区分 主な項目 ポイント
1 年金

医療
「国民年金保険料」の引き上げ ・14,660円/月額→15,100円/月額(月額440円のアップ)
・国民年金の第1号被保険者が負担する国民年金保険料は,年金制度改革で2005年度以降,毎年280円/月額ずつ引上げられ,2017年度に16,900円で固定されることが決定している。ただし,各年度の額は,物価変動率等を勘案した保険料改定率を乗じることになっている。
2 「診療報酬」の改定 ・10年ぶりの増額改定である。
・薬価を含む総額で0.19%引き上げる。
・再診料の改定する(診療所710円,病院600円→690円に統一)


<「福祉行政の最新情報」2010年2月15日記事の再掲>
2010年度診療報酬改定案の主なポイント
@診療明細 ・希望者のみ。実費⇒原則義務。無料
【これまで薬害被害者等からの強い要望があったが,医師会の抵抗でできなかった診療明細である。医療行為の透明化や医療費の抑制につながることが期待される】
A再診料 病院600円,診療所710円⇒690円に統一。時間外の対応の診療所は30円の加算
【診療所の30円引き下げの救済措置として,時間外に電話で対応する診療所に加算(地域医療貢献加算)を行う。救急外来が減少することによって病院勤務医の負担軽減が期待される】
B手術料 ・難易度の高い手術を30〜50%引き上げ
【病院勤務医の待遇改善につながることが期待される】
C妊産婦・小児対応 ・緊急搬送された妊産婦の受け入れ先の入院料などを増設
【病院勤務医の待遇改善につながることが期待される】
・新生児集中治療室(NICU)を備えた施設の報酬を増額

【病院勤務医の待遇改善につながることが期待される】

→結局,原則3割の負担は維持されるが,上記BCなどの患者負担額は増額するという改定内容である。これまでの問題点の一部が改善されているが,医療の再生とそれに必要な費用と負担のあるべき姿は,誰がどこで検討してくれているのだろうか。
→今回改定のメインテーマであった「病院勤務医の待遇改善」は,病院勤務医の低所得が問題であるように受け止めていたが,
個人開業医205万円(法人開業医211万円)と病院勤務医123万円の月収差を埋めることだと知ると,真剣に考えるのがアホらしくなる。
→2009年の介護報酬3%アップ改定において,「介護職員の待遇改善」を謳っていたにもかかわらず十分な給与アップに結びつかなかったのと同様に,2010年の医療報酬0.19%アップ改定の「病院勤務医の待遇改善」も,病院の収入増になるだけという意見がある。厚生労働省の詰めの甘さを指摘している意見である。(筆者)


「2010年度診療報酬改定案(中央社会保険医療協議会答申)」
3 中小企業向け全国健康保険協会(協会けんぽ)保険料率の引き上げ ・2010年3月分の保険料の保険料率が変わる。なお,平均保険料率は8.20%→9.34%(全国平均,労使折半)となる。
・平均的収入(約370万円)で年間約21,000円の負担増となる。
4 育児

教育支援
「子ども手当」の創設 ・中学校までの子ども1人につき月額13,000円を2010年6月から支給される。(月分は5月分と合わせて6月に支給され,その後,2010年10月と2011年2月に支払われる。

<「福祉行政の最新情報」2009年12月29日記事の再掲>
■■「子ども手当」は愚策ではないか〜ドイツの二の舞を踏むことにならないか〜
→すでに,2003年のOECDの家族政策と合計特殊出生率に関する研究において,金銭的援助より保育サービスの充実の方が合計特殊出生率との相関関係が強い,ということが示されている(「OECD Social, Employment and Migration Working Paper 2003」の図20および図21を参照)。このOECDの研究は,2006年の「少子化対策について」(「第15回社会保障の在り方に関する懇談会」資料)でも紹介され,日本との対応にも言及されている。また,2009年11月18日には,OECDは,日本の経済政策について初めて包括的な提言を発表し,「成長戦略」や「雇用」など9分野に言及し,「鳩山政権が導入を目指す「子ども手当」については「目的と対象を再検討すべきだ」とし,手当の一律支給よりも「待機児童」の解消に力を注ぐべきだとの考えを示した」と報道された。
→民主党の「子ども手当」は,小沢幹事長が選挙対策用に考え出した政策の目玉という位置づけで,練度が低いと一部では言われている。福祉対策なのか,景気対策なのか,少子化対策なのかすら明確でない政策であるとも言われている。
→ドイツは,「家族手当」として子ども一人当たり日本円で2万円程度をばら撒き続けてきたが,就学前の保育の拡充などの総合的な子育て支援策が遅れために,未だに合計特殊出生率は回復していない(「2005年度出生に関する統計の概況」の国際比較),との国際的な嘲笑を受けている。
→筆者は,早晩,「子ども手当」を見直さなければならなくなると予想している。
(筆者)

