20084月から福祉関連分野で何が変わったか?
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(2008年12月9日)

このカテゴリーは,「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」が確定するまで掲載を待っていたが,廃止法案が提出されたり,下記のように7月に新たに凍結事項が決定されたり,と未だに迷走が続いているがとりあえず掲載する。(2008年7月7日)
「2008年2月〜3月に変更のあった事項」も併せて掲載
主な項目 ポイント
1 ■「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)の導入
直近の情報

<長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の改善策と今後の見直しについて>
政策レポート(2008年12月8日)

<「福祉行政の最新情報」2008年9月25日記事の再掲>
「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の運営状況」
〜2008年9月12日の第30回社会保障審議会医療保険部会資料より〜
→「後期高齢者制度」に関する国の施策が,この資料を通して議論・検討されている。残された検討時間は多くない状況にある。頭を整理するために,以下に改正された法律の目的を比較した。
「老人保健法」の目的
(2008年3月まで)
「高齢者医療法」の目的
(2008年4月から)
「この法律は,国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図 るため,疾病の予防,治療,機能訓練等の保健事業を総合的に実施し,もって国民保健の向上及び老人福祉の増進を図ることを目的とする。 」 「この法律は,国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため,医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに,高齢者の医療について,国民の共同連帯の理念等に基づき,前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整,後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け,もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。」
「老後における健康の保持」も「高齢者の医療費の適正化(医療費の抑制)」も,ともに重要である。それを両立させる「知恵と工夫」が求められている。世代間の公平を図ることは当然であるが,「分母を大きくする」「市町村を責任主体とする」「保険料を累進化する」ことなどが考慮されてもいいように思う。(筆者)
4/10■「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」創設に参画した「専門家」を知っていますか?)の記事を参照

<変更点まとめ>(2008.8.5現在)
・8/1〜:現役並み所得者の自己負担割合が3割となった。
・7/25〜:保険料の納付方法に,口座振替(要件あり)が追加された。
・6/30〜:終末期相談支援料に関する診療報酬を凍結した。

<6月からの経過>(降順で記載)
「長寿医療制度をあらためてご説明します」(2008.7.28)

・後期高齢者医療の保険料納付に,これまでの年金から天引きする特別徴収に加え,口座振替も可とした改正政令が公布・施行された(2008.7.25)
・口座振替が可能となる要件は以下の通りである。
@2008年3月まで国民健康保険に加入していた世帯主で,直近の2年間に,国保保険料の滞納がないことで,本人の口座から振替える。
A世帯主以外の人で,年金収入が年180万円未満であることで,世帯主の口座から振替える。なお,後期高齢者医療の保険者は,各都道府県に設けられた広域連合であるが,保険料の徴収事務は市町村が行う。(2008.7.25)

長寿医療制度(後期高齢者医療制度)(2008.7.18現在)

・長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に関するページ(厚生労働省)(2008.7.7現在)

後期高齢者終末期相談支援料の凍結について(保医発第0630001号) (20086.30)

全国高齢者医療・国民健康保険主管課(部)長及び後期高齢者医療広域連合事務局長会議資料(2008年6月26日開催)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(以下は,記事とするために準備してきた資料等である)

「老人保健法」が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正され,「老人保健制度」から「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」に変わった。〜

・これまで75歳以上の者(後期高齢者)および65歳から74歳で一定の障害のある者は国民健康保険や被用者保険などの医療保険に加入しながら,老人保健で医療を受けていた。2006年の医療制度改革により,2008年4月から新たに「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)」が施行され,これまでの加入していた医療保険を喪失し,独立した医療保険である「後期高齢者医療保険」に加入することになった。これに伴い,「老人保健制度」は,2008年3月31日で廃止された。

後期高齢者医療制度に関する情報
@「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)
A「高齢者の医療の確保に関する法律施行令」

後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(2007年10月10日,社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会)

後期高齢者医療制度の周知用リーフレット(保険料の軽減策※を含む)


