福祉行政の最新情報(2006.4.1〜)−7
2008年7月1日〜2008年8月31日
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
http://www.yamadajuku.com/
2013年4月1日〜
2012年4月1日〜2013年3月31日
2011年4月1日〜2012年3月31日
2010年10月1日〜2011年3月31日
2010年4月1日〜2010年9月30日
2010年1月1日〜2010年3月31日
2009年8月1日〜2009年12月31日
2009年4月1日〜2009年7月31日
2009年1月1日〜2009年3月31日
2008年11月1日〜2008年12月31日
2008年9月1日〜2008年10月31日
2008年7月1日〜2008年8月31日
2008年4月1日〜2008年6月30日
2007年12月1日〜2008年3月31日
2007年8月1日〜2007年11月30日
2007年4月1日〜2007年7月31日
2006年10月1日〜2007年3月31日
2006年4月1日〜2006年9月30日
日付 関係省庁等 項 目 ポイント
8/30 厚生労働省 「2006年度 国民医療費の概況」
〜「4年ぶりに減少」〜
国民医療費の総額:33兆1276億円(前年度比13億円減)で,4年ぶりに前年度を下回った。理由は,診療報酬がマイナス改定(△3.16%)されたためとされている
・65歳で区分した医療費:
65歳以上の医療費は17兆1233億円(全体の51.7%)で,1人当たり平均医療費は64万3600円となり,65歳未満15万8200円の4倍を超えている。なお,国民1人当たり平均医療費は25万9300円(前年度比0.0%)であった。

→2007年度に国民医療費が増加することが明白な状況でも,「4年ぶりに減少」という見出しで1年遅れで公表される「国民医療費」の意義とは何であろうか。この統計は,制度別,財源別,診療種類別,年齢階層別,傷病分類別の専門的な分析のための詳細なデータを提供するために一年遅れの公表でも価値があるとされているが,従来から,筆者は,この伝統ある「○○年度国民医療費の概況」の公表に関して2点の不思議を感じている。
不思議@:気の遠くなるような医療費の消費先が追求されないこと。
医療費(33兆1276億円)に対する「13億円の減額」or高止まりであるのに「4年ぶりに減少」という枝葉末節とも思えることを見出しにして報道される不思議(一体これだけの金がどこに対して消費されたのかは分析されないし,知らされない。医療費を抑制するには核心を突くデータが必要である)
不思議A:頭割りではなく,一人当たりの実医療費が追求されないこと。
「65歳以上は65歳未満の平均の4倍を超えている」などあたかも「65歳以上にすべての問題がある」というニュアンスを出すためとしか思えない数値の公表であり,実際に医者にかかった人数を分母にした数値での比較や分析を求められないという不思議(公平性・納得性および医療費抑制の観点から,例えば,自動車保険料の無事故割引のような制度導入の提案に対しても,医者にかからなかったかまたはわずかにかかった人数が分からなければ検討すらできない)(筆者)
8/29 文部科学省 「2008年度学校基本調査」(速報) ・学校基本調査は,学校に関する基本的事項を明らかにすることを目的として毎年実施されている。
・調査結果のポイント
@児童・生徒数
小学校児童数712万2千人(前年度比1万1千人減),中学校生徒数359万2千人(同2万2千人減)で,ともに
過去最低を更新
A進学率
高等学校卒業者の大学等現役進学率52.8%,浪人等を含む大学・短期大学進学率55.3%で,ともに
過去最高
B不登校

2007年度の不登校児童生徒数12万9千人(小学校2万4千人,中学校10万5千人,中等教育学校131人)で前年度比2千人
増加。全児童生徒数に占める割合は1.20%(小学校0.34%,中学校2.91%,中等教育学校1.37%)で0.02ポイント上昇。中学校生徒数に占める割合は過去最高
C就職率

2008年3月卒業者の就職率は,高等学校,大学とも
上昇し,高等学校19.0%(前年比0.5ポイント上昇),大学(学部)69.9%(同2.3ポイント上昇)

→昨年話題になったことであるが,2005年2月の中教審答申で,1997年の予測を2年前倒して,2007年度に「大学全入時代」が到来すると修正したが,結果は約90%であった。わずか1年後の予測をはずした有識者・官僚に世間は驚いた。結局は,進学率の読み違えであろう。文科省は,今回の進学率上昇結果を「予想以上に高学歴志向が高まった」(新聞報道)としている。2008年度も「全入時代」は到来していない。不登校の増加については,「教育委員会」などの特定の者からの意見収集で判断するのではなく,適切な意見収集に基づいた分析によって,効果的な施策がなされることに注目が集まっている。現在,国民は,「教育の全体」が見えにくいと感じている。(筆者)

→■「2007年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(小中不登校)について(速報値)

明確な根拠をもつ「子ども・青少年」)
8/28 厚生労働省 「2009年度から出産費用の援助拡大」を表明 →頭を整理すると。20年以上も前から予測されていたにかかわらず,日本の少子化対策が大きく立ち遅れた要因は,本来は同時進行されなければならないのに,年金や老人医療など高齢化対策に追われ,子育て支援などの少子化対策が後手に回ったためと一般には理解されている。そして,現在も状況は大きくは変わっていない。
→今回の大臣の唐突な表明は,おそらく2008年5月20日に取りまとめられた「少子化対策特別部会」の「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」を踏まえたものと思うが,その場しのぎのバラマキ施策のように受け止められ,地方分権を危うくする内容も含まれているように思われる。「お金のことを全く心配しないで健診も受けられる,分娩費用も出るということの検討を開始したいと思います」と言った後に,「各地で実際に分娩費用がいくらかかっているのかということは,今から再調査をやってみます」と言うのは,後先が逆のように思う。また,「出産費用の医療保険適用」の記者の質問に対して,「長期的な課題」と不明確ながらも回答している。さらに,「西濃運輸が健保組合を解散して政管健保に移る」ことについても触れられている。一読いただきたい。(筆者)


「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」
→●6/10(「2008年版少子化社会白書」)の記事を参照
8/27 厚生労働省 「2007年企業における採用管理等に関する実態調査」
〜正社員への登用:65%の企業で実績あり〜
・2007年9月1日現在在籍している正社員の人数が2002年と比べてどのように変化したかをみると,、「正社員の人数が増えた」が30.7%,「ほぼ変わらない」が30.4%,「正社員の人数が減った」が38.6%となっている。「正社員の人数が増えた」を産業別にみると,「医療,福祉」(56.3%),「情報通信業」(54.5%)が高くなっている。企業規模別にみると,企業規模が大きくなるほど「正社員の人数が増えた」企業割合が高くなっている。
・非正社員から正社員への登用制度と実績について,「制度,実績ともにある」27.8%,「制度はないが実績はある」37.6%と,全体の65.4%の企業で正社員への登用実績があった。「制度がある」企業の約7割は年齢の上限を設けていない。また,「実績がある」企業の約6割が,登用した社員が中核となる人材として活躍している事例が「ある」と答えている。


→数字だけをみると「非正社員から正社員への登用」が進んでいるようであるが,「本当かなあ」という感想である。実態を正確に把握するためには,偽装請負などの要素も加えなければならない。(筆者)
8/26 内閣府 「地域別にみる女性の就業率」
〜北陸に比べて近畿では,育児期の女性が就業することが難しい状況がある〜
2007年の就業構造基本調査によると、女性の就業率は5年前に比べ,全地域で上昇しているが,その水準は地域ごとにばらつきがある。女性の就業率は,「北陸」は高く,「近畿」は低い。北陸は世界的に女性の就業率が高いスウェーデンと近い水準で推移しているが,近畿は20歳代後半から北陸との乖離がみられ,40歳代前半にかけての乖離幅は17〜19%ポイント程度となっている。特に配偶者がいる女性では,その差は最大24ポイント程度に拡大し,さらに「核家族」で乳幼児を持つ女性の就業率と女性1人あたり保育所定員数の相関を都道府県別にみると,近畿の2府4県は保育所定員数,乳幼児を持つ女性の就業率ともに低い所に位置している。

→「骨太の方針2008」の「雇用戦略」の項において,『女性(25〜44歳)について,「新待機児童ゼロ作戦」の展開等による最大20万人の就業増』をうたっている。筆者は,女性の就業率向上については,方針や調査・分析ばかりで進展がないという印象をもっている。目に見えて,実効のある対応策の展開が必要であると思う。従来から,対応策は,「年齢」「既婚」「子どもあり」の3つのフェーズに対して具体的になされるべきであるという指摘がされているが,一向に核心には触れられない。例えば,1986年に「男女雇用機会均等法」が,2001年に「改正雇用対策法」が施行されてきたが,年齢制限は禁止されずに「努力義務規定」にとどまっている。禁止規定にしようとする動きはなく,話題にもならない。少子高齢化対策の一環としての「女性の就業施策」は,進むべき方向に進んでいるのであろうかという疑念がある。ソーシャルワーカーは,理由のない信頼に結びつく「無謬(むびゅう)性の神話」に陥ることなく,「誤謬の隠蔽」を常に意識しておく必要がある。(筆者)

7/5(2007年就業構造基本調査結果)の記事を参照
白書(社会福祉関連)(「2008年版厚生労働白書」/2007年版女性労働白書(「働く女性の実情」)
8/25 JOC 北京オリンピック日本代表選手団の総括記者会見
〜「指導者の重要性を再認識させられた大会だった」と発言〜
→五輪の野球とシンクロをテレビで観戦したが,素人目に見ても,日本チームの実力は世界トップレベルにはないと感じた。これらの指導者は何を根拠にメダルの獲得を公言していたのだろうか。敗戦後,選手は「日本は遅れている」と言っているのに「日本は弱くない」と言う野球の星野監督,選手は「やっぱり世界は一歩も二歩も先だった」と言っているのに「力のない日本ではない」と言うシンクロの金子チームリーダー,には日本の古典的なリーダーに特徴的な「精神主義」の不気味さとふてぶてしさを感じた。それに対して,裏切り者と非難されながらも,中国シンクロチームを短期間で世界レベルに引き上げ,銅メダルを獲得させた井村雅代中国チームヘッドコーチは,「国なんて関係ない。コーチとして幸せです」「アジアの1番が世界の1番になれば素晴らしい」と発言し,世界トップのロシアに勝つために何が必要かを常に考えている指導者としての資質の高さに改めて敬意を感じた。蛇足であるが,2009年3月開催予定の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の野球監督として星野氏に監督就任を要請しているという「日本プロ野球組織(NPB)」の見識には恐れ入る。(筆者)
8/25 内閣府 「災害用伝言ダイヤル(171)」「災害用伝言板」「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」を知ってますか? 被災地からの安否連絡のツール
@災害用伝言ダイヤル <災害時のみ稼働>
●「171」にダイヤルして伝言を登録
・音声ガイダンスが流れる
●伝言は被災地域内の人のみ登録ができ,登録料は無料,通話料は有料
●体験利用日:毎月1日,正月三が日,防災週間(8月30日〜9月5日),防災とボランティア週間(1月15日〜1月21日)
A災害用伝言板 <災害時のみ稼働>
●携帯各社のポータルサイトのトップメニューに「災害用伝言板」へのリンクが表示される掲示板に安否情報を登録
・画面の説明に従う
NTTドコモ / KDDI / ソフトバンクモバイル / ウィルコム / イー・モバイル
●体験利用日:毎月1日,正月三が日,防災週間(8月30日〜9月5日),防災とボランティア週間(1月15日〜1月21日)
B災害用ブロードバンド伝言板 ●インターネット上で伝言を登録
・文字情報,音声,画像,動画を登録
NTT東日本「災害用ブロードバンド伝言板」 /
NTT西日本「災害用ブロードバンド伝言板」

