福祉行政の最新情報(2006.4.1〜)-12
「福祉行政の最新情報」の「見出し」一覧
2013年4月1日〜
2012年4月1日〜2013年3月31日
2011年4月1日〜2012年3月31日
2010年10月1日〜2011年3月31日
2010年4月1日〜2010年9月30日
2010年1月1日〜2010年3月31日
2009年8月1日〜2009年12月31日
2009年4月1日〜2009年7月31日
2009年1月1日〜2009年3月31日
2008年11月1日〜2008年12月31日
2008年9月1日〜2008年10月31日
2008年7月1日〜2008年8月31日
2008年4月1日〜2008年6月30日
2007年12月1日〜2008年3月31日
2007年8月1日〜2007年11月30日
2007年4月1日〜2007年7月31日
2006年10月1日〜2007年3月31日
2006年4月1日〜2006年9月30日
2009年8月1日〜2009年12月31日
http://www.yamadajuku.com/
日付 関係省庁等 項 目 ポイン
12/31 厚生労働省 「2010年度 厚生労働省の予算案」および「2010年度厚生労働省税制改正」 ・「社会保障関係費」は,子ども手当の増設や生活保護費の増大で27兆2686億円(前年度比9.8%増)であり,政策経費である一般歳出の51.0%と初めて50%を超えた。医療費の国庫負担は,高齢化に伴う給付費の増加や診療報酬の0.19%の引き上げで9兆4043億円(前年度比4.6%増)であった。
・「子育て支援」は,「子ども手当」を中学卒業までの子どもに月1万3000円(2010年度のみで,2011年度からは2万6000円)支給し,給付総額は2兆2554億円である。うち国庫負担は,1兆4980億円(現行の児童手当の5.5倍)で,地方負担分の軽減や事務費を合わせると1兆7000億円となる。また,児童扶養手当を,父子家庭にも拡大するため50億円増額している。

→急仕上げの「ビジョン」のない「バラマキ」の予算案という評価が一般的である。国民は,来年1月からの2010年通常国会で,予算修正も考慮された慎重な審議がなされることを望んでいる。特に,「社会保障」は,与野党の枠を超えて議論されなければならないはずである。しかし,2008年1月に,福田総理は民主党の小沢幹事長に対して「国民社会保障会議」への参加を求めたが,参加を拒否したという経緯から,当然のことであるが2008年11月の「国民社会保障会議最終報告」は,民主党政権下では無視されている。今後も,おそらく現民主党の代表および政権の代表のままであれば,超党派で議論していこうということにはならないように思われる。国民は,政党によらない「持続可能な社会保障,社会福祉」を求めている。(筆者)

12/29「子ども手当」は愚策ではないか)の記事を参照
12/30 ■「社会保障審議会分科会・部会・特別部会」等が軽視されていないか
〜専門的な議論・検討が停滞しているのではないか〜
→民主政権になってから,本カテゴリーで社会保障審議会等の専門的な会議体を記事として取り上げることが少なくなったように思う。
→政治主導で国政運営することには異論はないが,専門家等による議論や検討をおろそかにして,政治家(政務三役)だけによる根拠のないあてずっぽうのようにみえる現在の政策立案・調整・決定のシステムに依存することには危険を感じる。厚生労働省においても,歯の浮くような中身のない言葉(コンクリートから人へ,命を大切にする,医療を重視する,障害者を応援する,困っている方々を応援するなど)がことあるごとに政務三役から出てくるが,空虚な言葉遊びは選挙のときだけでたくさんである。率直に言えば,筆者は,厚生労働省における政務三役の人材配置に疑問をもっている。こういうメンバーであればこそ,よりよい施策のためには,ブレーンとして審議会等の専門家(有識者)と有能な公務員(官僚)をフルに活用し,根拠のある政策決定に結びつけてほしいと思う。
→社会保障審議会障害者部会長である潮谷義子氏(前熊本県知事)の意見を以下に紹介する(福祉新聞第2463号の対談記事より引用)。
『社会保障審議会障害者部会などの審議会がストップしていることを心配しています。(中略)政策を決定するのは政権与党なわけですから,役割を分担すれば良い。何も今までと同じ形のまま開けといっているわけではなくて,与党が「もっと適切な人がいる」と考えるのであれば審議会の人選を与党がやれば良いと思うのです。審議することが大事なのですから。(中略)大きなことは政治が最終的に判断し責任をとるのは当然ですが,そのために実情を把握している人や専門家集団の考えも十分に聞いて結論を下すという方法でなければ,正しいやり方ではないと私は思います。』(筆者)


「社会保障審議会分科会・部会・特別部会の状況」(自・公政権時の2009年8月6日付社会保障審議会資料)
12/29 - ■「子ども手当」は愚策ではないか
〜ドイツの二の舞を踏むことにならないか〜


<これまでの「待機児童対策」の経緯>
@エンゼルプラン(1994年)
A新エンゼルプラン(1999年)
B待機児童ゼロ作戦(2001年)
C少子化対策プラスワン(2002年)
D次世代育成支援に関する当面の取組方針(2003年)
E子ども・子育て応援プラン(2005年)
F新待機児童ゼロ作戦(2008年)
G次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて(2009年)

<日本の子育て家庭への現金給付>
現行「児童手当」 「子ども手当」
・児童手当の月額は,3歳未満が1万円,3歳以上は第1子,第2子が5000円,第3子以降は1万円である。
・支給は小学校卒業までで,所得制限がある。
・児童手当に代わる子ども手当の創設を掲げている。
・中学卒業までの子ども1人あたり月額2万6000円(年額31万2000円)の支給を打ち出している。所得制限は設けない。
・ただし,2010年度は,1万3000円でスタートさせ,2011年度からの本格実施が見込まれている。
→すでに,2003年のOECDの家族政策と合計特殊出生率に関する研究において,金銭的援助より保育サービスの充実の方が合計特殊出生率との相関関係が強い,ということが示されている(「OECD Social, Employment and Migration Working Paper 2003」の図20および図21を参照)。このOECDの研究は,2006年の「少子化対策について」(「第15回社会保障の在り方に関する懇談会」資料)でも紹介され,日本との対応にも言及されている。また,2009年11月18日には,OECDは,日本の経済政策について初めて包括的な提言を発表し,「成長戦略」や「雇用」など9分野に言及し,「鳩山政権が導入を目指す「子ども手当」については「目的と対象を再検討すべきだ」とし,手当の一律支給よりも「待機児童」の解消に力を注ぐべきだとの考えを示した」と報道された。
→民主党の「子ども手当」は,小沢幹事長が選挙対策用に考え出した政策の目玉という位置づけで,練度が低いと一部では言われている。福祉対策なのか,景気対策なのか,少子化対策なのかすら明確でない政策であるとも言われている。
→ドイツは,「家族手当」として子ども一人当たり日本円で2万円程度をばら撒き続けてきたが,就学前の保育の拡充などの総合的な子育て支援策が遅れために,未だに合計特殊出生率は回復していない(「2005年度出生に関する統計の概況」の国際比較),との国際的な嘲笑を受けている。
→筆者は,早晩,「子ども手当」を見直さなければならなくなると予想している。
(筆者)


(子育て支援対策,少子化対策,待機児童に関して)
12/23
「特別養護老人ホーム待機者の状況」,10/19「子ども・子育てビジョン(仮称)検討ワーキングチームの設置」「今後の子ども・子育て支援策への意見募集」,9/22(「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度)),9/9筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う),9/3(2009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)の記事を参照

→■「2010年度予算のポイント」
→■「2010年度社会保障関係予算等のポイント」
12/28 厚生労働省 「雇用を取り巻く状況について」
〜「第1回雇用政策研究会」資料〜


「雇用政策研究会」委員
2009年12月16日現在(敬称略)
阿部正浩 獨協大学経済学部 教授
加藤久和 明治大学政治経済学部 教授
黒澤昌子 政策研究大学院大学 教授
玄田有史 東京大学社会科学研究所 教授
小杉礼子 (独)労働政策研究・研修機構 統括研究員
駒村康平 慶應義塾大学経済学部 教授
佐藤博樹 東京大学社会科学研究所 教授
白木三秀 早稲田大学政治経済学術院 教授
諏訪康雄 法政大学大学院政策創造研究科 教授
清家篤 慶應義塾長
鶴光太郎 (独)経済産業研究所 上席研究員
橋本陽子 学習院大学法学部 教授
樋口美雄 慶應義塾大学商学部 教授
宮本太郎 北海道大学大学院法学研究科 教授
森永卓郎 獨協大学経済学部 教授
山川隆一 慶應義塾大学法科大学院 教授
・「雇用政策研究会」(座長:樋口美雄慶應義塾大学教授)が設置された。日本の経済・雇用情勢と課題の分析,今後目指すべき雇用システムやセーフティネットなど今後5年程度の中長期的な雇用政策の方向性について検討し,2010年6月に報告書をとりまとめる予定とされている。

→本資料は,@経済環境・企業行動の変化,A社会の変化,B雇用情勢・就業構造の変化,で構成され,最新のデータが掲載されている。3福祉士国家試験受験勉強にも言えることであるが,「傾向を理解する」ことが大切である。(筆者)

11/4長妻大臣は,厚生労働省顧問として駒村康平氏(慶應義塾大学教授)を任命した)の記事を参照
12/27 厚生労働省 「訪問介護の同居家族問題」で同じ内容の通知を3年連続で出している「厚生労働省」
〜市町村に周知徹底が図れない〜
→連日,厚生労働省を批判する介護関連の記事となってしまった。
→同居家族等がいる場合,市町村によっては,現在でも,一律機械的に訪問介護が制限されているという問題である。
→厚生労働省は,2007年12月20日(事務通知),2008年8月25日(事務通知),2009年12月25日(課長通知),と同じ内容の通知を3年連続で3回出している。課長通知がどれほどの権威と強制力を持つものなのかは知らないが,都道府県への課長通知と利用者向けのチラシをもってすれば,今までできなかった周知徹底が達成できると,山井政務官は本気で考えたというわけだ。「本庁の課長」という偉い人が言えば,市町村が「ハハァー」とひれ伏すと思っているとすれば,これはすごいことである。
→この問題に関して,厚生労働省の致命的な欠陥は,問題の所在を明確にしていないところにある。現在,市町村数は1,772であり,高いハードルがあるのかも知れないが,実態の把握と過去の通知の再確認をするのであれば,市町村に直接電話やメールを利用すれば,1日でできることではないかと,素人は思ってしまう。
→筆者は,問題となる事例の多くが,おそらく実際にケアプランを立てているケアマネジャーの判断よりも(ケアマネの判断の誤りや思い込みのケースもあることは否定しないが),ケアマネジャーが確認のために問い合わせをしている市町村の担当窓口や地域包括支援センターの「知識レベルや質的レベルの問題」によるものではないかと想定している。そうであれば,打つべき対策として,「都道府県に向けた課長通知や利用者に向けたチラシ」では対象が適切とは言えない。正しい判断ができている多くの市町村は,できていない一部の市町村と同じく一律に通知されるというお役所仕事に対して,どう思うのだろうか。さらに,「レベルの低い市町村の担当」は,チラシが例示であるにかかわらず,「3つの事例だけが認められると曲解する危険性がある」ことを厚生労働省は考えたのだろうか。2010年は,介護保険法ができて10年になるが「周知徹底」すらままならないとは,誠に情けない。
とにかく,これまで効果的な対策を打たずに,老老介護などで実害が出ていることを知りながら,「放置」してきた厚生労働省の責任は重い。(筆者)


12/26(長妻厚生労働大臣,細川副大臣,山井政務官では,介護分野の改善は進まないと思った,12/25「第12回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の実施状況」の記事を参照
12/26 厚生労働省 長妻厚生労働大臣,細川副大臣,山井政務官では,介護分野の改善は進まないと思った
〜「介護就職デイ」の意見交換会〜


<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>
大臣 ・長妻昭衆議院議員
副大臣 細川律夫衆議院議員
長浜博行参議院議員
政務官 山井和則衆議院議員
足立信也参議院議員
→厚生労働省のトップであれば,介護の仕事に興味を示した人に対して,当たり障りもないことを言うのではなく,「ビジョン」を明確に示すべきであると思うが,動画を観て,これではまずいと思った。
→介護分野の改善を願う者として,極めて個人的な感想を率直に申し上げる。決して,特定の個人を非難するものではない。今回,特に,緊急雇用創造チーム・介護サブチーム主査で,介護分野全般を担当しておられるであろう山井和則政務官にはがっかりさせられた。彼は,『「軽老の国」から「敬老の国」へ』というキャッチフレーズを用いて,介護分野の専門家を自認してきた人物であり,野党時代から期待して,これまで言動を注視してきた。今回のような意見交換会の場は,介護の世界に興味を示した若者に向かって,心を揺さぶるような熱い思いを語り,介護の仕事の魅力を伝え,強いメッセージを発することができる絶好の機会であったにもかかわらず,結局彼にとっては,野党時代から変わらず,介護の仕事や現場の最重要テーマは「賃金」だと捉えているように思えた。数年にわたり,欠かさずメールマガジンを拝読してきたが,最近の記事は目の前の仕事でいっぱいいっぱいの様子が見て取れ,魅力を感じなくなった。残念である。(筆者)


12/11(介護分野の就職面接会「介護就職デイ」を開催(全国のハローワーク))の記事を参照
12/25 厚生労働省 「第12回介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の実施状況」 @合格率:21.0%(合格者数 29,485人/受験者数140,277人)
A介護福祉士の合格者数:19,158人(全体の65.0%)
<合格率の推移>
第12回 :21.0%
第11回 :21.8%
第10回 :22.8%
第9回  :20.5%

第8回  :25.6%
第7回  :30.3%
第6回  :30.7%
第5回  :30.7%

<2009年10月28日記事の一部再掲>
→やまだ塾は,大学入試センター試験と同様に,ケアマネ試験も3福祉士国家試験も「試験日翌日に問題と正答番号を公表すべき」だと主張してきた。14万人を超える第12回ケアマネ試験受験者に無用な心配を長期間与えるべきではないと思う。
→筆者は,厚生労働省の天下り先と言われる(左記に2008年通常国会での質疑応答を掲載した)「社会福祉振興・試験センター」の怠慢であると思っている。「受験者の身にもなってほしい」と言いたい。また,今年度のケアマネ試験でも統一性に欠け,妥当性が疑われる粗悪な問題が散見されたので,そろそろ国家試験並みに「試験委員」を設定し,公表すべきだと思う。「ケアマネの質の向上」を言う前に,「ケアマネ試験問題の質の向上」が優先されるべきである。さらに,基本テキストに関する筆者の苦情は,@7350円もする基本テキスト(全4巻)のセット販売は時代遅れではないかと思う(少なくとも,分厚い「第4巻法令・通知」は別売りでいい),A新版の発売時期が7月初旬では前年度版を買い換えなければならないので受験者には経済的負担が大きい(遅くとも4月には発売すべき),である。このような「お役所仕事」には抗弁すべきであると思う。鳩山政権には,当該試験センターのさらなる改善を望みたい。(筆者)

「介護支援専門員実務研修受講試験の受験について」
12/24 連合 厚生労働省の支援策は,仕事を探しながら生活に困っている人には届いていない
〜認知度は@「第2のセーフティネット」15.3%,A「ワンストップ・サービス・デイ」20.6%〜
2009年10月の完全失業者数は344万人(昨年比89万人増)であり,厚生労働省には適切な支援策が求められてきた。
・厚生労働省の支援策の認知度について,民主党の支持母体である連合が調査結果を発表した。
(1)最後のセーフティネットである「生活保護」の前の段階の支援策としての「第2のセーフティネット」が考え出されたが,その認知度の平均は15.3%(@「給付金付き職業訓練制度」34%,A「就職活動資金の融資」18%,B「住宅手当の給付」5%)と低率であった。
(2)上記支援策等の相談をハローワークの一つの窓口で受けられるようにする「ワンストップ・サービス」の取り組みとして「ワンストップ・サービス・デイ」が,11月30日に全国の主なハローワークで行われたが,その認知度は20.6%と低率であった。

→仕事を探しながら当面の生活に困っている人への厚生労働省の支援策は,対象者に知らされていなかったという調査結果であり,論外である。
→雇用保険と生活保護をつなぐという「第2のセーフティネット」や「新しいセーフティネット」の言葉を,多くの国民は知らない。また,「就職安定資金融資制度」などは,返すあてもない者に借金をさせ,国が多重債務者を作り出すような施策との批判がある。筆者は,「第2のセーフティネット」は,セーフティネットである「生活保護制度」の「適用渋りの施策」だと受け止めている。
→「ワンストップ・サービス」は,本来行政の定常業務として当然行われていなければならないことであるが,わざわざ1日だけそうする日を設定し,「ワンストップ・サービス・デイ」としてお祭り騒ぎをした「パフォーマンスの施策」であると受け止めている。厚生労働省は,仕事を探しながら当面の生活に困っている人の8割から期待されていないことを真摯に受け止めるべきである。(筆者)


「新しいセーフティネット支援ガイド(仕事・住まい・生活にお困りの求職者の方へ)」(厚生労働省)

(生活保護制度に関して)
12/15「ナショナルミニマム研究会」をなぜ非公開にするのかの記事を参照
12/23 厚生労働省 「特別養護老人ホーム待機者の状況」

<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>
大臣 ・長妻昭衆議院議員
副大臣 細川律夫衆議院議員
長浜博行参議院議員
政務官 山井和則衆議院議員
足立信也参議院議員
・2009年12月現在,特別養護老人ホームへの入所申込者数は,全国で約42.1万人(2006年調査:38万5千人)いる。要介護4〜5:約17万9千人(42.4%)で,うち約6万7千人(16.0%)は在宅介護である。在宅の待機者は計約19万9千人で,全体47.2%を占めている。
・「特別養護老人ホームにおいては,介護の必要な程度や家族の状況等を考慮して,必要性が高いと考えられる方から優先的に入所していただく仕組みを採っている」と説明されている。
・長妻昭厚生労働大臣は,記者会見で「特養の定員と同じくらいの人数が待機しているという深刻な状況だ。対応策を強化していきたい」と述べたと報道されている。

→最近,筆者は,長妻厚生労働大臣という人物は,よくもまあいつもいつも調子のいい受け答えをするものだと感心している。逆に言えば,はぐらかすような受け答えがうまいということだろう。見識があり,責任ある受け答えとしては,「対応策を強化していきたい」などとごまかさずに,例えば,「特別養護老人ホームの増設などの対応策を強化していきたい」と言うことが考えられる。長妻大臣は,11月4日に,待機児童解消の対策強化として,認可保育所の面積の最低基準をなくした「詰め込み策」を内閣府に提案している。正直,言うこととすることが違う人物だと思った。同時に,左記のブレーンの力量にも関連すると思った。「最低基準をなくす」ということは,「最低基準以下を国が容認する」ことを意味する。介護・障害者施設の施設面積基準については,国の最低基準をなくさないと言っていたが,まさか,今回も「特養への詰め込み策」を考えている・・・わけないよね。(筆者)
12/22 内閣府 「障がい者制度改革推進本部」が設置された ・2009年12月8日の閣議決定により「障がい者制度改革推進本部」が設置された。同本部は,障害者権利条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする日本の障害者制度の集中的な改革を行うため,内閣に設置するとされている。構成員は,本部長である内閣総理大臣の下,すべての国務大臣となっている。これに伴い,2000年12月26日の閣議決定により設置された「障害者施策推進本部(旧本部)」は廃止された。
・12月15日に 「障がい者制度改革推進本部第1回会合」が開催された。

→気になったので申し上げる。筆者は,「障害者」という法律に規定された用語を,何の脈絡も説明もなしに,「障がい者」と変更した「鳩山政権」の見識を疑う。おそらく一部の団体の声を取り入れたことは想像できるが,言葉遊びや思いつきの類としか受け止められない。障害者施策については,「総論賛成,各論反対」という現実を直視し,認識することが必要であると思うが,「鳩山政権」は国民の理解を得ながら着実に進めていくことの大切さを認識していないように思える。障害者施策に関して,国民の意識を無視して,上意下達で進める気ならどうしようもない。(筆者)

→■「今日の一問」(「問題20 ノーマライゼーション」の用語が一般的に用いられる現在においても,法令用語として「障害」が使用され,改められる状況にない。法令で「障碍」ではなく「障害」と表記する理由を政府の公式見解で示せ)
12/21 厚生労働省 「地域生活定着支援事業」

<福祉の支援が必要な刑務所出所者の現状>

@親族等の受入先がない満期釈放者は約7,200人で,うち高齢者・障害を抱え自立が困難な者は約1,000人である。(2006年法務省特別調査)
A65歳以上の満期釈放者の5年以内刑務所再入所率は70%前後で,64歳以下の年齢層(60%前後)に比べて高い(同調査)。しかも,65歳以上の再犯者のうち約3/4が2年以内に再犯に及んでいる(2007年版犯罪白書)。
B調査対象受刑者27,024人のうち知的障害者・知的障害が疑われる者410名,療育手帳所持者は26名であった。知的障害者・知的障害が疑われる者のうち犯罪の動機が「困窮・生活苦」であった者は36.8%であった。(2006年法務省特別調査)
・矯正施設(刑務所,少年刑務所,拘置所,少年院)入所者には,高齢・障害により自立した生活を送ることが困難であるにもかかわらず,福祉的支援を受けてきていない人や親族等の受入先を確保できないまま矯正施設を退所する高齢者・障害者多くいる。このため,厚生労働省では,2009年度に「地域生活定着支援事業」を創設し,保護観察所と協働して進める「地域生活定着支援センター」を各都道府県に整備し,社会復帰の支援を推進することとした。

→国の「自立更生促進センター」(公的更生保護施設)の未整備を棚上げにして,都道府県の「地域生活定着支援センター」の設置を進めても再犯のリスクを縮小できるとは思えない。また,職員4名で構成する「地域生活定着支援センター」1か所当たりの事業補助費が年間1,700万円だと聞くと,都道府県が国にクレームをつけたくなるのは当然のように思う(参考:東京都の国への緊急要望)。
→「地域生活定着支援センター」に配置される職員(4名)は,社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を有する者と明記されている。
社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者は,以下の資料には,必ず目を通しておいていただきたい。筆者は,次回社会福祉士国家試験の専門科目である「更生保護制度」では,本事業に関しては,出題される可能性が高いと予想している。(筆者)

「地域生活定着支援事業実施要領」
「地域生活定着支援センターの事業及び運営に関する指針」
12/18 厚生労働省 「ひきこもり対策推進事業」

<ひきこもりの定義(2004年「こころの健康についての疫学調査に関する研究)

・「仕事や学校に行かず,かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに,6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」
・「単一の疾患や障害の概念ではなく,様々な要因が背景になって生じる状態」
・ひきこもりが社会問題化する中で,厚生労働省では,これまでの@精神保健福祉,A児童福祉,Bニート対策の各分野における,ひきこもりを含む相談等の取組に加え,2009年度から,新たに「ひきこもり地域支援センター」を整備し,地域におけるひきこもり対策の中核機関の設置による総合的な支援体制を確保する取組みを推進するため,「ひきこもり対策推進事業」を創設した。

→「ひきこもり地域支援センター」に配置される「ひきこもり支援コーディネーター(2名)」のうち「専門職」は,社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を有する者も明記れている。社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者は,以下の資料には,必ず目を通しておいていただきたい。筆者は,次回国家試験では,本事業に関する出題の可能性が高いと予想している。(筆者)

→■「ひきこもり関連施策」(2009年10月)
→■「ひきこもり対策推進事業実施要領」
12/17 厚生労働省 「発熱したお子さんを見守るポイント」(保護者向けパンフレット)

子どもの症状
重症化を防ぐための10のチェックポイント
@手足を突っ張る,がくがくする,目が上を向くなどのけいれんの症状
Aぼんやりして視線が合わない,呼びかけに答えない,眠ってばかり
B意味不明なことを言う,走り回る
C顔色が悪い(土気色,青白い)。唇が紫色
D呼吸が速く(1分間に60回以上),息苦しそう
Eゼーゼーする,肩で呼吸する,全身を使って呼吸する
F「呼吸が苦しい」「胸が痛い」と訴える
G水分が取れず,半日以上おしっこが出ていない
H嘔吐や下痢が頻繁にみられる
I元気がなく,ぐったりしている
<11月14日記事の再掲>
→ワクチン接種を含めて感染予防の「注意点」についての国民の理解は深まってきていると思う。
→しかし,治療に関する情報が極端に不足しているので,どうしたらいいのかが分からず,「重症化」し,手遅れになってから医療機関に連れて行かざるを得ない状況にあるように思う。生命にかかわる「重症化」への「具体的な注意点・ガイドライン」を早急に国民に明示すべきである。厚生労働省は,「死亡何人」の報告だけではなく,現状わかっている限りの「重症化の早期発見」のための情報提供(家庭など医療機関以外での兆候などの判断材料)をこまめに,分かりやすく行うべきであると思う。(筆者)

→本パンフレットとポスターが2009年12月16日に公表された。2009年12月15日現在で,新型インフルエンザ感染死亡者は,116人に達している。国民への情報提供が,遅すぎるのではないかと思う。(筆者)

11/14(「重症化の早期発見」の情報提供が遅れていると思われる新型インフルエンザ対策)の記事を参照

新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
12/16 内閣府 「体と心をボロボロにする薬物乱用」(政府インターネットテレビ)
<9月19日記事の一部再掲>
→筆者は,「薬物依存の防止」には,「小学生からの繰り返しの教育以外には方策はない」と考えている。ただし,行政が行っている『覚せい剤やめますか,人間やめますか』という標語があるが,これは無責任で無意味な「脅し」に過ぎず,有効ではない。薬物に関する具体的な情報提供のない単なる脅しや重罰化の意見は,薬物乱用防止には何の役にも立たないと考える。
→違法薬物と知りながら「自らの意思で薬物乱用した者」は,「自らの意思で人間としての価値を放棄した者」と繰り返し教えなければならない。また,「自分の意思によって人間に戻れる可能性が極めて低い」ことも繰り返し教育する必要があると思う。薬物依存によって「人間としての価値観を失った人たち」への支援は,愛情では対応できず,専門的知識と技術がなければ不可能であり,専門職として「精神保健福祉士」がそれに当たるのが相応しいと思う。
→日本の行政は,薬物汚染が急速に広がっているにもかかわらず,「無為無策」と言える。国民は,誰に相談していいのかさえ分からない状況に置かれている。また,日本のマスコミの薬物依存への認識レベルの低さや節操のない商業主義を正せるのは,国民だけである。最近,多少の嫌悪感があったが,田代まさし氏の著作を目にした。薬物依存対策において,薬物依存経験者の意見には耳を傾けなければならないと思った。知ったかぶりの有識者の意見より,更生環境や更生教育などに関する田代氏の意見を取り上げる方がはるかに日本社会のためになると思った。薬物依存で「人間でなくなった人たち」への専門的な支援には,「薬物に心をとらわれてしまった人たちの経験」を生かすことが大切である。
→「精神保健福祉士」はじめ福祉専門職には,次の「赤城高原ホスピタル」のホームページの記事をご覧いただきたい。セックスとの深い関係など薬物依存のおぞましさにショックを受けることと思うが,日本の無為無策の薬物乱用対策に何が不足しているのかを考える手がかりになると思う。
『薬物乱用,依存症,200人の証言』
http://www2.gunmanet.or.jp/Akagi-kohgen-HP/DR200.htm
(筆者)

9/19「精神保健福祉士国家試験」では,「覚せい剤依存」が出題基準に明記されている),2/17「麻薬・覚せい剤等乱用防止のための啓発活動」2008年12/5(■12/3に新しい「薬物乱用防止啓発読本」を公表)11/3「Q:最近,大麻や麻薬・覚せい剤の乱用事件が目立つ。政府の取り組みは?」,9/4大麻などの依存性薬物と刑罰)4/28「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30),2007年12/6大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧,10/30塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ),9/26麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施,9/22リタリンの記事を参照

「第三次薬物乱用防止5か年戦略」
「薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)」
麻薬取締りホームページ
明確な根拠をもつ
「心の健康-薬物乱用」)
12/15 厚生労働省 「ナショナルミニマム研究会」をなぜ非公開にするのか

「ナショナルミニマム研究会」委員名簿(敬称略)
雨宮処凛 作家・反貧困ネットワーク副代表
岩田正美 日本女子大学人間社会学部教授
貝塚啓明 東京大学経済学部特任教授,財務省財務総合政策研究所名誉所長
菊池馨実 早稲田大学法学学術院教授
駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授
神野直彦 関西学院大学人間福祉学部教授
竹下義樹 弁護士
橘木俊詔 同志社大学経済学部教授
湯浅誠 反貧困ネットワーク事務局長
・「ナショナルミニマム研究会」が設置され,第1回が2009年12月11日に「非公開」で開催された。
・「政府が守らなければならない生活水準というのはどういうものか。今の社会保障のほころびを乗り切る哲学を打ち立てていきたい」(長妻厚生労働大臣),「今後,補足率の実態把握もやっていきたい」(山井和則政務官)と新聞で報道されている。

