福祉行政の最新情報(2006.4.1)−11
2009年4月1日〜2009年7月31日
日付 関係省庁等 項 目 ポイン
7/31 法務省 「民法の成年年齢の引下げについての最終報告書」(法制審議会民法成年年齢部会)
〜民法の成人年齢を20歳から18歳に引き下げる〜
・筆者は,「国民投票法」を無責任の典型とも言える元首相の「負の遺産」と捉えている。18歳以上に投票権を与えた憲法改正のための「国民投票法」の付則で,成人年齢,選挙権年齢などにも引き下げの検討を求めたことを受けて2008年3月に法制審議会民法成年年齢部会が設置された。
・部会は,7月29日に,選挙権年齢の18歳引き下げを前提に,「成年年齢を18歳に引き下げるのが適当」とする最終報告書を提出した。

<報告書のポイント>
@選挙権年齢を18歳にするのであれば,成人年齢も引き下げるのが適当である。
A18歳に達した者が,社会・経済的に独立した主体として位置づけられ有意義である。
B18・19歳が悪質業者から被害を受ける危険があるので,消費者教育の充実が必要である。
C婚姻年齢は男女とも18歳とすべきである。
D直ちに引き下げるのではなく,関係施策の効果を踏まえて,法改正の時期を国会の判断に委ねる。

→世界187の国・地域のうち141か国が成年年齢18歳以下を採用しているという認識は大切である。同時に,日本では,成人年齢に関して308本の法律・政省令がかかわっているので,国民的な議論が必要である。308本の法律の見直し・検討がほとんど進んでいない現状において,部会は「年齢引き下げを適当と」した。これは,国民投票法で2010年の施行までに検討することされていたための帳尻合わせをしたと考えられる。この後,2009年9月頃の法制審議会で承認され,法務大臣に答申されるとみられている。
→筆者は,「裁判員制度」や「改正臓器移植法」にも通じると思っているが,最近は「国民不在」で議論が進められる傾向がより強くなってきているように思う。今後,成人年齢の引き下げの適用法規が広がっていくことが予想される。例えば,これまで難関と言われていた年金保険制度の対象年齢の引き下げも可能となる。「年齢引き下げによって,経済的な利益を受けるのは誰か?」の具体的な答えが知りたくなる。(筆者)


「民法の成年年齢に関する世論調査」(2008年7月)
7/30 厚生労働省・労働政策研究・研修機構 「介護分野における労働者の確保等に関する研究報告書」
・厚生労働省からの要請を受け,介護労働者の確保・定着のために有効な雇用管理改善措置について,(財)介護労働安定センター「平成19年度介護労働実態調査」等の事業所調査,労働者調査の個票データ等の分析をもとに検証された。
<ポイント>
@介護労働者の雇用確保・定着には,「介護労働の特性(職務の特性と従業者自身の特性)」を総合的に考慮し,対策をとることが必要
A雇用管理の適切な見直し・充実は,介護労働者の確保・定着につながる
B賃金・労働時間等の労働条件の改善も介護労働者の確保・定着に有効
Cマネジメントや管理職のあり方は,「人材の質」「働きやすさ」の向上の点でも重要
D雇用管理面における改善は,人材の確保・定着のみならず,サービスの質の向上,事業経営の改善にも貢献する

<6月9日記事の再掲>
→2007年8月の「新福祉人材確保指針」および2008年6月の「介護従事者処遇改善法」を受け,「福祉人材確保対策」が予算化された。福祉・介護従事者の厚労省発表数値は,2005年現在で約328万人(うち高齢者分野の従事者が約197万人,介護保険サービス従事者が約112万人)である。2014年までに40〜60万人の介護職員の確保が必要とする推計に基づく人材確保の施策である。(筆者)

→民主党の総選挙用マニフェストに「介護労働者の待遇改善」に関する項目があったので紹介する。「介護労働者の待遇改善のため,認定事業者に対する介護報酬を加算し,介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる。また,介護サービスの不足を軽減するために,「療養病床削減計画」を当面凍結し,必要な病床数を確保する。所要額は8000億円程度。」とのことである。7/31に自民党のマニフェストが正式発表されるので,正式発表されたら比較したい。(筆者)

6/9予算から見た「福祉人材確保対策」(まとめ) )5/30「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」,5/27「2008年改正介護保険法の施行」(事業者向け)の記事を参照

「福祉専門職の現状(2004年〜)」
7/29 厚生労働省 厚生労働省に「医療・介護改革調整会議」が設置された


<近代組織類型の一つとして,ドイツの社会学者であるマックス・ヴェーバーが取り上げた「官僚組織」の特徴>
@権限の原則
A一元的で明確な指揮命令系統
B文書主義
C高度に専門化した活動
D職務への専念
E一般的な職務に基づく職務遂行

        
これらの特徴は,(1)専門性(分化),(2)集権性(ピラミッド化),(3)公式性(文書化)の3つにまとめられ,官僚化の度合いを知る手がかりとなっている。
→国民の関心が政局に集まっている。その間に,厚生労働省の官僚組織(7/28付)は地固めされ,次の局面への準備が着々と整ってきているように思う。
→現在,厚生労働省において,医療と介護の担当は医政局,保険局,老健局に分かれている。筆者は,
「医療・介護改革調整会議」の設置は,自助と互助を柱にした「地域包括ケア」をキーワードにして,介護保険と医療保険の一体化を見据えた対応ではないかと考えている。2012年は,診療報酬と介護報酬の改正の時期であり,一本化の可能性があると思う(厚労省大臣は長期的な課題の一つとしているが)
→政局に関して,今回の総選挙を「政権選択の選挙」と一部で言われている。筆者は,それほどたいそうなものではなく,「現時点で,どちらの政党がよりましかという程度の選択の選挙」だと思っている。注目されていた民主党のマニフェストが公開された。社会保障の項目に限って言えば,年金制度改革を4年先送りしたことにはがっかりしたと同時に,巨大な厚生労働省の官僚組織を御せるだけの力をもつまでには相当の時間がかかるのではないかと思った。いずれの政党が主導権をとるにしても,一政党が大勝しないことが国民の利益につながると考えている。大勝すると,国会で議論をせずに多数決で決してしまう(強行採決を常套手段とする)ことは,小泉政権で学習した。(筆者)


→●6/17
「地域包括ケア研究会 報告書 (今後の検討のための論点整理)」〜2012年の「介護保険制度」の見直しに向けた厚生労働省の考え方〜,4/8「厚生労働行政の在り方に関する懇談会(最終報告)」,3/9「2009年度の介護報酬改正」の記事を参照
7/28 厚生労働省 「2008年度男女雇用機会均等法の施行状況」


<男女雇用機会均等法の経過>
・1972年:「勤労婦人福祉法」制定・施行
・1975年:国連の「国際婦人年」
・1979年:「女性差別撤廃条約」国連採択
・1985年:「女子差別撤廃条約」の批准のために,「勤労婦人福祉法」を改正して「男女雇用機会均等法」に改称⇒肝心な部分については,差別の「禁止」ではなく「努力義務」で,内容的にも,不十分で実効性に欠ける法律であった
・1985年:日本が「女子差別撤廃条約」批准
・1997年:1回目の改正(1999年4月施行)⇒すべての場面の差別を禁止すると同時に,積極的な男女格差を是正するための措置(ポジティブアクション)やセクシュアル・ハラスメントを防止する事業主の配慮義務を定めた法律となった
・2006年:2回目の改正(2007年4月施行)⇒「2006年の通常国会で成立した法律」

・2007年11月30日:「男女雇用機会均等対策基本方針」制定⇒男女雇用機会均等法第4条に基づき策定される方針で,2007年度から2011年度までの5年間について,男女雇用機会均等対策における政府の施策の基本となるべき事項が定められている

【1】都道府県労働局雇用均等室への相談
@均等法に関する相談は約2万5千件
A労働者からの相談は引き続き増加し,全体の半数以上
Bセクシュアルハラスメントに関するものが最多で,続いて婚姻、妊娠・出産等を理由とした不利益取扱い,母性健康管理に関するものが多い
【2】紛争解決の援助
(1)都道府県労働局長による紛争解決の援助(均等法第17条)
@均等法第17条に基づく紛争解決の援助の申立件数は引き続き増加し676件
Aセクシュアルハラスメントと妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いに関する事案が全体の9割以上を占める
B援助を終了した事案の7割超が解決
(2)機会均等調停会議による調停(均等法第18条)
@調停申請受理件数も引き続き増加し69件
Aセクシュアルハラスメントに関するものが最多で,続いて妊娠・出産等を理由とした不利益取扱いに関するものが多い
【3】都道府県労働局雇用均等室における指導
@是正指導件数は約1万4千件

男女雇用機会均等法の理解が進まない。その最大の理由は,スタート段階で,左記の通り条約批准のための形づくりの法整備であり,国民の理解を置いてきぼりにしたことにある。そうであったとしても,その後改正が繰り返されているのに理解が進んでいないのはどうしてであろう。権利・義務からは十分であるが,心に訴えかけるという点において,周知や啓蒙の仕方に一工夫足りないように思える。例えば,セクシュアルハラスメントのリーフレットを見て,皆さんはどう思われますか。
→以前,NHKの解説番組で,アメリカ人会社経営者の男女平等に関する考え方を紹介していたことがあった。自分には娘が2人いる。成長したときに,恋人や配偶者から娘たちが大切に扱われてほしいと願っている。将来,2人が就職したときには,やはり職場で大切に扱われてほしいし,セクシュアルハラスメントのない職場で能力を発揮してほしい。そういう社会にしなければならないと思っている。そのため従業員には,会社や職場で何ができるのかを考えて行動してもらいたいと思っている,という内容であったと思う(かなり不正確であるが)。素直に聞くことができた。DVや職場のセクシュアルハラスメントの理解を進めるうえでの参考にならないだろうか。(筆者)


2/24男女雇用機会均等法・パートタイム労働法における紛争解決援助制度(パンフレット / リーフレット))の記事を参照

「2006年の通常国会で成立した法律」(改正男女雇用機会均等法)
「雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために」(厚生労働省)
7/27 厚生労働省 「高額医療・高額介護合算制度」
〜医療と介護の両方のサービスを利用している世帯の負担を軽減する制度〜
高額医療・高額介護合算療養費制度は,2008年度より開始され,2009年8月1日より支給申請受付が開始される(初年度(2008年4月〜2009年7月)については,特例的な取扱いがある)。
・1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)にかかった医療保険と介護保険の自己負担を合計し,基準額を超えた場合に,その超えた金額を支給する制度である。基準額は世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されている。
1年間で,夫が医療保険で30万円,妻が介護保険で30万円を支払った場合(世帯での年間の負担が60万円)の自己負担額は,(従来)60万円が(変更後)31万円となり,「被保険者の申請」に基づいて29万円が高額介護合算療養費として後日支給される

→マスコミなどに取り上げられることも少なく,一般の認知度も低い制度である。「申請」に基づき支給される制度であり,制度を知らない高齢者世帯の「もらい忘れ」の可能性が指摘されている。
→地域住民に対する福祉制度の周知において,公報による通知ぐらいで済ますという「お役所仕事」ではなく,対象者ごとに的確な公報活動をしている地方自治体はどれほどあるのだろうか
(筆者)

「高額医療・高額介護合算療養費制度」
7/25 法務省 「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方に関する省内勉強会 最終報告書」 ・公訴時効期間は,2004年の改正刑事訴訟法で延長された(死刑:15年→25年,無期:10年→15年など)。その後,被害者側の声(全国犯罪被害者の会,遺族の会など),国会での指摘,海外状況等を受けて,法務省内の勉強会で検討され,2009年7月15日に最終報告書が公表された。
<最終報告書のポイント(見直しの方向性)>
@公訴時効の廃止
(最高刑が死刑の殺人・強盗殺人罪など)
A公訴時効期間の延長(無期懲役以下の強姦致死や傷害致死,危険運転致死罪など)

→時効制度継続の根拠の一つとされてきた「処罰感情の希薄化」は,特に「生命侵害犯」に対しては現在の国民の意識とは大きくかけ離れているという判断である。殺人事件で時効になるのは毎年30〜70件とされている。時効廃止には,新たな冤罪を引き起こす可能性などを理由として弁護士会を中心に反対意見がある。今後は,法制審議会や国会で議論される。
→以前に,日本の検視,検案,病理解剖,行政解剖・承諾解剖,司法解剖が,制度としてうまく機能していないのではないかという指摘があることを記事にした。『チーム・バチスタの栄光』の海堂尊さんが提唱されているAiが,全国で初めて奈良県で導入されたと2008年10月に新聞報道されていた。公訴時効問題と同様に,遺体解剖率2%という『死因不明社会』への対策も重要と言われている。(筆者)


3/13「2009年度 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」,1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?)の記事を参照
7/24 総務省 「行政相談委員制度の在り方に関する研究会報告書」 行政相談委員制度は,1961年に発足し,1966年に法制化された。行政相談員は,行政相談委員法に基づき,総務大臣から委嘱された民間ボランティア(無報酬)で,全国で約5,000人が市町村に配置され,国の行政機関などが行う業務の苦情相談を受け付ける。相談受付件数は,毎年10万件を超えており,福祉かい行政関連の相談も多いとされる。受付けた相談のうち,内容が複雑なものは総務省の出先機関である管区行政評価局,行政評価事務所に連絡される。
・報告書のポイント
@地方公共団体,各種相談機関・委員などとの連携・協力の見直し
A苦情処理などに関する制度・仕組みの見直し
B委嘱期間・身分など活動基盤に関する制度・仕組みの見直し


→行政相談委員は,民生委員,市町村の市政相談員・市民相談員・高齢者総合相談員,社会福祉協議会の心配ごと相談員などを兼務している人が多いといわれる。報告書では,その兼務は効果的だとして,兼務推進を求めている。
→筆者は,従来から福祉専門職には分野横断的に広範な苦情等を受け付ける行政相談委員のような特性をもつことをイメージし,福祉関係の「相談機関・窓口」をガイドできることが「福祉専門職」が社会的に認知されるための最低条件であると考えてきた。社会福祉士の新カリキュラムでは,どの領域でも応用がきく「ジェネラリスト・ソーシャルワーク」が強調されている。3福祉士の新国家試験においては,より生活に密着した幅広い実践的,実務的な知識が求められる方向にあると考えている。(筆者)
7/23 法務省 「外国人登録者数」(2008年末現在) 外国人登録者数:221万7426人(増加は1962年以降47年連続となり過去最高)
日本人口に占める割合:1.74%(過去最高)
・国籍:@中国(台湾・香港を含む,29.6%),A韓国・朝鮮,Bブラジル,Cフィリピン,Dペルー,Eアメリカの順で多い。
・都道府県:@東京都(18.1%),A愛知県,B大阪府,C神奈川県の順で多く,上位10都府県70.7%を占めている。
・在留資格:「@一般永住者(22.2%),A特別永住者(19.0%),B定住者(11.7%)の順で多く,「技術」(2.4%)「技能」(1.2%)もそれぞれ21.6%,17.0%増加している。

2009年7月8日に「改正入国管理法」が成立した。今回の改正において,在留管理制度が新しくなり,従来の「外国人登録証」を廃止して「在留カード」を交付し,在留期間の上限を3年から5年にすることなどが内容となっている。
→筆者は,今後さらに優秀な外国の人材に集まってもらうためには,その国の対日感情を正確に理解(歴史的な経過を含めて)しておくことが重要であると思う。看護・介護分野においても,外国人看護師・介護士に門戸が開かれた。日本人に対するイメージのいい国も悪い国もある。すべての国と友好的であるべきであるが,「相手国の対日感情の現実」を知らずに対応するのは「愚」であろう。国民の多くは,「その現実」を知らない。
→このことは「観光庁」においても無縁ではないと思う。4割が年収100万円未満であるという専業の通訳案内士の待遇放置,無資格ガイドの野放し,という現状があるといわれる。「民間外交官試験」とも言われる難関の通訳案内士試験をパスした有能な通訳案内士を粗末に扱っているのは「国土交通省」であり,国家試験をパスした「介護福祉士」を粗末に扱っているのは「厚生労働省」である。日本の官僚組織の考えのなかに共通するものがあるように思えてならない。「やっと」の感はあるが,「2020年の訪日外国人旅行者2000万人時代」に対応させるためとして,2009年6月26日に「通訳案内士のあり方に関する検討会」を発足させている。(筆者)
7/22 厚生労働省 基礎年金国庫負担割合を1/3から1/2に引き上げる「改正国民年金法」が今国会で成立した →基礎年金国庫負担割合の引き上げは,2004年の年金制度改革以来の重要課題であり,政府・与党は曲りなりにも公約を果たしたことになるが,その財源確保策は惨憺たるものである。年金改革は,税制の抜本改革による消費税等の「安定財源」の確保が前提となる。 しかし,今回の改正年金法では,2009〜2010年度は財政投融資特別会計(いわゆる「埋蔵金」)で賄うとされているだけで,2011度以降の財源は確保されていない。また,最低限保証しているはずの厚生年金の給付水準「現役世代の50%」が危うくなってきている(6月29日の記事を参照)。「百年安心」という魅惑的なキャッチフレーズを国は未だに使っているが,民間企業がその言葉を使っていたらどうなっていただろうか。
→6月末に民主党が年金改革案を発表した。衆院選のマニフェストに盛り込まれるといわれている。会社員の厚生年金,公務員の共済年金,自営業者らの国民年金の一元化を図り,所得に応じて支払う保険料で賄う「所得比例年金」と消費税を財源とする「最低保障年金」で構成される年金制度改革,とのことである。国民が求めているのは,誇張されたメリットではなく正確なデメリットについての情報と,強行採決でなくきちんとした国会での審議である。(筆者)