防災週間(8月30日〜9月5日)を機会に,災害被災時の公的な安否確認ツールを確認しておきたい。(筆者)
8/23 厚生労働省 ■2008年度の3福祉士国家試験の施行について(第21回介護福祉士国家試験 / 第21回社会福祉士国家試験 / 第11回精神保健福祉士国家試験 ・試験期日
第21回
介護福祉士

@筆記試験:2009年1月25日(日)
A実技試験:2009年3月1日(日)

第21回
社会福祉士
・2009年1月25日(日)
第11回
精神保健福祉士
@専門科目:2009年1月24日(土)
A共通科目:2009年1月25日(日)

→やまだ塾では,9月から本格的に国家試験対策を行う予定です。(筆者)

→■社会福祉振興・試験センター
8/22 首相官邸

厚生労働省
「厚生労働省が改革元年として現在取り組んでいる事項」
「第1回厚生労働行政の在り方懇談会」資料〜

・「厚生労働行政の在り方懇談会」設置の根拠
「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」のうち,Dがその根拠である。

@高齢者が活力を持って,安心して暮らせる社会
A健康に心配があれば,誰もが医療を受けられる社会
B未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
C派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
D厚生労働行政に対する信頼の回復
・「厚生労働行政の在り方懇談会」において厚生労働省が2008年を改革元年として現在取り組んでいるとしている事項
【1】組織体制の見直し
@改革推進室の設置
A人事政策検討会の設置
B広報委員会の設置
【2】政策ビジョンの検討
@人生85年ビジョン懇談会の設置
A安心と希望の医療確保ビジョン会議の設置
B安心と希望の介護ビジョン会議の設置
【3】個別施策の検討
@年金記録作業委員会の設置
A薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会の設置

→上記の厚労省での取り組み事項を見れば「○○の設置」としているのが特徴的である。厚生労働省の定員は本省約37,000人,外局を含めて約50,000人とされる。「○○検討会」「○○懇談会」「○○委員会」はいわば外注先ということになる。定常業務を遂行する組織のメンバーが「改革」に向けて主体的に取り組んでいくことが重要だと思う。「自浄作用が働く組織」にすることが望まれている。(筆者)

→●8/11(「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された),8/7厚生労働省の新たな幹部人事が発表された(2008年8月5日付),7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」の記事を参照
8/21 厚生労働省 「労働関係法制度に関する教育の重要性について指摘している報告書等」
@人生85年ビジョン懇談会「『人生85年時代」に向けたリ・デザイン』(2008年5月)
A国民生活審議会総合企画部会「『生活安心プロジェクト』行政のあり方の総点検−消費者・生活者を主役とした行政への転換に向けて−」(2008年3月27日)
B「雇用政策基本方針−すべての人々が能力を発揮し,安心し働き,安定した生活ができる社会の実現−」(2008年2月)
C雇用政策研究会「すべての人々が能力を発揮し、安心し働き、安定した生活ができる社会の実現−本格的な人口減少への対応−」(2007年12月)
D経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会第1次報告「働き方を変える、日本を変える」−<ワークライフバランス憲章>の策定−(2007年4月6日)

〜「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」資料より〜
2008年8月8日に「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」がスタートした。
・研究会は,非正規労働者の増加や労働契約の個別化,就業形態の多様化が進む中,
労働関係法制度,特に労働者の権利をめぐる知識が十分に行き渡っていないと指摘されることから,学校教育や労使団体,NPO,労働局,地方公共団体などが今後果たすべき役割を検討する。2009年1月に報告書としてまとめられる予定である。

→研究会では,実態把握を行ったうえで報告書がとりまとめられる予定である。重要な事柄なので注目している。
→筆者は,法制度においては,国民への説明や啓発のための効果的な施策が少なく,司法,立法,行政の先走りが目立ち,国民が置いてきぼりにされているという感想をもっている。最近のテーマでは,「裁判員制度」導入の必要な理由が未だに理解できない(反対の立場ではなく,明らかに国民に痛みが伴うことには,政治においても「インフォームド・コンセント」が不可欠と考えている)。裁判員制度は,「司法制度改革」の一環として,死刑制度に反対する政党(与党)主導で導入された経緯をもつ。また,先進国並みの制度を導入するという理由では説得力に欠ける。「裁判員制度」は,2004年5月21日成立,6年後の2009年5月21日に施行,7月以降に実際に裁判員が加わる裁判が開始される予定とされている。「後期高齢者(長寿)医療制度」のようなことにはならないと思うが,「国民の目線」で,施行までに実態調査等により直近の「民意」を確かめておく余地があると思う(「最高裁判所の意識調査(2008年4月)」 / 「裁判員制度に関する世論調査(2005年)」)。(筆者)

<8/16の記事再掲>
→3月以来,「福祉・介護従事者」には「労働者」としての視点も必要であることを繰り返しコメントし,情報提供してきた。そういう目で見れば,見落としたり,見過ごしたり,きちんと理解できていない情報が数多くあることに気づく。多面的に物事を見ることによって,閉塞した状況を打開する手がかりを見出すことがある。(筆者)

<3/15の記事再掲>

→“経営者”は,介護・福祉に従事するすべての労働者に対して,労働基準法をはじめ,男女雇用機会均等法,改正パート労働法などの法律を遵守しなければならない。現状,介護・福祉に従事する者には,「労働」に関する法的な知識が“致命的”に不足している。何が問題で何を改善・改良しなければならないのかを介護従事者自らが認識していかなければ,「社会的地位の向上」はいつまでたっても「うたい文句」のままで,他力本願である。今国会で改善に向けての若干の動きはあるものの,介護・福祉分野の構造的な改革からは程遠いものである。今後,情報提供を積極的に進めていきたいと考えている。(筆者)

→●8/16「一般労働者用労働条件通知書」の記事を参照

<「裁判員制度」に関しては>
→●2/14(■
2009年から開始される「裁判員制度」の概要
の記事を参照
8/20 内閣府 「国民生活に関する世論調査」
〜2008年6月調査〜
今後,政府に力を入れてほしい分野は,@「医療,年金等の社会保障構造改革」72.8%(前年比0.4%増),1998年以降最多),A「高齢社会対策」57.2%(同1.4%増),B「物価対策」56.7%(同21.8%増),C「景気対策」56.1%(同6.5%増)の順であった
・社会保障改革を望む人の割合は,男性67.7%,女性は77.3%で,特に主婦の78.5%が改革を望んでいた。また,年代別では@40歳代76.7%,A50歳代74.8%の順で,40歳代女性の8割以上が改革を望んでいる結果となった。


→●8/11「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された,8/7厚生労働省の新たな幹部人事が発表された(2008年8月5日付),8/4「2009年度予算の全体像」,7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」の記事を参照

明確な根拠をもつ「基本となる調査・統計」)
8/19 厚生労働省
「2007年度介護給付費実態調査結果」
〜2007年5月審査分〜2008年4月審査分〜
サービス
の利用者数
437万400人(前年度比7万4700人増)
介護サービス ・363万100人(<両サービスの重複分を含む>
・実質的増減:前年度比47万人減
介護予防サービス 104万4500人<両サービスの重複分を含む>
・実質的増減:前年度比24万人増
利用者の費用 ・15万円/人(前年4月審査分比1万2000円増)

→筆者は,2006年度から導入された「介護予防サービス利用者(要介護1〜2,経過的要介護)」が,なぜ急増するのかどうしても理解できない。一次認定が軽度に出るような仕組みになっているとは思わないが,不思議である。2009年度の介護報酬改定に併せて,一次認定ソフトが見直される予定とされ,現在,「要介護認定調査検討会」(第5回 / 第4回)で認定調査項目の削減などが検討されている。厚労省から意見を求められた関係団体だけではなく,適正な介護認定システムの構築がなされるように関係者は動向を注視しておくべきである。(筆者)
8/16 厚生労働省

「一般労働者用労働条件通知書」(常用・有期雇用型 / 日雇型) │ 短時間労働者用労働条件通知書(常用・有期雇用型)

〜根拠法令:労働基準法第15条(労働条件の明示)〜
<3/15の記事再掲>
→“経営者”は,介護・福祉に従事するすべての労働者に対して,労働基準法をはじめ,男女雇用機会均等法,改正パート労働法などの法律を遵守しなければならない。現状,介護・福祉に従事する者には,「労働」に関する法的な知識が“致命的”に不足している。何が問題で何を改善・改良しなければならないのかを介護従事者自らが認識していかなければ,「社会的地位の向上」はいつまでたっても「うたい文句」のままで,他力本願である。今国会で改善に向けての若干の動きはあるものの,介護・福祉分野の構造的な改革からは程遠いものである。今後,情報提供を積極的に進めていきたいと考えている。(筆者)

→3月以来,「福祉・介護従事者」には「労働者」としての視点も必要であることを繰り返しコメントし,情報提供してきた。そういう目で見れば,見落としたり,見過ごしたり,きちんと理解できていない情報が数多くあることに気づく。多面的に物事を見ることによって,閉塞した状況を打開する手がかりを見出すことがある。(筆者)

8/12「2007年度雇用均等基本調査結果」,7/21「2007年度 介護労働実態調査結果」,7/52007年就業構造基本調査結果,6/27労働局雇用均等室所在地一覧 5/2「介護労働を取り巻く現状について」(資料)),4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」(日本医労連),4/5「管理職の範囲の適正化」(通達),4/3(■「総合労働相談コーナー」,4/2(■労働基準法Q&A),3/12(■女性労働者の母性健康管理に関する法律の規定」(男女雇用機会均等法および労働基準法),2/25(■「妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ」(母性健康管理支援サイト),2007年12/12(■「男女雇用機会均等対策基本方針の概要」(2007年度〜2011年度 )の記事を参照