5 高校無償化がスタート ・公立校から授業料を徴収しない。私立校には,年額約12万円〜24万円就学支援金を支給する。(低所得世帯は増額)

高校無償化 川端達夫文部科学大臣からのメッセージ:文部科学省」(You Tube)
6 ■「家庭的保育(保育ママ)事業」の施行 <「福祉行政の最新情報」2010年3月26日記事の再掲>
「2009年10月の保育所入所待機児童数」 / 都道府県・政令指定都市・中核市別
・2009年10月の保育所入所待機児童数は,4万6,058人(前年同月比5,874人増)で,過去最多であった。なお,2009年4月に比べ1.8倍であった。


→民主党は,マニフェストで,待機児童解消のために,@縦割り行政施策の一本化,A学校の余裕教室などを利用した認可保育所の分園増設,B「保育ママ」の増員,C認可保育所の増設,を挙げている。
→筆者は,上記の対策は,
天下の愚策である「子ども手当」を実施する前に,やらなければならないことだと思う。待機児童を減らす最良の方法は,認可保育所の増設であると考えている。2010年4月からは,「家庭的保育(保育ママ)事業」が施行されるが,保育ママを待機児童対策の「重要な施設」と位置づける国の考え方には納得できない。2008年の改正児童福祉法によって制度化された「保育ママ制度」は,研修を経れば無資格でも認可可能とし,対象年齢も3歳未満から就学前まで引き上げられる。2009年度の保育ママは全国で1,140人・利用児童数は2,592人であるものを,政府は2014年度までに利用数を19,000人とする目標を立てている。この安直な考え方や見通しが,政府の本質であると思う。本気で待機児童数をゼロにする気があるとは思えない所以である。しかし,補完的な対応策としては,大切な制度であることは言うまでもない。(筆者)

→●1/31「子ども・子育てビジョン〜子どもの笑顔があふれる社会のために〜」,2009年12/29(■「子ども手当」は愚策ではないか〜ドイツの二の舞を踏むことにならないか〜),12/11(■「保育施設における死亡事例について」(2004年4月〜2009年11月)),9/22(■「少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」(2008年度)),9/9(■筆者は,「待機児童を減らす最良の方法は認可保育所の増設である」と思う)の記事を参照

→■「2008年の第170回臨時国会で成立した法律(福祉関連)」
7 「子ども・若者育成支援推進法」(原案は「「青少年総合対策推進法案」) ・ニートやひきこもりなど社会参加に困難を抱える青少年への自立支援強化を柱とする「子ども・若者育成支援推進法」が7月1日の参院本会議で可決,成立した。青少年が自立した社会生活を営むための支援などを定めている。政府原案では「青少年総合対策推進法案」だった名称が,青少年の範囲を明確にすべきとの民主党の主張を与党が受け入れ名称変更した

・若者や子ども支援の国・地方自治体の役割などを検討するため,内閣府に首相を本部長とする「育成支援推進本部」を設置し,これまで児童相談所や非営利組織(NPO)などがばらばらに手掛けていた子ども・若者支援をネットワーク化することも盛りこんでいる。

「子ども・若者育成支援推進法」のポイント>
(1)子ども・若者育成支援施策の総合的推進のための枠組み整備(基本法的性格)
@国の本部組織や大綱,地域における計画やワンストップ相談窓口等の枠組み整備
A学校教育法,児童福祉法,雇用対策法等関係分野の法律と相まって子ども・若者育成支援施策を推進
(2)社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を支援するためのネットワーク整備
8 労働 「改正労働基準法」の施行 (1)時間外労働の削減
@限度時間を超える時間外労働の労使による削減
A法定割増賃金率の引き上げ
・月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を,現行の25%以上から50%以上に引き上げる。(中小企業は当分,適用猶予)
B代替休暇制度の創設
(2)年次有給休暇の有効活用
@時間単位年休制度の創設

