区分 主な項目 ポイント 詳細
年金 国民年金保険料の引き上げ @月額1万3860円→1万4100円月額240円増の14100円<通例は280円増>) 2004年の年金制度改正
→○「離婚時厚生年金の分割制度(解説)」
2 厚生年金保険料率の引き上げ
9月以降
@月収の14.642%→14.996(厚生年金の保険料は事業主と被保険者が折半)
3 基礎年金の国庫負担金割合の引き上げ @基礎年金の給付に要する費用の額に対する国庫負担の割合:「1/3に25/1000を加えた率を乗じて得た額」→「1/3に32/1000を加えた率を乗じて得た額」
A厚生年金や共済組合等の基礎年金拠出金の額に対する国庫負担の割合も同様
B上記@Aこの引き上げは,2004年度から2009年度にかけて国庫負担を1/3から1/2へ段階的に引き上げる経過にある。
4 離婚時の年金分割制度の開始 ・4月1日以降に離婚した場合,婚姻期間の厚生年金を,夫婦間の合意などで最大1/2に分割できる
(解説)
これまでは,専業主婦などの被扶養者である第3号被保険者が離婚した場合,厚生年金の対象とはならなかった。2007年4月以降に離婚した場合,夫婦間の同意もしくは裁判所の決定があれば,第3号被保険者の期間分について,1/2を上限に厚生年金の分割ができることとなる。さらに,2008年4月,扶養配偶者が長期不在等の場合でも,1/2を上限に厚生年金の分割が開始される。
5 老齢厚生年金制度の適用拡大 @賃金に応じて年金受給額が減る在職老齢年金を70歳以上にも適用

A老齢厚生年金の繰り下げ受給
本人の希望により、66歳以降の繰り下げ受給(増額)ができるようになる。

6 遺族厚生年金の給付・受給要件の変更 @子ども(18歳未満)のいない30歳未満の妻に対する遺族年金を5年間で打ち切る
(解説)
遺族厚生年金の受給権の一部変更であり,30歳未満で子のない妻は,5年間で遺族厚生年金の受給権がなくなる。

A遺族年金の「中高齢寡婦加算」を夫死亡時40歳以上の妻に限定する

(解説)
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算の支給要件の一部変更であり,夫の死亡当時,35歳以上で子のない妻の場合40歳から中高齢寡婦加算が支給されていたが,20074月からは,夫の死亡当時の年齢が「40歳以上」に引き上げられる。


B遺族厚生年金受給者の老後は老齢年金を優先受給する

(解説)
遺族厚生年金を受給している遺族が65歳に達し,自らの老齢厚生年金が受けられるようになったときは,「老齢厚生年金」が優先受給となる。

7 医療保険 傷病手当金の引き上げ ・標準報酬日額の60%→標準報酬日額の2/3に相当する額
(解説)
任意継続被保険者は,支給対象者から外される。
2006年の医療制度改革
8 産休中の出産手当金を変更 ・標準報酬日額の60%→標準報酬日額の2/3に相当する額
(解説)
任意継続被保険者は,支給対象者から外される。また,1年以上加入していた者が退職後6か月以内に出産した場合も,同様に支給されていたが,この規定が廃止となる。
9 標準報酬等級・標準賞与額の改定 ・標準報酬月額の上限と下限に,それぞれ4等級が追加され,ボーナスの年度合計額は,540万円が上限額となる。
10 国民保険料(所得割・均等割)の上限額の拡大 ・53万円/年→56万円/年」
(解説)
市町村により,条例を制定のうえ,従来の53万円を1年間据え置くなどの措置がとられることがある。
11 70歳未満の者の入院に係る高額療養費の現物給付化 ・70歳以上へは既に適用されているが,2007年4月から70歳未満にも一医療機関の入院高額療養費を現物給付化する。 70歳未満の入院高額療養費の現物給付化
12 障害者自立支援 利用者負担の軽減 @通所・在宅サービス利用者(含む「障害児」)の1割負担の上限額が引き下げられる。
従来の「1/2」→「1/4」