「福祉専門職の現状」
8/15 厚生労働省

「職場における心の健康づくり」(最新パンフレット) ・2006年の「改定労働者の心の健康の保持増進のための指針」を分かりやすく解説したパンフレットである。
<5/27の記事再掲>
→現在,厚生労働省は,「第11次労働災害防止計画」(2008年度〜2012年度)を策定して,3つの目標を設定し(目標@死亡者数:2007年より20%以上減少させる,目標A死傷者数:2007年より15%以上減少させる,目標B定期健康診断:有所見率増加を減少に転じさせる),重点項目に取り組むととした。メンタルヘルス対策も重点項目に盛り込まれ,「メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合を50%以上とする」ことが目標とされている。対策の中身をどうしようというレベルには遠く及ばず,取り組む事業場の向上が目標(50%以上)となっていることから,日本における職場のメンタルヘルス対策の現状が推測できると思う。(筆者)

→自殺者総数が3万人超で推移するなかで,労働者の自殺者数も8000〜9000人前後で推移している。職場でのメンタルヘルスケアの取組みが進まない理由は,@専門スタッフがいない,A取り組み方が分からない,B経費がかかる,であるとの調査結果がある(2002年厚労省)。(筆者)

→●6/23「2007年中における自殺の概要資料」,5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数,5/25「自殺予防メディア関係者のための手引き(日本語版第2版)」3/29「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」,2/23都道府県,政令指定都市等の自殺対策担当部署一覧の記事を参照

明確な根拠をもつ
「心の健康-職場のメンタルヘルス」)
8/14 厚生労働省

「2007年簡易生命表」
〜男性79.19歳,女性85.99歳〜
・「2007年簡易生命表」は,2007年における日本の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに,各年齢の者が1年以内に死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表している。なお,厚労省は,5年ごとに国勢調査による日本人の確定人口を基にした「完全生命表」を公表している。
平均寿命は,男性79.19年(前年比0.19年増),女性85.99年(前年比0.18年増)であった。
・2007年の死因別死亡確率をみると,0歳では男性:悪性新生物,心疾患,肺炎,脳血管疾患,女性:悪性新生物,心疾患,脳血管疾患,肺炎の順である。3大死因(悪性新生物,心疾患,脳血管疾患)の死亡確率は男女とも0歳,65歳,75歳の各年齢で5割を超えているが,90歳では5割を下回っている
国際比較では,女性は1985年から連続1位(2位:香港)であったが,男性は3位(第1位:アイスランド,第2位:香港)であった

→日本人の平均寿命は,三大死因を克服すればという仮定では,男性87.44歳,女性93.11歳になると推測されている。平均寿命が伸びることは、本来,喜ばしいことであるはずだが,なぜ「高齢化社会」が大きな社会問題として捉えられるのか,福祉専門職として自身の考えを言えますか?
→蛇足です。「楢山節考」(深沢七郎作)という棄老伝説を基にした小説がある。多くの日本人は,「雪の楢山へ欣然と死に赴く69歳の老母おりんを,孝行息子辰平は胸のはりさける思いで背板に乗せて捨てにゆく」という情景に涙し,「残酷であってもそれは貧しい部落の掟なのだ」という理屈で,「扶養」を放棄して躊躇し涙を流して母を遺棄する息子を孝行息子と表現し,自己犠牲する老母の行為を美化し,共感し,「神の棲む楢山」へ捨てることに納得する。筆者は,現在の日本人に「敬老精神」がなくなってきたとは思っていない。現在まで,集団主義による「棄老精神」は脈々と受け継がれてきていると考えている。むしろ,近年,介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員などの福祉専門職が登場したことよって,国民に「敬老精神」が芽生え始めてきたのだと考えている。介護保険の施設などで,「扶養」を放棄され,「棄老」された人を介護職員が大切に扱っている姿を見てほっとすることがある。現在は,「棄老精神」の伝承者が「棄老状態」になっていると思った方がいい。「高齢化社会」に真剣に向かい合う時期にきたと思う。福祉専門職が高齢者を大切にする文化を創る役割を担っていると本気で思っている。(筆者)

5/13「人生85年ビジョン懇談会報告書」の記事を参照
8/12 厚生労働省

「2007年度雇用均等基本調査結果」

★模擬問題:次の「女性労働者の母性の健康管理」に関する文章の空欄を埋めよ。

(1)労働基準法上の母性保護規定
@産前・産後【休業】(法第65条第1項及び第2項)
A妊婦の【
軽易業務】転換(法第65条第3項)
B妊産婦等の【
危険有害】業務の就業制限(法第64条の3)
C【
妊産婦】に対する変形労働時間制の適用制限(法第66条第1項)
D【
妊産婦】の時間外労働,休日労働,深夜業の制限(法第66条第2項及び第3項)
E【
育児】時間(法第67条)
F【
罰則】(法第119条)

(2)男女雇用機会均等法上の母性健康管理措置
@保健指導又は【健康診査】を受けるための時間の確保(法第12条)
A【
指導】事項を守ることができるようにするための措置(法第13条)
B妊娠・出産等を理由とする【
不利益取扱い】の禁止(法第9条)
C【
紛争】の解決(法第15条〜第27条)

答え
【 】内をドラッグ
2007年度は,労働基準法に基づく母性保護制度および男女雇用機会均等法に基づく妊娠中,出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置),仕事と育児の両立に関する事項を把握することを目的として調査が行われた
@
育児休業取得率が男女ともに上昇だが,男性は依然として低水準である。
2007年度 女性:89.7%,男性:1.56%
2005年度 女性:72.3%,男性:0.50%
A
育児のための勤務時間短縮等の措置等を導入している事業所割合は約1割上昇し約5割になった。また,利用可能期間も長期化傾向である。
B
母性健康管理制度の規定状況は,均等法改正前後を比較すると大きく進展しているものの,2007年度調査と2004年度調査との比較では大きな変化はみられず,各制度の規定率は約3割である。

→左記の模擬問題は3福祉士受験者の必須の知識である。(筆者)

→●7/21「2007年度 介護労働実態調査結果」,7/52007年就業構造基本調査結果6/27労働局雇用均等室所在地一覧,6/23(■「2008年版 男女共同参画白書」 ,4/3(■「総合労働相談コーナー」,4/2(■労働基準法Q&A),3/12(■女性労働者の母性健康管理に関する法律の規定」(男女雇用機会均等法および労働基準法),2/25(■「妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ」(母性健康管理支援サイト),2007年12/12(■「男女雇用機会均等対策基本方針の概要」(2007年度〜2011年度 )の記事を参照

明確な根拠をもつ(「男女雇用機会均等」)
8/11 首相官邸 「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」が設置された
「社会保障の機能強化のための緊急対策−5つの安心プラン−」を受けて〜

「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」構成員(敬称略)(順不同) 専門(やまだ塾記載)
岩男寿美子 慶應義塾大学名誉教授 社会心理
大熊由紀子 国際医療福祉大学教授 ソーシャルサービス
高山憲之 一橋大学教授 公共経済,経済政策
土居丈朗 慶應義塾大学准教授 公共経済
薬師寺泰蔵 慶應義塾大学客員教授 政治学
奥田碩(座長),浅野史郎,朝倉敏夫,
テリー伊藤,松浦稔明

・厚生労働省の組織改革などの方向性を2008年内に示し,2008年度末に最終報告書がまとめられる予定である。
福田首相は「厚生労働省は縦割り行政をしてきたが,国民一人ひとりに満足してもらえるサービスをする必要がある」と述べたとのことである。

→「厚生労働行政の在り方懇談会」の事務局を,厚生労働省単独ではなく,官邸と厚生労働省の共同管轄に変更したことは民意に即していると思う。現行の年金は社会保険方式で運営されており,2008年6月の「社会保障国民会議 中間報告」では触れられなかった「基礎年金の国庫負担割合の1/3から1/2への引き上げ」にも関連するが,年金制度の第一人者であり「公的年金財源に目的消費税導入を提唱している人物」(この人物は,2008年7月25日付日本経済新聞「経済教室」において,「年金記録管理は日本の社保庁だけでなく,外国にも,また民間の年金等にも共通する難題である」と述べ話題になった)やテレビタレント的な人などで構成された有識者10名(うち4名は急遽追加された)によって,日本の活動力の根幹をなす「雇用」「年金」「医療」などが話し合われる。何度も申し上げるが,鵜呑み・丸呑みをせず,属性だけで人を判断せず,誰によってどのようなことがどのように話し合われたかに常に関心を持つことは,ソーシャルワーカーに必要とされる技術である。2008年度末には結論が出される予定である。(筆者)

→●8/7厚生労働省の新たな幹部人事が発表された(2008年8月5日付),8/1「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」,7/31「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」),6/23(■「社会保障国民会議 中間報告」の記事を参照
8/9 厚生労働省

インドネシアから介護職と看護職が来日した ・日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づき,インドネシア人の日本での介護福祉士と看護師の候補者が8月7日に来日した。介護士101人,看護師104人の計205人で,6割強が女性である。介護・医療分野での本格的な外国人労働力受け入れは初めてとなる。

→筆者がインドネシア人ならば,国家試験に合格しようとは考えず,3,4年間日本で稼ぐことを目的にして来日する。いまさら,インドネシア,日本両国内の医療・介護の現場や関係者の意見を十分聞いていないという日本政府・官僚への批判をしても仕方がない。そういう考え方で来日している人がいることを否定しないでうまく受け入れるべきと思う(国家試験を合格し日本に長期滞在しようとしている人も多くいると思うが)。なぜなら,この施策がうまくいかなかったときには,「インドネシア人のレベルの低さが要因である」と官庁が国内向けの言い逃れの説明をし,その後は,その発言によって日本の外交べたを伴って国家・国民間で問題が大きくなり,こじれてしまうことが予想されるからである。近時の判断と対応を誤ったと思われる竹島の教科書記載問題からも容易に推測できる。義理か厄介扱いでえらそうに報道しているが,医療・介護を崩壊させた体たらくな日本にわざわざ来てくれているという「感謝」の気持ちも大切だと思う。何が起っても日本側に問題があるという認識が必要と思う。予想が外れることを祈っている。(筆者)

