福祉行政の最新情報(2006.4.1〜)-17
2012年4月1日〜2013年3月31日
 「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
http://www.yamadajuku.com/
 2013年4月1日〜
2012年4月1日〜2013年3月31日
2011年4月1日〜2012年3月31日
2010年10月1日〜2011年3月31日
2010年4月1日〜2010年9月30日
2010年1月1日〜2010年3月31日
2009年8月1日〜2009年12月31日
2009年4月1日〜2009年7月31日
2009年1月1日〜2009年3月31日
2008年11月1日〜2008年12月31日
2008年9月1日〜2008年10月31日
2008年7月1日〜2008年8月31日
2008年4月1日〜2008年6月30日
2007年12月1日〜2008年3月31日
2007年8月1日〜2007年11月30日
2007年4月1日〜2007年7月31日
2006年10月1日〜2007年3月31日
2006年4月1日〜2006年9月30日
日付 関係省庁等 項 目 ポイン
3/29 厚生労働省 「第25回介護福祉士国家試験にEPA介護福祉士候補者128名が合格した」 2012年度の介護福祉士試験の受験者総数(合格率)は全体では136,377名(64.4%)で,うちフィリピンとインドネシアのEPA介護福祉士候補者は322名(39.8%)であった。
全体 EPA
合格者数
/受験者数

(合格率)
合格者数
/受験者数
(合格率)
フィリピン インドネシア
25回 87,797
/136,375名

(64.4 %)
128名
/322名

(39.8%)
42名
/138名

(30.4%)
86名
/184名

(46.7%)
24回 88,190
/137,961名

(63.9%)
36名
/95名

(37.9%
1名
/1名
(100%)
35名
/94名
(37.2%)
23回 74,432/154,223名 - - -
22回 77,251/153,811名 - - -
・なお,2012年度の看護師国家試験合格率は全体では88.8%で,うちフィリピンとインドネシアのEPA看護師候補者は9.6%(2011年度は11.3%)であった。

→EPA介護福祉士・看護師候補者の受け入れに際して,2008年〜2011年度までに計80億円もの税金が注ぎ込まれたと言われている。また,上記の成果しか出せない「2012年度経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士受入関係事業」に,約4億円もの税金が投入されている。筆者は,EPA利権で,官僚OBや関連団体が潤うシステムが作られ,それに血税が流れ込んでいると受け止めている。
→さらに,ひどいと思うのは,2011年度に外国人の合格者が低いという批判が出たため,厚生労働省は「国家試験のレベル(試験問題の質および合格点数)」を下げたことである。筆者は,第25回介護福祉士国家試験については,憤りを覚える。ついでのことで恐縮であるが,第25回社会福祉士および第15回精神保健福祉士国家試験についても,定見のなさに,憤りを通り越して,呆然としている。(筆者)


2/4「第25回介護福祉士国家試験」で経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した改善をしましたの記事を参照

(参考)
2012年度の国家試験委員(介護福祉士試験委員社会福祉士試験委員精神保健福祉士試験委員
「介護福祉士・社会福祉士」 / 「精神保健福祉士」
「福祉専門職の現状」
3/28 厚生労働省 「保育所待機児童数(2012年10月)」 ・2013年3月27日,厚生労働省は,2012年10月の待機児童の状況を公表した。
<2012年10月の待機児童状況のポイント>
●待機児童数が半年で1.8倍になった。
・24,825人(2012年4月) → 48,356人(2012年10月)

(参考)
「2011年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」
2011年度の全国の認可外保育施設の数が7,739か所(前年度比160か所増)で,過去最高であるが,施設に入所している児童の数は18万4,959人(前年度比1,148人減)であった。

→左記の「保育所待機児童数」には,認可保育所から選考漏れになったために子どもが1歳になるまで育児休業期間を伸ばした場合,認可外保育所にやむを得ず入れた場合,保育所に入れなかったから仕事を辞めた場合,保育所への申し込みを諦めている場合は,「待機児童数」にカウントされていないと言われる。そうであれば,厚生労働省は,実態とかけ離れた「保育所待機児童数」を公表しているということになる。実際の待機児童数は,100万人に上るのではないかという見解もある。
→低く見積もられた「待機児童数」ですらクリアできない「待機児童対策」に関する政府の動向である。
・2013年3月21日,「規制改革会議」において,現在の政府目標(2015年度から5年間で待機児童ゼロを目指す)が「あまりに遅い」と批判し,民間企業やNPO法人の認可保育所への参入を促し,2014年度末までの今後2年間で保育所に入所できない待機児童の解消を目指す政府目標を掲げるべきだとの素案をまとめた。政府は,2013年4月には「子ども・子育て会議」を発足し,2015年から5年間かけて待機児童解消を図る方針とされている。
→そのような政府の動きを尻目に,認可保育所の入所許可がもらえなかった子どもの母親らが,自治体に行政不服審査法に基づく異議申し立てを行うケースが相次いでいる。「子どもだまし」のような「待機児童対策」を繰り返してきたが,ごまかしきれなくなってきたということなのかも知れない。(筆者)
3/27 厚生労働省 「2011〜2012年 海外情勢報告」 ・2013年3月25日,厚生労働省は,「2011〜2012年 海外情勢報告」を公表した。
・「海外情勢報告」は,諸外国の労働情勢および社会保障情勢全般に関する情報を整理・分析し,広く提供することを目的として,毎年公表されている。そのうちの定例報告において,今回,2012年を中心に,欧米,アジア諸国,豪州の雇用・失業情勢および労働・社会保障施策が紹介されている。
<主要国の定例報告>
労働施策 社会保障施策
アメリカ アメリカ
ドイツ ドイツ
フランス フランス
イギリス イギリス
スウェーデン スウェーデン
EU

→最新情報であるので,2013年度の3福祉士国家試験受験者には,上記定例報告は通読していただきたい。(筆者)
3/26 内閣府 もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう
・2013年3月25日,内閣府は,政府広報オンラインにおいて,「食品ロスの削減」に関する記事を掲載した。
<「食品ロスの削減」のポイント>
@日本の「食品ロス」は年間500万トン〜800万トン,1人1日おにぎり1〜2個分の食べ物が捨てられている
A「食品ロス」の約半数は家庭から発生している
B削減を工夫する
・食材を「買い過ぎず」,「使い切る」,「食べ切る」
・残った食材は別の料理に活用する
・「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解する
・外食時での食べ残しを防ぐ

→日本国内で供給される食品は年間8,500万トン,そのうち家庭からと事業者からと出てくる食品廃棄物を合わせると1,800万トンがゴミとして排出され,そのうち「食品ロス」が年間500〜800万トンに上り,そのうち年間200万トン〜400万トンが家庭から発生している。一方,世界中で9億人が慢性的な栄養不良にあると言われている。家庭からの「食品ロス削減」とともに,食品業界の返品に関する1/3ルールの見直しや,福祉分野におけるフードバンク活動の拡大などが個別には話題に上るが,効果を上げるためには,さらなる行政からの総合的な情報提供と繰り返しの広報活動が必要であると思う。(筆者)


(参考)
消費者庁
「食べもののムダをなくそうプロジェクト」 / 「食品の期限表示に関する情報」
農林水産省
「食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制」 / 「FOOD ACTION NIPPON」 / 「食品の期限表示について」 /
「なぜ?なに?食育!!」
3/25 厚生労働省 「2013年度地域若者サポートステーション事業 選定団体等一覧(2013年4月)」
・2013年3月22日,厚生労働省は,ニートなどの若者の職業的自立を支援する「2013年度地域若者サポートステーション事業実施要綱」について,実施団体を企画競争により選定した。
・「地域若者サポートステーション」(サポステ)は,ニートや引きこもりの若者らにカウンセリングや職場体験を行い,仕事に就くことを支援する。厚生労働省は,運営をNPOや株式会社などに委託している。2013年4月から149か所で実施するが,2013年度は最終的に全国160か所(2012年度は116か所)を選定する予定とされている。
<参考資料>
「ニート等の若者の職業的自立支援」(厚生労働省)
「2013年度の地域若者サポートステーション事業」

→「地域若者サポートステーション事業」に関する最近の動向をまとめる。
@「2012年度厚生労働省補正予算案」においては,雇用関係での「若年者への人材育成の推進」に600億円が計上され,「地域若者サポートステーション事業」には60億円が投入される。なお,若年者の雇用の安定を促進するため,事業主が雇用する若年労働者に対して職業訓練(3か月〜2年)を行った場合および訓練受講者が正規雇用労働者として定着した場合に奨励金を支給し,支給額は訓練への奨励金が1人月額15万円、正規雇用定着への奨励金が1年定着後50万円,2年定着後さらに50万円となっている。
A「2013年度厚生労働省予算案」においては,若者雇用戦略関係に総額約7,058億円計上され,「地域若者サポートステーション事業」および「サポステ・学校連携推進事業」に34億円が投入される。なお,
「若者雇用戦略」とは,2012年6月24日,民主党政権下において2020年度までの経済成長戦略をまとめた「日本再生戦略」の中に盛り込まれたものである。一般的に,この「若者雇用戦略」は,「基本的には既存の枠組みでの対症療法による対策であり,根本的な解決につながらない」との評価を受けている。
B 2013年2月21日に「地域若者サポートステーション」事業の今後のあり方に関する検討会報告書」が公表された。
→かつて,事業仕分けにより「若者自立塾」というのが廃止され,「地域若者サポートステーション」に集約された。ジョブカードも廃止されたはずだが,現在も存続している。小手先,姑息な施策の寄せ集めでは「若年者雇用」はどうにもならない。種々の施策が効果を無視した税金のバラマキのように思えなくもない。ニートや引きこもりの若者に対する雇用施策は重要であるという前提であるが,「規制改革」とも関係する中高年の解雇制限の見直しよる新卒採用枠や中途採用枠の拡大なくして「抜本的な若年者雇用対策」とはなりえないという意見は無視できない。(筆者)


(参考)
「わかもの就職応援」(政府広報オンライン)
「若者雇用戦略の推進」(内閣府)
「若年者雇用対策」(厚生労働省)
「若年者雇用」(労働政策研究・研修機構(JILPT))
3/22 - 「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての共同声明
〜日本医学会HPにリンクしています〜
・2013年3月9日,日本医師会,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本人類遺伝学会は,「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての共同声明を発表した。同日,日本産科婦人科学会は,「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」および2012年12月15日に提示した指針(案)に対するパブリックコメント(219件)を公表した。
・母体血を用いた出生前遺伝学的検査の実施施設の認定および登録は,日本医学会臨床部会運営委員会「遺伝子・健康・社会」検討委員会の下に設置された「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」施設認定・登録部会で行うこととされている。また,施設認定・登録部会は当分の間,臨床研究の形態を備えた申請だけを受け付けるとされている。
・新しい出生前診断においては,十分な遺伝カウンセリングが行われる体制
整備の必要性が強調されている。

→妊婦の採血で,妊娠中の胎児に特定の染色体の病気があるかどうかを高い精度で診断できる新しい出生前検査(NIPT)が,2013年4月から臨床研究として認定施設で限定的に始まる。この検査の目的は出産直後から母親と赤ちゃんに適切な治療などをできるようにすることとされているが,安易な人工妊娠中絶が増加するのではないかという懸念も出されている。
→筆者は,国民的議論は必要であるが,「これから親になる人たち」を置いてけぼりにしないことが重要であると思う。(筆者)
3/21 財務省 「2013年度 国民負担率(対国民所得比)の推移」 ・2013年3月19日,財務省は,所得に占める税金と社会保険料の負担の割合を示す「2013年度国民負担率」(「2013年度国民負担率(対国民所得比)の推移」,「国民負担率の国際比較」,「国民負担率の国際比較(OECD加盟33か国)」)を公表した。
<2013年度国民負担率のポイント>
@2013年度の国民負担率は,40.0%(2012年度比0.2%減)となる見通しである(過去最高は2008年度の40.3%)。背景としては,景気回復に伴う国民所得の伸びに伴い,社会保障負担率及び租税負担率が減少することが挙げられている。
A一方,国民負担に財政赤字を加えた潜在的国民負担率は,53.2%(2012年度比0.5%減)となる見通しである。

<国民負担率の国際比較>
「国民負担率の国際比較」
「国民負担率の国際比較(OECD加盟33か国)」

→2013年度の国民負担率(40.0%)は,4年ぶりで低下した。その理由については,経済対策などによって経済成長率が2012年度より高くなると見込んでいるためとされている。なお,日本の国民負担率は,フランス(2010年で60.0%),ドイツ(同50.5%),イギリス(同47.3%)など社会保障が手厚く,税負担が比較的重いヨーロッパ諸国より低く,アメリカの30.9%よりは高くなっている。一方,国の借金を国民が肩代わりした場合も含めた「潜在的な国民負担率」は,53.2%となり,3年連続で50%を超える見通しとされている。
「国民負担率」は,税と社会保障一体改革の議論でも,よく使われた概念であり,消費税増税の有力な根拠の1つになったが,世界共通のものではないことを説明されることはほとんどなかった。一般的に,国民負担率=(税+社会保障負担)÷(国民所得−間接税)という算式で表わされるが,大抵は,ヨーロッパ諸国の多くが間接税を中心とした税制で,日本やアメリカは直接税を中心とした税制であるという説明が端折られたまま議論されている。結局,日本国民は,合理性に疑義がある「国民負担率の国際比較」を受け入れ,消費税増税を許した。「これは,さらなる消費税増税を容易にしたことを意味し,財務省の作戦にまんまと乗せられてしまっている」という意見には,説得力があるように思う。(筆者)
3/19 総務省 「2013年 日本統計年鑑」「日本の統計2013」「世界の統計2013」 ・2013年3月12日,総務省は,「2013年 日本統計年鑑」,「日本の統計2013」,「世界の統計2013」を公表した。2012年度の総務省総合統計書が出揃った。
「2013年(第62回) 日本統計年鑑」
日本の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野にわたる基本的な統計データを,網羅的かつ体系的に収録し,官公庁や民間調査機関などが実施又は作成している統計調査,業務統計及び加工統計から基本的なデータを選択し,編集している。27の分野,742の統計および43の図表で構成され,各章の冒頭には,統計の資料源,調査方法などについても解説されており,統計表には,英文が付されている。(毎年11月公表)

「日本の統計2013」

・日本の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野に関して,基本的な統計が利用しやすい形に編集され,26の分野,約500の統計表,約60のグラフから構成されている。(毎年3月公表)

「世界の統計」
・世界各国の人口,経済,社会,文化などの実情や世界における我日本の位置付けを知るための参考となる統計で構成されている。(毎年3月公表)


(その他の統計)
「Statistical Handbook of Japan 2012」
・統計を通じて日本の最近の実情を分かりやすく紹介した英文の刊行物で,人口,経済,社会,文化などの各分野について,統計表・グラフ・地図・写真を交えて解説している。(毎年8月公表)
3/18 厚生労働省 「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(2013年3月)」 ・2013年3月14日,2012年度老人保健健康増進等事業として実施された「介護施設の重度化に対応したケアのあり方に関する研究事業」(実施主体:三菱総合研究所)において,「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(2013年3月)」が公表された。
・本マニュアルは,2005年3月の「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」をもとに,2007年3月にとりまとめられた「特別養護老人ホームにおける感染対策ガイドライン」の内容を統合し,近年の施設における感染症の動向や感染症に関する新しい知見を踏まえ2013年3月に改訂されたものである。


→高齢者介護施設は,感染症に対する抵抗力が低い高齢者が,集団で生活する場であり,感染が広がりやすく集団感染の危険性があるとされている。感染症に対する対策の柱は,@感染源の排除,A感染経路の遮断,B 宿主(ヒト)の抵抗力向上であるため,@病原体を持ち込まない,A病原体を持ち込ませない,B病原体を拡げないことが重要となり,その基本となるのが,「標準予防措置策(スタンダード・プリコーション )」と「感染経路予防策」であると説明されている。
→また,2013年3月12日,厚生労働省は,「インフルエンザの感染拡大を防ぐために〜高齢者介護施設編〜」(You Tube)を公表した。(筆者)
3/15 文部科学省 「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」 ・2013年3月13日,文部科学省は,大阪市立桜宮高校で体罰を受けていたバスケットボール部の男子生徒が自殺した問題を受け,学校教育法第11条で禁止されている体罰の具体例を全国の教育委員会などに通知した。
・2007年2月に「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」が通知されていたが,懲戒,体罰に関する解釈・運用については,今後,2013年3月13日通知によるものとされ,別紙に「学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例」が示されている。

→体罰に関する法律上の規定を概観する。校長・教員の場合,学校教育法11条が懲戒権を認めているが,体罰を明確に禁止している。親の場合,民法822条が懲戒権を認めているが,体罰を禁止した法律はない。体罰は,刑法上の責任(傷害罪,暴行罪,傷害致死罪,強要罪等)および民法上の責任が問われる可能性がある。
→日本における子どもへの体罰は,法的に,家庭では禁止されず,学校では禁止され,児童福祉施設では禁止されていない。子どもの居場所によって,体罰が禁止されたりされなかったりしているのは奇妙だ,という意見が取り上げられることは少ない。さらに,体罰を禁止している教育の場における体罰の限界を示すような具体例を行政が真面目に通知することに異議を唱える者も少ない。このような状況がまっとうなのかどうか。
→筆者は,子どもへの懲戒や体罰を「人権問題」としてとらえるべきではないかと考えている。ちなみに,あらゆる状況(家庭を含め)において,子どもへの体罰を法的に禁止している国は33か国ある。(筆者)
3/14 厚生労働省 「中央社会保険医療協議会(中医協)委員名簿」 ・2013年3月1日現在,「中央社会保険医療協議会(中医協)」の委員は20名であり,@支払側委員7名,A診療側委員7名,B公益委員6名で構成されている。また,専門委員は10名である。
・中医協は,厚生労働省設置法および社会保険医療協議会法により厚生労働省に設置され,健康保険制度や2年ごとの診療報酬改定などについて審議する厚生労働大臣の諮問機関である。なお,現在,診療報酬改定の基本方針は,社会保障審議会の医療部会と医療保険部会の両部会が決め,中医協は具体的な点数付けを行っている。

→中医協の診療側委員の母体である「日本医師会」,「日本歯科医師会」,「日本薬剤師会」は,医療をTPPの対象にすることに強く反対している。「混合診療の全面解禁」や「株式会社の参入」と併せて,「日本の薬価決定プロセスへのアメリカの参加」,すなわち「アメリカ企業が中医協の委員になること」 などを懸念し,「国民皆保険の危機」を表明し,反対している。
→筆者には,JAや日本医師会等の反対は,これまでの利権確保に躍起になっているとしか見えないが,2013年3月8日の東京新聞のカナダ,メキシコ両国における「TPPの極秘条件」の暴露記事に関する予算委員会での野党の質問に対する安倍首相や岸田外相の異様な狼狽ぶりから,TPPの隠さなければならない事柄の大きさが窺い知れたように思えた。
→最近,これまで,一部で言われていた,TPPは単なる貿易協定ではなく,コーポラティズムによって推進される多国籍企業の利益・特権を付与することを本質とするものであるという意見が正しいのではないかと思うようになってきた。「実は,オバマ大統領も安倍首相も蚊帳の外である」ということが事実だとしたら空恐ろしくなる。「軒を貸して母屋を取られる」という言葉が頭をよぎった。母屋とは,もちろん「日本国」である。筆者は,安倍首相が進める交渉参加には反対である。(筆者)

(参考)
「米国市民団体がTPP協定に警鐘を鳴らす 20120614」

http://www.youtube.com/watch?v=
WFY-z1PcjT8&playnext=1&list=
PL717113F33EEB94E0&feature=results_main
(YOU TUBE)
3/13 厚生労働省 「2010年度人口動態職業・産業別統計の概況」 ・2013年3月6日,厚生労働省は,「2010年度人口動態職業・産業別統計の概況」を公表した。
・この調査は,出生・死亡・死産・婚姻及び離婚の人口動態事象と職業及び産業との関連を明らかにし,人口及び厚生労働行政施策などの基礎資料を得ることを目的として,5年に一度実施されている。

<結果のポイント>
@出生
・第1子出生時に有職の母の割合は34.5%(前回比9.3%上昇)
A
・悪性新生物の占める割合は,男性では33.1%,女性では24.9%で,有職において男性では38.8%,女性では37.9%
B婚姻
・夫妻ともに有職の割合は67.9%(前回比6.7%上昇)
・夫有職で妻無職の割合は23.1%(前回比6.2 %低下)
C離婚
・離婚した女性の35.5%は無職で,そのうち20歳未満の未婚の子がいる割合は56.1%,親権を行っている割合は48.7%

→厚生労働省所管の人口動態に関する調査・統計として,@人口動態調査(出生・死亡・婚姻・離婚及び死産の人口動態事象を把握する),A人口動態職業・産業別統計(国勢調査年の4月1日から翌年3月31日までの1年間で発生した人口動態事象について職業(死亡については産業も含む)を調査し,人口動態事象と社会経済的属性との関連を明らかにする),B人口動態統計特殊報告(人口動態調査を基に,特定のテーマについてとりまとめたもの),がある。(筆者)
3/12 国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国,2013年1月推計)-2010年〜2035年-」 ・2013年1月18日,国立社会保障・人口問題研究所は,2013年1月推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」を公表した。
・この推計は5年ごとに実施され,家族類型別(「単独」「夫婦のみ」「夫婦と子」「ひとり親と子」「その他」の5類型)にみた将来の世帯数を求めることを目的とし,今回は2010年の国勢調査を基に,2010〜2035年の25年間について将来推計を行っている。
<推計結果のポイント>
@世帯総数は2019年をピークに減少開始,平均世帯人員は減少が続く。
A「単独」「夫婦のみ」「ひとり親と子」の割合が増加する。
B世帯主の高齢化が進み,65歳以上の高齢世帯が増加する。
C高齢世帯では「単独」と「ひとり親と子」の増加が著しい

「日本の将来推計人口(2012年1月推計)-2011年〜2060年-」は,2012年1月に公表され,2012年度の3福祉士国家試験にも出題された。推計結果のポイントは,2060年の人口は8,674万人,65歳以上人口割合は39.9%,長期仮定の合計特殊出生率は1.35,平均寿命は男性84.19年・女性90.93年であった。人口および世帯数の将来推計は,福祉専門職の基礎的知識である。(筆者)
3/11 厚生労働省 ■「高齢者医療制度」および「国民健康保険法」の課題と取組方針 ・2013年3月1日,「2012年度 全国高齢者医療・国民健康保険主管課(部)長及び後期高齢者医療広域連合事務局長会議」が開催され,会議資料が公表された。
<高齢者医療制度および国民健康保険法に関する資料>
(1)高齢者医療制度
@課題と取組方針(制度の在り方 / 制度の概要
A制度関係の主要事項
B高齢者の健康づくり等

(2)国民健康保険法
@課題と取組方針
A現状と課題(市町村国保の現状 / 2012年改正国保法 / その他マイナンバー制度等
B市町村国保における保健事業

「社会保障制度改革国民会議」は,2012年8月に成立した「社会保障と税の一体改革関連8法」の一つである「社会保障制度改革推進法」に基づいて設置され,2012年11月16日の三党実務者協議(民主党,自民党,公明党)において検討項目(@医療の改革,A介護の改革,B年金の改革,C少子化対策)が確認され,設置期限は2013年8月21日とされているため,それまでに「今後の社会保障精度のあり方」をとりまとめなければならないなお,「@医療の改革」については,「高齢者医療制度」にとどまらず,「市町村国保の抜本的見直し」が重要なテーマとなるべきであるが,おそらく自・公政権主導では,「高齢者医療制度」の現行制度をベースとした手直しの議論にとどまると見られている。
→市町村国保は,現在,無職や非正規雇用などの低所得者の割合が増え,保険料収納率が低下するなか,高齢層の増加による医療費の上昇のため,国保特別会計が赤字となる市町村が続出しており,すでに破たん状態にあると言われている。国保の抜本的改革のためには,歳入庁の設置,国保の統合再編,公費投入の抜本的見直し,などの議論が不可欠と指摘されている。(筆者)


1/22「第3回社会保障制度改革国民会議」が再開された)の記事を参照
3/8 厚生労働省 「ハローワークの主な取組と実績」 ・2013年3月6日,厚生労働省は,「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」を公表した。
<ハローワークの取組と実績のポイント>
@HW設置数,職員数,相談員数 :545所,11,589人,20,176人
AHWの位置づけ :雇用のセーフティネットを担う
BHW専門支援窓口 :新卒応援ハローワーク(57か所),わかものハローワーク(3か所),マザーズハローワーク13か所),ハローワークプラザ(77か所),ふるさとハローワーク(市町村連携型)(135か所),キャリアアップハローワーク(32か所),人材銀行(6か所)
C職業紹介等 :1日の利用者数 約17万人(推計)
D若者の就職支援 :新卒者への支援,3年以内既卒者の新卒扱いの普及,フリーター等の正規雇用化の推進
E子育て女性等の就職支援 :マザーズハローワーク事業の推進
F高齢者の就職支援 :就職支援,高年齢者雇用安定法に基づく65歳までの雇用確保措置
G障害者の就職支援 :就職支援,雇用率未達成企業に対する厳正な指導
H非正規雇用労働者の就職支援 :正社員就職・正社員転換の支援,キャリア形成支援の推進,セーフティネットの強化
I生活保護受給者の就職支援 :「福祉から就労」支援事業
J雇用保険 :労働者が失業した場合に,セーフティネットとして,その生活の安定と早期再就職の促進のために,給付を行う
K求職者支援制度 :雇用保険を受給できない求職者を対象とした第2のセーフティネット
L事業主に対する支援 :雇用保険2事業により,雇用調整助成金の支給など,事業主に対する支援
M地方公共団体との連携 :就労支援,「一体的実施」事業
N雇用問題が発生した場合の対応 :HWの全国ネットワークを活用
O東日本大震災への対応 :被災者の就労支援
Pハローワークのサービス改善 :「ハローワークサービス憲章」を策定するなど
Q職業紹介・失業保険関係業務の実施主体の国際比較 :イギリス,アメリカ,ドイツ
R民間職業紹介事業所による有料職業紹介事業の状況 :18,017か所
Sその他 :地方公共団体による無料職業紹介事業の状況,HWの職員数等の推移,主要先進国の職業紹介機関の体制

→ハローワークは,職業安定法第8条において,職業紹介,職業指導,雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い,無料で公共に奉仕すると規定されている。ハローワークは,あくまでも「サービス提供機関」であり,警察署や労基署などのように監督権限を担う機関ではない。
→ハローワークにおいて,現在,就職率と充足率はいずれも3割程度に過ぎず,双方を向上させるには就職数をいかに増やすかが重要課題とされている。ハローワークで受け付けた求人の約7割は,求職者の増減にかかわらず未充足のまま失効し,いわゆる雇用のミスマッチが生じており,その主な要因として,職種,求人(採用)条件,求職者の資質などの不一致が挙げられている。
→厚生労働省は,末端組織であるハローワークを,近年の行政改革の流れの中で,定員削減や再編整理などの体制の見直し行っているが,屋上屋を重ねた制度維持のままでは,筆者には組織や職員を疲弊させているように思えてならない。また,ハローワークの存在意義を高めるためには,サービスの量的な対応の短期的評価一辺倒で決するだけではなく,サービスの質的向上にも目を向けるべき時期にあるのではないかと思う。(筆者)
3/7 厚生労働省 「厚生労働省における政策と予算の対応について(総括表)」 ・2013年3月5日,厚生労働省は,決算における「2012年度財務書類等の年次報告書他」として,「政策と予算との対応について」を公表した。
<厚生労働省における政策評価体系>
@安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること
A安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること
Bディーセントワークの実現に向けて,労働者が安心して快適に働くことができる環境を整備すること
C意欲あるすべての人が働くことができるよう,労働市場において労働者の職業の安定を図ること
D労働者の職業能力の開発及び向上を図るとともに,その能力を十分に発揮できるような環境整備をすること
E男女がともに能力を発揮し,安心して子どもを産み育てることなどを可能にする社会づくりを推進すること
Fナショナル・ミニマムを保障し,利用者の視点に立った質の高い福祉サービスの提供等を図ること
G障害のある人も障害のない人も地域でともに生活し,活動する社会づくりを推進すること
H高齢者ができる限り自立し,生きがいを持ち,安心して暮らせる社会づくりを推進すること
I国際化時代にふさわしい厚生労働行政を推進すること
J国民生活の向上に関わる科学技術の振興を図ること
・なお,「各府省政策評価」は,2002年4月1日以降,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づいて実施されている。

→厚生労働省においては,@国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)が徹底されているか,A国民本位の効率的で質の高い行政が実現されているか,B成果(アウトカム)重視の行政への転換が図れているか,C総合的・戦略的政策展開が推進されているか,という事項を目的として政策評価が実施されている。福祉専門職として,知っておくべき事柄である。(筆者)

2/27全国厚生労働関係部局長会議資料(厚生分科会) / (労働分科会),2/1「2013年度 厚生労働省予算案の概要」,1/16「2012年度厚生労働省補正予算案」の記事を参照
3/6 内閣府 3月は「自殺対策強化月間」
<心の健康相談統一ダイヤル>
0570-064-556 (おこなおう まもろうよ こころ)

<「自殺対策強化月間」の関連資料>
「2012年度「自殺対策強化月間」実施要綱」
「自殺対策強化月間広報ポスター」

<その他の関連資料>
「2012年度自殺対策関係予算案額」
「2012年の月別の自殺者数」(警察庁)
「2013年1月における地域における自殺の基礎資料」
「2012年版自殺対策白書」(概要 / 本文
「自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜」(2012年8月28日閣議決定)

→2012年の自殺者数が,15年ぶりに年間3万人を下回ったが,それでも1日平均76人の自殺者がいる。政府は,3年前から,自殺対策の一環として,自殺者の市区町村別のデータを公表しているが,自殺に至るまでの詳しい過程・プロセスは把握できていない。政府は,未だ為すべきことを為していないという状況にある。
→2013年2月28日,あるNPOが実施した実態調査結果を,自殺対策を担当する森少子化担当大臣が受け取り,「今後の施策に活かしていきます」と述べたというテレビ報道を聞いて驚いた。「信頼性が担保されていない調査結果を施策に活かすと明言するのは,おかしくないか。せめて,参考にするというべきではないか。」と感じたのは筆者だけではないと思う。
→筆者は,自殺対策担当大臣が,少しでも現在の精神医療と自殺との関連があるかも知れないという問題意識を持っていれば,客観的な立場の保証が明確でない精神科医や弁護士などが関与したという500人程度の調査結果を,「政策に活かす」などいう不用意な発言はしないと思う。(筆者)
3/5 警察庁 「2012年の少年非行情勢」 ・2013年2月21日,警察庁は,「2012年の少年非行情勢」を公表した。
・刑法犯少年の検挙人員は6万5,448人(前年比15.8%減)であり,9年連続の減少で戦後最少となったが,社会を震撼させる重大な事件が発生したほか,再犯者率の上昇や低年齢化の傾向が認められ,学校内のいじめが大きな社会問題となるなど,少年の非行防止,被害防止の両面で引き続き厳しい状況にあるとしている。
・万引などで摘発された少年は減少したが,強姦などの性犯罪は増加し,このうち中学生は6割を超えている。また,刑法犯少年の再犯者率は15年連続で増加し,現在の統計が残る1972年以降で最高の33.9%に達している。さらに,年齢別でみると,初犯者数は2008年以降,14歳が最多で少年非行の低年齢化が進んでいる。

→2013年2月8日,法制審議会(法相の諮問機関)は,少年犯罪を厳罰化する少年法改正など3要綱を決定し,谷垣法務大臣に答申した。18歳未満の少年に言い渡せる有期刑の上限を15年から20年に引き上げ(成人の有期刑は最長30年),判決時20歳未満の少年に3年以上の有期刑を言い渡す際,刑期に幅を持たせる不定期刑の上限は「短期5年,長期10年」から「短期10年,長期15年」に引き上げるという内容である。政府は,要綱に基づく法案を,2013年通常国会に提出する予定と報道されている。
→折しも,2013年2月28日,東京・吉祥寺の路上で少年2人による女性強盗殺人事件が起きた。この事件は,「少年犯罪が成人と比べて軽すぎる」という厳罰化の意見への追い風となると思われる。少年法は,近年,「厳罰化」の流れにあり,神戸市で起きた連続児童殺傷事件を契機に,2000年の改正少年法で刑罰の対象が16歳以上から14歳以上に引き下げられ,2007年には少年院送致の年齢下限も14歳以上から「おおむね12歳以上」へと下げられている。しかし,アメリカでは,既に,「厳罰化」の抑止効果については,否定的な実証的研究結も報告されている事実は重要である。
→日本においては,マスメディアも,国民の感覚的,感情的な思い入れを助長しながら,「厳罰化」を推進していくのが本流である。種々の思惑によって,「警察・司法の改革が必要だ」という方向には話が及ばないようになっている。(筆者)

(参考)
「2012年版 犯罪白書(第3編 少年非行の動向と少年非行の処遇)」
3/4 厚生労働省 「介護分野の最近の動向」および「介護分野の課題と今後の方向性」の再確認 ・2013年2月28日,1月21日に開催された「第42回社会保障審議会介護保険部会」の議事録が公表された。
<介護分野の最近の動向>
項目 概要
@2011年度からの経緯 「社会保障・税一体改革成案」の閣議報告〜社会保障制度改革国民会議
A2012年度の介護保険法改正と介護報酬改定 ・介護保険法改正=介護の将来像(2025年の地域包括ケアシステムの姿)
・介護報酬改定=地域包括ケアの推進
B認知症施策の推進 ・ 「今後の認知症施策の方向性について」(2012年6月18日)
・「認知症施策推進5か年計画」(2012年9月5日)
C社会保障・税一体改革(介護関係) ・消費税5%引上げによる社会保障制度の安定財源確保
D高齢社会対策大綱 ・「高齢社会対策大綱」(2012年9月7日閣議決定)
E社会保障制度改革国民会議 ・ 社会保障制度改革推進法に基づいて2013年8月21日までに結論

<介護分野の課題と今後の方向性>
課題 今後の方向性
(1)地域包括ケアシステムの構築 @介護サービス提供体制の充実 地域包括ケアシステムの構築のために必要な措置として,2012年度施行の介護保険法改正・介護報酬改定等で,在宅サービス・居住系サービス等の提供体制の充実に向けた取組を実施。今後,着実に普及・拡充させていく必要。
A認知症対応の推進 2013年度からの5年間を対象とした「認知症施策推進5か年計画」を作成。今後,認知症施策を早期に包括的に進めていく必要。
Bマンパワーの増強 一体改革の中で必要な財源を確保し介護職員の処遇の更なる改善に取り組むとともに,キャリアパスの確立に向けた取組を進めること等により,介護に必要な労働力を安定的に確保する必要。
(2)介護保険制度の持続可能性の確保 @介護給付の重点化・効率化 介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図る。
A世代間・世代内の負担の公平性の観点に立った制度の見直し 保険料水準の上昇に伴う低所得者対策強化や,増大する介護費用の公平な負担といった観点から,制度の見直しを行う。

→上記の介護分野の課題や今後の方向性は,,厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会委員」「社会保障審議会委員」社会保障審議会委員の所属分科会・部会)の「介護・ケア観」によって提示されてきたものである。
「地域包括ケア」の経緯を概観する。2003年「高齢者介護研究会報告書」(介護サービスを提供する時,しばしば介護以外の問題にも対処する必要性も出てくる。そのため介護保険を中核にして保健,福祉,医療の専門職の相互の連携,さらにはボランティア等の住民活動も含めて連携する等,地域の様々な資源を統合した包括的ケアが必要になる),2005年「改正介護保険法」(「地域包括ケア」の考えを実現するために「地域包括ケアシステム」として制度化する必要があるとされた),2010年「地域包括ケア研究会報告書」(団塊の世代が後期高齢者になる2025年の高齢者数は今の25%増,要介護者数(支援)は61%増,認知症高齢者数は55%増となり,介護保険給付費は14〜 24兆円まで膨張,保険料も月額8,000円台になると想定できるため,2025年になっても介護保険制度が持続可能となるように「地域包括ケアシステム」を計画したと述べている),2011年「改正介護保険法」(「地域包括ケア」の実現を念頭においた改正である),である。
→「介護分野の課題や今後の方向性」について,3福祉士国家試験やケアマネ試験受験者の知識としては,お上の言うことを鵜呑みにしなければ合格できないが,介護現場を支える福祉専門職としては,現在の給付抑制の考え方に基づいた「地域包括ケアシステムの構築」,「介護(予防)サービスや費用負担の見直し」の是非に関して,何のコメントできなくてどうする?という話である。また,2013年1月7日に,「ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理」(2013年1月7日)が提出されたが,福祉専門職が何もコメントしないようではどうにもならない。
→2013年3月3日に,第25回介護福祉士国家試験(実技)が行われた。簡単に言えば,右片麻痺高齢者が,歩行器型杖(ウォーカーケイン)から車いすへ移乗し,自室のいすに座るまで介護を5分間で行うことを課題とした実技試験であった。2001年「介護福祉士試験の実施方法に関する検討会報告書」において,実技試験は,@介護技術の提供過程の的確な評価,A利用者の安全・安楽の重視,B自立支援・人権尊重等の重視,C利用者の安全・安楽を脅かすような行動をとった場合における「試験中止」の導入,D時間切れの原則不合格が報告され,14回試験から実施されている。また,2005年度から「介護技術講習制度」が導入され,同講習の修了認定者については実技試験の免除が受けられることとなった。現行の実技試験のやり方にはいろいろな意味で無理があるため,選択制ではなく,介護技術講習制度に置き換えるべきだというのが,従来からの筆者の意見である。(筆者)
3/1 厚生労働省 「障害保健福祉関係主管課長会議資料」 ・2013年2月25日,厚生労働省は,「障害保健福祉関係主管課長会議」を開催し,各部署の2013年度予算案および施策等を都道府県・指定都市・中核市の関係課長に説明し,その資料を公表した。
「障害保健福祉関係主管課長会議 説明事項」
@企画課・企画課監査指導室
A企画課施設管理室
B企画課自立支援振興室
C障害福祉課/地域移行・障害児支援室
D精神・障害保健課
E職業安定局/文部科学省

→2013年度の施行では,「障害者自立支援法」は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」になり,障害福祉サービス等の対象となる障害者の範囲に「難病患者等」が加わり,地域生活支援事業において,市町村と都道府県との役割を明確にされる。また,2014年度の施行では,「障害程度区分」から「障害支援区分」に見直し,重度訪問支援対象拡大やケアホームのグループホームへの一元化等,障害福祉サービスの充実が図られる。さらに,障害者総合支援法の附則において,法の施行後3年を目途に,常時介護を要する者に対する支援,移動の支援,就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方などを検討することとされている。(筆者)

2/28「障害者支援に関わる各府省のサイト一覧」),2/27全国厚生労働関係部局長会議資料(厚生分科会) / (労働分科会)の記事を参照
2/28 - ■「障害者支援に関わる各府省のサイト一覧」 <障害者支援関連の各府省サイト一覧>
府省 サイト名
内閣府 共生社会政策担当
総務省 情報バリアフリー環境の整備
法務省 人権擁護局フロントページ
文部科学省 発達障害とは
厚生労働省 障害者福祉
国土交通省 バリアフリー

→2013年2月27日,厚生労働省は,障害者雇用促進法第39条第2項に基づいて,障害者雇用が進んでいない6都県の教育委員会に対して障害者採用計画の適正実施を勧告した。障害者雇用促進法による適正実施勧告は,公表という社会的制裁(ペナルティ)によって計画実施を強力に指導しようとするものである
岩手県教育委員会(5回目の勧告)
福島県教育委員会(5回目の勧告)
東京都教育委員会(5回目の勧告)
滋賀県教育委員会(5回目の勧告)
新潟県教育委員会(3回目の勧告)
鳥取県教育委員会(2回目の勧告)

→厚生労働省は,一度も「率先垂範」を実現することなく,2013年4月1日から,障害者の法定雇用率を引き上げる。
民間企業(1.8%→2.0%)
国・地方公共団体等(2.1%→2.3%)
都道府県等教育委員会(2.0%→2.2%)

(筆者)
2/27 厚生労働省 全国厚生労働関係部局長会議資料(厚生分科会) / (労働分科会) ・2013年2月19日-20日,厚生労働省は,「全国厚労関係部局長会議」を開催し,2013年度予算案(2012年度補正予算案を合わせた15か月)と当面の重要施策等を都道府県・指定都市・び中核市に説明し,その資料を公表した。

→このようなお役所仕事ではなく,丁寧にわかりやすい形で公表してもらいたいと思う。「公開」とされている会議体資料等の情報は,国民に対して,政府の説明責任を全うする観点から公表しているということを再度認識すべきである。せめて,各pdfの中身が判断できるように明示してもらいたいと思う。(筆者)

(参考)
「行政機関情報公開法」(2001年4月1日施行)
「公文書管理法」(2011年4月1日全面施行)
2/26 厚生労働省 「2012年の労働災害の動向(速報値)」 ・2013年2月25日,厚生労働省は,「2012年の労働災害の動向(速報値)」を取りまとめ,公表した。
<2012年の労働災害発生状況>
@休業4日以上の死傷災害は,2012年の累計では11万4,458人となり(前年比2.0%の増)で,3年連続の増加であった。なお,2012年8月末の段階で前年同期比4.8%の増加であったことから,厚生労働省は,2012年9月に関係団体への緊急要請を行っている。
A月別死傷災害発生状況を対前年増加率では,2月が特に高く16.6%の増で,以降,5月にかけて前年を上回った。8月からは減少傾向となり,下半期(7月〜12月)の累計死傷者数は前年同時期と比べて1.0%の減少であった。

→2013年2月15日,労働政策審議会は「第12次労働災害防止計画(案)」を妥当と答申した。
→2013年度は,今後5年間で労働災害減少に向けて重点的に取り組む事項を定めた「第12次労働災害防止計画(2013〜2017年度)」の初年度にあたる。計画の全体目標としては,(1)2017年までに,労働災害による死亡者数を15%以上減少(2012年比),(2)2017年までに,労働災害による死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少(2012年比),と設定している。「第11次労働災害防止計画の評価」では,目標の2/3が達成できてない。りっぱな目標を定めても,「未達成でした」と言うだけなら誰にでもできる。どこかの行政機関のように「統計数値を改ざんされる」よりは救われるが・・・。(筆者)
2/25 外務省 環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に参加に関する「日米共同声明」(英文 / 仮訳 ・2013年2月22日,訪米中の安倍総理はオバマ大統領と首脳会談を行い,会談後に日本のTPP交渉参加に関して「日米共同声明」が発表された。

→共同声明に対して,2月23日に「非常に踏み込んだ良い内容。大きく前進した。日本の懸念材料を払拭した」と述べた「経団連」とTPPの交渉参加に引き続き反対する姿勢を表明した「JA全中(農協)」の声明・コメントは,当然に予想されたことである。もうちょっと,気の利いた共同声明を期待していたので,がっかりである。この「共同声明」を持ち帰って,安倍首相は,自民党内や国会での反発を,どうやって切り抜けていくのか見ものである。「オバマ大統領はコメを例外扱いにしてくれる」と本気で考えているとは思えないし,今後,安倍・麻生・甘利サンではアメリカと対等の交渉ができるとも思えない。
→さらに,3月19日までに,日銀の正副総裁の後任人事案を決定しなければならない。現在,白川総裁の後任人事で,最有力視されているのは,元財務官の黒田東彦アジア開発銀行総裁との報道であるが,現実的な人選として,みんなの党からも賛同が得られ,市場関係者からの期待度も高い学習院大の岩田規久男教授が望ましいとの意見もある。人選によっては,円安株高にストップがかかり,アベノミクスが終わることにもなりかねない。日本経済の未来が安倍首相の双肩にかかってきた。お腹が痛くなって,途中で投げ出したくなるような状況が続く。(筆者)


2月22日「現在政府に設置されている経済関係会議」の記事を参照
2/22 厚生労働省 「現在政府に設置されている経済関係会議」 ・2012年12月26日に発足した「第2次安倍内閣」において,2013年1月9日,安倍首相は,「経済財政諮問会議」を3年半ぶりに発足させた。
<現在設置されている経済関係会議体>

 会議体   概要  構成
経済財政諮問会議   経済財政運営全般に関する司令塔として『基本設計』を行う
・経済全般の運営の基本方針
・財政運営の基本方針
・予算編成の基本方針
・その他の経済財政政策に関する重要事項
名簿
日本経済再生本部  日本経済再生の司令塔として『実施設計』を行う
→円高・デフレからの脱却し,強い経済を取り戻すため,必要な経済対策の実施,成長戦略の実現を目的とする
名簿
産業競争力会議  日本経済再生本部の下で,産業競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具体化推進についての調査審議する 名簿
若者・女性活躍推進フォーラム  若者・女性等の雇用問題について検討する 出席者
その他 社会保障制度改革国民会議 「社会保障制度改革推進法」(2012年)に基づき,社会保障制度改革を行うために必要な事項を審議する 構成員
規制改革会議 内閣府設置法第37条第2項に基づき設置された審議会で,内閣総理大臣の諮問を受け,経済社会の構造改革を進める上で必要な規制改革を進めるための調査審議を行い,内閣総理大臣へ意見を述べること等を主要な任務として,2013年1月23日に設置された 名簿

→第2次安倍内閣は,経済の司令塔として,民主党政権下で休眠状態であった「経済財政諮問会議」を復活させ,日本経済再生本部を新設した。安倍首相は,「財政政策,金融政策,成長戦略」の3本の矢で,最優先課題であるデフレ脱却を目指すとし,そのための司令塔となるのが諮問会議(マクロ経済政策全般を統括)と再生本部(ミクロ政策を策定)と位置づけている。経済財政政策の要は,麻生副総理・財務・金融担当大臣,甘利経済再生・経済財政・一体改革担当大臣,茂木敏充経済産業大臣の3人で,諮問会議と再生本部の2つの司令塔の仕切り役は甘利経済再生・経済財政・一体改革担当大臣である。なお,日本経済再生本部の中核になる産業競争力会議に民間有識者としてあの竹中平蔵慶大教授が参画している。「構造改革」と「成長戦略」がどう整合されていくのかという興味もあるが,上記の会議体のメンバーを見ていると,思惑満載である。
→1月には訪米延期という冷淡な対応を受け,アメリカとのパイプのなさを見せつけた安倍首相は,2月21日-24日に訪米し,2月22日にオバマ大統領と首脳会談を行う。自民党内において賛否が割れているTPPの交渉参加問題が焦点となる。アメリカが主導し,オバマ大統領の関心事であるTPPへの交渉参加に応じなければ,日本の経済成長などあり得ないことは明白であるが,農業関係者をはじめとする国民の支持がなければ7月の参院選での大敗もあり得る。日本の経済成長は,アメリカ次第だということは,1985年のプラザ合意後のことを考えれば,誰にでも分かることである。筆者は,今回,どのような玉虫色の共同声明になるのを注目している。帰国後,安倍首相が,TPPのために,以前のように体調を崩されないことを祈るばかりである。(筆者)
2/21 内閣府 「身近なことです 性感染症」(動画) ・2013年2月7日,啓発ツールとして,政府インターネットテレビによる「身近なことです 性感染症〜大切な人を感染させないためにあなたができること」が公開された。
<性感染症の詳細情報>
(1)厚生労働省
@性感染症とは
A性感染症報告数

(2)国立感染症研究所
@性器クラミジア感染症
A尖圭コンジローマ
B淋菌感染症
C性器ヘルペスウイルス感染症
D梅毒

→2012年1月の「改正性感染症に関する特定感染症予防指針」において,コンドーム以外の予防方法等に関する情報提供を進めることや,性器クラミジア感染症・淋菌感染症については,より精度の高い病原体検査を推進していくこと,学会等と連携して医療の質の向上,若者等が受診しやすいよう医療アクセスの向上に取り組んでいくこと等が明記されている。今回の動画は,これに基づく,啓発である。(筆者)
2/20 内閣府 「家族の法制に関する世論調査」 ・2013年2月16日,内閣府は,「家族の法制に関する世論調査」を発表した。
・調査は,2012年12月に成人男女5千人を対象に実施し,回収率は60.8%であった。
<調査項目と主な調査結果>
@家族の役割
・「子どもをもうけ,育てるという出産・養育面」が29.5%,「親の世話をするという介護面」が9.4%,「心のやすらぎを得るという情緒面」が38.1%,「日常生活の上で必要なことをするという家事面」が20.2%となっている。
A女性の婚姻適齢
・「女性は満16歳になれば婚姻をすることができるということでよい」が20.9%,「女性も男性と同様,満18歳にならなければ婚姻をすることができないものとした方がよい」が46.0%,「どちらともいえない」が31.1%となっている。
B選択的夫婦別氏制度
・下記のコメントを参照。
C裁判上の離婚
D嫡出でない子

→日本では,民法第750条において,婚姻時に夫または妻のいずれかの氏を選択する「夫婦同氏原則」が規定されている。
→夫婦が希望すれば結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別氏制度」については,1996年の法制審議会(法務大臣の諮問機関)が,制度の導入を含む民法改正案を答申したが,未だに論争が続いている。また,2003年に続いて,2009年の「国連女子差別撤廃委員会最終見解」で,差別的な規定への懸念が表明され,勧告を受けている状況にある。なお,政党として,「選択的夫婦別氏制度」に賛成を表明しているのは,公明党,日本共産党,社会民主党である。
→「選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正の可否」についての世論調査は,1996年,2001年,2006年に実施され,今回で4回目である。反対が36.4%(2006年比1.4%増),賛成が35.5%(2006年比1.1%減)であったが,男女ともに50代までは賛成,60代以上は反対が多数を占めている。(筆者)


