精神保健福祉士の資格制度の見直し(動向)
http://www.yamadajuku.com/

(2017月7月7日)

(参考)
     ■介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し(動向)
精神保健福祉士の資格制度
3福祉士の資格に関わる最新の行政情報
資格について(厚生労働省HP) :介護福祉士 / 社会福祉士 /  精神保健福祉士
◎相談支援の現状と課題 :「相談支援の現状と課題」(2016年3月,第1回相談支援の質の向上に向けた検討会) / 「相談支援の質の向上に向けた検討会における議論のとりまとめ」(2016年10月)
公表日 項 目 概 要
2017年
3/28
「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」 2017年3月28日,「第10回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開催され,会議資料が公表された。
資格 ポイント
社会福祉士 ●ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる実践能力(論点)
◎「包括的な相談支援体制」を構築・維持するためのソーシャルワーク機能を社会福祉士が発揮するために,具体的にどのような実践能力が必要となるか。
2016年
12/26
『「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」地域力強化検討会中間とりまとめ』 ・2016年12月26日,「ニッポン一億総活躍プラン」に掲げられている地域共生社会の実現について,具体的に検討するため,「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)中間とりまとめ」が公表された。
資格 ポイント
社会福祉士 ●国の役割(P.18)
◎「我が事・丸ごと」を実現するために,①制度横断的な知識を有し,②アセスメントの力,③支援計画の策定・評価,④関係者の連携・調整,⑤資源開発までできるような,包括的な相談支援を担える人材養成に取り組むべきである。また,ソーシャルワーカーの養成や配置等については,国家資格として現在の養成カリキュラムの見直しも含めて検討すべきである。
2016年
12/13
「社会福祉士のあり方」
「社会福祉士の現状と各種制度の動向」
・2016年12月13日,「第8回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開催され,会議資料が公表された。
<社会福祉士の活用・活躍に関わる国会や審議会等の動向(まとめ)>
1989年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が成立した。
「社会保障審議会福祉部会 介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見(2006年12月12日)」
・これまでの福祉サービス利用に向けた相談援助だけでなく,「第2社会福祉士制度の在り方 ①社会福祉士に求められる役割」が示された

「社会保障審議会 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書(2013年1月25日)」
・「Ⅲ 2.(5)新たな相談支援事業で配置する職員について」を参照

「衆議院厚生労働委員会 生活困窮者自立支援法に対する附帯決議(2013年12月4日)」
・自立相談支援事業の相談員については,その責務の一環として訪問支援にも積極的に取り組むこととし,ケースワーカーや民生委員等,関係者間の連携と協力の下,生活困窮者に対し漏れのない支援を行い,そのために社会福祉士等の支援業務に精通する人員を十分に配置することを検討し,適切な措置を講ずる

「第6回福祉人材確保対策検討会(2014年10月3日)」
・「2.社会福祉士に求められる役割について」を参照
「社会保障審議会児童部会 児童虐待防止策のあり方に関する専門委員会報告書(2015年8月28日)」
・「3.(1)④ウ.スクールソーシャルワーカー等の積極的活用」を参照

「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム(誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現~サービスの実現新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン~)(2015年9月)」
・「4.新しい地域包括支援体制を担う人材の育成・確保」を参照

「中央教育審議会 チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)(2015年12月21日)」
・スクールソーシャルワーカーを学校等において必要とされる標準的な職として,職務内容等を法令上,明確化すること,将来的には学校教育法等において正規の職員として規定し,義務標準法において教職員定数として算定し,国庫負担の対象とすることを検討する

「「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月2日閣議決定)」
・介護離職 ゼロの実現(安心した生活(地域課題の解決力強化と医療・福祉人材の活用)⑨地域共生社会の実現)
・「育児,介護,障害,貧困,さらには育児と介護に同時に直面する家庭など,世帯全体の複合化・複雑化した課題を受け止める,市町村における総合的な相談支援体制作りを進め,2020年~2025年を目途に全国展開を図る

