祉・介護従事者を辞めさせるようなことがあってはならない。「今,この時に,福祉と介護の世界を支えてくれている人たちを大切にする」という視点が欠落していることが最大の問題である。福祉・介護従事者の頭数を増やすだけの施策は国や国民にとっては何のメリットもない。
→「福祉新聞」の第2416号(1月5日)を見れば,驚くほどの数の関係団体が存在している。これだけの団体が大同団結すれば,国や国民に福祉・介護分野に関する提言ができるほどの大きな力になると思うのは筆者だけだろうか。(筆者)


→●1/3「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」,1/1「丑(うし)年生まれ」と「新成人」の人口推計(総務省)2008年12/26(■「3福祉士の現況把握調査結果」の記事を参照

「福祉専門職の現状」
1/4 - ■1月5日に「第171回通常国会」が召集される 通常国会(憲法上は「常会」という)とは,毎年1回召集されることが憲法上義務づけられている国会である(憲法第52条)。法定の会期は150日間で6月まで行われ,1回のみ両議院の議決で会期延長ができる
前半は,翌年度(今回は2009年度)の予算案が重要な議案となるが,付随して税制改正も議案とされる。後半は主に政府の政策法案が議案となる。

→実のある国会審議は望めない状況にあるが,「福祉行政関連」には注視していきたい。(筆者)

12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」の記事を参照
1/3 厚生労働省 「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」(パンフレット) ・「労働条件の引下げや解雇をやむを得ず検討しなければならない場合であっても守らなければならない法令の概要や,労務管理上参考となる裁判例の主なものを取りまとめました。」と趣旨が説明されている。
・項目:
@解雇・雇い止め,A労働条件の変更,B賃金の支払い,C個別労働紛争の解決


→このパンフレットは2008年12月18日,22日に公表された。
→2008年には前半の好景気と後半の不景気の両極が存在したが,日本の福祉行政は,景気がよくても悪くてもやり方に変化はなかった。国民の多くが求めている社会のありようは,政府が既定事実のようにいう「中福祉中負担」なのだろうか。「中」の基準はあいまいで,「中福祉中負担」と言いながら,結局いつまでたっても実態は「低福祉高負担」にとどまるのではないだろうか。ならば,「高福祉高負担」の選択肢はないのだろうか。最近,ある雑誌に掲載されていた元駐スウェーデン大使の方の論文『スウェーデン型社会という解答』を読んでその可能性はゼロではないと思った。また,アメリカの「低福祉低負担」の厳しさ,過酷さは適正に評価されなければならない。(筆者)


(本パンフレットに関連して)
12/11新規学卒者の採用内定取消しへの対応について,12/7一時的な生活資金に困ったとき,「生活福祉資金貸付制度」が利用できる),12/1「採用内定取消し」の現状および推移の記事を参照

(「中福祉中負担」に関して)
12/29「麻生内閣総理大臣記者会見(2009年度予算編成等)」10/28麻生首相が「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」と述べたが,国民がいつ合意した?),の記事を参照
1/2 内閣府 法的トラブル,まずは「法テラス」へ 「法テラス」に関する政府の広報
「借金や離婚,相続,犯罪の被害などの法的トラブルに遭ったときは,専門家に相談してきちんと解決したいものです。しかし,「どこに相談したらいいか分からない」「身近に弁護士がいない」「弁護士費用が払えない」といった理由から,相談できずにいる人も少なくありません。そこで,全国どこでも,だれでも,必要な法的支援を受けられるよう設立されたのが
「日本司法支援センター(愛称「法テラス」)」です。皆さんの法的トラブルを解決するため,法テラスでは,さまざまな法的サービスを提供しています。」
「相談窓口」の一覧(やまだ塾トップページからの転載)
急いで相談したい」ときの相談窓口
いきる・ささえる相談窓口(都道府県別)・・総合
法テラス/警察/ADR/暴力追放/多重債務・・法律
いのちの電話 / 心の健康相談・・自殺

法務省人権擁護相談・・人権
いじめ,虐待,消費者/小児救急/子育て/外国人

→「相談窓口」に関する情報・活用は,福祉専門職の有効な知識・技術となる。(筆者)

(最近取り上げた関連事項)
12/19多重債務相談窓口,12/11新規学卒者の採用内定取消しへの対応について,11/7「改正暴力団対策法」と「暴力追放運動推進センター」の記事を参照
2009年
1/1
総務省 「丑(うし)年生まれ」と「新成人」の人口推計(総務省)
〜2009年1月1日現在〜
@丑(うし)年生まれの人口は1082万人
  ・男性は526万人,女性は556万人
  ・十二支の中では第3位
  ・1949年(昭和24年)生まれが最多
A新成人(昭和63年生まれ)人口は133万人
  ・男性は68万人,女性は65万人
  ・減少を続ける新成人人口

→2008年12月31日に,厚生労働省は「2008年 人口動態統計の年間推計」を明らかにした。それによれば,2008年に国内で死亡した日本人は114万3000人で1947年以降最多となり,国内で出生した赤ちゃんは109万2000人で,自然増加数はマイナス5万1000人となった。本格的な「人口減時代」が到来したと分析されている。少子高齢・人口減少社会は到来したが,危機にある介護・福祉分野の環境が早期に好転する状況にはなく,厳しさはさらに続くものと予想される。介護・福祉の分野を担う人材に関しては,2007年8月に「福祉人材確保指針」が改正され,社会福祉士・介護福祉士法が2007年12月に改正され(精神保健福祉士法の改正案は2009年通常国会に提出予定),2008年6月には「介護従事者処遇改善法」が制定されている。しかし,福祉専門職のありようが,このような小手先のことで改善するとは思えず,根本から立て直さなければならない時期がいずれ到来すると考えている。
→3福祉士国家試験受験者は,何としても第21回・第11回で合格してほしい。2009年度以降の受験対策は白紙である。試験までの残された時間を有効に活用していただきたい。直前対策の次回掲載は1/4を予定している。(筆者)


(3福祉士国家試験関して)
→●2008年12/27「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の今後の在り方について」の記事を参照

(3福祉士資格制度の見直しに関して)
→■「今日の一問」(問題96. 2007年の「改正社会福祉士・介護福祉士法」について述べよ。」(トップページに掲載)
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
「精神保健福祉士の資格制度の見直し」

(福祉専門職の現状に関して)
2008年12/26「3福祉士の現況把握調査結果」の記事を参照
→■「福祉専門職の現状」