(参考)
選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について(法務省)
2/19 厚生労働省 2013年3月7日から,「新しい津波警報」が始まる ・2013年3月7日から,新しい津波警報がスタートする。
<新しい津波警報のポイント>
@M8.0を超える巨大地震の場合,これまでのように,第1報では不確実な津波高を発表せず,「巨大」「高い」などの言葉で発表され,モーメントマグニチュードで正確な規模が分かり次第,数値が公表される。
A津波高は,従来の8段階を5段階に簡略化し,予想される最大値を公表して過小評価を避ける。大津波警報は,(1)3メートル超から5メートル以下の場合は5メートル,(2)5メートル超から10メートル以下の場合は10メートル,(3)10メートル超,の3段階となる。津波警報は,1メートル超から3メートル以下の場合で3メートルとなる。津波注意報は,20センチ以上1メートル以下の場合で1メートルと発表される。

(参考)
「津波警報等の情報文の変更の概要」

→2011年3月11日以降の気象庁の津波警報に関する動向を概観する。「東北地方太平洋沖地震による津波被害を踏まえた津波警報改善に向けた勉強会」を2011年6月8日から3回開催し,2011年9月12日に最終とりまとめを発表した。これを受けて,「津波警報の発表基準等と情報文のあり方に関する検討会」を2011年10月26日から3回開催し,2012年2月7日に提言を発表した。2012年3月,最終とりまとめと提言を整理し直し,「東北地方太平洋沖地震による津波被害を踏まえた津波警報の改善報告書」を発表した。その後,2012年5月16日に,気象庁は,新しい津波警報を,2013年3月から運用開始すると発表した。2012年中に実施できない理由は,自治体などの警報受信システムの改修のために1年ほどかかるということであった。なお,運用開始までに巨大地震が発生した場合には,現在想定されている最大規模の津波の予想高を発表することとされた。
「陸前高田市消防団員の津波映像 フル映像その1」(5分以降)を改めて見て,犠牲者の多くがこのような状況下にあったのではないかと思うと,気象庁が,いかに科学的で正確な情報を迅速に提供したとしても,自治体の力量や情報の受け手側の意識の問題をさらに掘り下げなければ,実効は上がらないように思われる。(筆者)
2/18 厚生労働省 「AED(自動体外式除細動器)の点検をしていますか?」
<AEDの点検>
@インジケータの確認
・AEDには,AEDが正常かどうかを示すインジケータが付いている。点検担当者は,日常点検として,このインジケータの表示を日常的に確認・記録する。
A電極パッドやバッテリの交換
・AEDの電極パッドやバッテリには,使用期限や寿命がある。AEDを正常に作動させるため,これらの消耗品の交換時期を表示ラベルで把握し,適切に交換する。


(参考)
「AEDの製品外観一覧」

「AED設置場所検索」
2/15 警察庁 「2012年中における人身取引事犯」 201327日,警察庁は,「2012年中における人身取引事犯について」を発表した。
・認定した
2012年の被害者数は27人(2011年は25人)で,国籍別では,日本11人,フィリピン11人,タイ3人,台湾1人,韓国1人であった。


2012年版 犯罪白書 第5編/第2章/第2節/5人身取引被害者保護」によれば,日本はちゃんと「人身取引」への対策はやってますよ,「被害者に助けを求められたら最寄りの警察や入国管理局に連絡を」,と日本政府は国内向けに広報活動をしている。しかし,日本政府も日本のマスメディアも,人身取引について,日本の対策は不十分として,国際社会から厳しい非難を受け続けていることをまったく広報・報道しないので,日本国民は蚊帳の外である。
→日本政府のいう「人身取引」とは,英語では通常'Trafficking in Persons'と呼ばれ,正しい日本語訳をすれば「人身売買」となるが,日本政府は「人身取引」と訳した用語を公式に使用している。姑息な考えが透けて見える。なお,人身売買(トラフィッキング)とは,国連が2000年に採択した「人身売買禁止議定書」の定義によれば,売春や強制労働をさせるといった搾取を目的として,暴力・脅迫・誘拐・詐欺・弱い立場につけ込むなどの手段を用いて,人をリクルート・移送・収受するなどの行為をさす。
→2012年6月19日,米国務省は,世界186か国・地域の人身売買の実態や政府による対策をまとめた「2012年人身売買報告書(Trafficking in Persons Report 2012)」を発表した。日本についてはP.199-P.201に掲載され,日本は12年連続で「人身取引根絶の最低基準を満たさない国」(第2階層)に位置づけられ,先進国では最低ランクで,ルーマニアやコソボと同じレベルらしい。日本政府は,いまだに包括的な人身取引対策法を制定せず,被害者保護の体制も整備していないが,抗弁すべきは堂々と抗弁してもらいたいと思う。筆者は,政治的思惑やお手盛りでアメリカや韓国を日本より上の第1階層とするアメリカ国務省の報告書を鵜呑みにしてはいないが,真実が捻じ曲げられたままボンヤリしていると,すでにこの報告書を盾にして,韓国のメディアは日本国内で韓国人が被害を受けているとセンセーショナルに煽動しており,「第2の従軍慰安婦問題」にされかねないという指摘がある。(筆者)
2/14 厚生労働省  「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)患者の国内での確認状況」 ・2013年2月13日,厚生労働省は,新しいダニ媒介性疾患「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)」について,2013年1月30日通知で国内初の感染死亡症例(山口県の成人女性)を情報提供するとともに,情報収集していたが,新たに2症例(愛媛県宮崎県)が確認されたことを都道府県に通知した。
・厚生労働省は,2月13日の「第12回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会」において,SFTSの患者を診断した全ての医師に感染症法に基づく 国への報告を義務付ける案を示し,2013年2月にも義務化する方向を提示した,と報道されている。

→SFTSは,2009年ごろから中国で感染や死亡例が報告されて,2011年に初めて原因ウイルスが特定され,主に森林など屋外に生息するマダニにかまれて感染し,患者の血液や体液の接触による感染報告もある。中国では数百例の感染が報告され,発症すると発熱や嘔吐,下痢などを繰り返し,潜伏期間は6日〜2週間で致死率は12%,現在,有効なワクチンや治療法はないとされている。SFTSの概要や予防法等のQ&Aは,上記1月30日通知を参照されたい。なお,厚生労働省結核感染症課の,「今回の確認で危険性が上昇したわけではないが,ダニは春から秋にかけて活動が活発になるので注意が必要」とのコメントも報道されている。(筆者)
2/12 日本年金機構 気になる年金記録,再確認キャンペーン(You Tube) ・日本年金機構は,2013年1月末から,年金受給者や加入者を対象に「気になる年金記録,再確認キャンペーン」を開始した。
・年金記録に「もれ」や「誤り」があると,正しい年金額で受給できない。現在,約2,200万件の年金記録の持ち主が依然不明とのことである。
<日本年金機構>
「再確認キャンペーンサイト」


<年金記録再確認の方法>
(1)書類で確認
@「ねんきん特別便」(2007年12月〜2008年10月に送付)
A「厚生年金加入記録のお知らせ」(厚生年金保険の受給者全員に送付)
B「ねんきん定期便」(2009年4月〜送付)
(2)インターネットで確認
「ねんきんネット」


<持ち主不明の年金記録の傾向>

@3/4が60歳以上者のもの
A加入期間が「1年未満」「1年以上5年未満」の未統合記録
B記録の開始時期が昭和40年代以前のもの
Cサービス業(飲食店など),小売業(デパートなど)、商社などの業種に関するもの


<次の3点が年金記録「もれ」「誤り」原因の9割>
@転職のたびに年金手帳が発行された
A会社を退職後、結婚して姓が変わった
Bいろいろな名前の読み方がある
2/8 厚生労働省 「社会保障審議会委員名簿」 ・2013年1月31日,厚生労働大臣の諮問機関である「第25回社会保障審議会」が開催された。1月28日に,大森前会長(東大名誉教授)等が退任した。1月29日に,国立社会保障・人口問題研究所の西村周三所長,自治医大の永井良三学長,慶大大学院の田中滋教授が任命された。1月31日の「社会保障審議会」において,新会長として,委員の互選により,西村周三国立社会保障・人口問題研究所所長が選任された。
・社会保障審議会の委員の任期は2年で,最大5回までの再任が認められている。

社会保障制度審議会と社会保障審議会との違いを概説する。
「社会保障制度審議会」は,1948年の「社会保障制度審議会設置法」に基づいて,旧総理府に置かれた内閣総理大臣の所轄に属する諮問機関で,社会保険に関する立法等につき政府に勧告する権能をもち,「社会保障関係の法律案や企画,運営について総理大臣ならびに関係大臣はあらかじめこの会の意見をきかなければならない」とされ,1949年に発足した。
・2001年の中央省庁再編に伴い,「社会保障制度審議会」は廃止され,その機能の総論的な部分は「内閣府設置法第18条」に基づく
「経済財政諮問会議」に,また,具体的な部分は厚生労働省の「社会保障審議会」に引き継がれた。
・なお,
「社会保障審議会」は,1999年の「厚生労働省設置法」に基づく厚生労働相の諮問機関で,社会保障制度全般に関する基本事項や,各種の社会保障制度のあり方について審議・調査し,意見を答申する厚生労働省に設置された審議会の一つにすぎない。
・また,「社会保障制度改革国民会議」は,2012年8月に成立した「社会保障と税の一体改革関連8法」の一つである「社会保障制度改革推進法」に基づき,先送りした社会保障改革の核心部分の審議をするために,2013年8月21日を期限として内閣に設置されたものであるが,自・公政権において,現行制度の枠内での結論が見込まれている。
→現在,持続可能な社会保障制度を考えるために,どのような会議体が足りないかは想定できたと思うが,福祉専門職としては,各会議体の位置づけを理解し,どのようなメンバーで,どのような話し合いがなされているかにも注意を払っていなければならない。(筆者)
2/6 国立社会保障・人口問題研究所 「第7回人口移動調査結果(概要)」 ・2013年2月5日,国立社会保障・人口問題研究所は,2011年に実施した「第7回人口移動調査結果(概要)」を公表した。
・「人口移動調査」は,個人の居住地について,移動暦や移動理由,5年後の移動見通しといった人口移動に関する動向を明らかにするものである。

<調査結果のポイント>
@現住地が,5年前の居住地と異なる割合は24.7%(前回の2006年は28.1%)で,年齢別では,30〜34歳を除くすべての層で低下し,人口移動の鈍化が明らかになった。
A現住地への移動理由では,「入学・進学」「職業上の理由」「結婚・離婚」が増加し,「家族の移動に伴って」が減少した。うち,女性の「入学・進学」を理由とする移動は,3.6%から6.0%へ大きく上昇した。
B出生県へのUターン者の割合は13.3%と2006年(12.7%)から微増である。特に,60〜74歳以下の高年齢層で上昇しているが,これはUターンで出生県に戻った人がそのまま定着し,高齢化していることによるものである。

→「過去5年間の移動は鈍化し,Uターン後の定着傾向も明らかになった」ということである。だからどうなんだ,人口問題から経済に関して何か見えてくるものはないのか,と言いたくなる。国立社会保障・人口問題研究所の「人口関連」の発表があると,いつもあの幼児死亡率からソ連の崩壊を予言し,リーマンショックを予測したフランスの人口学者のエマニュエル・トッドの日本への予想を思い出す。2009年2月にNHKの「未来への提言」で,「日本が本当に恐れるべきは,出生率の低下」との提言である。現政府も目先の為替レートや株価には熱心であるが,「重大な危機」を内包しているといわれる人口問題には,まるで触れられない。話が拡散したついでに,人口問題との関連は別にして,2012年末からの実態のない状況が,いずれ各国から為替操作とのクレームを受けて,長続きしないことぐらい素人の筆者でも予言できる。(筆者)
2/5 厚生労働省 「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」 ・2013年1月25日,厚生労働省は,2012年4月から活保護に代わるべき生活困窮者支援の新しい枠組みの検討をしてきた「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」を公表した。
・厚生労働省は,必要な法案が通れば,実際の新たな生活困窮者支援制度の構築には2年程度は必要としている。
<生活困窮者支援の新しい枠組み>
(1)生活支援体系の4つの基本的視点
@自立と尊厳
Aつながりの再構築
B子ども・若者の未来
C信頼による支え合い
(2)基本的視点に立った支援
@包括的・個別的な支援
A早期的・継続的な支援
B分権的・創造的な支援
(3)支援が展開される7つの分野
@相談支援
A就労支援
B多様な就労機会の提供
C居住確保支援
D家計相談支援
E健康支援
F子ども・若者の支援

→自民党への政権交代以降の「生活保護」にかかわる概観である。厚生労働大臣の諮問機関である「社会保障審議会」において,2013年1月16日,生活保護の生活費に当たる生活扶助の支給水準(基準額)が低所得者の一般的な生活費を「逆転」するケースがあったとする検証をまとめた「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」(概要 / 本文)が公表された。そして,2013年1月25日,自治体の調査権限強化などを盛り込んだ制度見直し案をまとめた「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」が公表された。2013年1月29日,2012年衆議院選挙における選挙公約で「生活保護の見直し」(支給水準の原則1割削減)をしていた自民党の安倍政権によって,生活保護費のうち「生活扶助」の支給基準額を,2013年8月から3年間で約6.5%,計670億円減額し,さらに「医療扶助」についても後発薬などの使用で450億円を減額した「2013年度予算案」が閣議決定された。
→「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」においては,うまく機能していない介護保険法や障害者自立支援法の「相談支援」をイメージするという貧弱な発想に基づく「新しい枠組み」が提起されているが,2年後に現場でうまく機能しているとは到底思えない。逆に,膨大なムダを生む懸念がある。多くの国民が望むのは,こんな回りくどいものではなく,必要な人に必要な支援が行き渡り,不正や不合理やムダを徹底的に排除した,公平で分かりやすい制度にしてほしいだけである。(筆者)

2/1「2013年度 厚生労働省予算案の概要」,1/17「生活保護基準部会報告書(案)」2012年12/19自民党公約の『社会保障』を確認しておく),10/8厚生労働省の「生活支援戦略」(素案)」,5/28「生活保護制度の状況等について」の記事を参照
2/4 厚生労働省 「第25回介護福祉士国家試験」で経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した改善をしました
・2013年1月28日,厚生労働省は,2011年6月の「検討会報告書」に基づいて,2013年1月27日に実施した「第25回介護福祉士国家試験」の実施に際して,「経済連携協定(EPA)に基づく外国人の介護福祉士候補者」に配慮し,全ての漢字に振り仮名を付け,設問の日本語をより分かりやすく見直し,試験時間を一般受験者の1.5倍とするなどの改善を図ったと発表した。
第25回試験の受験者総数は136,377名で,うちEPA候補者は322名であった。

  一般 EPA
合格者数
/受験者数
合格者数
/受験者数
フィリピン インドネシア
25回
/136,377名
?名
/322名
?名/138名 ?名/184名
24回 88,190
/137,961名
36名
/95名
1名
/1名
35名
/94名
23回 74,432/154,223名 - - -
22回 77,251/153,811名 - - -

→「介護福祉士」という国家資格に関して,筆者の所感を述べる。創設当初の福祉を担う者としての「介護福祉士」という崇高な名称は,累年の施策やカリキュラムの変更等からの位置づけの低下により,「名ばかり福祉士」が定着し,近年では看護師不足の員数合わせにも利用され,遂には,外国人が数年日本語を勉強して受験できる程度の「正真正銘の介護士」にされてしまった。筆者は,第25回の介護福祉士国家試験の設問の仕方やレベルを見て,「介護福祉士の将来」に絶望感を持った。これは,一般の介護福祉士国家試験受験者およびEPA介護福祉士候補者を,ともに貶める方向にあると受け止めた。行政も,職能団体も,教育機関も,大手出版社も,「介護福祉士」を利権と見ているように思える。例えば,「認定介護福祉士の創設」を誰が求めていて,何がよくなるのか。キャリア段位制度(介護プロフェッショナル)がどのような改善に結びつくのか。近い将来,メイドインジャパンである「介護」や「介護技術」が,外国人介護士のものになる時代が来ないとも限らないのではないか。パナソニックやソニーやシャープがそうであったように,高をくくっていると大変なことになるという危機感を持つべきだと思うが,行政としては,左記の対応でお茶を濁す状況にある。
→結論を申し上げる。やまだ塾は,2013年度からは,「経済連携協定(EPA)に基づく外国人の介護福祉士候補者」への国家試験合格のための支援に軸足を置いた活動を始めることにする。危機感を持ってもらうためにもね。(筆者)


(参考)
「福祉専門職の現状」
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」
「第25回介護福祉士国家試験の簡易解説付き解答」
2/1 厚生労働省 「2013年度 厚生労働省予算案の概要」 ・20131月15日の「2012年度の補正予算案(13兆1千億円)の閣議決定に続いて,1月29日に,「2013年度予算案」(一般会計総額92兆6千億円)と税制改正大綱が臨時閣議で決定された。
・厚生労働省分をまとめると,「2012年度の補正予算案」は3兆2千億円が,「2013年度予算案」は29兆9千億円が計上されている。
(関係資料)
「2013年度 厚生労働省予算案の主要事項」
「2013年度 厚生労働省各部局の予算案の概要」
「2013年度 厚生労働省税制改正の主な事項」

→2013年1月28日,第183回通常国会が召集され,冒頭に安倍首相の所信表明演説が行われた。通常国会の会期は150日間で,6月26日が会期末となるが,会期延長は,両院一致の議決に基づいて,1回だけ可能である。しかし,2013年7月4日公示,7月21日投開票の3年に1度の参議院選挙が予定されているので,会期延長は難しいと見られている。代表質問後,2012年補正予算を含めた予算案が国会に提出されると与野党で論戦が始まる。現在は,衆参で与野党の勢力が逆転する「ねじれ国会」になっているため,衆院で予算が可決されても参院の野党が反対すれば可決はされないが,予算案は憲法により「衆議院の優越」が認められているので,参議院に送られてから30日で自然成立することになっている。予算案成立後は,各法案の審議が会期末まで行われる。中身のある論戦を期待したい。(筆者)

1/16「2012年度厚生労働省補正予算案」の記事を参照
1/25 - 「2012年度の3福祉士国家試験を受験される方へのメッセージ」 ●1月26日から,精神保健福祉士を皮切りに,3福祉士の国家試験が始まります。
●本日をもって,「2012年度 3福祉士国家試験受験対策」は終わりますが,最後まで諦めず,試験開始までの残された時間を大切にして,やり抜いてください。ただし,試験前日は,張り詰めた心身を休めておくことも大切です。
●志を持って福祉の世界に携わり,携わろうとしている方に,敬意を表するとともに,自分なりの応援がしたいとの思いから,このホームページを立ち上げ,まもなく7年目を迎えます。一方通行ですが,いつも息遣いを感じ取り,共に戦う気持ちが伝えられるようなホームページにしたいと思ってやってきました。
●受験する方や現場のワーカーの方への支援は,自分で決めたことですが,続けていくことに迷い,立ち止まっては,また少し続けてみようと思い直すことの繰り返しでした。しかし,東日本大震災および福島第一原発事故を経て,「努力してできるものはやるだけだ」,と素直に思えるようになりました。
●受験に際して,仕事と家庭の間で困難が生じたり,孤独であったり,さまざまなご苦労があった方もおられたのではないかと思います。振り返ると,反省することや悔いることが多いと思いますが,逃げ出さずに,ここまで来た自分を認めてください。福祉に携わり,これから携わろうとされている方には,謙虚さと抑制ばかりが強調されますが,自分を主張し,認めることも大切です。
●あなたを待っている人がいます。あなたには,助けを求める声を聞き漏らさない感性とそれに応えられる力があると信じてください。映画「奇跡の人」の原題は「The Miracle Worker」(1962年)です。「奇跡の人」とは,三重苦を乗り越えたヘレン・ケラーではなく,「奇跡を起こしたワーカー」であるサリバン女史でした。
●いつの日か,あなたは福祉や介護の仕事に幻滅し,自分のしていることの意味を見失い,泣きたいほど心が虚しくなり,辞めたいと思うときが来ます。きれいごとではすまないことは分かっていますが,そのときが来たら,「国家試験に向かっている,今の気持ち」を思い出して,急がないで答えを出してください。支援する者にとって,最も必要とされるものは,「やり続ける勇気」だと思います。
●ご健闘をお祈りします。 (筆者)
1/23 厚生労働省 「介護分野の最近の動向」および「介護分野の課題」 ・2013年1月21日,「第42回社会保障審議会介護保険部会」が開催され,検討資料が公表された。
<介護分野の最近の動向>
@2011年度からの経緯
・2011年7月1日「社会保障・税一体改革成案」の閣議報告〜2012年12月7日「第2回社会保障制度改革国民会議」
A2012年度の介護保険法改正と介護報酬改定
B認知症施策の推進
・2012年6月18日「今後の認知症施策の方向性について」,2012年9月5日「認知症施策推進5か年計画」(2013年度〜2017年度)
C社会保障・税一体改革(介護関係)
D高齢社会対策大綱
・2012年9月7日「高齢社会対策大綱」の閣議決定

<介護分野の課題>
@地域包括ケアシステムの構築
・介護サービス提供体制の充実,認知症対応の推進,マンパワーの増強
A介護保険制度の持続可能性の確保
・介護給付の重点化・効率化,世代間・世代内の負担の公平性の観点に立った制度の見直し

→「社会保障制度改革推進法」に基づいて内閣府に設置された「社会保障制度改革国民会議」と並行して,厚生労働省は,厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会介護保険部会が,保険料抑制策を中心とする介護保険制度改革案の検討を開始したということである。早速,「サービスの重点化・効率化」が打ち出されている。2014年の通常国会に制度改革法案を提出する方針とされている。
→3福祉士国家試験受験者には,左記資料に必ず目を通しておいてもらいたい。(筆者)


1/22「第3回社会保障制度改革国民会議」が再開された)の記事を参照
1/22 厚生労働省 「第3回社会保障制度改革国民会議」が再開された ・2013年1月21日,政権交代後中断されていた「第3回社会保障制度改革国民会議」が再開され,「社会保障制度改革国民会議でのこれまでの議論」等の資料が公表された。(第1回:11/39,第2回:12/7)。
「社会保障制度改革国民会議」は,2012年8月22日の「社会保障制度改革推進法」に基づいて設置され,2012年11月16日の三党実務者協議(民主党,自民党,公明党)において検討項目(@医療の改革,A介護の改革,B年金の改革,C少子化対策)が確認されている。なお,推進法において,国民会議の設置期限は2013年8月21日とされているため,それまでに「今後の社会保障精度のあり方」をとりまとめなければならない。

検討項目のうち,医療と介護を優先して議論するとされている。有識者のメンバーや衆議院の議席数から,「現行制度をベースに,給付抑制・削減や負担増を盛り込んだ改革案」でまとめられることは容易に推測できる。筆者は,参議院選挙への影響が考慮されながら,かつての社会保障費の毎年2200億円削減を推進した経済財政諮問会議に類した抑制策と高所得高齢者等への公正な負担増をセットにした結論が出されるのではないかと想像している。(筆者)

2013年1/16「2012年度厚生労働省補正予算案」,2012年12/20「社会保障・税の一体改革」における「年金分野の改正内容」を再確認しておく,12/19自民党公約の『社会保障』を確認しておく),12/10「医療保障に関する国際比較」11/29「社会保障制度改革国民会議の委員」が決定の記事を参照の記事を参照
1/.21 厚生労働省 「宅幼老所(地域共生型サービス)の取組について」 ・2013年1月18日,厚生労働省は,「宅幼老所の取組」(パンフレット)を公表した。
<宅幼老所(地域共生型サービス)の概要>
宅幼老所(地域共生型サービス)とは
・小規模で家庭的な雰囲気の中,高齢者,障害者や子どもなどに対して,一人ひとりの生活リズムに合わせて柔軟なサービスを行う取組みである。通い(デイサービス)のみから,泊まり(ショートステイ)や訪問(ホームヘルプ),住まい(グループホーム)等の提供も行うなどサービス形態は地域のニーズに応じて様々に設定される。

厚生労働省のスタンス(2012年2月27日全国児童福祉主管課長会議など)
・「現行制度において,いわゆる「宅幼老所」を指定通所介護事業所等で運営する場合,介護保険給付に加え,所定の要件を満たせば障害者自立支援法の自立支援給付(基準該当生活介護等)や乳幼児の一時預かりに対する運営費の補助をそれぞれの制度から受けることも可能である。各都道府県におかれては,管内市町村に対し,こうした取組や各種支援制度の活用を周知していただき,地域の実情に応じた創意工夫ある取組の普及促進を図られたい。」

主な国庫補助
・小規模多機能型居宅介護
・基準該当短期入所生活介護(高齢者)
・基準該当生活介護,基準該当短期入所(障害者)
・運営費及び施設設置等に対する財政支援
・介護基盤緊急整備等臨時特例基金(2012年度まで)
・地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金及び地域介護・福祉空間整備推進交付金
・地域型保育・子育て支援モデル事業
・一時預かり事業
・放課後児童クラブ


<参考>
「被災地における共生型福祉施設の設置について(通知)」(2012年7月31日) / 共生型福祉施設の機能
1/18 警察庁 「2012年の月別の自殺者数について」
〜2012年の自殺者数は2万7766人〜
・2013年1月17日,警察庁は,「2012年の月別の自殺者数について」を公表した。
・2012年の全国の自殺者数は2万7766人(前年比9.4%減)で,1997年以来15年ぶりに3万人を下回った。

→3万人を下回ったことは朗報である。まさか,2012年からカウントの基準を変えてはいないだろうから,いきなり10%も減少した理由については,科学的な分析に基づく説明が必要である。ところで,2013年1月4日,警察庁は,2012年の交通事故死者数は4411人で,12年連続で減少したと発表しているが,何のことはない,警察庁が殊更に発表する交通事故死者数の数値は,事故発生後24時間以内に死亡した場合であり,救急医療技術の進化等を考えれば減少し続ける可能性は高くなるのは当然である。一方,国際的な統計で基準とすることが多いのは「30日以内死者」で,警察庁は「24時間死者」と合わせて「30日以内死者」も発表している(2011年では4,612人と5450人になっている)が,日本のマスメディアは「24時間死者」だけを報道するので,多くの国民は事実を正確に知らされていない。
→2006年に「自殺対策基本法」が施行された。2007年に「自殺総合対策大綱」が策定され,2012年8月28日に「新自殺総合対策大綱」が閣議決定された。3万人がどうのこうの言っているうちに,「中高年の自殺が多い国」から「若年層の自殺の多い国」に変化してきている。見掛けの数字だけが減ればいいというものではない。特に,20代の女性の自殺願望の多さや自殺者の増加は,超少子高齢社会の日本において,極めて深刻な問題である。関係機関の連携の整備や地域の実情に即した対策への転換など,分かっていることはすぐにでも実行に移すべきである。(筆者)


「2012年版 自殺対策白書」(概要)
1/17 厚生労働省 「生活保護基準部会報告書(案)」

(2013年1月22日追記)
「社会保障審議会生活保護基準部会報告書」(概要 / 本文

(2013年1月31日追記)
「生活保護制度の見直し」(社会保障審議会資料)
・2013年1月16日,「第12回社会保障審議会生活保護基準部会」が開催され,生活保護制度の見直しや生活困窮者の就労・生活支援の方向性を示した「生活保護基準部会報告書(案)」を議論し,資料が公表された。1月中に報告書が取りまとめられる予定とのことである。
<2012年10月8日記事の再掲>
厚生労働省の「生活支援戦略」(素案)」
→生活保護に関して所感を述べる。2012年度の生活保護費予算は,何と3兆7,000億円である。2012年6月現在,生活保護受給者は2211万人を超え,受給世帯数は154万2千世帯で,そのうち外国人世帯が4万世帯を超え,過去最多を更新しているとされている。なお,日本に永住,在留する外国人数は215万人前後で横ばい傾向であるが,新たに生活保護を受ける外国人世帯は加速しており,国籍別では,韓国・朝鮮人(2万7,035世帯)が全体の2/3を占め,フィリピン人(4,234世帯),中国人(4,018世帯)とのことである。さらに,211万人のうち,働ける可能性があるのに働いていない者は約30万人に上るとされている。また,生活保護の不正受給は,分かっているだけで,2010年度では129億円(2万5千件)に上るとされている。
→「生活保護費の使い道に制限なし,受給期間に制限なし,医療費に負担なし」というザルのような制度に,無条件で3兆7,000億円もの税金を使い切ることを認めたくないし,不公平や不正なことはすぐにでも正してほしいし,本当に保護を必要とする人に手を差し伸べてもらいたい,というのが大多数の日本国民の当たり前の意見であると思う。2012年10月5日から,5年に1度の見直しのために「社会保障審議会生活保護基準部会」で,生活保護費の支給水準の議論が始まった。今後,新任の三井厚生労働大臣には興味はないが,あの悪名高い障害者自立支援法を成立させ,障害者をばっさりと切った経験をもつ新任の村木厚子社会・援護局長が,今後どのような仕事をするのかを色んな意味で注目している。
→なお,近年の生活保護の急増は,2009年3月の自民党の麻生政権時の厚生労働省通知がきっかけになった,という事実は看過すべきではない。(筆者)

→生活保護の受給者は,2012年9月の時点で213万人と過去最多を更新した。生活保護制度に関して,多くの日本国民は,不公正,不公平,ムダを徹底的に排除し,必要な人に必要な支援が届くような制度に改善してほしいと願っている。
→2012年11月20に,自民党の「生活保護プロジェクトチーム」が, 自治体が食費などを現物給付することを可能とする生活保護法改正案の骨子を了承し,世耕座長は,衆院選後に自民党が政権を担った場合,2013年度予算編成で生活保護基準を引き下げる方針を示したという報道があった。なお,2012年12月16日の衆議院選挙での自民党公約における「生活保護の見直し」は,以下の通りであった。
後のセーフティーネットとしての機能は維持しつつも,不正受給者には厳格に対処します。高齢者も含め,就労困難者と就労可能者について別途の仕組みを検討します。
「手当より仕事」を基本にした自立・就労促進,生活保護費(給付水準の原則1割カット)・医療費扶助の適正化,自治体における現金給付と現物給付の選択的実施など抜本的な見直しを行います。」
→2012年12月26日に安倍内閣が誕生し,生まれ変わったという自・公政権が,今回の本報告書と,どのように整合させていくのかを注目している。(筆者)


2012年12/19自民党公約の『社会保障』を確認しておく),10/8厚生労働省の「生活支援戦略」(素案)」,5/28「生活保護制度の状況等について」
の記事を参照


「生活保護の動向(2012年9月分)」
1/16 厚生労働省 「2012年度厚生労働省補正予算案」 ・2013年1月15日,安倍政権は,2012年度の補正予算案を閣議決定した。総額は13兆1054億円(8兆円は国の借金)で,このうち厚生労働省は,基礎年金の国庫負担割合1/2の維持等(2兆5164億円)を含め,3兆2198億円が計上されている。
・今後,2013年通常国会に予算案が提出され,3月までに成立することになる。
<厚生労働省補正予算(3.2兆円)の構成>

(1)緊急経済対策関係 【7034億円】
@「成長による富の創出」 (1691億円)
・「70〜74歳の医療費自己負担については,当面,1割負担を継続する措置を講じるが,本措置の在り方については,世代間の公平や高齢者に与える影響等について,低所得者対策等とあわせて引き続き検討し,早期に結論を得る」としている。
A「復興・防災対策」 (1345億円)
B「暮らしの安心・地域活性化」 (3999億円)

(2)基礎年金国庫負担割合1/2等 【2兆5164億円】

→案の定,参議院選挙での老人票目当てに,「70歳から74歳までの窓口負担軽減措置(1割負担)の継続(1898億円)」が計上された。世代間の不公平感をなくすために,消費税引き上げ前の2013年4月が,本則の2割負担に戻す最後のチャンスだったはずである。ところで,2013年1月7日の自民党厚生労働部会での特例措置の存廃における議論では,本来の2割に戻すことを主張したのは,小泉進次郎衆院議員1人だけだったと報道されていた。お飾りの厚生労働大臣のもとで,今後,急務とされている医療制度の抜本的改革が進むかどうか。(筆者)

→●2012年12/29自民党公約の『社会保障』を確認しておく),12/10「医療保障に関する国際比較」の記事を参照
1/15 内閣府 2013年度から「特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げ」が始まる 1994 年の法改正により,特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢は,生年月日と男女別(女性は男性より5年遅れ)に段階的に60歳から64歳に引上げられている。
・2000年の法改正により,特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が,2013年度から2025年度(女性は男性より5年遅れ)にかけて60歳から65歳へ引上げられ,将来の年金支給開始年齢は65歳となることになっている。
・この支給開始年齢の引上げに伴い,60歳台前半における老齢厚生年金の繰上げ請求ができることとなった。

<老齢厚生年金の受給資格>
@厚生年金の加入期間が1年以上
A国民年金の保険料納付期間と保険料免除期間の合計が25年以上(厚生年金,共済組合の加入期間を含む)
※2012年8月の「税と社会保障の一体改革」における改正国民年金法により,2015年10月1日からは「10年以上」に変更される。
B受給開始年齢に達している
※「特別支給の老齢厚生年金」については,受給開始年齢が生年月日に応じて異なる。

<老齢厚生年金の繰上げ請求の際の注意点>
@老齢基礎年金と併せて繰り上げ請求が必要である。
※老齢厚生年金のみを繰り上げることはできない。
A年金額は,本来の受給開始年齢で受け取る金額より,繰上げ請求日から本来の受給開始日までの月数ごとに0.5%減額される。
※減額率は生涯変わらず,65歳以降に受け取る年金にも適用される。
(例)老齢厚生年金を61歳,老齢基礎年金を65歳から受け取る人が,60歳で繰上げ請求した場合
・老齢厚生年金は,12か月(1年分)×0.5%=6%が本来の年金額から減額
・老齢基礎年金は,60か月(5年分)×0.5%=30%が本来の年金額から減額


<相談窓口>
「年金事務所」や「街角の年金相談センター」

→厚生年金の支給開始年齢は,制度発足当初は55歳であったが,累次の改正により65歳に向けて,徐々に引き上げられてきた。一方,国民年金の支給開始年齢は,制度発足当初より65歳である。厚生年金の支給開始年齢の引き上げにより,現在の高年齢者雇用制度のままでは,2013年度には,60歳定年以降,継続雇用を希望したとしても,雇用が継続されず,また年金も支給されないことにより無収入となる者が生じる可能性があるため,2012年8月に「高齢者雇用促進法」が改正された。継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止を含めた改正がなされ,2013年4月から施行されることになっている。
→近年,諸外国においては,既に,いくつかの国で65歳以上への支給開始年齢の引上げが決定されている。
・アメリカ :66歳(2027年までに67歳に引上げ)
・イギリス :男性65歳,女性60歳(女性は2020年までに65歳に引上げ,さらに2024年から2046年にかけて男女ともに65歳から68歳に引上げ)
・ドイツ :65歳(2012年から2029年までに67歳に引上げ)
・フランス :60歳(2018年までに62歳に引上げ)
・スウェーデン :61歳以降本人が選択(ただし,保証年金の支給開始年齢は65歳)

日本の「支給開始年齢」は65歳で持続できるという説明のいい加減さは,世界の動きから容易に判断できる。どれくらい当てにならないのかと言えば,1月14日午前5時46分に「東京23区で積雪になる可能性は小さい」と堂々と発表し,間もなく雪が降り始めて,5時間後には「東京23区に大雪注意報」を出す気象庁の天気予報に匹敵するぐらい,と筆者は思う。(筆者)


2012年12/20「社会保障・税の一体改革」における「年金分野の改正内容」を再確認しておく,11/29(■「社会保障制度改革国民会議の委員」が決定の記事を参照
1/11 厚生労働省 「第1回 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会」 ・2013年1月10日,「第1回 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会」が開催された。
・現在,1994年9月の「職場における腰痛予防対策指針」により行政指導されているが,2011年に休業4日以上の休業を要する腰痛は職業性疾病の6割を占める4,822件発生し,このうち社会福祉施設が約19%を占め,この10年で件数が2.7倍に増加しているという状況にある。これらを背景に,予防指針の改訂およびその普及に関する検討会が設置されたものである。

<参考資料>
「介護労働者の腰痛予防対策のチェックリストについて」(2009.4.9付け労働衛生課長事務連絡)
「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」(2010年10月中央労働災害防止協会)

「腰を痛めない介護・看護〜質の高いケアのために〜」(テクノエイド協会)
「介護労働者の雇用管理の改善を図った事業主に対する奨励金」(職業安定局)

→「自分の健康は自分で守る」が基本である。無知や不注意で「腰痛持ち」になってしまっては,悔やんでも悔やみきれない。(筆者)
1/10 厚生労働省 「民生委員・児童委員に関するQ&A」
Q&Aの項目(厚生労働省)>
@どういう人か?

民生委員法第1条(本分及び身分),第10条(任期・給与)
Aどのように選任され,何人いる?
・民生委員法第4条(定数),第5条(委嘱の仕組み),児童福祉法第16条(児童委員を兼務)
・2012年3月31日現在,定数は233,526で,229,510人(男性:91,729人,女性137,781人)に委嘱
B仕事の内容は?
・民生委員法第14条(民生委員の職務),児童福祉法第17条(児童委員・主任児童委員の職務)
C義務は?
・民生委員法第15条(職務遂行上の義務),第16条(地位を利用した政治活動の禁止),第17条(指揮監督権)
D所属の組織は?
・民生委員法第20条・第24条(民生委員協議会)


個人情報保護法と 民生委員・児童委員の関係(消費者庁)>
Q:民生委員・児童委員をしていますが,市町村や民間の事業者から,活動に必要な個人情報の提供をうけられず苦慮しています。提供を受けることは可能ですか。
A:民生委員・児童委員は,福祉事務所などの協力機関として職務を行うものとされており,活動の円滑な実施のためには,個人情報の適切な提供を受ける必要があります。
民生委員・児童委員は特別職の地方公務員と整理されているため,個人情報取扱事業者からその職務の遂行に必要な個人データの提供を本人から同意を得ずに受けることは,個人情報の第三者提供の制限の例外として,可能と考えられます。地方公共団体からの情報提供については,それぞれの条例の解釈によります。 
民生委員・児童委員には,民生委員法において守秘義務が課せられていることも踏まえ,各主体から,その活動に必要な個人情報が適切に提供されることが望ましいと考えられます。

→1月26日から始まる3福祉士国家試験用の情報提供のために掲載した。(筆者)

「全国民生委員児童委員連合会HP」
1/9 厚生労働省 「終末期医療に関するこれまでの経緯と最近の動向」 ・2012年12月27日に,「第1回終末期医療に関する意識調査等検討会」が開催され,一般の国民や医療・介護従事者を対象とした終末期医療に関する意識調査を2012年度内に行うことが決定された。なお,検討資料は,2013年1月8日に公表された。
・同検討会の趣旨は,「終末期医療に関する国民,医療従事者等の意識の実態を調査し,患者の意思を尊重した望ましい終末期医療のあり方に関する課題を整理するため,終末期医療に関する意識調査等検討会を開催する」とされている。
・同意識調査は,1992年以降,5年ごとに実施されており,今回で5回目であり,今回の調査から,病院や診療所,介護老人福祉施設(介護老人保健施設を除く)の施設長も対象となる。
<終末期医療に関する近年の行政の動向>
「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会による終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」(2007年5月)・・・2006年3月に発覚した「富山県射水市民病院事件」を発端とする日本の尊厳死のルール化
「終末期医療のあり方に関する懇談会報告書」(2010年12月)・・・「リビング・ウィルの法制化」については慎重な意見が多く,2007年のガイドラインの充実が望まれるとしている
「がん対策推進基本計画(2012〜2016年度)」(2012年6月)・・・「がん患者を含む国民が,がんを知り,がんと向き合い,がんに負けることのない社会を目指す」としている
「今後の認知症施策の方向性について」(2012年6月)・・・「認知症になっても本人の意思が尊重されできる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す」としている
「社会保障制度改革推進法第6条」(2012年8月)・・・社会保障制度改革国民会議での議題として,「医療の在り方(特に,人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備)」が挙げられている

→近年,医師の人工呼吸器外し事件や胃ろうの急増などによって,終末期医療を巡る問題への社会的な関心の高まりを受けて,超党派の国会議員による「尊厳死法制化を考える議員連盟」が,2012年3月に「尊厳死法案」を公表したが,議連としての議論はまとまらず,法案の国会提出には至っていない状況にある。障害者や難病患者の団体,日本弁護士連合会などは法案に反対の立場をとっている。終末期医療の解決策としての「尊厳死の法制化」については,十分な議論を尽くさなければならない,とするのが大方の見方と思われる。
→ところで,福祉専門職であれば,日本における「安楽死」と「尊厳死」の違いを明確に答えられなければならない。(筆者)
1/8 厚生労働省 「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理」 ・2013年1月7日,厚生労働省は,「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理」を公表した。
・今後,厚生労働省は,数年以内の事業所の指定業務移行や実務研修の受験要件見直しの実現などを目指して,社会保障審議会介護保険部会に「本整理」を提示するとしている。

→2012年12月28日に,2012年度の「第15回ケアマネ試験の実施状況」が公表された。第15回の試験においても,試験委員も公表せず,テキストに記載のない出題,難問・奇問,国家試験であれば不適切問題とされかねない不正確な数値表示,疑問のある表現,直近の重要な改正に即応していない出題・出題数等が散見された。このカテゴリーで,何度も言っているが,ご大層な「ケアマネの資質向上」もいいけれど,「現行のケアマネ試験の質の向上」を図れるまっとうな人材を早急に確保し,公表すべきである。
→3福祉士国家試験の直前対策として,15回ケアマネ試験をアレンジした「介護保険制度の直前対策テスト」を,本日掲載したのでチャレンジしていただきたい。(筆者)


10/28「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関し寄せられた主な意見」,10/22「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関するパブリックコメント(意見公募)」の記事を参照

「2012年度 第15回試験の受験対策」
2013

1/4
厚生労働省

総務省
「2012年 人口動態統計の年間推計」および「巳年生まれと新成人の人口」 ・2013年1月1日,厚生労働省は,「2012年 人口動態統計の年間推計」を公表した。
・2012年12月31日,総務省は,2013年1月1日現在の「
「巳(み)年生まれ」と「新成人」の人口-2013年 新年にちなんで-」を公表した。
<「人口動態統計の年間推計」のポイント>
@出生数 :103万3000人と推計(戦後最少)
A死亡数 :124万5000人と推計(東日本大震災の影響で死者数が増えた昨年を除き,戦後最多)
B自然増減数 :△ 21万2000人と推計(1899年以降過去最多)
C婚姻件数 :66万9000組と推計
D離婚件数 :23万7000組と推計

<「巳年生まれと新成人」のポイント>
(1)「巳年生まれ」の人口 : 1,020万人(総人口の8.0%)
@男性は494万人,女性は526万人
A1965年生まれが最も多い
B十二支の中では10番目

(2)「新成人」の人口 : 122万人
@新成人人口は122万人で2011年と同数
A男性は63万人,女性は59万人
B新成人人口は減少を続け,最も多かった1970年(246万人)の半数を初めて下回る

→日本の人口は,2005年に初めて死亡数が出生数を上回り,自然減に転じた。厚生労働省は,「高齢化の進行により今後も毎年,自然減の拡大が続く」とし,少子化の指標となる合計特殊出生率についても,2012年も2011年の1.39と同程度になる見込みとしている。また,2013年の新成人人口は122万人,総人口に占める割合は0.96%で,新成人人口の総人口に占める割合は3年連続で1%を割り込んでいる。
→高齢化,人口減少,少子化の是非について,福祉専門職として,自身の見解を持っていなければならない。(筆者)
12/30 厚生労働省 「厚生労働省政務三役」が決定した 2012年12月27日,政府は,臨時閣議で「第2次安倍内閣」の副大臣と大臣政務官の人事を決定した。
<厚生労働省政務三役>

大臣 田村憲久 自民党額賀派,元厚生労働政務官
・1996年の衆院選で初当選し,現在は6期目。衆院選前の28人から50人超に増えた額賀派に属し,厚生労働大臣に就任した。なお,額賀派からは,他に新藤総務大臣,茂木経済産業大臣が入閣している。
副大臣 桝屋敬悟 ・公明党,元厚労副大臣
・1993年7月の衆院選で初当選し,現在は6期目。2000年12月発足の第2次森改造内閣で厚生総括政務次官を務め,2001年1月の省庁再編に伴い,厚労省初の副大臣に就任。同年4月に発足した第1次小泉内閣でも再任された。
秋葉賢也 ・自民党無派閥,元総務政務官
・2005年4月の衆院補選で初当選し,現在4期目。2007年8月から約1年間,第1次安倍改造内閣と福田内閣で総務政務官を務めた。党副幹事長や,衆院東日本大震災復興特別委員会の委員などを歴任した。第2次安倍内閣では,厚労だけでなく復興副大臣も兼務している。
政務官 渡嘉敷奈緒美 ・自民党,薬剤師,衆院議員
・2005年9月の衆院選で初当選し,現在は2期目。日本薬剤師連盟顧問,大阪府薬剤師会参与,衆院厚労委員会委員などを務めた。
丸川珠代 ・自民党,参院議員
・2007年7月の参院選で初当選し,党の厚労部会長代理や参院政審会長,参院厚労委員会の委員などを歴任している。

→「閣僚人事は,安倍晋三首相一任で,派閥の推薦を受け付けなかった」と報道されているが,筆者は,正真正銘の世襲議員・厚生族議員が,派閥の領袖の推薦を受けて厚生労働大臣に就任した,と受け止めている。「第2次安倍内閣」における自民党18人の派閥構成は,無派閥5人,岸田派4人,町村派3人,額賀派3人,石原派1人,麻生派1人,谷垣グループ1人で,伊吹派,大島派はゼロであった。なお,安倍首相は無派閥であるが,出身派閥は最大派閥の町村派である。今後,このカテゴリーでは,このようなくだらない話題に触れるつもりはないが,「政権」のスタート時点で確認しておく必要があると思ったので記事にした。昔の「自・公政権」と,本質的な部分で変わっていたかどうかは,半年ぐらい経てば評価が出るように思う。
→くだらない話題のついでに,筆者は,女性の政務三役への登用は大賛成であるが,今回のように,品位に欠け,下劣な野次を国会の場で平気で飛ばす「有名人」が3人とも登用されていることに対して,嫌悪感を感じる。「当たり前の感覚を持った女性」は,こういう人たちを,どう受け止めているのか知りたい。男女共同参画社会を構築していこうとするならば,いかに意見が食い違っても,公然と相手の人格を否定するような発言をする人は,男女を問わず,不穏当で,政務三役にふさわしくないという常識を,まず政治の世界で確立しなければならないと思う。
→最後のくだらない話題として,12月30日現在,厚生労働省のホームページの「大臣・副大臣・政務官の紹介」で,副大臣と政務官は「掲載準備中」となっているが,副大臣や政務官は下っ端の官僚に舐められているのではないでしょうか。丸川政務官サンは,民主党にしていたように,官僚を罵る勇気があるかどうか・・・。少なくとも,一般企業であれば,こんなスピードで仕事をしていたら,所管部署や担当者は,責任を追及される。「官僚主導」は,こういったところから見て取れるように思う。
(筆者)


12/27「第2次安倍内閣」が発足したの記事を参照
12/28 厚生労働省 「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関し寄せられた主な意見」 ・2012年12月27日,「第7回介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」が開催され,検討資料が公表された。
意見の募集は,以下の通りである。
・厚生労働省は,「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」において整理された次の事柄等について,現場で実務を担っている介護支援専門員等からの意見を公募した(募集期間は2012年10月11日〜10月31日)。
 @検討会で提起された課題
 A主な課題とそれに対する対応の方向性

寄せられた意見は,以下の項目でまとめられている。
@介護保険法における「自立支援」とそれに向けたケアマネジメントのあり方について
A介護支援専門員の支援のための地域ケア会議の役割強化について
B地域包括支援センターにおける介護予防支援業務(要支援者の介護予防サービス計画作成業務)について
C主任介護支援専門員の役割について
D居宅介護支援事業所の指定を市町村とすることについて
Eケアマネジメントにおける医療との連携について
F介護支援専門員の専門性(知識・技能)の向上について(実務研修受講試験,研修カリキュラム等)

→結果として,「現状の行政側の個人の力量への責任転嫁の姿勢および個人への煩雑で膨大な事務量の要求」が改められなければ,「ケアマネジャーの資質の向上」はかなわない。(筆者)

10/22「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関するパブリックコメント(意見公募)」の記事を参照

「2012年度 第15回試験の受験対策」
12/27 首相官邸 「第2次安倍内閣」が発足した ・2012年11月16日の衆議院解散に伴い,12月16日に執行 された衆議院議員総選挙で民主党は惨敗し,野田首相は民主党代表を辞任した。
・2012年12月26日午前,民主党の野田内閣は臨時閣議で総辞職し,同日午後,臨時国会で自民党の安倍総裁が第96代の首相に指名され,認証式を経て「第2次安倍内閣」が発足した。


→安倍首相は,「危機突破内閣」と位置づけ,「人物重視,実力重視の人事」としている。稲田サン,新藤サン,下村サン,古屋サンの名前を見つけて,日本国民より近隣諸国が驚いているのではないかと思った。
→社会保障関連の大臣として,厚生労働大臣には,田村元厚労政務官が,社会保障・税一体改革担当大臣には,甘利明元経済産業大臣が,女性活力・子育て支援担当・少子化対策担当大臣には,森まさこ参議院議員が就任した。
→筆者は,全閣僚の就任記者会見をテレビで観て,いろんな意味で,この内閣に潜む「危うさ」や「もろさ」を感じた。また,2013年7月の参議院選挙までには,「第2次安倍内閣」の評価は定まると思った。(筆者)
12/26 厚生労働省 「2010年度における後期高齢者医療費の特性」 ・2012年12月21日,厚生労働省は,「2010年度 後期高齢者医療費の特性」を公表した。
区分 若者 後期高齢者 若者に対する
比率
1人当たり診療費 19.3万円 89.1万円 4.6倍
うち入院 6.4万円 45.6万円 7.1倍
うち外来 11.0万円 40.7万円 3.6倍