@ 10割軽減・凍結(負担ゼロ) 2008年4月〜9月
A 9割軽減(負担1割) 2008年10月〜2009年3月


【「福祉行政の最新情報」2008年4月10日の記事再掲】
「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」創設に参画した「専門家」を知っていますか?
■「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」委員名簿 (2007年10月1日現在 敬称略)
遠藤久夫 学習院大学経済学部教授
鴨下重彦 国立国際医療センター名誉総長
川越厚 ホームケアクリニック川越院長
高久史麿 自治医科大学学長
辻本好子 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
糠谷真平 部会長,独立行政法人国民生活センター理事長
野中博 医療法人社団博腎会野中医院院長
堀田力 さわやか福祉財団理事長
村松静子 在宅看護研究センター代表
・後期高齢者医療制度の創設に当たり後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるような新たな診療報酬体系を構築することを目的として,後期高齢者医療の在り方について審議した委員は,左記の通りである(2006年10月5日第1回〜2007年10月4日第12回)。
@「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会の設置について」(2006年9月22日)  
A
「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」(2007年4月11日)
B「後期高齢者医療の診療報酬体系(骨子)」(2007年10月10日)
→その後,具体的な診療報酬については「中央社会保険医療協議会」で議論された。
→現在,「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」は,対象者にほとんどメリットがなく,自己負担が高く,複雑な制度と一般的に評価されている。「行政」だけでは作れない制度で,「行政」に裏づけを与えた「中立的な立場の専門家」がいる。先日,メディアに露出し,「中立的な立場の専門家」として,医療・保健・福祉のあり方を,「行政寄り」から語っている姿を目にした。(筆者)

→●2008年4/2厚生労働大臣の新入職員への挨拶,2007年11/23後期高齢者医療制度(リーフレット),4/13■「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」の記事を参照

【「福祉行政の最新情報」2008年4月2日の記事再掲】
厚生労働大臣の新入職員への挨拶

→逆風の中で厚生労働省を選択した気骨ある人たちだと思う。将来の厚生労働の行政を担う人たちであり,大切に育成していただきたい。誰が育成するのかが重要となる。同日,批判のある「後期高齢者医療制度」の名称を「長寿医療制度」に変更すると発表した。福田首相から「イメージがよくない」と名称見直しの指示を受けて変更したことは,厚生労働省のトップも,この制度の問題を「イメージの問題」と捉えているということになる。そのような環境における人材育成への期待ということになる。(筆者)
「厚生労働省の幹部名簿」(2008年4月1日付)

【「福祉行政の最新情報」2008年2月18日の記事再掲】
・2006年6月の国会で「健康保険法等の一部を改正する法律」が成立した。これにより,「老人保健法」の名称が2008年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」に改められる

→福田首相の選挙公約や所信表明演説に起因して「後期高齢者医療制度」の保険料の凍結などの施策(2008年4月から9月までは保険料負担を凍結,2008年10月から2009年3月までは保険料負担を9割軽減)がなされ,当初の目的であった「世代間の不公平の是正」は簡単に先送りされた。「健康保険法等の一部を改正する法律」が強行採決で成立したことと,後期高齢者医療制度の見切り発車感は無縁ではない。(筆者)
→●2007年11/23(後期高齢者医療制度の保険料負担軽減策)の記事を参照
→■「2006年医療制度改革」

【「福祉行政の最新情報」2007年11月23日の記事再掲】
れまでの「老人保健法」による老人保健制度は変更され,2008年4月からは「高齢者の医療の確保に関する法律 」(高齢者医療確保法)により,75歳以上の後期高齢者を対象とする新たな高齢者医療制度(後期高齢者医療制度)が新設される。現在加入している国保,社保等からは脱退することになる。老人保健法は廃止され,2008年4月以降は,老人医療は高齢者医療確保法へ,保健事業は健康増進法へ移行する。
・保険料負担の軽減策(左記)は,福田首相の所信表明演説によるものである。

→■2006年の医療制度改革
→●9/27の記事を参照(■第168回臨時国会における福田総理の所信表明演説
「高齢者の医療の確保に関する法律 」(高齢者医療確保法)および「後期高齢者医療制度」は,第20回・第10回の3福祉士国家試験には必ず出題されると予想している。ただし,時期的に軽減策は対象とならない。なお,現在,福田首相の選挙公約や所信表明演説に起因する他の重要福祉施策の「凍結・軽減・撤回」案としては,@2008年4月からの児童扶養手当施策の撤回,A障害者自立支援の自己負担の軽減(自立支援法の「抜本的見直し」とはならない様子である)があがっているが確定次第掲載する。(筆者)
国民健康保険料,後期高齢者医療保険料の特別徴収が開始 ・従来の介護保健に加え,国民健康保険料,後期高齢者医療保険料の特別徴収が開始された。