→●8/1「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」,7/29「11月11日」「介護の日」,7/21(「2007年度 介護労働実態調査結果」)6/23「福祉人材確保重点実施期間(2008年7月21日〜8月3日)」の実施について /インドネシア看護師・介護士の候補内定者247人の面接開始,6/13「2007年介護事業経営概況調査結果(暫定仮集計)」,6/6日本介護福祉士会の回答,5/20安易な外国人介護士の受け入れに反対している「日本介護福祉士会」,5/16・5/14・5/2■介護労働者の確保・定着等に関する研究会,4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」の記事を参照

「福祉専門職の現状」
8/8 厚生労働省

国土交通省
「新ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(2008年7月31日厚生労働省・国土交通省告示第1号) 2002年8月に成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(10年で効力を失う時限立法である)に基づき,2003年7月に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」が策定された。2008年7月に,2007年1月に行ったホームレスの実態に関する全国調査の結果を踏まえ,2003年の基本方針の見直しが行われた。
・2007年1月に実施されたホームレスの実態に関する全国調査において,ホームレスの数については,全国で18,564人のホームレスが確認され,2003年調査時点から6,732人減少している一方,依然として,多数のホームレスが存在していることやホームレスの数が増加している地域があることが判明している。

→基本方針では,『ホームレス対策は,ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本である。このためには,就業の機会が確保されることが最も重要であり,併せて,安定した居住の場所が確保されることが必要である。』とされている。筆者は,主客が逆であると考えている。「ホームレス状態にある人」の最重要課題を「住居の確保」とする方が考えやすい。「ホームレス」と称する所以である。基本方針の「就労による自立」が「住居の確保」の前提とする考え方は合理的ではない。また,「就業の自立」の重要性は認識しているが,近時,生活保護行政に対する総務省から厚労省への勧告があったように(8/7の記事),福祉事務所による生活保護受給者への就業支援すら十分でない現状で,「ホームレスの就業支援」が行政によって適切に行われると直ちには思えない。(筆者)

→●8/7生活保護行政に関して総務省が厚労省に勧告,4/72008年ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果の記事を参照
明確な根拠をもつ(「ホームレス対策」)
8/7 総務省 生活保護行政に関して総務省が厚労省に勧告(要旨 / 勧告 / 結果報告書
〜調査対象福祉事務所:74か所〜

<総務省の調査結果>
【自立支援プログラムの策定状況】
@ 策定なし:2福祉事務所
A1分野のみの策定:40福祉事務所,2分野の策定:25福祉事務所,3分野の策定:7福祉事務所
B策定することが望ましいのに策定されていない例がある(「高齢者世帯」「母子世帯」「精神障害者」の割合が高いが,未策定が18福祉事務所19プログラム)
【原因】
@ 福祉事務所においてプログラム導入の趣旨・目的及びそのメリットが十分に理解されていない。
A 福祉事務所で自立阻害要因の類型化の方法が分からず,類型化を行っていない。
B 厚生労働省により「母子世帯」など近年増加している被保護世帯を対象としたプログラム例が示されていない。
・生活保護の被保護世帯への「自立支援プログラム」は2005年度に導入された。
・全国1223か所(2006年度現在)の福祉事務所のうち東京,大阪,福岡など20都道府県と55市区の74事務所を調査したところ,岩手県や大阪府守口市の2事務所がプログラム未策定で,横浜市や宮崎市などの計40事務所では1分野しか策定していなかった。
・また,2006年度に「就労支援事業活用プログラム」の支援を受けた被保護者9129人のうち,事業主が短期間試行的に雇い,常用雇用に移す「トライアル雇用事業」の支援を受けた人は22人で,常用雇用移行は5人であった。

→これが日本の「福祉行政におけるソーシャルワークおよびソーシャルワーカー」のレベルであり,悲しくなった。「生活保護の就労支援が低調」と説明されていた事柄の実態が明らかになった。もっとも非難されるべきは,自浄作用が働いていないことである。2008年度の生活保護費総額は約2兆7000億円であり,この3/4は「国庫負担」である。「国庫負担」とは「国民負担」のことであり,国民の税金で賄われていることを理解すべきである。また,2006年度の調査結果をもって,2008年8月1日に勧告を出す総務省のスピードは世間の水準に達しているのであろうか。(筆者)
8/7 厚生労働省
厚生労働省の新たな幹部人事が発表された(2008年8月5日付)
・8/4発表,8/11発令
中村秀一社会・援護局長(59)が退任し,後任に阿曽沼慎司老健局長(57)が就任。後任の老健局長には宮島俊彦官房総括審議官(55)が昇格。大谷泰夫雇用均等・児童家庭局長(55)が官房長に就任し,後任に村木厚子大臣官房審議官(52)を起用。青木豊労働基準局長(57)は退任し,後任に金子順一官房長(54)が就任。
・一方,江利川毅厚生労働事務次官(61)と坂野泰治社会保険庁長官(61)は留任。
・厚生労働大臣は記者会見で「直面する課題をきちんと片付けることを優先させた」と述べ,年金記録不備問題への対応を最優先にした布陣と強調した。また,厚労省改革に向けた人事の在り方を検討するため,作業チームを発足して基本方針をまとめるとした。

→国民は,厚生労働省を自浄作用が働く組織にしてほしいと望んでいる。今回の退任者が天下りをしないことを祈っている。(筆者)
8/6 厚生労働省
「2008年版 厚生労働白書」 (概要 / 本文
第1部:生涯を通じた自立と支え合い〜暮らしの基盤と社会保障を考える〜
@社会保障と国民生活(社会保障の役割,社会保障と地域生活)
A近年の社会経済の変化と家計の動向(人口構造等の変化,労働環境の変化,家計の動向)
B暮らしの基盤を支える社会保障(子ども・子育て期における支援,現役期における就労と所得確保,高齢期における所得確保と就労,社会的支援を必要とする人々の就労と所得確保)
C生涯を通じた自立と支え合いの構築(これからの社会保障,長寿社会の暮らし・働き方・人生設計)

第2部:主な厚生労働行政の動き
(医療の確保,がん対策,働き方と安全確保,雇用・能力開発対策,若者等への支援,少子化対策,高齢者の生きがいと社会,障害者の自立支援と地域社会,国民の安心・安全,国際社会への貢献,行政体制の整備)

→3福祉士国家試験対策として,試験問題への引用(データ,文章)は2007年版が出題範囲と考えているが,2008年度版の内容の理解は受験勉強には必要である。11月末頃に内容が大体理解できることを受験勉強の目安としてください。(筆者)

「白書(社会福祉関連)」
8/5 厚生労働省 「障害児支援の見直しに関する検討会 報告書」


<第2回・第3回検討会での各団体の意見>
@(社)日本自閉症協会
A日本発達障害ネットワーク
B全国発達支援通園事業連絡協議会
C(社)全国肢体不自由児・者父母の会連合会
D全国肢体不自由児通園施設連絡協議会
E全国盲ろう難聴児施設協議会

F財団法人日本知的障害者福祉協会(1) (2) (3)
G社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
H社団法人日本重症児福祉協会
I社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会
J全国肢体不自由児施設運営協議会
K全国児童相談所長会
L特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク(1) (2)
現在の障害児施策は,障害者自立支援法に組み込まれているが,報告書では「障害児への支援については,障害児についてなるべく一般施策との連携により対応していくという考え方からは,各施設や事業の根拠を「児童福祉法」に位置付けることを基本とすべきと考えられる」と明記した
今後の方向として,障害児通園施設・入所施設を複数の障害に対応できるように一元化することを提言し,通園施設は都道府県から市町村へ移譲する方向性を示している。

(4/17記事の再掲)
・近年の障害児施策については,2005年度より「発達障害者支援法」が施行され,2007年度より「特別支援教育」が実施されているが,2006年施行の「障害者自立支援法」の附則において,「この法律の施行後3年を目途として,障害児の児童福祉施設への入所に係る実施主体の在り方等を勘案し,必要な措置を講ずるものとする。」とされていた。これに基づいて,2008年3月に「障害児支援の見直しに関する検討会」が発足した。
障害児支援施策のあるべき姿について検討を行うこととされているが,具体的な検討課題は,@障害の早期発見・早期対応策,A就学前の支援策,B学齢期・青年期の支援策,Cライフステージを通じた相談支援の方策,D家族支援の方策,E行政の実施主体,等とされている。
・検討期間は,2008年3月〜7月である。


「障害者自立支援法」(2005年新法)

「2007年版障害者白書」(障害児・者の状況)
明確な根拠をもつ(「発達障害」)

→本報告書は今後,「社会保障審議会障害者部会」での「障害者自立支援法の見直し」につなげられる。(筆者)

→●5/9■「障害児支援の見直し」の関係団体意見(2)
,4/26「障害児・者の現状」,4/17■「障害児支援の見直し」の関係団体意見(1)の記事を参照
8/4 内閣府
「2009年度予算の全体像」

(全体像のポイント)
@日本経済の景気下振れリスクには十分注視すべき。
A2009年度予算においては改革努力を継続する厳しい概算要求基準を設定し,メリハリの効いた歳出の見直しを行う。
Bムダ・ゼロ及び政策棚卸しを徹底してねん出した財源を,重要課題実現の政策経費に充てる。
C税制改革の議論を進め,消費税を含む税体系の抜本的な改革の早期実現を図る。
基礎年金国庫負担割合については,「2004年年金改正法」に基づき,2009年度までに1/2に引き上げる。
<「社会保障」部分の抜粋>
(a)現行制度の徹底した効率化
自然増に対して,国の一般会計ベースで 2200億円(国・地方を合わせて3200億円程度)の抑制を行う。
・昨年策定された「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に沿って,サービスの質の維持・向上を図りつつ,後発医薬品の使用促進等の効率化に徹底して取り組む。
・社会保障全体にわたって制度を点検し,必要な改革を行う。労働保険特別会計については,例えば,雇用状況が急激に悪化し,労使の保険料及び積立金だけでは給付をまかなえないような状況には国も責任を果たすことなどを前提に,国庫負担金を大胆に縮減すべきである。
(b)重要課題への取組
・ 医師不足への対応,救急医療体制の整備など生活者が真に求める重要課題については,財政健全化と両立させる観点から,まずは,一般会計や特別会計を通じたムダ・ゼロと政策の棚卸しによって財源をねん出し,それに充てることとする

(注)「2009年度予算概算要求基準の基本方針」では,一般歳出の上限は47.8兆円で前年度当初予算に比べて5,600億円増加。「成長力の強化」「安心できる社会保障」など「基本方針2008」で示された重点課題のうち,緊急性や政策効果が特に高い事業に重点配分するための「重要課題推進枠」(3,300億円)を新設した。