→「後期高齢者医療制度」の経緯を概観する。自・公政権時代の2008年4月に施行された「後期高齢者医療制度」は,国民からの厳しい批判を受けたまま,2009年9月に民主党政権に引き継がれ,「後期高齢者医療制度」を廃止するとの民主党マニフェストに従い,廃止宣言はしたものの,どうしようもなくなって,2012年8月に成立した「社会保障改革推進法」第6条第4号において,「今後の高齢者医療制度については,状況等を踏まえ,必要に応じて,社会保障制度改革国民会議において検討し,結論を得ること。」とされた。結局,民主党政権は,「先送り」をして終わってしまった。
「自民党 総合政策集(J-ファイル 2012)」によれば,「高齢者医療制度は現行制度を基本としつつ,消費税を中心に所要の財源確保を前提に長寿医療制度に対する公費負担の増加等,高齢者医療制度への支援の増大に伴う国民健康保険,協会けんぽ,組合健保などの保険料率の上昇を抑制するなどにより,国民皆保険制度を守ります」としている。どうも,後期高齢者医療費におけるムダの削減などは念頭にないようである。
→「高齢者医療」におけるムダな給付の排除は,できるところから,早急に実施すべきである。例えば,70〜74歳の医療費の自己負担については,2008年当時の自・公政権が行った不公平な1割負担の措置が凍結されたままとなっており,政権交代後は本則の2割負担に速やかに戻すべきであると思うが,選挙における老人票に重きを置いているようでは,やれないでしょうなあ。新厚生労働大臣が誰がなるのかも重要になってくるが,世襲議員や厚生族議員であれば,期待のしようもないが・・・。この1割の差額に,年間2,000億円もの税金がムダに投じられている。(筆者)


12/19自民党公約の『社会保障』を確認しておく),11/19「後期高齢者医療制度の現状と経緯」の記事を参照
12/25 厚生労働省 「2011年度 高齢者虐待の対応状況等に関する調査結果」 ・2012年12月21日,厚生労働省は,「2011年度 高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果」を公表した。
区分 2011年度 2010年度
養介護施設従業者等によるもの 虐待判断件数 151件 96件
相談・通報件数 687件 506件
養護者
によるもの
虐待判断件数 16,599件 25,636件
相談・通報件数 16,668件 25,315件

<2012年8月21日記事の再掲>
「2011年度 介護労働実態調査結果(2011年11月実施)」
→2012年7月5日,和歌山県は,社会福祉法人海南市社会福祉事業団特別養護老人ホーム「南風園」の女性職員6人が入所者70?90歳代の7人に12件の身体的・心理的虐待をしていたと発表し,県は管理する市に介護保険法に基づく改善勧告を行った,との報道があった。
(動画のURL)
http://www.dailymotion.com/video
/xp8ckt_yyyyyyyyyyyyyyyyyyyy_news

→介護職員の待遇改善を議論するに際して,隠された醜い介護現場の現実から目を背けてはいけない。(筆者)


「高齢者虐待防止法」は,2005年11月1日に成立し,2006年4月1日から施行された。行政は,「高齢者虐待防止法」の成果として,相談・通報件数が増加してきたことを挙げているが,果たして成果と言えるかどうか。
→2012年10月1日から「障害者虐待防止法」が施行されたことにより,2000年11月20日施行の「児童虐待防止法」とともに3虐待防止法が整備された。3法を比較してみると,児童虐待防止法と障害者虐待防止法には,理念として,「虐待の禁止」が掲げられ,「何人も,児童に対し,虐待をしてはならない」,「何人も,障害者に対し,虐待をしてはならない」と規定されているが,「高齢者虐待防止法」にはその規定がない。これは,「高齢者虐待」の複雑さ,対応の困難さに基づいていると,筆者は理解している。現行の「高齢者虐待防止法」は,「著しい虐待のみ」を対象としていると言っても過言ではない。「著しい虐待」以外の虐待がどれほどの数に及ぶと思いますか?
→筆者は,「高齢者虐待」の予防に対しては,「介護現場への国民の関心を高める対策」なくしては成り立たないと考えている。今年に入って,カナダで,高齢者虐待の厳罰化(児童虐待と同様に)を意図した法案化の動きがあるとの報道があった。高齢者虐待については,虐待への厳罰化や専門職の整備が根本的な解決につながるとは思えない。また,法律の制定が,国民の啓蒙・啓発に寄与しているとするのは,幻想であると思う。
→「高齢者虐待の増加」には,追い詰められた介護者や介護現場に対する「国民の無関心」が根底にある。国民一人ひとりが「高齢者介護の現実」に遭遇して,はじめて,正当化して,平気で高齢者を虐待している醜い自分に出くわす。(筆者)


(参考)
「養護者による高齢者虐待対応の標準化のためのマニュアル策定並びに施設従事者による虐待対応の実態調査及び対応システムのあり方に関する研究報告書」(2011年3月,社団法人日本社会福祉士会)
12/21 厚生労働省 「入浴関連事故について」 ・2012年12月19日,「第36回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」が開催され,検討資料が公表された。
<入浴関連事故の現状と課題>
@現状

・WHO死因統計によれば,日本は溺死者数が多く,うち3/4が高齢者である。
・家庭内溺死者数は20年前の3〜4倍の4,000人/年以上で,うち9割が高齢者である。
・入浴中の急死者は全国で1.4万人/年と推計されている。
・東京都の調査では,冬期に多い。(12〜2月に年間の約5割が発生)
A課題
・現状は死因統計のみで,実態把握がされていない。(2000年に東京都で調査が実施されたことがある)
・入浴関連事故の病態も予防も明らかにされていない。

→これは,2012年3月22日の参議院構成労働委員会での「入浴関連事故予防のために,実態把握や調査・研究を行うべき」との質問に対し,厚生労働大臣が「調査研究体制を構築していきたい」と答弁したことに基づいた検討資料である。人命に関わることで,2012年3月の答弁のあった検討が12月ではいかにも遅い気がする。安倍政権の新しい厚生労働大臣には実務能力とスピード感に長けた人材の登用を期待したい。筆者は,100%ありえないだろうが「舛添要一氏」が適材ではないかと思っている。小渕サンや稲田サンや高市サンだったらどうしましょう。(筆者)
12/20 厚生労働省 「社会保障・税の一体改革」における「年金分野の改正内容」を再確認しておく
・2012年2月17日「社会保障・税の一体改革大綱」が閣議決定され,2月10日以降,国年法等改正法案,年金機能強化法案,被用者年金一元化法案が順次,第180回通常国会に提出され,グダグダと修正を繰り返し,8月10日に「@年金機能強化法」「A被用者年金一元化法」が成立し,11月16日に「B国年法等改正法」と「C年金生活者給付金法」が成立した。
成立 年金関係で成立した法律と内容
8月10日 @年金機能強化法
・基礎年金国庫負担1/2の恒久化・・・2014年4月施行
・受給資格期間の短縮(25年→10年)・・・2015年10月施行
・産休期間中の社会保険料免除
・遺族基礎年金の父子家庭への拡大・・・2014年4月施行
・短時間労働者への厚生年金適用拡大・・・2016年10月施行
<附則に記載の検討事項>
・高所得者の年金額の調整
・国年1号被保険者の出産前後の保険料免除
A被用者年金一元化法・・・原則2015年10月施行
・厚生年金と共済年金の一元化
11月16日 B国年法等改正法
・年金特例公債(つなぎ国際)による2012・2013年度の基礎年金国庫負担1/2・・・2012年11月26日施行
・年金額の特例水準の解消
・・・2013年10月施行
C年金生活者給付金法・・・2015年10月施行
・低所得高齢者・障害者等への福祉的給付

→民主党の「社会保障・税の一体改革大綱」記載の検討事項としては,@第3号被保険者制度の見直し,Aマクロ経済スライドの検討,B在職老齢年金の見直し,C標準報酬上限の見直し,D支給開始年齢引き上げ,が挙げられていた。
→2012年の「社会保障制度改革推進法」に基づいて,内閣に「社会保障制度改革国民会議」が設置された。同法により,2013年8月21日までに結論の提出が求められている。(筆者)

12/19自民党公約の『社会保障』を確認しておく),12/10「医療保障に関する国際比較」11/29「社会保障制度改革国民会議の委員」が決定の記事を参照の記事を参照
12/19 ■自民党公約の『社会保障』を確認しておく
           □□社会保障□□
 (「自民党 総合政策集(J-ファイル 2012)」より引用)

<国民のニーズに応えられる財政の確立>
消費税(当面10%)を含む行財政抜本改革の一層の推進により,持続可能で安定した財政を確立し,財政の配分機能を回復します。
消費税収は社会保障以外には使いません。
政権交代後,急激に肥大した生活保護の見直し(国費ベース8,000億円),公務員総人件費の抑制(国・地方合わせて2兆円)など少なくとも2.8兆円を超える大胆な歳出削減を図ります。
<社会保障に関する基本的考え方>
公的年金制度,医療保険制度,介護保険制度については,「社会保険制度」を基本とするとともに,社会保障給付に要する公費負担の財源は消費税収を中心とする中で,保険料負担を含め国民負担の増大を極力抑制しつつ,国民のニーズに対応した社会保障の確立を目指します。
これらの考え方により,自民党主導のもとで取りまとめられた社会保障制度改革推進法に基づき,消費税引上げの実施を判断する来年秋を目途に,高齢化の進展の中で持続可能な社会保障制度を確立するために必要な法案を国会に提出します。
人生100年時代を見据え,高齢者の雇用機会や活躍の場をつくり,生涯現役社会を実現します。
<年金>
持続可能な年金制度とするために自民党が与党時代に断行した改革に基づく現行制度を基本に,保険料を納付した者に年金を支給することを原則に,官民格差を是正する被用者年金の一元化,受給資格要件の緩和,年金受給時期選択の弾力化など必要な見直しを行います。
<医療>
国民皆保険を守ることを基本に,処遇改善などを通じて,医師等の人材や高度医療機器等の医療資源を確保するとともに,その適正配置を図り,地域で必要な医療を確保します。
国民負担の増大を極力抑制する中で,予防医療総合プログラムの策定など,健康管理への自主的取り組みの促進,医療保険制度における財政基盤の安定化,保険料負担の公平の確保,保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等により,真に必要な医療の提供を進めます。
患者の利益に適う最先端の医薬品,医療機器及び再生医療等の研究・開発と迅速な導入を進めます。
患者意志(リビングウィル)の尊重と看取りの充実を図ります。
<介護>
介護サービスへのニーズが急激に増大する中で,現行の介護制度は財政的に危機的な状況にあります。従事者の処遇改善や研修等の支援による介護サービスの質の向上や効率化・重点化に加え,所要の財源確保を前提とした公費負担の引上げ等により,保険料負担の増大を抑制しつつ,真に必要な介護サービスを確保します。
<障害者>
ノーマライゼーションの実現により,障害者雇用の推進など障害者の社会参加を加速させ,障害者に温かい社会づくりを進めます。
障害者の日常生活及び社会生活の自立と地域生活における共生を支援するため,障害福祉サービスの充実及び障害者の就労支援を進めます。
<少子化・若者対策>
「若者支援」,「結婚」,「出産」,「子育て(教育)」を通じて家族を幅広く支え,子育てを幸せと実感できる「家族支援政策」を積極的に進めます。
少子化問題克服のための,抜本的な意識改革や,仕事と家庭の両立支援など環境整備を促進します。
待機児童解消のため,処遇改善などによる保育士の確保をはじめ即効性のある対策を講じます。また,現行保育制度を基本に,量・質両面の充実を図るとともに,ゼロ歳児に親が寄り添って育てることのできる環境の整備を進めます。
年少扶養控除を復活させます。
<雇用>
ハローワークの機能強化等により,若者,女性,高齢者など一人ひとりの状況に応じた就労支援を積極的に進めます。
産・育休の取得範囲の拡大などによる子育てと仕事の両立など頑張る個人を支援し,経済のグローバル化や活力ある社会に対応した労働環境の整備を進めます
<生活保護の見直し>
最後のセーフティーネットとしての機能は維持しつつも,不正受給者には厳格に対処します。高齢者も含め,就労困難者と就労可能者について別途の仕組みを検討します。
「手当より仕事」を基本にした自立・就労促進,生活保護費(給付水準の原則1割カット)・医療費扶助の適正化,自治体における現金給付と現物給付の選択的実施など抜本的な見直しを行います。
<子供を虐待から守ります>
出産前や子育て中の母親が孤立しないように,子育ち・親育ち・家族育ちを積極的に支援するとともに,虐待の早期発見に向けての地域や社会における取り組みを加速します。
虐待された子供たちに笑顔を取り戻すために必要な支援を行います。

→総じて言えば,マイナーチェンジはあるものの「自民党が与党時代に構築してきた社会保障制度を維持する」ということである。老人票目当ての選挙用公約としてはこれでもいいが,既に破綻している「日本の社会保障制度」は構造改革なくして立て直せない,景気が上向いてもどうしようもない,と国民にいつ言うのかが重要となる。(筆者)
12/18 内閣府 「男女共同参画社会に関する世論調査」(2012年10月調査)
・2012年12月15日,内閣府は,「男女共同参画社会に関する世論調査(2012年10月調査)」の結果を公表した。
<調査項目と主な結果>
@男女共同参画社会に関する意識

・各分野の男女の地位が平等になっているか? :「学校教育の場」で67.0%,「自治会やNPOなどの地域活動の場」で52.1%,「家庭生活」で47.0%,「法律や制度の上」で45.4%,「職場」で28.5%,「社会通念・慣習・しきたりなど」で21.4%,「政治の場」で18.6%

A家庭生活等に関する意識
・夫は外で働き,妻は家庭を守るべきであるか? :「賛成」が51.6%,「反対」が45.1%
・生活の中での優先度? :「仕事」が26.1%,「家庭生活」が32.8%,「地域・個人の生活」が2.7%

Bメディアにおける性・暴力表現に関する意識
・メディアにおける性・暴力表現に問題あるか? :「そう思う」が73.8%,「そう思わない」が20.8%

C男女共同参画社会に関する行政への要望
・今後,行政はどのようなことに力を入れていくべきか? :,「子育てや介護等でいったん仕事を辞めた人の再就職を支援する」が61.6%,「子育てや介護中であっても仕事が続けられるよう支援する」が61.0%,「保育の施設・サービスや,高齢者や病人の施設や介護サービスを充実する」が59.9%

<2012年6月21日記事の再掲>
「2012年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文
→日本の男女共同参画政策を概観する。1975年「国連女性年」,1999年「男女共同参画社会基本法」,2000年「男女共同参画基本計画」(5年ごとの具体的な施策まとめ),2001年「内閣府男女共同参画局設置」,2010年「第3次男女共同参画基本計画」(2011〜2015年度),である。
→内閣府男女共同参画局は,毎年6月23日〜29日を男女共同参画週間として啓蒙活動を行っている。「2012年度 男女共同参画基本計画関係予算」(総括表 / 分野別内訳表)をご覧いただきたい。もっともらしい項目に多額の予算が計上されているが,毎年のことながら,筆者は素直に了解できないでいる。これは筆者の「男女共同参画」に対する理解不足からきていることなのだろうか。(筆者)

→今回,特に注目すべきは,「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきであるか」の質問において,前回の2009年調査結果と比較して見ると,「賛成」(41.3%→51.6%)と大幅に上昇し,「反対」(55.1%→45.1%)と大幅に低下していることである。
→2010年12月17日に,あの菅首相,仙石官房長官,岡崎男女共同参画大臣が深く関与した「第3次男女共同参画基本計画(2011〜2015年度)」が閣議決定され,その流れの中で進んでいる。この件に関して,政権交代によって,変化があるのか,ないのか。注目している。(筆者)


12/11「仕事と家庭の両立支援対策」,7/9「2011年版 働く女性の実情」6/21「2012年版 男女共同参画白書」の記事を参照
12/17 厚生労働省 「発達障害者の就労支援」
<就労を急ぐ場合>
@ハローワークにおける職業相談・職業紹介
・関係機関のチーム支援による,福祉的就労から一般雇用への移行の促進
A障害者試行雇用(トライアル雇用)事業
・3か月間を限度,月4万円/人の奨励金

<じっくりと就労を準備する場合>
B若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム
・ハローワークにおいて,地域障害者職業センターや発達障害者支援センター等に誘導,個別相談支援
C地域障害者職業センターにおける発達障害者に対する専門的支援(試行実施)
・ハローワーク・発達障害者支援センターとの下で対象者を選定,発達障害者就労支援カリキュラム(12週間程度)
D職業能力開発関係
・一般の職業能力開発校における発達障害者を対象とした職業訓練モデル事業
・障害者職業能力開発校における発達障害者対象訓練
・障害の態様に応じた多様な委託訓練


<就労後の支援を求める場合>
Eジョブコーチ支援制度
・配置型,第1号,第2号ジョブコーチ
F障害者就業・生活支援センター事業
・就業面と生活面における一体的な支援

<事業主への助成>
G発達障害者雇用開発助成金
・50万円(中小企業の場合135万円),障害者手帳を持たない発達障害者を雇用した場合に限る

→発達障害にかかわる法律・法改正等の経緯を概観する。
・2004年「発達障害者支援法」が制定
・2006年「改正学校教育法」により,盲学校・ろう学校及び養護学校が特別支援学校に一本化
・2008年8月29日「発達障害者施策検討会報告書」
・2010年「「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」により,発達障害が改正障害者自立支援法および改正児童福祉法において対象として明記
・2011年「改正障害者基本法」において,発達障害が対象として明記
・2011年「改正 国民年金・厚生年金保険障害認定基準」において,発達障害が明記
・2012年「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」により,2013年4月1日から「障害者自立支援法」の題名は,「障害者総合支援法」に改められる。
→2004年の「発達障害者支援法」制定当時の認識は,@発達障害は,人口に占める割合は高いにもかかわらず,法制度もなく,制度の谷間になっており,従来の施策では十分な対応がなされていない,A発達障害に関する専門家は少なく,地域における関係者の連携も不十分で支援体制が整っていない,B家族は,地域での支援がなく大きな不安を抱えている,ということであったが,8年経った。障害者としての位置付けと支援は十分な状態になっていると言えるかどうか。日本では,発達障害児の問題に比べて,成人の発達障害の問題は,社会的認知も支援体制も乏しい。(筆者)


(参考)
「発達障害者支援施策」(厚生労働省) / 「発達障害者支援法のねらいと概要」(厚生労働白書)
「発達障害情報・支援センター」
「米国等における発達障害者の就労支援の現状に関する研究」(2009年3月)
12/14 厚生労働省 「2011年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」 ・2012年12月13日,厚生労働省は,「2011年介護サービス施設・事業所調査結果の概況」を公表した。
<調査結果の構成>
@施設・事業所の状況
A介護保険施設の状況
B介護保険施設の状況
C従事者の状況

→衆院選の投開票が12月16日に行われる。改めて,民主党(マニフェスト2012)自民党(J−ファイル2012)の政権公約を読み比べてみた。
→福祉専門職であれば,深刻な現実に直面している介護分野(介護保険)について,どちらがより非現実的であるかを,マスメディアの言い分を鵜呑みにするのではなく,自身の目で確かめておくべきだと思う。(筆者)
12/13 厚生労働省 「2010年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況」 ・2012年12月12日,厚生労働省は,「2010年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(確報値)」を公表した。
・「特定健康診査・特定保健指導制度」は,「高齢者医療確保法」に基づき,2008年度から開始された。40歳から74歳までの被保険者と被扶養者を対象に,メタボリックシンドロームに着目した健康診査・保健指導を実施することが,医療保険者に義務付けられている。

実施率の推移
特定健康診査実施率 特定保健指導実施率
2008年度 38.9% 7.7%
2009年度 41.3% 12.3%
2010年度 43.2% 13.1%

→厚生労働省は,ホームページ上で,「特定健診・特定保健指導の仕組みは,40〜74歳の方全員を対象として大規模な一次予防を行うという,世界に例のない先駆的な取組として,各国のマスメディア・政府関係者から取材を受けています。」とえらく自慢しているが,実施率を聞いて海外の人はどんな顔をしたのかが知りたい。
→実は,2008年〜2012年度までの「医療費適正化計画」では,政策目標として,:特定健診実施率を70%,特定保健指導実施率を45%としている。何を根拠に,こんなはったりくさい目標値を設定したのだろうか。「医療費適正化計画」は,都道府県が策定する3計画(医療計画,健康増進計画,介護保険事業支援計画)と密接に関連し,相互に調和を図ることが定められているが,「なんだかなあ」というのが筆者の意見である。(筆者)
12/12 厚生労働省 「予防接種健康被害救済制度の認定者数」
<「予防接種健康被害救済制度」とは>
●「予防接種健康被害救済制度」とは,予防接種により健康被害が起きたときの救済制度であり,@定期予防接種による健康被害(予防接種法による救済)と,A任意予防接種による健康被害(独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済)の2つの制度がある。
@予防接種法による救済
・1類疾病=風疹,日本脳炎,BCG,DPT/DT,ポリオ,麻疹
・2類疾病=インフルエンザ(65歳以上又は60〜65歳のハイリスク者)
A医薬品医療機器総合機構法による救済
・任意接種のワクチンや,法律で定められた予防接種を定期接種年齢の範囲を超えて受けたときに起きた副反応

(参考資料)
「予防接種健康被害救済制度について」
「定期予防接種による健康被害」
「新型インフルエンザ予防接種による健康被害救済制度」
「任意予防接種による健康被害」

→2011年7月に,子宮頸(けい)がん予防ワクチンの接種を受けた国内在住の14歳の女子中学生が,2日後に死亡した。2012年10月に,岐阜県美濃市で,安全だとされていた日本脳炎の予防接種で,接種を受けた子供が急死した。ということはセンセーショナルに報道されるが,因果関係の認定を受けた場合の「予防接種健康被害救済制度」や「損害賠償請求」(行政および医師への国家賠償法適用,ワクチン製造業者への民法およびPL法の適用)については,正確に報道されない。したがって,大多数の国民は,予防接種における健康被害の対処の仕方を知らない。(筆者)

11/22インフルエンザの感染を防ぐポイントの記事を参照
12/11 厚生労働省 「仕事と家庭の両立支援対策」
<「仕事と家庭の両立支援対策」の概要>
目標 :希望する方すべてが子育て等をしながら安心して働くことができる社会の実現
(1)法律に基づく両立支援制度の整備
@妊娠中・出産後の母性保護,母性健康管理(労働基準法,男女雇用機会均等法)
A育児休業等両立支援制度の整備(育児・介護休業法)

(2)両立支援制度を利用しやすい 職場環境づくり
@次世代育成支援対策推進法に基づく事業主の取組推進
A助成金を通じた事業主への支援
B表彰等による事業主の意識醸成

(3)その他
・長時間労働の抑制,年次有給休暇の取得促進等全体のワーク・ライフ・バランスの推進
・イクメンプロジェクト
・保育所待機児童の解消・放課後児童クラブの充実,ファミリー・サポート・センター事業
・マザーズハローワーク事業

→筆者には,どうしても理解できないことがある。「仕事と子育てを両立できる環境の整備」が,少子化対策の鍵になるという理屈である。一般には,「子育てを社会全体で支えることで,結果的に少子化を克服する」との説明で納得されるらしいが,筆者にはまったく理解できない。2012年12月8日の衆院総選挙の街頭演説で,「日本未来の党」の嘉田代表が,「子育て支援を拡充することが少子化に歯止めをかける」と言っていたテレビ報道を観た。『風が吹いたら,桶屋が儲かります』と恥ずかしげもなく大衆の面前で真剣に叫んでいるのと同じことではないかと思う。
→批判を恐れずに,結論だけを言えば,現行の「仕事と家庭の両立支援対策」は,フェミニズムの主張に便乗して,「女性労働力の確保」を少子化対策にすり替えた狡猾な「労働政策」だと筆者は考えている。誰が考えたか知らないが,あきれるほどずるがしこいやり方である。したがって,出生率が向上しなくても一向にかまわないということになる。というわけで,フェミニズムの陰に隠れて,さしたる抵抗もなく投入される税金である,出生率向上に寄与しない子ども・子育て施策の2012年度予算3兆2,086億円とは,一体何なんでしょうかねえ。誤解のないように付け加えると,「男女共同参画社会の実現」は,少子化であろうがなかろうが目指さなければならない事柄と考えている。(筆者)


「2012年度子ども・子育て施策関係予算(当初)」
「子ども・子育て施策関係予算(2010〜2012年度」
12/10 厚生労働省 「医療保障に関する国際比較」
<「OECD HEALTH DATA 2012」による国際比較>
@「OECD加盟国の医療費の状況」
A「G7諸国における総医療費(対GDP比)と高齢化率の状況」
B「6か国の医療分野データの比較」

C「6か国の医療保障制度の比較」

→日本の社会保障改革改革の現状に関して,民自公3党の合意に基づき2012年8月に成立した「社会保障制度改革推進法」により「社会保障制度改革国民会議」が設置され,2012年11月30日に第1回が開催された。年金,医療,介護,少子化対策の4分野が中心テーマとなるが,「医療分野」では「高齢者医療制度」が検討される予定であり,2013年8月21日までの結論を出さなければならないことになっている。
→3福祉士国家試験受験者には,「日本の医療制度の概要」(@ / A)にも目を通しておいてもらいたい。(筆者)


11/29「社会保障制度改革国民会議の委員」が決定の記事を参照
12/7 厚生労働省 「2011年 国民健康・栄養調査結果の概要」 ・2012年12月6日,厚生労働省は,2011年11月に実施した「国民健康・栄養調査結果の概要」を公表した。
・調査は毎年実施され,2011年は,岩手県,宮城県,福島県を除いて,無作為抽出した300単位区内の5,422世帯を対象としている。
<調査項目>
第1章 食生活に関する状況
第2章 身体活動・運動に関する状況
第3章 喫煙に関する状況
第4章 飲酒に関する状況
第5章 休養等に関する状況
第6章 身体状況及び糖尿病等に関する状況
第7章 歯の健康に関する状況
第8章 健康寿命や地域のつながりに関する状況

→「第1章 食生活に関する状況」において,生鮮食品の摂取状況では,野菜類,果物類,魚介類の摂取量が減少,肉類の摂取量が増加し,生鮮食品の入手を控えたり,入手できなかった理由として,「価格が高い」と回答した者の割合が30.4%と最も高く,20〜40歳代では4割以上である。また,災害時に備えて非常用の食料を用意している世帯の割合は47.4%で,東海ブロックが65.9%と最も高く,九州ブロックが24.6%と最も低い。「第3章 たばこに関する状況」において,習慣的に喫煙している者の割合は20.1%(男性32.4%,女性9.7%)で,2010年より男女とも増えている。など,「へエー,そうなんだ」というような井戸端会議で話題となりそうな数値が満載である。
→厚生労働省には,一つひとつの結果について,どのように受けとめているのかを聞いてみたい気がする。調査結果は,行政の施策に対する評価そのものと考えられるので。
→3福祉士国家試験受験者には,2012年1月に公表された「2010年国民健康・栄養調査結果の概要」に目を通しておくことを勧める。(筆者)
12/6 厚生労働省 「ノロウイルスによる食中毒や感染に注意!」
<2012年11月27日の厚生労働省の広報文>
●ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者が増加しており,同時期としては,2006年に次いで,過去10年間で第2位の水準となっています。
●年間の食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものですが,うち約7割は11月〜2月に発生するなど,この時期の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによると考えられます。
●ノロウイルスによる食中毒は,主に,調理者を通じた食品の汚染により発生します。ノロウイルスは,感染力が強く,大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため,注意が必要です。
●このため,ノロウイルスによる食中毒や感染の防止対策について,一層の啓発や指導等を行うこととし,注意喚起のためのリーフレットを作成して,本日付で都道府県等に周知しました。

<注意喚起のポイント>
●食品の取り扱いに当たっては,調理者の健康管理,手洗い,調理器具などの消毒が重要である。
●感染拡大防止には,汚染したものの消毒,患者のおう吐物・おむつの適切な処理が重要である。

「感染性胃腸炎の流行状況」
「ノロウイルスの予防に関するQ&A」
12/5 厚生労働省 「マタニティマークに関する取組の状況調査結果」 ・2012年12月3日,厚生労働省は,「マタニティマークに関する取組の状況調査結果(2012年7月末現在)」を公表した。
<マタニティマークは>
●2006年に「健やか親子21」推進検討会において,マタニティマークのデザインが公募により決定された。

<マタニティマークとは?>
●妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ,周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの。
●さらに,交通機関,職場,飲食店,その他の公共機関等が,その取組や呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し,妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの。

→種々の「マーク」を見るたびに,その狙い,功罪,展開方法,効果について十分な議論がされずに,検討会メンバーらの思いつきから実行に移されていることを残念に思う。多くの国民は置いてけぼりとなり,当然のことながら,国民の間で十分に機能するわけがない。そのうち,「効果の薄いことは止めたほうがいい」と言うこともできなくなり,惰性でやり続けることになる。(筆者)
12/4 厚生労働省 「2011年 患者調査の概況」 ・2012年11月27日,厚生労働省は,3年毎に実施される「2011年 患者調査の概要」を公表した。
<調査項目と結果のポイント>
(1)推計患者数=「入院」134万人,「外来」726万人
@施設の種類・性・年齢階級別
A傷病分類別
B病床の種類別
C在宅医療の状況
D来院時の状況
E入院(重症度等)の状況
(2)受療率(人口10万対)=「入院」1,068,「外来」5,784
@性・年齢階級別
A傷病分類別
B都道府県別
(3)退院患者の平均在院日数=「病院」34.3日,「一般診療所」17.5日
@施設の種類・年齢階級別
A傷病分類別
B都道府県別
C病床の種類別
D手術前平均在院日数・手術後平均在院日数
(4)主な傷病の総患者数=「悪性新生物」152万人,「糖尿病」270万人,「高脂血症」186万人,「高血圧性疾患」900万人,「心疾患(高血圧性のものを除く)」161万人,「脳血管疾患」123万人

→3福祉士国家試験には頻出である。発表時期から,次回での出題は,「2008年患者調査」からと想定される。(筆者)
11/30 厚生労働省 「2011年度 福祉行政報告例の概況」 ・2012年11月29日,厚生労働省は,「2011年度 福祉行政報告例の概況」を公表した。
<結果のポイント>
(1)生活保護関係(1か月平均)

@被保護世帯数
・1,498,375世帯(過去最高)
A被保護実人員及び保護率
・「被保護実人員」は,2,067,244人(過去最高)
・「保護率」(人口千対)は16.2(‰)

B保護開始・廃止の主な理由
・保護開始では,「働きによる収入の減少・喪失」が27.8%で最多
・保護廃止では,「死亡」が29.8%で最多

(2)身体障害者福祉関係
・2011度末現在の身体障害者手帳交付台帳登載数は5,206,780人
(3)知的障害者福祉関係
・2011年度末現在の療育手帳交付台帳登載数は878,502人
(4)婦人保護関係
・2011年度中の婦人相談員及び婦人相談所における相談件数は288,313件
(5)民生委員関係
・2011年度末現在の民生委員数(児童委員を兼務)は229,510人
(6)社会福祉法人関係
・2011年度末現在の社会福祉法人数は19,246法人で,「社会福祉協議会」は1,901法人
(7)児童福祉関係
@児童相談所が対応した相談件数
・「相談件数」は385,294件
A児童相談所における相談の種類
・「障害相談」が48.2%で最多
B児童相談所における児童虐待相談の対応件数
・「児童虐待相談の対応件数」は59,919件で,「身体的虐待」が最多

10/26「2011年度 衛生行政報告例の概要」の記事を参照
11/29 首相官邸 「社会保障制度改革国民会議の委員」が決定 ・2012年11月27日,「社会保障制度改革推進法」(2012年8月22日公布)に基づく「社会保障制度改革国民会議」の委員が公表された。
<社会保障制度改革に関する政府の広報>
@「はじまりました!新しい社会保障」(特集)
A「社会保障・税一体改革ページ」(首相官邸)
B「社会保障と税の一体改革」(内閣官房)
C「社会保障と税の一体改革」(財務省)
D「社会保障改革」(厚生労働省)
E「日本の元気は,子ども・若者たちの元気から」(首相官邸)
F「子ども・子育て支援」(内閣府)

→2012年11月30に,医療,介護,年金,少子化対策の4分野についての将来の在り方を検討する「第1回社会保障制度改革国民会議」が開催されるため,11月27日に学識経験者ら15人の委員が公表された。委員は,11月29日に野田首相から正式に任命されることになっている。
→2012年8月,民主,自民,公明の3党の枠組みで
「社会保障制度改革推進法」が作られ,国民会議の委員の人選も行われた。すでに,会長も,清家篤慶應義塾塾長が互選される手はずになっているらしい。
国民会議は,2013年8月21日までに結論を出すことになっているが,「国民会議では,委員が誰になっても,官僚主導になる」とみるのが普通であると思う。(筆者)


8/20「社会保障と税の一体改革関連8法案」が成立した),8/2「日本再生戦略」7/10「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」6/27「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆議院で可決された)6/14民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末),6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
11/28 厚生労働省 ■「障害者雇用に関する最新資料」
・2012年11月27日,「第53回労働政策審議会障害者雇用分科会」が開催され,参考資料が公表された。
<障害者雇用に関する最新資料>
@「2012年障害者雇用状況の集計結果(概要)」
A「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会報告書(概要)」
B「障害者雇用促進法における障害者の範囲,雇用義務の対象」
C「障害者雇用率制度の概要」
D「精神障害者の雇用を取り巻く状況の変化等」
E「精神障害者に対する雇用支援施策等」
F「特例子会社制度」

→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,役立つ資料である。(筆者)

11/16「2012年 障害者雇用状況の集計結果」,9/24「障害者に関する世論調査」,8/222013年4月1日から「障害者法定雇用率」が引き上げられる(リーフフレット))8/7(■「今後の障害者雇用の在り方に関する3研究会の報告書」が公表された)7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる),6/11「2012年版 障害者白書」,5/24「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申の記事を参照
11/27 厚生労働省 「障害福祉サービス等の利用状況(2012年4月〜)」 ・2012年11月26日,厚生労働省は,2012年4月からの「障害福祉サービス・障害児給付費等の利用状況について」を公表した。
・2012年7月の利用者数の主たる障害者別内訳は,@知的障害者49.6%,身体障害者29.4%,精神障害者18.4%,障害児2.7%,である。
・2012年7月の障害福祉サービスの所得区分毎の割合では,@低所得者81.1%,A生活保護12.4%,B一般(1)5.2%,C一般(2)1.4%,である。
・2012年7月の障害児施設サービス(給付費)の所得区分毎の割合では,@一般(1)75.6%,A低所得者13.7%,B一般(2)8.3%,C生活保護2.3%,である。


→2012年4月における主な制度改正は,@児童デイサービス利用者の児童福祉法のサービス利用への移行,A18歳以上の障害児施設入所者の障害者自立支援法の障害福祉サービス利用への移行,であった。2013年4月から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる。これらを了解していたか。
→3福祉士国家試験受験者には,「2012年4月版 障害者自立支援法のサービス利用について」を,この機会に通読し,障害者自立支援法について頭を整理しておくことことを勧める。(筆者)
11/22 厚生労働省 インフルエンザの感染を防ぐポイント 〜「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」〜
<重症化する危険が高い人>
●高齢者
●幼児
●妊娠中の女性
●持病のある方
 ・喘息のある人
 ・慢性呼吸器疾患(COPD)
 ・慢性心疾患のある人
 ・糖尿病など代謝性疾患のある人 など

<こんな症状があったら,すぐに医療機関で受診する>
●けいれんしたり呼びかけにこたえない
●呼吸が速い,または息切れがある
●呼吸困難,苦しそう
●顔色が悪い(青白)
●おう吐や下痢が続いている
●症状が長引いて悪化してきた
●胸の痛みが続いている

→この時期になると,インフルエンザワクチンの有害性と有効性,予防接種の是非が話題に登る。国民に与えられている情報は,インフルエンザワクチンは,「感染」を抑制できず,「発症」を完全に抑えられず,肺炎などの「重症化」が基礎疾患のある者や高齢者などには防止の効果があるとすることや,治療薬である「タミフル」などは,ウイルスを「殺す薬」ではなく「増殖を防ぐ薬」で副作用があるというようなことぐらいである。明確な科学的根拠が示されず,最終的には「個人の判断」に委ねられている。科学的な根拠はいらないので,厚生労働省に是非とも公表してもらいたいデータがある。それは,「医療関係者のインフルエンザ予防接種の接種率」である。それを見てからであれば,国民は予防接種を受けるかどうかを決めやすいと思う。(筆者)

(厚生労働省)
インフルエンザ対策 / インフルエンザQ&A / 相談窓口
11/21 厚生労働省 「2011年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」 ・2012年11月20日,厚生労働省は,「2011年 医療施設(静態・動態)調査」と「病院報告」の結果(年報)を公表した。
<報告のポイント>
(1)医療施設(静態・動態)調査
●医療施設数・病床数
・病院 :8,605施設(前年比65施設減),
1,583,073床(前年比610,281床減)
・一般診療所 :99,547施設(同277施設減) ,129,366床(同7,495床減)
・歯科診療所 :68,156施設(同228施設減) ,100床(同24床減)

(2)病院報告
●病院の患者数
・「1日平均在院患者数」 :1,299,322人(前年比1.1%減)
・「1日平均外来患者数」 :1,401,669人(同0.7%減)
●病院の平均在院日数 :32.0日(前年比0.5日減)
●病院の常勤換算従事者数 :「医師」 199,499.2人(前年比2.1%増) ,「看護師」704,626.7人(同3.2%増)
●病院の人口10万人に対する常勤換算医師数 :156.1人
・都道府県別で最も多いのは高知県 (221.2人),次いで徳島県(201.9人) で,都道府県別で最も少ないのは埼玉県(108.8人),次いで千葉県(121.3人) 」である。

→病院の小児科と産婦人科(産科)が18年連続で減っており,小児科がある病院は前年から63減の2,745施設,産婦人科は同37減の1,395施設であった。厚生労働省のコメントである「医師不足や少子化の影響とみられ,産婦人科は訴訟リスクの高さや夜間集中などの厳しい勤務状況も一因」が報道されているが,もやは定型文であり,台本のように思える。また,高知県は10万人当たりの病院の数も最多であるが,厚生労働省によると,共働きの家庭が多く,病院が介護の受け皿となっている可能性があるということらしい。いつまでも放置していていいわけがない。(筆者)
11/20 法務省 「2012年版 犯罪白書」 ・2012年11月16日,法務省は,「2012年版犯罪白書」を公表した。2012年版の副題は,「刑務所出所者等の社会復帰支援」である。
<高齢者犯罪に関するポイント>
●高齢者の検挙人員は,他の年齢層の者とは異なり,増加傾向が著しく,2011年は,1992年の検挙人員の約6.3倍となっており,高齢者人口の増加(3.4倍)をはるかに上回っている。
●一般刑法犯全体と比べて,高齢者では窃盗の割合が高いが,特に女子では,91.9%が窃盗であり,しかも万引きによる者が80.8%と際立って高い。
●高齢者の保護観察開始人員も,増加傾向にある。なお,高齢者の仮釈放率(2011年は31.3%)は,出所受刑者全体の仮釈放率(同51.2%)と比べて低い。高齢者では,引受人がいないなど,釈放後の帰住先が確保できない者が多いことなどによると考えられている。
●白書は,再犯防止に向けて「安定した就労や住居の確保が重要」と指摘している。

→刑務所出所者等の再犯防止と改善更生は,我が国の刑事政策における現下の最重要課題と認識されている。2012年7月,犯罪対策閣僚会議は,今後10年間における刑務所出所者等の再犯防止に向けた「再犯防止に向けた総合対策」を策定し,数値目標として,出所後2年以内に再び刑務所に入所する者等の割合を今後10年間で20%以上減少」としているが,こんな荒っぽい数値目標でいいのでしょうかねえ。「再犯防止施策においても,列挙した事項について,具体的数値と達成年度を定めるべき」という実効を上げるための重要な意見は聞き入れられなかった。言うこととすることが違いすぎる。(筆者)
11/19 厚生労働省 「後期高齢者医療制度の現状と経緯」 ・2012年11月19日,「第58回社会保障審議会医療保険部会」が開催され,「後期高齢者医療制度」に関するまとめの資料が公表された。

→自・公政権時代の2008年4月に施行された「後期高齢者医療制度」は,国民からの厳しい批判を受けたまま,2009年9月に民主党政権に引き継がれ,「後期高齢者医療制度」を廃止するとの民主党マニフェストに従い,廃止宣言はしたものの,どうしようもなくなって,2012年8月に成立した「社会保障改革推進法」第6条第4号において,「今後の高齢者医療制度については,状況等を踏まえ,必要に応じて,社会保障制度改革国民会議において検討し,結論を得ること。」とされた。結局,民主党政権は,「先送り」をして終わってしまった。
→話がそれるが,先日の野田首相と安倍自民党総裁の党首討論をテレビでご覧になった方は多いと思う。腹を据えて臨んで解散の期日を明言した野田首相に対して,動揺を隠せずに慌てふためいて声が裏返ってしまった安倍サンのリーダーとしての度量のなさや精神的な脆弱さが再び明らかになった。人の本性は変わらないと思った。こんなのを首相にしたらアカンやろ。
→左記の資料は,3福祉士国家試験受験者には必見である。(筆者)
11/16 厚生労働省 「2012年 障害者雇用状況の集計結果」 ・2012年11月14日,厚生労働省は,障害者雇用促進法に基づいて,2012年6月1日現在の身体障害者,知的障害者,精神障害者の「障害者雇用状況」を公表した。
<2012年結果の主なポイント>
(1)民間企業(法定雇用率1.8%)
 ・雇用障害者数 :38万2,363.5人(前年比4.4%増)
 ・実雇用率 :1.69%(前年比0.04%増)
 ・法定雇用率達成企業の割合 :46.8%(前年比1.5%増)

(2)公的機関(同2.1%,都道府県などの教育委員会は2.0%)
@国
 ・雇用障害者数 :7,105.0人
 ・実雇用率 :2.31%
A都道府県
 ・雇用障害者数 :7,882.0人
 ・実雇用率 :2.43%
B市町村
 ・雇用障害者数 :2万3,730.5人
 ・実雇用率 :2.25%
C教育委員会
 ・雇用障害者数 :1万2,677.5人
 ・実雇用率 :1.88%

(3)独立行政法人など(同2.1%)
 ・雇用障害者数 :7,647人
 ・実雇用率 :2.13%

→厚生労働省は,障害者の法定雇用率を,2013年4月1日から引き上げることを決定し,2012年6月20日に公布している(@民間企業は1.8%→2.0%,A国,地方公共団体等は2.1%→2.3%,B都道府県等の教育委員会は2.0%→2.2%)。
→国際的には障害の定義が一様ではないため,障害者の人口比率にもバラツキが出るのは仕方がないが,とりわけ日本は極端に低い数値となっている。また,法定雇用率についてもドイツ・フランス6%,イタリア7%,オランダ3〜7%(業種ごとに)であり,韓国ですら3%となっているが,日本の数値はきわめて低い。 障害関係支出規模を含めて,「日本の障害者政策の位置づけは,どんなにひいき目に見ようとしても,遅れている」とするのが一般的な見解である。
→筆者は,このカテゴリーで,「都道府県教育委員会」を何度も罵ってきた。民間企業等に対して指導すべき機関でもある「都道府県教育委員会」は,法定雇用率を達成したことが一度もない。厚生労働省は,2012年3月30日に「障害者雇用が進んでいない17 都道県の教育委員会に対して障害者採用計画の適正実施を勧告」していたが,上記の通り達成できていない。彼らは確信犯である。厚生労働大臣もなめられたものである。(筆者)


9/24「障害者に関する世論調査」8/222013年4月1日から「障害者法定雇用率」が引き上げられる(リーフフレット))8/7「今後の障害者雇用の在り方に関する3研究会の報告書」が公表された)7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる),6/11「2012年版 障害者白書」,5/24「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申の記事を参照
11/14 内閣府 11月18日は「家族の日」 ・内閣府は,子どもと子育てを応援する社会の実現に向けて,子育て家族やその家族を支える地域の大切さについて理解を深めてもらうために,2007年度から11月第3日曜日を「家族の日」と定めている。また,その前後各1週間を「家族の週間」(2012年は11/11〜11/24)としている。

→日本では,諸外国のように「家族政策」というような総合的に家族に関わる政策はなく,「少子化対策」「保育施策」「子育て支援」「ひとり親家庭支援」「次世代育成支援」「男女共同参画政策」「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)推進施策」などの,主に「子ども」を切り口にした個別政策が実施されてきている。日本における「家族像や家族のあり方」は,1990年代から現在まで先送りにされてきた課題で,その流れの中で設定された「家族の日」や「家族の週間」である。
→2012年10月17日,NHK「クローズアップ現代」という番組で「女性が日本を救う?」が放送された。その中で,IMF専務理事は,「女性が労働力として参画していかない限り,日本がうまくやっていくことは難しい」と述べている。2012年11月18日,東京都港区で東京都・港区との共催により,「家族の日」フォーラムが開催される。日本独自のアプローチであってもいいが,世界的な流れに呼応すべきである。(筆者)
11/13 厚生労働省 「放課後児童クラブの事故報告について」 ・2012年11月9日,厚生労働省は,2010年10月1日〜2011年9月30日の期間に各自治体から報告のあった,「放課後児童クラブで の重篤な事故(全治1か月以上)の取りまとめ」および「事故防止のためのポイント」の周知を都道府県に通知した。
事故取りまとめの概要
@報告件数は,227件。(33都道府県)
A負傷等の内容は,骨折が182件で80.2%を占め,次いで打撲・ねんざの23件となっている。
B下校途中クラブに向かう際に,右折してきた車が歩道を歩いていた児童の列に突っ込み児童が車の下敷きになるという死亡事例が1件あった。
C負傷した児童の学年は,1年生が87人と最多で,学年が上がるにつれ少なくなっている。
D事故の発生場所は,校庭などの屋外(130件),体育館(40件)・遊戯室(40件)などの屋内といった児童が活発に活動する場所で多発している。
E事故の原因は,集団遊び中の転倒(61件)によるものが最多で,次いで遊具からの転落(54件),球技中の転倒(43件)となっている。


事故防止のためのポイント
@遊具の使用ルール・適切な使用方法について指導を徹底する。
A集団生活の場としての環境を整える。
B安全に関する指導を徹底する。
C事故が発生した場合の対処方法を事前に準備しておく。

→「放課後児童クラブ」(学童保育)は,児童館や学校の空き教室などを,共働きなどの留守家庭のおおむね10歳未満の子どもに,放課後の遊び場や生活の場として提供する事業である。厚生労働省は,2012年5月1日現在,学童保育は全国に2万1,085か所あり,児童85万1,949人が登録し,待機児童数は7,521人と発表しているが,保育園と同様に待機児童数は信じ難い。
→学童保育は,1997年に児童福祉法に位置づけられ,国や自治体に一定の責任がある事業とされた。しかし,「最低基準が法的に定められていない」,「市町村の実施責任があいまい」,「法的な財政措置がなされていない」という学童保育制度では,市町村の学童保育に対する認識に大きな格差が生じ,制度内容も保育制度と比べて不十分で,量的にも質的にも大きな問題を抱え,当然に安全面でも対応が不十分とならざるを得ない。国の「子ども・子育てビジョン」の目標(利用児童を5年間で30万人増やす)は,「実にいい加減なもの」であり,制度拡充・条件整備がなければ実現不可能なことは周知である。全国学童保育連絡協議会では,「潜在的な待機児童」は50万人以上いると推定している。(筆者)


→●9/27(■「2012年 放課後児童クラブの実施状況(5月1日現在)」の記事を参照
11/12 警察庁 「匿名通報ダイヤル」(電話,インターネット)を知ってますか。 ・2007年10月1日にスタートした「匿名通報ダイヤル」の対象犯罪は,2012年4月から拡大された。
・「匿名通報ダイヤル」は,身元を知られずにインターネットや電話でも通報ができ,事件の解決などに役立った情報には情報料が支払われる制度である。

・ただし,現に目前で犯罪が発生しているなど,警察による緊急の対応を必要とするものであると認められる内容の通報は,直ちに110番通報しなければならない。
匿名通報ダイヤル
電話での通報
   ・フリーダイヤル :0120-924-839
          (とくめいつうほう やってサンキュー)
   ・受付時間 :月曜日〜金曜日 9:30〜18:15

インターネットでの通報
   ・「ウェブ匿名通報フォーム」
   ・モバイル版
2012年4月以降の対象犯罪
@少年の福祉を害する犯罪 ・児童買春
・18歳未満の青少年を深夜営業業務に就かせる行為 など
A児童虐待事案 ・児童の身体に外傷を生じ,また生じるおそれのある暴行
・保護者としての監視を怠る行為 など
B人身取引事犯など ・女性や18歳未満の者を売買すること
・女性に売春や風俗店で働くことを強要する行為 など
C暴力団が関与する犯罪など ・対立抗争事件
・振り込め詐欺,強盗・窃盗、賭博
恐喝、みかじめ料や用心棒料の要求 など
D犯罪インフラ事犯 ・他人名義の携帯電話や偽造された身分証明書を取得する行為
・銀行業を営む資格のない者が報酬を得て国外送金を代行する地下銀行活動 など
E薬物事犯 ・薬物(大麻・覚せい剤など)の所持,譲渡,製造,栽培 など
F拳銃事犯 ・薬物(大麻・覚せい剤など)の所持,譲渡,製造,栽培 など

→福祉専門職のソーシャルワークにおいて,知っていなければならない制度である。(筆者)
11/9 消防庁 「消火器は放置せずリサイクル 〜腐食したものに要注意〜」
<消火器リサイクルの要旨>
(1)古くなって腐食の進んだ消火器が原因となる事故が多数起きている。
(2)消火器は,できるだけ風通しがよく,目につきやすい場所に設置する。
(3)不用になった消火器は近くのリサイクル窓口で回収している。
(4)持ち運ぶ際にはレバーが動かないように固定する。

