福祉行政の最新情報(2006.4.1~)-16
2011年4月1日~2012年3月31日
http://www.yamadajuku.com/
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
 2013年4月1日~
2012年4月1日~2013年3月31日
2011年4月1日~2012年3月31日
2010年10月1日~2011年3月31日
2010年4月1日~2010年9月30日
2010年1月1日~2010年3月31日
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2009年1月1日~2009年3月31日
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2008年9月1日~2008年10月31日
2008年7月1日~2008年8月31日
2008年4月1日~2008年6月30日
2007年12月1日~2008年3月31日
2007年8月1日~2007年11月30日
2007年4月1日~2007年7月31日
2006年10月1日~2007年3月31日
2006年4月1日~2006年9月30日
日付 関係省庁等 項 目 ポイン
3/30 内閣府 「2012年度 国政モニター」が募集されている
<2012年度国政モニターの募集>
・内閣府は,インターネットを利用する国民から国の行政施策全般に関する意見等を聞くため,無償での国政モニターを募集している。
①募集者数 : 600名程度
②募集期間 : 2012年3月27日(火)~4月10日(火)
③募集方法 : 国政モニター募集ページ

④応募資格 : 日本国内に居住する20歳以上の日本国民
⑤選考結果 : 4月下旬までに依頼状をメールで送付
3/29 厚生労働省 ■「2011年度 3福祉士国家試験」が終了した ・3月15日に,社会福祉士国家試験および精神保健福祉士国家試験の合格発表あった。残っていた介護福祉士国家試験の合格発表が3月28日に行われ,2011年度の3福祉士国家試験がすべて終了した。
<3福祉士国家試験の結果(まとめ)>
①介護福祉士
・合格点=筆記:75点/120点,実技53.33点/100点
・日本人合格率=63.9%(88190/137961人)
・EPA合格率=インドネシア:37.2%(35/94人),フィリピン:100%(1/1人)36人の合格者名簿
「第24回介護福祉士国家試験にEPA介護福祉士候補者36名が合格しました」(厚生労働省)
②社会福祉士
・合格点=総合:81点/150点専門科目40点/74点
・合格率=26.3%(11282/42882人)
③精神保健福祉士
・合格点=総合:73点/156点,専門科目35点/80点
・合格率=
62.6%(4865/7770人)

→経済連携協定(EPA)に基づいて来日し,初めて介護福祉士国家試験を受けたインドネシア人94人(2008年度入国)とフィリピン人1人(2009年度入国)のうち,合格者はインドネシア人35人とフィリピン人1人で,合格率は37.9%であった。大変なご苦労があったことだろう。頭が下がる。合格発表後,日本のマスメディアも,敬意を込めて報道していた。
→3月28日,厚生労働省は,今回の不合格者59人のうち47人に滞在期間延長の資格(第24回介護福祉士国家試験(筆記)で38点以上の獲得が条件)を設けた。また,東京都は,EPAに基づく看護師・介護福祉士候補者向け学習会の開催の報道発表をした。
→外国人介護福祉士の誕生が契機となり,介護福祉士,ひいては日本の介護のありようにまで国民の関心が向いていくことを心から願っている。職能団体である「日本介護福祉士会」が,蚊帳の外でいいわけがないと思うが・・・。(筆者)


3/26「第1回 経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」の記事を参照
3/28 厚生労働省 「介護保険制改正の概要および地域包括ケアの理念」および「地域包括支援センター業務マニュアル」 ・2012年3月27日に,「2011年度地域包括ケア推進指導者養成研修(ブロック研修)資料」としてブロック研修テキストが公開された。
<研修テキストの構成>
研修次第~オリエンテーション
介護保険制度改正の概要及び地域包括ケアの理念
地域ケア会議(自立支援型マネジメント)の概要・講義・演習
センター長の各種マネジメント能力の向上
研修の振り返りと全体総括
参考資料(マニュアル等)

→2012年4月1日から改正介護保険制度および改正介護報酬が,課題を山積みにして施行される。振り返れば,2011年6月15日の通常国会において,衆議院で約10時間,参議院参で約8時間というわずかな審議で,民主,自民,公明,みんなの党の賛成多数によって,改定介護保険法が成立した。いまさら文句を言っても仕方がない。福祉専門職は,ちゃんと知って,制度の枠内でちょっとでも良くなるように努力するだけである。(筆者)

3/1「介護報酬改定検証・研究委員会」が設置される,2/7(「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく)2011年12/22「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」,8/25「2010年度 介護労働実態調査結果(2010年11月実施)」,9/12「介護保険におけるケアマネジメントについて」,10/25「社会保障・税の一体改革成案」における「医療・介護制度改革」を理解しているか?,9/89月9日が,パブリックコメントの締め切りである(「介護職員等によるたんの吸引等の実施に関する御意見募集」および「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令案等に関する御意見募集」)),8/8「2010年度介護給付費実態調査の概況」,6/28「改正介護保険法」が成立の記事を参照
3/27 厚生労働省 仮想環境「将来的な社会保障のワンストップサービスイメージ」の実施について
<厚生労働省の説明文>
「厚生労働省では,将来、社会保障分野の手続がどのように変わるのか,仮想環境『将来的な社会保障のワンストップサービスイメージ(体験版)』として疑似体験していただくこととしました。
下記,リンク先にアクセスのうえ,ご意見,ご要望をお寄せください。」

→再度,共通番号制の諸外国での状況をまとめると,①イギリスは国民の人権を侵害しているという理由から国民ID番号カード制を廃止した,②ドイツは共通番号制は憲法違反とし,共通番号制は採用していない,③アメリカは共通番号により成りすましが横行し,解決策も見出せていない。参考までに,韓国では番号がネット上で売買されている。
→2012年2月14日,政府は,共通番号制度を導入するための「マイナンバー法案」を閣議決定し,国会に提出した。きめ細かい社会保障サービスの提供に必要としているが,「ICチップ付カードを作るがカード取得は任意」ということである。厚生労働省は,左記の疑似体験の意見や要望が知りたいようだから,アンケートに回答してあげたらどうだろう。
→なお,2月17日,政府は,「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定しているが,野田首相が政治生命と命を懸けると強調した消費税増税関連法案については,3月27日に民主党内の合意を取り付け,3月30日に閣議決定と国会提出を目指すとされている。それに対して,自民党は,法案成立前に衆院を解散すべきだと主張している。(筆者)


「社会保障・税に関わる番号制度」(内閣官房)
3/26 厚生労働省 「第1回 経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」
<2012年3月1日付毎日新聞(大阪)記事より一部転載>

介護福祉士:EPA初,あと一歩で資格取得 大阪・池田のフィリピン女性「日本で続けたい」
大阪府池田市の特別養護老人ホームで介護の仕事をするフィリピン人女性のマリシェル・オルカさん(32)が3月4日,国家資格の介護福祉士を目指して実技試験に臨む。既に筆記試験は1月末に突破しており,実技試験に通れば,経済連携協定(EPA)に基づく来日外国人として初の介護福祉士となる。日本の介護現場で働き続けるには資格が必要で,「お年寄りが身内のように親しんでくれて幸せ。日本でこの仕事を続けたい」と目標を見据えている。
・・・(中略)・・・
■ことば ◇EPA
経済活性化を目的に複数国間で人や物,労働力,サービスなどの移動を自由化する協定。日本は看護師や介護労働者が慢性的に不足しており,インドネシアやフィリピンと結んだEPAに基づき,2008~2011年度に計1360人の看護師と介護福祉士候補者を受け入れた。候補者は病院や介護現場で働きながら,許可された滞在期間(原則看護師は3年,介護福祉士は4年)中に国家試験に合格しなければ帰国する決まり。既に受験が進んでいる来日看護師の合格率は4%未満。

→2012年3月28日に,第24回介護福祉士国家試験の合格発表がある。EPAに基づく初の外国人介護福祉士が誕生するかも知れない(インドネシア人94人,フィリピン人1名が受験した)。なお,介護福祉士試験は実務経験3年が必要で,候補者の在留期間は4年のため,チャンスは実質一度きりである。
→筆者は,「日本介護福祉士会」に対して,正当な理由があるとは思うが,現に日本国内で理不尽ともいえる不利益をこうむっている介護の専門職を目指す仲間(外国人介護士)を見捨てるような姿勢には疑問を持つ。東北大震災直後に,決して裕福とはいえないフィリピンやインドネシアの官民から,医療支援を含めて多くの暖かい援助を受けた。また,被災しながら,帰国せずに現地に留まり,介護を続けた外国人介護士のことがニュースとして取り上げられた。それらの温情を,多くの日本国民は忘れていない。いろんな政治的な立場や主張があってもいいが,現に困っている有意の人たちに対しては,それぞれが人として恥ずかしくない行動を取らなければならない。(筆者)


→■福祉専門職の現状
3/23 総務省 「2012年版 地方財政の状況」 2012年3月16日,政府は,2010年度の地方自治体の決算状況をまとめた「地方財政白書」を閣議決定した。同日,総務省は,「2012年版地方財政の状況の概要(2010年度決算)」を公表した。
・歳入総額は地方交付税や地方債などが増加し,地方税などの減少で97兆5115億円(前年度比8542億円減),歳出総額は普通建設事業費などの減少で94兆7750億円(前年度比1兆3314億円減)で,ともに減少した。

→国家試験風に言えば,「国と地方を通じた財政支出(最終支出・約160兆円)のうち,国と地方の割合は,およそ4:6である」や「地方公共団体の歳出を目的別に見てみると,民生費が最も大きな割合を占め,以下,教育費,公債費,土木費の順となっている」というような全体的な特徴を理解しておくことは重要である。同時に,地方自治体により財政状況がかなり異なり,特に財政力の弱い市町村が多いので,地方財政を見る場合には,全体の指標ばかりではなく,個々の地方自治体ごとの財政状況もみる必要がある。(筆者)

(参考)
「2012年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等」(2012年1月25日)
「地方財政制度」(総務省)
3/22 首相官邸 「若者雇用を取り巻く現状と問題」「若者雇用に関する政府の対策」
~「第7回雇用戦略対話」資料~
・2012年3月19日,政府は,政労使の代表と教育関係者による「雇用戦略対話」を開催し,若年層の就労を支援する「若者雇用戦略」を2012年夏までに策定することを決定した。政労使の実務者や教育関係者,有識者らで構成する作業部会を設置し,2012年5月までに「若者雇用戦略」の原案をとりまとめ,2012年の年央に策定する「日本再生戦略」に盛り込むとされている。
・左記の内閣府の推計では,大学や専門学校への進学者のうち,卒業・中退後に就職して正社員など安定した仕事に就いている人の割合は48%,高校を卒業・中退して社会に出た人の場合には32%,と低率である。

→内閣府は,「教育から雇用へと円滑に接続できていない」と悠長な現状分析をしている。統計数値上は,「高等教育」と「雇用」が結びかず,「大学は出たけれど・・・」状態であることがはっきりした。しかし,「高等教育」をまともに授けられない「名ばかり大学」を混合させている限り,本質的な議論はできないという指摘もある。
→現状で「若者雇用戦略」を策定することは望ましいと思うが,派遣法改正案からの「製造業派遣と登録型派遣の原則禁止」削除,国家公務員新規採用4割減,65歳まで再雇用義務化など最近の政府の動きを勘案すると,「若者の雇用」もやっているというパフォーマンスと受け止めておいた方がいいように思われる。(筆者)
3/20 厚生労働省 ■4月1日から,厚生労働省健康局に「がん対策・健康増進課」が設置される
・2012年3月16日,厚生労働省は,4月1日から,「厚生労働省健康局総務課」に設置されている「がん対策推進室」,「生活習慣病対策室」,「地域保健室,「保健指導室」の4室を再編し,新たに「厚生労働省健康局がん対策・健康増進課」を設置することを発表した。
・今回の再編によって,2012年6月までに閣議決定が予定されている「次期がん対策推進基本計画」の策定や「次期国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」の策定に一体的に取り組むとのことである。

→現在,日本人の死因の1位であるがんは,年間死亡者数は30万人以上である。がん対策の経緯は,1984年の「対がん10か年総合戦略」,1994年の「がん克服新10か年戦略」,2004年の「第3次対がん10か年総合戦略」,2006年の「がん対策基本法」,2007年の「がん対策推進基本計画」であるが,現在の課題である①放射線療法及び化学療法の推進,②治療の初期段階からの緩和ケアの実施,③がん登録の推進,④がん検診の推進が一向に進まない。
→がん対策は,脅したり,情報や知識を与えるだけではダメで,「理解してもらうこと」に尽きるのではないかと思う。組織の再編を契機に,今よりはよくなることを期待したいが,これまでの厚生労働省のやり方に対して,「人間を分かっていない」や「人の気持ちを汲んでいない」という指摘には耳を傾けた方がよいと思われる。(筆者)


→■「がん対策情報」(厚生労働省)
→■「がん情報サービス」(国立がん研究センターがん対策情報センター )
3/19 厚生労働省 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」 ・2012年3月15日,厚生労働省は,「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が取りまとめた「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を公表した。
・今後,厚生労働省は,本提言を踏まえて,2012年度から実態調査をし,予防・解決に向けた社会的気運を醸成するための周知・広報を実施するとしている。

→筆者の所感を述べる。セクハラの防止措置義務は「男女雇用機会均等法」に規定されているが,パワハラの防止については法律で規定されていない。職場のパワハラが社会問題として顕在化している原因が,「労働法制の未整備」であることは議論の余地がない。厚生労働省の官僚がリードしたと思われる「労働法制の整備に言及していない提言」によって,現実的な予防や解決が図れるとは考えづらい。今回の提言によって,将来の法制化の可能性が出てきたという意見もあるが,どうだろうか。提言のうち,「⑶ 政府や関係団体に期待すること」として「国や労使の団体は,当会議の提言及びワーキング・グループ報告を周知し,広く対策が行われるよう支援することを期待する。」と明記されているだけである。
→労働法上の法制化に関しては,政権交代前の2007年の野党である民主党の策定した「労働契約法案第15条」には,パワハラ禁止条文があったはずである。また,労働契約法制定以前から,労働安全衛生法に規定されている事業者に労働者の健康の保持増進を図るための措置を講ずる努力義務(第69条)と快適な職場環境を形成する努力義務(第71条の2)に加えて,新たに「職場のパワハラに対する配慮義務規定」を置くことが指摘されていた。
→「提言」に付帯した「参集者からのメッセージ」を読んで,この人たちの認識のレベルが理解できた。(筆者)


3/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」の記事を参照

「労働契約法のポイント」(2008年3月施行)
3/16 消費者庁 「子ども安全メールfrom消費者庁」を知ってますか?
<消費者庁の広報文>
「消費者庁では,メール配信サービス「子ども安全メールfrom消費者庁」により,主に0歳~小学校入学前の子どもの思わぬ事故を防ぐための注意点や豆知識を,毎週木曜日にお届けしています。携帯及びパソコンで,情報提供していますので,お子様の事故を予防するために,是非ご活用ください。」

メール配信登録
過去のメール内容(2010年9/16~)

「子ども安全メールfrom消費者庁」のチラシ等

<月齢・年齢毎に起こりやすい事故とその対処法>
0~3か月
3~6か月
6~9か月
9~12か月
1~2歳未満
2~3歳未満

「不慮の事故死」に関して,福祉専門職は,「人口動態統計月報年計(2010年)」の年齢別死因順位や「不慮の事故死亡統計(2009年度)」のp.8(年齢階級別にみた不慮の事故の種類別死亡数構成割合)の統計データを知っておく必要がある。(筆者)

「消費者庁」HP
3/15 厚生労働省 「ご家族の薬物問題でお困りの方へ(家族読本)」 ・2008年8月22日に「第三次薬物乱用防止五か年戦略」が策定され,2010年7月23日に「薬物乱用防止戦略加速化プラン」が策定され,薬物乱用対策が推進されている。

→薬物政策は,10省庁(内閣府,警察庁,総務省,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,経済産業省,海上保安庁)にまたがっている。そのうち,厚生労働省が担う政策は,広報啓発活動,取締全般,国際的な連携・協力全般とされている。いくらりっぱな言い訳をしても,縦割り行政による弊害は,容易に想像できる。「薬物問題を抱える家族」に対して,左記のようなパンフレットが効果的であるかどうか。(筆者)

(参考)
→■「薬物乱用の現状と対策」(2011年10月)
→■「薬物乱用防止教育に関する文部科学省の取組」(2011年10月18日)
→■「薬物乱用防止に関する情報」(厚生労働省)
→■「薬物乱用対策」(内閣府)
3/14 内閣府 「自衛隊・防衛問題に関する世論調査(2012年1月)」 ・2012年3月10日,2012年1月に実施された「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」が公表された。本調査は,3年ごとに行われ,前回調査は2009年であった。調査は2012年1月に全国の成人男女3000人を対象に実施し,1893人(回収率63.1%)が答えたものである。
東日本大震災の被災地救援に10万人態勢で臨んだ自衛隊の活動を「評価する」との答えが97.7 %であった。
・また,自衛隊の印象については「良い」との答えが91.7%(前回80.9%)で,1969年の調査開始以来最高であった。


→東日本大震災および福島第一原発事故への献身的な自衛隊の活動に対する正当な評価が出ていると思われる。「日本国民は,自衛隊を信頼している」という証である。
→3月13日,野田首相は,一向に進まない,岩手,宮城両県で出た「震災がれき」の処理を法律に基づいて被災地以外の都道府県に要請する意向を示した。放射能拡散に不安を感じている日本国民に対して,こんな強引なやり方でいいのだろうか。筆者は,きちんとした「世論調査」をすれば,容易にマイナスの結果が想定できるので,怖くてやれないのだと考えている。被災地支援は民意であるが,放射能汚染に関しては,「日本政府」は,イソップ童話の中の「狼少年」である。
「日本国民は,日本政府を信頼していない」という証である。「震災がれき」の処理が進まないのは,国民の理解不足ではない,日本政府や行政省庁の理解活動不足である。
→ついでの話になるが,
「放射線に関連するやまだ塾の記事・コメント一覧」から,この1年を振り返ってみたが,改めて日本のマスメディアの存在意義を考えさせられた。(筆者)
3/13 厚生労働省 「介護報酬改定検証・研究委員会」が設置される
「第89回社会保障審議会介護給付費分科会」資料

<「介護報酬改定検証・研究委員会」メンバー(敬称略)>

なお,※印は,介護給付費分科会委員である。

●大島 伸一 委員長,((独)長寿医療研究センター総長)
●池田 省三 (地域ケア政策ネットワーク研究主幹)
●田中 滋 (慶應義塾大学大学院教授)
●村川 浩一 (日本社会事業大学教授)
●椿原 彰夫 (川崎医療福祉大学教授)
●松田 晋哉 (産業医科大学教授)
●松原 由美 (明治安田生活福祉研究所主席研究員)
・2012年1月28日,「第89回社会保障審議会介護給付費分科会」(分科会長:大森東大名誉教授)が開催され,3月5日に会議資料が公開された。
・2015年度の介護報酬改定に向け,2012年度の改定の効果など検証することを目的として,同分科会の下に「介護報酬改定検証・研究委員会」が設置されることとなり,メンバーも左記の通り決定された。委員会は4月に第1回が開催される予定とされている。
<2月7日記事の再掲(一部)>
「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく

→「2012年度介護報酬改定」を契機に,介護保険制度は一気に崩壊していくように感じている。
→結論だけを申し上げる。介護現場を知らない官僚や介護現場を軽視する学者らに,日本の介護保険制度が牛耳られている。筆者は,日本の介護保険制度を立て直す唯一の方法は,左記の連中らを,「介護分野」から締め出すことであり,そこから介護の未来が見えてくるように思う。彼らに介護が必要になったとき,「介護保険は社会保険制度で福祉制度ではない」,と言っているかどうか,見届けてみたい気がする。(筆者)

→左記の会議資料が,3月5日に公表された。筆者は,「介護報酬改定検証・研究委員会」のメンバーを見て愕然とした。何と7名のうち4名が,「2012年度介護報酬改定」にかかわった介護給付費分科会委員である。筆者は,公平・公正が損なわれる恐れがある「自作自演の手法・行為」を許してはならないと考える。「福祉専門職」は,勇気と使命感を持って,公然と意見を言うべきである。(筆者)

2/7(■「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく)の記事を参照
3/12 内閣府

警察庁
■2011年中の「自殺者の状況」および「交通事故死者の状況」 ・2012年3月9日,内閣府と警察庁は,「2011年の自殺の状況」を公表した。自殺者は30,651人(前年比3.3%減)で,1998年から14年連続で3万人を超えた。
・2012年3月6日,警察庁は,「2011年中の30日以内交通事故死者の状況」を公表した。交通事故死者数は5,449人で,11年連続の減少となり,1993年に集計を開始して以来最少であった。

→一向に減らない自殺者数と年々減少している交通事故死者数が比較されることが多い。一般的には,交通事故死者数はコントロールできたのに,なぜ自殺者数はコントロールできないのかという問いかけに用いられ,それがもっともらしく通用しているところが面白い。何の関係もない事柄の数字を比較しているわけであるから,そこからは何の解決策も見出せないという指摘がある。しかし,筆者は,医療の観点から,両者を比較することには意味があるかも知れないと思う。交通事故死者数の減少の理由として,現状の救急医療が寄与していることは明白である。一方,自殺者数が減少しない理由として,現状の精神科医療が寄与しているとすれば大変なことである。(筆者)
3/9 首相官邸 「3月11日14時46分を期して,それぞれの場所において,黙とうを」(野田首相)

2011年3月11日
14:46 東北地方太平洋沖地震発生
14:49 福島第一原発が自動停止
14:49 津波警報(大津波)発表
14:50 気象庁が地震規模をM7.9と発表
15:11 沿岸各地に高い津波が到達し始める
15:40 千葉県の製油所が爆発,炎上と報道
15:42 千葉・幕張 液状化現象が発生
16:00 気象庁が地震の規模をM8.4と推定

      ・
      ・
      ・
<野田首相からの国民への呼びかけ(談話)>
               国民の皆様へ

 政府は,来たる3月11日(日)午後2時30分から東日本大震災一周年追悼式を国立劇場において執り行います。
 東日本大震災の発生から,1年が経とうとしています。
 東日本大震災は,被災地域が広範に及び,極めて多くの尊い命を奪うとともに,国民生活に多大な影響を及ぼした未曽有の大災害でした。この突然の地震とその直後の津波等で亡くなられた方々の無念の思いと,最愛の家族を失われた御遺族の皆様の深い悲しみに思いを致しますと,誠に痛恨の極みであり,哀惜の念に堪えません。
 ここに震災により犠牲となられた方々に対し哀悼の意を表すべく,追悼式の当日の午後2時46分を期して式場において1分間の黙とうを捧げ,心から御冥福をお祈りすることとしております。国民の皆様におかれましても,これに合わせて,それぞれの場所において,心から黙とうを捧げられますようよろしくお願い申し上げます。

 平成24年2月24日
           東日本大震災一周年追悼式実行委員長
                    内閣総理大臣 野田佳彦
3/8 内閣府 「児童虐待に関して,民法の「親権制限制度」が見直され,2012年4月1日から施行される」 ・「児童虐待防止のために親権を最長で2年間停止できる」と定めた「民法等の一部を改正する法律」は,2011年5月27日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し,6月3日に公布された。
・2011年12月13日に,施行日を2012年4月1日とする政令が閣議決定された。
<改正のポイント>
①児童虐待から子どもを守る視点から,民法の「親権制限制度」「未成年後見制度」が改正され,2012年4月1日から施行される。
②新親権制限制度では,従来の親権を奪う「親権喪失」に加えて,最長2年間,一時的に親権の行使を制限する「親権停止」が創設された。
③「親権喪失」「親権停止」の原因として,「子どもの利益を害するとき」が明記された。
④親族や検察官に加えて,子ども本人や未成年後見人も,「親権喪失」「親権停止」を請求できる。
⑤社会福祉法人などの法人や複数の個人でも,未成年後見人になることができる。


(参考)
「民法等の一部を改正する法律の概要」(法務省)
「児童虐待関係の最新の法律改正について」(厚生労働省)
「民法等の一部改正と新しい親権制限の制度~児童虐待を防ぐために~」(最高裁)

2011年7/12「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立の記事を参照
3/7 厚生労働省 「2012年度診療報酬改定(まとめ)」
~2012年度診療報酬改定説明会(3/5)資料~


(3月28日追記)
「2012年度診療報酬改定について」
・医療機関に支払われる「診療報酬」は2年に1度,介護事業者に支払われる「介護報酬」は3年に1度改定されるが,2012年度は6年に1度の同時改定となる。
①2012年度診療報酬の改定:0.004%引き上げ(医師の人件費などの本体部分を1.379%引き上げ,薬価部分を1.375%引き下げ)→約5,500億円の増額
②2012年度介護報酬の改定:1.2%引き上げ→職員1人当たりに月額1万5千円程度を支給する2009年度からの「処遇改善交付金」を廃止

・2011年12月1日に「基本方針」,2012年1月18日に厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に諮問,2月10日に答申,3月5日に告示・通知され,「2012年度診療報酬改定説明会」が開催された。

<国民の医療費負担増の例示>
(1)外来
①紹介状なしで大病院を訪れた場合の負担増
・保険適用の初診料:2700円→2000円,病院は減額分を全額患者の自己負担で請求できる
②同日に同病院で複数の診療科に受診した場合の新設
・2か所目目で再診料340円が必要になる。
(2)入院
①子どもが小児専門の集中治療(PICU)に入院した場合の新設
・7日間までの1日当たりの入院料は15万5000円になる。
(3)在宅医療
①緊急時の往診料の負担増
・6500円→8500円
②看護師が監護補助者や専門性の高い看護師と一緒に訪問した場合の新設
・3000円が必要になる。


<厚生労働省HP>
「2012年度診療報酬の改定について」
 →○「2012年度診療報酬改定(概要)」

2/27「2012年度介護報酬改定(まとめ)」,2011年12/22「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」の記事を参照
3/6 - ■社会福祉士国家試験の試験委員副委員長が退任させられたというオソマツ(第2報) ・疑念が起こって,あわてて2012年2月2日に試験委員を辞めても,思惑通りには沈静化しなかったようである。退任後の展開は,以下の通りである。
2012年2月21日の小宮山厚生労働大臣の記者会見でのコメント
①2月2日に社会福祉士の試験委員を辞任した若穂井社会事業大学教授の事案について
「試験委員会に過去の試験への影響を調査する必要があるか,検討させることにしたいと思います。今回の事案は結果として受験者の皆様に社会福祉士国家試験に対して疑念を抱かせることになりまして,大変残念に思います。」
②8年間にわたり本の執筆をしていたという行為が見過ごされていた点について
「こうしたことが起きたことは,大変残念な事なので,再発防止にしっかりと努めていきたいと思います。」
③若穂井教授が,厚労省の委託を受けた大学社会事業大学の学長選挙に推薦されているということについて
「学長選挙については,大学の自治ですので,大学の規定に基づいて実施されるものだと思いますから,私からコメントは差し控えたいと思います。」

<2012年2月25日放送のTBS「報道特集」(国家資格の不平等めぐり不平等が・・・?疑念招いた8冊の書籍)のYou Tube>
(1)ダイジェスト版
(2)全編(1/3 / 2/3 / 3/3
おそらく削除されるであろうが,紹介する。

→複数の読者から上記You Tubeの情報提供があった。福祉分野の悪しき慣行や仕組みを変えるのは,「福祉専門職」一人ひとりの問題意識と具体的な行動であると思う。胡散臭い人たちの言い分を,鵜呑みにしていては何も変わらない,との思いから紹介することにした。
→あの小宮山厚生労働大臣が,一記者からの質問に,『検討させることにしたい』とおっしゃった。老婆心ながら,厚生労働省は,3福祉士国家試験の試験委員全員の身体検査を
しておいた方がいいのではないかと思う。介護福祉士試験委員社会福祉士試験委員精神保健福祉士試験委員。また,この際,総入れ替えも「あり」ではないかと思う。(筆者)

2/8(社会福祉士国家試験の試験委員副委員長が退任させられたというオソマツ(第1報))の記事を参照
3/5 厚生労働省 「食品中の放射性物質の新基準」
~全国食品衛生関係主管課長会議資料~
・2012年2月22日に,「全国食品衛生関係主管課長会議」が開催された。
・新基準の施行(予定)は,2012年4月1日とされている。

→この問題は取り上げ方が難しいので,筆者は「自分の健康管理は自己責任が基本である」とこれまでにもコメントしてきた。政府が,基準値を引き下げても,消費者・国民が「安心感」を持たなければ意味をなさない。これまでの政府の不誠実な対応から,多くの消費者・国民は新基準を信頼していないし,納得していない。「原発事故前の状態にならなければ安心できない」というのが消費者・国民のホンネである。
→国民の政府への不信感をなくすための道は,十分な説明と情報公開以外にはないはずである。
→近時,驚くべき事実が判明したのでコメントする。2011年3月16日の文部科学省政務三役会議において,当時の
「民主党参議院議員の鈴木寛副大臣」が「SPEEDIなどの公表はしても意味がないと提案し」,それを合意した旨のSPEEDI隠しの内部文書が存在していたことが報道された(2012年3月3日中日新聞)。もし事実であるならば,文部科学省政務三役(髙木大臣,鈴木副大臣,笠大臣政務官,林大臣政務官)がデーターを正直に公表していれば,飯館村村民の無用な被曝は防げたし,福島県の多くの子どもたちに対する被曝への早期処置が実施できた可能性が高い。筆者は,怒りとともに,「天網恢恢疎にして漏らさず」という老子の言葉を思い浮かべた。(筆者)


「放射線に関連するやまだ塾の記事・コメント一覧」
3/2 厚生労働省 「身体障害者補助犬(盲導犬,介助犬,聴導犬)について」
身体障害者補助犬の実働頭数(2012年3月1日現在)>
①盲導犬:1,067頭
②介助犬:59頭
③聴導犬:34頭

→「身体障害者補助犬法」は,2002年に制定された。日本の補助犬は「身体障害者」に限られているが,アメリカの「障害を持つアメリカ人法」(ADA法)では,「Psychiatric Service Dog」が想定され,1990年からいわば「精神障害者補助犬」の存在も認められており,現在では社会において「障害者」を援助する労働力として定着している。
→日本では,法制定から10年を経過した2012年の「身体障害者補助犬」ですら,実働頭数は上記の通り極めて少なく,社会的な認知度も極めて低い。日本で,「Psychiatric Service Dog」の考え方が出てくるまでには,まだまだ時間を要する。(筆者)

→●2/24
(
「向精神薬一覧(2012年1月現在)」)の記事を参照
3/1 厚生労働省 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(概要 / 本文 / 参考資料 ・2012年1月30日に,「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」のワーキング・グループが,「職場のパワーハラスメント」(パワハラ)に関する報告書を公表した。
<「職場のパワーハラスメント」の定義>
「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」
※ 上司から部下に行われるものだけでなく,先輩・後輩間や同僚間などの様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。


<「職場のパワーハラスメント」の6つの行為類型>
①身体的な攻撃 暴行・傷害
②精神的な攻撃 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
③人間関係からの切り離し 隔離・仲間はずし・無視
④過大な要求 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制,仕事の妨害
⑤過小な要求 業務上の合理性なく,能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること

→今後,2011年度内に「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」から,予防・解決に向けての提言がされると見られている。セクハラ防止対策は,海外の真似事で「男女雇用機会均等法」を制定して定着することができたことから,「円卓会議の提言」もセクハラの取り扱いに準じたものになるだろうというのが大方の見方であると思う。
→「セクハラ」のセクシャルハラスメントまたはセクシュアルハラスメント(Sexual harassment)は英語であるが,「パワハラ」のパワーハラスメントは和製英語である。ということは,「パワハラ」は,日本独自の「文化」に根ざしているということである。筆者は,パワハラについては,日本の児童虐待における親のしつけのとらえ方(懲戒権を含む)と同様の大変な問題を抱えていると考えている。こんな小手先のことで済むような,底の浅い話ではないように思えてならない(円卓会議のメンバーおよび円卓会議W・Gメンバー)。(筆者)


2011年10/11「職場のいじめ・嫌がらせの定義・取組みの国際比較」,7/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が開催される)の記事を参照
2/29 厚生労働省 「2011-2012 今冬のインフルエンザ総合対策」
<厚生労働省の広報文>
「毎年,12月~3月はインフルエンザの流行シーズンです。2011-2012年シーズンも平年並みの12月16日に流行シーズン入りをしました。厚生労働省では「今冬のインフルエンザ総合対策」を取りまとめ,国や地方自治体が対策に取り組むとともに,インターネットなどを通じて広く国民の皆様にインフルエンザ対策を呼びかけています。

「最新インフルエンザ流行レベルマップ(2月13日~2月19日)」によれば,ピークから減少傾向であるが,まだ高いレベルにあるとされている。患者数は約175万人である。年齢群別では,5~9歳,0~4歳,10~14歳,30代,60歳以上,40代の順に多く,都道府県別では,大分県,埼玉県,秋田県,千葉県,宮崎県,福岡県,神奈川県,鹿児島県の順に多い。
→高齢者施設等のように,インフルエンザにかかった場合に重症化しやすい人が多く入所している施設では,まず,施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要とされている。「インフルエンザ施設内感染予防の手引き(2011年11月改訂版)」が参考になる。(筆者)
2/28 厚生労働省 「社会福祉施設における労働災害防止のために~転倒,転落災害~」
<社会福祉施設における労働災害防止のために>
(1)転倒,転落防止のポイント
①床の水たまりや氷は放置せず,その都度除去する
②通路,階段,出入口に物を放置しない
③確認してから次の動作に移ること,走らないことを徹底する
④踏台,はしご、脚立は安定した場所で,正しい使用方法で用いる
⑤床面,通路は,くぼみ,段差がなく滑りにくい構造とする
⑥階段には滑り止め,手すりを設ける
(2)腰痛予防のポイント
①腰痛を発生させるリスクを適切に評価する
②その結果に基づいて,適切な作業方法(介助方法)を選ぶ
③リスクの高い作業のリスクを低減する
④介護者が同じ方法と手順で作業できるよう「作業標準」を作成し周知する
(3)活動
①4S活動(整理・整頓・清掃・清潔)
・特に,転倒,転落災害防止に有効
②KY活動(K=危険・Y=予知)

労働災害による死傷者数は,全産業では減少傾向にあるが,社会福祉施設では年々増加しており,2010年に被災した死傷者(休業4日以上)は5,533人であった。事故の類型では,「動作の反動・無理な動作」(35%)と「転倒」(29%)で6割以上を占めている。防止できることで,体を壊してはもったいない。(筆者)

2011年12/9「社会福祉施設における労働災害防止のために~腰痛対策・4S活動・KY活動~」,12/1「2010年社会福祉施設等調査結果の概況」,7/25「2011年度全国労働衛生週間(10/1~10/7)の実施について」,5/27「労災保険給付の請求(申請)」の記事を参照
2/27 厚生労働省 「2012年度介護報酬改定(まとめ)」
~全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料~
・医療機関に支払われる「診療報酬」は2年に1度,介護事業者に支払われる「介護報酬」は3年に1度改定されるが,2012年度は6年に1度の同時改定となる。
2012年度介護報酬の改定:1.2%引き上げ→職員1人当たりに月額1万5千円程度を支給する2009年度からの「処遇改善交付金」を廃止
②2012年度診療報酬の改定:0.004%引き上げ(医師の人件費などの本体部分を1.379%引き上げ,薬価部分を1.375%引き下げ)→約5,500億円の増額


・2012年2月24日に,「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」が開催された。

<2012年度介護報酬改定に関する省令および告示の改正案>
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準
指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準
指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準
指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準
指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準
指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準
厚生労働大臣が定める一単位の単価
介護保険法施行規則
指定居宅サービス等の事業の人員,設備及び運営に関する基準
指定介護予防サービス等の事業の人員,設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
指定地域密着型サービスの事業の人員,設備及び運営に関する基準
指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員,設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
指定介護老人福祉施設の人員,設備及び運営に関する基準
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準
健康保険法等の一部を改正する法律附則第130条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員,設備及び運営に関する基準

→「2012年度介護報酬改定」における4つの視点とは,①地域包括ケアシステムの基盤強化,②医療と介護の役割分担・連携強化,③認知症にふさわしいサービスの提供,④地域包括ケアシステムを支える介護人材の確保,である。上記,省令・告示については,パブリックコメント(2/24締め切り)終了後,順次公布され,「Q&A」も公表される予定とされている。(筆者)

2/7「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく2011年12/22「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」の記事を参照
2/24 厚生労働省 「向精神薬一覧(2012年1月現在)」
~「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引(改訂版)」より~
・2012年2月15日に,医療用麻薬・向精神薬の適正管理のため,「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引(改訂版)」等が公表された。
・麻薬向精神薬原料は,国際的には「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」において規制され,日本では「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されている。医療用に指定された向精神薬は,「麻薬及び向精神薬取締法施行令」によって3等級に分類されている。

→近年,向精神薬に関して,厚生労働省から「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」(2010年6月24日)が通知され,「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」によって「過量服薬への取組(~薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向けて~)」(2010年9月9日)および「向精神薬の処方実態に関する報告及び今後の対応について」(2011年11月1日)が公表された。また,生活保護における不正受給に関しては,「向精神薬大量入手事案を受けた生活保護の緊急サンプル調査結果 (2次調査)について」(2010年9月3日)が公表されている。
→2011年7月,厚生労働省は,精神疾患を,がん,脳卒中,心臓病,糖尿病に加えて,「5大疾病」と位置づけた。今後の医療計画には,精神疾患も重点的に取り組むべき疾患として扱われることになる。一方,「高機能広汎性発達障害」の「統合失調症」への誤診,うつ病への過剰診断,製薬会社のPRをする薬剤とその疾患数の急増との関係性,などの精神医療に対する疑問も一部で指摘されている。
→日本の精神医療における根強く残る多剤大量処方に関して,「福祉専門職」が何のコメントもできないようでは話にならない。(筆者)
2/23 厚生労働省 「自立支援医療の経過的特例の延長」
<自立支援医療の「重度かつ継続の一定所得以上」および「育成医療の中間所得」の区分の経過的特例>
(1)経過的特例の変更点
・2012年3月31日とされていたものを,2015年3月31日に延長
(2)経過的特例の内容
①「重度かつ継続の一定所得以上」 :
市町村民税23万5千円以上の方で重度かつ継続に該当する者について,自立支援医療制度の対象とした上で,自己負担上限額を2万円とする措置
②「育成医療の中間所得」 :
中間所得1(市町村民税課税以上3万3千円未満)の者の自己負担上限額を5千円に,中間所得2(市町村民税3万3千円以上23万5千円未満)の者の自己負担上限額を1万円とする措置

「自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み」

<2011年8月9日記事の再掲>
「改正障害者基本法」が成立(第177回通常国会)
→障害者基本法を改正する背景には,2006年に国連で採択され,2007年に日本が署名し,2008年に発効した「障害者条約」がある。日本が条約を批准するためには実効性ある国内法の整備が必要とされており,今回の障害者基本法の改正は,国内法整備の基礎となるもので,これに続いて,現在「障がい者制度改革推進会議」で,障害者自立支援法に代わる「障害者総合福祉法(仮称)」の制定が検討されている。「障害者総合福祉法(仮称)」は,2011年8月を目途に新法の骨格が提言される予定で,これを踏まえて2012年の通常国会に法案が提出されると見られている。
→筆者は,民主党政権が「まっとうな政治主導」を放棄したときから,障害者制度改革は,「金がかからないこと」は進むが,「金がかかること」は省庁間の調整が取れず,最終的には抜け道が作られ,骨抜きにされ,実効性のないものになるだろうと考えていた。例えば,今回の改正障害者基本法では,随所で使われている「可能な限り」という言葉がそれに当たる。思い返せば,あのそろばん勘定で作られた「障害者自立支援法」に深くかかわったのは村木厚子氏であった。氏が,2010年9月27日付で共生社会政策の政策統括官に任命されており,今回の「改正障害者基本法」にも深いかかわりがあったことを多くの国民は知らない。「可能な限り」という悪知恵とも思える言葉を駆使して,省庁間の調整を行って実効性を怪しくしたのは,誰であるかは自明である。
→今回の改正障害者基本法についての数少ない新聞報道の一つを紹介する。毎日新聞は社説において,「全体的に見ると斬新な改革が随所にあるものの,推進会議が当初まとめた原案からは大幅に後退したのも事実だ。・・(中略)・・「障害者総合福祉法」「障害者差別禁止法」も論議が進んでいる。基本法より財源と直結する制度改革である。政府内には現実離れした案になるのではないかと懸念が広がっている。障害者側の不満もわかるが,国民全体が寄せた税金をどう使うかは「私たち(障害者)」だけで決められるわけではない」(2011年8月1日)と書いていた。この新聞社のいい加減さと,その立ち位置がよく分かる文章である。
→「福祉専門職」は,自身の見解を持っていなければならない。(筆者)

→「障害者自立支援法の廃止」に関する筆者の雑感である。2012年2月8日に,厚生労働省は,「第19回障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」に,法律名称を見直し,自立支援法の枠組みを残し,サービス体系は基本的に踏襲するという「障害者自立支援法改正案」とも言える「厚生労働省案」を提示した。2012年2月21日に,「民主党障がい者ワーキングチーム(WT)」は,「厚生労働省案」を了承した。法施行後5年をめどに見直しを検討するとしているが,結局,民主党は,2009年マニフェストの障害者自立支援法を廃止して2013年8月までに施行する予定としていた新法の制定(「障害者総合福祉法(仮称)」)を反故にした,と筆者は思う。さらに,2012年2月22日には,厚生労働省は,名称から「福祉法」を削除して,「障害者生活総合支援法」と変更し,新たに難病患者を福祉サービスの対象に加える案を民主党の厚生労働部門会議に示した,と報道されている。厚生労働省は,2010年1月7日の障害者自立支援法をめぐる訴訟上の和解で確認した「基本合意」を無視し,2011年8月30日の障害当事者らを中心とする内閣府の検討部会がまとめた「骨格提言」もないがしろにした,と筆者は受け止めた。2012年通常国会に改正案を提出し,2013年4月からの施行を目指すとしているが,このような理不尽なやり口が許されていいのだろうか。(筆者)
2/22 法務省 「刑事施設(刑務所,少年刑務所,拘置所)での面会,手紙,差入れ等の手続き」 / 施設一覧 →ソーシャルワークに必要な知識・情報として掲載する。
→山口県光市母子殺害事件で,犯行当時18歳であった死刑が確定した被告人の新聞報道に関して,実名・顔写真入りで報道したのは産経新聞と読売新聞で,匿名・顔写真非掲載としたのは毎日新聞と東京新聞で,実名・顔写真非掲載としたのは朝日新聞と日経新聞であった。なお,テレビ局では,NHK,日本テレビ,テレビ朝日,TBS,フジテレビは実名・顔写真入りで放送し,テレビ東京は実名・顔写真非掲載で放送したとされる。
→筆者は,少年法の保護一辺倒による不適切さへの修正傾向が,日本のメディアにも影響していると思った。
→なお,日本のメディアが判断の基準としているのは,「少年法第61条」および
新聞協会の少年法第61条の扱いの方針である。(筆者)

「2011年の刑法犯認知・検挙状況について」(警察庁)
2/21 内閣府 「寄附税制が拡充されている」
<政府の広報>
(1)「新しい公共」への参画を促すための寄附税制が設けられている。
(2)2011年の所得分から,寄附税制は大幅に拡充された。
①認定NPO法人,公益社団・財団法人,社会福祉法人,学校法人,更生保護法人に対する寄附について,所得税の税額控除が創設され,所得控除との選択が可能となった。
②個人住民税の税額控除の適用を受けることも可能となった。
③東日本大震災関連の寄附金も寄附税制の対象になる。
(3)寄附税制の優遇措置を受けるためには,確定申告の手続きが必要である。

→アメリカでは基本が確定申告だから寄附控除の概念は定着しやすいが,日本では基本が源泉徴収なので馴染みにくいと言われている。「寄付」を,社会のシステムとして日本に根付かせるためには,お役所仕事ではなく,丁寧な広報活動が必要だということは,分かっていたことでしょうに。確定申告前の駆け込み説明だけでは,国民には分かりにくいし,不十分である。行政の制度の作りっぱなしや,やりっぱなしは,いつものことであるが。日本のメディアの認識レベルにも問題ありか。さらに,寄付を受ける側の理解レベルにも問題はないか。(筆者)

2011年6/30「改正NPO法」が成立の記事を参照

「寄附税制の概要(国税)」(財務省)
2/20 日本学術会議 「福祉職・介護職の専門性の向上と社会的待遇の改善に向けて(提言)」
~日本学術会議~
・日本学術会議は,2005年度から文部科学省より移管され,内閣総理大臣に任命された210人の会員(6年任期,70歳定年)で構成された,政府から独立して職務を行う内閣府の「特別の機関」として位置づけられている。特別の機関であるため,行政・立法・司法の権限はないが,政策提言や政策意見具申などの権限がある。

→この提言は,2011年9月20日に公表された。筆者は,おそらく,差し迫った2011年度で終了する「介護職員処遇改善交付金」への対応として,「2012年度介護報酬改定」に盛り込ませるための裏づけに利用されるのだろうと考えた。その決着がついてから紹介しようと思っていたが,案の定,その通りであった。
→この「提言」で,希望を持ち,勇気付けられる「福祉職・介護職」はいるのだろうか。
→ついでに,ソーシャルワークに関連する提言として,2011年9月27日には,「わが国の健康の社会格差の現状理解とその改善に向けて(提言)」が公表されている。(筆者)


2/7「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておくの記事を参照

「福祉専門職の現状」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
「精神保健福祉士の資格制度見直し」
2/17 財務省 「2012年度 国民負担率」
<財務省の説明>
・2012年度の国民負担率は,2011年度から0.2%減少し39.9%となる見通し。(過去最高は2008年度の40.3%)
・背景として,景気回復に伴う国民所得の伸びに伴い,社会保障負担率および租税負担率が減少することが挙げらる。
・一方,国民負担に財政赤字を加えた潜在的国民負担率は,2011年度から3.6%減少するものの,引き続き50%を超える水準(51.2%)となる見通し。減少の主な要因は,2011年度は東日本大震災からの復旧・復興事業等を盛り込んだ累次の補正予算が組まれたこと,国民所得が伸びることが挙げられる。
(参考)
国民負担率の国際比較
国民負担率の国際比較(OECD加盟32か国)

→国民負担率は,租税負担額および社会保障負担額の合計の国民所得に対する比率である。数字が高いほどその国の国民が多額の税や保険料を支払っていることになる。また,国民負担率に国と地方の財政赤字の対国民所得比を加えた負担率は,「潜在的国民負担率」とよばれる。
→消費税増税において,「国民負担率」だけが取り上げられがちになるが,国民へのリターン,つまり「国民還元率」に触れないのは片手落ちである。日本が志向するとされている「中福祉中負担」と関連のある事柄であるが,一向に議論が深まらない。少なくとも,今回の消費税増税では,国民の負担は増えるが,国民への還元は増えないようである。(筆者)
2/16 内閣官房 「マイナンバー法案」が国会に提出された ・2012年2月14日に,政府は,「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(通称:マイナンバー法案)を閣議決定し,第180回通常国会に提出した。
・本法案が通った場合,国民に番号をつけ,2015年1月からICカードが配付され,個人の所得や介護・医療などの社会保障の情報が一元管理される。

→内閣府が2011年11月に実施した世論調査では,全体の8割超が制度の内容を「知らない」と答えている。政府は,これまでの説明が不十分だと認識しながら,国会に法案を提出した。
→本法案は,社会保障と税の一体改革に関連し,共通番号制が消費税増税に伴う低所得者対策にも活用されるため,消費増税の与野党協議が進まない状況において,国会審議入りできるかどうかすら,不透明と見られている。(筆者)


→●2/6(「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」)の記事を参照
2/15 厚生労働省 「ファミリー・サポート・センター」(20112年1月版パンフレット)
<「ファミリー・サポート・センター事業」のあらまし>
○地域において育児の援助を受けたい人と行いたい人が会員となり,助け合う会員組織
○働く人々の仕事と子育ての両立を支援する目的から,労働省(当時)が構想し,設立
○ファミリー・サポート・センターの設立運営は市区町村
○活動内容:育児の援助
・ 保育所等への送迎を行う
・ 保育所の開始前や終了後の子どもを預かる
・ 学校の放課後や学童保育終了後,子どもを預かる
・ 保護者等の病気,急用等又は買い物等外出の場合に子どもを預かる など

→2011年10月21日に,厚生労働省は,「ファミリー・サポート・センター事業」の事故実態調査を実施した結果として,2006年度以降,0~9歳児の重傷事故が15件起きていたことを発表した。厚生労働省の事故実態調査は,初めてであり,2010年11月の大阪府八尾市で0歳児が寝ている間に心肺停止状態になった事例を契機に行われたものである。国が交付金を出し,行政が後押ししている公的事業・公的制度という安心感から「ファミリーサポートセンター」を住民が利用するのは当然であるが,当の八尾市は「「原因は不明」との立場で,調査の実施も「センターは会員組織なので,当事者同士で話し合うのが原則」と否定的だ」と毎日新聞(2011年10月22日付)で報道されていた。さらに,事故が起きて,初めて,八尾市は会員の規則の中に「活動中の事故は当事者間で解決すること」と規定したらしい。その姑息な仕業に,筆者は胸糞が悪くなった。国も似たり寄ったりで,厚生労働省のHP(「ファミリー・サポート・センター事業の概要」)の薄っぺらな記事からも,行政は金を出して,仲介するだけだから後は知らんよ,という姿勢を筆者は感じている。「事故の実態調査をして,講習を充実することを通知して,終わり」では済まないはずである。八尾市で,脳死状態のまま,現在も看つづけられている若いご両親への「気の遠くなるようなこれからの子育て」に対して,行政はまったく支援しなくても許されるのだろうか。左記パンフレットの表紙の幸せそうな写真を,ご両親はどのような思いで見られるのだろうか。民主党のスローガンであり,「子ども・子育てビジョン」にもある「チルドレン・ファースト」という言葉は,こういう仕打ちを意味するのだろうか。「助け合い」「支え合い」という美しい響きに隠された大きな課題(国や自治体の責任,安全対策など)を解決しないまま,子育て支援の事業が進められている。(筆者)
2/14 法務省 2012年1月10日から,登記・供託オンライン申請システムに「成年後見登記手続」が追加された ・「登記・供託オンライン申請システム」は,行政機関の窓口に出向かなくても,自宅やオフィスのパソコンからインターネットで7種類の手続がオンライン申請できるシステムである。
・対象となる手続は,2011年2月14日から,①不動産登記手続,②商業・法人登記手続,③動産譲渡登記手続,④債権譲渡登記手続が開始され,2012年1月10日から,⑤成年後見登記手続,⑥供託手続,⑦電子公証手続が追加された。


→「成年後見制度」は,福祉専門職には必須の知識である。成年後見制度の登記手続に関する「成年後見登記制度」は,成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを登記し,「登記事項の証明書」や「登記されていないことの証明書」を発行することによって,登記情報を開示する制度である。従来,成年後見登記手続は,郵送(郵送先:東京法務局)で行うこととなっていたが,今回,「登記・供託オンライン申請システム」の申請用総合ソフトを利用すれば,自宅等からでも申請・請求できることとなった。(筆者)

「登記・供託オンライン申請システム」
2/13 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」 ・国立社会保障・人口問題研究所は,1月30日に,2010年国勢調査の確定数に基づき,「日本の将来推計人口(2012年1月推計)」を公表した。
・今回の推計結果では,今後わが国では人口減少が進み,2060(平成72)年の推計人口は8,674万人で,人口高齢化も進行し,65歳以上人口割合は39.9%に達し,生産年齢人口(15-64歳人口)は8,173万人から4,418万人へと3,755万人(45.9%)の減少が見込まれている。合計特殊出生率は1.35で,平均寿命は男性84.19年,女性90.93年と推計している。