→多くの国民の関心事である「憲法で保障する最低限度の生活の定義」を検討するのに,なぜ非公開にしなければならないのかが理解できない。また,マスコミが大きく取り上げているといっても,多くの国民から支持されているわけではない「特殊な団体(反貧困ネットワーク)」からなぜ2名も委員が選任されるのかという疑問をもつ。
→筆者は,「生活保護制度」に関しては,哲学や補足率の実態調査などできもしないことを言う前に,「生活保護費(税金)」が不正に受給され,食い物にされている実態を調査し,その温床となっている現行システムを改良し,現実の計り知れない不正や税金の無駄遣いを正すことの方が優先されるべきであると思う。闇の部分を秘匿したり,議論の浅さを国民に知られたくないという理由から,非公開にしたのかなあと勘ぐっている。(筆者)
12/14 厚生労働省 精神保健福祉士の養成カリキュラム見直し案(講義系科目 / 演習・実習
〜「第7回精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」資料〜


「精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会ワーキングチーム」構成員(敬称略)
青木聖久 日本福祉大学福祉経営学部准教授
岩崎香 早稲田大学人間科学部准教授
大塚淳子 社団法人日本精神保健福祉士協会常務理事
潮谷有二 長崎純心大学人文学部教授
白石弘巳 東洋大学ライフデザイン学部教授
住友雄資 高知女子大学教務部教授
中村和彦 北星学園大学社会福祉学部准教授
林道彦 日本精神科病院協会理事
半澤節子 自治医科大学看護学部教授
細谷要一 旭川荘厚生専門学院精神保健福祉科科長
森田久美子 立正大学社会福祉学部准教授
・2009年11月17日,1年ぶりに「第7回精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」が開催された。
・2008年10月21日の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」と左記のワーキングチームで検討された内容(2009年3月〜9月まで計4回開催)を踏まえて,「精神保健福祉士の養成カリキュラムの見直し案」が提示された。
・新たな教育カリキュラムの教育時間数を現行1,110時間から1,200時間(90時間増)とすること,社会福祉士との共通科目として障害者福祉の基礎知識として欠かせない「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」(30時間)を新たに盛り込んで11科目とすること,現在6科目ある専門科目(精神医学,精神保健学,精神科リハビリテーション学,精神保健福祉論,精神保健福祉援助技術総論,各論)を7科目に再編すること,演習の時間数を現行の60時間から90時間に拡充すること,実習時間数を拡充し精神科医療機関等の実習を必須にすること等が示された。


→怒り心頭に発する。精神保健福祉士法と実態の乖離の修正を,一体いつまで放置しておくつもりなのだろうか。放置しておいても困らない国家資格なのだろうか。また,新カリキュラムの導入の時期を議論しない検討会など無意味であると思う。さらには,申し上げにくいけれど,筆者には,左記のワーキングチームの構成員が,ベストメンバーだとは思えない。(筆者)

7/9「7月20日は,『ソーシャルワーカーの日』」を知っていますか?(の記事を参照

「精神保健福祉士の資格制度の見直し(動向)」
12/12 厚生労働省 「2008年患者調査の概況」 ・2008年10月現在の調査結果であり,前回は2005年であった。
・推計入院患者数は139万2000人(前回2005年調査比7万人減)で,推計外来患者数は686万5000人(同22万7000人減)であった。入院患者の疾病別内訳は精神・行動障害が30万1000人,循環器系疾患が28万人,新生物が15万9000人であった。外来では消化器系の疾患が125万人で最も多かった。
・精神疾患の総患者数は,323.3万人(前回2005年調査比20.5万人増)で,うち気分障害が104.1万人(同11.7万人増),アルツハイマー病が24万人(同6.4万人増),統合失調症圏が79.5万人(同3.8万人増)であった。また,精神病床の入院患者のうち,受入れ条件が整えば退院可能な患者数は約6.2万人(2005年約7.6万人,2002年6.9万人,1999年約7.2万人)である。

→次回3福祉士国家試験では,「2005年患者調査の概況」が出題の対象となるので,受験者は必読である。(筆者)

「2005年患者調査の概況」
12/11 厚生労働省 「2009年労働組合基礎調査結果の概況」 ・2009年6月30日現在の単一労働組合の労働組合数は26,696組合,労働組合員数は1,007万8千人であり,推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は18.5%(前年比0.4%増,1975年以来34年ぶりに上昇)であった。雇用者数が減少する中で,パートなどの非正規雇用労働者の組合員が大幅に増えたことが要因とされている。

→パート組合員が増えたといっても,全組合員に占める比率は7.0%である。また,契約や派遣で組合に入っている人はほとんどいないというのが現状である。(筆者)
12/11 首相官邸 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(閣議決定) ・政府は12月8日,鳩山政権発足後初となる経済対策「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を閣議決定した。
・財政支出は7兆2,000億円規模で,雇用の分野に約6,000億円を計上,雇用調整助成金の要件緩和などの緊急対応策の強化や成長戦略への布石となる「雇用戦略」の本格的な推進などを盛り込んでいる。

雇用
6000億円
・雇用調整助成金の支給要件緩和
・保育サービスの拡充,女性の就労支援
・観光立国推進
環境
8000億円
・家電エコポイント,エコカー購入援助の継続
・住宅版エコポイントの創設
・森林・林業の再生加速
景気
1兆7000億円
・中小企業の資金繰り支援
・セーフティネット貸付の延長
・住宅購入ローン金利引き下げ
生活の安心確保
8000億円
・後期高齢者医療の軽減継続
・新型インフルエンザ対策
地方支援
3兆5000億円
・地方交付税の減収分肩代わり
・地域インフラ整備
「国民の潜在力」の発揮 ・幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革
・環境・エネルギー分野での制度・規制改革

日本経団連会長コメント / 連合事務局長談話
12/11 厚生労働省 介護分野の就職面接会「介護就職デイ」を開催(全国のハローワーク)
・厚生労働省は12月7日,介護分野の就職面接会「介護就職デイ」を全国のハローワークで実施すると発表した。
・12月14日からの週のうち1日を「介護就職デイ」として面接会を断続的に実施する。また,東京労働局は「介護就職デイ」最終日の12月19日,厚生労働省講堂で大規模イベントとして就職面接会を開催,介護関係団体,事業者による情報提供,介護体験セミナー等を実施する。


「「介護就職デイ」の取組進捗状況について」(2009年12月11日第1回緊急雇用創造チーム・介護サブチーム(第1回)会合資料)

→介護職が不足しているので,頭数を揃えて帳尻合わせする施策に対して,介護分野からの反論や提案は聞かない。介護職は専門職ではないのだろうか。不登校への対処や保育士の養成にも,さらにソーシャルワークの知識・技術が求められようとしている時代において,知識・技術・価値が求められない「粗悪な介護職」を作り出していいものだろうか。(筆者)
12/11 内閣府 「男女共同参画社会に関する世論調査」 ・内閣府は12月7日,「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果をとりまとめた。
<ポイント>
・「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」との考えに賛成する人の割合は42.8%(前回2007年比6.0%増1992年の調査開始以来最高)であった。

・「子供を持つ必要はない」との回答は,男性38.7%,女性46.5%であった。また,若い世代ほど子供を持つことにこだわらない傾向にあった(20歳代63.0%,30歳代59.0%,40歳代47.5%,50歳代43.1%,60歳代35.8%,70歳以上22.8%)。
・「結婚は個人の自由だから,してもしなくてもどちらでもよい」との回答は,70.0%(前回比4.9%増)であった。
・「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきだ」との考えに「反対」との回答は,55.1%(前回比3.0%増,調査開始以降5回連続増)であった。
・女性が子供を持つことについては「子供ができても,ずっと職業を続ける方が良い」との回答は,45.9%(前回比2.5%増で過去最高)であった。
・「男女の地位」に関する調査では,法律や制度面で男女が「平等」と感じている人(44.4%)が,「男性の方が優遇されている」と感じる人(41.4%)を調査開始以来,初めて上回った。一方,職場での状況は「男性優遇」が62.1%とほぼ横ばいであった。

→「子供を持つ必要はない」という社会意識が若者に定着するような国に未来はない,と誰も言わない。伝統的家族観への抵抗や女性の社会進出に焦点化するような「少子化担当大臣」を国民は求めていない。夫婦別姓よりも先にすべきことがあるだろうと思えてならない。また,鳩山政権の少子化対策は,「子ども手当」など「子を持とうと思う人への施策」が中心であるが,見当はずれのように思えてならない。非婚化の進展,若年者の雇用不安,好き好んで共働きをしているわけではない人たちの存在と待機児童の増加,などを中心課題としない「少子化対策」など「笑止化対策」でしかない。(筆者)
12/11 厚生労働省 「保育施設における死亡事例について」(2004年4月〜2009年11月) ・過去6年間(2004年4月〜2009年11月)に発生した保育施設(認可保育所,認可外保育施設)における死亡事例(認可保育所19件,認可外保育施設30件)があった。
<過去6年間の死亡事例の結果>
@認可保育所:19件(園内13件,園庭2件,園外4件)
A認可外保育施設:30件(園内28件,園外2件)
B年齢:認可保育所は0歳児,1歳児,2歳児が一番多く共に21.1%,認可外保育施設は0歳児が一番多く57.6%
C園外における事故の主な発生場所:河川敷(認可),プール(認可),車内(認可外),道路(認可外)
<専門家の現状認識>
@認可外保育施設の事例の中には,保育体制の不備や観察不足があったと考えられ,認可保育所よりも事故の発症率が高い。
A認可保育所がこれほど増えていることや,子どもの育ちに様々な課題がある中,死亡件数は増えておらず,保育所が事故防止に努めていることがわかる。
12/11 厚生労働省 「認知症への取り組み」(厚生労働省)
<構成>
@認知症とは
A認知症ケア高度化推進事業
B「認知症を知り 地域をつくる10ヵ年」構想
C認知症介護従事者等の養成
D若年性認知症施策
E「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」(2008年7月10日)

→「認知症」は3福祉士国家試験には頻出である。受験者は,上記構成の内容を確認しておいていただきたい。(筆者)
11/30 ■「事業仕分け」における「中抜き報道」 →11月27日に,2010年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け(9日間)」が終わり,総額で約1兆6千億円になった。
→『残念なのは,タイ焼きの頭としっぽだけを編集し,あんこの部分を伝えない報道です。毛利衛さんの科学未来館について一部報道では,税金が科学技術振興機構と科学技術広報財団の2団体を経由していることが不透明とされたのに肝心の議論は報道されません。中抜き報道の弊害は大きいと思います』(行政刷新会議ワーキンググループ評価者,前滋賀県高島市長海東英和氏)
→筆者は,「蓮舫議員の過激な言動」の同じシーンを繰り返す
テレビの表層的な報道に,枝葉のことで国民をリードし,肝心の内容や本質をそらす意図を感じた。同時に,議論の現場がインターネットで中継(公開)される時代における映像メディア(テレビ)や活字メディア(新聞)の役割の限界を感じた。(筆者)

行政刷新会議HP
11/27 厚生労働省 「2008年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」 (主な調査結果)
(1)医療施設調査 @施設数
・175,656施設(前年比536減)
A病床数
・1,756,115床(前年比19,366減)
B診療等の状況
・「救急告示有り」の病院は3,932 施設(病院総数の44.7%),一般診療所は418施設(一般診療所総数の0.4%)
C従事者の状況
・病院:「医師」は187,947.6人,そのうち「医師(常勤)」は150,238人(前年比1.9%増)
・診療所:「医師」は117,567.5人,そのうち「医師(常勤)」は97,357人(前年
比1.0%増)
(2)病院報告 @患者数
・病院の1日平均在院患者数は1,318,020人(前年比1.1%減少)),このうち「精神科病院」は 236, 704人(前年比0.5%減,「一般病院」は1,081,228人(前年比1.2%減)
A病床利用率
・81.7 %(前年比0.5%低下)
B平均在院日数
・33.8日(前年比0.3日減),そのうち「精神病床」は312.9日(前年比5.0日短く、減),「一般病床」は18.8日(前年比べ0.2日減)

→社会福祉士・精神保健福祉士国家試験受験者には,新共通科目の「保健医療サービス」への対策として,以下の2007年概況に目を通しておいていただきたい。(筆者)

「2007年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
11/26 法務省 「第61回人権週間」(12月4日〜12月10日) / 「2009年度障害者週間」(12月3日〜12月9日)
【人権週間】
・国際連合は,1948年の第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念し,1950年の第5回総会において,世界人権宣言が採択された12月10日を人権デーと定めた。1949年に,法務省と全国人権擁護委員連合会は,12月4日〜12月10日を人権週間と定めた。
「人権擁護局」(法務省)

【障害者週間】
12月3日は,1982年に「障害者に関する世界行動計画」が国連総会で採択された日で,これを記念して1992年に「国際障害者デー」とすることが宣言された。「障害者週間」は,2004年の障害者基本法の改正により,従来の「障害者の日」(12月9日)に代わり,12月3日〜12月9日を障害者週間として法定された。
「障害者施策」(内閣府)

→このような展開の仕方でいいのかと,毎年この時期になると思う。(筆者)
11/25 - ■厚生労働省で2つの懇談会が廃止となった
〜「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」「社会保障改革推進懇談会」〜


<旧「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の構成メンバー(敬称略)>
・朝倉敏夫
(読売新聞東京本社専務取締役・論説委員長)
・浅野史郎
(慶應義塾大学教授,前宮城県知事)
・岩男寿美子
(慶應義塾大学名誉教授)
・大熊由紀子
(国際医療福祉大学大学院教授,元朝日新聞論説委員)
・奥田碩
(トヨタ自動車株式会社取締役相談役)
・高山憲之
(一橋大学教授)
・テリー伊藤
(演出家)
・土居丈朗
(慶應義塾大学准教授)
・松浦稔明
(坂出市長)
・薬師寺泰蔵
(慶應義塾大学客員教授)

<旧「社会保障改革推進懇談会」の構成メンバー(敬称略)>
・阿藤誠
(早稲田大学人間科学学術院特任教授)
・大森彌
(NPO法人地域ケア政策ネットワーク代表理事,東京大学名誉教授)
・清家篤
(慶應義塾大学商学部教授)
・吉川洋
(東京大学大学院経済学研究科教授)
<2009年11月18日閣議で廃止が決定された18組織>
(1)閣議で廃止
@地球温暖化問題に関する懇談会
A教育再生懇談会
B地方分権改革推進本部(→地域主権戦略会議を新設)
C総合エネルギー対策推進閣僚会議
D日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議
E観光立国関係閣僚会議
F道路特定財源等に関する関係閣僚会議
G地域医療の機能強化に関する関係閣僚会議
(2)総理大臣・官房長官権限で廃止
H情報機能強化検討会議
I安全保障と防衛力に関する懇談会
J国民対話推進会議
K年金業務・組織再生会議
L防衛省改革会議
M公文書管理の在り方等に関する有識者会議
Nアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会
O行政支出総点検会議
P厚生労働行政の在り方に関する懇談会
Q社会保障改革推進懇談会

→鳩山政権が自・公政権から引き継いだ内閣官房と内閣府所管の懇談会などの組織は49であり,そのうちの18組織といわれる。確かに,左記のメンバーをよく見れば,仙石大臣の『くだらない御用学者を集めて』という表現は穏当を欠くが,保守色の強い意見でまとまりそうである。だからと言って,民主党色の強いメンバーを恣意的に集めれば逆の意味で偏向となる。筆者は,「メンバー選任・選定理由の公表」をルール化すべきだと思う。福祉専門職には,結果だけを新聞等で知るだけでなく,検討会などのメンバー構成,個々の発言,経過にも注目していただきたいと思う。(筆者)

11/4長妻大臣は,厚生労働省顧問として駒村康平氏(慶應義塾大学教授)を任命した)の記事を参照
11/24 厚生労働省 「2009年6月1日現在の障害者の雇用状況について」

「2008年度雇用施策実施方針の策定に関する指針」(厚生労働省告示)の抜粋>

(二)企業等における障害者雇用の推進
(中略)
また,率先垂範して障害者雇用を進めるべき立場である公的機関については,速やかな法定雇用率の達成を図るため徹底した指導を行う。
<ポイント>
(1)民間企業(56人以上規模)
全体の実雇用率は1.63%(対前年比0.04%上昇)
(2)公的機関
@国の機関では,97.4%の機関で法定雇用率を達成
A都道府県の機関
・知事部局は全ての機関で法定雇用率を達成しているが,知事部局以外の機関は4.4%の機関が法定雇用率を未達成
・都道府県教育委員会のうち法定雇用率を達成しているのは,47機関中6機関(法定雇用率達成機関割合は12.8%)
・市町村の機関では12.3%の機関が法定雇用率を未達成

→日本の「公的機関」が法定雇用率を達成したことはない。国は,左記の通り,「2008年度の雇用施策実施方針の策定に関する指針」において,公的機関の法定雇用率達成への決意を述べていたが,これまで通り達成できなかった。さらに,引き続いて前政権が策定した「2009年度の指針」(2009年3月)でも同じ文章が掲載されている。また,障害者雇用促進法に基づく「障害者雇用対策基本方針」(2009年3月)では,「公的機関については2012年度までにすべての機関における雇用率達成を図ることを目標として,未達成機関を公表すること等により指導を強力に実施する」としているが,これまで裏切り続けてきたので,信用できない。鳩山政権の「熱意」と「誠意」に期待している。
→次回社会福祉士国家試験受験者の専門科目である「就労支援サービス」への対策として,上記2009年度の指針および基本方針は必読である。(筆者)

11/16「2008年度障害者雇用実態調査結果」の概要を参照
11/23 厚生労働省 「2008年度 高齢者虐待防止法に基づく調査結果」 @養介護施設従事者等による高齢者虐待
・身体的虐待が74.3%,心理的虐待が30.0%
・被虐待高齢者は,女性が70.2%で年齢は80歳代が54.8%
A養護者による高齢者虐待
・身体的虐待が63.6%,心理的虐待が38.0%
・被虐待高齢者は,女性が77.8%で年齢は80歳代が41.7%
B市町村における体制整備
・高齢者虐待の対応窓口の住民への周知が99.2%とほとんどの市町村で実施済み

→高齢者虐待防止法では,虐待防止・保護・支援について,市町村(特別区)が第一義的に責任を持つ役割を担うと規定されている。厚生労働省は,「地域における虐待に対応する関係機関の調整の取り組みが低調(約40%)」だと指摘している。筆者は,「対応窓口の周知」や「関係機関の調整」をすれば虐待を防ぐことができるとする行政の姿勢に疑問をもっている。日本における虐待において,高齢者であれ,児童であれ,いずれの虐待にも共通するのは,「虐待の自覚がないこと」である。その部分にメスを入れずに,今回のような虐待の調査を続けても,結果に現れるのは常に氷山の一角であり,実態とかけ離れたものであると考えられる。わが子に体罰を与えている親は「躾」と称して虐待の自覚はない。高齢者介護の過程で虐待をする家族は「たまに八つ当たりしても罰は当たらない」として虐待の自覚はない。日本では,自分勝手な理屈や思い込みでなされる虐待に対して,それぞれの家族や家庭の問題として,総じて寛容である。近年,増え続ける介護殺人(2000年以降400件以上となっている)に対しても,虐待としての視点からではなく,背景にある孤立や困窮から,虐待者を擁護・弁護する風潮(裁判を含めて)やマスコミ報道があるように思う。
→筆者は,「社会から虐待を排除する」には,「義務教育」からの取り組み(「なぜ虐待してはならないか」を繰り返し教え込む)が不可欠だと考える。担当行政機関ごとの施策で解決できる問題ではないと思う。また,国家資格等を持つ福祉専門職が行った虐待に対して,関連する職能団体が積極的に関与しないことを不思議に思う。(筆者)


(2009年6月「第3回社会保障改革推進懇談会」資料)
「高齢者虐待防止対策について」
「児童虐待防止対策について」

(児童虐待に関して)
11/3「児童相談所全国共通ダイヤル」,10/17「最新 子ども虐待対応の手引き」7/152008年度の児童相談所における児童虐待相談件数および出頭要求等の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(「虐待(児童・高齢者)/DV」)
11/20 経済産業省 「身近な製品 正しく安全に使うために」
<事故事例>
@石油ストーブの火災
Aガスこんろグリルでの火災事故
BIHこんろでの天ぷら火災
C突然の沸騰でやけど

→特に,介護福祉士国家試験受験者は必読である。また,2009年4月1日からスタートした「長期使用製品安全点検・表示制度」については,以下のテレビでも確認できる。(筆者)

「長期使用製品安全点検・表示制度」(政府インターネットテレビ)
「製品安全ガイド」(経済産業省)
「製品評価技術基盤機構(ナイト)HP」
11/19 内閣府 「2009年版 自殺対策白書」(概要 / 本文 ・政府は11月17日の閣議で「2009年版自殺対策白書」を決定した。白書によると,2008年の自殺者は32,249人(前年比844人減)となったが,11年連続で3万人を超えている。自殺原因・動機は,2万3,490人(全自殺者の72.8%)で判明しており,「健康問題」が64.5%,経済・生活問題」(31.5%),「家庭問題」(16.7%),「勤務問題」(10.3%)の順であった。

→2004年のWHOの国際調査では,日本の自殺率は先進国G7中では第1位,世界では第10位であった。WHOは「自殺は避けられる死(avoidable death)」とし,2007年の日本の自殺総合対策大綱では「自殺は追い込まれた末の死である」と明記されている。
→フィンランドでは,自殺対策を国家プロジェクトとして,1986年〜1996年の10年間かけて「自殺者20%減」の目標を掲げて,それを達成したとされている。日本では,
2007年の大綱において「10年間(2014年までに)で2005年の自殺率を20%以上減少させる」ことを目標として,2007年度に246億円,2008年度に225億円が費やされ,2009年度では258億円(強化基金を含む)の自殺対策の予算が計上されている。しかし,効果が現れる兆候がまったく見られない。日本の自殺対策を考えている有識者のレベルがフィンランドの有識者より劣るのか,それとも精神医療産業にとって都合のいい自殺対策を採用しているのか,隠されているものは何か。精神保健福祉士(受験者を含む)は,精神保健福祉の根幹にかかわる「自殺対策」について,受け売りでなく自身の見解を持っていなければならない。(筆者)

(自殺予防に関する政府の広報)
「自殺予防〜わたしたちに できること」(政府インターネットテレビ,2007年11月)

(「自殺」に関する記事)
9/25「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書−精神保健医療福祉の更なる改革に向けて−」9/10「2009年度自殺予防週間(9/10〜9/16)」8/31「2009年度全国労働衛生週間(10/1〜10/7)」,8/28「三環系,四環系抗うつ薬等と攻撃性等について」8/24「精神障害等の労災認定について(2009年4月改正版)」),6/112008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況,5/8自殺未遂者ケアガイドライン,2/23「2009年度自殺対策関係予算案」,1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?),2008年11/4「2008年版 自殺対策白書」の記事を参照の記事を参照の記事を参照

(自殺者に関する最新データ)
「2009年の月別自殺者数」(警察庁)
「地域における自殺の基礎資料」(内閣府)

(自殺対策のサイト)
「自殺対策」(内閣府)
「いきる」(国立精神保健研究所)
労働者健康福祉機構HP
11/18 消費者庁・経済産業省 ■2008年6月成立の「改正特定商取引法・改正割賦販売法」が2009年12月1日から施行される
<政府による広報>
『近年,高齢者等に対し,個別の契約ごとに与信を行う個別クレジットを利用した訪問販売などによる被害が深刻化しています。中でも,執拗な勧誘を断り切れないまま,大量の商品を買わされる事例や,これらの悪質な勧誘販売行為を助長するクレジット会社の不適正与信あるいは過剰与信の事例が目立っています。また,インターネット通信販売などの新しい分野においては,返品を巡ってのトラブルや,不当請求の手段となる迷惑広告メールの問題,クレジットカード情報の漏えいなど,多くの消費者被害が発生しています。こうした状況に対処するため,規制の抜け穴の解消,訪問販売規制,クレジット規制,通信販売等の規制の強化などを内容とする「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律」が平成21年12月1日から施行されます。』
法律 改正のポイント(やまだ塾まとめ)
○改正法の成立
悪質な訪問・通信販売などを取り締まる「改正特定商取引法」とクレジット契約のルールを定めた「改正割賦販売法」が2008年6月11日に成立
した
○改正法の施行
特定商取引法の電子メール広告規制の強化に関わる部分は,2008年12月に施行されたが,その他の改正と割賦販売法の主な改正は2009年12月1日に施行され,関連する政令・省令等も整備される
(1)特定商取引法 @拒否者に対する再勧誘の禁止 訪問販売などで契約や勧誘を拒否した者には,再勧誘することが禁止
A高齢者を狙う次々販売などの過量販売解除権 「通常必要とされる量」を大きく超えている商品の売買契約等は,購入後1年間は無条件で解約が可
Bクーリング・オフの指定商品制廃止 訪問販売や電話勧誘販売の取引形態では,原則としてすべての商品にクーリング・オフが適用(一部除外
C通信販売の返品について 通信販売の広告に解約・返品のことが記載されていない場合は,契約後8日間は解約・返品が可
(2)割賦販売法 @クレジット契約の取消と既払金返還 充分な説明がなく誤認して個別式クレジット契約を結んだ場合は,販売契約もクレジット契約も取消すことが可。また,既に払った金の返還請求も可
A支払能力超える与信禁止 個別式クレジット業者は,購入者の「個別支払可能見込額」を調査しなければならない。これを超えるクレジット契約は禁止

→2009年9月の「消費者庁」創設により,既存の法律29本を消費者庁が所管・共管することになった。特定商取引法と割賦販売法は,消費者庁と経済産業省の共管である。上記に記載した経済産業省が主導するお役所的な広報に対しては,今まで通りなので何とも思わないが,今回のような説明会が必要なくらいの法改正を,消費者庁が消費者の目線から,特にターゲットにされている「高齢者」に向けた分かりやすい広報に関与することを期待していた。消費者庁には,「共管」の意識はあるのだろうか(特に,特定商取引法は消費者庁が主体で行うこととなっているはずである)。福島みずほ大臣の存在感が薄すぎる。また,筆者は,現行の消費者庁は,官僚にとってはどうか知らないが,国民には観光庁と同じく「無用」であると思う。(筆者)


「訪問販売のルールが変わります(特定商取引法・割賦販売法の改正)」(経済産業局) 
「消費生活安心ガイド」(経済産業省)
11/17 厚生労働省 「2007年度 老人医療費の特性」  ・医療保険に関する基礎資料及び老人医療事業年報をもとに,老人医療受給対象者と老人医療受給対象者以外の医療保険加入者の一人当たり診療費,受診率について比較した資料である。
項目 2007年度 2006年度
@1人当たり診療費 若人の4.8倍
(85.7万円)
若人の4.8倍
(82.1万円)
入院 若人の7.4倍
(43.2万円)
若人の7.4倍
(41.2万円)
外来 若人の3.9倍
(39.9万円)
若人の3.9倍
(38.2万円)
A受診率 入院 6.7倍 6.5倍
外来 2.5倍 2.5倍

→重要なので,3福祉士国家試験受験者は,2006年度のデータを記憶しておく必要がある。(筆者)
11/16 厚生労働省 「2008年度障害者雇用実態調査結果」の概要
<調査結果のポイント>)・・・前回:2003年度
(1)事業所調査の結果
@前回と比べ,週所定労働時間が週20時間以上30時間未満の短時間労働者の割合が増加した。
・身体障害者:14.7%(前回比6.7%増)
・知的障害者:13.2%(同10.4%増)
・精神障害者:24.8%(同20.4%増)
A正社員の割合では,身体障害者は64.4%,知的障害者は37.3%,精神障害者は46.7%である。
B平均賃金は,身体障害者は25万4千円,知的障害者は11万8千円,精神障害者は12万9千円であった。
C配慮している事項としては,身体障害者と精神障害者については,「配置転換等人事管理面についての配慮」が,知的障害者については,「工程の単純化等職務内容の配慮」が最も多く,前回と同様の傾向である。
(2)個人調査の結果
@職場における改善が必要な事項や要望として最も多い項目は次の通りである。
・身体障害者:「労働条件・時間面での配慮」40.4%
・知的障害者:「今の仕事をずっと続けたい」56.7%
・精神障害者:「調子の悪い時に休みをとりやすくする。」30.8%
A将来に対する不安として最も多い項目は次の通りである。
・身体障害者:「老後の生活が維持できるか」64.8%
・知的障害者:「親がいなくなったら生活を助けてくれる人がいなくなる」38.2%
・精神障害者:「仕事を続けられるかどうか」83.0%

<10月31日記事の再掲>
→3福祉士国家試験の次回受験者にとって,以下の厚生労働省の最新資料は必読である。障害者雇用は必ず出題されると想定している。今の段階できちんと勉強し,整理しておくことを勧める。(筆者)

@2008年の「改正障害者雇用促進法」
A2008年6月1日現在の障害者の雇用状況
B職業リハビリテーションの実施体制
C障害者の雇用支援施策
D障害者の就労支援(一覧)
E精神障害者の就労支援
F福祉施設を利用している障害者が就職・定着するまでの標準的な支援

B職業リハビリテーションの実施体制
11/14 厚生労働省 「重症化の早期発見」の情報提供が遅れていると思われる新型インフルエンザ対策(政府インターネットテレビ) ・喉の粘膜などでウイルスが増殖し,気管支の奥まで広がると,38℃以上の高い熱や体の痛みなど,新型インフルエンザの症状が起きると説明されている。重症化として問題になのは,大人でのウイルス性肺炎と子どもでのインフルエンザ脳症といわれているが,それがどういうものなのかを詳しく知らされていない。

→ワクチン接種を含めて感染予防の「注意点」についての国民の理解は深まってきていると思う。しかし,治療に関する情報が極端に不足しているので,どうしたらいいのかが分からず,「重症化」し,手遅れになってから医療機関に連れて行かざるを得ない状況にあるように思う。生命にかかわる「重症化」への「具体的な注意点・ガイドライン」を早急に国民に明示すべきである。厚生労働省は,「死亡何人」の報告だけではなく,現状わかっている限りの「重症化の早期発見」のための情報提供(家庭など医療機関以外での兆候などの判断材料)をこまめに,分かりやすく行うべきであると思う。(筆者)


「11月11日新型インフルエンザワクチンの接種回数の見直しについて」
「新型インフルエンザワクチンの接種後の死亡事例の報告など」
「新型インフルエンザ対策関連情報」(厚生労働省)
11/13 法務省 「法テラス・英語サイト」が開設された ・『法テラスでは,このたび英語サイトを開設しました。英語サイトでは,法テラスの組織や業務,沿革などをご紹介しています。日本にお住まいの外国人の方はもとより,海外の研究者などにも,法テラスがどのような法人であるか,Web上でわかりやすくご案内できるようになり
ました。』と広報されている。

<8月25日記事の再掲>
→戦後司法の問題として,裁判の長期化,法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の閉鎖性,裁判・法律と国民の距離が遠い,三権分立の機能不足(国民が国を訴える場合の上級審での行政寄りの裁判所のスタンス)などが挙げられていた。2001年6月の「司法制度改革審議会意見書」(評価をする場合に必要となるので,審議会委員名簿にも目を通しておいていただきたい)を受けた司法改革の主な流れは,2004年の通常国会での司法制度改革関連9法案の成立,2004年4月の「法科大学院」の開校(ロースクール,弁護士の数を増やす),2004年5月の「新司法試験」の実施,2006年10月の「法テラス」の開設(裁判や法律と国民との距離を近づける),2009年5月の「裁判員制度」の開始(一般の国民を裁判に関与させる),などである。(筆者)

8/25「法テラス」(法的トラブル解決のための総合案内所))の記事を参照

「法テラス」(日本司法支援センター)
11/12 内閣府 「がん対策に関する世論調査」(2009年9月調査) ・内閣府は,2009年9月に「がん対策に関する世論調査」を実施した。「今後,政府が力を入れるべき分野」の質問に対しては,@「がんの早期発見(がん検診)」(67.0%),A「がん医療に関わる医療機関の整備(拠点病院の充実など)」(54.4%),B「がんに関する専門的医療従事者の育成」(48.5%)の順であった。

→3福祉士国家試験には,がん対策のうち特に「がん検診」については出題の可能性が高いと考えている。以下の資料には目を通しておいていただきたい。(筆者)

「がん検診について」(厚生労働省)
11/11 厚生労働省 「2008年 国民健康・栄養調査結果の概要」


<2005年版からの過去問>
次の記述は正しいか?