<消火器の回収方法とリサイクル窓口>
回収方法
@販売代理店が担う特定窓口に回収を依頼もしくは持ち込む。
A消火器工業会が指定した引取場所(指定引取場所)に持ち込む。
Bゆうパック(消火器回収の専用箱)で回収を依頼する。
リサイクル窓口
リサイクル窓口の検索

(参考)
「消火器の取扱いについて」(消防庁)
11/8 ■「田中大臣にはガッカリした」 ・2012年11月7日,大学開設不認可に関して,田中大臣は,「3校については現行制度で認可する」と,一転11月6日の発言を撤回して開校を認めた。

→今回の件について,筆者は,田中大臣の傲慢ではあるが,的を得た指摘で一石を投じたことを高く評価しているが,その後の戦い方や引き下がり方がみみっちくて,みっともなくてガッカリしましたわ。せめて,1週間ぐらいは引っ掻き回してくれると思ったが,1日しか持たなかったとは,「暴走老人」に期待したほうが悪いということですな。これで大臣を辞めさせられたら漫画やねえ。結局,あのような大学に多額の「私学助成金」(税金)が渡り,誰かを潤わせて,喜ばすということですな。民主党は,2009年の政権交代時に,私学助成金が流れる私立大学・短大への官僚の天下りとして,教授など教員ポストに官僚OBが就くことや,大学の理事会や職員のポストに天下るケースの多さを問題視していたように思うが,その後どうなったのでしょうかねえ。それにしても,本件に関する日本のマスメディアの偏向報道は常軌を逸していたようですな。そう言えば,テレビで見かけなくなったと思っていたアナウンサーやキャスターが,ちゃっかりとお馬鹿大学の教授になっていたなんてことはよくあるが,それと関係があるのですかねえ。今日の記事は,「笑えない笑い話」,ちゅうヤツですわ。(筆者)
11/7 ■「大学の認可に一石を投じた田中大臣を高く評価する」 ・2012年11月2日,田中文部科学大臣は,「大学設置認可の在り方を抜本的に見直す必要がある」として,「大学設置・学校法人審議会」が2013年度の開校認可を答申した3大学について,認可しないとした。不認可とされたのは,秋田公立美術大学,札幌保健医療大学,岡崎女子大学の3大学(新設ではなく,短大や専門学校からの改組)である。さらに,11月6日,田中大臣は,「もう1回審査する」と述べている。
今回対象になっている3大学 参考偏差値
札幌保健医療大学
<学校法人吉田学園 (専)北海道保健看護大学校の偏差値>
48.4
秋田公立美術大学
<秋田公立美術工芸短期大学の偏差値>
42
岡崎女子大学
<学校法人清光学園 岡崎女子短期大学(幼児教育学科)の偏差値>
44

→批判を恐れず,筆者の所感を述べる。どういうわけか,日本のマスメディアの論調は,田中大臣批判一辺倒である。現在は,このような平均以下の偏差値の大学を認可し,多額の税金を投入しなければならない社会状況ではないと,筆者は考える。また,「諮問機関」の在り方を含めて,自民党時代からの「大学利権」に対して,一石を投じたことの意義は大きいと評価する。
→田中大臣への批判の根拠は,「大学設置等の認可は文部科学大臣の裁量処分であるが,今回は裁量の逸脱・濫用に当たる」ということであろう。しかし,文部科学省の「大学等を設置するまでの流れ」を見れば,「認可(認可書交付) :開設前年度の10月末頃」とされており,諮問機関の意見はできるだけ尊重されるべきであるが,法的拘束力はないことからも,田中大臣の不認可判断の時期は適法である。「利権がらみ」であると思うが,審議会メンバー,官僚,大学関係者,愛知県知事や秋田市長,マスメディアなどが「撤回要求」と大騒ぎしている。しかし,学校教育法139条では,「文部科学大臣がした大学又は高等専門学校の設置の認可に関する処分については,行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。」とされおり,不服申立てに関する一般的概括主義(行政不服審査法4条)を一律に適用除外としている。今後のことを考えると,未来永劫に,今回の偏差値40台の大学に血税が注がれるよりは,「裁量の逸脱・濫用」で損害賠償するほうが国民にメリットがあると考える(筆者も,今回のケースでは裁量の濫用に当たる可能性は否定しない)。日本の大学教育の将来のために,軋轢があっても,田中大臣にはがんばっていただきたいと思う。マスメディアは,受験生まで露出させて,田中大臣の非道振りを宣伝し,事の本質や卑しい企みを国民に知らせないようにしている,と筆者には思える。今後,他の審議会や検討会等のありようにまで議論が行き着いてほしいと思う。(筆者)
11/6 法務省 「女性の人権ホットライン」強化週間(11/12〜18)

(11月8日追記)
全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間を実施します。
<法務省の広報>
「夫・パートナーからの暴力,職場での差別やセクハラ,ストーカー被害など,お気軽にご相談ください。

(1)専用相談電話
@「女性の人権ホットライン(0570-070-810)」でお受けします。
・無料です。
・相談担当者は,人権擁護委員及び法務局職員です。
・相談内容の秘密は厳守されます。
A受付時間は,以下の通りです。
・平日    :8:00〜19:00
・土日    :10:00〜17:00
・上記以外 :平日8:30〜17:15
(2)昨年実績
・昨年相談してくださった女性は,2万人以上です。

※「人権」とは,人間が人間らしく生きていく権利で,すべての人が生まれながらにして持っている権利です。人権は日本国憲法で,すべての国民に保障されています。
※「人権擁護委員」とは,地域の住民が人権について関心を持ってもらえるような啓発活動を行ったり,法務局の人権相談所や市役所などの公共施設等において地域の皆様から人権相談を受けるなどの活動を行っています。」

→法務省のDVのホットラインが10桁で,厚生労働省の児童虐待の共通ダイヤルが10桁である。共に深刻な事態や緊急を要する事案を含むものだから,覚えやすい短縮ダイヤルを設定して,役立ててもらおう,というようなまっとうな考えを持った官僚が出てきてほしい,と筆者は毎年この時期になると思う。前例主義によるお役所仕事の見本である。(筆者)
11/5 厚生労働省 「ねむの木賞」と「高木賞」を知ってますか? ・2012年11月2日,厚生労働省は,「第46回「ねむの木賞」「高木賞」の贈呈式の実施(2012年11月6日)」について広報した。
<社会福祉法人日本肢体不自由児協会HPより引用>
「ねむの木賞」は,
皇后陛下御作詞「ねむの木の子守歌」著作権を下賜されたことを受けて,1967年に設けられ,療育施設で看護・療育・指導等に日夜貢献した女性職員に贈られる。
また,「高木賞」は,わが国で初めて肢体不自由児療育の体系をたてられ,療育事業に偉大な貢献をされた
当協会創設者高木憲次博士の遺徳を受けて,1967年に設けられ,肢体不自由療育に貢献した者・団体に贈られる。
「肢体不自由児」とは,生まれつきまたは出産時の障害,あるいは幼いときの病気や事故等によって,手や足,背骨などの運動機能に不自由がある子どもたちのことです。「肢体不自由」という言葉は,1928・1929年ごろ,当協会の創設者である高木憲次博士によって初めて用いられました。」
11/2 厚生労働省 「2011年社会福祉施設等調査の概況」 ・2012年10月31日,厚生労働省は,「2011年社会福祉施設等調査結果の概況」を公表した。
<調査項目と主な内容>
(1)施設の状況
@施設数・定員・在所者数・在所率
・施設数は50,129施設,定員2,771,372人,在所者は2,684,538人である。
・在所者数を定員で割った在所率は,98.7%で,施設の種類別にみると,「保育所」が101.3%,「有料老人ホーム」が83.3%である。

A経営主体別施設の状況
B定員階級別施設の状況
C職種別常勤換算従事者の状況
・常勤換算従事者数は769,777人である。
・施設の種類別に職種別の構成割合をみると,保育所では「保育士」が74.9%,障害者支援施設等では「生活指導・支援員等」が52.4%,老人福祉施設では「介護職員」が37.8%である。


(2)障害福祉サービス等事業所の状況
@事業所数
・種類別構成割合をみると,「居宅介護事業」が25.2%が最多で,「重度訪問介護事業」が22.8%である。
A利用状況
B職種別常勤換算従事者の状況
・障害福祉サービス等事業所の常勤換算従事者数は,居宅介護事業で71,983人,生活介護事業で32,199人,就労継続支援(B型)事業で24,848人である。
・職種別に構成割合をみると,居宅介護事業,重度訪問介護事業,行動援護事業ではホームヘルパーが約5割を占める。

(参考)
「障害福祉サービス等の利用状況」(2012年4月〜)

→3福祉士国家試験受験者には,目を通しておいてもらいたい資料である。(筆者)
11/1 厚生労働省 「若者雇用関連の最新データ」 ・2012年10月31日,厚生労働省は,「若者雇用関連データ」を公表した。
項目 内容
@新規学卒者の離職状況 ・2009年3月卒業者の卒業3年後の離職率
中学=64.2%
高校=35.7%
大学=28.8%
Aニート状態の若者の推移

・2002以降60万人台で推移し,2011年は60万人となっている。
※ニート(若年無業者)は,「15〜34歳の非労働力人口のうち,通学,家事を行っていない者」と定義されている。

Bフリーター数の推移 ・フリーター数は,2003年に217万人に達して以降,5年連続減少していたが,その後2年連続で増加を続けている。
※「フリーター」は,「15〜34歳の男性又は未婚の女性(学生を除く)で,パート・アルバイトして働く者又はこれを希望する者」と定義されている。
Cフリーターから正社員への転職状況 ・フリーター期間が6か以内の場合,男性では約7割,女性では約6割が正社員になっている。
フリーター期間が3年を越える場合,正社員になれた率は男性で約6割,女性で約4割である。
※フリーター期間が長いと正社員になることが難しくなるといえる。
Dフリーターと正社員の生涯賃金格差 ・年齢が上がれば収入が増加する正社員に対して,パート・アルバイトはほとんど上がらず,横ばい状態となっている。
・正社員と正社員以外の雇用形態との賃金格差は,年齢が高くなるにつれ広がり,45〜54歳では正社員の半分以下である。
E完全失業率の推移 ・15歳から24歳までの完全失業率は,2009年には9.4%と依然年齢計に比べて相対的に高水準で推移している。
※「完全失業率」は,「労働力人口に占める完全失業者の割合(%)」と定義され,「完全失業者」は,「仕事がなく,仕事を探していた者で,仕事があればすぐに就ける者」と定義されている。
F高校生・大学生等の就職内定率の推移 ・高校生の就職率は2002年3月卒で,大学生の就職率は2000年3月卒で,調査開始以来最低の数値となった。
・その後,上昇を続けていたが,近年はリーマンショックの影響を受け,厳しい状況が続いている。
G既卒者の募集状況 ・新規学卒者採用枠で既卒者を募集した企業は約5〜6割と,2011年より増加している。また,新卒者の採用枠で既卒者を受け入れる場合,95%以上の企業が卒業後3年以内と回答している。
H教育訓練の実施状況(雇用形態別) ・正社員と非正社員との間では,職業能力開発機会に差がある。
・契約社員・パートタイマーでは,どの形の研修においても,行われている割合が,正社員を下回っている。

<5月31日記事の再掲>
「若者雇用戦略(原案)」に関してのコメント
→左記の原案に関して,特筆すべきは,原案作成前の2012年5月15日に,「若者雇用の専門家」として「雇用戦略対話ワーキンググループ」に参画していた藤原和博委員(東京学芸大学客員教授)から見切りを付けられたことである。氏は,何かと話題の多い人物であるが,2009年には民主党の事業仕分け人にも選任されている。死語になってしまったが,当時の流行語であった「政治主導」がなつかしい。氏は,委員離脱の理由において,会議を酷評しているが,参考になると思うので紹介する(内閣府「雇用戦略対話」委員の離脱申告(その理由):東京学芸大学客員教授 藤原和博)。(筆者)

→上記5/31記事の藤原教授の文書を是非ご覧いただきたい。また,筆者は,労働観や職業観の醸成における家庭内教育の不全にも,若者を苦しめている重大な問題が潜んでいるのではないかと思っている。(筆者)

8/28「2012年度 学校基本調査(速報値)」,5/31「若者雇用戦略」(概要 / 本文 / 概要図))の記事を参照
10/31 厚生労働省 11月は「児童虐待防止推進月間」 ・厚生労働省は,毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置づけ,広報・啓発を実施しており,2012年度の標語は,「気づくのは あなたと地域の 心の目」とのことである。

→厳しい言い方で恐縮であるが,厚生労働省が,かわいい子供の写真と子供に書かせた標語で作ったポスターを何万枚配っても,小手先だけの恒例行事を何万回行っても,今のシステムのままであれば,この国の「児童虐待」は増え続けるだろうと,筆者は思う。せめて,「交通事故ゼロ」や「待機児童ゼロ」並みに,「児童虐待死ゼロ」を国の重要施策として掲げてほしいと切望する。
→「児童虐待の問題は,厚生労働省だけではなく,警察庁,総務省,文部科学省など政府を挙げて取り組むべきだ」という主張は国会でもなされてきた。「児童相談所,警察,医療機関などそれぞれがデータを持っているが,データの共有体制はなく,それらのデータが詳しく分析されることもない」との指摘は古くからあった。近時,各自治体は,児童虐待の事例について,レビューを行うことが義務付けられ,その検証結果が公表されているが,警察との連携もなしに出される「非科学的な報告書」は,児童相談所をはじめとした「行政のいいわけ文書」になっているとの批判を,日本のマスメディアは取り上げないため,多くの日本国民は事の本質を知ることができないという状況に置かれている。
→アメリカには「チャイルド・デス・レビュー」という制度(システム)があり,1980年代に導入が始まった。当初,子どもの虐待死を減らすことに重点が置かれていたが,現在では不慮の事故の再発防止策を検討するためにも活用されているとのことである。18歳未満の子どもが亡くなった場合に,医師などが記入する調査用紙は、標準的なもので1700項目からなり,死亡例全例が登録され,再発防止に活かされる。一方,日本の死亡診断書は32の項目からなり,「死亡の原因」は,因果関係の大きさから4つまで,事故の場合はさらに発生した当時の状況を記入することになっているが,死因を記録する唯一の公式文書であるにもかかわらず,死亡診断書には,再発防止につながる情報とはなっていない。
→2000年に「児童虐待防止法」を作ったが,虐待を繰り返す親に,児童相談所も裁判所も治療やカウンセリングを強制できず,むざむざ子どもを殺させているような法律ならば,「児童虐待放置法」とでも名前を変えたほうがいい。2012年10月1日から「障害者虐待防止法」が施行され,児童虐待防止法,高齢者防止法が出揃ったということであるが,いずれも実効性が十分に担保されていない法律である。
→「親の愛情の欠如」と「児童相談所の怠慢」で済ませるような児童虐待の専門家に大きな顔をさせているようではどうしようもない。虐待を受けている子どもの命を守るという一点で,国民的な議論を喚起する必要があると思う。(筆者)


10/19「社会的養護の現状について(2012年10月)」,10/18「2011年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況」の記事を参照

(参考)
「市町村児童家庭相談援助指針」(2010年3月)
「子ども虐待対応の手引き 」(2009年3月改正版)
「児童虐待に関する法令・指針等一覧 」
10/30 厚生労働省 「2010年 地域児童福祉事業等調査結果の概況」 ・2012年10月26日,厚生労働省は,「2010年 地域児童福祉事業等調査の概況」を発表した。
・調査は,認可外保育施設(ベビーホテル,その他の認可外保育施設)を利用する世帯を対象に,父母の就業状況や認可保育所への入所の検討状況などを調査したもので,,2011年2月1日,無作為に抽出した全国の認可外保育施設を利用する世帯を対象にして,9,264世帯から回答を得た。なお,調査は,「市町村」,「認可外保育施設利用世帯」,「保育所利用世帯及び認可外保育施設」を対象に,それぞれ3年周期で実施されている。
(1)認可外保育施設を利用している世帯における父母の就業状況〜結果の概況3頁〜
・「その他の認可外保育施設」は,「ベビーホテル」と比べ「母 無職」が多い


(2)認可保育所への入所の検討状況 
〜結果の概況9頁〜
●ベビーホテル
認可保育所への入所を検討しなかった 33.4%
認可保育所への入所を検討したが,認可保育所に入所しなかった 66.6%
 うち,認可保育所に入りたかったが,空きがなかった 38.8% 1位
 うち,認可保育所の保育時間が希望に合わなかった 25.7% 2位
 うち,認可保育所に入りたかったが,預けたい時期に入れなかった 18.3% 3位


●その他の認可外保育施設
認可保育所への入所を検討しなかった 32.9%
認可保育所への入所を検討したが,認可保育所に入所しなかった 67.1%
 うち,認可保育所に入りたかったが,空きがなかった 39.7% 1位
 うち,認可保育所の保育時間が希望に合わなかった 17.7% 3位
 うち,認可保育所に入りたかったが,預けたい時期に入れなかった 20.5% 2位

→老害と思える都知事が言うように,厚生労働省は,データを取って,まとめるだけの仕事しかしていないのであれば,今回のデータをどう政策につなげるかは,政治家の力量に委ねるしか仕方がないのであるが,今の政治の体たらくを見ていると暗澹たる気持ちになる。
→小宮山サンも,せっかく女性で権力者(厚生労働大臣)に登りつめたのだから,せめて「待機児童の解消」をやっておけば,多くの若い女性や国民から尊敬され,後世に名を残していたのに,と思うが。結局,何もせずに跡形もなく消えてしまった。もっとも,「子ども・子育て新システム」における在任中の国会答弁を聞いていて,素人目にも待機児童の実態を分かっていないように感じられた。(筆者)

9/27「2012年 放課後児童クラブの実施状況(5月1日現在)」の記事を参照
10/26 厚生労働省 「2011年度 衛生行政報告例の概要」 ・2012年10月25日,厚生労働省は,「2011年度 衛生行政報告例の概要」を公表した。
<報告例の構成>
(1)精神保健福祉関係
@精神障害者申請通報届出数
・「申請通報届出数」 :18,031件
・「診察を受けた者数」 :7,910人
A入院形態別患者数
・「措置入院患者数」 :1,512人
・「医療保護入院届出数」 :202,500件
B精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数
・635,048人
C精神保健福祉センターにおける相談延人員
・相談延人員 :129,674人
・相談内容 :「社会復帰」(39.4%),「ひきこもり」(13.2%),「発達障害」(11.3%),「自殺関連」(2.7%),「犯罪被害」(1.6%)
※「ひきこもり」とは,仕事や学校に行かず,かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに,6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態にある7歳から49歳までの者をいう。

(2)栄養関係
(3)生活衛生関係
(4)食品衛生関係
(5)薬事関係
(6)母体保護関係
(7)特定疾患(難病)関係

10/24「精神保健福祉行政の最近の動向」,10/23「第60回精神保健福祉普及運動」の実施の記事を参照

(参考データ)
精神障害者数 / 年齢階層別障害者数の推移(精神障害者・在宅) / 種類別障害者数の推移(精神障害者・在宅) / 精神障害者の精神疾患の種別構成割合 / 障害発生時の年齢階級(精神障害者・在宅) / 精神障害者の住まいの状況
10/25 厚生労働省 「2011年度母子家庭等対策の実施状況」 ・2012年10月24日,厚生労働省は,「2011年度母子家庭等対策の実施状況」を公表した。
<母子家庭に対する就業支援策の主な実績>
@母子家庭等・就業自立支援センター事業の実施
・事業内容 :就業相談から就業支援講習会,情報提供等までの一貫した就業支援サービスや養育費相談など生活支援サービスを提供する。
・就業相談件数 :101,536件
・就職件数 :6,273件
A高等技能訓練促進費等事業の実施
・事業内容 :母子家庭の母が看護師等の経済的な自立に効果的な資格を取得することを支援するため,修学期間中の生活の負担軽減のための高等技能訓練促進費等を支給する。
・支給件数 :10,289件
・就業件数 :2,442件
B母子自立支援員の配置
・事業内容 :就業問題なども含め母子家庭及び寡婦の抱えている問題を把握し,その解決に必要な助言及び情報提供を行うなど,母子家庭の母の自立に向けた総合的支援を行う。
・配置人数 :1,601名
C就業相談・就職支援(ハローワーク)
・紹介件数 :491,240件
・就業件数 :93,613件

→生活保護家庭にも言えることであるが,母子家庭等(等=父子家庭)に対する日本の自立支援策に決定的に欠落しているのは,「子ども世代の自立の視点」であると指摘されているが,国民の合意形成への努力はまったく見られない。
→子どもは親の背を見て育つ。世代を超えて同様の家庭を作り続ける可能性のある施策があるならば見直すべきである。近年のイギリスでの暴動では,カウンシルフラット(公営住宅)の若者が主体であったことを検証すべきである。生活保護世帯やひとり親家庭の子ども世代に希望を持たせられる施策,子ども世代からは「のら」(怠け者)を作り出さない施策が求められている,と筆者は思う。(筆者)


(参考資料)
「ひとり親家庭の支援について」(2012年9月)
10/24 厚生労働省 「精神保健福祉行政の最近の動向」 ・2012年10月23日,10月22日に開催された「障害保険福祉関係主管課長会議」における「精神・障害保健課」の資料が公表された。
@「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(入院制度に関する議論の整理<2012年6月28日>)」および「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会(今後の方向性に関する意見の整理)<2012年6月28日>
→2010年6月29日閣議決定の「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」に基づく検討であり,2012年内を目途に結論を出す。
A精神障害者地域移行・地域定着支援事業の改善
→抜本的改善を行う。(2012年度から「高齢入院患者地域支援事業」を新設)
B障害支援区分の施行
→2012年6月の「障害者総合支援法」により,「障害程度区分」を「障害支援区分」に改め,2014年4月1日から施行する。
C精神科救急医療体制整備の推進
→2010年の「改正精神保健福祉法」により,都道府県に対して精神科救急医療体制整備の努力義務が規定され,2012年4月1日に施行された。
D育成医療の市町村への権限委譲
→2013年度から,育成医療が市町村に委譲される。
E心神喪失者等医療観察法の施行状況
→2012年7月に,厚生労働省・法務省において,施行状況が取りまとめられた。
F性同一性障害の相談窓口
→各自治体での相談窓口の周知,拡充が必要である。2012年3月28日に「性同一性障害に関する診断治療のガイドライン(第4版)」(日本精神神経学会)が公表されている。

Gその他
・精神障害者アウトリーチ推進事業
・保護室の構造設備
・医療計画

→最近,「精神保健福祉行政」において,大変驚いたことを申し上げる。1985年に廃止された1962年の「精神科病院の保護室の構造設備について(通知)」を根拠にして,未だに「保護室に鉄棒を設置しなければならない」と確信している精神科病院が散見され(厚生労働省の言い方),2012年8月22日付の厚生労働省社会・援護局傷害保健福祉部長名で「「精神病院の保護室の構造設備について」(1962年)の廃止について」という通知が出されたことである。筆者は,改めて,通知を出さなければならないぐらいだから,余程の病院数があったのだろうと思った。
→その昔,精神科病院の近代化が叫ばれ始めたころに,縦方向の鉄棒では刑務所然としているので,鉄棒を横向きにした方が開放的だとまじめに議論されていたことを思い出した。今回の通知で,「従来の意識」からまったく時が止まっていた精神科病院があったことを知って,愕然とするとともに,精神保健福祉行政への信頼が揺らいだ。(筆者)


10/23
「第60回精神保健福祉普及運動」の実施の記事を参照
10/23 厚生労働省 「第60回精神保健福祉普及運動」の実施
<第60回精神保健福祉普及運動の概要>
@趣旨
・厚生労働省(主管課 :障害保健福祉部 精神・障害保健課)は,精神保健福祉普及運動として,2012年10月26日に「精神保健福祉全国大会」を宮崎市において開催し,全国の精神保健福祉関係者や一般の人を対象として,精神保健福祉に関する正しい知識の普及を行うとともに,各都道府県および市区町村においても,大会や講演会の実施等,地域住民に対する知識の普及,理解の促進を図る。
A全国大会のテーマ
・「こころを支える〜災害時の心のケアと地域の絆〜」
B普及運動の期間
・2012年10月22日(月)〜10月28(日)

→医療計画に関する最近の動向である。2007年施行の「改正医療法」により,医療計画制度の下で,「4疾病5事業」ごとに医療連携体制を構築することとなり,現行の医療計画がスタートした。2011年7月,社会保障審議会の医療部会は,都道府県が医療計画に記載する「4疾病5事業」に精神科疾患を追加し,「5疾病5事業」とすることを了承し,2013年度からは,精神疾患と在宅医療を加えた「5疾病5事業および在宅医療」の医療連携体制の構築が進められることになっている。なお,「5疾病」とするよう医療部会に提案したのは,「日本精神科病院協会」であった。
「5疾病5事業」とは以下の通りである。
・5疾病 :がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病,精神疾患
・5事業 :救急医療,災害時における医療,へき地の医療,周産期医療,小児救急医療を含む小児医療(その他)

→近時の認知症,気分障害,発達障害の激増,自殺者数の高止まり,施策(予算)の不十分さを考えると,「精神保健医療福祉」を社会・援護局が障害者の枠内で対応していくことには無理がある,という日本精神科病院協会等の指摘には納得せざるを得ない。(筆者)

9/26「障害者に関する世論調査」,9/252012年10月1日から「障害者虐待防止法」が施行される
,9/21
「自殺総合対策大綱」,9/7「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」,8/30「最新の認知症高齢者数と将来推計について」,8/222013年4月1日から「障害者法定雇用率」が引き上げられる8/7「今後の障害者雇用の在り方に関する3研究会の報告書」が公表された),7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる),6/11「2012年版 障害者白書」,5/24「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申の記事を参照
10/22 厚生労働省 「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関するパブリックコメント(意見公募)」


(2012年12月28日追記)
「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関し寄せられた主な意見」
<パブリックコメントの概要>
・厚生労働省は,「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」において整理された以下の事柄等について,現場で実務を担っている介護支援専門員等からの意見を公募している。
 @検討会で提起された課題
 A主な課題とそれに対する対応の方向性
・募集期間は,2012年10月11日〜10月31日である。


(参考)
「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の開催経過(2012年3月28日〜)

→2012年度のケアマネ試験が来週に迫ってきました。受験者のご健闘をお祈りします。
→一方で,「ソーシャルワーク」に疎そうに思える多くの人たちが集まって,現場の実務を担っているケアマネには,次のような課題があるとしている。
@介護保険の理念である「自立支援」の考え方が,十分に共有されていない。
A利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない。
Bサービス担当者会議における他職種協働が十分に機能していない。
Cケアマネジメントにおけるモニタリング,評価が必ずしも十分でない。
D重度者に対する医療サービスの組み込みをはじめとした医療との連携が必ずしも十分でない。
Eインフォーマルサービス(介護保険給付以外のサービス)のコーディネート,地域ネットワーク化が必ずしも十分できていない。
F小規模事業者の支援,中立・公平性の確保について,取組みが必ずしも十分でない。
G地域における実践的な場での学び,有効なスーパービジョン機能等,介護支援専門員の能力向上の支援が必ずしも十分でない。
H介護支援専門員の資質に差がある現状を踏まえると,介護支援専門員の養成,研修について,実務研修受講試験の資格要件,法定研修の在り方,研修水準の平準化などに課題がある。
I施設における介護支援専門員の役割が明確でない。

→何の意見もないなら仕方がないが,意見を求められたときぐらいきちんと応答すべきだと思う。(筆者)
10/19 厚生労働省 「社会的養護の現状について(2012年10月)」 ・2012年10月15日に開催された「第15回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」において,「社会的養護の現状について(2012年10月) 」が提出された。
・これまでの経過を概観する。2011年7月に「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会のとりまとめ」として「社会的養護の課題と将来像」が報告された。この取りまとめは,家庭的養護の推進や専門的ケアの充実,施設運営の質の向上,親子関係の再構築の支援,自立支援の充実,施設の人員配置の引上げの目標水準の設定など,今後の取組の基礎となるものとされた。これを受け,2011年9月1日には当面の省令改正を行い,「2012年度予算」では30数年ぶりとなる施設の基本的人員配置の引き上げをはじめとする実施項目が盛り込まれ,予算額が大幅に増額された。
・その後,「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」(2012年1月16日(第13回),3月21日(第14回))において検討され,その議論を踏まえて,3月29日「社会的養護の指針,第三者評価基準等」が策定された。
・なお,「2013年度厚生労働省家庭福祉対策関係予算概算要求の概要」が公表されている。

→近年,「社会的養護の問題」への国民の関心が高まっている。そのきっかけが「タイガーマスク運動」であった。しかし,国民の関心や期待とは別に,「社会的養護の問題」が,厚生労働省向きのメンバーを集めて検討され,官僚主導で施策が予算化され,展開されている。「2012年度予算」および「2013年度予算概算要求」を見ても,これで「社会的養護の問題」の何が解決されるのか,筆者には皆目分からない。これで,タイガーマスクはもう出てこなくてもよくなるのかどうかが知りたい。(筆者)
10/18 厚生労働省 「2011年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況」 ・2012年10月17日,厚生労働省は,「2011年度における被措置児童等虐待届出等制度の実施状況」を公表した。
<厚生労働省の説明文>
「社会的養護の施設等では,体罰は禁止されています。身体的暴力はもとより,言葉による暴力や人格的辱め,無視・脅迫等の心理的虐待,セクシャルハラスメント等,不適切なかかわりは絶対に許されるものではありません。しかし残念なことに,一部に不適切な事例があることから,これを無くすよう,2009年4月に施行された児童福祉法改正により,施設職員等による被措置児童等虐待について,都道府県市等が児童本人からの届出や周囲の人からの通告を受けて,調査等の対応を行う制度が法定化されました。厚生労働省では,届出等の状況と都道府県市が対応した結果について,毎年度とりまとめて公表しています。」

→筆者は,「被措置児童等虐待」を,「不適切なかかわり」「不適切な事例」というあいまいな表現に置き換えている厚生労働省の姿勢が,国民から事柄の本質をそらせ,問題への的確な対策を遅らせている最大の要因だと考えている。
→児童福祉法第33条の10において,「被措置児童等虐待」とは,施設職員等が,入所等している児童について,@身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること,Aわいせつな行為をすること又はわいせつな行為をさせること,B心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置等を行うこと,C著しい心理的外傷を与えることと定義されている。これを,「不適切なかかわり」「不適切な事例」と言い換えるのは「適切」と言えるかどうか。また,左記の実施状況における「虐待を行った職員等への対応例」は,一般社会や一般企業で通用する処分であるのかどうか,福祉分野で従事する者の倫理観から妥当であると言えるかどうか,大いに疑問がある。「家庭で虐待されて入った施設で虐待された子どもの身になってみろ」,ということや。(筆者)


7/20映画 『隣る人(となるひと)』 予告編(You Tube))の記事を参照

「被措置児童等虐待対応ガイドライン〜都道府県・児童相談所設置市向け〜」(2009年3月)
10/17 厚生労働省 社会保障協定の締結状況 ・2012年10月12日現在,日本が社会保障協定を締結(発行済み)している国は,14か国(ドイツ,イギリス,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス)である。
・現在協議中の国 :9か国(ハンガリー,ルクセンブルク,インド,スウェーデン,中国,スロバキア,オーストリア,フィリピン,トルコ)
・署名済みの国 :1か国(イタリア)
<社会保障協定の概要>
・国際間の人的移動に伴い,外国に派遣される日本人及び外国から日本に派遣される外国人について,二重加入と年金受給資格の問題が生じており,これを解決するために,以下の2つを主な内容とする社会保障協定が締結されている。
@適応調整 :相手国への派遣の期間が5年を超えない見込みの場合には,当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用する。5年を超える見込みの場合には,相手国の法令のみを適用する。
A保険期間の通算 :両国間の年金制度への加入期間を通算して,年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば,それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようにする。


<社会保障協定に関する手続きと注意事項>
日本年金機構HP
相談窓口

9/13諸外国の年金制度を理解する,8/20「社会保障と税の一体改革関連8法案」が成立した)の記事を参照
10/16 厚生労働省 「厚生労働省 新政務三役のプロフィール」 <野田第三次改造内閣の厚生労働省政務三役>
大臣 三井辨雄 薬剤師
・衆議院北海道2区
副大臣 桜井充 医師
参議院宮城県
・担当は「厚生分野」

西村智奈美
(留任)

・衆議院新潟1区
・担当は「労働分野」
政務官

糸川正晃

・衆議院北信越比例区
・担当は「医療,介護,年金」
梅村聡 医師
・参議院大阪地方区
・担当は「労働,子育て,社会援護」

→野田第三次改造内閣は,2012年10月1日に発足したが,10月16日になっても,「梅村聡政務官」の厚生労働省HPでのプロフィールが「準備中」とされている。筆者は,新米の若造が官僚に舐められているのか,アピールするような実績がなくて困っているのか,のどちらかではないかと勘ぐっている。(筆者)

10/2「野田第3次改造内閣」が発足したの記事を参照
10/15 警察庁 遠隔操作ウイルスの被害に遭わないために! ・2012年10月12日,警察庁は,「遠隔操作ウイルスの被害に遭わないために!」と題した注意喚起のメッセージを公表した。
<ポイント>
@パソコンのOSを含むプログラムを最新の状態にアップグレードする。
Aあやしいサイトにアクセスしない。
B信頼のおけないプログラムをダウンロードしない。
Cウイルス対策ソフトを必ず導入し,最新の状態にアップデートする。
Dファイアウォールの設定をする。

→「遠隔操作ウイルス」とは,感染したPCをインターネット経由で操作可能にする「バックドア型不正プログラム」のことで,同種のウイルスは100種類以上あると説明されている。近時,ウイルス感染PCの所有者が身に覚えのない罪(犯罪予告の書き込み)で逮捕され,後に「第三者によるなりすまし」だったとして釈放された事例が複数あった。
→今回のメッセージは,インターネットを使う場合の基本的な心得である。この種のウイルスで,海外ではパソコンに内蔵されたカメラで,使用者がのぞき見される被害も出ていると報道されている。逮捕されたのは気の毒だとは思うが,無知ほど恐ろしいものはないということでもある。(筆者)


9/14「インターネットによる人権侵害への対処」の記事を参照
10/11 厚生労働省 「事業主の方への給付金のご案内(2012年度版 )」 →厚生労働省は,さまざまな雇用関係の助成金を給付している。継続雇用に直結しないその場しのぎの「助成金頼みの雇用」を柱とした「雇用対策」には限界のあることは,素人でも分かることである。卑近な言い方をすれば,「金の切れ目が縁の切れ目」であるし,少し賢そうな言い方をすれば,「関連する産業の育成なくして継続雇用などあり得ない」,ということである。ただし,このようなその場しのぎ的な考え方は,自民党政権時代からの名残りあり,民主党固有のものではない。
→2012年7月に,「いわゆるリーマンショックによる失業者対策の柱の1つとして,国が3年間におよそ2,500億円を投じた「ふるさと雇用再生特別基金事業」で,正社員などの継続的な雇用につながった人は半数にとどまったことが分かり,厚生労働省は効果が十分だったか検証することにしています」という報道があったのを思い出したが,その後どうなったのだろうか。なお,参考までに,2012年5月25日には,厚生労働省版の提言型政策仕分けにおいて,「リーマンショック後の雇用対策の効果の検証」という資料が公開されている。(筆者)
10/10 文部科学省 「2011年度体力・運動能力調査結果」 ・2012年10月8日,文部科学省は,「体育の日」に合わせて「2011年度体力・運動能力調査結果」を公表した。
・調査結果は,2011年5〜10月に小学生から79歳までの約7万4,000人を対象に調べ,約6万6,000人の回答を分析したものである。
<全体的な傾向>
・男女とも6歳から加齢に伴い体力水準は向上する。
・男性は青少年期(6〜19歳)の17歳ごろピークに達し,女性は14歳ごろピークに達する。
・男女とも20歳以降は加齢に伴い体力水準がゆるやかに低下する傾向を示している。なお,握力(筋力)については,男性は35〜39歳,女性は40〜44歳でピークに達する。


<中高齢者の過去の運動部活動経験と、現在の運動・スポーツ実施頻度のどちらが体力・運動能力に影響を与えるかについて>
・高い体力・運動能力を維持するためには,過去の部活動経験より,現在の運動実施頻度の方が重要である。

→子どもの体力・運動能力はピークの1985年度と2011年度を比較すると,筋力や瞬発力が必要な種目(「50メートル走」など)では向上傾向であるが,比較的巧みな動きを必要とする種目(「ソフトボール投げ」,「立ち幅跳び」など)は低下傾向に歯止めがかかっていない。また,中高年男性の体力維持にとっては,学生時代の運動より毎日の運動の方が有効である。このようなことが分かったらしい。
→厚生労働省は,健康増進法に基づいて「国民健康・栄養調査結果」を公表している。厚生労働省(福祉部局)と文部科学省(教育部局)の縦割り行政を維持したままでは,効果的な施策につながらないのではないかと思う。基本的な生活習慣や態度が身に付いていない者に,いくら毎日の運動の必要性や有効性を説いても仕方がない,と思えてならない。
→なお,2012年7月10日,厚生労働省は,国民の健康づくりの指針となる2013〜22年度の「第2次健康日本21」を公表し,糖尿病と糖尿病合併症の予防に向けて,国,地方自治体,国民,民間団体などが目指す目標が掲げられている。「国民運動」と位置づけられているこんな重要なことを,多くの国民は知らされていない。 (筆者)
10/8 厚生労働省 厚生労働省の「生活支援戦略」(素案)」 ・2012年9月28日,厚生労働省は,社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」に,生活保護制度見直しと生活困窮者の支援の方向性を示す「生活支援戦略の素案」(「生活支援戦略」に関する主な論点(案))を提示し,公表した。
・厚生労働省は,今後,2012年内に最終報告書をまとめ,2013年の通常国会への関連法案提出を予定している。
<素案のポイント>
@総合的な相談窓口の設置
A多様な就労の機会の確保 →「中間就労」
B生活保護の不正受給の厳罰化 など


(参考)
2012年7月5日の『「生活支援戦略」中間まとめ』

→生活保護に関して所感を述べる。2012年度の生活保護費予算は,何と3兆7,000億円である。2012年6月現在,生活保護受給者は2211万人を超え,受給世帯数は154万2千世帯で,そのうち外国人世帯が4万世帯を超え,過去最多を更新しているとされている。なお,日本に永住,在留する外国人数は215万人前後で横ばい傾向であるが,新たに生活保護を受ける外国人世帯は加速しており,国籍別では,韓国・朝鮮人(2万7,035世帯)が全体の2/3を占め,フィリピン人(4,234世帯),中国人(4,018世帯)とのことである。さらに,211万人のうち,働ける可能性があるのに働いていない者は約30万人に上るとされている。また,生活保護の不正受給は,分かっているだけで,2010年度では129億円(2万5千件)に上るとされている。
→「生活保護費の使い道に制限なし,受給期間に制限なし,医療費に負担なし」というザルのような制度に,無条件で3兆7,000億円もの税金を使い切ることを認めたくないし,不公平や不正なことはすぐにでも正してほしいし,本当に保護を必要とする人に手を差し伸べてもらいたい,というのが大多数の日本国民の当たり前の意見であると思う。2012年10月5日から,5年に1度の見直しのために「社会保障審議会生活保護基準部会」で,生活保護費の支給水準の議論が始まった。今後,新任の三井厚生労働大臣には興味はないが,あの悪名高い障害者自立支援法を成立させ,障害者をばっさりと切った経験をもつ新任の村木厚子社会・援護局長が,今後どのような仕事をするのかを色んな意味で注目している。
→なお,近年の生活保護の急増は,2009年3月の自民党の麻生政権時の厚生労働省通知がきっかけになった,という事実は看過すべきではない。(筆者)


5/28「生活保護制度の状況等について」の記事を参照
10/4 厚生労働省 「2011年介護事業経営実態調査の概要」 2012年10月3日,厚生労働省は,「2011年介護事業経営実態調査の結果(概要)」を公表した。
<前回(2008年)と今回(2011年)の比較>
区分 2011年 2008年 変化
(1)収支差率
@通所介護 11.6% 7.3% 改善
A介護老人福祉施設 9.3% 3.4%
B介護老人保健施設 9.9% 7.3%
C介護療養型医療施設 9.7% 3.2%
D小規模多機能型居宅介護 5.9% -8.0% 黒字化
E居宅介護支援 2.6% -17.0%
F認知症高齢者グループホーム 8.4% 9.7% 悪化
G短期入所生活介護 5.6% 7.0%
H通所リハビリテーション 4.0% 4.5%
I特定施設入居者生活介護 3.5% 4.4%
J訪問看護 2.3% 2.7%
(2)総収入に対する給与費の割合
@訪問看護 80.0% 79.4% 増加
A特定施設入居者生活介護 49.0% 48.7%
Bその他 低下

→「各介護サービスの収支差率 おおむね改善」というのがマスメディアの大方の見出しである。「総収入に対する給与費の割合 ほとんどのサービスで低下」という見出しをつけないところにカラクリがある。
→パートや派遣で働く多くの介護職によって介護現場が支えられているという現実がある。これでいいと思っている者は現場にはいない。「実態調査結果が現場の実情を反映できているかについては疑問がある」という意見が委員会や検討会で出ても,厚生労働省が取り上げることはない。(筆者)
10/3 厚生労働省 「女性健康支援センター事業」および「不妊専門相談センター事業」
・厚生労働省が実施する「女性健康支援センター事業」および「不妊専門相談センター事業」は,「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」における「生涯を通じた女性の健康支援」に位置づけられる。
@女性健康支援センター事業は,「保健師等による婦人科的疾患及び更年期障害,出産についての悩み,不妊等,女性の健康に関する一般的事項に関する相談指導,並びに相談員の研修を実施する事業」である。
・女性健康支援センターは,保健師等による婦人科的疾患及び更年期障害,出産についての悩み,不妊等,女性の健康に関する一般的事項に関する相談指導を行う。
A不妊専門相談センター事業は,「地域において中核的な役割を担う保健医療施設において,専門医等が,(1)不妊に関する医学的な相談や,(2)不妊による心の悩みの相談などを行う事業」である。
・不妊専門相談センターは,不妊に悩む夫婦に対し,不妊に関する医学的・専門的な相談や不妊による心の悩み等について医師・助産師等の専門家が相談に対応したり,診療機関ごとの不妊治療の実施状況などに関する情報提供を行う。「子ども・子育てビジョン」において,2014年度までにすべての都道府県・指定都市・中核市に「不妊専門相談センター」を整備することが目標とされている。

→少子高齢社会である日本に決定的に欠けている政策は,「少子化対策」と「女性の労働力活用策」と言われ続けているが,現在も日本の働く女性が子供を産みにくい環境にあることは明白である。さらに,その基盤となる「生涯を通じた女性の健康支援」は不十分過ぎると言える。「最も大事なのは,働く女性が子供を産み育てやすくする環境整備である」との指摘は理解しやすい。(筆者)
10/2 首相官邸 「野田第3次改造内閣」が発足した ・2012年10月1日,野田首相は,内閣改造を行い,「野田第3次改造内閣」が発足した。
<新任厚生労働大臣のうわさ程度の情報>
・三井辨雄(みついわきお)氏
・薬剤師(昭和薬科大学薬学部卒業)
・民主党衆議院議員(4期)で,現在,青山会(樽床グループ)代表世話人
・小沢一郎元民主党代表グループの中核メンバーとして,2011年6月に菅内閣不信任決議をめぐり国土交通副大臣の辞表を提出したが,翌日には菅首相の慰留を受け辞意を撤回した。そして,野田政権では,政調会長代理として小沢氏らと決別したと見られている。かつての仲間からは「寝返った」との声もあるらしい。地元の北海道で病院などを運営する民主党内有数の資産家らしい。

→三井厚生労働大臣の就任を受けて,日本医師会の横倉会長の「(三井厚労大臣は)医療のことをよく分かっている人なので,過度に自由主義的にはならないと思う」とのコメントが報道されていた。「よく分かっている」のは,医療関係団体の立場・主張なのだということがよく分かった。
→誠に失礼言い方になるが,敗戦処理の内閣には,こういう人材しか集められないのかもしれないと思った。(筆者)


6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
9/28 厚生労働省 「2010年度 国民医療費の結果(概要)」 ・2012年9月27日,厚生労働省は,「2010年度 国民医療費の概況」を公表した。
<2010年度国民医療費のポイント>
(1)国民医療費の状況
・国民医療費は37兆4202億円(前年度比3.9%%増,過去最高)で,人口一人当たりの国民医療費は29万2200円(同3.5%増)
(2)制度区分別国民医療費
・医療保険等給付分は17兆8950億円(構成割合47.8%),後期高齢者医療給付分は11兆6876億円(31.2%),公費負担医療給付分は2兆6353億円(7.0%)
(3)財源別国民医療費
・公費分は14兆2562億円(38.1%),うち国庫は9兆7037億円(25.9%),地方は4兆5525億円(12.2%)
(4)診療種類別国民医療費
・医科診療医療費は27兆2228億円(72.7%),そのうち入院医療費は14兆908億円(37.7%),入院外医療費は13兆1320億円(35.1%)
(5)年齢階級別国民医療費
・0〜14歳は2 兆4176 億円(6.5%),15〜44歳は4兆9959億円(13.4%),45〜64歳は9兆2891億円(24.8%),65歳以上は20兆7176 億円(55.4%)
・人口一人当たり国民医療費では,65歳未満は16万9400円,65歳以上は70万2700円,そのうち医科診療医療費は,65歳未満が11万8200円,65歳以上が52万8100円
(6)性・年齢階級別国民医療費
・0〜14歳の男は1兆3302億円(7.4%),女は1兆874億円(5.6%),15〜44歳の男は2兆2598億円(12.6%),女は2兆7361億円(14.0%),45〜64歳の男は4兆9482億円(27.6%),女は4兆3409億円(22.3%),65歳以上の男は9兆4073億円(52.4%),女は11兆3103億円(58.1%)
・人口一人当たり国民医療費では,65歳未満の男は17万1600円,女は16万7300円,65歳以上の男は74万8700円,女は66万8500円
(7)傷病分類別医科診療医療費
・「循環器系の疾患」5兆6601億円(20.8%),「新生物」3兆4750億円(12.8%),「呼吸器系の疾患」2兆1140億円(7.8%),「筋骨格系及び結合組織の疾患」2兆263億円(7.4%),「内分泌,栄養及び代謝疾患」1兆9828億円(7.3%)の順
・65歳未満では「新生物」1兆4605億円(12.5%)が,65歳以上では「循環器系の疾患」4兆2668億円(27.4%)が最多

→国民医療費も1人当たりの国民医療費も,共に4年連続で過去最高を更新した。まともな対策をしていないのだから,膨れ上がるのは当然のことであるが,「高齢化や診療報酬の引き上げ,医療技術の高度化が主な要因」という厚生労働省の定型的な言い分を,日本のマスメディアはただ垂れ流すだけである。
→民主党は「社会保障と税の一体改革関連法案」における「消費税増税法案」を成立させるため,2012年6月15日,民主・自民・公明3党で合意した「社会保障・税一体改革に関する確認書(社会保障部分)」を締結した。そのなかで,「5 医療保険制度  : 政府は,高齢化の進展,高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる中で,健康保険法,国民健康保険法その他の法律に基づく医療保険制度に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに,次に掲げる措置その他必要な改革を実施する。(後略)」と明記され,改革の糸口も見えない旧態依然の自民党案がベースとなっている。この国の抜本的な医療制度改革はずっと先のことのように思われる。(筆者)

9/27 厚生労働省 「2012年 放課後児童クラブの実施状況(5月1日現在)」 ・2012年9月26日,厚生労働省は,「放課後子どもプラン」の「放課後児童健全育成事業」として行われている「放課後児童クラブ」の2012年の状況を公表した。
・2007年度からスタートした「放課後子どもプラン」は,文部科学省の「放課後子ども教室推進事業」と厚生労働省の「放課後児童健全育成事業」を一体的あるいは連携して実施するものである。
・「放課後子ども教室推進事業」は,市町村を実施主体とし,小学校の余裕教室等を活用して,地域の多様な方々の参画を得て,子どもたちとともに行う学習やスポーツ・文化活動等の各地域で決めた取組を支援する事業である。⇒「放課後子ども教室」実施状況(2007〜2011年度)」
・「放課後児童健全育成事業」(児童福祉法第6条の2)である「放課後児童クラブ」は,一般的には,「学童保育」「学童クラブ」と呼ばれ,保護者が就労等により家庭にいない,小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童を対象として,授業の終了後に小学校の余裕教室や児童館等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて,その健全な育成を図る事業である。なお,実施主体は,市町村,社会福祉法人,NPO法人,任意団体,個人など,特に制約はない。2007年に作成された 「放課後児童クラブガイドライン」では,指導員は(1)子どもの安全確保,(2)遊びを通して自主性や社会性,創造性を培う,(3)児童虐待の早期発見,(4)宿題・自習などの環境整備や必要な援助,などの活動が求められている。
<実施状況のポイント>
@放課後児童クラブ数
・2011年 → 2012年 : 2万561か所 → 2万1,085か所
A登録児童数
・2011年 → 2012年 : 83万3,038人 → 85万1,949人
B待機児童数
・2007年 → 2012年 : 14,029人(ピーク) → 7,521人