6/29「図表で見る年金2009」/原文(OECD)〜日本はイギリスに次いで2番目に低い水準〜),2/26「2009年の公的年金財政検証」の評価は?の記事を参照

「2004年の年金制度改革」
7/21 厚生労働省 「2008年 簡易生命表」
〜男性:79.29歳,女性:86.05歳〜
・人口動態統計(厚生労働省)およ10月1日現在推計人口(総務省統計局)を基に,厚生労働省大臣官房統計情報部が「簡易生命表」を毎年作成し発表する。一方,国勢調査の確定人口を基に5年毎に作成される確定版の生命表は「完全生命表」と呼ばれる。
平均寿命は,男性:79.29歳,女性:86.05歳となり,過去最高であった。男性は世界4位(2007年は3位),女性は世界1位(24年連続)である
・平均寿命が伸びた理由(厚生労働省の分析):@医療水準の向上により三大死因の死亡率が下がったこと,A交通事故の死亡者数が減少したこと
・将来死亡する原因として最も可能性の高いのは,男女とも「がん」である。(男性29.98%,女性20.49%)
・3大死因(がん,心臓病,脳卒中)による死亡確率は,男性55.14%,女性52.36%である。


→政権交代の可能性のある局面に当たって,「福祉専門職」であるあなたは,「日本の最大の問題は何か」という問いかけに何と答えますか。筆者は,「人口問題」と答える。現与党政権が先送りし続けてきた「人口問題」の行く末は,「若者の老後生活の崩壊」であり,これは「日本の崩壊」を意味すると考えている。「日本の最大の問題は何か」にどう答えているかが,今後明らかにされる総選挙用政党マニフェストのチェックポイントである。(筆者)

6/4「2009年版 高齢社会白書」の記事を参照
7/17 厚生労働省 「がん検診」および「女性特有のがん検診推進事業」 がんは日本人の死亡原因の第1位であり,がんによる死亡者数は年間30万人を超えている。
がん検診は,がんの予防及び早期発見のために重要である。がん検診については,健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業として市町村が実施している。厚生労働省は,「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(2008年3月31日厚生労働省健康局長通知)に基づく検診を推進している。
女性特有のがん検診の受診率が低いことから,2009年度から市区町村が実施するがん検診において,一定の年齢に達した女性に対し,「子宮頸がん検診(20歳以上)および乳がん検診(40歳以上)」の無料クーポン券を配布するとともに,検診手帳を交付する(健康増進法に基づく40歳以上に配布される健康手帳とは異なるもの)ことにより,検診受診率の向上を図ることとなった。事業の基準日は2009年6月30日であり,実施主体は市町村・特別区である。

→「妙案」だと思ったが,実は諸外国で実績のある施策で,「物まね」らしい(Q&Aによる)。2007年施行の「がん対策基本法」に基づく「がん対策推進基本計画」では5年以内に50%の受診率にすることを目標にしている。2007年の日本の「子宮頸がんと乳がん」の受診率は約20%である(先進国では70〜80%といわれる)。時間だけが経過し,お尻に火がついて,お得意の外国の物まねで辻褄あわせをする目論みだと思った。「女性特有のがん検診推進事業」は,本予算ではなく補正予算(216億円)に計上されていたのには驚いたが,とにかく2009年6月24日の「第10回がん対策推進協議会」で議論され,実施が決定された。与党の説明によれば,イギリスでは,1988年から女性個人に向けて受診を通知することなどの受診率向上のための施策が展開され,飛躍的に成果を上げた(受診率の向上と死亡率の低下)そうである。「個人への通知」が受診率向上に有効だということぐらい,外国の例を出さなくても,素人考えでも分かる。
→筆者は,これまで受診率が一向に上がらなかった責任の所在は,第一義的には国(厚生労働省)であるが,地域住民に対して公報による通知ぐらいで済ましてきた地方自治体のお役所仕事にもあると思っている。
→2009年7月9日に,厚生労働大臣を本部長とする「がん検診50%推進本部」が新たに設置された。付け焼刃の手本のような動きである。(筆者)


3/27「市町村がん検診事業の充実強化について」(通知)の記事を参照

「がんの死亡,罹患,生存率などについての医療関係者向け統計」(国立がんセンターがん情報サービス)
7/16 厚生労働省 「新基準の介護認定」において「非該当(介護不要)」の認定が倍増した(ニ次判定結果の要介護度区分の比較(新規申請者):P.16 ・左記調査結果は,2009年7月13日に開催された「第2回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」において厚生労働省から報告された。
(調査結果のポイント)
4〜5月時点で,全国約6万人が要介護認定を新規に申請した。
@新基準で「非該当」(自律,介護不要)と判定された者が5.0%(前年2.4%)であった。
A「要支援1」は23.0%(前年比4.0%増)であった。
B「要介護1」は23.4%,「要介護4,5」は14.4%となり,それぞれ1.6〜1.7%増加した。

<4月21日記事の再掲>
→スタートした直後に問題が噴出する。同じようなことが昨年4月の「後期高齢者医療制度」にもあった。今回,検討結果が出るまでの間,旧認定を継続させるという経過措置が直ちに発表された。軽々な発言は慎まなければならないと思うが,行政側の軽度誘導の意図についての疑念にも答えることを含めて,検証の結果を,国としてきちんと説明する責任があると思う。「要介護認定」は,介護保険制度の根幹をなす事柄である。検討会でも,意見は割れるはずである。今後も,検討会を注視していく。(筆者)

→介護関係団体の指摘していた通りの調査結果となった。6月18日の記事でコメントしたように,厚生労働省では,すでに2012年の介護保険制度改正への検討が始まっている。筆者は,介護保険制度は崩壊の危機にあると認識しており,2009年4月からの新認定基準では介護コストの軽減が視野に入っていたと受け止めるのが自然であると思う。今後さらに介護サービスの抑制が進むと考えられる。本検討会の意義は形作りと思わざるを得ない。
→福祉専門職であるならば,次期政権において,仮に「介護保険制度」を含む社会福祉制度に変革があるときには,「専門職」にふさわしい知識に基づいて自身の意見を組み立て,各人ができる範囲で政策に参画すべきである。例えば,行政の意見公募(パブリックコメント)などの機会があれば,積極的に意見を提出することは,「福祉専門職」に課されたの重要な使命であると考える。
→ネクスト内閣(http://www.dpj.or.jp/governance/gov/
next_cabinet.html)の社会福祉にかかわる大臣を知っていますか。政権が変われば,政策も変わり,社会福祉制度の内容も変わる。(筆者)


6/17「地域包括ケア研究会 報告書 (今後の検討のための論点整理)」〜2012年の「介護保険制度」の見直しに向けた厚生労働省の考え方〜),5/21認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版),4/21「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」,3/9「2009年度の介護報酬改正」の記事を参照
7/15 厚生労働省 2008年度の児童相談所における児童虐待相談件数および出頭要求等
(1)2008年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は42,662件(前年度比2023件増)であった。統計を取り始めて18年間で38倍とのことである。前年より件数が増加した自治体は,神奈川県(2523件を,1.5倍),宮崎県(287件,1.47倍),千葉県(2339件,1.45倍)などである。
(2)2008年4月より,改正児童福祉法により,虐待の恐れのある家庭に児童相談所が解錠して立ち入るのを可能にした「強制立ち入り調査」(臨検)が施行後1年で2件であった
@出頭要求28ケース(対象児童数延べ48人)・・・「ガスも止まり部屋もごみだらけ」など養育放棄の家庭が多いとされる
A再出頭要求3ケース(対象児童数延べ5人)
B臨検・捜索2ケース(対象児童数延べ4人)

→掘り起こしによって,児童相談所虐待対応件数が増加してきたのは当然であるが,児童相談所が関与しているにもかかわらず悲劇が起きているなか,法改正・施行後1年間での臨検がわずか2件であったことは問題である。児童相談所の職員数の不足とともに,現場(児童相談所)が戸惑っている状況も報道されている。筆者は,憲法35条の例外規定まで設けて,児童相談所に臨検の強権を付与した「臨検制度」を設計から見直す必要があると思う。そもそも児童相談所は「支援・援助」に軸足があり,そこに「強権発動」(臨検)を持ち込めば,現場が苦悩するのは当然であり,当初から指摘されていたことである。機能させるように制度の仕組み(設計)を見直す必要がある。また,事あるごとに児童相談所の責任に焦点を当てて,センセーショナルに報道する一部のマスコミの姿勢は,国民・地域住民への啓蒙の大きな障害となっていると思う。児童虐待は,国民・地域住民の問題である。(筆者)

7/6「2009年版 青少年の現状と施策(青少年白書)」(概要 / 本文))の記事を参照
7/14 厚生労働省 第22回介護福祉士国家試験の施行について
試験委員の年度別比較一覧


「第22回社会福祉士および第12回精神保健福祉士の施行について」の厚生労働省からの発表時期は,例年通りであれば8月下旬である。
→出題傾向の判断材料としている試験委員の公表があったので,来週から模擬問題を掲載する予定である。
→第24回国家試験から新制度となり,テキストも受験対策もすべて新規になる。現行制度で受験できる人は大きなチャンスをもらっていることを忘れず,筆記試験の受験勉強に取り組んでいただきたい。また,実技試験は緊張のあまり失敗する人がいるので,自分の特性を考えて,対策を立てるべきである。(筆者)


6/30「第22回社会福祉士国家試験および第12回精神保健福祉士国家試験の新出題基準・新合格基準」 / 「第24回介護福祉士の新出題基準が発表され,試験科目は11科目となる(現時点では新出題数や新合格基準は発表されていない)」の記事を参照
7/13 厚生労働省 「改正保助看法」および「改正看護師等人材確保法」成立に対する日本看護協会の見解
〜2010年4月施行〜


「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」委員名簿 (敬称略
木村晴恵 日本介護福祉士会副会長
木村光江 首都大学東京都市教養学部法学系学系長
島崎謙治 政策研究大学院教授
高階恵美子 日本看護協会常任理事
田中涼子 高齢者福祉総合施設ももやま副園長
樋口範雄 東京大学大学院法学政治学研究科教授
桝田和平 老施協総研介護委員長
三上裕司 日本医師会常任理事


・看護師の国家試験受験資格に「大卒者」を明記する改正保健師助産師看護師法(保助看法)と新人看護職の臨床研修や職場復帰のための研修を努力義務として制度化した改正看護師等人材確保促進法(看護師等人材確保法)が2009年7月9日衆院本会議で可決,成立した。2010年4月に施行される。
・法改正のポイント
@看護師の国家試験の受験資格の1番目に「大学」を明記された
A保健師・助産師の教育年限が6か月以上から「1年以上」に変更された
B卒後臨床研修の「努力義務化」された
・日本看護協会は,「看護の新たな時代の幕開けとなる大きな一歩」との見解を出した。

→実は,コメントの仕方に迷って何度もボツにしてきた事柄がある。それは,左記のメンバーで,6月10日に開催され,紛糾したといわれる「第2回特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」における議事内容である。第2回検討会の結果は,2010年度から「介護福祉士」に医療行為である「喀痰吸引と経管栄養」の一部を「モデル事業」として認めてやろうというものである(様子を見て範囲を拡大していく)。
→時期を逸してはいけないと思い,異論があることを承知で,現時点の筆者の意見(結論)を申し上げる。筆者は,厚生労働省の本質論を避けたその場しのぎで場当たり的な提案に同調していると思える「日本介護福祉士会」の姿勢に対して,結果的に,介護福祉士の専門性を著しく傷つけ,禍根を残すものと考えている。また,筆者は,「医療の範囲」の問題として真正面から取り上げるべきという「日本医師会」の主張に賛同している(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090610_1.pdf)。
最後に,「モデル事業」として2010年度から実施された場合,「介護福祉士」の専門性について,以下の2つの危険性があると考え,「介護福祉士」の危機と捉えている。
@「介護の専門職」でありながら,「利用者のため」という大義名分によって,「医療の専門職である看護師」からの雑用や使いっぱしりのような仕事がなし崩し的に拡大していく危険性がある
A違法行為を黙認するという「モデル事業」で事故が起こった場合には,「介護の専門職である介護福祉士」が「医療事故の当事者」として罪に問われる(刑事訴追を受ける)危険性がある        (筆者)

5/18
看護師保健師助産師国家試験の受験資格
〜医療専門職のことを知る〜)
,2/12「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」が開催されるの記事を参照

(医療行為でない行為)
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について
7/10 「経済危機に立ち向かう包摂的社会政策を」(日本学術会議提言)
〜社会的包摂を目指した社会政策・経済政策を構想することが先進諸国における共通課題となっている〜
・日本学術会議は2009年7月2日,「提言 経済危機に立ち向かう包摂的社会政策のために」を発表した。日本を含む先進諸国でワーキングプアといった「社会的排除」の問題が浮上していると指摘し,当面の問題に対処する緊急対策にとどまらない包摂的社会政策が必要としている。
・提言の項目
@社会政策の総合的な立案のための調査審議機関の設置
A政策立案の情報インフラとなる統計の整備
B行政機関のより緊密な連携
C包摂的社会政策の焦点となる具体的な留意点


→「社会的排除・包摂」は,社会政策・社会学研究分野で最も注目されている概念であり,現代社会のキーワードといわれている。社会的に排除された状況に置かれた人びとに対して,その状況から離脱する政策や取り組みを意味している。1997年,イギリスのブレア首相は,「社会的包摂」のための機関として,内閣直属の「社会的排除対策室(SEU;Social Exclusion Unit)」を設置した。「社会的排除」に対して,就業支援,経済支援(税制など),地域活動支援,健康支援などの包括的,横断的な対策が講じられてきた。EU(欧州連合)では,2000年のリスボンにおけるEU理事会において,2010年までに社会からの排除をなくすためのさまざまな行動計画を各国でつくることが同意されている。それに対して,日本では,未だに明確な貧困の基準がなく,実態調査も十分にされていないという現状であり,短期的で対症療法的な政策が優先されている。このまま放置していると,社会の階層化が進展し,福祉費用が増大して絶望的な状況に陥ると指摘されている。極めて,重大な局面を迎えており,イギリスやEUに学ばなければならないところは多いといわれている。
→なお,3福祉士の国家試験では,「社会的包摂」ではなく「ソーシャル・インクルージョン」として過去何度か出題されている。「社会的排除」と「社会的包摂」は対概念であるが,片方の概念である「ソーシャル・インクルージョン」というカタカナ英語だけを覚えることを求める教育や国家試験で良いのであろうかと思う。その結果,多くの福祉専門職は「社会的排除」という言葉すら知らない。これは100%「教育する側」と「国家試験を作る側」に起因する問題である。次は「ソーシャル・エクスクルージョン」というカタカナ英語で「社会的排除」を国家試験に出題するつもりか,と茶化したくなる。(筆者)


3/10「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果(2009年1月)」の記事を参照
7/9 「海の日(7月20日)は,『ソーシャルワーカーの日』」を知っていますか?(ソーシャルケアサービス従事者研究協議会のHPにリンクしています)
〜国民にSWの役割や重要性を働きかける日〜
・社会福祉関係の全国団体17団体で構成する「ソーシャルケアサービス従事者研究協議会」は,ソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士)の役割や重要性を国民に知ってもらう日として「ソーシャルワーカーの日」を2009年度から設定した。

→7月20日が目前に迫っているので,広報活動にやまだ塾も勝手に協力する。
→「やっと」の感はある。関係団体が協調し,ソーシャルワーカー(SW)の社会的認知度を向上させる活動に動き出したのはうれしい出来事である。多くの国民は,介護福祉士は知っているが,社会福祉士や精神保健福祉士については名前すら知らない。社会的認知度は,社会に対する貢献度に比例すると思う。まず,関係団体は自身のHPを国民の求めに合致するように見直し,国民から助かっている(役立っている)と言われるような情報を提供するHPに改訂すべきである。大々的な新聞広告も必要であるが,地道な活動が大切であると思う。あわせて,カタカナ英語をできるだけ使わずに,国民に受け入れやすい言葉に直していくことも大切である。また,国民に受け入れてもらえるための知恵と工夫を出す場合には,若い人の意見が取り入れられやすい環境を作ることも必要である。「海の日は(7月20日)は,『ソーシャルワーカーの日』を国民に浸透させましょう。(筆者)


(蛇足)
→上記協議会の説明では,ソーシャルワーカーは「日本では,国家資格の社会福祉士と精神保健福祉士のことをいいます」としている。筆者は「懐の浅いことを言うなあ。分かりづらいなあ」と思った。国家資格ではないが成果を上げ,かつ評価を受けている医療ソーシャルワーカーもいれば,福祉業務にかかわる行政職員もいる。社会福祉の相談援助の職場が少ないので介護職員になっている社会福祉士もいる。介護福祉士も介護支援専門員(ケアマネ)も相談援助を行っている。さらに,社会福祉士と精神保健福祉士の区分が判然としない状況になってきている。筆者は,「福祉専門職」=「ソーシャルワーカー」でいいと思っている。国民に分かりやすく説明できなければ,「社会的認知度の向上」はかなわない。(筆者)
7/8 厚生労働省 ■利用者および事業者双方が疑問を持っている「介護情報公表制度」を提言した有識者を知っていますか?