→筆者は,国立社会保障・人口問題研究所の「50年先の人口推計」を,自然科学分野における地震予知や原子力発電所の安全対策と同じくらいに,いいかげんなものと思う。国立社会保障・人口問題研究所は,政府の「危なっかしい年金対策をはじめとする社会保障」の裏づけにするための「都合のいい人口推計」を出す機関である,という意見があるが,筆者もまったく同感である。
→50年後の合計特殊出生率が,前回2006年の人口推計の1.26から今回は1.35に改善すると予測しているが,近年の増加傾向(2010年:1.39)が,国の有効性に疑問がある少子化対策とは無縁であり,団塊ジュニアの「駆け込み出産」にすぎないと見るのが大方であり,筆者は,1.35という予測数値は「楽観」ではなく「欺瞞」ではないかと思う。(筆者)

2/10 厚生労働省 「厚生労働省の各審議会等の検討状況(1月27日現在)」
~「第23回社会保障審議会」資料~
・2012年1月30日に,第23回社会保障審議会が開催され,左記の資料が公開された。

→「審議会等」は,国家行政組織法(第8条)または内閣府設置法(第37条,第54条)の規定に基づき,法律または政令により設置される。「審議会等」は,審議会,協議会,審査会,調査会,委員会,会議等の種々の名称を持ち,行政機関の附属機関であるため,行政庁の諮問に対して答申するのみであり,国民に対する執行的性格は持たず,答申は一部を除き法的拘束力を持たない。なお,「審議会等」の委員は国家公務員である。
→今後も行政の情報公開が進んでいくけれども,多くの国民がその情報に直接アクセスし,強い関心を示さなければ,行政は緊張感を持たず,審議会等や委員の質も高まるはずはなく,公開そのものが無意味となる。このことが,福祉専門職に対して,本HPが行政の会議資料や会議体のメンバー(例:社会保障審議会委員名簿)を紹介する主たる理由である。(筆者)
2/9 警察庁 2012年4月から,聴覚障害者が運転できる自動車等の種類が拡大する
・2011年成立,2012年4月1日施行の「改正道路交通法」に基づいて,2011年9月12日に「聴覚障害者の運転免許の取得等に関する運用上の留意事項について」(通達)が発せられている。
・なお,「聴覚障害者標識」は,2008年6月1日から始まり,聴覚障害者標識を表示した普通自動車に対して幅寄せや割込みをした運転者は処罰される(5万円以下の罰金,基礎点数1点)。
<近年の改正道路交通法>
①2008年6月1日施行
  ・後部座席シートベルトが義務化
  ・聴覚障害者マークが新設
  ・自転車の通行ルールが変更
②2009年6月1日施行
  ・悪質違反の行政処分が強化
  ・ひき逃げ等の行政処分が強化
  ・高齢者の免許更新手続き等が変更
③2009年10月1日施行
  ・高速道路での車間距離不保持の罰則等が強化
  ・地域交通安全活動推進委員の活動に高齢者支援追加
④2010年4月19日施行
  ・「高齢運転者等専用駐車区間制度」が導入
⑤2011年2月1日施行
  ・高齢運転者マークが変更
⑥2011年9月12日施行
  ・「自転車一方通行」の標識が新設
⑦2012年4月1日施行
  ・右向きの青色の矢印信号で転回が可能に
  ・聴覚障害者が運転できる自動車等の種類が拡大
  ・運転免許の更新時講習等の手数料(標準額)が引下げ
  ・運転経歴証明書に関する規定の変更・整備

→聴覚障害者の自動車運転免許の取得に関するこれまでの経緯である。
道路交通法の前身である「道路交通取締法施行令」は,1954年に「つんぼ・おし」を欠格条項に追加した。1960年に新しくできた「道路交通法」の第88条では,「耳が聞こえない者又は口がきけない者に免許を与えない」とした。
いろいろあったが,2001年に「道路交通法第88条は削除するが,施行規則第23条は変更しない」とされた。2008年と2011年の「道路交通法施行規則第23条」の改正によって,聴覚障害者の運転免許取得の道が開けたが,「施行規則23条」の免許試験(適性検査の聴力検査:聴力:10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること」)は撤廃されず,依然として聴覚障害者の運転免許取得は制限されている。特に,補聴器を装着しても聴覚障害者は第二種免許が取得できないことは,早急に改善すべきだと指摘されている。
→聴覚障害者の自動車運転免許の取得に関して,アメリカ,ドイツ,フランスなどは自家用乗用車の免許の要件としておらず,イギリスでは大型旅客車両の免許も取得できるとされている。(筆者)
2/8 - ■社会福祉士国家試験の試験委員副委員長が退任させられたというオソマツ(第1報)

(2012年3月6日追記)
・3/6に「第2報」を掲載した。

(2012年2月9日追記)
上記の「NHKニュース」や「新聞記事」のあらましを記載する。
「国家試験の委員 解説書執筆で辞任」(NHKニュースの見出し)

・社会福祉士国家試験の試験問題を作成する委員会副委員長の大学教授が,過去問の解説書を執筆していたことが判明し,試験の公平性に疑念を招くおそれがあるとして,大学教授は委員を辞任した。
・辞任したのは日本社会事業大学社会福祉学部の若穂井透教授で,2002年に社会福祉士国家試験の試験委員となり,2006年からは副委員長に就任していた。2012年1月になって,厚生労働省に,氏が委員会規程で相応しくないとされている過去問の解説書を執筆していた,との外部からの投書があった。
・厚生労働省が調査をし,これまでに出版された氏の書物は,過去問を掲載していたことから,解説書に当たると判断し,氏に対して,試験の公平性に疑念を招くおそれがあると指摘した。これを受け,若穂井教授は2月2日付けで試験委員を辞任した。
・氏は,「学術的,専門的な見地からの著作で試験問題の解説書ではないと考えているが,厚生労働省からの指摘を受け,委員を辞任することにした」と話した(NHKニュース)
→退任させられたご当人は,日本社会事業大学社会福祉学部の若穂井透教授(「2011年度試験委員」)である。なお,日本社会事業大学は,1946年に,国からの委託を受け日本初の社会福祉・ソーシャルワークの専門教育機関として創設されており,当然のことながら,厚生労働省との関係が深いだろうと見られている。
→思い起こせば,2007年には,国会において,「日本社会事業大学における「社会福祉士試験漏洩疑惑」に関する質問主意書」が提出され,筆者には漏洩だろうと思えたが,結局はうやむやになったような出来事があった。
→2007年のことは匿名の電子メールで,今回のことは匿名の投書で発覚したらしい。今回,「解説ではないが疑念を招いた」(新聞報道)と本人が試験委員の退任を申し出たらしいが,厚生労働省から「解説書なのでアウト」と言われた人物が,厚生労働省と因縁の深い大学の教授を辞職しなくても辻褄は合うのかしら,とマスメディアの報道から思った。こんなくだらないことでしか,「社会福祉士」が世間の話題にのぼらないことが腹立たしい。社会福祉士の社会的な地位を向上させなければならない厚生労働省や福祉系大学は何をやっとるんだ!(筆者)
2/7 厚生労働省 「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく
<「2012年度介護報酬改定について」>
「2012年度介護報酬改定(骨子)」

「2012年度介護報酬改定(まとめ)」<2/27追記>

→「介護保険」にかかわる筆者の雑感である。母を在宅介護(要介護4)して7年になる。その間に,骨折による外科入院もあったが,種々の有用な介護保険サービスを利用させていただき,今も元気に過ごしている。介護現場で働く有能で,人格的にも優れて,信頼の置ける多くの方々にお世話になった。介護と医療の連携は重要であるが,断じて,介護は医療の下請けや補助的な仕事ではない。介護できずに壊れてしまった人や家族を多く見てきた。「がんばらない介護」という言葉に不快感を覚える。ほとんどの介護体験の書籍に,うそを感じ,共感できない。「2012年度介護報酬改定」を契機に,介護保険制度は一気に崩壊していくように感じている。
→結論だけを申し上げる。介護現場を知らない官僚や介護現場を軽視する学者らに,日本の介護保険制度が牛耳られている。筆者は,日本の介護保険制度を立て直す唯一の方法は,左記の連中らを,「介護分野」から締め出すことであり,そこから介護の未来が見えてくるように思う。彼らに介護が必要になったとき,「介護保険は社会保険制度で福祉制度ではない」,と言っているかどうか,見届けてみたい気がする。頭に血が上って,言い過ぎたかも知れない。(筆者)
2/6 内閣府 「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」 ・2012年1月28日に,内閣府は,「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」の結果を公表した。
・その結果,「必要」と「どちらかと言えば必要」の合計が57.4%に達していることを,2015年からの制度導入を目指すための道具として,政府はアピールしている。
・「共通番号」のデメリットに関して,マスメディアも触れない興味深い情報があったので紹介する。
「番号制度シンポジウムin新潟 議事録」(2011年10月8日開催)>
p26~29におけるパネリストである弁護士の方の意見
「弁護士の齋藤でござます。社会保障・税について,メリットよりデメリットが大きいと言うことを,お話させていただきたいと思います。」・・「制度を導入するメリットとしては,一番大きなものは,所得捕捉なんだろうと思います。」・・「国税庁の調査によりますと,調査をやって不正が発見される率が高いのは,バー・スナック,パチンコ,これが1位,2位だそうです。」・・「番号制があったとしても,バー・スナックとかパチンコとか,そういったところの所得は捕捉できないそうです。」 など

→「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」が2011年1月31日に,閣議決定されたことを知ってましたか?,「社会保障・税番号大綱」が2011年6月30日に,閣議決定されていたことは知ってましたか(早期の番号制度の導入をうたっている)?,「社会保障・税に関わる番号制度」の名称が一般公募され,2011年6月30日に,「マイナンバー」に決定したことを知ってましたか?,「番号制度創設推進本部」が設置され,「番号制度リレーシンポジウム」を開催していたことを知ってましたか?
国民がぼんやりしているうちに,着々と準備が進められている。
→「公平・公正,行政の効率化」という観点から,共通番号制度(マイナンバー)が必要だということは理解できる。しかし,現段階でこのシステムに1兆円のコスト(税金)を投入する必然性や現在の公務員や国会議員の資質への信頼性には,大きな疑問符がつく。また,野田政権が,今国会に関連法案を提出しても,成立することにも,大きな疑問符がつく。(筆者)


「社会保障・税の番号制度」(内閣官房)
2/1 - 「番号だけの解答速報」は,時代遅れである →1月29日に,3福祉士の国家試験が終わった。
→「厚生労働省」,「社会福祉振興・試験センター」が,大学入試センター試験と同じように,試験の翌日に問題と正答を公表すれば,民間の「番号だけの解答速報」は不用になる,とやまだ塾は言い続けてきた。
→「番号だけの解答速報」を過去のものにしたいために,やまだ塾は,今回から「簡易解説付きの解答速報」を掲載した。来年以降,業者や専門学校などが,解説(根拠)を示さない番号だけの無責任な解答速報を出したりすると,物笑いになることを想像している。インターネット時代に即応して,質の高い解答速報を出すための競争をすべきだと思う。(筆者)
1/28 厚生労働省 ■「社会保障制度の基礎知識」を最終確認する
~1月29日の3福祉士国家試験に向けて~
<社会保障制度を取り巻く環境と現在の制度>
◎現在の社会保障制度の土台ができたのは1960年代以降,少子高齢化の進行や雇用基盤の変化,家族形態の変化など社会情勢の大きな変化が続いている。
日本の社会保障制度の特徴
各制度の概要
今後の急速な少子・高齢化の進行
諸外国の合計特殊出生率の推移
社会保障給付費の推移
社会保障制度の変遷
人口の推移
人口ピラミッドの変化
社会保障の給付と負担の現状


<社会保障制度の歴史>
「時代のニーズに対応した社会保障制度の発展を振り返る」(「2011年版厚生労働白書」第2章)

①国民皆保険・皆年金実現以前の社会保障制度
②国民皆保険・皆年金の実現
③制度の見直し期(昭和50年代~60年代)
④少子・高齢社会への対応
⑤経済構造改革と社会保障
⑥政権交代と社会保障

⑦参考文献(第2章)
・横山和彦『社会保障論』 有斐閣 1978年
・島崎謙治『日本の医療 制度と政策』 東大出版 2011年
・吉原健二『老人保健法の解説』 中央法規出版 1983年

→3福祉士の1月29日の試験に向けて,是非とも目を通してもらいたいと思ったので掲載した。
→試験本番に際しては,周囲に惑わされないこと(介護福祉士では約5割,社会福祉士では約7割,精神保健福祉士では約4割の受験者が不合格になる),6割取れば合格する試験であること,ケアレスミスはしないこと,を肝に銘じる。(筆者)
1/26 - 「3福祉士国家試験用の最終模擬問題(○×式)」を試してみませんか →1月28日から3福祉士国家試験が始まる。受験の直前対策の仕上げとして,一問一答式の最終模擬問題を掲載した。
→現在,第180回通常国会が開会され,「社会保障と税の一体改革」が中心的なテーマとなっている。この機会に,「福祉専門職」にも,「最終模擬問題」に挑戦していただきたいと思う。福祉分野の「専門職」として,相応しい知識レベルにあるかどうか。(筆者)
1/25 首相官邸 「第180回通常国会での野田首相の施政方針演説」(約39分)
~政府インターネットテレビにリンクしています~
・2012年1月24日に,第180回通常国会が召集され,衆院本会議で野田首相の施政方針演説が行われた。
・野田首相は,「『決められない政治』からの脱却を目指す」とし,消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」を実現する覚悟をあらためて表明し,野党の協力を求めた。
・通常国会(憲法上は「常会」という)は,毎年1回召集されることが憲法上義務づけられている国会である(憲法第52条)。第180回通常国会(常会)の法定会期は2012年1/24~6/21(150日間)である。通例では,前半(1~3月)は,2012年度予算案が重要な議案となり,付随して税制改正も議案とされる。後半(4~6月)は,主に政府の政策法案が議案となる。

→野党への協力要請は重要であるが,違和感を持ったのは,自民党の福田元首相や麻生元首相の演説を引き合いに出したことである。当時の景気や落ち目の自民党に対する民主党の冷たい対応を思い起こすと,今更そんなことを持ち出したら逆効果になる,と考えるのが普通の人のセンスように思うが・・・。筆者は,野田政権の先行きの不透明感がさらに増した,と思う。(筆者)
1/24 厚生労働省 「インフルエンザ10の質問」(You Tube)
・インフルエンザの感染者数が急増している。2012年1月15日までの1週間で,全国にある約5千の医療機関から報告のあった患者数は1医療機関当たり7.33人で,前週の3.76人からほぼ倍増し,今後4週間以内に大きな流行が発生する「注意報」レベル(1医療機関当たり10人)を超える可能性があるとして,厚生労働省は注意を呼びかけている。
・都道府県別では,岐阜県(23.82),愛知県(22.63),三重県(21.92),高知県(19.52),福井県(16.38),香川県(15.86),愛媛県(15.00),岡山県(13.71)の順となっている。全ての都道府県で前週の定点当たり報告数よりも増加している。(「インフルエンザ流行レベルマップ」を参照)

→今週末(1月28日)から3福祉士国家試験が始まる。インフルエンザで受験ができなくなるのでは,悔いが残る。体調を整えるとともに,インフルエンザ予防を心がける。(筆者)
1/23 厚生労働省 「虐待防止専門官(1名)」が募集されている
<虐待防止専門官の募集(1名)>
・虐待防止専門官の業務 : 障害者虐待防止施策の企画・立案,2011年に制定された「障害者虐待防止法」の施行に向けた関係機関等への指導・助言を行う「任期付職員」(常勤の国家公務員)
・応募資格 : ①障害者支援に関する業務に15年以上の勤務経験を持つ日本国籍を有する者,②社会福祉士の資格を有する者,③障害者福祉施設等において,障害者の権利擁護・虐待防止について指導的立場で10年以上の勤務経験を有している者(通算可)
・応募期間 : 2012年1月19日~2月8日

→第177回通常国会において,2011年6月17日に,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が成立し,2012年10月1日から施行される。経過や概要等は,以下の2011年6月29日の記事をご覧いただきたい。
→障害者に関連する法制の補足である。「障がい者制度改革」の一環として,第176回臨時国会において,「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」が,2010年12月3日に成立し,2012年4月1日から施行(一部は2011年10月1日施行)される。また,第177回通常国会において,2011年8月5日に,「改正障害者基本法」が公布・施行(一部は別途施行)された。なお,「障がい者制度改革推進会議」,「差別禁止部会」,「総合福祉部会」において,「障害者総合福祉法の制定(2012年の国会で新法案提出予定)」,「障害者差別禁止法の制定(2013年国会で新法案提出予定)」,「障害者自立支援法の廃止(総合福祉法に伴い廃止)」が検討されている。(筆者)


2011年6/29「障害者虐待防止法」が成立(第177回通常国会)6/15「2011年版 障害者白書」の記事を参照

「2011年度3福祉士国家試験受験対策(重要事項編~(7)176回・177回国会での法制定・改正」を参照
1/20 厚生労働省 厚生労働省が,「国民の皆様の声」を募集しているのを知ってますか?
<厚生労働省の説明文>
「よりよい厚生労働行政を行っていくために, 制度改善についてのご意見,不要だと思う制度・支出に対するご指摘,ホームページに関するご意見などをお寄せください。インターネットから送信いただけます。」

→国民の厚生労働行政への参加の場として,①「パブリックコメント(意見公募)」,②「国民の皆様の声」募集,③公聴会・意見交換会への参加,④「厚生労働行政モニター」,が設定されていることをインターネットが使える人でも知る人は少ない。ましてや,インターネットが使えない人たちには無縁のことである。このような偏った意見の聴取方法によっても,「国民の皆様の声」を募集したことになるのかどうか・・・。日本の厚生労働行政には,「福祉専門職」の積極的な参加が必要である。
→3福祉士国家試験受験者においても,「試験制度」ついて意見があれば言えばいい。行政の息のかかった教育機関や出版社は,利害や利権の関係から文句を言わないから,受験者のことは二の次にされてきた。やまだ塾では,解答速報を業者任せにせず,「大学入試センター」と同じように,翌日に問題と正答を公表すべきだと言い続けている。また,合否の発表時期は,一般人の感覚からは,遅すぎると言い続けている。現在の「社会福祉振興・試験センター」では改善のための能力が足りないのであれば,法的な整備をして,民間企業に業務移転させたらどうかと言い続けている。(筆者)


1/18「2012年度食品安全モニター」が募集されている,2011年12/20「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されている,の記事を参照
1/19 「絵に描いたような野田首相の変節」(You Tube) →「政治家が自説を変える(変節)」ことは常であり,いちいち取り上げることではないが,このYou Tube画像を見て,そのあざやかさに感心し,大笑いしたので紹介することにした。最近のお笑い芸人よりうんと面白い。なお,野田首相を批判するだけで,まったく存在感のない野党も似たり寄ったりで,「目くそ鼻くそを笑う」のことわざがズバリと当てはまる。
→1月24日に2012年第180回通常国会が召集される(会期は150日で,6月21日が会期末)。「社会保障・税一体改革」が焦点となる。1月6日に閣議報告された「社会保障・税一体改革素案」は,「中規模・高機能な社会保障」と「社会保障改革と財政健全化の同時達成」を目指しており,きちんと読めば,与野党間で議論ができる程度の内容になっている。目くそも鼻くそも,国民のために,議論を始める義務がある。(筆者)


1/15「野田改造内閣」の発足,1/5「野田首相の年頭記者会見,2011年12/31「社会保障・税一体改革素案」の記事を参照
1/18 厚生労働省 「社会的養護の現状について(2012年1月)」
~「第13回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」資料~
・2012年1月16日に,「第13回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」が開催された。なお,2011年7月11日には,児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会である「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」のとりまとめとして,「社会的養護の課題と将来像」が報告されている。
・なお,社会的養護とは,保護者のない児童や,保護者に監護させることが適当でない児童を,公的責任で社会的に養育し,保護するとともに,養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこととされ,社会的養護は,「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われている,と厚生労働省は説明している。

→特に,社会福祉士国家試験受験者には,必ず目を通しておいてもらいたいために,最新資料を掲載した。(筆者)

2011年8/3(「児童虐待関係の最新の法律改正について」7/21「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)および児童虐待相談対応件数等」7/12「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立の記事を参照

「社会的擁護に関する法令・通知一覧」(厚生労働省)
1/17 内閣府 「2012年度食品安全モニター」が募集されている ・食品安全委員会は,食品安全基本法の制定により2003年7月に内閣府に設置され,7人の委員で構成し,12の専門調査会を持つ行政機関である。
・2012年1月16日に,内閣府食品安全委員会は,「2012年度食品安全モニターの募集について(お知らせ)」を公表した。

<2011年10月28日記事の再掲>
食品安全委員会委員長談話を信じるかどうかは,個人の自由である / 「放射性物質の食品健康影響評価について」

日本の法律では,線量限度(外部および内部被曝)として,職業人は50mSv/年・100mSv/5年間で,一般公衆は1mSv/年以下と定められている(この線量限度には,自然放射線による被曝と医療行為による被曝は含まれていない)。
→今回,食品から受ける被曝で,放射線による健康への影響が見い出されるのは「1人当たり生涯の累積線量でおおよそ100リシーベルト以上」との基準を示し,厚生労働省に答申した。今後,これに基づいて,厚生労働省は食品ごとに新たな基準を作成するとされている。また,外部被曝のことは知らん,ということらしい。
→9月7日の記事にも書いた「国民からの3,089通のパブリックコメント」を,無にするために,姑息にも時期をずらして所期の目的を達した,と筆者は受け止めている。小泉直子委員長の科学者としての見識を疑いたくなるのは,7月には100ミリシーベルト以下は土壌などから受ける外部被曝を含むと説明していたはずなのに,今回は食品のみの値だと説明していることである。筆者は,今回の事柄を,科学とは無縁の政治的な対応と受け止めた。厚生労働省は内部被曝を,文部科学省は外部被曝を検討しており,現在の日本政府内には,総合的に国民の被曝を検討をする組織がない。一体,この国はどうなっていくのだろうか。
→今朝の新聞に,「本当にうまい」という見出しで,福島県産の新米をほお張る大臣のアホみたいな写真が出ていた。(筆者)

→黙っていれば,やりたい放題になることは分かっている。国民の生活・健康が危険にさらされている状況において,福祉専門職として,何をしなければならないのかは,自身で考え,行動すべきである。(筆者)

2011年12/20(■「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されている,10/28(食品安全委員会委員長談話を信じるかどうかは,個人の自由である / 「放射性物質の食品健康影響評価について」の記事を参照

「内閣府食品安全委員会のHP」
1/16 経済産業省 「ソーシャルビジネス・ケースブック(震災復興版)」 ・2012年1月13日に,経済産業省は,東日本大震災の復興に貢献するソーシャルビジネス27事例を集めた「ソーシャルビジネス・ケースブック」を作成し,公表した。
・このケースブックでは,ソーシャルビジネス(SB)を,「町おこし,少子高齢化,環境,貧困問題といった社会的課題をビジネスとして事業性を確保しながら自ら解決しようとする活動」と定義している。

→これまで,このカテゴリーでも,ソーシャルビジネスを再三取り上げてきた。経済産業省は,1995年の阪神・淡路大震災は,ボランティア活動が定着するきっかけとなった「ボランティア元年」となったように,2011年の東日本大震災をソーシャルビジネスが定着するきっかけとなる「ソーシャルビジネス元年」になることを期待しているとしている。(筆者)

2011年3/8(「期待高まるソーシャルビジネス」)2/283月14日に「ソーシャルビジネス・メッセ2011」が開催される2010年7/19「市場を活用するソーシャルビジネス(社会性,事業性,革新性)の育成」(経済同友会)2009年2/19「ソーシャルビジネス55選」,1/15「特定非営利活動促進法(NPO法)のあらまし」(改訂版),2008年12/17拡大・創出が期待されるシルバーサービスの新市場の記事を参照
1/15 首相官邸 「野田改造内閣」の発足
~2012年1月13日野田首相記者会見~
・2012年1月13日に,野田改造内閣が発足し,閣僚名簿が公表された。野田改造内閣には,岡田副総理兼社会保障と税の一体改革担当大臣ら,5人の閣僚が新たに入閣した。

→野田改造内閣の初閣議で,野田首相から新任の岡田副総理に手渡された指示書には,社会保障と税の一体改革について,「自ら先頭に立って同改革の意義をわかりやすく丁寧に情報発信するように」と書かれていたと報道されている。改革の実現に向けて国民の理解を広げるための必要な人材への任用であることは理解できる。
→しかし,前原グループの小宮山厚生労働大臣を留任させたことには驚いた。留任に際して,野田首相から口頭で「社会保障改革を分かりやすく国民に広報すること」と「被災地も含めて雇用にしっかりと取り組むこと」の2点の指示があったとのことである。改めて,厚生労働大臣が,このような指示を受ければならないところに大きな問題が潜む。これまでの国会審議の場において,厚生労働行政に関する見識が疑問視されている人物だということは周知であろう。社会保障と税の一体改革について,国民への理解活動もさることながら,2012年の通常国会での国会答弁もまともにできるかどうかの心配もある。重要な局面を迎えているのに,留任させたことが,日本国民への障害とならないことを祈るばかりである。(筆者)
1/13 厚生労働省 「医療保護入院制度について」
~「第24回 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」資料~
・2010年5月に,「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書(~精神保健医療福祉の更なる改革に向けて~)」(2009年9月)等を受けて,今後の精神保健医療施策としての具体化を目指し,当事者・家族,医療関係者,地域での実践者,有識者から意見を聴取するため,「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が設置された。同検討チームでは,第1ラウンドとして2010年5月~6月半ばにアウトリーチについて議論がされ,第2ラウンドとして2010年9月~2011年11月末に認知症患者と精神科医療について議論され, 2011年11月29日には,「認知症と精神科医療報告書」が公表されている。さらに,現在は第3ラウンドとして2010年10月から,保護者制度・入院制度について議論が行われている。
・医療保護入院は,入院を必要とする精神障害者で,自傷他害のおそれはないが,任意入院を行う状態にない者を対象として,本人の同意がなくても,精神保健指定医の診察及び保護者の同意があれば入院させることができる入院制度である。精神科病院入院者数は31.3万人で,その内訳は,①任意入院18.5万(約59%)人,②医療保護入院12.5万人(約40%),③措置入院1,800人(約0.6%)である。医療保護入院は,1999年を境に増加傾向に転じている。また,65歳以上の占める割合が年々増加し,現在では5割近くになっている。


→2011年度精神保健福祉士国家試験には,入院制度,特に「医療保護入院制度」の出題の可能性が高いと予想しているので,受験に役立つ最新資料を掲載した。事例にも目を通しておくことを勧める。(筆者)
1/12 - 「障害年金の制度をご存じですか?~がんや糖尿病,心疾患など内部疾患の方も対象です~」
<障害年金受給のポイント>
①公的年金には,病気やけがなどで障害が生じたときに支給される「障害年金」がある。
②障害年金は,がんや糖尿病など,病気で生活や仕事が制限されるようになった場合にも支給対象となる。
③障害年金が支給されるのは,保険料の納付要件などの支給要件を満たしている者である。
④加入していた年金制度や障害の程度,配偶者・子どもの有無などによって,支給される障害年金の種類や支給額が異なる。
⑤厚生年金保険や共済年金に加入していた者で障害の程度が1級・2級の場合は,障害厚生年金または障害共済年金と併せて障害基礎年金も受けられる。
⑥障害年金を受け取るためには,年金の請求手続きが必要である。

「障害年金」(日本年金機構)
「日本の年金制度のあらまし」
1/10 - 2011年の「Nature's 10」に選ばれた児玉東大教授が「国会の原発事故調査委員会」の参与に起用されるらしい ・政府から独立して国会が設置した「東京電力福島第一原発事故調査委員会」(委員長:黒川清氏)が,放射線物質の除染をめぐり政府や国会議員の対応を批判してきた小島東大教授を参与に起用することを検討していると報道されている。
・なお,左記の通り,児玉東大教授は,2011年12月22日付のイギリス科学誌「ネイチャー」で,「365 days: Nature's 10」(今年の10人)に選ばれている。
<2011年8月2日記事の再掲>
「児玉龍彦東大教授が国会で国会議員を叱責した」(You Tube)
~7月27日の衆議院厚生労働委員会において~

→2011年7月27日の衆議院厚生労働委員会において,児玉龍彦東京大学先端科学技術研究センター教授(東京大学アイソトープ総合センター長)は,「放射線の健康へ​の影響」に関して,参考人として陳述された。氏は,内部被曝の専門家であり,現在除染活動を行われているとのことである。内部被曝から子どもを守ろうとする責任感と使命感が伝わり,心を打たれた。
→「7万人が自宅を離れてさまよっている時に,国会は一体何をやっているのですか」という氏の叱責で,恥を知った国会議員がいてくれることを心から願っている。また,東京都はもちろん,静岡まで「安全ではない」という指摘がされているが,日本のマスメディアは,ほとんどが肝心の部分を無視して,都合のいい事柄だけを面白おかしく取り上げて報道しているように思える。一方,連日,必要以上に,異常とも思えるほど執着して中国高速鉄道事故を,批判的に取り上げている日本のマスメディアの姿勢に,放射能汚染問題や原発問題から日本国民の目をそらせようとする意図を,筆者は感じる。うそつきの古川佐賀県知事(自民,民主,公明推薦)や国会で泣き出した情緒不安定の海江田経済産業大臣を,行政のトップとして容認していていいものかという指摘も含まれている。
→関連情報である。1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原発事故のその後を追い,2003年に米アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「チェルノブイリ・ハート」(マリアン・デレオ監督,ウクライナ・アメリカ合作)が,2011年8月13日(土)に劇場公開される。
→ついでに,どうでもいい話題であるが,事故後に福島県飯館村で,「避難の必要はない」と講演し,最近ではセシウムが検出された汚染牛肉問題に関しても,「セシウムは筋肉にたまる。だが,危険という証拠はない」とおっしゃる長崎大学の山下センセイは,7月15日に福島県立医大の副学長に就任されたらしい。「えらくなる人はやっぱり違う」と感心した。(筆者)

→当然のことだと思うが,「2011年12月のネイチャー誌での選出」がなければ,参与として名前が挙がってきたかどうか・・・。(筆者)
1/6 厚生労働省 「はたちの献血キャンペーン」(1/1~2/29)
・厚生労働省の主催で,1月~2月の2か月間,「はたちの献血」キャンペーンが実施される(都道府県,日本赤十字社共催)。
・2012年の標語:「献血で つなげる命 はたちの力」

「血液事業の現状」(厚生労働省)
1/5 首相官邸 「野田首相の年頭記者会見 ・野田首相は,2012年1月4日に,年頭の記者会見を行い,消費税増税を含む社会保障と税の一体改革についての政府・与党の素案を1月6日までに決定し,来週早々に与野党協議を呼びかける方針を表明した。

→質疑では,トップバッターの日経新聞記者からの「消費税増税法案はこれから野党の協力を得て成立させるのは難しいと思うが・・・」との質問に,高校の世界史で習ったというイギリスのチャーチル元首相の言葉を引用して"Never, never, never, never give up."と場違いな回答をしたのには驚いた。2番目の江川昭子氏に対し「高校の後輩ですね」と公式の場で個人情報に触れたのにはびっくりしたと同時に,野田首相のコミュニケーションの取り方が見えたような気がした。出身高校への思い入れが余程強いこともわかった。Liveで観ていて,寒気がした。(筆者)
1/4 総務省 「辰年生まれ」と「新成人」の人口推計(2012年1月1日現在)
<ポイント>
(1)「辰年生まれ」の人口 : 1,022万人
①男性は496万人,女性は526万人
②1952年生まれと1976年生まれが最も多い
③総人口に占める割合は8.0%で,十二支の中では10番目

(2)「新成人」の人口 : 122万人
①男性は62万人,女性は60万人
②新成人人口は減少を続け,記録をとり始めて最多であった1970年(246万人)の半数を初めて下回る

→2011年は,「バブル崩壊」から20年であり,「東日本大震災」,「福島第一原発事故」の年であった。その年を経て「新成人」になった122万人である。考えてみれば,彼らは,バブル崩壊後の右肩下がりの経済の中で,全人的な「生きる力」の育成にはまったく結びつかなかった「ゆとり教育」を受けて育ち,ITを主要なツールとしてきてコミュニケーション能力が未熟なまま,厳しい就職難に直面している,バブルの恩恵を受けたことのある者からすると,誠に気の毒な環境に置かれ続けてきた「草食的な人たち」である。行政には,「成人」が半減しているのだから,せめて「的確な就職支援策」を求めたいが,厚生労働省のやるような小手先の施策では,どうにもならない。(筆者)
1/3 厚生労働省 「2011年 人口動態統計の年間推計」
<ポイント>
①出生数 : 105万7000人と推計(1947年の統計開始以来最少)
②死亡数 : 126万1000人と推計(過去最多)
③自然増減数 : △20万4000人と推計(戦後最大の減少幅)
④婚姻件数 : 67万組と推計(過去最少)
⑤離婚件数 : 23万5000 組と推計

→死亡数は,東日本大震災の影響もあって126万1千人と過去最多に拡大し,日本在住の日本人の人口は,20万4千人減少した。人口の高齢化で今後も,自然減の拡大が続くと予測され,本格的な「人口減少社会」が到来したと見られている。また,2011年の合計特殊出生率は,2010年(1.39)と同程度となると想定されている。
→現在の日本政府は,「高齢化」と「人口減少」の来るべき将来に向けての十分な対策をとらず,手をこまねいているだけである。日本は,歴史上3度(縄文時代後期,鎌倉時代,江戸中期・後期)の人口減少社会を経験しているといわれている。日本には,歴史的事実をろくに研究もせずに,簡単に「未曾有」とぬかす使えない学者がごろごろいることを,昨年の東日本大震災で知った。「人口減少」についても,歴史に学ぶ努力が足りていないのではないかと不安に思う。(筆者)

2011年12/5「第14回出生動向基本調査」の記事を参照
1/1 - “Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.” →インド独立の指導者,マハトマ・ガンジー(1869-1948)の言葉として,一般に,「明日死ぬかのように生きなさい。永遠に生きるかのように学びなさい。」と訳されている。筆者には到底理解が及ばないけれど,心が揺さぶられる言葉である。
→福島第一原発事故に際して,引用されることが多かったマハトマ・ガンジーの言葉に,「7つの社会的罪(Seven Social Sins)」がある。①理念なき政治(Politics without Principles),②労働なき富(Wealth without work),③良心なき快楽(Pleasure without conscience),④人格なき知識(Knowledge without character),⑤道徳なき商業(Commerce without morality),⑥人間性なき科学(Science without humanity),⑦献身なき崇拝(Worship without sacrifice)である。福島第一原発事故を引き起こした「大罪」に対する責任は,「一匹」たりとも逃すことなく,徹底的に追求し続けなければならない。(筆者)
12/31 厚生労働省 「社会保障・税一体改革素案」
~「社会保障・税一体改革関係5大臣会合」資料~
・民主党政策調査会役員会と政府税制調査会(会長:安住財務大臣)が12月30日,党税調などが12月29日にまとめた税部分の原案をそれぞれ了承した後,安住淳財務相や小宮山洋子厚生労働大臣ら関係5閣僚が会議を開き,12月20日に決定した社会保障改革部分の原案と併せ,一体改革の素案が固められた。
・野田首相は,12月30日の記者会見で,「大変大きな前進だったと思います」と述べ,「消費税について2014 年4月に8%,2015年10月に10%へと,段階的に地方分を合わせた税率の引上げを行う」(p27)とした「社会保障・税一体改革素案(案)」を,2012年1月の第1週に開催される「政府・与党社会保障改革本部」(本部長:野田首相)で「社会保障と税の一体改革大綱素案」として正式決定した後,野党に協議を呼び掛け,「社会保障と税の一体改革大綱」をまとめるとしている。
・大綱をもとに,2011年度中に,消費税法の改正法案など引き上げに必要な法案を,2012年通常国会に提出するとみられている。

→今回の素案は,野田首相が,12月5日の「政府・与党社会保障改革本部」において,社会保障と税の一体改革について,「不退転の決意で臨む」と述べ,消費税の税率や引き上げ時期をできるだけ具体的に記した政府・与党の素案を年内をめどに取りまとめるよう指示していたことによるものである。もともと,民主党のマニフェストに記載されていない消費税増税を「不退転の決意で臨む」と言うこと自体,奇妙なことである。すでに,「野党は協議に応じない構え」だと報道されている。(筆者)
12/30 首相官邸 「日本再生の基本戦略(~危機の克服とフロンティアへの挑戦~)」を閣議決定(概要 / 本文

・政府は,12月24日に,中長期的な政策指針である「日本再生の基本戦略」を閣議決定した。震災・原発事故からの復活に加え,経済・社会・国際の3つの「フロンティア」について,当面の重点施策などを提示した。2011年度から2020年度までの平均の経済成長率について,名目3%程度,実質2%程度を努力目標に掲げている。

→「日本再生の基本戦略」は,「国家戦略会議」において,前菅内閣の新成長戦略実現会議のもとで検討されてきた「新成長戦略」を改定した中長期的な政策指針である。基本的には,菅前政権の方向性を踏襲した内容となっている。法律によって裏付けられた機関ではなく,閣議決定に基づく機関として運営する「国家戦略会議」に作らせたら,このようなものになることは分かりきっていた。
→今後,2012年6月を目途に策定される「日本再生戦略」に向けて,施策を具体化していくとされている。(筆者)
12/29 厚生労働省 「2012年度 厚生労働省予算案の主要事項」 ・政府は,12月24日に,2012年度政府予算案(90兆3,339億円)を閣議決定した。一般会計の総額は90兆3,339億円で,「新たなフロンティア及び新成長戦略」「教育・雇用などの人材育成」などわが国の再生に向け効果の高い4分野に予算を重点的に配分している。
・また,同日,厚生労働省は,2012年度厚生労働省予算案の概要を公表した。

項目 予算額
【1】一般会計 ・26兆6,873億円(前年度比7.9%減)
①社会保障関係費分 ・26兆2152億円(前年度比8.1%減)
②医療・介護関係の主要施策 (1)診療報酬改定:+0.004%(10兆1,962億円)
(2)介護報酬改定:1.2%(2兆4,033億円)
(3)地域医療支援センターの拡充:7.3億円
(4)在宅医療・介護の推進:35億円
(5)地域ケアの多職種協働等の推進:7.7億円
(6)難病患者の生活支援等の推進(特定疾患治療研究事業):350億円
(7)ライフ・イノベーションの一体的な推進:127億円
③子どものための手当制度 ・地方負担分(2,803億円)を含め2兆2,857億円
④生活保護 ・国の負担分として過去最高の2兆7,924億円
【2】東日本大震災復興特別会計 ・1,276億円(厚労省計上分283億円,復興庁計上分993億円)

→「【1】一般会計」の26兆6,873億円は,前年度比2兆2,765億円の減額(7.9%減)とされているが,基礎年金国庫負担割合を1/2に維持するための財源として一般会計に計上されない「交付国債」の2兆4,879億円を充てているため,差し引きすると,実質は2,114億円の増額というカラクリになっているらしい。
→そのため,「①社会保障関係費分」も,26兆2152億円(前年度比2兆3,001億円の減額,8.1%減)となっているが,基礎年金部分を除く予算は対前年度比で0.4%拡大しており,実質では過去最大だった2011年度(28兆7,079億円)を上回っている。なお,内訳は,年金8兆1,037億円(同22.0%減),医療10兆2,442億円(同3.2%増),介護2兆3392億円(同6.1%増)となっている。(筆者)


12/22「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」の記事を参照

「2012年度 予算政府案」(90兆3,339億円)
12/28 厚生労働省 「身近な地域の中で子ども・子育てを支援する児童委員・主任児童委員」 <児童委員に関する3福祉士国家試験の過去問>
・以下の設問の正誤を答えよ。
①児童相談所長は,その管轄区域内の児童委員の中から主任児童委員を指名することができる。
②主任児童委員の指名は,市町村の業務である。
③地域福祉計画の策定に当たっては,地域住民,学識経験者,保健・福祉・医療関係者,民生委員・児童委員,市町村職員等が参加する策定組織を設置することが挙げられている。
④民生委員・児童委員の相談・支援件数を,高齢者・子ども・障害者・その他の4分野に分けると,最も多いのは子どもに関することである。
⑤主任児童委員は,児童福祉サービスを提供する者の連絡調整,他の児童委員に対する助言,指導を行う専門委員で,民生委員推薦会が児童委員経験者の中から推薦し,それに基づき都道府県知事が指名した者がその任に就くことができる。
⑥児童委員は,地域住民の実情把握と記録,相談・援助,児童健全育成の地域活動,連絡通報,児童虐待への取組みなどの活動を行う。

→上記は,「やまだ塾模擬問題(①~⑦)」でも掲載している。この段階で,この程度の問題の解答に確信が持てないようでは,「かなりマズイ状況」にある。受験日までのあと1か月の頑張り次第になるが,挽回できる可能性はゼロではない。やまだ塾の模擬問題は,やりこなせば合格ラインまで届いたというこれまでの実績を基に作成している。中途半端にやるなら,やらない方がいい。
→さらに,明日からは「直前対策」を開始し,仕上げる。(筆者)
12/27 内閣府 「国民生活に関する世論調査(2011年10月調査)」
・今回の「国民生活に関する世論調査」は,2011年10月13日~11月6日に,全国の20歳以上の男女1万人を対象として,面接方式で調査し,6,212人から回答を得たものである。
・調査項目は,「現在の生活について」,「今後の生活について」,「生き方・考え方について」,「政府に対する要望について」である。
・「政府に対する要望」(複数回答)の結果は,「医療・年金等の社会保障の整備」(67.1%),「景気対策」(66.3),「高齢社会対策」(52.4%),「東日本大震災からの復興」(51.0%),「雇用・労働問題への対応」(49.4%),「東電福島第1原発事故の収束」(46.8%)の順であった。

→福祉専門職として,調査項目に自ら回答し,今回の調査結果と照らし合わせてみることを勧めたい。(筆者)
12/26 厚生労働省 「介護マークの普及について」(事務連絡 / マーク ・2011年12月13日に,厚生労働省は,静岡県が作成した「介護マーク」の周知を図るよう,都道府県にあてて事務連絡を行った。
・「介護マーク」は,介護する人が周囲から誤解や偏見を受けることがないように,静岡県で考案されたもので,静岡県内では2011年4月から配付を開始していた。具体的には,①介護していることを周囲にさりげなく知ってもらいたいとき,②駅やサービスエリアなどのトイレで付き添うとき,③男性介護者が女性用下着を購入するとき,④病院で診察室に入る際,一見介助が不要に見えるのに2人で入室するとき,などが想定され,首から下げたり,必要なときに提示したりして使用する。
・今回の事務連絡は,「介護マーク」の普及を目指す静岡県から提出されていた要望書に対して,厚生労働省が応えたものである。

→静岡県の「介護マーク」については,今年のはじめにNHKのテレビニュースなどが,認知症者の介護のこととして取り上げ,話題になっていた。一つの県の取組みが国を動かし,広く全国に普及させた。静岡県長寿政策局・課の柔軟な姿勢と職員の方々の努力から生み出された「大きな成果」であると思う。(筆者)
12/22 厚生労働省 「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」 ・医療機関に支払われる「診療報酬」は2年に1度,介護事業者に支払われる「介護報酬」は3年に1度改定されるが,2012年度は6年に1度の同時改定となる。
①2012年度診療報酬の改定:0.004%引き上げ(医師の人件費などの本体部分を1.379%引き上げ,薬価部分を1.375%引き下げ)→約5,500億円の増額
②2012年度介護報酬の改定:1.2%引き上げ→職員1人当たりに月額1万5千円程度を支給する2009年度からの「処遇改善交付金」を廃止


→何のことはない。医療報酬・介護報酬の引き上げとは,医療機関などの収入の増加と,国民の保険料・税負担や患者の窓口負担の増加を意味する。
→民主党政権における介護職員の処遇改善施策を振り返れば,2009年衆院選の民主党マニフェストでは「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」と掲げられていたが,政権交代直後には,長妻元厚生労働大臣は,自民党政権末期の付け焼刃の「処遇改善交付金制度」をそのまま継承して2009年度から実施し,2012年以降も継続して実施することを明言した。しかし,今回の2012年度介護報酬改定では,2012年度から「処遇交付金制度」を廃止して,代わりに介護報酬を1.2 %上乗せすることで対応するということらしいが,4万円はおろか1万5千円の確保も極めて怪しい。事ここに至っては,小宮山厚生労働大臣は,『民主党マニフェストの「4万円アップ」を「4万円ギブアップ」に改めます』と正直に言った方がいいと思うけれど。(筆者)
12/21 厚生労働省 「2011年度の第14回ケアマネ試験の合格率など」
~合格率は過去最低の15.3%~
・2011年10月23日に実施された2011年度の「第14回介護支援専門員実務研修受講試験」の合格率は,15.3%であった。1998年度の試験開始以降で最も低かった2010年度の20.51%を下回り,2年連続で過去最低となった。
・2011年度の受験者数は14万5,529人(前年度比5570人増)で,合格者数は2万2,329人(同6,374人減)で,累計合格者数は54万5,801人となった。
・合格者の職種別では,介護福祉士の66.9%(合格者数は1万4,1930人)が最多で,その他,「相談援助業務従事者・介護等業務従事者」11.7%(同2,611人),社会福祉士10.9%(同2,425人),「看護師,准看護師」が8.4%(同1,884人),理学療法士が2.3%(同510人)等であった。
<2011年10月25日記事の再掲(抜粋)>
「社会保障・税の一体改革成案」における「医療・介護制度改革」を理解しているか?
→蛇足である。10月23日に,「第14回ケアマネ試験」があった。2011年10月の試験でありながら,2001年・2004年・2007年という古い調査・統計資料が使われていたり,平成17年・2005年と年号の不統一があったり,と誰も試験問題全体の調整をとっていないことや,寄せ集めの問題であることがバレバレであった。また,ケアマネに医療知識の向上を求めることは理解できるが,本年の試験のレベルが適正であったかどうか,疑問を持った。ケアマネ試験の作成は,「社会福祉振興・試験センター」が行っている。筆者は,これまでにも「試験委員」を公表すべきであると言ってきた。ケアマネの質」を問う前に,「ケアマネ試験の質」が問われなければならない。(筆者)


→「平均点付近に多くの受験者が集中し,合格基準に達した受験者が少なかった。試験を難しくしたわけではない」というのが厚生労働省担当者の見解だと報道されていた。外注先に丸投げして,統一性に欠ける問題で試験しておいて,「よく言うよ」,というのが筆者の率直な感想である。
「地域包括ケア研究会報告書」において,①「現状では,アセスメントやケアカンファレンスが十分に行われておらず,介護支援専門員によるケアマネジメントが十分に効果を発揮していないのではないかとの指摘がある。利用者や家族の意向を尊重するだけでなく,自立支援に向けた目標指向型のケアプランを作成できるようにすべきではないか」(p.24),②「地域包括ケアを支える各人材の役割(イメージ)」に,介護支援専門員が明記されていない」(p.35),③「介護支援専門員1人当たりの利用者数は大幅に減少しており,現段階では,介護支援専門員は不足していないと思われる」(p.48)という記述の背景には,合格者の約7割が介護福祉士という実態が存在していると思う。すなわち,介護保険制度創設時の「介護支援専門員への期待や位置づけ」が変質してしまったということである(もともとの制度設計がいい加減であったことによる当然の帰結であることは言うまでもないが)。なお,2011年度試験合格者のうち,医師・歯科医師が0.8%,薬剤師が0.8%,保健師・助産師・看護師・准看護師が10%であった。常に,専門職としての自分の置かれている状況を正確に把握しておく必要がある。(筆者)


「介護支援専門員実務研修受講試験について」
→■「介護保険におけるケアマネジメント」 (2011年9月5日会議資料)

12/20 厚生労働省 「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されている
<厚生労働省の広報文>
・厚生労働省では,子育て支援や医療体制の整備,生活習慣病対策,年金、働く人のための環境整備,雇用対策など,国民生活に密着した施策を幅広く担当しています。こうした施策について,広く国民の皆様からご意見をうかがい,今後の行政運営の参考にさせていただくための2012年度「厚生労働行政モニター」を募集します。モニターに関心のある方は,下の募集要領をご覧の上,2012年1月13日(金)までにご応募ください。
公募資格 : 20歳(2012年4月1日現在)以上の日本国民

→福祉専門職として,「決められているといえども決める」という気持ちを持ち続けたいと思う。可能性があるのに,投げてしまうのはもったいない。あきらめたときに,すべてが終わる。(筆者)
12/19 厚生労働省 ■「自殺予防対策に関する報告書・ガイドライン一覧」 <自殺予防対策に関する報告書・ガイドライン一覧表>
作成 項目
2010年
9月
①「過量服薬への取り組み(薬物治療のみに頼らない診療体制の構築に向けて)」(概要 / 本文
・自殺・うつ病等プロジェクトチームとりまとめ
2010年
5月
②「誰もが安心して生きられる,温かい社会づくりを目指して」(概要 / 本文 / 鳥瞰図
・自殺・うつ病等プロジェクトチームとりまとめ
2010年
2月
③「地域における自殺対策プログラム」(本文 / 事例
・各地域において自殺防止対策をより効果的に推進するためのプログラム集(地方行政機関向け)
2009年
12月
④「精神科救急医療ガイドライン(自殺未遂者対応)」(本文
・精神科救急医療機関で従事する医師,看護師,コメディカルスタッフのためのガイドライン
2009年
3月
⑤「自殺未遂者ケアガイドライン(自殺未遂患者への対応)」(本文
・救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフ向け
2009年
1月
⑥「自死遺族を支えるために(相談担当者のための指針)」(本文
・基本的な知識や行動指針
・保健所および精神保健福祉センター職員,市町村の行政関係職員,支援グループの運営者,学校・職域・地域における支援活動の担当者(教員,職場の健康管理者,民生委員・児童委員等),医療従事者(医師,看護師,ソーシャルワーカー,臨床心理技術者等),法律専門家(弁護士・司法書士),その他自殺者親族等と接する機会のある者(警察,消防,宗教関係者,葬祭業者等)向け
2009年
1月
⑦「自殺に傾いた人を支えるために(相談担当者のための指針)」(本文
・基本的な知識や行動指針
・保健所および精神保健福祉センター職員,市町村の行政関係職員,民生委員・児童委員,その他地域において自殺問題に取り組む者向け
2008年
3月
⑧「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書」(本文
・自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関するガイドライン作成のための指針

8/31「自殺予防週間(9月10日~9月16日)」,6/14「2011年版 自殺対策白書」の記事を参照

(自殺者数)
2011年(月別)の自殺者数 
2010年の自殺者数

(自殺対策のウェブサイト)
「自殺予防対策」(厚生労働省)
「いのち支える 自殺対策」(内閣府)
12/16 首相官邸 12月9日に臨時国会が終わってから,『国会議員こそ,まずは隗より始めよ』と言い出した野田首相 →野田首相には,『先ず隗より始めよ』ということわざは馴染まないように思う。『六日の菖蒲十日の菊』の方が似つかわしい,は言い過ぎか。(筆者)
12/15 厚生労働省 「2010年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」
・2010年度に,65歳以上の高齢者に家族や親族による虐待について,市町村などが相談・通報を受け付けた件数は2万5,315件(前年度比8.2%増)で,このうち虐待と判断された件数は1万6,668件(同6.7%増)で,いずれも4年連続で過去最多を更新した。また,介護施設で働く従事者らによる利用者への虐待も,相談・通報件数は506件(同24%増)で,このうち虐待と判断された件数は,これまでで最も多い96件(同26.3%増)を記録した。