司法領域における社会福祉士の活用状況(2008~2016年)
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008(~「世界一安全な国、日本」の復活を目指して~)(2008年12月22日犯罪対策閣僚会議)」
「再犯防止に向けた総合対策」(2012年7月20日犯罪対策閣僚会議)」
「「世界一安全な日本」創造戦略」(2013年12月10日閣議決定)」
「薬物依存者・高齢犯罪者等の再犯防止緊急対策(~立ち直りに向けた“息の長い”支援につなげるネットワーク構築~)」(2016年7月12日犯罪対策閣僚会議)」

「改正社会福祉法第24条第2項の創設(2016年3月31日成立)」
・社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ,「地域における公益的な取組」の実施に関する責務規定が創設され,今後,社会福祉法人には,他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められることから,多様化・複雑化する地域の福祉ニーズを把握し,対応することができる人材が必要とされている

「「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の設置(2016年7月)」
・「地域力強化ワーキンググループ」の「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」(地域力強化検討会)」が開催され,住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりのあり方や市町村による包括的相談支援体制の整備のあり方等について検討を行っている
【筆者の所感】(2016年12月14日)
→「社会福祉士には地域社会の実情に応じて,分野横断的・包括的な支援を担う機能と役割を果たすことが期待されている」,「今後,具体的にはどのような分野においてどのような活用の仕方が考えられるか検討する必要がある」としている。同じことの繰り返し,同じ言葉の繰り返しと思いませんか?
→1989年以来,活躍が期待されていると言われ続けてきたが,一向に社会福祉士のソーシャルワーカーとしての任用・活用が進展しない。その背景には,「高い専門性・実践力を有する社会福祉士が養成されていない」「社会福祉士の活動が見えにくく社会的認知度が低い」「社会福祉士には更新制度はなく,研修体系等の整備が進んでいない」などがある,というありきたりの指摘にも閉口しませんか?
→他力本願ではなく,社会福祉士自らが行動を起こす以外に,ソーシャルワーカーとして活躍できる場は増えていかないことぐらい関係者はとっくに気づいている。(筆者)
2016年8/31 「2015年度社会福祉士,介護福祉士,精神保健福祉士 就労状況調査結果」 ・2016年8月31日,社会福祉振興・試験センターは,2015年11月1日現在における「2015年度社会福祉士,介護福祉士,精神保健福祉士 就労状況調査結果」を公表した。
資格
(回答)
就労分野 雇用法人 職場の種類 雇用形態 勤続年数 全体平均年収
介護福祉士
(58,513人)
「高齢者福祉関係」84.0% 社会福祉協議会以外の社会福祉法人」29.7%,「民間企業」27.5% 「訪問介護員・介護職員・生活支援員」56.5% 「正規職員」63.9% 「10年以上」30.2% 260万円
社会福祉士
(9,000人)
「高齢者福祉関係」43.7% 「社会福祉協議会以外の社会福祉法人」35.6%、「医療法人」15.9% 「相談員・指導員」34.0% 「正規職員」82.8% 「10年以上」35.4% 377万円
精神保健福祉士
(3,859人)
「医療関係」32.4%,「障害者福祉関係」30.8% - 「相談員・指導員」47.7% 「正規職員」78.7% 「10年以上」30.2% 347万円
【筆者の所感】(2016年9月7日)
→社会的認知度の向上や処遇・待遇の改善は,他力本願では進まない。職能団体(介護福祉士社会福祉士精神保健福祉士)のあり方が重要になっている。(筆者)
2016年
7/19
(参考)
「相談支援の質の向上に向けた検討会における議論のとりまとめ」
・2016年7月19日,「相談支援の質の向上に向けた検討会」における議論のとりまとめが公表された。
職位 ポイント
相談支援専門員 人材育成の方策(P.6)
「ソーシャルワークの担い手としてそのスキル・知識を高め,インフォーマルサービスを含めた社会資源の改善及び開発,地域のつながりや支援者・住民等との関係構築,生きがいや希望を見出す等の支援を行うことが求められている。」
2016年
5/27
(参考)
「精神障害者を地域で支える医療の在り方」