・世帯内の国民健康保険被保険者全員が,65歳以上75歳未満の世帯であって,年額18万円以上の年金を受給している世帯主は,年金からの天引き(特別徴収)となる。

特別徴収とは,年金給付額からあらかじめ保険料が徴収されるというものである。

→■「2006年の医療制度改革」
2 ■前期高齢者の自己負担割合(1割)・自己負担限度額の見直し ・「前期高齢者の患者負担」が増加された。

・70〜74歳の高齢者の自己負担割合負担が1割から2割となった。ただし,実施は1年間凍結される。

・自己負担限度額の一部が変わった。(低所得者,現役並み所得者は据え置き)

→■「2006年の医療制度改革」
3 ■乳幼児の自己負担割合(2割)の対象年齢の見直し ・「乳幼児の負担軽減措置」が拡大された。

・乳幼児における医療費の自己負担割合を2割とする対象年齢が,「3歳未満」から「義務教育就学(小学校入学)前」に拡大された。


→■「2006年の医療制度改革」
4 ■「健康診査」の見直し ・「住民基本検診」が「特定健康診査」に変更された。

・これまでの「住民基本検診」が,内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の概念に基づいた,国民健康保険による「特定健康診査」に変更され,40〜74歳までの被保険者に義務づけがされた。また,その結果に基づき生活習慣の改善を行う運動や,食事に関する保健指導を国民健康保険で行うことになった。

特定健康診査・特定保健指導に関するもの
特定健康診査・特定保健指導に関する通知
「健診検査項目の健診判定値(確定版)」(2008年3月)
「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」(2007年4月)


→■「2006年の医療制度改革」
5 「入院時生活療養費」の対象年齢の見直し ・「入院時生活療養費」の対象年齢が引き下げられた。

・「入院時生活療養費」の対象年齢が,「70歳以上」から「65歳以上」に引き下げられた。
・65歳以上で療養病床に長期入院者は,生活療養に要する費用(光熱水費などの居住費や食費)を負担する。この生活療養に要する費用に対して保険給付されるのが「入院時生活療養費」である。介護保険施設に入所する高齢者等は居住費や食費の負担義務があり,その均衡の観点から2006年10月からこの制度がはじまった。

75歳以上の者(後期高齢者)および65歳から74歳で一定の障害のある者は,「後期高齢者医療制度」の対象となり,その制度のもとで同様の給付がなされる。

→■「2006年の医療制度改革」
6 ■「退職者医療制度」の変更・廃止 ・従来の「退職者医療制度」が,経過措置をもって廃止された。

・「退職者医療制度」は廃止され,国民健康保険に加入している65歳以上の退職被保険者は,前期高齢者医療制度適用となるため,一般被保険者に切り替わった(65歳以上の退職被保険者の被扶養者のうち65歳未満を含む)。

ただし,現行制度からの円滑な移行を図るため2014年度までは,65歳未満の退職者を対象として,現行の退職者医療制度を存続する経過措置が設けられた。

→■「2006年の医療制度改革」
7 診療報酬の改定とジェネリック医薬品の促進 @200床未満の病院の再診料が570円から600円に改定された。
A処方箋様式を変更し,ジェネリック医薬品(安価な後発医薬品)の仕様を促進することになった。

・ジェネリック医薬品とは,新薬の特許期間が満了した後に,同じ有効成分,同等の効き目,安全を確認して発売される薬のことである。高血圧,糖尿病,高脂血症などの生活習慣病などで長期間,薬を服用している場合は,年間の薬代を減らすことができるとされている。ただし,すべての医薬品にジェネリック医薬品があるわけではない
8 「高額医療・高額介護合算制度」の施行 ・医療および介護の利用者の負担を軽減する措置として,新たに施行された制度である。
・各医療保険(国民健保,被用者保険,後期高齢者医療制度)における世帯内で,1年間(毎年8月〜翌年7月)の医療および介護量制度における自己負担が著しく高額となった場合に,一定の上限額を超える部分について,この制度による給付を行う。
・当該給付については,医療保険者および介護保険者の双方が利用者の自己負担額に比率に応じて費用を負担しあうが,この按分により医療保険者から支給されるものが高額介護合算療養費であり,介護保険者から支給されるものが高額医療合算介護(介護予防)サービス費である。なお,高額介護(介護予防)サービス日については,現行制度からの変更点はなく,高額医療合算介護(介護予防)サービス費の支給が,高額介護(介護予防)サービス費の支給に影響を及ぼすことはない。