@近年における厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば,40歳〜74歳では,男性,女性とも5人に1人が,メタボリック・シンドロームが強く疑われる者または予備軍と考えられる。(第20回社会福祉士・精神保健福祉士共通 医学一般)
A2005年国民健康・栄養調査によると,20歳以上の男性において,メタボリック・シンドロームが強く疑われる者の割合は,20%を超えている。(第20回介護福祉士 医学一般)

→2007年版のデータから解答できる

<2007年版からの模擬問題>

@糖尿病が強く疑われる人は約【A】万人。予備軍は約【B】万人と推定されている。
A糖尿病が強く疑われる人で,「ほとんど治療を受けたことがない」と回答した者は約【C】割にのぼる。
B)「睡眠による休養が充分にとれていない」と回答した者は,15歳〜19歳で最も高く,性別では【D】の方が高かった。
C眠るために薬やお酒を使うことがある者の割合は約2割で増加しており,【E】の目標値である13%以下に達していない。

Dストレスは「大いにある」「多少ある」と回答した者は,男女ともに20〜40歳代で【F】割を超えていた。
→2007年版で確認されたい
<2008年調査項目>
2008年の重点調査項目は,「体型」「身体活動・運動」「たばこ」であった。

@身体状況調査 身長、体重、腹囲、血圧、血液検査、歩数、問診(服薬状況、運動)
A栄養摂取状況調査 食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食、外食等)
B生活習慣調査 食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する
生活習慣全般

<2008年調査結果のポイント>
@体型について 2000年以降,男性は肥満者の割合の増加傾向が鈍化した。女性は肥満者の割合が減少したが,若い女性のやせの者の割合は横ばいである。
A身体活動・運動について 運動習慣のある者の割合は,3割にとどまっているものの,2003年に比べ,運動習慣のある者や意識的に身体を動かすなど運動を行う者の割合は増加している。
Bたばこについて 2003年と比べ,男女とも喫煙率が減少し,やめたいと思う者が男性で増加している。

→次回の国家試験では,「糖尿病」「休養(睡眠)」が重点調査項目とされた2007年版(「明確な根拠をもつ−健康・医療」を参照)から出題される可能性が高いと想定している。左記に本調査からの過去問と模擬問題を掲載した。(筆者)

「明確な根拠をもつ」(「健康・医療」)
11/10 厚生労働省 厚生労働行政に対する「国民の皆様の声募集」の送信フォーム

(実績の公表)
2009年10月23日〜10月29日受付分(公表)
→3福祉士には「社会に働きかける責務」があるとされているが,その根拠をそれぞれの資格保有者(受験者)は把握していなければならない。(筆者)

(倫理綱領)
→■介護福祉士 / ■社会福祉士 / ■精神保健福祉士
(3福祉士法)
→■社会福祉士及び介護福祉士法 / ■精神保健福祉士法
11/9 内閣府 「2009年度 障害者週間」(12/3〜12/9)
<内閣府からの公報>
『毎年12月3日から9日は「障害者週間」です。内閣府では,「障害者週間」の期間中,障害や障害のある人に関する国民の関心と理解を深めるとともに,障害のある人の社会参加への意欲を高めるため,「障害者週間のつどい」をはじめ、さまざまな行事を実施する予定です。』

→2009年9月19日,長妻厚生労働大臣は「障害者自立支援法の廃止」を明言した。また,2009年10月30日,日本障害者協議会などが主催したフォーラムの来賓として出席した長妻大臣は「自立支援法廃止は決断している。4年間の政権担当期間で,応益負担から応能負担に切り替えたい」と発言した。(筆者)
11/7 厚生労働省 「おくすりe情報」
<3福祉士国家試験受験者への薬に関する模擬問題>

以下の設問で正しいものを選べ。(3福祉士国家試験の過去問が約半数含まれている)

@高齢者の服薬に関して,朝昼夜の食後服用の薬を朝飲み忘れた場合には,昼に2回分を服用してもらう。
A高齢者の服薬に関して,錠剤は,小さくなるほど服用しやすい。
B高齢者の服薬に関して,薬剤による副作用は,一般に高齢者の方が少ない。
C高齢者の服薬に関して,服用した記憶があいまいな場合,再度服用してもらう。
D高齢者の服薬に関して,病院から処方された薬は,介護保険施設では管理をしない。
E朝食をほとんど食べなかったので,食後の薬を服用しないようにする。
F座薬を挿入する場合には,冷蔵庫から取り出したら,座薬が冷たいうちに挿入するようにする。
Gカプセルや錠剤が飲みにくい場合は,中身を取り出したり,つぶしたりして服薬するようにする。
H直射日光や暑さで薬の成分が変質することがあるので,冷暗所に保管するようにする。
I統合失調症では,症状が改善したら社会復帰に向けて早期に服薬を終了する。
J内服薬は,お茶やジュースを用いて飲むとよい。
K水剤・シロップ剤の服用の際,出しすぎた場合には容器に戻す。
L統合失調症では,抗精神病薬の低用量維持は,副作用による生活障害を引き起こすことが多い。
MSSRIは,統合失調症の新薬であるが,最近では副作用が問題視されている。
Nてんかんは発作が起こらなくなっても,服薬を継続する必要がある。
O三環系抗うつ薬では,口渇,尿閉などの抗コリン性副作用がしばしば認められる。
P薬はコップ一杯程度のたくさんの水,白湯で飲むのがよい。
Q第1類医薬品は,薬局または薬剤師のいる薬店でのみ買うことができる。
Rかぜ薬などの副作用のうち「スティーブンス・ジョンソン症候群」は,発熱,発疹,粘膜のただれ,眼球の充血等の症状を特徴とする。予後が悪い場合,失明や致命的になることがある。

答え:【H,N〜Rが正しい
11/6 厚生労働省 ワクチンに関する相談窓口(都道府県・市町村)
<新型インフルエンザワクチンの相談窓口,HPの公表>
厚生労働省は,左記の通り新型インフルエンザのワクチン接種に関する相談窓口およびホームページURLを公表した。
「基本的対処方針」(2009年10月1日改定)

<新型インフルエンザが疑われる場合の対処>
次のような症状を認めるときは,すぐに医療機関を受診する。
@呼吸困難または息切れがある
A胸の痛みが続いている
B嘔吐や下痢が続いている
C3日以上,発熱が続いている
D症状が長引いていて悪化してきた
D症状が急速に悪化してきた
<新型インフルエンザの症状が消失した場合の対処>
基本的に,熱などの症状がなくなってから2日目までが外出自粛の目安である。し かし,完全に感染力がなくなる時期は明確でないことから,事業所において業務上可能であれば発症した日の翌日から7日を経過するまで,外出を自粛することが望ましい。
新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A(2009年10月30日)
11/5 厚生労働省 特定疾患治療研究事業の対象疾患が拡大された(45疾患→56疾患)
〜2009年10月1日より助成の対象となる〜

難病は,原因が不明で,治療法が確立していない病気である
・「特定疾患治療研究事業」とは,130の「臨床調査研究分野対象疾患」のうちの56疾患に罹患している場合,医療費を助成する制度である。「特定疾患医療受給者証」の交付を受けると,保険診療の自己負担分3割の一部を国と都道府県が公費負担として助成する。

<今回追加された11疾患>
@家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)
A脊髄性筋萎縮症
B球脊髄性筋萎縮症
C慢性炎症性脱髄性多発神経炎
D肥大型心筋症
E拘束型心筋症
Fミトコンドリア病
Gリンパ脈管筋腫症(LAM)
H重症多形滲出性紅斑(急性期)
I黄色靱帯骨化症
J間脳下垂体機能障害
(PRL分泌異常症,ゴナドトロピン分泌異常症,ADH分泌異常症,下垂体性TSH分泌異常症,クッシング病,先端巨大症,下垂体機能低下症)

<今回追加された11疾患の医療助成費の扱い>
・2009年12月31日までに申請があった場合には,2009年10月1日以降が対象とされる。

<問い合わせ先>
・保健所


→3福祉士国家試験受験者には,左記の「難病センター」の掲載情報全般を閲覧していただきたい。 次回の国家試験では,「難病対策」が出題される可能性は高いと思っている。例えば,「2007年度の「特定疾患医療受給者証の交付」に関して,以下の文章は正しいか?@交付件数は約60万件を超えている。A上位3位は,潰瘍性大腸炎,パーキンソン病,全身性エリテマトーデスである。」などが出題されるかも知れない。(筆者)
11/4 厚生労働省 長妻大臣は,厚生労働省顧問として駒村康平氏(慶應義塾大学教授)を任命した


「年金記録回復委員会委員名簿(2009年10月16日現在,敬称略)
磯村元史 函館大学客員教授
稲毛由佳 社会保険労務士・ジャーナリスト
岩瀬達哉 ジャーナリスト
梅村直 社会保険労務士
金田修 全国社会保険労務士会連合会会長
駒村康平 慶應義塾大学教授
斎藤聖美 ジェイ・ボンド東短証券株式会社代表取締役社長
廣瀬幸一 社会保険労務士
三木雄信 ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト株式会社代表取締役社長
・10月28日,長妻大臣は,任命に際して「貧困問題や少子化,年金の権威でもあるので,現状把握をしていただき,社会保障全般にわたる示唆をもらいたい」と発言したと報道されている。
・厚労省の重要施策について助言する非常勤の顧問である。駒村教授のご専門は,「経済政策論・社会政策論」であり,2000年から種々の公職に就いておられ,年金記録問題の早期解決のために作られた厚労相直属の左記の「年金記録回復委員会」の委員でもある。

→これまで診療報酬を決定していた「中医協」の任期切れ委員3名の後任人事で「自民党支援の日本医師会推薦委員を排除した」ことに続いて,診療報酬改定の基本方針を策定する「社会保障審議会医療保険部会」の任期切れ委員6名の後任人事から日本看護協会などの「自民党色」を排除した(改選後の社会保障審議会医療保険部会委員名簿)。さらに,診療報酬決定の仕組みの変更を表明している(これまでは「社会保障審議会」の改定基本方針→「政府」が予算編成過程で改定率を決定→「中医協」が入院基本料などの個別単価を決定していたものを,今後は診療報酬改定の基本方針などを策定する直属の検討会を2009年11月にも設置するとのこと)。
→そして,長妻大臣は,自身のブレーンとして駒村教授を指名した。駒村教授については,話題の「母子加算の廃止」等を提言した2004年12月の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」を受け,「生活保護基準の引き下げ」を提言した2007年12月の「生活扶助基準に関する検討会報告書」の5名のメンバーの一人であり,報告書を公表された当時野党から「御用学者」と非難されていたことを思い出す。筆者も,この人物は言うこととすることが違うじゃないかと思ったが,後に「5名連名の異例の説明書類が公表」され,誤解が解けたことがある。総選挙前の新聞紙上で,駒村教授は,「与野党とも,年金,医療,介護などを全体として,どういう方向にもって行きたいのかを示す必要がある」「いざというときには社会保障制度で国民を守るという強い意思を示してほしい」と述べられていた。今後は,優れた人材を得て,これまで不十分であった社会保障全般の議論が深められていくように思う。
→筆者は,上記の一連の人事に関して,長妻大臣の強い決意を感じている。声援を送る。(筆者)


(駒村教授に関して)
2007年12/24「2008年度予算原案」(12/20財務省内示)で見送られた「2008年度からの生活保護(扶助)基準の引き下げ」の根拠とされ,批判にさらされた「生活扶助基準に関する検討会報告書」が2007年12月21日に公表・掲載された)の記事を参照
11/3 厚生労働省 「児童相談所全国共通ダイヤル」(You Tube)
〜11月は「児童虐待防止推進月間」
「児童相談所全国共通ダイヤル(0570-064-000)」に ついてご紹介いたします。子育てに悩んだり,虐待を発見した場合には,お早めにご連絡くだ さい。お住まいの地域の児童相談所にお電話をおつなぎします。 児童相談所の所在地や関連資料は以下のURLから見ることができ ます。(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv.html)」と公報されている。

→「観てもらえる動画」をつくるにはどうすればいいのかを良く考えた方がいい。つまらなければ見向きもされない。今後,行政の広報として,費用対効果(コストパフォーマンス)の面からも,You Tubeは効率のいい媒体になるはずである。(筆者)


10/17「最新 子ども虐待対応の手引き」(2009年3月)の記事を参照

「2009年度全国児童相談所一覧」
11/2 厚生労働省 「介護の日」(11月11日)の普及啓発(You Tube)

「介護の日検討会」のメンバー(2008年6月現在,敬称略)
堀田 力 さわやか福祉財団理事長
鎌田 實 諏訪中央病院名誉院長
樋口恵子 高齢社会をよくする女性の会理事長
高橋靖子 スタイリスト
→2008年から始まり,今年で2年目となる「介護の日」(11月11日)である。筆者には,押し付けがましくて,アリバイ作りのような施策(介護の日の設定と関連行事)が,「介護従事者の苦労に何としても報いる」(介護経験のある当時の厚生労働大臣の発言には心に届くものがあった)ことにつながっているとはどうしても思えない。鳩山政権では,無用な施策に税金が使われないことを願っている。(筆者)
<2008年7月29日記事の再掲>
→あれもこれも混ぜ合わせて,きれいごとの話にしてしまったので,一体何が問題であったのか分からなくなってしまった。当初,厚生労働大臣は,「介護従事者の苦労に何としても報いたい」と言っていたが,その意味がよく分かった。これで,厚労省は,介護従事者の問題にも対処したことになるのだろう。現場の介護従事者は,切実であり,お祭り騒ぎや無理やり集めた観衆を前にして開かれるフォーラムを求めているわけではない。いつまでも介護従事者の「熱意」や「使命感」に寄りかかっていては,早晩先進諸国から後ろ指を指されるという危機意識はあると思う。最優先課題は,介護従事者の給与引き上げを含めた社会的地位の向上策ということを忘れずにいてもらいたい。
→また,筆者は経験から,在宅で,重度の方を介護している人たちを代弁して,厳しいことを申し上げる。多くのことを犠牲にし,先が見えず,命がけの思いで,息を潜めて,耐えに耐え,追い詰められて日々介護されている人の心には届かない,デリカシーに欠ける施策であると思う。今現在,過酷な状況で在宅介護する人からは,「いい日,いい日」などというノー天気な発想は絶対に出てこない。むしろ,「苦痛の日,苦労の日」の連続である。そういう心情を汲みとるべきであり,さらに何が支援できるかの議論を進めるべきである。11月11日でなく,9月2日(苦痛の日),9月6日(苦労の日)がふさわしい。筆者は,「頑張らない介護」「明るい介護」などと言葉遊びをしている状況にないのが「介護のスタンダード」であることを国民に啓蒙すべきと思っている。(筆者)

→■「福祉専門職の現状」

10/31 厚生労働省 「精神障害者ステップアップ雇用奨励金」
〜2009年4月から改正された〜
<精神障害者ステップアップ雇用奨励金とは>
・精神障害者を試行的に雇用し,一定の期間をかけて,職場への適応状況をみながら,徐々に就業時間を伸ばしていく「ステップアップ雇用」に取り組む事業主に「ステップアップ雇用奨励金」を支給し,事業主と精神障害者の相互理解を深め,その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけ作りを図ることを目的としている。
・2009年4月から,雇用期間及び週所定労働時間について以下の通り改正された。
雇用期間 6か月以上12か月以内→3か月以上12か月未満
週所定労働時間 10時間以上20時間未満→10時間以上
・なお,2006年4月から、精神障害者保健福祉手帳を所持している者を雇用(週20時間以上の勤務が必要)している場合,障害者雇用率の算定が可能となっている。

→3福祉士国家試験の次回受験者にとって,以下の厚生労働省の最新資料は必読である。障害者雇用は必ず出題されると想定している。今の段階できちんと勉強し,整理しておくことを勧める。(筆者)

@2008年の「改正障害者雇用促進法」
A2008年6月1日現在の障害者の雇用状況
B職業リハビリテーションの実施体制
C障害者の雇用支援施策
D障害者の就労支援(一覧)
E精神障害者の就労支援
F福祉施設を利用している障害者が就職・定着するまでの標準的な支援

B職業リハビリテーションの実施体制
10/30 首相官邸 「第173回臨時国会での鳩山総理の所信表明演説」(政府インターネットテレビ53分) ・鳩山総理の所信表明演説:10月26日
・自民党総裁の代表質問:10月28日

→野党である自民党総裁の代表質問では,自民党は企業の成長によって生まれる果実を分配することで,「中福祉・中負担」の社会を目指すとしていたが,結局,鳩山総理の所信表明演説および答弁からは,民主党政権が「どんな社会を目指すのか」という,その全体像は見えてこなかった,と一般的には受け止められている。異論があると思うが,筆者は,低福祉・低負担国はアメリカ,日本など,中福祉・中負担国はドイツ,イギリスなど,高福祉・高負担国はスウェーデン,フランスなど,と理解している。長妻厚生労働大臣は,「子ども手当」は少子化対策と位置づけ,フランスに倣っていると明言しているが,そうであれば「高福祉・低負担」や「高福祉・中負担」は成り立たなくなる可能性が高い。社会保障の充実という「高福祉」に関して,行政の無駄の削減の先には,「高負担」が待っていることをきちんと説明するまでは,野党から「バラマキ」といわれても仕方がない。自民党総裁の代表質問における成長戦略や財政健全化のビジョンがないとの指摘に対して,鳩山総理の「あなた方に言われたくない」「こんな財政にしたのは誰なのか。旧来型の政・官・業の癒着に基づいた成長戦略とは一線を画したものをわれわれは考えていく」という「不毛な答弁」ではなく,「2055年における日本の姿」を具体的に答える責任を国民に対して果たすべきであったと思う。政府の国会答弁は,法律の条文に準じた重いものとされている。国民が判断しようとしているのは,自民党政権との優位性ではなく,「民主党政権に将来を託せるかどうか」である。(筆者)


10/24「2007年度 社会保障給付費」,10/22厚生労働省(2009年度補正予算の執行停止および2010年度予算の概算要求))の記事を参照
10/29 厚生労働省 「中央社会保険医療協議会(中医協)委員名簿(改選後)」
〜「診療報酬」を決める機関の委員〜
→中医協は,診療報酬(個々の医療行為や薬剤費などの具体的な価格)を決める厚生労働大臣の諮問機関である。これまでは,中医協は,自・公政権を支援する日本医師会が推薦する3名の委員に大きな影響力を受け続けてきた。
→今回の任期切れに伴う中医協人事に関して,長妻厚生労働大臣は日本医師会の代表委員の全員(3名)を排除するという方針を明言していた。結局,3名の再任は拒否したけれども,代わりに地方医師会から2名(衆議院選挙で民主党候補を支持した茨城県医師会と日本医師会現執行部と距離を置く京都医師会のメンバー)と大学病院から1名を任命した。
→これまでの体制が,開業医優先を容認して,現在の医療崩壊を招いた一因とも言われている。民主政権となったが,先の衆議院選挙で協力した医師会からの委員を任命するという小手先の手直し程度で,医療の再生が図れるのかどうか。今回公表された委員名簿を見ても,それぞれの団体の権益の代表者であることには変わりなく,「患者目線」「国民目線」に立って「診療報酬」を決めるに相応しい委員構成であるかどうか。2010年4月に「診療報酬改定」が予定されている。(筆者)


社会保険医療協議会法
社会保険医療協議会(開催,議事録,資料)

(中医協委員に関して)
10/9「長妻厚生労働大臣」にはがっかりさせられるが,ブレーンの問題もあると思うの記事を参照
10/28 「2009年度ケアマネ試験問題21」と試験センターとの関連について(雑感)

<社会福祉振興・試験センターへの天下りに関して,第169回国会参議院厚生労働委員会2008年5月20日議事録より抜粋>

=筆者は,これを記事として掲載できる日が来るとは想像もしていなかった=


○谷博之君 民主党の谷博之でございます。
(中略)
財団法人の社会福祉振興・試験センターのことですが,これは御案内のとおり,社会福祉士とか介護福祉士の資格試験,それから登録,そして更新,変更などをやっている団体です。これ,おととし,2006年度,このいわゆる資格試験等で上げた収益は30億円以上になっています。しかも,ここは更にまたいろんな意味の介護保険の試験の問題集も作っておりまして,これも相当やはり収益を上げています。この実は団体に,これ全体で69名の職員がいるんですが,そのうち19名が厚生労働省の元の職員です。天下り率が27%。そのほかに3名の常任の役員がここに配置されておりまして,これもすべて厚生労働省のOBです。
 ということになれば,こういう,今介護現場の職員の皆さん方が非常に厳しい労働条件,低賃金,そういう中で頑張って資格を取って,そして一生懸命介護の現場で頑張っている,その実は資格を取るための研修なり試験料なりにやっぱりお金が集まったところからそういう方向の機構,財団ができているということなんですね。
 そういうことを踏まえながら,一点お伺いしたいんですけれども,先ほど申し上げた3人の常任役員,名前を申し上げますと,田中敏雄理事長,そして2人の常務理事,坂本博之氏,丹羽紀明氏のこの3名。この3名の役員の皆さん方がこのセンターから昨年度支払われた報酬は合計幾らになるのか。そしてまた,この方々がもしも仮に今年度退職された場合に,役員退職手当支給基準に基づき推計すると3名に対しての退職金は幾らになるのか,お答えください。
○政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。
 お尋ねの常勤役員3人に関します年間の報酬額,退職金について、試験センターが公表しております役員給与や退職手当に関する諸規程で計算いたしますと,御指摘の常勤役員3人に係る年間の総報酬額は約2760万円になっております。(中略)
 退職金の額は,3人で約1000万円となるというふうに考えております。
○谷博之君 今そういうふうな数字が出ました。それで,実はこの19名プラス3名の方々以外に,ほかにもあと4人いるんです。それは,特に顧問とかそういう非常勤で役職を務めている方がおられます。その1人がこのセンターの会長であります小林功典さん,この方が1989年6月から1990年6月まで社会保険庁の長官を務めておりました。この方は,ちょうど年金記録台帳の廃棄の責任を問われた方であります。結果,2007年の6月に厚労省から寄附を求められた方であります。
 この方は,社保庁の長官を辞めた後,その後15年間,2つの財団に渡り歩きまして,最終的にこの15年間の勤務で退職金を3100万円いただいていると。なおかつ2000年6月からこのセンターの会長を兼務していると,こういう方ですね。こういうような非常勤の方が4名おられます。
 非常勤ですから,当然,報酬は今出ていないわけですけれども,例えば理事会等に出席すると謝金とか交通費は当然これ出ます。そういうことになれば,今申し上げたような,例えば介護の現場で送迎するときに,ガソリンの値段がまた上がったと,どうしようか,大変苦労している現場の人たち,一方では,お迎え付きの車で理事会に行って,そして1回出れば幾らという謝金をもらえるという,それは仕組みといえば仕組みでそういうことになっているという答えになると思うんですが,やはり我々としては,こういうところまである意味では財政内容,いろんなことを言うんであれば,やっぱりきちっと見直していくような仕組みを取っていかないと,介護の現場の皆さん方は浮かばれないでしょうというふうに私は言いたいんですよ。こういうことについて,大臣,どういうふうに考えられますか。
○国務大臣(舛添要一君) 一般的に言えば,国家公務員の再就職についてのルールがありますから,きちんとそのルールにのっとってやってもらわないといけませんし,国民の目線で見たときにいささかでも疑義が生じるようなことは避けないといけないという一般的なことを申し上げておきたいと思いますが。
 この今御指摘の試験センター,これの収入が,財源が受験手数料等の,先ほど本の出版ということもおっしゃられましたが,そういう形で自主的な財源なので,国庫の補助がそういう意味では入っておりません。しかしながら,そうはいっても,ルールにのっとって国民の目線から見て疑いのないようにと,これはきちんと徹底しないといけないと,そういうように思っております。
→「問題21」のやまだ塾の解答は,@Bである。
→「問題21」の選択肢Cは正解の可能性があって,解答は@BCで,問題21は不適切問題となるのではないか,との意見がなぜか複数寄せられている。
→切実なのでやまだ塾の見解を述べる。
→やまだ塾が,選択肢Cを不正解とした根拠は,以下の「基準」である。「特定介護予防福祉用具販売」においては,実態は「サービス担当者会議を開催している」としても,法文上は「サービス担当者会議の開催は条件とされていない」と解している。なお,12月10日に社会福祉振興・試験センターからの通知によって都道府県が公表する「正答番号」を見るまでは,いかなる解答も参考に過ぎない。

→やまだ塾は,大学入試センター試験と同様に,ケアマネ試験も3福祉士国家試験も「試験日翌日に問題と正答番号を公表すべき」だと主張してきた。14万人を超える第12回ケアマネ試験受験者に無用な心配を長期間与えるべきではないと思う。筆者は,厚生労働省の天下り先と言われる(左記に2008年通常国会での質疑応答を掲載した)「社会福祉振興・試験センター」の怠慢であると思っている。筆者も経験から,「受験者の身にもなってほしい」と言いたい。また,今年度のケアマネ試験でも統一性に欠け,妥当性が疑われる粗悪な問題が散見されたので,そろそろ国家試験並みに「試験委員」を設定し,公表すべきだと思う。「ケアマネの質の向上」を言う前に,「ケアマネ試験問題の質の向上」が優先されるべきである。さらに,基本テキストに関する筆者の苦情は,@7350円もする基本テキスト(全4巻)のセット販売は時代遅れではないかと思う(少なくとも,分厚い「第4巻法令・通知」は別売りでいい),A新版の発売時期が7月初旬では前年度版を買い換えなければならないので受験者には経済的負担が大きい(遅くとも4月には発売すべき),である。このような「お役所仕事」には抗弁すべきであると思う。鳩山政権には,当該試験センターのさらなる改善を望みたい。(筆者)

