2008年4月から「国民健康保険制度」の何が変わるか?
                                (2007年8/7,9/5,2008年2/18)
                                              
(1)「老人保健法」が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正される

「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)
「高齢者の医療の確保に関する法律施行令」


75歳以上の者は,これまでは国民健康保険や社会保険等の医療保険に加入しながら,老人保健で医療を受けていた。2006年の医療制度改革により,2008年4月から新たに「後期高齢者医療制度」が施行され,これまでの加入していた医療保険を喪失し,独立した医療保険である「後期高齢者医療保険」に加入する。これに伴い,「老人保健制度」は,2008年3月31日で廃止される。■後期高齢者医療制度に関する情報■後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(2007年10月10日,社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会)■後期高齢者医療制度の周知用リーフレット(保険料の軽減策※を含む)

@ 10割軽減・凍結
(負担ゼロ)
2008年4月〜9月
A 9割軽減
(負担1割)
2008年10月〜2009年3月

(2)「特定健康診査に変更」される

これまでの「住民基本検診」が,内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の概念に基づいた,国民健康保険による「特定健康診査」に変更され,40〜74歳までの被保険者に義務づけされる。また,その結果に基づき生活習慣の改善を行う運動や,食事に関する保健指導を国民健康保険で行うことになる。
■特定健康診査・特定保健指導に関するもの
■特定健康診査・特定保健指導に関する通知
■標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)

(3)「乳幼児の負担軽減措置が拡大」される

乳幼児の負担軽減措置(2割)が,3歳未満から義務教育就業前まで拡大される。
(4)「高齢者の患者負担が増加」される
70〜74歳の高齢者の患者負担が1割から2割となる。
(5)「退職者医療制度が変更」される
退職者医療制度の該当年齢が65歳未満となる。
(6)「特別徴収に変更」される
世帯内の国民健康保険被保険者全員が,65歳以上75歳未満の世帯であって,年額18万円以上の年金を受給している世帯主は,年金からの天引き(特別徴収)となる。
http://www.yamadajuku.com/

(2008年9月25日)

医療制度改革に関する情報 (長寿(後期高齢者)医療制度を含む)

項  目 概  要 掲載
9 療養病床の再編成と円滑な転換に向けた支援措置ついて〜パンフレット〜(1.64MB) ・高齢者が長期入院する療養病床(35万床)を2011年度末までに介護保険が適用される療養病床を全廃し,比較的症状の重い患者が入院している医療保険適用型の療養病床のみ(15万床)を残す方針が出された。これに対して,「老健では患者の受け入れが難しく,行き場のない介護難民が大量発生する」などの批判が医療関係者から出ていた。この問題について,厚労省は「介護施設等の在り方に関する委員会」に,医療面を強化した「転換老健」(:削減される療養病床を転換して,新たにつくる老人保健施設)の基本方針を提示し,議論された。
・転換老健では,看護職員を24時間配置し,終末期の看取りに必要な医療処置ができる体制を整備する。常勤医師がいない夜間や休日は緊急呼び出しで対応し,他の医療機関の医師による往診も認めることとされる。
2007年
9/21
8 「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」を公表
〜社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」〜
・2006年第164回国会で「健康保険法等の一部を改正する法律」(医療制度改革))が成立し,2008年度から後期高齢者医療制度が創設されることとなった。附帯決議で「後期高齢者医療の新たな診療報酬体系については,必要かつ適切な医療の確保を前提とし,その上でその心身の特性等にふさわしい診療報酬とするため,基本的な考え方を2006年度中を目途に取りまとめる」こととされた。
・2007年4月11日に社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」において「後期高齢者医療の在り方に関する基本的考え方」が取りまとめられた。
・後期高齢者医療の新たな診療報酬体系については,引き続き議論を進めていくこととされている。
2007年
4/13
2006年「医療制度改革のまとめ」(やまだ塾)

→■「2006年医療制度改革の概要について」(2007年9月20日,第27回社会保障審議会医療保険部会資料)
・複雑で難解なため,主な項目のポイントと施行時期(2006年10月〜2012年4月)を一覧表にまとめた。
●2008年4月から「老人保健法」は「高齢者の医療の確保に関する法律」に名称が変わり,@医療費適正化計画,A保険者に対する一定の予防健診等の義務づけ,B後期高齢者(75歳以上)を対象とした後期高齢者医療制度の創設,C前期高齢者(65歳〜74歳)の医療費に係る財政調整制度の創設,が施行される。
2007年
10/17
2006年