→■「2006年の医療制度改革」
9 新たな肝炎総合対策「肝炎治療7か年計画」の実施 ・厚生労働省では,従来から行ってきた肝炎ウイルス検査の促進や正しい知識の普及,治療方法の研究などの総合的な対策に,インターフェロン治療に対する医療費助成を加え,2008年度から新たな肝炎総合対策「肝炎治療7か年計画」を実施することになった。

・日本の肝炎(ウイルス性肝炎)の持続感染者は,B型が110万人〜140万人,C型が200万人〜240万人存在すると推定されている。肝炎は,感染時期が明確ではないことや自覚症状がないことが多いため,適切な時期に治療を受ける機会がなく,本人が気づかないうちに肝硬変や肝がんなどに移行してしまうケースが少なくない。
10 ■国民年金保険料の改定 ・2008年度の国民年金保険料が改訂された。・・・項目15を参照のこと

・「1万4,100円/月」→「1万4,410円/月」

(2004年の年金改正により,2005年度から保険料水準固定方式とマクロ経済スライド方式が導入され,国民年金保険料は毎年月額280円引き上げ,2017年度以降は保険料を1万6900円に固定することとなった。)
11 ■「改正パートタイム労働法」の施行 詳細は「第166回臨時国会で成立した法律(福祉関連)」を参照のこと。
12 「改正児童虐待防止法」の施行

詳細は「第166回臨時国会で成立した法律(福祉関連)」を参照のこと。
13 ■「改正労災保険施行規則」の施行 ・通勤災害の対象に「介護」が追加された。

・労災保険は,業務上や通勤途上の傷病に対して保険給付される。通勤途上とは,原則,住居と就業の場所との往復であり,従来は日常生活上必要な以下の行為に伴う通勤途上の移動については,通勤災害の対象になっていた。
@日用品の購入その他これに準ずる行為
A職業訓練,学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これに準ずる教育訓練であって職業能力の開発途上に資するものを受ける行為
B選挙権の行使その他これに準ずる行為
C病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
・上記の行為に,「要介護状態にある配偶者,子,父母,配偶者の父母並びに同居し,かつ扶養している孫,祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る)」が追加された。
14 「ジョブカード制度の本格実施 ・2008年4月から本格的にジョブカードの発行が始まった。

・ジョブカードは,これまでの職歴や職業訓練を受けた記録を記載し,求職者が就職を希望する企業に示す。今後3年間で50万人に普及させる。


→2008年度から,「職業能力形成システム(通称『ジョブ・カード制度』)の構築に「174億円」の税金が投入される。
・安倍元首相が「成長力底上げ戦略」の目玉とした施策であって,労働環境が日本とまったく異なるが国民が受け入れる土壌をもっているイギリスの「NVQ制度」の物まねで,日本への導入の効果の検討も明らかでなく,見切発車で,「施策をしている」というジェスチャーのための施策との批判がある。
・昨年末の記者発表の際に,記者の厳しい質問(「174億円ものお金を使って,実際,どれぐらい効果があるか,つまり,フリーターがどれだけ正社員になれるかという目安や,あるいはイギリスの場合,延べ400万人いるフリーターのうち,どれぐらいが正社員,あるいはその職についているかなど,何かそういったデータはありますか?」)に,担当大臣が『とにかく始めませんと』と回答をしたことを記憶している。(筆者)


(参考)
A.フリーター・ニートの現状:
(1)「フリーター」数は217万人(2003年)まで増加した後,2007年まで4年連続で減少している。
(2).「ニート」数は,1993年の40万人から64万人に増加して以降,同水準で推移していたが,2006年には62万人に減少し,2007年も同水準である。
B.「フリーター」「ニート」の定義(総務省「労働力調査」):
(1)2002年以降の「フリーター」の定義は,15〜34歳で男性は卒業者,女性は卒業者で未婚の者とし,
@ 雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
A 完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
B 非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で,家事・通学等していない者 
(2)「ニート」の定義は,15〜34歳で,非労働力人口のうち,家事も通学もしていない者 
15 ■2008年度の年金額 ・2008年度の年金額は据え置かれた。・・・項目10を参照のこと