・労使協定により,1年に5日分を限度として年次有給休暇を時間単位で取得することが可能になる。

「2008年の第170回臨時国会で成立した法律」
9 「改正労働時間等設定改善指針(通称:労働時間等見直しガイドライン)」(概要 / 本文)の適用

「労働時間等の設定の改善」
<「福祉行政の最新情報」2010年3月22日記事の再掲>
・ 2009年12月の「明日の安心と成長のための緊急経済対策」等を踏まえ,年次有給休暇を取得しやすい環境の整備に向けた関係者の取組の促進を図ることを目的として,2008年4月から適用の「改正労働時間等設定改善指針」が,2010年3月19日に再び改正され,原則2010年4月1日から適用されることになった。
・本指針は,事業主などが,労働時間等の設定の改善について適切に対処するために必要な事項について,「努力義務」を定めるもので,強制力はない。「労働時間等の設定」とは,「労働時間,休日数,年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう」ものとされている。
・厚生労働省は,あらゆる機会を通じて改めて指針の周知啓発を行い,仕事と生活の調和の実現を目指して労働時間等の見直しを推進していくとしている。
・3月19日公示,原則として4月1日から適用されるが,「子の養育又は家族の介護を行う労働者」に関する規定は6月30日から適用される。

<年次有給休暇につき,事業主に対し,制度的な改善を促すこととされた事柄>
@労使の話し合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに,取得率向上に向けた具体的な方策を検討する。
A取得率の目標設定を検討する。
B計画的付与制度の活用を図る際,連続した休暇の取得促進に配慮する。( 「計画的付与制度」とは,年次有給休暇のうち,5日を超える分については,労使協定を結べば,計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度である。)
C2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るに当たっては,当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討する。

指針の新旧対照表
「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(2002年)

<2008年3月28日記事の再掲>
「改正労働時間等設定改善指針(通称:労働時間等見直しガイドライン)」〜2008年4月から適用〜
・仕事と生活の調和については,2007年12月にワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議において,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され,労使を始め国民が積極的に取り組むことや国や地方公共団体が支援することなどにより,社会全体の運動として広げることとしている。厚生労働省は,これを受け,労働時間等の見直しに関する取組を一層推進することとし,「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)第4条第1項の規定に基づく「労働時間等設定改善指針」を改正した。改正指針は,事業主及びその団体が,労働時間等の設定の改善について適切に対処するために必要な事項について定めるものである。
※「労働時間等」とは,労働時間,休日数,年次有給休暇その他の休暇をいう。
→総労働時間1800時間を目標としたが実効に疑問があった時限立法の「時短促進法」を廃止し,2006年4月から恒久法として「労働時間等設定改善法」が施行され,時短の促進だけでなく労働者の健康と生活に配慮することを目的として,「労働時間等設定改善指針」が定められた。今回,指針が改正されたが,内容として目新しいものはない。(筆者)

→労働時間等に関しては,いずれ丁寧に伝えるつもりであるが,とりあえず筆者の所感を端折って述べる(最近の民主党の体たらくに落胆し,言い過ぎたかも知れない)。
→先進主要国との比較において,日本の労働時間は,年間休日日数,特に年休取得日数が突出して少なく,際立っているのが特徴で,管理職の年休取得率においては,目を覆う状況であるというのが,ここ10年言われ続けてきたことである。具体的には,フランスやドイツの有給休暇の取得率はほぼ100%であるが,2008年の日本の年休取得率は47.4%であった。
→「年休の取得」は,労働者の権利である。当然のことであるが,「年休の完全取得」の必要性について,異論を挟む者はいない。しかし,これまで年休取得率が一向に向上しないのに,「義務化」される方向にはなかった。これは,行政が,労働者の権利よりも,経営側の利益を優先し,労働組合側もそれを容認してきたからである。
→厚生労働省は,「年休の完全取得」のためと言って,「罰則規定もない努力義務」である指針の改正を繰り返している。また,政府は,「2017年までに年休の完全取得を達成する」という「できもしない目標」を立てている(2007年12月に策定された「ワーク・ライフ・バランス憲章」,「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で,年休の取得率を2012年に60%,2017年には100%にするという数値目標が掲げられている)。
→さらに,「恥の上塗り」と言えるのが,最近の政府の観光立国推進本部のゴールデンウィークの「分散休暇案」である。年休取得率がほぼ100%であるフランスやドイツで分散休暇がうまく機能しているからと言って,それだけを日本に持ち込もうとする安易さには恐れ入る。「今,日本がフランスやドイツのまねをしなければならないこと」は,「分散休暇」ではなく「年休の完全取得」ではないかと思う。歯切れがよく雄弁である前原国土交通大臣は,やること為すこと,切れ味や後味の悪さを残すが,これは慇懃で雄弁な長妻厚生労働大臣にも共通するように,筆者は思っている。
→筆者は,「年休の完全取得」を達成させるには,@年休取得を「努力義務」から「義務化」とするか,A諸外国に倣って「未消化年休の買取りの義務化」をするか,以外にはないと考えている。年休の完全取得や買取りの義務化が,民主党政権下において,本気で検討されない理由が分からない。「年休の完全取得」によって,雇用が創出されることは昔から言われ続けている。(筆者)
10 「改正雇用保険法」等の施行 (1)「改正雇用保険法」等の施行
@雇用保険の適用範囲の拡大
・非正規労働者に対する適用範囲の拡大(6か月以上→31日以上)
・雇用保険に未加入とされた者に対する遡及適用期間の改善
A雇用保険二事業の財政基盤の強化