・2016年5月27日,「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 第3回新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会」が開催され,会議資料である「公益社団法人日本精神保健福祉士協会提出資料」が公表された社会的認知とのギャップが大きい,というのが筆者の感想である。
<精神保健福祉士の職域・分野およびソーシャルワーク機能>
資格 ポイント
精神保健福祉士 ①精神障害者を地域で支えるために精神保健福祉士ができること
・精神科デイケア等において精神保健福祉士ができること
・精神科訪問看護・指導において精神保健福祉士ができること
・医療機関における精神保健福祉士の外来患者への支援業務
・入院を起点とした精神保健福祉士による地域定着支援
②精神科領域に関する生涯教育
・公益社団法人日本精神保健福祉士協会の生涯研修制度
・精神科領域の研修実施状況
③精神科領域で働く精神保健福祉士の養成状況と配置状況
・精神保健福祉士の養成状況
・精神科医療機関で働く精神保健福祉士の配置状況の推移
④精神障害者を地域で支えるための協会としての独自の取組
・精神障害者の支援に係る独自の取り組み
・日本精神保健福祉士協会の独自の取り組み
⑤まとめ

<精神保健福祉法と医療法に関連する施策の動向(まとめ)>
時期 精神保健福祉法 医療法
2004年9月 「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(厚生労働省精神保健福祉対策本部報告)
⇒「入院医療中心から地域生活中心へ」改革を進めるため,①国民の理解の深化,②精神医療の改革,③地域生活支援の強化を今後10年間で進める。
-
2005年11月 精神保健福祉法改正
⇒①精神科病院等に対する指導監査体制の見直し,②精神障害者の適切な地域医療等の確保(救急医療体制・退院促進),③その他(精神保健指定医の指定に関する政令委任事務の明確化,地方精神保健福祉審議会の必置規制の見直し,「精神分裂病」の「統合失調症」への呼称の変更)
-
2006年6月 - 第5次改正
⇒①都道府県の医療対策協議会制度化,②医療計画制度の見直し,③4疾病5事業の具体的な医療連携体制を位置付け
2009年9月 「精神保健医療福祉の更なる改革に向けて」(今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会報告書)
⇒「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の中間点において,後期5か年の重点施策群の策定に向け,有識者による検討をとりまとめたもので,「地域を拠点とする共生社会の実現」に向けて,「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念に基づく施策の立案・実施を更に加速するとしている。
-
2011年7月 - 医療計画への精神疾患の追加(省令改正)
2012年6月 「入院制度に関する議論の整理」(新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第3R))
⇒①医療保護入院の見直し,②退院後の地域生活の支援,③入院の契機(34条移送関係),④措置入院
-
2013年6月 精神保健福祉法改正
⇒①精神障害者の医療の提供を確保するための指針の策定,②保護者制度の廃止,③医療保護入院の見直し,④精神医療審査会に関する見直しを行うこととされていた。施行は2014年4月1日であるが,精神医療審査会委員の規定は2016年4月1日。
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2013年12月 「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針とりまとめ」
「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」
-
2014年6月 - 第6次改正
⇒①病床機能報告制度の創設,②地域医療構想の策定,③地域医療介護総合確保基金の創設,④地域医療構想調整会議の設置
2014年7月 「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会とりまとめ」
⇒①長期入院精神障害者の地域移行及び精神医療の将来像,②長期入院精神障害者本人に対する支援,③病院の構造改革
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2017年2月 (追記)
「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会 報告書」
-
2017年6月 (追記)
精神保健福祉法改正
⇒国及び地方公共団体が配慮すべき事項等の明確化,措置入院者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備,精神障害者支援地域協議会の設置,精神保健指定医制度の見直し,医療保護入院の入院手続等の見直し
-