→2011年の第177回通常国会において,2011年6月17日に「障害者虐待防止法」が成立し,2012年10月1日に施行されることになった。これで,高齢者虐待防止法,児童虐待防止法,DV防止法を合わせると4つの虐待防止法ができたことになる。しかし,立派な理念を掲げた虐待防止法をいくら作っても,それぞれに的確な運用が伴っていなければ,「被虐待者・児」をより多く救うことにはつながらない。
→「高齢者虐待の調査結果」は,3福祉士国家試験では,頻出である。ただし,次回の国家試験では,「2009年度分」が対象になると想定している。(筆者)


8/3(「児童虐待関係の最新の法律改正について」),7/21「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)および児童虐待相談対応件数等」7/12「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立,6/29「障害者虐待防止法」が成立2012年10月1日から施行)の記事を参照
12/14 厚生労働省 「生活保護制度に関する国と地方の協議に係る中間とりまとめ」 ・2011年12月12日に開催された「第2回生活保護制度に関する国と地方の協議」において,「中間とりまとめ」が検討され,同日公表された。

→今,なぜ「生活保護制度」を見直さなければならないのかという問いに対して,「現在,雇用保険や年金などの社会保障は十分にその役割を果たせず,生活保護制度が「たったひとつのセーフティネット」となってしまっている」という回答が理解しやすい。
2011年度厚生労働省予算額の生活保護に係る国庫負担は,何と「2兆5,676億円」である。闇の部分が多すぎて,辟易するが,多くの日本国民は,無駄や不正の見逃しなどによる不公平を何とかしてもらいたいと思っている。(筆者)
12/13 警察庁 「少年からのシグナル(2011年版)」
<目次とポイント>
(1)少年非行と犯罪被害の情勢
①少年の非行
⇒少年は成人の5倍で,深夜はいかいと喫煙で約9割
②少年による街頭犯罪と初発型非行
⇒街頭犯罪の約6割が少年で,刑法犯少年総数の約7割が初発型非行(万引き,オートバイ盗,自転車盗,占有離脱物横領)
③少年の薬物乱用
⇒裾野がさらに広がる懸念
④少年の犯罪被害
⇒認知件数は25万6,215件
⑤児童虐待
⇒検挙件数・検挙人員・被害児童数は過去最多
⑥少年の福祉を害する犯罪
⇒7千人を超え,右肩上がり
⑦児童買春・児童ポルノ
⇒児童ポルノの送致人員は過去最多
⑧少年を取り巻く有害環境
⇒コミュニティサイトによる児童被害が急増

(2)少年非行を防止し,犯罪被害から守る取組
①警察の体制及び関係機関との連携
⇒少年サポートセンター,少年サポートチーム,警察と学校等との連携,スクールサポーター,少年警察・学生ボランティア
②警察における主な取組⇒少年相談,街頭補導,継続補導,社会参加・体験活動等の機会確保,被害少年への支援等
③少年事件手続きの流れ
④都道府県別の少年相談窓口

→警察庁は,毎年,「少年からのシグナル」を発行している。左記資料の「コラム:少年非行の原因・背景」(p.2)をご覧いただきたい。この分析・認識に対して,福祉専門職として,どう評価しますか?筆者には,「今,少年が何を考え行動しようとしているのか,わからなくなってしまった大人の見解」のように思えてならない。
→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,特に,上記「③少年事件手続きの流れ」(p.9・10)の知識は重要である。(筆者)
12/12 厚生労働省 「マイコプラズマ肺炎に関するQ&A」
マイコプラズマ肺炎とは
①定義:
・Mycoplasma pneumoniaeの感染によって発症する肺炎である。
②臨床的特徴:
・好発年齢は,6~12歳の小児であり,小児では発生頻度の高い感染症の一つである。
・潜伏期は2~3週間とされ,飛沫で感染する。
・異型肺炎像を呈することが多い。
・頑固な咳嗽と発熱を主症状に発病し,中耳炎,胸膜炎,心筋炎,髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されている。

2011年の感染状況
・2011年6月下旬から過去に例のない高水準で流行が続いており,11月中旬までの累計患者数は1万2,675人に上るとされている。
・2011年11月14~20日の受診患者数は,1定点医療機関当たり1.26人で,調査を開始した1999年以降,過去最多である。

→現在,マイコプラズマ肺炎に対する予防接種はなく,学校保健安全法で出席停止が定められた疾患でもない。今後もマイコプラズマ肺炎の患者数が増加することが推測されている。左記のQ&Aでは,「2011年は夏頃から患者数の増加が報告されていますが,増加した理由はよくわかっていません。」といつになく明確すぎる回答なので,反って「ほんまかいな」と疑いたくなってくる。(筆者)
12/9 厚生労働省 「社会福祉施設における労働災害防止のために~腰痛対策・4S活動・KY活動~」 ・労働災害による死傷者数は,全産業では減少傾向にあるが,社会福祉施設では年々増加しており,2010年に被災した死傷者(休業4日以上)は5,533人である。事故の類型では,「動作の反動・無理な動作」(35%)と「転倒」(29%)で6割以上を占めている。
<行政からの呼びかけ文>
・労働災害防止は事業者の責務です。
・社会福祉施設の安全衛生水準の向上と労働災害防止のために,次のことをぜひ行ってください。
(1)腰痛対策:「動作の反動・無理な動作」など災害防止に有効
(2)4S活動:「転倒」「転落」災害防止に有効
(3)危険予知(KY)活動:不安全行動による災害防止に有効

→防げることで,体を壊してはもったいない。(筆者)

12/1「2010年社会福祉施設等調査結果の概況」,7/25「2011年度全国労働衛生週間(10/1~10/7)の実施について」,5/27「労災保険給付の請求(申請)」の記事を参照

「安全衛生関係リーフレット等一覧」
「腰痛の労災認定」
12/8 厚生労働省 「地域保健と社会福祉等の主な関連施策(イメージ図)」
~「第6回地域保健対策検討会」資料~

<社会理論と社会システム>
問題 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

①社会関係資本が豊かになると,経済活動は活発になるが,人々の政治的関与は停滞するので,市民参加の促進には役立たない。
②経済資本,文化資本,象徴資本とともに,社会関係資本も社会階級上の位置を特徴づけるという考え方があり,それらが権力への接近や出世の可能性を左右する。
③社会関係資本は,社会的共同消費手段を構成する公共財であり,不況期には景気対策として用いられてきた。
④社会関係資本は,人々に等しく分配される社会的資源であり,社会的不平等を緩和するので,格差社会の是正に必要である。
⑤社会関係資本には,異なる集団間での効用を高める結束型と,同一集団内の効用を高める橋渡し型があるが,結束型は他の集団に対して排他的に作用することがある。


正答:②
・2011年12月5日に,「第6回地域保健対策検討会」が開催された。
・地域保健対策の推進は,地域保健法及び第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」に規定されているが,2008年の毒入り餃子事件や2009年の新型インフルエンザ対策等の健康危機管理事案を受けて,地域住民の健康の保持及び増進並びに地域住民が安心して暮らせる地域保健の確保を図る検討を行うために2010年7月22日に,「地域保健対策検討会」が設置された。

→2011年2月3日に,第3回検討会が5か月ぶりに開かれ,新たな論点として,「市町村の保健福祉サービスにおけるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の活用」が加えられた。当時,スピードが遅いことと,「何を今更」という感想を持った覚えがある。その後,東日本大震災をはさみ,2011年12月5日に,第6回検討会が開かれ,「関連施策の連携に当たって、行政は地域のソーシャル・キャピタルの利活用を一層図るべきではないか」という論点案が提示されている。
→関連事項であるが,第23回社会福祉士国家試験で,左記の通り「ソーシャル・キャピタル」が出題されている。次回試験にも,再度,出題される可能性があるので理解をしておく必要がある。(筆者)
12/7 総務省統計局 ■「2011年発行の総合統計書」を活用する <最新の総合統計書一覧>
項目 内容
日本統計年鑑 日本の姿がここに
・日本の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野にわたる基本的な統計データを,網羅的かつ体系的に収録
・原則として,2010年6月30日までに入手した原資料により編集
日本の統計 日本の実情はどうなっているのか
・日本の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野に関して,基本的な統計を選んで手軽に利用しやすい形に編集
・原則として,2010年11月30日までに入手した原資料により編集
世界の統計 世界の実情はどうなっているのか
・世界各国の人口,経済,社会,文化などの実情や世界における日本の位置付けを知るために参考となる様々な統計を,簡潔に編集
・原則として,2010年12月末日までに入手した原資料により編集
PSI(ポケット統計情報月報) 日本の最新動向を一目で
・日本の人口,経済,社会等の最新の動向を把握できるよう,基本的な統計データをコンパクトに編集
PSI(ポケット統計情報年報) 日本の動向を年ベースで
日本の人口,経済,社会等の水準・構造等に関する基本的な統計データをコンパクトに編集
Statistical Handbook of Japan (SHJ) 日本の実情を英語で
・統計を通じて日本の最近の実情を分かりやすく紹介した英文の刊行物
・原則として,2011年6月末までに入手した原資料により編集(毎年8月~9月に発行)
日本の長期統計系列 日本の明治からの姿がここに
・日本の国土,人口,経済,社会,文化等広範な分野にわたる統計の中から,主要なものを収集・整理し,明治初期からの長期にわたる時系列データを総合的,体系的に収録

→「総合統計書」を,聞いたことも,見たこともない人が多いと思うが,知っていると便利である。(筆者)

「総務省統計局ホームページ」
12/6 内閣府 「幸福度に関する研究会報告―幸福度指標試案」 ・「新成長戦略」(2010年6月18日閣議決定)に盛り込まれた新しい成長及び幸福度に関する調査研究を推進するため,2010年12月22日に,有識者からなる「幸福度に関する研究会」が設置され,2011年12月5日に報告書(試案)が提出された。また,同日,その試案を,「幸福度に関するアジア太平洋コンファレンス」(内閣府,経済協力開発機構などが主催で東京で開催)において,古川経済財政担当相が発表した。
・試案は,心の幸福感を基本として「経済社会状況」「心身の健康」「(家族や社会との)関係性」の3つを指標の大枠として設定し,貧困率や育児休暇の取得率のほか,政府への信頼感、放射線量などへの不安といった主観的な項目も採用し,指標は132に上っている。

→「国民の幸福度」を社会政策に活用する海外の取組としては,ブータン王国の「国民総幸福(GNH)」,フランスの「スティグリッツ委員会報告(2009年)」などが有名である。また,2011年5月24日に,OECD(経済協力開発機構)が,伝統的な国内総生産(GDP)とは異なる尺度で暮らしを比較する「より良い暮らし指標(ユア・ベター・ライフ・インデックス)」を初めて発表し,日本は「物的生活条件」の指標では,加盟34か国の中で上位か中位であるが,「生活の質」の項目では下位もあるという結果を出している。
→2011年11月には,科学的で信頼性のある研究であるのかどうかは知らないが,どこかの大学の研究結果として,日本で一番幸せな都道府県は「福井県」であるということを,何の疑念もなくマスメディアが取り上げていた。筆者は,「幸福や幸福度」などは,どんなレベルの者でも,もっともらしいことが言える,と思っただけである。
→試案といっても,どうせ,いつものように,日本の英知を集めたようなものではなく,「幸福度に関する研究会構成員」は意見を言った程度で,基本的には事務局の担当者が作ったものじゃないかと勘ぐっている。
→筆者は,東日本大震災および福島第一原発事故以降の日本において,「幸福度」の指標の設定やその測定をすることは無意味であると思っている。むしろ,今こそ,「不幸度」の指標の設定とその測定をすることによって,人類のためになる情報が提供できるし,日本の将来への希望が見出せるのではないかと考えている.。(筆者)

8/10(「2010年度国民生活選好度調査結果(国民の幸福感の現状など)」)の記事を参照
12/5 国立社会保障・人口問題研究所 「第14回出生動向基本調査」 ・国立社会保障・人口問題研究所は,11月25日に,若者の結婚離れ傾向を調査した「第14回出生動向基本調査」を公表した。この調査は,5年ごとに行われ,将来にわたる人口動向把握に必要な基礎資料を得ることを目的として,「出産力調査」として1940年から開始されたもので,第14回は18歳以上35歳未満の未婚男女を中心に集計・分析されている。有効回答数は10,581件である。
・「結婚したい」と答えた男性は86.3%,女性は89.4%で,若干の減少傾向にある。「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は9.4%,女性は6.8%で,どちらも増加傾向にあり,男性では1987年の第9回調査時点よりほぼ倍増となっている。また,「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と答えた男性は60.4%,女性は54.1%で,過半数を割った1990年代からは回復の傾向にある。
・「結婚生活について利点がある」と答えた男性は62.4%,女性は75.1%で,「現在の独身生活に利点がある」と答えた男性は81.0%,女性は87.6%になり,特に独身女性の9割近くが,現在の独身生活のほうが結婚生活よりもメリットが大きいと答えている。
・交際相手のいない男性は61.4%,女性は49.5%となり,顕著な増加傾向にある。

→2008年の世界各国の婚外子の割合は,スウェーデン54.7%,フランス52.6%,イギリス43.7%,アメリカ40.6%,ドイツ32.1%であるが,日本は何と2.1%である。「日本では,結婚しなければ子どもを生まない,生めない,生ませない」という国民感情や文化の存在を知っていることを前提にして,今回の調査結果をどう思うのかを,現在の少子化対策に深く関わっておられる「大物政治家」の小宮山サンと蓮舫サンにご意見をお伺いしたいものである。まさか,離婚は2回まではできるので,どんどん結婚したり,離婚したりしなさいとか,事実婚を増やしましょうとかはおっしゃらないとは思うが・・・。(筆者)
12/2 国民生活センター 急増するスマートフォンのトラブル(報告書)」 ・報告書によれば,スマートフォンに関する2011年度の相談件数は,1,789 件(2011年10月31日までの登録分)で,2010年度の542件から3倍以上の相談が人国民生活センターに寄せられたとのことである。そこで,相談事例をもとに問題点等を整理し,今後の被害の未然防止・拡大防止のため情報提供するとされている。
相談内容の主な類型
①修理に出しても不具合が続く
②すぐに電池がなくなる
③メールやインターネットをあまり利用していないのに,パケット料金が上限額になる
④通信制限があり動画が見られない

<国民生活センターからのアドバイス>

①テレビコマーシャルなどの広告のイメージだけで判断せず,機能の特徴を十分ふまえて自分の利用目的にあった商品選択をしてほしい
②不具合がおきた場合には,どのようなときに症状がおこったのかを確認しておく
③アプリケーションソフトの内容をよく理解しないまま、むやみにダウンロードしないこと
④海外に持っていく場合には,必ず日本国内で事前に設定方法や課金の方法を確認しておくこと
⑤トラブルにあったら,最寄りの消費生活センターに相談をしてほしい

→スマートフォンを,従来の携帯電話の延長線上で利用されてトラブルが生じているとされている。通信機能を備えた新しい特性を持ったPCだという説明が不足しているように思う。サービスの提供者側の情報量が利用者のそれと比べて大きいという,いわゆる「情報の非対称性」の問題が生じている。
→福祉サービスにおいても言えることであるが,利用者が適切なサービスを選択するためには,常に利用者が提供者と対等になる情報提供システムの構築が必要である。それを積極的に推進しなければならないのは,「行政」ですよ。(筆者)
12/1 厚生労働省 「2010年社会福祉施設等調査結果の概況」 ・厚生労働省は11月30日,2010年社会福祉施設等調査結果の概況を発表した。10年10月1日時点の全国の社会福祉施設等は5万343か所,定員は274万7,387人,在所者は265万3,865人となっている。在所者数を定員で割った在所率は98.2%で,施設種類別では「保育所」101.2%,「有料老人ホーム」82.6%となっている。
・調査票の配布・回収は,2008年調査までは,社会福祉施設等については都道府県・指定都市・中核市が実施し,障害福祉サービス事業所及び相談支援事業所については厚生労働省から郵送で実施していた。しかし,2009年調査よりすべての調査票を厚生労働省が委託した民間事業者からの郵送に変更されている。

→本調査は,厚生労働行政の推進のために重要な基礎資料を得る調査である。このような位置づけの調査では,全数把握,すなわち回収率は100%でなければ意味がない。しかるに,2010年調査でも,回収率が82.9%(31,847か所の障害福祉サービス等事業),91.0%(555か所の精神障害者社会復帰施設)など,100%から大きく欠けるものが多数含まれている。
→厚生労働省は,「2008年度以前において,都道府県等が配付・回収を行っていた調査票につきましては、おおむね100%近い回収率を達成しておりましたが,2009年度からは直接郵送方式ということで回収率はいずれも低下いたしております」とトンチンカンな説明をしている(2011年5月19日第9回社会福祉施設等調査,介護サービス施設・事業所調査及び就労条件総合調査の評価に関する検討会議事録)。2009年度から外注業者に丸投げにして,精度の低い調査結果を公表し続けている。了解できない。(筆者)
11/30 厚生労働省 「2009年度の後期高齢者医療費(老人医療費)の特性」 ・高齢者医療費の対象は,当初は70歳以上の高齢者と65歳以上の「寝たきり老人」であったが,2003年以降は,対象年齢が75歳に達するまで,1歳ずつ毎年引き上げられ,2007年以降は,75歳以上の後期高齢者と65歳以上の特定の障害者だけとなった。

→ボタンを掛け違えた老人医療施策のスタート地点を振り返る。1972年暮れの総選挙で日本共産党が野党第2党になって「老人医療費の無料化」を主張し,高度成長に浮かれた社会のムードを背景にして,1973年に自民党の田中内閣が「老人医療費の無料化」を実現した。1973年には4289億円であった老人医療費は,1974年には55%増加し,無料化政策が続いた10年間でついには8倍の3.3兆円まで激増した。
→筆者は,1人当たり老人医療費が現役世代と比較して著しく高くなっている主たる要因は,受診率の高さだと考えている。また,受診率が高い理由としては,「モラルハザードによるロスの多い医療需要の増大である」という意見に賛同している。
→必要とする高齢者には,必要な医療が届けられなければならないが,同時に,ロスやモラルハザードを生む安易な負担軽減は避けなければならない。(筆者)


「2009年度医療費の動向」
「2009年度医療費の地域差(医療費マップ)」
「後期高齢者医療制度の現状について」
11/29 厚生労働省 「社会保障改革の各分野の検討状況」 ・「社会保障・税一体改革成案」(2011年6月30日)における「社会保障・税一体改革成案に盛り込まれた主な検討事項」および「社会保障・税一体改革の当面の作業スケジュールについて」(2011年8月12日)を踏まえ,小宮山厚生労働大臣を本部長とする「労働省社会保障改革推進本部」が設置された。2011年10月7日から検討が始まり,2011年11月25日には第4回が開催された。「推進本部では,今後,改革のビジョンや全体像をお示しするなど,社会保障制度がより安心できる姿に生まれ変わることをわかりやすくお伝えしていきます」と厚生労働省では説明している。
・厚生労働省が,現在進めている「社会保障改革の各分野の検討項目」を一覧にすると,以下の通りになる。
検討項目 検討内容 検討会議体 所管
部署
①子ども・子育て新システム 子ども・子育て新システムの全体像,具体的な制度設計(すべての子ども・子育て家庭への支援の仕組み,幼保一体化,子ども・子育て会議,費用負担など) ・子ども・子育て新システム検討会議作業グループ ・雇用均等・児童家庭局
②子どもに対する新手当制度 2012年度以降の子どもに対する手当制度の具体的な制度設計(制度内容,費用負担など) ・子どもに対する手当制度に関する厚生労働大臣・地方6団体意見交換会 ・雇用均等・児童家庭局
③医療提供体制の見直し 病院・病床機能の分化・強化,在宅医療の推進、医師の確保、チーム医療の推進,臨床研究の推進 等 ・社会保障審議会医療部会
・チーム医療推進会議
・医政局
④医療保険制度改革・診療報酬改定 高度・長期医療への対応と給付の重点化(高額療養費の見直しと受診時定額負担の導入),市町村国保の財政基盤の安定化・強化・広域化,高齢者医療の見直し,診療報酬改定 ・医療保険部会
・中医協
・保険局
⑤介護保険制度改革 (1)処遇改善のための財源確保策を含む制度見直しに関する論点の検討
・介護納付金の総報酬割導入
・給付の重点化
・1号保険料の低所得者保険料軽減強化
(2)介護報酬改定
・社会保障審議会介護保険部会
・介護給付費分科会
・老健局
⑥現行の年金制度の改善 基礎年金国庫負担1/2の確保,最低保障機能の強化,高所得者の年金給付の見直し,第3号被保険者制度の見直し,在職老齢年金の見直し,マクロ経済スライド,支給開始年齢引き上げ等 ・社会保障審議会年金部会 ・年金局
⑦短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大 短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の具体的な適用の在り方等 ・社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 ・保険局
・年金局
⑧就労促進 (1)年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくり等(希望者全員の65歳までの雇用確保策等)
(2)雇用の安定や処遇の改善に向けた非正規雇用に関する総合的ビジョン
(3)雇用保険・求職者支援制度の財源
・労働政策審議会 雇用対策基本問題部会
・労働政策審議会 雇用保険部会
・非正規雇用のビジョンに関する懇談会
・職業安定局
⑨ディーセントワークの実現 (1)有期契約労働者の雇用の安定や処遇の改善に向けた法制度の整備の検討
(2)長時間労働抑制やメンタルヘルス対策による労働者の健康・安全の確保
・労働政策審議会労働条件分科会
・労働政策審議会安全衛生分科会
・労働基準局
⑩今後のパートタイム労働対策 今後のパートタイム労働対策 ・労働政策審議会雇用均等分科会 ・雇用均等・児童家庭局
⑪生活保護制度の見直し及び生活保護基準の検証 (1)生活保護制度の見直し
・生活保護受給者の就労・自立支援
・医療扶助や住宅扶助の適正化
・保護費の適正支給の確保
・第2のセーフティネットと生活保護の関係等
(2)基準の検証
生活保護基準について,5年に1度実施される全国消費実態調査のデータ等を用いて,現在の生活扶助基準額が一般の低所得世帯の消費実態と適切に均衡が図られているかなど,専門的かつ客観的に評価・検証を行う
・社会保障審議会生活保護基準部会
・生活保護制度に関する国と地方の協議事務会合
・社会・援護局
⑫障害者施策 総合的な障害者施策の充実(制度の谷間のない支援,地域移行・地域 生活の支援) ・障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 ・社会・援護局障害保健福祉部
⑬難病対策 難病対策について,医療費助成や研究事業の在り方,福祉,就労・雇用支援施策等,制度横断的な検討を行う ・厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会 ・健 康 局

→厚生労働省は,社会保障と税の一体改革について,改革案作りを進めており,12月上旬には中間的な取りまとめが行われるのではないかと報道されている。どうせ,きちんとしたビジョンや全体像は示されずに,年金引き下げや医療費の負担増などの国民に負担が増える施策にかかわるものが提出されるのではないかとみられている。(筆者)
11/28 厚生労働省 「2009年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況(確報値)」
~特定健康診査の実施率は41・3%~
・2008年度から,40歳から74歳までの被保険者と被扶養者を対象に,内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目した「健康診査・保健指導」を実施することが,医療保険者に対し義務づけられた。
・日本人の死亡原因に占める生活習慣病の割合は約6割であり(2005年の生活習慣病に係る医療費は,国民医療費(約33兆円)の約1/3(10.7兆円)),生活習慣病の中でも特に,動脈硬化が原因となる病気が増加している現状を受けて,メタボリックシンドロームに焦点をあてて生活習慣病のリスクを回避することによって,将来的な生活習慣病による医療費負担を軽減することを目的とした制度・事業である。

→健康診断・保健指導は,「高齢者医療確保法」に基づくもので,一般的に「メタボ健診」と言われている。この制度・事業の評価は,「健診受診率」「保健指導実施率」「メタボリックシンドローム該当者および予備軍の減少率」の3つが指標とされている。2009年度の結果は,実施率は41.3%(2012年の全国目標は70%),保健指導実施率は12.3%(同45%),メタボリックシンドロームの該当者と予備群の減少率は4.7%(同10%),と低率であった。確か,厚生労働省は,医療費適正化の政策目標として,2015年度には生活習慣病有病者・予備群を25%減少するとしていたと思うが,こんなことで達成できるのだろうか。(筆者)
11/25 - ■「障害者雇用にかかわる最新資料」
(12月1日追記)
<「第1回障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」資料より(2011年11月21日開催)>
障害者雇用促進法
障害者の雇用状況
 ⇒「2011年障害者雇用状況」集計結果」
(2011年11月25日)
障害種別にみた障害者雇用支援施策の適用範囲
障害者雇用促進法における障害者の範囲,雇用義務の対象
2011年の「改正障害者基本法」(抄)
【参考資料】
障害者制度改革の推進体制
「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(2010年6月29日閣議決定)
障害者手帳制度
障害者雇用促進法以外の法律における障害者の定義


<「第1回地域の就労支援の在り方に関する研究会」資料より(2011年11月29日開催)>
障害者雇用の現状
「重点施策実施5か年計画」の進捗状況
各就労支援機関における障害者の就労支援
雇用,福祉,教育等の連携による就労支援の取組と課題
障害特性に応じた雇用支援施策
障害者職業能力開発施策の概要
障害者福祉施設における就労支援の概要
【参考資料】
特別支援教育の概要
「福祉,教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会報告書」(概要)(2007年8月)

<「第1回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」資料より(2011年11月30日開催)>
最近の障害者雇用の現状と課題
【参考資料】
障害者権利条約

<障害者雇用の政府広報>
「改正障害者雇用促進法」が2009年4月から段階的に施行されています」

→3福祉士国家試験受験者には,有用な資料となるので掲載した。現段階で,障害者雇用の現状について,完全な知識としておくことを勧める。(筆者)
11/24 内閣府 「厚生労働省(社会保障)の提言型政策仕分け結果」(その① / その②

(11月29日追記)
「提案型政策仕分けの結果(主な方向」
・厚生労働省(社会保障)の提言型政策仕分けが,2011年11月22日および23日に実施された。
<「社会保障」の提言型政策仕分け詳細と結果速報>
(1)11月22日分
医療サービスの機能強化と効率化・重点化
・勤務医と開業医,診療科目ごとにリスクや勤務時間に応じて配分を大胆に見直すべき
後発医薬品の使用促進など薬の有効な使用策
・先発薬と後発薬の差額の一部負担の検討
介護サービスの機能強化と効率化・重点化
・比較的所得の高い高齢者の介護サービスの自己負担の引き上げ
(2)11月23日分
年金制度(安定的な年金財政運営等)
・年金支給の特例水準は2012年度から解消し,減額する
生活保護の見直し(生活保護医療の見直し等)
・一部自己負担を導入する
雇用(雇用政策の効果の検証,雇用保険の運営等)
・負担と受益の関係を見直し,保険料の引き下げを検討する
持続可能な社会保障制度のあり方

・持続可能な制度に改革するため,ムダのない制度を追求する

→福祉専門職として,「評価結果」を了解できましたか?(筆者)

11/17「提言型政策仕分けの対象となる政策・施策・事業」の記事を参照
11/22 厚生労働省 「2011年度 今冬のインフルエンザ総合対策」
<厚生労働省の広報文>
「この冬のインフルエンザの流行シーズンに備え,「今冬のインフルエンザ総合対策」をとりまとめ,国や地方自治体が対策に取り組むとともに,広く国民の皆様にインフルエンザ対策を呼びかけることとしました。平成21年に流行がみられた新型インフルエンザについては,今シーズンからは季節性インフルエンザとして対策を行うことになりました。季節性インフルエンザには,A/H1N1亜型(平成21年に流行した新型インフルエンザと同じもの),A/H3N2亜型(いわゆる香港型),B型の3つの型があり,いずれも流行の可能性があります。流行しやすい年齢層は亜型によって多少異なりますが,今年も,全ての年齢の方がインフルエンザに注意する必要があります。具体的対策を参考にして,ご家庭や職場でも,インフルエンザ対策に努めていただくようお願いします。」

インフルエンザ流行情報の提供(例)
インフルエンザ流行レベルマップ
流行状況の過去10年間との比較グラフ
インフルエンザ様疾患発生報告(学校欠席者数)
インフルエンザ関連死亡迅速把握システム(関連死亡情報)
11/18 厚生労働省 ■「メンタルヘルスをYou Tubeで知る」
<厚生労働省のYou Tubeによる最近の情報>
病気に勝とうとせず,引き分けにもちこめればいい」(2011年10月11日)8分44秒
「周囲の人たちに支えられて」(2011年10月11日)8分58秒
「一歩一歩,あせらず前向きに」(2011年10月11日)8分33秒

(厚生労働省のウェブサイト)
「若者を支えるメンタルヘルスサイト」
「みんなのメンタルヘルス(総合サイト)」
「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(心の耳)」
11/17 内閣府 「提言型政策仕分けの対象となる政策・施策・事業」(行政刷新会議) ・2011年11月11日の「第22回行政刷新会議」で,2011年の提言型政策仕分けの対象となる政策・施策・事業が決定された。 
・厚生労働省では「社会保障」が対象である。
①医療サービスの機能強化と効率化・重点化
②後発医薬品の使用促進など薬の有効な使用策
③介護サービスの機能強化と効率化・重点化
④年金制度(安定的な年金財政運営等)
⑤生活保護の見直し(生活保護医療の見直し等)
⑥雇用(雇用政策の効果の検証,雇用保険の運営等)
⑦持続可能な社会保障制度のあり方

→筆者は,第179回臨時国会での小宮山厚生労働大臣の答弁をテレビで観ていて,けなげに役目を果たそうとされているのが反って痛々しく感じている。答弁の都度,厚生労働省官僚に意見を求めている大臣の姿は観ていて愉快なものではない。昨日は,見るに見かねたからだと思うが,参議院予算委員会の委員長が「女性をあまりいじめないように」と質問者に向けて発言していたけれど,氏に気持ちの余裕があったら,ジェンダー的に憤慨するところだろうなあと思った。氏は優れた能力をお持ちであると想像するが,厚生労働行政に対する勉強不足は致命的である。
→今回の「仕分け」によって,少なくとも,「社会保障」に群がっている「無駄な人材」だけは,排除してもらいたいと思う。(筆者)

11/8(「税金のムダ遣いや不正経理が4,283億円もあった【2010年度決算報告】」),10/4「2012年度厚生労働省予算の概算要求のポイント」の記事を参照
11/16 厚生労働省 「2009年の改正育児・介護休業法が,2012年7月から全面施行される 」(パンフレット)
・「改正育児・介護休業法」は,2009年6月24日に成立し,7月1日に公布された。2012年7月1日より,これまで適用が猶予されていた制度(①短時間勤務制度,②所定外労働の制限制度,③介護休暇制度)が従業員数が100人以下の事業主にも適用される。
①短時間勤務制度
・事業主は,3歳に満たない子を養育する従業員について,従業員が希望すれば利用できる「短時間勤務制度」を設けなけらない。(所定労働時間の短縮措置)
②所定外労働の制限制度
・3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には,事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなならない。
③介護休暇制度
・要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う従業員は,事業主に申し出ることにより,対象家族が1人であれば年に5日まで,2人以上であれば年に10日まで,1日単位で休暇を取得することができる。

→「育児・介護休業制度」は,3福祉士国家試験に頻出である。この機会に育児・介護休業制度を完全に理解しておくことを勧める。(筆者)

→■「2010年度育児・介護休業法施行状況」(2011年5月27日)
→■「育児・介護休業法のあらまし」(2010年7月)
→■「改正育児・介護休業法がスタート」(2010年6月)
→■「改正育児・介護休業法(You Tube)」(2009年8月)
11/15 内閣府 「冬の製品事故」
<政府の広報文>
「あなたは大丈夫? 冬の製品事故
冬は,電気やガス,石油などを使った暖房器具の使用頻度が増える季節。身近な製品の中には,「製品事故」という危険も潜んでいます。 特に,、この冬は節電に伴い使用の増大が見込まれるガス・石油暖房器具の事故に注意しましょう。」

→2009年4月から,「長期使用製品安全点検・表示制度」が施行されている。(筆者)

(関連するサイト)
→■経済産業省「製品安全ガイド」
→■消費者庁
→■(独法)製品評価技術基盤機構(NITE)
11/14 厚生労働省 「精神保健福祉士国家試験の今後のあり方について(精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会報告書)」(概要 / 本文
・2012年度から,精神保健福祉士の養成カリキュラムが見直されることを踏まえ,新たなカリキュラムに対応した精神保健福祉士国家試験が2012年度(2013年1月実施予定)より行われる。
・これに向け,2011年7月より,「精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会」が開催され,2011年11月11日に,「精神保健福祉士国家試験の今後のあり方について(精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会報告書)」が公表された。
<報告書のポイント>
(1)国家試験に係る基本的な事項
①精神保健福祉士国家試験の出題の難易度は標準的であるべきであり,精神保健福祉士に必要とされる基本的な専門的知識や技術が網羅的に備わっていることを確認するものであることが必要
②専門的・技術的な観点から試験委員を支援することができるよう,試験センターの体制充実についても検討が必要 
(2)新カリキュラムに対応した国家試験のあり方
①専門科目における総出題数は現行通り
②実際の現場に必要となる考え方を問う出題形式の出題を増やす
③社会福祉士国家試験との共通科目については1科目加わるため,それに応じて試験時間を長くする
④試験日を調整するなどして,社会福祉士・介護福祉士国家試験が同時受験できる機会を与えることが必要  

→第13回精神保健福祉士国家試験の合格者は7,233人で,合格率は58.3%であった。この報告書を契機にして,「社会福祉振興・試験センター」には,「国家試験」に相応しいレベルの試験内容としていただきたいものである。(筆者)

「精神保健福祉士の資格制度の見直し(動向)」
11/11 厚生労働省 「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」(概要 / 本文


(12月27日追記)
「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を策定(うつ病など精神障害の認定基準が分かりやすくなります)」
・2011年11月8日,厚生労働省は「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」を公表した。
・業務による心理的負荷を原因とする精神障害については,1999年9月の「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」に基づいて労災認定されている。労災請求件数が激増(1998年度42件→2009年度1,136件)し,さらに増加が見込まれていたが,精神障害事案の行政の審査には平均して約8.6か月の期間を要し,莫大な事務量を費やしていた。その状況を受けて,2010年10月15日に「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」が設置され,2011年11月8日に報告書がまとめられた。なお,2011年2月からは,この専門検討会の下にセクシュアルハラスメント事案特有の事情への対応のための「分科会」が設置され,2011年6月に「検討会報告書」が提出されている。

<報告書のポイント>
①分かりやすい,業務による心理的負荷(ストレス)の具体例を記載した新たな心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)をまとめた。
②セクシュアルハラスメントやいじめ等が発病前おおむね6か月(評価期間)以前から続いている場合は,開始時からの行為を一体として評価する
③これまで全事案について精神科医の専門部会による合議にかけていたものを,判断が難しい事案のみに限定した

→この報告書が出て,「速やかに」判断指針が見直されたからといって,労働基準監督署の認定実務が劇的に変わるとは思えない。なぜかと言うと,認可保育園の待機児童と同じく,どうせ潜在ニーズを都合のいいように軽く見積もり,今後劇的に請求が増えることを想定していないのではないかと思うので,その状況に対して現体制で対処できるわけがない,と思うからである。(筆者)

10/11「職場のいじめ・嫌がらせの定義・取組みの国際比較」,10/6「産業保健への支援の在り方に関する検討会報告書」,7/20「精神障害者地域移行・地域定着支援事業実施要綱」および「精神障害者アウトリーチ推進事業実施要綱」,7/7「2010年度 脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況」,7/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が開催される)の記事を参照

「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」(2010年9月7日)
(パンフレット)
「脳・心臓疾患の労災認定-「過労死」と労災保険-」
「精神障害等の労災認定について」
11/10 厚生労働省 「2010年度 福祉行政報告例の概況」および「福祉行政報告例(2011年7月分概数)」
「2010年度 福祉行政報告例の概況」のポイント
(1)生活保護関係
①被保護世帯数:1,410,049世帯(過去最高)
②被保護実人員:1,952,063人(生活扶助が最多)
③保護率:15.3‰
④保護開始の主な理由:「働きによる収入の減少・喪失」が29.6%で最多
⑤保護廃止の主な理由:「死亡」が31.4%で最多
(2)身体障害者福祉関係
①身体障害者手帳交付台帳登載数:5,109,242人
(3)知的障害者福祉関係
①療育手帳交付台帳登載数:826,585人
(4)婦人保護関係
①婦人相談員及び婦人相談所における相談件数:273,208件
(5)老人福祉関係
①老人ホームの施設数・定員(有料老人ホームは除く):,9,320施設,586,143人
②老人クラブ数・会員数:109,298クラブ,6,686,458人
(6)民生委員関係
①民生委員数:225,247人(女性は135,208人)
②民生委員の活動状況:相談・支援件数は7,136,055件・その他の活動件数は24,518,355件,訪問回数は34,010,385回
(7)社会福祉法人関係
①社会福祉法人数:18,658法人(「社会福祉協議会」は1,846法人)
(8)児童福祉関係
①児童相談所における相談件数:360,824件
②児童相談所における相談の種類:「障害相談」が相談件数の48.0%で最多
③児童相談所における児童虐待相談の対応件数:55,154件

<2011年8月12日の記事を参照>

→2011年1月に設置された「一人ひとりを包摂する社会特命チーム」から,2011年8月10日に,「社会的包摂政策に関する緊急政策提言」が提出された。筆者は,「イギリス暴動」の最中であることが面白いと思った。
→その提言を受け取ったブレア大好き人間の菅首相が手放しで喜んでいる動画を観ていて,筆者は,その薄っぺらさから,一刻も早く辞めていただくべきだと思った。
→異論があることを承知で,結論だけを申し上げる。筆者は,今回の「イギリス暴動」について,「ブレア政権以降の社会的包摂政策」と深くかかわっていると考えているが,日本のマスメディアは,事の本質を正しく伝えていないのではないかと思う。筆者は,日本における「社会的包摂政策」の必要性は理解しているつもりであるが,血税を使って「のら」をたくさん作り出すことにならないように,十分な対策をすべきと考える。菅首相の趣味で決められた「一人ひとりを包摂する社会特命チーム」の構成メンバーでは,気がかりである。(筆者)

→筆者が問題視したいのは,日本のマスメディアの「報道の質」である。報道は,おおむね「福祉行政報告例(2011年7月分概数)」における「生活保護の被保護人員だけ」であった。例えば,「今年7月に生活保護を受けた人は,全国で205万人を超え,厳しい雇用情勢を背景に,戦後の混乱期の水準を上回って,過去最多となったことが分かった」という類のものばかりであった。
→このカテゴリーで何度も申し上げているが,「生活保護制度」に関して,筆者が最も恐ろしいと思っているのは,現在の3兆円を超える「生活保護費」の野放図な運用が,「社会的包摂」の美名の下で,「生活保護世帯で育った若い世代が,のらの予備軍になる」ことにつながるのではないかということである。これは,近時のイギリスにおける若年者の暴動等の実態を見れば想定できることである。「生活保護制度」は絶対に必要であるが,悪用を許さない適切な制度の改訂と運用の改善をしなければ,将来,日本の国力を衰退させる大きな要因になると考える。(筆者)


10/31(「現行のホームレス施策の概要」),8/12(■「今回のイギリス暴動」は,「ブレア政権での社会的包摂政策」の結末ではないかと思う)の記事を参照
11/9 厚生労働省 「2010年度 衛生行政報告例の概況」
<「2010年度 衛生行政報告例の概況」のポイント>
(1)精神保健福祉関係
①精神障害者申請通報届出数:17,033件
②入院形態別患者数:「措置入院患者数」は1,515人,「医療保護入院届出数」は198,487件
③精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数:594,504人
④精神保健福祉センターにおける相談延人員数:210,592人(社会復帰相談が59.3%)
(2)薬事関係
①①人口10 万人あたりの薬局数:42.2か所
(3)母体保護関係
①人工妊娠中絶件数:212,665件(20歳未満が20,650件)
(4)特定疾患(難病)関係
①特定疾患医療受給者証所持者数:706,720人(女性が57.7%)
②特定疾患登録者証所持者数:54,762人(女性が59.4%)

→3福祉士国家試験受験者には,まもなく発表されるであろう「2010年度福祉行政報告例結果の概況」とセットで覚えておくことを勧める。出題の対象は,「2009年度福祉行政報告例結果の概況」および「「2009年度衛生行政報告例結果の概況」になると想定している。(筆者)
11/8 会計検査院 「税金のムダ遣いや不正経理が4,283億円もあった【2010年度決算報告】」 ・2011年11月7日,会計検査院は,日本国憲法第90条の規定により国の収入支出の決算を検査し,会計検査院法第29条の規定に基づいて,2010年度決算検査報告を作成し,内閣に送付した。
・2010年度決算検査報告において,掲載された無駄遣いや不正経理などの指摘は568件で,合計4,283億8,758万円に上り,過去最高だった2009年度に次ぐ2番目の額という結果であった。

→件数でのワースト1は,「厚生労働省」の271件で,全体のほぼ半分を占めている。先日の「ポリオ生ワクチン」に関する記者会見で,これまでの「子どもを大切にする」という持論と矛盾すると思われる説明をして,厚生労働省官僚の言いなりになっていることが国民にバレてしまった小宮山厚生労働大臣であるが,今回の「国民への不誠実」に対しては,毅然とした態度で臨んでいただきたいものである。(筆者)
11/7 外務省 「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉」 →筆者が興味を持っているのは,「TPP」に反対している民主党や国民新党の国会議員の「政治家としての覚悟や信念」の真偽と,「TPP交渉参加」となった場合の去就である。国会議員の立場を守りたければ,今は「とにかくTPPに反対」しておく方が得策である。
→11月6日のテレビ番組で,TPP交渉参加問題に関して,民主党の岡田前幹事長は,「反対している皆さんは,衰退していく農業がこのままでどうなるのかということに対する答えがない。そこの議論なくして単に反対しているのは理解できない」と述べていた。また,自民党の石破前政調会長は,11月5日に「メリットもデメリットもあるが,参加しない選択はあり得ない。気に入らなければ(国会で)承認しなければいい」と講演会で述べていたことが新聞報道されていた。筆者は,このお二方に,ことの是非は別にして,「政治家としての覚悟や信念」を感じた。
→11月4日に,野田首相が,TPP交渉参加問題について,「最終的には私の政治判断が必要になる」と記者会見で述べていたことは重要である。仮に,11月12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席に際して,野田首相が交渉参加の政治判断をした場合には,上記の民主党の反対議員は離党し,国民新党は連立を離脱するのが筋である。そうでなければ,彼らの「TPP反対」は地元用・選挙用のパフォーマンスだったということになる。不謹慎であるが,間もなく彼らの政治家としての覚悟と信念がどれほどのものであったのかが明確になると思われるので,楽しみにしている。(筆者)
11/4 国立社会保障・人口問題研究所 「2009年度 社会保障給付費」(概要 / 本文 ・2011年10月28日,国立社会保障・人口問題研究所は,「2009年度 社会保障給付費」の総額を過去最高の99兆8,507億円(対前年度増加額5兆7,659億円,伸び率6.1%)と公表した。国民1人あたりの給付費は,78万3,100円(対前年度伸び率6.3%)であった。
・2009年度は,前年のリーマンショックの影響で雇用情勢が悪化したことから,失業給付など雇用関連の給付費が,前の年度の2倍以上の2兆5,243億円となり,社会保障費の伸びを押し上げた要因となっている,とNHKがニュース報道していた。
<10月24日の記事を再掲>
2011年10月からの「子ども手当」については申請が必要になった
→半年つなぎの「子ども手当」。2011年10月から申請書の受付が各自治体で行われており,支給要件などが変わることでシステムの改修費がかかる。さらに,2012年4月には,新たな手当に切り替わり,また改修費がかかる。税金の使い方は,国民が納得できるものでなければならない。
→2008年度の社会保障給付費総額94兆848億円のうち,65兆3597億円(69・5%)を高齢者関係給付費が占め,家族支援などの給付は3兆2043億円(3・4%),失業給付は1兆2482億円(1・3%)であった。このような高齢者が社会保障費の7割を使うという「高齢者偏重」を強引に進めてきたのは,自・公政権であった。それを正すため,「子どものために税金を使う」として「子ども手当を導入する」という方向性については,多くの国民は一応の理解を示していたが,悲しいかな,「知恵の使い方が子どもじみていた」のだと筆者は思っている。だからと言って,今更,自民党が政権を執っても,今より日本が良くなるとは思えないが・・・。(筆者)

→福祉専門職であれば,上記のNHKニュースなどのマスメディアの解説やタレント学者の言い分だけを鵜呑みにするのではなく,問題の本質について,自身で考えて,自分の意見を持っていなければならない。

→2011年10月7日に,6月30日の「社会保障・税一体改革成案」および8月12日の「当面の作業スケジュールについて」を受けて,「厚生労働省社会保障改革推進本部」が設置され,官僚によって着々と改革が進められている。

→「社会保障給付費」にかかわる問題は,3福祉士国家試験には頻出である。次回国家試験では,「2008年度 社会保障給付費」(概要 / 本文)から出題されると思われるので,この機会に完全な知識としておくことを勧める。(筆者)
11/2 厚生労働省 ■「更生保護制度」と「医療観察制度」を法務省と厚生労働省のHPで学習する 「更生保護制度」(法務省
・2008年に制度の基本法が「犯罪者予防更正法(1949年制定)」から「更正保護法」へと変わり,更生保護の目的として,犯罪を犯した者および非行のある少年の改善更正と再犯防止が一体のものであることが明記された。
「医療観察制度」(厚生労働省)
・2005年7月に「心神喪失者等医療観察法」が施行され,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った精神障害者の社会復帰の促進を目的としている。
「地域生活定着支援事業」(厚生労働省)
・2009年度に「地域生活定着支援事業」が創設され,高齢又は障害を有するため福祉的な支援を必要とする矯正施設退所者について,退所後直ちに福祉サービス等(障害者手帳の発給,社会福祉施設への入所など)につなげるための準備を,保護観察所と協働して進める「地域生活定着支援センター」を各都道府県に整備することにより,その社会復帰の支援を推進することとしている。

→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,必須の知識である。基本法である「更正保護法」と「心神喪失者等医療観察法」を,通読していなければ話にならない。また,介護福祉士国家試験受験者においても,近年の障害や高齢者による再犯問題の深刻さは認識しておかなければならない。(筆者)
11/1 厚生労働省 「直近の社会的養護に関する施策」
~「第36回社会保障審議会児童部会」資料~
・2011年10月31日に,第36回社会保障審議会児童部会が開催された。会議資料を基にして,以下のようにまとめた。
日付 施策
3/30 ●当面の各種実施要綱改正による運営の弾力化
・小規模グループケアの定員要件の弾力化,地域小規模児童養護施設の設置要件の弾力化等
・自立援助ホームの運営の安定化等
里親委託ガイドラインの策定,里親委託運営要綱の改正
・里親委託優先の原則を明示。里親委託を推進するため,里親委託の運営方法についての留意事項を整理
・里親認定の要件,手続き等をわかりやすく整理
6/3公布 「民法等の一部を改正する法律」
・児童虐待の防止等を図り,児童の権利利益を擁護する観点から,親権の停止制度を新設し,法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにすること等の措置を講ずるため,民法の改正を行い,これに伴い所要の法律について規定の整備を行うとともに,里親委託中等の親権者等がいない児童の親権を児童相談所長が行うこととする等の措置を講ずるため,児童福祉法の改正を行うことを目的としている。(公布日(6月3日)から1年を超えない範囲内において政令で定める日)

→7月12日の記事を参照のこと
6/17公布施行 児童福祉施設最低基準の当面の改正
・家庭支援専門相談員,個別対応職員,心理療法担当職員の配置の義務化
・居室面積の引上げ,居室定員の引下げ
7/11 「社会的養護の課題と将来像」とりまとめ
・児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会(6月30日)
・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会(7月11日)
7/19 子どもシェルター(※)に自立援助ホームを適用して補助対象とする通知改正
※虐待を受けた児童等の緊急の避難先として行う事業
7/20公表 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)および児童虐待相談対応件数等」
→7月21日の記事を参照のこと
7/27 妊娠期からの妊娠・出産・子育て等に係る相談体制等の整備について通知
・新生児の虐待死亡事例,遺棄等の防止のために,妊娠に悩む人からの相談に対し,各相談機関等が連携して対応するとともに,社会的養護の支援制度について周知し,必要とする人への的確な情報提供と活用促進を図る
9/1公布 社会的養護の課題と将来像」に基づく当面の児童福祉施設最低基準等の改正
①施設長の資格要件の最低基準への規定及び施設長研修の義務化(9月1日施行)
②社会的養護の施設の第三者評価の義務化(2012年4月1日施行)
③親族里親の要件の見直し(おじ・おばに養育里親として里親手当を支給)(9月1日施行)
④自立援助ホーム及び母子生活支援施設の位置情報の提供方法の見直し(9月1日施行)
9/29 2012年度厚生労働省予算の概算要求
・家庭的養護の推進 ・被虐待児童等への支援の充実 ・要保護児童の自立支援の充実(自立援助ホームの設置推進等)

→10月4日の記事を参照のこと

→3福祉士国家試験受験者に参考となる資料であるため掲載した。(筆者)
10/31 厚生労働省 「現行のホームレス施策の概要」
~「第1回ホームレスの実態に関する全国調査検討会」資料~
・2002年に施行された10年間の時限立法である「ホームレス自立支援法」第8条を受けて,2003年に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(厚生労働省および国土交通省の共轄)が策定され,2007年の全国実態調査での「ホームレス減少」を受けて,2008年に見直されて「現行の基本方針」が策定された。

→時限立法であるホームレス自立支援法の10年経過後のあり方につき,ホームレス自立支援法の延長,恒久法化,生活保護法への収斂などが考えられるが,福祉専門職として,あなたはどのように考えますか?また,「現行のホームレス施策」は,本質的な対策につながっていると思われますか?さらに,ホームレスの定義に該当しない者の存在,回転ドア現象の存在,働く意思のない者の存在,氏名を伏せなければならない者の存在などの問題点が認識できていますか?
→ホームレス関連は,3福祉士国家試験には頻出であるので,左記の最新資料は参考になると思う。(筆者)
10/28 内閣府・食品安全委員会 食品安全委員会委員長談話を信じるかどうかは,個人の自由である / 「放射性物質の食品健康影響評価について」
食品安全委員会のメンバー (敬称略)
委員長 小泉直子
委員長代理 熊谷進
委員 長尾拓
廣瀬雅雄
野村一正
畑江敬子
村田容常

・2011年10月27日,食品安全委員会委員長は,食品から受ける被曝について,談話を発表した。

<食品安全委員会と異なる科学者の見解を紹介する>
たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏(2011年10月27日 You Tube)

<2011年9月7日記事の再掲>
「食品の放射能除去の方法」を自分のために学ぶ
→「放射能汚染に関する国の発表を信頼するかどうかは,個人の自由であるが,「自分の健康は自分で守る」が基本である」というのが筆者のスタンスである。そのためには,信頼性の高い知識・情報を手に入れ,学習し,自ら判断し,決断することが重要であると考えている。上記報告書が,最近注目されつつある。取り上げ方が難しい事柄であるが,放射能汚染から逃避したり,立ち向かうというより,そろそろ,腹を決めて,放射能汚染と共存して生活していく覚悟を持たなければならない時期が来ているのではないかと思い,記事にした。
→食品中の放射性物質の健康影響をめぐり,内閣府の食品安全委員会が7月にまとめた「生涯の累積放射線量の限度は100ミリシーベルト」とする評価書案パブリックコメントが,1か月で3千件を超え,集約のために9月上旬予定だった厚生労働省への答申が遅れるとみられている。
→お上の言うことを鵜呑みにして,言われるままに我慢して生きていくかどうかは,個人が決めればいいことで,知ったことではないが,抗弁できない子どもに我慢させていい訳がない。(筆者)