「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究事業」(シルバーサービス振興会)における「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会」の委員名簿 <2003年時点のもの>
(50音順,敬称略,◎印は委員長,○印は副委員長)
天本 宏  
医療法人天翁会理事長
岩淵 勝好  
産経新聞論説委員
◎ 大森 彌  
千葉大学法経学部教授
梶原 洋  
東京都福祉局総務部計画調整課課長
川越 雅弘  
日本医師会総合政策研究機構主席研究員
岸上 善徳  
愛知県高浜市福祉部長
木間 昭子  
国民生活センター研修生活研究部主任研究員
白澤 政和  
大阪市立大学大学院教授
菅原 弘子  
福祉自治体ユニット事務局長
高橋 紘士  
立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ福祉学科教授
田中 滋  
慶應義塾大学大学院教授
栃本 一三郎  
上智大学文学部教授
永田 久美子  
高齢者痴呆介護研究・研修東京センターサービス評価推進室室長
中原 登世子  
日本能率協会審査登録センター(JMQA)専任審査員
新津 ふみ子  
特定非営利活動法人メイアイヘルプユー代表
橋本 廸生  
横浜市立大学医学部教授
○ 樋口 恵子  
高齢社会をよくする女性の会代表
本田 純一  
中央大学法科大学院(開設準備室)教授
増田 時枝  
全国老人クラブ連合会評議員
・介護保険法の規定による「介護サービス情報の公表制度」(介護情報公表制度)は,介護サービスの質の向上や,利用者自らがサービス提供事業者を適切に選択できるシステムを構築するため2006年4月から実施されている。この制度では,介護サービス事業者は,利用者が適切な介護サービス事業者を選択するために必要な情報を,サービスの提供開始時および年1回,指定情報公表センターへの報告を義務づけられ ,指定調査機関による事業者への調査後に,指定情報公表センターはその情報を公表することとされている。
・左記の資料は2009年6月24日に開催された「全国「介護サービス情報の公表」制度担当者会議資料」である。
2009年度における情報公開手数料の全国平均は,3万4274円である。国庫補助事業では,「介護サービス情報の公表」制度推進事業として,普及啓発等を中心としたモデル調査事業を実施する予定とのことである。なお,2009年度の対象サービスは50種類,対象事業所は20万か所となっている

→左記表中の委員会の研究・提言(2004年3月の中間報告)を踏まえて,2005年の改正介護保険法で「介護情報公表制度」が義務化され,2006年度から9サービスを対象として施行された。制度施行後の悪評については,ここでは触れないが,福祉新聞(第2240号)は「HPアクセス数は低調」「事業者が負担した手数料など公表制度に投じられたお金に見合う効果があるとは言い難いのが現状だ」と指摘している。
→福祉専門職として,現在の制度等に疑問を持つ場合には,いったいどうしてこのような制度ができたのか,どのような識者がそれに関与したのか,といった根っこの部分を知ったうえで,その問題に対する自身の意見を組み立てる必要があると思う。根拠のない感情的な意見や行政発表・マスコミ報道の受け売りは避けなければならない。「専門職」への情報提供として,本カテゴリーでは,制度等のベースを作った委員会メンバーをこれまでにも掲載してきた。決して,メンバー個人の批判や非難を目的とするものではないことを理解していただきたい。(筆者)


(参考)
→■「介護保険サービスの質の評価に関する調査研究委員会」が設置されるまでの経緯(2003年全国介護保険担当課長会議資料)


1/18「介護サービス情報公表制度支援センター(シルバーサービス振興会)」の記事を参照
7/7 厚生労働省 「介護作業者の腰痛予防対策のチェックリストについて」
腰痛は,業務上疾病発生件数の約6割を占め,介護サービス職場を含む保健衛生業では約7割を占めている状況である社会福祉法第89条第1項の規定に基づく「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する指針」が2007年に改正され,腰痛対策等の健康管理対策の推進を図ることが掲げられた。 厚生労働省は,2008年5月に中央労働災害防止協会へチェックリストの作成を委託し,2009年4月に公表されたものである。

→海外では,介護作業において最もリスクの高いのは移乗介助とされ,機械化が進み,かつ効率偏重ではないといわれる。日本ではその危険性の認識がきわめて希薄であり,最近は「ボディメカニクス」というカタカナ言葉でいかにも科学的風に言い換えているが,一人の人手によって持ち上げたり,抱きかかえたりすることが当たり前に行われ,効率が優先されている。厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」(1994年)において,人力により持ち上げる重量は成人男性は体重の40%以下,女性は男性の60%位とするよう努めることと定められている。この基準を知っている介護職は少ないと思う。運営する側にとっては何かと都合のよくない基準であり,介護現場では周知されない。非常に重要な事柄であるが,介護福祉士国家試験でもこの数値が出題されたことはないと思う。また,介護福祉士の職能団体が今回のチェックリストをどう取り上げて活動するのかを,4月以降興味を持って見ていたが大きな動きはなかったように思う(見落としたのかもしれないが)。介護職の健康・安全は,最優先でなければならない。特に,腰痛は介護職の継続だけでなく,その後の人生の大きな負担となる。「チェックリストができましたよ」,で終わらせていい事柄ではない。介護作業の科学的な研究をさらに進める必要があると思う。(筆者)


5/30(■ 「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」の記事を参照のこと
7/6 内閣府 「2009年版 青少年の現状と施策(青少年白書)」(概要 / 本文
2008年のニートの数は64万人(前年比2万人増)であった。年齢層別では,15〜24歳がピーク時(2002 年)と比べ3万人減少しているが,25〜34歳は3万人増加した。社会的自立の遅れた青少年の問題が深刻化しているとしている。また,高校中退や不登校など,学校でのつまずきがニートにつながっていると指摘し,学校などのつながりがあるうちに,必要な支援や状況把握を行うことが必要としている。白書は「今回の調査結果からは,高等学校を中途退学したり,中学校段階において不登校状態にあった青少年の場合,様々な支援が必要とされているにもかかわらず,支援施設・機関の利用に結び付いていなかったり,施設・機関の利用がニート状態からの脱却に必ずしも繋がっていない現状がうかがわれます」と施策見直しの必要性に言及している
2007年度の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は,4万639件(過去最多で初めて4万件に達した)であった。過去5年間で約1.5倍に増加し,「児童虐待問題は社会全体で早急に解決すべき重要な課題だ」としている。相談内容は,@身体的虐待40.1%,Aネグレクト38.0%,B心理的虐待18.8%,C性的虐待3.2%であった。また,虐待者は,@実母62.4%,A実父22.6%の順であった。
青少年人口の割合は,1974年に50%を切り,その後も減少し続け,2008年10月1日現在,3806万人であり,、総人口(1億2769万人)の29.8%であった

→今回の青少年白書は,2009年7月3日に,小渕少子化担当大臣から,「ニート」をクローズアップさせて発表された。これは,2009年7月1日に成立したニート対策としての「子ども・若者育成支援推進法」(通称:ニート支援法)をアピールするためであると考えられる。
→「ニート対策法」については,法文等が明らかになった段階(政府提出法案名は「青少年総合対策推進法」であったが,民主党の意見を大幅に取り入れて「子ども・若者育成支援推進法」と名称変更され,内容も変更されている)で記事にする予定である。(筆者)
7/3 厚生労働省 「少子化対策統括本部」が7月1日に設置された


「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」構成員(敬称略)(順不同) 専門(やまだ塾記載)
岩男寿美子 慶應義塾大学名誉教授 社会心理
大熊由紀子 国際医療福祉大学教授 ソーシャルサービス
高山憲之 一橋大学教授 公共経済,経済政策
土居丈朗 慶應義塾大学准教授 公共経済
薬師寺泰蔵 慶應義塾大学客員教授 政治学
奥田碩(座長),浅野史郎,朝倉敏夫,テリー伊藤,松浦稔明
・「一元的かつ制度横断的な対策」をするために少子化対策統括本部が設置された。厚生労働審議官を本部長とする本部と総括審議官を事務局長とする事務局で構成される。事務局には「少子化対策推進室」が設置され,具体的な対策の検討や広報を行うとされる。

→2009年3月30日の「厚生労働行政の在り方に関する懇談会最終報告」に基づく「少子化対策統括本部」の設置である。「少子化対策統括本部」の設置に関して,筆者はいくつかの疑問をもっている。
@まず,厚生労働行政の在り方は国家的な関心事である。失礼な言い方になるが,左記の急遽に寄せ集められたメンバーで十分な議論もなくまとめられたと思われる最終報告は,尊重しなければならないが,実行・実施は柔軟であってもいいと思う。統括する新たな組織を作れば「少子化対策」が効率的に進むとはどうしても思えない。肥大化した厚生労働行政において,今求められているのは新しい組織を作ることより,組織の統廃合ではないかと思う。
Aまた,「厚生労働行政の在り方に関する懇談会最終報告」が提出されたのが3月30日であり,6月14日には文書偽造事件で村木厚子雇用均等・児童家庭局長が逮捕された。今回の「少子化対策統括本部」の総括副本部長は,雇用均等・児童家庭局長が担当し,逮捕がなければ村木厚子容疑者が就任するはずであったと思う。まるで,不祥事などはなかったかのように,新局長が置かれ,7月1日に「少子化対策統括本部」が設置された。筆者は,組織的な不正への関与が取りざたされている段階であれば,国民からの不信感を払拭することを優先すべきではないかと思う。厚生労働省改革の目玉として「少子化対策統括本部の設置」をアピールしたい気持ちは分かるが,今急いでやらなければならない事柄とは思えない。国民は,厚生労働省に限らず,行政全体に対して,「綱紀粛正」を最優先して行い,常に「クリーン」であってほしいと願っている。
Bさらに,「少子化対策の統括」に関して,国民が期待しているのは,厚生労働省内に限定したものではなく,省庁を超えたオールジャパンの国家的な少子化対策の統括である。
→疑問はあるが,せっかく設置された組織であり,成果が上がるように声援を送りたい。まず手始めとして,難問であるが,今マスコミでも取り上げられている「妊婦検診無料化」の地域格差の問題について,「少子化対策統括本部」がどれほどの存在感が示せるのかを注目している。(筆者)


6/26「“みんなの”少子化対策(概要)」(提言),6/16「障害者自立支援法」制定に正義はあったと信じたいが。),2/25厚生労働省改革の工程表/「厚生労働行政の在り方に関する懇談会最終報告」(概要/本文))2008年12/22「厚生労働行政の在り方に関する懇談会中間まとめ」,8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置されたの記事を参照のこと
7/2 厚生労働省 「2009年版 労働経済白書」

第170回臨時国会,2008年11月4日提出>
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」(労働者派遣法改正案)の提案理由

近年における労働者派遣事業をめぐる情勢にかんがみ,派遣労働者の雇用の安定その他の福祉の増進に資するようにするため,日雇労働者について労働者派遣を行うことを原則として禁止するとともに,派遣労働者の雇用の安定のための措置の充実を図る等,労働者派遣事業に関する制度の整備を行う必要がある。これが,この法律案を提出する理由である。

・「2009年版 労働経済白書」の正式名称は,「2009年版 労働経済の分析〜雇用の安定を基盤とした安心できる勤労者生活のために〜」である。
・「2009年版労働経済白書」は,「賃金,物価,雇用の動向と勤労者生活」を分析テーマにしている。白書は今般の急激な景気後退について,経済成長の成果を勤労者生活に行きわたらせなかった影響を指摘し,不安定就業層の正規化に取り組むとともに,「長期雇用システム」のもとで,すそ野の広い技術・技能の蓄積と人材育成を図ることで,経済の活性化や所得の底上げを実現していくべきだとしている。
・白書の構成
@第1章 労働経済の推移と特徴
A第2章 賃金,物価の動向と勤労者生活
B第3章 雇用の動向と勤労者生活
Cまとめ

→第170回臨時国会において,2008年11月4日に「労働者派遣法改正案」が厚生労働省から左記の提案理由により提出されたが,第171回通常国会に継続審議となった。しかし,2009年7月1日現在,審議すら行われていない。2009年6月26日に野党3党(民主党,社民党,国民新党)が,衆議院に「労働者派遣法改正案」を提出した。この内容は,以前の民主党の主張と異なっているように感じた。民主党の単独提案でないことから,選挙後の政局の不安定さを予感した。
→「労働者派遣法改正」は,政治が取り組むべき優先課題ではなかったのか。
与野党は審議ぐらい行うべきである。ぐずぐずしているうちに,りっぱな白書だけが出来上がった。(筆者)


「白書(福祉関連分野)」
7/1 厚生労働省 「2007年度介護保険事業状況報告(年報)」

★2010模擬問題-1(介護保険関連)
居宅介護(介護予防)サービス受給者数は,2007年度累計で総数3150万人(延人月),うち第1号被保険者数は3035万人,第2号被保険者数は115万人となっている。1か月当たり平均でみると総数で263万人(前年度比5万人増)となっている。以下の「2007年度累計の特徴・構成比率」は正しいか。
(特徴)
要介護1の受給者数が最多の22.2%で,要介護度が軽度(要支援1〜要介護2)の受給者が約70.3%を占めている。
要介護5 5.8%
要介護4 9.1%
要介護3 14.8%
要介護2 20.7%
要介護1 22.2%
経過的要介護 0.6%
要支援2 14.5%
要支援1 12.3%

★答え:上記報告(概要p.8)で確認されたい。
<介護保険事業状況にかかわる最新データ>
主な項目 2007年度 2000年度
@第1号被保険者数 2751万人(前年度比75万人増)
75歳以上:1280万人
2242万人
75歳以上923万人
A要介護(要支援)認定者数 453万人(同比13万人増)
1号被保険者:438万人
256万人
B第1号被保険者の認定率 15.9%(同比0.03%増) 11.0%
Cサービス受給者数/月 363万人(同比9万人増) 184万人
D保険給付 費用額 6兆6719億円(同比3105億円増)
給付額
(利用者負担を除く)
6兆1600億円(同比2857億円増
E第1号被保険者の1人当たり給付費 22万4千円(同比5千円増) 14万5千円
F第1号被保険者の保険料収納額 1兆3137億円
収納率98.3%
(同比583億円増)