A社会福祉法人だけではなく,NPOの利用者などすべての利用者が負担能力に応じて軽減措置を受けられるようになる。
障害者自立支援法(2005年新法)
13 軽減措置の対象世帯の拡大 ・対象世帯は,市町村民税の所得割が10万円未満で,資産要件は1000万円まで,施設入所も軽減措置の対象となる。
(解説)
【1】軽減措置の対象となる世帯
・「市町村民税の所得割10万円未満(収入ベースでおおよそ600万円)」までとなる。
【2】資産要件
@単身の場合:従来の350万円が500万円となる。
A家族がいる場合:1000万円までとなる
B障害児世帯:通所・在宅サービス利用に加えて,施設入所も軽減措置の対象となる。
14 施設入所者の資産要件の個別減免の拡大 ・350万円→500万円
15 施設利用者の工賃の控除 @入所施設において,工賃が28.8万円/年(これを超えた部分の30%を含む)までは,定率負担と食費等の負担がかからないように,工賃控除が徹底される。
Aグループホームについても,年間28.8万円までの工賃控除が導入される。
16 (2007年7月施行分)
自己負担上限額の区分基準額の変更
・課税世帯の所得区分:
@2万円→3万3000円
A20万円→23万5000円
(自己負担上限額そのものには変更はない)
(解説)
所得区分に応じた課税世帯の自己負担上限額の基準となる市町村民税(所得割)の基準額の変更で,2007年度から国(所得税)から地方(住民税)へ税源移乗等がされ,一定以上の所得者は個人住民税が増額となっている。この増額に対し,自己負担上限額の所得区分の対象範囲がこれまでと変わらないよう,市町村民税(所得割)の基準額の引き上げを行うものである。
17 雇用保険 雇用保険料の引き下げ @雇用保険の全体の保険料率:
19.5/1000→15/1000
A失業給付費に対する保険料率:
8/1000→6/1000
 2007年10月から福祉分野で何が変わったか?(■改正雇用保険法)
18 教育訓練給付の改正 @返還命令等の対象の追加
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者と連帯して不正受給額の返還または納付額の納付を命じられる対象として,偽りの証明等をした指定教育訓練実施者が加えられる。
A報告徴収の対象の追加
報告徴収の対象に,指定教育訓練実施者が加えられる。
19 雇用安定事業法等の改正 @雇用安定事業等の対象の明確化
雇用安定事業および能力開発事業の対象として,被保険者になろうとする者を規定することとされる。
A雇用福祉事業の廃止
被保険者の職業生活上の環境の整備・改善や,就職の援助等を行う雇用福祉事業が廃止となる。
20 国庫負担の改正 @高年齢雇用継続給付にかかわる国庫負担の廃止
高年齢雇用継続基本給付金および高年齢再就職給付金に要する費用にかかわる国庫負担は,2007年度から廃止となる。
A国庫負担に関する暫定措置
失業等給付に要する費用にかかわる国庫負担額について,2007年度以後当分の間,国庫が負担すべきとされている額の55/100に相当する額となる。
21 <参考>
(2007年8月施行分)

求職者給付の基本手当の算定額の自動変更

@求職者給付等の基本手当の算定額が,前年度の平均給与額をもとに自動変更される。
A変更対象となる給付:
「求職者給付」,「就職促進給付(再就職手当,常用就職支度手当,就業手当)」,「雇用継続給付(高年齢雇用継続給付,育児休業給付,介護休業給付)」
22 <参考>
(2007年10月施行分)

【1】基本手当の受給資格要件等の改正
【2】特例一時金の改正
【3】教育訓練給付の改正
【4】育児休業給付の改正
【5】特定求職者雇用開発助成金の改正
・166回国会で成立した改正雇用保険法(2007年3月に改正)

【1】基本手当の受給資格要件等の改正
@短時間労働被保険者の区分の廃止
A基本手当の受給資格の延長
B被保険者期間の計算方法の変更
【2】特例一時金の減額
【3】教育訓練給付の支給要件期間の暫定措置
【4】育児休業給付の改正
@算定基礎期間の算定調整
A育児休業給付金の増額
【5】助成金額が雇用した労働者一人当りの定額制へ変更(2007年7月の関係省令の改正)
23 児童
・女性
3歳未満の児童手当の拡充 ・第1子・第2子の3歳未満:月額5000円→10000円
(ただし,3歳の誕生日から小学校終了前までは従来通り月額5000円である)
・実際の支給は6月からとなる