2009年度ケアマネ試験 指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
(平成18年3月14日厚生労働省令第37号)

問題21 介護予防支援について正しいものはどれか。2つ選べ。

C介護予防サービス計画に特定介護予防福祉用具販売を位置づける場合は,サービス担当者会議を開催し,その利用の妥当性を検討しなければならない。

(指定介護予防支援の具体的取扱方針)
第30条  指定介護予防支援の方針は,
第1条に規定する基本方針及び前条に規定する基本取扱方針に基づき,次に掲げるところによるものとする。

23 担当職員は,介護予防サービス計画に介護予防福祉用具貸与を位置づける場合にあっては,その利用の妥当性を検討し,当該計画に介護予防福祉用具貸与が必要な理由を記載するとともに,必要に応じて随時,サービス担当者会議を開催し,その継続の必要性について検証をした上で,継続が必要な場合にはその理由を介護予防サービス計画に記載しなければならない。

24  担当職員は,
介護予防サービス計画に特定介護予防福祉用具販売を位置付ける場合にあっては,その利用の妥当性を検討し,当該計画に特定介護予防福祉用具販売が必要な理由を記載しなければならない。
10/27 厚生労働省 「2008年度 保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)」
<「保健・衛生行政業務報告」の掲載項目>

(1)精神保健福祉関係
@精神障害者申請通報届出数,入院形態別患者数
A精神障害者保健福祉手帳交付台帳登載数
B精神保健福祉センターにおける相談

(2)栄養関係
(3)食品衛生関係
(4)生活衛生関係
(5)母体保護関係

(6)特定疾患(難病)関係
@特定疾患医療受給者証所持者数
A特定疾患登録者証所持者数

(7)薬事関係

→3福祉士国家試験の受験者は,(1)精神保健福祉関係,(6)特定疾患(難病)関係には必ず目を通し,理解しておくこと。ただし,出題対象は,「2007年度 保健・衛生行政業務報告(衛生行政報告例)」となる。(筆者)
10/26 労働政策研究・研修機構 「介護分野における労働者の確保等に関する研究」 ・厚生労働省からの要請を受けて,介護労働者の確保・定着のために有効な雇用管理改善措置について,介護労働安定センター「平成19年度介護労働実態調査」等の調査を中心とする統計データ分析をもとに幅広い検証をしたと説明されている。その結果は以下の通りである。
@介護労働者の雇用確保・定着には,「介護労働の特性(職務の特性と従業者自身の特性)」を総合的に考慮し,対策をとることが必要
A雇用管理の適切な見直し・充実は,介護労働者の確保・定着につながる
B賃金・労働時間等の労働条件の改善も介護労働者の確保・定着に有効
Cマネジメントや管理職のあり方は,「人材の質」「働きやすさ」の向上の点でも重要
D雇用管理面における改善は,人材の確保・定着のみならず,サービスの質の向上,事業経営の改善にも貢献する

→介護従事者への施策において,鳩山政権には,現任で懸命に介護の現場を支えている「介護従事者」の熱意・信念と「介護の仕事」へのプライドを尊重していただきたい。本報告書を活かしてもらいたいと思う。労働者の確保といっても,仕事にあぶれた人を介護の分野に回したり,適格を疑われる者を資格を取らせるからといって介護の仕事に引っ張ってくると受け止められるような「品位のない施策」を支持する者は,家族介護者を含めた現に介護に携わる者にはいないと思う。介護の現場における喫緊の課題は,熱意も信念も不確かな人手を集めることではなく,現任の有為な人材をこれ以上失わせないことである。雇用創出の必要性は理解できるが,切り離して考えなければならないことだと思う。(筆者)

10/25
「介護職員処遇改善交付金」を全事業所が申請すべきである)の記事を参照

「福祉専門職の現状」
10/25 厚生労働省 「介護職員処遇改善交付金」を全事業所が申請すべきである(概要 / 詳細
〜2009年12月までに申請すれば,10月分から交付されるのに,現在48%の事業所が申請しているにすぎない〜
・「介護職員処遇改善交付金」は,前政権の追加経済対策に盛り込まれた介護分野の充実策である。2009年4月からの介護報酬3%アップでも介護職員の給与は改善されないため(当初,介護職員の給与を2万円アップさせるとしていたが,介護報酬3%アップでも月5,000円程度のアップにしかならないとの調査結果があった),全国平均で月15,000円/月・人を上乗せすることとし,待遇改善計画を作成した介護事業者に交付金を支給するもので,2009年10月から2011年度末までの間,計約4,000億円(介護報酬の2%に相当する額であるが,保険料に反映させず,全額国費とされた)が交付される。
・相談窓口は,各都道府県の介護保険担当課である。
・なお,2009年4月時点の厚生労働省は,介護職員の給与改善に合わせて,介護職員の養成・研修支援や相談体制の強化も行い,2011年度までに介護施設を従来計画よりも4万床,介護職員も10 万人増やすとしていた。


→10月23日に,厚生労働省から,「現在48%の事業所しか申請がされていない」という発表があり,愕然とした。申請すれば介護職員の賃上げ(全国平均で月15,000円/人)が2009年10月分から2年間実施できるというのに,みすみす権利を放棄する可能性のある事業所が52%もあるということを知り,悲しくなった。厚生労働省は,最終的には,予算4000億円があるのに,70%程度の事業所しか申請しないのではないかと予想をしていた。事業主の情報不足や認識レベルの低さによって,介護職員が不利益をこうむることがあってはならない。早急に,介護職員は事業所に対して,申請の有無について確認し,必要ならば申請を要求すべきであると思う。
→介護分野への施策に関して,「介護職員処遇改善交付金」は,前政権の施策であったが,意味のある施策であると思う。しかし,10月23日に表明された鳩山政権の「緊急雇用対策」における介護分野に対する「緊急雇用創造プログラム」の創設は,論外である。「『働きながら資格をとる』介護雇用プログラム」とは,「働きながらヘルパー2級や介護福祉士の資格取得を目指す「介護雇用プログラム」を推進する」という内容であるが,筆者は介護の仕事を馬鹿にしていると受け止めた。現在,介護の仕事に携わっておられる職員や在宅介護をしておられる家族の意見を聞いてみるといい。筆者は「愚策」だと思う。費用対効果も見届けたいものである。(筆者)
10/24 国立社会保障・人口問題研究所 「2007年度 社会保障給付費」(概要 / 本文
<2006年度と2007年度の社会保障給付費の比較>
項目 2007年度 2006年度
@総額 91兆1,305億円(前年比2.6%増,過去最高) 89兆1,098億円(前年比1.5%増)
A国民所得に占める割合 24.4%(前年度比0.54%増) 24.4%(前年度比0.54%増)
B高齢者関係 63兆5,654億円(全体の69.5%) 62兆2,297億円(全体の69.8%)
C家族 3兆733億円(全体の3.4%) 3兆705億円(全体の3.4%)
D部門別 年金=52.8%,医療=31.7%,その他=15.5% 年金=53.1%,医療=315%,その他=15.4%
E国民1人当たり給付費 71万5,600円(前年度比2.6%増) 69万7,400円(前年度比1.5%増)
                        (やまだ塾作成)

→3福祉士国家試験受験者には必須の知識である。次回試験では,「2006年度社会保障給付費」が対象になると想定している。
→少子高齢化の急激な進展で,国の一般歳出に占める社会保障費の割合は半分近くに達している。「将来の社会保障をどう構築するか」は,日本国の姿を描くことを意味する。
→鳩山政権においては,政官業の癒着には厳しく対応し,さび付いた頭脳を排除し,これまでのパッチワーク式でない手法で,「社会保障のあるべき姿」を示していただくことを期待している。
→麻生前首相は,所信表明演説や経済諮問会議で「中福祉・中負担が国民のコンセンサス」との持論を述べた。それをベースにして,2008年11月に「社会保障国民会議 最終報告」が提出された(民主党は参画していないので反故になると想定している)。鳩山政権において,「中福祉」ではなく「高福祉」を目指すのであれば,「高負担」の選択肢は避けて通れないことは誰でも分かる理屈である。もはや,「高福祉低負担」などというごまかしは通らない。「高福祉高負担」は,「国と国民との信頼関係」によってのみ成立するものと考えられている。
→失礼だが,率直に申し上げると,筆者は,マニフェストの事柄で,すでに青息吐息になっているように見える「現厚生労働大臣・ブレーン」だけでは,「社会保障のあるべき姿」への対応は難しいのではないかと思っている。(筆者)
10/23 厚生労働省 ■「新型インフルエンザワクチン対策」の説明責任は果たされていると思いますか
足立政務官の記者会見および発表資料


<厚生労働省の「政務三役」5名>

@大臣:長妻昭衆議院議員
A副大臣:細川律夫衆議院議員,長浜博行参議院議員
B政務官:山井和則衆議院議員,足立信也参議院議員
・厚生労働省は,もともと,新型インフルエンザについては,ワクチンは2回接種が基本と言っていた。それが,10月16日の専門家会議で,大人200人を対象にした臨床試験から,1回の接種で効き目が十分であることがわかったとの報告がなされ,1回接種の方向が示され,報道された。
→直後に,当該臨床試験の対象者は,健康な大人ばかりで,その中には,妊婦も,持病を持っている人も含まれていなかったことが分かり,みんな同じ1回接種でいいと簡単に結論づけていいのかという意見が提出されたため,検討をやり直すことになったとのことである。(10/20NHKスタジオパーク稲塚キャスターの解説)
→検討の結果として,10月20日に,長妻大臣と足立政務官(医師)が記者会見で発表した(左記の記者会見と資料)。自信なさげな説明を聞き,科学的データが欠落している資料を見て,「なるほど」と納得した国民は皆無だと思う。
→鳩山政権は,情報公開をよく口にするが,筆者は,肝心のことが情報公開されていないのではないかとの疑念をもっている。特に,海外の情報では,行政の対応よりも,国民の受け止め方や反応が知りたいのだが,正確な情報がまったくない。例えば,次のイギリスの情報などは,厚生労働省は把握しているはずだが,日本国民は知らない。
(URL;http://www.dailymail.co.uk/news/article-1208716/
Half-GPs-refuse-swine-flu-vaccine-testing-fears.html)
もし,日本国民だけが欧米諸国民と異なる反応を示しているとすれば,大変なことである。
→国民として,経済的なことを除けば,接種回数などは重大なことではない。10月18日まで,季節性と新型のインフルエンザワクチンについて「妊婦へは原則接種しない」との添付文書の「接種上の注意」が存在していたにもかかわらず,臨床試験もないまますでに「優先接種の対象」とされており,今回1回接種することとなった。国民が,最も知りたいのは,ワクチンの「安全性」「副作用」である。肝心のことがうやむやにされていると思わせるようでは,説明責任が果たされているとは言えない。(筆者)


10/5
(日本看護協会は「訪問看護師と保健師」への新型インフルエンザワクチンの優先接種の要望書を提出した。また,全国保育士会など児童福祉関係5 種別協議会は意見書を提出した。さらに,認知症ケア学会など介護関連3学会は要望書を提出した。3福祉士の職能団体が何をしたのかは知らない。
)
9/7(「介護従事者」は,新型インフルエンザワクチン優先接種対象者でなくていいのか。 意見募集は9月13日までである)の記事を参照
10/22 厚生労働省 厚生労働省(2009年度補正予算の執行停止および2010年度予算の概算要求
<2009年度補正予算の執行停止>
・厚生労働省は,10月19日に,2009年度厚労省補正予算総額3兆4,171億円のうち,合計6,314億の執行を停止したと発表した。
・内訳は,「緊急人材育成・就職支援基金」「未承認薬・新型インフル等対策基金」「地域医療再生臨時特例交付金」等の基金事業で計4,962億円,「子育て応援特別手当」など基金以外の事業で計1,352億円である。

<2010年度概算要求>
・厚生労働省は,10月16日に,2010年度厚労省予算の概算要求を発表した。
・一般会計総額は28兆8,894億円(8月時点の要求額から9.3%増,前年度から14.8%増)であった。
・新規要求事項として,「子ども手当」の創設等に2兆1,279億円,「年金記録問題への対応」に1,779億円,「雇用保険制度の見直し」に2,681億円を計上している。一方,「補助金」「財政投融資資金」などの削減により,8月要求額から2,463億円削減している。

→2010年度予算編成は,今後,行政刷新会議を中心にして政治主導で査定作業を進められ,12月中に政府案が決定される予定と報道されている。
→蛇足であるが,2010年度の文部科学省概算要求を見ていて,「周産期医療,救急医療等新たな医療需要に対応した国公私立大学病院の環境整備・医師等支援」として,「医療ソーシャルワーカー等」を雇用する予算48億円(1,342名×360万円)が計上されていたことを知って驚いた(文部科学省2010年度概算要求12ページ)。「社会福祉士」「精神保健福祉士」の国家資格を所管している厚生労働省の見解が知りたい。国家資格名称(社会福祉士,精神保健福祉士)ではなく,職名(医療ソーシャルワーカー)が公然と認められてきているということから,筆者は,現行資格制度を抜本的に見直しする時期が来ているように感じている。これは,これまで「精神保健福祉士国家試験」にも関与し,現理事長・幹部に逮捕者を出した「全国精神障害者社会復帰施設協会(全精社協)」とも関連する。(筆者)


(全精社協に関して)
9/23「ハートピアきつれ川」を存続させなければならない理由は何か)の記事を参照

(ソーシャルワーカー専門職資格の再編成に関して)
「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」(2008年7月の「日本学術会議の提言」
10/21 厚生労働省 「相対的貧困率」が初めて公表された
・OECDが発表しているものと同様の計算方法で,日本の相対的貧困率及び子どもの相対的貧困率が算出されている。相対的貧困とは,OECDの定義によれば,可処分所得の中間値の半分以下の世帯員の割合であり,低所得者の割合や経済格差を示す指標となる。したがって,日本では224万円以下(2008年国民性カ津基礎調査)が,相対的貧困率の対象になると思われる。(追記10/22山井政務官発表:中央値は228万円)
・国民生活基礎調査を基に,2006年から3年ごとにさかのぼって4回分を算出した結果であり,2006年は15.7%(2003年比0.8%増)で,1997年以降最も高い数値であった。また,17歳以下を抽出した「子どもの貧困率」は14.2%(2003年比0.5%増)であった。
・相対的貧困率は,経済協力開発機構(OECD)が加盟国について定期的に算出し,公表している。しかし,日本政府はこれまで正式な数値を出さなかった。民主党マニフェストでは,貧困の実態調査と対策が挙げられている。

→鳩山首相は,情報公開を重視する方針を表明している。3福祉士国家試験に頻出の「貧困」に関しては,改めて記事にする予定である。(筆者)

「OECDの最新(2005年)格差報告書」(2008年10月21日公表)
10/20 ■筆者には,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」は,「ゆとり教育」の顛末に重なって見える

<民主党マニフェストの抜粋>

41.ワークライフバランスと均等待遇を実現する
【政策目的】
○全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて,やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる「ワークライフバランス」の実現を目指す。
【具体策】
○性別,正規・非正規にかかわらず,同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する。
○過労死や過労自殺などを防ぎ,労働災害をなくす取り組みを強化する。
→「ゆとり教育」に対置されるのは「詰め込み教育」である。「ゆとり教育」は,欧米のパクリで,当時「ミスター文部省」と呼ばれていた旧文部省の「寺脇研氏」(キャリア官僚)によって推進され,政府方針としての「ゆとり教育」は,2002年度から本格実施された。2005年からは検討が始められ,2007年の中央教育審議会では,「ゆとり教育による学力低下」を認め,授業日数の増加等が提言(答申)された。結局,2009年度〜2013年度において,「ゆとり教育」の政府方針は転換されることになった。
→「ワーク・ライフ・バランス」は,小泉内閣における「経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会」の会長であった「八代尚宏氏」(学者)が,2007年4月に第一次報告として「ワークライフバランス憲章」というのを提唱したことに始まる(例によって,オリジナルな考えではなく,欧米のパクリである)。2007年7月13日に「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」(政・労・使)が設置され,12月18日には「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」,「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定された。
→筆者は,「働く女性に子どもを産ませる」や「ホワイトカラー・エクゼンプションを導入するためのステップ」などの隠された思惑がある限り,国民に正しく浸透することはないように思う。「民」の代表としての「経団連」の役割も終わった状況において,浮き草のような政策は見直す必要があるように思う。鳩山政権において,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」をどう取り扱うのかを注目している。(筆者)


10/19(「新たな少子化社会対策大綱」の策定に向け),9/30廃止が言われる「経済財政諮問会議」の最後のメンバーの記事を参照

「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて」(内閣府)
10/19 内閣府 「子ども・子育てビジョン(仮称)検討ワーキングチームの設置」「今後の子ども・子育て支援策への意見募集」
〜「新たな少子化社会対策大綱」の策定に向け〜



<社会福祉士国家試験受験者は必読のこと>

「これまでの少子化対策」(2009年版少子化社会白書)
→これまでの「少子化担当大臣」の本質は,「少子化促進担当大臣」であったと思う。鳩山政権における,「福島少子化担当大臣」によって,日本の少子化対策はどのような劇的な展開が図られるのだろうか。
→今回のワーキングチーム(WT)の設置に関しては,社会保障審議会少子化特別部会の席上で突然に福島大臣から発表されたと聞くと,今後も民主的な手続を踏まずに強引な進め方をされるように思えてならない。また,福島大臣は,持論を伏せて,いきなり白紙の状態で国民に意見を求めているが,ガス抜きの意図を感じる。さらに,内閣府において,8つの分野を掛け持ちしているといわれる超多忙な「泉政務官」にWTのリーダーをさせたことからも,WTは重視されずに,「形づくり」や「アリバイづくり」をねらいとしているように思える。筆者は,2010年1月には,これまでの少子化対策に対する十分な総括はなされずに,福島少子化担当大臣の持論(URL;http://www.mizuhoto.org/book/book.html)が盛り込まれた「新たな少子化社会対策大綱」が策定されるのではないかと心配している。
→筆者が,福島大臣に期待しているのは,持論の展開ではなく,「官僚が選出した学者」を審議会等には配置せず,審議会委員には有為な若手研究者を登用して,きちんとした議論をしていただき,政策立案に結び付けてもらうことである。(筆者)

<9月22日記事の再掲>
→本調査は2009年1月〜2月に実施され,自・公政権による「児童手当」の低額が背景にあって,「経済的支援措置」が2004年以来第1位を占めていたとみられている。現在,鳩山政権となり,民主党の公約で掲げられた「子ども手当」が実現すれば,日本の子育て家庭への現金給付は世界トップレベルになるとされている。しかし,「少子化対策」は,「現金給付」と「保育などの社会的な子育て支援策」を車の両輪として整備する必要があるとされており,社会基盤整備は現行の低い水準のままではすまなくなる。鳩山政権は,「少子化対策のため国民に理解を求める」 としている。「子ども手当」の大幅な拡充を実施する前に,多くの国民は「少子化対策の全体像」を示してもらいたいと考えている。福島瑞穂内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全,少子化対策,男女共同参画) には,国民に対して,男女共同参画社会,ジェンダーフリー,フェミニズムなどに基づいた持論をちらつかせず,専業主婦を馬鹿にすることなく,分かりやすい説明をして,納得させてほしいと思う。例えば,福島大臣の著書『結婚はバクチである』で述べられている「結婚はバクチである。当たりもあれば,はずれもある。仕事をやめて結婚するのは初心者がラスベガスに行って,全財産を賭けるようなものである」,というような説明では国民の多くは理解しづらい。(筆者)

→■「少子化社会対策大綱」(2004年)

「少子化対策〜もっと知りたい〜」(内閣府)

(少子化,保育に関して)
10/1「応益負担」を導入した障害者自立支援法の廃止が明言されている状況下において,保育制度に「応益負担」の導入が検討されている9/22(「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度)),9/12「三党連立政権合意書」,9/9筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う,9/32009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)7/3「少子化対策統括本部」が7月1日に設置された,6/26「“みんなの”少子化対策(概要)」(提言),4/23「2009年版 少子化社会白書」,4/7「2008年版 女性労働白書」,3/12「2007年地域児童福祉事業等調査結果の概況」〜約7割が認可保育所への入所を断念〜),3/1「少子化対策に関する特別世論調査」,1/29「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」が発足,1/12「子育て応援特別手当」,2008年12/42009年1月から「産科医療補償制度」が始まり,出産一時金が38万円に増額される,12/3「改正児童福祉法」および「改正次世代育成支援対策推進法」が成立)の記事を参照
10/17 厚生労働省 「最新 子ども虐待対応の手引き」(2009年3月)
〜11月は「児童虐待防止推進月間」


<児童虐待に関する最新データ>
@2008年度の児童相談所における児童虐待相談件数:42,662件(速報値)
A2008年4月より,改正児童福祉法により,虐待の恐れのある家庭に児童相談所が解錠して立ち入るのを可能にした「強制立ち入り調査」(臨検):施行後1年で2件
B2007年1月1日〜2008年3月31日(15か月間)での児童虐待による死亡事例・人数:115例142人(「心中以外」の事例73例(78人),「心中」(未遂を含む42例(64人))

<児童虐待防止対策の経緯>
2000年11月 児童虐待防止法の制定
2004年10月以降 改正児童虐待防止法,改正児童福祉法の順次施行
2005年4月 市町村児童家庭相談援助指針の策定
2007年1月 児童相談所運営指針の見直し
2008年4月 改正児童虐待防止法,改正児童福祉法の施行
2009年3月 「子ども虐待対応の手引き」の改正
2009年4月以降月 改正児童福祉法の順次施行
                 (やまだ塾のまとめ)
・2008年4月施行の「改正児童虐待防止法」では,児童の安全確認等のための立ち入り調査等の強化等が図られ,2008年11月成立の「改正児童福祉法」では,虐待を受けた児童等の対する家庭環における養護の充実等が図られた。これらの法改正を踏まえて,改正された「子ども虐待対応の手引き」(2009年3月31日厚生労働省通知)である。
<「最新 子ども虐待対応の手引き」の目次>
第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項
第2章 発生予防
第3章 通告・相談への対応
第4章 調査及び保護者・子どもへのアプローチ
第5章 一時保護
第6章 判定・援助業務
第7章 児童福祉審議会の意見聴取
第8章 援助(在宅指導)
第9章 援助(親子分離)
第10章 児童相談所の決定に対する不服申立てについて
第11章 関係機関との協働
第12章 電話相談の実際
第13章 特別な視点が必要な事例への対応
第14章 虐待致死事例に学ぶ

<7月15日記事の再掲>
→掘り起こしによって,児童相談所虐待対応件数が増加してきたのは当然であるが,児童相談所が関与しているにもかかわらず悲劇が起きているなか,法改正・施行後1年間での臨検がわずか2件であったことは問題である。児童相談所の職員数の不足とともに,現場(児童相談所)が戸惑っている状況も報道されている。筆者は,憲法35条の例外規定まで設けて,児童相談所に臨検の強権を付与した「臨検制度」を設計から見直す必要があると思う。そもそも児童相談所は「支援・援助」に軸足があり,そこに「強権発動」(臨検)を持ち込めば,現場が苦悩するのは当然であり,当初から指摘されていたことである。機能させるように制度の仕組み(設計)を見直す必要がある。また,事あるごとに児童相談所の責任に焦点を当てて,センセーショナルに報道する一部のマスコミの姿勢は,国民・地域住民への啓蒙の大きな障害となっていると思う。児童虐待は,国民・地域住民の問題である。(筆者)

→2005年以降5次にわたる虐待死事例検証の結果,@年齢は0歳児が約5割で,特に1か月未満に集中している,A実母の妊娠期・周産期において,「若年妊娠」,「望まない妊娠」,「母子健康手帳未発行」,「妊婦健診未受診」,「乳幼児健診未受診」に該当する者が約6割である,B実母が「育児不安」「養育能力の低さ」,「感情の起伏が激しい」,「精神疾患」,「うつ状態」,「衝動性」,「怒りのコントロール不全」など心理的・精神的問題を抱えている場合が多い,C関係機関の関与していない事例が増加している,ということが分かっている。しかし,有効な対策が打たれていない。「待機児童ゼロ作戦」は国の施策であるが,「児童虐待死ゼロ作戦」は国の施策にはなっていない。「守ろうよ 未来を見つめる 小さなひとみ」というさわやかな標語は,地獄の中で支援・援助を必要としている人にはどのように聞こえるのだろうか。(筆者)

7/152008年度の児童相談所における児童虐待相談件数および出頭要求等の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(「虐待(児童・高齢者)/DV」)
10/16 厚生労働省 「上意下達式」の「お詫び」では信頼関係を破ることにつながる →長妻厚生労働大臣は,就任当初,前政権の「子育て応援特別手当」を支給停止(補正予算のうち約1,100億円)することについては,時間切れを理由に支給やむなし,としていた。その後,12月の支給開始に向け,準備を進めていた地方自治体の事情を考慮せず,直前ともいえる10月15日に「お詫び」と称して「上意下達」で支給停止するやり方は,「民主主義のルール」に反すると思う。報道では,「支給停止」の理由は,補正予算の削減(3兆円)が思うほどに進まなかったためと推測されている。
→民主党がマニフェストに盛り込んでいた2010年度の政策経費は7.1兆円で,厚生労働省分は3.6兆円を占めており,うち子ども手当は2.7兆円とされていた。「厚生労働大臣」がいかに重要なポストであるかが理解できる。方針変更する場合には,きちんと相手が納得できる説明をする責任が,「大臣」にはある。今回のケースにおいては,「大臣のお詫び状」では,国民(支給対象者)と地方公共団体(現場)に対する説明責任を果たしたことにはならない。
→なお,説明責任がいる「母子加算の復活(約180億円)」に関して,10月13日に行われた長妻大臣の記者会見における興味深い記者とのやり取りを引用させていただく。

(記者)
母子加算についてですが,11月が近づいて参りまして,自治体の準備のことを考えますと1ヶ月ちょっとは掛かると思うのですが,11月の復活は難しい状況になって来ているのでしょうか。

(大臣)
本日も閣議前後に,藤井財務大臣とお話をしました。我々としては年内に支給ということでございます。それについては,藤井財務大臣も基本的には了解をいただいておりますが,その具体的な手法等についてまだ詰めが必要ですので,それは引き続き交渉をしているということです。
(記者)
受給者の方は,生活設計もあるので11月が難しいのであれば,「難しい」と大臣がおっしゃた方がいいと思うのですが。

(大臣)
これもまだ詳細に詰めをしている段階で,いずれにしても年内ということは私も前々から申し上げておりますので,具体的に年内のいつかという時期の確定については非常に重要な観点だということで,副大臣、政務官、私も含めて財務省の副大臣,政務官,事務方同士でも交渉を続けておりますので,その段階で公表して行きたいと考えております。
(記者)
財務省との「交渉内容,具体的手法等々」の中は金額を満額出せないと向こうが言っているということでしょうか。

(大臣)いろいろな交渉をしておりますが,その中で金額というか,考え方についても今交渉をしております。考え方というのはご存じのように,母子加算を削除した代わりに,例えば,一人親の就労支援が入ったということは確かにそうだと思います。そういう意味では母子加算を復活すると,一人親の就労支援はなくしてもいいのではないかと考えております。母子加算を削除したこととは別に,例えば,高校の支援、学習費用の支援等々,母子家庭に限らず全体の生活保護に係っている話ですので,その代替措置をどの範囲で見るかということで見解にずれがあると考えておりまして,その部分について調整をしているということです。
→対人支援における福祉専門職も同じであるが,分からないことは分からない,できないことはできない,とはっきりと相手に伝えるべきである。ごまかしは許されない。信頼関係を築く場合の基礎となる。
<9月4日記事の再掲>
(前略)
→異論があることを承知で申し上げると,筆者は,次期厚生労働大臣として「モンスター」を御せられると思える人物は,民主党においてはミスター年金と言われる議員よりも,反小沢とされる枝野議員ではないかと思っている。
(筆者)
                           (筆者)
10/15 総務省
・内閣府
「秋の行政相談週間(10/19〜10/25)」(内閣府インターネットテレビ)


<本HPのトップページに掲載の窓口>
   困ったときの相談窓口
いきる・ささえる相談窓口(都道府県別)・・総合
いのちの電話 / 心の健康相談 / 薬物・・こころ
法テラス/警察/ADR/暴力追放/多重債務・法