日本の法律では,線量限度(外部および内部被曝)として,職業人は50mSv/年・100mSv/5年間で,一般公衆は1mSv/年以下と定められている(この線量限度には,自然放射線による被曝と医療行為による被曝は含まれていない)。
→今回,食品から受ける被曝で,放射線による健康への影響が見い出されるのは「1人当たり生涯の累積線量でおおよそ100リシーベルト以上」との基準を示し,厚生労働省に答申した。今後,これに基づいて,厚生労働省は食品ごとに新たな基準を作成するとされている。また,外部被曝のことは知らん,ということらしい。
→9月7日の記事にも書いた「国民からの3,089通のパブリックコメント」を,無にするために,姑息にも時期をずらして所期の目的を達した,と筆者は受け止めている。小泉直子委員長の科学者としての見識を疑いたくなるのは,7月には100ミリシーベルト以下は土壌などから受ける外部被曝を含むと説明していたはずなのに,今回は食品のみの値だと説明していることである。筆者は,今回の事柄を,科学とは無縁の政治的な対応と受け止めた。厚生労働省は内部被曝を,文部科学省は外部被曝を検討しており,現在の日本政府内には,総合的に国民の被曝を検討をする組織がない。一体,この国はどうなっていくのだろうか。
→今朝の新聞に,「本当にうまい」という見出しで,福島県産の新米をほお張る大臣のアホみたいな写真が出ていた。(筆者)


<大震災および放射能汚染関連のこれまでの記事>
9/7「食品の放射能除去の方法」を自分のために学ぶ),8/2「児玉龍彦東大教授が国会で国会議員を叱責した」(You Tube))7/28国立精神・神経医療研究センターのメンタルヘルス情報(東北地方太平洋沖地震関連)),7/26「被災地での健康を守るために」(2011年7月25日版),7/5「復興大臣の宮城県知事に対する態度」(You Tube),6/7「世界が日本に差し伸べた支援の手」,5/31おどおどしているように見える文部科学大臣と副大臣の記者会見(You Tube)),5/20NHKの「ネットワークでつくる放射能汚染地図」を観る),5/16改めて,チェルノブイリ原発事故から23年後のBBCのドキュメンタリーをYou Tubeで観る),5/9政府は,中部電力に浜岡原発の全面停止を要請した,4/27(政府からの重要なお知らせ)「避難されている皆様の情報を,避難先の市町村へご連絡ください!」,4/21筆者は,福島第一原発事故の政府の初動対応が失敗していたとの確信を持った),4/254月21日,「世界で最も影響力ある100人」に桜井勝延南相馬市長菅野武医師が選ばれた),4/19原発推進にかかわってきた文化人・知識人らの謝罪),4/18原発の広告塔となってきたタレントと道義的責任),4/15「東日本大震災における介護保険制度等の対応について」),4/14インターネット上で話題の故忌野清志郎氏と故黒澤明氏の作品を観た(You Tube)),4/12「東日本大震災の発生に伴う社会福祉士,介護福祉士及び精神保健福祉士養成施設等の運営等に係る取扱いについて(通知)」,4/11「震災孤児の人数および経済的支援について」,4/9「2011年統一地方選挙」で,原発存続派に票を入れていいものか,熟慮すべきである),4/7海外メディアの報道を見て,日本のメディアのあり様を考えてみる),4/6被災者への情報を掲載した「生活支援ニュース」の発行・配布が始まった,4/5原発反対の研究者の警告に耳を傾ける③),3/31「福島県内から避難した要介護高齢者等に関する介護保険施設・事業所等への周知について(依頼)」,3/30原発反対の研究者の警告に耳を傾ける②),3/29「スリーマイル島原発事故」は,1979年3月28日に起こされた(You Tube)),3/25「災害救助法」が適用された市町村,3/24全国の放射能濃度(①水道 / ②)),3/23原発反対の研究者の警告に耳を傾ける①),3/22放射線・放射能への理解),3/18「被災地での健康を守るために」,3/17菅首相の国民へのメッセージ」および「天皇陛下のおことば」,3/15福島第1原発2号機の水位低下事故が,2010年6月17日に発生していたのは本当か?),3/14(「東北地方太平洋沖地震」)の記事を参照

10/27 厚生労働省 「2010年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
<構成>
(1)医療施設調査
①施設数
②病床数
(2)病院報告
①患者数
②病床利用率
③平均在院日数
④病院における従事者

→3福祉士国家試験においては,頻出の調査・統計である。昨年以前の概況からの出題になると思うが,この際,左記の概況を通読していただきたい。歯科診療所が病院の8倍以上あったり,精神病床が一向に減らなかったり,なんか変,と思い当たることがあれば,何でかな,と考えてみていただきたい。何の疑問も起こらなかったり,政府の説明やマスメディアの報道内容で納得できるならば,それはそれでいい。自分自身で考えてみることが大切である。われわれは,福島第一原発事故から,誰かの言うことを妄信してはいけないことを学んだ。
→ちなみに,2008年度の社会保障給付費94兆848億円のうち,「医療」が29兆6,117億円で約3割を占めている。(筆者)


(参考)
「我が国の医療保険制度について」
「“後期高齢者医療制度”についてご説明します」

10/25「社会保障・税の一体改革成案」における「医療・介護制度改革」を理解しているか?,10/4「2012年度厚生労働省予算の概算要求のポイント」,8/27「2010年度 医療費の動向」,7/8「2009年度 医療費マップ」(概要 / 本文))の記事を参照
10/26 警察庁 「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について(概要 / 通知
・2011年10月25日,警察庁は,取締りの強化を柱とした「自転車総合対策」をまとめ,全国の警察に指示した。
<推進される主な対策>
(1)自転車の通行環境の確立
(2自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進
(3)自転車に対する指導取締りの強化

(4)対策推進上の基盤整備

<自転車安全利用5則>
①自転車は,車道が原則,歩道は例外
②車道は,左側を通行
③歩道は歩行者優先で,車道よりを徐行
④安全ルールを守る
 ・飲酒運転は禁止
 ・2人乗りは禁止
 ・並進は禁止
 ・夜間はライトを点灯
 ・信号を守る    等
⑤子どもはヘルメットを着用

→2010年中の自転車関連事故の発生件数(15万1,600件)は,交通事故全体の約2割を占め,自転車乗用中に死傷した者の約2/3に何らかの法令違反が認められると公表されている。その原因は,「交通ルールが守られていないこと」と分析されている。筆者は,いままで放置していたことが最大の原因だったように思っているが,とにかく今回やると言ったのだから,「指導・取締りの強化」については,自転車の利用者だけでなく,車道の違法駐車とも深い関連があるので,併せて徹底的にやってもらいたいものである。(筆者)
10/25 厚生労働省 「社会保障・税の一体改革成案」における「医療・介護制度改革」を理解しているか? ・最近の動きとして,2011年10月7日に,6月30日の「社会保障・税一体改革成案」および8月12日の「当面の作業スケジュールについて」を受けて,「厚生労働省社会保障改革推進本部」が設置された。また,10月11日には,唐突に,社会保障審議会年金部会において,厚生労働省は,厚生年金の支給年齢引き上げ案等を示している。
・2011年10月20日,野田総理大臣の総理就任後,初の本格的な国会となる「第179回臨時国会」が召集された(会期末は12月9日)。国会では,震災復興を柱とした「2011年度第3次補正予算案」の審議が中心になる。なお,野田政権の当面の課題は,①第3次補正予算案(12兆円)の成立,②TPPへの参加,③税と社会保障の一体改革に向けた消費税の引き上げ,といわれている。


→現在の介護保険制度や介護職の待遇が,改善の方向に向かっているのか,改悪の方向に向かっているのか,と問われたら,福祉専門職ならば,自身の考えをきちんと答えられなければならない。また,今後の社会保障制度改革の議論にも関心を払っていかなければならない。話の出方や議論の手順がおかしい事柄には注意が必要である。
→蛇足である。10月23日に,「第14回ケアマネ試験」があった。2011年10月の試験でありながら,2001年・2004年・2007年という古い調査・統計資料が使われていたり,平成17年・2005年と年号の不統一があったり,と誰も試験問題全体の調整をとっていないことや,寄せ集めの問題であることがバレバレであった。また,ケアマネに医療知識の向上を求めることは理解できるが,本年の試験のレベルが適正であったかどうか,疑問を持った。ケアマネ試験の作成は,「社会福祉振興・試験センター」が行っている。筆者は,これまでにも「試験委員」を公表すべきであると言ってきた。ケアマネの質」を問う前に,「ケアマネ試験の質」が問われなければならない。(筆者)
10/24 内閣府 2011年10月からの「子ども手当」については申請が必要になった 「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法(平成23年10月~平成24年3月まで)」によって,①支給額,②支給時期,③支給要件,④申請要件,が変更された。
3 歳未満 15,000円 ・一律
3 歳以上小学校修了前 10,000円 ・第1子,第2子
15,000円 ・第3子以降
中学生 10,000円 ・一律

→半年つなぎの「子ども手当」。2011年10月から申請書の受付が各自治体で行われており,支給要件などが変わることでシステムの改修費がかかる。さらに,2012年4月には,新たな手当に切り替わり,また改修費がかかる。税金の使い方は,国民が納得できるものでなければならない。
→2008年度の社会保障給付費総額94兆848億円のうち,65兆3597億円(69・5%)を高齢者関係給付費が占め,家族支援などの給付は3兆2043億円(3・4%),失業給付は1兆2482億円(1・3%)であった。このような高齢者が社会保障費の7割を使うという「高齢者偏重」を強引に進めてきたのは,自・公政権であった。それを正すため,「子どものために税金を使う」として「子ども手当を導入する」という方向性については,多くの国民は一応の理解を示していたが,悲しいかな,「知恵の使い方が子どもじみていた」のだと筆者は思っている。だからと言って,今更,自民党が政権を執っても,今より日本が良くなるとは思えないが・・・。(筆者)
10/21 - ■2011年10月20日に,「改正高齢者住まい法」が施行された ・2011年10月20日に,改正高齢者居住安定確保法(高齢者住まい法)」が施行された。
<2011年7月13日記事の再掲>

<「改正高齢者住まい法」のポイント>

①高円賃・高専賃・高優賃を廃止し,「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化し,都道府県知事の登録制度を創設(国交省・厚労省共管制度)
⇒地方公共団体による高齢者向けの優良な賃貸住宅制度は存置
②老人福祉法との調整規定を措置
⇒登録を受けた場合には,有料老人ホームの届出不要
③住宅金融支援機構の保険の特例
⇒サービス付き高齢者向け住宅の家賃等の前払金に係るリバースモーゲージを住宅金融支援機構の保険の対象に追加

<「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の概要>
(1)登録基準(有料老人ホームも登録可)
①住宅基準
・住宅の規模・構造(床面積は原則25㎡以上,バリアフリー義務づけ等)
②サービス基準
・サービスを提供すること(安否確認・生活相談は必須で,食事の提供・家事援助等のサービスを提供する)
③契約基準
・長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないことなど,賃貸借契約等の居住の安定が図られた契約であること
・前払金に関して,入居者保護が図られていること
(2)登録時業者の義務
・登録事項の情報開示
・入居者に対する契約前の説明等
(3)行政による指導監督
・報告徴収・立入検査・是正指示等
※高円賃・高専賃(登録制度),高優賃(供給計画認定制度)の廃止,高齢者居住支援センター(指定制度)の廃止

<「サービス付き高齢者向け住宅」と「定期巡回・随時対応サービス」との連携のイメージ>
・日常生活や介護に不安を抱く「高齢者単身・夫婦のみ世帯」が,特別養護老人ホームなどの施設への入所ではなく,住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とするよう,今回の改正高齢者住まい法により創設される「サービス付き高齢者向け住宅」に,2011年の改正介護保険法により創設される24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」などのサービスを組み合わせた仕組みの普及を図るとしている。


→今回の「改正高齢者住まい法」の「サービス付き高齢者向け住宅」と2011年の「改正介護保険法」の「定期巡回・随時対応サービス」は,2025年に向けた高齢者の安心を地域で保障するという「地域包括ケアシステム構築」の一貫として位置づけられる。2025年には,高齢者が3600万人,団塊世代が後期高齢者となり,現在7兆円の介護費用が19~24兆円になることを,政府は心配しているらしい。筆者には,「定期巡回・随時対応サービス」と同様に,今回の生煮えの「サービス付き高齢者向け住宅制度」が,政府の言うように「高齢社会における切り札になる」とは思えない。(筆者)

7/13「改正高齢者住まい法」が成立6/28「改正介護保険法」が成立の記事を参照
10/20 厚生労働省 「ひとり親家庭の支援について(2011年10月15日)」
<「ひとり親家庭の支援について」の構成>
(1)子育て・生活支援
①母子家庭等日常生活支援事業
②母子生活支援施設の概要
(2)就業支援
①マザーズハローワーク事業
②母子家庭等就業・自立支援事業
③母子自立支援プログラム策定等事業
④自立支援教育訓練給付金事業
⑤高等技能訓練促進費等事業
⑥ひとり親家庭等の在宅就業支援事業
⑦職業訓練受講時の託児サービスの充実
⑧職業紹介等を行う企業等によるひとり親家庭の就業支援
⑨就業・社会活動困難者への戸別訪問の実施
⑩求職者支援制度における職業訓練受講給付金
(3)養育費の確保
(4)経済的支援
①児童扶養手当制度
②母子寡婦福祉貸付金

(5)子ども・子育て支援

→特に,社会福祉士国家試験受験者には,必読の最新資料である。なお,「2011年度3福祉士国家試験受験対策(重要事項編)」にも掲載した。(筆者)
10/19 - 国に対抗して,不活化ポリオワクチンの導入を決定した神奈川県知事を支持する ・小宮山厚生労働大臣は,2012年度末に不活化ワクチンを導入する計画だとし,それまでは,ポリオの感染を引き起こす危険性があることを承知で「生ワクチン」を接種するよう,自治体を通じて呼びかけている。
・これに対し,2011年10月18日,黒岩神奈川県知事は,海外で使われている安全性の高いとされるワクチンを独自に輸入し,国に先立って希望者に接種することを決めた,と記者会見で発表した。
・これについて,小宮山厚生労働大臣は,「不快感」を示したと報道されている。

筆者は,最近の小宮山厚生労働大臣には,権力者特有の傲慢さを感じている。かつて,長妻サンは,政治決断で,未承認の新型インフルエンザワクチンを,アホほど緊急輸入したことがあった。今回,小宮山サンが,未承認の不活化ポリオワクチンを緊急輸入しない本当の理由は何でしょうか。若いお母さん方の声が聞こえなくなり,気持ちが理解できなくなってしまった小宮山サンは,これから政治家としてどんな仕事をするのでしょうか。(筆者)
10/18 内閣府 「2011年11月25日からITパスポート試験がパソコンで受けられる」
<政府の広報文(引用)>
・情報処理技術者試験はレベルによって12種類の試験区分がありますが,このうち,すべての職業人が身につけておきたいITの基礎知識を問うのが「ITパスポート試験」です。ITパスポート試験は,平成21年から毎年,春と秋に実施されている試験で,これまでの6回の試験で応募者が37万人を超えるなど,多くの方々に利用されています。また,官公庁,企業および教育機関でも受験が推奨されています。
・ITパスポート試験の受験機会は,毎年,春(4月)と秋(10月)の2回でしたが,平成23年11月25日からは受験者の利便性向上を目的に,国家試験としては初めてとなるパソコンを用いて試験を行うCBT方式(Computer Based Testing)による試験が始まります。これによって,随時,試験が実施されるようになりますので,受験者が都合のよい日時・会場を選択して試験を受けることができるようになるほか,受験申し込みから試験結果の確認が迅速になるなど,さらに受験しやすくなります。

「(独)情報処理推進機構のHP」
10/17 厚生労働省 これからも,3福祉士国家試験は「社会福祉振興・試験センター」が行うらしい ・2011年10月11日に,厚生労働省は,「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会報告書」(2010年12月)に基づいて設置された「指定試験機関・登録機関の改善に関する検討会(社会・援護局)」から提出された「福祉関係国家資格にかかる指定制度・業務の改善について(報告書)」を公表した。

→都合のいい人たちを集めて検討させたら,都合のいい結論が出るのは,当たり前である。筆者は,①指定制度を廃止すべき,②指定業務について競争参入を実施すべき,③(財)社会福祉振興・試験センターを指定法人からはずすべき,と考えている。20年間もぬるま湯に浸かっていた組織に対して,トップもメンバーも替えずに,「利用者第一主義」や「不断の努力」を求めているが,そんなトンチンカンなことで良くなっていくとは到底思えない。ついでの話で恐縮であるが,所管部局が異なり,国家資格試験ではないけれど,間もなく実施される「ケアマネ試験」にも当該センターが深く関与しているので,これに対しても「利用者第一主義」や「不断の努力」をお願いできればと思う。(筆者)
10/14 厚生労働省 「健康日本21」の目標達成率は,1割台であった ・2011年10月13日に,厚生労働省は,「健康日本21(正式名称:21世紀における国民健康づくり運動)の最終評価」を公表した。
・「健康日本21」は,壮年期死亡の減少,健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現することを目的とし,具体的な目標(9分野(栄養・食生活,身体活動・運動,休養・こころの健康づくり,たばこ,アルコール,歯の健康,糖尿病,循環器病,がん)80項目の目標)が設定された2001年度~2012年度まで(当初は2010年までであったが,2007年に2年間延長された)の国民運動である。

→2011年3月からから「健康日本21評価作業チーム」(座長:辻一郎東北大学大学院教授)を設置し,評価した結果,達成率は16.9%で,悪化率は15.3%と報告している。しかし,厚生労働省も日本のマスメディアも,数値をこねくり回して,「目標のうち約6割が改善」と宣伝している。振り返れば,その間,「健康日本21」の推進のための根拠法としての2002年の「健康増進法」を始め,「高齢者医療確保法」,「改正医療法」,「がん対策基本法」,「改正介護保険法」などの法律が制定・改正されてきた。そして,同時に,莫大な税金が投入されてきたが,こんな結果が出ても,誰も責任を追求されないとは,何ともおおらかな国である。
→普通の企業なら,「何てことをしてくれたんだ」と厳しく追及され,社長は会長か大幅減俸,担当役員は降格,担当部長は島流し,担当者はクビ,ぐらいの処分ではないかとのうわさが出ると思うし,プロ野球で打率1割6分なら,2軍落ちか戦力外通告でしょ。しかし,実際は,野田サンも小宮山サンも官僚サンもピンピンしている。(筆者)
10/13 厚生労働省 「厚生年金の支給開始年齢について」 ・2011年10月11日,厚生労働省は,厚生年金の改定案を社会保障審議会年金部会に提示した。
①60歳から65歳へと段階的に引き上げている厚生年金の支給開始年齢を,完了時期である2028年度を9年繰り上げて2021年度とする案
②支給開始年齢そのものを68~70歳へと遅らせる案と68歳とした場合の引き上げスケジュール案
<これまでの簡単な経過説明>
①厚生年金の支給開始年齢は,制度発足当初は55歳であったが,累次の改正により65歳に向けて,徐々に引き上げられてきた。
②一方,国民年金の支給開始年齢は,制度発足当初より,65歳である。
<すでに,決定されている支給年齢の引き上げ>
①1994年改正 : 老齢厚生年金の定額部分
・男子 60歳 ⇒65歳 (3年に1歳ずつ。2001年度から12年かけて引上げ)
・女子 60歳 ⇒65歳 (3年に1歳ずつ。2006年度から12年かけて引上げ)
②2000年改正 : 老齢厚生年金の報酬比例部分
・男子 60歳 ⇒65歳 (3年に1歳ずつ。2013年度から12年かけて引上げ)
・女子 60歳 ⇒65歳 (3年に1歳ずつ。2028年度から12年かけて引上げ)

→ありていに言えば,現在優遇され,高齢者偏重政策の恩恵を受けている「高齢者」には,まったく関係のない話である。これまで,選挙の度に,票田とされる高齢者に向けての「高齢者優遇」が公約され,実行されてきた結果,現在のいびつな社会保障制度を作り上げてしまった。その間,若者は,「政治的無関心」を決め込んでしまった。自業自得と言ってしまえば,それまでであるが・・・。
→ここまでコケにされたら,普通は,何か言ったほうがいいと思うが,一向に若者からは声が上がらない。関心があれば,支給年齢引き上げを言われたら,現在の年金支給額の減額やマクロ経済スライドの厳格適用などを言い出すだろうけれど・・・。(筆者)

9/30「第3号被保険者制度の見直しについて」,9/30「統計からみたわが国の高齢者~「敬老の日(9月19日)」にちなんで~」の記事を参照
10/12 内閣府 「東北の未来につなげよう~伝統的工芸品の魅力」(8分38秒)
~「政府インターネットテレビ」にリンクしています~
<政府の広報文(引用)>
・「東日本大震災で東北の伝統的工芸品にも大きな被害が出ました。しかし,伝統的技術・技法を将来に受け継いで行くために,事業者は立ち上がり,復興を進めています。そこで今回は、岩手・宮城・福島県の伝統的工芸品にスポットをあて,その素晴らしさをお伝えします。」

「大切にしたい 日本の手しごと~11月は伝統的工芸品月間です~」

→当たり前のことだが,「伝統工芸」は,伝承が途切れたときにすべてが終わる。偉そうな言い方になるが,筆者は,一旦伝承が途切れたと言われる能面を,打ったり,見たりすることが趣味であるが,一旦途切れた技術・技法から作り出されたものから「息遣い」,「気迫」,「生きる力」を感じたことは只の一度もない。「伝統工芸」,「伝統芸能」,「伝統文化」というものは,テクニカルなものだけではなく,未来に生きる者の魂を揺さぶる何かを含めて伝承していくものではないかと考えている。ひょっとしたら,それは,過去の人からのエールなのかもしれない。だから,途切れさせてはいけないと思う。(筆者)
10/11 厚生労働省 「職場のいじめ・嫌がらせの定義・取組みの国際比較」
~第2回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議W・G資料~
・2011年10月6日,厚生労働省の「第2回職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議W・G」が開催された(第1回は2011年7月11日に開催)。国際機関や諸外国の定義や取組みなどの資料が公表された。

→まずは,2011年7月1日の記事をご覧いただきたい。次に,円卓会議のメンバーおよび円卓会議W・Gメンバーをご覧いただきたい。筆者は,当事者や現場の意見から最も遠くにいる人たちや,専門家はどこにいるんじゃと突っ込みたくなるような人たちを集めたと感じている。これは,これまでと同様に,この問題に対する厚生労働省の腰の引けた姿勢のあらわれだと思う。会議の議事録も公表されているが,コメントする気にもならないのでやめておく。海外の情報は有益なので,今回紹介した。なお,海外では,どういうメンバーで話し合ってきたのかが分かる資料であれば,さらによかったと思う。(筆者)

7/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が開催される)の記事を参照
10/6 厚生労働省 「産業保健への支援の在り方に関する検討会報告書」(概要 / 本文 ・2011年10月5日に,「産業保健への支援の在り方に関する検討会」(座長 相澤好治 北里大学副学長)は,2011年6月からの4回の検討結果を報告書にまとめて,公表した。
<報告書の主なポイント>
①職場での産業保健活動を支援するために,都道府県産業保健推進センターにて,産業医などの産業保健関係者を対象に相談,研修等が実施されているが,国の事務・事業の見直しにより,同センターの統廃合などによる運営の効率化が求められている。一方で,職場におけるメンタルヘルス問題が大きな課題となっている。
②労働者数50人未満の小規模事業場は,労働者への産業保健サービスを独自で提供することが困難であり,支援を強化して,健康管理水準の向上やメンタルヘルス対策の充実をはかる必要がある。
③都道府県産業保健推進センターの集約後も,現在の支援サービスが低下しないよう配慮が必要である。メンタルヘルス対策支援センターの支援活動は,地域産業保健センターと連携し,地域産業保健センターは地域のニーズを踏まえた,きめ細かいサービスを提供する必要がある。
④将来的には,この3つの事業に労働基準行政機関等が加わり,総合調整を行いながら都道府県単位で統括的に運営される必要がある。

→これは,2010年4月に,ろくな成果も出せない行政刷新会議のみみっちい事業仕分けによって,都道府県に設置された「産業保健推進センター」の統廃合を含めた効率化が求められ,そして,ろくな抗弁もせずに厚生労働省は率先して,2011年度から2013年度でセンターを約1/3にする方向らしい。人の命にも影響する事柄である。小宮山厚生労働大臣は,副大臣のときからかかわってこられた張本人であるので,「起こり得ることが予見されている問題」に対しては,きっちりと結果責任を取ってもらおうじゃないですか。(筆者)
10/5 厚生労働省 「感染症法に基づく医師の届出について」 ・医師は,感染症法に基づいて,新感染症,指定感染症および1~4類感染症については診断後直ちに,5類感染症については診断後7日以内(法第12条1項2号)に,最寄の保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならないとされている。

→感染症に関わる法律の簡単な経緯は,以下の通りである。
1999年4月1日に「感染症新法」が施行され,伝染病予防法,性病予防法,後天性免疫不全症候群の予防に関する法律が廃止された。2003年11月5日に,重症急性呼吸器感染症(SARS)などの発生により,「感染症新法」の改正が行われ,「感染症法」として施行された。2006年12月8日に公布された「改正感染症法」により「結核予防法」が廃止され,結核は感染症法の2類感染症に位置づけられ,届出疾患が追加され,生物テロに対して新たに「特定病原体等」に関する項目が定められた。2008年5月2日に公布された「改正感染症法」により,2006年6月より指定感染症に指定されていた鳥インフルエンザ(H5N1)が2類感染症になり,新類型として「新型インフルエンザ等感染症」が定められ,「新型インフルエンザ」及び「再興型インフルエンザ」が指定された。2011年2月1日に施行された「改正感染症法」により,「チクングニア熱」が4類感染症に追加された。
→感染症法第6条において,「感染症とは,1類感染症,2類感染症,3類感染症,4類感染症,5類感染症,新型インフルエンザ等感染症,指定感染症及び新感染症をいう。」と規定されている。さて,ケアマネ試験および3福祉士国家試験受験者への質問です。「指定感染症」,「新感染症」とは何ですか?(筆者)
10/4 厚生労働省 「2012年度厚生労働省予算の概算要求のポイント」 ・9月30日に,政府は,2012年度一般会計予算の概算要求を締め切り,各省庁の要求総額は99兆円規模で,過去最大となった(2011年度:96兆7,465億円)と報道されている。
・9月29日に,厚生労働省は,2012年度予算概算要求の内容を発表した(総括表)。
・一般会計総額は,29兆5,882億円(2011年度当初予算比1兆2,114億円(4.3%)増)で,増加分のうち1兆1,559億円は社会保障費の自然増とされている。また,一般会計総額のうち,「日本再生重点化措置」として1,059億円計上されている。
<施策体系>
①子ども・子育て(幼保一元化を中心とした子ども・子育て新システム)
②医療・介護等(地域の実情に応じたサービスの提供体制の機能強化と効率化・重点化,セーフティネット機能の強化)
③年金(信頼できる年金制度の確立,短時間労働者への適用拡大)
<「日本再生重点化措置」の施策体系>
①新たなフロンティア及び成長戦略
②教育・雇用などの人材育成
③地域活性化
④安心・安全社会の実現
・なお,概算要求とは別枠とされた青天井の東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費については,2,209億円を要求している。
<東日本大震災復旧・復興関連施策>
①地域における暮らしの再生
②原子力災害からの復興
③今後の災害への備え

→例えば,上記「子ども・子育て」において,「税と社会保障の一体改革」による消費税増税がなければ,「幼保一体化ができない」というのは周知であり,このことからも待機児童解消策の切り札としている「子ども・子育て新システム」の実現性が疑わしいとみられているのに,菅前首相の肝いりで始められた胡散臭い「待機児童解消『先取り』プロジェクト」の強化に,124億円も要求しているが,2010年度の200億円の効果からも,筆者は,ムダ金になるような気がしてならない。いつもながら,突っ込みどころ満載の概算要求である。なお,別枠とされた青天井の東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費2,209億円は,例の「増税」で賄われることになる。ちゃんとした使い道になってますよね。(筆者)
10/3 厚生労働省 「精神科救急医療体制に関する検討会 報告書」(概要 / 本文 ・2011年9月30日に,「精神科救急医療体制に関する検討会報告書」が公表された。
・精神科救急医療体制は,2010年度で精神科救急医療圏148か所,精神科救急医療機関1,069施設(常時対応,輪番対応及び外来対応を含む)である。夜間・休日における精神科救急情報センターへの電話相談件数は,2010年度約15万件で,2005年からは倍増している。また,夜間・休日の受診件数・入院件数は,約3万6千件・約1万5千件で増加し,精神科救急医療体制の充実・強化が課題となっている。
・これを受けて,2010年改正精神保健福祉法により,都道府県による精神科救急医療体制の努力義務(精神保健福祉法第19条の11)が法定され,2012年4月から施行される。法律の施行にあたっては,各都道府県が整備すべき精神科救急医療体制の具体的な内容や,自治体,精神科医療機関,精神保健指定医のそれぞれの役割等について,一定の方針を示す必要があることや,近年のうつ病や認知症の増加等により,身体疾患を合併する精神疾患患者が増加しており,その受入体制を確保する必要があること等から,2011年5月に,「精神科救急医療体制に関する検討会」が設置されたものである。
・今後,厚生労働省は,本報告書に基づいて体制整備の方針などを各都道府県に通知することになる。


9/29「精神保健医療福祉について」の記事を参照
9/30 厚生労働省 「第3号被保険者制度の見直しについて」
~第3回社会保障審議会年金部会資料~
・2011年9月29日に,第3回社会保障審議会年金部会が開催された,①「第3号被保険者制度の見直し」,②「マクロ経済スライド」を議題に審議された。

→上記の議題(①②)を,筆者が解説すれば,以下の通りとなる。
①1985年改正において,基礎年金制度の導入に伴い,「第3号被保険者制度」が,過渡的なこととして創設されたはずである。創設当初から,制度の不備(共働きや自営業の夫婦らからみれば優遇されすぎで不公平)が指摘されていたが,「女性の年金権の確立」という大義名分の陰に隠れ,その後も厚生労働省が放置し続けたため,一昨年から年金制度の信頼性を揺るがす問題となっている。
②2004年の改正において,「マクロ経済スライド」が導入された。厚生労働省は,2000年度以降,物価が下落しても年金額を特例で据え置き,その後も本来の水準を超えて支給し続け,また,2004年以降においても「マクロ経済スライド」が発動されなかったこととも関連して,結局,2009年度までの10年間に年金財政に対して,「5兆1千億円程度の損」を与えたという問題である。
→本来ならば,マスメディアは,きちんと事の本質を国民に分かりやすく知らせなければならないが,ただ厚生労働省からの発表を垂れ流すだけである。常識的に考えると,いずれ「第3号被保険者制度」は縮小なり廃止をすべきであろうし,また年金支給額の減額は当然に考慮されるべき状況にあると思う。そして,このような状況に至らしめたのは,厚生労働省と国会議員の不作為に原因があることは周知であって,厳しく追求されなければならないと思う。最後に,小宮山厚生労働大臣には,「専業主婦」を目の仇にせず,「高齢者」に偏重することなく,大所高所からご判断していただくことを望むばかりである。(筆者)
9/29 厚生労働省 「精神保健医療福祉について」 ・2011年9月27日に開催された障害保健福祉関係担当者会議の資料である。
<資料の構成>
①精神保健医療福祉の現状・課題
②精神科救急医療体制に関する検討会報告書
③認知症に関する目標値
④保護者制度の見直し

→精神保健福祉施策の見直しへの簡単な経緯は,次の通りである。2004年9月の「精神保健福祉施策の改革ビジョン」により,「入院医療中心から地域生活中心へ」という今後10年の精神保健医療福祉施策の基本理念が示された。2009年9月の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」では,後期5年は「入院医療中心から地域生活中心へ」の基本理念をさらに推進することを基本に,精神保健医療体系の再構築や精神医療の質の向上などに関し,報告の中では,①アウトリーチ(訪問支援)など地域生活の支援体制,②認知症患者への取組,③保護者制度・入院制度のあり方等については引き続き検討課題とされた。2010年6月の「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」では,①「社会的入院」を解消するため,精神障害者に対する退院支援や地域生活における医療,生活面の支援に係る体制の整備について,2011年内に結論を得ること,②精神障害者に対する強制入院等について,保護者制度の見直し等も含め,2012年内を目途に結論を得ること等とされている。なお,2008年度より地域体制整備コーディネーターや地域移行推進員の配置を柱とした「精神障害者地域移行支援特別対策事業」が実施されたが,2010年度からは「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」として名称および事業内容が改められた。さらに,2010年5月には「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が開催され,アウトリーチ(訪問支援)の充実等,精神保健医療福祉施策の改革の具体化に向けた検討がなされ,6月にアウトリーチ支援実現に向けた考え方がまとめられ,2011年度から「精神障害者アウトリーチ推進事業」が試行的に実施されることになった。
→さて,日本の精神保健福祉施策の改革は,進展している,または進展していく,と考えていいのだろうか。左記資料のうち,「精神病床数および入院患者数の変化」や「病床数(諸外国との比較)は,見慣れた図表・データである。日本社会は,このような恥ずべき事実にも,すでに抵抗感を失ってしまっているのではないかと感じることがある。結論だけを言えば,人間としての権利の意味を曖昧にしておく日本人の考え方に由来するのではないかと,筆者は考えている。
→主として,精神保健福祉士国家試験受験者の参考になると思い,左記の資料を紹介した。(筆者)


→■「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004年9月)
→■「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」(2009年9月)

「精神障害者地域移行・定着支援事業の手引き」イメージ図
「精神障害者アウトリーチ推進事業の手引き」イメージ図
9/28 国民生活センター 日本における製造物責任法(PL法)による訴訟一覧 ・製造物責任法(PL法;product liability )は,1994年に制定され,1995年7月に施行された。製造物の欠陥により損害が生じた場合,ユーザーが直接に製造業者等の損害賠償責任を追及でき,責任を追求できる者としては,ユーザーだけでなく,損害を受ければ第三者でも責任を追及できる被害救済に寄与する法律である。
・日本の製造物責任法(PL法)に基づく訴訟の賠償額は,多くの場合少額である。しかし,ご存知の通り,アメリカのPL法は,日本のそれとは似て非なる法律で,恐ろしく高額である。

→今年の5月頃だったと思うが,ある週刊誌の記事を立ち読みしたことがあった。それは,福島原発を製造したアメリカの「GE」に「PL訴訟」を起こすというものであった。それ以来,筆者は,そのことがずっと気にかかっていた。2010年,アメリカ中がよってたかって,「PL訴訟」を含めて,日本の一自動車メーカーである「トヨタ自動車」を袋叩きにした。なのに,「福島原発事故」においては,計り知れない損害を出しながら,アメリカの製造メーカーである「GE社」に製造物責任を問えるのに,日本国民の目をそらせるように,アメリカやアメリカのメーカーに対して,何も言わないムードが作り出されていると思われる。筆者は,難しいことは抜きにして,片手落ちのように思えてならない。また,近い将来,「公害訴訟」と「PL訴訟」が,日本社会のキーワードになると思っている。(筆者)
9/27 警察庁 「東日本大震災でお亡くなりになり身元が確認された方々の一覧表」(2011年9月26日10:00現在) →2011年9月26日の警察庁の発表によれば,死者15,811人,行方不明者4,035人とのことです。左記のリストをすべて見せていただきました。ご冥福をお祈りするとともに,改めてことの大きさを思い知りました。同時に,国民の安全・安心にかかわっておられる方々に対しては,敬意と感謝の念とともに,その必要性と重要性を再認識しました。今日も,国会が開かれますが,実のある議論を望みたいものです。下衆な政治家の民主党元代表一人のために,時間も金も浪費するな。(筆者)
9/26 内閣府 「公害紛争処理制度」をご存知ですか?
<政府の広報文(引用)>
①「公害紛争処理制度」は,裁判以外の方法で,費用の負担が少なく,迅速・適正に公害問題の解決を図る制度です。
②公害紛争処理制度によって,これまでに数多くの公害紛争事件が解決されています。
③都道府県・市区町村に。「公害苦情相談窓口」を設けていますのでご利用ください。
④「公害紛争処理」は,公害等調整委員会や都道府県公害審査会等の専門機関が間に入り,重大な公害問題や損害賠償問題などの解決を図ります。


<政府インターネットテレビ(2009年1月8日)>
「公害で困ったらまず相談~公害紛争処理制度って何?」(9分29秒)

→これまで,筆者は,「福島第一原発事故」において,直接的な被曝でなく,放射性物質に汚染された塵や水の拡散による大気汚染,水質汚濁又は土壌汚染が,「公害紛争処理制度」に定める典型7公害に該当するかどうかの確信を持てなかったが,総務省が「公害に該当する」と判断したペーパーがあったので紹介する。
→筆者は,今回の放射能汚染を「公害」と受け止めるべきであると思うが,土壌汚染基本法が放射能汚染物質を「汚染物質」に含めていなかったり,環境基本法の例外規定などを理由に,政府も有識者も日本のマスメディアも「公害の議論」を先送りし,極力避けようとしていると思えてならない。いかなる言い逃れをしても,放射性物質による晩発性・遅発性の健康被害の可能性については,100人が100人とも認識しているはずである。数十年後に,今の子どもたちから,「公害」が提起・提訴されることを思うと気が滅入る。そう言えば,国際人権条約の一つである「児童の権利に関する条約」に「子どもの最善の利益」というのがあったな。(筆者)


→■「公害等調整委員会」(総務省の外局)
9/23 - 2010年のアメリカの貧困人口が過去最多の4,618万人(全人口の%15.1%)
・米国勢調査局は,9月13日に,2010年の米国の貧困人口が4,618万人に上り,統計を取り始めた1959年以降で最多になったと発表した。4年連続の増加となる。貧困人口率は15.1%で6人に1人で,白人の9.9%に対して,黒人に限れば27.4%と4人に1人であり,人種間格差が拡大している。また,医療保険に加入していない人は4,990万人(同16.3%)で増加している。
・なお,アメリカの貧困層の2010年の基準は,4人家族で年収2万2,113ドル(約170万円)である。

→この記事を見て,筆者は,これまで7%でも難しかったのに,9%台の高失業率が続けば,来年の大統領選での,オバマ大統領の再選はないだろうなという思いを持っただけである。
→しかし,次回の3福祉士国家試験では,アメリカの社会保障制度が出題される可能性が高いと予想しているので,厚生労働省の「2009~2010年 海外情勢報告」における「各国にみる社会保障施策の概要と最近の動向(アメリカ)」に目を通しておいていただきたいために,きっかけとして記事にしたまでである。(筆者)
9/21 - 「一般医療機関における子ども虐待初期対応ガイド」(通称:一般医向けマニュアル)
~日本子ども虐待医学研究会 公認マニュアル~

・本マニュアルは,虐待を受けている子どもを医師が見落とさないようするための診断マニュアルである。厚生労働省の研究事業の一環として日本子ども虐待医学研究会が協力して作成されたもので,2011年9月20日に,日本子ども虐待医学研究会のホームページで公開された。

→2010年度の全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は,2009年度より1万件以上増え,5万5千件を超えた。それも,宮城県,福島県,仙台市を除いて集計した数値である。
→2010年1月に,東京・江戸川区で小学1年生の男の子が両親から虐待を受けて死亡した事件があった。筆者は,子ども一人を見殺しにした関係者の責任は計り知れないと思うが,2010年3月に提出された江戸川区と江戸川教育委員会の検証報告書を見て,報告書の質的レベルもさることながら,行政の第一線でなされるソーシャルワークのレベルの低さに,絶望的な気持ちになったことを思い出した。15歳で男の子を産み,22歳になった母親は,31歳の継父と二人で虐待を繰り返し,殺した。参考としてご覧いただきたいと思い,リンクを張った。(筆者)
9/20 総務省 「統計からみたわが国の高齢者~「敬老の日(9月19日)」にちなんで~」

<統計からみたわが国の高齢者のすがたについて>
①高齢者の人口
・高齢者人口は2,980万人(総人口の23.3%)で過去最高。
②高齢者の人口移動
・東京都や大阪府などで高齢者は転出超過。
③高齢者の就業
・65~69歳の就業率は,男性が46.8%,女性が26.9%。
・高齢雇用者のうち非正規の職員・従業員は約5割。
④高齢者の家計
・高齢無職世帯の家計収支は1か月当たり3万8千円の赤字。
・貯蓄現在高は3年連続の減少。
・高齢者世帯で支出割合の高い保健医療,中でも女性の健康保持用摂取品への支出は特に高い。
・高齢者世帯でのインターネットショッピングは8年間で約3倍増,電子マネー利用は年々増加。

→世帯主が高齢者の世帯の貯蓄現在高は,3年連続の減少だが,それでも 1世帯当たり2,275万円ということである(貯蓄現在高の低い世帯から高い世帯へ順番に並べた際にちょうど中央に当たる中央値は1,480万円)。そういう高齢者の状況を放置しておきながら,東日本大震災の復興や,集団予防接種をめぐるB型肝炎訴訟での和解金支払いのために,政府は,所得税の増税(4~5.5%)を企み,当然のように現役世代から掠め取ろうとしている。社会保障・税の一体改革案を含めて,高齢者や社会的弱者への対応について,「若者」に対して,納得できる説明がなされていない。マスメディアは,増税論者の学者の意見を取り上げることが多いが,常識的に考えて,現在の増税2案はおかしいと思う。どこかの大臣みたいに,ヒステリックに,「タバコ」だけを目の仇にしなくても,たとえば,相続税なり,富裕税なりで,高齢者偏重にならないような知恵を出してみなさいよ。(筆者)
9/16 厚生労働省 「今後のパートタイム労働対策に関する研究会報告書」が公表された ・短時間労働者など非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善の検討に関して,現在の主な会議体および検討状況は,以下の通りである。(やまだ塾のまとめ)
①今後のパートタイム労働対策に関する研究会 ・2007年の「改正パートタイム労働法」の施行後3年間の施行状況を含め,国内におけるパートタイム労働の実態を把握するとともに課題を整理し,今後のパートタイム労働対策について検討を行うために,2011年2月に「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」が設置された。
・2011年9月15日に,左記の通り,報告書が公表された。
・今後,労働政策審議会雇用均等分科会でさらに検討が行われ,2012年の法改正を目指すとされている。


<参考>
「2010年度のパートタイム労働法の施行状況について」
②非正規雇用のビジョンに関する懇談会 ・近年,増加傾向にある非正規労働者について,雇用の安定や処遇の改善に向けて,公正な待遇の確保に横断的に取り組むことが求められている。
・これを受けて,2011年6月に「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が設置された。
・今後,非正規労働者の呼称や態様を問わず広く「非正規雇用」を対象として,公正な待遇の確保に必要な施策の方向性を理念として示す「非正規雇用ビジョン(仮称)」を作成するとされている。
③労働政策審議会労働条件分科会 ・2010年10月以来,有期労働契約に関する検討を進め,2011年8月3日に「有期労働契約に関する議論の中間的な整理」を公表した。
・今後,2011年12月を目途に,議論のとりまとめが行われる予定である。
④社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会 ・2011年7月の「社会保障・税一体改革成案」に盛り込まれた,短時間労働者に対する社会保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大について,医療保険・年金を横断し,雇用政策と連携した総合的な検討を行うことが必要である。
・このため,2011年9月1日に,社会保障審議会に社会保険の適用拡大の具体的な在り方について検討する「短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」が設置された。
・なお,本部会では,社会保険の適用基準と密接に関連する被扶養配偶者(国民年金第3号被保険者)の認定基準のあり方についても検討される。

→近年の非正規労働者に対する規制強化の流れから,今回の報告書の方向性(2007年の改正パートタイム労働法で,賃金や処遇について正社員との差別が禁止される「正社員並みパート」について,適用範囲を拡大する等の提言)は,当然のことと言える。(筆者)
9/14 首相官邸 「第178回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説」を全部聴く(36分19秒) →この所信表明演説を聴いて,筆者は,少なくとも,野田首相の誠実さを感じた。いつもながら,人の話をきちんと聞かずにやじる国会議員(与野党を問わず)の幼稚さには,嫌気がさす。
→また,「事実」を正確に伝えずに,都合のいい部分を切り取って,面白おかしく報道する日本のマスメディアには,不信感が募る。ついでに言うが,福島第一原発事故の初動対応に関して,早速,ジャーナリストとしての反省も総括もなしに,福島原発事故の調査・検証委員会の報告前であるのに,菅前首相のインタビュー記事を掲載している新聞や,震災半年の特集番組で,菅前首相の独占インタビューを「事実」として流すテレビ,こんな取り上げ方をしたら,「菅前首相は正しかった」と国民に勘違いを起こさせる,という指摘がある。さらに,鉢呂前大臣の辞任における「放射能発言」に関わる「事実」の不確かさから,陰謀説も取りざたされているが,これも日本のマスメディアへの不信感から来ているものと思われる。(筆者)
9/13 首相官邸 「官邸かわら版」がスタートした
<内閣広報室の広報文(引用)>
「本日(9月12日),新たに首相官邸オフィシャルブログ「官邸かわら版」を開設します。ブログでは,野田内閣の進める政策について,総理自身の思いや取組状況などを国民の皆様に分かりやすくお伝えしてまいります。」

→第178回臨時国会は,本日(9月13日)召集され,野田首相が衆参両院本会議で,就任後初の所信表明演説を行う。臨時国会の会期は,政府・与党方針通り,9月16日までの4日間となる見通しであるが,召集日の衆参本会議で決定される(衆議院の院議が優先される)。
→どうせ野党は,14日からの代表質問では,国民の期待を裏切って,「不毛な人事や任命責任問題」で終始すると想定している。野田首相が,独特のキャラクターで,どのような対応をされるのか,楽しみにしている。(筆者)
9/12 厚生労働省 「介護保険におけるケアマネジメントについて」 ・2011年9月5日に,社会保障審議会介護給付費分科会が開催され,2011年3月の調査に基づく「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する基礎調査(調査結果中間報告・概要版)」と左記の参考資料が公表された。
・左記資料の内容は,以下の通りである。
①ケアマネジャー(介護支援専門員)の概要(居宅,施設)
②ケアマネジメント(居宅介護支援・介護予防支援)の現状
③サービス類型ごとのケアマネジャーの従事者数
④居宅介護支援事業所に従事するケアマネジャーの従事者数等
⑤ケアマネジャーの保有資格
⑥居宅介護支援事業所の状況(独立型・併設型)
⑦ケアマネジャーの研修等の体系
⑧ケアマネジメントにかかる介護報酬について
⑨2009年度 居宅介護支援・介護予防支援の主な改定内容について
⑩特定事業所加算(2009年度介護報酬改定で見直し(Ⅱを追加))


→ケアマネジャーの現状をまとめた資料は少ないので,ケアマネジャー試験および3福祉士国家試験受験者の参考になると思われる。(筆者)
9/9 厚生労働省 【重要】「台風12号に伴う第24回介護福祉士国家試験受験申込期間の延長について」
・2011年9月8日に,厚生労働省は台風12号に伴う被災者の受験機会の確保に資するため,第24回介護福祉士国家試験の受験書類受付期間を,以下のとおり変更(延長)することを発表した。
◎受験書類受付期間の変更
  2011年8月10日(水)から2011年9月9日(金)
         ↓(変更)
  2011年8月10日(水)~2011年10月7日(金)
  ※当日消印のあるものに限り有効
◎受験書類の提出先
  財団法人 社会福祉振興・試験センター
9/8 厚生労働省 9月9日が,パブリックコメントの締め切りである「介護職員等によるたんの吸引等の実施に関する御意見募集」および「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令案等に関する御意見募集」
(参考資料)
「介護サービスの基盤強化のための介護保険法の一部を改正する法律の公布について(社会福祉士及び介護福祉士関係)」
「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部を改正する省令案について」
「平成24年4月から,介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)についての制度がはじまります。」

<8月23日記事の再掲>
→「介護・福祉分野」の業務従事者も「労働者」である。厚生労働省のホームページを利用して,「基本的な労働法制度」を確認・再確認していただきたい。
→2011年6月の介護保険改正法に合わせて,社会福祉士法と介護福祉士法の一部改正が行われた。今回の介護職の医療行為に関しては,医行為の定義の議論を避け,医療職の業務範囲を規定する保健師助産師看護師法も議論せず,社会福祉士法と介護福祉士法の改正だけで,安易に対応している。医療事故に対する責任などの大きなリスクを,介護職や事業所・施設だけが抱えるという,何とも「不公平で,不平等な労働環境」を是認していいものかどうか。筆者は,これまでにも言ってきたことであるが,医療行為の研修・教育を介護福祉士等の本来業務の外付けにする(希望者だけが研修を受けてできるようにする)か喀痰吸引と経管栄養を医行為外とする以外の方策を許容すべきではないと考えている。さらに付け加えれば,「介護福祉士」を,自律性のない「単なる介護士」や,なし崩しに「看護師不足の補助要員」として扱おうとしていくように思える厚生労働省の方向性には疑問を感じる。これからは,いわゆる「介護の専門家」任せにしておくのではなく,「労働者」である介護職自身が考え,行動して,是正していかなければならない課題であると思う。(筆者)

→筆者は,本件を,「福祉専門職」に対して,「自律」の意味を問いかけている事案,だと考えている。また,筆者は,「医療職」の人手不足の安易な対策のために,「介護職の介護の質」を低下させてはならないと考えている。今後,範囲がどめどなく拡大していくことを防がなければならない,とする有力な意見も学会等で表明されている。介護福祉士は,自らの価値は,自らが決定するという強い意思を持って,「決められていると言えども決める」,という前向きな気持ちで,専門職としての自身の意見を積極的に表明すべきだと思う。(筆者)

8/25
(「2010年度 介護労働実態調査結果(2010年11月実施)」),8/23「基本的な労働法制度」を確認する)の記事を参照
9/7 - ■「食品の放射能除去の方法」を自分のために学ぶ ・1994年に財団法人原子力環境整備センター(現在の公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター)がまとめた研究報告を紹介する。
・この報告書は,1986年の旧ソ連・チェルノブイリの原発事故後に起きた食品の放射能汚染の実態に基づいたものである。
「食品の調理・加工による放射性核種の除去率1/3」
「食品の調理・加工による放射性核種の除去率2/3」
「食品の調理・加工による放射性核種の除去率3/3」
      (「原子力環境整備促進・資金管理センターHP」にリンクしています)

→「放射能汚染に関する国の発表を信頼するかどうかは個人の自由であるが,「自分の健康は自分で守る」が基本である」というのが筆者のスタンスである。そのためには,信頼性の高い知識・情報を手に入れ,学習し,自ら判断し,決断することが重要であると考えている。上記報告書が,最近注目されつつある。取り上げ方が難しい事柄であるが,放射能汚染から逃避したり,立ち向かうというより,そろそろ,腹を決めて,放射能汚染と共存して生活していく覚悟を持たなければならない時期が来ているのではないかと思い,記事にした。
→食品中の放射性物質の健康影響をめぐり,内閣府の食品安全委員会が7月にまとめた「生涯の累積放射線量の限度は100ミリシーベルト」とする評価書案パブリックコメントが,1か月で3千件を超え,集約のために9月上旬予定だった厚生労働省への答申が遅れるとみられている。
→お上の言うことを鵜呑みにして,言われるままに我慢して生きていくかどうかは,個人が決めればいいことで,知ったことではないが,抗弁できない子どもに我慢させていい訳がない。(筆者)


「公益財団法人 原子力環境整備促進・資金管理センター」
9/6 - ■厚生労働省の副大臣と政務官が決定した ・政府は,2011年9月5日の臨時閣議で,野田内閣発足に伴う副大臣・政務官の人事を決定したと報道されている。(敬称略)
副大臣 牧義夫 衆議院愛知4区
辻泰弘 参議院兵庫
政務官 藤田一枝 衆議院福岡3区
津田弥太郎 参議院比例