9/7
2006年「医療制度改革関連資料」
     ・健康保険法の改正
     ・
医療法の改正
・関連法は,健康保険法および医療法の改正からなり,医療費抑制に向けて(A)利用者負担の見直し,(B)制度改革を柱とする。
(A)利用者負担の見直し
(1)2006年10月〜:@現役世代並みの所得を有する70歳以上の窓口負担を2割から3割に引き上げる。A70歳以上の長期入院者の食事・居住費などのホテルコストを自己負担とする。B高額療養費制度の自己負担限度額を引き上げる。C少子化対策として,出産育児一時金を35万円に増額する(現行30万円)。
(2)2007年4月〜:出産手当金を増額(賃金6割相当からボーナス分を反映した賃金2/3相当へ)する。
(3)2008年4月〜:@一般的所得の70歳〜74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げる。A乳幼児j医療費の自己負担割合が2割となる対象を未就学児(6歳程度,現行は3歳未満)まで拡大する。
(B)制度改革
(1)2008年4月〜「新たな高齢者医療制度の創設」:@2008年度に75歳以上の高齢者と65歳以上74歳までを対象とした「後期高齢者医療制度」を創設する(各都道府県の全市町村で構成する広域連合が運営する。対象者の医療費は,a)75歳以上の全高齢者から徴収する保険料,b)国や自治体の公費,c)健康保険組合からの支援金,で賄う)。A都道府県に医療費適正化計画の策定を義務づける。
(2)2008年10月:@政府管掌健康保険の財政運営を都道府県単位にする。
(2)2012年4月〜@介護療養型医療施設を2012年度に廃止する(社会的入院を解消するため,療養病床の介護保険適用について,老人保健施設などへの転用を進める),A医療保険適用分も15万床に減少させる(現行は25万床)。
参議院付帯決議(21項目)がなされている
9/7
2006年1月31日「医療制度改革大綱による改革の基本的考え方」(厚生労働省) 1.安心・信頼の医療の確保と予防の重視
(1)患者の視点に立った、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制の構築
・医療情報の提供による適切な選択の支援
・医療機能の分化・連携の推進による切れ目のない医療の提供(医療計画の見直し等)
・在宅医療の充実による患者の生活の質(QOL)の向上
・医師の偏在によるへき地や小児科等の医師不足問題への対応等
(2)生活習慣病対策の推進体制の構築
・「内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)」の概念を導入し,「予防」の重要性に対する理解の促進を図る国民運動を展開
・保険者の役割の明確化,被保険者・被扶養者に対する健診・保健指導を義務づけ
・健康増進計画の内容を充実し,運動,食生活,喫煙等に関する目標設定等
2.医療費適正化の総合的な推進
(1)中長期対策として,医療費適正化計画(5年計画)において,政策目標を掲げ,医療費を抑制(生活習慣病の予防徹底,平均在院日数の短縮)
(2)公的保険給付の内容・範囲の見直し等(短期的対策)
3.超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現
(1)新たな高齢者医療制度の創設
(2)都道府県単位の保険者の再編・統合
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2005年12月1日「医療制度改革大綱 【構成】
( I )医療制度改革の基本的視点と将来方向
( II )保健医療システムの改革
( III )診療報酬・薬価基準等の改革
( IV )医療保険制度の改革
( V )高齢者医療制度の改革
( VI )その他
・医療制度を構成する保健医療システム,診療報酬体系,医療保険制度のすべてについて,総合的な構造改革を進めていくため,早急な着手と確実な実行が必要であるとされている.
【主なポイント】
@医療保険制度の一元化については,具体的な検討を開始し,一定期間内に結論を得る,A2002年度の診療報酬改定については,引き下げの方向で検討し,措置する,B2002年度の薬価基準については,市場実勢価格を踏まえ,必要に応じ引き下げを行う,C総報酬制のもとで,2005年度から政府管掌健康保険の保険料を予定どおり引き上げる,D必要な時に7割給付で保険間の統一を図る,E高額療養費に係る自己負担限度額は,低所得者に配慮したうえで見直す,F新しい高齢者医療制度が創設されるまでの間,現行制度の対象年齢を75歳以上とし,公費負担割合を引き上げるが,一般医療の対象となる70歳から74歳の患者負担は75歳以上の高齢者と同様の扱いとする,G老人医療の対象者の患者負担は,低所得者に配慮し,完全定率負担とするとともに,一定以上の所得の者には応分の負担を求める,H老人医療費の伸び率抑制のための指針を定める など