児童手当制度
→○ポスター
24 放課後子どもプラン」の創設 ・放課後等の子どもたちの安全で健やかな活動場所の確保を図るため,文部科学省と厚生労働省は連携し,2007年度から,原則としてすべての小学校区において,総合的な放課後対策として実施する「放課後子どもプラン」を創設する
放課後対策事業は,市町村が実施する「放課後子ども教室」および「放課後児童クラブ」で構成される
放課後子どもプラン
25 生活保護の母子加算の縮小 ・15歳以下の子ども1人の一人親家庭の場合:最大2万3260円→1万5510円
・一人親家庭に対して給付していた母子加算を3年間かけて段階的に廃止(2009年度)する
「骨太の方針2006における社会保障について」
26 改正男女雇用機会均等法の施行 @男性に対する差別の禁止,A体力や転勤条件などで女性を差別する間接差別の禁止,B妊娠・出産等を理由とした不利益取扱の禁止,C男性に対するセクシュアルハラスメントも含めた対策の義務化など 派遣先に適用される義務の拡大(2007.4.25)
改正男女雇用機会均等法のポイント
(1.30MB)
改正男女雇用機会均等法の概要
27 その他 バリアフリー改修促進税制の創設 ・バリアフリーを含む増改築を行った場合,年末残高の一定割合を所得税から控除する
・適用は5年間である
住宅・土地税制
28 裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律(ADR法)の施行 ・ADRは「Alternative Dispute Resolution」の略。
消費生活のトラブルなど民事上の紛争を迅速,柔軟に解決するため,第三者機関の民間事業者が仲裁に入るなどして解決を図る仕組みである。

・以下は法務省によるADRの説明である。
「裁判外紛争解決手続とは,ADR(Alternative Dispute Resolution)とも呼ばれますが,仲裁,調停,あっせんなどの,裁判によらない紛争解決方法を広く指すものです。例えば,裁判所において行われている民事調停や家事調停もこれに含まれますし,行政機関(例えば建設工事紛争審査会,公害等調整委員会など)が行う仲裁,調停,あっせんの手続や,弁護士会,社団法人その他の民間団体が行うこれらの手続も,すべて裁判外紛争解決手続に含まれます。
 このような裁判外紛争解決手続を定義すれば,「訴訟手続によらず民事上の紛争を解決しようとする紛争の当事者のため,公正な第三者が関与して,その解決を図る手続」となります。
 わが国には,裁判所,行政機関,民間といった多様な主体による,仲裁,調停,あっせんなどの,多様な形態の裁判外紛争解決手続があります。
 しかしながら,現在のところ,裁判所の調停などは大いに利用されていますが,民間事業者の行う裁判外紛争解決手続は,一部を除き,国民への定着が遅れ,必ずしも十分には機能していないという状況にあります。
 裁判外紛争解決手続は,厳格な手続にのっとって行われる裁判に比べて,紛争分野に関する第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図るなど,柔軟な対応が可能であるという特長があります。
 したがって,このような裁判外紛争解決手続の機能を充実し,利用しやすくすれば,紛争を抱えている国民の方々が,世の中の様々な紛争解決手段の中から,自らにふさわしいものを容易に選択することができるようになり,より満足のいく解決を得ることができると期待されます。
 このようなことから,今,裁判外紛争解決手続の機能の充実が求められているのです。」
ADR法
→○法務省ホームページ(ADR関連)
29 「がん対策基本法」(2006年制定)の施行 ・国にがん対策を推進する基本計画の策定の義務付けなどを柱とする。
・国と都道府県に「がん対策推進基本計画」を策定するよう規定し,「がん対策推進協議会」(がん患者やその家族,医療関係者らで作る)を厚生労働省に設置し,協議会の意見を基本計画に反映させるしくみも盛り込まれた。
・基本理念に「がん研究の推進」「居住地域にかかわらず適切な医療が受けられる体制の整備」「患者本人の意向を尊重した医療提供」などを明記した。
・具体的な施策として,国と自治体に,@がん予防に関する啓発活動,Aがん検診にかかわる医療関係者の研修などによる検診の質の向上,Bがん専門医の育成,C緩和ケアなどがん患者の療養生活の質の向上,D患者,家族への相談支援,などを義務付けている。

・残された課題の一つには,個人情報保護の観点から,制度化が見送られた「がん登録制度」がある。
「がん対策基本法」(新法)

20074月から福祉関連分野で何が変わったか?

http://www.yamadajuku.com/

(2007年4月3日作成)
(2007年12月16日追記)