→筆者の知る井戸端会議レベルの情報である。牧氏と聞いて,真偽のほどが定かでない週刊誌の怪しげなマルチ商法や障害者団体料金の記事にされていたことを思い出した。辻氏のことは何も知らない。藤田氏は,外国人参政権や選択的夫婦別姓に賛成していることや,庶民派の菅前首相の側近として,公用車に同乗・同行して,銀座や赤坂で飲食していたという豪勢な話題をテレビでみたか,聞いた覚えがある。また,津田氏は,日本マクドナルドの長時間労働問題を国会で取り上げて,政府を追及していたことから,さすが「組合運動のプロ」と言われるだけのことはあると当時は感心した。ありていに言えば,これまで裏切り続けられていることから,何の実績もない今回の厚生労働政務三役に,大きな期待をかけるのは無理なような気がするが,将来に向かって,国民の視点を忘れずに,頑張っていただきたいと心から願っている。(筆者)
9/4 首相官邸 新厚生労働大臣に小宮山洋子副大臣が昇格(You Tube) ・2011年9月2日に,「野田内閣」が発足した。「厚生労働大臣」は,2009年に民主党政権になってから,3人目である。小宮山厚生労働大臣に対する期待とともに,これまでの厚生労働大臣に対する期待の記事も振り返ってみた。

→筆者は,小宮山新厚生労働大臣について,東大闘争時の加藤一朗総長の娘さんで,NHKアナウンサー・解説委員の経歴を持ち,国家・国旗法に反対し,夫婦別姓および外国人参政権に賛成している,いわゆる中道左派で,3党合意で2012年度からの廃止が決まっている「子ども手当」の強力な推進者であり,前原グループに属している,などの週刊誌的な情報しか知らない。なお,「厚生労働副大臣」時代には,労働や子育てなどの分野を担当されていたので,福祉や介護の分野では,これからお勉強されることが多いのではないかと推察している。選挙で「福祉」を声高に言うヤツは多いが,厚生労働行政全般に精通し,高い見識を持ってリードできる政治家がいないのが,日本の現実である。
→震災直後の3月19日に,厚生労働副大臣の立場で,テレビに生出演しておられた。政府の対応が遅いし,マネジメントができておらず,もっとピシッとやるべきではないですか,という女性アナウンサーのイライラした指摘に,「言い訳するんじゃないんですが,初めて経験することが次々に起こって・・・」と行政のトップにある者として,言うべきではないことを口にし,その後,状況に似つかわしくない笑顔を振りまいて,長々と言い訳がましい受け答えをされていたのを思い出した。
→野田首相は,年金制度改革を含めた「税と社会保障の一体改革」において,与野党協議に積極的であると思われる。今後,特に,「厚生労働大臣」は,調整力を発揮しなければならない局面が多くなると思う。小宮山厚生労働大臣には,人の言うことを途中で遮らずに,きちんと全部聴いた上で,的確に,端的に答えることを期待したい。もはや,日本国民は,建前論はもとより,くどい言い訳や言いくるめを許容する余裕がないほど「追い詰められている」ことを知っておくべきである。(筆者)


<2010年9月18日記事の再掲>
新厚生労働大臣に細川副大臣が昇格
→2010年9月17日に,菅改造内閣が発足し,政権の新厚生労働大臣に,厚生労働副大臣として,これまで主に労働関係を担われてきた細川律夫氏が昇格された。いろんな意味で,ガッカリした人事であったが,期待を込めてご健闘をお祈りする。
→菅改造内閣の経済政策の当面の課題としては,①円高対策(為替介入の継続など),②景気対策(補正予算の前倒しなど),③2011年度予算編成,④税制改革(法人税率の引き下げなど),⑤農業の個別所得保障制度(本格実施),がある。
→なお,秋の臨時国会の日程については,10月6日に召集し,会期は,12月上旬までの60日間程度になるとみられている。(筆者)


<2010年9月22日記事の再掲>
「新厚生労働三役」が決定した!
→筆者は,小宮山洋子さん以外のお顔は,今回始めて拝見した。もちろん,副大臣時には影が薄かった新大臣を含めて,厚生労働政務三役に相応しい力量を持っておられるかどうかはまったく知らない。「このメンバーでやっていけるのか」,というのが筆者の率直な感想である。こんなことだったら,前のメンバーの方がよかったという評価にならないように祈っている。新大臣は,「人権派の弁護士」というふれこみであるが,現在の厚生労働大臣という職位に求められている資質が,「人権派弁護士のセンス」なのかどうかは知らない。ともかく,大所高所から,リーダーシップを発揮していただくことを期待している。(筆者)

<2009年9月17日記事の再掲>
長妻昭厚生労働大臣/内閣府特命担当大臣年金改革担当プロフィール
→先手を打って,9月15日に厚生労働省は「“後期高齢者医療制度”についてご説明します。」をホームページ上で公表(更新)した。9月17日未明の初閣議後の記者会見で,長妻新厚生労働大臣は「後期高齢者医療制度の廃止」を表明した。残念なことに,最も大切な「いつ廃止するか」を明言しなかった。「権力者」の「権力者」たるゆえんは「実施時期」を決定できることである。新内閣は「脱官僚依存」を公言しているが,「時期を明言しない政策発言」など,官僚にとっては何の脅威にもならない。準備期間が十分にあったのだから,時期を含めて持論をきちんと説明すべきであった。「その時期,手法については現状把握をした上で詳細に制度設計をつくり上げていきたい」と言っているようでは先が思いやられる。これらのことから,官僚との駆け引きにおいて,すでに新厚生労働大臣は後手に回っていると思った。
→厚生労働省の管轄は,年金,医療,介護,雇用と広範囲であり,左記のリストから見てもご苦労は多いと思われるが,国民は期待している。
→筆者は,新内閣には,特にこれまで政策決定に大きく影響を及ぼしてきた省庁主導の審議会・研究会等のメンバー構成・あり方の改革に期待している。(筆者)


<2009年10月1日記事の再掲>
■「長妻厚生労働大臣」にはがっかりさせられるが,ブレーンの問題もあると思う
→長妻厚生労働大臣は,就任直後,職員に「民主党のマニフェストは国民と政府の契約書,あるいは国民からの命令書。熟読しどうすれば実行できるか知恵を絞ってほしい」と訓示した。当時,筆者は,知恵を絞らなければならないのはブレーンで,大臣は強力なリーダーシップを発揮することだけを明言すればいいのではないかと思った。
→1か月を経ずして,「母子加算復活」(当初,10月と明言していたが,11月の復活も難しい状況にある)と「後期高齢者医療制度廃止」(9月8日に2013年度から新制度にすることを表明しているが,これまで民主党の「いったん老健制度に戻す」とする国会での主張を転換している)を先延ばしした,致命的な問題を抱えている日本のワクチン行政を踏襲するかのような「新型インフルエンザ対策」を発表した,そして猛烈に反対していた2009年1月からの「日本年金機構への移行」にこともなく承諾した,と続いている。
→筆者は,現在の政務三役5名(実質のブレーンは政務官2名のように思える)で対応するには,能力の問題は別にして,負荷が大きすぎるように思う。
→まもなく結果が出ると想定されている非常に重要な事柄がある。左記の「中央社会保険医療協議会委員」から,日本医師会の代表委員の全員を排除するという長妻厚生労働大臣の方針の実行である。日本医師会の代表委員は,これまで開業医に有利な形で診療報酬改定に影響力を行使してきたことは周知であるが,どういう結論にするのかを注目している。
→厚生労働省の「政務三役」には,主義主張を通して,がんばってほしいと心から願い,応援している。なお,今後,重要な事柄について,2013年度から行うという発言が多くなるのではないかと思っている。2013年度は,民主政権(4年1期)が終わっているときかもしれない。(筆者)

9/2 厚生労働省 「2010年 人口動態統計(確定数)の概況」
<ポイント>
①出生数は増加(107万1304人)
②死亡数は増加(死亡数は119万7012人)
③自然増減数は減少(出生数と死亡数の差である自然増減数は△12万5708人)
④死産数は減少(死産数は2万6560胎)
⑤婚姻件数は減少(婚姻件数は70万214組)
⑥離婚件数は減少(離婚件数は25万1378組)

→「人口動態統計」(厚生労働省)に関して,年間に以下の順で公表されている。
「2010年 人口動態統計の年間推計」(2011年1月1日公表)
「2011年 我が国の人口動態(2009年までの動向)」(2011年2月19日公表)
「2010年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」(2011年6月1日公表)
「2010年 人口動態統計(確定数)の概況 」(2011年9月1日公表)

→「人口動態統計」は,3福祉士国家試験には頻出の統計である。
例えば,「人口動態統計によれば,子どものいる夫婦が離婚する場合,夫よりも妻の方が子どもの親権を行うケースが8割を超えている」という設問の正誤は?(ヒント:上記②の統計中に答えがある)(筆者)
9/1 - ■国家の危機管理である「国の防災訓練」を,総辞職した「菅サン」に委ねた「野田サン」の判断は,適正なのか。 ・そう言えば,鳩山内閣の総辞職後,菅内閣発足までの4日間を,「鳩山サン」が業務執行内閣としてやっていた。民主党政権の慣例となっている。
・「東日本大震災」と「福島第一原発」の被害を拡大させ,日本国民を最大不幸に陥れた「菅サン」にだけは,「国の防災訓練」の指揮を執ってほしくなかったというのが「民意」であろう。「野田サン」は,国民感情の機微を勉強した方がいい。そういう意味で,首相たる者が,自分を「ドジョウ」に例えて,謙虚さを誇示するようなことは,逆に国民に鈍重さを心配させることにつながり,「国民に対して失礼になる」と思えるセンスを養う必要があると思う。また,そのような特殊な感覚は,国際社会に受け入れられるとも思えない。「謙虚さ」を売りにしながら,「増税」を強引に進めようとするこの人物の二面性も心配であるが,日本や日本国民にとって,いい方向に進んでいくことを祈るばかりである。
→閣僚人事を進めて,明日(9月2日)にも野田新内閣が発足するらしい。この連中は,「防災訓練」に直接タッチせずに,国家の危機管理をリードしていく立場に立つことになる。(筆者)
8/31 内閣府 「自殺予防週間(9月10日~9月16日)」に向けて,日本のマスメディアの認識レベルの改善に手をつけなくていいのかなあ 2011年7月4日の自殺対策会議において,2011年5月に自殺者が急増した原因として,「女性タレントの自殺と関連報道が考えられる」,「政府としてはメディア各社にガイドラインの策定を呼びかけるべきだ」,と清水内閣府参与が報告・指摘していたことを,まさか忘れていないよね。 当時,これだけのデータだけで,断定的な,すごいことが言えるなあ,と感心した覚えがある。
→当然熟知していなければならない「WHO 自殺予防メディア関係者のための手引き(2008年改訂版日本語版)」を,日本のマスメディアに,税金を使って改めて配ってやる必要はないが,政府が口出しすると,「因果関係が立証されていない」とか,「報道の自由」を言い出して面倒くさいから,自殺対策のスペシャリストである清水さんに,NHKにもおられたことでもあるし,民間人・個人の立場から,「しっかり読んで,ちゃんと勉強しろ!」くらいのことは言ってもらったらどうかと思う。言いっ放しなら,誰にでもできる。
<WHO メディア関係者のためのクイック・リファレンス>

・努めて,社会に向けて自殺に関する啓発・教育を行う
・自殺を,センセーショナルに扱わない。当然の行為のように扱わない。あるいは問題解決法の一つであるかのように扱わない
・自殺の報道を目立つところに掲載したり,過剰に,そして繰り返し報道しない
・自殺既遂や未遂に用いられた手段を詳しく伝えない
・自殺既遂や未遂の生じた場所について,詳しい情報を伝えない
・見出しのつけかたには慎重を期する
・写真や映像を用いることにはかなりの慎重を期する
・著名な人の自殺を伝えるときには特に注意をする
・自殺で遺された人に対して、十分な配慮をする
・どこに支援を求めることができるのかということについて,情報を提供する
・メディア関係者自身も,自殺に関する話題から影響を受けることを知る
                         (筆者)
8/30 厚生労働省 「第1回社会保障審議会年金部会」が開催された ・2011年8月26日に,「第1回社会保障審議会年金部会」が開催された。
・年金部会では,社会保障・税の一体改革成案に盛り込まれた年金分野の改革項目(年金給付の最低保障機能の強化,第3号被保険者制度の見直し,マクロ経済スライド,支給開始年齢の引き上げ等)の実現に向けた検討が行われる。2012年通常国会に法案を提出するため,9月から12月までの間に月2回のペースで部会を開催するとのことである。
・なお,重要なテーマである非正規労働者に対する社会保険適用拡大については,同会に特別部会を設け,12月末までに検討を進め,その状況を年金部会に報告するとしている。

→これほどの大きな課題を,次期首相の「野田サン」が引き継ぐことになる。野党との接点もあいまいで,国民不在で進められている年金改革案を,増税論者の野田サンが牽引して,法案成立に至るかどうか,考えるまでもなく,すでに答えは出ていると思う。(筆者)

「社会保障・税の一体改革」の経緯については,やまだ塾トップページ(トピックス)を参照されたい
8/29 内閣府 「生活の安全についての相談は,警察総合相談電話「#9110」番へ」
<警察と国民とを結ぶ「2つのホットライン」の区分>
①「110番」 : 
・交通事故が発生したときや強盗やひったくりの被害に遭ったときなど,今すぐ警察官に駆けつけてもらいたい緊急事態の際にかけるもの
②「#9110」番 : 
・事件や事故の通報ではなく,ヤミ金融や悪質商法,DV(男女間などの家庭内暴力),性犯罪,ストーカー,子どもの非行,薬物乱用や暴力団がらみの問題など,さまざまな犯罪被害の未然防止,生活の安全に関して相談したいことがあるというときなど,緊急以外の用件でかけるもの
・ただし,ダイヤル回線や一部のIP電話ではつながらないので,その場合は,警察庁ホームページに掲載されている各都道府県の警察総合相談電話番号にかける

→毎年,この時期になると恒例行事として政府広報がなされるので,このカテゴリーでも広報の協力として記事を掲載するが,この程度の広報活動で,警察総合相談電話「#9110」番の認知度が上がっていくとは到底思えない。認知度向上の手法として,テレビ(インターネットテレビではない)のスポットCMが,一般向けとして効果的であり,うまく活用すれば犯罪予防や生活の安全につながるのではないかと思われる。しかし,政府のこれまでのテレビスポットCM(「力を貸してください」篇 ,自殺対策「ひと声を力に」編,振り込め詐欺の被害防止「新しい手口」篇 ,児童虐待防止「通報」篇 ,児童虐待防止「相談」篇 ,睡眠キャンペーン「知らない」篇 など)を見る限り,まるでセンスがなく,お話にならないほど表層的で,説得力に欠けている。もし,その程度のものを作って流すのであれば,税金の無駄使いになるので,今のままでいいと思う。(筆者)
8/27 厚生労働省 「2010年度 医療費の動向」 ・2010年度に,病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費が,概算で36兆6千億円(前年度比3.9%増,8年連続の増加で過去最高)であり,うち70歳以上の高齢者の医療費は16兆2千億円(同4.7%増)となり全体の4割を超えた。なお,概算医療費は,労災分を含まず,医療費全体を示す「国民医療費」の98%程度と言われている。

→厚生労働省は,概算医療費の増加の要因を,相変わらず,「高齢化や医療の高度化」と説明してくれるが,いつも煙に巻かれたような気分になる。「あんな高価な検査機器を入れたら,お金を回収するために,ここの病院も,検査のお客をたくさん増やして,稼がなければならないから大変だよね」,と近所のおばあちゃんが待合所で言っていたが,これが「医療の高度化」の中身だとすれば納得できる。(筆者)

7/8「2009年度 医療費マップ」(概要 / 本文))の記事を参照
8/26 国土交通省 「東日本大震災 初動の記録~災害時ノウハウ集(いざという時に役立つ88の工夫とノウハウ)~」 ・2011年8月24日,国土交通省は,東日本大震災の発災後5か月の初動記録を,「災害時ノウハウ集」として公表した。
<国土交通省(緊急災害対策本部事務局)の広報文>
「災害時ノウハウ集」は,東日本大震災初動の応急対応の中で,災害対応を円滑に遂行するために各部局や現場で行われた様々な工夫やノウハウについて主なものをとりまとめたものです。
発災後5ヶ月を経た現時点の記憶を記録としてとどめ,今後の災害時に役立てたいと考えております。
【ノウハウ集の概要】
○目次 工夫やノウハウを8つの大項目と23の小項目に分類し整理しています。
○ノウハウリスト 工夫やノウハウを200~300字に纏めわかりやすく概要を示しています。
○ノウハウ集 各々の工夫やノウハウを写真や図表を用いて一ページ(カラー)で説明しています。
○索引 キーワードを整理した索引を作り,ノウハウリストの文中のキーワードについては赤色文字としました。
※今後、復旧・復興が進む中で考えられた更なる工夫やノウハウについては,必要に応じ追加する予定。

→国土交通省がまとめた「災害時ノウハウ集」は,大きすぎる犠牲と尊い献身によって出来上がったものである。残された日本国民は,「災害文化」として受け継いでいく義務がある。しかし,日本のマスメディアは,破廉恥な芸人のニュースには精力的であるが,今回の「災害時ノウハウ集」のことをまったく取り上げないため,多くの国民はその存在すら知らない。
→一方,内閣府によって,2011年度も,「防災の日」(9月1日)および「防災週間」(8月30日~9月5日)の行事が実施される。防災週間の一環としての防災訓練は,「2011年度総合防災訓練大綱」(2011年6月20日中央防災会議決定)によって実施される。今回の国土交通省の「災害時ノウハウ集」は,今後どのように活用されていくのだろうかと,災害対策に素人の筆者には気になるところである。(筆者)


「防災情報のページ」(内閣府)
8/25 介護労働安定センター 「2010年度 介護労働実態調査結果(2010年11月実施)」

<調査結果のポイント>
①2009年10月1日から2010年9月30日の離職率は,17.8%(前年度17.0%)であった。
②介護サービスに従事する従業員の過不足状況では,「不満足」が50.3%(同46.8%),「適当」は48.8%(同52.3%)であった。
③介護サービスを運営する上での問題点では,「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が51.5%(前年度52.7%)であった。
④介護職員処遇改善交付金に伴う経営面での対応状況では,全体では「一時金の支給」が50.0%,「諸手当の導入・引き上げ」が29.8%,「基本給の引き上げ」が15.7%,「教育研修の充実」が15.3%であった。
⑤月給者の所定内賃金は,全体では216,494円(同212,432円)であった。
⑥仕事を選んだ理由では,「働きがいのある仕事だから」が55.7%(同58.2%)であった。
⑦労働条件等の不満では,「仕事の割に賃金が低い」46.6%(同50.2%),「人手が足りない」40.1%(同39.4%),「有給休暇が取りにくい」36.9%(同36.9%),「業務の社会的評価が低い」32.2%(同36.4%)であった。

→上記ポイントの⑤(平均月収)では,民主党政権になっても,「全産業平均より大幅に低い状況」は改善されていない。また,自・公政権の発案ではじめた「介護職員処遇改善交付金」を,2011年度で終了させるのかどうかも不明確である。介護職の労働環境改善に対する民主党政権の定見のなさに,コメントのしようもない。それにもかかわらず,⑥(仕事を選んだ理由)での「働きがいのある仕事だから」が5割を超えているという調査結果を見ると,介護の仕事に携わる者の「使命感」,「誇り」,「自律性」などに基づく精神性の高さは維持されている。(筆者)

「福祉専門職の現状」
8/24 厚生労働省 「2011年版 厚生労働白書(社会保障の検証と展望~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~)」
概要
本文
資料編
100人でみた日本,日本の1日
・2011年8月23日に,「2011年版 厚生労働白書(社会保障の検証と展望~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~)」が閣議報告され,公表された。
<白書(本文)の構成>
第1部:社会保障の検証と展望(~国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~)
・国民皆保険・皆年金制度実現から半世紀~」を副題に,社会保障制度改革を議論する前提として,「国民皆保険・皆年金」の実現とその変遷を中心に,日本の社会保障制度のこの半世紀を振り返っている。
・第1部は,おおむね2011年6月末までの動きについて記述されている。
第2部:現下の政策課題への対応
・年次行政報告の冒頭に,2011年3月11に発生した東日本大震災への厚生労働省の対応が特集されている。

※なお,白書に併せて,「社会保障に関するアンケートの調査結果」(2011年2月調査)が別途公表された。このアンケートは,「2011年版厚生労働白書」の作成等に当たっての資料を得ることを目的として,2011年2月に実施されたものである。

→上記社会保障アンケートの調査結果において,61.3%の人が今後の給付水準について「現状は維持できない」と回答し,現在の給付水準を維持するため,過半数の51.4%の人が「一定の負担増容認」(48.5%)と「大幅負担増容認」(2.9%)と回答したことを,厚生労働省とマスメディアがこぞってアピールしている。何としても「増税やむなし」との調査結果がほしかったのだと思うが,わずかに半数を超えたことで「増税賛成」が民意のように宣伝するのは,いかにも公正さを欠いているように思える。2011年7月1日に,閣議決定ができずに,閣議報告された「社会保障・税一体改革成案」では,肝心要の消費税増税による財源確保が明確にできなかったことからも,厚生労働省の必死さが想像できる。8月12日には,「社会保障・税一体改革の当面の作業スケジュール」が,関係5大臣(厚生労働大臣,総務大臣,財務大臣,官房長官,社会保障・税一体改革担当大臣)で確認されているが,「社会保障・税一体改革」の行く末は,「ポスト菅」次第(野田サンは増税論,前原サンは慎重論らしい)の様相であり,果たしてどういうことになるのやら。(筆者)

「社会保障・税一体改革」の経緯については,やまだ塾のトップページ(トピックス)を参照

「白書(社会福祉関連)」
8/23 厚生労働省 ■「基本的な労働法制度」を確認する
     =厚生労働省のHPにリンクしています=
<中小企業経営者向けのガイド>
(1)採用・選考時のルール
①募集・採用における年齢制限の禁止
②募集・採用における性別による差別の禁止
③公正な採用選考
(2)人を雇うときのルール
①労働契約の締結
・労働条件の明示,労働契約の禁止事項,採用内定
②就業規則
・常時10人以上の労働者を雇用している会社は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければならない(労働基準法第89条)
③労働保険
・雇用保険,労災保険,保険料
④社会保険
・健康保険,厚生年金保険,保険料
⑤障害者の雇用義務等
・障害者雇用率制度,障害者雇用納付金制度
(3)労働条件・職場環境に関するルール
①賃金
②労働時間・休憩・休日
③労働安全衛生
④性別による差別の禁止
⑤仕事と家庭の両立のために
(4)労働契約の終了に関するルール
①解雇
②期間の定めがある場合
③整理解雇
④退職勧奨
⑤相当数の離職者発生の場合の届出など

(5)さまざまな雇用形態
①派遣労働者
②契約社員(有期労働契約)
③パートタイム労働者
④短時間正社員
⑤業務委託(請負)契約を結んで働いている人
⑥家内労働者 在宅ワーカー

<労働者向けのテキスト>
「知って役立つ労働法(働くときに必要な基礎知識)」

→「介護・福祉分野」の業務従事者も「労働者」である。厚生労働省のホームページを利用して,「基本的な労働法制度」を確認・再確認していただきたい。
→2011年6月の介護保険改正法に合わせて,社会福祉士法と介護福祉士法の一部改正が行われた。今回の介護職の医療行為に関しては,医行為の定義の議論を避け,医療職の業務範囲を規定する保健師助産師看護師法も議論せず,社会福祉士法と介護福祉士法の改正だけで,安易に対応している。医療事故に対する責任などの大きなリスクを,介護職や事業所・施設だけが抱えるという,何とも「不公平で,不平等な労働環境」を是認していいものかどうか。筆者は,これまでにも言ってきたことであるが,医療行為の研修・教育を介護福祉士等の本来業務の外付けにする(希望者だけが研修を受けてできるようにする)か喀痰吸引と経管栄養を医行為外とする以外の方策を許容すべきではないと考えている。さらに付け加えれば,「介護福祉士」を,自律性のない「単なる介護士」や,なし崩しに「看護師不足の補助要員」として扱おうとしていくように思える厚生労働省の方向性には疑問を感じる。これからは,いわゆる「介護の専門家」任せにしておくのではなく,「労働者」である介護職自身が考え,行動して,是正していかなければならない課題であると思う。(筆者)
8/19 経済産業省 「第5回(2011年)キッズデザイン賞の受賞作品 」 「キッズデザイン賞」は,子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン,創造性と未来を拓すデザイン,子どもたちを産み育てやすいデザインを顕彰する制度で,2007年度から実施されている。
・乳幼児用品や玩具などの子ども向けの製品・サービスに限らず,大人向けのものでも,子どもに対する配慮がなされた良質な商品や施設,プログラム,調査研究活動などを幅広く対象とし,受賞作品は「キッズデザインマーク」を使用することができる。なお,今回の第5回キッズデザイン賞では,東日本大震災で被災された方々への復興支援に役立つ作品や,被災地の子どもたちを元気づけるような作品が広く募集されていた。

<最優秀作品>
第5回最優秀賞 第4回最優秀賞 参考
キッズセーフティ部門 キッズセーフティ部門 第3回
金賞

第2回
金賞

第1回
金賞
ユニバーサルセーフティ部門 ユニバーサルセーフティ部門
フューチャーアクション部門 フューチャーアクション部門
フューチャープロダクツ部門 フューチャープロダクツ部門
・ソーシャルキッズサポート部門 (該当なし) ソーシャルキッズサポート部門
ソーシャルキッズプロダクツ部門 ソーシャルキッズプロダクツ部門
キッズ・コンシューマーサポート部門 -

→キッズデザインが生まれた背景に,子どもの「不慮の事故」が毎年多く発生していることがある。
→「不慮の事故による死亡」の年齢別統計が知りたいのであれば,厚生労働省の「人口動態統計」「不慮の事故死亡統計」があり,子ども・青少年(0~29歳)に限るならば,内閣府の「子ども・若者白書(旧青少年白書)」が参考になる。3福祉士国家試験やケアマネ試験受験者は,目を通しておくべき統計である。(筆者)


8/1「救急搬送データからみる乳幼児の事故(他人事と思わないで!知っていれば防げる事故がある!)」の記事を参照

乳幼児の事故予防に役立つサイト:「キッズデザインの輪」(経済産業省)
8/18 首相官邸 「政策推進の全体像」が閣議決定された ・2011年8月15日,政府は,今後の経済政策など重点政策の優先順位を組み直した「政策推進の全体像」を閣議決定した。
・2011年秋の臨時国会に提出する予定の「2011年度第3次補正予算案」に,円高や電力不足を受けた産業空洞化対策を盛り込む方針を明記している。また,社会保障分野については,政府・与党検討本部がまとめた社会保障と税の一体改革成案を基に検討を進め,医療,介護,年金など個別分野ごとに改革の具体化を進めるとしている。
<震災復興および日本再生に向けた政府の取組み(経緯)>
「政策推進指針~日本の再生に向けて~」 (5月17日)
「社会保障・税一体改革成案」 (7月1日)
「東日本大震災からの復興の基本方針」 (7月29日)
「日本再生のための戦略に向けて」 (8月5日)
「中期財政フレーム(2012年度~14年度)」 (8月12日)
⑥「政策推進の全体像」 (8月15日)

→菅首相の「脱原発」の発言は,直後に「減原発」と修正され,今回の「政策推進の全体像」では,遂に「原発依存度の低減を目指す」として明記された。そして,8月17には,高橋北海道知事が泊原発の再開容認を正式表明したため,経済産業省原子力安全・保安院は北海道電力に3号機の検査終了証を交付し,3月11日以降,全国で初めての原発の営業運転が再開された。
→このように,国民の期待を裏切る内容が,随所に盛り込まれた「政策推進の全体像」である。(筆者)
8/17 内閣府 「HIV・ハンセン病に対する偏見・差別をなくそう」 <「よくある誤解・思い込み」と「正しい知識」>
よくある誤解・思い込み 正しい知識
HIV ・握手や会話で感染する

・お風呂やプールに一緒に入ると感染する

・せきやくしゃみで感染する

・便座や食器,タオルなど日用品の共用で感染する

・血を吸った蚊やダニなどに刺されることで感染する
◆・HIVの感染経路は,性的接触,血液感染,母子感染の3つに限られ,日常生活の接触では感染しない
◆治療薬の開発により,HIVに感染しても,早期発見と早期治療によって、エイズの発症を抑えることができるようになっている
◆近年は,性的接触での感染が増えている。特定のパートナーであっても,感染のリスクがないとは限らない。HIVはだれにとっても身近な問題である
ハンセン病 ・感染力が強い

・遺伝病である

・不治の病である
◆日常生活で感染する可能性はほとんどない
◆感染力が弱く,うつりにくい
◆感染しても発病することはまれである
◆遺伝病ではない
◆早・期に発見し,適切な治療をすれば、完治する

→HIVとハンセン病に対する直近の「人権擁護に関する世論調査結果(2007年6月調査)」は,以下の通りである。
(10) HIV感染者等に関し,どのような問題が起きているか?
・HIV感染者等に関し,現在,どのような人権問題が起きていると思うか聞いたところ,「結婚問題で周囲が反対すること」を挙げた者の割合が41.3%,「就職・職場で不利な扱いをすること」を挙げた者の割合が37.9%と高く,以下,「差別的な言動をすること」(31.7%),「治療や入院を断ること」(27.9%)などの順となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が21.1%となっている。(複数回答,上位4項目)
・前回(2003年)の調査結果と比較してみると,「就職・職場で不利な扱いをすること」(42.1%→37.9%)を挙げた者の割合が低下している。
(11) ハンセン病患者・元患者等に関し,どのような問題が起きているか?
・ハンセン病患者・元患者等(ハンセン病患者・元患者とその家族)に関し,現在,どのような人権問題が起きていると思うか聞いたところ,「ハンセン病療養所の外で自立した生活を営むのが困難なこと」を挙げた者の割合が41.3%と最も高く,以下,「結婚問題で周囲が反対すること」(31.0%),「就職・職場で不利な扱いをすること」(30.6%),「差別的な言動をすること」(29.0%)などの順となっている。なお,「わからない」と答えた者の割合が22.3%となっている。(複数回答,上位4項目)

→日本政府や日本のマスメディアのこれまでの努力は,評価できるものであったかどうか。なお,第64回WHO総会(2011年5月16日~24日,参加国:193か国 )において,HIVエイズのWHO戦略(2011-2015)が承認されている。(筆者)

「国立ハンセン病療養所」
8/12 - ■「今回のイギリス暴動」は,「ブレア政権での社会的包摂政策」の結末ではないかと思う →2011年1月に設置された「一人ひとりを包摂する社会特命チーム」から,2011年8月10日に,「社会的包摂政策に関する緊急政策提言」が提出された。筆者は,「イギリス暴動」の最中であることが面白いと思った。
→その提言を受け取ったブレア大好き人間の菅首相が手放しで喜んでいる動画を観ていて,筆者は,その薄っぺらさから,一刻も早く辞めていただくべきだと思った。
→異論があることを承知で,結論だけを申し上げる。筆者は,今回の「イギリス暴動」について,「ブレア政権以降の社会的包摂政策」と深くかかわっていると考えているが,日本のマスメディアは,事の本質を正しく伝えていないのではないかと思う。筆者は,日本における「社会的包摂政策」の必要性は理解しているつもりであるが,血税を使って「のら」をたくさん作り出すことにならないように,十分な対策をすべきと考える。菅首相の趣味で決められた「一人ひとりを包摂する社会特命チーム」の構成メンバーでは,気がかりである。(筆者)
8/11 厚生労働省 「小児慢性特定疾患治療研究事業(リーフレット)」 ・小児慢性特定疾患治療研究事業は,1974年に創設され,2005年4月施行の改正児童福祉法により法制化された。法第21条の5の規定に基づいて,慢性疾患にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成を図るため,当該疾患の治療方法に関する研究等に資する医療の給付その他の事業を行うことを目的とする事業である。
<小児慢性特定疾患治療研究事業の概要>
①対象年齢
・18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は,20未満)の児童
②対象疾患群
・11疾患群・514疾患
③自己負担額
・所得の状況に応じて,8階層の区分における一定の金額を限度とする患者一部負担額を医療機関に対して支払う
④福祉サービスの実施
・小児慢性特定疾患児日常生活用具給付事業(15品目,市町村事業)
・小児慢性特定疾患児ピアカウンセリング事業(都道府県事業)
⑤実施主体
・都道府県,指定都市および中核市(514疾患すべてを対象とするかは各自治体の裁量に任せられている)
⑥問合わせ先
・保健所(日常生活用具給付事業については市町村担当課)
⑦参考となるWebサイト
国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 日本子ども家庭総合研究所

→小児慢性特定疾患(小児難病)は,最長20歳まで医療費助成を受けられるが,514疾患のうち多くの疾患が成人後も医療費助成が受けられる難病(56疾患)には認定されていないため,20歳になれば支援を打ち切られる。治療を断念することにもつながっている。(筆者)
8/10 内閣府 ■「2010年度国民生活選好度調査結果(国民の幸福感の現状など)」 <「国民生活選好度調査」2009年度と2010年度の比較>
2010年度 2009年度
調査内容 国民の幸福感の現状,ボランティア・支え合う活動(新しい公共),地域活動,自治会・町内会などの活動
国民の幸福感の現状,幸福感とその判断,政策への期待と満足度,新しい公共関係
調査期間:
2011年3/3~3/13
調査期間:
2010年3/11~3/22
調査結果 概要
<国民の幸福感の現状>
・10段階評価で,平均値は「6.5」。平均値,男女別,年齢別の傾向ともに2009年度と比べて大きな変化はみられない。
概要
<国民の幸福感の現状>
・10段階評価で,平均値は「6.5」。日本では,「5」を選択する者が多いほか,デンマークや英国と比較して,低い点数をつける者が多かった。
詳細( 詳細(

→2010年度の調査期間は,東日本大震災を3日間またいでいるが,ほとんどが震災前に調査されていたと考えられる。次回調査時には,大震災および福島第一原発事故が反映された結果が出るものと想定される。参考として,内閣府の「幸福度に関する研究会」の資料である「過去の震災に伴う意識面などの変化に関する先行研究」および「東日本大震災直後の若年層の生活行動及び幸福度に対する影響」をご覧いただきたい。(筆者)
8/9 内閣府 「改正障害者基本法」が成立(第177回通常国会) ・「障害者基本法の一部を改正する法律」は,2011年4月22日に国会に提出され,7月29日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し,8月5日に公布され,一部を除き同日に施行された。なお,衆議院内閣委員会および参議院内閣委員会で,それぞれ付帯決議がなされている。
改正障害者基本法の主な内容>
【1】総則
(1)目的:
全ての国民が,障害の有無にかかわらず,等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現することを追加する。
(2)定義:
①「障害者」とは,身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
②「社会的障壁」とは,障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいう。
③地域社会における共生等:
(1)の社会の実現は,全ての障害者が,可能な限りどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され,地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと,可能な限り手話を含む言語その他の意思疎通の手段についての選択の機会が確保されること等を旨として図られなければならない。
④差別の禁止:
障害者に対して,障害を理由として差別すること等を禁止する観点から,社会的障壁の除去は,その実施に伴う負担が過重でないときは,その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
【2】基本的施策
(1)国及び地方公共団体は,障害者が,可能な限りその身近な場所において医療又は介護の給付等を受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか,その人権を十分に尊重しなければならない。
(2)国及び地方公共団体は,可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しなければならない。また,障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに,可能な限りその意向を尊重しなければならない。
(3)国及び地方公共団体は,障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。
(4)国及び地方公共団体は,障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めなければならない。
(5)国及び地方公共団体は,災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとする。
(6)国及び地方公共団体は,障害者の性別,年齢,障害の状態及び生活の実態に応じて,防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。
(7)国及び地方公共団体は,障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため,適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。
(8)国及び地方公共団体は,選挙,国民審査又は投票において,障害者が円滑に投票できるようにするため,投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。
(9)国又は地方公共団体は,障害者が刑事事件等の手続の対象又は民事事件等の手続の当事者等となつた場合において,個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮しなければならない。
【3】推進体制
(1)内閣府に,障害者基本計画の策定に関する意見具申,同計画に関する調査審議及び意見具申,同計画の実施状況の監視及び勧告等の事務をつかさどる,障害者政策委員会を置く。
(2)都道府県に,都道府県障害者計画の策定に関する意見具申,障害者に関する施策の調査審議及び実施状況の監視等の事務を処理するため,審議会その他の合議制の機関を置く。
【4】施行期日等
(1)この法律は,一部を除き,公布の日(2011年8月5日)から施行する。
(2)国は,本法施行3年後に,法の施行状況について検討を加え,必要な措置を講ずる。

→障害者基本法を改正する背景には,2006年に国連で採択され,2007年に日本が署名し,2008年に発効した「障害者条約」がある。日本が条約を批准するためには実効性ある国内法の整備が必要とされており,今回の障害者基本法の改正は,国内法整備の基礎となるもので,これに続いて,現在「障がい者制度改革推進会議」で,障害者自立支援法に代わる「障害者総合福祉法(仮称)」の制定が検討されている。「障害者総合福祉法(仮称)」は,2011年8月を目途に新法の骨格が提言される予定で,これを踏まえて2012年の通常国会に法案が提出されると見られている。
→筆者は,民主党政権が「まっとうな政治主導」を放棄したときから,障害者制度改革は,「金がかからないこと」は進むが,「金がかかること」は省庁間の調整が取れず,最終的には抜け道が作られ,骨抜きにされ,実効性のないものになるだろうと考えていた。例えば,今回の改正障害者基本法では,随所で使われている「可能な限り」という言葉がそれに当たる。思い返せば,あのそろばん勘定で作られた「障害者自立支援法」に深くかかわったのは村木厚子氏であった。氏が,2010年9月27日付で共生社会政策の政策統括官に任命されており,今回の「改正障害者基本法」にも深いかかわりがあったことを多くの国民は知らない。「可能な限り」という悪知恵とも思える言葉を駆使して,省庁間の調整を行って実効性を怪しくしたのは,誰であるかは自明である。
→今回の改正障害者基本法についての数少ない新聞報道の一つを紹介する。毎日新聞は社説において,「全体的に見ると斬新な改革が随所にあるものの,推進会議が当初まとめた原案からは大幅に後退したのも事実だ。・・(中略)・・「障害者総合福祉法」「障害者差別禁止法」も論議が進んでいる。基本法より財源と直結する制度改革である。政府内には現実離れした案になるのではないかと懸念が広がっている。障害者側の不満もわかるが,国民全体が寄せた税金をどう使うかは「私たち(障害者)」だけで決められるわけではない」(2011年8月1日)と書いていた。この新聞社のいい加減さと,その立ち位置がよく分かる文章である。
→「福祉専門職」は,自身の見解を持っていなければならない。(筆者)


7/4
「障がい者制度改革推進会議等の進捗状況),6/15「2011年版 障害者白書」の記事を参照
8/8 厚生労働省 「2010年度介護給付費実態調査の概況」 ・2011年8月4日,「2010年度介護給付費実態調査の概況」(2010年5月-2011年4月審査分)が発表された
(1)介護サービスと介護予防サービスの受給者総数:
・492万8200人(2009年度比24万1200人増,3年連続で過去最多)
(2)介護サービスの受給者数:

・401万5800人(同22万5100人増)
①介護サービスの受給者内訳:
・居宅サービス⇒298万6900人(同21万2900人増)
・施設サービス⇒110万8700人(同1万5600人増)
・地域密着型サービス⇒35万8500人(同3万5400人増)
・居宅介護支援⇒276万8400人(同18万6000人増)
②居宅サービスのうち多い順:
・福祉用具貸与の155万3300人(同14万8800人増)
・通所介護が145万1200人(同12万3700人増)
・訪問介護が124万7900人(同7万8400人増)
・短期入所生活介護62万6500人(同3万7000人増)
③施設サービスの増減:
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が53万8700人(同1万3100人増)
・介護老人保健施設が48万3700人(同1万1300人増)
・介護療養型医療施設は13万6100人(同1万人減)
④地域密着型サービスの多い順:
・短期利用を除く認知症対応型共同生活介護の18万8800人(同1万2800人増)
・認知症対応型通所介護の8万5400人(同5600人増)
・小規模多機能型居宅介護の6万5400人(同1万3300人増)
(2)介護予防サービスの受給者数:
・121万9100人(同9万2200人増)
①介護サービスの受給者内訳:
・介護予防居宅サービスが120万8900人(同9万800人増)
・介護予防支援が117万4900人(同8万8100人増)
・介護予防地域密着型サービスが1万1400人(同1700人増)

(3)1人当たり費用月額(2011年4月審査分:
・介護サービスと介護予防サービスを合わせた受給者1人当たりの費用(利用者負担を含む)は,月額15万5800円(前年同月比1500円減)
①内訳:
・介護サービス費は18万6900円(同1300円減)
・介護予防サービス費は3万9400円(同600円減)

→介護保険制度の2000年のスタートに際して,厚生労働省の「走りながら考える」という口車に乗った国民がバカをみた。実際には,この10年は「つぎはぎしながら走ってきた」だけであった。結局,団塊の世代が75歳を迎える2025年に向けた「地域包括ケアシステムの構築」についてのまともな議論をせずに,怪しげな24時間対応の介護・看護の巡回サービスの創設などを盛り込んだ介護保険改革とは名ばかりの2012年度からの改正介護保険法が,2011年6月15日に成立した。(筆者)

6/28「改正介護保険法」が成立(第177回通常国会))の記事を参照

「2011年度 3福祉士国家試験受験対策(重要事項編)」
8/6 厚生労働省 【重要】第24回社会福祉士国家試験および第14回精神保健福祉国家試験の施行について」 <第24回社会福祉士国家試験>
◎試験日:2012年1月29日(日)<共通,専門>
◎発表日:2012年3月15日(木)
受験申込書の受付期間:2011年9月8日(木)~10月7日(金)

◎試験委員: 2011年度と2010年度との比較(8/6掲載)

<第14回精神保健福祉士国家試験>
◎試験日:2012年1月28日(土)<専門>,2012年1月29日(日)<共通>
◎発表日:
2012年3月15日(木)
受験申込書の受付期間:
2011年9月8日(木)~10月7日(金)
◎試験委員: 2011年度と2010年度との比較(8/6掲載)

<第24回介護福祉士国家試験>
◎試験日:2012年1月29日(日)<筆記>,3月4日(日)<実技>
◎発表日:
2012年3月28日(水)
受験申込書の受付期間:
2011年8月10日(水)~9月9日(金)
◎試験委員: 2011年度と2010年度との比較
(7/2掲載)

→受験に関する情報は,すべて公表された。あとはやるだけ。ですね。(筆者)

7/2(■【重要】「第24回介護福祉士国家試験の施行について」の記事を参照
8/5 - ■「2012年度から子ども手当が廃止されるらしい」 ・2011年8月3日,民主,自民,公明3党の政調会長が,子ども手当の修正で合意したらしい。
・その内容は,2011年10月分から,3歳未満と第3子以降の3歳~小学生に月1万5000円,3歳~小学生と中学生にそれぞれ1万円を支給し,所得制限(年収960万円)は2012年度から導入する,というものである。具体的には,2011年10月月からの半年間は,「子ども手当に関する特別措置法」を制定して支給する。
・これにより,2012年度からは「子ども手当が廃止」され,「児童手当が復活」することになる,と報道されている。

<2009年12月29日記事の再掲>
「子ども手当」は愚策ではないか
~ドイツの二の舞を踏むことにならないか~

→すでに,2003年のOECDの家族政策と合計特殊出生率に関する研究において,金銭的援助より保育サービスの充実の方が合計特殊出生率との相関関係が強い,ということが示されている(「OECD Social, Employment and Migration Working Paper 2003」の図20および図21を参照)。このOECDの研究は,2006年の「少子化対策について」(「第15回社会保障の在り方に関する懇談会」資料)でも紹介され,日本との対応にも言及されている。また,2009年11月18日には,OECDは,日本の経済政策について初めて包括的な提言を発表し,「成長戦略」や「雇用」など9分野に言及し,「鳩山政権が導入を目指す「子ども手当」については「目的と対象を再検討すべきだ」とし,手当の一律支給よりも「待機児童」の解消に力を注ぐべきだとの考えを示した」と報道された。
→民主党の「子ども手当」は,小沢幹事長が選挙対策用に考え出した政策の目玉という位置づけで,練度が低いと一部では言われている。福祉対策なのか,景気対策なのか,少子化対策なのかすら明確でない政策であるとも言われている。
→ドイツは,「家族手当」として子ども一人当たり日本円で2万円程度をばら撒き続けてきたが,就学前の保育の拡充などの総合的な子育て支援策が遅れために,未だに合計特殊出生率は回復していない(「2005年度出生に関する統計の概況」の国際比較),との国際的な嘲笑を受けている。
→筆者は,早晩,「子ども手当」を見直さなければならなくなると予想している。
(筆者)

→筆者は,2012年度からの「子ども手当の廃止」を当然の帰結だと考えている。
→同時に,「待機児童(2010年10月現在4万8千人)」についても,政府が待機児童解消の打開策として,2013年からスタートさせ,2015年度から本格実施ようとしている「子ども・子育て新システム」も,2011年7月29日に閣僚合意された「子ども・子育て新システム中間取りまとめ」を見る限り,結局幼稚園と保育所をすべて一体化できずに幼稚園の存続を認め(結果として幼稚園・保育所・こども園の3分類になり,大学付属などの「ブランド幼稚園」も存続させるなど),「総合施設」でも待機児童の8割を占めるといわれる0~2歳児の預かりを義務づけできず,また,頼みの財源についても,2011年6月30日に閣議報告された
「社会保障・税一体改革成案」で消費税増税が明確にできなかったことから,すでに破綻が見えているように思える。さらに,学童保育利用者数についても,2010年1月29日に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」の2014年度目標(111万人)は補助金不足から達成が困難な状況にあると見られ,待機児童も6千人いるといわれる。菅政権の「子ども・子育て施策」は,もうぼろぼろである。筆者は,その原因を,政府の潜在的なニーズの把握と安定財源確保の甘さにあると考える。蛇足であるが,「子育て」を家庭の責任と考えていた自・公政権の「少子化対策」への無為無策が,このような状況に陥らせてしまったのであり,今更自民党や公明党に期待するものは何もない。
→事のついでに言っておきたい。待機児童対策の必要性を声高に言うのであれば,介護分野の介護福祉士にも共通することであるが,保育士の待遇改善を本気でやりやがれ,と言いたい。(筆者)


3/10「認可保育所の待機児童数が過去最多(2010年10月)」,201年12/16「The Economist(2010年11月20日号)の日本の特集記事(The Japan syndrome)」の記事を参照
8/4 厚生労働省 (イベント情報)「うつ病の認知療法・認知行動療法研修会(多職種向け研修会)募集要項」
<2011年度のうつ病の認知療法・認知行動療法ワークショップ(研修会)>
①受講対象者
精神保健医療に従事する医師,看護師,保健師,精神保健福祉士,薬剤師,臨床心理技術者
②日時・場所
2011年11月4日(金)9:30-17:30・ベルサール飯田橋(東京)
※11月以降,鹿児島,北海道,高知,岩手等で1日研修会が開催される予定
③定員・申込締切・受講料
200名・2011年9月30日・無料

→「2010年度の診療報酬改定において,うつ病に対する認知療法・認知行動療法が保険点数化された(3福祉士受験対策の「重要項目」を参照)。入院中以外の患者に対して,認知療法・認知行動療法に習熟した医師が一連の計画を作成し,患者に説明を行った上でその計画に沿って30分以上認知療法・認知行動療法を行った場合に1日につき420点(4,200円)を請求できるできることになった。この療法は,欧米を中心に有効性のエビデンスが多く報告されている。しかし,日本で活用される際の問題として,経済的支援の少なさ(専門診療で4,200円はいかにも安い)とマンパワー不足(力量あるスタッフ不足,研修体制の整備の必要性)が指摘されている。
→認知療法・認知行動療法は,次回の精神保健福祉士国家試験には,必ず出題されると考えている。アーロン・T・ベック,自動思考,ホームワーク(宿題),スキーマ,協同的経験主義(collaborative empiricism),ソクラテス的問答等がキーワードであることぐらいは知っていなければならない。(筆者)


「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」(2010年度厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)
8/3 厚生労働省 「児童虐待関係の最新の法律改正について」 ・2011年8月1日,厚生労働省から,「児童虐待関係の最新の法律改正について」(政策レポート)が公表された。

→社会福祉士国家試験受験者は必読である。厚生労働省への苦情である。「国民」に向けたものであるならば,もっと分かりやすい資料にしてから公表してもらいたい。学生の稚拙なレポートを見せられているようで,読んでいて苛立つ。
→この際,「2011年版子ども・子育て白書」(p.88~p.92)および「2011年版子ども・若者白書」(p.45~p.49)の児童虐待に関する記述にも目を通しておくことを勧めたい。また,2011年1月に,「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」が設置され,2011年7月11日に,「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ」が提出されたので,参考にされたい。(筆者)


7/21「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)および児童虐待相談対応件数等」7/12「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立の記事を参照

「児童虐待防止対策・DV防止対策(厚生労働省)
8/2 - 「児玉龍彦東大教授が国会で国会議員を叱責した」(You Tube)
~7月27日の衆議院厚生労働委員会において~
→2011年7月27日の衆議院厚生労働委員会において,児玉龍彦東京大学先端科学技術研究センター教授(東京大学アイソトープ総合センター長)は,「放射線の健康へ​の影響」に関して,参考人として陳述された。氏は,内部被曝の専門家であり,現在除染活動を行われているとのことである。内部被曝から子どもを守ろうとする責任感と使命感が伝わり,心を打たれた。
→「7万人が自宅を離れてさまよっている時に,国会は一体何をやっているのですか」という氏の叱責で,恥を知った国会議員がいてくれることを心から願っている。また,東京都はもちろん,静岡まで「安全ではない」という指摘がされているが,日本のマスメディアは,ほとんどが肝心の部分を無視して,都合のいい事柄だけを面白おかしく取り上げて報道しているように思える。一方,連日,必要以上に,異常とも思えるほど執着して中国高速鉄道事故を,批判的に取り上げている日本のマスメディアの姿勢に,放射能汚染問題や原発問題から日本国民の目をそらせようとする意図を,筆者は感じる。うそつきの古川佐賀県知事(自民,民主,公明推薦)や国会で泣き出した情緒不安定の海江田経済産業大臣を,行政のトップとして容認していていいものかという指摘も含まれている。
→関連情報である。1986年4月26日に発生したチェルノブイリ原発事故のその後を追い,2003年に米アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「チェルノブイリ・ハート」(マリアン・デレオ監督,ウクライナ・アメリカ合作)が,2011年8月13日(土)に劇場公開される。
→ついでに,どうでもいい話題であるが,事故後に福島県飯館村で,「避難の必要はない」と講演し,最近ではセシウムが検出された汚染牛肉問題に関しても,「セシウムは筋肉にたまる。だが,危険という証拠はない」とおっしゃる長崎大学の山下センセイは,7月15日に福島県立医大の副学長に就任されたらしい。「えらくなる人はやっぱり違う」と感心した。(筆者)