@国民年金 老齢基礎年金1人分 6,6008円/月
(792,100円/年)
A国民年金 老齢基礎年金夫婦2人分 132,016円/月
B厚生年金 夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額 232,592円/月
2007年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)が対前年比0.0%と物価の伸びに変動がなかったために「据え置き」が決定とされた。なお,2004年改正で導入された「マクロ経済スライド制」による調整は行われない。
(2004年の年金改正により,2005年度から保険料水準固定方式とマクロ経済スライド方式が導入された。)
16 「認定NPO法人制度」の改正(2008度税制改正による) ・主な改正のポイント
(1)認定の有効期間の延長:2年→5年
(2)パブリック・サポート・テスト(PST:経常収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合)に関する要件の見直し
@実績判定期間におけるPSTの割合:1/5以上とする特例(原則1/3以上)の適用期限を2011年3月31日まで3年延長
A実績判定期間内の各事業年度におけるPSTの割合:1/10→廃止
B実績判定期間:2事業年度→5事業年度
C受入寄附金総額から控除する一者当たり基準限度超過額:5/100→10/100
D社員からの寄附金:その親族等からの寄附金を同一の者からの寄附金とみなす規定は,適用しない。
(3)2008年4月1日以後に行う申請から適用
17 ■離婚時の厚生年金の分割制度における3号分割制度の実施 ・この年金分割制度は,離婚時の厚生年金の分割制度(合意分割制度(2007年4 月 1 日実施))と,離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度(3号分割制度(2008年4月1日実施))がある。
→■「離婚時の厚生年金の分割制度」
18 「義肢等補装具支給制度」の一部改正 @「義肢等支給・修理申請書」の提出先が,労働基準監督署から都道府県に変更された。
A
次の品目が支給種目に追加された。
  (1)重度障害者用意思伝達装置,(2)
筋電電動義手
B次の支給種目について,支給対象者の範囲が拡大された。
  (1)車いす,(2)電動車いす,(3)ストマ用装具,(4)浣腸器付排便剤,
  (5)床ずれ防止用ふとん
C車いすおよび電動車いすについて,付属品が追加された。
→■
義肢等補装具支給制度について(2008年7月8日追記)
19 長時間労働者への医師による面接指導が小規模事業場においても義務づけ ・労働安全衛生法では,労働者50人以上の事業場については,2006年4月1日より,脳・心臓疾患の発症を予防するため,長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対して,労働者の申出により,事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられていた。労働者50人未満の小規模事業場においても,2008年4月1日より適用されることになった。
・地域産業保健センターでは,2008年4月1日より面接指導の相談窓口を開設している。

「地域産業保健センターについてのご案内」(2008年1月)
20 母子福祉資金,寡婦福祉資金の貸付一部変更」および「高等職業訓練修了支援給付金の創設」 @母子福祉資金、寡婦福祉資金の貸付が一部変更
・母子福祉資金・寡婦福祉資金の「技能習得資金」および「生活資金」の償還期限が10年以内から20年以内に延長された。
A高等職業訓練修了支援給付金の創設
・母子家庭自立支援給付金の種類に「高等職業訓練修了支援給付金」が新たに規定された。
参考:<2008年2月〜3月に変更のあった事項>
21 ■「改正児童扶養手当法施行令」の施行
(2月8日から)
2008年2月8日から,「5年を経過した場合」の児童扶養手当の減額要件が緩和された。

・趣旨:児童扶養手当の受給開始から5年を経過した場合等における手当の一部支給停止措置は,2002年の母子及び寡婦福祉法等の改正の際に,離婚後の生活の激変を一定期間内で緩和し,自立を促進するという趣旨から設けられた規定である。一部支給停止措置について,2008年4月より適用される可能性がある者がいることから具体的内容が定められた。

(従来)
手当の支給は,受給資格者が認定の請求をした月の翌月から,支給事由が消滅した月までである。ただし,受給を開始してから5年を経過(または支給要件に該当した月から7年を経過)した場合,その一部は支給されない(身体上の障害がある場合は除く)。
                     ↓
(改正) 
5年を経過した場合,2008年2月の政令の改正により,同2月8日から上記下線の支給の減額措置が緩和された。2008年4月時点において子どもが8歳未満の場合は,受給開始後5年を経過しても減額されずに手当は支給される。
一方,子どもが8歳以上の場合は,@受給資格者が就業や求職活動をしていること,A受給資格者が一定の障害状態にあること,B受給資格者が病気や親族の介護等で就業や求職活動ができないこと−のいずれかに該当することが必要です。これらの該当がない場合,5年経過後の手当額は,1/2を乗じて得た額に減額される。
22 ■「労働契約法」の施行
(3月1日から)
詳細は「第168回臨時国会で成立した法律」を参照のこと。