・基礎年金の国庫負担割合については,2009年度までの間の別に法律で定める特定年度において1/2とされることを踏まえ,2008年度における国庫負担の割合を引き上げることを内容とする。
・障害者の雇用の促進およびその職業の安定を図るため,中小企業に関して障害者雇用納付金の徴収等の対象範囲を拡大するとともに,短時間労働者を雇用義務の対象に追加する等,施策の充実強化を図ることを内容としたものである。衆議院において「継続審議」となった。
・虐待を受けた子どもの社会的養護体制の拡充などを柱にした法案で,5月29日に衆議院で可決されたが,「後期高齢者医療制度」に端を発した参議院での首相問責決議可決の影響を受け,野党が継続審議の手続きをとらなかったため,結果「廃案」となった。
・法案は,「里親制度の見直し」で,里親手当を3万4000円から7万2000円に増額することを含み,里親制度全体の見直しと併せて2009年1月からの施行が予定されていたものである。
(2)第169回通常国会の新規提出法案(5法案)
(1)第166通常国会からの継続案件(2法案)
【1】第169回通常国会で成立しなかった厚生労働省提出の法案 |
(2009年3月31日)
【2】第170回通常国会で成立した福祉分野の主な法律 |
提案 | 主な法律名 | ポイント | ||||||||||
1 | 厚生労働省 | ■「改正労働基準法」 (参考) →■「第166国会で成立した法律」(成立しなかった法律) / 「第168回で成立した法律」 <2009年6月5日追加> →■労働基準法が改正されます(2010年4月1日施行) |
<2008年11月20日の「福祉行政の最新情報」記事の再掲> ・労働基準法改正案が11月18日,一部修正を経て衆院本会議で可決され,12月5日の参院本会議で可決,成立した。本法案は第166通常国会(2007年)からの継続審議の案件である。 ・時間外労働に対する賃金の割増率(現行25%以上50%以下)について,月60時間を超える部分を「50%以上」に引き上げることを定めている。 また,有給休暇について年間5日分に関し,1時間単位での取得を可能とする。 施行は2010年4月の予定である。 ・厚生労働省提出法案の修正点
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2 | 厚生労働省 | ■「改正児童福祉法」 →■「家庭的保育の在り方に関する検討会報告書」(2009年3月31日) |
<2008年12月3日の「福祉行政の最新情報」記事の再掲> (改正児童福祉法) ・「子どもと家族を応援する日本」重点戦略などを踏まえ,家庭的保育事業などの新たな子育て支援サービスの創設,虐待を受けた子どもなどに対する家庭的環境における養護の充実,仕事と生活の両立支援のための一般事業主行動計画の策定の促進など,地域や職場における次世代育成支援対策を推進するための所要の改正を行うもの。 ・「家庭的保育事業」(「保育ママ」事業)を保育所保育の補完として位置づけ,「乳幼児家庭全戸訪問事業」「養育支援訪問事業」「地域子育て支援拠点事業」「一時預かり事業」を法定化し,市町村に努力義務を課した。 ・社会的養護関連では,「里親制度」を拡充した(養育里親に研修を義務化,里親手当の増額,里親支援機関事業の創設,小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)の創設)。 ・児童養護施設関連では,「児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)」の入所対象を20歳未満(従来18歳未満)に拡大し,「被措置児童等虐待」の児童相談所への通告義務と都道府県の適切な措置,が規定された。 ・2009年4月施行(「保育ママ」事業は2010年4月施行) |
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3 | 厚生労働省 | ■「改正次世代育成支援対策推進法」 (2009年8月6日追記) ◎次世代育成支援対策推進法の改正について |
<2008年12月3日の「福祉行政の最新情報」記事の再掲> ・企業の行動計画策定義務の対象を従業員101人(従来301人)まで拡大した。 ・市町村行動計画の事業量の参酌標準を国が定めることが規定された。 ・2009年4月施行(次世代育成法の対象企業規模の変更は2011年4月施行) |
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4 | 衆議院議員 | ■「改正国民健康保険法」 | ・保護者が国民健康保険料を滞納し,保険証のない「無保険」となった子供が必要な治療を受けられるよう保険証を交付する。 ・2009年4月に施行 ・改正法は,保護者が保険料を長期間滞納しても,中学生以下の子供は保険証返還の対象外とする内容であり,保険証は有効期間6か月の「短期保険証」とし,市町村が保険証更新時に保護者と納付相談を行う仕組みを取り入れている。 ・国民健康保険では,保険料の滞納が1年以上続くと,保険証の代わりに「資格証明書」が交付されるが,窓口で医療費をいったん全額支払わなければならないため金銭的負担が重く,受診抑制につながると指摘されていた。 |
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5 | 厚生労働省 | ■「改正障害者雇用促進法」 →概要 |
・障害者の法定雇用率(1.8%)を達成できていない企業に課される納付金について,中小企業も段階的に支払い義務の対象とする。 ・従来は,従業員数が301人以上の企業に対し,法定雇用率が未達成の場合は1人につき月5万円の納付を義務づけている。 ・改正法では,従業員201人以上の企業は2010年7月から, 101人以上は2015年4月から支払いが義務づけられる。ただし,経過措置として,どちらも適用開始から5年間は納付額を減額する。 ・また,パートタイム雇用・労働ニーズに応えるため,週の労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者として身体,知的障害者を雇った場合に,1人につき0.5人として雇用率への算入を認める。精神障害者はすでに算入を認めているため,今回の改正ですべての障害者が対象になる。 |
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6 | 厚生労働省 | ■「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」 | ・簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の規定等を踏まえ,独立行政法人国立がん研究センター,独立行政法人国立循環器病研究センター,独立行政法人国立精神・神経医療研究センター,独立行政法人国立国際医療研究センター,独立行政法人国立成育医療研究センター及び独立行政法人国立長寿医療研究センターを設立するため,その名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定める。 | |||||||||
7 | 法務省 | ■「改正国籍法」 | ・「今日の一問」(問題99. 2008年12月12日成立の「改正国籍法」について述べよ。)を参照のこと |