→政府は,「子ども・子育て新システム」においても,「深刻な待機児童問題 放課後児童クラブの不足 小1の壁」という課題を挙げており,問題点を認識している。あとは,本気で改善・解消するつもりがあるかどうかだけである。なお,「小1の壁」とは,共働きorシングルの親が,子を保育園から小学校にあげる際に直面する保育問題をいう。
→関連情報である。2012年8月10日,「社会保障と税の一体改革関連8法案」のうち,「子ども・子育て支援法」附則第2条第4項に規定されている総合的な子ども・子育て支援を実施するための行政組織の在り方の検討について,「総合的な子ども・子育て支援のための組織の在り方検討会議」が内閣府に設置され,9月19日から検討が始まった。(筆者)
9/26 内閣府 「障害者に関する世論調査」 ・2012年9月22日,内閣府は,「障害者に関する世論調査(2012年7月調査)」結果を公表した。
・政府は,調査結果を踏まえ,新たな障害者基本計画を2012年度内に策定する方針とされている。
<調査結果のポイント>
Q:障害者に対する障害を理由とする差別や偏見があると思うか?
A:「あると思う」+「少しはあると思う」=89.2%(2007年比6.3%増)
A:(差別や偏見が「ある」とした上で)「改善されている」=51.5%(同5.7%減),「改善されていない」=40.8%(同5.5%増)

Q:障害者施策は進んだと思う?
A:「あまり進んだと思わない」+「ほとんど進んだと思わない」=42.8%(同10.2%増)

→障害者差別は9割が「ある」,障害者施策は4割が「不満」という結果であった。前回の2007年調査から,さらに状況は悪くなっていることがはっきりした。
→2009年の政権交代時の衆議院選挙で,民主党はマニフェストにおいて,「障害者自立支援法を廃止し,新たに障がい者総合福祉法を制定する」と明言し,政権交代が実現した。国民は大いに期待した。しかし,2012年6月20日,「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が成立し,2013年4月1日から「障害者自立支援法」は「障害者総合支援法」(正式名称:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)となることが決まった。筆者は,性質の悪い詐欺に引っかかったと受け止めている。この間の誠実さに欠ける民主党政権と与党民主党に対する国民の怒りは,2012年2月8日の第19回総合福祉部会における福島智東大教授(東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授,社会福祉法人全国盲ろう者協会理事)の発言に代表される。(筆者)
9/25 内閣府 2012年10月1日から「障害者虐待防止法」が施行される

(9月27日追記)
2012年10月1日 障害者虐待防止法が施行(厚生労働省)
・2011年6月17日に成立した「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が,2012年10月1日から施行される。
・ようやく,児童,高齢者,障害者に対する虐待防止法が出揃ったことになる。
・しかし,学校,保育所等,医療機関,官公署等における障害者に対する虐待は,通報の対象外であり,3年後の見直しの検討課題とされている(附則第2条)。

障害者虐待防止法の適用範囲
18歳未満 18歳〜64歳 65歳以上
家庭内 児童虐待防止法 障害者虐待防止法 高齢者虐待防止法
障害者虐待防止法
施設内 児童福祉法 障害者虐待防止法
職場内 障害者虐待防止法 障害者虐待防止法 障害者虐待防止法

障害者虐待の発生場所による対応の違い
家庭内 通報先が市町村で,被害者の生命や身体に重大な危険が生じる恐れがある場合,市町村職員は家族の許可がなくても自宅へ立ち入り調査できる。
施設内 通報先となる市町村から報告を受けた都道府県が調査・指導にあたり,虐待の状況や対応を公表する。
職場内

通報先となる市町村または都道府県から報告を受けた都道府県労働局(船員の場合は,地方運輸局)が調査・指導にあたり,実態などを公表する。


<2011年6月29日記事の再掲>
「障害者虐待防止法」が成立(第177回通常国会)
→「障害者虐待防止法」成立までの経過をたどる。2004年に知的障害者更正施設における虐待事件で社会問題化し,2005年には厚生労働省で「障害者虐待防止についての勉強会 」が行われ,2009年の第171回通常国会に提案されながら,衆議院解散や政権交代などの政治のごたごたで廃案や継続審議を繰り返し,今回3度目の正直で「全会一致」で成立したものである。なお,日本社会福祉士会は,2010年3月に,2009年度障害者保険福祉事業として,「調査研究報告書」を公表している。社会問題化してから,法律制定までに7年もかかっている。「日本の政治や政治家の体たらく」は,今に始まったわけではないという証明である。「やるべきことは,ごちゃごちゃ言わずに,ちゃっちゃとやれ」と言いたくなる。
→3福祉士国家試験受験者は,左記の法律(案)を通読しておくと後々楽になると思う。ついでに,「高齢者虐待防止法」「児童虐待防止法」も。さらに余力があれば,「DV防止法」も。(筆者)

→筆者は,2000年11月施行の児童および2006年4月施行の高齢者の虐待防止法の制定以降,当該虐待が減少しないどころか,中途半端な施策によって,さらに深刻な事態に陥っているという現実を直視すべきであると思う。また,福祉専門職として,国の予算措置も体制整備も担保されていない,形だけの「障害者虐待防止法」の制定を,一歩前進と評価していいのかどうか,実効性を確保するためにはどうすればいいのか,についての自身の考えを持っておいていただきたいと思う。(筆者)

2012年7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる),6/11「2012年版 障害者白書」(概要 / 本文)),4/11「自立支援医療における利用者負担」(2012年4月),2/23「自立支援医療の経過的特例の延長」,2011年8/9(■「改正障害者基本法」が成立(第177回通常国会)),7/4「障がい者制度改革推進会議等の進捗状況(2011年6月30日現在)」),6/29「障害者虐待防止法」が成立(第177回通常国会)の記事を参照
9/24 内閣府 「2012年度実践キャリア・アップ戦略キャリア段位制度実施事業の補助事業者の募集について」


・2012年9月18日,内閣府は,国家プロジェクトである実践キャリア・アップ戦略を推進するため,(1)介護プロフェッショナル,(2)カーボンマネジャー,(3)食の6次産業化プロデューサーの3分野ごとに,「2012年度実践キャリア・アップ戦略キャリア段位制度実施事業」の補助事業者の公募を開始した.。
・公募期間 : 2012年9月18日〜10月9日
・介護人材の能力を評価する「介護プロフェッショナルのキャリア段位制度」では,レベル認定や,評価者(アセッサー)の育成を担当する補助事業者を募集し,2020年度までに累計13万人の認定者輩出を目指しており,2012年10月下旬までに補助事業者となる団体を決定し,今年度内には事業を開始する方針とされている。
・「キャリア段位制度」は,業界全体で活用できる7段階の能力の「ものさし」を作ることで,効率的な人材育成と新たな人材の参入促進を図る制度とされているが,当面は,大多数の介護職が該当するとみられるレベル4までの認定を行うとされている。
<「介護プロフェッショナル」に関する参考資料>
「実践キャリア・アップ戦略 介護プロフェッショナルキャリア段位制度実施事業実施要領」(2012年9月18日)
「2012年度から介護プロフェッショナルのキャリア段位制度(国家戦略・プロフェッショナル検定)が始まります(パンフレット)」(2012年6月28日)

→6月11日,内閣府は,「府省庁版事業仕分け」で,職業ごとの人材の知識や能力を公的に証明する新資格「キャリア段位制度」の導入事業(2011年度事業費5千万円)を「廃止。抜本的に再検討」と判定した,と日経新聞で報道されていた。
→しかし,6月15日の内閣府の「第8回実践キャリア・アップ戦略 介護プロフェッショナルワーキング・グループ(WG)」においては,「「府省庁版事業仕分け」の結果は大臣・政務三役の協議材料となるが,『キャリア段位制度』そのものを廃止するわけではなく,WGの議論は今後も予定通り進める」ことが確認されている。何とも身勝手な解釈である。資格制度と比べても,費用がかかる割に効果のはっきりしない点が問題視されたものであるが,「誰かの既得権益」の維持のために,ゾンビのように復活させ,何事もなかったように当初の予定通りに実施されるというお馴染みのパターンである。これは,2010年10月の政府による「事業仕分け」で廃止と決まった「ジョブカード制度」が,2か月後には「労働組合の既得権益」維持のために,存続が決まったという経過と符合する。
「実践キャリア・アップ戦略キャリア段位制度」は,2010年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」において,「イギリスの職業能力評価制度(NVQ:National Vocational Qualification)を参考とし,ジョブ・カード制度などの既存のツールを活用した「キャリア段位制度」を導入・普及する(日本版NVQの創設)」ことが明記されたことが起源であり,2012年7月31日に閣議決定された「日本再生戦略(〜フロンティアを拓き,「共創の国」へ〜)」に継承されている。日本政府お得意の諸外国のモノマネというか形態模写で,説得力に欠ける制度である。
→「事業仕分け」で問題視され,廃止・抜本的に再検討とされたものを,ごり押しして実施する施策であり,こんなやり方で作った制度が,介護の現場で有効に機能するとは思えない。(筆者)
9/21 内閣府 「自殺総合対策大綱」(ポイント / 全体像 / 本文 ・2012年8月28日,政府は,2006年10月に施行された「自殺対策基本法」に基づいて,2007年6月に策定され,2008年10月に一部改正された「自殺総合対策大綱」を見直し,新たに「自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜」を閣議決定し,公表した。
・今回の見直しのポイントは,目指すべき社会「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す」を掲げ,地域レベルの実践的な取組みを中心とする自殺対策への転換することである。また,若年層の自殺は増加傾向にあり,深刻さを増しているため,いじめ自殺への対策を強化する。さらに,自殺死亡率を,2016年までに,2005年の24.2%からの20%減の19.4%に減少させることを目標としている。

→「2012年版自殺対策白書」によれば,2011年の学生・生徒の自殺者数は初めて1,000人を超えた。大綱の発表に際して,内閣府の担当者は「若年者層の自殺の割合が増加したのは,悩みの相談相手がいなかったりストレスへの対処法を知らなかったりで逃げ道を知らなかったからではないか」とコメントしたという報道記事を見た。筆者は,自殺対策を,このような根拠のない薄っぺらなことを平気で言える官僚に丸投げにしていることが問題であると考える。
→国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士が自殺対策を支える専門職として,いつまでも認知されず,役割が与えられず,期待されないのは,一体誰の責任だと思います?また,悩んでいる人を全て精神科医につなぐだけで解決を図ろうとし,精神科医につないでも不適切な薬物療法により,結果的に症状を悪化させ,自殺につながっている現状を認め,本気で改善しようとしないのは誰だと思います?(筆者)


7/17大津市のいじめ自殺に関する「中学校長」(末端)「野田首相」(トップ)の見識),6/12「2012年版 自殺対策白書」の記事を参照
9/20 厚生労働省 「2011年 受療行動調査の概況(概要)」 ・2012年9月11日,厚生労働省は,医療機関の患者満足度を調べる「2011年受療行動調査」をまとめ,結果を公表した。20床以上の病院を500施設ランダムに抽出し,150,620人の患者から回答を得たものである。
<調査項目と結果例>
@病院を選んだ理由
・外来は「以前に来たことがある」38.%,入院は「医師による紹介」49.0%が最多
A病院を選択する際の情報源
・病院を選択する際に「情報を入手した」と回答した者は,外来が51.6%,入院が55.3%
B予約の状況,診察までの待ち時間,診察時間(外来患者のみ)
・診察時間は「3分以上10分未満」が38.0%,「10分以上20分未満」が21.8%,「3分未満」が13.8%の順
C自覚症状(外来患者のみ)
・「自覚症状がなかった」と回答した者の受診した理由では,「健康診断(人間ドック含む)で指摘された」が37.8%
Dセカンドオピニオン(他の医師の意見)
・セカンドオピニオンの必要性では,「必要だと思う」は外来が23.4%,入院が34.6%
E医師からの説明の有無,理解度,説明に対する疑問や意見
・診断や治療方針において,医師から説明を受けた者について,疑問や意見を医師に「十分に伝えられた」は外来が68.4%,入院が62.8%
F入院中の他医療機関の受診状況(入院患者のみ)
・入院中の他の医療機関の受診状況では,他の医療機関を「受診することがある」は12.8%,「受診することはない」は80.2%
G複数科受診の状況(外来患者のみ)
・外来患者が調査日に受診した診療科数では,「単科受診」は79.7%,「複数科受診」は12.6%
H今後の治療・療養の希望(入院患者のみ)
・入院患者の今後の治療・療養の希望の状況では,「完治するまでこの病院に入院していたい」51.2%,「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」24.0%の順
I退院の許可が出た場合の自宅療養の見通し(入院患者のみ)
・「自宅で療養できる」は52.4%,「自宅で療養できない」は28.5%
J病院で請求された金額,世帯の収入,負担感(外来患者のみ)
・調査日に病院で請求された金額に対する負担感では,「負担に感じない」は35.4%,「ふつう」は33.5%,「負担に感じる」は20.6%
K満足度
・調査日に受診した病院を全体として「満足」していると回答した者は49.7%,「不満」と回答した者は4.4%
L医療機関に対する不満感,不満を感じたときの行動

・過去3 年間でかかったことのある医療機関での不満感では,「不満を感じた」は31.5%,「不満を感じなかった」は61.5%

→調査項目にしたがって,自分自身や家族に当てはめて回答し,調査結果と見比べていただきたい。マスメディアの広報等を鵜呑みにしないで,自身の意見をまとめておくことを勧める。(筆者)
9/19 製品評価技術基盤機構 「介護現場における介護ベッド等による事故の防止について(注意喚起)」


(11月2日追記)
「介護ベッドの手すり等による死亡事故が発生しています!」(消費者庁)
・2012年8月23日,独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は,介護ベッドなどの使用中に発生した事故が,最近5年間(2007年度〜2011年度)で179件に達し,このうち亡・重傷事故は78件であったことを公表した。
<NITEの広報文>
「高齢化が進み,介護ベッド及び関連用具(以下「介護ベッド等」という。)は,病院や介護施設等で利用されていますが,在宅介護が広がり,家庭での事故も多く発生しています。
NITE製品安全センターに通知された製品事故のうち,介護ベッド等による事故は,平成19年度から23年度の5年間に179件ありました。
介護ベッド等の事故は,身体機能や認知レベルの低下した方ほど被害が大きく,事故件数も多くなっています。また,設置方法に問題がある等,介護ベッドの使い始めに発生する事故が多くなっています。そこで,特に介護に携わる方に注意していただくことで事故を防止するため,注意喚起することにしました。」

→死亡事故や重傷事故(78件)の発生場所は,「家庭」46件,「病院」19件,「介護施設」11件,「場所不明」2件の順である。
→家庭が重大事故の発生場所の半分以上を占めていることについて,NITEに「施設や病院の職員に比べて,利用者の家族らが介護ベッドや関連用具の使用に不慣れであることが背景にあるのではないか」と悠長なことを言わせているようだが,筆者は,厚生労働省が介護保険制度のルートで周知徹底し,「ケアマネ」を活用することによって(教育・研修を充実させることを前提とするが),スピード感のある改善が図れる事柄ではないかと考える。人の命に関わることでは,やれることはすべてやるべきである!

→ところで,自民党政権の「最後っ屁」でできた「消費者庁」というのがあったような気もするが,今は一体何をしてるんでしょうか。(筆者)

(参考)
「医療・介護ベッドに潜む危険(動画9分41秒)」(医療・介護ベッド安全普及協議会)
「介護ベッドによる事故(ポスター)」(NITE)
9/18 厚生労働省 「2012年版労働経済の分析」(概要 / 要約 / 本文 ・2012年9月14日,厚生労働省は,「2012年版労働経済の分析〜分厚い中間層の復活に向けた課題〜」(通称:労働経済白書)を閣議報告し,公表した。
・白書は,雇用,賃金,労働時間,勤労者家計などの現状や課題について,統計データを活用して経済学的に分析する報告書で,今年で64冊目となる。
・2012年版白書では,「分厚い中間層の復活に向けた課題」を副題として,自ら働いて人間らしい生活を営むことができる「分厚い中間層」の復活が,日本経済の需要面では所得増,消費増を通じた需要不足の解消に,供給面では経済社会,社会保障を支える基盤強化につながるという観点から分析している。

<2012年版白書の構成>
第1章「労働経済の推移と特徴」
・震災や円高による雇用・労働面への影響
⇒2011 年の現金給与総額は2年ぶりに減少したが,緩やかなデフレ状態の中,マクロの消費は回復傾向にあるが,世帯レベルでは厳しい家計状況が続いている。

第2章「貧困・格差の現状と分厚い中間層の復活に向けた課題」
・非正規雇用者の増加などが消費をはじめとする需要に与える影響
⇒非正規雇用者でも約半数は自らの収入を主な収入源として生活する社会になっている中,これらの労働者が,一定水準以上の生活を送ることができる社会を目指すべきである。

第3章「就労促進に向けた労働市場の需給面及び質面の課題」
・就業率の向上や生産性を高めるための能力開発などの課題

⇒「分厚い中間層」の復活に向けては,@誰もが持続的に働ける全員参加型社会の構築,A能力開発による人的資本の蓄積,Bディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現が不可欠である。

→非正規労働者の割合が,雇用者全体の35.1%(1,802万人で,10年前に比べて8ポイント上昇)まで高まり,この背景を「企業が賃金の節約や雇用量の柔軟な調整,高齢者の再雇用対策として活用している」とし,さらに「非正規の増加が,低所得者層の増加につながっている」と分析し,社会保障の基盤強化や経済の持続的発展のため,国内消費を支える「分厚い中間層」の復活が必要と指摘している。
→「無料で職業訓練を受けることができる求職者支援制度の充実などで,正規雇用への道を広げる施策が重要」と指摘しているが,そんな手合いを正規雇用で雇いたいと考える企業が多く出てくると,厚生労働省は本気で思っているのかしら。また,今後も円高が続けば,製造業の約20%,非製造業の約9%の企業が,賃金・雇用調整を実施すると回答していることをもっと重視すべきと思うが・・・。(筆者)


(参考)
「2012年雇用政策研究会報告書」(2012年8月1日)・・・厚生労働省は,この報告に基づき,今後の雇用政策を推進していくとしている。

「望ましい働き方ビジョン」(2012年3月27日)・・・厚生労働省は,このビジョンを今後の非正規雇用対策の指針として,政労使の社会的合意を得ながら,強力に取組を進めていくとしている。
9/14 内閣府 「インターネットによる人権侵害への対処」 ・「個人情報保護法」についての認知度は高いが,インターネット上で人権侵害にあったときに,プロバイダが負う損害賠償責任の範囲や情報の発信者に関する情報の開示を請求する権利などについて規定している「プロバイダ責任制限法」(2001年制定)や,被害者からの要請を受けたプロバイダがとるべき行動基準を明確化している「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(2002年初版,2004年改訂版)の認知度は低い。
・2011年中に全国の法務省法務局が処理したインターネットを利用した人権侵犯事件の数は624件で,名誉毀損事案が約3割,プライバシー侵害事案が約5割であった。
<人権問題に関する法務省の相談窓口>
(1)インターネット人権相談受付窓口
(2)その他人権相談受付窓口
@みんなの人権110番
A子どもの人権110番
B女性の人権ホットライン

→「インターネットの世界においては,一般社会におけるモラルやルールは通用しない」が常識であり,他人のコンピューターへの不正侵入,データの破壊・偽造,他人のプライバシーの暴露,他人の誹謗・中傷,他人への成りすまし,などの危険性を承知の上でインターネットを利用しなければならない。それを前提として,個人は,Webに関する正確な情報・知識に基づいた自己責任・自己防衛を最大限に図っておかなければならない。同時に,国は,「被害に遭わないための対策」を国民に啓蒙すべきである。その努力がまったく不足している。(筆者)

「警視庁 サイバー犯罪対策」
「国民生活センター インターネットトラブル」
9/13 厚生労働省 諸外国の年金制度を理解する ・2012年9月11日,厚生労働省は,諸外国の年金制度の概要や動向に関する最新資料を公表した。
各国の年金制度 特 色
@イギリス ・被用者・自営業者を通じた定額の基礎年金と,被用者のみを対象とした所得比例の国家第二年金( 2002年〜)の2階建て(社会保険方式)
・職域年金・個人年金の加入者は国家第二年金の適用除外が認められる(コントラクト・アウト)
Aアメリカ ・被用者及び自営業者を対象とした一階建ての所得比例年金(老齢・遺族・障害保険(OASDI),社会保険方式)
Bドイツ ・職業別階層別に分立
・社会保険方式の所得比例年金制度が職種ごとに分立(官吏恩給制度については税で賄われている)
Cフランス ・職域毎の制度が多く見られる年金制度体系
・社会保険方式の所得比例年金制度が職種ごとに分立
Dスウェーデン ・公的年金制度は,持続可能な年金制度を構築する観点から,1999年に年金改革を実施
・所得比例年金は「賦課方式部分」と「積立方式部分」に分かれる
・低・無年金者に対しては税を財源とする保証年金を支給

→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,役立つ資料である。
→なお,ご存知の通り,日本の年金制度改革に関しては,「社会保障・税一体改革関連法案」の民主,自民,公明3党の修正合意で設置が決まった得体の知れない「社会保障制度改革国民会議」に丸投げされることになっている。(筆者)


8/20「社会保障と税の一体改革関連8法案」が成立した)の記事を参照

「日本年金機構関係」
9/12 厚生労働省 「2013年度 厚生労働省予算概算要求の概要」 ・2012年9月5日,厚生労働省は,「2013年度予算の概算要求」を公表し,9月7日,財務省は,各省庁による「2013年度予算の概算要求」を締め切った。今後,概算要求に基づいて概算査定が実施され,財務省原案が閣議に提出される。
<2013年度 厚生労働省予算概算要求額(一般会計)>
2012年度予算額 2013年度要求額 増加
29兆1,752億円 30兆266億円 +2.9%
+8,514億円
<2013年度 厚生労働省予算概算要求の特徴>
・高齢化による社会保障費の自然増(8,400億円)などで要求額が膨らみ,初めて30兆円を超えた。
・保育所の待機児童解消には4,612億円(前年度比7.2%増)を投入し,受け入れる児童数を約7万人拡大する。
待機児童対策では,@「保育ママ」を1万人から1万3千人,A延長保育を58万人から60万2千人,B病児・病後児保育を延べ143万7千人から延べ171万8千人,に拡大する。
・人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた創薬の研究支援など「医療イノベーション」の推進に411億円を計上した。
・生活保護受給者らの自立に向けて,約20万人を対象に自治体とハローワークが一体となって就労を支援するプロジェクトに100億円を計上した。
・生活保護費を抑制するための生活保護基準の見直し,特例で1割に据え置かれている70?74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げなどは,年末の予算編成過程での検討課題とした。
・税制改正では、たばこの消費を抑制するため,たばこ税と地方たばこ税の税率の引き上げを求めた。

→最近,筆者が驚いたのは,2012年9月10日の村木厚子氏の厚生労働省社会・援護局長就任である。文書偽造事件における冤罪はお気の毒とは思うが,氏の業績は別に評価すべきである。氏は,あの「障害者自立支援法」やこの「子ども・子育て支援システム関連法案」成立の立役者であった。
氏は,無罪確定後の2010年9月27日,局長級の内閣府政策統括官(共生社会政策担当)に就任し,青少年育成や少子高齢化,自殺,犯罪被害者対策,障害者施策等の施策担当し,内閣府の自殺対策推進室の室長と内閣官房の内閣審議官(内閣官房副長官補付)を併任した。2010年10月21日からは,菅直人総理大臣の特命を受け,待機児童ゼロ特命チーム事務局長を併任した。そして,2012年9月10日,厚生労働省社会・援護局長に就任し,3年3か月ぶりの厚労省局長復帰となり,今後は見直しが急務となっている生活保護制度を担当することになる。
これまでの氏の経過を辿ってみると,冒頭の驚きばかりでなく,官僚制度の闇の部分にそら恐ろしさを感じる。(筆者)
9/11 厚生労働省 2012年10月から「新介護サービス情報公表システム」が公開される ・2011年6月15日に「改正介護保険法」が国会で成立し,2012年4月から「介護サービス情報公表制度」の見直しが行われた。
「介護サービス情報の公表制度」2012年度以降の概要(新旧対照)
・また,厚生労働省が「見やすい」「使いやすい」「わかりやすい」公表システムとなるよう改修を行い,2012年10月に左記の通りの「新介護サービス情報公表システム」がオープンされることとなった。これまでは各都道府県にサーバーを設置していたが,今後は国のサーバーに一元化される。

→「調査の義務付けの廃止」や「サーバーの一元化」という理由付けがされて,「介護サービス情報公表制度」はさらに化け物と化して,介護保険制度に寄生し続けることになった。筆者は,寄生を容認しているのは,インチキをされてもお上の言いなりになって黙っている「事業者自身」ではないかと思う。
ずさんな調査による情報をいくら見やすくしても,カスの制度はカスである。(筆者)
9/10 内閣府 「新高齢社会対策大綱」(2012年9月7日) ・2012年9月7日,内閣府は,1995年12月に施行された「高齢社会対策基本法」第6条の規定に基づいて,新しい「高齢社会対策大綱」が閣議決定され,公表された。これに伴って,2001年の旧い「高齢社会対策大綱」は,廃止された。
<「旧高齢社会対策大綱」>
@1996年7月5日閣議決定版
A2001年12月28日閣議決定版(概要 / 本文


<「新高齢社会対策大綱」策定までの経緯>
・2011年10月14日,野田首相を会長とする「第20回高齢社会対策会議」が開催され,新しい高齢社会対策大綱の検討を開始する方針が示された。本方針に基づき,「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」(座長は清家應義塾長,委員数は6名)が設置され,2012年3月に「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書( 〜尊厳ある自立と支え合いを目指して〜)」が提出された。6名の委員で,5回の会議でまとめられたものである
・その後,広く意見を求めたり,議論を尽くした形跡はまったくないまま,2012年7月27日に「新高齢社会対策大綱(骨子案)」が示され,2012年9月7日に閣議決定された。


<「新高齢社会対策大綱」のポイント>
@「人生90年時代」の到来を前提に,「生涯にわたって就業や社会参加などの機会が確保される社会」を目指すとした。
A企業の定年の引き上げや継続雇用制度の導入などで,60〜64歳の就業率を2011年の57.3%から,2020年には63%まで引き上げる数値目標を設定した。
B高齢者によるボランティアなど社会参加に関しては,情報提供や相談体制の整備,指導者養成を図る。
C医療・介護サービスの基盤強化として,介護職員の人数を現在の149万人から,2025年度には最大249万人まで増やす。

→小泉内閣時の2001年12月に見直しされた「高齢社会対策大綱」が,10年ぶりに野田内閣で見直しされた。今回の見直しによって,自・公政権および民主党政権における10年間の政治不在と無策さが再確認できた。また,野田内閣においても,高齢社会政策の中・長期の指針となる「大綱」が,漫画家などの有識者6名を看板メンバーにして,密室の中でまとめられた「報告書」を基に,内閣府によって官僚主導で作成され,関係省庁の利害調整をして閣議決定されたものであることが分かった。(筆者)

9/52013年4月から「改正高齢者雇用安定法」が施行される9/4「生涯学習に関する世論調査」8/29「2012年版 厚生労働白書」(概要 / 本文8/2「日本再生戦略」,7/9「2011年版 働く女性の実情」,6/20「2012年版 高齢社会白書」(概要 / 本文))の記事を参照
9/7 厚生労働省 「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」 ・2012年9月5日,厚生労働省は,「2013年度概算要求」(30兆266億円)とあわせて「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」(2013年度〜2017年度)を発表した。
・「オレンジプランは,2012年6月18日の「今後の認知症施策の方向性について」(認知症施策検討プロジェクトチーム)や2012年8月24日の「認知症高齢者数の将来推計」などに基づいて策定した」と説明されている。
<オレンジプランの構成>
@標準的な認知症ケアパスの作成・普及
A早期診断・早期対応
B地域での生活を支える医療サービスの構築
C地域での生活を支える介護サービスの構築
D地域での日常生活・家族の支援の強化
E若年性認知症施策の強化
F医療・介護サービスを担う人材の育成

→筆者の率直な感想は,医療関係者の理解を得る努力をせずに,「官僚が書いたアホな計画」である。決して,「アホな官僚が書いた計画」と言ったのではないので,念のために。
→なお,「今後の認知症施策の方向性について」に関して,日本医師会からは「医療現場の真摯な対応の軽視,理想論のみの反映など,一方的な官僚主導により作成されたもの。現場の意見を反映しない強引な施策は,約7年前に突然打ち出された,介護療養病床の廃止方針と同様,現場に混乱を来すのみで実効を伴わない」と反発されており,日本精神科病院協会からは「精神疾患である認知症に対し,ケア中心の施策であり,医療,特に精神科医療への関与を極力抑えるような文言が目立ち,到底受け入れられる内容ではない」と反論されている。
→2009年の総選挙で「政治主導」「官僚政治打破」を唱えて,圧倒的な有権者の 支持を集めた民主党は,すでにもぬけの殻である。そんな民主党に期待し,支持し,委ねたにした有権者がアホであった。そして,「政治主導」とは,「官僚主導」への反語としての言葉遊びであり,幻想であったことにようやく気づいた。(筆者)


8/30「最新の認知症高齢者数と将来推計について」
),
6/26
「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」の記事を参照
9/6 文部科学省 「いじめ,学校安全等に関する総合的な取組方針(〜子どもの「命」を守る〜)」 ・2012年9月5日,文部科学省は,、「いじめ,学校安全等に関する総合的な取組方針〜子どもの「命」を守る〜」を策定し,公表した
(文部科学省の趣旨説明)
・次代の我が国を担う子どもの育成を図っていく上で,その生命・身体を守ることは極めて重要であり,これまで以上に学校,教育委員会,国、さらには家庭や地域も含めた社会全体が一丸となって,いじめや学校安全等の問題に取り組んでいくことが必要である。
・このたび,このような考え方を踏まえ,これまでの取組を見直し,文部科学省として,当面,いつまでに,どのようなことに取り組むのかを示す「いじめ,学校安全等に関する総合的な取組方針」を策定した。
(項目)
はじめに
第1 いじめの問題への対応強化
第2 学校安全の推進
第3 体育活動中の安全確保

→本指針は,従来の学校や教育委員会に対応を委ねるという「現場任せのいじめ対策の方針」を転換し,国が主導する姿勢を初めて打ち出したものである。文部科学省は,2013年度予算の概算要求では,いじめ対策関連として,2012年度より約27億円多い約73億円を盛り込むとしている。
→筆者には解せないことが一つある。いじめ対策に関して,「スクールカウンセラー制度」の有効性が十分に証明されているとは言い難いとこれまでにも触れてきたが,本指針においても,国家資格でもない「スクールカウンセラー」の機能を問題視せずに,拡充する方向にしていることである。(筆者)
9/5 厚生労働省 2013年4月から「改正高齢者雇用安定法」が施行される ・2012年8月29日,「改正高齢者雇用安定法」が参議院で可決・成立した。
・この法改正は,急速な高齢化の進行に対応し,高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的としたものである。

<改正高齢者雇用安定法のポイント>

この改正の最大のポイントは,「60歳の定年後も原則として希望者全員を雇用することを企業に義務付けるものであり,定年の65歳への引上げを義務付けるものではない」ということである。

@継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
A継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大
B義務違反の企業に対する公表規定の導入
C高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定
D施行期日 : 2013年4月1日


新旧対照表

→「改正高齢者雇用安定法」による高齢者層の65歳まで継続雇用が,若年層の雇用に大きな影響を及ぼすであろうことは素人でも推測できることだが・・・。ちゃんと考えているのかしら。
→本改正法の成立で,2012年通常国会で提出された労働関連3法案(改正高齢者雇用安定法,改正労働者派遣法改正労働契約法)は,すべて成立したことになる。また,まもなく新しい「高齢社会対策大綱」が公表される予定とされている。(筆者)
9/4 内閣府 「生涯学習に関する世論調査」 ・2012年9月1日,内閣府は,「生涯学習に関する世論調査」(2012年7月調査)を発表した。
・調査項目は,@生涯学習の現状,A生涯学習の今後の意向,B生涯学習の振興方策である。この1年間に文化活動や趣味,スポーツ,資格取得などの生涯学習を「したことがある」と回答した者は57.1%(2008年比9.9%増,過去最高)で,「していない」は42.5%(2008年比8.9%減)であった。

→生涯学習は,1990年の「生涯学習振興法」において法制化されていることを知る国民は少ないと思う。さらに,「教育基本法」第3条には「生涯学習の理念」は規定されているが,「生涯学習振興法」には生涯学習の定義も理念的な規定もないことを知る国民はほとんどいないと思う。要するに,生涯学習は,概念そのものがあいまいで,さまざまな意味に使われているということである。筆者は,生煮えの議論しかできていない「生涯学習」に対する世論調査の意義に疑問を持っている。
→日本における「生涯学習政策」は,「個人の職業的・文化的必要に応え,人々の自己の向上を図る営みであるという考え方が支配的である」という指摘がある。一方,ヨーロッパの「生涯学習政策においては,ソーシャル・キャピタルの形成という視点が重視されている。ことのついでになるが,社会福祉士・精神保健福祉士国家試験の第23回・第13回の「社会理論と社会システム:問題20」(共通科目)および第24回・第14回の「地域福祉の理論と方法:問題32」(共通科目)において,ソーシャル・キャピタルが出題されたが,次回再々度出題される可能性があると筆者は予想している。この際,生涯学習とソーシャル・キャピタルとの関係を考えるうえで,ソーシャル・キャピタルを十分に理解しておくことを勧める。
→なお,2012年9月3日,文部科学省は,中央教育審議会生涯学習分科会の「第6期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理(中間とりまとめ)」を公表した。(筆者)


2011年12/8「地域保健と社会福祉等の主な関連施策(イメージ図)」の記事を参照

(参考)
「ソーシャル・キャピタル」
9/3 厚生労働省 2012年9月1日より,乳幼児への「ポリオ不活化ワクチン接種」が開始された ・2012年9月1日より,乳幼児に対するポリオ(急性灰白髄炎)の予防接種が,これまでの生ワクチンから,より安全性の高い「不活化ワクチン」に全面移行した。また,2012年11月1日からは,ジフテリア・百日せき・破傷風を同時に予防する3種混合ワクチンに,不活化ポリオワクチンを加えた「4種混合ワクチン」も導入される予定とされている。

→これによって,日本も,ポリオワクチン接種(単独,4種混合)に限っては,ようやく先進国並になったということである。日本以外の先進国は,不活化ワクチンを使っていた状況から,日本でも,2003年に厚生労働省の「ポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討会小委員会」で不活化導入を提言していたにもかかわらず,子どもを危険な状況に置いたまま,国は実施までに10年も放置してきた,という認識を多くの日本国民は持っていない。(参考資料) 「ポリオについて」
→「ワクチン行政」についての補足である。現在,日本は,先進国から20年遅れた「ワクチン後進国」である,と言われている。歴史的には,日本は,明治以降,北里柴三郎や野口英世らの世界的な研究者を数多く輩出し,1940年代からワクチンの定期的な接種を制度化してきた,「ワクチン先進国」であった。しかし,1970年代以降,ワクチン接種の副作用訴訟での非科学的な司法判断による国の敗訴,日本のマスメディアの副作用に対する扇動による国民の過剰反応の醸成,などの影響を受けて,厚生労働省は認可を遅らせ,財源も確保しないまま,腰の引けた後ろ向きな対応に終始してきた。尻に火がついて,2012年5月23日に,厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会は「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」をまとめ,厚生労働省は,定期接種に追加される7種類のワクチンのうち,Hib,小児肺炎球菌,子宮頸がんの3 種類をまずは優先的に定期接種に組み込むと発表した。少子化対策と深くかかわりのある「日本のワクチン行政」については,後日改めて記事にしたいと考えている。(筆者)

2011年10/19国に対抗して,不活化ポリオワクチンの導入を決定した神奈川県知事を支持するの記事を参照
8/31 厚生労働省 「安心生活創造事業成果報告書」 ・2012年8月28日,厚生労働省は,2009年から3年間モデル事業として全国58か所の市町村(地域福祉推進市町村)で実施した「安心生活創造事業」について,「安心生活創造事業推進検討会」(座長=和田敏明ルーテル学院大大学院教授)が,事業の成果や課題と今後の地域福祉活動の方向性を示すものとして,報告書を作成し,これを全国の自治体へ周知した,と発表した。
<「安心生活創造事業成果報告書」の概要>
項 目 ポイント
(1)報告書の目的 ・単身世帯の増加や近隣関係の希薄化により,社会から孤立する人々が生じやすい社会環境の中で,支援の目が届かない人々を社会から孤立させずにいかに支援していくか,3年間実施されたモデル事業から,その方向性や課題を明確化する。
・報告書の副題は,「見直しませんか 支援のあり方・あなたのまち〜安心生活を創造するための孤立防止と基盤支援〜」である。
(2)事業の成果と課題 @成果 ・行政内部の連携や住民力の向上(漏れのない把握)
・新しい公共(新たな担い手(新聞配達員,水道メーター検針員など民間事業者,NPO等)との連携)による新たな支援体制の構築 
・地域住民や商工会等が連携した地域の自主財源づくりの検討 等
A課題 ・人材確保(広い視野を持つコーディネーターの必要性等)
・安定的な財源確保(地域の理解(寄付文化の土壌づくり等)の必要性)
・個人情報の共有(過剰な保護意識、守秘義務を持たない人との連携) 等
(3)今後重要と考えられる取組み @社会的孤立を防ぐための官民問わない多様な主体との連携・協働
A総合相談体制の確立
B地域福祉計画の策定
C契約支援・権利擁護の必要性
D要援護者が社会参加・自己実現できる仕組み

→本報告書は,地方自治体に配付され,孤立死の防止や新たな支え合いの仕組みづくりなど「地域福祉の再構築」に役立てられるということである。筆者は,モデル事業の成果報告書であれば,高齢者福祉施策であったとしても,「費用対効果(コスト・効率性)」の視点は重要であると思う。
→高齢者を中心に食料品などの日常の買い物が困難な「買い物弱者」が全国で約600万人に上ると経済産業省は推計しており,「買い物弱者」は大きな社会的課題となっている。これまで,「買い物弱者対策」としては,経済産業省では「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会」買物弱者対策支援事業,農林水産省では「高齢化の進展の下での消費者の食料品へのアクセスに関する現状及び今後のあり方に関する研究会」,厚生労働省では「安心生活創造事業推進検討会」等で検討されてきている。「2012年度関係府省(国)の買い物弱者対策関連事業」を見れば,「縦割り行政」「縦割り構造」のムダが一目瞭然である。(筆者)
8/30 厚生労働省 「最新の認知症高齢者数と将来推計について」
・2012年8月24日,厚生労働省は,2010年時点の認知症高齢者数と2010年からの将来推計を公表した。
<2003年と2012年の公表データの比較>
 2002年  2010年   2015年  2020年  2025年 
2012年 280万人
(9.5%)
345万人
(10.2%)
410万人
(11.3%)
470万人
(12.8%)
2003年 149万人
(6.3%)
208万人
(7.2%)
250万人
(7.6%)
289万人
(8.4%)
323万人
(9.3%)

<6月26日記事の再掲>
「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」
→今後,本報告書は,社会保障審議会介護保険部会で追認され,2013年度からの取組み計画や医療計画,2013年度概算要求に反映させられるものと見られている。
→本報告書では,「認知症初期集中支援チーム」の創設,「身近型認知症疾患医療センター」の設置,地域密着型サービス(認知症高齢者グループホーム・小規模多機能型居宅介護など)の拡充,認知症ケアモデルの策定,認知症の薬物治療に関するガイドラインの策定,かかりつけ医の対応力を向上させるための研修の充実,などが提言され,威勢がいい。
しかし,本報告書に関する筆者の感想としては,「現実離れしている」以外には思い浮かばない。また,前提条件となる認知症者数を,10年前の2003年全国推計をベースにしている「今後の認知症施策の方向性」には信頼が置けないと考えている。現状の実数を把握できるのに,あえて10年前のデータを基準にしている理由は,「この程度の認知症施策でごまかしておくほうが都合がいい」と厚生労働省の官僚が考えたからではないかと勘ぐっている。本当は,すでに「この程度の認知症施策ではどうしようもならない」ほどの認知症者数が推計されているとしたら,と思うとゾッとする。受け皿としての介護保険制度の行く末が心配になる。
→ところで,「認知症サポーター」が,2012年3月31日時点で,3,301,610人になり,万々歳ではあると思うが,その効果や成果はどうなっているのだろうか。(筆者)

→筆者の上記下線部の勘繰り通りであった。厚生労働省は,「2010年には280万人になっていて,そのうち半数は自宅が居場所であった。また,2012年の推計は305万人に上っている」と,初めて分かったような振りをしている。「国は,これまで,故意に認知症対策の抜本的な見直しを遅らせてきた」,と思う。結論だけを言えば,筆者は,厚生労働省の言う「認知症になっても地域で暮らし続けられる対策」とは,一人暮らしの認知症者を見捨てて,認知症者を介護する多くの家族を絶望させること,と同義だと考えている。
→以前,「クーリエジャポン」という雑誌に,オランダのアムステルダム郊外にある地域全体が介護ホームで,認知症村とも言える介護施設「ホーゲヴェイ」のことが紹介されていて,衝撃を受けた覚えがある。こういう発想を持った介護の専門家や政治家が,日本にも現れてきてほしいと思う。
Selbstandig bleiben - Demenzkranke in "Hogewey" helfen im Alltag mit (You Tube)(筆者)


6/26「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」の記事を参照

(参考)
「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」(2008年7月)
8/29 厚生労働省 「2012年版 厚生労働白書」(概要 / 本文
・2012年8月28日,厚生労働省は,「2012年版 厚生労働白書〜社会保障を考える〜」を公表した。
・なお,厚生労働省は,「2012年版厚生労働白書」の作成等に当たっての資料を得ることを目的として「社会保障に関する国民意識調査」を2012年2月に実施しているが,その調査結果は以下の通りである。

<「社会保障に関する国民意識調査」結果の主なポイント>
@福祉と負担の水準

・「福祉充実のため負担が重くなってもいい」(59.8%)
・「福祉低下しても負担は軽くしてほしい」(22.5%)
A弱者保護と自由競争
・「弱者保護がもっと必要」(44.6%)
・「自由競争社会にすることがもっと必要」(23.9%)
B今後の社会保障の給付と負担のバランス
・「給付水準を維持・向上させるための負担増を容認」(49.7%)
C社会保障と経済成長
・「社会保障が経済成長にとってプラスである」(37.7%)
・「社会保障は経済成長の足かせになる」(30.0%)


「社会保障に関する国民意識調査」(概要 / 本文

→3福祉士国家試験における「社会保障関連」の受験用の副読本としては,かなりの価値があると思う。次回国家試験で,カール・ポラニー(カール・ポランニー)の「大転換」あたりが出題される可能性はある。白書(政府の報告書)として,「政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの」という趣旨に沿っているかどうかは知らない。(筆者)
8/28 文部科学省 「2012年度 学校基本調査(速報値)」 ・2012年8月27日,文部科学省は,2012年5月現在の「2012年度学校基本調査(速報値)」を公表した。
<調査結果の注目すべきポイント>
項目 概要
(1)就職率 @高卒 : 16.8%(前年度比0.5%増)
A大卒 : 63.9%(前年度比2.3%増)=新卒者559,030人のうちの357,285人
B大学院卒
・修士課程:73.2%(前年度比0.6%増)
・博士課程:67.2%(前年度比3.3%増)
(2)上記大卒のうち「安定的な雇用に就いていない者」(約12万8,000人,22.9%)の内訳

 
@「正規の職員等でない者」(雇用契約が1年以上の契約社員や派遣社員) : 21,990人(新卒者の3.9%)
A「一時的な仕事に就いた者」(契約期間が1年未満のパートやアルバイト) : 19,596人(新卒者の3.5%)
B「進学も就職もしていない者」(就職や大学院などへの進学をしていない者) : 86,638人(新卒者の15.5%)
⇒このうち「就職も進学準備もしていない者」(ニート)は33,584人(新卒者の6%)

→今春,4年制大学を卒業した約56万人のうち約3万3000人(新卒者の6%)が進学も就職の準備もしていない「ニート」だという結果に愕然とする。この調査は今回初めて実施された。これまでから,「ニート」の増加は,日本の労働力全体の質が低下し,生活保護費が増大し,少子化進行の要因になると指摘されている。また,NEET (Not in Employment,Education, and Training)は,「社会的に排除された人たち」の代表例であり,1990年代以降,「社会的排除との闘い」が,各国の今日的政策課題となっている。
→大学新卒者の4人に1人の12万8,000人が安定した仕事に就けていないなんて,親の立場からするとこんな悲しいことはないだろう。もっとも,親の育て方にこそ大きな問題がありそうな気もするが・・・。
→くれぐれも,厚生労働省には,仕事にあぶれた者や働く気力もない者を,「人手不足の福祉や介護に」という考え方は捨ててもらいたい。福祉や介護の仕事をなめてもらっては困る。(筆者)

8/27「ディーセント・ワーク(decent work)」について),8/2「日本再生戦略(〜フロンティアを拓き,「共創の国」へ〜)」,5/31「若者雇用戦略」(概要 / 本文 / 概要図))の記事を参照
8/27 厚生労働省 ■「ディーセント・ワーク(decent work)」について
・「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の概念は,1999年6月の第87回ILO総会に提出された「事務局長報告」において初めて用いられ,ILOの活動の主目標と位置付けられた。
・2008年6月の第97回ILO総会の「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」において,ディーセント・ワークの実現は,@雇用の促進,A社会的保護の方策の展開及び強化,B社会対話の促進,C労働における基本的原則及び権利の尊重,促進及び実現,の4つの戦略的目標を通して実現されると位置付けられている。男女平等及び非差別は,これらの目標において横断的な課題とされている(「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」)。
・ILOは4つの戦略的目標に沿った形で技術協力や調査研究を行い,各国の実状に応じて,ディーセント・ワークの実現を支援している。日本では,社会保障と税の一体改革および2012年7月に閣議決定された
「日本再生戦略(〜フロンティアを拓き,「共創の国」へ〜)」において,「ディーセント・ワークの実現」が盛り込まれている。
<ILOの提供資料>
(1)「ディーセント・ワークのリーフレット」(@ / A
(2)「ディーセントワークのイメージ動画」(ILO)

→「ディーセント・ワーク(decent work)」の日本語の訳語として,日本の政労使三者の間の協議により「働きがいのある人間らしい仕事」とされているが,少子高齢社会が進行している日本において適切な訳と言えるだろうか。また,厚生労働省は,「日本政府としては,ディーセント・ワークの概念の普及に努めるとともに,様々な労働政策を推進することによりディーセント・ワークの実現に努めている。」と明言しているが,「どこが!」と突っ込みたくなる。
→ディーセント・ワークは,第23回社会福祉士,第13回精神保健福祉士国家試験の「社会保障問題49」(共通科目)で出題されている。(筆者)


8/2「日本再生戦略」,7/9「2011年版 働く女性の実情」の記事を参照
8/24 厚生労働省 「地域福祉計画策定状況等について」(2012年3月) ・2012年8月23日,厚生労働省は,「2012年3月31日現在地域福祉計画策定状況等について」を公表した。
<2012年3月31日現在の地域福祉計画策定状況>
市町村地域福祉計画 都道府県地域福祉支援計画
調査対象 1,742市町村(回収率100%)
<810市区部,932町村部>
47都道府県(回収率100%)
策定状況 @市区部 =79.0%
A町村部 =41.4%
・85.1%
策定効果があった事項 「地域の要望や課題が明らかになった」(603市町村),「地域福祉関連活動・事業の推進につながった」(597市町村)
<地域福祉計画の経緯>
●地域福祉計画は,2000年の社会福祉事業法等の改正により,「社会福祉法」に新たに規定された事項で,市町村地域福祉計画および都道府県地域福祉支援計画からなる。
●地域福祉計画の策定は,各地方自治体が主体的に取り組むこととなっている。
●地域福祉計画は,地域住民の意見を十分に反映させながら策定する計画で,今後の地機器福祉を総合的に推進する上で大きな柱になるものである。
●これまで,「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について」(2002年)を踏まえ,2002年4月1日に「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定について」,2007年8月10日に「市町村地域福祉計画の策定について」,2010年8月13日に「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定及び見直し等について」,が通知されている。

→未策定自治体の主な未策定理由として,最も多く挙げられているのは,「人材・財源等,策定体制の不備・不足」であるということは,毎年の調査で分かっている。「地域福祉の重要性」を最も理解しているはずの厚生労働省が,何をすればいいのかが分かっているのに放置し続けているだけのことである。(筆者)
8/22 厚生労働省 2013年4月1日から「障害者法定雇用率」が引き上げられる(リーフフレット) ・厚生労働省は,障害者の法定雇用率を,2013年4月1日から引き上げることを決定し,6月20日に公布した。
・「障害者雇用促進法」では,法定雇用率は「労働者の総数に占める身体障害者・知的障害者である労働者の総数の割合」を基準として設定し,少なくとも5年ごとに,この割合の推移を考慮して政令で定めるとしており,今回はこれに基づく法定雇用率の変更である。

<2013年4月1日からの変更点>
(1)障害者の法定雇用率
 ・民間企業 : 1.8% → 2.0%
 ・国,地方公共団体等 : 2.1% → 2.3%
 ・都道府県等の教育委員会 : 2.0% → 2.2%
(2)障害者を1人以上雇用しなければならない事業主の範囲
・従業員 56人以上の事業主 → 従業員 50人以上※
※対象となる事業主には,障害者雇用の他,以下の義務がある。
@毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告
A障害者雇用推進者の選任


なお,障害者雇用の納付金・調整金は,現行通りである。
・法定雇用率を下回っている事業主(従業員200人超)
⇒法定雇用障害者数に不足する人数に応じて納付金(月額5万円)を徴収
・法定雇用率を上回っている事業主(従業員200人超)
⇒法定雇用障害者数を超過する人数に応じて調整金(月額2万7千円)を支給