<大震災および放射能汚染関連のこれまでの記事>
7/28国立精神・神経医療研究センターのメンタルヘルス情報(東北地方太平洋沖地震関連)),7/26「被災地での健康を守るために」(2011年7月25日版),7/5「復興大臣の宮城県知事に対する態度」(You Tube),6/7「世界が日本に差し伸べた支援の手」,5/31おどおどしているように見える文部科学大臣と副大臣の記者会見(You Tube)),5/20NHKの「ネットワークでつくる放射能汚染地図」を観る),5/16改めて,チェルノブイリ原発事故から23年後のBBCのドキュメンタリーをYou Tubeで観る),5/9政府は,中部電力に浜岡原発の全面停止を要請した,4/27(政府からの重要なお知らせ)「避難されている皆様の情報を,避難先の市町村へご連絡ください!」,4/21筆者は,福島第一原発事故の政府の初動対応が失敗していたとの確信を持った),4/254月21日,「世界で最も影響力ある100人」に桜井勝延南相馬市長菅野武医師が選ばれた),4/19原発推進にかかわってきた文化人・知識人らの謝罪),4/18原発の広告塔となってきたタレントと道義的責任),4/15「東日本大震災における介護保険制度等の対応について」),4/14インターネット上で話題の故忌野清志郎氏と故黒澤明氏の作品を観た(You Tube)),4/12「東日本大震災の発生に伴う社会福祉士,介護福祉士及び精神保健福祉士養成施設等の運営等に係る取扱いについて(通知)」,4/11「震災孤児の人数および経済的支援について」,4/9「2011年統一地方選挙」で,原発存続派に票を入れていいものか,熟慮すべきである),4/7海外メディアの報道を見て,日本のメディアのあり様を考えてみる),4/6被災者への情報を掲載した「生活支援ニュース」の発行・配布が始まった,4/5原発反対の研究者の警告に耳を傾ける③),3/31「福島県内から避難した要介護高齢者等に関する介護保険施設・事業所等への周知について(依頼)」,3/30原発反対の研究者の警告に耳を傾ける②),3/29「スリーマイル島原発事故」は,1979年3月28日に起こされた(You Tube)),3/25「災害救助法」が適用された市町村,3/24全国の放射能濃度(①水道 / ②)),3/23原発反対の研究者の警告に耳を傾ける①),3/22放射線・放射能への理解),3/18「被災地での健康を守るために」,3/17菅首相の国民へのメッセージ」および「天皇陛下のおことば」,3/15福島第1原発2号機の水位低下事故が,2010年6月17日に発生していたのは本当か?),3/14(「東北地方太平洋沖地震」)の記事を参照
8/1 東京消防庁 「救急搬送データからみる乳幼児の事故(他人事と思わないで!知っていれば防げる事故がある!)」
~「東京消防庁HP」にリンクしています~
・2011年7月27日から,東京消防庁HPで公表されている。
<報告書の「前書き」(引用)>
「この報告書は平成18年~22年中に救急搬送された0歳~5歳児の44,225人分のデータがもとになっています。これら膨大なデータからわかることは,救急搬送する救急隊員や治療に当たる医療関係者の努力だけではなく,一番身近にいる大人の協力なくしては,乳幼児を守ることはできないということです。この貴重なデータを十分に活用いただき,乳幼児の事故を減らしていただければと強く願っています。」
<報告書の構成>
第1章:救急搬送データからみる乳幼児の事故
第2章:乳幼児事故の詳細な分析
第3章:考えてみよう 想像してみよう

→「1歳で多く,特に男児で多い!」,「多くは身近な住宅内で発生!」,「事故の多くは,転落・転倒!」,「18時~21時の時間帯が多い!」という特徴が示されている
→また,大けがになりやすく,重症化しやすい事故では,「溺れる事故」,「転落」,「やけど」が多い順であり,特に「溺れる事故」は生命に関わるが,ほとんどが「自宅の浴槽」で発生しているとされている。
→いわゆる専門家は,事故の原因を,もっともらしく少子化や核家族化による「環境の変化」にしたがる傾向にあるが,「事故を起こした親の無知と手抜きと不注意」が最大の原因だということは,親をしてきた者なら誰でも見抜いていることで,それをもっとアピールし,その対応をしていくべきではないかと思う。(筆者)


<参考情報>
乳幼児の事故予防に役立つサイト:
「キッズデザインの輪」(経済産業省)
いざというときの相談窓口:
「小児救急電話相談 ♯8000」(厚生労働省)
(→
5/24(「小児救急医療電話相談事業(#8000)」)の記事を参照のこと)
7/29 厚生労働省 「2010年簡易生命表の概況」 ・2010年の日本人の平均寿命は,男性が79.64歳(世界第4位,5年連続過去最高),女性が86.39歳(26年連続で世界第1位,5年ぶりに短くなった)であった。
・今回,特に興味深かったのは,女性の平均寿命が0.05歳短くなった理由について,厚生労働省が「猛暑で体力が弱ったお年寄りが多く亡くなったためではないか」と分析していることを,日本のマスメディアは,何の疑義を挟まずに垂れ流ししていたことであった。

→昨年の今頃の話である。2010年7月29日に,東京都足立区の「111歳男性」が白骨化した状態で発見され,これを契機として「高齢者所在不明問題」が日本中を駆け巡った。その折,「平均寿命世界一」に影響するのではないかという多くの国民の疑念に対して,厚生労働省は「今回の問題は平均寿命には影響しません」と断言し,理解が難しい理由を日本のマスメディアは疑義を挟まずに報道していたことを思い出して,同じようなことをすると思った。今回の上記の女性の平均寿命が縮んだ厚生労働省の分析について,筆者は,中国高速鉄道事故原因の中国政府発表と同じぐらいに「にわかには信じ難い」と思った。確かに,2010年の猛暑で,熱中症による女性死亡数が798人(2009年91人),男性死亡数が920人(同145人)と平均寿命にマイナス0.01歳分の影響があったことは理解できるが,女性の平均寿命がマイナス0.05歳になったことへの分析にはなっていない。(筆者)
7/28 国立精神・神経医療研究センター ■国立精神・神経医療研究センターのメンタルヘルス情報(東北地方太平洋沖地震関連) <国立精神・神経医療研究センターの支援医療関係者向けメンタルヘルス情報>
掲載日 支援医療関係者向けのマニュアル等
2011.6.10 災害 子どもの悲嘆ガイドブック(教育者,保護者向け)
2011.5.12 被災認知症支援マニュアル(医療用介護用
2011.4.25 心のケアチームマニュアル
2011.4.25 災害・紛争等緊急時における精神保健・心理社会的支援に関するIASCガイドライン
2011.4.25 災害・紛争等人道的緊急時における精神保健・心理社会的支援(保健医療版)
2011.4.6 災害被災者の不眠症への対応
2011.4.5 被災者の飲酒問題への対応
2011.3.31 災害救援者メンタルヘルス・マニュアル
2011.3.30 死亡告知・遺体確認における遺族への心理的ケアダイジェスト
2011.3.30 死亡告知・遺体確認における遺族への心理的ケア
2011.3.29 災害 被災した子どもを支援する方々へ(医療者,教育者向け)
2011.3.18 災害 子どもの心のケア(一般支援者向け)
2011.3.18 災害 子どものトラウマ支援5原則
2011.3.18 災害 子どもの保護者向けリーフレット
2011.3.18 災害 障害児への対応の手引き
2011.3.18 災害 発達障害をもつ保護者の方へ
2011.3.17 原子力災害の心のケア(原子力安全協会より提供)
2011.3.16 災害時地域精神保健医療活動ロードマップ
2011.3.16 マニュアル解説スライド(医療関係者用)
2011.3.16 災害精神保健医療マニュアル:東北関東大震災対応版
2011.3.16 災害時地域精神保健医療活動のガイドライン
2011.3.16 急性期のこころのケアについて

→「精神保健福祉士」への問題である。次の文章は正しいか?
問:デブリーフィングを,災害発生後36時間以内に行うことで将来のPTSDが予防できるという主張は,現在では国際的に認められている。
答:誤り。国際的に否定されている。
→2011年7月25日に,2012年度以降の精神保健福祉士国家試験の出題範囲などを見直すため,「第1回精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会」が開催された。今後,4回程度の会合を開いて年内をめどに検討結果を取りまとめ,試験の実施機関として指定されている「社会福祉振興・試験センター」に報告する予定と報道されている。ついでに申し上げておくが,現在の試験問題(専門科目)のレベルについては,かつての現任者講習で現任者を大量に合格させるための低レベルが維持されているように思う。(筆者)
7/27 厚生労働省 「2010年度の国民年金保険料納付率は最低の59.3%となり,2011年4月分は51.3%である」 <2011年度国民年金保険料および老齢基礎年金額>
区 分 2011年度 2010年度
国民年金保険料 月額15,020円 15,100円
老齢基礎年金(満額) 年額788,900円 792,100円

→「将来,年金をもらえるか分からないのだから未納でもいい」という意見は,心情的には理解できる。また,2011年7月1日に閣議決定された「税と社会保障の一体改革案」における,「所得比例年金」と「最低補償年金」の組み合わせからなる新しい年金制度創設の実現の困難さは,年金の素人でも分かり,年金制度の破綻が危惧されていることも十分理解できる。
→しかし,われわれが国民年金保険料を支払うことで受け取れる国民年金は,「老齢基礎年金」だけではなく,障害を受けた自分の将来の生活を支える「障害基礎年金」(1級:年額986,100円)や残された大切な家族の生活の支えとなる「遺族基礎年金」(子1人の妻:年額1,015,900円)があることと,「保険料未納におけるリスク・デメリット」をもっと具体的にアピールすれば,現行の年金制度においても,納付率回復につながるのではないかと思う。また,「保険料免除制度」の利用によるリスク回避の方法を周知徹底すべきである。国民が理解しやすいように説明する,という行政側の努力不足を感じる。
→なお,ごたごた続きの「主婦未納年金問題」にも関連する「年金確保支援法案」が今国会で審議されているが,厚生労働省は自分たちのミスや責任をタナ上げにして,未納者の責任だけで収束させることを目論んでいることを多くの国民は知らされていない。(筆者)


「私の年金が知りたい」(日本年金機構)
7/26 厚生労働省 「被災地での健康を守るために」(2011年7月25日版)
<項 目>
(1)生活・身の回りのことについて
 ①暑さへの対策
 ②水分について
   ・水分の確保,飲料水の衛生
 ③食事について
   ・栄養をとる,食品の衛生
 ④トイレの衛生
 ⑤生活環境
   ・室内の環境,屋外の環境
(2)病気の予防
 ①感染症の流行を防ぐ
 ②粉じんから身を守る
 ③一酸化炭素中毒の予防
 ④エコノミークラス症候群にならないために
 ⑤心身の機能の低下予防
 ⑥歯と口の清掃(口腔(こうくう)ケア)・入れ歯
(3)こころのケア
(4)慢性疾患の方々へ
 ・慢性腎不全(人工透析),糖尿病(インスリン)等
 ・高血圧,喘息,てんかん,統合失調症等
(5)妊婦さん,産後まもないお母さんと乳幼児の健康のために

 ・注意した方がよい症状

→対人支援を行う「福祉専門職」にとって,平時から頭に叩き込んでおかなければならない事柄であると思われる。
→2011年度の3福祉士国家試験やケアマネ試験において,今回の大震災に関連して,「質の高い問題」がどの程度出題されるのかを注目している。その辺りからも,試験問題作成に関与している「社会福祉新興・試験センター」の力量が見て取れると思う。(筆者)
7/25 厚生労働省 「2011年度全国労働衛生週間(10/1~10/7)の実施について」 <2011年度スローガン>
「見逃すな 心と体のSOS みんなでつくる健康職場」
・日本の業務上疾病による被災者は,近年横ばいであったが,熱中症の影響もあり,2010年は8,111人と増加している。一方,一般定期健康診断の結果,何らかの所見を有する労働者の割合は増加を続け,2010年は52.5%であった。さらに,日本の自殺者数は13年連続で3万人を超え,そのうち2,600人が勤務問題を原因・動機の一つとしていることなどから,職場におけるメンタルヘルス対策の取組みが重要な課題となっている。

→繰り返し述べていることであるが,本来は「本人の問題」「自己責任」である健康管理を,日本国民は,国民皆保険制度の上に胡坐をかき,行政や医療機関や介護機関などにおんぶに抱っこに肩車をしてもらい,他者に依存し続けて,不健康のまま長寿世界一になった。自分のために,「自分の健康は自分で守る」という基本に立ち返ることが必要になっている。(筆者)

7/7
「2010年度 脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況」7/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が開催される),6/23「熱中症から身を守る 予防法と対処法」,6/14「2011年版 自殺対策白書」の記事を参照

「労働災害発生状況」
7/22 厚生労働省 「2009年度 母子家庭の母の自立支援関係事業の実施状況」 <母子家庭自立支援策>
・2002年に,「母子及び寡婦福祉法」,「児童扶養手当法」,「児童福祉法」,「社会福祉法」が改正され,2003年4月から施行された。この中で,母子及び寡婦福祉法に基づく「母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本方針」が定められ,地方公共団体において,母子家庭及び寡婦自立促進計画を策定し,実施することが求められた。これにより,「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」へと転換が図られ,現在は以下の4本柱で施策が推進されている

(1)子育て・生活支援策 ▼①保育所の優先入所の法定化
▼②ヘルパーの派遣などによる子育て・生活支援策の実施
③サテライト型施設の設置など母子生活支援施設の機能の拡充
(2)就業支援策 ●①母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
②母子自立支援プログラム策定等事業等
③高等技能訓練促進費等事業
④自立支援教育訓練給付金事業
(3)養育費の確保策 ▼①養育費相談支援センターの創設
▼②養育費支払い努力義務の法定化
▼③「養育費の手引き」やリーフレットの配布
▼④民事執行制度の改正による履行確保の促進
(4)経済的支援策 ★①児童扶養手当の支給
②自立を支援する観点から母子寡婦福祉貸付の充実
※「子育てと生活支援」・「養育費の確保」の▼は,父子家庭も対象
※「就業支援」の●は,事業の一部が父子家庭も対象(2009年度より)
※「経済的支援」の★は,20102年8月より父子家庭も対象

「母子家庭自立支援給付金事業」
「母子家庭等就業・自立支援センター事業」
7/21 厚生労働省 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)および児童虐待相談対応件数等」
<児童虐待死亡事例・相談対応件数等のまとめ>
(1)子ども虐待による死亡事例等の検証結果(2009年度)
①虐待死事例:47例(49人)【前年度64例(67人)】
②0歳児が20人(40.8%)で最多,0~5歳児が約9割(43人)
③「望まない妊娠」,「妊婦健診未受診」,「母子健康手帳未発行」が多く,これらの妊娠期・周産期の問題を併せて抱える傾向
④地方公共団体と国への提言のうち,国への提言で主なものは,以下の通り
・望まない妊娠について相談できる体制,養育支援を必要とする家庭に対する妊娠期・出産後早期からの支援体制及び関係機関の連携体制の整備
・通告義務・通告先等についての広報・啓発の一層の充実
・地方公共団体による検証内容の分析,提言に係る取組に対する評価の確認
(2)児童相談所における児童虐待相談対応件数(2010年度)
・全国205か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は55,152件(速報値:宮城県,福島県,仙台市を除いて集計した数値)であるが,これまでの最多件数
(3)実施された出頭要求等(2010年度)
・2008年度より,長期間,子どもの姿が確認できない家庭には,裁判所の許可に基づく臨検・捜索ができるようになるなど,新たな制度を導入
①出頭要求等:50ケース(対象児童数延べ72人) 【前年度21ケース(25人)】
②再出頭要求:6ケース(対象児童数延べ7人) 【同2ケース(2人)】
③臨検・捜索:2ケース(対象児童数延べ2人) 【同1ケース(1人)

→児童虐待防止に関して,ごまんといる日本の児童福祉専門家も国会議員も行政職員もジャーナリストも,これまで有効な対策の糸口すら見出せず,バカの一つ覚えみたいに児童相談所の責任を繰り返すだけで,「知恵がない」と言われて久しい。
→結論だけを申し上げるが,筆者は,従来から,「福祉専門職」など対人支援を業とする専門職(国家資格者など)への児童虐待の通報義務化と通報を怠った場合の罰則化(罰金,氏名の公表,免許停止・取消など)を早期に実現させることが,効果的な児童虐待防止策への糸口になると考えている。言っときますが,こんなことは海外のことをちょっと勉強すればアホでも思いつくことですよ。(筆者)


7/12「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立の記事を参照
7/20 厚生労働省 「精神障害者地域移行・地域定着支援事業実施要綱」および「精神障害者アウトリーチ推進事業実施要綱」

<精神障害者の地域移行への取組みの経緯>
・2004年9月に,精神保健福祉対策本部がまとめた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において,「入院医療から地域生活中心へ」という今後10年の精神保健医療福祉施策の基本的な方策が示された。
・2009年9月に,ビジョンの中間点を迎えるに当たって,それまでの改革の成果の検証と,今後の重点施策の策定に向けた検討を行うため,2008年4月より「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」が開催され,2009年9月に報告書(「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」)がまとめられた。
・これを受け,2008年度より地域体制整備コーディネーターや地域移行推進員の配置を柱とした「精神障害者地域移行支援特別対策事業」が実施されたが,2010年度からは「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」として名称および事業内容が改められた。
・さらに,2010年5月には「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」が開催され,アウトリーチ(訪問支援)の充実等,精神保健医療福祉施策の改革の具体化に向けた検討がなされ,6月にアウトリーチ支援実現に向けた考え方がまとめられ,2011年度から「精神障害者アウトリーチ推進事業」が試行的に実施されることになった。

→次回の精神保健福祉士国家試験において,必ず出題されると考えている。「ACT(Assertive Community Treatment)」と「精神障害者アウトリーチ推進事業」との違いなどは理解しておかなければならない。(筆者)

「精神障害者地域移行・定着支援事業の手引き」 / イメージ図
「精神障害者アウトリーチ推進事業の手引き」 / イメージ図
7/19 厚生労働省 「7月28日は,“World Hepatitis Day”(世界肝炎デー)」
~スローガン:“Know it. Confront it. Hepatitis affects everyone, everywhere”~

「世界肝炎デーWorld Hepatitis Day 2011」(You Tube)

<厚生労働省の広報文>
「世界保健機関(WHO )は,2010年に世界的レベルでのウイルス性肝炎のまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消や感染予防の推進を図ることを目的として,7月28日を“World Hepatitis Day”(世界肝炎デー)と定め,肝炎に関する啓発活動等の実施を提唱しました。今年のテーマは,「This is hepatitis」、スローガンは、「Know it. Confront it. Hepatitis affects everyone, everywhere」(肝炎は世界中の誰もが感染する病気。正しく理解し,立ち向かおう。)です。我が国では,肝炎対策基本指針(平成23年5月16日策定)に基づき肝炎対策の総合的な推進を図ることとし,肝炎の予防,病気や治療に関する正しい理解が進むように普及啓発や情報提供を推進いたします。」

→2011年6月28日に,集団予防接種が原因でB型肝炎に感染したとして,患者らが国を訴えた「B型肝炎訴訟」で,菅首相が「原告団に対して」,直接謝罪し,国と原告は,和解のための基本合意書に調印した。しかし,菅首相は,「国民に対して」,きちんと謝まっていない厚生労働大臣も然りである。 この非常識さが,菅政権の特長である。
→日本のB型肝炎感染者約100万人のうち,集団予防接種が原因でB型肝炎の感染被害を受けた人は,全国で40万人を超えると国は試算している。注射器の使い回しを,1948年に予防接種が義務付けられた当時から40年間も放置してきたのは,現厚生労働省であり,その責任は重い。ところが,現厚生労働大臣は,2011年7月5日の記者会見で,反省の弁もなく,今後5年間で必要となる最大1.1兆円の和解金の財源を「増税で」というようなふざけたことを言った。民主党政権および与党民主党は,ムダを省いて,公務員制度改革をして,ムダに多い国会議員の首を切ったあとで,国民に対して増税をお願いするのが筋であり,それ以外の方策などあり得ない。就任後,まったく国民の役に立つことがなかった現厚生労働省政務三役は,「増税」を言う前に,せめて,「自分たちのお手当は,全額返納させていただく」ぐらいの気の利いたことが言えないものかと思う。どうせ,間もなく,政権交代で辞めていくのだから好きなことを言わせておけばばいいのだが,火事場泥棒みたいに,どさくさにまぎれて何でもかんでも「増税」で対処しようとする現政権の無能さには,うんざりしたので記事にした。最後に,国民に対して,きちんとした増税の説明と納得が必要であり,政府が手抜きしてボンクラなことをすると,国民の非難・批判は,被害者である「原告(団)」に向かっていき,取り返しのつかないことになる!(筆者)


7/4「障がい者制度改革推進会議等の進捗状況(2011年6月30日現在)」),5/23「肝臓週間(5月23日~29日)について」の記事を参照

(肝炎関連の情報)
→■「肝炎総合対策の推進」(厚生労働省HP)
⇒○「肝炎対策基本法」(2010年1月施行)
⇒○「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」(肝炎対策基本指針)(2011年5月16日策定)
⇒○「身体障害者福祉法における肝臓機能障害の追加」(2009年10月16日通知)
⇒○「薬害肝炎事件等への対応」(2010年版厚生労働白書)
→■「肝炎情報センター」(国立国際医療研究センターHP

7/15 厚生労働省 「ストーマ装具の交換は,原則として医行為には該当しない」(2011年7月5日通知) ・2011年6月5日付で公益社団法人日本オストミー協会から提出されていた「ストーマ装具の交換について(照会)」に対して,2011年7月5日付で厚生労働省医政局医事課から「ストーマ装具の交換について(回答)」が通知された。
・通知のポイントは,「介護職などが皮膚保護機能のあるストーマ装具を交換しても,利用者の皮膚を傷付ける恐れが極めて低いため,原則として医行為に当たらないのではないか」とする照会を,全面的に認めたことである。
・なお,従来は,2005年の「医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(2005年7月26日通知)」において,『注1 以下に掲げる行為も,原則として,医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。(中略)④ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)』として,医行為と解釈されていた。

「医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(2005年7月26日通知)
7/14 厚生労働省 「2010年国民生活基礎調査の概況」 ・7月12日に,「2010年国民生活基礎調査の概況」が公表された。この調査は,保健,医療,福祉,年金,所得等国民生活の基礎的事項を調査し,厚生労働行政の企画・運営に必要な基礎資料を得ることを目的とするもので,1986年を初年として3年ごとに大規模な調査を実施し,中間の各年は小規模な調査を実施するが,2010年は第9回目の大規模調査であった。
・なお,厚生労働省は,別途,「2010年国民生活基礎調査におけるがん検診の受診状況について」を公表している。

→今回の調査に関して,日本のマスメディアの報道における「見出し」は,総じて「貧困率・最悪16%,高齢者世帯1000万突破」というようなものであった。金太郎飴のようになったのは,おそらく,我が国の有能なジャーナリストが,調査結果も読まずに,お上の発表をそのまま垂れ流ししたためだろうと思われる。「民主党政権になって,貧困率が最悪になった!」というような「味のある見出し」が,一つぐらいあってもよかった。
→「福祉専門職」には,原資料に目を通し,データを読み解き,自身で考えた国民生活の問題点と対応策を想定し,「ソーシャルビジネス」につなげてもらいたいと思う。
→蛇足であるが,昨日(6月13日),菅首相の記者会見があった。今更,「将来は原発がない社会を実現する」というような菅首相の個人的な見解や具体性のない決意表明など,国民のただの一人も聞きたいと思っていない。虚勢を張る姿を観ていて,哀れに思った。(筆者)
7/13 国土交通省

厚生労働省
「改正高齢者住まい法」が成立(第177回通常国会) ・「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律」(改正高齢者住まい法等)は,2011年4月27日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し,4月28日に公布された。公布(4月28日)後6か月以内に施行される予定である。
<「改正高齢者住まい法」のポイント>
①高円賃・高専賃・高優賃を廃止し,「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化し,都道府県知事の登録制度を創設(国交省・厚労省共管制度)
⇒地方公共団体による高齢者向けの優良な賃貸住宅制度は存置
②老人福祉法との調整規定を措置
⇒登録を受けた場合には,有料老人ホームの届出不要
③住宅金融支援機構の保険の特例
⇒サービス付き高齢者向け住宅の家賃等の前払金に係るリバースモーゲージを住宅金融支援機構の保険の対象に追加

<「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の概要>
(1)登録基準(有料老人ホームも登録可)
①住宅基準
・住宅の規模・構造(床面積は原則25㎡以上,バリアフリー義務づけ等)
②サービス基準
・サービスを提供すること(安否確認・生活相談は必須で,食事の提供・家事援助等のサービスを提供する)
③契約基準
・長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないことなど,賃貸借契約等の居住の安定が図られた契約であること
・前払金に関して,入居者保護が図られていること
(2)登録時業者の義務
・登録事項の情報開示
・入居者に対する契約前の説明等
(3)行政による指導監督
・報告徴収・立入検査・是正指示等
※高円賃・高専賃(登録制度),高優賃(供給計画認定制度)の廃止,高齢者居住支援センター(指定制度)の廃止

<「サービス付き高齢者向け住宅」と「定期巡回・随時対応サービス」との連携のイメージ>
・日常生活や介護に不安を抱く「高齢者単身・夫婦のみ世帯」が,特別養護老人ホームなどの施設への入所ではなく,住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とするよう,今回の改正高齢者住まい法により創設される「サービス付き高齢者向け住宅」に,2011年の改正介護保険法により創設される24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」などのサービスを組み合わせた仕組みの普及を図るとしている。

→今回の「改正高齢者住まい法」の「サービス付き高齢者向け住宅」と2011年の「改正介護保険法」の「定期巡回・随時対応サービス」は,2025年に向けた高齢者の安心を地域で保障するという「地域包括ケアシステム構築」の一貫として位置づけられる。2025年には,高齢者が3600万人,団塊世代が後期高齢者となり,現在7兆円の介護費用が19~24兆円になることを,政府は心配しているらしい。筆者には,「定期巡回・随時対応サービス」と同様に,今回の生煮えの「サービス付き高齢者向け住宅制度」が,政府の言うように「高齢社会における切り札になる」とは思えない。(筆者)

6/28(■「改正介護保険法」が成立の記事を参照

「地域包括ケアシステム報告書」(2010年4月26日公表)
7/12 法務省

厚生労働省
「改正民法」および「改正児童福祉法」が成立(第177回通常国会)
~2012年4月1日から施行~


(2012年3月8日追記)
「民法等の一部を改正する法律の概要」(法務省)
「児童虐待関係の最新の法律改正について」(厚生労働省)
「民法等の一部改正と新しい親権制限の制度~児童虐待を防ぐために~」(最高裁)
「児童虐待から子どもを守るために民法の「親権制限制度」が見直されました」(内閣府)


・「民法等の一部を改正する法律」は,2011年5月27日の参議院本会議で全会一致で可決・成立し,6月3日に公布された。なお,衆参法務委員会で,それぞれ10項目を超える付帯決議がなされている。
・この法律は,児童虐待の防止等を図り,児童の権利利益を擁護する観点から,親権の停止制度を新設し,法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにすること等の措置を講ずるため,民法の改正を行い,これに伴い所要の法律について規定の整備を行うとともに,里親委託中等の親権者等がいない児童の親権を児童相談所長が行うこととする等の措置を講ずるため,児童福祉法の改正を行うことを目的としている。
・「改正民法等」のポイント

区 分 改正のポイント
民法の改正 ①2年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権の停止制度の新設
②法人又は複数の未成年後見人の許容
③子の監護及び教育が「子の利益のため」にされるべきことを明確化
④懲戒に関する規定の見直し
⑤離婚後の子の監護に関する事項の定めとして面会交流等を明示
民法と児童福祉法の改正 ①親権の喪失等の家庭裁判所への請求権者の見直し
児童福祉法の改正 ①施設長等の権限と親権との関係の明確化→児童相談所長や児童養護施設の施設長らの権限を,緊急の場合は親の意向よりも優先させて,
②里親等委託中及び一時保護中の児童相談所長の親権代行について規定
その他 ・所要の規定の整備(民法,児童福祉法,家事審判法,戸籍法等)
付帯決議 衆議院での付帯決議(4月26日)
参議院での付帯決議(5月26日)
施行期日 ・公布日(6月3日)から1年を超えない範囲内において政令で定める日

→日本のマスメディアは,児童虐待事件をセンセーショナルに報道するが,児童虐待における法律的な問題点を整理し,虐待防止に向けた国民的な議論を喚起しようとする気がないように思える。その根幹となる法律の規定は,「民法第822条の懲戒規定」であることも知らずに報道しているのかも知れない。つまり,民法第822条が,児童虐待の「隠れ蓑」,「言い訳」にされていることが最大の問題であり,親権を最大2年停止したところで児童虐待防止の決め手とはなり得ないことぐらい誰でも分かっていることである。結局,今回の改正で,懲戒規定の一部を変えた(「子の利益のために」を加えた等)が,それ以上踏み込むには,法律と親子関係における国民的な議論と民意が必要になる。なお,筆者は,懲戒規定を削除すべきだと考えている。また,経済産業省の原発行政(推進と規制)と似たところがあると思うが,厚生労働省の児童相談所の業務(子どもを守ると親子を引き離す)についても,いつまでも放置していることも問題である。(筆者)
7/11 厚生労働省 「2011年8月から雇用保険の基本手当日額を5年ぶりに引き上げ」 ・2011年8月1日から雇用保険の「基本手当日額」が引き上げられる。基本手当日額は,2006年以来5年ぶりの上昇である。
・「基本手当」は,労働者が離職した場合に,失業中の生活を心配せずに再就職活動できるよう支給するものである。
・「基本手当日額」は,離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額をいい,給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められている。
・今回の引上げは,基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の下限額の引上げなどを内容とする「改正雇用保険法」が2011年8月1日に施行されること,また2010年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月きまって支給する給与の平均額)が,2009年度と比べて約0.3%上昇したことに伴うものである(「毎月勤労統計調査」の平均的給与額の上昇,または低下した比率に応じて毎年自動変更されている)。
<具体的な変更内容>
(1)基本手当日額の最低額の引上げ
・1,600円 → 1,864円 (+264円)
(2)基本手当日額の最高額の引上げ
・基本手当日額の最高額は,年齢ごとに以下のようになる。
 ①60歳以上65歳未満:6,543円 → 6,777円 (+234円)
 ②45歳以上60歳未満:7,505円 → 7,890円 (+385円)
 ③30歳以上45歳未満:6,825円 → 7,170円 (+345円)
 ④30歳未満:6,145円 → 6,455円 (+310円)

→基本手当日額の引き上げは,失業給付の受給額だけでなく,雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の助成額にも影響する。
→この際,「雇用保険制度」を理解しておくことを勧める。(筆者)


(ハローワークネットサービス)
→■「雇用保険制度」および「雇用保険手続き」
7/8 厚生労働省 「2009年度 医療費マップ」(概要 / 本文 ・2011年7月7日に,厚生労働省は,「2009年度の医療費の地域差分析(医療費マップ)」を公表した。
・「医療費マップ」は,一人当たりの保険医療費(国民健康保険(国保)と後期高齢者医療制度)を都道府県別にまとめたものである。
<2009年度の一人当たりの保険医療費>
①全国平均は44.5万円(前年度比1.5万円増)であった。
②最高額の高知(57.2万円)と最低額の千葉(36.3万円)で1.58倍(前年度1.57倍)の開きがある。
③75歳以上の後期高齢者一人当たりでは,最高額の福岡の(110万1,000円)と最低額の新潟(71万5,000円)で,1.54倍の開きがある。また,100万円を越えているのは,福岡県,北海道,高知,広島,長崎の5道県である。なお,地域ブロックでは,北海道と九州で高く,東北・関東・甲信越・東海で低くなっている。

<参考:2008年度の国民医療費>
①34兆8,084億円(前年度比2.0%増)となっている。
②人口一人当たりの国民医療費は27万2,600円(前年度比2.0%増)で,国民医療費の国民所得に対する比率は9.90%(前年度0.88%増)である。

→後期高齢者一人当たりの2009年度医療費に関して,「厚生労働省は,入院患者の多い地域が医療費を押し上げる傾向があると分析している」と報道されていた。この分析で,「なるほど」と納得できたならそれでいい。
→これまでにも,国民医療費と医療費の地域差の適正化(抑制化ではない)は言われ続けててきたが,その原因解析や対応策で納得できる説明は,筆者には見当たらなかった。現政権においても,2011年7月1日に閣議報告された「社会保障・税一体改革成案」の「医療・介護等」を見ても,本気で医療費の改善をするをつもりはないことが分かった。医療費の地域差の原因に関して言えば,根は深いが,医者があぶれないように,それに見合う患者を作り出していることと,病床が埋まるまで入院患者を受け入れていること,が主な原因だというのは分かりきったことである。(筆者)
7/7 厚生労働省 「2010年度 脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況」 ・2011年6月14日に,厚生労働省は,過労死や仕事のストレスによる精神障害の状況を取りまとめ,「精神障害などによる労災請求件数が2年連続で過去最多であった」と公表した。
・厚生労働省において,精神障害などの請求件数や支給決定件数が増え続けていることから,審査の迅速化を図るため,2010年10月15日から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において,精神障害の労災認定基準の見直しが検討されている。

→「精神障害」に関連する事柄として,2011年7月6日に,「第19回社会保障審議会医療部会」が開催され,都道府県が5年ごとに策定する医療計画に記載する疾病に,「精神疾患」を新たに追加することが合意された。これにより,2013年度に見直される「医療計画」の基本方針に反映され,2006年の改正医療法で設定された「4疾患5事業」は「5疾患5事業」になると見られている。なお,医療計画に関しては,2010年12月17日から「医療計画の見直し等に関する検討会」で検討されている。また,2008年の患者調査において精神疾患の患者数は323万人で,医療計画に記載すべきいずれの4疾患の患者数よりも多くなっている。「福祉専門職」が,「4疾患」(医療法施行規則第30条の28)を知らないのではどうしようもない。本件に関しては,改めて「医療計画について」として,記事にする予定である。
→3福祉士国家試験やケアマネ試験においては,今後,うつ病や認知症などの精神疾患に関する出題が増加していくことを予想しておかなければならない。(筆者)


(パンフレット)
→■「脳・心臓疾患の労災認定-「過労死」と労災保険-」
→■「精神障害等の労災認定について」
7/6 厚生労働省 ■「各国の社会保障施策と最近の動向」
~2011年3月版「海外情勢報告」より~
<各国の社会保障施策の概要と最近の動向>
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
スウェーデン

(・韓国
(・タイ

「2010年度社会福祉士・精神保健福祉士(共通科目)国家試験の問題27」をご覧いただきたい。選択肢,1.は「福祉から就労へ(Welfare to Work)」が正しい,2.は,「市に移管し,高齢者医療と社会サービスの一体化」が正しい,3.は「正文」,4.は,「老人長期療養保険法」が正しい,5.は,「財源は,自己負担金(30バーツ)と税」が正しい,である。
→筆者の「問題27」の評価であるが,総じて問題の中身が古くさくて,寄せ集めで,練度不足の粗悪な問題だと考える。具体的には,1.のアメリカでは,いつまでも「96年福祉改革」で済ませていていいものか,2.のスウェーデンでは,いつまでも「92年のエーデル改革」でお茶を濁していてはよくない,3.のイギリスでは,いつまでも「90年の国民保健サービス及びコミュニティケア法」では知識が深まらない,5.の韓国では,低出産・高齢化の深刻な問題を抱えている国状には触れずに,いきなりの税方式か保険方式の設問はありなのか,5.のタイでは,受験者の知識としての必要性に疑問がある「30バーツ医療」は,2006年10月末から自己負担の徴収を停止し,現在は無料で医療を受けることができることを作問者は知った上で出題いるのだろうか,というような感想である。
→自分ならこんな面白い問題を出すけどな,ぐらいの気持ちで,今回の資料を通読されたい。(筆者)
7/5 - 「復興大臣の宮城県知事に対する態度」(You Tube)・・・7/5辞任したので,記事として取り消した ・復興大臣は,2011年7月3日に就任後初めて岩手・宮城両県を訪れた。宮城県庁を訪問した際の,宮城県知事との会話の様子である。
・復興大臣は,宮城県知事だけではなく,マスメディアにも凄んでみせた。結果,「東北放送」(TBC)だけがニュースを流した。


→インターネット上で話題になっている動画を取り上げたもので,他意はない。できれば,こんな「カス」みたいなことを記事にしたくはない。
→復興に関する政府の動きを概観する。2011年5月2日に,復旧・復興関連予算である「2011年度第一次補正予算」が成立した。「東日本大震災復興基本法」が,6月20日に制定,6月24日に施行された。6月25日には,「東日本大震災復興構想会議」から「復興への提言(悲惨のなかの希望)」が提出された。6月27日に,新大臣として,復興大臣と細野原子力事故担当大臣が就任した。6月28日に,「復興対策本部」(本部長:菅首相,副本部長:枝野官房長官と復興大臣)が設置され,復興構想会議の提言を最大限尊重して,「復興基本方針」を7月中に策定するとしている。また,「二次補正予算」を成立させなければならない状況にある。
→国と地方自治体の双方とも,信頼関係の修復と構築への努力を惜しんではならないと思う。(筆者)
7/4 - ■「障がい者制度改革推進会議等の進捗状況(2011年6月30日現在)」 ・2011年6月30日に開催された「障害保健福祉関係主管課長会議」の資料を基にして,障害者制度の見直しの進捗状況を以下にまとめた。
<障がい者制度改革推進会議等の進捗状況>
(1)「障害者制度改革」
・障害者制度改革については,2009年12月8日,「障がい者制度改革推進本部」が設置され,本部の下で2010年1月から「障がい者制度改革推進会議」で,制度改革に向けた議論が行われている。
・「障がい者制度改革推進会議」は,これまで33回開催され,2010年6月7日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」が提出され,2010年6月29日には,第一次意見を踏まえて,政府として「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を閣議決定された。
・2010年12月17日に「障害者制度改革の推進のための第二次意見」が提出された。
(2)「障害者基本法の改正」
・障害者基本法の改正については,「障害者基本法の一部を改正する法律案」が2011年4月22日に国会に提出され,6月16日の衆議院で全会一致で可決され,現在参議院に送付されている段階である。また,障害者総合福祉法(仮称)については,2012年通常国会に法案を提出し,2013年8月までの施行を目指すとされている。
・そのため,2010年4月から,「障がい者制度改革推進会議」の下に「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が設置され,障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法(仮称)の制定に向けて検討が行われており,2011年8月を目途に新法の骨格が提言される予定とされている。これを踏まえ,2012年の通常国会への法案提出が検討されている。
(3)「障害者総合福祉法(仮称)の検討」
・2010年10月から12月までを第1期として,6つの部会作業チーム(法の理念・目的,障害の範囲と選択と決定~障害の範囲,障害の範囲と選択と決定~選択と決定・相談支援プロセス(程度区分),施策体系~訪問系,施策体系~日中活動とGH・CH・住まい方支援,施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割)と,「障がい者制度改革推進会議」との3つの合同作業チーム(就労(労働及び雇用),医療,障害児支援)において議論が行なわれ,2011年1月25日に作業チームより検討結果の報告が行われた。
・2011年2月からは第2期として,5つの部会作業チーム(障害の範囲と選択と決定~選択と決定・相談支援プロセス(程度区分),地域移行,地域生活の資源整備,利用者負担,報酬や人材確保等)と3つの合同作業チーム(就労(労働及び雇用),医療,障害児支援)において議論が行なわれ,2011年6月23日に各作業チームより検討結果の報告が行われている

→2009年に,前厚生労働大臣が,「障害者自立支援法」を廃止し,「制度の谷間」がなく,サービスの利用者負担を応能負担とする「障害者総合福祉法(仮称)」を制定する,と大風呂敷を広げてしまったことまでは知っていても,その後のことは,多くの国民は,何が問題で,何をどのように検討されているのかをまったく知らされていない。「福祉専門職」でも,十分に把握していないのが現実である。「障害者」にかかわることは,国の十分な説明と国民の理解と協力がなくては先に進まない。いくら障害者や家族を交えて検討しても,国民を置いてきぼりにしてトップダウンで行えば,ひずみが起こり,批判や非難の対象が「障害者」に向っていくことぐらい容易に想定できる。
→話はそれるが,最近の「B型肝炎訴訟」における菅首相の謝罪や和解は,国の姿勢としては一見よさそうに思えるが,原告一人最大3,600万円の和解金,全国の被害者数40万人で最大3兆2千億円もの莫大な税金が投入されることを,国は国民に十分に説明し,理解と協力を求める努力をしていない。国の考え違いのために,今後,国民の批判の矛先が「原告団(730人)」と今後の訴訟提起者に向かっていく可能性が危惧されている。政治は二流でも国民は一流なのだから,きちんと説明すれば,理解と協力は必ず得られるはずである。
→なお,国は,2010年12月10日に,「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」という長ったらしい法律を制定・公布させている。いわゆる「つなぎ法」で,「障害者自立支援法」「児童福祉法」「精神保健福祉法」が改正されており,これに伴い,「社会福祉士及び介護福祉士法」および「精神保健福祉士法」も改正されているので,3福祉士受験者は注意されたい。これらの改正内容については,以下のページに掲載している。(筆者)


「障害者自立支援法(2005新法)」

6/29「障害者虐待防止法」が成立,6/15「2011年版 障害者白書」の記事を参照
7/2 厚生労働省 【重要】「第24回介護福祉士国家試験の施行について」

(7月5日追記)
「出題基準に関連する事項(参考)」
公表が遅れていた第24回介護福祉士における国家試験新科目による出題基準・合格基準が,2011年7月1日に,厚生労働省および試験センターから公開された。
<新出題基準と新合格基準>(7月5日追記)
出題基準 合格基準
科目数:12科目 科目群数:10科目群
▼総試験時間数:210分
▼出題形式:5肢択一方式
▼総問題数:120問
・満点:120点
試験センター 試験センター
(1)問題の総得点の60%程度を基準として,問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
(2)(1)を満たした者のうち,以下の試験科目10科目群すべてにおいて得点があった者。
<>内は出題予定数
◎領域:人間と社会
<16問>
①人間の尊厳と自立
②人間関係とコミュニケーション
③社会の理解
◎領域:介護
<52問>
④介護の基本
⑤コミュニケーション技術

⑥生活支援技術
⑦介護過程
◎領域:こころとからだのしくみ
<40問>
⑧発達と老化の理解
⑨認知症の理解
⑩障害の理解
⑪こころとからだのしくみ
◎総合問題
<12問>
⑫総合問題(上の3領域の知識・技術について横断的に問う問題を,事例形式で出題)
①人間の尊厳と自立,介護の基本
②人間関係とコミュニケーション,コミュニケーション技術
③社会の理解
④生活支援技術
⑤介護過程
⑥発達と老化の理解
⑦認知症の理解
⑧障害の理解
⑨こころとからだのしくみ
⑩総合問題
<試験委員>
2011年度と2010年度との試験委員の比較

→出題基準・合格基準は,おおよそ想定していた内容のものであった。試験委員も,前年度からの大きな変化はなかった。出題形式は,すでに2010年度に実施されているように,5択から正答を1つ選択することが基本になると思われる。したがって,やまだ塾の受験対策としては,過去問をベースとした模擬問題を中心にして,白書や審議会・検討会などで「重要事項」を確認する中で,事例問題に対応していく方向で進めようと考えている。(筆者)
7/1 厚生労働省 「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が開催される →2010年9月7日の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」において,「職場のいじめ→うつ病→自殺」という危機経路が提示されていた。2011年5月25日に,「2010年度個別労働紛争解決制度施行状況」が公表され,「解雇」に関するものが大幅に減少し,「いじめ・嫌がらせ」(13.9%)が増加している,という内容が含まれていた。これまでにも,「職場でのモラルハラスメント」を規制するための立法化の必要性が指摘されている。先進諸国における「職場のモラルハラスメント」への関心事は,すでに法整備後の総合的な対策にあると言われる。
→左記の円卓会議のメンバーを見ていると,おおよその話の流れや言い分は想定できる。筆者は,日本の実態や海外の調査・研究に基づいて,多種多様な立場・視点からの検討が必要であり,偏った人たちだけで,「カン」や「経験」で話し合って解決してはならない問題だと考える。(筆者)
6/30 - 「改正NPO法」が成立(第177回通常国会)
~2012年4月1日から施行~
・議員立法による「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律」(改正NPO法)は,2011年6月8日に,第177回通常国会に提出され,6月15日に,全会一致で可決・成立した。
・この法改正は,寄付の税制優遇措置を受けられる「認定NPO法人」の認定を受けやすくすることを目的として行われた。
・なお,寄付金税制は,別途「所得税法等の一部改正法案」に組み込まれている。
<「改正NPO法」の主な内容>
(1)認証NPO法人関係の改正
①NPO法人の活動分野に「観光の振興を図る活動」「農山漁村及び中山間地域の振興を図る活動」「都道府県・政令市の条例で定める活動」3分野を追加する。(現行:17の活動分野)
②内閣府の認証事務をなくし,認証は主たる事務所の都道府県・政令市に移管する。
③会計書類を「収支計算書」から「活動計算書」に名称変更する。
④解散公告回数を削減し,届出事項を追加するなど認証の柔軟化・簡素化を行う。
(2)認定NPO法人関係の改正
①認定NPO法人制度を,NPO法に盛り込む。
②認定機関を,国税庁から都道府県・政令市へ移管する。
③パブリック・サポート・テスト(PST)が免除される「仮認定制度」を導入する。
④インターネットを通じた情報開示を進める。

(3)施行期日
・2012年4月1日

→「市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進」(法第1条)することを目的として,1998年12月に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行された。
→超党派のNPO法議連で改正に取り組んできた辻元清美議員は,今回の「改正NPO法」によって,経済のあり方が変り,政治のあり方が変り,社会を変える起爆剤になると,記者会見で手放しで喜んでおられた。しかし,多くの国民は,寄付をしたくとも,NPOの名前がただの一つも思い浮かばないし,活動に対して何となく怪しげな思いを持っている,というのが現実ではないだろうか。いくら法整備をしても,国民との距離を縮め,関心と共感と信頼を獲得するための時代に即応した方策(有能な人材の獲得を含めた)がなければ,寄付は飛躍的・継続的には拡大していかないと思われる。筆者は,日本におけるNPO側の抱える問題を明らかにし,それを国民と共有していかなければ,経済・政治・社会の変革につながっていかないのではないかと思う。(筆者)


「内閣府NPOホームページ」
6/29 - 「障害者虐待防止法」が成立(第177回通常国会)
~2012年10月1日から施行~
・議員立法による「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)は,2011年6月17日に,全会一致で可決・成立した。
・この法律は,家庭や福祉施設,職場での虐待の予防と早期発見により,障害者の人権を守るのがねらいである。
<「障害者虐待防止法」の主な内容>
(1)「障害者虐待」とは,①養護者によるもの,②福祉施設従事者によるもの,③使用者(職場の雇用主,事業の経営担当者など)によるもの,をいう。(法第2条第2項)
(2)「障害者虐待」は,①身体的虐待,②性的虐待,③心理的虐待,④ネグレクト,⑤経済的虐待,の5類型とする。(法第2条第6項・7項・8項)
(3)障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は,市町村に通報しなければならない。養護者による虐待の場合では,市町村は,障害者に危険があるときは,家庭に立ち入り調査ができ,警察に援助を求めることもできる。なお,立ち入り調査を拒否すると罰金が科せられる。
(4) 窓口として全自治体に,通報窓口や家族の相談や支援にあたる「市町村虐待防止センター」と,市町村に対する情報提供・助言や関係機関の調整を行う「都道府県権利擁護センター」を設置する。
(5)学校,保育所,医療機関官公署などは,障害者虐待の防止防止対策を講じなければならないが,通報義務の対象にはなっていない。なお,本件は,検討課題として,施行後3年を目途に見直されることになっている。
(6)国・地方公共団体に,障害者虐待の予防策や早期発見の努力義務を課す一方で,養護者の支援も規定されている。
(7)成年後見制度の利用を促進をする。
(8)施行は,2012年10月1日とする。 
(9)施行後3年を目途に見直しを図る。

→「障害者虐待防止法」成立までの経過をたどる。2004年に知的障害者更正施設における虐待事件で社会問題化し,2005年には厚生労働省で「障害者虐待防止についての勉強会 」が行われ,2009年の第171回通常国会に提案されながら,衆議院解散や政権交代などの政治のごたごたで廃案や継続審議を繰り返し,今回3度目の正直で「全会一致」で成立したものである。なお,日本社会福祉士会は,2010年3月に,2009年度障害者保険福祉事業として,「調査研究報告書」を公表している。社会問題化してから,法律制定までに7年もかかっている。「日本の政治や政治家の体たらく」は,今に始まったわけではないという証明である。「やるべきことは,ごちゃごちゃ言わずに,ちゃっちゃとやれ」と言いたくなる。
→3福祉士国家試験受験者は,左記の法律(案)を通読しておくと後々楽になると思う。ついでに,「高齢者虐待防止法」「児童虐待防止法」も。さらに余力があれば,「DV防止法」も。(筆者)
6/28 - 「改正介護保険法」が成立(第177回通常国会)
~2012年4月1日から施行~

(6月29日追記)
「改正介護保険法等の概要」(2011年6月16日第76回社会保障審議会介護給付費分科会資料)
・「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(「改正介護保険法等」)は,2011年4月5日に,第177回通常国会に提出され,6月15日に可決・成立し,6月22日に公布された。
・この法律は,高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように「地域包括ケアシステムの構築」をめざし,定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新たなサービス類型の創設,保険料率の増加の抑制のための財政安定化基金の取崩し,介護福祉士等によるたんの吸引等の実施等の措置を講じようとするものである。
<「改正介護保険法等」の主な内容>
(1)「改正介護保険法」
①地域密着型サービスに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」及び「複合型サービス」を追加する。
②都道府県は,2012年度に限り,財政安定化基金の一部を取り崩すことができる。
(2)「改正老人福祉法」
①有料老人ホーム等における利用者保護のための規定を創設する。
②市町村及び都道府県は,後見等に係る体制の整備等に努めなければならない。
(3)「改正健康保険法等」
・介護療養型医療施設について,2012年4月1日の時点で指定を受けているものについては,2018年3月31日までの間,介護療養型医療施設に係る規定は,なおその効力を有する。
→6年延期
(4)「改正社会福祉士及び介護福祉士法等」
①介護福祉士及び研修を受けた介護職員等は,診療の補助として,医師の指示の下にたんの吸引等を行うことを業とすることができる。
②介護福祉士の資格取得方法の見直しに係る改正規定の施行期日を,2012年4月1日から平2015年4月1日に変更する。
→3年延期
(5)施行期日
・この法律は,2012年4月1日から施行する。ただし,(3)及び(4)②については,公布の日から施行する。
(6)その他
・衆議院において,社会医療法人について,特別養護老人ホーム及び養護老人ホームの設置を可能とする旨の規定を削除する等の修正が行われた。

→「改正介護保険法等」が,6月15日の参議院本会議で,賛成多数(賛成223,反対10)で成立した。共産・社民両党は,地域支援事業に位置づけられる「介護予防・日常生活支援総合事業」は,市町村格差を招くなどとして反対した。筆者は,参議院での審議はわずか8時間であったことからも,賛成議員のすべてが「改正介護保険法等」の問題点を理解していたとは到底思えない。筆者には,市町村でのバラツキが想定できる総合事業や,実現性が不明な定期巡回や,介護職員に責任問題が発生する可能性がぬぐえないたんの吸引や,苦し紛れの延期策などから,今後,「介護保険制度」がよくなっていくというイメージがまったく持てない。政治や政治家の体たらくに乗じて,官僚や御用学者のやりたい放題ということであろう。
→ともかく,ケアマネ試験および3福祉士国家試験受験者は,「改正介護保険法等」の内容を,理解しておかなければならない。(筆者)