→予算の全体像とは,予算編成のスタートの段階から,歳出の見積もり,重点分野への予算の配分,予算の背景にある制度改革の基本設計など全体像を示したものである。通例,「骨太の方針」(6月)→「予算の全体像」(7or8月)→「予算編成の基本方針」(12月)→「日本経済の進路と戦略」(1月,2007年度から従来の「改革と展望」に代わるものとして新たに策定された)の順で経済諮問会議においてとりまとめられ,閣議決定される。(筆者)

「2009年度予算概算要求基準の基本方針(シーリング)」 / 「厚生労働省の概算要求基準」

→■「骨太の方針2008とは何か?」
8/1 厚生労働省 「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」 →2007年8月に「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」が改正され,2007年11月には「社会福祉士法及び介護福祉士法」が改正された。これは「厚生労働省社会・援護局」の所管である。今回の「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」は,「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(介護労働者法)を所管する「厚生労働省職業安定局」局長の私的諮問機関である。前者は「社会保障審議会福祉部会」に報告・審議されたが,後者は「社会政策審議会関係部会」に報告・審議されることになる。さらに,これらとは別に,「安心と希望の介護ビジョン」(会議)が「厚生労働省老健局」の所管で開催されている。いずれも,介護を担う介護従事者の人材確保を目的としている。理解しにくい「縦割りの福祉行政」の説明である。(筆者)

7/29「11月11日」「介護の日」,4/16「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」の記事を参照
→■「福祉専門職の現状」 / ■「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
7/31 首相官邸 「社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜」 ・5つの安心プラン
@高齢者が活力を持って,安心して暮らせる社会
A健康に心配があれば,誰もが医療を受けられる社会
B未来を担う「子どもたち」を守り育てる社会
C派遣やパートなどで働く者が将来に希望を持てる社会
D厚生労働行政に対する信頼の回復


→福田首相の指示で1か月でまとめられたプランである。社会保障150項目の大半が過去に打ち出して未実行の政策の寄せ集めであり,「検討します」「検討を進めます」が具体的方策とされ,福田首相からの指示があったテーマである厚生労働省のあり方については有識者による懇談会の議論に丸投げされ,財源の裏づけが明確でない。実現性に疑問の余地あり,とするのが一般的な評価であると思われる。(筆者)

6/25(第169回通常国会閉会を受けた福田内閣総理大臣記者会見)の記事を参照
7/30 日本学術会議 「近未来の社会福祉教育のあり方について-ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて-」(提言)
〜2008年7月14日社会学委員会社会福祉学分科会〜

<本文より抜粋>

『結論として,既存の国家資格の受験科目でもって,社会福祉教育の全体であるかのごとく捉えられがちであるが,それらの教育は当然としても,それに加えられるカリキュラムや,それに対応した研究の重要性を指摘してきた。』
=日本学術会議ニュースメール(No.140)の転載=

『社会学委員会社会福祉学分科会は,提言「近未来の社会福祉教育のあり方について-ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて-」を公表しました。
ソーシャルワーカーが社会的に求められている高度で広範な役割を遂行していくためには,ソーシャルワーカー養成教育のあり方を問い直す必要があります。社会福祉士養成の教育に限定されがちな現状を踏まえ,以下の提言をしました。

(1)社会福祉士の養成を超えた人材の育成,学部と大学院での教育のあり方,教育内容での拡大化と固有性,地方自治体レベルでの研究・教育・実践の連携,職能団体や他専門職と連携を図り,国際基準に基づく教育の推進
(2)ソーシャルワーク専門職資格の再編成を図り,スペシフィックな領域に対応する認定ソーシャルワーカーを養成するとともに,時代の要請に応えた機能別の認定制度の創設

→介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士,保育士の4国家資格のあり方・再編に関する提言である。今回の介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の改定後のカリキュラムにおいても,縦割りの限定的な資格制度・教育カリキュラムでは,ソーシャルワークに関して国際的に通用するジェネラリストもスペシャリストも育たないと考えられている。現行の4資格制度を維持するだけでは,時代の要請に応え切れていないないことは明白であり,今後さらに問題が顕在化することが予測されている。さらに,日本にとってもっとも重要な要素として,近年の国際的な動向・要請がある。既に2004年にIASSW and IFSWは「Global standards for the education and training of the social work profession」を総会承認し,各国は国際基準のソーシャルワーカーの資格認定に向かっている。東アジア(韓国の1級社会福祉士国家試験の導入,中国のソーシャルワーカーの国家資格導入予定)でも,国際基準の教育を実施する方向にあり,このままでは先んじて1987年に国家資格をスタートさせた日本が主導的な立場を取れなくなるという危機的な状況にあることを「提言」で指摘している。筆者は,日本の社会福祉の変革は常に国際的な要請が契機になると考えており,10年を待たず,4国家資格の再編・変革をせざるを得なくなると思っている。このタイミングで「提言」する意味は知らないが,重要な「提言」である。「提言」のメンバーは,現行の制度を創り,維持してきた日本の社会福祉分野の重鎮の方々である。ありえないと思うが,今後の改革のときに同じメンバーが名を連ねることになれば,「マッチポンプ」である。偉い人たちは何をいってもいいが,これから介護・福祉を志そうとする若い人たちの気持ちを大切にしてほしいと思う。「提言」を読んで自身の進む道に希望を持つ若者はいない。言いっぱなしではなく,熱い思いを持ってこれからの福祉を担う若者に対して,元気づけるためのアピールでも出したらどうかと思う。(筆者)


「介護福祉士・社会福祉士資格制度の見直し」
7/29 厚生労働省 「11月11日」「介護の日」
〜「いい日,いい日」の語呂合わせ〜
・「介護について理解と認識を深め,介護従事者,介護サービス利用者及び介護家族を支援するとともに,利用者,家族,介護従事者,それらを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から,高齢者や障害者等に対する介護に関し,国民への啓発を重点的に実施するための日」(厚生労働省)

→あれもこれも混ぜ合わせて,きれいごとの話にしてしまったので,一体何が問題であったのか分からなくなってしまった。当初,厚生労働大臣は,介護従事者の苦労に何としても報いたいと言っていたが,その意味がよく分かった。これで,厚労省は,介護従事者の問題にも対処したことになるのだろう。現場の介護従事者は,切実であり,お祭り騒ぎや無理やり集めた観衆を前にして開かれるフォーラムを求めているわけではない。いつまでも介護従事者の「熱意」や「使命感」に寄りかかっていては,早晩先進諸国から後ろ指を指されるという危機意識はあると思う。最優先課題は,介護従事者の給与引き上げを含めた社会的地位の向上策ということを忘れずにいてもらいたい。
→また,筆者は自身の経験を踏まえ,在宅で,重度の方を介護している人たちを代弁して,厳しいことを申し上げる。多くのことを犠牲にし,先が見えず,命がけの思いで,息を潜めて,耐えに耐え,追い詰められて日々介護されている人の心には届かない,デリカシーに欠ける施策であると思う。今現在,過酷な状況で在宅介護する人からは,「いい日,いい日」などというノー天気な発想は絶対に出てこない。むしろ,「苦痛の日,苦労の日」の連続である。そういう心情を汲みとるべきであり,さらに何が支援できるかの議論を進めるべきである。11月11日でなく,9月2日(苦痛の日),9月6日(苦労の日)がふさわしい。筆者は,「頑張らない介護」「明るい介護」などと言葉遊びをしている状況にないのが「介護のスタンダード」であることを国民に啓蒙すべきと思っている。「介護をなめるな」と言いたい。(筆者)

7/21(「2007年度 介護労働実態調査結果」)の記事を参照
→■「福祉専門職の現状」
7/28 内閣府 「仕事と生活の調和に関する特別世論調査」(2008年6月調査) ・「仕事」「家庭生活」「地域・個人の生活」の関わり方では,「仕事を優先したい」人は前年の11.2%から5.3%に減少した。実際に「仕事を優先している」人は22.2%で,前年(27.7%)から減っている。一方,「家庭生活と地域・個人の生活をともに優先したい」人は9.7%から14.4%に,実際そうしている人も7.2%から9.0%に増加した。
・ワークライフバランスの認知度では「名前も内容も知らない」が60.1%,「名前は聞いたことがあるが内容までは知らない」が26.6%,「名前も内容も知っている」は9.8%にとどまった。


→2000年3月9日,「仕事と生活の調和キャンペーン」を始めるにあたって,イギリスのブレア首相は,「イギリス政府は,経営者と一緒になって,仕事と生活の調和を進めていく。これは,企業にとっては競争力を高めて業績向上につながり,従業員にとっては生活の質を高めることになる」と語ったとされる。一方,日本政府は,2008年を「仕事と生活の調和元年」とした。調和策の比較において,イギリスでは「家庭面での責任を果たすこと」「雇用の場における男女平等」が,日本では「労働力人口減少の緩和」「少子化対策」が強調される点が特徴とされる。イギリスの物まねでもいいが,この調和策は,企業の協力体制や総合的な対策の整備がなければ成立しない。「家庭を優先したい」という答えを国民から早々に引き出したいのはよく分かるが,現実問題として,職場での代替要員・補充,バックアップ体制がなければ,要員が減っても仕事を回さなければならない状況であれば,逆に長時間,過密労働を強いることになる。この調和策が,国民からの批判をかわすポーズだけでなければ,及び腰のように見える大企業へのアプローチを改善すべきである。先日,中国のディズニー等のキャラクターの模倣を日本のマスコミは猿真似と笑っていた。失礼な言い方になるが,日本政府のWLBも大した違いはない。また,2008年4月からのジョブカード制度も同様である。(筆者)


→■「仕事と生活の調和の実現に向け当面取り組むべき事項」(2008年7月)
→■「仕事と生活の調和推進モデル事業」参加企業10社

7/16(■「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会 報告書」,6/26(■「カエル!ジャパン」の「カエル」の意味を知ってますか?,3/28(■「改正労働時間等設定改善指針(通称:労働時間等見直しガイドライン)」,3/13(■「ILO 世界の雇用情勢−女性編」(2008年3月版),2/21(■「ワーク・ライフ・バランスのホームページ」,2/11(■『今年は「仕事と生活の調和元年」です』),2008年1/18(「仕事と生活の調和推進室」の設置2007年12/20(■「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の記事を参照
7/25 厚生労働省 「2008年版 労働経済白書」(要約 / 本文
〜分析テーマ:「働く人の意識と雇用管理の動向」〜