8/7「今後の障害者雇用の在り方に関する3研究会の報告書」が公表された),7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる),6/11(■「2012年版 障害者白書」(概要 / 本文)),5/24「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申の記事を参照
8/21 介護労働安定センター 「2011年度 介護労働実態調査結果(2011年11月実施)」 2012年8月17日,(財)介護労働安定センター2011年度の介護労働実態調査の結果を発表した。
・調査は,2011年11月,全国の介護保険サービス事業所(1万7.151事業所)を対象に実施(調査対象日は10月1日)し,7070事業所(有効回答率41.2%)からの回答である。
<2011年度の調査結果のポイント>
@過去1年間の介護職員全体の離職率
・16.1%(前年度17.8%,2004年度の調査開始以来,最低であった)
A介護職員の平均月収(残業代を除く)
・21万6,086円(前年度比408円減)で,他業種より低い状況は変わっていない。
B労働条件に関する不満の質問
・「仕事内容のわりに賃金が低い」と回答した者は44.2%,「人手が足りない」(40.2%,「有給休暇がとりにくい」(36.1%)
C介護従事者の過不足の状況の質問
・「不足」と回答した事業所は53.1%(前年度50.3%,前々年度は46.8%)
D介護サービスを運営する上での問題点の質問
・「良質な人材の確保が難しい」と回答した事業所は50.4%(2年連続で半数超),「今の介護報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を支払えない」(49.8%),「指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で,時間に追われてしまう」(32.6%),「教育・研修の時間が十分に取れない」(27.6%),「経営(収支)が苦しく,労働条件や労働環境の改善をしたくてもできない」(26.3%)

→2012年7月5日,和歌山県は,社会福祉法人海南市社会福祉事業団特別養護老人ホーム「南風園」の女性職員6人が入所者70?90歳代の7人に12件の身体的・心理的虐待をしていたと発表し,県は管理する市に介護保険法に基づく改善勧告を行った,との報道があった。
(動画のURL)
http://www.dailymotion.com/video
/xp8ckt_yyyyyyyyyyyyyyyyyyyy_news

→介護職員の待遇改善を議論するに際して,隠された醜い介護現場の現実から目を背けてはいけない。(筆者)


「福祉専門職の現状」
8/20 - ■「社会保障と税の一体改革関連8法案」が成立した

8月30日追記)
市町村向け説明資料 
政府広報


・2012年8月10日,「社会保障と税の一体改革関連8法案」が,参院本会議で民主・国民新・自民・公明の与野党各党の賛成多数により可決,成立した。
<「社会保障と税の一体改革関連8法」とは>
「社会保障と税の一体改革関連8法」の要旨(やまだ塾まとめ)
区分 項 目 ポイント
【1】
年金


厚労省
@年金機能強化法案(政府提出・衆院修正)
  ↓
公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための
国民年金法等の一部を改正する法律(2012年8月月10日成立・22日公布)
@年金の受給資格期間を現在の25年から10年に短縮(2015年10月1日施行)
A基礎年金国庫負担1/2を恒久化する2014年度と定める(2014年4月1日施行)
B短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う(2016年10月1日施行)
C厚生年金・健康保険等について,産休期間中の保険料免除を行う(公布日から2年以内に施行)
D遺族基礎年金の父子家庭への支給を行う(2014年4月1日)
A被用者年金一元化法案(政府提出・衆院修正)
   ↓
被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律
(2012年8月10日成立・22日公布)
@厚生年金に公務員および私学教職員も加入し,2階部分は厚生年金に統一する(2015年10月1日施行)
A共済年金・厚生年金の保険料率(上限18.3%)を統一し,制度の差異を解消する(2015年10月1日施行)
B共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)は廃止する(2015年10月1日施行)
C追加費用削減のため,恩給期間に係る給付について17%引き下げる(公布日から1年以内に施行)
【2】
社会保障
B社会保障制度改革推進法案(衆院民・自・公3党共同提出) ・最低保障年金の創設,後期高齢者医療制度などを「社会保障制度改革国民会議」で協議
【3】
子ども・子育て関連3法


資料
C子ども・子育て支援法案(政府提出・衆院修正) 市町村は,子ども・子育て支援給付と地域子ども・子育て支援事業を総合的,計画的に実施
・内閣府に子ども・子育て会議を設置
D認定こども園法改正案(衆院3党共同提出) ・「総合子ども園」は創設せず,「認定子ども園」を拡充
E関係法律整備法案(政府提出・衆院修正) 改正児童福祉法
・改正内閣府設置法
「子ども・子育て本部」を設置し,本部長に特命相を充てるなど)
【4】増税 F消費税法改正案(政府提出・衆院修正) ・消費税率を,2014年4月に8%,2015年10月に10%に引き上げ
・経済成長率「名目3%,実質2%」を努力目標とする景気条項を明記し,実施は「そのときの政権が判断」
・8%引き上げ時に低所得者に支給し,10%引き上げ時に「給付付き税額控除」や「軽減税率」を検討
・所得税の最高税率引き上げなどは年末の税制改正で議論
G地方税法・地方交付税法改正案(政府提出・衆院修正) 地方消費税は,消費税5%の1%分から1.7%分,2.2%分に引き上げ
・地方交付税は,消費税5%のうちの1.18%分から1.40%分,1.47%分,1.52%分に引き上げ

→「社会保障と税の一体改革関連8法案」の成立までの経過を振り返る。
2012年3月30日,政府は「社会保障と税の一体改革関連7法案」を閣議決定し,国会に提出した。4月20日に当時の田中直紀防衛相ら2閣僚への問責決議が参院で可決された。ようやく5月8日に衆議院で審議入りし,集中して審議する場として「特別委員」が設置された。並行して行われた民主,自民,公明の3党による修正協議により,「社会保障制度改革推進法案」が加わっため「社会保障と税の一体改革関連8法案」となった。6月4日の内閣改造で2閣僚が交代するまで,税と社会保障の一体改革関連法以外の国会審議はストップし,
その後も民主党分裂で国会が空転している。「社会保障と税の一体改革関連8法案」については,6月26日に衆議院を通過し,8月10日に参議院で可決・成立した。結局,民主,自民,公明の3党3党で意見が分かれる将来の年金制度などは,「社会保障制度改革国民会議」を設けて議論すると先送りし,子ども・子育てでは,政府は幼稚園と保育所を新たな「総合こども園」に移行するとの方針を撤回して,幼稚園と保育所の機能を持つ現行の「認定こども園」を充実することに変更した。低所得層向けの支援策など積み残された課題は多く,「増税先行,社会保障先送り」というぶざまな結果で,大方の予想通りであった。なお,今国会は9月8日が会期末であるが,特例公債法案,原子力規制委員会の人事案,マイナンバー法案,衆議院小選挙区の「1票の格差是正」などの重要審議が滞っているという状況である。
→野田首相は,2012年3月24日,消費税増税法案を含む「関連7法案」の成立に「命をかける」と公言し,8月10日の「関連8法案」の成立後の記者会見では,消費増税について,2009年衆院選の民主党政権公約に記載しなかったことを「深くおわびしたい」と述べている。いかに,野田首相が支離滅裂な人物であるかという証明になった。
→日本の首相の責務のうち,首相として命をかけるべきは,「消費税増税」ではなく,「国民の安全」と「領土の保全」であることぐらい,いかに野田首相でも分かっていたはずである。近時のオスプレイ配備,原発再稼動,北方四島・竹島・尖閣の領土・領海事案の対応においても,野田首相が命をかけようとする気配は見えず,民主党が政権与党としての適格性に欠けていることを,国民は思い知った。なお,「領土問題」に関する腰抜け外交は,自民党政権時代からの名残りであり,自民党・公明党は民主党を批判できる資格がない。
→ちなみに,日本の領土問題にかかわるものとしては,@竹島(韓国,北朝鮮が不当に領有権を主張し,韓国が実効支配して不法占拠しており,日本は返還要求している),A尖閣諸島(中国,台湾が不当に領有権を主張しているが,日本は領有権問題は存在しないとの立場をとっている),B北方領土(ロシアが不当に領有権を主張し,実効支配し,不法占拠しており,日本は返還要求している)がある。筆者は,近時の竹島問題および尖閣諸島問題への政府・与党民主党の対応では,日本国民を納得させることはできないし,これ以上政権を維持させても日本国民の利益にはならないと考える。もはや,「近いうち」に行われる衆議院解散・総選挙での民主党の大惨敗を疑う余地は見当たらない。(筆者)


8/2「日本再生戦略」,7/25「社会保障教育の教材」(高校生向け)),7/10「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」6/27「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆議院で可決された)6/22「2012年版 暮らしの税情報」,6/14民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末),6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
8/10 法務省

厚生労働省
医療観察法の施行の状況についての検討結果 ・2012年7月31日,法務省および厚生労働省は,医療観察法附則第4条の規定に基づいて,医療観察法の施行の状況についての検討結果を公表した。
「医療観察法」(正式名称:心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律)は,2003年7月10日に成立し,7月16日に公布され,2005年7月15日から施行されている。

→2012年8月8日,医療観察法が施行されて以降,初めての「医療観察病棟建設反対」の住民訴訟が起こされた。その内容は,殺人や放火など重大な罪を犯しながら心神喪失などで刑事責任を問えない「触法精神障害者」を入院治療し,社会復帰を目指す国の指定入院医療機関を滋賀県草津市笠山の県立精神医療センターに開設する計画を巡って,草津,大津,栗東3市にまたがる周辺住民ら1,038人が,嘉田滋賀県知事に対して,設計費や建設費用など公金(約13億円)の支出差し止めを求める住民訴訟を,大津地裁に提訴したというものである。
→「滋賀県が住民の合意なしに計画を進め,住民説明会で事実と異なる説明をしたため」の提訴とみられること,病棟を建設する県病院事業庁の担当者からは,「何を訴えてこられるのか分からないので,実際に訴状などを見ないと何とも申し上げられない」と説明されたこと,が報道されていた。
→今回のケースを,NIMBY(Not In My Back Yard)の問題として考えた場合においても,通常の精神障害者施設と同列に扱えるものであろうか。例えば,「指定入院医療機関の管理者は,当該指定入院医療機関に入院している者(触法精神障害者)を,当該指定入院医療機関に勤務する医師又は看護師による付添いその他の方法による医学的管理の下に,当該指定入院医療機関の敷地外に外出させることができる」とされており,住民の側からすれば,「漠然とした恐れ」とは言い切れない要素がある。地域住民の心情に対する行政の理解不足,勉強不足,説明不足,対応のまずさは容易に推測できる。左記のデータ等を用いて,丁寧に説明し,住民の合意を得る必要がある。
→さらに,福祉専門職(特に,社会福祉士・精神保健福祉士)に対しては,2005年の医療観察法を出発点とする刑事司法の流れにある2012年7月30日の発達障害者による殺人事件の大阪地裁における裁判員裁判の厳罰化・隔離判決(求刑懲役16年を懲役20年とした)をどう考えるのかを問いたい。専門職として,自身の見解を持ってもらいたいと思う。(筆者)
8/9 厚生労働省 「知っておきたい薬の知識(2012年10月版)」(パンフレット) ・厚生労働省は,2012年10月17日(水)〜10月23日(火)までを「薬と健康の週間」として,医薬品の正しい使用や薬剤師の役割の大切さを知らしめるため,左記のパンフレットやポスターなどを用いて積極的な啓発活動を行うとしている。

→「薬」と言えば,「薬害問題」や「薬害訴訟」を結びつけるのは,何も医薬品行政を担う「厚生労働省」だけではない。多くの日本国民が,「薬」で問題が起これば,規制をしなかった国に責任があると考える。日本は,こういう社会認識が出来上がっている国である。
→2012年4月26日,東京高裁が,一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を認める「逆転判決」(薬のネット販売について厚労省の省令が違法)を出した。これを受けて,小宮山厚生労働大臣は,4月27日の記者会見で,「これは利便性と安全性の問題なので,便利にインターネットを利用したいという方,またそういうふうにして販売をしたいという方がある一方で,やはり薬害に遭われた皆さんなどからは,慎重な対応を求める声もありますので,これはしっかりと慎重に対応するべきことだというふうに私は考えています」と述べている。論理的におかしな話である。誤解を恐れず,結論だけを言えば,医師の処方箋なしで買える市販薬のインターネット販売の是非について,直接関係しない薬害被害者や薬害問題の関係者の意見を聞くのは結構なことであると思うが,「了解までは必要ない」と,筆者は考えている。
→福祉専門職は,医薬品行政における「自己責任論の必要性」,「過剰な公的規制の弊害」等について,世界の情報を把握し,自身の見解を持っておくべきである。(筆者)


「おくすりe情報」(厚生労働省)
8/7 厚生労働省 ■「今後の障害者雇用の在り方に関する3研究会の報告書」が公表された ・2012年8月3日,厚生労働省は,2010年6月29日に閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」などを踏まえ,2011年11月に設置した@「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」(座長:今野学習院大経済学部教授),A「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会」(座長:岩村東大大学院法学政治学研究科教授),B「地域の就労支援の在り方に関する研究会」(座長:松爲神奈川県立保健福祉大保健福祉学部教授)における,3研究会報告書を公表した。
・今後,これらの報告書の内容は,労働政策審議会(障害者雇用分科会)に報告され,議論され,法案として国会に提出されていく。
<3研究会報告書と提言のポイント>
@「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会報告書」(概要 / 本文
・障害者雇用促進法における障害者の範囲や雇用率制度における障害者の範囲等について検討し,雇用義務制度の考え方とその範囲などについて提言している。
A「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会報告書」(概要 / 本文
・労働・雇用分野における差別禁止等の枠組みの対象範囲等について検討し,障害を理由とする差別の禁止や職場における合理的配慮,権利擁護(紛争解決手続)などについて,実効性を担保した上で,講ずべき措置などについて提言している。
B「地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書」(概要 / 本文
・今後の地域の就労支援の在り方について検討し,中小企業等が安心して障害者雇用に取り組むために求められる支援を明らかにするとともに,それを踏まえた,各就労支援機関等に求められる役割や地域の就労支援ネットワークに求められる取組,就労支援を担う人材の育成などについて提言している。

<4月6日記事の再掲>
→従来から,諮問機関の改善のためには,情報公開の一層の推進と諮問委員への多様な人材の登用などが重要であると指摘されている。労働政策審議会においても,厚生労働大臣の諮問機関で,事務局は厚生労働省官僚で構成され,審議事項の原案や議論の素材は事務局によって作成されることが多いと言われ,議論は実質的に官僚により主導されているとの批判があると同時に,「労使代表委員の代表性」と「公益代表委員の独立性」にも疑義を呈する見解がある。
→福祉専門職であれば,労働政策審議会のメンバーにも注意を払っておく必要がある。(筆者)

7/112013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる)6/11「2012年版 障害者白書」,5/24「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申,4/11「自立支援医療における利用者負担」(2012年4月)4/6「労働政策審議会について」の記事を参照の記事を参照
8/6 厚生労働省 ■「2012年度3福祉士国家試験の施行」が官報公告された ・2012年8月3日までに,「第25回介護福祉士国家試験」,「第25回社会福祉士国家試験」,「第15回精神保健福祉士国家試験」の施行に係る官報公告が行われた。
<3福祉士国家試験の施行公告>
国家試験の区分 施行
公告
試験
委員
詳細・照会先
第25回介護福祉士 7月6日 8月3日 社会福祉振興・試験センター
第25回社会福祉士 8月3日 8月3日
第15回精神保健福祉士 8月3日

→8月末からは模擬問題を,12月からは直前対策を掲載する予定である。(筆者)
8/3 厚生労働省 2012年8月から「児童扶養手当の支給要件」が一部変更された ・2012年8月から,児童扶養手当の支給要件を緩和し,配偶者からの暴力(DV)で「裁判所からの保護命令」が出された場合が加えられた。なお,児童扶養手当とは,父母の離婚などで,父又は母と生計を同じくしていない子どもが育成される家庭(ひとり親家庭等)の生活の安定と自立の促進に寄与し,子ども の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当である。
・2012年6月17日,政府は政省令の改正を閣議決定し,これまで児童扶養手当は,DV被害を避けるため,事実上ひとり親家庭となっていても,加害者である親が1年以上子どもを養育していないことが支給要件になっていたが,接近禁止命令が出れば1年を待たずに支給できることとした。
児童扶養手当法施行令(改正政令)
児童扶養手当法施行規則(改正省令)


→DVから逃れている被害者の場合には,離婚が成立していなくても生活保護の申請はできるとされている。児童扶養手当も支給されるようになった。(2006年質問主意書 /. 国会答弁)(筆者)
8/2 首相官邸 「日本再生戦略(〜フロンティアを拓き,「共創の国」へ〜)」 ・2012年7月31日,成長分野としての3分野(グリーン,ライフ,農林漁業)などへの重点的な予算配分を通して,日本企業の国際競争力を強め,経済成長(年平均で名目3%,実質2%)を図る,2020年を目途にした「日本再生戦略」が閣議決定された。
・「日本再生戦略」は,2011年3月の東日本大震災および福島原発事故によって頓挫した「新成長戦略」(2010年6月策定)を見直し,国家戦略会議(議長:野田首相)で策定された野田政権の経済成長戦略である。
・「日本再生戦略」では,新車販売に占める電気自動車など次世代自動車の比率を最大5割に高める,カロリーベースの食料自給率を50%に引き上げるなど,11分野38施策で2020年の数値目標を列挙し,2015年度の中間目標を掲げ,年度ごとの工程表を設けて,進捗を点検することとされている。
・今後,2013年度の各省庁からの概算要求を8月末で受付け,その後の2013年度予算編成で財源が優先的に確保されることになる。

→福祉専門職には,「ライフ成長戦略」(p.29〜p.31)には目を通しておいていただきたい。「医療・介護」が,今後成長する市場であることは日本国民なら誰でも理解しているが,主に社会保険料や税金で賄われる市場の成長が国内経済の成長に結びつくと説明されても,納得できる日本国民は少ないと思う。
→民主党政権の次回選挙用である「日本再生戦略」は,今後の日本の負の遺産になる,と筆者は思う。(筆者)
8/1 厚生労働省 「2009年 地域児童福祉事業等調査(2010年2月実施)」 ・2012年7月31日,厚生労働省は,2010年2月に実施した「2009年 地域児童福祉事業等調査」の結果を公表した。
・この調査は,保育を中心とした児童福祉事業の実態を把握し,今後の施策の基礎資料を得ることを目的として,市町村,認可保育所利用世帯,認可外保育施設利用世帯,認可外保育施設の4対象ごとに,それぞれ3年周期で実施されている。
・今回の調査は,認可保育所を利用する世帯と認可外保育施設に対して,2010年2月1日に実施されたものである。

<2009年調査結果のポイント>
(1)認可保育所を利用する世帯の状況
@認可保育所を利用している児童のうち,「希望する時期から入所できた」のは88.2%で,うち「希望する時期より入所を早めた」のは3.5%であった。
A希望時期より入所を早めた理由は,「入所が困難になりそうだったため,育児休業を切り上げた」が37.6%,次いで「勤務先の要請(業務の都合)」が19.8%であった。
(2)認可外保育施設の状況
@認可外保育施設に今後の方向性を尋ねたところ,「いずれ認可保育所に移行したい」が事業所内保育施設で15.9%,ベビーホテルで42.8%,その他の認可外保育施設で46.4%であった。

→「2010年2月1日の調査結果が,何で2年半後の2012年7月31日に出てくるん?」というのが,普通の人間の疑問である。また,現在国会で審議中の「社会保障・税一体改革関連8法案」における政府の国会答弁からも,「本件の調査結果が,今後の施策の基礎資料として活用されていないことが明白となった」,というのがまっとうな意見である。
→厚生労働省は,「厚生労働統計の整備に関する検討会」を開催しており,今回の調査についても,2012年6月8日の第6回検討会「公表時期が遅い統計調査」で「ヤバイ」と認識している。筆者は,この検討会の本質をアリバイ作りだと思っている。やるとしても,スピード感のない対応になると思う。本件調査については,「次回に改善されていない」ことに1票入れる。(筆者)


7/10「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」の記事を参照
7/27 厚生労働省 「2011年 簡易生命表の概況」 ・2012年6月26日,厚生労働省は,「2011年簡易生命表」を公表した。
<2011年平均寿命のポイント>
@2011年の平均寿命
・女性 :85.90歳(前年比0.40歳減)
・男性 :79.44歳(前年比0.11歳減)
→女性男性ともに,2009年に過去最高となったが,2年連続で短縮した。
A平均寿命の国際比較

→日本人女性の平均寿命は,2010年までは26年連続で世界一であった。
2011年の順位 2010年の順位
女性 1位 香港 86.7  2位
2位 日本 85.90歳 1位
3位 スペイン 84.91歳
(2010年数値)
4位
男性 1位 香港 80.5 歳 1位
2位 スイス 80.2 歳
(2010年数値)
2位
3位 アイスランド 79.9 歳 6位
8位 日本 79.44歳 4位

→厚生労働省からは,東日本大震災による死者の増加が平均寿命短縮の主な要因だと発表された。調べてみると,警察庁および復興庁から発表された,東日本大震災の死者・行方不明者および震災関連死者のデータを合計すると2万402人であった。多くの大手新聞がそうであったように,NHKのニュースの見出しも,「女性の平均寿命世界1位から転落」であった。2012年7月26日,宮城県石巻市の大川小学校の教職員で唯一行方不明になっていた男性教諭の遺体が同市内で見つかっていたことが報道された。大震災の傷が癒えていないこの時期に,日本のマスメディアは,「陥落」や「転落」という表現を使うことが不適切であるかどうかも判断できなくなってきている,と思ったのは筆者だけではないはずである。(筆者)
7/26 - 第13回世界女子ソフトボール選手権で日本が金メダルをとった」(You Tube)
〜42年ぶりの世界一〜
2012年7月22日,カナダのホワイトホースで行われたソフトボール女子の世界選手権の決勝で,日本は8連覇を狙うアメリカを破り,1970年大会以来42年ぶり2度目の優勝を果たした(決勝戦の映像は3分00秒ごろから)
第13回世界女子ソフトボール選手権大会の日本チームの全試合(You Tube)

→快挙であり,「すごい」の一言に尽きる。オリンピック競技から外れた途端に,商業主義一辺倒の日本のマスメディアは注目をしなくなったので,本日,情報提供として掲載した。
→大した実力もないオリンピック出場者や賞味期限切れでピークが過ぎた有名選手に無茶なメダルの期待をしたり,興味本位でひいきの引き倒しをしている無責任な日本のマスメディアには嫌気がさす。そんな取り上げ方をしなくても,日本国民は懸命に取り組んでいるスポーツマンには応援を惜しまないのに・・・。サッカー選手が帰国したときに,いびつな情報に毒された日本国民から,水をぶっかけられることがないように,と「なでしこジャパン」の試合を観ていて思った。今朝,案の定,「金メダル獲得へ白星発進」と脳天気なアナウンサーががなっていた。(筆者)
7/25 厚生労働省 ■「社会保障教育の教材」(高校生向け) ・2011年10月11日,「第1回社会保障の教育推進に関する検討会」(座長:権丈慶大教授)が開催され,2012年3月23日に第4回が開催された。2011年度の検討会のテーマは,(1)現在の子どもたちは社会保障の何を,どう学ぶべきか【学習内容に関する議論】,(2)子どもたちに伝わりやすい,先生に使いやすい教材とは【高校生向け教材等の作成】,(3)その他、社会保障の教育推進に資することは,であった。
<現在,2種類の教材(高校生向け)が公表されている>
教材の種類 内容
(1)政府の役割と社会保障

政府や社会保障の役割,税と社会保険料の違いなど本質的な内容について考える。

@ワークシート・ファクトシート
A指導者用活用マニュアル
=7月25日現在未掲載である=
(2)公的医療保険て何だろう?だろう

身近な公的医療保険を切り口にして,社会保障の意義などについて学習する。

@ワークシート・ファクトシート
A指導者用活用マニュアル

2012年7月6日から参議院本会議が開催され,「社会保障と税の一体改革関連法案」が審議されている。与野党を問わず,衆参議院を問わず,これまでの国会議員間の社会保障に関する議論の質的レベルの低さには閉口している国民は多いと思う。それを踏まえて,福祉専門職として,厚生労働省や検討会メンバーの社会保障に関する高校生向け副教材作成のための最終の議論と上記副教材を評価してみたらどうだろう。(筆者)

7/10「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」の記事を参照
7/24 厚生労働省 「定期巡回・随時対応サービスの事業所数(2012年6月)」
・2012年7月20日,厚生労働省は,2012年6月末現在における「定期巡回・随時対応サービスの事業所数」について発表した。
・事業所数は,35の保険者において,47の事業所にすぎなかった。なお,同一の事業所で介護サービスと看護サービスをセットで提供する「一体型」では,11保険者において,10事業所であった。
「定期巡回・随時対応サービスの概要」
「定期巡回・随時対応サービス(モデル事業の結果概要)」
「社会保障に係る費用の将来推計の改定について(2012年3月)」

→2012年度の介護保険制度改正に伴い,2012年4月から定期巡回・随時対応サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)が始まった。「地域包括ケアシステム」を支えるサービスの一つである。厚生労働省は,第5期介護保険事業計画を取りまとめ,2012年度中にサービスを始める保険者は189・利用者数は1日当たり6000人,2014年度には329保険者・利用者数1日当たり1万7000人としている。また,2011年6月の利用者数の将来推計では,2015年度に1万人,2025年度に15万人を見込んでいる。「ビジネスモデルが確立すれば,当該サービスが一気に普及する」と考えているらしい。「ほー,そうですか」としか言いようがない。今までに,社会保障関係で,この人たちの推計や予測が当たったためしがない。(筆者)

7/19「介護費用と保険料の推移」の記事を参照
7/20 - 映画 『隣る人(となるひと)』 予告編(You Tube)
映画『隣る人』の公式サイト
・「親と一緒に暮らせない子どもたちと“隣り合う”大人たち その日常を8年間にわたって撮り続けたドキュメンタリー」
・監督 : 刀川和也 氏

劇場情報

→「家庭的な処遇」を追及する「光の子どもの家」(埼玉県加須市の児童養護施設)の8年間の記録である。「隣る人」という言葉は,「光の子どもの家」理事長の菅原哲男氏が作った造語で,「子どもの存在を丸ごと受けとめる大人」を意味するとのことである。「光の子どもの家」では,交代勤務制ではなく,一人の保育士が子ども数人を担当していく「担当職員制」が採用され,擬似家族のように暮らしている。映画は,順次全国で上映されているが,上映素材を貸し出し(5万円〜税別)て自主上映会を行うことも可能だということである。(筆者)
7/19 厚生労働省 「介護費用と保険料の推移」
<介護費用と保険料の推移>
(1)介護保険の総費用の推移
 ・3.6兆円(2000年度)→8.9兆円(2012年度)
(2)65歳以上が支払う保険料の推移(全国・月額・加重平均)
 ・2,911円(第1期)→4,972円(第5期,2012〜2014年度)

(参考資料)
@介護保険制度の仕組み
A介護保険の保険料(第1号被保険者)
B介護保険の保険料(第2号被保険者)

C「地域包括ケアシステムの構築〜介護保険サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部改正」(2011年8月)
D「地域包括ケア研究会報告書」(2010年4月)

(2011年6月の介護保険法改正以降の関連記事)
7/2「2010年度 介護保険事業状況報告(年報)」,6/26「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」,6/20「2012年版 高齢社会白書」,5/23「2011年度 特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究」,5/17「在宅医療・介護あんしん2012」,5/16「介護職員をめぐる現状と人材の確保等の対策について」,4/25「大規模災害時における被災施設から他施設への避難,職員派遣,在宅介護者に対する安全確保対策等について(事務連絡)」,3/28「介護保険制改正の概要および地域包括ケアの理念」および「地域包括支援センター業務マニュアル」3/1「介護報酬改定検証・研究委員会」が設置される,2/7(「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておく)2011年12/22「2012年度 診療報酬・介護報酬改定」,8/25「2010年度 介護労働実態調査結果(2010年11月実施)」,9/12「介護保険におけるケアマネジメントについて」,10/25「社会保障・税の一体改革成案」における「医療・介護制度改革」を理解しているか?,9/89月9日が,パブリックコメントの締め切りである(「介護職員等によるたんの吸引等の実施に関する御意見募集」および「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則等の一部を改正する省令案等に関する御意見募集」)),8/8「2010年度介護給付費実態調査の概況」,6/28「改正介護保険法」が成立の記事を参照
7/18 日本年金機構 「7月に国民年金保険料の免除申請を!」
<日本年金機構の広報文>
「免除等は,原則として申請日にかかわらず,7月から翌年6月まで(申請日が1月から6月までの場合は,前年7月から6月まで)の期間を対象として審査します。ただし,7月に申請する場合に限って,前年7月から前月の6月分までの期間(前サイクル分)についても申請することができます。初めて免除申請される方や,昨年分の免除申請をし忘れた方は,ぜひこの7月に免除申請してください。」

<国民年金保険料を未納のままにしておくと>
@障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合,障害基礎年金・遺族基礎年金が受けられない場合がある。
A老齢基礎年金を,将来的に受けられない場合がある。

→2011年度の国民年金保険料(現在の保険料:月額14,980円)の納付率は,58.6%で過去最低を更新した。6年連続の減少である。若い世代ほど納付率が低くなる傾向があり,最低は25〜29歳の46.1%となっている。非正規労働者の増加,若者世代の年金制度への不信感などにより納付率の低下に歯止めがかからない。無保険の人が増加し続けているということは,「国民皆保険制度の崩壊」が進行し続けていることを意味する。(筆者)

7/10「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」,6/27「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆議院で可決された),5/75月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる)の記事を参照
7/17 - ■大津市のいじめ自殺に関する「中学校長」(末端)「野田首相」(トップ)の見識(You Tube) ・2011年10月11日,大津市で同級生からいじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自宅マンションから飛び降り自殺した。
・自殺直後〜12月,男子生徒の父親が大津署に被害届を提出しようと相談したが,大津署は3度も受理しなかった。
・2012年2月,被害者の親による民事訴訟が提訴され,大津市・加害生徒3人・その保護者に対して7720万円の損害賠償を求めて,大津地方裁判所に提訴した。
・5月,第1回口頭弁論において,大津市はいじめとの因果関係を明確に否定した。
・7月4日,マスメディアが教育委員会のアンケートの隠蔽やいじめの衝撃的な実態を報道し始めた。
・7月11日,滋賀県警は,同級生3人が男子生徒に暴行した疑いがあるとして,市教育委員会と市立中学校を家宅捜索した。

→紹介しなかったが,左記2名の中間に位置する文部科学大臣,滋賀県知事,大津市長,教育委員会教育長,大津警察署長などの行政機関のコメントも聞くに堪えないものである。中学校における直属の責任者である学級担任から一国のトップである野田首相まで,本件の関係者・機関に共通するのは,「事なかれ主義」と「保身のためのパフォーマンス」である。
→7月4日以降,連日,マスメディアがセンセーショナルに,ヒステリックに取り上げている。これも単なるブームになるような気もするが・・・。7月16日には,フジテレビの番組に野田首相が出演し,「いじめている子,いじめられている子がいると分かったなら,見て見ぬふりをしないこと。これが一番大事なことです」と述べ,また,いじめを受けている子どもには,「あなたは1人ではありません。あなたを守ろうという人は必ずいます。それを信じてお父さん,お母さん,先生,友だち,誰でもよいから相談してください」と呼び掛けていた。野田首相の現状認識の不十分さといじめへの見識の低さが露呈された。また,具体的な解決策とは程遠い的外れなメッセージを聞いていて,失笑したのは筆者だけではないはずである。
→いじめの解決に,一般論も一般解も役立たない。今回,これほどまでに,国民的な議論を巻き起こすことができたのは,被害者の親の勇気ある民事訴訟の提訴であったと思う。本日10:00から,第2回口頭弁論が行われるらしい。いろんな人間の化けの皮が剥がれていくことを期待している。(筆者)


6/16「2012年版 自殺対策白書」,5/21「2011年 少年非行等の概要」,4/19「2011年中の警察安全相談の状況」の記事を参照
7/13 消防庁 「2012年6月の熱中症による救急搬送状況」

(7月19日追記)
「今夏の熱中症対策の一層の強化について(厚生労働省)
・2012年7月12日,総務省消防庁は,「2012年6月の熱中症による全国の救急搬送の状況(確定値)」をとりまとめ,公表した。
<2012年6月の熱中症の救急搬送確定値のポイント>
・2012年6月の熱中症による救急搬送人員は1,837人(前年比73.7%減)であった。
・年齢区分では,65歳以上の高齢者が777人(42.3%),成人(18歳以上65歳未満)674人(36.7%),少年(7歳以上18歳未満)346人(18.8%),乳幼児(生後28日以上7歳未満)40人(2.2%)の順であった。
・医療機関での初診時における傷病程度では,軽症が1,280人(68.7%),中等症488人(26.6%),重症40人(2.2%),死亡3人(0.2%)の順であった。

2011年の6月と比べ救急搬送人員が大幅に減った理由は,単に昨年が猛暑だったというだけではなく,課題はあるものの厚生労働省(5/185/30)などの啓発・注意喚起活動が実施され,「熱中症への国民の理解」が深まったことによるものと思われる。(筆者)

5/18「2012年度の熱中症対策に関する気象情報」
の記事を参照

<熱中症に関する関連省庁の情報サイト>
消防庁(熱中症情報)
環境省(熱中症情報)
気象庁(熱中症に注意)
厚生労働省(熱中症関連情報)
熱中症関係省庁連絡会議(消防庁,環境省,気象庁,厚生労働省,文部科学省)
7/11 厚生労働省 ■2013年4月1日から「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」に変わる ・2012年6月27日,「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が公布され,2013年4月1日から「障害者自立支援法」は「障害者総合支援法」(正式名称:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)となる。
・「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」は,2012年3月に閣法として閣議決定され,2012年4月26日に衆議院にて修正・可決,2012年6月20日に参議院にて可決・成立し,6月27日に公布された。
<整備法のポイント>
@施行期日
・2013年4月1日施行 :「障害者自立支援法」の名称を「障害者総合支援法」にすることとし,障害者の定義に難病等が追加される。
・2014年4月1日施行 :重度訪問介護の対象者の拡大,ケアホームのグループホームへの一元化などが実施される。
A新旧対象
法律の新旧対照表
B付帯決議
衆議院(2012年4月18日)
参議院(2012年6月19日)

→障害者自立支援法制定以降の障害者制度改革を概観する。
小泉構造改革の中で障害者自立支援法が2005年制定され,障害者の受益者負担が強化された。「障害者権利条約」は,2006年12月13日にに国連で採択され,日本政府は2007年9月28日に署名し,2008年5月3日に発効した。2009年9月,民主党に政権交代し,直後の9月19日,長妻元厚生労働大臣が障害者自立支援法の廃止を明言し,2009年12月8日,内閣府に「障がい者制度改革推進本部」が設置されたことにより,いわゆる「障害者制度改革」が始まった。2010年1月に障害者自立支援法訴訟団と基本合意を結び和解し,国連の障害者権利条約を批准するための国内法整備を目的として,2010年6月29日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が閣議決定された(基本的な方向:@障害者基本法の改正と改革の推進体制,A障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等,B「障害者総合福祉法」(仮称)の制定)。また,2010年12月3日,第176回臨時国会において「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」が成立し,2012年4月1日に本格施行された。
「改正障害者基本法」(上記@)は,第177回通常国会において,2011年7月29日に成立し,8月5日から施行されている。
「障害を理由とする差別の禁止に関する法律」(上記A)は,2013年の通常国会への法案提出に向けて,「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」で検討されている。
「障害者総合福祉法」(仮称)に当たる法律としての「障害者総合支援法」(上記B)は,第180回通常国会において,2012年4月26日に衆議院を通過し,6月20日に参議院で可決・成立し,6月27日に交付された。なお,この法案提出については,障害者団体などからは「内容が,障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会の障害者総合福祉法骨格提言とかけ離れている」などの批判があり,障害者自立支援法の廃止を求めた違憲訴訟の関係者からは「国は,原告団・弁護団と結んだ基本合意をどう考えているのか」との反発があったが,政府・民主党は無視して強行した経緯を持つ。ここまで来ると,筆者には,民主党の欠点ばかりが目に付き,幼稚さが鼻に付いてきた。
→次回の3福祉士国家試験おいて,本法律の出題は必至である。上記の経過を含めて,十分な理解が必要である。(筆者)


6/11「2012年版 障害者白書」,4/11「自立支援医療における利用者負担」(2012年4月)の記事を参照
7/10 内閣官房 「社会保障・税一体改革に関連する国会提出の修正法案」 ・2012年6月26日, 民主・自民・公明の3党で合意した「社会保障と税の一体改革関連法案の修正案」は,衆議院で可決され,参議院に送付された。
・2012年7月6日,参院本会議が開催され,「社会保障と税の一体改革関連法案」を審議するための「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」の設置を決めたが,民主党内のゴタゴタの影響で,参院審議などの国会日程が不透明な状況にある。

→社会保障にかかる費用の将来推計では,2012年度は109兆円であるが,2025年度は149兆円になると推計されている。「社会保障と税の一体改革関連法案の修正案」では2015年に消費税率を10%までひき上げることになっているが,それだけでは財源が足りないことは明白である。その対応として,@大胆な費用の抑制か,Aさらなる増税しかないことも明白である。
→改めて「修正案」の中身を見ると,「持続可能な社会保障制度の構築の考えを持たない,その場しのぎの増税だけで終わらせる修正案である」ことが明白である。
→「修正案」によって,民主・自民・公明3党の化けの皮が剥がれたので,むしろ,国民にとってはよかったのかも知れないと思う。(筆者)


6/27「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆議院で可決された)6/22「2012年版 暮らしの税情報」,6/14民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末),6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
7/9 厚生労働省 「2011年版 働く女性の実情」(概要 / 本文 ・2012年7月6日,厚生労働省は,「2011年版 働く女性の実情」(いわゆる「女性労働白書」)を公表した。
・「働く女性の実情」は,政府や研究機関等の各種統計調査を用いて,働く女性の状況等を分析した報告書で,1953年から毎年公表されている。
<2011年版の構成>
I部第1章 :就業状況や労働条件など,働く女性に関する状況
I部第2章 :「女性の継続就業〜全員参加型の社会を目指して」と題し,急速な少子高齢化が進む中,全員参加型社会を目指す上で女性の就業継続に影響を与える要因や仕事と家庭の両立支援の状況などについての分析,検討
II部     :働く女性に関する厚生労働省の施策
@女性の就業継続に影響を与える要因
 ・育児休業制度(P15,16)
 ・キャリア意識(P19〜21)
 ・両立支援制度利用者のキャリア形成支援(P23)
A女性の継続就業,活躍推進に向けた方策(まとめ)(P26,27)

→2011年の雇用者のうち「非正規の職員・従業員」に当たる女性は,54.7%(1188万人,岩手,宮城,福島の被災3県を除いた前年比で0.7%増)で,過去最高であった。年齢が上がるほど非正規の割合が増えており,「妊娠・出産で退職した女性が非正規雇用になっている」と分析している。なお,非正規として働く女性のうち「パート・アルバイト」が前年比18万人増の916万人,「契約社員・嘱託」が154万人,「派遣社員」が56万人などである。
→「労働力率」(働く意欲のある人の割合)では,従来から出産後の30代が落ち込む「M字カーブ」が問題となっているが,「25〜29歳」(77.2%)と「45〜49歳」(75.7%)を左右のピークとし,「35〜39歳」を底とするM字型カーブを描いているものの,M字型の底の値は67.0%(前年比0.9%増)となり,改善されていると説明されている。
→厚生労働省が言うように「働きたかった女性が働ける環境が整備されてきた」のか,それとも,望まないけれど苦しい家計を助けるために主婦が仕方なく非正規で働かなければならなくなってきたということなのか。(筆者)

7/6 厚生労働省 「2011年 国民生活基礎調査の概要(小規模調査)」 ・2012年7月5日,「2011年 国民生活基礎調査の概要」が公表された
・国民生活基礎調査は,保健,医療,福祉,年金,所得等国民生活の基礎的事項を調査し,厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得ることを目的とするもので,1986年を初年として3年ごとに大規模な調査を実施し,中間の各年は小規模な調査を実施するものである。
・今回の2011年調査は小規模調査であり,直近の大規模調査は2010年であった。 
<2011年調査の概要(ポイント)>
・2010年の1世帯当たりの平均所得(岩手,宮城,福島3県を除く)は538万円(前年比2.4%減)であった。
・世帯形態別の所得では,子供のいる世帯が658万.1万円(前年比5.5%減),高齢者世帯は307.2万円(前年比0.6%減)であった。
・高齢者世帯の67.5%は公的年金・恩給のみの収入で,平均所得以下は61.1%を占めた。
・15歳以上(役員以外)の雇用者1人当たりの平均所得は,「正規職員・従業員」が414.3万円,「非正規職員・従業員」が123.4万円であった。
・生活についての質問では,全世帯のうち61.5%が「苦しい」と回答し,過去最高であった。なお,子供のいる世帯では69.4%であった。

→「国民生活基礎調査」は,福祉専門職の試験には頻出である。
→2012年度の3福祉士国家試験については,「2010年 国民生活基礎調査の概要(大規模調査)」(2011年7月12日公表)から出題される可能性が高いので,この機会に調査結果(@世帯数と世帯人員数の状況,A各種世帯の所得等の状況,B世帯員の健康状況,C介護の状況)を完全に把握しておくことを勧める。(筆者)
7/4 内閣府 久しぶりに使う扇風機やエアコンの発火事故が多発している
<政府広報オンラインでの広報(抜粋)>
「いよいよ夏到来。これからの暑さを乗り切るための必需品といえば,扇風機とエアコンです。しかし,久しぶりに使う扇風機やエアコンで,火災などの事故が発生していますので,注意が必要です。製品による事故を防ぎ,扇風機やエアコンを安全に使用するために,注意すべきポイントを紹介します。」
・久しぶりに使う扇風機には注意しましょう
・エアコンは室内機・室外機ともに異常がないか,注意しましょう
・「製品安全ガイド」をチェックして,製品事故から身を守りましょう

→2009年4月1日から,「長期使用製品安全点検・表示制度」が始まった。点検制度の対象製品は9品目(屋内式ガス瞬間湯沸器など),表示制度の対象製品は5品目(扇風機,換気扇,洗濯機(洗濯乾燥機を除く),エアコン,ブラウン管テレビ)である。表示制度は,点検制度と違い製品の法定点検を行わないが,経年劣化による事故件数の多い家電製品5品目の設計上の標準使用期間と経年劣化についての注意喚起の表示が,メーカーなどに義務化されたものであり,異常な症状を感じてのメーカーや販売店への相談は,原則,所有者の責任において行わなければならない。(筆者)
7/3 ■厚生労働省の「違法ドラッグ」への対応は甘くないか →2012年4月24日,「内閣府消費者委員会」は,「違法ドラッグ対策に関する提言」および「皆様へのメッセージ」を公表し,「河上消費者委員会委員長が記者会見」を行った。提言において,厚生労働省に対し,@成分構造が類似していれば薬事法違反として一括で規制対象とする「包括指定」の導入,A現状では麻薬や覚せい剤などの捜査権限しかない麻薬取締官(員)に違法ドラッグを独自に捜査・摘発できる司法警察職員としての取締権限などを持たせるなどの体制強化を検討するよう要請している。
→にもかかわらず,厚生労働省は,2012年7月1日から,新たに9物質を規制対象に加えるというような,これまで通りの効果の薄い後追い規制を行っている。これでは,「違法ドラック」(いわゆる「脱法ハーブ」「合法ハーブ」「脱法ドラッグ」)を野放しにしているのに等しい,.との有力な指摘がある。薬事法上の問題は理解できるが,国民は厚生労働省に対してスピード感のある的確な対応を求めている。
→精神保健福祉士を含む福祉専門職は,薬物に関する正確な知識,薬物乱用防止に対する自身の見解を持っていなければならない。(筆者)


「薬物乱用に関する情報」(厚生労働省)
「厚生労働省地方厚生局麻薬取締部のHP」
7/2 厚生労働省 「2010年度 介護保険事業状況報告(年報)」(ポイント / 概要 / 全国計 ・2012年6月29日,「2010年度介護保険事業状況報告(年報)」が公表された。
・本報告は,介護保険事業の実施状況について,保険者(市町村等)からの報告数値を全国集計したものである(ただし,東日本大震災により,福島県の5町1村(広野町,楢葉町,富岡町,川内村,双葉町,新地町)は除外)。
・利用者負担を除く2010年度の介護給付費が,介護保険制度創設以来,初めて7兆円を突破した。1か月平均の給付費(高額介護サービス費などを除く)は,5700億円であり,サービスごとの内訳は,居宅サービス51.8%,地域密着型サービスが9.1%,施設サービス39.0%であった。

→介護支援専門員(ケアマネジャー)試験受験者には,必ず目を通しておいてもらいたい最新資料である。(筆者)
6/28 内閣官房 「2012年は国連の定めた国際協同組合年(IYC)」
〜スローガン :協同組合がよりよい社会を築きます,Co-operative enterprises build a better world〜

・国連は,1957年より「国際年」を設け,共通の重要テーマにつき,各国や世界全体が1年間を通じて呼びかけや対策を行うよう取り組んでいる。
・2009年12月の国連総会において,2012年を「国際協同組合年(IYC=International Year of Co-operatives)」とする決議が採択された
<「国際協同組合年(IYC)」の目的>
(1)協同組合についての社会的認知度を高める・・・協同組合の貢献・協同組合の世界的ネットワーク・コミュニティ構築や平和への取組などについて知ってもらう
(2)協同組合の設立や発展を促進する
(3)協同組合の設立や発展につながる政策を定めるよう政府や関係機関に働きかける

→協同組合とは,「人と人の結びつきによる非営利の協同組織」と定義され,農業協同組合(農協),漁業協同組合(漁協),森林組合,事業協同組合,労働者協同組合,住宅協同組合,信用協同組合などがあり,日本の加入組合員数は延べ約8000万人と言われる。また,国際組織としては「国際協同組合同盟(ICA)」があり,日本の全国組織としては「日本協同組合連絡協議会(JJC=Japan Joint Committee of Co-operatives)」がある。
→「協同組合」は,3福祉士国家試験においては,「地域福祉」のカテゴリーで出題される。過去問では,「@消費生活協同組合の事業活動は,社会福祉における自助,公助,共助という仕組みの中で共助に位置づけられる。A利潤非分配が明確な組織のみを非営利団体として免税対象とするアメリカにおいては,非営利目的であっても余剰を会員に分配する協同組合や共済組合は,非営利セクターから除外される。」などがあった
(@,Aは正文か?)。(筆者)


「消費生活協同組合(生協)」(厚生労働省)
6/27 - ■「社会保障と税の一体改革関連8法案」が衆議院で可決された ・9月26日,消費増税を柱とする「税と社会保障の一体改革関連8法案」は,衆院一体改革特別委員会で採決され,民自公3党などの賛成多数で可決され,同日,衆院本会議でで可決された。
「社会保障・税一体改革関連8法案」とは>

区分 法案名 修正協議の結果
(1)  
年金
@年金機能強化法案 政府提出・修正
A被用者年金一元化法案 政府提出・修正
(2)
子育て
B子ども・子育て支援法案 政府提出・修正
CBの関連法整備法案 政府提出・修正
D総合子ども園法案(撤回)
    ↓
 認定子ども園法改正案
3党共同提出
(3)
税制
E消費税法等改正案 政府提出・修正
F地方税法・地方交付税法等改正案 政府提出・修正
(4)
その他
G社会保障制度改革推進法案 3党共同提出

→結局,「高齢者票目当て」による従来の「高齢者過剰優遇」の修正はされず,アメリカの意向を受けた財務省の官僚主導と自公民の談合によって増税だけを実施するということになり,社会保障の歳出面の改革も財政再建もまったく期待できないことが決定的となった。そして,海外にはデフレも円高も放置したままという印象を与えた。(筆者)

6/22「2012年版 暮らしの税情報」,6/14民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末),6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
6/26 厚生労働省 「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」 ・2012年6月18日,原則非公開で,厚生労働省の幹部だけで構成された「認知症施策検討プロジェクトチーム」が,「今後の認知症施策の方向性について(報告書)」をまとめ,公表した。
・本報告書は,これまでの提言である@「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」(2008年7月10日),A「介護保険制度の見直しに関する意見(社会保障審議会介護保険部会)」(2010年11月30日),B「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム第2Rとりまとめ」(2011年11月29日)等を踏まえて検討された,と説明されている。

→今後,本報告書は,社会保障審議会介護保険部会で追認され,2013年度からの取組み計画や医療計画,2013年度概算要求に反映させられるものと見られている。

→本報告書では,「認知症初期集中支援チーム」の創設,「身近型認知症疾患医療センター」の設置,地域密着型サービス(認知症高齢者グループホーム・小規模多機能型居宅介護など)の拡充,認知症ケアモデルの策定,認知症の薬物治療に関するガイドラインの策定,かかりつけ医の対応力を向上させるための研修の充実,などが提言され,威勢がいい。
→しかし,本報告書に関する筆者の感想としては,「現実離れしている」以外には思い浮かばない。また,前提条件となる認知症者数を,10年前の2003年全国推計をベースにしている「今後の認知症施策の方向性」には信頼が置けないと考えている。現状の実数を把握できるのに,あえて10年前のデータを基準にしている理由は,「この程度の認知症施策でごまかしておくほうが都合がいい」と厚生労働省の官僚が考えたからではないかと勘ぐっている。本当は,すでに「この程度の認知症施策ではどうしようもならない」ほどの認知症者数が推計されているとしたら,と思うとゾッとする。受け皿としての介護保険制度の行く末が心配になる。
→ところで,「認知症サポーター」が,2012年3月31日時点で,3,301,610人になり,万々歳ではあると思うが,その効果や成果はどうなっているのだろうか。(筆者)
6/25 厚生労働省 「職場のパワーハラスメントの広報資料」(ポスター / リーフレット / パンフレット ・2012年6月15日,厚生労働省は、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取り組みを呼びかけるポスター等の広報資料を作成し,公表した。
・広報資料は,2012年3月15日の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(座長:堀田力 さわやか福祉財団理事長)における「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」の内容を分かりやすく紹介しており,厚生労働省では,今後,都道府県労働局や労働基準監督署などで配布し,企業や労働組合に対して,この問題の予防・解決に向けた取り組みを呼びかけていくとのことである。