人権擁護相談/総合労働相談/行政相談・・行政
いじめ,虐待,消費者/小児救急/子育/外国人
<政府広報より引用>
『総務省の行政相談は,「道路の段差を改善してもらいたい」「手続きや申請をどこにしたらいいのか分からない」など,国の行政に関する皆様からの苦情やご意見をお聴きし,その解決や実現を促進するとともに,行政の制度や運営の改善を図っています。最寄りの管区行政評価局・行政評価事務所や,あなたのまちの行政相談委員に,お気軽にご相談ください。行政苦情110番は,0570−090110(おこまりならまるまるくじょーひゃくとおばん)です。10月19日から25日までの行政相談週間には,国の行政機関や地方公共団体等が参加する一日合同行政相談所を全国各地で開設します。』

→PRの仕方に工夫が必要ではないだろか。多くの国民は,「行政相談」はもとより,総務省行政評価局・行政評価事務所,行政相談委員という言葉すら聞いたことがないと思う。
→対人支援を行う福祉専門職にとっては,「相談窓口」の知識・情報は大切である。(筆者)


→■行政相談とは / 行政相談の受付窓口(総務省)

→●7/24「行政相談委員制度の在り方に関する研究会報告書」の記事を参照
10/14 厚生労働省 「2009年4月から9月までに新規に要介護認定申請を行った皆様へ」 ・2009年4月からの要介護認定方法の見直しの影響について「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」が検証を行い,認定のばらつきの是正がはかられたが,軽度者等の割合が増加していることから,2009年10月1日より,新たに要介護認定方法が見直された。
4月から9月までに新規に要介護認定申請を行い,「非該当」とされ,実情と一致していないと思われる場合には,「再申請」を行うことができる。また,認定された要介護度が実情と一致していないと思われる場合には,「区分変更申請」を行うことができる。
・問い合わせ先:市町村の介護認定担当窓口
<2009年8月11日記事の一部再掲>
→結局,「介護認定の見直しに係る検証・検討会」は,「一次判定ソフト2009」および「介護認定審査会テキスト2009」の「検証・検討」を行わず,「認定調査員のテキストの修正」だけで「検証・検討」を終息させた。『厚生労働省に猛省を促したい』という,国民向けのジェスチャーを弄して,最小限の手直しで幕引きをしたと受け止めている。見事であるが,国民が「有識者」に期待しているのは,そんな小手先の対応ではない。(筆者)

8/11「認定調査員テキスト2009改訂版」の修正概要,8/5「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」で軽度化が修正されることになった,7/16「新基準の介護認定」において「非該当(介護不要)」の認定が倍増した(ニ次判定結果の要介護度区分の比較(新規申請者):P.16)),5/21認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版),4/21「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」,3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照
10/13 厚生労働省 第11回臓器移植推進国民大会(10月24日)の開催について
〜10月は「臓器移植普及推進月間」
・1997年成立の「臓器移植法」のきっかけは,1990年設置の「臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)」(厚生省)が,1992年1月22日に「脳死を人の死とすることについて概ね社会的に受容され合意されている」として,一定の条件下における脳死体からの臓器移植を認める趣旨の答申を提出したことである。
・その後,1994年4月に「臓器の移植に関する法律案」が議員立法で国会に提出され。継続審議の後,1997年7月に「臓器移植法」が成立し,1997年10月に施行され,2009年7月13日に改正された。改正法の施行は1年後である。
・従来は,脳死からの臓器提供には,本人があらかじめ臓器提供の意思を書面で示し,家族も拒まないことが必要であり,15歳未満からの提供は禁止されていた。その結果,書面による意思表示は進まず,脳死からの臓器提供は81例(12年間)という状況であった。また,WHOの渡航移植を規制する動きにより,2009年通常国会で改正論議が高まった。これらを背景にして,国民的な議論はほとんどなされず,課題を山積したまま,駆け込みで成立した,といういきさつがある。


→改正法の1年後の施行に向けた検討課題が,「改正法の施行に向けた検討課題及び体制」(第26回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会資料)として公表されている。改正直後,7月30日のNHKの番組で説得力のある移植体験者の意見を聞いて感動した(You Tube 視点・論点「改正臓器移植法と課題(4)移植体験から思うこと)。一方で,「脳死者」の多くは交通事故死者という現実があり,交通事故が減り,救急医療体制が再建・整備されれば,「脳死者」もまた減り,結果「臓器不足が」生じるという指摘にはショックを受けた。脳死移植が定着するには「課題」が多い。脳死や移植に対する国民的な理解を深める工夫が必要であると思う。(筆者)
10/9 ■「長妻厚生労働大臣」にはがっかりさせられるが,ブレーンの問題もあると思う

<厚生労働省の「政務三役」5名>

@大臣:長妻昭衆議院議員
A副大臣:細川律夫衆議院議員,長浜博行参議院議員
B政務官:山井和則衆議院議員,足立信也参議院議員

中央社会保険医療協議会(中医協)委員名簿
(2009年6月24日現在)

@健康保険,船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者,事業主及び船舶所有者を代表する委員(7名)
A医師,歯科医師及び薬剤師を代表する委員(7名)
B公益を代表する委員(6名)
C専門委員(10名)


・中医協は,厚生労働大臣の諮問機関で,診療報酬の具体的点数を決める組織である。長妻大臣は9月28日の「政務三役会議」で,足立政務官(医師)に対し中医協の人事についての素案作りを指示したということである。また,10月8日の「政務三役会議」では,これまで3人いた日本医師会の代表委員を全員排除する方針を固めたと報道されている。
→長妻厚生労働大臣は,就任直後,職員に「民主党のマニフェストは国民と政府の契約書,あるいは国民からの命令書。熟読しどうすれば実行できるか知恵を絞ってほしい」と訓示した。当時,筆者は,知恵を絞らなければならないのはブレーンで,大臣は強力なリーダーシップを発揮することだけを明言すればいいのではないかと思った。
→1か月を経ずして,「母子加算復活」(当初,10月と明言していたが,11月の復活も難しい状況にある)と「後期高齢者医療制度廃止」(9月8日に2013年度から新制度にすることを表明しているが,これまで民主党の「いったん老健制度に戻す」とする国会での主張を転換している)を先延ばしした,致命的な問題を抱えている日本のワクチン行政を踏襲するかのような「新型インフルエンザ対策」を発表した,そして猛烈に反対していた2009年1月からの「日本年金機構への移行」にこともなく承諾した,と続いている。
→筆者は,現在の政務三役5名(実質のブレーンは政務官2名のように思える)で対応するには,能力の問題は別にして,負荷が大きすぎるように思う。
→まもなく結果が出ると想定されている非常に重要な事柄がある。左記の「中央社会保険医療協議会委員」から,日本医師会の代表委員の全員を排除するという長妻厚生労働大臣の方針の実行である。日本医師会の代表委員は,これまで開業医に有利な形で診療報酬改定に影響力を行使してきたことは周知であるが,どういう結論にするのかを注目している。
→厚生労働省の「政務三役」には,主義主張を通して,がんばってほしいと心から願い,応援している。なお,今後,重要な事柄について,2013年度から行うという発言が多くなるのではないかと思っている。2013年度は,民主政権(4年1期)が終わっているときかもしれない。(筆者)


(長妻厚生労働大臣に関して)
長妻厚生労働大臣の記者会見
(9/17〜10/6)
10/7政権公約の「母子加算の復活」と「後期高齢者医療制度の廃止」は,即時実行すべきである),10/5日本看護協会は「訪問看護師と保健師」への新型インフルエンザワクチンの優先接種の要望書を提出した。また,全国保育士会など児童福祉関係5 種別協議会は意見書を提出した。さらに,認知症ケア学会など介護関連3学会は要望書を提出した。3福祉士の職能団体が何をしたのかは知らない。)9/23「ハートピアきつれ川」を存続させなければならない理由は何か)9/21「障害者自立支援法の廃止」を明言するのであれば,「社会保障審議会障害者部会」の構成委員の見直しは必要である,9/17長妻昭厚生労働大臣/内閣府特命担当大臣年金改革担当プロフィール,9/12「三党連立政権合意書」の記事を参照
10/8 厚生労働省 「2008年度 社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)」
<2008年度の結果(ポイント)>
(1)生活保護関係:
@被保護世帯数:1,148,766世帯(前年度比3.9%増)
A被保護実人員及び保護率:人員は1,592,620人(前年度比3.2%増),保護率(人口千対)は12.5‰
B保護開始・廃止の主な理由:「傷病による」(41.9%)が最多
(2)身体障害者福祉関係:身体障害者手帳交付台帳登載数は5,031,683人(前年度比1.7%増)
(3)知的障害者福祉関係:療育手帳交付台帳登載数は785,720人(前年度比3.8%増)
(4)婦人保護関係:相談件数は260,228件(前年度比1.4%増)
(5)老人福祉関係
@老人ホームの施設数・定員:老人ホーム(有料老人ホームは除く。)の施設数は9,299施設(前年度比2.1%増),定員は584,151人(前年度比2.0%増)
A老人クラブ数・会員数:クラブ数は119,564クラブ前年度比2.%減),会員数は7,388,307人(前年度比3.1%減)
(6)民生委員関係:民生委員(児童委員を兼ねる)の数は228,427人(前年度比0.5%増)
(7)社会福祉法人関係:社会福祉法人数は18,625法人(前年度比0.5%増)
(8)児童福祉関係
@児童相談所における相談の種類:相談件数は364,414件,「障害相談」(相談件数の50.1%)が最多
A児童相談所における児童虐待相談の対応件数:「児童虐待相談の対応件数」は42,664件(前年度比5.0増)
(9)戦傷病者特別援護関係(省略)

→3福祉士国家試験には頻出の報告である。次回の国家試験では「2007年度 社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)」が対象になると予想されるので確認されたい。(筆者)

明確な根拠をもつ(「社会福祉の調査・統計」)
10/7 ■政権公約の「母子加算の復活」と「後期高齢者医療制度の廃止」は,即時実行すべきである

<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>

・大臣:長妻昭衆議院議員
・副大臣:細川律夫衆議院議員,長浜博行参議院議員
・政務官:山井和則衆議院議員,足立信也参議院議員
→筆者は,政権公約の「復活」も「廃止」も,元の生活保護制度と元の老人保健制度に戻すことだと理解している。「共に,生活に直結した待ったなしの事柄」である。「元に戻すこと」に躊躇しているようでは,話にならない。後期高齢者医療制度においては,これまで出せなかった代案や妙案が,この段階ですぐに思い浮かぶとは思えない。
→「厚生労働省」には,他にやらなければならないことが山積しているはずである。
→最近の報道によれば,母子加算は,長妻大臣が就任直後に言っていた10月中の復活を断念し,また,後期高齢者医療制度は,今秋の臨時国会のみならず,来年の通常国会への法案提出も断念したとのことである。福祉行政のトップは,簡単に「断念」を口にしていいものだろうか。「断念」の意味は,「先送り」「先延ばし」と理解している。民主党の新しいポスターには,「公約実行」と大書してある。
→母子加算復活の対象者は約10万人で,後期高齢者医療制度の2010年3月までの「負担軽減策」の対象者は約400万人といわれている。
→2008年2月に,当時の野党4党共同で後期高齢者医療制度の廃止法案を衆議院に提出し,6月には参議院で可決したという経緯を持ち,「元の老人保健制度に戻すこと」に政治的な障害はないはずである。(筆者)
10/6 厚生労働省 2009年10月から「若年性認知症コールセンター」が開設された

「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」の概要>

【1】調査結果

(1)調査目的
・今後の若年性認知症に対する施策の基礎データを構築するため,2006年度から2008年度の3年間において,65歳未満で発症するいわゆる若年性認知症の全国レベルでの疫学的な実態や当事者と家族が抱える問題を明らかにする調査を実施。
(2)有病率に関する推計結果
@18−64歳人口において47.6人(10万人当たり),男性>女性
A全国で3.78万人
B基礎疾患としては,脳血管性認知症,アルツハイマー病,頭部外傷後遺症,前頭側頭葉変性症,アルコール性認知症,レビー小体型認知症の順
C推定発症年齢は51.3歳
(3)介護家族に対する生活実態調査
@最初に気づかれた症状は,もの忘れ,行動の変化,性格の変化,言語障害の順
A家族介護者の約6割が抑うつ状態にある
B発症後7割が収入が減ったと回答
C多くの介護者が経済的困難,若年性認知症に特化した福祉サービスや専門職の充実の必要性を記載
【2】厚生労働省の対策(3月19日付通知)
@若年性認知症者の支援に活用可能な以下の現行施策を担当する各行政部局,サービス事業者その他の関係団体等が相互に若年性認知症対策に関する理解を深め,有機的な連携の下で,一人ひとりの状態に応じた多様なサービスが総合的に提供されるよう積極的に努める
A2009年度から国庫補助事業や介護報酬加算を創設し,若年性認知症に関する相談体制や関係者の連携体制の強化,介護保険施設等の若年性認知症者の受入れの促進を積極的に図る
                         (やまだ塾のまとめ)
・2009年10月1日より,若年性認知症の電話無料相談を「認知症介護研究・研修大府センター(社会福祉法人仁至会)」において開始された。
・本コールセンターは,2008年7月の「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」の報告に基づくもので,認知症対策等総合支援事業の一環として,若年性認知症特有の様々な疑問や悩みに対し、専門教育を受けた相談員が答えるとされている。

<2009年3月24日記事の再掲>
→上記厚生労働省の対策は,2008年7月の「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」および今回の調査結果を踏まえて,3部局長連名通知(職業安定局高齢・障害者雇用対策部長,社会・援護局障害保健福祉部長,老健局長連名通知)として発出された。「やっと」の感はあるが,医療と介護の連携が始まる。(筆者)

→若年性認知症は,症状の進行が高齢者の場合よりも速いのが特徴とされ,周囲にも大きなインパクトを与える。映画「明日の記憶」を観たときに,家族の混乱の大きさと苦悩の深さを感じたが,同時に家族も若年であることに気づいて,やりきれない思いを持った。家族への支援の充実が必要だと思う。(筆者)


3/24「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」(2009年3月19日)の記事を参照

「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」(2008年7月10日)
10/5 日本看護協会は「訪問看護師と保健師」への新型インフルエンザワクチンの優先接種の要望書を提出した。また,全国保育士会など児童福祉関係5 種別協議会は意見書を提出した。さらに,認知症ケア学会など介護関連3学会は要望書を提出した。3福祉士の職能団体が何をしたのかは知らない。

<優先的に接種する対象者=約5400万人>

(1)優先接種対象者(2300万人)
@インフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者(救急隊員含む)約100万人
A妊婦約100万人と基礎疾患を有する人約900万人
B1歳から小学3年生に相当する年齢の小児約1000万人
C1歳未満の小児の保護者と優先接種対象者のうち免疫がつけられないなど身体上の理由により予防接種が受けられない人の保護者:計約200万人
(2)その他(3100万人)
D小学校4-6年生,中学生,高校生に相当する年齢の人約1000万人
E基礎疾患のない高齢者(65歳以上)約2100万人

なお,これ以外の人への接種については,接種対象者への接種状況を踏まえて対応する。
→新型インフルエンザワクチン接種の意義は,ワクチン接種者の生命を守ることにある。感染の危険性の高い介護福祉士をはじめとした介護従事者をワクチン優先接種の対象外と結論づけた「長妻厚生労働大臣」にはがっかりした。介護従事者には給料を上げてやれば事足りる,とでも考えているのであれば大間違いである。チームケアをしている職場に,ワクチン接種優先対象者(医師,看護師,保健師等)と対象外の者(介護福祉士,ケアマネ,ヘルパー等)が存在することに問題があると思えないのであれば救いようがない。筆者は,介護従事者の命が軽く扱われたと受け止め,憤っている。
→「日本のワクチン行政」の構造的な問題については,改めて記事にしたい。(筆者)


9/7
(「介護従事者」は,新型インフルエンザワクチン優先接種対象者でなくていいのか。 意見募集は9月13日までである)の記事を参照

2009年10月1日の長妻厚生労働大臣の記者会見で使用された資料(今後の新型インフルエンザ対策について-ワクチン接種の基本方針-)
10/3 厚生労働省 一般職業紹介状況 (厚生労働省)/ 労働力調査速報(総務省)
〜2009年8月の有効求人倍率0.42倍,完全失業率5.5%〜
<2009年8月の有効求人倍率と完全失業率>
@一般職業紹介状況
・有効求人倍率:0.42倍(過去最低の前月と同水準)
・都道府県別:最高は香川・島根の0.59倍,最低は秋田・沖縄の0.28倍
・業種別:製造業(41.3%減,情報通信業(39.7%減)で大きく落ち込む。
A労働力調査速報
・完全失業率:5.5%(7か月ぶりに改善)
・完全失業者数:361万人(前年比89万人増)
・完全失業者のうち,2人以上の世帯における「世帯主」は89万人(前年比29万人増加)であった。

→■雇用安定のための事業主への給付金(2009年10月1日現在)
10/2 2009年10月から何が変わったか。
<福祉関連の主な変更>
@厚生年金保険料率の引き上げ
・2009年10月納付分から労使折半で15.350%→15.704%
A出産一時金の増額
・38万円→42万円
B最低賃金(自給)の引き上げ
・大半の都道府県で改訂され,全国加重平均で10円アップ
C全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率の変更
・全国一律→都道府県別
D地デジチューナー無償配布の受付開始
・生活保護世帯や障害者世帯などの条件に該当する世帯が対象
E「住宅瑕疵(かし)担保履行法」の施行
・住宅業者への保険加入の義務づけ,新築住宅に欠陥があれば,住宅業者の負担で補修

F個人住民税の年金からの引き落としの開始
・65歳以上の年金受給者で,個人住民税を納めている人が対象

G生活福祉資金貸付事業の見直し
・10種類→4種類
10/1 厚生労働省 「応益負担」を導入した障害者自立支援法の廃止が明言されている状況下において,保育制度に「応益負担」の導入が検討されている

<保育制度改革に関与している有識者>
@社会保障審議会少子化対策特別部会名簿

A社会保障審議会少子化対策特別部会保育第一専門委員会委員名簿

(検討項目)
保育の必要性等の判断の仕組み,保育の提供の仕組み,費用設定・費用の支払い方法,認可保育所の質の向上,多様な保育サービス,情報公表・評価の仕組み

B社会保障審議会少子化対策特別部会保育第二専門委員会委員名簿
(検討項目)
参入の仕組み,認可外保育施設の質の引上げ,地域の保育機能の維持・向上,多様な保育サービス,情報公表・評価の仕組み
・2009年2月にとりまとめられた社会保障審議会少子化対策特別部会第1次報告を受けた「今後の保育制度」の詳細な検討は,2009年度からは2つの保育専門委員会が中心となって議論していくこととされた。「保育第一専門委員会」は2009年8月5日に,「保育第二専門委員会」は2009年8月6日に第1回が開催された。2009年9月29日の「第3回保育第一専門委員会」において,「応益負担」を導入する考えが明らかになった。これまでの保育制度改革の流れを止めなければ,児童福祉法の改正等は2011年の国会に提出されると見込まれている。

→筆者は,これまで行政が進めようとしてきた「保育制度の改革」は,「保育制度の改悪」であると思っている。これまでの行政は,介護・障害者・保育の分野に市場原理や直接契約方式や応益負担を持ち込むことが「正義」だとしていた。失礼な言い方になるが,その考え方に沿って「保育制度改革の詳細設計」を検討されている左記の有識者の方々には,期待する気にはならない。長妻厚生労働大臣と福島少子化担当大臣の慧眼と実行力に期待したい。
→蛇足であるが,未来を見通せる能力があると言われている天才人類学者「エマニュエル・トッド氏」は,現在フランスの国立人口統計学研究所の研究員を務められているとのことである。比較できないのかも知れないが,日本にも「国立社会保障・人口問題研究所」というりっぱな機関があるが,天才がいるとは聞いたことがない。氏は,日本研究でも知られ,日本が将来抱える最大の問題を「少子化の急速な進行による人口減少問題」と指摘されている。ソビエトの崩壊やイラク戦争後のアメリカ帝国主義の崩壊やアメリカ発の経済危機の予言を的中させたが,「日本崩壊の予言」を的中させないためには,「日本の少子化対策」を抜本的に見直す必要があると思う。(筆者)


「社会保障審議会少子化対策特別部会第1次報告」(2009年2月24日)
社民党の提言「すべての子どもに確かなスタートを」−子どもの貧困ゼロへ−(2009年5月,福島みずほ氏のオフィシャルHPにリンクしています)
「鳩山内閣閣僚記者会見「福島みずほ大臣」(2009年9月16日) / 鳩山内閣閣僚記者会見「長妻昭大臣(2009年9月16日)

→■改定保育所指針(2009年4月施行)


(少子化,保育に関する記事)
9/22(「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度))9/12「三党連立政権合意書」,9/9筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う,9/32009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)7/3「少子化対策統括本部」が7月1日に設置された,6/26「“みんなの”少子化対策(概要)」(提言),4/23「2009年版 少子化社会白書」,4/7「2008年版 女性労働白書」,3/12「2007年地域児童福祉事業等調査結果の概況」〜約7割が認可保育所への入所を断念〜),3/1「少子化対策に関する特別世論調査」,1/29「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」が発足,1/12「子育て応援特別手当」,2008年12/42009年1月から「産科医療補償制度」が始まり,出産一時金が38万円に増額される,12/3「改正児童福祉法」および「改正次世代育成支援対策推進法」が成立)の記事を参照
9/30 廃止が言われる「経済財政諮問会議」の最後のメンバー
<第21回会議(2009年7月17日)の11名>
@総理大臣(議長)
麻生太郎
A閣僚(議員)
河村建夫(内閣官房長官)
林芳正(内閣府特命担当大臣(経済財政政策))
佐藤勉(総務大臣)
与謝野馨(財務大臣)
二階俊博(経済産業大臣)
B民間(議員)
白川方明(日本銀行総裁)
岩田一政(内閣府経済社会総合研究所長)
張富士夫(トヨタ自動車株式会社取締役会長)
三村明夫(新日本製鐵株式会社代表取締役会長)
吉川洋(東京大学大学院経済学研究科教授)
→小泉内閣〜麻生内閣の間で「骨太の方針」を作り,「構造改革」などの国家の方向を決定してきた内閣府の諮問機関である「経済財政諮問会議」の廃止が報道されている。(2009年9月28日付日経新聞<政府の審議会,「休眠」相次ぐ 「政治主導」で金縛り>など)
→今後,「財政制度等審議会」「中央社会保健医療協議会」「中央教育審議会」「規制改革・民間解法推進会議」など閣僚,官僚,財界,学者等で構成されてきた審議会等の見直しも行われるとみられている。
→筆者は,「公正な人選」というのはどの政権においてもあり得ないと思っている。求めたいのは,公明正大な人選をめざす透明性のあるシステムであり,人選理由の明示である
→福祉専門職は,結論だけを鵜呑み,丸呑みをするのではなく,どういう人たちが,どういう議論をしているかという経過にも関心を払うことが大切だと考える。(筆者)
9/29 首相官邸 日本経団連の「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果」の意味は?

(参考)
・JR西日本のCSR(2009年1月)
http://www.westjr.co.jp/company/action/
issue/csr/2008/
・9月15日に,日本経団連は,CSRへの取り組み状況についての調査結果を発表した。前回調査(2005年)以降の進捗状況を尋ねたところ「方針・戦略の明確化」「推進体制の整備」「従業員の教育・研修」「情報開示」などの分野で「取り組みが進んだ」とする回答が7割を超え,企業のCSR推進に向けた体制・制度の整備が進んでいるとしている。

→2007年1月1日に公表された「経団連ビジョン(御手洗ビジョン)」の表題は「希望の国,日本」であった。どこかで聞いたようなキャッチフレーズであったため,一部では失笑を受けた。その中で,19項目にわたる「アクションプログラム2011」が掲載され,「CSRの展開,企業倫理の徹底」は17番目に位置づけされていた。当時,筆者は,17番目ではまずいのではないかと思った。近時,脱線事故に関する「JR西日本」の破廉恥振りが次第に明らかになるにつけて,日本経団連の今回の調査結果は失笑では済まされない状況になっているように思う。日本経団連は,脱線事故で2005年にJR西日本に対して,「活動自粛処分」を下したが,近時に判明してきた「あさましい所業」についても日本経団連はコメントぐらいする責任があるように思う。
→9月16日の「鳩山内閣発足に関する御手洗会長コメント」を見て,その不遜さに改めて驚かされた。
→CSR,ステークホルダー,説明責任,コンプライアンス,ISO,フィランソロピー,メセナ,リスクマネジメントなどの経営用語も福祉専門職とは無縁ではない。(筆者)

9/28 厚生労働省 新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合の労働基準法上の取り扱い ・感染または感染の疑いがある場合には,保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが国民の努めである。
・新型インフルエンザに感染しており,医師等による指導や保健所の協力要請により労働者が休業する場合は,一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられ,休業手当を支払う必要はない。ただし,使用者の自主的判断による場合は,支払いの義務がある。
厚生労働省は,感染拡大に備えて労使間で十分に話し合い,体制を整えることを求めている。また,労働基準監督署への問い合わせを案内している。

9/7「介護従事者」は,新型インフルエンザワクチン優先接種対象者でなくていいのか。の記事を参照

新型インフルエンザ対策関連情報
新型インフルエンザに関する報道発表資料
9/25 厚生労働省 「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書−精神保健医療福祉の更なる改革に向けて−」

<最近の精神保健福祉行政の経緯>
2002年12月 社会保障審議会障害者部会精神障害者分会報告書
「今後の精神保健医療福祉施策について」
2003年5月 精神保健福祉対策本部中間報告
「精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向」
2003年9月 厚生労働省障害保健福祉部
「精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向」
2004年3月 @厚生労働省障害保健福祉部
「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」報告書
2004年8月 A厚生労働省障害保健福祉部
「精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」最終まとめ
B厚生労働省障害保健福祉部
「精神病床等に関する検討会」最終まとめ
2004年9月 厚生労働省精神保健福祉対策本部報告
「精神保健医療福祉の改革ビジョン」
2004年10月 厚生労働省障害保健福祉部
「今後の障害保健福祉施策について」(改革のグランドデザイン案)
2005年6月 (1)障害者雇用促進法改正
2005年11月 (2)障害者自立支援法
(3)精神保健福祉法改正
2008年4月 厚生労働省社会・援護局
「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」設置
2009年9月 厚生労働省社会・援護局
「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書
・「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」は,2004年9月に厚生労働省がまとめた。検討会は,「精神保健医療福祉の改革ビジョン」が中間年を迎えたことを受けて,2008年4月に設置され,2009年9月24日に取りまとめられた。
・「改革ビジョン」は,おおむね10年間の施策の方向性を示し,「10年間で約7万人の社会的入院を解消する」としていた。
・「報告書」は,改革ビジョンの後期5か年(2009年9月以降)に取り組むべき施策のあり方を提案している。

<今後5年間の「後期重点施策群」(2009年9月〜)の概略>
@基本方針 改革ビジョンの「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的理念を堅持し,「地域を拠点とする共生社会の実現」という基本理念も示すことで,「改革をさらに加速させる」としている。
A施策の立案・実施 「精神保健医療体系の再構築」「精神医療の質の向上」「地域生活支援の体制の強化」「普及啓発の重点実施」を4本柱としている。
・2010年と2012年に予定されている診療報酬改定,介護報酬改定に反映させることとしている。
B「精神保健医療体系の再構築」 精神病床の医療の質を向上するために,段階的に人員基準を充実することなどが必要としている。特に,統合失調症は,2014年までに入院患者を15万人程度(2005年調査:19万6000人)に減少させるべきとしている。
・地域精神保健医療提供体制の再編として,訪問看護を強化すること,医療計画で目標を定める「4疾病5事業」として精神医療を位置づけるように検討することとしている。
C「精神医療の質の向上」 ・抗精神病薬の多剤・大量投与を改めるために,単剤投与を評価することが必要であるとしている。
・認知症は,実態調査を早急に行い,精神病床や介護保険施設の入院・入所機能とその必要量を明確にすること,外来医療や介護保険サービスの機能充実を検討することとしている。
・入院患者の削減目標は,2011年度までに具体化するとしている。
D「地域生活支援の体制の強化」 ・精神科救急医療体制の確保を制度上位置づけること,対象・利用期間・実施内容を明確にして機能強化した精神科デイケアを整備することとしている。
・障害福祉サービスでは,地域相談支援体制を強化すること,ケアマネジメント機能を拡充すること,精神科医療機関での実習の必修化を含め精神保健福祉士の養成カリキュラムを見直すことなどとしている。
・グループホームやケアホームなど住まいの場の確保をさらに進めること,利用しやすいショートステイを整備すること,雇用施策との連携を強化した福祉サービスを充実することなどが必要としている。
E「普及啓発の重点実施」 ・精神障害者と住民との交流活動など精神障害者本人から学ぶ機会を充実することなどが必要としている。
(上記表は「福祉新聞」(第2450号)の記事を参考にして,やまだ塾がまとめたものである)