→今後,3福祉士国家試験,ケアマネ試験の受験対策の一環で,重要と思われる事柄を「2010模擬問題」として随時掲載する。また,実務者にとっても,どういう統計資料に何が記載されているかを知ることは有益である。「明確な根拠をもつ」はやまだ塾のテーマの一つである。(筆者)
6/30 社会福祉振興・試験センター
重要
「第22回社会福祉士国家試験および第12回精神保健福祉士国家試験の新出題基準・新合格基準
「第24回介護福祉士の新出題基準が発表され,試験科目は11科目となる(現時点では新出題数や新合格基準は発表されていない)」


<3福祉士国家試験のポイント>

(1)社会福祉士,精神保健福祉士
@新出題基準の適用:2010年1月〜
A試験科目数:
・社会福祉士:13科目→19科目
・精神保健福祉士:13科目→15科目
B合格発表:2010年3月15日

(2)介護福祉士
@新出題基準の適用:2012年1月〜
A試験科目数:13科目→11科目

<社会福祉士,精神保健福祉士国家試験の変更点>
【1】新出題基準
「あくまでも出題範囲の例示であって,出題範囲を厳密に限定するものではない。基準公表後の制度の重大な変更による事項,法律,政省令や厚生労働白書などの公刊物にある事項などからも出題できる」とされている。
【2】新試験科目数・出題総数(新旧対照)
項目 社会福祉士 精神保健福祉士
共通科目 76問
(10科目)
80問
(8科目)
76問
(10科目)
80問
(8科目)
専門科目 74問
(9科目)
70問
(5科目)
80問
(5科目)
80問
(5科目)
合計 150問
(19科目)
150問
(13科目)
156問
(15科目)
160問
(13科目)
■社会福祉士における「就労支援サービス」と「更生保護制度」の扱いは,試験科目としては2科目とされ計19科目となるが,合格基準では両科目を1科目群と数えて計18科目群となる。
■精神保健福祉士における「精神保健福祉援助技術」の扱いは,試験科目としては1科目で計15科目となるが,合格基準では「一問一答」と「事例問題」に分離されて計16科目となる。
【3】新科目ごとの出題数の公表
「これまで事前に公表してこなかったし,これからも公表しない」(福祉新聞より)とされ,新科目ごとの出題数は公表されない。
【4】新合格基準
社会福祉士 精神保健福祉士
■合格最低点を上回り,かつ0点の科目群(科目)が一つもないこと(従来どおり)
以下の2つの条件を満たした者が合格者(従来どおり)
(1)総得点の60%程度を基準(問題の難易度で補正)とした点数以上の得点の者(従来どおり)
(2)(1)を満たした者のうち,以下の18科目群(ただし,(注)2に該当する者は8科目群)すべてにおいて得点があった者

(18科目群)
@人体の構造と機能及び疾病 A心理学理論と心理的支援 B社会理論と社会システム C現代社会と福祉 D地域福祉の理論と方法 E福祉行財政と福祉計画 F社会保障 G低所得者に対する支援と生活保護制度 H保健医療サービス I権利擁護と成年後見制度 J社会調査の基礎 K相談援助の基盤と専門職 L相談援助の理論と方法 M福祉サービスの組織と経営 N高齢者に対する支援と介護保険制度 O障害者に対する支援と障害者自立支援制度 P児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 Q就労支援サービス,更生保護制度
(2)(1)を満たした者のうち,試験科目(ただし,精神保健福祉援助技術については,「一問一答問題」と「事例問題」をそれぞれ別個の試験科目とみなす)16科目(ただし(注)2に該当する者は6科目)の各科目すべてにおいて得点があった者

(16科目)
@人体の構造と機能及び疾病 A心理学理論と心理的支援 B社会理論と社会システム C現代社会と福祉 D地域福祉の理論と方法 E福祉行財政と福祉計画 F社会保障 G低所得者に対する支援と生活保護制度 H保健医療サービス I権利擁護と成年後見制度 J精神医学 K精神保健学 L精神科リハビリテーション学 M精神保健福祉論 N精神保健福祉援助技術(一問一答) O精神保健福祉援助技術(事例問題)
(注)
1.配点は1問1点の150点満点
2社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第5条の2の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者の配点は,1問1点の74点満点
(注)
1.配点は1問1点の156点満点
2.精神保健福祉士法施行規則第6条の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者の配点は,1問1点の80点満点
【5】新試験時間
社会福祉士 精神保健福祉士
共通科目:120分
(従来115分)
専門科目:120分
(従来125分)
共通科目:120分
(従来115分)
専門科目:140分
(従来どおり)
【6】試験日および新合格発表日
項目 社会福祉士 精神保健福祉士
試験日 2010年1月31日(日) ・2010年1月30日(土)
・2010年1月31日(日)
合格発表日 2010年3月15日
(従来3月末日)

→新カリキュラムのテキストを通読した結果,2009年度の社会福祉・精神保健福祉士国家試験の受験対策として,従来科目の過去問をベースにした模擬問題をやりこなすことで対応できるとの確信を持った。やまだ塾では,模擬問題を例年より充実させ,7月〜12月まで毎月掲載する予定である。さらに,時事問題等も重要となるので,これらは12月からの直前対策で対応する。受験に関連する事柄を,本カテゴリーでも取り上げるので参考にしてもらいたい。
(受験者の方々へのコメント)
→第22回社会福祉士,第12回精神保健福祉士国家試験の受験者は,不明なことが多く,不安で落ち着かないと思います。志を持ったときを思い起こし,覚悟を決めて,「とにかく合格する」という気持ちを切らすことなく,駆け抜けてください。その先にあなたを待っている人がいます。やり抜きましょう。協力は惜しみません。(筆者)
6/29 - 「図表で見る年金2009」 / 原文 (OECD)
〜日本はイギリスに次いで2番目に低い水準〜
・経済協力開発機構(OECD)は6月23日,加盟30カ国の年金制度についてOECDの年金モデルに基づき分析した報告書「図表で見る年金2009」を発表した。
日本の所得代替率(現役時の所得に対する年金所得の比率)は33.9%でイギリス(30.8%)に次いで2番目に低い水準であった


→日本の公的年金における所得代替率は,2009年度ではモデル世帯で62.3%とされている。2009年2月の5年ごとの財政検証において,将来も所得代替率は50%を確保できると公表された。上記のOECD発表データは,これに対応するものであるが,諸外国とは単純に比較できないとされている。厚生労働省の説明によれば,国民皆年金の日本と一定水準以上の収入がある層を加入対象とする他国と比べた場合には,順位が低くなる傾向があるとのことである。この説明は一応理解できる。
→しかし,それで終わらないところが今の厚生労働省である。2009年2月の5年ごとの財政検証の試算において,「社会保険庁」が,やはり数字合わせ(つじつま合わせ)をしていたことが判明したと2009年4月15日に新聞報道があった。それによれば,2009年2月の公的年金の財政検証において,国民年金の保険料納付率を80%として計算して,「所得代替率は平成50年度以降は50.1%を維持できる」と発表をしていた。実際の保険料納付率は約65%(2007年度は63.9%)であったため,その納付率で再計算した代替率は50%を割ったとのことであった。2004年の年金改革関連法では50%を下回る見通しとなった場合には,年金制度改正を行うこととなっていたはずである。しかし,その後国会で野党が与党を追及したことも,再年金制度改正が議論されたことも筆者は知らない。さらに,数字合わせと思われる非現実的な前提条件の設定は,保険料納付率(→80%)だけではなかった。運用利回り(→4.1%,本日の新聞報道では2008年度の年金運用利回りはマイナス10%前後でが9兆円の赤字であったとされている),賃金上昇率(→3.4%),雇用状況率(→高齢者240万人増,→現役世代360万人増),公表時期(2009年中でいいのに,50%越えるようにわざわざ2009年2月に先出しして発表した),などが指摘されている。このような「お手盛り」への対策としては監視システム(第三者機関の設置など)を作ることが必要であると思われる。
→重要なことは,所得代替率50%の数値の結果ではなく,「年金制度の設計」が現状のままでいいかどうかである。仮に,年金制度が破綻しているのであれば,本当のことを早く国民に知らせるべきである。
→2004年の年金制度改革の関連法案の国会での採決を振り返れば,審議不十分でありながら,自民党と公明党は国民に保険料引き上げと給付の大幅カットをする代わりに「100年安心の年金制度」と豪語して,強行採決したという事実は重要である。2004年の年金制度改革では議論がまったく不足していたことを忘れてはならない。
→2009年6月25日に,民主党は年金制度の一元化を柱とする「年金制度改革案」を公表した。しかし,「詳細な制度設計は,政権についてから行う」とのことである。失礼だが,「どいつもこいつも・・・」というのが率直な感想である。
→蛇足であるが,2009年の通常国会は150日目の6月3日で閉会のはずであったが,7月28日まで55日間も延長された。国会を開催すれば何もしなくても1日3億円以上の経費がかかると聞いたことがある。そうであれば,55日間で165億円以上の税金が浪費される計算になる。また,衆議院総選挙に向けて,各党から「マニフェスト」が明らかにされる。福祉専門職であれば,少なくとも社会保障に関して,「専門職レベル」の議論ができなければならないと思う。自身のレベルを向上させる好機と捉えて勉強していただきたい。(筆者)


「2004年の年金制度改革」
6/26 内閣府 「“みんなの”少子化対策(概要)」(提言)

・2009年4月14日に,小渕大臣から「子育て創生&安心プラン〜待ったなしの少子化対策〜」が提出されている。
・2009年6月23日に,小渕優子少子化担当相の私的懇談会である「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(PT)」が提言した。10の提言がされているが,主なポイントは,@少子化対策の一歩である恋愛・結婚に視野を広げた政策的対応の実施,A若者の就労や経済的自立への支援,B子供の貧困と格差の連鎖防止,C家計の教育費負担の軽減,D消費税1%分を少子化対策に,である。これらは,「骨太の方針2009」に反映させるために提出された。

PTメンバーは,NPOファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏,経済評論家の勝間和代氏,第一生命経済研究所主任研究員の松田茂樹氏,日本テレビ解説委員の宮島香織氏,東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹氏,の5名であった

<2009年1月12日記事の再掲>
→現在,少子化対策として,2008年12月24日に「小渕ビジョン」が示され,「思い切った少子化対策」を議論していくため,2009年1月から「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を発足するとされている。これは,現在の「子ども・子育て応援プラン」が2009年度までであることを受けたものであるが,筆者は,今までの「ばらまき型少子化対策」がどの程度見直されるかに注目している。(筆者)
<2008年11月24日記事の再掲>
→本日は,少子化担当大臣を話題にする。少子化担当大臣の経緯をたどれば,@小野清子(第1次小泉第2次改造内閣),A小野清子(第2次小泉内閣),B南野千恵子(第2次小泉改造内閣),C南野千恵子(第3次小泉内閣),D猪口邦子(第3次小泉内閣),E高市早苗(安倍内閣),F上川陽子(安倍改造内閣),G上川陽子(福田内閣),H中川恭子(福田改造内閣),I小渕優子(麻生内閣),となっている。「小渕内閣府特命担当大臣(少子化対策,男女共同参画)」の英語表記は,“Minister of State for Social Affairs and Gender Equality”となっているが,「少子化」に対応する「英語」はどこにも存在しない。筆者は,従来から「国内向の看板にいつわりあり」との疑念をもち,現在も「少子化対策」の中身は怪しげではないかと思っている。日本の「少子化」をきちんと定義し,政策(「少子化対策」)の方向性を国民に分かりやすく説明し,理解を求めることが,政府(特に,少子化担当大臣)の重要な仕事であると思っている。子どもの数をカウントするだけの仕事なら「子ども」でもできる,はもちろん言い過ぎである。(筆者)

→中身はともかく,この提言は,小渕少子化担当大臣の在任中の活動実績になったのではないかと思う。
→中身に関して,筆者は,「恋愛・結婚にまで視野を広げて政策的対応を図る」との提言には,「国のなすべきこと」はこのようなことではないと考えている。また,消費税1%とは2兆5千億円相当であり,使い道や効果も不明な段階で財源を確保し,国民は黙って負担を許容すべきだという考え方には賛同できない。
→「少子化対策」に関して,いつまでもこのような体制(組織)のままでいい訳がない。(筆者)


→●6/25「骨太の方針2009」「改正中期プログラム」,6/15「2008年人口動態統計月報年計(概数)の概況」,6/8「2009年版 男女共同参画白書」,4/23「2009年版 少子化社会白書」の記事を参照
6/25 内閣府 「骨太の方針2009」「改正中期プログラム」 ・「骨太の方針2009」は,「経済財政改革の基本方針2009〜安心・活力・責任〜」が正式名称である。副題に掲げられた3つの目標(安心・活力・責任)を同時に達成するための道筋を示し,「経済危機克服」および「安心社会実現」のための最優先課題を明記している。社会保障の機能強化を図ることにより,高齢者施策に対応するとともに,若年層の雇用を軸とした生活安心保障を再構築し,少子化対策を抜本的に拡充するとしている。

→「骨太の方針2009」の疑問点を3つ挙げる。
@注目していた介護分野での雇用について,3年間で30万人創出する「介護機能強化プラン」(第2章成長力の強化 1.成長戦略の推進 (2)健康長寿の項)は,これまでの種々の検討会等の報告書ではなく,自民党の内部資料からの転用であった(2009年4月15日「日本経済再生への戦略プログラム最終報告」(自民党政務調査会))。・・・自民党の主張だけを取り入れていいのか?
Aまた,歳出削減において,「「基本方針2006」等を踏まえ,無駄の排除など歳出改革を継続しつつ」,「社会保障の必要な修復をする」として,2010年度については社会保障費の伸び年2200億円を抑制する方針を撤回した。・・・自民党の内部事情での場当たり的な対応でいいのか?
Bさらに,財政健全化において,国と地方の単年度の財政状況を示す基礎的財政収支を2011年度までに黒字化させるとした目標を,明確な根拠もなく2019年まで先送りした。そして,現在の5%から12%の消費税で推計していることも明らかされた。・・・先送りしたうえ,「増税」頼みの財政再建でいいのか?
→筆者は,「骨太の方針2009」は,現与党政権であれば,誰が首相であっても大差のない内容になると思っている。だからといって,現野党が政権をとればよくなると考えているわけでもない。社会保障制度に限って言えば,崩壊に近い現状を招いた直接の原因は,小泉政権であると考えている。責任を言うならば,小泉−竹中路線の「口車」に乗り,民意を与えた国民だと言える。「社会保障費の歳出削減が必要だ」ということを鵜呑みにして,ごまかしを見破れなかった方が悪い。結果,社会保障制度は致命的といえるほどに毀損された。高くついたが,国民は学習していると思う。
福祉専門職は,政治についても,深い関心を持ちかつ厳しい目を持っていなければならない。福祉専門職には,「冷たい頭」が必要とされる。(筆者)


6/23「安心社会実現会議最終報告」「社会保障改革推進懇談会最終報告」,6/18「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針2009)原案の記事を参照
6/24 厚生労働省 大麻・けしの見分け方
<2009年度>
不正大麻・けし撲滅運動 : 5月1日〜6月30日
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動 : 6月20日〜7月19日

国際麻薬乱用撲滅デー : 6月26日

植えてはいけないけしの主な特徴
@茎に毛が生えていない
A葉が茎を包み込んでいる
B葉のふちの切れ込みが浅い
C草丈が高め


「薬物データベース」
6/23 内閣府 「安心社会実現会議最終報告」「社会保障改革推進懇談会最終報告」 6月15日公表の「安心社会実現会議最終報告」は,日本が目指す「安心社会」として「働くことが報われる公正で活力ある社会」「家族や地域で豊かなつながりが育まれる社会」「働き,生活することを共に支え合う社会」を挙げ,実現に向けて,雇用,子育て,教育,医療,年金・介護の5領域が雇用を軸として連携することが重要としている。
6月18日公表の「社会保障改革推進懇談会最終報告」は,2008年11月の「社会保障国民会議報告」のフォローアップのために,@新しい子育て支援制度下での給付・サービスの抜本的拡充,A職業能力開発の機能強化,B介護人材育成戦略,C子どもを守るセーフティネット,D社会保障制度への信頼醸成と国民合意の形成,について提言している。 