【改革の時期】
高額療養費の自己負担限度額引き上げ,出産育児一時金の引き上げ,国保財政基盤強化策などは2006年度,現金給付や保険料賦課の見直しは2007年度,医療費適正化計画,高齢者医療制度は2008年度にそれぞれ実施する。
9/7
2005年11月30日「医療保険制度改革について(意見書)」(社会保障審議会医療保険部会) 【基本的な考え方】
・世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきたわが国の医療保険制度は,急速な少子高齢化,経済の低成長への移行,国民の生活や意識の変化等大きな環境変化に直面しており,21世紀においても真に安定し,生命と健康に対する国民の安心に応えられる制度としていく必要がある。
・その際,国民が安心できる国民皆保険制度を堅持していくことが重要であり,そのためには,適切な方法による医療費の適正化を進めるとともに,給付の平等,負担の公平を図る観点から,制度体系の見直しを行う必要がある。
・これに関しては,保険者の自立性・自主性を尊重した上で,医療保険制度の一元化を目指すべきとの意見がある一方,保険者機能を弱体化させるような一元化には反対との意見があった。
9/7
2005年10月19日「医療制度構造改革試案」(厚生労働省)
【基本的な方向】
<1>医療制度の構造改革の基本方針
・ 生命と健康に対する国民の安心を確保するため国民皆保険制度を堅持する。
・ 制度の持続可能性を維持するため,経済指標の動向に留意しつつ,予防を重視し,医療の質の向上・効率化等によって医療費の適正化を実現し,医療費を国民が負担可能な範囲に抑制する。
・ 医療費に係る給付と負担の関係を,老若を通して公平かつ透明なものとする。
<2>医療費適正化の進め方
(1)予防重視と医療の質の向上のための本格的な取組み
@ 生活習慣病予防のための本格的な取組
A 患者本位の医療提供体制の実現
(2)医療費適正化に向けた総合的な対策の推進
@ 中長期的な医療費の適正化
A 公的保険給付の内容・範囲の見直し等
<3>都道府県単位を軸とする医療保険者の再編統合等
<4>新たな高齢者医療制度の創設
<5>診療報酬体系の在り方の見直し等
(1)診療報酬体系の在り方の見直し
・2006年度改定において
@平均在院日数の短縮の促進
A医療機能の分化・連携の促進
B終末期対応も含めた在宅医療の推進等について検討する
(2)薬剤に係る給付の見直し等
・2006年度改定等において後発品の使用促進のための仕組み等について検討する。
(3)保険診療と保険外診療との併用の在り方の見直し(いわゆる「混合診療」への対応)
(4)中央社会保険医療協議会(中医協)の見直し
・委員構成の見直し等を行う。
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(参考)
2002年「医療保険制度改革について」
【1】「健康保険法等の一部を改正する法律」の内容
 国が2002年度に行う医療保険制度改革の主な項目と,改正法の内容は,下記のとおりである。
(1)各制度・世代を通じた給付と負担の見直し
・0〜2歳の自己負担割合:3割→2割
・3〜69歳の自己負担割合:3割に統一(2003年4月施行)
・70歳以上の自己負担割合:一定以上の所得があれば1割→2割
(2)後期高齢者(75歳以上)への施策の重点化
・老人保健の対象年齢の引き上げ:70歳以上→75歳以上
(3)急速に増大する老人医療費の伸びの適正化
・厚生労働大臣が適正化のための指針を定め,指針に即した都道府県等の取組みに対する必要な助言その他の援助に努める
(4)国民健康保険の財政基盤の強化
・広域化等支援基金の創設 等

【2】老人保健法の改正内容
(1)対象年齢
・70歳以上から75歳以上に引き上げ
・75歳になるまでは引き続き加入している医療保険の対象となるが,自己負担は老人保健と同じである。但ただし,経過措置として,32年9月30日以前に生まれた者は,70歳から老人保健法の対象となる。
(2)自己負担
外来診療に係る定額制が廃止され,1割または2割の完全定率制となった。現役世代と同程度の負担能力のある高齢者〔一定以上所得者〕について,2割負担となった。
9/7
新介護福祉制度(2005年改正)
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の運営状況について
      <2008年9月12日 第30回社会保障審議会医療保険部会 資料>