→本報告書の詳細な紹介は,しばらく様子を見たうえで行いたい。本報告書は,副題として「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」とされているが,筆者は,積み残しの課題が多く,最大公約数的に無難にまとめられたものと受け止めた。24回にわたって検討会を開催されたことには敬意を表するが,鳩山政権は,今後の施策に本報告書を採用するだろうか。鳩山政権は,「障害者自立支援法の廃止」を表明している。筆者は,鳩山政権には,後れを取っている精神保健福祉行政の大きな変革・進展を期待している。なお,鳩山政権には,精神保健福祉関連のブレーンが不足していることが指摘されているが,しがらみを持ち厚生労働省が人選した本検討会をそのままブレーンにするようなことになれば,ブレークスルーは果たせない。世界に通じる日本の精神保健福祉の改革を提案できる人材を発掘(公募も含めて)し,登用すべきであると思う。(筆者)
9/23 ■「ハートピアきつれ川」を存続させなければならない理由は何か →10億円の負債で2007年4月に破産・解散した「全家連」(1965年設立の財団法人全国精神障害者家族会連合会)から「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市に,温泉付きホテル22室,定員50人の授産施設で「精神障害者が働く先駆的なホテル」という謳い文句で,旧厚生省の提案を受けて,11億円の補助金をもとに設立された)を厚生労働省の口利きで引き継いだ「全精社協」(社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会)が,1億円の未払金で破産・解散することが報道されている。今後,「ハートピアきつれ川」は,千葉県の医療法人に引き継がれるとされている。この場合,億単位の高額な補助金が当該医療法人に交付されることになると思うが,報道はされていない。施設の存続は,税金の無駄遣いにつながらないのだろうか。存続させることでメリットを受けるのは誰だろうか。
→筆者は,不採算が分かっているのに,時代の流れに反した精神障害者を隔離するような施設を,なぜいつまでも存続させなければならないのか理解できない。
→今回,再び「ハートピアきつれ川」が引き継がれることによって,「全家連」のときと同様に,「厚生労働省」および「全精社協」の破産・解散の説明責任がうやむやになることはないのだろうか。
→長妻厚生労働大臣は,9月17日の記者会見で,「全精社協における不正経理問題」(厚生労働省から受給した補助金の不正流用)の調査を事務方に指示を表明した。この不正問題には,あの「村木容疑者」の元上司が関与しているとも言われている。いつものことであるが,当事者は,組織的な関与はなかったと言い張るはずである。なお,厚生労働省障害保健福祉部精神・障害保健課は,「ハートピアの破綻の原因は調査中だが,全精社協の本部会計に領収書の不備などの不明瞭な点もあった。解散はやむを得ない」とコメントをしているとのことである(詳しくは,福祉新聞第2450号を参照されたい)。「全家連」が破産・解散したときにも不正問題があった。
→「福祉」や「障害」を隠れ蓑にした利権や税金を食い物にするさもしい仕組みはないと信じているが,もしあれば「国民」は許さない。筆者は,トカゲの尻尾切りに終わることのないように,長妻厚生労働大臣の手腕に期待し,注視している。
→「精神障害者」は,踏み台にし易い。筆者は,精神障害者と長くかかわった経験に基づいて,忌憚のない所感を述べさせていただいた。(筆者)
<2007年4月24日記事の再掲>
→1996年の営業開始当初から「ハートピアきつれ川」(当時,筆者は精神障害者のグループホームの設立に関与していたこともあり,世の中の流れに反して,「精神障害者を社会から隔離する」ことを当事者団体自らが始めたと感じていた)の資金繰りに困り,2002年には補助金不正流用が発覚して負債が膨らみ,2007年4月17日に破産・解散した。これまでの10年間は「金勘定」に汲々とするあまり,「精神障害者の医療・福祉の充実,精神障害に対する差別や偏見をなくすという目的」「精神障害者の声を政策に反映させるという役割」に力を尽くすことができなかったはずである。その間に,金を使い過すぎる全国大会の開催,高すぎる役員の報酬などの風評もあった。
→1965年結成以来の歴史と意義と12万人の会員・1600団体を抱えたまま何の説明もなしに倒産・解散した。厚労省も責任があると言うだけである。せめて,「全家連」として,曲りなりに存在する旧ホームページ上でよいから,「過ちを振り返り,反省を含めて」説明責任を果たすべきであろう。それが,豊かさとは無縁の仲間(精神障害者やその家族)を土足で踏みにじったことに対する誠意というものである。(筆者)

2007年4/242007年4月17日に破産・解散した「全家連」)の記事を参照
9/22 内閣府 「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度

<日本の子育て家庭への現金給付>
現行「児童手当」 民主党「子ども手当」
・児童手当の月額は,3歳未満が1万円,3歳以上は第1子,第2子が5000円,第3子以降は1万円である。
・支給は小学校卒業までで,所得制限がある。
・児童手当に代わる子ども手当の創設を掲げている。
・中学卒業までの子ども1人あたり月額2万6000円(年額31万2000円)の支給を打ち出している。所得制限は設けない。
・ただし,2010年度は,1万3000円でスタートさせ,2011年度からの本格実施が見込まれている。

子どものいる女性を対象に,重要と思う少子化対策を複数回答で尋ねたところ「経済的支援」を挙げた人が72.3%(2004年度比3.3%増)で最多であった。「保育所の充実」(38.1%)や「育児休業・短時間勤務」(35.1%)が続いている。
<質問項目>
Q1.あなたは,認可保育所または幼稚園を利用したことがありますか。
Q2.認可保育所以外で次のような小学校入学前の子どもを預かる施設や事業を利用したことがありますか。
Q3.保育所を少子化対策にいっそう役立てていくために,保育所のサービスをどのようにすることが望ましいと思いますか。
Q4.あなたは,妊娠・出産,乳児子育て期に,会社員や公務員などとして働いていらっしゃいましたか。
Q5.あなたは,男性の育児参加を促すためにはどのようにしたらよいと思いますか。
Q6.平成19年度の育児休業取得率は,女性の89.7%に対して男性は1.56%にすぎません。あなたは,男性の取得率を引き上げるためにはどのようにしたらよいと思いますか。
Q7.あなたの家では,児童手当を受給していますか。
Q8.あなたは,児童手当が少子化対策として役立つと思いますか。
Q9.あなたは,児童手当を少子化対策にいっそう役立てていくためには,今後どのようにすることが望ましいと思いますか。
Q10.お子さんのいる世帯では,例えば扶養控除によって税制上有利になるように考慮されています。通常,子ども1人あたりの控除金額は38万円です。あなたは,税制が少子化対策に役立つためには,どのようにすれば望ましいと思いますか。
Q11.あなたが,総合的にみて,少子化対策として重要であるとお考えのものはどれですか。

→本調査は2009年1月〜2月に実施され,自・公政権による「児童手当」の低額が背景にあって,「経済的支援措置」が2004年以来第1位を占めていたとみられている。現在,鳩山政権となり,民主党の公約で掲げられた「子ども手当」が実現すれば,日本の子育て家庭への現金給付は世界トップレベルになるとされている。しかし,「少子化対策」は,「現金給付」と「保育などの社会的な子育て支援策」を車の両輪として整備する必要があるとされており,社会基盤整備は現行の低い水準のままではすまなくなる。鳩山政権は,「少子化対策のため国民に理解を求める」 としている。「子ども手当」の大幅な拡充を実施する前に,多くの国民は「少子化対策の全体像」を示してもらいたいと考えている。福島瑞穂内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全,少子化対策,男女共同参画) には,国民に対して,男女共同参画社会,ジェンダーフリー,フェミニズムなどに基づいた持論をちらつかせず,専業主婦を馬鹿にすることなく,分かりやすい説明をして,納得させてほしいと思う。例えば,福島大臣の著書『結婚はバクチである』で述べられている「結婚はバクチである。当たりもあれば,はずれもある。仕事をやめて結婚するのは初心者がラスベガスに行って,全財産を賭けるようなものである」,というような説明では国民の多くは理解しづらい。(筆者)


9/9(筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う)9/3(2009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(「少子化の情報」)
9/21 - ■「障害者自立支援法の廃止」を明言するのであれば,「社会保障審議会障害者部会」の構成委員の見直しは必要である

<現在の厚生労働省の「政務三役」5名>

・大臣:長妻昭衆議院議員
・副大臣:細川律夫衆議院議員,長浜博行参議院議員
・政務官:山井和則衆議院議員,足立信也参議院議員


<「障害者自立支援法」施行までの経緯>
1997年 「社会福祉基礎構造改革」の議論開始
1997年12月 「介護保険法」成立
1998年6月 「社会福祉基礎構造改革について」
1998年12月 「社会福祉基礎構造改革を進めるに当たって(追加意見)」
2000年5月 「社会福祉法」成立
2003年4月 「支援費制度」施行
2004年10月 「今後の障害者保健福祉施策(改革のグランドデザイン案)」を厚労省が障害者部会に提示
2005年2月 「障害者自立支援法案」国会に提出
2005年10月 「障害者自立支援法」成立
2006年4月 一部施行
2006年10月 本格施行

→2009年9月19日に,長妻厚生労働大臣は「障害者自立支援法」の廃止を明言したと報道されている。
→「社会保障審議会障害者部会」の部会長を務め,「厚生労働省の戦略」に沿って,「時代錯誤」を絵に描いたような2005年の「障害者自立支援法」の成立に尽力したのは「京極高宣氏」であった(介護保険制度の発案から立法化,施行化でも古くからかかわってきたと著書で自己紹介され,「社会福祉士及び介護福祉士法」制定では旧厚生省社会局社会福祉専門官として直接かかわり,現在の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」の座長を務める人物でもある)。(2004年時点の委員名簿
→障害者自立支援法の制定当時,「厚生労働省の戦略」に深く関与して,公務員としての倫理観にもとる事件等にかかわった2人の官僚(厚生労働省障害保健福祉部企画課長)がいたことは2009年6月16日の記事で紹介した。こういう人たちが,財政問題を優先させ,障害者の自立観や支援観を後退させた。
→2008年12月16日に,障害者部会は3年後の見直しとして,「社会保障審議会障害者部会報告書」をまとめた。障害者部会委員である盲ろう者の福島智氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)は,当該報告書に関して,次のように述べられていた。(2008年時点の委員名簿
『報告書を採点するとしたら100点満点で30点。大学の試験なら落第だ。自公連立政権で合意している「抜本的な見直しの検討」は,部会では何もできなかった。利用者の負担のあり方や所得保障,作業所への報酬など多くの点で本質的な改革は打ち出せなかった。私は新たな法律を作るべきだと思うが,個々の問題ごとに見直す路線が最初から敷かれていた。
(中略)
負担することで消費者の権利が守られるという主張はナンセンスだ。お金を出せない人は何も言えないのだろうか。』(朝日新聞「「耕論」より)
なお,この報告書に対しては,2006年まで部会長であった京極高宣氏の「国民的理解を得るためには応益負担はやむをえない」という言い分が公表されているが,厚生労働省側に立った説明であり,気が滅入るので詳細は紹介しない。
→筆者は,「Changeの本質は,「制度を変える」ことではなく,「人を変える」ことである」と考えている。また,厚生労働省の審議会や検討会等の構成委員について,厚生労働大臣は,「人選の理由」を公開すべきであると思う。(筆者)

9/17長妻昭厚生労働大臣/内閣府特命担当大臣年金改革担当プロフィール6/16「障害者自立支援法」制定に正義はあったと信じたいが。),4/22障害者雇用対策において,2010年7月から除外率が引き下げられる,4/15「障害者自立支援法の改正法案」(概要 / 本文)),3/31障害者の雇用を進められない「37都道県教育委員会」は認識に甘さはないか (適正是正勧告)2/24結局,「障害者権利条約」は形式的な批准として第171回通常国会に提出される?),2008年12/18「社会保障審議会障害者部会報告書」の記事を参照
9/19 ■「精神保健福祉士国家試験」では,「覚せい剤依存」が出題基準に明記されている

<精神保健福祉士国家試験(専門科目)の出題基準の抜粋>
科目 大項目 中項目 小項目
精神医学 代表的な精神障害 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 ・アルコール依存症
・覚醒剤依存症
・大麻依存症
・コカイン依存症
精神保健学 精神保健における個別課題への取り組み 薬物乱用防止対策 ・薬物乱用の現状と依存性薬物の特性の理解
・薬物乱用の治療と自助グループ育成及び地域ケアの重要性
→「精神保健福祉士」は,形のうえでは,「覚せい剤依存」の医学・保健的な知識や精神科リハビリテーションおよび精神保健福祉援助の技術を持っていることになる。しかし,教育・育成の内容や実態は専門職としては程遠いものと言える。精神保健福祉士で「覚せい剤依存の専門職」という認識をもっている者はほとんどいないと思う。当然に,精神保健福祉士が「覚せい剤依存」の専門的知識をもっているという「社会的な認知」はない。最近,社会福祉士と精神保健福祉士の区分が分からないという意見から,精神保健福祉士の存在意義がないように言われることがあるが,本当にそういう意見を受け入れていいのだろうか。
→「精神保健福祉士」の方への問いかけです。社会的関心の高い「酒井被告の覚せい剤事犯」において,「覚せい剤依存」に関するマスコミの取り上げ方は,薬物乱用防止の正しい方向にあると思いますか。また,保釈時の会見での本人の「更生の決意」は正しく捉えられて報道されていると思いますか。芸能スキャンダルとして,センセーショナルな取り上げ方で視聴率向上や雑誌販売促進などに利用されていると思いませんか。
→筆者は,「薬物依存の防止」めには,「小学生からの繰り返しの教育以外には方策はない」と考えている。ただし,現在行政が行っている『覚せい剤やめますか,人間やめますか』という標語があるが,これは無責任で無意味な「脅し」に過ぎず,有効ではない。薬物に関する具体的な情報提供のない単なる脅しや重罰化の意見は,薬物乱用防止には何の役にも立たないと考える。
→違法薬物と知りながら「自らの意思で薬物乱用した者」は,「自らの意思で人間としての価値を放棄した者」と繰り返し教えなければならない。また,「自分の意思によって人間に戻れる可能性が極めて低い」ことも繰り返し教育する必要があると思う。薬物依存によって「人間としての価値観を失った人たち」への支援は,愛情では対応できず,専門的知識と技術がなければ不可能であり,専門職として「精神保健福祉士」がそれに当たるのが相応しいと思う。
→日本の行政は,薬物汚染が急速に広がっているにもかかわらず,「無為無策」と言える。国民は,誰に相談していいのかさえ分からない状況に置かれている。また,日本のマスコミの薬物依存への認識レベルの低さや節操のない商業主義を正せるのは,国民だけである。最近,多少の嫌悪感があったが田代まさし氏の著作を目にした。薬物依存対策において,薬物依存経験者の意見には耳を傾けなければならないと思った。知ったかぶりの有識者の意見より,更生環境や更生教育などに関する田代氏の意見を取り上げる方がはるかに日本社会のためになると思った。薬物依存で「人間でなくなった人たち」への専門的な支援には,「薬物に心をとらわれてしまった人たちの経験」を生かすことが大切である。
→「精神保健福祉士」はじめ福祉専門職には,次の「赤城高原ホスピタル」のホームページの記事をご覧いただきたい。セックスとの深い関係など薬物依存のおぞましさにショックを受けることと思うが,日本の無為無策の薬物乱用対策に何が不足しているのかを考える手がかりになると思う。
『薬物乱用,依存症,200人の証言』
http://www2.gunmanet.or.jp/Akagi-kohgen-HP/DR200.htm

(筆者)


2/17「麻薬・覚せい剤等乱用防止のための啓発活動」2008年12/512/3に新しい「薬物乱用防止啓発読本」を公表11/3「Q:最近,大麻や麻薬・覚せい剤の乱用事件が目立つ。政府の取り組みは?」,9/4大麻などの依存性薬物と刑罰4/28「不正大麻・けし撲滅運動」(5/1〜6/30),2007年12/6大麻などの依存性薬物と懲役刑の一覧,10/30塩酸メチルフェニデート製剤(リタリン,コンサータ),9/26麻薬・覚せい剤乱用防止運動の実施,9/22リタリンの記事を参照

「第三次薬物乱用防止5か年戦略」
「薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」
「薬物乱用」(人間社会をダメにする!)
麻薬取締りホームページ
明確な根拠をもつ
「心の健康-薬物乱用」)
9/18 消費者庁 「花王エコナ関連製品の一時販売自粛・出荷停止」に関して,消費者庁は具体的に何をするのか

(参考)
消費者庁のpdfファイルが壊れている場合は,
花王のURL:http://www.kao.com/jp/

で確認してください。
・花王は,2009年9月16日に,大ヒット商品で体に脂肪が付きにくいとされる「エコナ」シリーズ全商品(食用油「エコナクッキングオイル」やマヨネーズ,ドレッシングオイルやドッグフードなど59品目)を出荷・販売を停止すると発表した。
・近時,「エコナ」に含まれる「グリシドール脂肪酸エステル」が,体内で発がん性のある「グリシドール」に分解される可能性が明らかになってきたことによるものと見られている。

「食品安全委員会」が「エコナ」にお墨付きを与え,現厚生労働省が1999年に「特定保健用食品」として認可した。「エコナの安全性の問題」は,2003年に発がん促進が指摘されて以来,6年間も適切な対応がなされてこなかったと言われている。近年,「グリシドール脂肪酸エステル」は発がん性のある「グリシドール」に分解される危険性が欧州で指摘されてきた。しかし,日本では,2009年8月24日に,「食品安全委員会」がグリシドール脂肪酸エステルの安全性を検討することを決めたところである。
→消費者団体である「主婦連合会」は,2009年9月11日に「トクホ(特定保健用食品)認可取消しと安全性が確保されるまでの一時販売停止」などを求める要望書を消費者庁,厚生労働省,花王に提出している。なお,2005年に国立がんセンター研究所の行った実験で,遺伝子操作をしたオスのラットの舌で発がんを示唆する結果が出されていたことを多くの国民は知らされていない。
→筆者は,今後もこれまでと同様に,「宣伝広告費」の莫大な収益獲得のため,マスコミは大きく取り上げないだろうと思っている。マスコミは「販売自粛した」ときれいごとのように報道しているが,「販売自粛に追い込まれた」と見るべきである。来年早々にも,「手直し」をして販売を再開する予定と言われている。行政に対しては,年間200億円の一企業の売り上げのために国民の健康が脅かされることのないようにしてもらいたいと思う。2009年9月に駆け込み創設をして以来初めての消費者団体からの要望を受けた「消費者庁」は,具体的に何をするのだろうか。新内閣において消費者・少子化担当になった福島みずほ氏の活躍に期待している。問題があるなら,「製品回収」までさせるべきである。
→筆者は門外漢であるが,壇ふみさんや阿川佐和子さんの素敵な笑顔でいくら「健康にいいですよ」と言われても,「人工合成油が体にいい訳がない」ことぐらいは分かっている。(筆者)


9/19月1日に駆け込み発足する「消費者庁」の見直しに期待する)の記事を参照
9/17 長妻昭厚生労働大臣/内閣府特命担当大臣年金改革担当プロフィール

<第164〜第171国会で長妻衆院議員が提出した議案(衆法)の一覧>
・戦後強制抑留者に対する特別給付金の支給に関する法律案
・独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律を廃止する法律案
・居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・戦後強制抑留者に対する特別給付金の支給に関する法律案
・独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律を廃止する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・基礎年金番号を用いての把握がされていない年金個人情報に係る本人の特定に関する調査の実施等に関する法律案
・国民年金の任意加入被保険者であった者が納付した超過分保険料の額に相当する金額の還付のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・基礎年金番号を用いての把握がされていない年金個人情報に係る本人の特定に関する調査の実施等に関する法律案
・国民年金の任意加入被保険者であった者が納付した超過分保険料の額に相当する金額の還付のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
・消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案
・基礎年金番号を用いての把握がされていない年金個人情報に係る本人の特定に関する調査の実施等に関する法律案
・国民年金の任意加入被保険者であった者が納付した超過分保険料の額に相当する金額の還付のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
・厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案
・生活保護法の一部を改正する法律案
→先手を打って,9月15日に厚生労働省は「“後期高齢者医療制度”についてご説明します。」をホームページ上で公表(更新)した。9月17日未明の初閣議後の記者会見で,長妻新厚生労働大臣は「後期高齢者医療制度の廃止」を表明した。残念なことに,最も大切な「いつ廃止するか」を明言しなかった。「権力者」の「権力者」たるゆえんは「実施時期」を決定できることである。新内閣は「脱官僚依存」を公言しているが,「時期を明言しない政策発言」など,官僚にとっては何の脅威にもならない。準備期間が十分にあったのだから,時期を含めて持論をきちんと説明すべきであった。「その時期,手法については現状把握をした上で詳細に制度設計をつくり上げていきたい」と言っているようでは先が思いやられる。これらのことから,官僚との駆け引きにおいて,すでに新厚生労働大臣は後手に回っていると思った。
→厚生労働省の管轄は,年金,医療,介護,雇用と広範囲であり,左記のリストから見てもご苦労は多いと思われるが,国民は期待している。
→筆者は,新内閣には,特にこれまで政策決定に大きく影響を及ぼしてきた省庁主導の審議会・研究会等のメンバー構成・あり方の改革に期待している。(筆者)


鳩山内閣閣僚記者会見「長妻昭大臣」(内閣府インターネットテレビ)

→●9/4(「2007年度国民医療費の概況について」,8/27「後期高齢者医療制度」についてご説明します)の記事を参照
9/16 厚生労働省 「100歳以上の高齢者は4万人を超える」

<介護保険制度の制定経緯>(やまだ塾のまとめ)
対策本部・審議会等の動き その他の動き
1993年 ・「高齢者施策の基本方向に関する懇談会報告」 ・細川内閣発足(非自民連立政権)
1994年 ・「高齢社会福祉ビジョン懇談会報告(「21世紀福祉ビジョン」)」
・「 高齢者介護・自立支援システム研究会報告」
・羽田内閣発足(非自民連立政権)
・ドイツで介護保険法成立
・村山内閣発足(自民,社会,新党さきがけの連立政権)
・年金制度改正(厚生年金の支給開始年齢の引き上げ等)
・新ゴールドプラン策定
1995年 ・総理府世論調査 ・ドイツ介護保険スタート(保険料徴収)
・ ドイツ在宅介護給付スタート
1996年 ・「老健審最終報告」
・「厚生省 介護保険制度試案」公表
・「介護保険法案」国会に提出
・橋本内閣発足(自民,社会,新党さきがけの連立政権)
・ 衆議院議員選挙
1997年 ・介護保険法案衆議院で修正可決
・介護保険法案参議院で修正可決
・介護保険法案衆議院で可決成立
・第2次橋本内閣発足(自民党の単独政権)

<「介護保険制度」創設に大きく寄与した「高齢者介護・自立支援システム研究会」の委員名簿(敬称略) >
・(座長) 大森 彌 東京大学教養学部教授
・(座長代理) 山口 昇 公立みつぎ総合病院長
・岡本祐三 阪南中央病院内科医長
・京極高宣 日本社会事業大学教授
・清家 篤 慶応義塾大学商学部教授
・田中滋 慶応義塾大学大学院経営管理研究科教授
・橋本康子 東京弘済園弘済ケアセンター所長
・樋口恵子 東京家政大学教授
・宮島洋 東京大学経済学部教授
・山崎摩耶 帝京平成短期大学助教授
<100歳以上の高齢者数の推移>
・1963年(老人福祉法制定年):153人
・1981年:1,072人
・1998年:10,158人
・2009年:40,399人(うち女性は約86.5%)

→公表されたデータからは超高齢社会(高齢化率21%超)である日本の本当の姿は見えない。100歳以上の高齢者の総数と4万人のうちのごくわずかな元気な方だけを紹介して,4万人の多くを占めるであろう「寝たきり者」や「認知症者」の実態が隠されている。長寿世界一といわれるが,悲惨な状況で長生きしている100歳以上の高齢者の実態に目をつぶっている。行政もマスコミも,そして国民も。
→「介護保険制度」がスタートする直前の1999年に,当時自民党政調会長であった亀井静香氏が,選挙目当ての思惑もあったと思うが,「子が親を介護する美風を損なうような制度は問題がある」として「介護保険制度」に疑義を呈し,「介護家族への現金支給」を提案したことがあった。そのときの野党であった民主党の鳩山由紀夫代表は,「介護の社会化」を理解していないと強く批判し,「介護家族への現金支給」をバラマキとして一笑に付したことを思い出した。「鳩山政権」誕生に際して,「子ども手当」がバラマキだとの批判のある中で,亀井静香氏が入閣することなど想像もできなかった。
→筆者は,当時から真意は別として,上記の亀井静香氏の発言には共感を持っていた。筆者は,精一杯努力した「親孝行者」が追い詰められて刑事事件を起こして犯罪者になり断罪され,一方で施設に預けっぱなしをしたり,特定の家族に介護を押し付けたりして,気楽に生きている「親不孝者」がとがめられない風潮はアンフェアーだと思っている。ドイツの介護保険のつまみ食いをした日本の有識者による安直な「介護保険制度」導入は,日本人の倫理観まで悪影響を及ぼしたと考えている。(筆者)

<8月11日記事の再掲>
→日本の失敗を参考にして創設された韓国の「介護保険制度」は,2008年7月に施行された。韓国では,日本の介護保険制度の内容や現状を熟知している行政担当者や有識者は多いと言われる。しかし,日本では韓国の動向が話題に上ることは少ない。「介護の社会化」や「高齢者の自立支援」という日本に定着していない言葉をキーワードにスタートして行き詰っている日本,一方自国の歴史を重んじて儒教精神から「親孝行」をキーワードにスタートさせた韓国。今後,日本では,医療保険と介護保険の一体化,被保険者と給付対象者の見直し,要介護認定システムの構築,家族介護に対する現金給付の導入,介護支援専門員制度の存廃などを検討していかなければならない。筆者は,検討に際しては,韓国の「介護保険制度」からも学ぶという姿勢が大切だと思う。(筆者)


8/11の記事「認定調査員テキスト2009改訂版」の修正概要 / 認定調査員テキスト2009改訂版介護認定審査会テキスト2009改訂版を参照

→■「統計からみた日本の高齢者」(総務省,2009年「敬老の日」にちなんで)
9/12 - 「三党連立政権合意書」

<政策合意の項目>

@速やかなインフルエンザ対策,災害対策,緊急雇用対策
A消費税率の据え置き
B郵政事業の抜本的見直し
C子育て,仕事と家庭の両立への支援
D年金・医療・介護など社会保障制度の充実
E雇用対策の強化(労働者派遣法の抜本改正)
F地域の活性化
G地球温暖化対策の推進
H自立した外交で,世界に貢献
I憲法
→左記の政策のうち,「母子加算の復活」(C子育て,仕事と家庭の両立への支援)が,民主政権の力量を試す試金石になるという見解がある。
→生活保護の母子加算は,月約2万円を2005年度から段階的に削減し,2009年4月から廃止された。2009年10月の臨時国会で「母子加算復活法案」を提出するという民主党の方針が報道されている。対象は10万人で,2009年10月からの半年で90億円とのことである。
→筆者は,民主党としてこれまで声高に言ってきた「母子加算の復活」がもたもたするようであれば,民主政権におけるその他の政策はどれも中途半端に終わるだろう,という見方には納得している。
→2004年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」は,「利用しやすく自立しやすい制度」への改革を提言している。低い補足率があらわすように,その後の改革は惨憺たるものである。多くの国民が民主政権に期待しているのは,当面の救済だけでなく,穴だらけで歪んだセーフティネットと言われる現行の生活保護制度改革を「正しい改革に軌道修正すること」であると思う。
→2010年度から,日本において放置されてきた「貧困の実態調査」が行われると報道されている。これまでは,貧困にかかわる調査として,「国民生活基礎調査」と「ホームレスの実態調査に関する全国調査」が几帳面に行われてきたが,個別に数字を把握するだけに止まり,「貧困対策」につながってこなかった。(筆者)


「明確な根拠をもつ」(「社会保障・生活保護」「ホームレス対策」「基本となる調査・統計」)
9/11 日本司法支援センター 「法テラス」のサービス一覧 ・「日本司法支援センター」(通称:法テラス)は,国民に身近で,頼りがいのある司法の実現を目指す「司法制度改革」の一つとして,2006年4月10日に政府の全額出資によって設置された公的機関である。
法テラスは,法的トラブルに遭い,どこに(だれに)相談したらいいのか分からない,あるいは法的トラブルを未然に予防したいというときに,解決への道案内をする「総合案内所」のようなもの,と説明されている
<「法テラス」の法的サービス>
借金,消費者被害,相続・遺言,夫婦・男女トラブル,労働,保険・年金・社会保障,事故・損害賠償,法的手続,裁判員制度