(参考)
「2008年度年次経済財政報告(経済財政白書)」
・「リスクに立ち向かう日本経済」と題し,「短期」「中期」「長期」の3つの視点から日本経済を取り巻くリスクを分析し,それぞれのリスクとして「アメリカ経済や原油価格等の動向」「日本経済の脆弱性,リスクテイク能力の低さ」「高齢化・人口減少が進む中での財政構造の成長力への影響」をあげ,対応策などを提起している。
・正式名称は,「2008年版 労働経済の分析(労働経済白書)」である。
日本経済の特徴では,2008年に入り景気回復は足踏みし,新規学卒者の就職状況は改善しているが,小規模事業所での賃金低下は継続しているとしている。
・働く人の意識については,「1990年代以降,就業形態や賃金制度は大きく変化し,正規以外の従業員が増加するとともに,業績・成果主義的賃金制度も拡大。企業の経営環境が厳しかったことから,企業の対応は人件費抑制的な視点に傾きがちで,労働者の満足感は長期的に低下」傾向にあると分析している。
働きがいのある社会の実現に向けた取組みとして,正規従業員の雇用機会拡大と均衡処遇の推進,従業員の意欲発揮に向けた職業能力開発などが求められると指摘している

「白書(社会福祉関連)」
7/24 内閣府 「生涯学習に関する世論調査」(2008年5月調査) ・調査結果によれば,この1年間に生涯学習をしたことが「ある」人は47.2%で,そのうち「職業上必要な知識・技能」について学んだ人は9.3%であった。年齢別では30歳代(12.5%)と40歳代(15.5%)で高くなっている。一方,生涯学習をしていない理由のトップは「仕事が忙しくて時間がない」(45.4%)であった。

明確な根拠をもつ(「基本となる調査・統計」)
7/23 厚生労働省 「精神保健福祉士法の改正」の検討が始まった
〜2009年の通常国会で改正法案提出の予定〜
「第3回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」(2008年7月11日開催)で,精神保健福祉士法の改正のスケジュールが示された。2007年12月5日に公布・施行された「改正社会福祉士・介護福祉士法」に続くものである

→2007年12月発足以降,検討会は社会福祉士との共通科目(10科目)を議論し,2008年5月には省令が改正された。その後検討会は,専門科目について7月までに中間報告をまとめる予定をしていたが,厚生労働省は,議論の途中でカリキュラムよりも精神保健福祉士法の定義や義務規定が現状とそぐわないことが問題だとして,2009年の通常国会への改正法案提出を優先するというスケジュールを改めて示した。近年の障害者福祉,精神保健福祉の施策の大転換を考えると当然のことであるが,厚生労働省のやりたい放題のやり様のままにしていることに対して,精神保健福祉士として筆者は腹立たしく思う。職能団体をはじめ関係団体はコメントを出していないようである(2008.7.23 5:00 HPを確認)。ついには,介護福祉士のカリキュラムから「介護福祉」や「社会福祉」の用語が消え「介護士」然となったこと,また,社会福祉士のカリキュラムから「社会福祉援助(技術)」の用語が消え「相談援助する人」然となったことを思い返すべきである。検討会の議論は,精神保健福祉士の存続意義にかかわることであり,無関心やあなた任せであってはならないと思う。
→工夫をすれば,やれることはいくらもある。最近の手段の事例として,(社)日本社会福祉士養成校協会の新聞広告
(日本社会福祉士養成校協会にリンクしています)を紹介する。(筆者)

「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
「改正社会福祉士・介護福祉士法」(やまだ塾)
「社会福祉士養成課程及び介護福祉士養成課程における教育内容等の見直しに関するQ&A」(2008.7.18)
7/21 - 「2007年度 介護労働実態調査結果」
〜財団法人介護労働安定センターにリンクしています〜


【 「介護労働者の就業実態と就業意識調査」のポイント
(現在の仕事の状況)
1.勤務先事業所の主な介護サービスの種類・・・「施設系47.0%,訪問系45.5%」
2.主な仕事(職種)・・・「介護職員31.3%,訪問介護員18.8%」
3.経験年数・・・「5年以上10年未満」が30.8%」
4.就業形態・・・「正社員65.2%,非正社員33.7%」
(労働時間)
1.1週間の平均労働日数及び時間数・・・「平均労働日数は週5日,平均労働時間は週37.5時間」
(賃金)
1.賃金の支払形態・・・「正社員は月給93.3%,非正社員は月給18.3%」

2.時間給・・・「平均時間給は1,044円」
3.通常月の税込み月収・・・「平均月収は179.0千円」
(能力開発)
1.採用時の研修受講の有無及び期間・・・「「受けた」は52.6%,「受けない」は44.7%」
(仕事についての考え方)
1.現在の仕事を選んだ理由(複数回答)・・・「「働きがいのある仕事だと思ったから」が55.9%」
2.介護関係の仕事の継続意志・・・「「働き続けられるかぎり」が50.0%」

3.現在の仕事の満足度・・・「「仕事の内容・やりがい」が55.0%」
(働く上での悩み,不安,不満)
1.労働条件・仕事の負担についての悩み,不安,不満等(複数回答)・・・「仕事のわりに賃金が低い」が49.4%」
(業務上の事故・怪我等)
1.1年間のヒヤリ・ハットの経験・・・「「あった」が51.8%」
2.セクハラ・暴力等の経験の有無及び解決状況(複数回答)・・・「「経験なし」が42.1%」
(前職の状況等)
1.前職のある人の状況・・・「「介護サービスの仕事ではない」が68.4%」
2.直前の介護の仕事をやめた理由(複数回答)・・・「「待遇に不満」が25.5%」
3.現在の事業所に就職した理由(複数回答)・・・「「やりたい職種・仕事内容であるため」が44.8%」
・「介護労働実態調査」は2002年度から毎年実施されている。@「事業所における介護労働実態調査」(介護事業所が対象),A「介護労働者の就業実態と就業意識調査」(介護労働者が対象)で構成されている。
厚生労働省は7月21日から8月3日を2008年度の「福祉人材確保重点実施期間」と定めた。どれだけの国民がこのことを知っているのでしょう。
→現在,介護や福祉の仕事は,厳しい環境にある。これは今に始まったわけではなく,長い歴史の中の通過点にすぎない。環境改善は永遠の課題であるように思う。筆者は,「サポートする者をいかにサポートするか」は,「社会の成熟度」に依存するものと考えている。やまだ塾が「福祉専門職の社会的地位の向上」をテーマにする理由は,一朝一夕の改善の達成を言っているのではなく,厳しい環境を認識し,それを承知し,覚悟を決めて「介護・福祉の世界」に入ってきてほしいことと,現在働いている人には,自分たちを取り巻く厳しい環境は自分たちでしか変えられないということを自覚してほしいことへのメッセージを意図したからである。他力本願では何も進展しない。一向に具体的で有効な施策を示さない政府,第169回国会で介護職の給与を2万円上げると豪語しておきながら,与党から「財源」の話を出されると法案まで取り下げた「介護労働者に対するの公約」の本質が政治的なジェスチャーと認識されかねない野党,インドネシア人介護士が来日する現段階においても,自分たちの環境を良くしてからでなければ,外国人介護士は受け入れられないという排他的とも思える見解を示す20年間も環境整備に時間があったはずの既存の職能団体,歯の浮くようなキャッチコピーで学生を集めている教育機関,ただ話題性だけで一過性に取り上げているマスコミ,いずれも介護や福祉でこれから働こうとする人や働いている人にとってはプラスとはならない。心ある人は,「現状を正確に伝え」,「くだくだ文句を言わず」,「介護・福祉の仕事に誇りを持って,仕事の価値・すばらしさ」を心に届く言葉で語っておられる。そのような人の意見を聴いてほしいし,その人の背中を見てほしい。福祉専門職としては,自分たちの足元を見て,目の前の事柄に全力投球し,確固とした価値観をもって自分の力で判断し,なすべきことをなすことが大切である。それが「自立」であり,「自律」であると思う。フィールドワークも経験にも基づかず不安を煽るだけの知ったかぶりの人たちの意見やムードに惑わされることはない。
→「あなたを待っている人がいます。あなたには,か細く,弱々しい「たすけて」という声を聞きとれる力があることを信じてください。映画「奇跡の人」の原題は「The Miracle Worker」(1962)です。「奇跡の人」とは三重苦を乗り越えたヘレン・ケラーではなく「奇跡を起こした人(ワーカー)」であるサリバン女史ということを知っていましたか。いつか,あなたは自分のしていることの意味を見失うときがあると思いますが,あなたは孤独でなく,あなたを見守っている人が必ずいるということを覚えていてください。」(2008年1月25日「国家試験を受験される方へのやまだ塾のメッセージ」)(筆者)


→● 6/23「福祉人材確保重点実施期間(2008年7月21日〜8月3日)」の実施について /インドネシア看護師・介護士の候補内定者247人の面接開始,6/13「2007年介護事業経営概況調査結果(暫定仮集計)」,6/6日本介護福祉士会の回答,5/20安易な外国人介護士の受け入れに反対している「日本介護福祉士会」,5/16・5/14・5/2■介護労働者の確保・定着等に関する研究会,4/20「介護・福祉労働者の労働実態調査(中間報告)」の記事を参照

「骨太の方針2008」とは何か? 
「福祉専門職の現状」/ 「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」/ 「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
7/18 厚生労働省 「新型インフルエンザQ&A」

<20世紀の流行>
1918年:「スペインインフルエンザ」
1957年:「アジアインフルエンザ」
1968年:「香港インフルエンザ」
1977年:「ソ連インフルエンザ」
<WHOの動き>
1999年:「インフルエンザパンデミック計画」策定
2005年:「世界インフルエンザ事前対策計画」改訂

「新型インフルエンザウイルス」とは,動物,特に鳥類のインフルエンザウイルスが人に感染し,人の体内で増えることができるように変化し,人から人へと効率よく感染できるようになったもので,このウイルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザである。
「新型インフルエンザ」は,急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性があるとされ,日本政府は人口の約1/4の人が感染し,医療機関を受診する患者数は最大で2500万人と仮定して,対策を講じている。
新型インフルエンザの発生が確認された場合,その時点で総理大臣を本部長とした対策本部を設立し,状況に応じて検疫の強化,新型インフルエンザが疑われる患者への入院勧告,医療体制の確保,感染まん延の防止策,不要不急の外出や集会の自粛要請等の対策を講じることとなっている。

<日本の対応>
2004年:「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」設置
2005年:「新型インフルエンザ対策行動計画」策定
2007年:「新型インフルエンザ対策ガイドライン(フェーズ4以降)」策定(2008年7月現在日本はフェーズ3A)