「雇用保険制度改正に係る周知用リーフレット」

(2)雇用保険料率の改定
・一般の事業の雇用保険料率:11%(事業主負担率7%:被保険者負担率4%)→15.5%(9.5%:6%)

11 ■育児休業給付の見直し ・2010年3月末まで給付率を引き上げている暫定措置(40%→50%)を当分の間延長
・休業中と復帰後に分けて支給している給付を統合し,全額を休業期間中に支給する。


「2009年雇用保険制度の見直しについて」
12 「合宿型若者自立支援プログラム」(新設)がスタート <「福祉行政の最新情報」2010年3月11日記事の再掲>
・2010年3月3日に,「第46回労働政策審議会職業能力開発分科会」が開催され,国が行う職業訓練の今後の在り方等について議論された。
・事業仕分けによって,現行の「若者自立塾事業」は2009年度で廃止され(2010年2月1日をもってすべての自立塾の入塾受付は終了),2010年度以降は「緊急人材育成・就職支援基金」事業を活用した,ニート等を対象とする「合宿型若者自立支援プログラム」(正式名:緊急人材育成支援事業(基金訓練)社会事業者等訓練コース合宿型)が実施される予定で,現在プログラムの受付けがされている

→財務省によれば,約64万人のニートの中で「若者自立塾」に参加した率が0.1%を対象とした事業であること,ほかに通所型のニート支援事業となる「地域若者サポートステーション」(延べ来所者数20万2000人)もあるため,「若者自立塾」を別途行う必要性が疑問視されたことにより,2009年度で廃止と決定されたとのことである。
→事業仕分けで廃止になった「若者自立塾事業」の無駄遣いの2008年度の事実を確認しておく。仕分け人らが疑問視したのは,国費を投入するだけの効果(1次委託は3億7500万円で,研修生1人当たり約50万円のコストをかけて就労率が約55%であった)と委託先やコストの合理性(1次委託先を若者支援にノウハウのない日本生産性本部として間接費3,300万円を支払い,その後2次委託先であるNPOには実績に応じた「訓練等奨励金」を支払うシステムになっていた)についてであった。しかし,マスコミの「中抜き報道」で,無駄遣いの事実が正確に報道されていなかったように思われる。
→まもなく,「事業仕分け第2段」が始まる。枝野行政刷新大臣の力量に期待している。
→ニート対策については,改めてまとめて記事にしたいと考えている。(筆者)

2009年11/30「事業仕分け」における「中抜き報道」)の記事を参照

→■「地域若者サポートステーション&若者自立塾 ポータルサイト」
13 精神障害者雇用安定奨励金の創設
(2010年5月12日追加)
・2010年4月1日より,精神障害者の雇用を促進し職場定着を図るため,精神障害者の雇入れや休職者の職場復帰にあたり,精神障害者が働きやすい職場づくりを行った事業主に対する奨励金が創設された。
(1)精神障害者を新規雇用する事業主
@精神障害者支援専門家活用奨励金(最高180万円)
精神障害者を雇い入れ,精神保健福祉士等の精神障害者の支援に係る専門家を雇い入れまたは委嘱し,精神障害者の雇用管理に関する業務を行わせた場合に,当該専門家の賃金または委嘱費用の一部を奨励金(最高180万円)として支給される。
A社内精神障害者専門家養成奨励金(費用の2/3,上限50万円)
労働者に精神保健福祉士等の養成課程を履修・修了させ,この者に新たに雇い入れた精神障害者の支援に関する業務を行わせた場合に,履修に要した費用の一部を奨励金(費用の2/3、上限50万円)として支給される。
(2)精神障害者を新規雇用又は休職者を職場復帰させる事業主
B社内理解促進奨励金(費用の1/2,上限5万円)
精神障害者を雇い入れ,または職場復帰させ,精神障害者とともに働く労働者に精神障害者の支援に関する講習を受講させた場合に,受講に要した費用の一部を奨励金(費用の1/2、上限5万円)として支給される。
Cピアサポート体制奨励金(25万円)
精神障害者を雇い入れ,または職場復帰させ,社内の精神障害者を他の精神障害者への配慮事項等に関する事業所への助言等,ピアサポートの業務を担当させた場合に奨励金(25万円)を支給される。