→2008年7月以降,麻生内閣において社会保障に関連して提出された主な報告書等は,「社会保障の機能強化のための緊急対策(5つの安心プラン)」「中期プログラム」「社会保障国民会議報告」「安心社会実現会議最終報告」「社会保障改革推進懇談会最終報告」である。国民は,ちょっと食傷気味である。
→6月18日以降,これらの報告書等が反映される肝心の「骨太の方針2009の原案」は,自民党内から「社会保障費の削減」に関して強い反発を受け,閣議決定できない状況になっていた。本日(6/23),2010年度当初予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)のうち「社会保障費の自然増分から2200億円を削減する」を適用しないという方向性が財務担当大臣から示されたと報道されている。そうであれば,小泉路線(「骨太の方針2006」)からの方針転換を意味するだけでなく,歳出削減のたがをはずすことになり,2010年度の予算編成の困難さを容易に想定させるものである。(筆者)


→●6/18「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針2009)原案,6/17「地域包括ケア研究会 報告書 (今後の検討のための論点整理)」の記事を参照
6/22 厚生労働省 「地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方について」
〜「第19回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料(6月18日)〜
・2004年9月策定の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の基本的方策(入院医療中心から地域生活中心へ)の後期5か年(2009年9月以降)の重点施策策定のための「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」である。2008年11月に「中間取りまとめ」が公表されている。
・第19回検討会において,「地域医療体制のあり方・入院医療体制のあり方について」が議論された。@入院医療における病床等の機能(総論)(P6〜P25),A地域医療体制と精神科医療機関の機能(P26〜P51),B精神科医療機関における従事者の確保(P52〜P66),などが掲載されている。

→「日本の精神保健医療福祉」について,触れられることが少ない事柄がある。それは,「精神疾患の研究費の少なさ」である。2008年度科学研究費補助金配分状況(研究分野別の配分額(直接経費))が文部科学省から公表されているが,脳・神経科学系のうち精神疾患に対する研究費の少なさには驚かされる(脳・神経科学系4.1%・61億円に対して,成人病・感染症12.6%・166億円,がん・エイズ等7.7%・114億円である)。研究費が少ないということは,研究者が少なく,おおむね研究能力も低いということを意味する。心理・社会学的研究と同時に,生物学的研究(臨床,基礎)は重要であり,必要である。特に,精神障害者である人の脳の研究は必要とされる。欧米諸国では1960〜1970年代から死後脳バンクの取り組みがされてきたが,日本での立ち遅れは著しく,現在においても精神保健福祉士ですら脳バンクについて知っている者は少ない。日本では,1960年代からの反精神医学運動(精神疾患の原因は社会にあり,社会を変革すべきだとする考え方で,精神障害者を対象とした生物学的研究を敵視する立場である)やその影響で,精神医学・精神疾患の研究や研究者の人材育成を怠ってきたという指摘がある。現在,有効な治療法の開発などが進んでおらず,今もって精神病床数は減少されず,精神障害者は増え続け,自殺に対する有効な対策をもたないため年間3万人以上の自殺者数が10年以上も続いている,という現状である。「入院医療中心から地域生活中心へ」を実現するには,有効な治療法を開発するための研究資金が必要である。(筆者)

6/112008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況の記事を参照
6/19 衆議院 「臓器移植法改正法案」(A案)が6月18日に衆議院で可決された

(2009年7月8日追記)
<改正法のポイント>
@脳死は一般的に人の死と位置づける
A本人が拒否していない場合は,家族の同意で提供できる
B提供は15歳以上という現行の年齢制限を撤廃する
C親族への優先的に提供すると意思表示しておくことができる
1997年に「臓器移植法」が成立し,3年後の見直し規定があったが,「放置」され続けてきた。2008年5月に「国際移植学会」が「イスタンブール宣言」を採択したこと,世界保健機関(WHO)も臓器移植の自国内完結の方向にあること,を理由として「臓器移植法案」(4案)が提出された。
<可決された法案(A案)のポイント>
@提供年齢の変更 : 15歳以上→0歳から
A提供条件の変更 : 本人の書面による意思表示と家族の同意→本人の生前の拒否がなければ家族の同意
B脳死の適用の変更 : 臓器提供時に限り脳死は「人の死」→脳死は「人の死」
C親族に対する優先提供の新設 : 現行既定なし→認める

→テレビニュースで,脳死状態で生まれたお子さんを1年間看続けているお母さんにコメントを求めていた。これまでの過酷な現実と今回の法案の可決について淡々と端的に話されていた。その計り知れない悲しみとこれから先の苦しみを思い,その凛とした姿に心を打たれた。人の死にかかわる事柄なので軽々なコメントはすべきではないと思うが,障害のある家族を看取った経験から若干の意見を申し上げる。
→法律改正すれば臓器提供者が増える保障など何もない。どんな状態でも生き続けてほしいと願う家族の気持ちを尊重する姿勢が見えない決着のつけ方で,臓器移植の進展が期待できるとは思えない。さらに,現総理大臣と野党第一党党首が反対票を投じた法案であったことを国民はどう受け止めればいいのだろうか。多数決で決していいものであろうか。提供を受ける側や医療側の主張も大切であるが,提供する側の気持ちを最優先する対応や体制(態勢)作りが重要である。筆者は,臓器移植に反対するものではないが,家族の側に立つ姿勢なくしては臓器提供の進展はかなわないと思っている。今後,この法案が「廃案」になる可能性が十分にあると考えている。(筆者)


(参考)
「(社)日本臓器移植ネットワーク」のHP
「United Network for Organ Sharing(UNOS) 」(アメリカの移植ネットワーク)のHP
「日本移植学会」のHP
「臓器移植に関する世論調査」(2008年9月調査)
6/18 内閣府 「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針2009)原案(経済財政諮問会議)
・経済財政諮問会議は6月16日に会合を開き,「基本方針2009」の原案を提示した。
「安心・活力・責任」という3つの目標に向けて政府全体の資源配分を傾斜させていくべきと指摘している。とくに当面の「最優先課題(府省に広くまたがる横断的課題)」として,「経済危機克服」と「安心社会実現」を挙げ,若年層への職業能力向上と再挑戦の機会拡大のための支援強化などに取組むしている。

→「予算案および税制改正案」に関する通年の流れを把握すると,「骨太の方針」の位置づけが理解できる。例年通りと仮定した2010年度の流れ(予定・想定,総選挙等を考慮していない)を掲載する。(筆者)
2009年
4月
2009年度の「新年度会計」「改正税制」開始
→「第171回通常国会」で3月までに法案成立
6月 「2010年度予算編成の基本的考え方について」(財務省)
→財政制度等審議会が6/3に建議。社会保障の抑制路線を明記した「骨太の方針2006」の考え方を踏まえて歳出改革を維持するが,税収減等から公債依存度が大幅に上昇する見込みとした
「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針2009)
→経済財政諮問会議が6/9に素案を,
6/16に原案を提示。6/23に閣議決定される予定とされる
7月 「2010年度予算の全体像」を取りまとめ(経済財政諮問会議)
「概算要求基準(シーリング)」
@「2010年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」
A「2010年度一般歳出の概算要求基準の考え方」
B「2010年度概算要求基準のポイント」
8月 各省庁は,財務省に「概算要求書」を提出
9月以降 「臨時国会」召集
11月 「2010年度予算の編成等に関する建議」(財政制度等審議会)
「2010年度の税制改正に関する答申」(政府税制調査会)
12月 「2010年度予算編成の基本方針」
「2010年度税制改正の大綱」
「2010年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」
「2010年度予算政府案」策定
2010年
1月
・「2010年通常国会」召集
「2010年度予算政府案」「所得税法等の一部を改正する法律案」「地方税法等の一部を改正する法律案」国会提出
                                  (やまだ塾作成)

「骨太の方針2008とは何か」 / 「骨太の方針2007」 / 「骨太の方針2006」における「社会保障」について
6/17 厚生労働省 「地域包括ケア研究会 報告書 (今後の検討のための論点整理)」
〜2012年の「介護保険制度」の見直しに向けた厚生労働省の考え方〜
・「2008年度老人保健健康増進等事業」として実施された「在宅医療と介護の連携認知症高齢者ケア等地域ケアの在り方等研究事業」において,「地域包括ケア研究会報告書(今後の検討のための論点整理)」がとりまとめられた。
・2025 年の65 歳以上人口は3600 万人(高齢化率30 %強)となり,現在7兆円の介護費用が,2025年には19〜24兆円になると試算され,これを踏まえた検討が必要だとしている。
・報告書で新たに定義されている用語群:地域包括ケアシステム,新しい高齢者,自助・互助・共助・公助,日本版ナーシングホーム,地域サービスステーション,学習する文化,地域のリーダー など


→この報告書に基づけば,2012年の「介護保険制度」の改正では,これまでにない変革の可能性が想定される。新たに「地域包括ケアシステム」を導入し,「介護保険制度」はそのシステムの一環とするものである。
→「地域包括ケアシステム」などと耳障りのいい言葉を使っているが,要は,介護保険制度は破綻するので,これからは十分なサービス(給付)ができないため,自助(自らの生活を支え,自らの健康は自ら維持すること)と互助(近隣の助け合いやボランティア等)を主体にしたシステムを作らなければならないというものである。なぜ,税を財源とする考え方を俎上に上らせず,「自助・互助」が主体になるのか,施設サービスの充実に触れないのはどうしてか,などの疑問が生じる。筆者は,この報告書の役割を,「論点の整理」ではなく「論点のすり替え」と受け止めている。「介護の社会化」と言っていたことと「話が違うじゃないか」という声は,有識者からは聞こえてこない。福祉専門職としては,昨年末から,次第に外堀が埋められ,布石を打たれているという認識が必要であると思う。(筆者)


(関連資料)
「安心と希望の介護ビジョン」(2008年11月20日)
「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月4日)
6/16 ■「障害者自立支援法」制定に正義はあったと信じたいが →「障害者自立支援法」は,国会解散によって廃案となりながら,2005年10月31日に強行採決で成立した。法案策定および成立に深く関与した2人の厚生労働省障害保健福祉部企画課長がいた。文書偽造事件で逮捕された村木厚子容疑者(現雇用均等・児童家庭局長)と後任の松嶋賢氏(前厚生労働省九州厚生局長)である。後者は2007年8月ごろ話題になった人物で,補助金交付先である大阪府枚方市の社会福祉法人「枚方療育園」の前理事長から乗用車や住宅の新築資金などの提供を受けていたことが問題となった。結局は,世間からの批判の激しさに抗しきれず,給料10か月分1,060万円を国に返還し,従兄弟から貰った車1台と借金1,500万円を返すということになった,とニュースで流されていた。
→倫理観が疑われる2人は,「障害者自立支援法」の成立に貢献したことが評価され,その後異例の出世をしたといわれている。利用者(対象者)からは厳しい批判があり,ILOからも提訴による回答において懸念が表明されている法律にあって,いったい誰からどういう点を評価されたのであろうか。(筆者)
6/15 厚生労働省 「2008年人口動態統計月報年計(概数)の概況」 ・2008年の出生数は109万1150人(前年比1332人増)で,合計特殊出生率は1.37(前年1.34)であった。死亡数は114万2467人(前年比3万4133人増加)であった。死因順位では,第1位は悪性新生物,第2位は心疾患,第3位は脳血管疾患となっている。

→人口動態統計の項目は,(1)出生(@出生数,A合計特殊出生率),(2)死亡(@死亡数・死亡率,A死因),(3)結婚,(4)離婚,である。
→これらの基礎的なデータを,受験勉強の際にいちいち調べているようでは効率が悪いので,覚えてしまったほうがいい。また,受験勉強だけでなく介護実務においても役立つ知識となる。例えば,死因において,「男では90歳以上100 歳未満で【A】が最も多く,女では85歳以上100歳未満で【B】,男女とも100歳以上では【C】が最も多くなっている」,などである。ABCは自身で確認されたい。
→さらに,覚えるために資料を詳しく見てみると,これまで知らされていないことがあることに気づかされる。例えば,概況p.52の「人口動態総攬(率)の国際比較」において,アメリカでは児童手当はなく,子育て支援などの政府の介入がきわめて限定的(低所得層,貧困層)であるが合計特殊出生率が非常に高い。日本では,北欧やフランスの普遍的な子育て支援策だけがことさらに取り上げられてきた。アメリカは,公的支援に頼らず高い出生率を実現させているのに,アメリカと北欧・フランスとを比較してきちんと説明しないのは不合理である。これまで,保育偏重の「少子化対策」に多額の税金が投入されてきた。日本が手本にするなら,婚外子の多いフランスではなく,伝統的に婚外子の少ないオランダが適当であるとする意見があることも多くの国民は知らない。
→統計資料を覚えるといっても,ただ数値を暗記するのではなく,このデータはどういうときに使えるかなどを想定し,興味を持って取り組まなければ身につかないし,新しい気づきはないと思う。(筆者)


6/8「2009年版 男女共同参画白書」,6/4「2009年版 高齢社会白書」,4/23「2009年版 少子化社会白書」の記事を参照
「少子化社会に関する国際意識調査」(2005年)
6/12 厚生労働省 「一般用医薬品(大衆薬)販売制度の改正」(ポスター / リーフレット
〜2009年6月施行の「改正薬事法」〜

<WHOの「セルフメディケーション」の定義>
「自分自身の健康に責任を持ち,軽度な身体の不調は自分で手当てすること」

Guidelines for the Regulatory Assessment of Medicinal Products for Use in Self-Medication,WHO Geneva 2000
・「セルフメディケーション」の考え方の一般化などを背景として,医薬品販売のあり方全般について見直しが行われ,2006年6月に「改正薬事法」が成立し,2009年6月1日に完全施行された。

→今回の改正では,医薬品は3分類され,「第2類」「第3類」については,新制度として設けられた「登録販売者」を配置すれば,コンビニなど薬局以外での販売の規制緩和がなされたが,一方ネット販売を含む通信販売は,2009年2月6日の 省令で「第3類のみ」の販売を認めるとし,従来販売可能であった風邪薬などの「第2類」を販売規制した(ただし,2年間の経過措置の省令が5月29日に公布された)。医薬品のネットを含む通信販売に関しては,利便性と安全性のどちらに比重を置くべきかという議論があり,検討会が設置された。厚生労働省は「利便性と安全性のどちらを取るかという選択になったら,まず安全性をとる」と明言している。筋は通っている。(筆者)

「改正薬事法の概要」
「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告書」(2008年7月4日)
6/11 厚生労働省 2008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況
〜過労による精神障害の労災認定は過去最多の269件〜
・過労が原因でうつ病などの精神障害を発症し労災認定された件数は269件(前年度268件,3年連続で過去最多を更新)で,うち自殺数(未遂を含む)は66件であった。

患者調査によれば,うつ病患者数は1996年からの9年間で3倍になっている(1996年:207万人→2005年:631万人
→「第18回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」(2009年6月4日)において,「気分障害(うつ病)」に関して以下のような課題が提示されている。
「日本においてはうつ病の薬物療法,精神療法など,精神科治療の標準化が進んでいないほか,社会復帰への取り組みが十分ではない。特に,海外でうつ病への有効性が確認されている「認知行動療法」については,日本国内での有効性の検証が遅れている。」
→最近,3環系と呼ばれる従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないと説明されてきた「SSRIの使用」についての問題点が指摘されている。2009年5月8日,厚生労働省は抗うつ薬「SSRI」4種類(デプロメール,ルボックス,パキシル,ジェイゾロフト)について,他人を攻撃する危険性があると注意喚起した(厚生労働省医薬食品局安全対策課長 薬食安発第0508001号)。NHKは,6月1日のクローズアップ現代において「抗うつ薬の死角」として取り上げていた。「薬の効能に目を奪われ,ともすると「安易に」薬を増減させる医師の姿勢や,「誤診」により本来SSRIを投与しては危険な患者に処方することが背景にある」(番組放送記録を引用)との専門家の指摘を紹介していた。日本の精神医療・保健・福祉における後進性をあらわす一例である。(筆者)


気分障害について」第18回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会資料)
6/10 厚生労働省 「認知症について」(最新資料) (3.8MB)
〜「第17回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」資料〜


→3福祉士の国家試験において,「認知症」に関連する問題は頻出である。2008年7月の「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」を受け,2009年度には認知症患者の全国調査(医学的な診断基準に基づいた認知症の有病率,認知症に関する医療・介護サービス資源利用など)が行われる。若年性認知症対策として,若年性認知症コールセンターが全国に1か所設置される。また,認知症疾患医療センター(全国150か所)および地域包括支援センター(全国150か所・市域内におおむね1か所)に「(認知症)連携担当者」が配置され,医療と介護の連携による地域ケアの進展が期待される。認知症についての最新情報が掲載されている。(筆者)