7/17 内閣府 「2008年秋の全国交通安全運動」
〜9/21(日)から9/30(火)までの10日間〜


(参考
「2008年春の全国交通安全運動」(4/6〜4/15)
・全国重点:
@子どもと高齢者の交通事故防止
A全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
B自転車の安全利用の推進
C飲酒運転の根絶

<2008年の全国交通安全運動の特徴>
・運動の基本:本格的な高齢社会への移行に伴う高齢者の交通事故情勢に的確に対処するため,「高齢者の交通事故防止」
・全国重点:
@全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
A夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
B飲酒運転の根絶
→2002年以降,65歳以上の高齢者の交通事故死者数は毎年減っているが,全体に占める割合は年々増え,2003年にはじめて4割を超えた。 2006年に亡くなった高齢者は2,809人で,歩行中と自転車乗用中に亡くなる割合が圧倒的に高くなっている。一方,高齢者のドライバーが増えていることから,自動車運転中の死者が占める割合が高くなっている状況である。なお,75歳以上の高齢者ドライバーは,2007年6月の改正道路交通法により高齢者マークの表示が義務づけられた。(筆者)

「自動車の運転者が表示する標識(マーク)について」(初心者マーク,高齢運転者マーク,聴覚障害者マーク,身体障害者マーク
7/16 厚生労働省 「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会 報告書」
〜副題:「子育てしながら働くことが普通にできる社会の実現に向けて」〜
報告書のポイント
@仕事と家庭の両立の現状:
現行の育児・介護休業法では十分に対応できていない
A今後の両立支援の基本的な考え方:子
育てや介護をしながら働くことが普通にできる社会へ転換する

→報告書は,依然として育児休業後の両立が難しい現状や男性の育児への関わりの不十分さを指摘し,短時間勤務と残業免除を労働者が選択できる制度の整備や出産後8週間に父親が取得する育児休業を「パパ休暇」として普及・促進することなどを求めている。国家試験向けの少子化対策に対する勉強として通読していただきたい。
→先日,「ALWAYS 続・三丁目の夕日」のDVDを見た。多くの日本人は,厳しい環境の中にあっても,それぞれが思いやり工夫しながら心が和むような温かい交流のある家庭にしたいと思ってきたし,この先も大きく違わないように思う。報告書を読んで,寒気がした。(筆者)


→●6/26「カエル!ジャパン」の「カエル」の意味を知ってますか?,6/10「2008年版少子化社会白書」,2/21(「ワーク・ライフ・バランスのホームページ」,2/11『今年は「仕事と生活の調和元年」です』の記事を参照
7/15 厚生労働省 特定不妊治療費助成事業実施要網 特定不妊治療費助成事業の概要
@対象治療法
:「特定不妊治療」(体外受精,顕微授精)
A助成の対象者:特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないかまたは極めて少ないと医師に診断された戸籍上の夫婦
B給付の内容:1年度あたり1回10万円,2回までとし,通算5年支給
C所得制限額:730万円(夫婦合算の税控除後所得ベース)
D指定医療施設:事業実施主体が医療機関を指定
E事業実施主体:都道府県,指定都市,中核市(厚生労働省は,都道府県,指定都市,中核市に事業の費用を補助)

→特定不妊治療の経済的負担を軽減するため,2004年度より「特定不妊治療費助成事業」が実施された。2007年度からは,助成額(1年度あたり1回10万円→1年度あたり1回10万円,2回)と所得制限(650万円→730万円)が改正されている。(筆者)

不妊に悩む夫婦への支援について(厚生労働省)
7/14 厚生労働省 「第21回介護福祉士国家試験」の詳細が発表された(厚生労働省 / 試験センター

(介護福祉士試験委員)<敬称略,公表順>
【試験委員長】
大島伸一
【副委員長】
朝倉京子 遠藤英俊 川井太加子 久保田トミ子
黒澤貞夫 是枝祥子 根本 嘉昭
【委員】
秋下雅弘 秋山昌江 石井享子 市橋正子
井上由起子 岩井恵子 臼井正樹 大崎千秋
太田貞司 岡京子 岡田史 小澤温
小櫃芳江 織田知美 数野千恵子 金津春江
釜土禮子 川 信行 川東光子 菅野節子
北川清一 木原活信 木村晴恵 小池竜司
桜山豊夫 佐々木深幸 柴田範子 柴山志穂美
下垣光 下坂 智恵 東海林初枝 白井孝子
新治玲子 鈴木聖子 高沢謙二 高橋美岐子
田中由紀子 谷口敏代 茅野宏明 飛松好子
中村京子 中村裕子 成田すみれ 西井啓子
沼尾嘉信 橋本美智子 花畑明美 平野方紹
藤田秀剛 藤野信行 堀内啓子 峯尾武巳
森由香子 森山千賀子 八木裕子 矢部正治
山崎イチ子 山中由美子 山根淳子 山野英伯
山本かの子 山谷里希子 結城美智子 吉浦輪
吉賀成子 吉村公夫 綿祐二 渡邉愼一
@試験日:
・2009年1月25日(日)<筆記試験>,3月1日(日)<実技試験>
A受験手続:
・2008年8月6日(水)〜9月5日(金)


→2009年度からは新しいカリキュラムに再編されるので,受験有資格者は第21回国家試験で「とにかく合格する」の決意を持って受験勉強に臨んでいただきたい。これは,社会福祉士および精神保健福祉士も同様である。「第21回社会福祉士国家試験」および「第11回精神保健福祉士国家試験」の詳細は8月下旬に公表される予定である。
→それに合わせ,やまだ塾も,8月下旬から本格的な受験対策を開始する予定である。(筆者)


第168回臨時国会で成立した法律(改正社会福祉士・介護福祉士法および新カリキュラムと国家試験の変更
7/11 厚生労働省 「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト 報告書」

<プロジェクトの構成員>
『厚生労働大臣の指示の下に,大臣官房技術総括審議官,医制局長,社会・援護局長,傷害保険副支部長及び老健局長並びに専門的な助言を得るための有識者により構成する。』とされている。

■「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」における有識者(敬称略)(報告書記載順)
朝田隆 筑波大学教授
岩坪威 東京大学教授
遠藤英俊 国立長寿医療センター包括診療部長
中島健一 日本社会事業大学教授
永田久美子 認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹
(報告書の主なポイント)
@実態把握
・認知症患者数を正確に把握するため,医学的に診断された認知症の有病率調査を実施する。
A研究・開発の促進
今後10年以内にアルツハイマー病の根本的治療薬の実用化を目標とした研究を推進する。
B早期診断の推進と適切な医療の提供
・認知症の専門医療機関である認知症疾患医療センター全国に150か所整備し、地域包括支援センターとの連携担当者を新たに配置する。
C適切なケアの普及および本人・家族支援
認知症連携担当者を配置する地域包括支援センターを認知症疾患医療センターに対応して新たに全国に整備し,医療から介護への切れ目のないサービスを提供する。
D若年性認知症対策
若年性認知症コールセンターを設置し,認知症連携担当者が新たに診断された若年性認知症の人を把握し,本人の状態に合わせて雇用・就労サービスや障害者福祉、介護サービスにつなぐ。

→現状,医療と介護が分断されているとの認識で,今後「地域包括支援センター」の3職種(保健師,主任ケアマネジャー,社会福祉士)に追加する形で「認知症連携担当者」を設置することが提案されている。介護保険制度において,認知症者への援助に対する専門的な検討が加えられた意義は大きい。介護保険創設以来20年も現状のまま放置してきた責任は,国(厚生労働省)だけでなく,介護保険にかかわってきた有識者にもある。介護保険に深くかかわる今回のプロジェクトにおいて,国家資格である介護福祉士の職能団体が有識者に入っていないのを奇異に感じていた。認知症者やその家族の援助に関して,学識ある人や専門家がいないというのであれば,蚊帳の外でも仕方がないが。また,認知症は,介護福祉士だけでなく社会福祉士,精神保健福祉士の職能団体にも関連の深い事柄である。「医療と介護の連携」は,「専門職間によるチームアプローチorチームワークorチーム医療」という確固とした考え方に基づいてはじめて成立するものである。そうでなければ,対等な立場に立つ連携ではなく,いつまでも医療の下に介護やソーシャルワークが存在することになる。(筆者)

→●4/24非公開で「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」が実施されるの記事を参照
7/10 厚生労働省 2008年度全国労働衛生週間のスローガンが決定
〜「あなたが主役 明るい職場と健康づくり」〜
期間:10月1日〜10月7日
(近年の労働衛生の動向)
@2007年の業務上疾病による被災者は8684人で,長期的には減少しているが,
腰痛が増加傾向
A
一般定期健康診断の結果,何らかの所見を有する労働者の割合は増加を続け,2007年は49.9%
B
仕事や職場生活に関する強い不安,悩み,ストレスを感じる労働者の割合は6割を超え,業務によるストレスなどにより精神障害を発症する事案が増加
C
2008年度から「第11次労働災害防止計画」がスタート(労働者の健康確保対策を推進し,定期健康診断における有所見率の増加傾向に歯止めをかけ,減少に転じさせること等を目標)

→福祉専門職が健康への不安を持っていては十分な対人援助は望めない。自戒を込めて,どのような状況下にあっても自らの健康管理に注意を払っているのがプロフェッショナルであると思う。安全衛生・労働衛生の知識は必須である。(筆者)

→●7/9
「地域における産業保健活動の推進に関する検討会」が発足したの記事を参照
安全衛生チェックリスト(在宅介護サービス業用)(2005年)
7/9 厚生労働省 「地域における産業保健活動の推進に関する検討会」が発足した

「地域における産業保健活動の推進に関する検討会」メンバー名簿 (敬称略) 2008年6月9日現在
石渡弘一 神奈川産業保健推進センター 所長
今村聡 社団法人 日本医師会 常任理事
漆原肇 日本労働組合総連合会 総合労働局雇用法制対策局 部長
圓藤吟史 大阪市立大学大学院 教授
島 悟 京都文教大学 教授
高田勗 北里大学 名誉教授
中林圭一 独立行政法人 労働者健康福祉機構 理事
北條稔 大森医師会理事・東京都医師会産業保健委員会委員長
矢口和彦 東京商工会議所 産業政策部労働・福祉担当課長
山崎克也 全国中小企業団体中央会 常務理事
輪島忍 社団法人 日本経済団体連合会 労政第二本部安全・衛生グループ長
検討会の趣旨(要綱より抜粋)
『労働者数50人未満の小規模事業場で働く労働者の健康確保については,事業者自ら行う対策のほか,労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第19条の3に基づく国の援助事業(地域産業保健センター事業による労働者の健康管理等に関する相談,情報の提供等)が実施されているが,近年,当該地域産業保健センター事業について,利用しやすい事業への一層の取組,事業の周知・広報の強化,長時間労働者に対する医師による面接指導やメンタルヘルス対策の充実等が望まれている。また,今般,策定された第11次労働災害防止計画において,「産業保健推進センター及び地域産業保健センター事業の有効活用やその連携を図ることにより,地域における産業保健活動の活性化を図る。」とされたところである。このような背景を踏まえ,地域産業保健センターの基盤整備として,地域保健との連携強化や産業保健推進センター等地域の各種機関等とのネットワークの構築が喫緊の課題となってきている。このため,厚生労働省労働基準局長の下に有識者の参集を求め,今後の地域における産業保健活動の推進のための具体的な方策等について検討する。』