<「福祉行政の最新情報」5月12日記事の再掲>
→精神障害者の雇用は促進させるべきである。
→福祉専門職(特に,精神保健福祉士)に求められるのは,職場が精神障害者の受入れを迷惑がっており,復職を受け入れた職場の同僚が困り果てている,という精神障害の専門的な知識のない者にとっての「当たり前の感覚」を理解し,受け入れる側の本音に耳を傾ける姿勢である。一方的な権利・義務の主張は,精神障害者の受入れの障害になることに留意しなければならない。(筆者)
14 税金 ■自動車重量税の減税がスタート ・自動車の購入時や車検の際に納める重量税が軽減される。
15 農業 農業者戸別所得補償制度がスタート ・減反に協力するコメ農家の赤字の一定分を補填する。
・各地の農政事務所で4月1日から申請を受け付ける。
16 健康 ■受動喫煙防止条例を施行(神奈川県) ・全国で初めて,飲食店やホテルなどに全面禁煙化厳密な分煙を義務づける。
17 温暖化対策 ■テレビの省エネ基準を改定 ・より省エネ性能の高い機種がエコポイント制度の対象になる。
18 ■大規模事業所に二酸化炭素(CO2)の削減を義務づけ(東京都) ・年間エネルギー消費量の多い1400事業所に,CO2排出量を6〜8%削減することを義務づける。
19 料金 ■国際線の燃料給油付加運賃(燃油サーチャージ)の引き上げ ・日本発・片道で200円(韓国)〜3,500円(ブラジル)
20 高齢者

障害者
「高齢運転者等専用駐車区間制度」がスタート

<2009年の「改正道路交通法」のポイント>

@高齢運転者標識表示義務の見直し
・2007年の「改正道路交通法」によって導入された,75歳以上のドライバーに対する高齢運転者標識(もみじマーク)の表示の一律義務づけに関する規定は,当分の間,適用しないこととし,70歳以上75歳未満のドライバーと同様に努力義務にとどめることになった。
A車間距離保持義務違反に係る法定刑の引上げ
B地域交通安全活動推進委員による高齢者等への支援の充実
C「高齢運転者等専用駐車区間制度」の導入
<「福祉行政の最新情報」2010年3月12日記事の再掲>
・「高齢運転者等専用駐車区間制度」は,2009年4月24日に公布された「改正道路交通法」に基づくもので,70歳以上の高齢運転者や妊婦などが,駐車場を探しながらの運転から解放されるように利用する機会の多い官公庁や病院などの周辺道路に「高齢運転者等専用駐車区間」を整備する制度であり,2010年4月19日から施行される。
・「標章車専用」という道路標識がある区間には,「専用駐車場標章」を申請し,交付を受けた者が運転する標章を掲示した普通自動車のみが駐車をすることができる(それ以外の人(車両)が駐車をした場合には,駐車違反となる)。
(1)申請の対象者
@身体障害者マーク,聴覚障害者マークの対象者
A高齢者マークの対象者(70歳以上)
B妊娠中又は出産後8週間以内の者
(2)申請先
・住所地を所管する公安委員会(最寄の警察署)

3/15「2009年度不慮の事故死亡統計の概況」,2/8「2009年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」の記事を参照

「高齢運転者支援のための重点施策推進計画の策定」(2009年6月21日通知)
21 障害者自立支援法における利用者負担の一部無料化 ・低所得者(市町村民税非課税)の障害福祉サービス等の利用者負担が無料となる。
22 肝臓の機能障害者に身体障害者手帳交付 ・肝臓の機能障害者に身体障害者手帳が交付される。