<相談の方法>
(1)電話(コールセンター)
@電話番号:0570-078374(なお,「犯罪被害者支援ダイヤル」は0570-079714
A受付時間:平日9:00〜21:00,土曜日9:00〜17:00
B英語での問合わせ:対応可
(2)電子メール
・法テラスホームページで24時間「メール受付」
(3)面談(地方事務所)
「法テラス地方事務所」で平日9:00〜17:00,面談および電話での問合わせを受付け

→法律を苦手とする福祉専門職(国家試験受験者を含めて)は多い。法律相談のやり方の知識は役に立つ。(筆者)

8/25(「法テラス」(法的トラブル解決のための総合案内所))の記事jを参照
9/10 厚生労働省 「2009年度自殺予防週間(9/10〜9/16)」
<自殺予防の啓発のために設定された日と週>
@2007年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」に基づく「自殺予防週間」は,毎年「世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)」にあたる9月10日からの1週間を「自殺予防週間」として,集中的な啓発活動が実施されている。
A日本では,この日の他に,「健康日本21」の自殺防止の啓発普及活動として,2001年に制定された「いのちの日」(毎年12月1日)がある。

→『私たちは現在,全国の都道府県・政令指定都市の協力を得て,心理学的剖検の手法を用いた,自死遺族からの聞き取り調査(「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」)に取り組んでいます。その調査のなかで,中高年男性の自殺に,アルコール問題が大きな影響を与えている可能性が見えてきました。自殺既遂者の23%に。(中略)海外では,アルコール依存はうつ病と並んで自殺に関係する精神疾患として知られています。(中略)私たちは,中高年男性の自殺予防のため,アルコール問題と向き合うことを提言します』は,国立精神神経センターの「自殺予防対策センター」が2009年9月7日にホームページに掲載した記事である。筆者は,この記事を読んで「何を今更」という思いと同時に,へそ曲がりなので隠された意図を想像してみたくなった。
→2006年に制定された「自殺対策基本法」に基づいて実施されている「自殺対策」は,一向に成果が上がらず,自殺者が減少する兆しはない。「自殺対策」に対して,2007年度に246億円,2008年度に225億円が費やされ,2009年度では258億円(強化基金を含む)の予算が計上されている。国民の血税が,国民のための適切な対策に適切に投入されているのだろうかという疑義が生じる。それに引き換え,同列に扱うべきではないかも知れないが,「交通事故死亡者数」は減少してきている。これまでの「自殺対策」には,致命的な欠陥があるのではないかと思っている。
→「自殺対策の唯一の専門家は精神科医である」とする「神話」を維持し続けていていいものだろうか。これまでの自殺対策が「うつ病」を中心にされてきたように,これからの自殺対策は「うつ病とアルコール」を中心にされていくのだろうか。精神科に早期受診するメリットとして,自殺者数の減少があったはずであるが,実態はそうなっていないことには早々に結論をつけるべきではないかと思う。うつ病もアルコール依存も「原因」ではなく「結果」である。自殺の原因の究明とその対策が適切になされているとは思えない。
→筆者は,「不登校」において不透明なかたちで普及されてきた「スクールカウンセラー」が機能せず「スクールソーシャルワーカー」が求められてきていることから,「自殺対策」においても不十分な診察時間で薬漬けにしている「精神科医」ではなく,居場所を見つけるために十分に話を聴ける「ソーシャルワーカー」が中心になるのが望ましいと考えている。ただし,残念ながら,現在の社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験で求められているレベルでは対応できないと思っている。(筆者)


(「自殺」に関して)
8/31「2009年度全国労働衛生週間(10/1〜10/7)」,8/28「三環系,四環系抗うつ薬等と攻撃性等について」8/24(「精神障害等の労災認定について(2009年4月改正版)」),6/11(2008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況,5/8自殺未遂者ケアガイドライン,2/23「2009年度自殺対策関係予算案」,1/9「交通事故死者数」「自殺者数」のどちらが多いか知っていますか?),2008年11/4「2008年版 自殺対策白書」の記事を参照の記事を参照の記事を参照

(自殺者に関する最新データ)
「2009年の月別自殺者数」(警察庁)
「地域における自殺の基礎資料」(内閣府)

(自殺対策のサイト)
「自殺対策」(内閣府)
「いきる」(国立精神保健研究所)
労働者健康福祉機構HP
9/9 厚生労働省 筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う


<現在の「保育施策」に関与した有識者>

@「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議」構成員名簿(2007年2月6日現在)

A「社会保障審議会児童部会」名簿(2007年8月21日現在)

B「社会保障審議会少子化対策特別部会」委員名簿(2007年12月26日現在)

<これまでの「待機児童対策」の経緯>

@エンゼルプラン(1994年)
A新エンゼルプラン(1999年)
B待機児童ゼロ作戦(2001年)
C少子化対策プラスワン(2002年)
D次世代育成支援に関する当面の取組方針(2003年)
E子ども・子育て応援プラン(2005年)
F新待機児童ゼロ作戦(2008年)
G次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けて(2009年)
・認可保育所に申し込みながら満員で入所できない「待機児童」は2年続けて増加し,2009年4月の待機児童数は25,384人(前年比5,834人増,1.3倍)の過去最高であった
・一方,
保育所施設数は22,925か所(前年比16か所増)であった。定員は213万2081人(前年比11,192人増)で,定員充足率は95.7%と年度途中での入所は難しい状況である。私立では,103%で定員オーバー(詰め込み)の状況である

→これまで自・公政権が画策してきた「無責任で安直な待機児童対策」は論外と筆者は考えている。2008年2月に発表された「新待機児童ゼロ作戦」は意味を成さない。
→民主党は,マニフェストで,待機児童解消のために,@縦割り行政施策の一本化,A学校の余裕教室などを利用した認可保育所の分園増設,B「保育ママ」の増員,C認可保育所の増設,を挙げている。現時点では,「認可保育所の増設」がどの程度のものなのかが明らかではないが,期待している。
→2008年度に実施された「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」においては,保育などのサービス利用状況では「認可保育所を利用したことがある」が26.6%,保育所で充実させてほしいサービスでは「待機しなくても入所できるよう定員を増やす」が64.9%であった。
→認可保育所に安心してわが子を預けたいと思う親心は,これまで無視され続けてきた。筆者は,待機児童問題を解消するためには,地方ではなく国が責任をもって「認可保育」にかかわることが重要で,安上がりな「認可外保育」を保育施策の基本に置くべきではないと思う。
→これまでは,いずれ「少子」になるため,できるだけ保育所等の設備には金をかけないという考え方だったと思う。筆者は,そういう姑息な考えを「笑止」と言うのではないかと思っている。(筆者)


9/3(2009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(「少子化の情報」)
9/8 環境省 「動物愛護週間」(9/20〜9/26) →2007年度に保健所などに引き取られた犬や猫は30万頭超で,うち9割は殺処分されたとのことである。1973年に制定された「動物愛護管理法」に基づく「動物愛護週間」は,動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めることを目的としている。「動物愛護管理法」では,罰則が規定されており,愛護動物※ をみだりに殺傷した場合は,1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に,みだりに虐待・遺棄した場合は,50万円以下の罰金に,処せられる。
(※牛,馬,豚,めん羊,やぎ,犬,ねこ,いえうさぎ,鶏,いえばと,あひる,その他人が飼っている哺乳類,鳥類,爬虫類)
→「護」で終わる用語を思いつくままに挙げてみる。愛護,養護,看護,介護,保護,援護,擁護,弁護,防護,庇護,警護,加護。関係性において,どうしても「する側」のイメージとルールしか浮かんでこない。この機会に,家にいる5歳になる豆芝との関係を考えてみようと思う。(筆者)


「収容動物データ検索サイト」(環境省)
「犬との幸せな暮らしハンドブック」(環境省)
9/7 厚生労働省 「介護従事者」は,新型インフルエンザワクチン優先接種対象者でなくていいのか。 意見募集は9月13日までである

<優先接種対象者=約1900万人>
・インフルエンザ患者の診療に従事する医療従事者(救急隊員を含む):約100万人
・妊婦:約100万人
・基礎疾患を有する者:約900万人
・小児(1歳〜就学前):約600万人
・1歳未満の小児の両親:約200万人

<優先ではないものの接種対象とされた高齢者に関する記述の抜粋>
『(3)その他の者についての考え方
高齢者については,季節性インフルエンザにおいて重症化リスクが高い集団である。現時点では,新型インフルエンザの感染者数が相対的に少ないため,基礎疾患を持たない高齢者の重症化事例が多く報告されているわけではないが,今般の新型インフルエンザが,季節性インフルエンザと類似した性質を多く持っていることに鑑みると,基礎疾患を持たない高齢者も,重症化のリスクが高い可能性がある。』
→今回の優先接種対象者案に関して,「介護従事者も第一優先とすべき」とするのが筆者の意見である。
→2008年9月18日の関係省庁対策会議において,ワクチン接種の対象者・順位に関する案(ワクチン接種の進め方について)では,「国民の生命・健康の維持に関わる業種・職種」として「医療,福祉・介護従事者」は同じカテゴリーとされていた。日頃,「医療・介護従事者」としながら,話が煮詰まってくると「介護従事者」を除外して「医療従事者」とするやり方には納得ができない。介護保険従事者は約100万人である。なお,「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」においては,医療関係学会の意見は聴取され,今回の案に反映されている。
→厚生労働省は,「WHOが医療従事者を第一優先と勧告した」(2009年7月13日)ことを理由に挙げている。しかし,日本においては,「医療・介護従事者を第一優先にする」としても何の問題もなく,むしろリスク回避に寄与すると思われる。
→病院で治療や看護する医療従事者だけにウイルス感染の危険があるのではなく,施設や居宅で介護する介護従事者も常に感染の危険にさらされている。筆者は,今回の案について,「介護従事者の生命が軽く扱われている」と深刻に受け止め,強い憤りを感じている。
→日本の新型インフルエンザのワクチン対策は遅れている。その原因は,4月時点で分かっていた不足ワクチンの輸入や接種の優先順位の問題を7月の全国的な集団感染まで議論もせず,放置していた厚生労働省にある。現在,厚生労働省は,つじつまあわせとも思える,安全性に問題をかかえての大量のワクチン輸入(必要量5400万人分−国産1300〜1700万人分)と,数量合わせから考えた優先順位(介護従事者を除いた1900万人分)という拙速な案で乗り切ろうとしている。大量輸入については,海外からの非難も懸念されている。
→福祉専門職は,自らの専門性に基づいてきちんと意見を言うべきである。(筆者)


「新型インフルエンザ」(厚生労働省)
9/5 ■重要な国際会議を欠席して日本の国益を害した3人の閣僚を知っていますか?(石破茂農林水産大臣,二階俊博経済産業大臣,与謝野馨財務・金融担当大臣) ・「世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会合」を欠席したのは石破茂農林水産大臣(「政権交代もあり,私が出るのは適切でない」が理由)と二階俊博経済産業大臣(「今度の会合で何か大きく変わったり,決めたりするということにはならない」が理由)である。また,「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議」を欠席したのは与謝野馨財務・金融担当大臣(「医師の全面的な賛意を得られない」が理由)である。
・9/3〜9/4開催の「世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会合」は,2008年7月に決裂した新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の非公式閣僚会合である。農業分野で対立して決裂したアメリカとインド・中国であるが,今回はインドが申し入れて開催された会合であり,農業分野を主テーマに議論されることになっていた。
・9/4〜9/5開催の「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議」は,9月24日からアメリカ(ピッツバーグ)で開催されるG20金融サミット(首脳会合)の準備会合という位置づけであり,世界経済の「出口戦略」等が議論されることになっていた。


→2つの国際会議への閣僚の欠席は,あの「もうろう会見」に匹敵する日本の恥であるだけでなく,特にWTOの会合では,厳しい状況に置かれている日本が「官僚だけ」を出席させたことで日本の国益は大きく損なわれた。これらの無責任な閣僚は記憶にとどめておくべきである。一方,民主党の対処も,オブザーバーとして参加する選択肢があったにもかかわらず,一部の議員が非難する程度の反応で終わらせ,政権移行の疎さや外交問題への鈍感さ・人材不足を印象づけた。(筆者)


「WTOとは」(経済産業省) / 「WTO農業交渉」(農林水産省)
9/4 厚生労働省 「2007年度国民医療費の概況について」

中央社会保険医療協議会委員名簿
(2009年6月24日現在)

@健康保険,船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者,事業主及び船舶所有者を代表する委員(7名)
A医師,歯科医師及び薬剤師を代表する委員(7名)
B公益を代表する委員(6名)
C専門委員(10名)

社会保障審議会医療部会委員名簿
(2007年10月12日現在)
社会保障審議会医療保険部会委員名簿
(2009年7月15日現在)


2007年度の国民医療(病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費の総額):34兆1360億円(前年度比3.0%増,過去最高)
1人当たりの国民医療費:26万7200円
70歳以上の医療費の割合:全体の41.5%
国民所得に占める国民医療費の割合:9.11%
<医療費増加の要因と2008年度の見通しに対する厚生労働省の説明>
医療費の増加は高齢化や医療機器の高度化が主な要因で,2008年度の医療費も高齢化の進展に伴って増える

→国民医療費に関する重要な課題の一つとして,手術や検査など医療行為ごとの報酬の配分を決めている中央社会保険医療協議会(中医協)のプロセスの不透明さ(委員の構成,国会での報告・承認などの運営)の見直しがあると言われている。利害関係にある左記の中医協のメンバーに任せるようなやり方では,公正さが疑われるのは当然である。2年に1回実施される診療報酬改定の次回予定は,2010年度である。まもなく,検討が始まる。
→さらに,国民医療費(約34兆円)の1円単位まで厚生労働省の一部署である「保険局医療課」が事務局として決めている(上昌広東大医科学研究所特任准教授)ことを知ると驚きが倍加する(診療報酬の基本方針を決めるのは社会保障審議会の医療部会と医療保険部会であり,その事務局は「医政局総務課」である)。こういう行政のやり方が国際的に通用するものか,または非常識なのかを知りたくなる。コストに関しては,医薬品と医療機器の承認までのコストの削減が必要だと指摘されている。こういう状況を知れば,上記の厚生労働省の説明には疑問符が付く。また,現状のやり方を追認したかたちで,「医療費の抑制が必要」だとするこれまでの一貫した説明に対しても疑義が生じてくる。これらは日本の医療制度のあり方にもかかわることである。
→異論があることを承知で申し上げると,筆者は,次期厚生労働大臣として「モンスター」を御せられると思える人物は,民主党においてはミスター年金と言われる議員よりも,反小沢とされる枝野議員ではないかと思っている。(筆者)
9/3 厚生労働省 2009年10月1日から「出産育児一時金」の支給額と支払方法が変わる(期間限定)
<出産育児一時金改定のポイント(2009年10月〜)>
@支給額(原則):35万円→38万円(2009年1月〜)→42万円(産科医療補償制度登録施設で出産の場合)
A支給方法:原則として医療保険者から病院などに出産育児一時金を直接支払う仕組みに変更される。が,従来どおりの出産育児一時金を加入者本人が受け取ること(償還払い)も可能である。
B対象期間:2009年10月〜2011年3月末(正常分娩にて産まれた場合)

→緊急少子化対策としての時限措置である。筆者は,現政権の少子化担当大臣の成果づくりのための中途半端な施策ととらえている。一般的に,適正な分娩費は約60万円と言われている。
→民主党は,「出産育児一時金」に関して,政策集で55万円に増額するとしている。42万円から13万円を上乗せするためには,年間1400億円程度必要とされるが,例によって財源は具体的に明示されていない。「バラマキ」という非難に,きちんと答えられないようでは,まともな少子化対策は立てられないと思う。次期政権ではどのような人物が少子化担当大臣として就任するのか注目している。少子化対策は,国家の根幹にかかわる事柄である。これまでのようにお飾りの閣僚人事で,御用学者により主導された欠陥だらけの少子化対策であっていい訳がない。
→「出産」に関して,日本では通常分娩だと母・子共に約1週間ほどの入院(帝王切開では10日ほど)である。日本の行政はこの現状を追認しているが,「出産は無料で,経過がよければ翌日退院」というような先進国との比較が不足していると思われる。産科医不足でも長期の入院を維持させることには「そろばん勘定」が優先されていないか。社会全体で子どもを育てることには異論はないが,医療的にもやるべきことがあるように思われる。今後,現状を追認して税金を投入し続けることだけが唯一の施策と受け止められると,国民に不公平感が生じる。「子ども手当」にも通じることである。(筆者)


「出産育児一時金の見直しについて」(厚生労働省)

「明確な根拠をもつ」(「少子化の情報」)
9/2 厚生労働省 「先進医療の各技術」「医療機関」(2009年9月1日現在) ・2006年10月1日から,改正健康保険法等により,旧制度(「高度先進医療」)で承認されていた医療種類をすべて引き継ぎ,新制度(「先進医療」)に再編された。
・先進医療とは,大学病院などで研究・開発された難病などの新治療法のうち,実績があり,治療法として確立しており,保険適応される段階にある厚生労働大臣から承認された医療技術である。
「先進医療」であれば,その先進医療にかかる技術料以外の診察料,検査料,投薬料,入院料などは,公的医療保険の適用であるが,技術料は全額自己負担となり,かなりの高額となる場合がある。

→2007年度の先進医療全患者数は4,811人で,総医療費は約75億円とされる。総医療費の第1位は,「悪性腫瘍に対する粒子線(陽子線)治療」とのことである。保険適用外となる高額な自己負担に対する対策としては,民間保険が対応することになる(高額療養費制度が適用されるのは保険適用の部分である)。(筆者)

→■「先進医療の概要について」
→■「先進医療病院t等の検索」(WAM)

→■「先進医療専門家会議構成メンバー」
9/1 厚生労働省 ■9月1日に駆け込み発足する「消費者庁」の見直しに期待する ・消費者行政の一元化を目的とする消費者庁設置関連法案は2009年5月に与野党の修正協議を経て全会一致で成立した。民主党は,次期政権発足まで「消費者庁」の発足を決めるべきでないとしていたが,2009年8月11日に閣議決定し,9月1日に発足することとなった。
<消費者庁の概要>
@構成:内閣府や経済産業省などから,消費者行政を担当していたおよそ200人が移る形で発足
A主な役割:相談体制の強化(「消費者ホットライン」の設置)と再発の防止(情報集約・分析・対策)

→まったくの準備不足で発足させ,すでに消費者(国民)の期待を裏切っている。
→民主党は,特に「官僚主導」の長官人事(元内閣府事務次官)には強く反対している(消費者庁及び消費者委員会委員の再考を求める民主党の談話)。選挙結果を受け,8月31日に,同時に設立される監視機関である「消費者委員会」の委員長(元検事の弁護士)が就任を辞退した。また,200人の職員のための民間ビルの賃借料が年間8億円であることも問題にされている。特に,産業界との癒着の継続,官僚の天下りの組織となること,税金の新たな無駄遣いが心配されているので,「消費者の立場からの民主党の見直し」に期待したい。(筆者)


4/2「知っておきたい食品の表示」(2009年3月版)の記事を参照

「明確な根拠をもつ」(「消費者トラブル」「消費表示」)
8/31 厚生労働省 「2009年度全国労働衛生週間(10/1〜10/7)」
〜「トップが決意 みんながつくる 心の健康・明るい職場」〜
・全国労働衛生週間は,国民の労働衛生に関する意識を高め,事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康の確保と快適な職場環境の形成を図ることを目的として,1950年から実施されている。
・労働者の健康確保と定期健診における有所見率の増加をストップさせることを目標にして,
2008年度から「第11次労働災害防止計画」がスタートしている
・2008業務上疾病による被災者は8,874人で,2004以降増加している。また,一般定期健康診断の結果,何らかの所見を有する労働者の割合は増加を続けて2008年は51.3%で,
仕事や職業生活に関する強い不安,悩み,ストレスを感じる労働者の割合は約6割である

→職場におけるこころの健康については,「いじめ,セクハラ,パワハラ」への対応が重要であると思う。(筆者)

「明確な根拠をもつ」(「こころの健康」)
8/29 厚生労働省 「2010年度厚生労働省概算要求」 / 一覧表 一般会計総額は26兆4,133億円で,社会保障費の伸びを年間2,200億円抑制する方針が撤回されたため,3%程度の自然増が5.0%増となっている
・重点施策として,新型インフルエンザ対策は207億円(患者受け入れの施設整備やワクチン買い上げなど),医師不足対策は498億円(臨床研修後に救急や産科などの専門研修を選んだ医師に月最大5万円の「研修医手当」を支給など),緊急雇用対策は3,781億円(2009年度当初比約3.4倍,解雇を行わない会社への助成など)を計上している。


→民主党は,政権を執った場合には,総理大臣直属の「国家戦略局」で予算を見直すとしている。政権交代後,2010年度厚生労働省の予算に関して,「行政の一貫性を無視することはできないので大幅な予算組み替えは行われない」という意見と,「子ども手当ての2.7兆円の追加財源とともに大幅な予算組み替えが行われる」という意見がある。さて,福祉専門職であるあなたはどちらだと思う?民主党の力量がまもなく明らかになる。(筆者)

(参考)
「2010年度厚生労働省主要税制改正要望の概要」
8/28 厚生労働省 「三環系,四環系抗うつ薬等と攻撃性等について」

<現在日本で承認されている抗うつ薬>
A.従来型:三環系・四環系等抗うつ薬
(1)三環系抗うつ薬(8成分)
@アミトリプチリン塩酸塩
Aアモキサピン
Bイミプラミン塩酸塩
Cクロミプラミン塩酸塩(経口剤及び注射剤)
Dドスレピン塩酸塩
Eトリミプラミンマレイン酸塩
Fノルトリプチリン塩酸塩
Gロフェプラミン塩酸塩)
(2)四環系抗うつ薬(5成分)
Hセチプチリンマレイン酸塩
Iマプロチリン塩酸塩
Jミアンセリン塩酸塩)
(3)その他(2成分)
Kトラゾドン塩酸塩

Lスルピリド
B.新世代型:SSRI・SNRI
(1)SSRI
(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
@フルボキサミンマレイン酸塩
Aパロキセチン塩酸塩水和物
B塩酸セルトラリン
(2)SNR
I(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
Cミルナシプラン塩酸塩
                           (やまだ塾のまとめ)
・「三環系・四環系抗うつ薬等」12成分(左記@〜K)に,攻撃性等が高まる副作用の恐れがあるとして,厚生労働省は製薬会社に使用上の注意の改訂を指示した。なお,「SSRI・SNRI」4種類(デプロメール,ルボックス,パキシル,ジェイゾロフト)については,2009年5月に同様の指示をしている。

→1999年から従来型より副作用が少ないとされた新世代型の「SSRI」が国内販売され,「うつ病はこころの風邪」というキャッチフレーズとともに,マスメディアに取り上げられ,うつ病の情報が普及し,うつ病への国民の関心が急速に高まった。「こころの風邪」の意味するところは,うつ病は誰でもかかる病気であり,精神科にかかることを怖がらず恥ずかしがらずに,気軽に受診しましょうということであった。うつ病への偏見をなくし,精神科への受診の敷居を低くするということには大きく貢献したが,最も重要なことを伝え切れなかったと思う。それは,うつ病はきちんとした治療が必要で,完治までに時間がかかり,死に至る可能性のある病気だということである。その結果,残念なことに,多くの国民は,うつ病は「風邪程度で,ほっとけば治る病気」「大したことのない病気」と誤解してしまった。現在,一部では「うつ病はこころの肺炎」と言い換えているが,どうだろうか。
→抗うつ薬についても,これまで宣伝していたことと異なる事実が明らかになってきた。2009年になって,左記の日本で承認されている抗うつ薬の成分において,Kスルピリドを除くすべてに攻撃性等の使用上の注意が必要なことを厚生労働省が認めることになった。
→うつ病について,学会および行政は,製薬会社など精神医療産業のそろばん勘定を優先させず,国民の健康という基本に立ち返って,「正しい理解」のための「正しい活動」が求められていると思う。
→また,筆者は,精神保健福祉士の社会的な認知向上のためには,薬物療法に関する知識の質量の飛躍的な向上が必要だと考えている。(筆者)


8/24(「精神障害等の労災認定について(2009年4月改正版)」),6/112008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況の記事を参照

→■「抗うつ薬の適切な使い方について −うつ病患者様およびご家族へのメッセージ−(2009年6月)」(日本うつ病学会HPにリンクしています)
8/27 厚生労働省 「後期高齢者医療制度」についてご説明します

<2008年4月10日記事の再掲>
■「後期高齢者医療制度」創設に参画した「専門家」
■「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」委員名簿 (2007年10月1日現在 敬称略)
遠藤久夫 学習院大学経済学部教授
鴨下重彦 国立国際医療センター名誉総長
川越厚 ホームケアクリニック川越院長
高久史麿 自治医科大学学長
辻本好子 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
糠谷真平 部会長,独立行政法人国民生活センター理事長
野中博 医療法人社団博腎会野中医院院長
堀田力 さわやか福祉財団理事長
村松静子 在宅看護研究センター代表
母に「後期高齢者医療保険料督促状」が届いたので驚いた(後期高齢者医療保険料637円+督促手数料100円=737円)。1月くらい前に母宛に保険料支払いの書類が入った封書が届いていたが,分かりづらい文面で,「年金天引きをしているからいいだろう」と思って,書類は破り捨てた。それに対する督促状だということが役場に電話して分かった。窓口担当の女性は,慣れた口調で,軽減措置と年金天引きの時期との関係で直接金融機関に支払わなければならなくなったことをてきぱきと説明してくれたが,それが反って問い合わせの多さを想像させた。後期高齢者より若年の者が読んでも誤解する難解な文章で,75歳以上の高齢者に面倒な手続きを強いる国・地方の行政官の「対人支援のセンス」にはあきれ果てる。高齢者世帯で,困惑している人はさらに多いと思う。
→ささやかな抵抗として放っておこうかとも思うが,保険証を取り上げられては大変である。「腹が立つけど払ってくるよ」と言ったら,もめごとの嫌いな母は「にこっ」とした。左記の「後期高齢者医療制度」についてご説明します」は,厚生労働省の広報活動をしているというアリバイ作りと受け止めている。今回の衆議院選挙用の民主党マニフェストを見たが,「後期高齢者医療制度は廃止し,国民皆保険を守る」としているが,肝心要の廃止時期を明記していないことから,実現の危うさ感じている。
→筆者は,どのような制度であっても,せめて通知や手続きは簡素で分かり易く温かみの感じられるものにしてもらいたいと思う。「制度設計」や「財源の確保」と同じくらい「行政の対人支援のあり方」は重要と考える。(筆者)
8/26 厚生労働省 「2009年版 厚生労働白書」(概要 / 本文 →筆者は,これまでこのカテゴリーで,「福祉専門職」は,鵜呑み・丸呑みを避け,自分で根っこ(証拠や根拠)を確かめ,自身で考えることが大切だとしてきた。また,誰がどのような立場で何を言ったかを確認することが,判断する場合に重要だとしてきた。
→社会的・政治的な思想の分類として,アメリカでは一般的に「保守派,中道派,リベラル派」に分類されると言われている。思想の違いから同じ素材でも解釈が大きく異なることがある。日本においては,社会的・政治的な思想の分類は一様ではない。社会的・政治的な変化が想定される現状において,筆者は,違いを理解するために,「保守的(伝統的)−革新的(平等的)」という分類を用いようと思っている。あくまで思想の分類であり,良し悪しの分類ではない(革新的が良くて,保守的が悪いということではなく,違いを知る手法である)。一概に,「新聞」「テレビ」といっても,思想の違いからニュースの取り上げ方が大きく異なる。
→「新聞」(読売新聞,産経新聞,日経新聞,朝日新聞,毎日新聞,東京新聞)を例にすれば,筆者の分類は以下の通りとなる。自身がどういうスタンスの新聞を見ているかという認識をもっていなければならない。