【筆者の所感】(2016年1月8日)
~2016年1月7日開催の「第1回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」「精神保健医療福祉の現状(最新データ)」に関したコメント~
→2004年9月から10年(2014年)を一応の期間とした「精神保健医療福祉の改革ビジョン(改革ビジョン)」の目標は,①精神病床を2015年までに2割削減(約35万床のうち約7万床)し,また,社会的入院患者を72,000人減少するとしていた。その結果,精神病床数は354,923床(2004年)から338,174床(2014年)で,わずか16,749床の削減であり,社会的入院患者においても,72,000人うち11,000人が地域に戻ったに過ぎなかった。このような重要な結果を,厚生労働省は公式に公表しないし,マスメディアも報道しない。
→これに関して,日本精神科病院協会会長は,精神病床削減については『精神保健医療福祉の改革ビジョンが出されたのは,高齢化が進んで社会保障制度の危機が叫ばれていた2004年のことです。クラーク勧告からすでに40年経っており,遅きに失した印象は拭えません。』と政府の責任を前面に出し,社会的入院患者については『私としては全ての患者さんを地域に帰す必要はないのではないかと考えています。地域に戻りたい人には経済的・人的支援の手を差し伸べ,どうしても退院できずに病院に残る人は,居住系施設などへ移行すればよいのではないかと考えています。』と述べている。
→これから先,腰の引けた政府や官僚がこういう人たちをコントロールできると思えますか?今後,精神保健医療福祉に関わる不透明な部分を顕在化させることが,精神医療,精神医療従事者,精神障害者のあり様を正しく理解することにつながる,と筆者は思う。(筆者)
2015年
9/17
「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」 ・2015年9月17日,「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム・幹事会」が開催され,会議資料が公表された。
資格 ポイント
社会福祉士 ●包括的な相談支援システム構築のモデル実施等(P.21)
◎「新しい地域包括支援体制におけるコーディネート人材としての活用を含め,そのあり方や機能を明確化する。」
2015年
9/9
「公認心理師法」の成立 公認心理師法は,2015年9月9日に議員立法により成立し,9月16日に公布された。2017年9月15日までに施行され,第1回国家試験は,2018年までに実施される予定である。心理職で初めての国家資格化となる。
資格 ポイント
公認心理師法 ●公認心理師法の定義(第2条)
「公認心理師とは,公認心理師登録簿への登録を受け,公認心理師の名称を用いて,保健医療,福祉,教育その他の分野において,
心理学に関する専門的知識及び技術をもって,次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
①心理に関する支援を要する者の心理状態の観察,その結果の分析
②心理に関する支援を要する者に対する,その心理に関する相談及び助言,指導その他の援助
③心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言,指導その他の援助
④心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」
(参考)
福祉学に基づく「精神保健福祉士の定義」 :精神保健福祉士法第2条
「公認心理師カリキュラム等検討会」の設置
「公認心理師カリキュラム等検討会報告書」(2017年5月31日)
2014年
10/27
「介護人材の確保について」 ・2014年10月27日,「第1回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開催され,会議資料が公表された。
資格 ポイント
介護福祉士 ●介護福祉士資格の取得方法(P.35~)
①介護福祉士の資格取得方法の見直し
②社会福祉士及び介護福祉士法の改正の経緯
2014年
10/22
「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ」 ・2014年10月22日,厚生労働省は,「福祉人材確保対策検討会における議論の取りまとめ」を公表した。
資格 ポイント
介護福祉士 ●2025年の介護人材の全体像と介護福祉士の担うべき機能の方向性(P.5~P.6)
①介護人材の全体像
②介護福祉士の担うべき機能の在り方
社会福祉士 ●社会福祉士の活用の方向性(P.7)
①社会福祉士のさらなる活躍の場の創出
②専門性の高い社会福祉士の養成