6/2「講習予備検査(認知機能検査)」(75歳以上)の記事を参照

「2009年度 認知症対策関連予算」
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」(2008年7月)
6/9 厚生労働省 ■予算から見た「福祉人材確保対策」(まとめ)
(1)2008年度補正予算および21年度予算での対策(2.6MB)
@福祉・介護サービス事業者を対象としたもの
A福祉・介護サービス従事者を対象としたもの
B福祉・介護の仕事に関心を有する者を対象としたもの
C2009年度介護報酬改定の概要

(2)2009年度補正予算での対策(4.2MB)
@福祉・介護サービス事業者を対象としたもの
A福祉・介護サービス従事者を対象としたもの
B福祉・介護の仕事に関心を有する者を対象としたもの

Cその他

→2007年8月の「新福祉人材確保指針」および2008年6月の「介護従事者処遇改善法」を受け,「福祉人材確保対策」が予算化された。福祉・介護従事者の厚労省発表数値は,2005年現在で約328万人(うち高齢者分野の従事者が約197万人,介護保険サービス従事者が約112万人)である。2014年までに40〜60万人の介護職員の確保が必要とする推計に基づく人材確保の施策である。(筆者)

5/30「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」,5/27「2008年改正介護保険法の施行」(事業者向け),5/21認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版)の記事を参照

「福祉専門職の現状」
6/8 内閣府 「2009年版 男女共同参画白書」 1999年施行の「男女共同参画社会基本法」から10年を迎えて,施策の成果などが概観されている
(構成)
(1)男女共同参画社会の形成の状況
@男女共同参画の10年の軌跡と今後に向けての視点 
A現状
(2)2008年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策 
(3)2009年度男女共同参画社会の形成の促進施策
・男女共同参画をめぐる実態と課題において,@基本法の基本理念については,一定の前進がみられると考えられるが,女性は男性ほど男女共同参画が進んでいるとは捉えていない,A政策・方針決定過程への女性の参画は10年間で緩やかに進んでいるが,国際的には低い水準にとどまっている状況にある,などが挙げられている。


→「Gender Equality」の訳語が「男女共同参画」である。「男女平等」としなかったところに日本の特異性がある。筆者は,男女共同参画社会は実現すべきだと思っているが,「男女共同参画社会基本法」の制定・施行当時から,なぜ男女共同参画が少子化対策や合計特殊出生率向上に結びつくのかが理解できないでいる。6月23日〜29日までが「男女共同参画週間」であり,21年度の標語は「共同参画 新たな社会の パスワード」とのことである。(筆者)

6/4
「2009年版 高齢社会白書」の記事を参照

「白書(社会福祉関連)」
6/5 内閣府 「もったいない!「食品ロス」を減らそう」 →「食品ロス」は,農や食に対する消費者の意識の低下から生じるものだということは理解できるが,環境問題と同様に個人レベルでの活動に直結しづらいように思う。
→日本の「食品ロス」の多さは,食・農・環境とのかかわりが深く,門外漢がコメントできるような表層的な問題ではないように思うが,話題提供として掲載する。
→昨年末,以下の論文を目にした。
日本の食料自給率の少なさについては,「貿易体制についてはWTO(世界貿易機関)をはじめとする農業交渉などをみても,先進諸国の中での日本の立場は非常に弱く,輸入を拒むことが困難な状況にあります」「日本が輸入の必要のない米でさえも,一部輸入をせざるを得ない状況に置かれているのです」「食料自給率低下の要因については,農業貿易の問題(あるいは政治的な問題),食生活の問題,国内生産の問題等,さまざまな要因が絡み合う」「近年ではWTOといった多国間の貿易だけでなく,FTA(自由貿易協定)という形で複数国あるいは特定地域内で貿易の活性化や経済的な連携の強化が促進される方向にありますので,経済的な活性化は別としても,さらなる食料自給率低下への影響が懸念されます。」。また,「食品ロス」については,「家庭系からの廃棄量は全体の6割近くにも及びます。いわゆる食品ロスです。食品ロスが問題なのは,家庭から出る生ゴミの約98%が埋め立て・焼却処分されていることです。」「地球環境に負荷を与えることになります。」と述べられている。(「私たちは消費者No.114」食・農・環境の関わりと食育の大切さ〜子ども達に安心して食べられる社会を残すために〜東京農業大学上岡準教授)
→農林水産省は12月26日,「食品ロスの現状とその削減に向けた対応方向について」(食品ロスの削減に向けた検討会報告)をまとめ,2009年3月に「食品ロスの削減に向けて」を公表している。今回の政府の広報はこれを受けたものである。
→「食料自給率」や「食品ロス」に関して,国民レベルでの議論や運動を求めるならば,日本の置かれている厳しい国際環境など国民への情報提供の質・量をさらに向上させることが必要であると思う。(筆者)
6/4 内閣府 「2009年版 高齢社会白書」(概要 / 本文)
<ポイント>
総人口:1億2769万人(前年比約8万人減)
65歳以上人口:2822万人(前年比76万人増)
高齢化率:22.1%(前年比0.6%増加)
将来予測:今後も総人口が減少し,高齢者が増加するため,2055年には5人に2人が65歳以上の高齢者となり,現役世代1.3人で1人の高齢者を支えることになる(1960年では11.2人で1人,2005年では3.3人で1人である)。
65歳以上の暮らし向きの回答:「ゆとりがある」8.5%,「苦しい」26.4%
60歳以上の近所との付き合いの回答:「親しく付き合っている」43.0%(5年前より9%減),「あいさつをする程度」51.2%
介護を頼みたい相手の回答:60歳以上の男性の80.7%が「配偶者」,女性は63.1%が「子ども」

今後の高齢社会対策の展開:『困窮した高齢者が孤立に陥らないコミュニティづくりや,地域の実情に応じた見守りシステムなど,地域での取組を促進し,新たな居場所や地域社会とのつながりを持てる環境の整備を進めていくことが必要である。』

→危機感をもって警告しているのだと思うが,「我が国は世界のどの国も経験したことのない高齢社会となる」と毎年同じ文章で報告されている。「少子化,高齢化,人口減少」を三位一体として考えなければ「方向」や「答え」が見つからないことは2006年以降社会学者等によって指摘されてきたことである。「少子高齢社会」として説明されるが,白書は「少子化社会対策」「高齢社会対策」について,それぞれのテーマでまとめられている。しかし,4月に公表された「2009年版少子化社会白書」と合わせて見ても,日本の「少子高齢社会」の将来の姿が国民には見えてこない。ありていに言えば,何が良くて,何が悪いのか,で国民としてはどうしたらいいのか,が皆目分からないということである。合計特殊出生率が上がったとか下がったとかで問題をあいまいにするのではなく,合計特殊出生率の目標数値や適正人口を示さなければならない時期がきたのではないかと思う。(筆者)

4/23「2009年版 少子化社会白書」の記事を参照
6/3 厚生労働省 「2010年版 日本人の食事摂取基準」(概要 / 本文

<食事摂取基準とは>
『・「健康な個人または集団を対象として,国民の健康の維持・増進,エネルギー・栄養素欠乏症の予防,生活習慣病の予防,過剰摂取による健康障害の予防を目的とし,エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。
・保健所,保健センター,民間健康増進施設等において,生活習慣病予防のために実施される栄養指導,学校や事業所等の給食提供にあたって,最も基礎となる科学的データである。
・近年の経過は,「第6次改定 日本人の栄養所要量」(2000〜2004年度の5年間)その後名称が変更され「2005年版 日本人の食事摂取基準」(2005〜2009年度の5年間)で,今回公表されたのはその改訂版(2010〜2014年度の5年間)である。
・今回の重要な変更点
ナトリウム(食塩相当量)の目標量の変更 : 男性:10g→9g,女性:8.0g→7.5g


→介護福祉士の第17回国家試験(家政学概論)で次の問題が出されている。
「「第6次改定 日本人の栄養所要量」によれば,70歳以上の人のカルシウムと鉄の所要量(1日当たり)は,男女共にカルシウムは【A】mg,鉄は10mgである。望ましいとされている脂肪所要量は,脂肪エネルギー比率で【B】,食塩の摂取量は1日【C】未満を目標とする」。この答えは上記の資料に記載があるので自身で導き出していただきたい。次回の国家試験で出題される場合には,2005年版が対象になる。
この際,「食生活」について,勉強しておくことを勧める。福祉専門職の必須の知識である。(筆者)


<日本人の食生活にかかわるその他の資料>
「2007年 国民健康・栄養調査結果」⇒日本人の食生活の現状が分かる
「健康づくりのための食生活指針」(2000年)⇒家庭での望ましい食生活の指針が分かる
「健康日本21」(2000年〜2012年)⇒健康寿命の伸びと医療費の抑制を目的にした国民健康づくり運動が分かる
「2009年版 食育白書」⇒食育推進施策の状況が分かる
6/2 警視庁 「講習予備検査(認知機能検査)」(75歳以上)
〜75歳以上の運転免許証の更新手続きが変更〜

<75歳以上の運転免許更新の内容>
(1)「講習予備検査(認知機能検査)」(30分)
@時間の見当識(検査時における年月日,曜日,時間)
A手がかり再生(4種類のイラストが描かれたボードが4枚の記憶)
B時計描画(時計の文字盤を描く)

(2)講習予備検査で判定された結果に基づいた「高齢者講習」の3つのカリキュラム
@講義(30分)
A運転適性検査器材を使用して動体視力や反応速度を測定する講習(1時間)
B実際に自動車を運転して行う講習(1時間)

(3)検査・講習の結果を受け,専門医の診断が必要とされ,認知症と診断された場合は免許が取り消される。
2007年6月の「改正道路交通法」が2009年6月1日から施行された。高齢者の交通事故対策や飲酒運転などの悪質・危険な運転の対策強化が目的である。
・現在,70歳以上のドライバーには,免許証更新時に「高齢者講習」の受講が義務づけられている。これに加えて,75歳以上の高齢運転者が運転免許証を更新する際,「高齢者講習」を行う前に記憶力・判断力に関する「講習予備検査(認知機能検査)」を受けることが義務づけられ,その結果に基づいた講習が行われることになった。なお
、講習予備検査は2009年6月1日から始まるが,検査を受けるのは,免許証の更新期間満了日が2009年12月1日以降で,そのときの年齢が75歳以上の人からである。 また,悪質・危険運転者対策では,酒酔い運転・ひき逃げ等の悪質・危険運転者の免許取消の欠格期間延長(5年→10年),酒気帯び運転等の基礎点数引き上げ(酒気帯び運転の免許停止90日→免許取消(欠格期間)2年),などに厳罰化されている。

→認知症と診断された人から免許証を取り上げるのはいいが,例えば辺境地にある人やその家族への代替交通手段に対する相談などの対策が考慮されているのであろうか。2002年6月施行の改正道路交通法では,自主的な「免許返納制度」を導入したが進まなかった。車社会の進展や家族形態の変化において,免許がなくなれば生活に支障をきたすから返納できないのであろうことは容易に想定できる。2008年6月に施行された「75歳以上の高齢者ドライバーに罰則付きで義務づけられた「もみじマーク」表示」は,相当の批判があり,2009年4月24日には罰則のない努力義務に改正・施行された。後期高齢者医療制度をはじめとして,75歳以上の高齢者への対応において,縦割り行政は限界があり,効率的でない。その結果,日本の超高齢社会の将来像を,日本国民はイメージすら持てない状況にある。(筆者)

<参考>
→■「2008年版高齢社会白書」(概要) /『人生85年ビジョン懇談会』報告書〜人生85年時代」に向けたリ・デザイン〜(概要)
6/1 厚生労働省 「未届の有料老人ホームへの指導状況等」
〜「無届」を「未届」と言い換える理由は?〜
→2009年3月に起きた群馬県の無届老人施設の火災(10人死亡)を受け,厚労省が実態把握のため都道府県に調査を指示したものである。全国で525施設の未届有料老人ホームがあり,問題のある80施設に指導したとのことである。事件直後,「生活に困る高齢者が急増するなか,こうした施設に頼るしかない」という当該施設を紹介した区の行政担当者のコメントを聞いて,ことの深刻さを感じた。この無届老人施設の火災は,単に防火設備の不備に止まらず,国や地方の高齢者住宅対策の脆弱さを浮き彫りにした。「無届」と言えばいいものを,わざわざ「未届」という言葉を使うことで,何か深い訳でもあるのかと思わせる。施設入居の希望の増大,特別養護老人ホーム数の不足,介護にかかわる療養病床の廃止予定,などとも関連する。2009年の通常国会で改正高齢者居住安定確保法(その元になった国交相の諮問機関の答申)が成立した。高齢者居住安定確保法を国交省と厚生労働省との共管に改め,高齢者向けの住宅施策と福祉施策の一体化を図ることがポイントであるが,高齢者の住宅対策の核心に及ぶものではない。行き場のない高齢者をどうするのかという問題を先送りしていてもいいことはない。(筆者)
5/30 厚生労働省 「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」
(1.92MB)
・介護労働者の労働条件の確保・改善に関する主要なポイントをまとめたパンフレットである。
@介護労働者全体(訪問・施設)に共通する事項A訪問介護労働者に関する事項で構成され,訪問介護労働者の法定労働条件の確保について(2004年通知),労働条件通知書,介護労働者の雇用管理の改善に関する助成金等が参考資料として掲載されている。

→介護労働における労働条件の全体が把握できるパンフレットである。安全・衛生および労働保険についても,関心を払っていただきたい。(筆者)
5/29 厚生労働省 自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について
<厚生労働省からの呼びかけ>
「自動体外式除細動器(AED)については,平成16年7月に救命の現場に居合わせた市民による使用の取扱いを示して以降,国内において急速に普及しております(平成20年12月現在の推計:約20万台弱)。一方で,AEDは、適切な管理が行われなければ,人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある医療機器です。これらを踏まえ,今般,AEDの適切な管理等を徹底するため、AEDの設置者等に対して日常点検や消耗品の管理等の実施を呼び掛けるものです。」

2008年版 救急・救助の現況
「明確な根拠を持つ」(健康・医療−「救急」)
5/28 厚生労働省 「2009年版障害者白書」(概要) 障害者総数:724万人(身障児・者366万人,知的障害児・者55万人,精神障害者303万人)
・2008年6月時点の民間企業の障害者雇用率は1.59%で,障害者雇用促進法が定める法定雇用率(1.8%)に達しなかった。国・都道府県・市町村は法定雇用率2.1%を上回ったが,法定雇用率2.0%の都道府県教育委員会は1.62%であり,独立行政法人等も2.1%に対して2.05%であり,いずれも法定雇用率を下回っている

<2009年3月30日記事の再掲>

このカテゴリーで何度も取り上げている事柄である。障害者雇用については,2008年の12月19日に障害者雇用促進法の改正案が参議院で全会一致で成立(一部を除き施行は2009年4月)し,中小企業にまで障害者雇用施策が及ぶ状況になっている。2007年10月にも38都道府県教育委員会に適正是正勧告が出されていたにもかかわらず,今回の勧告である。口は達者で知識はあるが,知恵がないという教育者の手本を何度も示すことはない,は言い過ぎかも知れないが。(筆者)
<障害者雇用を進めているとされる10府県の教育委員会>
@雇用率を達成した5府県
大阪府,京都府,奈良県,和歌山県,香川県
A改善が進んでいるとされる5県
石川県,佐賀県,長崎県,大分県,宮崎県

→2008年の12月19日に改正障害者雇用促進法が成立し,2009年4月に施行された。2009年3月31日には,障害者自立支援法の改正法案が国会に提出されている。都道府県教育委員会を目の敵にしているわけではないが,率先すべき立場にある機関だから明確化している。また,障害者雇用が困難な職場だからこそ,その法定雇用率達成に意味があると思っている。(筆者)

5/11「障害者自立支援法パンフレット」(2009年4月版) / 障害福祉サービス等に関するQ&A(2009年4月),3/30障害者の雇用を進められない「37都道県教育委員会」は認識に甘さはないか (適正是正勧告)の記事を参照
5/27 厚生労働省 「2008年改正介護保険法の施行」(事業者向け)
〜法令遵守の義務化〜
・コムスンの影響を受け,2008年の介護保険法改正により,2009年5月から,介護サービス事業者に法令遵守等の業務管理体制の整備が義務づけられた。整備すべき業務管理体制は,指定・許可を受けている事業所・施設の数に応じて行政機関に届け出ることとされた。