革新的―――― (中) ――――保守的
@  A  B         C  D  E
→本題の「2009年版 厚生労働白書」であるが,参考として「産経ニュース」(筆者は上記Eに対応すると考えている)の取り上げ方を引用すると以下の通りである(8:00現在)。
『昨秋以降の景気悪化による雇用不安を受け,職業紹介などの雇用施策と生活資金貸し付けといった福祉施策の両面でセーフティネット(安全網)の充実が必要だとした。非正規労働者のうち約3400人が住居を失うなど,多くの人が厳しい生活環境にあり,雇用問題が初めて厚労白書の主要テーマに取り上げられた。白書は「暮らしと社会の安定に向けた自立支援」を副題に,経済危機下でのセーフティネットの重要性を強調。失業者が生活保護を受給するようになる前に早期に自立させることが必要だと指摘した。具体策として,非正規労働者の契約が更新されない「雇い止め」が昨年10月から今年9月までに約23万人(予定者含む)に上ることを受け,雇用保険の受給資格期間の短縮や職業訓練の拡充といった雇用施策に加え,住居喪失者に対する住居・生活費の貸し付けなどの福祉施策を実施していることを紹介。若者のフリーターやニート対策では,ハローワークでの常用就職支援や正規雇用実施企業に対する奨励金支給を挙げた。また,高齢者のセーフティネットとして,基礎年金の最低保障額のかさ上げや定年引き上げ,継続雇用制度の充実などを求めた。』
→大きな違いがなさそうに思える「厚生労働白書」について,メディアがどのように取り上げるかを比較してみるのもおもしろい。違いを認識し,理解することが大切であるという趣旨からの記述である。(筆者)
8/25 日本司法支援センター 「法テラス」(法的トラブル解決のための総合案内所) ・2004年6月に,「あまねく全国において,法による紛争の解決に必要な情報やサービス提供が受けられる社会を実現する」ことを基本理念とする「総合法律支援法」が公布,施行された。この法律に基づいて,「日本司法支援センター」(愛称:法テラス)が2006年4月に設置され,10月から業務が開始された。
・法テラスは,「全国どこでも,いつでも,だれでも,法による紛争解決に必要な情報やサービスが受けられるよう支援を行っていきます」と広報されている。
<法テラスのサービス一覧>
借金,消費者被害,夫婦・男女トラブル,労働,相続・遺言,住環境,保険・年金・社会保障,事故・損害賠償,法的手続,解決の制度や手続きの確認,弁護士・司法書士との相談,弁護士・司法書士の費用の立て替え

→戦後司法の問題として,裁判の長期化,法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)の閉鎖性,裁判・法律と国民の距離が遠い,三権分立の機能不足(国民が国を訴える場合の上級審での行政寄りの裁判所のスタンス)などが挙げられていた。2001年6月の「司法制度改革審議会意見書」(評価をする場合に必要となるので,審議会委員名簿にも目を通しておいていただきたい)を受けた司法改革の主な流れは,2004年の通常国会での司法制度改革関連9法案の成立,2004年4月の「法科大学院」の開校(ロースクール,弁護士の数を増やす),2004年5月の「新司法試験」の実施,2006年10月の「法テラス」の開設(裁判や法律と国民との距離を近づける),2009年5月の「裁判員制度」の開始(一般の国民を裁判に関与させる),などである。(筆者)

8/20(今回の衆議院選挙時に最高裁裁判官9名の国民審査が行われることを知っていますか?)の記事を参照

「法テラス地方事務所」
8/24 厚生労働省 「精神障害等の労災認定について(2009年4月改正版)(19.3MB)
<2008年度精神障害等の労災補償状況>
@請求件数:297件
A支給決定件数:269件
B業種別の特徴:請求件数,支給決定件数ともに「製造業」が最も多い。
C職種別の特徴:請求件数は「事務従事者」が最も多く,支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」が最も多い。
D年齢別の特徴:請求件数,支給決定件数ともに30〜39歳が最も多い。

→「日本の精神医療の質」における問題として,「薬物療法による時代遅れの多剤・大量投与」と「精神療法の普及の著しい遅れ」が挙げられている。薬物療法に関して,特に抗精神病薬の多剤・大量投与は,単剤投与と比較した有効性が明らかでない一方で,副作用のリスクが高まるとされているが,我が国では依然として諸外国よりも頻繁に実施されている」と指摘されている。日本国内で作成された精神医療のガイドラインも多数あるが,行政も学会も,「作ったらおしまい」で普及には熱心ではないとも言われている。また,認知行動療法等の精神療法に関しては,「薬物療法と比較した効果が明らかになりつつあるものもあるが,精神科医師がその実践のために技術を習得する方法が必ずしも明確でないなど,普及が進んでいない」と指摘されている。これらの問題が,労災保障の支給決定の増加と無縁であるとは思えない。日本の精神医療の質については,2009年8月6日に開催された「第22回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」の議事録が公表された時点で再度記事にしたい。
→“Stop all drugs if possible. If impossible,stop as many as possible.”(「可能ならすべての薬を中止せよ。それが不可能ならば,できるだけ多くの薬を中止せよ)”,“The good clinician knows what he or she does not know.”(「すぐれた臨床医は自分が何を知らないのかを知っている」)は,ドクターズルール425(福井次矢訳)に掲載されている。(筆者)

6/112008年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況の記事を参照
8/22 厚生労働省 「2008年高年齢者雇用実態調査結果の概況」 ・事業所に勤める正社員など常用労働者(2009年6月現在4408万8000人)のうち,60歳以上の労働者が占める割合は,10.0%(2004年比2.4%増,1992年:4.9%)であり,1992年以降初めての二桁となった。
<ポイント>
@60歳以上の高年齢労働者を雇用している事業所の割合は59.4%(2004年:50.5%),全常用労働者に占める60歳以上の高年齢労働者の割合は10.0%(同7.6%)であった。
A60歳以上の高年齢労働者を雇用するために現在特別な措置をとっている事業所の割合は46.1%(同30.1%)であった。
B60歳以上の高年齢労働者の雇用拡大のための何らかの公的援助が必要だとする事業所の割合は55.9%(同41.8%)であった。

→年金の支給開始年齢を引き上げ,60歳以上の雇用の確保を段階的に義務づけた法改正がなされてきており,当然の結果である。(筆者)

高齢者雇用対策
2006年4月施行の「改正高年齢者雇用安定法」
8/21 内閣府 「国民生活に関する世論調査」(2009年6月調査) 調査の項目は,@ 「現在の生活について」,A「今後の生活について」,B「生き方・考え方について」,C「政府に対する要望について」である。
・「去年と比べて生活が向上」との回答は2.8%(前年比1.6%減)で,2007年から3年連続低下し,1958年の調査開始以来最低となった。今後の生活について「心の豊かさを重視したい」と答えた人の割合は60.5%(前年比2.1%減)であった。年齢別に見ると20〜40歳代で「物の豊かさを重視したい」と答えた人の割合が高い結果となった。また,「政府への要望」として最も多かったのは社会保障構造改革(70.8%)であり,景気対策(62.5%)と雇用・労働対策(51.8%)はともに前年より6.4%増加し,1958年の調査開始以来最高となった。


→この調査結果に対して,『生活の「満足感」「充実感」は横ばい』という見出しを付けて報道していた影響力のあるメディアがあった。なるほどそういう言い方をするとこれまでの政府の施策が肯定されることになる。(筆者)
8/20 ■今回の衆議院選挙時に最高裁裁判官9名の国民審査が行われることを知っていますか?

<表:やまだ塾作成>
氏名
(告示順,敬称略)
年齢
(投票日
現在)
・出身
・就任
桜井龍子 62歳 ・官僚(労働大臣官房審議官,労働省女性局長)
・2008年9月就任
竹内行夫 66歳 ・官僚(外務事務次官,政策研究大学院大学連携教授)
2008年10月就任
涌井紀夫 67歳 ・裁判官
2006年11月就任
田原睦夫 66歳 弁護士
・2006年11月就任
金築誠志 64歳 ・裁判官
・2009年1月就任
那須弘平 67歳 ・弁護士
・2006年5月就任
竹崎博允 65歳 ・裁判官
・2008年11月就任
近藤崇晴 65歳 ・裁判官
・2007年5月就任
宮川光治 67歳 ・弁護士
・2008年9月就任
最高裁判所裁判官は,任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に付される。
最高裁判所裁判官国民審査とは,最高裁判所裁判官を罷免するかどうかを国民が審査する制度であり,「×」の票が有効票の半数を超えると罷免される
・日本国憲法第79条第2項・第3項および最高裁判所裁判官国民審査法に基づく制度である。
・最高裁判所裁判官は,リーダー格の「長官」1人と,「判事」14人で構成される。 最高裁判所長官は内閣の指名に基づき天皇が任命する。最高裁判所判事の任命は内閣が行い,天皇が認証する。最高裁判所裁判官は法律の素養のある40歳以上の者から任命され,定年は70歳である。

→「国民審査」は,三権分立の一つである「司法権」に,国民が直接かかわることができる制度であり,現在注目を集めている「裁判員制度」と同様に国民に周知されるべきである。しかし,これまで,国民審査に関しては,メディアも正面から取り上げず,積極的に広報されず,国民に対して審査のための十分な判断材料が提供されてきたとは言い難い。一般には,上ばかり見ている「ヒラメ裁判官」や世間知らずの「キャリア裁判官」などは,国民から厳しい審査を受けるべきであると考えられる。
→今回,国民審査の対象となる9人のうちには,例えば,「裁判員制度」を導入したことで最高裁長官に異例の大抜擢をされたと言われる人,イラク戦争に反対の意向を示した大使の解任にかかわったと言われる人,冤罪が疑われる「御殿場事件」で裁判長として上告棄却の決定をした人(2009年6月1日テレビ朝日放送『報道発 ドキュメンタリ宣言』「それでも僕らはやってない−親と子の闘い3000日」で取り上げられ,筆者は衝撃を受けた),などが含まれている。
→人権に深くかかわる 「福祉専門職」として,最高裁裁判官の名前ぐらいは知っておきたい。裁判所の公式プロフィールを左記表中の氏名にリンクしたが,重要なのは「最高裁において関与した裁判」で裁判長として下した判断(考え方)である。国民審査は,経歴の立派さではなく,「憲法の番人」としてふさわしいかどうかについて審査するものである。(筆者)
8/19 厚生労働省 「2008年度雇用均等基本調査」結果概要
<政府の育児休業取得率の目標>
・2015年までに「男性10%,女性80%」を設定している。
<2007年度の実態調査結果>
・妻が出産した民間企業に勤める男性のうち,「育児休業」を取得した割合は,1.23%(前年度比0・33%減)であった。
・一方,女性の取得率は90.6%(前年度比0.9%増)であった。
・海外の男性育児休暇を概観すれば,@ノルウェー:1993年に「パパ・クウォータ」を導入,Aアメリカ:1993年に「家族及び医療休暇法」を導入,Bスウェーデン:1995年に「パパの月」を導入,Cイギリス:1997年に「ファミリー・フレンドリー政策」を導入,である。

→現在の行政施策によって,日本の男性の育児休業が2015年に10%に達するとは到底思えない。そもそも,男性の育児休業を促進させなければならない理由を多くの国民は理解できていない。上記のイギリスの例では,当時のブレア首相が対象者であったため,国民的な関心事となり,結局首相は2週間の育児休暇を取得した。日本で機運を盛り上げるには,日本の文化を踏まえた知恵と工夫が必要になると思う。(筆者)

→■「2009年の改正育児・介護休業法」(厚労省政策レポート)
8/18 自民党民主党のマニフェストにおける社会保障 第45回衆議院選挙(8月18日公示)において,有権者の最も関心の高い政策課題は,社会保障政策である

→社会保障政策に対する筆者の感想は以下の通り。
自民党 「行き過ぎた市場原理主義とは決別」し,「中福祉・中負担を目指す」とし,「小さな政府」からの路線変更を示唆している。しかし,中負担とする国民負担率の水準や中福祉とする年金・医療・育て支援などの給付水準が明確にされているとは言えない。
民主党

・子育て支援・年金・医療・介護・失業対策等に広く公費投入を増額し,給付等の上積みをするとしている。しかし,国民負担率の水準や「大きな政府」となるであろうその水準が明確にされているとは言えない。

→社会保障制度の改革は,負担と給付が示されなければ議論にならないことは専門家でなくとも分かることである。自民党は,「増税」で「責任力」を強調しているが,給付の中身がつかめない。一方,民主党は給付を網羅しているが,その主たる財源としている無駄の削減の中身がつかめない。両党とも,政策の具体的な中身や財源の説明が十分になされておらず,スローガン的なマニフェストと言わざるを得ない。
→筆者は,今回の選挙はこれまでの自・公政権への信任投票と受け止めている。仮に,民主党政権になっても,それは小泉政権以降に対する批判の結果であるととらえる。福田政権時に設置された「社会保障国民会議」に民主党が参加を拒否したが,その判断は「誤り」だったと思う。「社会保障」は,互いにあげつらうのではなく,オールジャパンで議論されなければならない。(筆者)

(社会保障に関して)
8/12「日本年金機構のシンボルマークが決まりました!」,8/10「社会保障審議会の分科会の活動状況」,7/29厚生労働省に「医療・介護改革調整会議」が設置された,7/22基礎年金国庫負担割合を1/3から1/2に引き上げる「改正国民年金法」が今国会で成立した,7/10「経済危機に立ち向かう包摂的社会政策を」(日本学術会議提言),7/2「2009年版 労働経済白書」,6/29「図表で見る年金2009」,6/25「骨太の方針2009」「改正中期プログラム」,6/23「安心社会実現会議最終報告」「社会保障改革推進懇談会最終報告」,6/4(■「2009年版 高齢社会白書」,4/23「2009年版 少子化社会白書」(概要 / 本文)),2/3「2009年度 国民負担率」と国際比較の記事を参照

講座:「社会保障」(トップページに掲載)
8/17 厚生労働省 防災知識

<災害被害を軽減する「7つの備え」>
@自助,共助
A地域の危険を知る
B地震に強い家
C家具の固定
D日ごろからの備え
E家族で防災会議
F地域とのつながり
                  (内閣府:「減災のてびき」より)
<近年の大きな自然災害>
・2004年:新潟県中越地震
・2007年:新潟県中越沖地震
・2008年:岩手・宮城内陸地震
・2009年7月:中国・九州北部豪雨

<災害別の「備え」のポイント>
(1)地震への備え
@家具の転倒を防ぐ
A本の落下防止
B食器やガラスの飛散防止
Cテレビの固定
D窓ガラスの飛散防止

(2)水害への備え
@ラジオやテレビの気象情報に注意
A懐中電灯は部屋ごとに
B大雨のときは外に出ない
C日ごろから避難場所の確認を

(3)土砂災害への備え
@)「土砂災害警戒情報」が出たらいち早く避難
A前兆現象に気付いたらすぐ避難
Bふだんから避難場所や危険個所の確認を


→8月30日から9月5日は防災週間である。
→2009年4月22日以降,気象庁では,災害対策の準備をより早く,計画的にできるように,台風の進路予報を従来の3日先から5日先に変更している。(筆者)


被災地からの安否連絡のツール

(内閣府の防災情報・白書)
「防災情報」 / 「災害を軽減する国民運動」
「2009年版 防災白書」
8/12 厚生労働省 「日本年金機構のシンボルマークが決まりました!」 <年金記録問題の自民党と民主党の比較>
自民党マニフェスト(抜粋) 民主党マニフェスト(抜粋)
年金記録問題への徹底対応

基礎年金番号に未統合の5,000万件の記録の解明・統合に努めつつ,インターネットなどの利用により残された記録の内容をプライバシーに配慮し,国民に開示する。全ての受給者・加入者について,コンピュータ記録と約8億5千万件の紙記録との突合せを計画的に進める。社会保険庁の様々な問題を一掃するため,平成22年1月に日本年金機構を設立する。日本年金機構においては,業務の適正かつ効率的な実施を徹底しつつ,年金記録問題への対処と迅速な救済を行う。年金記録問題については,来年末を目途に解決させる。
16.年金記録被害者への迅速な補償のため,一定の基準の下で,「一括補償」を実施する

【政策目的】
○年金記録問題の被害者の補償を一刻も早く進める。
○年金記録問題の再発を防ぐ。
○公的年金制度に対する国民の信頼を回復する。
【具体策】
○「消えた年金」「消された年金」問題へ
の対応を「国家プロジェクト」と位置づけ,2年間,集中的に取り組む。
○年金記録が誤っている可能性の高い受給者等を対象に,記録訂正手続きを簡略化する。
○コンピューター上の年金記録と紙台帳の記録の全件照合を速やかに開始する。
○年金記録を訂正した人が,本来の年金受給額を回復するまでの期間を大幅に短縮する。
○全ての加入者に「年金通帳」を交付し,いつでも自分の年金記録(報酬月額を含む)を確認できるようにする。
【所要額】
2000 億円程度

→2010年1月に社会保険庁を廃止し,年金部分の受け皿として新たに「日本年金機構」の設立を画策し法定化したのは,安倍元首相である。筆者は,やり逃げをする者から,「シンボルマークが決まりました!」とうれしそうに言われると,多くの国民は快く思わないと考える。「シンボルマーク」を作っている余裕などないはずである。 「日本年金機構」にかかわる自民党と民主党のマニフェストを比較した。よく読んでみるとうまく逃げ道が用意されていて官僚が作ったと思われる自民党の文章と,気合が上滑りして実行には疑問を感じる民主党の文章,どちらが信頼できるか。(筆者)

(年金制度に関して)
8/10「社会保障審議会の分科会の活動状況」,7/22基礎年金国庫負担割合を1/3から1/2に引き上げる「改正国民年金法」が今国会で成立した,6/29「図表で見る年金2009」の記事を参照

社会保険庁の年金記録問題のページ
8/11 厚生労働省 「認定調査員テキスト2009改訂版」の修正概要 / 認定調査員テキスト2009改訂版(2009年8月)
介護認定審査会テキスト2009改訂版(2009年8月)
→結局,「介護認定の見直しに係る検証・検討会」は,「一次判定ソフト2009」およ「び介護認定審査会テキスト2009」の「検証・検討」を行わず,「認定調査員のテキストの修正」だけで「検証・検討」を終息させた。『厚生労働省に猛省を促したい』という,国民向けのジェスチャーを弄して,最小限の手直しで幕引きをしたと受け止めている。見事であるが,国民が「有識者」に期待しているのは,そんな小手先の対応ではない。
→日本の失敗を参考にして創設された韓国の「介護保険制度」は,2008年7月に施行された。韓国では,日本の介護保険制度の内容や現状を熟知している行政担当者や有識者は多いと言われる。しかし,日本では韓国の動向が話題に上ることは少ない。「介護の社会化」や「高齢者の自立支援」という日本に定着していない言葉をキーワードにスタートして行き詰っている日本,自国の歴史を重んじて儒教精神から「親孝行」をキーワードにスタートさせた韓国。今後,日本では,医療保険と介護保険の一体化,被保険者と給付対象者の見直し,要介護認定システムの構築,家族介護に対する現金給付の導入,介護支援専門員制度の存廃などを検討していかなければならない。筆者は,検討に際しては,韓国の「介護保険制度」からも学ぶという姿勢が大切だと思う。(筆者)

8/5(■「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」で軽度化が修正されることになった7/16「新基準の介護認定」において「非該当(介護不要)」の認定が倍増した(ニ次判定結果の要介護度区分の比較(新規申請者):P.16))5/21認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版),4/21「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照の記事を参照
8/10 厚生労働省 「社会保障審議会の分科会の活動状況」(2009年8月6日現在) ・現在の厚生労働省の「社会保障審議会」は,2001年に廃止された内閣総理大臣の諮問機関であった「社会保障審議会」とはまったく異質のもので,自発的に調査審議し勧告するという権限を持つ審議会ではない。現在,「社会保障制度審議会」に匹敵する社会保障に関する常設の会議体は設置されていない(経済財政諮問会議では一部を担っているが)。
・近時,臨時的に設置された社会保障の会議体は,「社会保障国民会議」(2008年1月設置,2008年12月に報告書を提出後廃止),「社会保障改革推進懇談会」(2009年2月設置,2009年6月に報告提出,「骨太の方針2009」策定までが任務と言われている),「安心社会実現会議」(2009年4月設置)である。

→現政権の体たらくは上記の通りであるが,日本の社会保障の問題点は把握できていますか。
→「社会保障の専門職」ともいえる3福祉士国家試験取得者の社会保障に関する知識の質・量が現在レベルでいいかどうか,みなさんはどう考えますか。(筆者)


2008年7/29「近未来の社会福祉教育のあり方について-ソーシャルワーク専門職資格の再編成に向けて-」(提言)の記事を参照

「介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し」 / 「精神保健福祉士の資格制度の見直し」
8/9 厚生労働省 第22回社会福祉士試験委員 / 第12回精神保健福祉士試験委員 / 第22回介護福祉士試験委員

<2008年12月26日の報告書より引用>
【試験委員の選定について】
@試験委員は,「社会福祉士及び介護福祉士に基づく指定試験機関及び指定登録機関に関する省令」(昭和62 年厚生省令第51号)において定められている要件に加え,学識に優れ,国家試験に対する責任感・社会的使命感等を備えている必要がある。
A今後とも,こうした資質を備えた試験委員を委嘱できるよう,候補者の情報収集,試験委員の選定方法等について検討していく必要がある。

<2009年度国家試験の施行について>
@社会福祉士
A精神保健福祉士
B介護福祉士
→次回3福祉士国家試験の試験委員がすべて公表された。名前を見るだけならつまらない資料である。専門職となる(である)あなたは,何人の名前を知っていますか。試験委員の方々がどのような研究テーマをもち,どのような活動や主張をされておられ,国家試験にどう反映されるか興味は沸きませんか。筆者は,試験委員に注目している。また,次回の国家試験からは,試験センターの問題作成業務への関与が強くなることが予想され,試験委員の問題が,これまでのように寄せ集めではなく,バランスよく出題されると思っている。特に,新任の試験委員には注意が必要だと思う。(筆者)

7/14第22回介護福祉士試験委員),6/30「第22回社会福祉士国家試験および第12回精神保健福祉士国家試験の新出題基準・新合格基準」 / 「第24回介護福祉士の新出題基準が発表され,試験科目は11科目となる(現時点では新出題数や新合格基準は発表されていない)」の記事を参照
→■報告書 「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の今後の在り方について〜20回の実績を踏まえた検証と新カリキュラムへの対応〜(2008年12月26日)
8/8 厚生労働省 「熱中症」の応急措置
(2009年版熱中症環境保健マニュアルより)

<熱中症を疑ったとき>
死に直面した緊急事態であることをまず認識する。
・重症の場合は救急車を呼び,現場ですぐに体を冷やし始める

→体を冷やす方法として,水を口に含んで吹きかけるのが効果的だと言われている。顔にブワーと吹きかけたときに,「汚いっ」と本人が文句を言ったら,「重症ではない」ということになる。(筆者)

(環境省)
「熱中症予防情報サイト」
(厚生労働省)
「熱中症環境保健マニュアル」(2009年6月改訂版)
「職場における熱中症の予防対策マニュアル」(2009年6月)
8/7 厚生労働省 「通訳を配置しているハローワーク」ポルトガル語スペイン語 / 「外国人出張行政相談コーナー」ポルトガル語スペイン語 通訳を配置しているハローワーク
全国の主要なハローワークにポルトガル語,スペイン語等の通訳を配置し,外国人求職者等の方々に対する職業相談,職業紹介等を行っています。(Nas principais Hello Work do Japao, estao a disposicao tradutores nos idiomas: Portugues;Espanhol e outros… Estamos fazendo consultas e apresentando empregos aos estrangeiros que estao em busca de trabalho / En algunas agencias publicas de empleo “Hello Work” hay interpretes de espanol y portugues. Por eso les podemos ofrecer consultas y presentaciones de empleos)」と説明されている。

外国人出張行政相談コーナー
「市町村とハローワーク等が連携し,ポルトガル語等の通訳を配置し,生活・職業相談等をワンストップで行っています。(Com a colaboracao das Prefeituras das cidades e Vilas locais estamos realizando consultas gerais em apenas um balcao. Consultas relacionadas ao cotidiano, empregos e etc ./ Todas las ciudades y pueblos colaboran a travez del Hello Work, para ofrecer consultas sobre la vida cotidiana y situacion laboral con interpretes en portugues)」と説明されている。


2/9「定住外国人支援に関する当面の対策について」の記事を参照

日系人に対する機動的な雇用対策について
「外国人雇用対策」(厚生労働省)
8/6 厚生労働省 職場のトラブル解決をサポートします
〜「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」による解決手段〜

<やまだ塾トップページからの再掲>
「困ったとき」の相談窓口
いきる・ささえる相談窓口(都道府県別)・・総合
いのちの電話 / 心の健康相談 / 薬物・・こころ
法テラス/警察/ADR/暴力追放/多重債務・法

人権擁護相談/総合労働相談・・人権,労働
いじめ,虐待,消費者/小児救急/子育/外国人
→戦後に制定された日本の労働法制は,集団的労働紛争に軸足があったため,1990年代以降の個別労働紛争には民事裁判以外の手段がなかった。2001年7月に「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が制定,10月から施行された。この制度で多くの職場トラブルは解決されることになったが,制度のネックは「法的拘束力がない」ことであった。2004年には法的拘束力を持った「労働審判法」が制定され,2006年4月から施行された。これにより,「日本の個別労働紛争を解決するためのシステムが確立した」とされる。
→福祉専門職にとって,「相談窓口」の知識は大切である。(筆者)
8/5 厚生労働省 「第3回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」で軽度化が修正されることになった


厚生労働省に猛省を促した
「介護認定の見直しに係る検証・検討会」検討会メンバー
(2009年4月13日現在)

厚生労働省に提案した
「要介護認定調査検討会」検討会メンバー
(2006年10月10日現在)
→厚生労働省は,2009年4月からの「新要介護認定」によって,「非該当」が従来より増加したことを認め(7月13日の「要介護認定の見直しにかかる検討会」),判定結果が軽度化しないように74の調査項目のうち43項目の判断基準を改めることとした。4月からの経過措置は9月30日で終了し,10月1日の申請分から新しい基準が適用される。今後,修正版テキスト作成,研修用DVD作成,認定調査員への研修が実施されるとのことである。
→福祉専門職として,行政の報告書等を見る場合,当該会議体の「メンバー構成」を知ることは必要だと思う。誰が何を言ったかを知ることも可能である(2009年4月13日第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会議事録 / 2006年10月10日第1回要介護認定調査検討会議事録)。(筆者)

7/16「新基準の介護認定」において「非該当(介護不要)」の認定が倍増した(ニ次判定結果の要介護度区分の比較(新規申請者):P.16))5/21認定調査員テキスト2009(平成21年3月改訂版)および認定審査会委員テキスト2009(平成21年3月改訂版),4/21「第1回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」3/26「4月から要介護認定の調査方法が変わる」,3/25「認定調査員テキスト2009」の記事を参照
8/4 総務省 完全失業率5.4%(労働力調査速報)
2009年6月の完全失業率(季節調整値)は5.4%(前月比0.2%上昇)で,5か月連続で上昇した。完全失業者数は348万人と1年前に比べ83万人増加,8か月連続の増加である。完全失業者のうち,2人以上の世帯における「世帯主」は92万人で,1年前に比べ24万人増加した。

→総務省から完全失業率が5.4%と発表されたと同時に,厚生労働省から有効求人倍率は0.43倍(前月比0.01%低下,1963年以来過去最低)と発表された。政府の雇用対策の効果が現れる時期とのズレだから問題ない,という説明がされていた。戦後最悪の完全失業率は2003年4月の5.5%であったが,今後記録を更新していくように思えてならない。最優先課題であったはずの「派遣法改正」を今国会で廃案にした責任は,現政権・与党だけでなく,野党にもある。(筆者)
8/3 厚生労働省 「2009年 介護分野における雇用管理モデル検討会(施設系)報告書」および「2007年 介護分野における雇用管理モデル検討会(訪問介護)報告書」 ・厚生労働省は2008年10月31日,非公開の検討会を設置し,2009年7月31日に「介護分野における雇用管理モデル検討会(施設系)」を発表した。これは,2007年6月15日に発表した「介護分野における雇用管理モデル検討会(訪問介護】報告書」に続くものである

→これまでの進め方から,今回も「報告書を作って終わり」になりそうな気がする。広報活動や事業所への展開の仕方にもっと関心を払っていただきたい。本報告書を,周知させずに,埋もれさせてしまってはもったいない気がする。(筆者)

7/30
「介護分野における労働者の確保等に関する研究報告書」6/9(■予算から見た「福祉人材確保対策」(まとめ) )5/30(■「介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント」,5/27(■「2008年改正介護保険法の施行」(事業者向け)の記事を参照

「福祉専門職の現状(2004年〜)」
8/1 厚生労働省 「2008年度障害者保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)」の実施状況

・事業の目的としては,「障害者自立支援法を核として,障害者の就労支援,地域移行,地域生活支援等を通じて,障害者の自立支援を一層推進するためには,地域の関係者における様々な工夫や取組を積み上げ,その普及を図ることが必要不可欠です。このことから,本事業は,障害者自立支援の充実のための多様な団体による先駆的,革新的な事業等に要する費用に対して所要の助成を行い,もって,障害者に対する保健福祉サービスの一層の充実及び障害福祉計画の推進に資することを目的としています。」と説明されている。
・すでに終了しているが,2009年度の事業募集も6月にあった。

→この事業を担当しているのは,社会・援護局障害保健福祉部企画課である。障害者団体向けの郵便割引制度が悪用された事件で役職者から逮捕者が出た部署だということを思い出した。厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の2009年度予算等を改めて見てみると,その権限の大きさが分かる。(筆者)

(厚生労働省に関して)
7/29厚生労働省に「医療・介護改革調整会議」が設置された,7/3(「少子化対策統括本部」が7月1日に設置された),6/16「障害者自立支援法」制定に正義はあったと信じたいが。),4/8「厚生労働行政の在り方に関する懇談会(最終報告)」の記事を参照