「福祉職・介護職の専門性の向上と社会的待遇の改善に向けて(提言)」(2011年9月20日)~日本学術会議~
「福祉行政の最新情報」2012年2月20日記事を参照
・日本学術会議は,2005年度から文部科学省より移管され,内閣総理大臣に任命された210人の会員(6年任期,70歳定年)で構成された,政府から独立して職務を行う内閣府の「特別の機関」として位置づけられている。特別の機関であるため,行政・立法・司法の権限はないが,政策提言や政策意見具申などの権限がある。
→この提言は,2011年9月20日に公表された。筆者は,おそらく,差し迫った2011年度で終了する「介護職員処遇改善交付金」への対応として,「2012年度介護報酬改定」に盛り込ませるための裏づけに利用されるのだろうと考えた。その決着がついてから紹介しようと思っていたが,案の定,その通りであった。
→この「提言」で,希望を持ち,勇気付けられる「福祉職・介護職」はいるのだろうか。
→ソーシャルワークに関連する提言として,2011年9月27日には,「わが国の健康の社会格差の現状理解とその改善に向けて(提言)」が公表されている。(筆者)

2/7「介護保険を崩壊させる者の名前」は記憶に留めておくの記事を参照

「精神保健福祉士国家試験の今後のあり方について(精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会報告書)」(概要 / 本文
<2011年11月14日記事の再掲>
・2012年度から,精神保健福祉士の養成カリキュラムが見直されることを踏まえ,新たなカリキュラムに対応した精神保健福祉士国家試験が2012年度(2013年1月実施予定)より行われる。
・これに向け,2011年7月より,「精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会」が開催され,2011年11月11日に,「精神保健福祉士国家試験の今後のあり方について(精神保健福祉士国家試験のあり方に関する検討会報告書)」が公表された。
<報告書のポイント>
(1)国家試験に係る基本的な事項
①精神保健福祉士国家試験の出題の難易度は標準的であるべきであり,精神保健福祉士に必要とされる基本的な専門的知識や技術が網羅的に備わっていることを確認するものであることが必要
②専門的・技術的な観点から試験委員を支援することができるよう,試験センターの体制充実についても検討が必要 
(2)新カリキュラムに対応した国家試験のあり方
①専門科目における総出題数は現行どおり
②実際の現場に必要となる考え方を問う出題形式の出題を増やす
③社会福祉士国家試験との共通科目については1科目加わるため,それに応じて試験時間を長くする
④試験日を調整するなどして,社会福祉士・介護福祉士国家試験が同時受験できる機会を与えることが必要 

「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(2010年12月3日)
「障害者自立支援法(2005新法)」を参照
・2010年12月3日,参議院で障害者自立支援法改正案が成立されたことに伴い,精神保健福祉士法が改正された。

(精神保健福祉士法の一部改正)
第八条 精神保健福祉士法(平成九年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

目次中「第三十九条」を「第三十八条の二」に改める。

第二条中「利用している者」の下に「の地域相談支援(障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十七項に規定する地域相談支援をいう。第四十一条第一項において同じ。)の利用に関する相談その他」を加える。

第七条第一号中「厚生労働大臣の指定する」を「文部科学省令・厚生労働省令で定める」に改め,同条第二号中「厚生労働大臣の指定する」を「文部科学省令・厚生労働省令で定める」に改め,「,厚生労働大臣の指定した職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第十五条の六第一項各号に掲げる施設若しくは同法第二十七条第一項に規定する職業能力開発総合大学校(以下「職業能力開発校等」という。)」を削り,同条第三号中「,厚生労働大臣の指定した職業能力開発校等」を削る。