→■「新介護保険制度」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)」
6/27 厚生労働省 法改正により,介護福祉士の資格取得方法の見直しが延期された ・「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」は,2011年4月5日に,第177回通常国会に提出され,6月15日に可決・成立し,6月22日に公布された。
・この法律は,高齢者がひとり暮らしや重度の要介護状態になっても,住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするのがねらいであり,原則2012年4月1日から施行される。ただし,介護療養型医療施設の転換期限の延長(「改正健康保険法等」),介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期(「改正社会福祉士及び介護福祉士法等」),指定法人に係る規定の削除(「改正老人福祉法」のうち第4章の2を削除する改正規定等及び「改正福祉用具法」)等については,公布日(2011年6月22日))から施行された。
上記のうち,「改正社会福祉士及び介護福祉士法等」における介護福祉士の資格取得方法の見直し(実務経験3年以上にけわえて600時間以上の養成課程を経るなど)については,左記の図表の通り,施行期日が2012年4月(2012年度に実施される試験から)から2015年4月(2015年度に実施される試験から)に延期された。

→「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(「改正介護保険法等」)は,広範囲にわたる。全体的な説明は,明日(6月28日)に記事として掲載する予定である。「改正介護保険法等」は,2011年度のケアマネ試験および3福祉士国家試験の出題対象になると考えられる。(筆者)
6/24 厚生労働省 身近にあるボランティア「献血」
<厚生労働省「政策レポート」の前書き(引用)>
「日頃より献血へのご理解,ご協力をいただきありがとうございます。また,平成23年3月11日(金)に発生しました東日本大震災に伴い,多くの方々に献血へのご協力をいただいておりますことを深く感謝申し上げます。皆様からのご協力によりまして,現時点におきましては,医療機関からの需要に安定的に血液をお届けできております。しかしながら,血液製剤は有効期限があることから,医療機関へ安定的に供給するためには,一時期に偏ることのない継続的な献血が必要でありますので,何卒ご理解のうえ,今後とも献血へのご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。なお,東北地方以外の一部の献血会場においても,この度の地震の影響により,建物等への被害が発生しておりますので,事前に血液センターのホームページでご確認いただき,お越し下さいますようお願いいたします。」


(献血関連のサイト)
「血液事業の情報ページ」(厚生労働省)
「けんけつちゃん」(厚生労働省)

「献血サポーター」 / 「献血できる場所」 (日本赤十字社)

3/9「2011年4月1日から献血の可能年齢等(採血基準)が変わります!」の記事を参照
6/23 内閣府 「熱中症から身を守る 予防法と対処法」(動画:8分2秒)
~「政府インターネットテレビ」にリンクしています~
<動画の広報文(内閣府)>
「猛暑日,熱帯夜が増えるのにともない,室内で熱中症になるケースも増えています。特に高齢者の死亡数が増しているので,その予防法と対処法をご紹介します。」


<熱中症の予防法(厚生労働省)>
「水分補給」と「暑さを避けること」

<熱中症になったときの処置(厚生労働省)>
涼しい場所へ避難させる。
②衣服を脱がせ,
身体を冷やす
水分・塩分を補給する。
ただし,
自力で水を飲めない,意識がない場合は,直ちに救急隊を要請する。

→熱中症で救急搬送された人は,6月19日までの3週間に全国で685人に達し,うち沖縄県の女性1人が死亡していたことが,総務省消防庁から発表された。都道府県別の搬送者数は,沖縄67人,愛知64人,大阪37人の順であった。
熱中症における日常生活の指針(2008年日本生気象学会)として,WBGT(湿球黒球温度,暑さ指数)が,28~31度では「厳重警戒」,31度以上では「危険」,と表される。環境省からは,日本各地のWBGT予報が出されている。東京を例にとれば,6月23日と24日には「厳重警戒」が予報されている。放射能汚染への対応にも共通することであるが,今後の日本においては,「正しい知識・情報(海外を含めて)」を手に入れる努力と「自分や家族の健康は,自分が守る」という強い意思・行動が必要になってくる,と筆者は思う。少なくとも,「熱中症は予防できる」のだから。
多くの日本国民は,本来は「本人の問題」「自己責任」である健康管理を,行政や医療機関や介護機関におんぶに抱っこに肩車をしてもらい,他者に依存し続けてきた。その結果,莫大な医療費を費し,他律的に「世界一の長寿」を手に入れた。福島第一原発事故においても,行政に依存したまま,被曝し続けている人もいるかも知れない。自律性や自主性に向かって,筆者も含めて国民自身が,意識を変えていかなければならないのではないかと思う。(筆者)


6/1「職場での熱中症予防の徹底を!」の記事を参照

(厚生労働省の熱中症情報)
「熱中症を防ぐために~国民の皆さまに取り組んでいただきたいこと~」
「2010年の熱中症による死亡者数について(約8割が65歳以上)」

(環境省の熱中症情報)
「環境省熱中症情報」
「環境省熱中症予防情報サイト」
「熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版)」
「国立環境研究所 熱中症患者速報」

(総務省消防庁の熱中症情報)
「熱中症情報」

(文部科学省の熱中症情報)
「熱中症事故等の防止について(依頼)」(2011年6月15日)
6/22 厚生労働省 「今後の高年齢者雇用に関する研究会報告書~生涯現役社会を目指して~」 ・2011年6月7日に,「第5回今後の高年齢者雇用に関する研究会」が開催され,報告書がまとめられた。なお,第1回の開催は,201年11月5日であった。
・希望者は,「例外なく」65歳まで雇用を継続するよう企業に義務づけ,2013年度までに,法改正し,「継続雇用制度」を強化する。また,「法定定年年齢の引き上げ」についても,2013年度を目途に実施すべきとしている。
・厚生労働省は,本報告書を,2011年秋に労働政策審議会に諮り,労使双方の意見を聴取し,「改正高年齢者雇用安定法案」を2012年の通常国会に提出する予定としている。


→現行の「高年齢者雇用安定法」でも,原則として希望者全員の65歳までの雇用確保を義務づけているが,実際には労使協定で基準を設定し,対象者を絞っている。報告書では,基準制度の廃止や企業名公表措置などの対策が盛り込まれている。
→厚生年金の支給開始年齢が65歳まで引き上げられるため,何としても2013年度までに定年を65歳まで引き上げて,年金支給開始との接続・マッチングを図る必要性に迫られている。お尻に火がついてやっているだけのことだ,は言い過ぎ。(筆者)


「2011年度 高年齢者雇用就業対策の体系」
6/21 厚生労働省 「日本で就労する外国人のカテゴリー」
厚生労働省の「外国人雇用対策」
(広報文の引用)

「経済社会の国際化・グローバル化の進展に伴い,就労を目的として我が国に入国,在留する外国人は増加しておりますが,その就労状況をみると,雇用が不安定であること等の問題があります。また,政府として高度外国人材のさらなる就業促進に向けて取り組んでいるところです。このような中で,外国人の就労支援・安定雇用確保,外国人指針に基づく雇用管理改善指導,外国人雇用状況届出制度の厳格な履行,専門的・技術的分野の外国人の就業促進対策等の各種対策に取り組んでおります。」

「経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」(2011年5月19日)

→経済連携協定(EPA)に基づいた外国人介護福祉士候補者の受験は,2012年1月から始まる。そして,試験は,日本人受験生とまったく同じ問題で,受験機会は介護福祉士は1回だけであり,不合格なら帰国しなければならないが,そのまま働くと不法滞在になるという,まるで「いじめ」のような意地の悪いやり方である。そもそも,EPA交渉は,肯定的な経済産業省と外務省,中立的な法務省,否定的な厚生労働省と農林水産省という図式で調整が難航した経緯を持つ。EPA に基づく介護士の受け入れに対して,2005年に「日本介護福祉士会」は反対の立場を表明している。介護福祉士の人材確保に関しては,厚生労働省も職能団体も,基本的には潜在介護福祉士20万人の復職で対応するという考え方で,賃金問題を重要視している。日本の少子高齢化社会対策として,外国人介護士は重要な選択肢になると考える筆者は,「救いようがない」という言葉しか思いつかない。例の潜在的介護福祉士20万人も段々と高齢化していくだろうし,飛躍的に賃金を上げるにしてもその原資はどこから持ってくるのかも分からない。フィリピン人の介護福祉士候補者を例にすれば,英語に堪能で,高学歴で,意欲的で,資質も優れ,すでに国際的には高い評価があるのに,英語もろくに話せない英語後進国の日本に,わざわざ来てくれることをありがたいと思うべきである。日本語をしゃべらせることばかりでなく,英語が通じる国にすることも考える必要があるのでは。付け加えるが,仕事にあぶれた得体の知れない人を,無理やり介護の仕事に就かせようとする厚生労働省の施策は,いくらなんでもおかしい。「介護」をなめるなよ!
→2011年6月15日に,「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が,参議院で可決・成立され,2012年4月施行予定であった介護福祉士への国家資格厳格化は,2015年4月施行に延期された。この件は,「改正介護保険法について」として,改めて記事にする予定である。(筆者)


「6月は「外国人労働者問題啓発月間」です」(厚生労働省)
「福祉専門職の現状」(「外国人介護士の受け入れ」)
6/20 内閣府 「2011年版 子ども・子育て白書 (旧少子化社会白書)」(概要 / 本文
・政府は,6月17日に,「2011年版 少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策の概況に関する報告書」(子ども・子育て白書)を閣議決定した。
・白書は,2003年制定の「少子化社会対策基本法」の第9条に基づく年次報告であるが,2009年版までは「少子化社会白書」として作成されていたが,福島瑞穂元少子化対策担当大臣の独特な考えが反映されて,2010年版からは「子ども・子育て白書」に改称された。しかし,相変わらず,内閣府HP(トップページ)の「子ども・子育て支援」の項目をクリックすると,「少子化対策」という名称のページに飛ぶ。

<白書の構成>
第1部 子ども・子育て支援策の現状と課題
第1章 「子ども・子育て新システム」の構築に向けて
第2章 出生率等の現状
第2部 2010年度における子ども・子育て支援策の具体的実施状況
第1章 子どもの育ちを支え,若者が安心して成長できる社会へ
第2章 妊娠,出産,子育ての希望が実現できる社会へ
第3章 多様なネットワークで子育て力のある地域社会へ
第4章 男性も女性も仕事と生活が調和する社会へ(ワーク・ライフ・バランスの実現)
第5章 東日本大震災の被災地等における子ども・子育てに関する対応

→日本の少子化に伴う人口構造の変化により日本の経済社会が大きく影響されることが予想される中での少子化対策(子ども・子育て支援対策)は,喫緊の課題とされ,「未来への投資」と言われ続けてきた。その実行においては,限りある貴重な財源の有効活用のために,政策の目的と優先順位付けを明確にし,政策効果の検証に基づいたスピーディな政策推進をしなければならないことは,「子ども」でも理解していることである。
→筆者は,民主党政権の目玉施策として2010年度から始めた「子ども手当」や「高校無償化」の効果を分析していない(バラ撒くだけの施策なので効果分析はできない?)「子ども・子育て白書」に,価値はないと考える。
→しかし,少子化の現状や制度・施策は,3福祉士国家試験の出題対象であるため,通読しておく必要はある。(筆者)


(「少子化対策」に関する内閣府の直近の調査結果)
「少子化社会に関する国際意識調査」(概要 / 本文)(2011年3月)
「結婚・家族形成に関する調査」(概要 / 本文)(2011年3月)

2010年1/31「子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~」の記事を参照

→■「白書(社会福祉関連)」
6/17 外務省 ■各国の対日世論調査(アメリカ / オーストリア / メキシコ / 南アフリカ ・外務省は,2011年6月9日に,4か国の対日世論調査の結果を公表した。
<Q:「アジアでの最も重要なパートナーは?」>

国 名 A:「3位までの順位
アメリカ (一般)
①中国:39%,②日本:31%
③豪州:11%
(有識者)
①中国:46%,②日本:28%
③豪州:10%
オーストリア ①中国:56%,②日本:23%③韓国:4%
メキシコ ①日本:34.3%,②中国:27.7%,③韓国:6.6%
南アフリカ ①中国:44.5%,②日本:32.5%③韓国::5.0%

→調査結果は,概ね東日本大震災前の調査期間に基づくものである。日本のマスメディアは,アメリカの調査結果のうち「アジアで最も重要なパートナーとして日本が中国に抜かれた」ことだけを取り上げていた。逆転は,この設問を始めた1975年以降初めてだった。このことが,余程のショックだったらしい。すでに,2010年の一般の部の調査結果で同率になっていたことを考えれば,当然の結果であった。それよりも,親日国であるメキシコを除けば,中国,日本,韓国の順位・割合には,一定の傾向が存在していることの方がニュースとして取り上げる価値があるように思うが。
→福島第一原発事故に関する政府の隠蔽体質,危機対応能力の欠如,さらには政局の不安定さ,などによる国際的な信用の失墜が加味されて,来年はどれほど中国に引き離された調査結果になるのだろうか。(筆者)
6/16 - ■「薬物乱用者の末路」を動画で観る
~6月26日は「国際麻薬乱用撲滅デー」~
<薬物乱用への警鐘・薬物乱用防止への啓発>
①薬物乱用者のビデオ(警察庁)
「罠~あるOLの転落人生の結末~」(37分11秒)

②薬物乱用防止資料(警察庁)
「DRUG2011」

③啓発運動(厚生労働省)
「新国連薬物乱用根絶宣言」支援事業「ダメ。ゼッタイ。」普及運動
・期間:2011年6月20日~7月19日
・1987年に開催された「国連麻薬閣僚会議」の終了日の6月26日を「国際麻薬乱用撲滅デー」とし,各国がこの宣言の趣旨を普及する日とされた。また,2009年の「国連麻薬委員会」において,2019年までの達成を目標とする新たな政治宣言,「新国連薬物乱用根絶宣言」が採択された。

<精神保健福祉士国家試験の過去問>
◎精神作用物質に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
①精神作用物質の使用を自分の意志で制御できなくなるのは,精神依存ではなく身体依存である。
②耐性が生じた状態での精神作用物質使用量の緩徐な減量は,急激な減量よりも退薬症状を生じやすい。
③「住民健診等の活用による薬物乱用者スクリーニングの推進」は,「第三次薬物乱用防止五か年戦略」の戦略目標に含まれている。
④コカインは,中枢神経刺激作用を持ち,身体依存に比べ精神依存が低いが,我が国では麻薬に指定されている。
⑤有機溶剤は,身体依存性が高く,精神症状が出やすい。
⑥覚醒剤は,精神依存性が極めて高く,妄想や幻覚などの精神病症状発現性も大きく,フラッシュバックが見られる。

→大変な困難を伴う薬物乱用防止活動への協力として,筆者が知る警察庁製作の秀逸な動画を紹介する。(筆者)

「薬物乱用対策」 (内閣府)
6/15 内閣府 「2011年版 障害者白書」(概要 / 本文 政府は,6月10日に,「2011年版 障害者白書」を閣議決定した。
<3福祉士国家試験の過去問>
◎「障害者白書」に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
①2005年版障害者白書によれば,国民の約5%が何らかの障害を有している。(介護福祉士)
②2008年版障害者白書によると,外来の精神障害者の精神疾患の中では,「神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害」が外来患者全体の半数を超えている。(社会福祉士)

→「2011年版 障害者白書」を公表しても,マスメディアはほとんどが取り上げなかった。障害者の制度改革や障害福祉施策の見直しは,国民の理解と協力を得なければ進展しないにもかかわらず,多くの国民は,何がどうなっているのかまったく知らない。
→「障害者福祉施策の見直し」をするために,2009年12月8日に,「障がい者制度改革推進本部」が設置され,従来の「障害者施策推進本部」は廃止された。「障がい者制度改革推進会議」,「差別禁止部会」,「総合福祉部会」において,「障害者基本法(2011年国会で改正案提出)」,「障害者総合福祉法(2012年の国会で新法案提出)」,「障害者差別禁止法(2013年国会で新法案提出)」,「障害者自立支援法(総合福祉法に伴い廃止)」が検討されている。(筆者)

6/14 内閣府 「2011年版 自殺対策白書」(概要 / 本文


<自殺対策に関連する各府省の主な役割>
府 省 主な役割
①内閣府 ・「自殺対策基本法」を所管
・自殺対策推進の企画・立案,総合調整(自殺対策緊急戦略チーム,自殺総合対策会議,自殺対策推進会議)

・普及啓発の実施
②警察庁 ・自殺統計
③金融庁 ・多重債務相談
④総務省 ・インターネット上の情報への対応
⑤法務省 ・法的問題,人権問題の相談
⑥文部科学省 ・児童生徒の自殺予防
⑦厚生労働省 ・心の健康づくり,医療体制整備
・失業者に対する相談,薬品等の規制
⑧農林水産省 ・農村における心の健康づくり
⑨経済産業省 ・中小企業等への融資
⑩国土交通省 ・屋上・ホーム等への安全確保
・政府は,6月10日に,「2011年版 自殺対策白書」を閣議決定した。
<2010年度精神保健福祉士国家試験での出題>
◎「2010年版自殺対策白書」に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
①男性の自殺者数は女性の自殺者数より少ない。
②20歳代において,自殺は死因順位の第1位である。
③自殺者の半数以上が「被雇用者・勤め人」である。
④自殺者の半数以上が,同居人のない人である。
⑤「経済・生活問題が原因・動機と考えられる自殺」は,「健康問題が原因・動機と考えられる自殺」よりも多い。


※3福祉士国家試験において,自殺関連は頻出である。2010年介護福祉士国家試験でも,「男性では20歳代より50歳代の自殺率が高い」を正答とする出題があった。

→2011年版白書における第1章の冒頭での「13年連続で年間自殺者数が3万人を超えている」という記述が,「日本の自殺対策の無策ぶり」のすべてを表している。また,2011年5月の自殺者数が3,281人(前月比23%増,前年同月比18%増)と発表されたが,2008年1月から警察の月別自殺者数が発表されるようになってから最多である。この数字から,内閣参与であるライフリンクの清水氏は,「警鐘を鳴らしただけで対策を動かせなかった私の責任も当然ある」と6月8日にツイートされていたのを見て,がっかりした。「参与」に取り立てられた人の「責任の取り方」と言えば,どこかの内閣官房参与が,記者会見で,芝居じみて泣いて見せて,辞任していたことを,思い出した。
→2011年6月2日に,「自殺対策推進会議」が開催されている。大勢が集まって,こんなことを話し合っているのか,ということを知るために資料をご覧いただきたい。社会の激しい変化に即応できない行政や専門家が考える対策は有効ではない,と筆者は思う。(筆者)


「いのち支える 自殺対策」(内閣府)
6/13 総務省 「2011年版 地方財政白書」(概要 / 本文 ・「地方財政白書」における「地方財政の状況」は,地方財政法第30条の2の規定に基づき,内閣が,地方財政の状況を毎年度国会に報告するものである。
<2010年度社会福祉士・精神保健福祉士国家試験(行財政と福祉計画)での出題>
◎「2010年版地方財政白書」に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。
①民生費について,都道府県の合計額と市町村の合計額を比較すると,都道府県は市町村の約2.5倍の規模となっている。
②目的別歳出の構成比を団体種類別に見ると,都道府県においては民生費が最も大きな割合を占めるのに対して,市町村においては教育費が最も大きな割合を占める。
③都道府県・市町村を通じた扶助費純計額の目的別内訳を見ると,老人福祉費が最も大きく,次いで児童福祉費,生活保護費の順となっている。
④都道府県・市町村を通じた民生費純計額の財源構成を見ると国庫支出金の割合が最も大きく,一般財源等の約2倍の規模となっている。
⑤歳出全体に占める扶助費の割合を,政令指定都市と町村とで比較すると,町村の方が低い割合となっている。


※過去には,地方自治体の財源に関して,地方交付税制度の機能,財政力指数,公債費負担比率,地方財政法による国の支出金,なども出題されているまた,介護福祉士国家試験においても,過去に出題されている。

→近年の「地方分権」は,世界的な潮流と言えるが,地方分権論や地方分権構想は多様である。総務省のHPでは,地方財政の役割において,「今後も,地方分権の推進や少子・高齢社会に向けた介護・医療・子育て支援など地方公共団体が担うべき役割とこれに伴う財政措置がますます重要となってきます」としている。
→2000年4月に,「地方分権一括法」が施行され,国と地方の役割分担の明確化,機関委任事務制度の廃止,国の関与のルール化等が図られた。その後,国は,地方分権改革を総合的かつ計画的に推進するため,2006年12月15日に,「地方分権改革推進法」を成立させた。しかし,民主党の言を借りれば,「地方分権は何も進まなかった」ということになる。
→2009年の政権交代後から,政府・民主党は,「地方分権」を「地域主権」と言い換えて「地域主権改革」に着手した。具体的には,自・公政権時代の「地方分権改革推進本部」を廃止し,中央集権を改め地域が自立するための改革を総合的に推進するとして,2009年11月17日に,内閣府に「地域主権戦略会議」を設置した。「地方主権」については,「一丁目1番地」と言っていた鳩山前首相,とその後の菅首相のそれとはかなりの温度差があったと思われる。「地域主権改革関連3法」は,2010年の通常国会に提出されたが,継続審議となり,ようやく2011年4月28日に成立した。特筆すべきは,ねじれ国会によって,自民党の主張を受け入れ,法律の名称や条文からは,「地域主権」の文言が削除されたことである。筆者は,「地方分権」であろうが「地方主権」であろうが,政府・民主党にとってはどうでもよかったということが分かって,笑ってしまった。当該関連法(160)は,「国と地方の協議の場」設置法や,福祉施設の設置基準などを自治体が条例で定められるようにするため,国の法令による「義務付け・枠付け」を見直す一括法などを含んでいる。ただし,国の出先機関を原則廃止をする抜本改革法案は,2012年の通常国会に提出する方針とされている。
→上記の3福祉士国家試験の問題では,数値を明確に答えられる者は皆無であると思う(白書からの根拠は,①第37表:設問が逆,②第34表:設問が逆,③第37表:児童・老人・社会福祉・生活扶助の順,④第37-2表:国庫24%・一般財源70%,⑤第74表:町村は1/5)が,「福祉専門職」であれば,おおよその傾向を知っていて,答えられて当然の問題であると思う。本問題を,難問・愚問・悪問だと評価をする者が多いことが問題であり,筆者は良問だと考えている。国家試験であれば,この程度のレベルでの出題が相応しいと思う。(筆者)


(参考)
→■「2010年版地方財政白書(概要 / 本文
「地域主権戦略会議」(内閣府) /「地域主権戦略大綱」(2010年6月22日)
「地方分権関係の主要な経緯(1987年~1999年)」
6/10 内閣府 「2011年版 子ども・若者白書(旧青少年白書)」(概要 / 本文 ・政府は,6月7日に,「2011年版 子ども・若者の状況および子ども・若者育成支援施策の実施状況」(子ども・若者白書)」を閣議決定した。
・白書は,2009年度版までは「青少年白書」として作成されていたが,2010年4月1日施行の引きこもりや仕事に就かない若者を支援するための法律である「子ども・若者育成支援推進法」に基づいて,2010年度版から「子ども・若者白書」に改称されたものである。
<白書のポイント>
・2010年の0~29歳の子ども・若者人口は,3,723万2,000人(総人口比29.1%,前年比0.3%減)であった。15 ~29歳の人口は2,023万人で,労働力人口(15歳以上人口のうち,就業者と完全失業者を合わせたもの)は1,190万人であった。
・2010年の15~24歳(在学中を除く)の非正規雇用者比率は30.4%(前年比0.4%増)であった。
・2010年の失業率は,全年齢平均が5.1%(前年から横ばい)が,15~19歳が9.8%(前年9.6%),20~24歳が9.1%(前年9.0%)といずれも悪化している。15~34歳のフリーターは,2年連続で増加し約183万人に上る。また,「ニート」は60万人,「ひきこもり」は69.6万人であった。
・2010年3月の大学卒業者の就職率は,60.8%(前年比7.6%減)であった。
・30歳未満の若者労働者の離職率は27.3%(全労働者の離職率は16.4%)であった。なお,就職後3年間の離職率は,中卒65.0%,高卒40.4%,大卒31.1%であった。
・2009年度での全国児童相談所の児童虐待相談の対応件数は,4万4,211件(前年度比3.6%増,過去最高)であった。

・東日本大震災および福島第一原発事故に関しては,「被災した子ども・若者のケア」(p.201)を掲載している。

→じっくり見ると,いかに恐ろしい状況になっているのか,が理解できる。
→「子ども・若者」にかかわるの課題は分かった。国の施策も分かった。ところが,肝心の課題の対する施策・対応の効果が怪しげで,さっぱり分からない。例えば,野党からバラマキと批判があり,2010年度から始められた「子ども手当」(2010年度の政府予算は2.7兆円)と「高校授業料無償化」(同3,933億円)等が,どのような効果をあげているのか,あるいはどのような効果をあげようとしているのかを明記すべきである。多くの国民は,こんな課題があります,政府や行政はこんなに頑張っています,ということだけではなく,この課題はこういう風に効果を見ながら解決していきます,という報告を求めている。(筆者)


2010年8/22
「子ども・若者ビジョン」(概要 / 本文~旧青少年育成施策大綱に代わるもの~の記事を参照
6/9 内閣府 「2011年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・政府は,6月7日に,「2011年版高齢社会白書」を閣議決定した。
<白書のポイント>
・総人口が減少する一方で,高齢化率は今後も上昇する見込みである。2055年の高齢化率は,40.5%(75歳以上は26.5%)となる。
・東日本大震災の高齢者被害状況は,岩手・宮城・福島3県の震災後1か月間の死者11,108人のうち,60歳以上の高齢者が7.241人(全体の65.2%)であった。
・高齢者増加に伴い,身寄りのない高齢者が社会問題となっている。また,「高齢者の社会的孤立」が,生きがいの低下,高齢者の犯罪,孤立死をもたらす可能性があると指摘している。

①2010年10月1日現在の日本の人口・人口比率
・総人口:1億2,806万人
・65歳以上の高齢者人口比率:23.1%(前年比0.4%増の2,958万人,過去最高)
・75歳以上の後期高齢者人口比率:11.2%(前年比0.4%増の1,430万人,過去最高)
・生産年齢人口比率:63.7%(前年比0.2%減)
・年少人口比率:13.2%(前年比0.1%減少)
②高齢者を支える現役世代(15歳から64歳まで)の比率
・2010年では高齢者1人に対し2.8人であるが,2055年には現役世代1.3人で1人の高齢者を支える時代になると予測
③2009年現在での平均寿命(2055年の平均寿命)
・男性:79.59歳(83.67歳と予測)
・女性:86.44歳(90.34歳と予測)

→高齢社会対策基本法は,1995年に制定され,これを受けて,1996年に「高齢社会対策大綱」が策定された。高齢社会白書は,高齢社会対策基本法に基づき,1996年から,毎年政府が国会に提出している年次報告書である。毎年,この時期に公表される高齢化社会白書を読むと,いつも気が重くなるのはどうしてであろうか。
→昨日(6月8日),NHK番組であるクローズアップ現代において,「“高齢化先進国”の強みを生かせ」をテーマにした放送があった。超高齢化など日本の課題に対応する技術やビジネスを新たな成長につなげようという動きを通して,ピンチをどうチャンスに変えるか,その可能性と課題を考えようというものであった。この番組を観ていて,筆者は,少子高齢化だけでなく,震災や原発事故(放射能汚染)においても,「ピンチをチャンスに変える」という前向きな考え方が,これからの日本には必要になってくると思った。(筆者)
6/8 内閣官房 「社会保障改革案」
~「第10回社会保障改革に関する集中検討会議」資料~
・政府は,6月2日に,社会保障と税の一体改革を検討する「集中検討会議」を開催し,費用試算を含めた社会保障改革案をまとめた。
・消費税率は,2015年度までに段階的に10%まで引き上げ,5%の増税分の使途は社会保障に目的税化し,低所得者への年金加算など追加費用(約2.7兆円),基礎年金国庫負担の1/2への不足財源(2.5兆円),高齢化に伴う自然増分などへの充当,年金,医療,介護に,子育てなど少子化対策も加えている。
・この後は,政府・与党の幹部による「コアメンバー会議」で最終調整し,6月20日までに社会保障と税の一体改革案を策定するとされている。

→社会保障改革は,仮に政権が変わっても維持されなければならないものである。しかし,本改革案は,問題点がてんこ盛りで,例えば,理念や社会保障改革の柱となる民主党の年金制度改革の具体案が示されておらず,消費税増税率も国民受けするように低く抑えた,小手先の改革案と一般には受け止められている。また,本改革案の医療・介護の方向性は,自民党政権時の「社会保障国民会議」のB3シナリオを流用したものと指摘されている。
→10~15兆円とされる東日本大震災復興財源に増税が必要なので,社会保障を口実にして,とにかく消費税増税の議論だけでも早く終わらせたいとするのが現政権の魂胆だろう,と筆者は勘繰っている。また,6月7日に,民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」が開催され,医療・介護分野などを中心に議論されたが,菅首相が辞任するのだから消費税や制度改革を先送りすべきとの厳しい意見があった,と報道されている。近時の政局から,次期政権が本改革案を引き継ぐ可能性が出た時点で詳細な解説を掲載しようと考えている。なお,やまだ塾トップページの「トピックス欄」に,「社会保障と税の一体改革の検討経過」を掲載している。
→3福祉士国家試験受験者には,社会保障を勉強するきっかけにしてもらいたい。(筆者)


5/13(「社会保障制度改革の方向性と具体策」(厚生労働省原案))の記事を参照

(参考)
「社会保障国民会議最終報告」(2008年11月4日)
6/7 外務省 「世界が日本に差し伸べた支援の手」
~東日本大震災での各国・地域支援チームの活躍~
<6月2日現在の人的被害状況(警察庁)>
・死者:15,327名
・負傷者:5,364名
・行方不明者:8,343名


<6月6日現在の海外からの支援状況(外務省)>
・159の国・地域および43の国際機関から支援の申し入れがあった。
「各国・地域からの支援状況」
「諸外国・地域・国際機関からの救助チーム等活動場所」
「諸外国等からの物資支援・寄付金一覧」

→東日本大震災後,世界各国から温かい支援を受けた。日本と比べれば,経済的に恵まれていない国も多い。感謝。支援の仕事をする者として,支援を受ける側のマナーについても,考えてみる機会になる。(筆者)
6/6 厚生労働省 「民生委員・児童委員について」
<2010年度の3福祉士国家試験に出題された民生委員・児童委員に関する設問>
◎民生委員・児童委員に関する以下の記述のうち,正しいものを選べ。
①民生委員制度の前身は,大正期,泉橋慈善病院に配置された婦人相談員である。
②「民生委員が行政に対して「会食サービス」の実施を要請する」のは,住民の地域福祉活動への直接参加を進める方法と言える。
③ドイツのエルバーフェルト制度などを参考に大正6年に岡山県で始まり,翌年大阪府に設置された済世顧問制度は,次第に全国に普及していった。
④昭和4年に救護法が施行され,居宅における救護のほか,養老院,孤児院等の救護施設での救護を行うとともに,市町村長を民生委員が補助する体制を整えた。
⑤民生委員は,社会奉仕の精神をもって,常に住民の立場に立って保護指導に当たることとされている。
⑥民生委員協議会は,市町村に一つ組織され,民生委員が担当する区域又は事項を定めるなどの任務がある。
⑦主任児童委員は,民生委員として区域を担当するとともに,他の児童委員との調整や活動の支援を兼務する。
⑧児童委員は,児童福祉法に基づく推薦委員会により選任され,それに基づき厚生労働大臣が委嘱する。
⑨民生委員の定数は,厚生労働大臣の定める基準に従い,都道府県知事が市町村長の意見を聞いて定める。
⑩「児童養護施設,行政機関,民生委員協議会等からなる子ども虐待防止のためのネットワークを結成し,3歳児のいる全家庭へ防止呼びかけのチラシを配布する」のは,ノーマライゼーションに立脚した活動と言える。

→高齢化や児童虐待の増加等に伴って,地域における民生委員と児童委員の必要性が高くなっている。しかし,制度の認知度が低いことや,地域の人間関係が希薄化していることなどから,要支援者からの相談も少なく,個人情報保護法との関連もあって情報が集まらなかったり,委員の確保が困難であったり,行政からの依頼増加による高齢化する委員への負担増など,多くの課題を抱えている。
→3福祉士国家試験において,「民生委員・児童委員」は頻出である。2010年度の3福祉士国家試験で出題された民生委員・児童委員に関する設問をまとめて挙げた。全問とも難度は低いが,今は手に負えないと思う。10月頃には,自信を持って解答できるようになっていることをイメージして,そろそろ受験勉強をやり始めていただきたい。(筆者)


(参考)
「全国民生委員児童委員連合会」のHP
「民生委員・児童委員活動の現状」(2007年11月現在)
「民生委員・児童委員一斉改選における委嘱状況(2010年と2007年の比較)」(第5回安心生活創造事業推進検討会資料)
「民生委員に対する個人情報の提供状況について」(第4回安心生活創造事業推進検討会資料)
6/4 厚生労働省 「2010年人口動態統計月報年計(概数)の概況」
~合計特殊出生率が1.39まで上昇した~
・厚生労働省は,6月1日に,「2010年人口動態統計月報年計(概数)の概要」を発表した。これによれば,2010年の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子どもの数)は1.39(前年比1.37),出生数は107万1,306人(前年比1,271人増),死亡数は119万7,066人(同5万5,201人増)であった。出生数と死亡数の差である「自然増減数」はマイナス12万5,760人で,自然増減率は4年連続のマイナスとなり,「人口減少」は進んでいる。
・合計特殊出生率は,2005年に過去最低の1.26となった後に上昇し,2008年および2009年は1.37と横ばいで,2010年は1.39となった。厚生労働省は,今回の上昇について,晩婚化が進んだ30代後半の団塊ジュニアを中心に出生数が増加したことや,第2子以上の出産が増えたためと分析している,と報道されている。

→合計特殊出生率が上昇しても,出産しやすい年齢(15~49歳)の女性人口が減り続けていては,少子化傾向に歯止めが掛かったとは言えない,との見方が一般的である。それにしても,合計特殊出生率が上昇しているのに,少子化対策の柱としている「子ども手当て」の効果に政府が言及しないのは不思議である。筆者には,「子ども手当て」を拡充すれば,少子化傾向に歯止めがかかるとはどうしても思えない。(筆者)
6/3 厚生労働省 「介護保健施設について」
~第75回社会保障審議会介護給付費分科会資料~
・2012年度介護報酬改定に向けて,社会保障審議会介護給付費分科会で議論が進められている。2011年5月30日には,第75回が開催され,テーマは,「(1)医療と介護の連携について」および「(2)介護保険施設について」であった。
<「(2)介護保険施設について」(資料)の構成>
①介護保険施設
②介護老人福祉施設
 (基準・報酬についての主な論点)
  ・医療提供およびケアマネジャーのあり方
  ・個室ユニット推進方策
③介護老人保健施設
 (基準・報酬についての主な論点)
  ・在宅復帰・在宅療養支援機能を高める方策
  ・医療提供のあり方
④特定施設

 (基準・報酬についての主な論点)
  ・特定施設入居者生活介護の医療提供のあり方
  ・特定施設短期入居者生活介護の空室の短期利用

→2011年度のケアマネ試験受験者および3福祉士国家試験受験者には,是非とも目を通しておいてもらいたい資料である。(筆者)

5/26「介護保険制度の基本」を理解する)4/22「福祉用具選定支援書」の記事を参照
6/2 首相官邸 「政策推進指針~日本の再生に向けて~」(本文 / 添付資料 ・政府は,5月17日に,東日本大震災を踏まえた経済財政運営の新たな方向性を定めた「政策推進指針」を閣議決定した。
<「政策推進指針」のポイント>
「社会保障と税の一体改革」の成案
・2011年6月末までにまとめる。
「新成長戦略」(2010年6月)の再設計・再強化
・2011年夏までに検証を行い,年内に具体像を再提示する。
「環太平洋経済連携協定(TPP)」の交渉参加
・「判断時期は総合的に検討する」とし,結論の時期を2011年6月から先送りする。
「東日本大震災」への対応
・当面は,被災者支援や福島第一原発事故の被害者支援,災害復旧などに最優先で取り組む。

→5月17日に公表された左記の「政策推進指針」については,昨日(6月1日)の国会での「党首討論」が終わってから,記事にしようと思っていた。わずかに期待を持っていたのだが,自民党の谷垣総裁という人物は,国難に際しても,対案を示さず,ただ相手を非難するだけの政治家のように思えて,がっかりした。「あなたに代わって,私がこのようにやりましょう」ではなく,「あなたが辞めたら,新しい首相に協力しましょう」とは,余程自分に自信がないのだろう。また,公明党の山口代表にいたっては,「総理,いったいやる気があるのですか」とのヒステリックな発言から,論外だと思った。菅首相がいいと言いたいのではなくて,野党の代表者たちはそれすら超えられる器ではないと感じた,ということである。
→「菅首相が辞めれば,日本がよくなる」という保障を,一体誰ができるのだろうか。筆者には,仮に,本日(6月2日)不信任決議が可決されて,解散総選挙か内閣総辞職をしたとしても,現在の日本において,菅首相に変われるまっとうな政治家が出てくる可能性は,きわめて低いように思えてならない。そうであるとすれば,日本国民は,覚悟を決めて,いかにぼんくらであっても,菅首相に日本の再生を託さなければならないのではないかと考える。(筆者)


2010年6/21「新成長戦略(~「元気な日本」復活のシナリオ~)」(2010年6月18日)/ ポイントの記事を参照

「新成長戦略(基本方針~輝きのある日本へ~)」(2009年12月30日)
6/1 厚生労働省 「職場での熱中症予防の徹底を!」
~2010年の死亡者数増加や今夏の節電を受けた2011年の取組み~

(6/7追記)
「熱中症予防の普及啓発・注意喚起について(周知依頼)(2011年6月3日付)」 +「熱中症予防リーフレット」
<厚生労働省の「熱中症」にかかわる情報>
「2011年 職場における熱中症予防対策の重点的な実施について(通知)
「2011年 熱中症を防ごう!(パンフレット)」
「2010年 職場における熱中症による死亡災害発生状況」
「2009年 職場における熱中症予防対策マニュアル」
「2009年 職場における熱中症の予防について(通知)

「2005年 熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について(通知)

→2010年の猛暑によって職場での熱中症による死亡者(47人)が最多となったこと(上記③),また東日本大震災による夏期電力需給対策に基づき,職場での節電が求められていることから,厚生労働省は,2011年5月31日に,2011年については,熱中症に対する予防対策を重点的に実施する旨を通知した(上記①)。今後,熱中症の予防対策の通知(上記⑤)に基づいて,事業場への指導やパンフレット(上記②)の配布などの取組を推進していくとされている。
→筆者は,次回のケアマネ試験および3福祉士国家試験において,「熱中症関連」が出題される可能性が高いと予想している。例えば,暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)との関係,自覚症状の有無,糖尿病等の疾患との関連,などが考えられる。(筆者)


(環境省の熱中症関連情報)
「環境省熱中症情報」
「環境省熱中症予防情報サイト」
「熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版)」
「国立環境研究所 熱中症患者速報」
5/31 文部科学省 おどおどしているように見える文部科学大臣と副大臣の記者会見(You Tube)
~児童・生徒の6月以降の学校内の外部被曝に関して~
・2011年5月27日に,高木文部科学大臣と鈴木副大臣が,「福島県内児童生徒等が学校において受ける線量低減に向けた当面の対応」について,記者会見した。
・福島県内の児童・生徒が1年間に浴びる放射線量について,上限20ミリシーベルトの基準は変えないが「1ミリシーベルト以下に抑えることを目指す」としている。
・これまで校庭で,毎時3.8マイクロシーベルト以下の場合「表土除去は必要ない」としていたが,毎時1マイクロシーベルト以上の放射線量が測定された場合,表土を除去する工事費用を国が補助するとしている。
・文部科学大臣は,「より安心感を持ってもらえる措置を取った」と述べた。

→余程,心に掛かるものがあるのだろう。お二人の落ち着きのなさから,覚悟の希薄さや心の動揺が見て取れる。
→突っ込みどころ満載の記者会見であったが,特に,「給食などによる内部被曝を無視していいのか」,「学校で線量測定が始まる6月以降だけの評価となっており,事故後から積算した線量と,学校外での線量を評価しなくていいのか」という疑問は,当然起こるはずであるが,例によって日本のマスメディアは深く追求しない。多くの日本国民は,危機を煽る報道(危険デマ)も安全を誇張する報道(安全デマ)も望んでいない。ただ,「ありのまま」を,早く教えてくれることを願っているだけである。
→放射能汚染地域の保護者が安心できるのは,基準となる積算線量を超えた場合の「学童疎開」などの具体的な対応策が明確に示されたときではないか,と筆者は思う。
→文部科学大臣と副大臣が揃った記者会見で,科学的・論理的でなく抽象的・情緒的な説明しかできないようでは話にならない。福島第一原発事故直後に,文部科学省が運用している「SPEEDI」で放射性物質の拡散予想をしていたにもかかわらず,情報を隠蔽し,住民避難に活用させなかったため,すでに子どもたちにどれほどの被曝をさせてしまったのかを考えると,文部科学省の責任者として精神的に不安定になったり,挙動不審になったりするのも頷ける,と筆者は邪推している。(筆者)


3/24全国の放射能濃度(①水道 / ②))の記事を参照
5/30 厚生労働省 「精神科救急医療体制の整備状況について」
~「第1回精神科救急医療体制に関する検討会」資料~
・「精神科救急医療体制に関する検討会」は,2010年12月3日に成立した「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(障害者自立支援法等を改正する法律)において,「精神障害者の地域生活を支える精神科救急医療の整備等」が明記されたことを受けて設置され,2011年5月26日に第1回が開催された。なお,この言い訳がましく,長ったらしい名称の法律は,2013年8月までに廃止する障害者自立支援法と新法の制定(障がい者総合福祉法<仮称>)までの「つなぎ」として位置づけられている。
・今後,本検討会は,6月から7月にかけて,一般の救急医療との連携を含めた「医療機能」としての精神科救急と,措置入院などの「公的機能」としての精神科救急それぞれの現状と課題についてヒアリングを実施し,7月移行にとりまとめを行う予定とされている。また,精神保健福祉法の一部改正において,精神科救急医療体制の整備に対する「都道府県の努力義務」は,2012年4月施行が予定されている。

精神保健福祉士国家試験受験者は,精神保健医療政策に関して,2004年の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」以降の流れを理解していなければならない。2010年6月には,今後の精神保健医療施策に大きな影響力を持つといわれる「障害者制度改革の推進のための基本的な方向」が閣議決定された。精神医療に関しては,①「保護者制度」の見直し等も含め,精神障害者に対する強制入院,強制医療介入等の在り方を,2012年内を目途に検討する,②「社会的入院」を解消するため,精神障害者に対する退院支援や地域生活における医療,生活面の支援にかかる体制の整備につき,2011年内に結論を得る,③精神科医療現場における医師や看護師等の人員体制の充実のための具体的方策につき,2012年内を目途にその結論を得る,④自立支援医療の利用者負担につき,法律上の規定を応能負担とする方向で検討し,2011年内にその結論を得る,と明記されていることの理解は重要である。
中医協は,2011年5月18日の総会で,2012年度の診療報酬改定に向けて精神科医療について議論し,精神入院医療に関連する精神科医療の診療報酬上の主な課題として,身体合併症を有する精神疾患患者の救急医療,認知症対策,精神療養病床,慢性期医療における地域への移行を挙げている。(筆者)


(経緯)
「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(2004年9月)
「障害者自立支援法」の制定(2005年10月)
「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書」(2009年9月)
「障がい者制度改革推進会議」の設置(2010年1月 )
→■「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」の設置(2010年5月)
「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(2010年6月)
「障害者自立支援法等を改正する法律」の制定(2010年12月)
「精神科救急医療体制に関する検討会」の設置(2011年5月)
5/27 厚生労働省 「労災保険給付の請求(申請)」(リーフレット)

(6月10日追記)
「労災保険相談ダイアル」を開設しました。
<労災保険給付のリーフレットの項目>
①仕事または通勤が原因でケガや病気になった場合
②仕事または通勤が原因で親族が亡くなられた場合
③既に労災保険給付を受けている場合
④会社の健康診断で異常の所見があると診断された場合
【問い合せ先:労働基準監督署】

→東日本大震災における労災保険に関して,厚生労働省は,3月11日付で「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」を通知し,3月24日には「東北地方太平洋沖地震と労災保険Q&A」を通知した。筆者は,この迅速な対応から,阪神大震災の経験が活かされていると感じると同時に,阪神大震災での経験が乏しく,今後激増すると想定される「東日本大震災にかかわる精神障害」への厚生労働省の対応に注目している。
→左記リーフレットは,労災保険給付の請求(申請)の概要を一般に周知させるものであるが,「福祉専門職」にとっては,必須の知識である。(筆者)


「労働保険制度(制度・手続き)」(厚生労働省)
「労災とは」(労災保険情報センター)
「精神障害等の労災補償について」(厚生労働省)
5/26 厚生労働省 ■「介護保険制度の基本」を理解する
<厚生労働省の最新資料を活用する>
(1)介護保険制度の概要
「介護保険制度の現状と今後の役割」
「2005年の介護保険法改正」
「2008年の介護保険法改正」
「介護保険の財政」
「介護保険と福祉用具」

(2)要介護認定の概要
「要介護認定の概要」
「要介護認定のやり方」
「特定疾病の選定基準の考え方」
「要介護認定にかかる法令」
「認定調査員テキスト(2011年3月改訂版)」
「介護認定審査会委員テキスト(2011年4月改訂版)」

→「介護保険制度の知識」のブラッシュアップは,「福祉専門職」には欠かせない。また,3福祉士国家試験受験者には,今の段階からきちんと介護保険の学習を始めてもらいたいと思い,記事として掲載した。儲け主義で,実際には一流とは程遠い学者や学生などが書いた市販の安上がりの解説書を買わなくても,厚生労働省(審議会,研究会等を含む)からインターネット上に公開されている良質の情報を十分に活用すれば,必要な知識が獲得できることを知ってもらいたい。(筆者)

4/22「福祉用具選定支援書」,3/11(■「認定調査員テキスト(2011年3月改訂)」および「介護認定審査会委員テキスト(2011年4月改訂)」の記事を参照
5/25 厚生労働省 「生活保護基準の現状」
~「第2回社会保障審議会生活保護基準部会」資料~
・厚労省は,4月19日に「社会保障審議会生活保護基準部会」を設置し,5月24日には第2回を開催した。5年に1度の生活保護水準の見直しに着手したわけであるが,生活保護を受けていない一般低所得者の消費実態を参考に,生活保護基準の見直しを図るとされている。厚生労働省は,1950年の生活保護創設以来初となる制度の抜本改革に踏み切る意向であり,並行して「国と地方の協議」も実施するとされている。月1回のペースで検証方法を議論し,2011秋から約1年かけて検証し,早ければ2013年4月から新しい基準を適用するとされている。

→生活保護費の引き下げだけが,見直しの答えではないはずである。とにかく,多くの国民が抱いている以下の疑問・要望に,明確に答えられるまで,きちんと議論してほしいものである。
①「生活保護費(65歳単身世帯:月額62,640円~80,820円,夫婦とも65歳世帯:94,500円~121,940円)が基礎年金(月額65,741円,夫婦合計:131,482円)や最低賃金(時給730円)より高いのはおかしい」
②「生活保護費の給付総額は3兆円超(2011年度予算:3.4兆円)となっているが,全額税金であり,医療費などでの無駄遣いは止めさせて,大切に使ってほしい」
③「東日本大震災の影響もあり,生活保護受給者は2011年内には59年ぶりに200万人を超えるのが確実とみられているが,在日外国人から「カモ」にされていることや,不正受給が横行していることなど,杜撰な運用についての悪いうわさを払拭して,本当に必要な人にだけ受給させてほしい」
→3福祉士国家試験受験者は,左記の資料を頭に入れておくと,後々の受験勉強が楽になる。(筆者)


4/20(「生活保護制度の現状・保護基準について」)の記事を参照
5/24 厚生労働省 「小児救急医療電話相談事業(#8000)」 <「小児救急電話相談事業」の予算削減は正解だったか?>
・「小児救急電話相談事業」は,2004年度から開始された国庫補助事業(国1/2,県1/2)である。2005年の電話相談事業実施都道府県数は26であった。2006年度の現状分析では,時間外に病院に駆けつける小児救急患者は80~90%が軽症患者との報告や,親の専門医指向などによる病院の小児科に軽症患者が受診する事例の増加から,電話相談体制の整備を強化し,患者の症状に応じた適切な医療提供を図ることが必要とされていた。それを受けて,2007年~2009年までの予算は,5.2~5.73億円とされていたため,2010年7月より全都道府県において実施された。なお,相談件数(8月~11月の4か月間)は,2008年の85,223件から2009年の150,430件と激増している。2010年7月5日現在,全都道府県において,携帯電話から短縮番号「#8000」への接続が可能となり,10府県では深夜帯への対応がなされ,夜間・休日の小児患者の保護者等からの電話相談への対応体制の整備が図られた。しかし,全都道府県において実施されたものの,統一的指針がなく,電話相談対応の標準化が図られていないという大きな問題点があり,各都道府県ごとの電話相談対応の質の確保や均一性を図るために,電話相談対応者に対する研修や情報提供等を行っていく必要があった。当然に,2010年度以降も,引き続き,小児救急電話相談事業に対する補助を充実させていく必要がある,というのが大方の見解であったように思う。
・それにもかかわらず,民主党政権における2009年11月12日の行政刷新会議第2WGでの事業仕分けの評価結果を踏まえて,2010年度以降の予算は,2.37億と半減以上も削減させられた。
・なお,民主党政権の政策としての小児救急電話相談事業は,「地域医療体制の整備」に位置づけられ,日常生活圏の中で良質かつ適切な医療が効率的に提供できる体制を整備することを目標とされている。都道府県が主体となって行う事業を,国が積極的に支援しないというのではどうしようもない。

→筆者は,「小児救急電話相談事業」の事業仕分けによる予算削減を,愚かな政治家の愚かな政治主導による愚かな所業であった,と考えている。
→話を広げるが,東日本大震災および福島第一原発事故の対応では,民主党政権というよりも,菅首相および菅政権が率いる閣僚の質の悪さが明白となっている。特に,現文部科学大臣について,子どもの被曝に対する認識から,見識を備えた人物とは到底思えない。民主党には,もっとまともな政治家はいるはずである。また,昨日には,国会審議(衆議院東日本大震災復興特別委員会)のテレビ中継があったが,自民党の谷垣総裁は,せっかくの桧舞台で,自身の器量の小ささやキレの悪さを,菅首相以上にさらしてしまい,「目くそ鼻くそを笑う」状態になり,アホらしくて筆者は途中でテレビを切ってしまった。日本の新興や復興に際して,自民党政権は有り得ない,と多くの国民に印象付けたように思った。(筆者)
5/23 厚生労働省 「肝臓週間(5月23日~29日)について」
~肝炎は「早期発見・早期治療」が重要~

・肝疾患についての正しい知識を普及し,感染予防の重要性についての認識を高めるため,毎年5月第4週が「肝臓週間」と定められている。

→肝臓は,成人において約1kg~1.3kgで,ヒトの臓器では最も重量があり,「肝心要」という言葉があるように,心臓と同じくらい,生命に深くかかわっているにもかかわらず,「沈黙の臓器」と言われていることを,「肝臓の病気(脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝臓がん)」に罹るまで,多くの国民に正しく理解されていない。
→肝炎対策に関する直近の話題である。日本のB型・C型ウィルス肝炎感染者は350万人,患者が60万人いると推計され,国内最大の感染症であることを受けて,「肝炎対策基本法」は,2009年11月30日に成立し,2010年1月から施行された。肝炎対策基本法第9条第1項の規定に基づいて,2011年5月16日に,「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」(肝炎対策基本指針)が初めて告示され,全国民に対し肝炎ウイルス検査を受けるよう求めることや,医療の充実などが盛り込まれた。指針は,今後,5年ごとに見直しされることになっている。
→3福祉士にとって,「肝臓」に関する知識は必須である。この機会に,理解を深めてもらいたい。(筆者)