→1995年に実施されたドイツの介護保険制度の都合のいいところだけを手本にして,「走りながら考える」と言って2000年度から始められた日本の介護保険制度。コムスンの悪事など忘れてしまった頃に施行される法律。介護保険施行前の論点であり,結局制度には盛り込まれなかった「家族介護への現金給付」の提言を一蹴した当時の民主党鳩山代表が,現在次期政権をうわさされている。当時,「介護の社会化」という言葉の独り歩きに対して,「子が親を介護する美風を損なうような制度は問題がある」という少数意見があった。時流に乗った欧米の新しい考え方が正しくて,日本の伝統的な考え方は「古臭くて間違っている」として,切り捨て続けていいものだろうかと思う。(筆者)
5/26 厚生労働省 「2008年 国民生活基礎調査」の概況
・2007年の1世帯当たりの平均所得金額は556万2,000円(前年比10万6,000円減)。所得が平均を下回った世帯の割合は60.9%(,前年より0.3ポイント低下)で,4年連続で6割を超える水準。生活が「大変苦しい」または「やや苦しい」と答えた世帯の割合は57.2%。

→この調査の概況は3福祉士国家試験に頻出である。しかし,次回の国家試験に用いられるのは,2007年版と想定している。2007年版(@世帯数と世帯人員数の状況,A各種世帯の所得等の状況,B世帯員の健康状況,C介護の状況)は大変重要なので通読していただきたい。(筆者)

「明確な根拠を持つ」(基本となる調査・統計- 2007国民生活基礎調査
5/25 厚生労働省 「介護予防マニュアル」(改訂版)
<介護予防マニュアルの改訂版の構成>
@総合的介護予防システムについてのマニュアル
A介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル
B運動器の機能向上マニュアル
C栄養改善マニュアル
D口腔機能向上マニュアル
E閉じこもり予防・支援マニュアル
F認知症予防・支援マニュアル
Gうつ予防・支援マニュアル

→実務者だけでなく,介護福祉士国家試験の受験者にも役立つ(現カリキュラムの老人福祉論,老人・障害者の心理,介護概論,介護技術,形態別介護技術に対応)。(筆者)
5/25 内閣府 平成21年度「家族・地域のきずなを再生する国民運動」
〜11月15日(家族の日),11月8日−21日(家族週間)〜
・2007年度から実施されており,2009年度も11月の第3日曜日を「家族の日」,11月8日〜21日を「家族の週間」と定め,家族・地域のきずなの重要性を呼びかける大会などが開催される予定である。
5/21 厚生労働省 認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版) →改訂版が公表されたので,掲載します。(筆者)

3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照
5/18 厚生労働省 看護師保健師助産師国家試験の受験資格
〜医療専門職のことを知る〜
→現在,「特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会」(第1回:2/12)が開催されている。2008年11月の「安心と希望の介護ビジョン」の提言を受けたものである。医療関係者の猛反対で,結局「療養介護士」の案を取り下げた経緯をもつ。
・介護療養病床廃止などの流れを受け,特養における重症者数の割合が増える一方で,施設の人的・制度的な医療体制の不備が問題化してきたことが背景にある。第1回の検討会資料として,「特別養護老人ホームにおける医療的ケアに関する実態調査の概要」が提出され,特養の6割以上で吸引が行われており,介護職員が医療的ケアに関与している実態が示された。介護職と医療行為(経管栄養,喀痰吸引など)の問題が検討されている。(筆者)
5/15 厚生労働省 食中毒を疑ったときには(医師,医療機関向け)
<食中毒予防の3原則>
・食中毒菌を「付けない,増やさない,殺す」
<家庭でできる 食中毒予防の6つのポイント>
@食品の購入 新鮮な物,消費期限を確認して購入する等
A家庭での保存 持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存する等
B下準備 手を洗う,きれいな調理器具を使う等
C調理 手を洗う,十分に加熱する(ノロウイルスは85℃,1分以上)等
D食事 手を洗う,室温に長く放置しない等
E残ったもの きれいな器具容器で保存する,再加熱する等
5/14 厚生労働省 「雇用保険制度見直しの5項目」(まとめ)
<雇用失業情勢における雇用保険制度の見直し>
@非正規労働者に対するセーフティネットの機能の強化
A再就職が困難な場合の支給の強化
B安定した再就職へのインセンティブ強化
C育児休業給付の見直し
D雇用保険料率の引下げ

→雇用保険制度の沿革は,@1947年(失業保険制度の創設),A1974年(3事業(雇用改善事業,能力開発事業,雇用福祉事業)を目的として「雇用保険法」を制定),B1977年(改正雇用保険法で雇用改善事業に代わり雇用安定事業を規定),C2007年(雇用福祉事業を廃止し2事業とされたなど),D2009年(派遣切りを受けて見直しをした),である。同じ労働保険でありながら,労災保険では企業の責任が厳しく追求されるのに対して,雇用保険では本来企業が果たすべき責任に対して国民の税金が使われる。おちこぼれを作らないためにも,雇用保険も労災保険と同じ扱いにすべきという指摘には説得力がある。「セーフティーネット」と言われるが,生活保護制度を含めて,日本の官僚が作る網が「セーフティ」にならないのはどうしてであろうか。(筆者)

「2009年4月から何が変わったか」
5/13 厚生労働省 2009年度HIV検査普及週間(6/1〜6/7)
<HIVの検査>
@保健所
電話等による検査申込みも受け付ける。
・無料・匿名で行う。
Aエイズ治療拠点病院
・全国に366か所あり,有料で行う。
B一般の医療機関
・有料で行う。


「検査結果を知ることは,二次感染防止ばかりでなく,自分自身にとっても,医師の指導を守りながら生活することにより発病を抑えることが可能となるため,非常に重要なことです。現在では,発病を抑えるよい薬も開発されており,世界中で治療薬やワクチンなどの研究が進んでいます。」と説明されている。

→■「エイズQ&A」(エイズ予防情報ネット)

5/12 厚生労働省 高年齢者職業相談室 高年齢者職業相談室は,全国の主要都市の庁舎施設などに設置(2008年4月現在127室)され,概ね55歳以上の高年齢者を対象に,職業相談,職業紹介,雇用相談等を行う。

→現在の高年齢者雇用就業対策は,@定年の引上げ・継続雇用制度の導入の推進(2004年の「改正高齢者雇用安定法」),A中高年齢者の再就職の援助・促進(高年齢者職業相談室など),B高年齢者の多様な就業・社会参加の促進(シルバー人材センターなど),で構成される。3福祉士の国家試験に出題されやすい事柄である。(筆者)
5/11 厚生労働省 「障害者自立支援法パンフレット」(2009年4月版) / 障害福祉サービス等に関するQ&A(2009年4月)
<4月15日記事の再掲>
→3月31日に,障害者自立支援法の改正法案が国会に提出された。じっくり読んでみた。職能団体等の動きをホームページ等で見たが大きな動きはない。法案の中身の危うさより,遠くない時期に介護分野の従事者不足と同様に,障害分野の従事者離れ・不足が社会問題化するのではないかという強い危惧を持った。「支援する人をどれほど支援できるか」が,その社会の成熟度ではないかと思う。これまでに,支援する人を粗末に扱っていいことがあったか。(筆者)
<2月14日記事の再掲>
→現在,「障害者権利条約」が今国会で批准される可能性が取りざたされている。障害者権利条約は,国際的な障害者の人権保障の到達点であるが,条約の批准があれば障害者の権利が守られるというものではない。これまで,「障害者権利条約」に障害者の立場からご尽力されてこられた方々に敬意を表したい。
→条約署名以降の国の取組みを概観すれば,2007年9月以降「障害者権利条約に係る対応推進チーム」(9省庁)で検討され,2008年11月に「欧米諸国における障害者権利条約批准に向けた取り組み」(障害者職業総合センター)が報告され,2008年12月26日に「障害者施策推進課長会議」から障害者権利条約の検討結果が報告され,日本障害フォーラム(JDF:NGO)との意見交換(内閣府関連,文部科学省関連,厚生労働省関連など)もされてきた。これらに基づいて,政府は「障害者基本法の見直し」をすれば,その後は国内法の整備は条約の解釈論(国の事情の範囲など)で乗り切れると判断して,今国会において障害者権利条約批准の承認を得ようとしているのだと思える。そうであれば,現在検討中である厚生労働省の「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」の結論を待つまでもないということが理解できる。「障害者基本法の改正案」は議員立法として国会提出されることが見込まれているとのことである。(筆者)

→毎年パンフレットを作り変えなければならない「制度」をどのように評価すべきでしょうか。現在,障害者自立支援法等の改正法案(@利用者負担の見直し,A障害者の範囲および障害程度区分の見直し,B相談支援の充実,C障害児支援の強化,D地域における自立した生活のための支援の充実)が国会に提出されている。障害者自立支援法の改正案に対して,障害者団体等は強く反対している。そのポイントは,障害者の定義に「発達障害者」は加えられたが,「難病等」が含まれていない,法附則の見直し項目であった所得保障の確立が手付かずである,などが挙げられている。また,今国会での早期承認を考えている政府の障害者権利条約の批准についても,早期批准を拙速だとして障害者団体は反対している。これは,障害者基本法の定時改定の時期に便乗して,「障害者基本法の定義の改定」で批准の問題を乗り切ろうとする考え方に反対するものである。批准後に法整備をするという約束は果たされると思いますか。日本は,1994年に「子どもの権利条約」を批准したが,政府の何もする必要がないという説明を鵜呑みにした結果が現在である。日本の子どもが置かれている現状と条約のギャップをどのように受け止めますか。(筆者)

障害者権利条約の批准に関する国連のデータ

4/15「障害者自立支援法の改正法案」,2/14結局,「障害者権利条約」は形式的な批准として第171回通常国会に提出される?)の記事を参照
5/8 厚生労働省 自殺未遂者ケアガイドライン (自殺未遂患者への対応〜救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き) <7.3MB>
<自殺予防のための行動-3つのポイント->
(周囲の人が,自殺を考えているのではないかと思い当たるとき)
@悩みに気づき,耳を傾ける(気づき)
A早めに専門家に相談するよう促す(つなぎ)
B温かく寄り添いながら,じっくりと見守る(見守り)

<その他の報告書・ガイドライン>
自殺に傾いた人を支えるために(相談担当者のための指針)/ ■自死遺族を支えるために(相談担当者のための指針)/ ■自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書


明確な根拠を持つ(「心の健康」−自殺)
5/2 財務省・
厚生労働省
2009年度補正予算 / 2009度厚生労働省補正予算案の概要 ・政府は4月27日,「2009年度補正予算案」を国会に提出した。緊急雇用対策に2兆5,128億円を計上し,「雇用調整助成金の拡充等」「再就職支援・能力開発対策の推進」「緊急雇用創出事業の拡充」「失業等給付費の確保」などの対策を盛り込んでいる。

4/20「経済危機対策」,4/3「2009年度政府予算」(ポイント)3/19「経済危機克服のための有識者会合」,2/16オバマ新政権の景気対策法案が上下院で通過の記事を参照
5/1 厚生労働省 都道府県による新型インフルエンザ相談窓口(2009年4月30日現在)
<厚生労働省からの呼びかけ>

『感染した可能性がある方で発熱や咳の症状があるかたは,直接医療機関を受診せず,(左記の)各保健所等に設置された発熱相談センターにご相談ください。』
4/28 経済産業省 「大学・大学院における起業家教育実態調査」
<2009年2月19日記事の再掲>
経済産業省は,社会的課題を解決するビジネスとして,また地域における安定的かつ継続的な雇用創出の受け皿として期待されている「ソーシャルビジネス」について,全国から先進的事例を公募し,「55」の日本を代表する取組みを選定した。2009年2月17日に公表された。


→昨年から,このカテゴリーで取り上げてきた「ソーシャルビジネス」についての先進事例である。福祉・介護の分野において,福祉専門職の社会起業は奨励されるべきと考えている。行政の力よりも自助努力で問題に取り組もうとするのがソーシャルベンチャーである。「持続可能なソーシャルビジネス」とするためには,卓抜した知識・技術が必要であることは言うまでもない。(筆者)


【1】「ソーシャルビジネス」に関して
→●1/15(■「特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし」(改訂版)),2008年12/17(■拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場)の記事を参照


【2】昨年,このカテゴリーで取り上げた「シルバーサービス」や「ソーシャルビジネス」にかかわる報告群
@「産業構造審議会地域経済産業分科会報告書」(2008年2月)
A「ソーシャルビジネス研究会報告書」(2008年4月)
B「人生85年ビジョン懇談会報告書」(2008年5月)
C「安心と希望の医療確保ビジョン」(2008年6月)
D「シルバーサービス振興ビジョン」(2008年9月)
E「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月)
F
「安心と希望の介護ビジョン」(2008年11月)

→このカテゴリーでは昨年から,ソーシャルビジネス,シルバービジネス等の起業について,関連情報を掲載してきた。福祉専門職は大いに起業を志すべきと考えている。参考資料として掲載する。(筆者)


2/19「ソーシャルビジネス55選」の記事を参照
4/27 厚生労働省 ブタインフルエンザに対するWHOの見解
          
4月28日,WHOは「新型インフルエンザ」と名称変更し,「フェーズ4」に指定を変更した。
          
4月29日,「フェーズ5」に指定を変更した。
WHOは,2009年4月25日に現在の状況を「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」であると位置づけた

→下記の厚労省の提出資料中,「米国疾病管理センター(CDC)Q&A」のポイントを挙げる。ブタインフルエンザは,A型インフルエンザウイルスによって引き起こる呼吸器疾患である。人には通常感染しない。新型インフルエンザに変異する可能性がある。豚肉や豚肉加工品を食べることによって感染しない。治療薬として,タミフルやリレンザの投与を推奨する(日本の呼称)。現在,ブタインフルエンザのためのワクチンはない。(筆者)

→■厚生労働省の提出資料(4/26)
4/24 厚生労働省 厳しい経済情勢下での労務管理のポイント(労働者向け) / パンフレット
労働契約にかかわる法律・制度
@労働基準法:労働基準監督署による監督指導や罰則によって,その履行が確保
A労働契約法に定められた事項を含め民事上の紛争:簡易・迅速に解決するための仕組としての「個別労働紛争解決システム」
B男女雇用機会均等法:各都道府県労働局雇用均等室による助言・指導・勧告によって,その履行が確保
Cパートタイム労働法:各都道府県労働局雇用均等室による助言・指導・勧告によって,その履行が確保
4/23 内閣府 「2009年版 少子化社会白書」(概要 / 本文 ・内閣府は4月17日,2009年版少子化社会白書を発表した。日本の年少人口(2008年10月現在)の総人口に占める割合は13.5%と世界的にみても最も小さくなっていると指摘している。最近の少子化の現状や今後の見通しについて説明し,少子化対策として,若年の就労支援や働き方の見直しによる仕事と家庭の両立(WLB)の推進が必要としている。

→「少子化社会白書」について,筆者は不思議に思うことがある。例年12月の公表であったが,ここ数年不自然なサイクルで公表されていることである。2006年12月,2007年11月,2008年6月,2009年4月である。
・現行の「子ども・子育て応援プラン」が2009年度で終了する。
・2007年12月に公表された「子どもと家族を応援する日本」重点戦略と「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」が少子化対策の支柱である。
・2009年4月に,「「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」緊急アピール」「緊急宣言「今こそWLBの推進を」」「子育て創生&安心プラン〜待ったなしの少子化対策〜」を発表した。
という事柄をつなぎ合わせると,現在の社会・経済情勢との整合に困っている様子がうかがえる。(筆者)
4/22 厚生労働省 障害者雇用対策において,2010年7月から除外率が引き下げられる ・「現実には,障害者が就業することが困難であると認められる職種もあります。これらの職種の労働者が,その事業所の労働者の相当の割合を占める業種を除外率設定業種として,除外率を定めています。具体的には,除外率によって算定される除外労働者数を総労働者数から控除した上で,雇用率を適用します。」と説明されている。
(法定雇用率)
@民間企業:1.8%,A特殊法人:2.1%,B官公庁:2.1%,C厚生労働大臣の指定する教育委員会:2.0%


→現行の障害者雇用義務の目的は,事業主の社会連帯の理念に基づき,各事業主が平等に身体障害者または知的障害者を雇用しているという状態を実現することにある。しかし,障害者雇用率制度の除外率を即時に廃止しなかったり,精神障害者を障害者雇用率制度の対象外のままにしておいたり,雇用率算定では人一人をダブルカウントや0.5カウント扱いにしたり,と未だに言葉ばかりで実体の伴わない未成熟な状況にある。このような状況に疑問を呈し続けることは,ソーシャルワーカーの役割であると思う。(筆者)
4/21 厚生労働省 「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」 ・2009年4月から見直された「新基準での要介護認定」がスタートしたが,直後にその見直しを見直すための「検討会」が設置された。