第四章中第三十九条の前に次の一条を加える。

(誠実義務)
第三十八条の二 精神保健福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない。

第四十一条第一項中「医師その他の医療関係者」を「その担当する者に対し,保健医療サービス,障害者自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービス,地域相談支援に関するサービスその他のサービスが密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう,これらのサービスを提供する者その他の関係者等」に改め,同条の次に次の一条を加える。

(資質向上の責務)
第四十一条の二 精神保健福祉士は,精神保健及び精神障害者の福祉を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため,相談援助に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

「精神保健福祉士の新養成カリキュラム案等への意見募集」(2010年7月12日)
・募集期間:2010年7月12日~8月20日
→「福祉行政の最新情報」の2010年7月21日記事を参照のこと

精神保健福祉士の養成カリキュラム見直しについて(2010年3月29日)
・2007年12月より,精神保健福祉士の高い専門性を担保できるような養成の在り方への見直しに向けて,「今後の精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催され,「精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」が,2010年3月29日に取りまとめられた。

精神保健福祉士の養成カリキュラム見直し案(2009年11月17日)
~「第7回精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」資料より~

・2009年11月17日,1年ぶりに「第7回精神保健福祉士の養成のあり方等に関する検討会」が開催された。
・2008年10月21日の「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」と左記のワーキングチームで検討された内容(2009年3月~9月まで計4回開催)を踏まえて,「精神保健福祉士の養成カリキュラムの見直し案」が提示された。
・新たな教育カリキュラムの教育時間数を現行1,110時間から1,200時間(90時間増)とすること,社会福祉士との共通科目として障害者福祉の基礎知識として欠かせない「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」(30時間)を新たに盛り込んで11科目とすること,現在6科目ある専門科目(精神医学,精神保健学,精神科リハビリテーション学,精神保健福祉論,精神保健福祉援助技術総論,各論)を7科目に再編すること,演習の時間数を現行の60時間から90時間に拡充すること,実習時間数を拡充し精神科医療機関等の実習を必須にすること等が示された。

新出題基準・新合格基準の公表(2009年6月)
→「福祉行政の最新情報」の2009年6月30日記事を参照のこと

第171回(2009年)通常国会で「改正精神保健福祉士法案」が提出(2009年4月)
障害者自立支援法の改正案では,「精神障害者の地域生活を支える精神科救急医療の整備等」の中で都道府県による精神科救急医療体制の確保を法律上に位置づける等の目的のため「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と精神保健福祉士が精神障害者の地域生活における相談支援を担っていることを明確化する等により「精神保健福祉士法」と各法が改正案に上がった。しかし,改正障害者自立支援法案の廃案と共に「改正精神保健福祉士法案」も廃案となった。

報告書「社会福祉士及び介護福祉士国家試験の今後の在り方について~20回の実績を踏まえた検証と新カリキュラムへの対応~(2008年12月26日)

「3福祉士の現況把握調査結果(2008年7月1日現在)」(2008年12月25日)

「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書」(2008年10月21日)


「第5回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」2008年9月29日開催)
精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書について
料:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書(案)
参考資料1:求められる精神保健福祉士の役割について
参考資料2:求められる役割を踏まえた対応について
参考資料3:精神保健福祉士法(1997年法律第131号)



「第4回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」2008年8月29日開催)
①求められる精神保健福祉士の役割について
②求められる役割を踏まえた対応について



「第3回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」2008年7月11日開催)
①資料1:今後の検討会スケジュールについて(案),②資料2-1:求められる精神保健福祉士の役割について(案),③資料2-2:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する勉強会における主な意見,④参考資料:官報(平成20年5月12日)

【「福祉行政の最新情報」7/23記事の再掲】
「第3回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」(2008年7月11日開催)で,精神保健福祉士法の改正のスケジュールが示された。2007年12月5日に公布・施行された「改正社会福祉士・介護福祉士法」に続くものである