「肝炎総合対策の推進」(厚生労働省)
「2010年4月から自立支援医療(更正医療・育成医療)に肝臓の機能障害が加わった」
5/20 ■NHKの「ネットワークでつくる放射能汚染地図」を観る
<『NHK ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」~福島原発事故から2か月~』(You Tube)>

http://www.youtube.com/watch?v=BUltgqsTTGg
おそらく削除されると思うが・・・


※5月28日(土)NHK総合15:00~で,再放送が予定されているので,是非ご覧いただきたい。。

→番組の冒頭,「なぜ放射能の動きを調査しているのか」という問いかけに,3歳半のお子さんをお持ちである元放射線医学研究所の研究官・木村真三博士は,「ただ,生物的に弱者である子どもたちに対しての危機感というものが,ものすごく大きかった」と述べられていた。科学者としての大義名分も,気負いも見せずに,身近なところに答えをお持ちなっておられたことに科学と人間との接点を感じ,感動した。今回の科学的な難局を乗り越えるには,人間としての当たり前の感覚を見失わなければ,光明は見出せると思った。

→独立行政法人放射線医学総合研究所の「福島第一原子力発電所周辺住民線量評価システム」が,本日(5月20日)に公開されると報道されていた。このシステムが,どの程度人間的な視点を持ち合わせているものなのか,楽しみにしている。もし,大気中の放射線量(外部被曝)だけを推定して,「直ちに健康への影響は心配ない」という評価をするシステムならば,飲食・吸引などの内部被曝を考慮しないことによる不適切さを,原子力とは無縁の筆者でも断言できる。(筆者)
5/19 内閣府 「5月20日は交通事故死ゼロを目指す日」
「2011年春の全国交通安全運動」の最終日~
・「交通事故死ゼロを目指す日」は,2008年1月に,新たな国民運動として設けられたものである。
・2010年中の交通事故死者数(24時間以内)は,4,868人(前年比1.0%減)で,死者数のうち65歳以上の高齢者が占める割合は初めて5割を超えたとされる。
「2010年中の交通事故死者数について」
道路交通事故による交通事故発生件数,死傷者数及び死者数の推移
1日の死者数の最少日・最多日の推移


→2010年の交通事故死者数は,57年振りに4000人台まで減った2009年から,さらに減少したとされる。これには,警察・消防行政等における施策の的確さだけではなく,救命救急センター等の医療機関の努力や救急医療の進歩も大きく寄与していると指摘されている。にもかかわらず,多くの国民に,交通事故死亡者数が減ってきているという実感がないのは,どうしてであろうか。交通事故死者数をカウントする場合,24時間以内に死亡した者を死亡者とし,交通事故から24時間以上経過して死亡した者は除外されていることと関係しているのかも知れない。(筆者)
5/18 厚生労働省 「2010年度 障害者の職業紹介状況等」
~ハローワークを通じた障害者の就職件数~
・ハローワークを通じた障害者の就職件数は,2009年度の45,257件から過去最高の52,931件(前年度比17.0%増)となった。就職率も39.9%(同3.9%増)と,2006年度以来,4年ぶりにプラスに転じた。
<ポイント>
①精神障害者の就職件数が伸び,初めて知的障害者を上回った。
・精神障害者14,555件(年度比3,626件,33.2%増)
・知的障害者13,164件(前年度比1,724件,15.1%増)
②新規求職申込件数は132,734件(同6,846件,5.4%増)であった。
・特に,精神障害者の申込件数が39,649件(同6,372件,19.1%の増)と増加している。
③産業別でみると,医療・福祉(10,483件),製造業(8,773件),卸売業・小売業(8,754件)での就職件数が,それぞれ増加した。
④解雇者数は1,333人で,2009年度の解雇者数を1,021人(同43.4%減)下回った。

(参考資料)
「障害者雇用の状況の集計結果(2010年6月1日現在)」
「2008年の改正障害者雇用促進法の概要」
「2008年度障害者雇用実態調査の調査結果」
「障害者の就労支援のためのメニュー一覧」
「障害者制度改革の動向」・・・最新の資料
5/17 - ■「社会福祉士」の認知度がゼロなのに,その上に「専門社会福祉士」を作るらしい ・2007年11月28日に成立した「改正社会福祉士法及び介護福祉士法」の付帯決議において,「(8)社会的援助を必要とする者が増加していることにかんがみ,重度の認知症や障害を持つ者等への対応,サービス管理等の分野において,より専門的対応ができる人材を育成するため,専門社会福祉士及び専門介護福祉士の仕組みについて,早急に検討を行うこと。」とされていた。これを受けて,2008年度から日本社会福祉士会は基礎研究を行って「専門社会福祉士認定制度の提案」の公表し,2010年からは,専門社会福祉士認定制度準備委員会を設置し,2011年4月13日に,日本社会福祉士会HP上で,「専門社会福祉士認定システム構築事業報告書」が公表された,という経緯を持つ。この報告書によれば,2012年度から「専門社会福祉認定制度」の運用を開始する予定とされている。
・日本社会福祉士会のURL:
http://www.jacsw.or.jp/10_senmon/index.html

→「社会福祉士をはじめ福祉専門職の社会的地位の向上のために」このHPを開設し,運営している筆者にとっては,職能団体の考えがまったく理解できないため,これまで逐一紹介したり,コメントする気にもならなかったが,今回報告書が公表されたので,情報提供のために記事にした。国会の付帯決議があったからといって,国民からまったく要望がないのに,職能団体がこれほどまで「認定制度」に執着するのは,「余程のメリット」があるからだろうと思う。揶揄したり,煽ったりするつもりはないが,政治家や官僚や一部の高名な専門家や利権に群がる人たちの意向に従うことでいいのだろうか。例えば,福島第一原発事故によって,国民から遊離した排他的な「原子力村」が,その危険性を証明した。「社会福祉士は,誰のために存在するのか」を判断するのは,「社会福祉士」の資格取得者自身である。(筆者)

「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)」
5/16 - 改めて,チェルノブイリ原発事故から23年後のBBCのドキュメンタリーをYou Tubeで観る
<チェルノブイリ原発事故から23年後のBBCの取材動画(You Tube)>

①放射能汚染の食品を平気で食べる人たち(1)・・・13分20秒
http://www.youtube.com/watch?v=yEHpY8Wbv6U
②放射能汚染の食品を平気で食べる人たち(2)・・・14分28秒
http://www.youtube.com/watch?v=Cs71u6Vj9wQ

→原発事故に関して,2009年製作のBBCの良質の映像が,インターネット上でアップロードされていたので,情報提供として掲載する。BBCのチェリノブイリの映像には,福島第一原発の将来を予感させるものがあり,今もって高濃度の放射能汚染地域に放置されているおられる方々のことを思うと,日本国民として胸が痛む。同時に,映像を観ていて,原子力利権に毒された日本のマスメディアに,真実を伝えるという「ジャーナリストの本分」を求める方がバカだと思った。
→筆者は,震災後2か月が経った5月12日に,「福島第一原発の1号機は,メルトダウンしていた」と事も無げに記者会見で発表され,日本のマスメディアは何の反省もなく,初めて知ったように報道していたことにショックを受けた。事のついでのように,5月14日の記者会見では,「2,3号機の原子炉も,1号機と同様のケース(メルトダウン)が想定できる」と説明され,5月15日の記者会見では,震災の翌日である3月12日午前6時50分ごろには,1号機は完全にメルトダウンしていたことや4号機は水素爆発していたことが小出しに発表され,その事実がたんたんと報道されていた。これまで,日本のマスメディアは,うそで固められた情報を,厚顔無恥にもそのまま報道し続けてきたことがはっきりした。桜井南相馬市長が,3月24日に,電話取材しかせず,頼りにならない日本のマスメディアを見限り,インターネットにおけるYou Tubeの力を信じて世界に向かって窮状を訴えた,ことを思い出した。今後,日本国民は,国際社会に訴えかけて,外圧の力を借りて助けてもらうことが必要になると確信した。
→これから先,日本が破局を迎えようとも,
本当のことを,一刻も早く知りたいと,多くの日本国民は思っている。日本国民は,きちんとした情報を持って,覚悟を決めて対峙すれば,活路を見出す力を持っている。
→とにかく,日本国民を存続させなければならない。首都圏を含め,ホットスポットに放置され続けている日本の将来を託さねばならない若年層への避難・疎開・移住の支援が,何を犠牲にしても最優先されなければならない課題であると考える。また,「風評被害」への支援は,日本国民としてやり続けなければならないが,食品からの内部被爆を覚悟していいのは,老い先短い中高年齢層と限定すべきではないだろうか。(筆者)
5/13 厚生労働省 「社会保障制度改革の方向性と具体策」(厚生労働省原案) ・厚生労働省は,5月12日の「第6回社会保障改革に関する集中検討会議」において,独自の「社会保障制度改革の方向性と具体策」(原案)を提示したが,「年金制度改革」などの肝心要の具体案の提示は先送りされている。
・今後,集中検討会議は,5月中に財源規模を含めた社会保障改革の成案を作成し,6月中に「社会保障と税の一体改革案」をまとめる予定とされている。

→嫌味を込めて言えば,今回の厚生労働省原案は,自民党政権時の2008年1月25日に設置された「社会保障国民会議」が11月4日に取りまとめた「最終報告」をベースにし,東日本大震災のどさくさに紛れて与謝野経済財政担当大臣と厚生労働省官僚が独走(独創ではない)して,内閣の意見と与党の意見を端折った現行制度の見直し案(改革案ではない)である,と筆者は思う。
→東日本大震災の復興費は最大25兆円と推計されているが,これには福島第一原発事故分の復興費は含まれていない。東京電力は,5月12日に,復旧に最も近いと言っていた1号機について,「メルトダウンしていた」としぶしぶ白状した。奇しくも,「米原子力規制委員会(NRC)」は,5月12日に,公聴会を開き,福島第一原発事故に関して,日本国内では知り得ない検証経過が報告されたが,日本政府の発表より信憑性が高いように感じたのは筆者だけではないと思う。今後,東京電力,政府,日本のメディア,御用学者が結託して突き通してきた「どれほどのうそ」が明らかになり,「どれほどの財源」が必要になってくるのであろうか。想像もつかない状況になってきた。このような状況から,今回の厚生労働省原案において,「公助」(税金の投入)は困難になるために,殊更に「共助」や「支え合い」を持ち出してきた,と筆者は受け止めている。(筆者)


5/10「2011年度 年金制度のポイント」の記事を参照
5/12 内閣府食品安全委員会 「腸管出血性大腸菌による食中毒に関する最新情報」
・富山県等で発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件において,飲食店で食肉を生食した小児等に死亡者や多数の重傷者が出た。

→筆者は,「生ものには,特に注意せよ」と言われて育ち,生肉を食べる習慣はないので,連日のマスメディアのセンセーショナルな取り上げ方に驚いている。さらに,福島第一原発事故による被爆地の食品との報道の違いには,情報操作的な恐ろしさを感じている。5月11日に,東京都より西に位置する神奈川県の「足柄茶」の一番茶(生葉)から国の規制値を超える放射性セシウムが検出され,回収や出荷自粛の措置が取られたことに対する過小な報道が,その証明になると思う。ちなみに,福島第一原発から神奈川県南足柄市までは約290km,東京都までは約220kmとのことである。チェリノブイリ原発事故では,300キロの地域にも多数のホットスポットがあったと言われている。
→「福祉専門職」にとって,「食中毒」の知識は必須である。(筆者)


(厚生労働省)
→■「食中毒に関する情報」

「お肉はよく焼いて食べよう!」「こども向け食品の安全」より)
5/11 厚生労働省 「薬害って何だろう?~薬害を考えるにあたって~」(中学3年生の副読本) ・厚生労働省は,2009年10月に,中学生を対象にした薬害教育用教材を作成するための検討会の設置を公表した。これを受け,2010年7月23日から2010年12月7日までに6回の「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」において教材の原案が作成され,2011年3月に完成されたものである。
・この教材は,「「薬害」と呼ばれている医薬品等による健康被害を知るとともに,その発生の過程や社会的な動き等を学ぶことを通じて,今後,同様の被害が起こらない社会の仕組みの在り方等を考えることを目的として,主に社会科(公民分野)で活用されることを想定している」と説明されている。

→今後,内容の更なる改善を継続していく必要があるとの指摘はあるが,初めての薬害教育教材としての意義は高く評価されるべきであると思う。しかし,薬害被害者の実態を学び,その深刻さを理解するという教育目標は達成されるであろうが,「薬害」にとって最も重要な,行政(研究機関を含む)と製薬会社との癒着構造や日本の消費者の未熟さに基づく薬への依存体質等について,厚生労働省と文部科学省が作成する教材(副読本)で理解が深まるとは思えない。(筆者)
5/10 厚生労働省 「2011年度 年金制度のポイント」
<「2011年度 年金制度のポイント」の構成>
表紙・はじめに・目次 (P1~P3)
第1章 公的年金の意義と役割 (P4~P8)
第2章 公的年金制度の概要  (P9~P13)
第3章 公的年金の適用と保険料 (P14~P19)
第4章 年金の支給要件と保険料 (P20~P28)
第5章 年金積立金の運用 (P29~P32)
第6章 社会保障協定 (P33~P34)
第7章 企業年金制度等 (P35~P43)
参考資料(平成21年財政検証結果) (P44~P49)
参考資料(日本年金機構)

→3月29日に,菅首相は,「社会保障と税の一体改革」を先送りすると表明していたが,4月以降,東日本大震災のどさくさに紛れて与謝野経済財政担当大臣と厚生労働省によって検討が進められ,4月23日に,厚生労働省が原案が示され,4月27日には,「第5回社会保障に関する集中検討会議」が開催されて,検討が一応終了したことになっている。5月5日に,菅首相,細川厚生労働大臣,与謝野経済財政担当大臣が会談し,5月中に,「第6回社会保障に関する集中検討会議」を開催して厚生労働省の成案を提出し,6月中に,政府の改革案を取りまとめる方針を確認した,と報道されている。筆者には,こんなやり方で出来上がった改革案が,日本国民の安心につながるとはどうしても思えない。
→「年金改革案」については,高所得者の年金給付削減,厚生年金と共済年金の一元化,パートの厚生年金年金加入拡大など,改革とはほど遠い,現行制度の見直し程度の内容になるのではないかとみられている。
→毎年,3福祉士国家試験の多くの受験者は,「年金制度」に手こずるようである。左記の最新資料をきっかけにして,年金制度の受験勉強を始めることを勧める。(筆者)


「社会保障と税の一体改革」(トップページ「トピックス」を参照されたい)
「ねんきんネットサービス」(日本年金機構)
5/9 首相官邸 政府は,中部電力に浜岡原発の全面停止を要請した
→ゴールデンウィーク中(4月29日~5月8日)の最大の出来事は,5月6日夜の菅首相の記者会見で,「中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を,海江田経済産業相を通じて中部電力に要請した」と発表されたことだと筆者は思う。3月11日から5月2日まで,スピーディの情報を隠し続け,被爆することを知りながら国民を避難させなかった政府の対応や,4月19日以降,放射能汚染地域の子どもの被爆限度を上げてまで疎開させようとしない政府の対応,などとの落差と脈絡のなさに,多くの国民が驚かされた。
→筆者の妄想的な所感を述べる。5月6日の菅首相の記者会見において,「国民の皆様に重要なお知らせがあります」と切り出されたときには,遂に来たるべきときが来たかとの思いがよぎった。そして,浜岡原発の全面停止のくだりになるが,「東日本大地震で明らかになった日本の地震学の非科学的な地震予測・予知」と指弾されている「東海地震の可能性」をあえて根拠としたことから,「福島第一原発事故の抜き差しならない現状と極めて厳しい見通し」を感じた。筆者は,近い将来,「東日本(首都圏を含む)」の広範囲な地域を放棄し,首都機能も分散させ,多くの住民を疎開・移住させなければならない事態に陥る可能性が高まっているのではないかとの疑念を持った。今回の浜岡原発の全面停止は,そのための下準備と受け止めると合点がいく。今回の決定は,原発事故に関連する情報を集約されている菅首相と海江田経済産業大臣のお二人でなされたと言われている。そう言えば,大震災直後の福島第一原発のベントの決定も,このお二人でなされたとのことである。この妄想が現実とならないことを祈るばかりである。
→なお,「国連国際防災戦略事務局(UNISDR)国際会議」が,5月10日~5月13日にジュネーブで開催され,東日本大震災を教訓に原発の安全対策を初めて議題にすることされている。また,「米原子力規制委員会(NRC)」は,5月12日に公聴会を開き,福島第一原発事故を契機にしたアメリカの原発の安全性検証について検討するとされている。EUでも同様の動きがある。日本政府が日本国民に対して,適切な情報提供をせず,説明責任を果たさず,不誠実な対応をしていても,いずれ世界が真実を明らかにしてくれると思う。(筆者)
4/28 総務省消防庁 「救急車を上手に使いましょう」(救急車利用マニュア)
<総務省消防庁の広報文>
・近年,救急車の出動件数,搬送人員数はともに増えており,救急隊の現場までの到着時間も遅くなっています。また,救急車で搬送された人の約半数が入院を要しない軽症という現状もあります。
・そこで,この度,皆様が安心して救急車を利用できるようにするため,「救急車利用マニュアル(救急車を上手に使いましょう ~救急車 必要なのはどんなとき?~)」を作成しました。
・この中には,救急車を呼んだら用意しておくべきものなど「救急通報のポイント」や重大な病気やけがの可能性がある「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」,実際に救急車を呼ぶ場合の「救急車の呼び方」などを載せていますので,ぜひお近くに置いて頂き,救急車を呼ぶべきかどうか判断に困った場合などに,参考としていただきたいと思います。
・救急車や救急医療は限りある資源です。上手に利用していただき,皆さんが救急医療を安心して利用することのできる社会にしていただきたいと思います。

→東日本大震災。「ありがとう。消防,警察,自衛隊」。これまで,あなたがたの使命感や情熱に甘えていたことを恥じる。(筆者)

「2010年の救急出動状況」(2011年2月18日)
4/27 内閣府

総務省
(政府からの重要なお知らせ )「避難されている皆様の情報を,避難先の市町村へご連絡ください!」
~政府インターネットテレビ~
<「避難されている皆様へのお願い」(政府の広報文より)>

「東日本大震災等により,多くの住民の方々が全国各地に避難されており,住所地(避難される前のお住まい)の市町村や県では,避難された方々の所在地等の情報把握が課題となっています。そこで,避難された方から,避難先の市町村へ避難先等に関する情報を任意にご提供いただき,その情報を避難元の県や市町村へ提供し,当該情報に基づき,避難元の県や市町村が避難者への情報提供等を行う「全国避難者情報システム」を構築するため,平成23年4月12日付けで各都道府県あてに協力を依頼する通知を発出したところです。

①避難先の市町村へご自身の情報をご提供ください。
②避難前にお住まいの県や市町村から,見舞金等の各種給付の連絡,国民健康保険証の再発行、税や保険料の減免・猶予・期限延長等の通知など,さまざまなお知らせが届きます。」

→東日本大震災で岩手,宮城,福島の3県を中心に3万5千人が県外避難し,福島県においては2万9千人が44都道府県に避難したとされる。しかし,これは受け入れた自治体の避難所などにいる人たちで,親族や知人宅にいる人は含まれておらず,県外避難の実態はつかみ切れていないのが現状である。これを受けた,国の「全国避難者情報システム」の導入であるが,登録漏れを起こさないためには,何とかの一つ覚えの「地方自治体丸投げ技」を使うのではなく,知恵を搾った効率的・効果的な登録の呼びかけが必要になると思う。(筆者)


「避難されている皆様へのお願い」 / 全国避難者情報システム(イメージ)
「避難者情報提供書」の書式
「全国避難者情報システム」の市町村受付開始状況(2011年4月26日現在)
4/26 内閣府

法務省
法的トラブルは,「法テラス」を利用してみる
~弁護士・司法書士費用が心配な場合も,まず電話~
<「法テラス」利用のポイント>
①位置づけ:
・法的トラブル解決のための総合案内所
②問合せ先:
・「法テラス・サポートダイヤル(0570-078374(おなやみなし)」or「全国の法テラス事務所」
③経済的に余裕がない場合:
・無料の法律相談or弁護士・司法書士費用の立替え(弁護士・司法書士費用の立替えを行うかは,審査の上,決定される)

④「東日本大震災」への対応:
電話相談(0120-366-556)

「各県の法テラス事務所」
4/25 - ■4月21日,「世界で最も影響力ある100人」に桜井勝延南相馬市長菅野武医師が選ばれた

アメリカTIME誌「2011年 世界で最も影響力のある100人」に桜井市長と菅野医師が選ばれた>

【福島県の桜井南相馬市長については,「日本で政治家になるということは,抑制的な態度を取り,あいまいな言葉を話す」ことを意味するが,未曽有の地震,津波,原発事故を受け,桜井市長は「通常の礼儀正しさを捨て,政府や大企業にかみついた」とされている】


桜井市長は,3月24日に,電話取材しかせず,頼りにならない日本のメディアを見限り,インターネットにおけるYou Tubeの力を信じて世界に向かって窮状を訴えた。
“SOS from Mayor of Minami Soma City, next to the crippled Fukushima nuclear”

【茨城県の菅野医師については,「津波警報が鳴った直後に,病院上階への患者の搬送を開始。2日後に患者全員がヘリコプターで搬送されるまで自分は避難しなかった。3日後,妻の出産になんとか間に合った」とされている】

菅野医師は,3月16日のNHKのテレビニュースで,「救助された医師」として,次のように取り上げられていた。
「被災地に授かった新たな命。・・・今日産まれた男の子。父親の菅野武さんは,壊滅的な被害を受けた宮城県南三陸町の志津川病院の医師です。140人ほどいた患者やスタッフの3分の2の行方が分からなくなるなかで,菅野さんは最後まで患者の治療を続けました。地震から3日目に救助された菅野さんは,出産のために仙台市にいた妻の由紀恵さんと再開しました。・・・名前は「怜ちゃん」。困難を乗り越える賢さと,思いやりのある子に育ってほしいという思いが込められています。」

→桜井市長から見限られた日本のメディア。お二人のTIME100選出後の取り上げ方も,自分たちの反省は抜きにして,芸能ニュース的で,悲しくなるほど表層的なものであった。
→TIME誌を丁寧に見ると発見がある。桜井市長は,「Katsunobu Sakurai(Boat Rocker)」として,市長ではなくボート・ロッカーと紹介されていた。映画好きから,イギリス映画の「THE BOAT THAT ROCKED」(日本:パイレーツ・ロック,アメリカ:Pirate Radio)に重ね合わせたのではないのかと聞かされ,その反骨精神と職務への忠実さに共感し,賞賛したのだと理解した。また,菅野医師は,「Takeshi Kanno(Doctor)」と医師として紹介されていた。“When evacuation helicopters arrived, he waited until the last of his patients had gone before he too left. ”というエピソードから,職業意識と人間性の高さに畏敬し,賞賛していると理解した。筆者は,何よりも選出後のお二人の淡々とした語り口に胸を打たれた。
→蛇足である。筆者は,昔,カミュの『ペスト』を読んだときに,難しすぎたこともあるが,主人公のベルナール・リウー医師の「今度のことは,ヒロイズムなどという問題じゃないんです。これは誠実さの問題なんです。こんな考え方はあるいは笑われるかもしれませんが,しかしペストと戦う唯一の方法は,誠実さということです」,「(誠実さとは)一般にはどういうことかは知りませんがね。しかし,僕の場合には,つまり自分の職務を果すことだと心得ています」というくだりは,どうしても理解できなかった。しかし,今回のお二人のことがきっかけで,現在の破滅的な難局にあって,やっと理解できたように感じている。(筆者)


映画「THE BOAT THAT ROCKED」予告編(You Tube)
http://www.youtube.com/watch?v=pyXu0mC38SE
4/22 テクノエイド協会 「福祉用具選定支援書」
~「(財)テクノエイド協会」にリンクしています~
・財団法人テクノエイド協会は,2011年4月20日に,ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に向けて作成した「福祉用具選定支援書」を公開した。ケアプランで設定した生活目標を,福祉用具でどのように達成できるかを解説している。

→福祉用具専門相談員は,厚生労働大臣が指定した「福祉用具専門相談指定講習会」で講義と実習を全40時間受講することで,資格付与される。現行の内容で,「専門」と言えるかは疑問がある。
→テクノエイド協会は「各種の福祉用具の違いがケアマネジャーらに十分理解されていない」とし,左記資料を役立ててほしいとしている。筆者は,ケアマネジャーや福祉用具専門相談員の資格付与時の研修等のまずに反映させなければ,もったいないと考える。
→約10か月かけて作成したということである。「福祉専門職」にとって,参考になる資料と思われたので掲載した。(筆者)


(参考)
「第5回福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」(2010年7月27日)
4/21 - ■筆者は,福島第一原発事故の政府の初動対応が失敗していたとの確信を持った
~2011年4月18日参議院予算委員会での答弁 ~
<2011年4月18日の参議院予算委員会集中審議>
①桜井財務副大臣に見限られた「菅首相」の国会答弁(You Tube:1時間7分)
http://www.youtube.com/watch?v=e1gxJKjQyGo

②民主党の桜井参議院議員のブログ(4月19日分を参照)
http://www.dr-sakurai.jp/blog110419183526.html


<福島第一原発の最新情報>
①AFPニュースの最新映像(You Tube)
http://www.youtube.com/watch?v=rUYqZvWEDIg

②原子炉の状態と放射線量
http://atmc.jp/plant/rad/

→筆者は,テレビ中継を観ていたが,民主党の桜井副大臣が言われるように,自民党の脇議員の質問は論理的で,的確であったと思う。言い訳がましく,あいまいな答弁を繰り返す「菅首相」と「海江田経済産業大臣」の二人を,次第に追い詰めていくところは,まるでテレビドラマを観ているようであった。結果,福島第一原発事故の政府の初動対応が失敗していたことを浮き彫りにさせた,と筆者は感じた。また,りっぱな人であることは疑いないが,菅首相の最大の弱点は「聞く耳を持たない」ことだと思った。
→本日,菅首相は,「警戒区域設定」の説明のために福島県を訪問され,避難所にも行かれるとのことである。筆者は,これまで逃げ隠れしていたように見える「菅首相」を,福島県の避難住民がどのように受け入れるのかに注目している。その様子が,菅首相と国民との現在の距離のように思える。自分に都合のいい人とだけコンタクトするのであれば,論外であるが。
→政府や日本のメディアの流す原発情報だけを鵜呑みにするのでなく,自らも事実を知ろうとする努力と事実にきちんと向き合う姿勢を持ち続けることが必要であると思う。政府は,これまで275億円もの税金を使ったSPEEDIとERSSの放射能情報を独占し,肝心要のことは国民に知らせていない。もう,諦めたので,情報公開などと難しいことは言わない。人間として,良心に恥じることがなければ,それでいい。(筆者)
4/20 厚生労働省 「生活保護制度の現状・保護基準について」
~「第1回社会保障審議会生活保護基準部会」資料~
・4月19日に,第1回社会保障審議会生活保護基準部会が開催され,5年に1度の生活保護水準の見直しが始まった。
・左記の資料は,東日本大震災以前の状況に対応するものである。

→「厚生労働省は,東日本大震災と福島第1原発事故で多くの人が住居と仕事を失ったことから,生活再建のめどが立つまで生活保護に頼る人が大幅に増えるとみている」,と新聞報道されている。筆者は,厚生労働省が,放射能汚染の影響を,甘く見積もっているのではないか,と思っている。国際社会が,今後,放射能汚染が飛躍的に拡大する日本の生産物や製品・商品を,これまで通りの基準で輸入してくれるほど寛容だとは,到底思えない。かつての,中国産食品の安全性における日本の対応を考えればわかることである。また,3月下旬に公表された「ドイツ放射線防御協会」の日本への提言を勘案すれば,日本はいかに絶望的な状況に置かれているのかが理解できる。「知らぬは,日本国民ばかりなりけり」というのでは,あまりに悲しい。今後,輸出依存度が高い日本の基幹産業である自動車や電機などの製造業も計り知れない影響を受け,日本の全産業および日本の全域において,「未曾有」・「想定外」の失業者・生活困難者が創出されることもあり得ると思われる。もし,そうなれば,現行の生活保護制度は,機能せず,根本的に考え直さなければならないことになる。
→現行の生活保護制度は,生活保護法を根拠法として,法律の本旨に基づいて適正に運用されている,はずである。また,生活保護費の財源は,全額税金であるが故に,政府(厚生労働省)は公正に運用している,はずである。ましてや,思いつきで,厚生労働省の課長ごときの通知で,運用を甘くしたりすることはない,はずである。しかし,2011年3月17日に,「東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて」で,震災被災者を優遇して,甘く運用するように通知している。これまでにも,国民の税金だけで賄われている生活保護が,在日外国人から「カモ」にされていることや,不正受給が横行していることなど,杜撰な運用についての悪いうわさがあった。厚生労働省には,日本国民が納得できる筋の通ったことをしてくれ,と言いたい。もちろん,お上のすることに間違いはないと信じ込んで,何も言わない日本国民が一番悪い,のは言うまでもない。
→最近の政府の対応には,腹に据えかねることが多かったので,ちょっと言い過ぎた。かな。(筆者)
4/19 - ■原発推進にかかわってきた文化人・知識人らの謝罪
<原発事故の深刻さが現実味を帯びてきた。とたんに,原発推進の文化人・知識人が,「謝罪」を始めた。例えば,勝間和代氏のケースを以下に示す>

①2011年3月11日以前(中部電力のCF)
http://www.youtube.com/watch?v=L2DbqTq1Y8Q
(削除するほどでもないのに。神経質になっているのかなあ)

②3月26日(テレビ番組での強烈な発言)
http://www.youtube.com/watch?v=zR9YoSB9-po

③4月15日(「お詫びと提案」の公開)
http://real-japan.org/2011/04/15/421/

→へそ曲がりの筆者は,上記③の「お詫び」の文面を見て,一般的でない「宣伝責任」という法律用語を用いた狡猾な文章から,文化人・知識人として生き延びるための戦略的な「お詫び」と受け止めた。それにしても,極めて短い時間で「お詫び」に至ったものである。ひょっとしたら,原発推進に協力してきた文化人・知識人・タレントらは,「宣伝責任」を追求されるのではないかと,びくびくしているのかも知れない,と勘繰りたくなる。これから,このような手合いが増えてくるのかも知れない。謝罪しようがしよまいが,知ったことではないが,謝罪をしておけば,ことが収まると思ってもらっては困る。日本国民は利口で厳しいと思う。なお,上記の人物については,たまたま目にしたので,例示として挙げたまでである。他意はない。(筆者)
4/18 - ■原発の広告塔となってきたタレントと道義的責任
<原発推進に加担してきたタレントは山ほどいるが,例えば,「はなまるマーケット」(TBS)のメイン司会であるタレント2名は,まぎれもなく原発推進のイメージキャラクターであった>

①薬丸裕英氏(中部電力のCF)
http://www.youtube.com/watch?v=L2DbqTq1Y8Q
(削除するほどでもないのに。神経質になっているのかなあ)

②岡江久美子氏(原子力機関のCF)
http://www.youtube.com/watch?v=hSw42T2wwqg

→筆者は,日々深刻化する福島県民の状況を知るに付け,これまで原発の広告塔になってきたタレントには,原発事故を起こした責任や喧伝の法的責任はないとしても,道義的責任から逃れられることはあり得ない,と考える。また,「道義的責任の重さ」は,原発事故により被害を受けた人々の苦しみや無言の訴えから導き出されるものと思う。原発事故後でも,毎朝,笑顔を振りまいて楽しそうにバラエティ番組の司会をなさっているお二人に,「アンフェア」を感じていたので,例示として挙げたまでである。他意はない。(筆者)
4/15 厚生労働省 ■「東日本大震災における介護保険制度等の対応について」
第72回社会保障審議会介護給付費分科会資料(4/13)より>

東日本大震災における介護保険制度等の対応
老健局から発出した通知・事務連絡一覧
「被災された高齢者の皆様へ」
「生活機能低下を防ごう」
「避難所における認知症の方への配慮をお願いします」
東日本大震災に係る訪問看護サービスの柔軟な提供方法

→東日本大震災に伴って,介護保険,雇用保険など種々の制度・法令で特例措置や条文の解釈に関する通達が発せられている。2011年4月13日に,第72回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され,介護保険制度の状況について報告が行われた。(筆者)
4/14 - ■インターネット上で話題の故忌野清志郎氏と故黒澤明氏の作品を観た(You Tube)
<1988年の忌野清志郎氏と1990年の黒澤明氏の作品>

①サマータイム・ブルースとラブミーテンダー(9分31秒)
URL:
http://www.youtube.com/watch?v=aJdMa1VI0do&feature=related

②「夢」/Mount Fuji In Red(7分40秒)
URL:
http://www.youtube.com/watch?v=bvT4heNjVHQ

→今,インターネット上で話題になっている20年前の作品の動画を紹介する。上記の黒澤作品において,プルトニウム239は1/1000万グラムでもがんになる,ストロンチウム90は骨髄にたまり白血病になる,セシウム137は生殖腺に集まり遺伝子が突然変異を起こし,つまりどんな子供が生まれるか分からない,という刺激的な台詞があった。福島第一原発事故において,下記参考データの通り,これらの放射性物質すでに検出されている。放射能拡散への対応は,つまるところ,個々人の受忍限度の問題であると思う。「自分の健康は自分で守る」,「自分の子どもの命は自分が守る」,が基本である。
4月12日に,菅首相の記者会見があった。記者会見場の国旗の喪章が取り外されていた。原発事故の国際評価尺度(INES)が最悪のレベル7になったにもかかわらず,原発の現状は「一歩一歩安定に向かっており,放射性物質の放出も減少傾向にある」と述べたが,疑問を感じた国民は多いと思う。漢文に,「子曰,民可使由之,不可使知之。」というのがある。「子曰わく,民は之(これ)に由(よ)らしむべし。之れを知らしむべからず。」と読む。従がわせることはできても,理由を理解させることは難しい,という意味であるが,もともと菅首相は理由を言わないのだから,難しいと感じていないのではないかと思う。当該記者会見において,「事故を理由に原子力発電に背を向けてはなるまい」という社説を出した産経新聞の記者から「総理の存在自体が国民にとっての不安材料になっている」と低レベルな質問をされ,菅首相が「私とあなたとの見方はかなり違っている」と必死に答えていた。筆者は,「目くそ鼻くそを笑う」とは,このことだと思った。(筆者)


(参考データ)
「福島第一原発のプルトニウムの検出状況」
「福島第一原子力発電所の20km以遠のモニタリング計画の充実について」
「放射性核種(ヨウ素131,セシウム137)の放出総量の推定的試算値について」
4/13 日本年金機構 「2011年版 自分でできる年金額簡易試算」
<システム利用上の前提条件>
①簡易試算を行う時点において,60歳未満の人で,試算の対象は,老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額
②簡易試算を行うには,加入期間の合計が25年(300月)以上となるよう入力
③年金額は,60歳到達月に退職しているものとして計算
④船員保険の加入期間は,厚生年金保険の期間として老齢厚生年金の額を計算
⑤厚生年金基金の加入期間がある人も,厚生年金基金加入期間はないものとして老齢厚生年金の額を計算

※問い合わせ先:0570-80-1165

→「社会保障改革」(やまだ塾トップページのトピックスを参照のこと)の進捗状況である。政府は,2011年2月に「社会保障改革に関する集中検討会」を立ち上げ,3月5日の第4回まで,公開で有識者からの意見聴取を進めていたが,3月11日に発生した東日本大震災以降は,開催を見合わせていた。菅首相は,3月29日の参議院予算委員会で,社会保障と税の一体改革に関する政府案のとりまとめの時期を,当初4月に厚生労働省が社会保障改革の姿を示し,6月に税制との一体改革案をまとめるとしていたものを,「先送りする」と表明した。延期の時期を示さなかったことから,筆者は,「立ち消えになる」と予想している。
→なお,菅首相は,2月3日の衆議院予算委員会で,社会保障制度改革案について,「社会保障の大きな要素は,年金,医療,介護,場合によっては子ども(手当)や,雇用の問題も関わる」と言いたい放題の答弁をされておられたことを思い出した。子ども手当について,筆者は,2011年10月以降は「廃止」され,恒久的な児童手当法に基づく児童手当が復活支給される,と確信している。(筆者)


「社会保障改革」(内閣官房)
4/12 厚生労働省

文部科学省
「東日本大震災の発生に伴う社会福祉士,介護福祉士及び精神保健福祉士養成施設等の運営等に係る取扱いについて(通知)」 ・2011年4月8日,厚生労働省と文部科学省との連名で,3福祉士に関して,2011年度の始業時期を遅らせた養成施設等を卒業した者にも国家試験の受験資格,登録資格を認めること,養成施設等において施設の破損・教員不足が発生した際には制度を弾力的に運用して差し支えないこと,等が通知された。
・今回の措置は,養成施設での教育内容の縮減を認めるものではない。各施設は,時間割の変更や補講授業などにより,必要な教育を担保することが必要となる。
・両省は,看護師などの医療関係19職種についても,同様の通知を4月5日付で出している。

「社会福祉士,介護福祉士等」(厚生労働省)
4/11 厚生労働省 「震災孤児の人数および経済的支援について」
~社会保障審議会社会的養護専門委員会資料~
・4月8日に,第11回社会保障審議会社会的養護専門委員会が開催され,東日本大震災の震災孤児数(4月4日現在)および子ども手当等の経済的支援を含めた「災害状況」が報告され,議論された。

→厚生労働省の1次調査(4月9日現在)では,今回の震災で両親とも失った震災孤児は,岩手県,宮城県,福島県の合計で82人となっているが,さらに増加するものと見込まれている。このため,4月1日に,厚生労働省と文部科学省は,連名で全国の教育委員会や学校関係者に対して,親を失った子どもの情報を把握した場合には,地元の児童相談所に連絡するよう通知している。ちなみに,阪神大震災で両親とも失った震災孤児は68人であった。なお,いずれかの親を亡くした子どもの数は,多過ぎて把握し切れていない状況とされている。厚生労働省は,引き続き,人数や生活状況の把握し,具体的な支援策の検討を進めるとしている。
→左記資料において,厚生労働省は,できるだけ親族と暮らせるように調整し,難しい場合は里親制度等を活用する方針を示している。筆者は,行政側の良かれとする思い込みが修正できるように,受け入れにミスマッチがあるときには,いつでも子どもの側や親族等の受け入れ側からも「SOS」が出せる体制を作っておくべきだと思う。(筆者)


「東日本大地震により被災した子ども達への支援について」(厚生労働省・文部科学省 2011年4月1日)
「震災により親を亡くした子どもへの対応について」(厚生労働省2011年3月25日)
「社会的養護における災害時「子どもの心のケア」手引き(施設ワーカーのために)」(厚生労働省2011年3月)
4/9 - ■「2011年統一地方選挙」で,原発存続派に票を入れていいものか,熟慮すべきである
<原発に警鐘を鳴らすフィンランドのドキュメンタリー映画>
・作品名:「100,000年後の安全」(You Tubeの予告編)
・映画の公式サイト
http://www.uplink.co.jp/100000/

→心ある日本国民は,福島第一原発事故に関し,日本政府および日本のメディアには,情報公開が正しく行われることを期待していないし,信頼もしていない。原発事故の情報を集約していると言われる「海江田経済産業大臣」は,未だに裏に隠れたままであり,枝野官房長官を始めとする雑魚に稚拙な記者会見をさせ,日本のメディアはそのままを垂れ流して報道している。そう言えば,東京消防庁の隊員が長時間連続の放水を強制された際に,「実施しなければ処分する」と言ったのが海江田大臣であった。また,4月4日に,「汚染水の海洋投棄」という暴挙を了解したのも海江田大臣であった。早晩,日本政府および日本のメディアは,国際社会から厳しく糾弾されることになる,と筆者は確信している。
→原発から排出される放射能物質を含む放射性廃棄物が,生物にとって無害になるには10万年以上かかることを,多くの日本国民は知らない。原子爆弾を2度も受けたという貴重な経験を生かさず,「原発は絶対に安全」という「経済を優先にした幼稚なうそ」にひっかかった「日本国民」の放射能に対する意識・認識の低さは,致命的である。
→筆者は,福島第一原発事故の顛末として,地球規模の放射能汚染を引き起こすことによって,日本が破滅に至る可能性はゼロではないと想定している。不幸にして,そうなった場合,日本国および日本国民は,地球上のあらゆる国や民族から,嫌忌され,排斥されるだろうということは容易に想像できる。そうなるとしても,日本国民は,最悪の中でも最善を尽くすために,改善のチャンスがある限り,熟慮して行動していくべきである。
→2011年の統一地方選挙において,4月10日が投票日である12都道県知事選挙のうち原発を抱える北海道,福井県,島根県,佐賀県の現職4知事は,すべて「原発存続派」である。日本国民は,投票にあたって,熟慮の上,次世代のために,有権者としての責任を果たさなければならない。ただし,日本の未来にとっては,もう遅いのかもしれないが,人類の未来のためにも責任を果たさなければならないと思う。
→日本のエネルギー政策に関して,どのような立場に立つにせよ,日本国民は,「今後,放射線計測器,ヨード剤,汚染されていない飲料水の配布などを,日本政府に求めていくことになる」という見解には,納得せざるを得ない。(筆者)


「フィンランド国営放送(YLE)」の福島第一原発関連のニュース
4/8 - 「留岡幸助」(1864~1934)の生涯が映画化された(You Tubeの予告編)
・作品名 : 「大地の詩-留岡幸助物語-」
・監督 : 山田火砂子さん
・出演 : 村上弘明さん,工藤夕貴さん 他
・製作 : 現代ぷろだくしょん
・劇場公開 :
 2011年4月9日(土)よりロードショー(東京都,名古屋市)

→社会福祉の歴史上の人物として,「留岡幸助」は,3福祉士国家試験では頻出である。
次の①~④のうち,正しい記述はどれか?
①留岡幸助は,救世軍に入り,貧困問題に尽力した。
②留岡幸助は,近江学園を創設し,主として児童養護の領域で活躍した。
③留岡幸助は,東京に私設感化院を創設した後に,北海道家庭学校を創設し,少年の感化事業と新農村の建設などの活動を行った。
④留岡幸助は,1894年から1897年にかけてアメリカに留学し,帰国後,1899年巣鴨に家庭学校を設立し,さらに1914年北海道家庭学校の分校と農場を開設した。1924年(大正13年)には『自然と児童の教養』を著した。
→蛇足であるが,今回の震災における「社会的弱者」への支援・ケアに関する筆者の雑感である。これまでの社会政策における「高齢者偏重」が,震災後の支援・ケアにおいても同様であった。日本のメディアの取り上げ方も,「政治的に,社会的弱者と決め付けられた高齢者」に比重を置くあまり,子どもや青少年への支援・ケアについて報道されることが少ないように感じている。筆者は,復興,新興を機に,もう少し利口になってほしいと思う。「高齢者」を粗末にしてくれということではない。これからの日本を支えてくれる子どもや青少年を,今よりも大切にして,バランスの取れた社会にしてほしいということである。(筆者)
4/7 - ■海外メディアの報道を見て,日本のメディアのあり様を考えてみる
<筆者の選択による海外メディアの映像・画像>
(注意)
ご遺体を含む衝撃的な映像・画像が含まれているので,自分の意思に基づいて,ご覧いただきたい。


(1)アメリカ CBC「60 Minutes overtime」のテレビ映像
・放送日:2011年3月20日
①3分46秒
・URL:
http://www.cbsnews.com/8301-504803_162-20044763
-10391709.html?tag=contentMain;contentBody

②14分15秒
・URL:
http://www.cbsnews.com/video/watch/
?id=7360240n&tag=cbsnewsMainColumnArea.6


(2)アメリカ 「The New York Times誌」の報道写真
・日付:~2011年3月27日
・URL:
http://www.nytimes.com/interactive/2011/
03/12/world/asia/20110312_japan.html#1

→日本のメディアは,今回の国難に際しても,悲惨な場面やご遺体を含む衝撃的な映像・画像を日本国民に知らせない。これはこれで,一定の見識に基づく配慮であるが,筆者は賛同しない。一方で,海外では,大多数の日本国民が知らされていない事実が報道され,海外の視聴者は日本国民より多くの情報を得ている状況にある。また,その事実や情報に基づいて,今回の世界的な支援が巻き起こっていることを,日本のメディアは日本国民に知らしていないという状況にある。さらに,筆者が最も恐ろしいと感じたのは,3月18日に,客観的な立場であるはずの日本気象学会が,会員の研究者に向けて,大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出したことが分かったことである。ということは,日本国民は,政府からも,日本のメディアからも,そして科学者・専門家からも,真実を知ることから遠ざけられてしまっている可能性がある,ということである。
→海外メディアの話に戻すが,上記(1)①のCBSのレポーターは,米軍によりかけられたブランケットの下に85のご遺体がある小学校の体育館へテレビカメラが入る前に,死者の尊厳,真実の報道等について,きちんと自身の見解を述べている。
→日本の存亡にかかる極めて厳しい状況になってきたのに反して,4月に入ってからは,テレビや新聞での震災や原発事故の取り上げが極端に少なくなり,他人事や楽観的な雰囲気を作り出しているように思われる。「福祉専門職」として,日本のメディアのあり様を考えていただきたいと思い,記事にした。(筆者)
4/6 厚生労働省 被災者への情報を掲載した「生活支援ニュース」の発行・配布が始まった ・厚生労働省は,4月5日,「東日本大震災」の被災者向けに,健康維持や仕事探しなどの情報を盛り込んだ「生活支援ニュース」を発行し,岩手県・宮城県福島県内の避難所で配布を始めたと発表した。週1回程度の発行予定で,第1号は約20万部を発行し,今後は,被災地以外にある避難所へも配布するとされている。

→「東日本大地震」と「福島第一原発事故」によって,日本は最大級の危機に陥っている。震災後の対策として,①被災者対策,②原発事故対策,③大規模停電対策,が求められていたが,原発事故対策および大規模停電対策に目を奪われて,被災者支援対策に手抜かりがあるとの指摘を受け,遅まきながら,3月17日に緊急災害対策本部の中に「被災者生活支援特別対策本部」を設置し,仙谷元官房長官を官房副長官に起用し,生活支援を担当させることになった。3月18日の記者会見で,枝野官房長官は「被災者支援に全力で取り組む」と述べ,3月26日には前国交相の馬淵澄夫氏を補佐官に起用し復興計画策定などに当たらせるとされた。問責決議を受けて辞任した両名であるが,起用後にはどのような動きをして,機能しているのかいないのか,さっぱり見えてこない。現在でも,被災者生活支援対策の「後手後手感」は否めない。今回の厚生労働省の「生活支援ニュース」は,コミュニケーションツールとしての意味は十分にあると思われるが,政府に対して,「本質的で,効果的な被災者生活支援対策」へのさらなる奮闘を伏してお願いしたい,と多くの国民は思っている。(筆者)
4/5 - ■原発反対の研究者の警告に耳を傾ける③
~国民一人ひとりへの問いかけである~

<地震学者である神戸大学名誉教授・石橋克彦氏の警告>
第162会国会における公聴会での公述(2005年2月23日)
「衆議院で石橋教授が「原発震災」を強く警告」

2011年の「原発震災」について(2011年3月15日)
『私がこれまで書いたり話したりしてきたことは,今の緊急事態に役立つことではないのですが,私が願っていたことを少しずつ纏めておきたい気がしてきました。幸いに危機的状況を脱することができたら,今後の日本社会をより安全に復興するために多少は参考にしていただけるかもしれないとも思います。まずは3点をアップします。』

→筆者は,福島第一原発の状況が日々悪化しているのに,日本国内に妙に楽観的な空気が漂っているのは,政府とマスメディアによる情報コントロールのたまものであろうと思う。4月4日には,枝野官房長官は,気象庁が放射性物質の拡散予測を連日行いながら,公開していなかったことに関して,「公表すべきだった」と述べた。追及を受けて,ようやく隠蔽を認めた。適確な情報公開は,政府と国民の信頼関係の基礎である。
→東日本大震災の発生を受け,被災地の一部(岩手県,宮城県,福島県など)では「特例法」により延期となったが,多くの地域では,4月10日および4月24日に「第17回統一地方選挙」が実施される。
→これまで原発に関する警告を無視して,「原発は絶対に安全である」と主張してきた政党や議員に対して,今回の選挙で,「代表者」としての正当な評価が与えられなければならないはずである。住民一人ひとり,国民一人ひとりが,未来に向けて,結論を出さなければならない状況に置かれていると思う。筆者は,特に,原発を有する地域の有権者には,大きな責任が課されていると考える。原発を止められるのは,「住民だけ」である。
→あえて,厳しいことを申し上げる。福島県に原発を誘致した責任者である現民主党の最高顧問の「渡部恒三氏」を,自民党時代から支持してきたのは「福島県民」である。さらに,氏の甥であり秘書でもあった現福島県知事の「佐藤雄平氏」を支持したのも「福島県民」で,2010年には最も危険だといわれていた福島第一原発3号機のプルサーマル計画を,やすやすと導入・稼動させてしまった。その福島県民の選挙による選択が,「福島県」のみならず,「東日本」,「日本国」,ひいては「地球」に危機をもたらしたという現実を,「日本国民」は直視すべきである。
→今後,日本が,いかなる悲劇的な状況に陥ろうとも,現世代は,新しい世代のために,種々の意見を吟味し,やれることがある限り,最善を尽くし続けなければならないという義務を負っている。(筆者)


3/30
原発反対の研究者の警告に耳を傾ける②),3/23(■原発反対の研究者の警告に耳を傾ける①)の記事を参照
4/4 - 「2011年4月から福祉関連分野で何が変わったか?」
<主な項目>
①公的年金の支給額の減額(0.4%)
②国民年金保険料の引き下げ(80円)
③「協会けんぽ」(中小企業従業員向け全国健康保険協会管掌健康保険)の保険料率引き上げ
④児童扶養手当の減額(0.4%)
⑤「子ども手当」の現行制度の半年延長
⑥高速道路料金の「平日上限2,000円」の見送り
⑦自賠責保険料の値上げ

→2011年度予算(92.4兆円)は成立したが,予算関連法案である赤字国債発行等の法案成立のめどもたたず,歳入の約4割(特例公債法案では,赤字国債発行分38.2兆円,特別会計の積立金取り崩しなど2.5兆円)が保証されないまま,2011年度がスタートしてしまった。さらに,震災対策のための補正予算の編成と法律(基本法と特別法)の制定を急がなければならない状況に置かれている。日本の存亡は,「大人の政治」ができるかどうかにかかっている。
→(筆者)
4/1 内閣府 2012年度から国家公務員採用試験が変わる
~「日本の行政課題にチャレンジ!」~
<変更のポイント>
①従来のⅠ種試験,Ⅱ種試験,Ⅲ種試験が廃止され,「総合職試験」「一般職試験」に再編される。
②専門的な職種を対象とした「専門職試験」が創設される
③民間企業等で有為な勤務経験を有する者を係長以上で採用する「経験者採用試験」が創設される。
④新たな国家公務員採用試験は,2012年度から開始される。
なお,2011年度試験は,引き続き現行の各試験が実施される。

→この度の国難は,単なる復旧や復興の範囲を超えており,「国のかたち」を変えざるを得ない状態にある,と多くの国民は感じている。この国を作り直し,未来を開くには,多くの有為な若い官僚の力が必要なことも。
→一方,政治の世界においては,「旧時」にこだわらず,日本の新興が実行できる強いリーダーが求められている。是非はあるが,関東大震災直後に,内務大臣兼帝都復興院総裁となった岩手県出身の「後藤新平」のような人物が。岩手県を選挙地盤としている政治家と言えば,「小沢一郎氏」が思い浮かぶ。(筆者)


(人事院のHP)
「新たな採用試験の内容」
「国家公務員試験採用情報NAVI」