<身体障害者福祉法への肝臓機能障害の追加>
@2008年9月9日の薬害肝炎全国原告団・弁護団との大臣協議(肝機能障害を身体障害に位置付けることを検討する旨回答)
A2009年8月24日の「肝機能障害の評価に関する検討会報告書」(肝機能障害が重症化し,治療による症状の改善が見込めず回復困難になっているものについては身体障害の対象となる)
B2009年9月11日の「身体障害認定分科会了承」(認定基準も含め,肝臓機能障害を身体障害者手帳の交付対象範囲に追加する)
C2009年12月24日の「身体障害者福祉法施行令等の一部を改正する政令等公布」(2010年4月1日から身体障害者手帳の交付対象となる障害に「肝臓の機能の障害」を追加する等の改正を行う)


<「福祉行政の最新情報」2010年2月12日記事の再掲>
2010年4月から「肝臓機能障害」が身体障害者手帳の対象となり,自立支援医療に追加される
・2009年12月24日に「身体障害者福祉法施行令等の一部を改正する政令等公布」が出され,2010年4月1日から身体障害者手帳の交付対象となる障害に「肝臓の機能の障害」を追加する等の改正を行うこととされた。なお,身体障害者手帳の対象となる肝臓機能障害の障害程度等級1級から4級の4段階である。
・これに伴い,2010年4月1日から自立支援医療費(更生医療・育成医療)の障害分野に新たに肝臓機能障害が追加される。対象者は,@肝蔵移植後,抗免疫療法を受けている者,A肝臓移植を受けられる予定の者,B更生医療については身体障害者手帳を交付された者である。自立支援医療においては,加入している保険(生活保護は除く)の種類に関係なく,自己負担額は原則医療費の1 割になる。


→2010年4月1日から,「肝臓機能障害」が
自立支援医療の対象となる。しかし,心臓の場合には心臓手術でも自立支援医療の対象となるが,肝臓の場合は基準が厳しく肝臓移植予定者および移植後の免疫抑制療法のみである。その対象者数は3万人〜5万人と厚生労働省は推定しているが,日本のB型肝炎・C型肝炎感染者は350万人,患者は60万人にも及んでいるいるとされており,今回の措置で公的支援される者はごくわずかである。
→今回の措置は,前政権の舛添厚生労働大臣の決定に基づくものである。現政権の長妻厚生労働大臣の課題として,@内部疾患や難病において,絶えず状態が変化するという特徴に対して,今回の厳しい基準をどう緩和していくのか,A障害者基本法改正,障害者権利条約の批准との関係において,「障害の定義」をどう改めていくのか,B障害や疾病の公的支援において,根強い自己責任論とどう整合させていくのか,などが一部では提起されている。今後,早急かつ適切な対処ができないのであれば,鳩山政権の「人のいのちを守る政治」という理念は,障害や難病などを抱えて,いのちを削りながら生きている人にとっては,羊頭狗肉ということになる。(筆者)


2/32010年度の重点項目とされる「障害者保健福祉」を概観する)の記事を参照

「自立支援医療の対象者,自己負担の概要」
<主な項目(やまだ塾のまとめ)>
@年金・医療(国民年金保険料の引き上げ,診療報酬の改定,協会けんぽ保険料率の引き上げ)
A育児・教育支援(子ども手当の創設,高校無償化がスタート,「家庭的保育(保育ママ)事業」の施行,「子ども・若者育成支援推進法」の施行)
B労働(改正労働基準法の施行,改正労働時間等設定改善指針(通称:労働時間等見直しガイドライン)の適用,雇用保険料率の改定,育児休業給付の見直し,「合宿型若者自立支援プログラム」(新設)がスタート,精神障害者雇用安定奨励金の創設)
C税金(自動車重量税の減税がスタート)
D農業(農業者戸別所得補償制度がスタート)
E健康(受動喫煙防止条例を施行(神奈川県))
F温暖化対策(テレビの省エネ基準を改定,大規模事業所に二酸化炭素(CO2)の削減を義務づけ(東京都))
G料金(国際線の燃料給油付加運賃(燃油サーチャージ)の引き上げ)
H高齢者・障害者(「高齢運転者等専用駐車区間制度」がスタート,障害者自立支援法における利用者負担の一部無料化,肝臓の機能障害者に身体障害者手帳交付)

「厚生労働省関係の主な制度変更(2010年4月1日)について」 (2010年4月14日厚労省公表)

20104月から福祉関連分野で何が変わったか?

http://www.yamadajuku.com/

(2010年4月2日)
(4月14日追加)
(5月12日追加)