5/30(■「2011年度 個別労働紛争解決制度施行状況」3/19「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」3/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」の記事を参照

(参考資料)
「職場のいじめ・嫌がらせ,パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査結果」(2012年4月27日,JILPT)
6/22 国税庁 「2012年版 暮らしの税情報」 ・2012年4月1日現在の法令等に基づいて作成された国税庁のパンフレットである。
<目次>
(1)税の基礎知識
@所得税のしくみ
A記帳や記録保存・青色申告
B消費税のしくみ
(2)給与所得者と税
@給与所得者と税
A夫婦と税(パートと税)
B退職金と税
(3)高齢者や障害者と税
@高齢者と税(年金と税)
A障害者と税
(4)暮らしの中の税
@医療費を支払ったとき
A保険と税
B寄附金を支払ったとき
C災害等にあったとき
D株式と税
E利子や配当と税
(5)不動産と税 贈与・相続と税
@マイホームを持ったとき
A土地や建物を売ったとき
B財産をもらったとき
C財産を相続したとき
(6)申告と納税
@申告と納税
A確定申告書等作成コーナー/電子申告・納税(e-Tax)
(7)その他
@税に関する相談をするには/情報公開や個人情報の開示を請求するには
A税務署の処分に不服があるとき
B個人で事業をはじめたとき 法人を設立したとき
C公売に参加するには

→2012年6月21日,民主,自民,公明3党は,消費税増税を柱とする「税と社会保障の一体改革7法案」を修正して,今通常国会で成立を図る「確認書」に署名したと報道されている。これによって,消費税は,2014年4月に8%,2015年10月に10%に増税されることが実質的に決定したことになる。なお,同日,会期延長は,2012年9月8日までの79日間として,衆院本会議で与党の賛成多数で議決されている。
→ついでの話である。「社会保障と税の一体改革関連7法案」には,もともと医療も介護も含まれていなかったし,最低保障年金は先送りされ,「総合子ども園」も断念された。今後,自民党の対案をベースにした「社会保障制度改革推進法案」が提出され,「社会保障制度改革国民会議」で議論し,法施行後1年以内に法制化することが内容になるらしい。結局,民主党には「まっとうな社会保障政策」は皆無だったということが明らかになったけれど,国民のショックも皆無である。ここに来て,野田首相の「命を懸けた消費税増税の成立,解散の回避」の唐突でマヌケな決意表明の真意が,「アメリカ政府の求めるところ」であったことが分かってきた。(筆者)


6/14民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末),6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
6/21 内閣府 「2012年版 男女共同参画白書」(概要 / 本文 ・2012年6月19日,「2012年版 男女共同参画白書」が閣議決定され,同日公表された。
・男女共同参画白書は,1999年の「男女共同参画社会基本法」に基づく法定白書である。

<第24回社会福祉士国家試験問題>
問題27 我が国のジェンダー・男女共同参画に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

@「男女共同参画社会基本法」(1999年)では,制度や慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響を,できる限り中立的なものにするよう配慮することが定められている。
A男女同一賃金の原則が初めて法律上規定されることになったのは,「男女雇用機会均等法」(1985年)においてである。
B「社会生活基本調査(2006年)」(総務省)が示す数字では,共稼ぎ世帯においても,夫の家事時間は妻の家事時間の半分程度に留まっている。
C母親役割についての社会規範も影響し,「全国母子世帯等調査(2006年度)」(厚生労働省)が示しているように,母子世帯の母親の就業率は極めて低い状態が続いている。
D女性パートタイム就労は家計補充手段として発達してきたので,現在でもその内容はごく一部の例外を除き,ほとんどが正規雇用労働者とは異なる単純な仕事である。

→日本の男女共同参画政策を概観する。1975年「国連女性年」,1999年「男女共同参画社会基本法」,2000年「男女共同参画基本計画」(5年ごとの具体的な施策まとめ),2001年「内閣府男女共同参画局設置」,2010年「第3次男女共同参画基本計画」,である。
→内閣府男女共同参画局は,毎年6月23日〜29日を男女共同参画週間として啓蒙活動を行っている。「2012年度 男女共同参画基本計画関係予算」(総括表 / 分野別内訳表)をご覧いただきたい。もっともらしい項目に多額の予算が計上されているが,毎年のことながら,筆者は素直に了解できないでいる。これは筆者の「男女共同参画」に対する理解不足からきていることなのだろうか。(筆者)

6/20 内閣府 「2012年版 高齢社会白書」(概要 / 本文 ・2012年6月15日,「2012年版 高齢社会白書」が閣議決定され,同日公表された。
・高齢社会白書は,1995年の「高齢社会対策基本法」に基づ
く法定白書である。
・白書によれば,2011年10月1日の人口は1億2780万人で,このうち65歳以上の人口は2975万人で,高齢化率は23.3%(前年比0.3%増)である。また,75歳以上の後期高齢者は1471万人で,総人口比は11.5%%であった。2060年には,65歳以上が10人に4人となり,75歳以上はは4人に1人という超高齢社会になると予測している。また,今後の超高齢社会に向けて,「65歳以上」を「支えが必要な側」ではなく,「支える側」ととらえる意識改革が必要などとの考え方を示している。

→日本における高齢社会対策の経緯を概観する。1986年「長寿社会対策大綱」,1995年「高齢社会対策基本法」,1996年「高齢社会対策大綱」,2001年「高齢社会対策大綱の見直し」を経て,2011年10月に野田首相が大綱の見直しを指示し,「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」が設置され,2012年3月に「報告書」がまとめられた。こんなメンバーに日本の将来社会をお伺いすること自体がばかげていると筆者は思っている。そして,この「りっぱな報告書」を踏まえて,2012年5月に大綱の見直しが閣議決定されることになっていたが,遅れているようである。大綱を見直すにしても,ごそごそと適当に決めるのではなく,まっとうな人を交えて議論し,その内容を国民にきちんと広報すべきであると思う。最後に,国際基準である「高齢者」の年齢65歳」を見直す議論が,的外れで不毛であることにいつ気づくのだろうか。(筆者)
6/19 内閣府 「B型肝炎特別措置法に基づく給付金等の支給について」
<内閣府の広報文(抜粋)>
●B型肝炎ウィルスの感染経路の一つに,幼少期に受けた集団予防接種などの際の注射器の連続使用があります。この集団予防接種などの際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウィルスに感染した方々を救済するため,「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(B型肝炎特別措置法)が2012年1月13日に施行され,対象となる方に給付金などが支給されることになりました。なお,対象者の認定は,裁判上の和解手続などにおいて行います。
●注射器を交換する旨の指導が行われなかったことについて,国の責任が認められているのは1948年7月1日〜1988年1月27日までの間です。

●給付金の額 :50万円〜3600万円

→2011年6月28日に,集団予防接種が原因でB型肝炎に感染したとして,患者らが国を訴えた「B型肝炎訴訟」で,菅首相が「原告団に対して」,直接謝罪し,国と原告は,和解のための基本合意書に調印した。当時,国は基本合意による救済対象者は全国で43万人に上り,その支給額は今後5年間で最大1.1兆円になるとして,その財源を確保するために増税が必要だと言っていた。2012年1月13日に施行されたB型肝炎特別措置法が,現時点での提訴者は1%以下で和解に応じた者は400名にも満たないと聞いている。提出資料の簡素化などの抜本的な改善の必要性も指摘されているが,国はこの程度の広報活動でお茶を濁している。(筆者)

「B型肝炎訴訟について」(厚生労働省)
「肝炎総合対策の推進」(厚生労働省)


2011年7月19日「7月28日は,“World Hepatitis Day”(世界肝炎デー)」の記事を参照
6/15 法務省 「子どもの人権110番」強化週間<6月25日〜7月1日>
<法務省の広報文(抜粋)>
法務省,全国人権擁護委員連合会では,子どもを取り巻く人権問題について,全国一斉の強化週間を実施します。
 ・期間    :2012年6月25日〜7月1日
 ・受付時間 :8時30分〜19:00(土・日は10:00〜17:00)
 ・電話番号 :0120-007-110
●「子どもの人権110番」とは,「いじめ」や体罰,不登校や親による虐待といった,子どもをめぐる人権問題は周囲の目につきにくいところで発生していることが多く,また被害者である子ども自身も,その被害を外部に訴えるだけの力が未完成であったり,身近に適切に相談できる大人がいなかったりする場合が少なくありません。「子どもの人権110番」は,このような子どもの発する信号をいち早くキャッチし,その解決に導くための相談を受け付ける専用相談電話であり,子どもだけでなく,大人もご利用可能です。電話は,最寄りの法務局・地方法務局につながり,相談は,法務局職員又は人権擁護委員がお受けします。相談は無料,秘密は厳守します。
「子ども110番」の利用状況 (2011年=25,914件)

(参考)
2011年中の「人権侵犯事件」の状況について
 →学校におけるいじめ事案の推移
 →児童に対する暴行・虐待事案の推移
 →社会福祉施設における人権侵犯事件の推移

「児童の権利に関する条約」(1989年に国連採択,日本は1994年に批准)
「法務省人権擁護局HP」
6/14 ■民主党の「子ども手当」と「総合子ども園」の顛末
<2009年12月29日記事の再掲>
「子ども手当」は愚策ではないか
〜ドイツの二の舞を踏むことにならないか〜

→すでに,2003年のOECDの家族政策と合計特殊出生率に関する研究において,金銭的援助より保育サービスの充実の方が合計特殊出生率との相関関係が強い,ということが示されている(「OECD Social, Employment and Migration Working Paper 2003」の図20および図21を参照)。このOECDの研究は,2006年の「少子化対策について」(「第15回社会保障の在り方に関する懇談会」資料)でも紹介され,日本との対応にも言及されている。また,2009年11月18日には,OECDは,日本の経済政策について初めて包括的な提言を発表し,「成長戦略」や「雇用」など9分野に言及し,「鳩山政権が導入を目指す「子ども手当」については「目的と対象を再検討すべきだ」とし,手当の一律支給よりも「待機児童」の解消に力を注ぐべきだとの考えを示した」と報道された。
→民主党の「子ども手当」は,小沢幹事長が選挙対策用に考え出した政策の目玉という位置づけで,練度が低いと一部では言われている。福祉対策なのか,景気対策なのか,少子化対策なのかすら明確でない政策であるとも言われている。
→ドイツは,「家族手当」として子ども一人当たり日本円で2万円程度をばら撒き続けてきたが,就学前の保育の拡充などの総合的な子育て支援策が遅れために,未だに合計特殊出生率は回復していない(「2005年度出生に関する統計の概況」の国際比較),との国際的な嘲笑を受けている。
→筆者は,早晩,「子ども手当」を見直さなければならなくなると予想している。
(筆者)

→民主党の「子ども手当」は,財源確保が難しいことから半額支給(月額13,000円)で,2010年4月1日からスタートし,2度のつなぎ法(2011年4月からの6か月間,2011年10月からの6か月間)を経て,2012年3月31日をもって廃止された。2012年4月からは,改正児童手当法により新しい児童手当制度が始まり,2012年6月分からは所得制限が適用されている。
→2012年5月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まり,5月17日からは衆院の特別委員会で実質的な審議がなされ,論点が明確になり,現在民主党,自民党,公明党の3党による法案の修正協議が行われている。「子ども・子育て関連3法案」のうち自民党,公明党が反対している「総合子ども園法案」が撤回される可能性が極めて高くなったと報道されている。
→「子ども手当」も「総合子ども園」も民主党の目玉政策であった。民主党の子育て分野の完全な破綻を実感したと同時に,いい加減にまとめられた待機児童解消策としての「総合子ども園法案」に期待する声は少なかったので,撤回は国民にとっては望ましいことではないか,と筆者は思う。ところで,2011年の合計特殊出生率は1.39であり,2010年と同値の横ばいで,回復傾向とはなっていない。(筆者)


6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
6/13 厚生労働省 「新がん対策推進基本計画(2012〜2016年度」(概要 / 本文

(6月22日追記)
「がん対策推進基本計画に関する都道府県説明会資料」
・2012年6月8日,2012年度から5年間のがん対策の骨格を定めた次期「がん対策推進基本計画」を閣議決定し,同日公表された。
・「がん対策推進基本計画」は,2007年に施行した「がん対策基本法」に基づいて,日本人の死因トップのがんの治療体制を全国的に向上させるために,5年ごとに策定されるもので,今回が初めての改定である。
・今後は,各都道府県が同計画に基づいて,地域ごとの計画見直しを進めることになる。
<今回の改正で新たに盛り込まれた項目>

区分 新規の項目
第2 重点的に取り組むべき課題 4. 働く世代や小児へのがん対策の充実
我が国で死亡率が上昇している女性のがんへの対策,就労に関する問題への対応,働く世代の検診受診率の向上,小児がん対策等への取組を推進する。
第3 全体目標 3. がんになっても安心して暮らせる社会の構築
第4 分野別施策と個別目標 1. がん医療
(5) 医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組
有効で安全な医薬品を迅速に国民に提供するための取り組みを着実に実施する。
7. 小児がん
5年以内に,小児がん拠点病院を整備し,小児がんの中核的な機関の整備を開始する。
8. がんの教育・普及啓発
子どもに対するがん教育のあり方を検討し,健康教育の中でがん教育を推進する。
9. がん患者の就労を含めた社会的な問題
就労に関するニーズや課題を明らかにした上で,職場における理解の促進,相談支援体制の充実を通じて,がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指す。

結論だけを言えば,筆者には,年間およそ35万人に上る「がんの死亡者」という切実な問題を抱えているにもかかわらず,根本的な解決をしようとする意志の見えない基本計画のように思える。
→2012年3月1日に「がん対策推進協議会」は,次期がん対策推進基本計画の厚生労働省案を了承・答申し,6月8日に閣議決定した。今回改正の答申から閣議決定までの最大のポイントが,喫煙率を今後10年間で12%にするという数値目標を示すことだった,と聞かされると悲しさが増す。

「がん対策推進協議会」の会長である公益法人がん研究会有明病院の門田院長も,「今のがん対策の課題は,例えば,がん難民問題,がん治療の地域格差,がん種の格差,ドラッグ・ラグ,専門医不足など」とし,今回の改正は「本質的な議論」を避けた「氷山の一角」であった,と公言しておられる。(筆者)


4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,4/18厚生労働省の新政務三役,3/204月1日から,厚生労働省健康局に「がん対策・健康増進課」が設置される)の記事を参照

「がん対策情報」(厚生労働省)
「がん情報サービス」(国立がん研究センターがん対策情報センター )
6/12 内閣府 「2012年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・2012年6月8日,「2012年版 自殺対策白書」が閣議決定され,同日公表された。
・自殺対策白書は,2006年に施行された「自殺対策基本法」に基づく法定白書である。

<白書の構成>
第1章 :自殺の現状
第2章 :自殺対策の基本的な枠組みと動向
特集 :自殺統計の分析
第3章 :自殺対策の実施状況

<ポイント>
@自殺の推移
・1998年に自殺者数が急増して以来,14年連続で年間自殺者数が3万人を超えている。
・自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)も自殺者数と同様の傾向であり,1998年に急増し,2011年は24.0と高い状態が継続している。
・近年30歳代はやや増加傾向にある一方,50歳代は2003年を境に減少傾向にある。
・2006年までの近年の職業別の自殺者数の推移では,2003年に「無職者」と「被雇用者」がいったん増加するが,「自営者」は減少の傾向にある。
・我が国における自殺死亡率は,男女ともに主要国の中でも高い水準にある。
A2011年の自殺の状況
・男女とも5月に最も自殺者数が多くなっている。
・男女別構成比は男性が68.4%で,14年ぶりに男性が7割を下回り,女性が3割を超える状況となった。
・60歳代が最も多く,40歳代から60歳代の男性で全体の約4割近くを占めている。
・「無職者」が最も多く,その内訳は,「その他の無職者」,「年金・雇用保険等生活者」,「主婦」,「失業者」の順である。
・自殺者数は2010年に比べ,東京都,愛知県,福岡県など13都県で増加しているが,その他の道府県では横ばいまたは減少している。
B2011年の自殺未遂の状況
・全ての年齢階級で,自殺未遂歴が「あり」の者の割合は,女性が多くなっている。

→日本の自殺者数は14年連続して年間3万人を超えており,日本の自殺率は世界で8番目に高く,アメリカの2倍,イギリスやイタリアの3倍である。先進国として,恥ずべき状況にある。
→日本の自殺対策を考えている内閣府の「自殺対策推進会議のメンバー」は,「どれだけ不謹慎でマヌケか」という話題である。
2012年1月の「第15回自殺対策推進会議」において,2011年度自殺対策強化月間(2012年3月)のキャッチフレーズとして,当初はAKB48をもじった「あなたもGKB47宣言!」を決定し,内閣府がどや顔で発表した。しかし,「自殺対策にそぐわない」と批判を受け,「あなたもゲートキーパー宣言!」に変更したが,結局イメージキャラクターとして人気アイドルグループ「AKB48」を起用した。どうせ世間知らずの官僚のアイデアだと思ったが,筆者は,当時,これを決めメンバーに,あの「清水康之氏(NPO法人ライフリンク代表)」が加わっていることに大きなショックを受けた。自殺予防対策としては,これまでの国の啓発活動中心では,何の効果もなかったことを学習するべきである。しかも,こんなアホな手法で,税金をどぶに捨てるなんて・・・。
→自殺対策に関する最もホットな話題である。それは,2007年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」は,おおむね5年を目途に見直すこととされており,2012年春を目途に改正の検討が進められていることである。その結果,従来の考え方を踏襲する改正案が出れば,救いようがない国ということになる。しかし,上記清水氏らによって,自殺の要因が複合的であることや,対応には横断的な連携が必要なことが理解でき,また,地域性があることにより,自治体レベルでのきめの細かい対応の重要性も認識されてきたはずである。これらが,どう大綱の改正案に盛り込まれるのかが楽しみである。さらに付け加えると,先日の大阪での通り魔事件で,松井大阪府知事が「自分で死ねよ」と語ったと報道されていた。不謹慎でマヌケなのは,国だけでなく自治体の首長レベルでも同じかもしれないと考えると気が重くなった。
→最後に,何の成果も上げない施策に,堂々と血税が使われる例示として,「2012年度自殺対策関係予算」をご覧いただきたい。筆者は,各省庁の利権のまとめがこの予算だと考えている。(筆者)
6/11 内閣府 「2012年版 障害者白書」(概要 / 本文 ・2012年6月8日,「2012年版 障害者白書」が閣議決定され,同日公表された。
・障害者白書は,1994年に改正・施行された「障害者基本法」に基づく法定白書である。
<白書の構成>
第1章 :「施策の総合的取組と障害者の状況」
第2章 :「相互の理解と交流」
第3章 :「社会参加へ向けた自立の基盤づくり」
第4章 :「日々の暮らしの基盤づくり」
第5章 :「住みよい環境の基盤づくり」

・2011年度における「施策の総合的取組と障害者の状況」をはじめ,「障害者基本計画」の分野別施策の基本的方向の柱立てに沿って,2011年度を中心に障害者のために講じた施策を,「相互の理解と交流」,「社会参加へ向けた自立の基盤づくり」,「日々の暮らしの基盤づくり」,「住みよい環境の基盤づくり」の4つの視点に立ってまとめている。

→障害者自立支援法制定以降の障害者制度改革を概観する。
小泉構造改革の中で障害者自立支援法が2005年制定され,障害者の受益者負担が強化された。「障害者権利条約」は,2006年12月13日にに国連で採択され,日本政府は2007年9月28日に署名し,2008年5月3日に発効した。2009年9月,民主党に政権交代し,いわゆる「障害者制度改革」は,2009年12月8日の「障がい者制度改革推進本部設置」に始まる。2010年1月に障害者自立支援法訴訟団と基本合意を結び和解し,国連の障害者権利条約を批准するための国内法整備を目的として,2010年6月29日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が閣議決定された(基本的な方向:@障害者基本法の改正と改革の推進体制,A障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等,B「障害者総合福祉法」(仮称)の制定)。
・「改正障害者基本法」(上記@)は,2011年7月29日に成立し,8月5日から施行された。
・「障害を理由とする差別の禁止に関する法律」(上記A)は,2013年の通常国会への法案提出に向けて,「障がい者制度改革推進会議差別禁止部会」で検討されている。
・「障害者総合福祉法」(仮称)に当たる法律としての「障害者総合支援法」(上記B)は,2012年4月26日に衆議院を通過し,参議院に送られている状況にある。
→筆者は,民主党政権が「まっとうな政治主導」を放棄したときから,障害者制度改革は,「金がかからないこと」は進むが,「金がかかること」は省庁間の調整が取れず,最終的には抜け道が作られ,骨抜きにされ,実効性のないものになるだろうと想定してきた。関心を持ち続けることが大切であると思う。福祉専門職であれば,「障害者制度改革」について,自分なりの評価ができていなければならない。(筆者)


2/23(「自立支援医療の経過的特例の延長」2011年8/9「改正障害者基本法」が成立(第177回通常国会))の記事を参照
6/8 厚生労働省 受験対策「先進諸国の社会保障施策と最近の動向」
〜「2010〜2011年 海外情勢報告」より〜
<各国の社会保障と2010年〜2011年の動向>
各国の社会保障施策の主な動きとしては,イギリスでは,政権交代に伴い,年金支給開始年齢の引き上げ時期の前倒しを含む2011年年金法が成立し,定年制が撤廃された。フランスでは,若年の見習い労働者受入れの奨励金が創設され,受入れが一定水準以下の場合の課税が強化された。中国では,社会保険制度の包括的枠組みである「社会保険法」が施行された。インドネシアでは,全国民を対象とした新たな社会保障制度を整備した2004年の立法措置を具体的に実施するための「社会保障実施機関法」が国会で可決され,新たな社会保障制度施行への前進となった。(2012年3月)
@アメリカ
Aイギリス
Bドイツ
Cフランス
Dスウェーデン


<2011年度3福祉士国家試験における出題例>
【第24回社会福祉士,第14回精神保健福祉士】
問題55 社会保障に関して,正しいものを一つ選べ。
@ドイツでは,18世紀末のプロイセン一般ラント法により生存権が確立した。
Aイギリスでは,19世紀の末に世界で最初に社会保険が制度化された。
Bフランスでは,1930年代の世界的な不況のなかで,ラロック・プランが作成され,社会保障の普遍化の方針を打ち出して,世界各国に大きな影響を与えた。
Cスウェーデンでの医療保障制度は,税を財源とし,国が運営する全国一本の制度となっている。
Dアメリカの公的な医療保障制度は,これまで低所得者や高齢者などを対象としていたが,2010年,一般の国民にも医療保険への加入を促進する法律が成立した。
【第24回介護福祉士】
問題9 日本の社会保障に関して,正しいものを一つ選べ。
@社会保障制度には,社会保険は含まれない。
A公的医療保険制度の加入は任意である。
B国民年金の加入は任意である。
C労働保険には,雇用保険と労働者災害補償保険がある。
D公的年金制度には,厚生年金保険は含まれない。

→次回3福祉士国家試験の受験対策の一環としてもご覧いただきたい。上記資料は,厚生労働分野における数少ない良質な海外情報の一つであり,この機会に熟読し,理解を深めておくことを勧める。
現在,わが国では,「社会保障・税一体改革関連7法案」の国会審議が行われている。5月8日に衆議院本会議で審議入りし,5月16日から衆議院特別委員会で本格議論が始まり,ようやく6月7日に民主党が自民党・公明党に呼びかけていた修正協議入りの合意ができ,6月8日から実務者の議論を開始し,6月15日までに合意を目指すことになったと報道されている。第180回通常国会の会期末は6月21日である。いつの間にか,3党による談合で,消費税増税が決まるという図式が出来上がった。結局,悪党扱いされている小沢一郎議員だけがまっとうなことを言っていたのか・・・。ということは,文字通りの「悪党」とは「民主党」だったということか。(筆者)

6/5「野田第2次改造内閣」が発足した,5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる)の記事を参照
6/7 内閣府 「2012年版 子ども・若者白書」(概要 / 本文 ・2012年6月5日,「2012年版 子ども・若者白書((旧青少年白書)」が閣議決定され,同日公表された。
・「子ども・若者白書」は,2010年4月に施行された「子ども・若者育成支援推進法」に基づく法定白書である。

<白書の構成>
・第1部
子ども・若者の現状
・特集
若者の仕事観や将来像と職業的自立,就労等支援の現状と課題
・第2部
子ども・若者に関する国の施策

<ポイント>
@子ども・若者の育成環境
・子ども・若者人口及び総人口に占めるその割合は,1975年以降ほぼ一貫して減少。
・義務教育課程の児童生徒数は,1982年度をピークに減少。
・小・中学校不登校児童生徒数は前年度に比べ減少,高等学校の不登校生徒数は前年度に
比べ増加。
A子ども・若者の社会生活
・若者の労働力人口は,一貫して減少。
・15〜24歳(在学中を除く)の正規の職員・従業員以外の雇用者比率は,32.3%。
・若者失業率は全年齢計との比較では,常に高い状態。
・フリーターの人数は176万人。
・若年無業者の人数は60万人。
B子ども・若者の安全と問題行動
・福祉犯の被害者となった少年は,前年に比べ減少。
・児童虐待に関する相談対応件数は,年々増加。
・児童虐待では,身体的虐待が最も多く,以下ネグレクト,心理的虐待の順になっている。
・高校生のほとんどが携帯電話等を所有し,インターネットを利用。
・「出会い系サイト」を利用して犯罪被害に遭った児童は282人。
・刑法犯少年の検挙人員は,近年減少傾向にある。
Cインターネットによる就労に関する意識調査
・仕事の目的については,「収入を得るため」(63.4%),「自分の生活のため」(51.0%),「自分の夢や希望を叶えるため」(15.0%),「家族の生活のため」(12.6%),「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」(11.3%)の順である。
・働くことについての「不安」の割合が高いのは,「十分な収入が得られるか」(82.9%),「老後の年金はどうなるか」(81.5%),「きちんと仕事ができるか」(80.7%),「社会の景気動向はどうか」(80.4%)の順である。
・働くことを支援する相談機関の認知については,「ハローワーク」(90.0%)である。また,公的な相談機関を利用した効果については,「就職先を選ぶ参考になった」(60.1%),「自分の考えや気持ちの整理がついた」(24.3%),「自分の考え方が広がった」(22.2%)の順である。
・キャリア教育・職業教育を受けた経験については,「受けたことはない」(64.2%),「受けたことがある」(25.5%),「わからない」(10.3%)の順である。

→「2012年版 子ども・若者白書」に対して,「厳しい雇用情勢や低賃金が続き,若者が明るい展望を持てない実態が浮き彫りとなった。」というのが,日本のマスメディアの代表的な見解である。「かわいそうな若者」「気の毒な若者」の姿をことさらに誇張して,問題の所在を社会の側だけに押し付けようとする風潮にも大きな問題がある,と筆者は考えている。また,若者側やその保護者側の意識の問題を棚上げにして,反貧困活動家の意見を偏重した施策だけでは解決できないように思う。(筆者)

5/31「若者雇用戦略(原案)」(概要 / 本文)),5/28「生活保護制度の状況等について」の記事を参照
6/6 内閣府 「2012年版 子ども・子育て白書」(概要 / 本文
・2012年6月5日,「2012年版 子ども・子育て白書(旧少子化社会白書)」が閣議決定され,同日公表された。
・「子ども・子育て白書」は,2003年9月に施行された「少子化社会対策基本法」に基づく法定白書である。
<白書の構成>
第1部

「子ども・子育てビジョン」に基づいた施策の推進状況,「子ども・子育て新システム」の概要を説明し,出生率等の動向や結婚,出産,子育てをめぐる最近の状況について紹介している。
・第2部
東日本大震災における被災等における対応を含めた2011年度に講じられた子ども・子育て支援策について記述している。


<ポイント>
@平均初婚年齢の上昇
男性:27.8歳(1980年)→30.5歳(2010年)
女性:25.2歳(1980年)→28.8歳(2010年)
A生涯未婚率が増加
男性:2.6%(1980年)→20.14%(2010年)
女性:4.5%(1980年)→10.61%(2010年)
B「いずれは結婚しよう」と考えている未婚者の割合は高水準
男性:86.3%
女性:89.4%
Cその他
・第1子出生時の母親の平均年齢が29.9歳(2010年)である。
・子育て中の妻の86%が「正社員やパートで働きたい」と就労を希望している。
・第1子出産後に仕事を辞めた人の割合は,1985年から1989年には61%,2005年から2009年では62%と,20年間でほぼ変化がない。

→2012年6月5日,小宮山少子化対策担当大臣の管轄する内閣府は,第1子出生時の母親の平均年齢が29.9歳(2010年)であると「2012年版 子ども・子育て白書」の公表において説明・コメントした。同日,小宮山厚生労働大臣の管轄する厚生労働省は,30.1歳(2011年)であると「2011年 人口動態統計」の公表において説明・コメントしている。細かい数字などどうでもいいのだけれど,トップを同じにしても「縦割り」は変わらず,それぞれが「少子化」について,好き勝手に説明・コメントしている,ということを言いたいための例示である。
→ことのついでに申し上げる。「社会保障・税一体改革7法案」のうち「子ども・子育て関連3法案」が衆議院で審議され,「子ども子育て新システム」によっても待機児童問題は解消しないことを多くの国民の知るところとなった。さらに,一部では,「公私連携総合子ども園」には,公立保育所解体の隠された企みがあるのではないかという指摘も出てきている。「子ども子育て新システム」の財源1兆1000億円のうち消費増税分からは7000億円しか賄えず,残りの算段がないため,公立保育所の放棄と公務員の削減を企てるしかないのではないか,ということからの指摘と思われる。(筆者)


5/8(■5月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24(■小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務の記事を参照
6/5 首相官邸 「野田第2次改造内閣」が発足した ・2012年6月4日,「社会保障・税一体改革関連法案」成立のために,野田首相は内閣改造を行い,「野田第2次改造内閣」を発足させた。なお,「野田第1次改造内閣」の発足は,2012年1月13日であった。
・通例,閣僚名簿は官房長官が発表されるが,今回は野田首相自らが,問責決議を受けた2人を含む5人の閣僚を交代する内閣改造人事を発表した。

<交代した5閣僚>
@参議院で問責決議を受けた「前田国土交通大臣」⇒「羽田雄一郎」(参議院・国対委員長,父親は羽田孜元首相)
A参議院で問責決議を受けた「田中防衛大臣」⇒「森本敏」(民間・拓殖大学大学院教授,元航空自衛官)
B在日中国大使館1等書記官への機密文書漏えい疑惑がある「鹿野農林水産大臣」⇒「郡司彰」(参議院・元農林水産副大臣,「TPPを慎重に考える会」の副会長)
C国会で競馬サイトを見ていたことや,静岡県熱海市の旅館倒産に絡む民事訴訟の弁護士報酬をめぐり追及されている「小川法務大臣」⇒「滝実」(参議院・法務副大臣)
D国民新党の要請で,「自見金融・郵政民営化担当大臣」⇒「松下忠洋」(衆議院・復興副大臣)

→今回は,民間人の森本敏氏の防衛大臣起用が,野田首相の「サプライズ人事」であるらしい。氏は,現拓殖大大学院教授であるが,元航空自衛官で,元外務省情報調査局安全保障政策室長で,安全保障問題では親米・タカ派の論客で,長年自民党のブレーンとして麻生内閣では防衛相補佐官を経験しており,原発推進派でもある。何よりも,これまで民主党に批判的な人物と見られていた。
→2001年の小泉内閣時に中谷元議員(自衛隊出身)が防衛庁長官に就任した際には,民主党議員が「元自衛官は文民でないと解釈すべき」と噛み付いた。それときよりも,はるかに疑念が持たれる森本防衛大臣の起用理由について,国会で議論が巻き起こるのは必至だということは,普通の感覚であれば想定できる。
→「綱領」を持たない政党(民主党)の「危うさ」を再認識した。(筆者)


5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務,1/15「野田改造内閣」の発足の記事を参照
6/4 内閣府 「大雨や台風の気象情報に注意して 早めに防災対策・避難行動を行いましょう」
<政府の呼びかけ文(抜粋)>
「初夏から秋にかけては,台風や前線の影響で大雨,洪水,暴風,高潮など,自然災害が発生しやすい季節になっています。気象庁は,皆さんが早めの防災対策や避難行動に役立てられるよう,様々な気象情報を発表しており,災害の発生のおそれがあるときには「警報」や「注意報」を発表し,災害への注意を呼びかけています。被害をできるだけ少なくするために,気象情報を有効に活用し,対策や避難は早め早めに行いましょう。」


<国土交通省気象庁のウェブサイト>
「防災気象情報」

→気象庁の大雨や洪水などの気象警報・注意報の対象地域は,2010年5月27日から,市町村単位に範囲を狭めて発表されている。市区町村は,気象庁が発表する警報や注意報を受けて,必要な地域に避難勧告・避難指示を発令する。同時期には,「竜巻・雷予報」の発表もスタートしている。その後も防災気象情報の改善は進んできた。それに伴って,防災気象情報を,「自らの防災情報」として活用しようとする減災意識が,国民の側で深まってきたと言えるかどうか。また,減災意識の向上につながる効果的な災害報道や広報・啓発活動になっているかどうか。疑問がある。(筆者)
6/1 厚生労働省 「厚生労働省におけるNPO法人との協働事業一覧」 <厚生労働省におけるNPO法人との協働事業>
NPO法人も実施主体の対象としている事業 事業名
(1)地域における雇用創出 @ふるさと雇用再生特別基金事業
A緊急雇用創出事業
B重点分野雇用創造事業
(2)障害者の就業・生活支援 @生活支援等事業
A障害者就労訓練設備等整備事業
(3)職業訓練・就業支援 @公共職業訓練(委託訓練)
A公共職業訓練(障害者を対象とした委託訓練)
B緊急人材育成支援事業による職業訓練(基金訓練)
(4)ニート等の若者支援 @地域若者サポートステーション事業
(5)子ども・子育て支援 @地域子育て支援拠点事業
A一時預かり事業(地域密着型・地域密着II型)
B放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)
C子育て支援サービス事業費等
Dボランティア育成支援等事業費
E乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)
F養育支援訪問事業
(6)医療・介護 @がん検診従事者研修事業
AHIV感染者等のNGO等への支援事業
B地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金
C地域介護・福祉空間整備推進交付金
D地域支援事業
E実践的な予防活動支援事業(ボランティアによる健康づくり活動を支援する取組)
(7)自殺対策 @自殺防止対策事業
(8)中国残留邦人等支援 @樺太等残留邦人集団一時帰国事業
A中国残留邦人等地域生活支援事業
B地域生活支援推進事業
(9)地域福祉・ホームレス対策等
(10)その他 @海外未送還遺骨情報収集事業
A遺骨帰還等派遣費補助事業

<関連する政府の取組み>
「新しい公共」
社会的責任に関する円卓会議
内閣府NPOホームページ


4/102012年4月1日から「改正特定非営利活動促進法(改正NPO法)」が施行されたの記事を参照
5/31 首相官邸 「若者雇用戦略(原案)」(概要 / 本文

(6月12日追記)
「若者雇用戦略」(概要 / 本文 / 概要図
・2012年5月28日,労使代表らで構成する「第5回雇用戦略対話ワーキンググループ(若者雇用)」が開催され,「若者雇用戦略」の原案がとりまとめられた。基本方針として,「自ら職業人生を切り拓ける骨太な若者への育ちを社会全体で支援する『若者を取り込んだ成長(インクルーシブ・グロース)の実現』などを掲げている。

→左記の原案に関して,特筆すべきは,原案作成前の2012年5月15日に,「若者雇用の専門家」として「雇用戦略対話ワーキンググループ」に参画していた藤原和博委員(東京学芸大学客員教授)から見切りを付けられたことである。氏は,何かと話題の多い人物であるが,2009年には民主党の事業仕分け人にも選任されている。死語になってしまったが,当時の流行語であった「政治主導」がなつかしい。氏は,委員離脱の理由において,会議を酷評しているが,参考になると思うので紹介する(内閣府「雇用戦略対話」委員の離脱申告(その理由):東京学芸大学客員教授 藤原和博)。(筆者)
5/30 厚生労働省 「2011年度 個別労働紛争解決制度施行状況」 ・2012年5月29日に,「2011年度 個別労働紛争解決制度施行状況」が公表された。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」は,2001年10月に施行され,労働関係についての個々の労働者と事業主との間の紛争を円満に解決するための「個別労働紛争解決制度」として,@総合労働相談コーナーにおける情報提供・相談,A都道府県労働局長による助言・指導,B紛争調整委員会,が用意されている。

「2011年度 個別労働紛争解決制度施行状況」のポイント>
(1)2011年度の相談,助言・指導,あっせん件数
@総合労働相談件数 :110万9,454件(前年度比 1.8 %減)
A民事上の個別労働紛争相談件数 :25万 6,343件(前年度比 3.8%増)
B助言・指導申出件数 :9,590件(前年度比 24.7%増)
Cあっせん申請受理件数 :6,510件(前年度比 1.9%増)
(2)2011年度の特徴
@民事上の個別労働紛争相談件数,助言・指導申出件数が過去最高
A紛争内容は『いじめ・嫌がらせ』(職場のパワーハラスメントを含む)が増加するなど,多様化の傾向
B迅速な手続を実現

→紛争内容の内訳では,「解雇」の次に「いじめ・嫌がらせ」が4万6千件(前年度比16.6%増)となっている。これは想定されていたことである。(筆者)

3/19「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」3/1「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」の記事を参照
5/29 厚生労働省 「社会保障制度における低所得者対策」 ・2012年5月28日,「第1回社会保障制度の低所得者対策の在り方に関する研究会」(座長:駒村慶大教授)が開催された。
・同研究会は,社会保障・税一体改革大綱,消費税率引き上げ関連法案に明記されている「総合合算制度」の制度設計を本格化させる目的で設置されたものである。
・「総合合算制度」とは,低所得者が社会保障サービス(医療・介護・生涯福祉,子育ての4制度のサービス)を利用する際,世帯の所得に応じて自己負担総額の上限を定め,上限を超える額は国が支払う仕組みであり,マイナンバー制度(保険証機能をもつICカードが2014年6月から国民に配布され,2015年1月から本格的実施の予定)による情報連携基盤の整備を前提として,2016年に導入するとされている。

→筆者は,「総合合算制度」について,所得再分配機能強化として,「給付付き税額控除制度」(諸外国に見られる制度)よりは理解しやすい,程度の興味しかない。
→現在,「総合合算制度」が対象とする4制度のうち医療と介護は月単位で自己負担の上限が設定され,更に年単位で事後的に合算精算し,上限超過分の負担金額が償還されている(「高額医療・高額介護合算制度」は2008年4月に導入済み)。これが,「総合合算制度」では,リアルタイムに障害者福祉と子育てを加えた4制度の自己負担が把握されるということになるらしい。なお,消費増税で家計負担が増すことにも配慮した対策であるため,上限を超えた分の国の支払いには消費増税による増収分から約4000億円を充てるとされている。
→5月8日から
「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まり,5月17日からは衆院の特別委員会で実質的な審議がなされ,論点は明確になった。遂に,自民党との法案修正協議において,民主党の政治力が試される時がやって来た。なんてな。(筆者)


5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),2/16「マイナンバー法案」が国会に提出された2/6(「社会保障・税の番号制度に関する世論調査」)の記事を参照
5/28 厚生労働省 「生活保護制度の状況等について」
〜「社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」資料〜


<片山議員の問題提起>(やまだ塾まとめ)
・生活保護制度は運営実態がずさんすぎる。国民に不公平感を生んでいる。
・外国人への生活保護支給問題として,近年,外国人受給者が急増していて,仮試算では1200億円弱の保護費が支払われており,朝鮮半島出身者の割合が2/3と突出して高い。
・不正受給についても同じで,本来なら受給資格がない人に対しても,自治体は面倒を避けて,「疑わしきは認める」という空気になっている。
・そうした実態があるのは,政府の甘い考え方や政治的思惑,簡単に受給を認める自治体側の手続きや確認作業に問題がある。
・制度から根本的に改めないといけない。
・「社会保障・税一体改革大綱」において,生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて,総合的に取り組むための「生活支援戦略(仮称)」を2012年秋目途に策定することとし,併せて,生活困窮者の自立に向けた生活支援体系の構築に向け,必要な法整備も含め検討するとともに,生活保護制度の見直しについて,地方自治体とともに具体的に検討し,取り組むことにしている。これを受けて,「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」が設置され,2012年4月26日に第1回,,5月7日に第2回が開催された。
「生活困窮者対策と生活保護制度の見直しの方向性について(第2回資料)」における生活保護制度に関する記述>
自立の助長をより一層図るとともに,国・地方自治体の調査権限の強化などの不正受給対策を徹底する観点から,生活保護法改正も含めて検討する。

<5月8日記事の一部再掲
■5月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる
→一方,「社会保障・税一体改革大綱」において,生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて,総合的に取り組むための「生活支援戦略(仮称)」を2012年秋目途に策定することとされている。これを受けて,「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」が設置され,検討が始まっている(第1回開催第2回開催)。しかし,このメンバーに政策の根本に掘り下げた議論を期待することはできない。(筆者)

→現在,生活保護受給者が約209万人まで達し,3.7兆円もの予算が国の財政を圧迫している(左記資料p.4,p.10)
→5月25日,小宮山厚生労働大臣は,衆議院の「社会保障と税の一体改革特別委員会」で,生活保護費の支給水準引き下げを検討する考えを表明し,生活保護の受給開始後,親族が扶養できると判明した場合は積極的に返還を求める意向も示した,と報道されている。政府・民主党は,「社会保障と税の一体改革」において,消費税の増税や年金額の切り下げなどを国民に強いるならば,お笑い芸人の母親による生活保護受給事案が出てくる前に,明言しなければならなかったことである。「国民の生活が第一」「格差是正」というスローガンでは,現行の生活保護制度の維持はできなくなり,追い詰められてきたということであろう。
→左記の自民党の片山議員の問題提起によって,生活保護制度のあり方を国全体で見つめ直すきっかけになった。しかし,自民党が2012年3月に立ち上げた「生活保護に関するプロジェクトチーム」の見直し案には疑問が多い。なお,近年の生活保護の急増は,2009年3月の麻生政権時の厚生労働省通知がきっかけとなり,政権交代後,2009年12月の鳩山政権時の厚生労働省通知が要因である,という事実を認識しておく必要がある。
→生活保護制度に関しては,3.7兆円の約半分が「医療扶助」が占めていること等を含めて闇の部分が多すぎ,血税が食い物にされていると考えると辟易する。この際,せめて,行政側の不作為や不正の見逃しなどによる不公平感をなくしてもらいたい,と思っている日本国民は多いはずである。(筆者)


5/85月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる),2011年12/14「生活保護制度に関する国と地方の協議に係る中間とりまとめ」の記事を参照
5/25 厚生労働省 「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」(概要 / 本文

<定期接種とは>
予防接種法に基づく市町村が行うワクチンの接種である。予防接種法には,健康被害の補償も規定されている。
●予防接種者から実費徴収ができるが,現状では,ほとんどが市町村が負担している。また,法に基づかないものは「任意接種」として,原則自費負担である。なお,「定期接種」と「任意接種」を区分する明確な基準は示されていない。
●対象となる病気は,(1)1類(接種を受ける努力義務がある) :@ジフテリア,A百日ぜき,Bポリオ(小児まひ),Cはしか・風疹,D日本脳炎,E破傷風,F結核,(2)2類 :高齢者の季節性インフルエンザ,である。
・2012年5月23日,「第22回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」において「予防接種制度の見直し(第二次提言)」が取りまとめられ,公表された。
<第二次提言のポイント>
@7ワクチン(子宮頸がん,ヒブ,小児肺炎球菌,水痘,おたふくかぜ,B型肝炎,成人用肺炎球菌)の接種を促進する。定期接種に要する財源の確保が必要である。
A子宮頸がん,ヒブ,小児肺炎球菌の3ワクチンは,2010年半ばから2012年度までの時限措置として公的助成しているが,2013年度以降も円滑な接種が必要である。
B費用負担のあり方は,市町村など関係者と検討する。
C予防接種に関する評価・検討組織を設置する。
D副作用報告を医療機関に義務づける。
E接種の意義やリスクを情報提供する。
F接種の有効性や新たなワクチンの必要性などを随時評価する。

→第二次提言が,7ワクチンの財源確保および費用負担の市町村との検討に言及していることについての補足説明である。子宮頸がん,ヒブ,小児肺炎球菌の優先接種の3ワクチンで約1200億円 /年が必要になる。現在は,国と市町村がほぼ半分ずつ負担しているが,定期接種にすると市町村が全額負担することになる。対象者数は,子宮頸がんワクチンが13歳女子の約58万人,ヒブワクチンと小児肺炎球菌ワクチンが0〜1歳の約110万人とされる。また,水痘,おたふくかぜ,B型肝炎,成人用肺炎球菌の4ワクチンは,現在自費負担であるが,約1100億円 / 年必要になる。
→厚生労働省は,予防接種法改正について,今国会での法案提出を検討していると報道されているが,簡単な話ではなさそうである。

→今回の提言には,「ようやく」という感がある。「日本はワクチン後進国である」ことを,多くの国民は知らない。というよりも,知らされていない。そういう意味で,日本のワクチン行政は日本の原子力行政と「根っこ」は同じだという意見には納得させられる。筆者が納得した「根っこ」とは,「事実を隠している」程度ではなく,「うそをついている」レベルに達している可能性があるということである。その憶測の延長線上に,産・官・学の「原子力ムラ」があったのと同じく,「ワクチンムラ」があっても不思議ではない。(筆者)
5/24 厚生労働省 「障害者雇用率等について(案)」の諮問文および答申

(2012年8月22日追記)
「2013年4月1日から障害者法定雇用率が引き上げられます!」
・2012年5月23日,厚生労働大臣は,労働政策審議会障害者雇用分科会に対して,「民間企業の障害者雇用率を2.0%(現行1.8%)とする」ことなどを盛り込んだ「障害者雇用率等について(案)」を答申した。同日,労働政策審議会は,厚生労働大臣に対して,「妥当」と答申した。
・障害者雇用率は,障害者雇用促進法第43条第2項に基づき,少なくとも5年ごとに,労働者と失業者の総数に対する身体障害者または知的障害者である労働者と失業者の総数の割合の推移を勘案して,政令で定めるとされている。前回(2007年)の障害者雇用率の見直しから5年が経過していることから,障害者雇用率が見直されることとなった。
・本答申を踏まえて,閣議決定され,2013年に政令等の改正が行われることになる。

<諮問・答申のポイント>
(1)障害者雇用率を改定する。
@民間企業 : 現行1.8%→2.0%
A国・地方公共団体・特殊法人 : 現行2.1%→2.3%
B都道府県等の教育委員会 : 現行2.0%→2.2%
※なお,障害者雇用納付金,障害者雇用調整金および報奨金の額は,現行通りとする。
(2)施行期日は,2013年4月1日とする。

(参考)
障害者雇用率制度の概要

「ハローワークにおける障害者の職業紹介状況」
「障害者雇用納付金制度」
 →「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」
 →「障害者雇用納付金制度に基づく助成金一覧」

→現行の納付金制度を伴う雇用率制度が「身体障害者雇用促進法」に取り入れられたのは,1976年の法改正であった。1966年の「身体障害者雇用促進法」が制定されたときは,雇用率制度は採用されてはいたが,事業主の努力義務であった。なお,2011年6月1日現在の民間企業の実雇用率は1.65%,法定雇用率達成企業割合は45.3%である。雇用率を上げる前に,現行法定雇用率の100%達成が先ではないかと思うが・・・。
→国際的には,障害者雇用施策は,差別禁止法制(アメリカ,イギリスなど)と雇用率制度(ドイツ,フランスなど)に大別される。雇用率・納付金制度は,社会的弱者である障害者を守ることは社会の義務であるという概念の下で生まれた制度であるとされている。日本における雇用率・納付金制度が,「なぜ障害者の一般雇用を円滑に促進しないのか」を根本から追求する役割は,現在誰が担っているのだろうか。日本のマスメディアは,この件に関して,企業として自分たちもすねに傷を持っているから大きくは取り上げられないのではないか,と筆者は勘ぐっている。どうしたものか。ちなみに,国際的な雇用率は,ドイツ(5%),フランス(6%),イタリア(7%)である(筆者)


4/6「労働政策審議会について」の記事を参照
5/23 厚生労働省 「2011年度 特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究」
〜2011年度 老人保健健康増進等事業〜
・2012年5月17日,「第90回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され,医療経済研究機構の「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究」(座長:栃本上智大教授)における2011年度の調査結果が公表された。
・調査対象 :特養への入所申込者(本人)やその家族,あるいは申込者が利用している老健やグループホーム,居宅介護支援事業所などの職員
・有効回答 :2011年12月12日から2012年1月16日までに,本人550件,家族847件,職員1127件
<調査結果>
2010年度 2011年度
@調査結果の公表 ・2011年8月10日,「第78回社会保障審議会介護給付費分科会」で公表。 ・2012年5月17日,「第90回社会保障審議会介護給付費分科会」で公表。
A調査結果 ・特養側からみて「真に入所が必要な人」は入所申込者全体の10.8%である。 ・申込先特養から「入所できます」という連絡が来た場合,「今回はお断りする」または「すぐには決められない」と回答した家族(入らない可能性が高い家族)は,在宅で31%程度、施設在所で34%〜44%程度。「順番が来ても入所しない人が多い」ことが裏付けられた。