→福祉専門職の健康管理・確保と深く関連する。(筆者)

→●5/272007年度の精神障害等(自殺・未遂を含む)に係る労災請求・決定件数5/232007年における死亡災害・重大災害発生状況等,5/7「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策」,4/5「管理職の範囲の適正化」(通達)の記事を参照

「長時間労働者への医師による面接指導が小規模事業場においても2008年4月から義務づけられた」
産業医について(2008年1月)
「地域産業保健センターについて」(2008年1月)
「第11次労働災害防止計画(概要)」(2008年3月19日公示)
「改正労働安全衛生法」(2006年4月施行)
明確な根拠をもつ(「介護労働」)
7/8 厚生労働省 義肢等補装具支給制度について(新パンフレット) 2008年4月から「義肢等補装具支給制度」が以下の通り改正された。
@「義肢等支給・修理申請書」の提出先が,労働基準監督署から都道府県に変更された。
A
次の品目が支給種目に追加された。
  (1)重度障害者用意思伝達装置,(2)
筋電電動義手
B次の支給種目について,支給対象者の範囲が拡大された。
  (1)車いす,(2)電動車いす,(3)ストマ用装具,
  (4)浣腸器付排便剤,(5)床ずれ防止用ふとん
C車いすおよび電動車いすについて,付属品が追加された。

→■
「2008年4月から福祉関連分野で何が変わったか?」
7/7 - 厚生労働省地域支援事業実施要綱に基づく「生活機能チェック」が自宅でできる
〜(財)長寿科学振興財団 の「健康長寿ネット」にリンクしています〜
・市区町村(地域包括支援センター)では,介護予防の観点から「生活機能評価」を行っているが,(財)長寿科学振興財団 の健康長寿ネットから自宅で「生活機能チェック」ができる。全25問の質問に答えると生活機能状態や日常生活へのアドバイスが表示され,65歳以上で生活機能が低下している恐れがある場合には,市区町村の介護予防窓口への相談が勧められる。また,インターネットや電話などで,オンラインで介護予防サービス事業への参加などが相談できる。
2007年度まで「老人保健法」の基本健康診査と同時に実施されていた「生活機能評価」(65歳以上)は,2008年度からは「高齢者医療法」に基づく特定健康診査(4074歳,義務)・健康診査(75歳以上,努力義務)と連携して,「介護保険法」に基づく「地域支援事業」として実施され,地域支援事業交付金の対象とされている。なお,介護予防窓口に相談すると,生活機能チェックの結果に基づき,必要な検査が行われる。 検査の結果,近い将来,介護が必要となる恐れがあると判断された者(特定高齢者)は,市区町村で用意している運動機能向上,栄養指導などさまざまな介護予防サービスを受けることができる。 この内容は,次回3福祉士・ケアマネ試験での出題の可能性がある。(筆者)
7/5 総務省 2007年就業構造基本調査結果(要約 / 概要
〜2007年10月1日現在〜
・今回の調査結果(調査は5年毎)
@15歳以上人口のうち有業者
は6597万8千人,無業者は4432万4千人で,2002年と比べ有業者は96万8千人(1.5%)の増加,無業者は15万9千人(0.4%)の増加
  ・男性の有業者は14万1千人(0.4%)の増加
  ・女性の有業者は82万7千人(3.1%)の増加
A有業率(15歳以上人口に占める有業者の割合)は59.8%で,2002と比べ0.3ポイント上昇
  ・男性は71.6%で0.4ポイント低下
  ・女性は48.8%で0.9ポイント上昇
  ・都道府県別では愛知県が最も高く64.2%
B「正規の職員・従業員」は3432万4千人と2002年と比べ23万3千人減少,「非正規就業者」は1889万9千人と269万2千人増加そのうち,「パート」は885万5千人と103万1千人増加,「労働者派遣事業所の派遣社員」は160万8千人と88万7千人増加
C雇用者の週間就業時間
は短時間及び長時間就業に二極化の傾向
  ・正規雇用の男性は25〜44歳で2割以上が1週間に60時間以上就業
  ・45歳以上で60時間以上就業者の割合が大幅な上昇
D非正規就業者の割合は,
  ・男性が1987年9.1%から2007年19.9%,女性が37.1%から55.2%に
上昇
  ・2002年と比べ男性は3.6ポイント,女性は2.3ポイント
上昇
  ・2002年と比べすべての都道府県で
上昇
E若年無業者
は63万3千人,2002年と比べ6万1千人減少
  ・
15〜34歳の若年無業者の割合は2.1%と2002年と比べ僅かに上昇

厚生労働省は2008年度の重点施策として,若者の就業促進,女性の職業キャリアの継続と再就職の実現,高齢者雇用対策の推進,ジョブカード制度の構築,母子家庭の母親の就労支援,外国人の就業環境の改善など,12の項目を掲げている。(筆者)

→●3/3
「雇用政策基本方針」,■「2008年度雇用施策実施方針の策定に関する指針」,1/17労働政策審議会建議の記事を参照
7/4 厚生労働省 厚生労働省のシンボルマーク
 
・「厚生労働省改革の一環として,国民の期待する厚生労働行政の原点に立ち返るとともに,厚生労働省のコーポレートガバナンスを高め,職員の意識を改革するため,厚生労働省のシンボルマークを作成する」とのことである。
・「人生85年ビジョン懇談会」のメンバーにより最優秀作品が選ばれたとのことである。
→これほどの逆風の中であればこそシンボルマークを作る意味はあると思う。しかし,国民の代表でもない厚生労働省の身内のような懇談会のメンバーでシンボルマークを決めてしまった。こんなときこそ,「国民に決めてもらう(国民の意見を聞いて決める)」という度量と知恵を発揮し,国民の目線に立つという姿勢を示す大きなチャンスであったと思う。相変わらず,決めたことを国民に伝えるという上から目線で,「シンボルマークを作りました」と発表していた。(筆者)

→●5/13(「人生85年ビジョン懇談会報告書」(概要 / 本文の記事を参照
7/3 内閣府 DV被害者支援の自治体での取組事例
〜配偶者からの暴力被害者支援情報〜
DV防止法(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」は2001年4月に制定,10月13日(一部は2002年4月1日)から施行され,2004年および2007年に改正されている。2007年改正法は2008年1月11日より施行されている。「STOP 配偶者からの暴力を受けた被害者に対する支援では,都道府県や市町村において,基本計画が策定され(市町村は努力義務),さまざまな取組がなされている。現在,愛知県名古屋市,岡山県岡山市,福岡県久留米市の取組事例が紹介されている。
配偶者からの暴力全般に関する主な相談窓口
   (1)配偶者暴力相談支援センター 
/  センター一覧
      ・ 婦人相談所その他の適切な施設
   (2)関連施設
      @婦人保護施設(説明のみ)
      A母子生活支援施設(説明のみ)
   (3)民間団体
      ・
全国共通DVホットライン(0120-956-080)

配偶者からの暴力に関するデータ
「STOP THE 暴力」
「第166回通常国会で成立した法律」(改正DV防止法)
明確な根拠をもつ(「虐待(児童・高齢者)/DV」
7/2 内閣府 「骨太の方針2008」
〜「経済財政改革の基本方針2008-開かれた国,全員参加の成長,環境との共生-」〜
・2008年6月27日に経済財政諮問会議が開催され,「経済財政改革の基本方針2008-開かれた国,全員参加の成長,環境との共生-」いわゆる「骨太の方針2008」が,福田首相に答申され,閣議決定された。
・方針の構成(全6章)
@日本経済の課題と改革の視点
A成長力の強化
B低炭素社会の構築
C国民本位の行財政改革
D安心できる社会保障制度,質の高い国民生活の構築
E2009年度予算の基本的考え方


→詳細は,別途「骨太の方針2008とは何か?」を掲載する予定である。(筆者)

→●6/24「骨太の方針2008」(素案)の記事を参照
7/1 厚生労働省 2007年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数は40,618件(速報値)
〜2008年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料より〜
児童虐待相談対応件数の推移
17,725件(2000年度)→23,274件(2001年度)→23,738件(2002年度)→26,569件(2003年度)→33,408件(2004年度)→34,472件(2005年度)→37,323件(2006年度)→40,618件(2007年度)

虐待死数:295人(2003年〜2006年12月)
都道府県・都市別対応件数:東京都(3307件),大阪府(2997件),横浜市(2000件),埼玉県(1886件),神奈川県(1679件)の順
全国児童相談所数:197か所(前年比2か所増)
児童福祉司数:2358人(前年比95人増)

→2008年4月から改正児童虐待防止法が施行され,裁判所の許可を得て,家庭への強制立入りが可能となったが,4月以降においても児童相談所などの関係機関の関与がありながらの虐待死亡事例が発生している。個々の機関の努力は認めたいが,結果として改善に結びつかないのは,妊娠期も視野に入れた保健・福祉の関係機関の連携が機能していないことによるとの従来から指摘に対して,各自治体ごとの対応に任せることの限界を考慮すべきである。さらに,一時保護所(2008年4月1日現在120か所)の環境の劣悪さによる混合処遇の問題(現在,6割超が混合処遇)も進展していない。子ども(特に虐待死の4割に及ぶ0歳児)の命にかかわる対応がこの程度のスピードでよいわけがない。また,今169回国会において,児童虐待とも深く関係する里親制度の見直しを柱にした児童福祉法の改正法案を政争の道具にし,参議院において「継続審議」ではなく「廃案」にした政党・政治家の判断・対応は民意に反するものである。(筆者)

「第166回通常国会で成立した法律」(改正児童虐待防止法)
明確な根拠をもつ(「厚生労働省会議資料」「虐待(児童・高齢者)/DV」)