→スタートした直後に問題が噴出する。同じようなことが昨年4月の「後期高齢者医療制度」にもあった。今回,検討結果が出るまでの間,旧認定を継続させるという経過措置が直ちに発表された。軽々な発言は慎まなければならないと思うが,行政側の軽度誘導の意図についての疑念にも答えることを含めて,検証の結果を,国としてきちんと説明する責任があると思う。「要介護認定」は,介護保険制度の根幹をなす事柄である。検討会でも,意見は割れるはずである。今後も,検討会を注視していく。(筆者)

3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照
4/20 内閣府 「経済危機対策」

(2009.5.2追記)
@2009度厚生労働省補正予算案の概要
A2009年度補正予算
・政府は4月10日,追加の経済対策である「経済危機対策」を決定した。15.4兆円の財政支出を伴う同対策により,2009年度の実質GDP成長率を2%程度押し上げ,年間40〜50万人程度の雇用創出を見込んでいる。
・雇用対策には1.9兆円を計上し,雇用調整助成金の拡充,Aハローワーク機能の抜本的強化を含む「再就職支援・能力開発対策」,B派遣労働者保護対策・内定取消し対策などを盛り込んでいる。
・中長期的な成長を図るとして,@「低炭素革命」(1.6兆円),A「健康長寿・子育て」(2.0兆円),B「底力発揮・21 世紀型インフラ整備」(2.6兆円),の3本柱を挙げている。

→財政支出15兆円,国債追加発行10兆円以上という内容である。後日民主党の発表した財政支出は2年間で21兆円であった。双方の欠陥は,経済対策と一体となった社会保障制度改革の展望がないことだと思う。政府案では2010年度までは財政出動するが,後は民間で頑張れというのはいかにもその場しのぎのようである。4月27日頃に補正予算案を国会に提出する予定とのことである。アメリカの大型財政出動の要請に応えるという現政権のミッションが完遂できるところまで来たと受け止めている。中身を見れば,総額に埋め込んでいった様子がうかがえる。(筆者)

4/3「2009年度政府予算」(ポイント)3/19「経済危機克服のための有識者会合」,2/16オバマ新政権の景気対策法案が上下院で通過の記事を参照
4/17 厚生労働省 「自動体外式除細動器(AED)の適切な管理等の実施について」 ・自動体外式除細動器(AED)は,心室細動の際に機器が自動的に解析を行い,必要に応じて電気的なショック(除細動)を与え,心臓の働きを戻すことを試みる医療機器である。
・2008年12月現在の推計設置台数:約20万台弱
4/16 警察庁 「警察における取調べの録音・録画の検証について」
<警察庁の公表文書より引用>
概要
平成21年5月21日に導入される裁判員裁判では,自白の任意性について,裁判員に分かりやすく,かつ迅速な立証が可能となるよう,警察としても一層の配慮をする必要があります。
警察庁では,裁判員裁判における自白の任意性の効果的・効率的な立証に資するためには,いかなる方策が有効であるかを検討するため,平成20年4月,警察における取調べの録音・録画の試行を開始することを表明しました。そして,録音・録画装置を整備した上で,同年9月から警視庁,埼玉県警察,千葉県警察,神奈川県警察及び大阪府警察において試行を開始し,平成21年2月末までの半年間で,合計66件(被疑者58人)の試行を実施しました。」

検証の結果
今次試行に係るDVDについては,自白の任意性の効果的・効率的な立証方策となり得ると考えられた
一方,
取調べの真相解明機能に影響を及ぼす場合があることが明らかとなったため,実施に当たり,録音・録画の方法について十分に配慮するべきこと
などが分かりました。」

今後の方針
上記の検証を踏まえて,平成21年4月以降,全都道府県警察に試行を拡大して,試行を積み上げ,公判においてDVDが利用された事例等の集積を図ることにより,裁判員裁判において自白の任意性の効果的・効率的な立証に資するには,いかなる方策が有効であるかをより多角的に検討することとしております。」
4/15 厚生労働省 「障害者自立支援法の改正法案」(概要 / 本文 ・今回の法改正は,「施行後3年の見直し」(附則第3条)に基づき,実施状況等を勘案して必要な措置を講ずるための見直しで,また法成立時の「附帯決議」で示された諸課題を具体化するための見直しでもある。

→3月31日に,障害者自立支援法の改正法案が国会に提出された。じっくり読んでみた。職能団体等の動きをホームページ等で見たが大きな動きはない。法案の中身の危うさより,遠くない時期に介護分野の従事者不足と同様に,障害分野の従事者離れ・不足が社会問題化するのではないかという強い危惧を持った。「支援する人をどれほど支援できるか」が,その社会の成熟度ではないかと思う。これまでに,支援する人を粗末に扱っていいことがあったか。(筆者)
4/14 内閣府 「社会意識に関する世論調査」(2009年1月実施) ・内閣府は,社会や国に対する国民の基本的意識の動向を調査し,広く行政一般のための基礎資料とするため,「社会意識に関する世論調査」を実施した。
日本が悪い方向に向かっていると思う分野について聞いたところ,@「景気」(68.6%),A「雇用・労働条件」(57.5%),「国の財政」(42.9%)の順であり,いずれも2008年から大幅に増加した
4/11 総務省 「日本の統計2009」「世界の統計2009」 「日本の統計2009」の「労働・賃金」の章では,都道府県・産業別の就業者数,産業・企業規模別の女性パート労働者の時給額,定年制の実施状況など35項目のデータを紹介している。
「世界の統計2009」の同章では,各国の就業者数,失業率,労働時間,平均賃金,生産性,労働災害,労働争議などのデータを掲載している。
4/10 厚生労働省 「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」の施行中学生向けパンフレット

ハンセン病に関する法律は,1907年の「癩予防ニ関スル件」,1953年の「らい予防法」,1996年の「『らい予防法』の廃止に関する法律」の変遷がある。患者たちが全国組織(現・全国ハンセン病療養所入所者協議会)を設立したのは1951年であるが,元患者らが「らい予防法」に基づく隔離政策で人権を侵害されたとして,世界でも例を見ない国の隔離政策の責任を問うたハンセン病国家賠償訴訟では,国に賠償と謝罪を求めた。2001年に熊本地方裁判所で国の法的責任を認める判決が出された。国は控訴を断念し,そのうえで,原告も含め,療養所に入所している約4400人全員を対象に,損失補償のほか,特別年金支給や福祉政策を柱にした恒久対策を発表,国会も責任を認め,議員立法で反省と謝罪を明らかにした。2002年にはハンセン病訴訟で未解決になっていた,療養所に入所歴がない元患者と提訴前に死亡した元患者の遺族について,原告団と厚生労働省は,和解基本合意書に調印した。
・1996年「らい予防法」が廃止されたとき,それまで「らい」に付加され続けた悲惨なイメージをすべて解消するという意味から「ハンセン病」と呼ぶよう改められた。
2008年「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が成立した。ハンセン病に対する差別や偏見を解消し,ハンセン病患者及び元患者の名誉を回復することを目的にしたものであり,「ハンセン病問題基本法」ともいわれる。2009年4月1日に施行された。

<政府の広報より引用>
『ハンセン病は「らい菌」によって引き起こされる感染症の一種ですが,感染・発病力は非常に弱く,早期発見と適切な治療で完治できる病気です。しかし,日本では明治40年から平成8年に「らい予防法」が廃止されるまで,国による隔離政策によって,ハンセン病の患者や家族は地域社会で平穏に生活することを妨げられ,ハンセン病に対する周囲の偏見や誤解から,人権上の制限や差別などの大きな被害を受けてきました。
4/9 厚生労働省 「教育訓練給付金の支給の対象となる教育訓練の指定基準」の改正
1998年に創設された「教育訓練給付制度」の指定基準の見直しである。
・現行基準で概ね2年以内と定めている高度専門教育の訓練期間について,修了時に公的職業資格が取得可能な訓練等の期間の上限引き上げと下限撤廃を盛り込んでいる。

(1)原則(改正なし)
・通学制:1か月以上1年以内かつ50時間
・通信制:3か月以上1年以内
(2)例外(改正あり)
・対象:大学院修士・博士課程,教育訓練の修了により公的職業資格を取得できる課程,等を明確化した
・通学制:3年以内とした
・通信制:3年以内とした
4/8 首相官邸 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会(最終報告)」(概要 / 本文

「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」構成員(敬称略)(順不同) 専門(やまだ塾記載)
岩男寿美子 慶應義塾大学名誉教授 社会心理
大熊由紀子 国際医療福祉大学教授 ソーシャルサービス
高山憲之 一橋大学教授 公共経済,経済政策
土居丈朗 慶應義塾大学准教授 公共経済
薬師寺泰蔵 慶應義塾大学客員教授 政治学
奥田碩(座長),浅野史郎,朝倉敏夫,
テリー伊藤,松浦稔明

<「厚生労働行政の在り方懇談会」の根拠>
「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」のうち,Dがその根拠である。
@高齢者が活力を持って,安心して暮らせる社会
A健康に心配があれば,誰もが医療を受けられる社会
B未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
C派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
D厚生労働行政に対する信頼の回復

<「第1回厚生労働行政の在り方懇談会」において明示された「厚生労働省が2008年を改革元年として現在取り組んでいるとしている事項」>
【1】組織体制の見直し
@改革推進室の設置
A人事政策検討会の設置
B広報委員会の設置
【2】政策ビジョンの検討
@人生85年ビジョン懇談会の設置
A安心と希望の医療確保ビジョン会議の設置
B安心と希望の介護ビジョン会議の設置
【3】個別施策の検討
@年金記録作業委員会の設置
A薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会の設置




→「改革」と言えるだろうか。一部の組織編成が提言されている。膨れ上がった厚生労働省の業務(年金,医療,介護保険,生活保護,障害者支援,少子化・育児,感染症,医薬・食品安全,雇用対策など)と予算(一般歳出52兆円の約半分)が円滑に効率よく進行する方向に政府全体で取り組むのではなかったのか。おおよその結論は想像できたが,この「改革」によって,巨大化し肥満化した厚生労働行政のフットワークが軽やかになるとは思えない。これからも,国会審議が衆議院の厚生労働委員会に集中する。後手後手とごたごたが続くように思われる。(筆者)

<2008年12月22日記事の再掲>
→いつもながら,無礼を承知で,日頃から厚生労働行政を注視している筆者の意見を率直に述べる。この不安定な政局の中で,社会問題化している厚生労働省の運営・組織・体制の「改革」が遂行できるとは考えづらい。また,この中間報告および2008年度末に予定されている最終報告による「改革」が完遂される可能性は低いと考えている。もっとも抽象的な表現の事柄に完遂という言葉は当たらないのかも知れない。本会議は福田前首相の指示で設置されたものであることもそう考える根拠になっている。上記の@〜Eの項目の抽出において,左記の多様で急しつらえの会議メンバーで,しかも会議開催がわずか5回(1時間30分〜2時間程度/回)であったことを考慮すれば,議論が不足していたことは明白である。当然に,実現するための手順は示されておらず,内容や表現も抽象的である。ということで,この中間報告の曖昧さは,改革に対する政府および所管省庁の考え方の反映と推測した。(筆者)

<2008年8月11日記事の再掲>
→「厚生労働行政の在り方懇談会」の事務局を,厚生労働省単独ではなく,官邸と厚生労働省の共同管轄に変更したことは民意に即していると思う。現行の年金は社会保険方式で運営されており,2008年6月の「社会保障国民会議 中間報告」では触れられなかった「基礎年金の国庫負担割合の1/3から1/2への引き上げ」にも関連するが,年金制度の第一人者であり「公的年金財源に目的消費税導入を提唱している人物」(この人物は,2008年7月25日付日本経済新聞「経済教室」において,「年金記録管理は日本の社保庁だけでなく,外国にも,また民間の年金等にも共通する難題である」と述べ話題になった)やテレビタレント的な人などで構成された有識者10名(うち4名は急遽追加された)によって,日本の活動力の根幹をなす「雇用」「年金」「医療」などが話し合われる。何度も申し上げるが,鵜呑み・丸呑みをせず,属性だけで人を判断せず,誰によってどのようなことがどのように話し合われたかに常に関心を持つことは,ソーシャルワーカーに必要とされる技術である。2008年度末には結論が出される予定である。(筆者)


2008年12/22「厚生労働行政の在り方に関する懇談会(中間報告)」,8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置されたの記事を参照
4/7 厚生労働省 「2008年版 女性労働白書」(ポイント)
・厚生労働省は3月26日,「2008年版 働く女性の実情」(女性労働白書)を発表した。近年進学率が上昇し,労働市場に占める割合が高まっている大卒女性の働き方の現状と課題を分析している。育児休業から復職しても職業キャリアの発展の見通しが立てられることは,能力発揮意欲の実現と家族形成の二者択一状況を解消する上で必要不可欠の条件と指摘し,条件整備に向けた一つのキッカケとして男性の育児休業取得率の向上をあげている。

「白書(福祉福祉関連)」(「働く女性の実情」)
4/6 厚生労働省 「義肢等補装具の支給方法等の大幅な変更」
〜2009年4月から〜
<主な変更点>
@現物支給→費用支給
A受領委任すれば,原則購入(修理)の費用負担なし
B差額自己負担が認められる
(一定の要件下で)
・業務災害・通勤災害により傷病を被った場合に,両上下肢の亡失または機能障害等の残った人は,義肢その他の補装具等が必要不可欠となる。労災保険では,社会復帰促進等事業として「義肢等補装具の支給」を行っている。
4/3 財務省 「2009年度政府予算」(ポイント)


(2009.5.2追記)
@2009度厚生労働省補正予算案の概要
A2009年度補正予算
2009年度の政府予算および税制改正関連法案は,3月27日に成立した。
一般会計総額は,88兆5,480億円と過去最大規模で,雇用対策,医師確保・緊急医療対策,出産支援,成長力の強化などを最優先課題に設定し,予算措置を盛り込んでいる。
・政策経費である一般歳出は51兆7,310億円で,このうち社会保障関係費は24兆8,344億円である。

→憲法の規定から今回の法案成立をみると,予算案は憲法60条の衆議院の優越により成立し,税制関連法案は憲法59条の衆議院の2/3以上の賛成多数で再可決され成立した。これ自体尋常なことではないが,今回,もっとも驚かされたのは,予算国会ともいわれる通常国会審議中に予算編成責任者の財務大臣と財務副大臣が辞任しても,何の支障もなかったことである。(筆者)
4/2 厚生労働省 「知っておきたい食品の表示」(2009年3月版) →介護福祉士および受験者にとっては,「受験と実践に結びつく必須の知識」である。例えば,2008年6月に変更があったアレルギー物質については,次回の国家試験で出題される可能性が高いと予想している。
→「2008年度の3福祉士国家試験」の結果が公表されたので,以下に掲載する。(筆者)


<第21回,第11回 3福祉士国家試験の結果>
区分 受験者数 合格者数 合格率 合格点
介護福祉士 139,830人 67,933人 52.0% 76点
社会福祉士 46,099人 13,436人 29.1 85点
(46点)
精神保健福祉士 7,186人 4.433人 61.7 80点
(42点)
なお,社会福祉士・精神保健福祉士の「学校別合格率」は無意味なデータと思えるので,今回から本HP上で掲載しないことにした。それよりも,合格率がなぜ「20%台」なのかということが分かるデータを出してもらいたいものである。試験問題の難易度が高いから合格率が低いのではないということはこれまでにも言ってきた。これについては,筆者は,「教える側」の問題であると考えている。さらに,試験問題の半分しかできない者(得点率が50%)を合格させるソーシャルワーカーの国家試験制度が,国際的に通用するとは思えない。制度設計については,「国の品格」の問題としか言いようがない。
4/1 - 2009年4月から何が変わったか。 2009年度から,段階的ではあるが,3福祉士の教育カリキュラムと国家試験が大きく変わる。やまだ塾としても,変化に対応した効果的なサポートの仕方を工夫していきたいと考えている。また,今年度は1つでもいいから新しいことにチャレンジしてみようと思う。何もしなければ何も変わらない。(筆者)
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
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