→厚生労働省は,2009年12月22日,「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」で,
待機者が約42.1万人にのぼることを公表した。2009年第一次補正予算で,「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」(約3011億円)が創設され,第4期(2009〜2012年度)の施設整備計画12万人分に4万人分の上乗せをして,3年間で16万人分の整備を進めることになった。その後,厚生労働省は,2010年10月7日の社会保障審議会の介護保険部会において,「実際の待機者(優先入所申し込み者)は22.5%である」という15施設の調査結果を報告した。2010年11月30日,社会保障審議会介護保険部会は,実態調査が必要であるとした。これを受けて,2011年8月10日,「第78回社会保障審議会介護給付費分科会」において,「2010年度 特別養護老人ホームにおける入所申込の実態に関する調査研究」として「真に入所が必要と考えられる申込者は1割強」と公表した。そして,2011年度の調査研究では,「特養の入所を申請した人の約半数は,実際に入所する意思はない可能性が高い」と公表した。
→2009年以降,りっぱそうな学者が行政の尻馬に乗って,「施設整備は必要ない」という答えを必死に導き出そうとしている卑しい姿を想像すると,おかしくもあり,哀れでもある。(筆者)
5/22 復興庁 「復興の現状と取組」 ・2012年5月21日,復興庁は,@東日本大震災の概要とこれまでの政府の主な動き,A被災者支援関係,インフラ等ハード関係,産業・雇用関係,原子力災害関係等の現状と課題,B復興関連諸制度,を取りまとめた「復興の現状と取組」を公表した。

復興庁は,2011年6月24日に制定された「東日本大震災復興基本法」第4章第24条に規定され,2011年12月12月16日に制定された「復興庁設置法」により,内閣に設置された組織で,2012年2月10日に発足した。復興庁は,(1)復興に関する国の施策の企画,調整及び実施,(2)地方公共団体への一元的な窓口と支援等を担うとされ,初代大臣には,平野(旧)東日本大震災復興対策担当大臣が就任した。復興庁の職員は,約300人(本庁が約200人,5県に配置が約100人)である。
→省庁ごと(防衛省,国土交通省,観光庁,経済産業省,財務省,農林水産省,法務省,文部科学省,厚生労働省)の縦割りを打破して,「復興の司令塔」として「ワンストップ」の役割を期待されていたが,危惧されていた通り,「ワンステップ」の役割しか果たしていない,という低評価が現在の大方の見解であると思われる。(筆者)
5/21 警察庁 「2011年 少年非行等の概要(確定値版)」
・2012年5月10日,警察庁は,2011年1月から12月の「少年非行等の概要(確定値版)」を取りまとめ,公表した。
・2011年中の刑法犯少年の検挙人員は8年連続の減少となったが,社会の耳目を集める重大な事件が発生したほか,刑法犯少年の人口比は引き続き成人の約5倍に上り,再犯者率の上昇,低年齢化の進展等の状況が認められるとしている。社会の耳目を集める重大な事件としては,「埼玉県,千葉県における高校生による連続殺人未遂等事件」や「京都府,東京都における予備校生による大学入試問題投稿の偽計業務妨害事件」が挙げられている。
・一方,児童虐待事件,児童ポルノ事件等の被害が増加するなど,少年の非行防止,保護の両面において予断を許さない状況にあるとしている。

<2012年2月22日記事の再掲>
「刑事施設(刑務所,少年刑務所,拘置所)での面会,手紙,差入れ等の手続き」 / 施設一覧
→山口県光市母子殺害事件で,犯行当時18歳であった死刑が確定した被告人の新聞報道に関して,実名・顔写真入りで報道したのは産経新聞と読売新聞で,匿名・顔写真非掲載としたのは毎日新聞と東京新聞で,実名・顔写真非掲載としたのは朝日新聞と日経新聞であった。なお,テレビ局では,NHK,日本テレビ,テレビ朝日,TBS,フジテレビは実名・顔写真入りで放送し,テレビ東京は実名・顔写真非掲載で放送したとされる。
→筆者は,少年法の保護一辺倒による不適切さへの修正傾向が,日本のメディアにも影響していると思った。
→なお,日本のメディアが判断の基準としているのは,「少年法第61条」および
新聞協会の少年法第61条の扱いの方針である。(筆者)

<2011年12月13日記事の再掲>
「少年からのシグナル(2011年版)」
→警察庁は,毎年,「少年からのシグナル」を発行している。左記資料の「コラム:少年非行の原因・背景」(p.2)をご覧いただきたい。この分析・認識に対して,福祉専門職として,どう評価しますか?筆者には,「今,少年が何を考え行動しようとしているのか,わからなくなってしまった大人の見解」のように思えてならない。
→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,特に,上記「B少年事件手続きの流れ」(p.9・10)の知識は重要である。(筆者)

(参考)
「少年非行に関する世論調査」(内閣府)
「2011年版 犯罪白書」(法務省)
「少年事件の流れ」(検察庁)
「少年研究室」(科学警察研究所)
5/18 気象庁 「2012年度の熱中症対策に関する気象情報」

(5月31日追記)
熱中症を防ぐために〜皆様に取り組んでいただきたいこと〜(厚生労働省)
・2012年5月17日,気象庁は,「今年度,熱中症への注意を呼びかける情報を,6月1日を予測の対象とする情報から発表する」と報道発表した。
<予測情報>・・・「熱中症に注意」
@高温注意情報 :5月31日17時から発表開始
A高温に関する気象情報 :5月25日から発表開始
B高温に関する異常天候早期警戒情報

→熱中症の予防と応急対策に係る知識の普及,熱中症対策関連情報の周知,地域の実情に応じた対策を推進するため,関係省庁(消防庁,文部科学省,厚生労働省,気象庁,環境省)の緊密な連携を確保し,熱中症対策の効率的・効果的な実施方策を検討し,情報交換を行うため,関係省庁で構成する「熱中症関係省庁連絡会議」が,2007年から設置されている。
→政府はやっているつもりになっているかもしれないが,国民へのシンプルで分かりやすい情報提供とはなっていない。(筆者)


(参考)
「暑い日は作業計画の見直しを!(2012年職場での取り組み)」(厚生労働省)
「職場での熱中症による死亡災害の発生状況(1998年〜2011年)」
5/17 厚生労働省 「在宅医療・介護あんしん2012」 ・2012年5月15日,厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室は,「在宅医療・介護あんしん2012」を公表した。

→2012年2月29日,厚生労働省医政局長は,「全国医政関係主管課長会議」において,「今後の医療は患者の生活・人生・地域を視野に入れた議論にシフトしていく必要がある」として「可能な限り住み慣れた生活の中で,必要な医療や介護を受けながら生活したいという国民の希望に応えるべく,予算・診療報酬・地域医療計画といったあらゆる行政手法を総動員して在宅医療を進めていく」と挨拶している。
→これの標語(スローガン)が「在宅医療・介護あんしん2012」である。当初は「新生在宅医療・介護元年」であったものを,「親しみやすいようにバージョンアップ」して「在宅医療・介護あんしん2012」に変えたと説明されている。ネーミングに関して,「センスを疑う」という表現があるが,これは迷うことなく「センスがない」と言い切れるめずらしい例である,と筆者は思う。
→ネーミングなどどうでもいいが,重要なのは「地域での的確な展開」である。「あらゆる行政手法の総動員」で,どういう成果を上げるのかを注視していきたい。(筆者)


「在宅医療の推進について」
5/16 厚生労働省 「介護職員をめぐる現状と人材の確保等の対策について」
〜「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」資料〜
・2012年5月11日,「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」が開催された。
・「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」は,介護人材の確保・定着は重要な課題であることから,今後の介護職員の処遇改善等のあり方などについて,関係団体等による意見交換を行うことを目的に,厚生労働省老健局長が参集したものである。
<議題と資料>
@実践キャリア・アップについて
A認定介護福祉士(仮称)について
BITの活用を通じた業務効率化について
C介護人材の確保等について

→「仕事内容の割りに賃金が低い」,「人手不足で長時間労働になっている」,「有給休暇が取れない」,「介護職の社会的評価が低い」などの介護現場の切実な声とは無縁で,厚生労働省に都合のいい「メンバー」を集めて意見交換をした,ということだと筆者は受け止めた。また,「介護人材の確保」の中身である「キャリアアップ」,「認定介護福祉士」,「ITの活用を通じた業務効率化」の本質は「利権」ではないかと思う。「利権」に群がるシロアリの正体を想像してみるのも面白い。(筆者)

「福祉専門職の現状」
5/15 厚生労働省 「孤立死の防止対策について(通知)」
・2012年5月11日,厚生労働省は,最近頻繁に報道されている「孤立死」について,2012年2月以降に各省庁(厚労省や資源エネルギー庁など)から個別に出した通知を含め,生活困窮者の情報を市町村の福祉部門に集約するよう,都道府県や政令指定都市などに改めて通知した。
・小宮山厚生労働大臣は,5月11日の記者会見で,「人命に関わる場合は,個人情報保護の適用外となるということがありますので,消費者庁や,電気ガス事業を所管する経済産業省とも連携をとって,こうした個人情報の取り扱いについて,あらためて水道事業者あてに厚労省として通知を出し,電気ガス事業者に対しても,経済産業省から通知が出されています」と述べている。

→2012年になって ,「餓死」,「孤立死」という不幸な事件が多発している。この問題に関して,その要因には,@家族の変化,A地域社会の変化,B社会保障の劣化,C貧困の拡大が挙げられることが多い。そして,NHKなどのマスメディアが,「この問題の解決には,地域福祉の再構築が必要である」というしたり顔の専門家やコメンテーターの意見を紹介すると,多くの国民は分かった気になってしまう。個々の悲惨でむごたらしいできごとは,きれいな言葉で丸め込まれ,事の本質から遠ざかっていくのが通例である。
→縦割り行政での情報共有のための対策は,最優先でなされるべきである。(筆者)


(参考)
「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議報告書((「孤立死」ゼロを目指して)」(2008年3月28日)
5/14 内閣府 「第1回生活の質に関する調査結果」 ・2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」に基づいて,内閣府経済社会総合研究所(ESRI)では,「幸福度」について調査研究を行っている。
・2012年4月27日,ESRIは,主観的幸福度など国民の生活の質の評価や感情,それを支える要因等を継続的に調査し,明らかにすることを目的に「第1回生活の質に関する調査結果概要」を公表した。
<第1回調査の概要>
@対象 :全国15歳以上の1万440人(住民基本台帳より無作為抽出で,被災地1000人・被災地以外9440人)
A調査期間 :2012年3月1日〜3月16日
B調査方法 :訪問留置法

C調査実施機関 :社団法人新情報センター
D回収率 :61.8%。
E調査項目 :現在の主観的幸福感等,「幸福度に関する研究会」「幸福度指標試案」(2011年12月)にある132指標中37指標をカバー

→自分の幸福感を0(とても不幸せ)から10(とても幸せ)までの11段階で答える「日本人の現在の幸福感」は,今回の「第1回生活の質に関する調査」では6.6となり,2011年3月に実施した「国民生活選好度調査調査」の6.5と,ほぼ同様の結果となった。
→2011年3月に「想定外,未曾有」の地震による自然災害と福島原発による人災があったにもかかわらず,それ以前の幸福感より「0.1ポイント上昇した」という結果であった。一方,幸福感と反対の不安感では,放射能汚染・自然災害に不安を「常に感じる」と答えた人は被災地がともに4割を超えたが,被災地以外は2割〜3割であった。改めて,「幸福度とはなんだろう」,「生活の質とは何だろう」と考えさせられると同時に,幸福度研究の難しさを感じた。(筆者)


(参考)
「幸福度研究」(内閣府)
「2008年 国民生活白書」(〜国民の幸福度〜)
5/11 厚生労働省 「医療法人の業務範囲」 ・2012年5月7日,厚生労働省は,医療法人の業務範囲(2012年3月30日現在)を公表した。近年,医療法人の実施可能な附帯業務が追加されているので,最新状況が整理されている。

「医療法人数の年次推移」
5/10 気象庁 「津波からにげる」(津波防災啓発)
<気象庁の広報文>
●制作目的 :
・東日本大震災を踏まえて,津波から自ら判断して避難することの大切さを理解していただくことを目的に制作しました。このビデオの利活用を通じて,津波に関する防災教育の支援や普及啓発活動に努めてまいります。
●内容 :
子供にも分かりやすい内容とし,以下の4章で構成しています。
@ アニメ【約5分】  小学校における東日本大震災の避難事例
A インタビュー【約4分】  自ら進んで逃げるなどの避難のポイントの紹介
B クイズ「津波を知ろう」【約4分】  クイズをとおして津波の知識を学ぶ
C 防災マップを作ろう 【約3分】  日頃からの備えの重要性を学ぶ

●参考資料 :
「津波からにげる」について

→筆者は,津波の防災対策として,行政が,「救命胴衣(ライフジャケット)」の配備に注目しないことを不思議に思っている。左記の動画においても,国には,津波への対応として,子どもにライフジャケットを着用させるという考えはないように思われる。
→2012年4月17日,愛知県飛島村村議会において,村内の保育所や小中学校の児童や生徒,教職員らを合わせた約630人分の救命胴衣を配備するために,685万円の補正予算を全会一致で可決した,という報道があった。これは,2012年3月の村長選で,新村長の東日本大震災を受けて公約の一つに掲げていたものであったとされているが,行政の対応としてはレアケースである。
→門外漢の素人考えであるが,津波などの水害防止対策にはライフジャケットが,救命のみならず水死者の発見にも有効なように思われてならない。少なくとも子どもには必需品とすべきではないだろうか。(筆者)


「地震・津波」(気象庁HP)
5/9 内閣府 「2012年度 ユース特命報告員」が募集されている
〜2012年5月18日(金)まで〜
・内閣府では,青少年意見募集事業において,内閣府より配信される様々なテーマ(課題)に関する意見を報告できる,12歳(中学生)から29歳までの者を「ユース特命報告員」として募集している。
「2012年度 募集要項」
●募集条件 :12歳(中学生)から29歳までの者
●募集人数 :300名程度
●受付期間 :2012年5月18日(金)まで
●意見の公開 :意見報告は,青少年施策の企画・立案の参考意見として活用されるほか,ホームページ等を通じて公開される
   →「2010年度の主な意見」
   →
「2009年度の主な意見」

4/17「2011年度厚生労働行政モニター」が提出した随時報告に対する厚生労働省の考え方3/30「2012年度 国政モニター」が募集されている,2011年12/20「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されているの記事を参照
5/8 ■5月8日から「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議が始まる <「社会保障・税一体改革関連7法案」の審議とは>
[1]5月8日から衆議院本会議
◎趣旨説明と質疑

区分 法案名 概 要 審議入り
(1)  
年金
@年金機能強化法案 ・最低保障機能強化(低所得者加算等)⇒2015年10月〜
・高所得者の給付見直し(税が財源の基礎年金の減額)⇒2015年10月〜
・パートらの厚生年金加入条件の緩和(勤務時間20時間に短縮等)⇒2016年4月〜
5/8
A被用者年金一元化法案 ・厚生年金と共済年金の一元化基礎年金と報酬比例年金の一元化)⇒2015年10月〜
(2)
子育て
B子ども・子育て支援法案 「子ども・子育て支援システム」の政策を規定 ⇒2014年4月以降に一部実施,2015年10月以降に本格実施 5/10
C総合子ども園法案 「総合子ども園」の創設
D関連法整備法案 BCの関係法の整備
(3)
税制
E消費税法等改正案 ・2014年4月に8%,2015年10月に10%に 5/11
F地方税法・地方交付税法等改正案 ・2014年4月に1.7%,2015年10月に2.2%に
[2]5月16日から衆議院特別委員会
◎本格議論


→第180回通常国会の会期末は6月21日である。政府は6月上旬の衆議院での採決を見込んでいると報道されているが,最低保障年金創設の撤回要求や参議院での「ねじれ国会」および問責決議による2閣僚の早期辞任要求を考慮すると,修正協議が進まないことも想定され,審議が難航すれば,会期延長が必至と見られている。場合によっては,解散総選挙になる可能性を指摘する意見もある。
→一方,「社会保障・税一体改革大綱」において,生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて,総合的に取り組むための「生活支援戦略(仮称)」を2012年秋目途に策定することとされている。これを受けて,「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」が設置され,検討が始まっている(第1回開催第2回開催)。しかし,このメンバーに政策の根本に掘り下げた議論を期待することはできない。
→「社会保障の抜本的な改革」においては,国民の負担と政府の保障について,より突っ込んだ国民的議論が必要である。消費税という安易な税収源を当てにした財政再建策としての「今回の社会保障・税一体改革」が,将来的に社会保障の抜本的改革につながっていくという保証はない。(筆者)
5/7 総務省統計局 我が国の子どもの数
〜「こどもの日」にちなんで〜
・総務省統計局は,5月5日の「こどもの日」にちなんで,2012年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)を推計し,発表した。
<概要>
(1)全国(2012年4月1日現在)
・子どもの数は1665万人,31年連続の減少
・子どもの割合は13.0%,38年連続の低下
・男女別では男子が852万人,女子が812万人。
(2)都道府県(2011年10月1日現在)
・子どもの数は東京都および福岡県では増加。
・子どもの割合は沖縄県が最も高く(17.7%),秋田県および東京都が最も低い(11.3%)。

→国連人口統計年鑑によれば,人口4千万人以上の27か国中では,日本の子どもの割合が最低である(最高はパキスタンの41.6%)。政府の無為無策が30年以上も続いたため,「今後も子どもは減り続けていき,48年後の2060年には,総人口に占める割合が9.1%という状況に陥る」と日本のマスメディアが報道しても,国民の多くは驚かなくなっている。(筆者)

4/27「産業等基本集計結果(2010年国勢調査)」4/24小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務の記事を参照
4/27 総務省 「産業等基本集計結果(2010年国勢調査)」 ・2012年4月24日,総務省は,2010年国勢調査の産業等基本集計結果を公表した。
・産業等基本集計結果は,人口の労働力状態,産業別の就業者数などを集計している。15歳以上人口の労働力率は61.2%で2000年以降低下している。男性73.8%,女性49.6%で,男女雇用機会均等法が公布された1985年以降の動きをみると,男性が一貫して低下しているのに対し,女性は最も高くなっており,M字カーブの谷が30〜34歳から35歳〜39歳に上昇している。

→内閣府の「2011年版男女共同参画白書」において,「女性労働力率のM字カーブは欧米諸国では既に見られない」として,「M字カーブ」が問題だとしている。厚生労働省の「2010年版働く女性の実情」でも,M字カーブの解消に向けた課題について検討を行っている。また,経済産業省の「国内の潜在需要を掘り起こす新産業分野の創出に向けて」(2011年11月)でも,M字カーブにより諸外国と比較しても,日本の女性の就業率は低水準と認識している。しかし,日本の文化を無視した,海外との比較からの問題提起や検討ばかりで,未だに有効な施策を見出せていない。筆者は,問題のとらえ方そのものが誤っているのではないかと思っている。
→「M字カーブ」に関する興味深い質問と答弁を紹介する。2010年の第176回臨時国会での「第三次男女共同参画基本計画(案)に関する質問」において,「「M字カーブ問題」として,M字カーブを問題,つまり悪いことのように記しているが,2010年版厚生労働白書では,「1歳までは子育てに専念(育児休業を含む)したい」と考える人が88.1%,2008年全国家庭動向調査では,「子どもが3歳くらいまでは母親は仕事を持たずに育児に専念した方がよい」と考える20代,30代の女性が約8割,40代から69才では約9割いる。この多くの女性達の気持ちをどう考えるか。」という野党の国会議員の質問に対して,「政府としては,就業継続を希望しながら出産,子育て等のために就業を中断せざるを得ない女性も多いことから,多様な生き方を尊重することを前提に,育児休業の取得など各人がそれぞれ希望する生き方において,その能力を十分に発揮できるようにすることが重要であると考えている。」と答弁している。何とも,間が抜けてかったるい答弁である。
→結論だけを言えば,筆者は,家庭育児や子育てに専念したい女性を支援するための切り札となる施策は,雇用型テレワークとしての「在宅勤務」を法的に広く容認することではないかと考えている。これにより,M字カーブが大幅に改善されることはもとより,待機児童問題,あるいは少子化対策にも影響を及ぼすのではないかと想定している。テレワークについては,国土交通省の「2011年度テレワーク人口実態調査」および総務省の「2010年通信利用動向調査」を参照されたい。(筆者)

4/26「就業構造の将来予測について(暫定版)」の記事を参照
4/26 経済産業省 「就業構造の将来予測について(暫定版)」
〜「第6回産業構造審議会新産業構造部会」資料〜
・2012年4月23日,経済産業省は,「第6回産業構造審議会新産業構造部会」を開催し,2020年の産業別の就業者数の予測を公表した。
・将来予測は,(A)国内の新産業創出が進まない「空洞化ケース」と(B)医療・介護など3分野の国内新産業が拡大し,国内消費が活性化する「成長ケース」,の2パターンの就業構造を予測し
,「成長ケース」の実現のためには,医療介護や子育て,新エネルギーなどの新産業に約1,000万人規模の就業者数の増加が必要と分析している。
<「(B)成長ケース」のうち「医療・介護分野」の将来予測>
・医療機関や介護施設・事業所での就業者数は,2010年時点に比べて約170万人増えると見込んでいる。
・団塊世代などの高齢者が引退することによる自然減を考慮すると,医療・介護分野で約269万人の就業者増が必要と指摘し,他産業からの労働者の移動だけでは賄い切れないため,女性や高齢者などの活用が不可欠としている。

厚生労働省は,介護分野の就業者数について,2011年度の介護職員数を約140万人とし,団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年には約213〜244万人の介護職員が必要となる推計している。なお,有効求人倍率は,2006年度から2008年度にかけて急上昇し,その後低下していたが,2010年夏以降から再び上昇傾向にあり,現在は介護人材の不足感が再び高まっている状況にある。
→現在,厚生労働省の「介護人材確保策」として,「福祉・介護人材確保対策の継続(2011年度第4次補正予算)」に基づいて,種々の「介護労働支援策」が実施されている。
→介護現場が真に求めているのは,一時的・臨時的・場当たり的な雇用対策や財政補填ではなく,介護職員が継続的に安定して働けるように,給与の引き上げ等の労働環境の整備を含めた人材確保のための財源対策の強化であり,その結果としての質の高い人材確保である。しかし,筆者は,現行の厚生労働省の人材確保策について,労働環境の整備や良質の人材に結びついておらず,多くの施策が血税の無駄遣いになっているのではないかという疑念を持っている。今後,厚生労働省が,左記の経済産業省の成長分野としての医療・介護の将来予測に対して,どのような辻褄合わせをするのかを注目している。(筆者)


4/23「EPA介護福祉士候補者の国家試験のあり方検討会」の主な論点への意見募集の記事を参照
4/25 厚生労働省 「大規模災害時における被災施設から他施設への避難,職員派遣,在宅介護者に対する安全確保対策等について(事務連絡)」 ・2012年4月20日,厚生労働省老健局は,大規模災害発生時における被災介護施設への介護職員の派遣や在宅要介護者の安全確保などの対策をまとめた事務連絡を,都道府県,政令指定都市,中核市へ発出した。
<大規模災害時における対策(目次)>
@被災施設から他施設への避難
1.利用者の安全を確保するための避難施設等の確保
2.避難施設確保の準備
(1)他施設との協定締結
(2)都道府県への登録
3.災害発生時の対応
4.避難に当たっての留意点
5.被災施設の利用者を受入れる際の留意点
A介護職員等の応援派遣
1.支援職員の派遣・受入体制の事前準備
(1)介護施設等や介護サービス事業所、居宅介護支援事業所等
(2)都道府県
2.大規模災害発生時の対応
(1)被災都道府県の対応
(2)被災都道府県に隣接する都道府県の対応
3.その他
B在宅要介護者の安全確保策
1.在宅要介護者等の避難体制の整備
(1)事前準備
(2)災害発生時の対応
2.避難所における要介護高齢者への支援

→添付の『被災時から復興期における高齢者への段階的支援とその体制のあり方の調査研究事業報告書』(2012年3月)では,「災害時に初めて動く仕組み等はなく,日ごろから出来ていないことは災害時に行うことは困難です。また,地域で実際にできていないことを,広域から支援を得ることで機能させることも困難です。」とし,「地域を基本とした災害時での高齢者支援体制は,地域包括ケア体制の姿と表裏一体であるとも考えられ,今後進む地域包括ケア体制の構築と合わせて災害時の高齢者支援体制の整備も進めていくことが望ましいと考えられます。」と締めくくっている。耳が痛いと感じた「地域包括ケア」を進めてきた学者や専門家は少なくないと思う。(筆者)

(参考)
「地域包括ケアシステムの構築〜介護保険サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部改正」(2011年8月)
「地域包括ケア研究会報告書」(2010年4月)
4/24 首相官邸 小宮山厚生労働大臣が「少子化対策担当大臣」を兼務 ・2012年4月23日,野田首相は,中川防災担当大臣が2か月余り兼ねていた「内閣府特命担当大臣(少子化対策)」に, 小宮山厚生労働大臣を兼務で任命した。民主党政権の少子化担当大臣は,2009年9月の政権交代から9人目で,野田内閣だけでも4人目となる。藤村官房長官は,記者会見で「小宮山氏は,少子化対策に精通しており,一番適任である」と述べている。なお,中川内閣府特命担当大臣は,引き続いて「防災・公務員制度改革・新しい公共・男女共同参画」を担当するとされている。
・4月23日,自民党は,これまでの消費税増税法案への審議拒否から方針転換し,本会議には出席することを決定した。また,民主党と自民党は,消費税増税法案を審議する特別委員会設置を4月26日の衆議院本会議で決めることで合意した。特別委員会で子ども・子育て関連3法案が審議されるためという理由では,「場当たり的な人事」ではないか,との指摘が記者会見でもなされていた。なお,社会保障と税の一体改革関連11法案の審議日程が決定されていないことからも,先行きの不透明さは解消されていないと見るのが一般的である。

→国会答弁を含めた小宮山厚生労働大臣の言動を思い浮かべてみて,誠に失礼であるが,「一番適任」や「少子化対策に精通」というコメントには笑わされた。
→内閣府特命担当大臣のうち「沖縄及び北方対策担当」「金融担当」「消費者及び食品安全担当」は,内閣府設置法第10条,第11条,第11条の2の規定により必置とされている。しかし,「少子化担当」は法定されておらず,これまで「広告塔」や「お飾り」と揶揄されてきた国務大臣であるが,現組織においては,縦割りでなく独立して存在させることに意味がある重要なポストである。筆者は,現組織において,少子化担当大臣と厚生労働大臣の兼務はあり得ないと考える。同時に,現民主党政権の理念と節操のなさから,与党政権としての自滅が本格化することを予感した。(筆者)


4/18厚生労働省の新政務三役の記事を参照

→■「子ども・子育て支援(少子化対策)」(内閣府)
「子ども・子育て支援」(厚生労働省)
4/23 厚生労働省 「EPA介護福祉士候補者の国家試験のあり方検討会」の主な論点への意見募集
<意見募集の内容>
@対象 : 「経済連携協定(EPA)介護福祉士候補者に配慮した国家試験のあり方に関する検討会」の主な論点

A意見募集期間 : 2012年4月20日(金)〜5月17日(木)

<3月29日記事の再掲>
「2011年度 3福祉士国家試験」が終了した
→経済連携協定(EPA)に基づいて来日し,初めて介護福祉士国家試験を受けたインドネシア人94人(2008年度入国)とフィリピン人1人(2009年度入国)のうち,合格者はインドネシア人35人とフィリピン人1人で,合格率は37.9%であった。大変なご苦労があったことだろう。頭が下がる。合格発表後,日本のマスメディアも,敬意を込めて報道していた。
→3月28日,厚生労働省は,今回の不合格者59人のうち47人に滞在期間延長の資格(第24回介護福祉士国家試験(筆記)で38点以上の獲得が条件)を設けた。また,東京都は,EPAに基づく看護師・介護福祉士候補者向け学習会の開催の報道発表をした。
→外国人介護福祉士の誕生が契機となり,介護福祉士,ひいては日本の介護のありようにまで国民の関心が向いていくことを心から願っている。職能団体である「日本介護福祉士会」が,蚊帳の外でいいわけがないと思うが・・・。(筆者)

→筆者は,「福祉専門職」であるならば,対人支援を行う仲間の問題として,きちんと現実と向かい合い,自らの意見を持っていなければならないと思う。
→EPAによる「人の移動」の政策決定の経緯を簡単に振り返る。2004年までの通商交渉の結果,日本は製造業の鉄鋼・自動車部品等の関税撤廃を含む貿易上のメリットを獲得するために,交換条件としてのフィリピン側の強い看護師・介護福祉士の受け入れ要求に応じた。換言すれば,「看護師・介護士の受け入れ」は,政策決定の合理性はもとより,保健・医療の国際協力のあり方の議論をないがしろにして,国益優先の政治的な産物であった。当時,賛成派は内閣官房(小泉政権),外務省,経済産業省,経団連,全国老人福祉施設協会等であり,反対派は厚生労働省,法務省,連合,日本看護協会,日本介護福祉士会等であった。なお,2005年の日本介護福祉士会の反対理由は,@介護全般に関わる労働環境を含む条件整備が十分でないなかで,選択肢としての外国人介護労働力の導入は,最優先事項ではない,A介護を必要とする利用者側の議論なしに外国人労働者の受け入れを検討すべきではない,というご大層なものであった。その後,職能団体がどのような努力をしたのかは知らないが,介護労働環境の条件整備がまったくなされていないことは周知である。
→とにかく,日本は門戸を開放したのである。今年,36人の外国人介護福祉士が誕生した。筆者は,社会的な関心が高まり,批判が出る都度,小手先の改善策を小出しにしている厚生労働省と,主義主張を盾にして現実の困難な問題から目をそらし続けている「日本介護福祉士会」の姿勢には幻滅すると同時に,彼らには日本の介護の将来像が想定できていないのではないか,という疑念を持っている。(筆者)


3/29「2011年度 3福祉士国家試験」が終了した)の記事を参照

→■「福祉専門職の現状」(4.外国人介護福祉士の受け入れ)
4/20 文部科学省

国立教育政策研究所
「2012年度 全国学力テストについて」 ・2012年4月17日に文部科学省の実施した「2012年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の調査問題と質問紙調査の内容が,国立教育政策研究所から公開された。
・全国学力テストの実施は,小学校が17,194校(全体の81.6%),中学校が8,674校(80.4%)において,小学6年生約89万人,中学3年生約89万8千人の合計約178万8千人で実施された。調査対象は,従来の国語,算数・数学に新たに理科が加わり3科目となった。学習状況調査では,生活や携帯電話の利用,学習や塾に関する調査が行われた。
・全国学力テストは,2007年度より,2011年を除き毎年実施されている。当初は全校で実施されてきたが,2010年度実施分より学校単位で全国の約30%を基準にランダムに選ぶ抽出方式に変更されている。利用率は地域差が大きい(27.8%〜100%)。
・文部科学省は,2012年8月頃,約30%の抽出校のうち,インフルエンザなどで実施できなかった14校を除く国公私立の小中約9,695校(約73万2,0007人)の結果分析を公表するとしている。

→現大阪市長の橋元徹氏が「大阪都構想」を言い出したきっかけが,「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」であったと言われる。当時の橋下大阪府知事に,当時の大阪市長が協力的でなかった。大阪府と大阪市が協力しなければ,行政が立ち行かないという考えを持ったとされている。その後,橋下氏は大阪府知事を辞職し,同時選挙により2011年12月19日に大阪市長に就任した。
→全国学力テストには,日本教職員組合,日本共産党などが義務教育の段階で学力格差を広げるとして反対の姿勢を示している。是非,左記の全国学力テストに目を通していただきたい。義務教育の学力レベルに達していない高校生や大学生が珍しくないという感想を持つはずである。全国学力テストには,「根本的な問題」が含まれている。(筆者)
4/19 警察庁 「2011年中の警察安全相談の状況」 ・2012年4月12日,警察庁は,2011年中の警察安全相談の状況について取りまとめ,公表した。
・2011年中の警察安全相談の取扱件数は1,461,049件(前年比4.4%増)であった。このうち,ドメスティックバイオレンス(DV)に関する相談は,3万3,745件(前年比6.9%増)で過去最多であった。

相談内容と構成比率
@犯罪等による被害防止
※防犯上の問題,迷惑電話,声かけ・変質者等
13.8%
A家庭・職場・近隣関係
※結婚,離婚,遺産相続,家庭不和,職場,近隣,友人問題等
11.4%
B刑事事件 8.3%
C契約・取引関係
※悪質商法等を除く土地,金銭,消費者金融等の契約取引等
8.0%
Dハイテク関係
※ネットオークション,名誉毀損,誹謗中傷,不正アクセス等
5.6%
E配偶者からの暴力(DV) 2.3%
Fストーカー事案 1.3%
G児童虐待 0.3%
・警察安全相談体制として,警視庁および各道府県警察本部に警察総合相談室が,警察署に警察安全相談窓口が設置されている。なお,警視庁および各道府県警察本部に警察相談専用電話が開設されており,全国統一番号の「#9110」に電話をかければ自動的に接続されるようになっている。

→警察安全相談に関して,大多数のケースでは,相談者の身になって,基本通りに適切に業務を遂行していただいていると思うが,近時,千葉県警,長崎県警のストーカー殺人をはじめとする,ストーカー被害相談,DV被害相談,児童虐待などでの不祥事が続いている。
→今後の課題として,(1)組織的な対応の徹底,(2)相談業務担当者に対する教養の推進,(3)関係機関・団体などとの連携の強化,に力を入れる方針とされている。「基本に忠実に仕事をすること」が最も大切なように思われる。(筆者)


(参考)
「2011年の犯罪統計」
4/18 厚生労働省 厚生労働省の新政務三役
・消費増税関連法案の民主党内のゴタゴタで,厚生労働省で主に労働分野中心に担当していた小沢グループの牧副大臣が2012年4月4日に辞任したため,民主党国対副委員長であった菅グループの西村智奈美議員が4月6日に後任に就いた。なお,西村議員は,2009年9月の鳩山内閣から2010年9月まで外務政務官を務めている。

→副大臣程度が交代しても,この政務三役では政治力が発揮できるとは思えないため,厚生労働行政に期待が持てないのが残念である。小宮山厚生労働大臣の記者会見の低調さからも,注目度の低さが分かる。(筆者)

2011年9/6厚生労働省の副大臣と政務官が決定した)の記事を参照
4/17 厚生労働省 「2011年度厚生労働行政モニター」が提出した随時報告に対する厚生労働省の考え方
<厚生労働省が考え方を公表した随時報告>
@無免許医師について
A後発医薬品の使用促進について
Bジェネリック医薬品について
Cがん診療連携拠点病院について
Dポリオの予防接種率低下に関して
E一般用医薬品のネット販売規制の緩和を
F献血について
G健康食品や医薬品まがいのTVCMについて
H最低賃金の引き上げについて
I農業への転職支援について
J介護と外国人労働者について

<2011年12月20日記事の再掲>
「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されている
→福祉専門職として,「決められているといえども決める」という気持ちを持ち続けたいと思う。可能性があるのに,投げてしまうのはもったいない。あきらめたときに,すべてが終わる。(筆者)

→先日,「2012年度厚生労働省行政モニター」の委嘱を受けたという若い方からメールをいただいた。2012年度は全国で504名のモニターが選定されたとのことで,「厚生労働省大臣官房長 岡崎淳一」名での委嘱状を見て,ささやかなことだが自分も社会の役に立つことができるかもしれないと思った,との内容であった。
→「どうせ,言ってもどうにもならない」と投げずに,機会を見つけ出して,「福祉専門職」として,堂々と自分の意見を表明していこうとする姿勢にエールを送りたい。(筆者)


3/30「2012年度 国政モニター」が募集されている
,2011年12/20
「2012年度の厚生労働行政モニター」が募集されているの記事を参照
4/16 厚生労働省 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」 ・2012年4月13日,厚生労働省は,「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を公表した。
<本基準に関する厚生労働省の説明>
「労働基準法により,使用者は労働時間を適切に管理する責務を有していますが,労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの)の不適正な運用に伴い,割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど,使用者が労働時間を適切に管理していない現状も見られます。本基準は,こうした現状を踏まえ,労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより,労働時間の適切な管理の促進を図るものです。使用者は,本基準を尊重し,労働時間を適正に把握するなど,適切な労働時間管理を行って下さい。」

→福祉・介護分野における従事者の労働環境の改善には,従業者の「労働者意識の強まり」が必要である。(筆者)

(参考資料)
@「労働基準に関する法制度」
  →「モデル就業規則」
  →「改正労働基準法」(2010年4月1日施行)
  →「労働基準行政の相談窓口」
A「やさしい労務管理の手引き」
  →「訪問介護労働者の労務管理マニュアル」(2011年4月)
4/13 厚生労働省 ■「労災保険制度」を理解する
<「労災保険制度」の概要を知る>
 =「労災保険情報センター」にもリンクしています=
(1)労災保険の概略
@
労災保険とは
A労災保険の手続き
B「労災かくし」は犯罪です
C労働者災害補償保険法
D労災補償Q&A

(2)労働者向けの解説
@業務災害と通勤災害の概要
A保険給付等の種類

B給付基礎日額と算定基礎日額
C保険給付と他の制度との関係
D不服申し立て
E障害等級表
  

(3)事業主向けの解説
@労災保険の目的と制度のあらまし
A保険料の申告・納付・負担
B保険料についての不服申立て
C労働保険事務組合
D特別加入の概要
E労災保険率等一覧 →2012年度労災保険率表
F特別加入申請書・記入例


(4)参考となるリーフレット
@請求(申請)のできる労災保険給付等
A第三者行為災害と労災保険
B精神障害の労災認定(2011年12月新基準)
C「過労死」と労災保険

→労働者を雇用する以上,仕事上で発生した事故は,原則としてすべて事業主の責任である(労働基準法に基づく無過失責任)。労災保険の本質は,「労働者のための保険」ではなく,「事業主のための保険」である。それゆえに,労災保険の「加入者」は事業主となり,「被保険者」という概念がない。なお,公務員は原則として労災保険法は適用されない。近年,メンタルの不調による労災が増加しており,労災保険の重要性がますます高まっている。事業主だけではなく,労働者としても,「労災保険制度」の正しい理解が必要である。(筆者)

(参考)
「社会保険労務士制度」(厚生労働省)
4/12 厚生労働省 第24回社会福祉士国家試験での信じられない試験センターのチョンボと対応 ・2012年4月11日,「厚生労働省は,「第24回社会福祉士国家試験における合格者受験番号の訂正について」を公表した。
・「座席を間違えて着席した受験者を合格とし,欠席した受験者の合格を取り消しました」ということである。また,「厚生労働省から、社会福祉士国家試験の実施機関である試験センターに対して再発防止策を講じるよう指示し」たということである。

<2011年10月17日記事の再掲>
これからも,3福祉士国家試験は「社会福祉振興・試験センター」が行うらしい
・2011年10月11日に,厚生労働省は,「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会報告書」(2010年12月)に基づいて設置された「指定試験機関・登録機関の改善に関する検討会(社会・援護局)」から提出された「福祉関係国家資格にかかる指定制度・業務の改善について(報告書)」を公表した。
→都合のいい人たちを集めて検討させたら,都合のいい結論が出るのは,当たり前である。筆者は,@指定制度を廃止すべき,A指定業務について競争参入を実施すべき,B(財)社会福祉振興・試験センターを指定法人からはずすべき,と考えている。20年間もぬるま湯に浸かっていた組織に対して,トップもメンバーも替えずに,「利用者第一主義」や「不断の努力」を求めているが,そんなトンチンカンなことで良くなっていくとは到底思えない。ついでの話で恐縮であるが,所管部局が異なり,国家資格試験ではないけれど,間もなく実施される「ケアマネ試験」にも当該センターが深く関与しているので,これに対しても「利用者第一主義」や「不断の努力」をお願いできればと思う。(筆者

→「アホ」みたいな話であるが,笑えない。筆者は,今回の対応は不公平で,極めて不適切であると考える。いかなる事情があっても,「答案用紙に受験番号を間違えて記入した受験者は不合格になる」というのが鉄則(変えることのできないルール)である。自分たちのミスと相殺させるために,鉄則を曲げてまで合格させて,厄介なことに幕引きしようと考えたのではないかと筆者は思う。
→そう言えば,第24回社会福祉士国家試験直後の2月2日に,試験の公平性に疑念を招くおそれがあるとして,試験委員副委員長である日本社会事業大学社会福祉学部の若穂井透教授が退任するという事案があった。このときも,辞任させることで,厄介なことに幕引きしようと考えたのではないかと筆者は思っている。(筆者)


3/6社会福祉士国家試験の試験委員副委員長が退任させられたというオソマツ(第2報)),2012年2/8社会福祉士国家試験の試験委員副委員長が退任させられたというオソマツ(第1報),2011年10/17これからも,3福祉士国家試験は「社会福祉振興・試験センター」が行うらしいの記事を参照
4/11 厚生労働省 「自立支援医療における利用者負担」(2012年4月)
障害者自立支援法の自立支援医療制度>
自立支援医療制度の概要
  @精神通院医療
    →「精神通院医療について」(2012年4月9日)
  A更生医療
  B育成医療

→「障害者自立支援法」に関する経緯を概観する。「障害者自立支援法は,2005年10月31日に成立し,2006年10月1日に本格施行された。民主党に政権交代した直後の2009年9月19日,長妻元厚生労働大臣が障害者自立支援法の廃止を明言し,2009年12月8日,内閣府に「障がい者制度改革推進本部」が設置された。2010年12月3日,第176回臨時国会において「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」が成立し,2012年4月1日に本格施行された。2011年6月16日に「改正障害者基本法」が成立し,2011年8月5日に施行(一部を除く)された。2012年3月13日,第180回通常国会において「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案」が提出された。約束だったはずの「障害者自立支援法の廃止」は行わずに,法律の名称を「障害者総合支援法」に変更した法律案となっている。この法律案については,今後の国会審議に合わせて,改めて記事にする予定である。なお,「障害者自立支援法」に関するこれまでの経緯と内容については,3福祉士国家試験受験者に必須の知識であり,次回の国家試験に向けて,確実に理解しておく必要がある。(筆者)
4/10 内閣府 2012年4月1日から「改正特定非営利活動促進法(改正NPO法)」が施行された ・NPOの社会貢献活動をさらに広げていくために,2011年6月に「特定非営利活動促進法(NPO法)」が大幅に改正され,2012年4月1日に施行された。
<改正NPO法のポイント>
@「認定NPO法人」の認定基準が緩和され,仮認定制度が導入された。
ANPO法人の認証や認定NPO法人の認定事務の窓口が,都道府県(政令指定都市)に一元化された。
B申請手続の簡素化・柔軟化,会計の明確化が行われた。

→NHK風に言えば,「今後の課題は,それぞれのNPOが活動の質や信頼性を向上させていくこと」となる。筆者流に言えば,NPO法人はコミュニケーションとプレゼンテーションの能力不足を何とかしなさい,行政はニセモノのNPOとホンモノのNPOの見分け方を国民に示し,「新しい公共」におけるNPOの意義を丁寧に広報しなさい,ということになる。筆者には,今回の改正NPO法によって,NPOやソーシャルビジネスが飛躍的に進展するとは思えないし,国民生活に根付くとも思えない。「日本には200程度の認定NPOしかないが,アメリカには90万の認定団体がある」というお決まりの数値比較だけでは,「国民には,NPO活動の重要性がピンとこない」のは当然である。対応策として,例えば,ニューヨークではホンモノのNPOはこんな活動をしていて,社会システムを変えるほどの実績を上げている,というような成功事例をたくさん国民に聞かせることを勧めたい。そうすれば,「国民もピンとくる」のではないかと思う。2011年6月15日の「改正NPO法」の成立以降,2012年4月1日の施行までにおいても,関係者の努力は十分であったかどうか・・・。(筆者)

2011年6/30
(「改正NPO法」が成立(第177回通常国会))の記事を参照

「NPOホームページ」(内閣府)
4/9 厚生労働省 「地域保健対策検討会報告書〜今後の地域保健対策のあり方について〜」(概要 / 本文 ・2012年4月6日,厚生労働省は,「地域保健対策検討会」における報告書を公表した。
・今後,本報告書に基づいて,地域保健法第4条に定める「地域保健対策の推進に関する基本指針」の改正が行われる。
<報告書のポイント>
(1)住民主体の健康なまちづくりに向けた地域保健体制の構築
(2)医療や介護福祉等の関連施策連携を推進するための体制の強化
(3)健康危機管理体制の強化
(4)地域保健対策におけるPDCAサイクルの確立
(5)これからの地域保健基盤のあり方

→1994年に「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(基本指針)が告示され,1997年に「地域保健法」が全面施行された。基本指針は,2000年の介護保険法の施行により一部改正され,2003年の健康増進法の施行により一部改正された。その後,例えば,2006年に「がん基本対策法」および「自殺対策基本法」が制定され,2008年に「医療制度改革」が施行され,2009年には「新型インフルエンザの流行」があり,「保健師助産師看護師法」が改正されているにもかかわらず,現状に即さず時代の方向性に適っていない基本指針のままである。すでに,2005年5月には「地域保健対策検討会中間報告」が提示されていた。2010年7月から,「質の高い地域保健対策の一層の推進」を目的として,「地域保健対策検討会」で議論が始められたが,途中で仕切り直しもあり,ようやく2012年3月27日に報告書としてまとめられたものである。
→何にしても,2003年以降,基本指針の改正の速度が遅すぎる。日本国憲法第25条2項および地域保健法第2条の理解が不十分だということになる。(筆者)


3/204月1日から,厚生労働省健康局に「がん対策・健康増進課」が設置される),2011年12/8「地域保健と社会福祉等の主な関連施策(イメージ図)」の記事を参照
4/6 厚生労働省 「労働政策審議会について」 ・諮問機関は,国の行政機関である府・省・委員会・庁の長及び地方公共団体の執行機関の附属機関の一種で,行政庁の意思決定に際し,専門的な立場から特別の事項を調査・審議する合議制の機関と説明されている。諮問機関は,政府の政策形成・法律立案に深く関わり,大きな影響力を持つ。諮問機関には,法令によって設置される「審議会等」と法令に基づかない「私的諮問機関」の2種類がある。
・厚生労働省設置法第9条において,「厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議すること」等を労働政策審議会の所掌事務と定めている。労働政策審議会が他の多くの審議会と異なるのは,「委員は,労働者を代表する者,使用者を代表する者及び公益を代表する者のうちから,厚生労働大臣が各同数を任命する」(労働政策審議会令第3条)と,「公労使三者構成原則」を明記している点とされている。

→従来から,諮問機関の改善のためには,情報公開の一層の推進と諮問委員への多様な人材の登用などが重要であると指摘されている。労働政策審議会においても,厚生労働大臣の諮問機関で,事務局は厚生労働省官僚で構成され,審議事項の原案や議論の素材は事務局によって作成されることが多いと言われ,議論は実質的に官僚により主導されているとの批判があると同時に,「労使代表委員の代表性」と「公益代表委員の独立性」にも疑義を呈する見解がある。
→福祉専門職であれば,労働政策審議会のメンバーにも注意を払っておく必要がある。(筆者)
4/5 厚生労働省 2012年7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行される ・2009年6月24日に「改正育児・介護休業法」制定され,一部を除いて,2010年6月30日に施行された。
・「2010年6月30日時点で,常時100人以下の労働者を雇用する中小企業」については,3つの制度の義務化が,2012年7月1日から施行されることとされ,「小規模企業への緩和措置」がとられた。対象となる中小企業では,改正内容に合わせて,就業規則の整備(概要 / 詳細しなければならないので,都道府県労働局雇用均等室が相談に応じるとされている

<2012年7月1日から100人以下の中小企業にも義務化される制度>
@短時間勤務(1日6時間)制度
A残業免除制度
B介護休暇制度


<すでに,2010年6月30日から全企業に適用された制度>
C子の看護休暇の拡大
Dパパ・ママ育休プラス
E産後8週間以内の父親の育休取得促進
F労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止

→「育児・介護休業法」は,労働者の仕事と家庭の両立を支援するための法律である。大改正と言われる2009年の「改正育児・介護休業法」においても,短時間勤務制度と残業免除制度の「義務化」は「3歳に満たない子」とされ,「3歳以上就学前の子」は「努力義務」のままであった。企業側に軸足を置いている限り,少子高齢社会への施策としての実効は上がらないだろう,と考えるのが自然である。(筆者)

「改正育児・介護休業法」(You Tube)
「育児・介護休業法の改正について」(パンフレット)
「育児・介護休業法の施行状況」
4/4 内閣府 「社会意識に関する世論調査」(2012年1月調査) ・2012年3月31日,内閣府は,「社会意識に関する世論調査(2012年1月調査)」を発表した。
Q:「国民の考えや意見が国の政策に反映されているか?
A:
・反映されている=15.5% (2011年:18.6)
・反映されていない=81.9% (2011年:78.7%)

「反映されていない」とする者の割合は30歳代から60歳代で,それぞれ高くなっている。

→筆者は,東日本大震災および福島第一原発事故以降の国の政策において,「民意が政策に反映されていない」と回答した人が81.9%という低い数値が出たことから,「この世論調査では実態を反映できない」という感想を持った。2011年3月11日以降,多くの国民は,民意の無視どころか,国が平気でうそをつくことを知った。(筆者)

3/30(「2012年度 国政モニター」が募集されている
)
の記事を参照
4/3 東京都消防庁 「東京版 救急受診ガイド」が始まった
〜2012年4月1日からスタート〜
・東京消防庁では,急な病気やけがで病院に行くかどうか迷った場合や救急車を呼ぶかどうか迷った場合に,従来から電話救急相談を行っていたが,2012年4月1日からはHP上で電話救急相談に準じた「東京版救急受診ガイド(web版)」を掲載している。
・これは,主な19の症状について,利用者自らが症状をチェックしていくことで,傷病の緊急度などに関するアドバイスが得られるサービスである。

<ガイドの例>
・「いつもどおりにしゃべれない」→119番に電話をかけ,救急車を呼んでください。
・「顔色や唇の色が悪い。冷や汗をかいている」→119番に電話をかけ,救急車を呼んでください。
<ためらわず救急車を呼んでほしい症状(消防庁)>
@小児(15歳未満)の場合
A
大人の場合
<参考>
中毒110番・電話サービス(日本中毒情報センター)

→福祉専門職には,役立つ情報である。(筆者)