→2007年12月発足以降,検討会は社会福祉士との共通科目(10科目)を議論し,2008年5月に省令を改正した。その後検討会は,専門科目について7月までに中間報告をまとめる予定をしていたが,厚生労働省は,議論の途中でカリキュラムよりも精神保健福祉士法の定義や義務規定が現状とそぐわないことが問題だとして,2009年の通常国会への改正法案提出を優先するというスケジュールを改めて示した。近年の障害者福祉,精神保健福祉の施策の大転換を考えると当然のことであるが,厚生労働省のやりたい放題のやり様に対して,精神保健福祉士として筆者は腹立たしく思う。職能団体をはじめ関係団体はコメントを出していないようである(2008.7.23 5:00 HPを確認)。ついには,介護福祉士のカリキュラムから「介護福祉」や「社会福祉」の用語が消え「介護士」然となったこと,また,社会福祉士のカリキュラムから「社会福祉援助(技術)」の用語が消え「相談援助する人」然となったことを思い返すべきである。検討会の議論は,精神保健福祉士の存続意義にかかわることであり,無関心やお上任せであってはならないと思う。(筆者)

「精神保健福祉士法施行規則及び精神保健福祉士短期養成施設等及び精神保健福祉士一般養成施設等指定規則の一部を改正する省令(案)等」についての意見募集(2008年3月22日掲載)
概要
精神保健福祉士のカリキュラムと社会福祉士におけるカリキュラムの見直し(共通科目関係)
精神保健福祉士養成課程における新たな教育カリキュラムの内容(案)


「第2回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」2008年3月13日開催)
①資料1:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会構成員名簿,②資料2:第1回検討会での主な意見と対応案について
③資料3:精神保健福祉士と社会福祉士の共通科目案について,④資料4:平成21年4月施行分スケジュール(案)⑤参考資料1:精神保健福祉士養成課程における新たな教育カリキュラムの内容(案),⑥参考資料2:社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて(案)


「第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」2007年12月19日開催)
議題:「精神保健福祉士の養成の在り方等について」・・・第1回議事録(2008年3月19日公表)
資料1:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会開催要綱,資料2:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会構成員名簿,資料3:精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会の設置について,資料4:精神保健福祉士の現状について
資料5:精神保健福祉士と社会福祉士の共通科目について
参考資料:(1)神保健福祉士養成施設等における授業科目の目標及び内容,(2)精神保健福祉士国家試験出題基準・合格基準,(3)社会福祉士養成課程における教育内容等の見直し(案)について



「福祉行政の最新情報」の12月15日の記事から転載)
「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」が開催される

【精神保健福祉士国家試験の結果】
合格者数 合格率
第1回 4338人 89.1%
第2回 2586人 73.1%
第3回 2704人 63.1%
第4回 3415人 62.3%
第5回 5670人 62.7%
合計 18713人 -

・「第1回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」は,2007年12月19日に開催される予定である。
本検討会の内容・経過をフォローし,本カテゴリーで掲載します

第5回精神保健福祉士国家試験までは,指定された「現任者講習会」の課程を修了することで受験が可能とされた。この講習会は,「質」を求めたものではなく,国際的な要請に応えることも含めて,5年間で10000人~16000人の精神保健福祉士をつくるという現厚生労働省の「量」の目標に貢献した制度であったと思う。一部ではあるが,粗雑な教育課程で粗悪な国家資格者をつくり出す「現任者救済制度」との批判とともに,あまりに高い合格率から国家試験問題の質的レベルも問題視された。結果,第5回国家試験までに18713名(左表を参照)の「精神保健福祉士」が誕生した。もちろんこの間の合格者に有能で高質な精神保健福祉士も多くおられたが,総じて良質な施策であったかは疑問である。このあたりの問題点も,整理し,検討していただきたいと思う。さらに,養成される側だけではなく,「良質な教員の養成」に深く踏み込まなければ意味がない。(筆者)
介護福祉士・社会福祉士の資格制度の見直し